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高等学校の学習
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2022-08-25T12:47:16Z
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/* 理科 */
wikitext
text/x-wiki
{{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|frame=1}}
ここでは高校の教科書を中心に収録しています。現行課程・新課程(令和4年度以降)になってからの改訂作業が大幅に遅れているため、[[高等学校の学習/旧課程|旧課程]]の教科書を参照せざるをえない教科も多くあります。あしからずご了承ください。また、改訂作業をお手伝いいただける方はご協力ください。
__TOC__
{{進捗状況}}
== 高等学校の教科書目録一覧 ==
[[検定教科書/高等学校|高等学校の検定教科書一覧]]{{進捗|100%|2022-07-27}}
※リンク先は、2022年以降入学された現高校1年生で使う教科書です。
== 普通教育に関する各教科・科目と標準単位数 ==
=== [[高等学校国語|国語]] ===
==== 2021年度以前 ====
* [[高等学校国語総合|国語総合]] 4単位{{進捗|25%|2014-12-23}}
* [[高等学校国語表現|国語表現]] 3単位
* [[高等学校現代文A|現代文A]] 2単位{{進捗|00%|2012-12-21}}
* [[高等学校現代文B|現代文B]] 4単位 {{進捗|00%|2014-11-24}}
* [[高等学校古典A|古典A]] 2単位 {{進捗|25%|2012-12-21}}
* [[高等学校古典B|古典B]] 4単位 {{進捗|25%|2014-12-22}}
==== 2022年度以降 ====
* [[高等学校現代の国語|現代の国語]]
* [[高等学校言語文化|言語文化]]
* [[高等学校国語表現|国語表現]]
* [[高等学校論理国語|論理国語]]
* [[高等学校文学国語|文学国語]]
* [[高等学校古典探究|古典探究]]
'''関連項目'''
* [[高等学校古文]]
=== [[高等学校地理歴史|地理歴史]] ===
==== 2021年度以前 ====
* [[高等学校世界史A|世界史A]] 2単位 {{進捗|50%|2012-12-21}}
* [[高等学校世界史B|世界史B]] 4単位 {{進捗|75%|2018-05-04}}
* [[高等学校日本史A|日本史A]] 2単位{{進捗|00%|2018-07-31}}
* [[高等学校日本史B|日本史B]] 4単位 {{進捗|50%|2018-06-06}}
* [[高等学校地理A|地理A]] 2単位
* [[高等学校地理B|地理B]] 4単位 {{進捗|25%|2018-06-11}}
==== 2022年度以降 ====
* [[高等学校歴史総合|歴史総合]]
* [[高等学校地理総合|地理総合]]
* [[高等学校世界史探究|世界史探究]]
* [[高等学校日本史探究|日本史探究]]
* [[高等学校地理探究|地理探究]] 4単位 {{進捗|25%|2022-07-17}}
===[[高等学校公民|公民]]===
(現在、新課程に対応する公民の教科書は執筆途中です。当面の間は[[/旧課程|/旧課程]]の教科書で代用してください)
==== 2021年度以前 ====
* [[高等学校現代社会|現代社会]] 2単位 {{進捗|25%|2013-09-30}}
* [[高等学校倫理|倫理]] 2単位 {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校政治経済|政治経済]] 2単位 {{進捗|00%|2013-09-30}}
==== 2022年度以降 ====
* [[高等学校公共|公共]] {{進捗|25%|2022-07-30}}
* [[高等学校倫理|倫理]]
* [[高等学校政治経済|政治経済]]
=== [[高等学校数学|数学]] ===
(2021年入学生までの旧課程に対応する数学の教科書は[[高等学校数学]]を参照してください)
* [[新課程高等学校数学I|数学I]] 3単位
* [[新課程高等学校数学II|数学II]] 4単位
* [[新課程高等学校数学III|数学III]] 3単位
* [[新課程高等学校数学A|数学A]] 2単位
* [[新課程高等学校数学B|数学B]] 2単位
* [[新課程高等学校数学C|数学C]] 2単位
=== [[高等学校理科|理科]] ===
(現在、現行・新課程に対応する理科の教科書は執筆途中です。当面の間は[[/旧課程|/旧課程]]の教科書で代用してください。)
* [[高等学校理科 科学と人間生活|科学と人間生活]] 2単位
* [[高等学校理科 物理基礎|物理基礎]] 2単位 {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校理科 化学基礎|化学基礎]] 2単位
* [[高等学校 生物基礎|生物基礎]] 2単位
* [[高等学校理科 地学基礎|地学基礎]] 2単位
* [[高等学校 物理|物理]] 4単位 {{進捗|25%|2022-06-27}}
* [[高等学校 化学|化学]] 4単位 {{進捗|50%|2022-8-25}}
* [[高等学校 生物|生物]] 4単位 {{進捗|50%|2022-07-09}}
* [[高等学校 地学|地学]] 4単位
* [[高等学校理科 理科課題研究|理科課題研究]] 1単位
=== [[高等学校外国語|外国語]] ===
(現在日本語版ウィキブックスには現行課程に対応する外国語科の教科書はありません。当面の間は[[/旧課程|/旧課程]]の教科書で代用してください)
* コミュニケーション英語Ⅰ 3単位
* コミュニケーション英語Ⅱ 4単位
* コミュニケーション英語Ⅲ 4単位
* コミュニケーション英語基礎 2単位
* 英語表現Ⅰ 2単位
* 英語表現Ⅱ 4単位
* 英語会話 2単位
* 英語以外の外国語に関する科目
'''関連項目'''
* [[高校英語の文法]]
=== [[高等学校保健体育|保健体育]] ===
* [[高等学校保健体育体育|体育]] 7~8単位
* [[高等学校保健体育保健|保健]] 2単位 {{進捗|25%|2013-09-30}}
=== [[高等学校芸術|芸術]] ===
* [[高等学校音楽I|音楽I]] 2単位
* [[高等学校美術I|美術I]] 2単位
* [[高等学校工芸I|工芸I]] 2単位
* [[高等学校書道I|書道I]] 2単位
=== [[高等学校家庭|家庭]] ===
* [[高等学校家庭基礎|家庭基礎]] 2単位 {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校家庭総合|家庭総合]] 4単位
* 生活デザイン 4単位
=== [[高等学校情報|情報]] ===
==== 2021年度以前 ====
* [[高等学校情報/社会と情報|社会と情報]] 2単位 {{進捗|25%|2016-06-10}}
* [[高等学校情報/情報の科学|情報の科学]] 2単位 {{進捗|25%|2016-06-10}}
==== 2022年度以降 ====
* [[高等学校情報I|情報I]] 2単位
* [[高等学校情報II|情報II]] 2単位
=== [[総合的な学習の時間]] ===
3~6単位(2単位まで減可)
== 専門教育に関する各教科 ==
* [[高等学校農業]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校工業]] {{進捗|25%|2013-09-23}}
* [[高等学校商業]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校水産]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校家庭]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校看護]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校情報]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校福祉]] {{進捗|25%|2022-08-06}}
* [[高等学校理数]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校体育]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校音楽]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校美術]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
* [[高等学校英語]] {{進捗|00%|2013-09-30}}
== 特別活動 ==
* [[高等学校ホームルーム活動]]
* [[高等学校生徒会活動・委員会活動]]
* [[高等学校学校行事]]
== 課外活動 ==
* [[高等学校部活動]] {{進捗|25%|2013-09-30}}
* [[高等学校ボランティア活動]]
== 関連項目 ==
* [[高校生活ガイド]]
* [[大学受験ガイド]] {{進捗|25%|2013-09-30}}
* [[学習方法#高等学校|学習方法]]
[[Category:高等学校教育|*]]
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高校化学 物質の三態
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2022-08-25T14:53:35Z
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wikitext
text/x-wiki
{{pathnav|高等学校の学習|高等学校理科|高等学校 化学|pagename=物質の三態|frame=1|small=1}}物質は温度・圧力によって物質の状態が変化する。物質自体は同じであり、状態だけ変わるので物理変化である。[[w:化学変化|化学変化]]とは違うので注意すること。
== 物質の三態 ==
どの物質にも、固体・液体・気体の3つの状態がある。これを 物質の'''三態'''(さんたい、three states) という。<br>
一般に、物質の温度や圧力を変化させていくと、物質の状態が変わる。
物質の三態は、物質を構成する粒子の集合する状態によって決まり、粒子の熱運動の激しさと、分子に働く引力との関係によって決まっている。
== 三態変化 ==
・固体から液体になる変化を'''融解'''、液体から気体になる変化を'''蒸発(気化)'''と呼ぶ。気体から液体になる変化を'''凝縮(液化)'''、液体から固体になる変化を'''凝固'''と呼ぶ。固体から気体になる変化を'''昇華'''、気体から固体になる変化を'''凝華'''という。<BR>
状態が変わっても物質の名前は変わらない。ただし例外として水(H<sub>2</sub>O)がある。水は固体を特別に'''氷'''、液体を'''水'''、気体を'''水蒸気'''と呼ぶ。また、液体窒素など慣用的に呼ばれるものもある。ただしどのような状態でも化学式は変わらない。<BR>
また、純物質において固体が液体になる温度は物質ごとに決まっており、その温度をその物質の'''融点'''と呼ぶ。同様に液体が気体になる温度をその物質の'''沸点'''と呼ぶ。大気圧での水の融点は0度、沸点は100度である。
== 状態図 ==
<gallery widths="400px" heights="350px">
File:水の状態図.svg|<center>水の状態図</center>
File:二酸化炭素の状態図.svg|<center>二酸化炭素の状態図</center>
</gallery>
ふつうの純物質は、温度と圧力が決まると、その状態が決まる。
温度と圧力によって、その物質がどういう状態をとるかを表した図を'''状態図'''(phase diagram)という。
図に、水の状態図と、二酸化炭素の状態図を表す。
図の中央付近にある3本の曲線が交わったところは'''三重点'''(triple point)といい、気体・液体・固体の状態が共存する。
なお、図中にある 1.013×10<sup>5</sup>Pa は、大気圧である。図より、大気圧で水の融点は0℃、沸点は100℃であることが分かり、たしかに実験事実とも一致してる。
また、物質の温度と圧力を高めていき、温度と圧力がそれぞれの臨界点(critical point)を超える高温・高圧になると、その物質は'''超臨界状態'''(supercritical state)という状態になり、粘性が気体とも液体ともいえず(検定教科書の出版社によって「気体のような粘性」「液体のような粘性」とか、教科書会社ごとに記述が異なる)、超臨界状態は、気体か液体かは区別できない。
二酸化炭素の超臨界状態ではカフェインをよく溶かすため、コーヒー豆のカフェインの抽出に利用されている。
== ※ 範囲外?: 絶対零度 ==
物質はどんなに冷却しても、-273.15℃(0K)までしか冷却しない。この温度のことを'''絶対零度'''(ぜったい れいど)という。(※ 詳しくは『[[高等学校物理/物理I/熱]]』で習う。)
[[Category:化学|ふしつのさんたい]]
[[Category:高等学校化学|ふしつのさんたい]]
jt3kddyf6u5kmlvfzhnt85go4u0j64o
ガリア戦記 第3巻
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207037
2022-08-25T14:51:35Z
Linguae
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/* 18節 */ 訳注 fere libenter homines id quod volunt credunt
wikitext
text/x-wiki
[[Category:ガリア戦記|3]]
[[ガリア戦記]]> '''第3巻''' >[[ガリア戦記 第3巻/注解|注解]]
<div style="text-align:center">
<span style="font-size:20px; font-weight:bold; font-variant-caps: petite-caps; color:white; background: rgb(47,94,255);background: linear-gradient(180deg, rgba(47,94,255,1) 0%, rgba(24,56,255,1) 50%, rgba(0,8,255,1) 100%);"> C IVLII CAESARIS COMMENTARIORVM BELLI GALLICI </span>
<span style="font-size:40px; font-weight:bold; color:white; background: rgb(47,94,255);background: linear-gradient(180deg, rgba(47,94,255,1) 0%, rgba(24,56,255,1) 50%, rgba(0,8,255,1) 100%);"> LIBER TERTIVS </span>
</div>
[[画像:Gaule -56.png|thumb|right|150px|ガリア戦記 第3巻の情勢図(BC56年)。<br>黄色の領域がローマ領。桃色が同盟部族領。]]
{| id="toc" style="align:left;clear:all;" align="left" cellpadding="5"
! style="background:#ccccff; text-align:left;" colspan="2" | ガリア戦記 第3巻 目次
|-
| style="text-align:right; font-size: 0.86em;"|
'''[[#アルプス・オクトードゥールスの戦い|アルプス・オクトードゥールスの戦い]]''':<br />
'''[[#大西洋岸ウェネティー族の造反|大西洋岸ウェネティー族の造反]]''':<br />
<br />
'''[[#大西洋岸ウネッリ族の造反|大西洋岸ウネッリ族の造反]]''':<br />
'''[[#クラッススのアクィタニア遠征|クラッススのアクィタニア遠征]]''':<br />
<br />
'''[[#モリニ族・メナピイ族への遠征|モリニ族・メナピイ族への遠征]]''':<br />
| style="text-align:left; font-size: 0.86em;"|
[[#1節|01節]] |
[[#2節|02節]] |
[[#3節|03節]] |
[[#4節|04節]] |
[[#5節|05節]] |
[[#6節|06節]] <br />
[[#7節|07節]] |
[[#8節|08節]] |
[[#9節|09節]] |
[[#10節|10節]] <br />
[[#11節|11節]] |
[[#12節|12節]] |
[[#13節|13節]] |
[[#14節|14節]] |
[[#15節|15節]] |
[[#16節|16節]] <br />
[[#17節|17節]] |
[[#18節|18節]] |
[[#19節|19節]] <br />
[[#20節|20節]] <br />
[[#21節|21節]] |
[[#22節|22節]] |
[[#23節|23節]] |
[[#24節|24節]] |
[[#25節|25節]] |
[[#26節|26節]] |
[[#27節|27節]] <br />
[[#28節|28節]] |
[[#29節|29節]]
|}
<br style="clear:both;" />
__notoc__
==<span style="color:#009900;">はじめに</span>==
:<div style="color:#009900;width:85%;">前巻([[ガリア戦記 第2巻|ガリア戦記 第2巻]])の終わりで述べられたように、カエサルによってガッリアはほぼ平定されたと思われて、首都ローマで感謝祭が催されたほどであった。このため、本巻(第3巻)ではカエサル自身の遠征として記す内容はとても少ない。<br><br>本巻の[[#1節]]~[[#6節]]で言及される[[#アルプス・オクトードゥールスの戦い]]は、[[w:紀元前57年|BC57年]]秋頃に起こったと考えられるので、本来なら第2巻に含められるべきであるが、そうなると第3巻が20節ほどの非常に短い巻になってしまうので、第3巻の冒頭に置いたとも考えられる。<br><br>本巻(第3巻)の年([[w:紀元前56年|BC56年]])の春には、ガッリア遠征の遂行上きわめて重要な'''ルカ会談'''があったので、以下に補足する。</div>
<div style="background-color:#eee;width:75%;">
===コラム「ルカ会談」===
:::<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">''[[w:en:Luca Conference|Luca Conference]]''</span>(英語記事)などを参照。
:<span style="color:#009900;">伝記作家[[ガリア戦記/注解編#プルータルコス『対比列伝』|プルータルコス]]によれば<ref>[[ガリア戦記/注解編#プルータルコス『対比列伝』|プルータルコス『対比列伝』]]の「カエサル」20,21</ref>、カエサルはベルガエ人との戦いを成し遂げると、前年に続いて'''パドゥス川'''〔[[w:la:Padus|Padus]] [[w:ポー川|ポー川]]〕流域で越冬しながら、ローマ政界への政治工作を続けた。例えば、カエサルを後援者とする選挙の立候補者たちが有権者を買収するための金銭をばらまいていた。ガッリア人捕虜を奴隷商人に売り払って得た莫大な金銭で。その結果、カエサルの金銭で当選した者たちの尽力で、属州総督カエサルへの新たな資金の支給が可決されるという具合であった。<br><br>そのうち、多くの名門貴族たちがカエサルに面会するために[[w:ルッカ|ルカ]]([[w:la:Luca|Luca]])の街へやって来た。<br>こうした中、[[w:紀元前56年|BC56年]]の4月に、カエサルと非公式の盟約([[w:三頭政治#第一回三頭政治|三頭政治]])を結んでいた[[w:マルクス・リキニウス・クラッスス|クラッスス]]と[[w:グナエウス・ポンペイウス|ポンペイウス]]もルカを訪れて、三者による会談が行われた。<br><br>首都ローマでは、三頭政治を後ろ盾とする[[w:ポプラレス|平民派]]の[[w:プブリウス・クロディウス・プルケル|クロディウス]](<span style="font-family:Times New Roman;">[[w:la:Publius Clodius Pulcher|Publius Clodius Pulcher]]</span>)が民衆に暴動をけしかけ、[[w:オプティマテス|門閥派]]のミロ(<span style="font-family:Times New Roman;">[[w:la:Titus Annius Milo|Titus Annius Milo]]</span>)と激しく抗争するなど、騒然としていた。このクロディウスの暴力的な手法は、クラッススとポンペイウスの関係を傷つけた。また、カエサルのガッリアでの輝かしい勝利に、二人とも不満を感じていた。このように三頭政治は綻び出していたのだ。<br><br>三人は三頭政治を延長することで合意した。カエサルは、クラッススとポンペイウスが翌年([[w:紀元前55年|BC55年]])の執政官に立候補すること、3属州の総督であるカエサルの任期がさらに5年間延長されること、などを求めた。<br><br>会談の結果、任期が大幅に延長されたカエサルの野望は、ガッリアに止まらず、[[w:ゲルマニア|ゲルマーニア]]や[[w:ブリタンニア|ブリタンニア]]の征服へと向かっていく。一方、再び執政官になった二人は、[[w:パルティア|パルティア]]を攻略するためにクラッススがシリア総督になることを決めるが、これはクラッススの命運とともに三頭政治の瓦解、カエサルとポンペイウスの関係悪化を招来することになる。
</span>
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:First Triumvirate of Caesar, Crassius and Pompey.jpg|thumb|right|500px|後に[[w:三頭政治#第一回三頭政治|三頭政治]](<span style="font-family:Times New Roman;">[[w:la:Triumviratus|Triumviratus]]</span>)と呼ばれることになる非公式な盟約を結んでいた、左から[[w:ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]、[[w:マルクス・リキニウス・クラッスス|クラッスス]]、[[w:グナエウス・ポンペイウス|ポンペイウス]]。<br>3人は、第3巻の戦いが始まる前に、ルカ会談で三頭政治の延長を決めた。]]
|}
</div>
</div>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
==アルプス・オクトードゥールスの戦い==
:<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">''[[w:en:Battle of Octodurus|Battle of Octodurus]]''</span>(英語記事)<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">''[[w:fr:Bataille d'Octodure|Bataille d'Octodure]]''</span>(仏語記事)などを参照。
===1節===
[[画像:Historische Karte CH Rome 1.png|thumb|right|300px|現在の[[w:スイス|スイス]]の帝制ローマ時代の地図。左下の三日月形の[[w:レマン湖|レマン湖]]の下方に、<span style="font-family:Times New Roman;">ALLOBROGES, NANTUATES, VERAGRI, SEDUNI</span> の部族名が見える。]]
[[画像:Afdaling vd San Bernardino - panoramio.jpg|thumb|right|300px|現在の[[w:グラン・サン・ベルナール峠|グラン・サン・ベルナール峠]]。ラテン語では <span style="font-family:Times New Roman;">[[w:la:Porta Magni Sancti Bernardi|Porta Magni Sancti Bernardi]] という。<br>スイスを縦断する[[w:欧州自動車道路|欧州自動車道路]] [[w:en:European route E27|E27]] が[[w:レマン湖|レマン湖]]からこの峠を通ってイタリアの[[w:アオスタ|アオスタ]]へ至る。</span>]]
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/1節]] {{進捗|00%|2022-04-23}}</span>
'''ガルバとローマ第12軍団が、ロダヌス川渓谷のオクトードゥールスにて冬営する'''
<br>
; カエサルが、ガルバと軍団・騎兵をアルプス地方へ派兵
*Cum in Italiam proficisceretur Caesar,
**カエサルは、イタリア〔[[w:ガリア・キサルピナ|ガッリア・キサルピーナ]]〕に出発していたときに、
*[[wikt:en:Servium|Servium]] Galbam cum [[w:en:Legio XII Fulminata|legione duodecima(XII.)]] et parte equitatus
**[[w:セルウィウス・スルピキウス・ガルバ (紀元前54年法務官)|セルウィウス・ガルバ]]を第12軍団および騎兵隊の一部とともに、
*in [[wikt:fr:Nantuates#Latin|Nantuates]], [[wikt:en:Veragri#Latin|Veragros]] Sedunosque misit,
**ナントゥアーテース族・ウェラーグリー族・セドゥーニー族(の領土)に派遣した。
*qui a finibus [[wikt:en:Allobroges#Latin|Allobrogum]] et lacu [[wikt:fr:Lemannus|Lemanno]] et flumine [[wikt:en:Rhodanus#Latin|Rhodano]] ad summas [[wikt:en:Alpes#Latin|Alpes]] pertinent.
**彼らはアッロブロゲース族の領土、レマンヌス湖〔[[w:レマン湖|レマン湖]]〕およびロダヌス川〔[[w:ローヌ川|ローヌ川]]〕から[[w:アルプス山脈|アルプス]]の頂きに及んでいる。
*Causa mittendi fuit,
**派遣の理由は(以下のこと)であった:
*quod iter per Alpes,
**アルプスを通る道は、
*quo magno cum periculo magnisque cum [[wikt:en:portorium|portoriis]] mercatores ire consuerant,
**大きな危険と多額の関税を伴って商人たちが旅することが常であったので、
*patefieri volebat.
**(カエサルは道が)開かれることを望んでいたのだ。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:現在の[[w:グラン・サン・ベルナール峠|グラン・サン・ベルナール峠]]を通ってスイスとイタリアを結ぶ道のことで、<br> 帝制初期に[[w:アウグストゥス|アウグストゥス]]によって街道が敷設された。<br> かつて[[w:ハンニバル|ハンニバル]]が越えたのは諸説あるが、この道であった可能性もある。<br> ローマ人がこの地に移入・育成した軍用犬は現在の[[w:セント・バーナード|セント・バーナード犬]]。)</span>
*Huic permisit, si opus esse arbitraretur, uti in his locis legionem hiemandi causa conlocaret.
**彼〔ガルバ〕に、もし必要と思われるならば、この地に軍団を[[w:冬営|冬営]]するために宿営させることを許可した。
[[画像:Servius Sulpicius Galba.jpg|thumb|right|300px|[[w:セルウィウス・スルピキウス・ガルバ (紀元前54年法務官)|セルウィウス・スルピキウス・ガルバ]]の横顔が刻まれた貨幣。ガルバは[[w:紀元前54年|BC54年]]([[ガリア戦記 第5巻|ガリア戦記 第5巻]]の年)に[[w:プラエトル|法務官]]に任官。内戦期もカエサルに従うが、暗殺計画に参画する。<br>[[w:ネロ|ネロ帝]]とともにユリウス家の王朝が途絶えると、ガルバの曽孫が[[w:ローマ内戦_(68年-70年)#四皇帝|四皇帝]]の一人目の[[w:ガルバ|ガルバ帝]]となった。このため[[w:ガイウス・スエトニウス・トランクィッルス|スエートーニウス]]『ローマ皇帝伝』の「ガルバ伝」にガルバへの言及がある<ref>[[s:la:De_vita_Caesarum_libri_VIII/Vita_Galbae#III.]]</ref>。]]
<br>
; ガルバが、諸部族を攻略して、軍団の冬営を決める
*Galba, secundis aliquot proeliis factis
**ガルバは、いくつかの優勢な戦いをして、
*castellisque compluribus eorum expugnatis,
**彼ら〔ガッリア諸部族〕の多くの砦が攻略されると、
*missis ad eum undique legatis
**彼〔ガルバ〕のもとへ四方八方から(諸部族の)使節たちが遣わされ、
*obsidibusque datis et pace facta,
**人質が供出されて、講和がなされたので、
*constituit
**(ガルバは、以下のことを)決めた。
*cohortes duas in Nantuatibus conlocare
**2個<ruby><rb>[[w:コホルス|歩兵大隊]]</rb><rp>(</rp><rt>コホルス</rt><rp>)</rp></ruby>をナントゥアーテース族(の領土)に宿営させること、
*et ipse cum reliquis eius legionis cohortibus
**(ガルバ)自身はその軍団の残りの<ruby><rb>歩兵大隊</rb><rp>(</rp><rt>コホルス</rt><rp>)</rp></ruby>とともに、
*in vico Veragrorum, qui appellatur [[wikt:en:Octodurus|Octodurus]], hiemare;
**オクトードゥールスと呼ばれているウェラーグリー族の村に冬営することを。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:オクトードゥールス([[wikt:en:Octodurus|Octodurus]])は現在の[[w:マルティニー|マルティニー市]]。)</span>
<br>
; ウェラーグリー族のオクトードゥールス村
*qui vicus positus in valle, non magna adiecta planitie,
**その村は、さほど大きくない平地に付随した渓谷の中に位置し、
*altissimis montibus undique continetur.
**とても高い山々で四方八方を囲まれている。
*Cum hic in duas partes flumine divideretur,
**これ〔村〕は川によって二つの部分に分け隔てられているので、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:現在の[[w:マルティニー|マルティニー]]の街中を、[[w:ローヌ川|ローヌ川]]の支流であるドランス川(''[[w:en:Drance|Drance]])が貫流している。)</span>
*alteram partem eius vici Gallis [ad hiemandum] concessit,
**その村の一方の部分をガッリア人に [越冬するために] 譲った。
*alteram vacuam ab his relictam cohortibus attribuit.
**もう一方の彼ら〔ガッリア人〕により空にされた方を、残りの<ruby><rb>歩兵大隊</rb><rp>(</rp><rt>コホルス</rt><rp>)</rp></ruby>に割り当てた。
*Eum locum vallo fossaque munivit.
**その地を堡塁と塹壕で守りを固めた。
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Martigny_1600.jpg|thumb|right|600px|かつてウェラーグリー族のオクトードゥールス村([[w:la:Octodurus|Octodurus]])があった所は、現在では[[w:スイス|スイス]]の[[w:マルティニー|マルティニー]]([[w:en:Martigny|Martigny]])市となっている。[[w:ローヌ川|ローヌ川]]が屈曲して流れる[[w:谷|渓谷]]地帯にある。]]
|}
</div>
<div style="background-color:#eee;width:77%;">
===コラム「ガルバの派遣とカティリーナ事件」===
:::関連記事:<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[w:la:Catilinae coniuratio|Catilinae coniuratio]], ''[[w:en:Second Catilinarian conspiracy|Second Catilinarian conspiracy]]''</span>
:<span style="color:#009900;"> [[w:セルウィウス・スルピキウス・ガルバ (紀元前54年法務官)|セルウィウス・スルピキウス・'''ガルバ''']]にアルプス派兵を指揮させた理由について、カエサルは記していない。<br><br> [[w:紀元前63年|BC63年]]~[[w:紀元前62年|BC62年]]に、ローマの高官だった[[w:ルキウス・セルギウス・カティリナ|ルーキウス・セルギウス・'''カティリーナ''']]([[w:la:Lucius Sergius Catilina|Lucius Sergius Catilina]])がクーデタを企てるという大事件があった。'''[[w:マルクス・トゥッリウス・キケロ|キケロー]]'''が『[[w:カティリナ弾劾演説|カティリナ弾劾演説]]』で糾弾し、カエサルが事件の黒幕ではないかと取り沙汰された(スエートニウス<ref>[[s:la:De_vita_Caesarum_libri_VIII/Vita_divi_Iuli#XIV.]], [[s:la:De_vita_Caesarum_libri_VIII/Vita_divi_Iuli#XVII.|#XVII.]] を参照。</ref>)。<br> BC63年の[[w:プラエトル|法務官]][[w:ガイウス・ポンプティヌス|ガーイウス・'''ポンプティーヌス''']]がキケローを助けて事件を捜査し、アッロブロゲース族からカティリーナへ宛てた手紙を調べた。BC62年にポンプティーヌスは前法務官としてガッリア総督となり、事件に関与していたアッロブロゲース族を平定した。このとき、[[w:トリブヌス|副官]]としてポンプティーヌスを助けてアッロブロゲース族を攻めたのが'''ガルバ'''であった。総督がカエサルに替わっても、ガルバは副官として留任し、アッロブロゲース族の近隣部族の鎮定に努めていたわけである。<br> ポンプティーヌスは、一部の元老院議員の反対で、戦勝将軍の権利である[[w:凱旋式|凱旋式]]ができなかった。これを不満に思っていたガルバは、[[w:紀元前54年|BC54年]]に法務官になると尽力して、その年にポンプティーヌスの凱旋式を行なうことに成功した。
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Joseph-Marie Vien - The Oath of Catiline.jpg|thumb|right|320px|'''カティリーナの誓い'''(''Le Serment de Catiline'')<br>[[w:ジョゼフ=マリー・ヴィアン|ジョゼフ=マリー・ヴィアン]]画(1809年)。<hr>カティリーナと共謀者たちは、人間の血を混ぜたワインを飲んで誓いを立てる儀式を行なったと伝えられている。]]
|[[画像:The Discovery of the Body of Catiline.jpg|thumb|right|320px|'''カティリーナの遺骸の発見'''<br>(''Il ritrovamento del corpo di Catilina'')<br>''[[w:en:Alcide Segoni|Alcide Segoni]]'' 画(1871年)<hr>アッロブロゲース族のいるガッリアへ向かおうとしていたカティリーナは、[[w:ピストイア|ピストリア]]([[w:la:Pistorium|Pistoria]])の戦い(''[[w:en:Battle of Pistoia|Battle of Pistoia]]'')で戦死した。]]
|}
</div>
</div>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===2節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/2節]] {{進捗|00%|2022-05-05}}</span>
'''ガッリア人が再び挙兵して周囲の高峰を押さえ、第12軍団の冬営地を包囲'''
*Cum dies hibernorum complures transissent frumentumque eo comportari iussisset,
**冬営の多くの日々が過ぎ去って、穀物がそこに運び集められることを([[w:セルウィウス・スルピキウス・ガルバ (紀元前54年法務官)|ガルバ]]が)命じていたときに、
*subito per exploratores certior factus est
**突然に(以下のことが)[[w:偵察|偵察隊]]により報告された。
*ex ea parte vici, quam Gallis concesserat, omnes noctu discessisse
**ガッリア人たちに譲っていた村の一部から、皆が夜に立ち退いており、
*montesque, qui [[wikt:en:impendeo#Latin|impenderent]], a maxima multitudine Sedunorum et [[wikt:en:Veragri|Veragrorum]] teneri.
**そそり立つ山々がセドゥーニー族とウェラーグリー族のかなりの大勢により占拠されたのだ。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:ウェラーグリー族は既述のようにオクトードゥールス村 [[w:la:Octodurus|Octodurus]]〔現在の[[w:マルティニー|マルティニー市]]〕を、<br>セドゥーニー族 [[w:la:Seduni|Seduni]] はより上流のセドゥヌム [[w:la:Sedunum|Sedunum]]〔現在の[[w:シオン (スイス)|シオン市]]〕を首邑としていた。)</span>
*Id aliquot de causis acciderat,
**いくつかの理由から、起こっていたことには、
*ut subito Galli belli renovandi legionisque opprimendae consilium caperent:
**突如としてガッリア人が、戦争を再開して(ローマ人の)軍団を急襲する作戦計画を立てたのだ。
<br>
; 第1の理由:ガルバの第12軍団は、兵が割かれていて寡勢である
*primum, quod legionem neque eam plenissimam detractis cohortibus duabus
**というのも、第一に、総員がそろっていない軍団を ──2個<ruby><rb>[[w:コホルス|歩兵大隊]]</rb><rp>(</rp><rt>コホルス</rt><rp>)</rp></ruby>が引き抜かれていて、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:前節で既述のように、2個歩兵大隊をナントゥアーテース族のところに宿営させていたが、これはレマンヌス湖〔[[w:レマン湖|レマン湖]]〕に近いより下流の地域で、離れていたようだ。)</span>
*et compluribus singillatim, qui commeatus petendi causa missi erant, absentibus,
**多くの者たちが一人ずつ、糧食を求めるために派遣されていて不在である、──
*propter paucitatem despiciebant;
**(その第12軍団を)少数であるゆえに、見下していたからだ。
<br>
; 第2の理由:渓谷にいるローマ人は、山から攻め降りて来るガッリア人の飛道具を受け止められまい
*tum etiam, quod propter iniquitatem loci,
**それからさらに(ローマ勢が冬営している渓谷の)地の利の無さゆえ、
*cum ipsi ex montibus in vallem decurrerent et tela conicerent,
**(ガッリア勢)自身が山々から谷間に駆け下りて飛道具を投じたときに、
*ne primum quidem impetum suum posse sustineri existimabant.
**自分たちの最初の襲撃を(ローマ勢が)持ちこたえることができない、と判断していたので。
<br>
; 第3の理由:人質を取られて、属州に併合される前にローマ人を討て
*Accedebat, quod suos ab se liberos abstractos obsidum nomine dolebant,
**加えて、人質の名目で自分たちから引き離されている自分の子供たちのことを嘆き悲しんでいたので、
*et Romanos non solum itinerum causa, sed etiam perpetuae possessionis
**かつ、ローマ人たちは道(の開通)のためだけでなく、永続的な領有のためにさえも
*culmina Alpium occupare <u>conari</u>
**アルプスの頂上を占領すること、
*et ea loca finitimae provinciae adiungere
**および(ローマの)属州に隣接する当地を併合することを<u>企てている</u>、
*sibi persuasum habebant.
**と(ガッリア人たちは)確信していたのである。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===3節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/3節]] {{進捗|00%|2022-05-12}}</span>
'''ガルバが軍議を召集し、策を募る'''
*His nuntiis acceptis Galba,
**ガルバは、これらの報告を受け取ると、
*<u>cum</u> neque opus hibernorum munitionesque plene essent perfectae
**冬営の普請や防塁構築も十分に完成していなかったし、
*neque de frumento reliquoque commeatu satis esset provisum,
**穀物や他の糧秣も十分に調達されていなかった<u>ので</u>、
*quod deditione facta obsidibusque acceptis
**── というのも、降伏がなされて、人質が受け取られ、
*nihil de bello timendum existimaverat,
**戦争について恐れるべきことは何もない、と判断していたためであるが、──
*consilio celeriter convocato sententias exquirere coepit.
**軍議を速やかに召集して、意見を求め始めた。
<br>
;軍議
*Quo in consilio,
**その軍議において、
*<u>cum</u> tantum repentini periculi praeter opinionem accidisset
**これほどの不意の危険が、予想に反して起こっていたので、
*ac iam omnia fere superiora loca multitudine armatorum completa conspicerentur
**かつ、すでにほぼすべてのより高い場所が、武装した大勢の者たちで満たされていることが、見られていたので、
*neque subsidio veniri
**救援のために(援軍が)来られることもなかったし、
*neque commeatus supportari interclusis itineribus possent,
**糧秣が運び込まれることも、道が遮断されているので、できなかった<u>ので</u>、
*prope iam desperata salute non nullae eius modi sententiae dicebantur,
**すでにほぼ身の安全に絶望していた幾人かの者たちの'''以下のような'''意見が述べられていた。
*ut impedimentis relictis eruptione facta
**輜重を残して、出撃して、
*isdem itineribus quibus eo pervenissent ad salutem contenderent.
**そこへやって来たのと同じ道によって、安全なところへ急ぐように、と。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:レマンヌス〔[[w:レマン湖|レマン湖]]〕湖畔を通ってアッロブロゲース族領へ撤収することであろう。)</span>
*Maiori tamen parti placuit,
**しかしながら、大部分の者が賛成したのは、
*hoc reservato ad extremum consilio
**この考え(計画)を最後まで保持しておいて、
*interim rei eventum experiri et castra defendere.
**その間に、事の結果を吟味して、陣営を守備すること、であった。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===4節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/4節]] {{進捗|00%|2022-05-16}}</span>
'''ガッリア勢がガルバの陣営を急襲し、寡兵のローマ勢は劣勢に陥る'''
*Brevi spatio interiecto,
**(敵の来襲まで)短い間が介在しただけだったので、
*vix ut iis rebus quas constituissent conlocandis atque administrandis tempus daretur,
**決めておいた物事を配置したり遂行するための時間が、ほとんど与えられないほどであった。
*hostes ex omnibus partibus signo dato decurrere,
**敵方〔ガッリア勢〕があらゆる方向から、号令が出されて、駆け下りて来て、
*lapides [[wikt:en:gaesum|gaesa]]que in vallum conicere.
**石や投槍を堡塁の中に投げ込んだ。
*Nostri primo integris viribus fortiter propugnare
**我が方〔ローマ勢〕は、当初、体力が損なわれていないうちは勇敢に応戦して、
*neque ullum frustra telum ex loco superiore mittere,
**高所から、いかなる飛道具も無駄に投げることはなかった。
*et quaecumque<!--ut quaeque--> pars castrorum nudata defensoribus premi videbatur,
**陣営のどの部分であれ、防戦者たちがはがされて押され気味であることと思われれば、
*eo occurrere et auxilium ferre,
**(ローマ勢が)そこへ駆け付けて、支援した。
<br>
; 兵の多寡が、ローマ勢を追い込む
*sed hoc superari
**しかし、以下のことにより(ローマ勢は)打ち破られた。
*quod diuturnitate pugnae hostes defessi proelio excedebant,
**──戦いが長引いたことにより、疲れ切った敵たちは戦闘から離脱して、
*alii integris viribus succedebant;
**体力が損なわれていない他の者たちが交代していたのだ。──
*quarum rerum a nostris propter paucitatem fieri nihil poterat,
**我が方〔ローマ勢〕は少数であるゆえに、このような事〔兵の交代〕は何らなされ得なかった。
*ac non modo defesso ex pugna excedendi,
**疲弊した者にとっての戦いから離脱することの(機会)のみならず、
*sed ne saucio quidem eius loci ubi constiterat relinquendi ac sui recipiendi facultas dabatur.
**負傷した者にとってさえも、その持ち場を放棄することや(体力を)回復することの機会も与えられなかったのだ。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===5節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/5節]] {{進捗|00%|2022-05-29}}</span>
'''最後の土壇場で説得されたガルバが、疲労回復後の突撃に命運を賭ける'''
*<u>Cum</u> iam amplius horis sex continenter pugnaretur,
**すでに6時間より多く引き続いて戦われており、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:[[古代ローマの不定時法]]では、冬の日中の半日ほどである)</span>
*ac non solum vires sed etiam tela nostros deficerent,
**活力だけでなく飛道具さえも我が方〔ローマ勢〕には不足していたし、
*atque hostes acrius instarent
**敵方〔ガッリア勢〕はより激しく攻め立てていて、
*languidioribusque nostris
**我が方〔ローマ勢〕が弱り切っており、
*vallum scindere et fossas complere coepissent,
**(ガッリア勢は)防柵を破却したり、塹壕を埋め立てたりし始めていたし、
*resque esset iam ad extremum perducta casum,
**戦況はすでに最後の土壇場に陥っていた<u>ので</u>、
<br>
; 二人の軍団首脳バクルスとウォルセーヌスが、ガルバに敵中突破を説く
*[[wikt:en:P.|P.]] Sextius Baculus, primi pili centurio,
**<ruby><rb>[[w:プリムス・ピルス|首位百人隊長]]</rb><rp>(</rp><rt>プリームス・ピールス</rt><rp>)</rp></ruby>プーブリウス・セクスティウス・バクルス
**:<span style="color:#009900;">(訳注:[[w:la:Publius Sextius Baculus|Publius Sextius Baculus]] などの記事を参照。)</span>
*quem Nervico proelio compluribus confectum vulneribus diximus,
**──その者が[[w:ネルウィイ族|ネルウィイー族]]との戦いで多くの負傷で消耗したと前述した──
**:<span style="color:#009900;">(訳注:[[ガリア戦記 第2巻#25節|第2巻25節]]を参照。なお、[[ガリア戦記 第6巻#38節|第6巻38節]] でも言及される。)</span>
*et item [[wikt:en:C.#Latin|C.]] Volusenus, tribunus militum, vir et consilii magni et virtutis,
**および、[[w:トリブヌス・ミリトゥム|軍団次官]]ガーイウス・ウォルセーヌス ──卓越した判断力と武勇を持つ男──(の2人)は、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:''[[w:en:Gaius Volusenus|Gaius Volusenus]]'' などの記事を参照せよ。)</span>
*ad Galbam accurrunt
**ガルバのもとへ急いで来て、
*atque unam esse spem salutis docent, si eruptione facta extremum auxilium experirentur.
**身の安全のただ一つの希望は、出撃をして最後の救済策を試みるかどうかだ、と説く。
*Itaque convocatis centurionibus
**こうして、<ruby><rb>[[w:ケントゥリオ|百人隊長]]</rb><rp>(</rp><rt>ケントゥリオー</rt><rp>)</rp></ruby>たちが召集されて、
*celeriter milites certiores facit,
**(ガルバが以下のことを)速やかに兵士たちに通達する。
*paulisper intermitterent proelium
**しばらく戦いを中断して
*ac tantummodo tela missa exciperent seque ex labore reficerent,
**ただ投げられた飛道具を遮るだけとし、疲労から(体力を)回復するようにと、
*post dato signo ex castris erumperent,
**与えられた号令の後に陣営から出撃するように、
*atque omnem spem salutis in virtute ponerent.
**身の安全のすべての希望を武勇に賭けるように、と。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===6節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/6節]] {{進捗|00%|2022-06-05}}</span>
'''第12軍団がガッリア勢を破るが、ガルバはオクトードゥールスでの冬営を断念する'''
*Quod iussi sunt faciunt,
**(ローマ兵たちは)命じられたことをなして、
*ac subito omnibus portis eruptione facta
**突然に(陣営の)すべての門から出撃がなされ、
*neque cognoscendi quid fieret
**何が生じたのかを知ることの(機会)も
*neque sui colligendi hostibus facultatem relinquunt.
**(自軍の兵力を)集中することの機会も、敵方に残さない。
*Ita commutata fortuna
**こうして武運が変転して、
*eos qui in spem potiundorum castrorum venerant undique circumventos intercipiunt,
**(ローマ人の)陣営を占領することを期待してやって来ていた者たちを、至る所で包囲して<ruby><rb>屠</rb><rp>(</rp><rt>ほふ</rt><rp>)</rp></ruby>る。
*et ex hominum milibus amplius XXX{triginta},
**3万より多い人間が
*quem numerum barbarorum ad castra venisse constabat,
**それだけの数の蛮族が(ローマ)陣営のところへ来ていたのは、確実であったが、
*plus tertia parte interfecta
**3分の1より多く(の者)が<ruby><rb>殺戮</rb><rp>(</rp><rt>さつりく</rt><rp>)</rp></ruby>されて、
*reliquos perterritos in fugam coiciunt
**(ローマ勢は)残りの者たちを怖気づかせて敗走に追いやり、
*ac ne in locis quidem superioribus consistere patiuntur.
**(ガッリア勢は)より高い場所にさえ留まることさえ許されない。
*Sic omnibus hostium copiis fusis armisque exutis
**そのように敵方の全軍勢が撃破されて、武器が放棄されて、
*se intra munitiones suas recipiunt.
**(ローマ勢は)自分たちの防塁の内側に撤収する。
<br>
; ガルバがオクトードゥールスでの冬営を断念して、同盟部族領に撤退する
*Quo proelio facto,
**この戦いが果たされると、
*quod saepius fortunam temptare Galba nolebat
**──ガルバは、よりたびたび武運を試すことを欲していなかったし、
*atque alio se in hiberna consilio venisse meminerat,
**冬営に他の計画のために来ていたことを思い出していたが、
*aliis occurrisse rebus videbat,
**別の事態に遭遇したのを見ていたので、──
*maxime frumenti commeatusque inopia permotus
**とりわけ穀物や糧秣の欠乏に揺り動かされて、
*postero die omnibus eius vici aedificiis incensis
**翌日にその村のすべての建物が焼き討ちされて、
*in provinciam reverti contendit,
**(ガルバは)属州〔[[w:ガリア・キサルピナ|ガッリア・キサルピーナ]]〕に引き返すことを急ぐ。
*ac nullo hoste prohibente aut iter demorante
**いかなる敵によって妨げられることも、あるいは行軍が遅滞させられることもなく、
*incolumem legionem in Nantuates,
**軍団を無傷なままでナントゥアーテース族(の領土)に(連れて行き)、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:ナントゥアーテース族 ''[[w:en:Nantuates|Nantuates]]'' は、レマンヌス湖〔[[w:レマン湖|レマン湖]]〕の南東を領有していた部族。<br> [[#1節]]で、軍団のうち2個<ruby><rb>[[w:コホルス|歩兵大隊]]</rb><rp>(</rp><rt>コホルス</rt><rp>)</rp></ruby>を宿営させたことが述べられた。)</span>
*inde in Allobroges perduxit ibique hiemavit.
**そこから、アッロブロゲース族(の領土)に連れて行き、そこで冬営した。
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Amphitheaterforumclaudiival1.jpg|thumb|right|500px|オクトードゥールス(<span style="font-family:Times New Roman;">[[w:la:Octodurus|Octodurus]]</span>)、すなわち現在の[[w:マルティニー|マルティニー市]]に遺る帝制ローマ時代の円形競技場。オクトードゥールスは、<span style="font-family:Times New Roman;">Forum Claudii Vallensium</span> と改称され、[[w: クラウディウス|クラウディウス帝]]によって円形競技場が建てられた。<br>(<span style="font-family:Times New Roman;">''[[w:fr:Amphithéâtre de Martigny|Amphithéâtre de Martigny]]''</span> 等の記事を参照。)]]
|}
</div>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
==大西洋岸ウェネティー族の造反==
:::<span style="background-color:#ffd;">関連記事:[[w:モルビアン湾の海戦|モルビアン湾の海戦]]、''[[w:fr:Guerre des Vénètes|fr:Guerre des Vénètes]]'' 等を参照せよ。</span>
===7節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/7節]] {{進捗|00%|2022-06-12}}</span>
'''新たな戦争の勃発'''
*His rebus gestis
**これらの戦役が遂げられて、
*cum omnibus de causis Caesar pacatam Galliam existimaret,
**カエサルが、あらゆる状況についてガッリアは平定された、と判断していたときに、
*superatis Belgis,
**(すなわち)[[w:ベルガエ|ベルガエ人]]は征服され、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:第2巻で述べられたこと)</span>
*expulsis Germanis,
**[[w:ゲルマニア|ゲルマーニア]]人は駆逐され、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:第1巻で述べられた[[w:アリオウィストゥス|アリオウィストゥス]]との戦役のこと)</span>
*victis in [[wikt:en:Alpibus|Alpibus]] Sedunis,
**アルペース〔[[w:アルプス山脈|アルプス]]〕においてセドゥーニー族は打ち負かされて、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:[[#1節]]~[[#6節]]で述べられたこと)</span>
*atque ita inita hieme in [[wikt:en:Illyricum#Latin|Illyricum]] profectus esset,
**こうして冬の初めに(カエサルが)[[w:イリュリクム|イッリュリクム]]に出発していたときに、
*quod eas quoque nationes adire et regiones cognoscere volebat,
**──というのは、これら各部族を訪れて諸地方を知ることを欲していたからであるが、──
**:<span style="color:#009900;">(訳注:属州総督の職務として、巡回裁判を行う必要があったためであろう)</span>
*subitum bellum in Gallia coortum est.
**突然の戦争がガッリアで勃発したのである。
<br>
; 戦争の背景
*Eius belli haec fuit causa:
**その戦争の原因は、以下の通りであった。
*[[wikt:en:P.|P.]] Crassus adulescens cum legione septima(VII.)
**[[w:プブリウス・リキニウス・クラッスス|プーブリウス・クラッスス青年]]は、第7軍団とともに
**:<span style="color:#009900;">(訳注:三頭政治家[[w:マルクス・リキニウス・クラッスス|M. クラッスス]]の息子で、第1巻[[s:la:Commentarii_de_bello_Gallico/Liber_I#52|52節]]では騎兵隊の指揮官だった。<br> [[ガリア戦記_第2巻#34節|第2巻34節]]では、1個軍団とともに大西洋沿岸地方に派遣されたと述べられた。)</span>
*proximus mare Oceanum in Andibus hiemarat.
**<ruby><rb>大洋〔[[w:大西洋|大西洋]]〕</rb><rp>(</rp><rt>オーケアヌス</rt><rp>)</rp></ruby>に最も近いアンデース族(の領土)で冬営していた。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:アンデース族 Andes は、'''アンデカーウィー族''' [[w:la:Andecavi|Andecavi]], ''[[wikt:en:Andecavi|Andecavi]]'' と呼ばれることが多い。<br> 実際には大西洋岸から内陸側に寄っていたと考えられている。)</span>
*Is, quod in his locis inopia frumenti erat,
**彼〔クラッスス〕は、これらの場所においては穀物の欠乏があったので、
*praefectos tribunosque militum complures in finitimas civitates
**([[w:アウクシリア|支援軍]]の)<ruby><rb>[[w:プラエフェクトゥス|指揮官]]</rb><rp>(</rp><rt>プラエフェクトゥス</rt><rp>)</rp></ruby>たちや[[w:トリブヌス・ミリトゥム|軍団次官]]たちのかなりの数を、近隣諸部族のところへ
*frumenti (commeatusque petendi) causa dimisit;
**穀物や糧食を求めるために送り出した。
*quo in numero est [[wikt:en:T.#Latin|T.]] Terrasidius missus in Esuvios<!--/ Unellos Essuviosque-->,
**その人員のうち、ティトゥス・テッラシディウスは、エスウィイー族<!--ウネッリー族やエスウィイ族-->のところに遣わされ、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:テッラシディウスは騎士階級の将校。''[[w:en:Terrasidius|Terrasidius]]'' 参照。)</span>
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:エスウィイー族 ''[[w:en:Esuvii|Esuvii]]'' は、現在の[[w:オルヌ川|オルヌ川]]盆地の[[w:オルヌ県|オルヌ県]][[w:セー (オルヌ県)|セー]]~[[w:fr:Exmes|エム]]の辺りにいたらしい。)</span>
*[[wikt:en:M.#Latin|M.]] [[wikt:en:Trebius#Latin|Trebius]] Gallus in Coriosolităs,
**マールクス・トレビウス・ガッルスは、コリオソリテース族のところに(遣わされ)、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:''[[w:it:Marco Trebio Gallo|it:Marco Trebio Gallo]]'' 等参照)</span>
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:コリオソリテース族 ''[[w:en:Coriosolites|Coriosolites]]'' は、クーリオソリーテース ''[[wikt:en:Curiosolites|Curiosolites]]'' などとも呼ばれ、<br> 現在の[[w:コート=ダルモール県|コート=ダルモール県]]コルスール([[w:en:Corseul|Corseul]])の辺りにいたらしい。)</span>
*[[wikt:en:Q.|Q.]] [[wikt:en:Velanius#Latin|Velanius]] cum T. Sillio in Venetos.
**クゥイーントゥス・ウェラーニウスはティトゥス・シーッリウスとともに、[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]のところに(遣わされた)。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:''[[w:it:Quinto Velanio|it:Quinto Velanio]], [[w:it:Tito Silio|it:Tito Silio]]'' 等参照。)</span>
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]] ''[[w:en:Veneti (Gaul)|Veneti (Gaul)]]'' は、[[w:アルモリカ|アルモリカ]]南西部、現在の[[w:モルビアン県|モルビアン県]]辺りにいた。)</span>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===8節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/8節]] {{進捗|00%|2022-06-13}}</span>
'''ウェネティー族らの動き'''
<br>
; 沿海地方を主導するウェネティー族
*Huius est civitatis longe amplissima auctoritas omnis orae maritimae regionum earum,
**この部族〔ウェネティー族〕の<ruby><rb>影響力</rb><rp>(</rp><rt>アウクトーリタース</rt><rp>)</rp></ruby>は、海岸のその全地方の中でずば抜けて大きい。
*quod et naves habent Veneti plurimas,
**── というのは、[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]は、最も多くの船舶を持っており、
*quibus in Britanniam navigare consuerunt,
**それら〔船団〕によって[[w:ブリタンニア|ブリタンニア]]に航海するのが常であり、
*et scientia atque usu rerum nauticarum ceteros antecedunt
**かつ[[w:海事|海事]]の知識と経験において他の者たち〔諸部族〕をしのいでおり、
*et in magno impetu maris atque aperto <Oceano>
**かつ海のたいへんな荒々しさと開けた<<ruby><rb>大洋〔[[w:大西洋|大西洋]]〕</rb><rp>(</rp><rt>オーケアヌス</rt><rp>)</rp></ruby>>において、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:<Oceano> は写本になく、挿入提案された修正読み)</span>
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[w:大陸棚|大陸棚]]が広がる[[w:ビスケー湾|ビスケー湾]]は、世界最大12mの大きな[[w:潮汐|干満差]]と、<br> 北西風による激しい嵐で知られる<ref>[https://kotobank.jp/word/%E3%83%93%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E6%B9%BE-119819 ビスケー湾とは - コトバンク]</ref>。)</span>
*paucis portibus interiectis,
**わずかの港が介在していて、
*quos tenent ipsi,
**彼ら自身〔ウェネティー族〕がそれら〔港湾〕を制していて、
*omnes fere qui eo mari uti consuerunt, habent vectigales.
**その海を利用するのが常であった者たち〔部族〕ほぼすべてを、貢税者としていたのだ。──
<br>
; ウェネティー族が、クラッススの使節たちを抑留する
*Ab his fit initium retinendi Sillii atque Velanii,
**彼ら〔ウェネティー族〕によって、シーッリウスとウェラーニウスを拘束することが皮切りとなる。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:2人は、前節([[#7節]])でウェネティー族への派遣が述べられた使節)</span>
*<u>et si quos intercipere potuerunt</u>
**何らかの者たちを捕えることができたのではないか、と。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:下線部は、β系写本だけの記述で、α系写本にはない。)</span>
*quod per eos suos se obsides, quos Crasso dedissent, recuperaturos existimabant.
**というのは、彼らを介して、[[w:プブリウス・リキニウス・クラッスス|クラッスス]]に差し出されていた己の人質たちを取り戻すことができると考えていたのである。
<br>
*Horum auctoritate finitimi adducti,
**彼ら〔ウェネティー族〕の影響力によって、近隣の者たち〔諸部族〕が動かされて、
*ut sunt Gallorum subita et repentina consilia,
**──ガッリア人の判断力というものは、思いがけなく性急なものであるが、──
*eadem de causa Trebium Terrasidiumque retinent
**同じ理由によりトレビウスとテッラシディウスを拘束する。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:トレビウスは、前節でコリオソリテース族に派遣された。<br> テッラシディウスは、前節でエスウィイー族に派遣された。)</span>
*et celeriter missis legatis
**そして速やかに使節が遣わされて、
*per suos principes inter se coniurant
**自分らの領袖たちを通して互いに誓約する。
*nihil nisi communi consilio acturos eundemque omnes fortunae exitum esse laturos,
**合同の軍議なしには何も実施しないであろうし、皆が命運の同じ結果に耐えるであろう、と。
*reliquasque civitates sollicitant,
**残りの諸部族を扇動する。
*ut in ea libertate quam a maioribus acceperint, permanere quam Romanorum servitutem perferre malint.
**ローマ人への隷属を辛抱することより、むしろ先祖から引き継いでいた自由に留まることを欲すべし、と。
<br>
*Omni ora maritima celeriter ad suam sententiam perducta
**すべての海岸(の諸部族)が速やかに自分たち〔ウェネティー族〕の見解に引き込まれると、
*communem legationem ad [[wikt:en:Publium|Publium]] Crassum mittunt,
**共同の使節を[[w:プブリウス・リキニウス・クラッスス|プーブリウス・クラッスス]]のもとへ遣わす。
*si velit suos recuperare, obsides sibi remittat.
**もし味方の者たち〔ローマ人〕を取り戻すことを望むならば、自分たち〔諸部族〕の人質たちを返すように、と。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===9節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/9節]] {{進捗|00%|2022-06-19}}</span>
{{Wikipedia|la:Liger| Liger }}
'''カエサル到着、ウェネティー族らの作戦と開戦準備'''
; カエサルが、海戦の準備を手配してから、沿岸地域に急ぐ
*Quibus de rebus Caesar a Crasso certior factus,
**以上の事について、カエサルは[[w:プブリウス・リキニウス・クラッスス|クラッスス]]により報知されると、
*quod ipse aberat longius,
**(カエサル)自身は非常に遠くに離れていたので、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:[[#コラム「ルカ会談」|#ルカ会談]]などローマへの政界工作のために属州にいたと考えられている。)</span>
*naves interim longas aedificari in flumine [[wikt:la:Liger#Latine|Ligeri]], quod influit in Oceanum,
**その間に<u>軍船</u>が<ruby><rb>大洋〔[[w:大西洋|大西洋]]〕</rb><rp>(</rp><rt>オーケアヌス</rt><rp>)</rp></ruby>に流れ込むリゲル川〔[[w:ロワール川|ロワール川]]〕にて建造されること、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:艦隊 [[w:la:Classis Romana|classis]] の主力として戦う[[w:ガレー船|ガレー船]]は「長船」[[w:la:Navis longa|navis longa]] と呼ばれていた。<br> これに対して、軍需物資を運搬する輸送船は [[w:la:Navis actuaria|navis actuaria]] と呼ばれていた。)</span>
*remiges ex provincia institui,
**<ruby><rb>漕ぎ手</rb><rp>(</rp><rt>レーメクス</rt><rp>)</rp></ruby>が属州〔[[w:ガリア・トランサルピナ|ガッリア・トランサルピーナ]]〕から採用されること、
*nautas gubernatoresque comparari iubet.
**<ruby><rb>[[w:船員|水夫]]</rb><rp>(</rp><rt>ナウタ</rt><rp>)</rp></ruby>や<ruby><rb>操舵手</rb><rp>(</rp><rt>グベルナートル</rt><rp>)</rp></ruby>が徴募されること、を命じる。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:船尾の「<ruby><rb>[[w:舵|舵]]</rb><rp>(</rp><rt>かじ</rt><rp>)</rp></ruby>」が発明されたのは[[w:漢|漢代]]の中国であって、古代西洋の船に<ruby><rb>舵</rb><rp>(</rp><rt>かじ</rt><rp>)</rp></ruby>はない。<br> 船の操舵手は「<ruby><rb>舵櫂</rb><rp>(</rp><rt>かじかい</rt><rp>)</rp></ruby>」(''[[w:en:Steering oar|steering oar]]'') という[[w:櫂|櫂]]の一種を用いて操船したらしい。)</span>
<br>
*His rebus celeriter administratis ipse,
**これらの事柄が速やかに処理されると、(カエサル)自身は
*cum primum per anni tempus potuit, ad exercitum contendit.
**年のできるだけ早い時季に、軍隊のもとへ急いだ。
<br>
; ウェネティー族らが、使節団拘留の重大さを勘案して、海戦の準備を進める
*Veneti reliquaeque item civitates cognito Caesaris adventu
**[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]と残りの部族もまた、カエサルの到着を知り、
*<span style="color:#009900;"><</span>et de recipiendis obsidibus spem se fefellise<span style="color:#009900;">></span> certiores facti,
**<span style="color:#009900;"><</span>かつ人質を取り戻すという希望に惑わされたことを<span style="color:#009900;">></span> 知らされて、
*simul quod quantum in se facinus admisissent intellegebant,
**同時に、どれほど大それた行為を自分たちが侵していたかを判断していたので、
*<span style="color:#009900;">[</span>legatos, quod nomen ad omnes nationes sanctum inviolatumque semper fuisset,
**──(すなわち)あらゆる種族のもとでその名が神聖かつ不可侵の、使節たちが
*retentos ab se et in vincula coniectos,<span style="color:#009900;">]</span>
**自分たちによって拘束され、鎖につながれていたわけだが、──
*pro magnitudine periculi bellum parare
**危機の重大さに見合う戦争を準備すること、
*et maxime ea quae ad usum navium pertinent providere instituunt,
**とりわけ船団を運用するために役立つところのものを調達すること、を着手する。
*hoc maiore spe quod multum natura loci confidebant.
**地勢を大いに信じていた点に大きな期待をして。
<br>
*Pedestria esse itinera concisa aestuariis,
**(ローマ勢の)歩兵の行軍路は入江で遮断されるし、
*navigationem impeditam propter inscientiam locorum paucitatemque portuum sciebant,
**土地の不案内と港の少なさのゆえに航行が妨げられることを(ウェネティー族らは)知っていた。
*neque nostros exercitus propter inopiam frumenti diutius apud se morari posse confidebant;
**穀物の欠乏のゆえに、我が軍〔ローマ軍〕がより長く彼らのもとに留まることができないと(ウェネティー族らは)信じ切っていた。
<br>
*ac iam ut omnia contra opinionem acciderent,
**やがて、すべてのことが予想に反して生じたとしても、
*tamen se plurimum navibus posse, quam Romanos neque ullam facultatem habere navium,
**けれども自分たち〔ウェネティー族ら〕は艦船において、艦船の備えを何ら持たないローマ人よりも大いに優勢であり、
*neque eorum locorum, ubi bellum gesturi essent, vada, portus, insulas novisse;
**戦争を遂行しようとしているところの浅瀬・港・島に(ローマ人は)不案内であった(と信じ切っていた)。
<br>
*ac longe aliam esse navigationem in concluso mari atque in vastissimo atque apertissimo Oceano perspiciebant.
**閉ざされた海〔[[w:地中海|地中海]]〕と非常に広大で開けた大洋における航行はまったく別物であると見通していた。
<br>
*His initis consiliis
**この作戦計画が決められると、
*oppida muniunt,
**<ruby><rb>[[w:オッピドゥム|城塞都市]]</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>の防備を固め、
*frumenta ex agris in oppida comportant,
**穀物を耕地から<ruby><rb>城塞都市</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>に運び込み、
*naves in [[wikt:en:Venetia#Latin|Venetiam]], ubi Caesarem primum (esse) bellum gesturum constabat, quam plurimas possunt, cogunt.
**カエサルが最初の戦争を遂行するであろうことが明白であったところの[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]領に、ありったけの艦船を集める。
<br>
*Socios sibi ad id bellum
**この戦争のために(ウェネティー族は)自分たちのもとへ同盟者として
*[[wikt:en:Osismi#Latin|Osismos]], [[wikt:en:Lexovii#Latin|Lexovios]], [[wikt:en:Namnetes#Latin|Namnetes]], Ambiliatos, [[wikt:en:Morini#Latin|Morinos]], [[w:en:Diablintes|Diablintes]], [[wikt:en:Menapii#Latin|Menapios]] adsciscunt;
**<span style="font-size:10pt;">オスィスミー族・レクソウィイー族・ナムネーテース族・アンビリアーティー族・モリニー族・ディアブリンテース族・メナピイー族</span> を引き入れる。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:アンビリアーティー族 ➡ [[w:ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|プリニウス]]は「アンビラトリー族」 [[wikt:en:Ambilatri#Latin|Ambilatri]] と記す。<br> ディアブリンテース族 ➡ プリニウスは「ディアブリンティー族」 [[wikt:en:Diablinti#Latin|Diablinti]] と記す。<br> この部族は、アウレルキー族 ''[[w:en:Aulerci|Aulerci]]'' の支族。)</span>
*auxilia ex Britannia, quae contra eas regiones posita est, arcessunt.
**援軍を、この地域の向かい側に位置する[[w:ブリタンニア|ブリタンニア]]から呼び寄せた。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:援軍を出したという口実のもと、翌年カエサルがブリタンニアに侵攻することになる。)</span>
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Map of Aremorican tribes (Latin).svg|thumb|right|600px|[[w:アルモリカ|アルモリカ]](<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">''[[w:en:Armorica|Armorica]]''</span> )の部族分布図。
]]
|}
</div>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===10節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/10節]] {{進捗|00%|2022-07-02}}</span>
'''カエサルの開戦への大義名分'''
*Erant hae difficultates belli gerendi, quas supra ostendimus,
**上で指摘したような、戦争を遂行することの困難さがあった。
*sed tamen multa Caesarem ad id bellum incitabant:
**にもかかわらず、多くのことがカエサルをその戦争へと駆り立てていたのだ。
*iniuria retentorum equitum Romanorum,
**①ローマ人の[[w:エクィテス|騎士]]〔騎士階級の者〕たちが拘束されることの無法さ、
*rebellio facta post deditionem,
**②降伏の後でなされた造反、
*defectio datis obsidibus,
**③人質を供出しての謀反、
*tot civitatum coniuratio,
**④これほど多くの部族の共謀、
*in primis ne hac parte neglecta reliquae nationes sibi idem licere arbitrarentur.
**⑤何よりも第一に、この地方をなおざりにして、残りの種族が自分たちも同じことを許容されると思い込まないように。
*Itaque cum intellegeret
**そこで、(カエサルは以下のように)認識していたので、
*omnes fere Gallos novis rebus studere et ad bellum mobiliter celeriterque excitari,
**①ほぼすべてのガリア人が政変を熱望して、戦争へ簡単に速やかに奮い立たせられていること、
*omnes autem homines natura libertati studere incitari et condicionem servitutis odisse,
**②他方ですべての人間は本来的に自由を熱望することに扇動され、隷属の状態を嫌っていること、
*prius quam plures civitates conspirarent,
**多くの部族が共謀するより前に、
*partiendum sibi ac latius distribuendum exercitum putavit.
**(カエサルは)自分にとって軍隊が分けられるべき、より広範に割り振られるべきであると考えた。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===11節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/11節]] {{進捗|00%|2022-07-03}}</span>
'''ラビエーヌス、クラッスス、サビーヌス、ブルートゥスを前線へ派兵する'''
<br><br>
; 副官ラビエーヌスをトレウェリー族のもとへ遣わす
*Itaque [[wikt:en:Titum|T.]] [[wikt:en:Labienus#Latin|Labienum]] legatum in [[wikt:en:Treveri#Latin|Treveros]], qui proximi flumini Rheno sunt, cum equitatu mittit.
**こうして、<ruby><rb>[[w:レガトゥス|副官]]</rb><rp>(</rp><rt>レガトゥス</rt><rp>)</rp></ruby>[[w:ティトゥス・ラビエヌス|ティトゥス・ラビエーヌス]]をレーヌス川〔[[w:ライン川|ライン川]]〕に最も近いトレーウェリー族に、騎兵隊とともに派遣する。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[w:la:Titus Labienus|Titus Labienus]] は、『ガリア戦記』におけるカエサルの片腕。<br> ''[[w:en:Treveri|Treveri]]'' はローマの同盟部族だが、[[ガリア戦記_第5巻|第5巻]]・[[ガリア戦記_第6巻|第6巻]]で挙兵する。)</span>
*Huic mandat,
**彼に(以下のように)命じる。
*[[wikt:en:Remi#Latin|Remos]] reliquosque [[wikt:en:Belgas|Belgas]] adeat atque in officio contineat
**①レーミー族やほかの[[w:ベルガエ|ベルガエ人]]を訪れて、<ruby><rb>忠実さ</rb><rp>(</rp><rt>オッフィキウム</rt><rp>)</rp></ruby>に留めるように、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:''[[w:en:Remi|Remi]]'' は、ローマの同盟部族で、[[ガリア戦記_第2巻#3節|第2巻3節]]以降で言及された。)</span>
*[[wikt:en:Germanos|Germanos]]que, qui auxilio a Gallis arcessiti dicebantur,
**②ガッリア人により援兵として呼び寄せられたといわれていた[[w:ゲルマニア|ゲルマーニア]]人が
**:<span style="color:#009900;">(訳注:第1巻で言及された[[w:アリオウィストゥス|アリオウィストゥス]]の軍勢のこと。)</span>
*si per vim navibus flumen transire conentur, prohibeat.
**(彼らが)もし力ずくで船で川を渡ることを試みるならば、防ぐように、と。
<br>
; クラッスス青年をアクィーターニアに派遣する
*[[wikt:en:Publium|P.]] [[wikt:en:Crassus#Latin|Crassum]] cum cohortibus legionariis XII(duodecim) et magno numero equitatus in Aquitaniam proficisci iubet,
**[[w:プブリウス・リキニウス・クラッスス|プーブリウス・クラッスス]]には、軍団の12個<ruby><rb>[[w:コホルス|歩兵大隊]]</rb><rp>(</rp><rt>コホルス</rt><rp>)</rp></ruby>と多数の騎兵隊とともに、[[w:アクィタニア|アクィーターニア]]に出発することを命じる。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[w:la:Publius Licinius Crassus|Publius Licinius Crassus]]、[[#7節]]から既述。)</span>
*ne ex his nationibus auxilia in Galliam mittantur ac tantae nationes coniungantur.
**これらの種族から援兵がガッリアに派遣され、これほど多くの諸部族が結託することがないように。
<br>
; 副官サビーヌスを3個軍団とともに[[w:アルモリカ|アルモリカ]]北部へ派兵する
*[[wikt:en:Quintum#Latin|Q.]] [[wikt:en:Titurius#Latin|Titurium]] Sabinum legatum cum legionibus tribus
**副官[[w:クィントゥス・ティトゥリウス・サビヌス|クィーントゥス・ティトゥリウス・サビーヌス]]を3個軍団とともに
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:''[[w:en:Quintus Titurius Sabinus|Quintus Titurius Sabinus]]'' は[[ガリア戦記_第2巻#5節|第2巻5節]]から言及されている『ガリア戦記』前半で活躍する副官。)</span>
*in [[wikt:en:Unelli#Latin|Unellos]](Venellos), Coriosolităs [[wikt:en:Lexovii#Latin|Lexovios]]que mittit, qui eam manum distinendam curet.
**ウネッリー族・コリオソリテース族・レクソウィイー族に派遣して、彼らの手勢を分散させるべく配慮するように。
<br>
; ブルートゥス青年をウェネティー族領へ派兵する
*[[wikt:en:Decimus#Latin|D.]] [[wikt:en:Brutum|Brutum]] adulescentem classi Gallicisque navibus,
**[[w:デキムス・ユニウス・ブルトゥス・アルビヌス|デキムス・ブルートゥス青年]]に、(ローマの)艦隊とガッリア人の船団を、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[w:la:Decimus Iunius Brutus Albinus|Decimus Iunius Brutus Albinus]] は、カエサルの副官として活躍するが、後に暗殺に加わる。)</span>
*quas ex [[wikt:en:Pictones#Latin|Pictonibus]] et [[wikt:en:Santoni#Latin|Santonis]] reliquisque pacatis regionibus convenire iusserat,
**──これら(船団)はピクトネース族・サントニー族やほかの平定された地方から集まるように命じていたものであるが、──
*praeficit et, cum primum possit, in [[wikt:en:Veneti#Latin|Venetos]] proficisci iubet.
**(ブルートゥスに船団を)指揮させて、できるだけ早く[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]](の領土)に出発することを命じる。
<br>
*Ipse eo pedestribus copiis contendit.
**(カエサル)自身は、そこへ歩兵の軍勢とともに急ぐ。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===12節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/12節]] {{進捗|00%|2022-07-09}}</span>
'''ウェネティー族の城塞都市の地勢、海洋民の機動性'''
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Bretagne Finistere PointeduRaz15119.jpg|thumb|right|350px|ウェネティー族の[[w:オッピドゥム|城塞都市]]があった[[w:ブルターニュ半島|ブルターニュ半島]]の突き出た地形]]
|}
</div>
*Erant [[wikt:en:eiusmodi|eiusmodi]] fere situs oppidorum,
**([[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]の)<ruby><rb>[[w:オッピドゥム|城塞都市]]</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>の地勢はほぼ以下のようであった。
*ut posita in extremis [[wikt:en:lingula#Latin|lingulis]] [[wikt:en:promunturium#Latin|promunturiis]]que
**<ruby><rb>[[w:砂嘴|砂嘴]]</rb><rp>(</rp><rt>リングラ</rt><rp>)</rp></ruby>や[[w:岬|岬]]の先端部に位置しているので、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:en:lingula#Latin|lingula]] ⇒ [[w:la:Lingua terrae|lingua terrae]] (舌状地) ≒ <ruby><rb>[[w:砂嘴|砂嘴]]</rb><rp>(</rp><rt>さし</rt><rp>)</rp></ruby>(くちばし状の砂地)。)</span>
*neque pedibus aditum haberent, cum ex alto se [[wikt:en:aestus#Latin|aestus]] incitavisset,
**沖合から<ruby><rb>[[w:潮汐|潮 汐]]</rb><rp>(</rp><rt>アエトゥス</rt><rp>)</rp></ruby>が押し寄せて来たとき<span style="color:#009900;">〔満潮〕</span>に、徒歩での<ruby><rb>接近路</rb><rp>(</rp><rt>アプローチ</rt><rp>)</rp></ruby>を持っていなかった。
*quod bis accidit semper horarum XII(duodenarum) spatio,
**というのは<span style="color:#009900;">(満潮が毎日)</span>2度、常に12時間の間隔で起こるためである。
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Astronomical tide IJmuiden 21 January 2012.png|thumb|right|600px|ある日(24時間)の'''[[w:潮位|潮位]]'''予測グラフの例(2012年、オランダ北海沿岸のエイマイデン)。<br>満潮や干潮は、約12時間の周期で繰り返されることが多いため、たいてい1日2回ずつ生じる。]]
|}
</div>
*neque navibus,
**船で(のアプローチ)もなく、
*quod rursus minuente aestu naves in vadis adflictarentur.
**というのは、潮が再び減ると<span style="color:#009900;">〔干潮〕</span>、船団が[[w:浅瀬|浅瀬]]で損傷してしまうためである。
*Ita utraque re oppidorum oppugnatio impediebatur;
**このように<span style="color:#009900;">(陸路・海路)</span>どちらの状況においても、<ruby><rb>城塞都市</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>の攻略は妨げられていた。
<br><br>
*ac si quando magnitudine operis forte superati,
**あるとき、期せずして<span style="color:#009900;">(ウェネティー族がローマ人の)</span><ruby><rb>構造物</rb><rp>(</rp><rt>オプス</rt><rp>)</rp></ruby>の大きさに圧倒されて、
*extruso mari aggere ac molibus
**<span style="color:#009900;">(ローマ人が建造した)</span><ruby><rb>土手</rb><rp>(</rp><rt>アッゲル</rt><rp>)</rp></ruby>や<ruby><rb>[[w:防波堤|防波堤]]</rb><rp>(</rp><rt>モーレース</rt><rp>)</rp></ruby>により海水が押し出され、
*atque his oppidi moenibus adaequatis,
**これら<span style="color:#009900;">〔堡塁〕</span>が<ruby><rb>城塞都市</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>の城壁と<span style="color:#009900;">(高さにおいて)</span>等しくされ、
*suis fortunis desperare coeperant,
**<span style="color:#009900;">(ウェネティー族らが)</span>自分たちの命運に絶望し始めていたとしても、
*magno numero navium adpulso,
**船の多数を接岸して、
*cuius rei summam facultatem habebant,
**それら〔船〕の供給に最大の備えを持っていたので、
*omnia sua deportabant seque in proxima oppida recipiebant;
**自分たちの<ruby><rb>一切合財</rb><rp>(</rp><rt>オムニア</rt><rp>)</rp></ruby>を運び去って、最も近い<ruby><rb>城塞都市</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>に撤収していた。
*ibi se rursus isdem opportunitatibus loci defendebant.
**そこにおいて再び同じような地の利によって防戦していたのだ。
<br><br>
*Haec [[wikt:en:eo#Latin|eo]] facilius magnam partem aestatis faciebant,
**以上のことが、夏の大部分を<span style="color:#009900;">(ウェネティー族にとって)</span>より容易にしていた。
*quod nostrae naves [[wikt:en:tempestas#Latin|tempestatibus]] detinebantur,
**なぜなら、我が方〔ローマ人〕の船団は嵐により<span style="color:#009900;">(航行を)</span>阻まれており、
*summaque erat
**<span style="color:#009900;">(航行することの困難さが)</span>非常に大きかった。
*vasto atque aperto mari,
**海は広大で開けており、
*magnis aestibus,
**<ruby><rb>潮流</rb><rp>(</rp><rt>アエトゥス</rt><rp>)</rp></ruby>が激しく、
*raris ac prope nullis portibus
**港は<ruby><rb>疎</rb><rp>(</rp><rt>まば</rt><rp>)</rp></ruby>らでほとんどないので、
*difficultas navigandi.
**航行することの困難さが<span style="color:#009900;">(非常に大きかった)</span>。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===13節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/13節]] {{進捗|00%|2022-07-10}}</span>
'''ウェネティー族の帆船の特徴'''
<div style="background-color:#ededed; width:90%; text-align:center">
{|
|-
| colspan="2" |ウェネティー族の船の再現画(左下に兵士の大きさが示されている)
| rowspan="2" style="background-color:#fff;" |
| rowspan="2" style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Navis longa ja.JPG|thumb|right|350px|古代ローマの軍船([[w:ガレー船|ガレー船]])の構成]]
|-
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Navire venete.svg|thumb|right|200px|一つの帆をもつ帆船の例]]
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Navire venete 2.svg|thumb|right|200px|二つの帆をもつ帆船の例]]
|}
</div>
*Namque ipsorum naves ad hunc modum factae armataeque erant:
**これに対して彼ら<span style="color:#009900;">〔[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]〕</span>自身の[[w:帆船|船]]は、以下のやり方で建造され、<ruby><rb>[[w:艤装|艤装]]</rb><rp>(</rp><rt>ぎそう</rt><rp>)</rp></ruby>されていた。
; 竜骨
*[[wikt:en:carina#Latin|carinae]] [[wikt:en:aliquanto|aliquanto]] planiores quam nostrarum navium,
**<ruby><rb>[[w:竜骨 (船)|竜 骨]]</rb><rp>(</rp><rt>カリーナ</rt><rp>)</rp></ruby>は、我が方<span style="color:#009900;">〔ローマ人〕</span>の船のものよりも、いくらか平らで、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:[[w:竜骨 (船)|竜骨]]は、船底に突き出た背骨部分で、[[w:帆船|帆船]]が風で横滑りしないように造られていた。)</span>
*quo facilius vada ac decessum aestus excipere possent;
**それによって、より容易に[[w:浅瀬|浅瀬]] や [[w:潮汐|潮]]が退くこと<span style="color:#009900;">〔干潮〕</span>を持ち応えることができた。
; 船首と船尾
*[[wikt:en:prora#Latin|prorae]] admodum erectae atque item [[wikt:en:puppis|puppes]],
**<ruby><rb>[[w:船首|船 首]]</rb><rp>(</rp><rt>プローラ</rt><rp>)</rp></ruby>はまったく直立しており、<ruby><rb>[[w:船尾|船 尾]]</rb><rp>(</rp><rt>プッピス</rt><rp>)</rp></ruby>も同様で、
*ad magnitudinem fluctuum tempestatumque adcommodatae;
**<ruby><rb>[[w:波#波浪(風浪とうねり)|波 浪]]</rb><rp>(</rp><rt>フルークトゥス</rt><rp>)</rp></ruby> や <ruby><rb>[[w:嵐|暴風雨]]</rb><rp>(</rp><rt>テンペスタース</rt><rp>)</rp></ruby> の激しさに適応していた。
; 船体の材質
*naves totae factae ex [[wikt:en:robur#Latin|robore]] ad quamvis vim et contumeliam perferendam;
**船は、どんな力や衝撃にも耐えるために、全体として[[w:オーク|オーク材]]で造られていた。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:la:robur|robur]] は ''[[wikt:en:oak#English|oak]]'' と英訳され、[[w:樫#Japanese|樫]]と訳されることが多いが、<br> 「<ruby><rb>[[w:カシ|樫]]</rb><rp>(</rp><rt>カシ</rt><rp>)</rp></ruby>」は常緑樹であり、西洋では落葉樹である「<ruby><rb>[[w:ナラ|楢]]</rb><rp>(</rp><rt>ナラ</rt><rp>)</rp></ruby>」が多い。<br> 学名 [[w:la:Quercus robur|Quercus robur]] は「[[w:ヨーロッパナラ|ヨーロッパナラ]]」と訳される。)</span>
; 横梁
*[[wikt:en:transtrum#Latin|transtra]] ex pedalibus in altitudinem [[wikt:en:trabs#Latin|trabibus]], confixa [[wikt:en:clavus#Latin|clavis]] [[wikt:en:ferreus#Latin|ferreis]] digiti [[wikt:en:pollex#Latin|pollicis]] crassitudine;
**<ruby><rb>横梁(横木)</rb><rp>(</rp><rt>トラーンストルム</rt><rp>)</rp></ruby>は、1ペースの幅の<ruby><rb>材木</rb><rp>(</rp><rt>トラプス</rt><rp>)</rp></ruby>からなり、親指の太さほどの鉄製の[[w:釘|釘]]で固定されていた。
**:<span style="font-family:Times New Roman;color:#009900;">(訳注:1[[ガイウス・ユリウス・カエサルの著作/通貨・計量単位#ペース|ペース]]は約29.6cm。)</span>
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:en:transtrum#Latin|transtra]] は、<ruby><rb>[[w:マスト|帆柱]]</rb><rp>(</rp><rt>マスト</rt><rp>)</rp></ruby>([[wikt:en:malus#Etymology_3_2|malus]])を船に固定するための<ruby><rb>横梁(横木)</rb><rp>(</rp><rt>クロスビーム</rt><rp>)</rp></ruby>とも考えられる。)</span>
; 錨(いかり)の索具
*[[wikt:en:ancora#Latin|ancorae]] pro [[wikt:en:funis#Latin|funibus]] ferreis catenis revinctae;
**<ruby><rb>[[w:錨|錨]]</rb><rp>(</rp><rt>アンコラ</rt><rp>)</rp></ruby>は、<ruby><rb>[[w:ロープ|縄 索]]</rb><rp>(</rp><rt>フーニス</rt><rp>)</rp></ruby>の代わりに鉄製の[[w:鎖|鎖]]でつながれていた。
<div style="background-color:#eee; width:600px; text-align:center">
{|
|-
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Nemi 060 museo delle Navi.jpg|thumb|right|180px|[[w:la:Ancora|ancora]] ([[w:錨|錨]])(古代ローマ)]]
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Cordage en chanvre.jpg|thumb|right|150px|[[w:la:Funis|funis]] (綱の[[w:ロープ|ロープ]])]]
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Old chain.jpg|thumb|right|150px|[[w:la:Catena|catena]] ([[w:鎖|鎖]])]]
|}
</div>
<br>
; 帆の材質
*[[wikt:en:pellis#Latin|pelles]] pro [[wikt:en:velum#Latin|velis]] [[wikt:en:aluta#Latin|alutae]]que tenuiter confectae,
**<ruby><rb>[[w:帆布|帆 布]]</rb><rp>(</rp><rt>ウェールム</rt><rp>)</rp></ruby>の代わりに<ruby><rb>[[w:毛皮|毛皮]]</rb><rp>(</rp><rt>ペッリス</rt><rp>)</rp></ruby>や、薄く作製された<ruby><rb>なめし皮</rb><rp>(</rp><rt>アルータ</rt><rp>)</rp></ruby>が(用いられた)。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:en:pellis#Latin|pellis]] は<ruby><rb>鞣</rb><rp>(</rp><rt>なめ</rt><rp>)</rp></ruby>していない生皮、[[wikt:en:aluta#Latin|aluta]] は<ruby><rb>鞣</rb><rp>(</rp><rt>なめ</rt><rp>)</rp></ruby>した[[w:皮革|皮革]] [[wikt:en:corium#Latin|corium]] のこと。)</span>
<div style="background-color:#eee; width:600px; text-align:center">
{|
|-
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Linen canvas.jpg|thumb|right|150px|<ruby><rb>[[w:リネン|亜麻布]]</rb><rp>(</rp><rt>リネン</rt><rp>)</rp></ruby>の[[w:帆布|帆布]] ]]
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Kissen aus indischem Antilopenfell 2013.jpg|thumb|right|100px|[[w:la:Pellis|pellis]] ([[w:毛皮|毛皮]])]]
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Natural Bridge State Park (30337351644).jpg|thumb|right|200px|aluta ([[w:en:Tanning (leather)|なめし皮]])]]
|}
</div>
*[hae] sive propter inopiam [[wikt:en:linum#Latin|lini]] atque eius usus inscientiam,
**[これは] あるいは、<ruby><rb>[[w:アマ (植物)|亜麻]]</rb><rp>(</rp><rt>リーヌム</rt><rp>)</rp></ruby>の不足ゆえや、その利用に無知であるゆえか、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:ローマ人には、[[w:リネン|亜麻布 (リネン)]]で帆を作る慣習があった。)</span>
*sive eo, quod est magis [[wikt:en:verisimilis#Latin|veri simile]],
**あるいは、この方がより真実に近いのだろうが、
*quod tantas tempestates Oceani tantosque impetus ventorum sustineri
**<ruby><rb>[[w:オーケアノス|大洋]]〔[[w:大西洋|大西洋]]〕</rb><rp>(</rp><rt>オーケアヌス</rt><rp>)</rp></ruby>のあれほどの嵐や、風のあれほどの激しさに持ち応えること、
*ac tanta onera navium regi
**船のあれほどの重さを制御することは、
*[[wikt:en:velum#Latin|velis]] non satis commode posse arbitrabantur.
**<ruby><rb>帆 布</rb><rp>(</rp><rt>ウェールム</rt><rp>)</rp></ruby>にとって十分に具合良くできないと、<span style="color:#009900;">(ウェネティー族は)</span>考えていたためであろう。
<br><br>
; ウェネティー船団とローマ艦隊の優劣
*Cum his navibus nostrae classi eiusmodi congressus erat,
**彼ら<span style="color:#009900;">〔ウェネティー族〕</span>の船団と、我が方<span style="color:#009900;">〔ローマ軍〕</span>の艦隊は、以下のように交戦していた。
*ut una celeritate et pulsu remorum praestaret,
**迅速さと<ruby><rb>[[w:櫂|櫂]](かい)</rb><rp>(</rp><rt>レームス</rt><rp>)</rp></ruby>を<ruby><rb>漕</rb><rp>(</rp><rt>こ</rt><rp>)</rp></ruby>ぐのだけは<span style="color:#009900;">(ローマ艦隊が)</span>よりまさっていたのだが、
*reliqua pro loci natura, pro vi tempestatum
**そのほかのことは、地勢や嵐の勢いを考慮すると、
*illis essent aptiora et adcommodatiora.
**彼ら<span style="color:#009900;">〔ウェネティー族〕</span>にとってより適しており、より好都合であった。
*Neque enim his nostrae rostro nocere poterant
**なぜなら、我が方<span style="color:#009900;">〔ローマ艦隊〕</span>の<ruby><rb>[[w:衝角|衝 角]]</rb><rp>(</rp><rt>ローストルム</rt><rp>)</rp></ruby>によって彼ら<span style="color:#009900;">(の船)</span>に対して損壊することができず、
*── tanta in iis erat firmitudo ──,
**──それら<span style="color:#009900;">〔ウェネティー族の船〕</span>においては<span style="color:#009900;">(船体の)</span>それほどの頑丈さがあったのだが──
*neque propter altitudinem facile telum adigebatur,
**<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の船体の)</span>高さのゆえに、飛道具がたやすく投げ込まれなかったし、
*et eadem de causa minus commode <u>[[wikt:en:copula#Latin|copulis]]</u> continebantur.
**同じ理由から、あまり都合よく <ruby><rb><u>[[w:鉤縄|鉤縄]]</u></rb><rp>(</rp><rt>かぎなわ</rt><rp>)</rp></ruby> で<span style="color:#009900;">(敵船が)</span>つなぎ止められなかった。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:下線部は、古い写本では [[wikt:en:scopulus#Latin|scopulis]]「岩礁」だが、<br> 後代の写本で修正され「[[w:鉤縄|鉤縄]]」と解釈されている。下図参照。)</span>
<div style="background-color:#eee; width:350px; text-align:center">
{|
|-
| style="vertical-align:bottom;" |[[画像:Grappling hook 2 (PSF).png|thumb|right|410px|[[w:海戦|海戦]]において敵船に[[w:移乗攻撃|接舷]]するために用いられていた、多数の<ruby><rb>[[w:鉤|鉤]]</rb><rp>(</rp><rt>かぎ</rt><rp>)</rp></ruby>を備えた<ruby><rb>[[w:銛|銛]]</rb><rp>(</rp><rt>もり</rt><rp>)</rp></ruby>の一種(<small>英語 [[wikt:en:grappling hook|grappling hook]]</small>)。<hr>[[内乱記_第1巻#57節|『内乱記』第1巻57節]]、[[内乱記_第2巻#6節|第2巻6節]]においても、[[w:デキムス・ユニウス・ブルトゥス・アルビヌス|D.ブルートゥス]]による'''[[内乱記/マッシリアについて|マッシリア攻囲]]'''の海戦の場面で、同様の鉤について言及される。]]
|}
</div>
*Accedebat ut,
**さらに加えて、
*cum <span style="color:#009900;">[</span>saevire ventus coepisset et<span style="color:#009900;">]</span> se vento dedissent,
**<span style="color:#009900;">[</span>風が荒々しく吹き始めて<span style="color:#009900;">]</span> 風に身を委ねて<span style="color:#009900;">(航行して)</span>いたときに、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:β系写本では [ ] 部分を欠く。)</span>
*et tempestatem ferrent facilius
**<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の船団は)</span>嵐により容易に耐えていたし、
*et in vadis consisterent tutius
**浅瀬により安全に停留して、
*et ab aestu relictae
**潮に取り残されても、
*nihil saxa et [[wikt:en:cautes#Latin|cautes]] timerent;
**岩石やごつごつした石を何ら恐れることがなかった。
*quarum rerum omnium nostris navibus casus erant extimescendi.
**それらのすべての事が、我が<span style="color:#009900;">〔ローマ人の〕</span>船団にとっては、恐怖すべき危険であったのだ。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:ウェネティー族の船は[[w:竜骨 (船)|竜骨]]がローマ人の船より平たいため、<br> 浅瀬や引き潮を容易に持ち応えられた。本節の冒頭を参照。)</span>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===14節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/14節]] {{進捗|00%|2022-07-17}}</span>
'''カエサル待望のブルートゥスの艦隊が来航し、ウェネティー族との海戦が始まる'''
*Compluribus expugnatis oppidis
**いくつもの<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の)</span><ruby><rb>[[w:オッピドゥム|城塞都市]]</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>が攻略されると、
*Caesar <u>ubi intellexit</u> frustra tantum laborem sumi
**カエサルは、これほどの労苦が無駄に費やされること(を知り)、
*neque hostium fugam captis oppidis reprimi
**(すなわち)<ruby><rb>城塞都市</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>が占領されても、敵の逃亡が阻まれないし、
*neque iis noceri posse,
**彼ら<span style="color:#009900;">〔ウェネティー族〕</span>に損害が与えられることも不可能である<u>と知るや否や</u>、
*statuit exspectandam classem.
**[[w:ローマ海軍|艦隊]]<span style="color:#009900;">(の到着)</span>を待つことを決意した。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:ローマの軍船がリゲル川〔[[w:ロワール川|ロワール川]]〕で建造されていることが[[#9節|9節]]で述べられた。)</span>
<br>
; ローマ艦隊が来航すると、約220隻のウェネティー船団が迎え撃とうとする
*Quae ubi convenit ac primum ab hostibus visa est,
**それ<span style="color:#009900;">〔ローマ艦隊〕</span>が集結して敵方により目撃されるや否や、
*circiter CCXX(ducentae viginti) naves eorum paratissimae
**約220隻の彼ら<span style="color:#009900;">〔ウェネティー族〕</span>の船団が準備万端を整え、
*atque omni genere armorum ornatissimae
**あらゆる種類の武器で完全武装された状態で
*ex portu profectae nostris adversae [[wikt:en:consisto#Latin|constiterunt]];
**港から出航して、我が方<span style="color:#009900;">〔ローマ艦隊〕</span>と向かい合って停止した。
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Bataille Morbihan -56.png|thumb|right|600px|[[w:紀元前56年|BC56年]]に現在の[[w:モルビアン県|モルビアン県]]沿いの[[w:キブロン湾|キブロン湾]]で戦われたと考えられている、[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]と[[w:デキムス・ユニウス・ブルトゥス・アルビヌス|D. ブルートゥス]]率いる艦隊との海戦、いわゆる「[[w:モルビアン湾の海戦|モルビアン湾の海戦]]」の海戦図。<hr>上図の説では、<span style="color:green;">ウェネティー族の帆船(緑色/約220隻)</span>と<span style="color:red;">ブルートゥス率いるローマのガレー船(赤色/約100隻)</span>が[[w:キブロン湾|キブロン湾]]で対峙し、<span style="color:red;">カエサルと1個軍団(赤色)</span>が沿岸を占領している。]]
|}
</div>
*neque satis [[wikt:en:Brutus#Latin|Bruto]], qui classi praeerat,
**艦隊を統率していた[[w:デキムス・ユニウス・ブルトゥス・アルビヌス|ブルートゥス]]には十分(明らか)ではなかった。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:デキムス・ブルートゥス [[w:la:Decimus Iunius Brutus Albinus|Decimus Brutus]] に艦隊を指揮させることが[[#11節|11節]]で述べられた。)</span>
*vel tribunis militum centurionibusque, quibus singulae naves erant attributae,
**あるいは、個々の船が割り当てられていた <ruby><rb>[[w:トリブヌス・ミリトゥム|兵士長官]]</rb><rp>(</rp><rt>トリブヌス・ミリトゥム</rt><rp>)</rp></ruby> や <ruby><rb>[[w:ケントゥリオ|百人隊長]]</rb><rp>(</rp><rt>ケントゥリオー</rt><rp>)</rp></ruby> にとってさえも、
*constabat quid agerent aut quam rationem pugnae insisterent.
**何をすべきなのか、どのような戦法に取り掛かるべきなのか、明らかではなかった。
*[[wikt:en:rostrum#Latin|Rostro]] enim noceri non posse cognoverant;
**なぜなら、<ruby><rb>[[w:衝角|衝 角]]</rb><rp>(</rp><rt>ローストルム</rt><rp>)</rp></ruby>にとって<span style="color:#009900;">(敵船に)</span>損害を与えることができないことを知っていたからだ。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:[[#13節|前節]]で、ウェネティー族の船体が頑丈であるため、と述べられた。)</span>
*turribus autem excitatis tamen has altitudo [[wikt:en:puppis#Latin|puppium]] ex barbaris navibus superabat,
**他方で、[[w:櫓|櫓]]が築かれたにもかかわらず、蛮族の船の <ruby><rb>[[w:船尾|船尾]]</rb><rp>(</rp><rt>プッピス</rt><rp>)</rp></ruby> の高さがそれら(の高さ)を上回っていた。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:ローマの軍船の甲板上には、投槍などの飛道具を投げるために櫓が設けられていた。)</span>
*ut neque ex inferiore loco satis commode [[wikt:en:telum#Latin|tela]] adigi possent
**その結果、より低い場所から十分に具合良く<span style="color:#009900;">(敵船に)</span><ruby><rb>[[w:飛び道具|飛道具]]</rb><rp>(</rp><rt>テールム</rt><rp>)</rp></ruby>が投げ込まれることは不可能で、
*et missa a Gallis gravius acciderent.
**ガッリア人により放られたものがより激しく降ってきていた。
<br>
; ローマ艦隊の切り札
*Una erat magno usui res praeparata a nostris,
**ただ一つの大いに役立つ物が、我が方<span style="color:#009900;">〔ローマ艦隊〕</span>によって準備されていた。
*[[wikt:en:falx#Latin|falces]] praeacutae insertae adfixaeque [[wikt:en:longurius#Latin|longuriis]],
**<span style="color:#009900;">(それは)</span>先の尖った[[w:鎌|鎌]]が <ruby><rb>長い竿</rb><rp>(</rp><rt>ロングリウス</rt><rp>)</rp></ruby> に挿入されて固定されたもので、
*non absimili forma muralium falcium.
**<ruby><rb><span style="color:#009900;">(攻城用の)</span>破城の鎌</rb><rp>(</rp><rt>ファルクス・ムーラーリス</rt><rp>)</rp></ruby> に形が似ていなくもない。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:「破城の鎌」'''[[古代ローマの攻城兵器#falx_muralis_(siege_hook)|falx muralis]]''' に似たもので、'''[[ガイウス・ユリウス・カエサルの著作/古代ローマの攻城兵器#falx_navalis|falx navalis]]''' とも呼ばれている。)</span>
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Caesar's Gallic war; (Allen and Greenough's ed.) (1898) (14778300381)(cropped).jpg|thumb|right|300px|破城鎌の復元画の例]]
|[[画像:Ulysse bateau.jpg|thumb|right|320px|帆柱・帆桁や帆・綱具などが描かれたローマ時代の[[w:モザイク|モザイク画]]<ref>[[w:en:Roman mosaic]]</ref>《[[w:オデュッセウス|オデュッセウス]]と[[w:セイレーン|セイレーン]]》<br>([[w:チュニス|チュニス]]の[[w:バルド国立博物館|バルド国立博物館]])]]
|}
</div>
*His cum [[wikt:en:funis#Latin|funes]] qui [[wikt:en:antemna#Latin|antemnas]] ad [[wikt:en:malus#Etymology_3_2|malos]] destinabant, comprehensi adductique erant,
**これによって、<ruby><rb>帆 桁</rb><rp>(</rp><rt>アンテムナ</rt><rp>)</rp></ruby> を <ruby><rb>[[w:マスト|帆 柱]]</rb><rp>(</rp><rt>マールス</rt><rp>)</rp></ruby> に縛り付けていた <ruby><rb>綱具</rb><rp>(</rp><rt>フーニス</rt><rp>)</rp></ruby> が捕捉されて引っ張られた状態で、
*navigio remis incitato praerumpebantur.
**<ruby><rb>艦艇</rb><rp>(</rp><rt>ナーウィギウム</rt><rp>)</rp></ruby>が[[w:櫂|櫂]]によってすばやく推進されると、<span style="color:#009900;">(綱具が)</span>引き裂かれていた。
*Quibus abscisis antemnae necessario concidebant,
**それら<span style="color:#009900;">〔綱具〕</span>が切断されると、<ruby><rb>帆 桁</rb><rp>(</rp><rt>アンテムナ</rt><rp>)</rp></ruby> は必然的に倒れてしまっていた。
*ut, cum omnis Gallicis navibus spes in velis armamentisque consisteret,
**その結果、ガッリア人の船団にとって、すべての期待は帆と索具に依拠していたので、
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:en:armamentum#Latin|armamentum]] (英 ''[[wikt:en:rigging#English|rigging]]'')⇒「索具」:[[w:帆|帆]]と[[w:マスト|帆柱]]を支える綱や器具など。)</span>
*his ereptis omnis usus navium uno tempore eriperetur.
**これらが引き裂かれると、船のすべての運用能力も<ruby><rb>一時</rb><rp>(</rp><rt>いちどき</rt><rp>)</rp></ruby>に奪い取られていた。
*Reliquum erat certamen positum in virtute,
**残りの争闘は、武勇いかんに<ruby><rb>懸</rb><rp>(</rp><rt>か</rt><rp>)</rp></ruby>かっており、
*qua nostri milites facile superabant,
**その点では我が方<span style="color:#009900;">〔ローマ勢〕</span>の兵士たちが容易に上回っていた。
<br>
; 沿岸はカエサルとローマ軍によって占領されていた
*atque eo magis quod in conspectu Caesaris atque omnis exercitus res gerebatur,
**海戦がカエサルと全陸軍の眼前において遂行されていたので、それだけますます
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:en:classis#Latin|classis]] が艦隊(海軍)を指すのに対して、[[wikt:en:exercitus#Noun|exercitus]] は重装歩兵を主体とする陸軍部隊を指す。)</span>
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:en:eo#Etymology_3_2|eo]] [[wikt:en:magis#Latin|magis]] [[wikt:en:quod#Latin|quod]] ~ 「~だけ、ますます」)</span>
*ut nullum paulo fortius factum latere posset;
**(普通より)より少し勇敢ならどんな行動も知らずにはおかないほどであった。
*omnes enim colles ac loca superiora, unde erat propinquus despectus in mare, ab exercitu tenebantur.
**なぜなら、そこから海への眺望が近いところのすべての丘や高地は、<span style="color:#009900;">(ローマ人の)</span>軍隊によって占領されていたのである。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===15節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/15節]] {{進捗|00%|2022-07-28}}</span>
'''接舷戦でローマ艦隊がウェネティー船団を圧倒し、わずかな船だけが逃げ帰る'''
*Deiectis, ut diximus, antemnis,
**上述したように<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の船の)</span><ruby><rb>帆 桁</rb><rp>(</rp><rt>アンテムナ</rt><rp>)</rp></ruby>が奪い取られると、
*cum singulas binae ac ternae naves circumsteterant,
**<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の)</span>船1隻ずつを<span style="color:#009900;">(ローマの)</span>2隻ずつや3隻ずつが取り囲んでいたときに、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:ローマの[[w:ガレー船|ガレー船]]は、多数の漕ぎ手を乗せるため、兵士を大勢乗せることができなかった。<br> それゆえ、[[w:移乗攻撃|接舷戦]]では、敵の1隻に対して多くの船を当てる必要があったのであろう。)</span>
*milites summa vi transcendere in hostium naves contendebant.
**<span style="color:#009900;">(ローマの)</span>兵士たちはあらん限りの力で敵の船団に乗り移ることに努めていた。
*Quod postquam barbari fieri animadverterunt,
**そのことが行なわれていることに蛮族たちが気付いた後で、
*expugnatis compluribus navibus,
**かなり多くの<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の)</span>船が<ruby><rb>[[w:拿捕|拿捕]]</rb><rp>(</rp><rt>だほ</rt><rp>)</rp></ruby>されて、
*cum ei rei nullum reperiretur auxilium,
**その戦況に対して何ら救援が見出されなかったので、
*fuga salutem petere contenderunt.
**逃亡に身の安全を求めることに努めた。
*Ac iam conversis in eam partem navibus quo ventus ferebat,
**すでに風が運んでいた方角へ船団の向きが変えられていたが、
*tanta subito malacia ac tranquillitas exstitit,
**突如としてあれほどの<ruby><rb>[[w:凪|凪]]</rb><rp>(</rp><rt>なぎ</rt><rp>)</rp></ruby>や静けさが生じたので、
*ut se ex loco movere non possent.
**<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の船団が)</span>その場所から動くことができないほどであった。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:この[[w:ビスケー湾|ビスケー湾]]海域は、風や潮の勢いが強いため、<br> ウェネティー族は漕ぎ手を使わない帆船を用いていたのだろう。<br> 風力のみに頼る帆船は、無風時には進むことができない。)</span>
*Quae quidem res ad negotium conficiendum maximae fuit oportunitati:
**このような事態はまさに<span style="color:#009900;">(ローマ艦隊が)</span>軍務を遂行するために最大の機会であった。
*nam singulas nostri consectati expugnaverunt,
**実際、<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の船)</span>1隻ずつを我が方<span style="color:#009900;">(ローマ艦隊)</span>が追跡して攻略したので、
*ut perpaucae ex omni numero noctis interventu ad terram pervenirent,
**その結果<span style="color:#009900;">(ウェネティー族の船の)</span>総数のうちごく少数が、夜のとばりに包まれて、陸地に達しただけであった。
*cum ab hora fere IIII.(quarta) usque ad solis occasum pugnaretur.
**<span style="color:#009900;">(海戦が)</span>ほぼ第四時から日が没するまで戦われていたけれども。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:第四時は、[[古代ローマの不定時法#昼間の時間|古代ローマの不定時法]]で日の出から3~4時間後。<br> フランスの6月頃なら、日の出が午前6時頃で、第四時は午前10時近くと思われる。<br> 6月頃なら、日の入は午後10時近くとかなり遅い。)</span>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===16節===
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/16節]] {{進捗|00%|2022-08-19}}</span>
'''ウェネティー族らがカエサルに降伏するが、・・・'''
*Quo proelio bellum [[wikt:en:Veneti#Latin|Venetorum]] totiusque orae maritimae confectum est.
**以上の戦闘で、[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]およびすべての沿海部との戦争が完遂された。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:正確には、[[#17節|次節]]以降でウネッリー族ら残りの沿海部族との戦いが述べられるので「すべて」ではない。)</span>
*Nam <u>cum</u> omnis iuventus, omnes etiam gravioris aetatis,
**なぜなら、すべての青年はもとより、すべての年長の者たちさえも、
*in quibus aliquid consilii aut dignitatis fuit eo convenerant,
**何らかの思慮分別のある者、あるいは地位のある者たちは、そこ<span style="color:#009900;">(戦場)</span>へ集結していたから。
*<u>tum</u> navium quod ubique fuerat in unum locum coegerant;
**<u>そればかりか</u>、至る所にあった船を<u>もまた</u>一つの場所に集めておいたからだ。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:[[wikt:en:cum#Usage_notes_2|cum]] ~ [[wikt:en:tum#Latin|tum]] 「~のみならず、・・・もまた」<ref>[https://www.latin-is-simple.com/en/vocabulary/other/2643/ cum … tum - Latin is Simple Online Dictionary] 等を参照。</ref>)</span>
*quibus amissis reliqui
**それらを喪失すると、生き残った者たちは、
*neque quo se reciperent
**どこへ退却するべきなのかも、
*neque [[wikt:en:quemadmodum#Latin|quem ad modum]] oppida defenderent habebant.
**どのような方法で<ruby><rb>[[w:オッピドゥム|城塞都市]]</rb><rp>(</rp><rt>オッピドゥム</rt><rp>)</rp></ruby>を防衛するべきなのかも、わからなかった。
<br>
; ウェネティー族らが降伏する
*Itaque se suaque omnia Caesari dediderunt.
**こうして、<span style="color:#009900;">(ウェネティー族らは)</span>自らとその一切合財をカエサルに委ねた<span style="color:#009900;">〔降伏した〕</span>。
*In quos eo gravius Caesar vindicandum statuit
**カエサルは、これらの者たちはより厳重に処罰されるべきである、と決定した。
*quo diligentius in reliquum tempus a barbaris ius legatorum conservaretur.
**そのことにより、今後、蛮族によって<span style="color:#009900;">(ローマの)</span>使節たちの権利がいっそう保たれるように。
*Itaque omni senatu necato
**こうして、評議会の全員が誅殺されると、
**:<span style="color:#009900;">(訳注:部族国家の合議制統治機関もローマの元老院に倣って [[wikt:en:senatus#Latin|senātus]] と呼ばれるが、ここでは「評議会」と訳す。[[ガリア戦記_第2巻#5節|第2巻5節]]・[[ガリア戦記_第2巻#28節|28節]]を参照。)</span>
*reliquos sub corona vendidit.
**残りの者たちに葉冠をかぶせて<span style="color:#009900;">〔奴隷として競売で〕</span>売却した。
**:<span style="color:#009900;">(訳注:sub corona vendere 「葉冠のもとに売る=奴隷として競売で売る」)</span>
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Jean-Léon Gérôme 004 (cropped).jpg|thumb|right|300px|葉冠を頭にかぶせられ、ローマの[[w:奴隷貿易|奴隷市場]]で競売に懸けられる女性奴隷。<hr>フランスの画家[[w:ジャン=レオン・ジェローム|ジャン=レオン・ジェローム]]が1884年に描いた歴史画「ローマの奴隷売却」(''[[w:fr:Vente d'esclaves à Rome|Vente d'esclaves à Rome]]'')の一部分。]]
|}
</div>
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
==大西洋岸ウネッリ族の造反==
===17節===
[[画像:Campagne Unelles -56.png|thumb|right|200px|ウネッリ族・レクソウィイ族への遠征経路。]]
'''ウネッリ族の反乱とサビヌスの作戦'''
*Dum haec in Venetis geruntur,
**以上のことが[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]](の領国)で行なわれていた間に、
*Q. Titurius Sabinus cum iis copiis, quas a Caesare acceperat
**[[w:クィントゥス・ティトゥリウス・サビヌス|クィントゥス・ティトゥリウス・サビヌス]]は、カエサルから受け取った軍勢とともに
*in fines Unellorum{Venellorum} pervenit.
**[[w:ウネッリ族|ウネッリ族]]の領土に到着した。
*His praeerat Viridovix ac summam imperii tenebat earum omnium civitatum, quae defecerant,
**彼ら(ウネッリ族)を指揮していたのは[[w:ウィリドウィクス|ウィリドウィクス]]で、背反した全部族の最高指揮権を保持していた。
*ex quibus exercitum [magnasque copias] coegerat;
**(彼は)これら(の部族)から大軍勢を徴集した。
*atque his paucis diebus Aulerci Eburovices Lexoviique,
**それから数日内に、[[w:アウレルキ族|アウレルキ族]]、[[w:エブロウィケス族|エブロウィケス族]]と[[w:レクソウィー族|レクソウィイ族]]は、
*senatu suo interfecto, quod auctores belli esse nolebant,
**自分たちの長老たちを、戦争の首謀者になることを欲しなかったという理由で殺害し、
*portas clauserunt seseque cum Viridovice coniunxerunt;
**(城市の)門を閉じて、彼らはウィリドウィクスと結託した。
*magnaque praeterea multitudo undique ex Gallia perditorum hominum latronumque convenerat,
**そのうえにガリアの至る所から大勢の無頼漢や略奪者が集まっていた。
*quos spes praedandi studiumque bellandi ab agri cultura et cotidiano labore revocabat.
**これらの者たちを、略奪への期待と戦争への熱望が、農耕や毎日の仕事から呼び戻したのだ。
*Sabinus idoneo omnibus rebus loco castris se tenebat,
**サビヌスはすべての事柄において適切な場所で、陣営を保持した。
*cum Viridovix contra eum duorum milium spatio consedisset
**ウィリドウィクスは彼に対抗して2[[w:ローママイル|ローママイル]](約3km)の間隔で陣取って、
*cotidieque productis copiis pugnandi potestatem faceret,
**毎日、軍勢を連れ出して戦闘の機会を作った。
*ut iam non solum hostibus in contemptionem Sabinus veniret,
**その結果ついに、敵からサビヌスが軽蔑されるに至ったのみならず、
*sed etiam nostrorum militum vocibus nonnihil carperetur;
**我が方(ローマ)の兵士からも若干の者が声に出して嘲弄するに至った。
*tantamque opinionem timoris praebuit,
**これほどの恐れの評判を呈したので、
*ut iam ad vallum castrorum hostes accedere auderent.
**ついに陣営の堡塁のところにまで敵が敢えて近づいて来るほどであった。
*Id ea de causa faciebat
**(サビヌスは)以上のことを以下の理由でしたのである。
*quod cum tanta multitudine hostium,
**というのも、このような大がかりな敵とともに、
*praesertim eo absente qui summam imperii teneret,
**とりわけ、(ローマ側の)最高指揮権を保持する者(=カエサル)がおらずに、
*nisi aequo loco aut opportunitate aliqua data
**有利な場所か何らかの機会が与えられなければ、
*legato dimicandum non existimabat.
**総督副官([[w:レガトゥス|レガトゥス]])にとって戦うべきとは考えなかったのである。
===18節===
'''サビヌスの計略'''
*Hac confirmata opinione timoris
**このような恐れの評判が強められて、
*idoneum quendam hominem et callidum delegit Gallum,
**(サビヌスは)適切で明敏なガリア人のある男を選び出した。
*ex iis quos auxilii causa secum habebat.
**支援軍([[w:アウクシリア|アウクシリア]])のために保持していた者たちの内から。
*Huic magnis praemiis pollicitationibusque persuadet uti ad hostes transeat,
**この者を、多大なほうびを約束して、敵側に渡るように説得して、
*et quid fieri velit edocet.
**(サビヌスが)なされんと欲することを説き教えた。
*Qui ubi pro perfuga ad eos venit, timorem Romanorum proponit,
**その者は、逃亡兵として彼ら(ウネッリ族)のところへ来るや否や、ローマ人の恐れを申し述べた。
*quibus angustiis ipse Caesar a Venetis prematur docet,
**いかなる困窮で、カエサル自身が[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]により苦戦させられているかを教えた。
*neque longius abesse, quin proxima nocte
**遠からず、明晩には
*Sabinus clam ex castris exercitum educat
**サビヌスはひそかに陣営から軍隊を導き出して、
*et ad Caesarem auxilii ferendi causa proficiscatur.
**カエサルのところへ支援をもたらすために出発するであろう(とその男は教えた)。
*Quod ubi auditum est, conclamant
**このことが聞かれるや否や、(ウネッリ族の者たちは)叫び声を上げて、
*omnes occasionem negotii bene gerendi amittendam non esse: ad castra iri oportere.
**うまく仕事をするすべての機会を失うべきではない、(ローマの)陣営へ行かねばならぬ(と叫んだ)。
*Multae res ad hoc consilium Gallos hortabantur:
**多くの事柄が、この計画へとガリア人を励ました。
**(それらの事柄とは、以下のことである。)
*superiorum dierum Sabini cunctatio,
**最近の日々のサビヌスのためらい、
*perfugae confirmatio,
**脱走兵の確証、
*inopia cibariorum, cui rei parum diligenter ab iis erat provisum,
**彼ら(ガリア人)によって充分に入念に調達されなかった糧食の欠乏、
*spes Venetici belli,
**[[w:ウェネティ族 (ガリア)|ウェネティー族]]の戦争への希望、
*et quod <u>fere libenter homines id quod volunt credunt</u>.
**というのも、<u>人間はたいてい(自分が)欲することを喜んで信ずる</u>からである。
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:この <span style="font-size:13pt;">" [[w:it:Homines id quod volunt credunt|(fere libenter) homines id quod volunt credunt]] "</span> は『ガリア戦記』で最も良く知られた文句。<br> 格言として ''[[w:en:List_of_Latin_phrases_(F)|People's beliefs are shaped largely by their desires.]]''<br> 「人々の信念は、彼ら自身の欲望によって大きく形作られる」などとも解釈されている。)
*His rebus adducti non prius Viridovicem reliquosque duces ex concilio dimittunt,
**これらの事態に引かれて、(ウネッリ族は)ウィリドウィクスや他の指導者を会議から解散させなかった。
*quam ab his sit concessum arma uti capiant et ad castra contendant.
**彼らによって、武器を取って(ローマ)陣営へ急行するように容認されるまでは。
*Qua re concessa laeti, ut explorata victoria,
**この事が容認されて、勝利が得られたかのように喜んで、
*sarmentis virgultisque collectis, quibus fossas Romanorum compleant, ad castra pergunt.
**柴や薮を集めて、これでもってローマ人の堀を埋めるべく、(ローマの)陣営のところへ出発した。
<!--
**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
===19節===
'''ウネッリ族らとの決戦'''
*Locus erat castrorum editus et paulatim ab imo acclivis circiter passus mille.
**ローマ陣営の位置は高く、最も下(麓)から緩やかな上り坂で約1000[[w:パッスス|パッスス]](約1.5km)のところにあった。
*Huc magno cursu contenderunt,
ここへ、大いに駆けて急いで、
*ut quam minimum spatii ad se colligendos armandosque Romanis daretur,
**ローマ人にとって集結して武装するための時間ができるだけ与えられないようにして、
*exanimatique pervenerunt.
**息を切らして到着した。
*Sabinus suos hortatus cupientibus signum dat.
**サビヌスは、自分の部下たちを励まして、はやる者たちに合図を与える。
*Impeditis hostibus propter ea quae ferebant onera,
**敵は、彼らが担いでいた重荷のために妨げられていて、
*subito duabus portis eruptionem fieri iubet.
**(サビヌスは)突然に(左右の)二つの門から出撃することを命じた。
*Factum est
**(ut以下のことが)なされた。
*opportunitate loci, hostium inscientia ac defatigatione,
**場所の有利さ、敵の(武具や戦術の)不案内と疲労や、
*virtute militum et superiorum pugnarum exercitatione,
**兵士の武勇とかつての戦闘の熟練によって
*ut ne primum quidem nostrorum impetum ferrent ac statim terga verterent.
**我が方(ローマ)の最初の襲撃さえ持ちこたえることなく、(敵は)すぐに背を向けた。
*Quos impeditos integris viribus milites nostri consecuti
**これらの妨げられている者たちを、健全な力で我が方の兵士たちが追跡して、
*magnum numerum eorum occiderunt;
**彼らの大多数を殺戮した。
*reliquos equites consectati paucos, qui ex fuga evaserant, reliquerunt.
**残りの者たちは、(ローマの)騎兵が追跡したが、逃亡によって逃れたので、見逃した。
*Sic uno tempore et de navali pugna Sabinus et de Sabini victoria Caesar est certior factus,
**このようにして一度に、海戦についてサビヌスが、サビヌスの勝利についてカエサルが、報告を受けて、
*civitatesque omnes se statim Titurio dediderunt.
**(敵の)全部族がすぐにティトゥリウス(・サビヌス)に降伏した。
*Nam ut ad bella suscipienda Gallorum alacer ac promptus est animus,
**こうなったのは、ガリア人は戦争を実行することについては性急で、心は敏捷であるが、
*sic mollis ac minime resistens ad calamitates ferendas mens eorum est.
**と同様に柔弱で、災難に耐えるには彼らの心はあまり抵抗しないためである。
==クラッススのアクィタニア遠征==
===20節===
[[画像:Campagne Aquitains -56.png|thumb|right|200px|クラッススのアウィタニア遠征の経路。]]
'''クラッススのアクィタニア遠征、ソティアテス族'''
*Eodem fere tempore P. Crassus, cum in Aquitaniam pervenisset,
**ほぼ同じ時期に[[w:プブリウス・リキニウス・クラッスス|プブリウス・クラッスス]]が[[w:アクィタニア|アクィタニア]]に達したときに、
*quae pars, ut ante dictum est, et regionum latitudine et multitudine hominum
**この方面は、前述のように、領域の広さと人間の多さで
*ex tertia parte Galliae est aestimanda,
**[[w:ガリア|ガリア]]の第三の部分であると考えられるべきであるが、
*cum intellegeret in illis locis sibi bellum gerendum,
**(クラッススは)かの場所で自らにとって戦争がなされるべきであると考えたので、
*ubi paucis ante annis L. Valerius Praeconinus legatus exercitu pulso interfectus esset
**そこでほんの数年前に[[w:ルキウス・ウァレリウス・プラエコニヌス|ルキウス・ウァレリウス・プラエコニヌス]]総督副官([[w:レガトゥス|レガトゥス]])が軍隊を撃退されて殺害されており、
*atque unde L. Manlius proconsul impedimentis amissis profugisset,
**かつここから[[w:ルキウス・マンリウス・トルクァトゥス|ルキウス・マンリウス]]執政官代理([[w:プロコンスル|プロコンスル]])が輜重を失って敗走しており、
*non mediocrem sibi diligentiam adhibendam intellegebat.
**己にとって尋常ならざる注意深さが適用されるべきだと考えたのだ。
*Itaque re frumentaria provisa, auxiliis equitatuque comparato,
**こうして糧食が調達され、支援軍([[w:アウクシリア|アウクシリア]])や[[w:騎兵|騎兵隊]]が整備され、
*multis praeterea viris fortibus Tolosa et Carcasone et Narbone,
**そのうえ多くの屈強な男たちが、[[w:トロサ|トロサ]]や[[w:カルカソ|カルカソ]]や[[w:ナルボ|ナルボ]]から
*- quae sunt civitates Galliae provinciae finitimae, ex his regionibus-
**<それらは、この地域に隣接する(ローマの)ガリア属州([[w:ガリア・ナルボネンシス|ガリア・トランサルピナ]])の都市であるが、>
*nominatim evocatis, in Sotiatium fines exercitum introduxit.
**名指しで徴集されて、(クラッススは)[[w:ソティアテス族|ソティアテス族]]の領土に軍隊を導き入れた。
*Cuius adventu cognito Sotiates magnis copiis coactis,
**彼(クラッスス)の到着を知ると、ソティアテス族は大軍勢を集めて、
*equitatuque, quo plurimum valebant, in itinere agmen nostrum adorti
**それにより彼らが大いに力があったところの騎兵隊で、行軍中の我が(ローマの)隊列を襲って、
*primum equestre proelium commiserunt,
**はじめに騎兵戦を戦った。
*deinde equitatu suo pulso atque insequentibus nostris
**それから、その(敵の)騎兵隊が撃退され、我が方が追跡したが、
*subito pedestres copias, quas in convalle in insidiis conlocaverant, ostenderunt.
**突然に歩兵の軍勢 <[[w:峡谷|峡谷]]の中で[[w:伏兵|伏兵]]として配置していた者たち> が現われた。
*Iis nostros disiectos adorti proelium renovarunt.
**これらによって追い散らされた我が方(ローマ軍)に襲いかかり、戦いを再び始めた。
===21節===
'''ソティアテス族の敗勢'''
*Pugnatum est diu atque acriter,
**長く激しく戦われた。
*cum Sotiates superioribus victoriis freti
**というのもソティアテス族は、かつての(ローマ軍に対する)勝利を信頼しており、
*in sua virtute totius Aquitaniae salutem positam putarent,
**自分たちの武勇の中に全アクィタニアの安全が立脚していると、みなしていたからだ。
*nostri autem,
**我が方(ローマ軍)はそれに対して
*quid sine imperatore et sine reliquis legionibus adulescentulo duce efficere possent,
**最高司令官([[w:インペラトル|インペラトル]])なし、他の[[w:ローマ軍団|軍団]]もなしに、この若造(クラッスス)が指揮官として何をなしうるかが
*perspici cuperent;
**注視(吟味)されることを欲していたのだ。
*tandem confecti vulneribus hostes terga verterunt.
**ついに傷を負って、敵は背を向けた。
*Quorum magno numero interfecto
**これらの者の大多数を殺戮し、
*Crassus ex itinere oppidum Sotiatium oppugnare coepit.
**クラッススは行軍からただちにソティアテス族の[[w:オッピドゥム|城市]]を攻撃し始めた。
*Quibus fortiter resistentibus vineas turresque egit.
**これらの者たちが勇敢に抵抗したので、(ローマ勢は)工作小屋([[w:ウィネア|ウィネア]])や[[w:櫓|櫓]]を(城の方に)導いた。
*Illi alias eruptione temptata, alias cuniculis ad aggerem vineasque actis
**彼ら(アクィタニア人)は、あるときは突撃を試みて、あるときは[[w:坑道|坑道]]を[[w:土塁|土塁]]や工作小屋のところへ導いた。
*- cuius rei sunt longe peritissimi Aquitani,
**<こういった事柄(坑道の技術)に、アクィタニア人は長らく非常に熟練している。
*propterea quod multis locis apud eos aerariae secturaeque sunt -,
**これは、彼らのもとの多くの場所に[[w:銅山|銅山]]や[[w:採石所|採石所]]があることのためである。>
*ubi diligentia nostrorum nihil his rebus profici posse intellexerunt,
**我が方の注意深さによってこのような事柄によっても何ら得られぬと考えるや否や、
*legatos ad Crassum mittunt, seque in deditionem ut recipiat petunt.
**(ソティアテス族は)使節をクラッススのところへ送って、自分たちを降伏へと受け入れるように求める。
*Qua re impetrata arma tradere iussi faciunt.
**この事が達せられ、武器の引渡しが命じられ、実行された。
===22節===
'''アディアトゥアヌスと従僕たちの突撃'''
*Atque in ea re omnium nostrorum intentis animis
**この事柄に我が方(ローマ勢)の皆が心から没頭しており、
*alia ex parte oppidi Adiatuanus, qui summam imperii tenebat,
**城市の他の方面から、最高指揮権を保持していた[[w:アディアトゥアヌス|アディアトゥアヌス]]が
*cum DC{sescentis} devotis, quos illi{Galli} soldurios appellant,
**ガリア人がソルドゥリイ(従僕)と呼んでいる600名の忠実な者とともに(突撃を試みた)。
'''アディアトゥアヌスの従僕たち'''
*- quorum haec est condicio,
**< これらの者たちの状況は以下の通りであった。
*uti omnibus in vita commodis una cum iis fruantur quorum se amicitiae dediderint,
**人生におけるあらゆる恩恵を、忠心に身を捧げる者たちと一緒に享受する。
*si quid his per vim accidat, aut eundem casum una ferant aut sibi mortem consciscant;
**もし彼らに何か暴力沙汰が起こったら、同じ運命に一緒に耐えるか、自らに死を引き受ける(自殺する)。
*neque adhuc hominum memoria repertus est quisquam qui,
**これまで、次のような人の記憶は見出されていない。
*eo interfecto, cuius se amicitiae devovisset, mortem recusaret -
**忠心に身を捧げる者が殺されても死を拒む(ような者) >
*cum his Adiatuanus eruptionem facere conatus
**これらの者(従僕)とともにアディアトゥアヌスは突撃することを試みた。
'''アディアトゥアヌスの敗退'''
*clamore ab ea parte munitionis sublato
**堡塁のその方面から叫び声が上げられて、
*cum ad arma milites concurrissent vehementerque ibi pugnatum esset,
**武器のところへ(ローマの)兵士たちが急ぎ集まった後に、そこで激しく戦われた。
*repulsus in oppidum
**(アディアトゥアヌスたちは)城市の中に撃退され、
*tamen uti eadem deditionis condicione uteretur a Crasso impetravit.
**しかし(前と)同じ降伏条件を用いるように、クラッススを説得した。
===23節===
'''ウォカテス族・タルサテス族対クラッスス'''
*Armis obsidibusque acceptis, Crassus in fines Vocatium et Tarusatium profectus est.
**武器と人質を受け取って、クラッススは[[w:ウォカテス族|ウォカテス族]]と[[w:タルサテス族|タルサテス族]]の領土に出発した。
*Tum vero barbari commoti,
**そのとき確かに蛮族たちは動揺させられて、
*quod oppidum et natura loci et manu munitum
**というのも、地勢と部隊で防備された(ソティアテス族の)城市が
*paucis diebus quibus eo ventum erat, expugnatum cognoverant,
**(ローマ人が)そこへ来てからわずかな日数で攻め落とされたことを知っていたためであるが、
*legatos quoque versus dimittere,
**使節たちをあらゆる方面に向けて送り出し、
*coniurare, obsides inter se dare, copias parare coeperunt.
**共謀して、互いに人質を与え合って、軍勢を準備し始めた。
*Mittuntur etiam ad eas civitates legati quae sunt citerioris Hispaniae finitimae Aquitaniae:
**アクィタニアに隣接する[[w:上ヒスパニア|上ヒスパニア]]([[w:en:Hispania Citerior|Hispania Citerior]])にいる部族たちにさえ、使節が派遣された。
[[画像:Hispania_1a_division_provincial.PNG|thumb|250px|right|BC197年頃のヒスパニア。オレンジ色の地域が当時の上ヒスパニア]]
[[画像:Ethnographic Iberia 200 BCE.PNG|thumb|right|250px|BC200年頃のイベリア半島の民族分布。朱色の部分に[[w:アクィタニア人|アクィタニア人]]の諸部族が居住していた。]]
*inde auxilia ducesque arcessuntur.
**そこから援兵と指揮官が呼び寄せられた。
*Quorum adventu
**これらの者が到着して、
*magna cum auctoritate et magna [cum] hominum multitudine
**大きな権威と大勢の人間とともに、
*bellum gerere conantur.
**戦争遂行を企てた。
*Duces vero ii deliguntur
**指揮官には確かに(以下の者たちが)選ばれた。
*qui una cum Q. Sertorio omnes annos fuerant
**皆が多年の間、[[w:クィントゥス・セルトリウス|クィントゥス・セルトリウス]]([[w:la:Quintus Sertorius|Quintus Sertorius]])と一緒にいて、
*summamque scientiam rei militaris habere existimabantur.
**軍事の最高の知識を有すると考えられていた(者たちである)。
**(訳注:セルトリウスは、[[w:ルキウス・コルネリウス・スッラ|スッラ]]の独裁に抵抗したローマ人の武将である。[[w:ヒスパニア|ヒスパニア]]の住民にローマ軍の戦術を教えて共和政ローマに対して反乱を起こしたが、[[w:グナエウス・ポンペイウス|ポンペイウス]]によって鎮圧された。)
*Hi consuetudine populi Romani loca capere,
**これらの者たちは、ローマ人民の習慣によって、場所を占領し、
*castra munire,
**[[w:カストラ|陣営]]を防壁で守り、
*commeatibus nostros intercludere instituunt.
**我が方(ローマ勢)の物資をさえぎることに決めたのだ。
*Quod ubi Crassus animadvertit,
**クラッススは(以下の諸事情に)気づくや否や、(すなわち)
*suas copias propter exiguitatem non facile diduci,
**己の軍勢が寡兵であるために、展開するのが容易でないこと、
*hostem et vagari et vias obsidere et castris satis praesidii relinquere,
**敵はうろつき回って道を遮断して、陣営に十分な守備兵を残していること、
*ob eam causam minus commode frumentum commeatumque sibi supportari,
**その理由のために糧食や軍需品を都合良く自陣に持ち運べていないこと、
*in dies hostium numerum augeri,
**日々に敵の数が増していること、(これらの諸事情に気づいたので)
*non cunctandum existimavit quin pugna decertaret.
**(クラッススは)戦闘で雌雄を決することをためらうべきではないと考えたのだ。
*Hac re ad consilium delata, ubi omnes idem sentire intellexit,
**この事が会議に報告されて、皆が同じく考えていることを知るや否や、
*posterum diem pugnae constituit.
**戦闘を翌日に決めた。
===24節===
'''両軍の開戦準備'''
*Prima luce productis omnibus copiis,
**(クラッススは)夜明けに全軍勢を連れ出して、
*duplici acie instituta,
**二重の戦列を整列し、
*auxiliis in mediam aciem coniectis,
**支援軍([[w:アウクシリア|アウクシリア]])を戦列の中央部に集結し、
*quid hostes consilii caperent exspectabat.
**敵がいかなる計略をとるのかを待った。
*Illi,
**彼ら(アクィタニア人)は、
*etsi propter multitudinem et veterem belli gloriam paucitatemque nostrorum se tuto dimicaturos existimabant,
**(自らの)多勢、昔の戦争の名誉、我が方(ローマ勢)の寡勢のために、安全に闘えると考えたにも拘らず、
*tamen tutius esse arbitrabantur obsessis viis commeatu intercluso sine ullo vulnere victoria potiri,
**それでもより安全と思われるのは、道を包囲して[[w:兵站|兵站]]を遮断し、何ら傷なしに勝利をものにすることであり、
*et si propter inopiam rei frumentariae Romani se recipere coepissent,
**もし糧食の欠乏のためにローマ人が退却し始めたならば、
*impeditos in agmine et sub sarcinis infirmiores
**(ローマ人が)隊列において[[w:背嚢|背嚢]]を背負って妨げられて臆病になっているところを、
*aequo animo adoriri cogitabant.
**平常心をもって襲いかかれると考えたのだ。
*Hoc consilio probato ab ducibus, productis Romanorum copiis, sese castris tenebant.
**この計略が指揮官により承認されて、ローマ人の軍勢が進撃しても、彼らは陣営に留まった。
*Hac re perspecta Crassus,
**この事を見通してクラッススは、
*cum sua cunctatione atque opinione timidiores hostes
**(敵)自身のためらいや、評判より臆病な敵が
*nostros milites alacriores ad pugnandum effecissent
**我が方(ローマ)の兵士たちを戦うことにおいてやる気にさせたので、
*atque omnium voces audirentur exspectari diutius non oportere quin ad castra iretur,
**かつ(敵の)陣営へ向かうことをこれ以上待つべきではないという皆の声が聞かれたので、
*cohortatus suos omnibus cupientibus ad hostium castra contendit.
**部下を励まして、(戦いを)欲する皆で、敵の陣営へ急行した。
===25節===
'''クラッスス、敵陣へ攻めかかる'''
*Ibi cum alii fossas complerent, alii multis telis coniectis
**そこで、ある者は堀を埋め、ある者は多くの飛道具を投げて、
*defensores vallo munitionibusque depellerent,
**守備兵たちを[[w:防柵|防柵]]や[[w:防壁|防壁]]から駆逐した。
*auxiliaresque, quibus ad pugnam non multum Crassus confidebat,
**[[w:アウクシリア|支援軍]]の者たちといえば、クラッススは彼らの戦いを大して信頼していなかったが、
*lapidibus telisque subministrandis et ad aggerem caespitibus comportandis
**石や飛道具を供給したり、[[w:土塁|土塁]]のために[[w:芝|芝草]]を運んだり、
*speciem atque opinionem pugnantium praeberent,
**戦っている様子や印象を示した。
*cum item ab hostibus constanter ac non timide pugnaretur
**敵もまたしっかりと臆せずに戦って、
*telaque ex loco superiore missa non frustra acciderent,
**より高い所から放られた飛道具は無駄なく落ちてきたので、
*equites circumitis hostium castris Crasso renuntiaverunt
**[[w:騎兵|騎兵]]は、敵の陣営を巡察してクラッススに報告した。
*non eadem esse diligentia ab decumana porta castra munita
**(敵の)陣営の後門(porta decumana)は(他の部分と)同じほどの入念さで防備されておらず、
*facilemque aditum habere.
**容易に接近できると。
===26節===
'''クラッスス、総攻撃をかける'''
*Crassus equitum praefectos cohortatus,
**クラッススは[[w:騎兵|騎兵]]の指揮官たちに促した。
*ut magnis praemiis pollicitationibusque suos excitarent, quid fieri velit ostendit.
**大きな恩賞の約束で部下たちを駆り立てて、何がなされることを欲しているかを示すようにと。
*Illi, ut erat imperatum,
**この者らは命じられたように、
*eductis iis cohortibus quae praesidio castris relictae intritae ab labore erant,
**守備兵として陣営に残されていて、働きによって疲弊していなかった歩兵大隊([[w:コホルス|コホルス]])を連れ出して、
*et longiore itinere circumductis, ne ex hostium castris conspici possent,
**敵の陣営から視認できないように、遠回りの道程をめぐらせて、
*omnium oculis mentibusque ad pugnam intentis
**(彼我の)皆の目と意識が戦闘に没頭している間に
*celeriter ad eas quas diximus munitiones pervenerunt atque his prorutis
**速やかに前述した(後門の)防壁に至って、それを崩壊させて、
*prius in hostium castris constiterunt,
**敵の陣営に拠点を築いた。
*quam plane ab his videri aut quid rei gereretur cognosci posset.
**彼ら(敵)によりまったく見られ、あるいはいかなる事が遂行されているかを知られるよりも早くのことだった。
*Tum vero clamore ab ea parte audito
**そのときまさにこの方面から雄叫びが聞こえて、
*nostri redintegratis viribus,
**我が方(ローマ勢)は活力を回復し、
*quod plerumque in spe victoriae accidere consuevit,
**勝利の希望の中にたいてい起こるのが常であったように
*acrius impugnare coeperunt.
**より激烈に攻め立て始めたのであった。
*Hostes undique circumventi desperatis omnibus rebus
**敵は至る所から攻囲されて、すべての事態に絶望し、
*se per munitiones deicere et fuga salutem petere intenderunt.
**壁を越えて飛び降りて、逃亡によって身の安全を求めることに懸命になった。
*Quos equitatus apertissimis campis consectatus
**この者たちを(ローマの)騎兵隊が非常に開けた平原で追撃し、
*ex milium L{quinquaginta} numero, quae ex Aquitania Cantabrisque convenisse constabat,
**[[w:アクィタニア|アクィタニア]]と[[w:カンタブリ族|カンタブリ族]]([[w:en:Cantabri|Cantabri]])から集まっていた(敵の総勢の)数は5万名が確認されたが、
*vix quarta parte relicta,
**やっとその四分の一が生き残り、
*multa nocte se in castra recepit.
**夜も更けて(ローマ勢は)陣営に退却した。
===27節===
'''アクィタニア諸部族の降伏'''
*Hac audita pugna
**この戦闘(の勝敗)を聞いて、
*maxima pars Aquitaniae sese Crasso dedidit obsidesque ultro misit;
**[[w:アクィタニア人|アクィタニア人]]の大部分がクラッススに降伏して、すすんで[[w:人質|人質]]を送った。
*quo in numero fuerunt
**その数の中には以下の部族がいた。
*Tarbelli, Bigerriones, Ptianii, Vocates, Tarusates, Elusates,
**[[w:タルベッリ族|タルベッリ族]]、[[w:ビゲッリオネス族|ビゲッリオネス族]]、[[w:プティアニー族|プティアニイ族]]、[[w:ウォカテス族|ウォカテス族]]、[[w:タルサテス族|タルサテス族]]、[[w:エルサテス族|エルサテス族]]、
*Gates, Ausci, Garunni, Sibulates, Cocosates:
**[[w:ガテス族|ガテス族]]、[[w:アウスキ族|アウスキ族]]、[[w:ガルンニ族|ガルンニ族]]、[[w:シブラテス族|シブラテス族]]、[[w:ココサテス族|ココサテス族]]、である。
*paucae ultimae nationes
**わずかな遠方の部族たちは、
*anni tempore confisae, quod hiems suberat,
**時季を頼りにして、というのも冬が近づいていたためであるが、
*id facere neglexerunt.
**そのこと(降伏と人質)をなおざりにした。
==モリニ族・メナピイ族への遠征==
===28節===
'''カエサル、モリニ族・メナピイ族へ遠征'''
*Eodem fere tempore Caesar,
**(前節までに述べたクラッススのアクィタニア遠征と)ほぼ同じ時期にカエサルは、
*etsi prope exacta iam aestas erat,
**すでに夏はほとんど過ぎ去っていたのであるが、
*tamen quod omni Gallia pacata
**全ガリアが平定されていたにもかかわらず、
*Morini Menapiique supererant,
**[[w:モリニ族|モリニ族]]と[[w:メナピー族|メナピイ族]]は生き残って
*qui in armis essent, neque ad eum umquam legatos de pace misissent,
**武装した状態で、彼(カエサル)のところへ決して和平の使節を派遣しようとしなかったので、
*arbitratus id bellum celeriter confici posse, eo exercitum duxit;
**この戦争は速やかに完遂されると思って、そこへ軍隊を率いて行った。
*qui longe alia ratione ac reliqui Galli bellum gerere instituerunt.
**これら(の部族)は、他のガリア人とはまったく別の方法で戦争遂行することを決めた。
*Nam
**なぜなら
*quod intellegebant maximas nationes, quae proelio contendissent, pulsas superatasque esse,
**というのも、戦闘を戦った非常に多くの部族が撃退され、征服されていることを(彼らは)知っており、
*continentesque silvas ac paludes habebant,
**かつ、絶え間ない[[w:森林|森]]と[[w:沼地|沼地]]を(彼らは)持っていたので
*eo se suaque omnia contulerunt.
**そこへ自分たちとそのすべての物を運び集めたのだ。
*Ad quarum initium silvarum cum Caesar pervenisset castraque munire instituisset
**かかる森の入口のところへカエサルが到着して陣営の防備にとりかかったときに、
*neque hostis interim visus esset,
**敵はその間に現れることはなく、
*dispersis in opere nostris
**工事において分散されている我が方(ローマ勢)を
*subito ex omnibus partibus silvae evolaverunt et in nostros impetum fecerunt.
**突然に(敵が)森のあらゆる方面から飛び出してきて、我が方に襲撃をしかけたのだ。
*Nostri celeriter arma ceperunt
**我が方は速やかに武器を取って
*eosque in silvas reppulerunt et compluribus interfectis
**彼らを森の中に押し戻して、かなり(の敵)を殺傷して
*longius impeditioribus locis secuti
**非常に通りにくい場所を追跡したが、
*paucos ex suis deperdiderunt.
**我が方の部下で損傷を負ったのは少数であった。
===29節===
'''カエサル、むなしく撤兵する'''
*Reliquis deinceps diebus Caesar silvas caedere instituit,
**続いて(冬が近づくまでの)残りの何日かで、カエサルは森を[[w:伐採|伐採]]することに決めた。
*et ne quis inermibus imprudentibusque militibus ab latere impetus fieri posset,
**(これは)非武装で不注意な兵士たちが側面からいかなる襲撃もなされないように(ということであり)、
*omnem eam materiam quae erat caesa conversam ad hostem conlocabat
**伐採されたすべての[[w:木材|材木]]を敵の方へ向きを変えて配置して、
*et pro vallo ad utrumque latus exstruebat.
**[[w:防柵|防柵]]の代わりに両方の側面に築いた。
*Incredibili celeritate magno spatio paucis diebus confecto,
**信じがたいほどの迅速さで大きな空間がわずかな日数で完遂されて、
*cum iam pecus atque extrema impedimenta a nostris tenerentur,
**すでに[[w:家畜|家畜]]や[[w:輜重|輜重]]の最も端が我が方(ローマ軍)により捕捉された。
*ipsi densiores silvas peterent,
**(敵)自身は密生した森を行くし、
*eiusmodi sunt tempestates consecutae, uti opus necessario intermitteretur
**[[w:嵐|嵐]]が続いたので、工事はやむを得ずに中断された。
*et continuatione imbrium diutius sub pellibus milites contineri non possent.
**雨が続いて、これ以上は皮([[w:天幕|天幕]])の下に兵士たちを留めることはできなかった。
*Itaque vastatis omnibus eorum agris, vicis aedificiisque incensis,
**こうして、彼らのすべての畑を荒らして、村々や建物に火をつけて、
*Caesar exercitum reduxit
**カエサルは軍隊を連れ戻して、
*et in Aulercis Lexoviisque, reliquis item civitatibus quae proxime bellum fecerant,
**[[w:アウレルキ族|アウレルキ族]]と[[w:レクソウィー族|レクソウィイ族]]や、他の同様に最近に戦争をしていた部族たちのところに
*in hibernis conlocavit.
**[[w:冬営|冬営]]を設置した。
----
*<span style="background-color:#99ff99;">「ガリア戦記 第3巻」了。「[[ガリア戦記 第4巻]]」へ続く。</span>
==脚注==
<references />
[[Category:ガリア戦記 第3巻|*]]
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高校化学 電池と電気分解
0
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207238
207234
2022-08-25T12:20:02Z
Nermer314
62933
wikitext
text/x-wiki
== イオン化傾向 ==
いくつかの金属は、酸の溶液に入れたとき、陽イオンになりやすい。
金属元素の単体を水または水溶液に入れたときの、陽イオンへのなりやすさを'''イオン化傾向'''(ionization tendency)という。
例として、亜鉛Znを希塩酸HClの水溶液に入れると、亜鉛Znは溶け、また亜鉛は電子を失ってZn<sup>2+</sup>になる。
:Zn + 2H<sup>+</sup> → Zn<sup>2+</sup> + H<sub>2</sub>
いっぽう、銀Agを希塩酸に入れても反応は起こらない。
このように金属のイオン化傾向の大きさは、物質ごとに大きさが異なる。
とりあえず、イオン化傾向の大きさを数式で表すと、
:Zn > Ag
である。
さて、銅を希塩酸の溶液に入れても、なにも反応しない。なので、
:Zn > Cu
である。
さて、銅と銀のイオン化傾向の大きさの大小関係は、以上の実験だけでは不明である。
なお、金属から放出された電子は、周囲の物質が受け取る。さきほどの亜鉛の陽イオン化の例の場合、周囲の水素イオンが電子を受け取り、水素になっている。
=== 銅と銀のイオン化傾向 ===
;硝酸銀溶液と銅の場合
そこで、銅と銀のイオン化傾向を比べるための実験例として、硝酸銀AgNO<sub>3</sub>の溶液に、銅線や銅板などの銅の固体を添加する。ここでは、銅板を添加したとしよう。すると、銅板の表面に銀が付着し、銀が析出する。いっぽう、この硝酸銀の溶液中では銅板は陽イオンとなり溶ける。溶液は、しだいに青くなるが、この青色は銅イオン溶液の色である。
以上の変化を反応式で書くと、
:Cu + 2Ag+ → Cu <sup>2+</sup> + 2Ag
なお、この反応で生じた銀を、生じ方が樹木が伸びるように析出した銀が伸びることから'''銀樹'''(ぎんじゅ)という。
;硫酸銅溶液と銀の場合
いっぽう、今度は溶液を変え、硫酸銅 Cu<sub></sub>SO<sub>4</sub> の溶液に銀板Agをいれても、なにも析出せず、なにも変化は起きない。
これらのことから、銅は銀よりもイオン化傾向が大きいであろうことが予測できる。
つまり、イオン化傾向の大きさの予想で、
:Cu > Ag
が予想できる。
=== 亜鉛と銅のイオン化傾向 ===
また溶液を変え、硫酸銅の水溶液に亜鉛板Znを添加すると、亜鉛の表面に銅が析出する。このことから、亜鉛Znは銅Cuよりもイオン化傾向が大きいことが予想できる。
つまり、イオン化傾向の大きさの予想で、
:Zn > Cu
が予想できる。
=== イオン化列と反応性 ===
==== イオン化列 ====
さまざまな溶液や金属の組み合わせで、イオン化傾向の比較の実験を行った結果、イオン化傾向の大きさが決定された。
左から順に、イオン化傾向の大きい金属を並べると、以下のようになる。
: Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H<sub>2</sub>) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
金属を、イオン化傾向の大きさの順に並べたものを金属の'''イオン化列'''という。
水素は金属では無いが比較のため、イオン化列に加えられる。
金属原子は、上記の他にもあるが、高校化学では上記の金属のみのイオン化列を用いることが多い。
イオン化列の記憶のための語呂合わせとして、
「リッチに貸そうかな、まあ、あてにすな、ひどすぎる借金。」
などのような語呂合わせがある。ちなみにこの語呂合わせの場合、
「リッチLi に Kか そう かCa なNa、まMg あAl、あZn てFe にNi すSn なPb、ひH2 どCu すHg ぎAg る 借金Pt,Au。」
と対応している。
{| class="wikitable"
|+ イオン化列と反応性
! イオン化列 || K || Ca || Na || Mg || Al || Zn || Fe || Ni || Sn || Pb || (H<sub>2</sub>) || Cu || Hg || Ag || Pt || Au
|-
|空気中での反応||colspan="3" |速やかに酸化 ||colspan="9" |表面に酸化皮膜 ||colspan="4" |酸化されない。
|-
|水との反応||colspan="3" |常温で反応して水素を発生。||colspan="4" |高温の水蒸気と反応||colspan="9" |<div align="center">反応しない。</div>
|-
|酸との反応||colspan="11" |塩酸、希硫酸と反応して水素を発生する。 ||colspan="3" |酸化力の強い酸(HNO<sub>3</sub>など)に溶ける。 ||colspan="2" |王水にのみ溶ける。
|}
==== 酸素との反応性 ====
イオン化傾向の大きい金属の溶解も、酸化の現象も、ともに物質からの電子の放出の現象であるように、一般にイオン化傾向が大きい金属ほど、酸化をされやすい金属である。
実際にK、Ca、Naの純物質の表面は、空気中ではすぐに酸化をして金属光沢を失い、放置すると内部まで酸化をする。
Mg、Al、Fe、Cuなどは、空気中に放置すると、やがて表面に酸化物の皮膜を生じる。酸化物の皮膜の化学式はそれぞれ、MgO 、Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 、Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 、Cu<sub>2</sub>O、CuO などである。
==== 水との反応 ====
水との反応と、イオン化傾向との関係については、アルカリ金属やアルカリ土類金属のK , Ca , Naとは、常温で水と激しく反応し、水酸化物を生じ、また、水素を発生する。
マグネシウム Mg は常温の水とは反応しづらく、沸騰させた水にMgを入れた場合や、高温の水蒸気に Mg を作用させた場合には、反応して水酸化物および水素を発生する。
:Mg + 2H<sub>2</sub>O → Mg(OH)<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>
Al、Zn、Feでは、金属を加熱した状態で、高温の水蒸気を作用させると反応が起こり、酸化物および水素を発生する。反応後の生じる物質は、「水酸化物」では無く、「酸化物」なので注意。
:2Al + 3H<sub>2</sub>O → Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> + 3H<sub>2</sub>
:3Fe + 4H<sub>2</sub>O → Fe <sub>3</sub>O<sub>4</sub> + 4H<sub>2</sub>
Niおよび、Niよりイオン化傾向の小さい金属は、水とは反応しない。
==== 酸との反応 ====
一般に、水素よりもイオン化傾向の大きい金属の単体は、希硫酸や塩酸などと反応し、酸のH<sup>+</sup>を還元するので水素を発生し、金属自身は陽イオンになる。
:(参考:イオン化列) K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H<sub>2</sub>) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
* Mgと酸
Mgは希塩酸とも強く反応し、水素を生じる。
(KやCaについては、溶媒の水そのものと激しく反応するので、ここでは考察対象から外される。)
* Al,Zn,Feと酸
Al,Zn,Feは希塩酸 HCl や希硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> とも反応し、水素を発生する。
:2Al + 3H<sub>2</sub>O → Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> + 3H<sub>2</sub>
:Zn + 2HCl → ZnCl<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>
:Fe + H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> → FeSO<sub>4</sub> + H<sub>2</sub>
* Pbと酸
Pbは希酸とは反応しない。
* Cu,Hg,Agと酸
Cu,Hg,Agは塩酸や希硫酸には溶けない。これらCuとHgとAgは、水素よりもイオン化傾向が小さい。これを溶かす酸には、硝酸HNO<sub>3</sub>か、熱した濃硫酸H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>が必要である。これらの酸(HNO<sub>3</sub> あるいは H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>)は、強い酸化力をもつ。
:(濃硝酸) 3Cu + 8HNO<sub>3</sub> → 3Cu( NO<sub>3</sub> )<sub>2</sub> + 2NO + 4H<sub>2</sub>O
:(希硝酸) Cu + 4HNO<sub>3</sub> → Cu( NO<sub>3</sub> )<sub>2</sub> + 2NO<sub>2</sub> + 2H<sub>2</sub>O
:(熱濃硫酸) Cu + 2H2SO<sub>4</sub> → CuSO<sub>4</sub> + 2H<sub>2</sub>O + 2SO<sub>2</sub>
これらの反応のとき、水素は発生せず、希硝酸では NO が発生し、濃硝酸では NO<sub>2</sub> が発生し、硫酸では二酸化硫黄 SO<sub>2</sub> が発生する。
* Pt,Auと酸
Pt,Auは硝酸や濃硫酸では溶けない。これを溶かす酸は、'''王水'''(おうすい、ラテン語: aqua regia)と呼ばれる、濃塩酸と濃硝酸の混合液を、体積比が塩酸3:硝酸1の体積割合で混合した混合酸で溶ける。王水は酸化作用がきわめて強い。
* Al,Fe,Niの不動態
Al,Fe,Niは濃硝酸には溶けない。濃硝酸にひたすと、表面が反応し、緻密な酸化膜が表面にでき、内部にまでは反応が進行しなくなる。このような状態を'''不動態'''(ふどうたい)という。
== 電池の仕組み ==
二種類の金属単体を電解質水溶液に入れると電池ができる。これは[[イオン化傾向]](単体の金属の原子が水または水溶液中で電子を放出して陽イオンになる性質)が大きい金属が電子を放出して陽イオンとなって溶け、イオン化傾向の小さい金属が析出するためである。
電子の流れ出す側の電極の金属を'''負極'''(ふきょく、negative electrode)という。電子を受け取る側の金属の電極を'''正極'''(せいきょく、positive electrode)という。
この「正」と「負」は、(電極どうしをつないだ)銅線を基準に考えた視点である。
通常、イオン化傾向の大きい方の金属が負極になる。一方、イオン化傾向の小さい方の金属が正極になる。
なぜなら、イオン化傾向の大きい金属のほうが、陽イオンになって溶け出す結果、金属板には残された電子が多く蓄積するので、もし両方の金属板を銅線でつなげば、イオン化傾向の大きい方から小さい方に電子は流れる。「電流」では無く、「電子」としていることに注意。電子は負電荷であるので、電流の流れと電子の流れは、逆向きになる。
電池の、正極と負極とのあいだに生じる電位差(でんいさ)を、起電力という。
== 電池の種類 ==
=== ダニエル電池 ===
ダニエル電池(Daniell cell)とは、亜鉛板Znを入れたZnSO<sub>4</sub>水溶液と、銅板Cuを入れたCuSO<sub>4</sub>水溶液を、両方の溶液が混ざらないようにセロハンや素焼き板(溶液は混合しないがイオンは通過できる)で区切ってできる電池。セロハンや素焼き板の間をSO<sub>4</sub><sup>2-</sup>が亜鉛板側に移動する。CuSO<sub>4</sub>水溶液は濃く、ZnSO<sub>4</sub>水溶液は薄い方がよい(Znの溶出が進み、Cuの析出が進む方向)。
陽極(負極)での反応
:Zn → Zn<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup>
陰極(正極)での反応
:Cu<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu
電池図
:(-) Zn| Zn</sub>SO<sub>4</sub>aq | CuSO<sub>4</sub>aq |Cu (+)
起電力:1.1ボルト
=== 乾電池 ===
[[画像:Zincbattery.png|200px|thumb|right|マンガン乾電池の内部構造<br>1.正極端子 2.集電体(炭素棒) 3.負極(亜鉛) 4.正極(二酸化マンガン) 5.電解液(塩化亜鉛・塩化アンモニウム) 6.負極端子]]
電池の電解液は、文字通り「液体」なので、そのままでは持ち運びに不便である。そこで、改善策としてなんらかの方法で、電解液を固体状に固める発想が出てきた。
電解質溶液に添加物を加えて、電解質をペースト状にかためた電池を'''乾電池'''(dry cell)という。
代表的な乾電池としてマンガンを用いた'''マンガン乾電池'''(zinc–carbon battery)がある。
;マンガン乾電池
電池図は、
:(-) Zn | ZnCl<sub>2</sub>aq, NH<sub>4</sub>Claq | MnO<sub>2</sub>,C (+)
である。
反応式は、負極では亜鉛が以下のように反応して溶け出る。
:<math> \mathrm{ Zn \rightarrow Zn^{2+} + 2e^- } </math>
:<math> \mathrm{ Zn^{2+}+4NH_4^{+} \rightarrow [Zn(NH_3)_4]^{2+} + 4H^+ } </math>
正極の炭素棒は電子を媒介するだけで、炭素そのものは反応しない。電子を受け取るのはMnO<sub>2</sub>である。
=== 鉛蓄電池 ===
[[ファイル:Photo-CarBattery.jpg|200px|thumb|鉛蓄電池の外観。(自動車用)]]
ボルタの電池や乾電池は、使用していると、だんだん起電力が低下してしまい、もとには戻らない。
そして、いつかは起電力が無くなる。このような使った分は戻らない電池を'''一次電池'''(primary cell)という。
いっぽう、ダニエル電池や、鉛蓄電池という電池は、外部から電気を与えることで元に戻すことができる。
電池を元の状態へと回復させる場合には、外部電源により、電池の放電時とは逆向きに電流を流す。このようにして、消費した電池をもとの状態に戻すことを'''充電'''(じゅうでん、charge)という。
充電により繰り返して使用ができる電池を蓄電池あるいは'''二次電池'''(secondary cell)という。
充電によって、元に戻る理由は、放電時との逆反応が起こるからである。
ボルタ電池では、正極で発生した水素は空気中に散逸するので、逆電圧を加えても放電時の逆反応を起こす物質がないため、逆反応ができない。
充電の用語に対して、いっぽう、電池を使用している状態を'''放電'''(ほうでん、discharge ディスチャージ)という。
鉛電池の電池図は、
:(-) Pb | H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aq | PbO<sub>2</sub> (+)
起電力は電極1組あたり、約2.1Vである。(実際の製品では、容器内に複数組の電池が直列または並列になっている。)
放電時の反応は、
負極(-)では
:<math> \mathrm{ Pb + SO_4 \rightarrow PbSO_4 + 2e^- } </math>
がおこり、正極(+)では、
:<math> \mathrm{ PbO_2 + 4H^+ + SO_4{}^{2-} + 2e^- \rightarrow PbSO_4 + 2H_2O } </math>
がおこる。正極の負極がともに硫化されていることから分かるように、放電によって、電解液である硫酸は消費され、硫酸の濃度は低下していく。
鉛蓄電池の実用例として、自動車のバッテリとして、よく用いられている。
;鉛蓄電池の充電
充電時の場合は、以下の反応が起こる。
負極(-)では
:<math> \mathrm{ PbSO_4 + 2e^- \rightarrow Pb + SO_4} </math>
がおこり、正極(+)では、
:<math> \mathrm{ PbSO_4 + 2H_2O \rightarrow PbO_2 + 4H^+ + SO_4{}^{2-} + 2e^-} </math>
というふうに、逆反応がおこる。
:まとめ
鉛電池は希硫酸中にPbとPbO<sub>2</sub>を極板として入れた電池。
陽極(負極)での反応
:Pb + SO<sub>4</sub><sup>2-</sup> → PbSO<sub>4</sub> + 2e<sup>-</sup>
陰極(正極)での反応
:PbO<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> + 2e<sup>-</sup> + SO<sub>4</sub><sup>2-</sup> → PbSO<sub>4</sub> + 2H<sub>2</sub>O
電池図
:(-) Pb|H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>|PbO<sub>2</sub> (+)
起電力:2.1ボルト
=== 燃料電池 ===
[[Image:Solid oxide fuel cell protonic.svg|thumb|燃料電池。 (水素-酸素系)<br>左側から供給された水素 H<sub>2</sub> の一部は、正極でイオン化され、負極にたどり着き、酸素 O<sub>2</sub> と反応し水になる。<br>anode = 陰極 , cathode = 正極 , Fuel = 燃料 , electrolyte = 電解質 .]]
水素などの陽極の燃料を、触媒を用いてイオン化させ、余った電子を取り出す電池。陽極の燃料が水素の場合は、陰極で酸素および回収した電子と反応し水になる。
様々な方式の燃料電池がある。
'''リン酸型燃料電池'''の場合、
:(ー)H<sub>2</sub>|H<sub>3</sub>PO<sub>4</sub>aq|O<sub>2</sub>(+)
電解質にリン酸水溶液を用いている。負極に水素を供給する必要があり、正極に酸素を供給する必要のある電池である。
負極で起きる反応は、
:(負極) 2H<sub>2</sub> → 4H<sup>+</sup> +4e<sup>-</sup>
である。負極で生じた水素イオンが電解質を移動し、反対側の正極にまで達し、つぎの反応が起きる。
:(正極) O<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> +4e<sup>-</sup> → 2H<sub>2</sub>O
つまり、水素イオンが酸素によって酸化したわけである。つまり、水素イオンが燃焼したわけである。
この方式の燃料電池の反応式については、高校生はとりあえず、負極で水素が反応して水素イオンが発生することを、覚えておけばよい。そして、正極では酸素と反応して水が生じることを覚えておけばよい。
起電力は約1.2V(1.2ボルト)である。このリン酸型燃料電池は、酸素の酸化によって生じたエネルギーの一部を、電気エネルギーにしている装置として、解釈できる。
水の電気分解の、逆の原理であると、解釈してよい。
なお、正極と負極は多孔質になっており、水素や酸素を通過させられるようになっている。
この燃料電池の生成物が水なので、環境にやさしいと考えられおり、開発が進められており、一部は実用化もしている。
また、反応源の水素を発生するためにも、電気分解などの電力エネルギーなど、なんらかのエネルギーが必要なことから、この電池は、水素のエネルギーを電気エネルギーに変換している装置として、解釈もできる。
なお、アメリカのアポロ宇宙船に用いられた燃料電池はアルカリ型の方式のものであり、リン酸型ではない。
'''アルカリ型燃料電池'''とは、電解質に水酸化カリウム KOH などを用いる方式である。
:(ー)H<sub>2</sub>|KOHaq|O<sub>2</sub>(+)
他に、固体高分子型や固体酸化物型などがある。
=== リチウムイオン電池 ===
:負極: Liと黒鉛Cの化合物
:電解液: リチウム塩および有機溶媒
:正極: コバルト酸リチウム LiCoO<sub>2</sub>
:起電力: 約 4V
:ニ次電池
リチウムイオン電池は軽く、電気の容量も大きいので、携帯電話やノートパソコンなどの充電池として利用されている。
=== ※ 参考: その他の実用電池 ===
実用電池には上述した乾電池や鉛蓄電池の他にも、さまざまな電池があるが、イオン化傾向を利用しているということなどの基本的な仕組みは、あまり変わらない。
その他の実用されている化学電池には、
* アルカリマンガン電池
* 銀電池
* リチウム電池
* ニッケルカドミウム電池
などがある。
{| class="wikitable"
|+ 実用電池 (一次電池)
|-
! rowspan="2"| 名称 || colspan="3" |電池の構成|| rowspan="2"| 起電力
|-
! 負極 !! 電解質 !! 正極
|-
! マンガン電池
| Zn
| ZnCl<sub>4</sub>, NH<sub>4</sub>Cl
| MnO<sub>2</sub>
| 1.5 V
|-
! アルカリマンガン乾電池
| Zn
| KOH
| MnO<sub>2</sub>
| 1.5 V
|-
! リチウム電池
| Li
| 有機電解質
| MnO<sub>2</sub> など
| 3.0 V
|-
! 銀電池
| Zn
| KOH
| Ag<sub>2</sub>O
| 1.55 V
|-
! 空気亜鉛電池<br>(空気電池)
| Zn
| KOH
| O<sub>2</sub>
| 1.4 V
|-
|}
{| class="wikitable"
|+ 実用電池 (二次電池)
|-
! rowspan="2"| 名称 || colspan="3" |電池の構成|| rowspan="2"| 起電力
|-
! 負極 !! 電解質 !! 正極
|-
! 鉛蓄電池
| Pb
| H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>
| PbO<sub>2</sub>
| 2.0 V
|-
! ニッケル・カドミウム電池
| Cd
| KOH
| NiO(OH)
| 1.2 V
|-
! ニッケル水素電池
| MH<br>(水素吸蔵合金)
| KOH
| NiO(OH)
| 1.2 V
|-
! リチウムイオン電池
| Liをふくむ黒鉛
| リチウム塩
| LiCoO<sub>2</sub>
| 3.7 V
|-
|}
;アルカリマンガン電池
:負極: Zn
:電解液: KOH水溶液
:正極: MnO<sub>2</sub>
:起電力: 1.5V
;銀電池
:負極: Zn
:電解液: KOH水溶液
:正極: Ag<sub>2</sub>O
:起電力: 1.55V
:一次電池
銀電池は電圧が安定しているため、時計や電子体温計などに用いられる場合が多い。
;リチウム電池
:負極: Li
:電解液: LiClO<sub>4</sub> および有機溶媒
:正極: (CF)<sub>n</sub>
:起電力: 3.0V
:一次電池
リチウムは水と反応するので、電解質に水を使うことができない。このため、エチレンカーボネートなどの有機物を電解に用いる。
リチウム電池は長寿命のため、時計や電卓、心臓用ペースメーカなどに用いられている。
;空気電池
:一次電池
空気電池は軽量なので、よく補聴器に用いられている。購入時には、空気の侵入をふせぐシールが貼られている。使用し始める際には、シールをはがす。シールをはがすと放電が始まる。はがしたシールを貼り直しても、保存は効かない。
;ニッケルカドミウム電池
:負極: Cd
:電解液: KOH水溶液
:正極: オキシ水酸化ニッケル NiO(OH)
:起電力: 1.2V
:ニ次電池
ニッケルカドミウム電池は電動工具などによく利用されている。カドミウムの有害性の問題があるので、生産量は減少しており、代替品としてニッケル水素電池に置き換えられていっている。
;ニッケル水素電池
:負極: 水素吸蔵合金(MH)
:電解液: KOH水溶液
:正極: オキシ水酸化ニッケル NiO(OH)
:起電力: 1.3V
:ニ次電池
負極の水素吸蔵合金は、結晶格子の間に水素を取り込め、必要に応じて取り込んだ水素を放出できる。ニッケル水素電池は自動車のハイブリッドカーのバッテリーに用いられる。なお、水素記号のことを記号でMHと表す場合もある。
'''ボルタ電池'''[[File:ボルタの電池.svg|thumb|400px|ボルタの電池の原理図。酸が硫酸ではなく塩酸 HCl の場合。]]ボルタ電池は教科書では次のような説明がされるが、不正確な部分があるため、定期試験で出題されない限りは、覚える必要はない。
:希硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> の中に亜鉛板Znと銅板Cuを入れたもの。
負極(亜鉛板)での反応
:Zn → Zn<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup>
正極(銅板)での反応
:2H<sup> + </sup> + 2e<sup>-</sup> → H<sub>2</sub>↑
==== 起電力 ====
ボルタの電池では、得られる両極間の電位差は、1.1Vである。起電力は、両電極の金属の組み合わせによって決まる物質固有の値である。
==== 電池と酸化還元との関係 ====
ボルタの電池の亜鉛板で起きている反応は、電子を放出することから酸化反応である。また銅板で起きている反応は、電子を受けとっているので還元反応である。
=== 電池図 ===
ボルタ電池の構造を以下のような文字列に表した場合、このような表示を'''電池図'''あるいは'''電池式'''という。
:(-) Zn | H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aq |Cu (+)
aqは水のことである。H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aqと書いて、硫酸水溶液を表している。
==== 分極 ====
ボルタ電池では、正極の銅板で発生する水素が銅板を包むので、銅板と溶媒とのあいだの電子の移動が妨げられる'''分極'''が起きる。このような分極を防ぐために酸化剤を溶液に加える。この分極を防ぐ目的で加える酸化剤を'''減極剤'''という。減極剤としては過酸化水素水 H<sub>2</sub>O<sub>2</sub>,またはMnO<sub>2</sub>,またはPbO<sub>2</sub>を使用する。{{clear}}
== 電気分解 ==
電解質の水溶液に、電極を2本入れて、それぞれの電極に、外部の直流電源から電気を通じると、各電極で水溶液中の物質に化学反応を起こせる。これを'''電気分解'''という。
電気分解で、直流電源の負極につないだ側の電極を'''陰極'''という。
電気分解で、直流電源の正極につないだ側の電極を'''陽極'''という。
陰極の電荷は、電源の負極から電子が送られてくるので、陰極は負電荷に帯電する。いっぽう、陽極の電荷は、正電荷に帯電する。
なお、電気分解の電極には、化学的に安定な白金 Pt や炭素 C などを用いる。
電気分解のさい、陽極では酸化反応が起こり、陰極では還元反応が起こる。
一般に電気分解で反応を起こしたい対象は「水溶液」であり、電極そのものは反応を起こしたい対象ではないので、混同しないように注意のこと。外部の文献などでは、説明の簡略化のため、電気分解では「電極での反応」などという事が多いが、電極そのものが析出をするのでは無いので、間違えないように。
この電気分解の実用例として、金属の精錬に利用されている。
陰イオンのイオン化傾向は<chem>NO3^- > SO4^2- > OH^- > Cl^- > Br^- > I^-</chem>である。語呂合わせとして、{{Ruby|昇|NO3-}}{{Ruby|龍|SO4^2-}}の{{Ruby|水|OH-}}は{{Ruby|演|Cl-}}{{Ruby|習|Br-}}{{Ruby|用|I-}}がある。{{Ruby|昇|NO3-}}
=== 電気分解の反応 ===
==== 陰極での反応 ====
水溶液の電気分解では、水溶液中で、もっとも還元されやすい物質が電子を受け取り、還元反応が起こる。
:・ なので、Cu<sup>2+</sup>、Ag<sup>+</sup>などのイオン化傾向の小さい金属イオンが溶けていれば、これらの金属が析出する。
:・ K<sup>2+</sup>、Na<sup>+</sup>などのイオン化傾向の大きい金属イオンしか溶けてない場合、かわりにH<sub>2</sub>Oが還元されるため水素H<sub>2</sub>が発生する。
==== 陽極での反応 ====
電極がPt,Au,炭素の場合、イオン化傾向が OH<sup>-</sup> より小さい Cl<sup>-</sup>,I<sup>-</sup> ,Br<sup>-</sup> があれば、酸化されてCl<sub>2</sub>、I<sub>2</sub>などが発生する。
イオン化傾向が OH<sup>-</sup> より大きい SO<sub>4</sub><sup>2-</sup>、NO<sub>3</sub><sup>-</sup> は酸化されにくいため、かわりにH<sub>2</sub>Oが還元される酸素O<sub>2</sub>が発生する。
塩基性溶液では、OH<sup>-</sup>が酸化されてO<sub>2</sub>が発生する。
白金や炭素以外の物質を陽極(Cuの場合が多い)にした場合、陽極が酸化されて溶け出す。
=== 塩化銅水溶液の電気分解 ===
電極には、炭素電極または白金 Pt を用いる。塩化銅CuCl<sub>2</sub>水溶液では、陰極付近の水溶液では、電源から電子が送られてくるので以下の還元反応が起こり、陰極からは銅が析出する。
:陰極: Cu+ + 2e<sup>-</sup> → Cu
陽極では、電源へ電子が奪われるので、以下の酸化反応が起こり、陽極からは塩素が発生する。
:陽極: 2Cl<sup>-</sup> → Cl<sub>2</sub> + 2e<sup>-</sup>
=== 硫酸銅(II)水溶液の電気分解 ===
電極には、白金 Pt を用いるとする。硫酸銅 CuSO<sub>4</sub> 水溶液。
:陰極: Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu
陰極での反応は還元反応である。
:陽極: 2H<sub>2</sub>O → O<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> + 4e<sup>-</sup>
陽極での反応は酸化反応である。
この硫酸銅での電気分解の現象は、銅の電気精錬に応用されている。
=== 水の電気分解 ===
純水な水は電気を通さないので、導電性を高めるために硫酸か水酸化ナトリウムを加える。
;水酸化ナトリウムを加えた場合
H2とNaのイオン化傾向を比べた場合、Na>H<sub>2</sub>なので、陰極で還元されるのは水素イオンH<sup>+</sup>である。
:陰極: 2H<sup>+</sup> + 2e<sup>-</sup> → H<sub>2</sub>↑
陰極では、水素H<sub>2</sub>が発生。
:陽極: O<sub>2</sub>が発生。<br />
=== 電気分解の実用例 ===
==== 水酸化ナトリウムの製造 ====
:※ 教科書の範囲内。『化学基礎』科目で習う場合も多い。
工業的に水酸化ナトリウムの作る際に、イオン交換膜をもちいて設備で、食塩水を電気分解する方法が利用されている。
[[File:イオン交換膜法によるNaOHの製造法.svg|thumb|500px|イオン交換膜法によるNaOHの製造法<br>(※ この反応で陰極側に加える液体は、図では「純水」としてあるが、実際は導電性をもたせるために、うすめの水酸化ナトリウムを加える。検定教科書では「純水」と表記してある教科書もあるので、高校生は、気にしなくて良い。)]]
図のように陽イオン交換膜による隔壁でへだてて片方に陽極、もう片方に陰極の電極を配置する。
そして、陽極側にNaCl水溶液を入れる。電圧をなにも加えて無い状体では、NaイオンとClイオンに分離している。
そして電圧を加えると、電気分解が起きる。
陰極では
:<math> \mathrm{ 2H_2O + 2e^- \rightarrow H_2 + 2OH^- } </math> (還元)
陽極では
:<math> \mathrm{ 2Cl^- \rightarrow Cl_2 + 2e^-} </math> (酸化)
という反応が起きる。
その結果、Cl<sup>-</sup>イオンが発生する。このCl<sup>-</sup>イオンは陽イオン交換膜を通れず、Cl<sup>-</sup>イオンはそのまま陽極側にとどまる。そしてCl<sup>-</sup>イオンは陽極のプラス電荷を受け取って塩素ガスになり気体となって排出される。
いっぽうで、Na<sup>+</sup>イオンはそのまま水溶液中にとどまり、また陽イオン交換膜を通過する。
いっぽう陰極側ではOH<sup>-</sup>は陽イオン交換膜を通過できないので、そのまま陰極側にとどまる。また、水素イオンH<sup>+</sup>は陰極で電荷を受け取り、水素ガスを発生して、排出される。
こうして、陰極側の溶液ではNa<sup>+</sup>イオンとOH<sup>-</sup>イオンばかりになる。
Naはイオン化傾向が水よりも大きいので、陰極ではNa<sup>+</sup>はイオンのままである。なので陰極では水H<sub>2</sub>Oだけが還元されてOH<sup>-</sup>ができる。
こうして、陰極ではNaOHの濃度の高い水溶液が得られる。この水溶液を濃縮することによって、水酸化ナトリウムNaOHが得られる。
* 備考
現在、日本で工業的に水酸化ナトリウムを生産する方法は、イオン交換膜法である。
:※ なお「アンモニアソーダ法」は炭酸水素ナトリウムの製法である。混同しないように。
;隔膜法
以前は、アスベストなどをもちいた「隔膜法」(かくまくほう)が用いられていた。この隔膜法も、電気分解を用いる。濃い食塩水(塩化ナトリウム水溶液)を電気分解する方法で水酸化ナトリウムは生産できる。電気分解したときに、塩素の気体が発生するので、気体を排出することにより、溶液中にNa<sup>+</sup>イオンを多くさせている。
なお、陽イオン交換膜をもちいた方法とは違い、隔膜法の隔膜では塩素イオンも通過してしまうので、この方法では、得られる水溶液に不純物としてNaClが混ざる。
またなお、陽極は炭素Cである。陰極は鉄網Feである。隔膜の外部を鉄網で覆っている。
陽極では
:<math> \mathrm{ 2Cl^- \rightarrow Cl_2 + 2e^-} </math>
陰極では
:<math> \mathrm{ 2H_2O + 2e^- \rightarrow H_2 + 2OH^- } </math>
という反応が起きる。Naはイオン化傾向が水よりも大きいので、水が還元されてOH<sup>-</sup>ができる。
陰極で発生したOH<sup>-</sup>によってNaOHができるが、そのままだと陽極のCl2と反応してしまいNaClになってしまうので、NaとClとを結合させず隔離するために、隔膜としてアスベスト(「石綿」ともいう。)などでつくった多孔質の膜を用いる。アスベストは人体に有害である。
* 水銀法
昔の水酸化ナトリウムの製法では、水銀をもちいた水銀法という生産方法もあったが、水銀の有毒性に対する環境保護政策のため、現在(2013年)では日本での水酸化ナトリウムの工業生産では、水銀法は用いていない。
なお、水酸化ナトリウムのことを苛性ソーダ(かせいソーダ)ともいうので、自主調査する場合は、この呼び方も参考に。
==== 銅の精錬 ====
[[File:Electrorefining copper jp.svg|thumb|400px|銅の電気精錬]]
銅の鉱石を、コークスCなどとの加熱反応で還元したものは、純度が約99%で、'''粗銅'''(そどう)とよばれる。粗銅には、亜鉛や銀などの不純物が含まれるので、純度をあげためには、これら亜鉛などを分離する必要があり、そのために電解が利用されている。
硫酸銅(II)水溶液をもちいる。そのさいの電極(陽極)に、純度をあげたい銅を用いる。つまり、粗銅を陽極に用いる。純度の高い銅を陰極に用いる。電気分解により、次の反応が起こる。
:陰極: Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu
:陽極: Cu → Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup>
陽極からは、銅だけが溶け出すのではなく、イオン化傾向の大きい鉄や亜鉛やニッケルなども溶け出す。しかし陰極で析出するのは、ほとんど銅だけなので、よって陰極にて高純度の銅が得られる、という仕組みである。
粗銅中に銀や金が含まれていた場合、イオン化傾向が銅よりも小さい銀や金は、陽極の下に沈殿する。これを'''陽極泥'''(ようきょくでい、anode slime)という。陽極泥には、金や銀などが含まれているので、ここから金や銀を回収する。
陰極には純度の高い純度99.99%程度の銅が析出する。これを純銅(じゅんどう)という。
==== 融解塩の電解 ====
アルミニウムやマグネシウムやアルカリ金属やアルカリ土類金属はイオン化傾向が大きいため、そのイオンをふくむ溶液を電気分解しても、アルミニウムなどの単体は得られない。そこで、イオン化傾向の大きい金属を電気分解で得たいときは、塩や酸化物を融解し、これを電気分解することで単体を得る。このような方法を、'''溶融塩電解'''(ようゆうえん でんかい)という。
===== アルミニウムの精錬 =====
酸化アルミニウムAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の電気分解によって、アルミニウムが得られる。
酸化アルミニウムAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>じたいは、鉱石のボーキサイト(Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>・nH<sub>2</sub>O)から、つくられる。そのボーキサイトからの酸化アルミニウムのつくりかたの説明は省略する(検定教科書でも、くわしい説明は省略)。Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は、アルミナとも呼ばれる。
アルミニウムを得たい場合、アルミナAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は融点 2072 °Cと非常に高いため、そのままでは融解させづらい。そこで融点を下げるため、氷晶石Na<sub>3</sub> AlF<sub>6</sub>(融点 1012℃)を、割合が氷晶石9.5重量%ほど加えると、溶融温度が下がり、融点が約970℃になる。これを炭素電極によって電気分解によって、陰極で、アルミニウムができる。
陽極では、電極の炭素が空気中の酸素と反応して、COやCO<sub>2</sub>ができる。
:(陰極) Al<sup>3+</sup> + 3e<sup>-</sup> → Al
この一連のアルミニウムの電解方法を'''ホール・エルー法'''(ホール・エルーほう、Hall-Héroult process)という。名前の由来は発明者であるアメリカ人ホールとフランス人エルーである。
:※ 化学Ⅱで金属の精錬を扱う。
=== 電気分解と電気量との関係 ===
==== 単位の定義 ====
;クーロン
1A(アンペア)の電流が1秒間、流れこんで貯まったときの電気量を1'''クーロン'''という。記号はCであり、1クーロンは1Cと書く。
このアンペアに基づく定義は、現在(西暦2013年)での、1クーロンの定義である。
電気量をQ[C]とすると、電流i[A]で時間t秒の電流を流した場合は、Q[C]とi[A]とt[S]の関係は、
:Q = i × t
である。
;ファラデー定数
1molの数の価電子がもつ電荷は約96500 Cであることが実験的に確認されている。そこで、この96500 C/mol を'''ファラデー定数'''(ファラデーていすう、英: Faraday constant)という。記号はFで表す。1F = 96500 C/mol である。
また、別の科学者の実験により(物理学者ミリカン(人名)による油滴の帯電の静電気力の測定実験など)、
電子1個のもつ電子の電荷の大きさも分かっており
電子1個の電荷は 1.60×10<sup>-9</sup> [C]である。
普通、数式では電荷の文字はeで表すので、
:e = 1.60×10<sup>-9</sup> [C]
である。
計算を実際にしてみると、電子1個の電荷に、1モルぶんの粒子の個数を掛け算したものは、下記のように、たしかにファラデー定数に近い数字になる。
:<math> 1.60 \times 10^{-19} \times 6.02 \times 10^{23} = 96500 </math>
である。
電気素量に1molも個数6.02×10<sup>24</sup>をかけると、約96500になる。(読者は計算して、これを確かめよ。)
また、この計算の事実は、価電子が確かに電子であることとみなすことの妥当性も実証している。
なお電子1個のもつ電荷の大きさ e = 1.60×10<sup>-9</sup> [C] のことを電気素量(でんき そりょう)という。
==== ファラデーの電気分解の法則 ====
* 電気分解によって、電極で変化する物質量は、与えた電気量に比例する。
* 電気分解によって、価数の異なる物質の変化を比べた場合、同じ電気量で変化する物質量は物質の価数に反比例する。あるいは物質の(1/価数)に比例する。
この法則を、電気分解における'''ファラデーの法則'''という。あるいは単にファラデーの法則という。
;例1
AgNO<sub>3</sub>の電気分解では、電流1Fで物質量'''1mol'''のAgが析出する。なぜなら、Agは1価であり、反応式は
:<math> \mathrm{ Ag^+ + e^- \rightarrow Ag } </math>
のように反応するからである。
;例2
CuSO<sub>4</sub>の電気分解では、電流1Fで'''0.5mol'''のCuが析出する。なぜなら、Cuは'''2'''価であり、反応式は
:<math> \mathrm{ Cu^{2+} + 2e^- \rightarrow Cu } </math>
のように反応するから、銅を1分子ほど析出させるのに電子が2個ほど必要だからである。
;例3
H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>の電気分解では、電流1Fで'''0.5mol'''のH<sub>2</sub>が発生する。反応式は
:<math> \mathrm{ 2H^+ + 2e^- \rightarrow H_2 } </math>
のように反応するから、水素H<sub>2</sub>を1分子ほど発生させるのに電子が2個ほど必要だからである。
これ等の例のように、発生物の物質量を求める場合の手順は、
# まず反応式を書いてから、
# その式での、電子eの係数と生成物の係数との比を元に、発生物の物質量を計算する。
というふうに計算する。
== 亜鉛めっき ==
鉄の腐食を防ぐ目的で鉄の表面に亜鉛Znの薄膜をつけることがある。
これはイオン化傾向が亜鉛のほうが大きいので、腐食するときは亜鉛から腐食して、鉄の腐食が遅れるからである。
このような金属の表面に別の金属をつけることを'''めっき'''(鍍金)という。
鉄板や鋼板を亜鉛Znでめっきしたものを'''トタン'''という。
なお、めっきには他にもすずめっき(ブリキ)や金めっきや銀めっき、クロムめっきなどがある。他のめっきは、必ずしもイオン化傾向を利用して腐食を防ぐとは限らない。
== さびを防ぐ、その他の手法 ==
=== 範囲外: ペンキ塗装の目的と仕組み ===
:※ 科目『科学と人間生活』で大まかな塗装の意義について習う。(数研出版の教科書など。)
:(※ ペンキ塗装そのものは、電気などは、べつに利用していないが、ついでに学ぼう。なお、ペンキは、メッキではない。混同しないように。)
さびを防ぐには、空気や水との接触をふせぐのが効果的である。このため、建築では、鉄の部分の壁には、塗装をする場合が多い。
建築物で外壁の板金にペンキ塗装をしてある家庭が多い。ペンキ塗装する本来の目的は、サビなどの腐食を防ぐ事が、おもな目的である。(※ ここまで『科学と人間生活で習う。』)
:※ ときどき、「外壁の美観を向上する事だけがペンキ塗装の目的だ」というような勘違いしている、無知な大人がいる。
建築物で外壁の板金にペンキ塗装では、色のついた顔料の他にも、「上塗り」(うわぬり)および「下塗り」(したぬり)として樹脂製の塗料を塗っている。
ペンキで、外壁などに色をつける目的のひとつは、サビを防ぐための効果のある上塗り剤(うわぬりざい)・下塗り剤(したぬりざい)が年月の経過による劣化で落ちかけている場合に、目視で劣化を確認しやすくするための手段でもある。
:※ 無知な人の中には、上塗り材を、単なるツヤ出し剤だと誤解している人もいる。
プロの塗装工によるペンキ塗装では、色のついた塗料を塗る工程の前後に、
まず色塗りの前の工程として、ペンキの付着を向上するため及び(および)耐腐食性をあげるための下塗り(したぬり)をしており、また、色塗りの後の工程としてペンキが風雨で落ちないようにするため及び耐腐食性を上げるための上塗り(うわぬり)をしており、この下塗りと上塗りによって、耐腐食性を上げている。
:※ ときどき、自宅の外壁塗装の修繕(しゅうぜん)費用を安く済ませようとして、自分でペンキの顔料(色の部分)だけを購入して塗装をする人がときどき居るのだが、下塗りと上塗りの意味をしらずに、下塗りと上塗りの工程をはぶいてしまい、無駄な結果に終わってしまう人がいる。
:※ きみたち高校生は、無知な勘違いをしている馬鹿な大人には、ならないように気をつけよう。
=== 範囲外: ほうろう ===
:※ 科目『科学と人間生活』で大まかな「ほうろう」の意義について習う。(第一学習社の教科書など。)
(建物ではないが、)装飾品などで、金属にガラスを焼き付けることで、空気や水がその金属に接触するのを防ぐ手法もよくある。
このような手法を、「ほうろう」という。(※ ここまで、第一学習社の教科書などで習う。)
じつは、(装飾品などの他にも、「ほうろう」の用途はあり、)化学工場などで、腐食性の高い薬液が、その薬液が中にあるタンクやパイプなどに接触するのを防ぐために、内壁にガラスを焼き付けたりしてあるタンクやパイプを使う場合もある。(※ 工業高校の一部の科目の教科書で、紹介されている。)
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== イオン化傾向 ==
いくつかの金属は、酸の溶液に入れたとき、陽イオンになりやすい。
金属元素の単体を水または水溶液に入れたときの、陽イオンへのなりやすさを'''イオン化傾向'''(ionization tendency)という。
例として、亜鉛Znを希塩酸HClの水溶液に入れると、亜鉛Znは溶け、また亜鉛は電子を失ってZn<sup>2+</sup>になる。
:Zn + 2H<sup>+</sup> → Zn<sup>2+</sup> + H<sub>2</sub>
いっぽう、銀Agを希塩酸に入れても反応は起こらない。
このように金属のイオン化傾向の大きさは、物質ごとに大きさが異なる。
とりあえず、イオン化傾向の大きさを数式で表すと、
:Zn > Ag
である。
さて、銅を希塩酸の溶液に入れても、なにも反応しない。なので、
:Zn > Cu
である。
さて、銅と銀のイオン化傾向の大きさの大小関係は、以上の実験だけでは不明である。
なお、金属から放出された電子は、周囲の物質が受け取る。さきほどの亜鉛の陽イオン化の例の場合、周囲の水素イオンが電子を受け取り、水素になっている。
=== 銅と銀のイオン化傾向 ===
;硝酸銀溶液と銅の場合
そこで、銅と銀のイオン化傾向を比べるための実験例として、硝酸銀AgNO<sub>3</sub>の溶液に、銅線や銅板などの銅の固体を添加する。ここでは、銅板を添加したとしよう。すると、銅板の表面に銀が付着し、銀が析出する。いっぽう、この硝酸銀の溶液中では銅板は陽イオンとなり溶ける。溶液は、しだいに青くなるが、この青色は銅イオン溶液の色である。
以上の変化を反応式で書くと、
:Cu + 2Ag+ → Cu <sup>2+</sup> + 2Ag
なお、この反応で生じた銀を、生じ方が樹木が伸びるように析出した銀が伸びることから'''銀樹'''(ぎんじゅ)という。
;硫酸銅溶液と銀の場合
いっぽう、今度は溶液を変え、硫酸銅 Cu<sub></sub>SO<sub>4</sub> の溶液に銀板Agをいれても、なにも析出せず、なにも変化は起きない。
これらのことから、銅は銀よりもイオン化傾向が大きいであろうことが予測できる。
つまり、イオン化傾向の大きさの予想で、
:Cu > Ag
が予想できる。
=== 亜鉛と銅のイオン化傾向 ===
また溶液を変え、硫酸銅の水溶液に亜鉛板Znを添加すると、亜鉛の表面に銅が析出する。このことから、亜鉛Znは銅Cuよりもイオン化傾向が大きいことが予想できる。
つまり、イオン化傾向の大きさの予想で、
:Zn > Cu
が予想できる。
=== イオン化列と反応性 ===
==== イオン化列 ====
さまざまな溶液や金属の組み合わせで、イオン化傾向の比較の実験を行った結果、イオン化傾向の大きさが決定された。
左から順に、イオン化傾向の大きい金属を並べると、以下のようになる。
: Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H<sub>2</sub>) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
金属を、イオン化傾向の大きさの順に並べたものを金属の'''イオン化列'''という。
水素は金属では無いが比較のため、イオン化列に加えられる。
金属原子は、上記の他にもあるが、高校化学では上記の金属のみのイオン化列を用いることが多い。
イオン化列の記憶のための語呂合わせとして、
「リッチに貸そうかな、まあ、あてにすな、ひどすぎる借金。」
などのような語呂合わせがある。ちなみにこの語呂合わせの場合、
「リッチLi に Kか そう かCa なNa、まMg あAl、あZn てFe にNi すSn なPb、ひH2 どCu すHg ぎAg る 借金Pt,Au。」
と対応している。
{| class="wikitable"
|+ イオン化列と反応性
! イオン化列 || K || Ca || Na || Mg || Al || Zn || Fe || Ni || Sn || Pb || (H<sub>2</sub>) || Cu || Hg || Ag || Pt || Au
|-
|空気中での反応||colspan="3" |速やかに酸化 ||colspan="9" |表面に酸化皮膜 ||colspan="4" |酸化されない。
|-
|水との反応||colspan="3" |常温で反応して水素を発生。||colspan="4" |高温の水蒸気と反応||colspan="9" |<div align="center">反応しない。</div>
|-
|酸との反応||colspan="11" |塩酸、希硫酸と反応して水素を発生する。 ||colspan="3" |酸化力の強い酸(HNO<sub>3</sub>など)に溶ける。 ||colspan="2" |王水にのみ溶ける。
|}
==== 酸素との反応性 ====
イオン化傾向の大きい金属の溶解も、酸化の現象も、ともに物質からの電子の放出の現象であるように、一般にイオン化傾向が大きい金属ほど、酸化をされやすい金属である。
実際にK、Ca、Naの純物質の表面は、空気中ではすぐに酸化をして金属光沢を失い、放置すると内部まで酸化をする。
Mg、Al、Fe、Cuなどは、空気中に放置すると、やがて表面に酸化物の皮膜を生じる。酸化物の皮膜の化学式はそれぞれ、MgO 、Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 、Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 、Cu<sub>2</sub>O、CuO などである。
==== 水との反応 ====
水との反応と、イオン化傾向との関係については、アルカリ金属やアルカリ土類金属のK , Ca , Naとは、常温で水と激しく反応し、水酸化物を生じ、また、水素を発生する。
マグネシウム Mg は常温の水とは反応しづらく、沸騰させた水にMgを入れた場合や、高温の水蒸気に Mg を作用させた場合には、反応して水酸化物および水素を発生する。
:Mg + 2H<sub>2</sub>O → Mg(OH)<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>
Al、Zn、Feでは、金属を加熱した状態で、高温の水蒸気を作用させると反応が起こり、酸化物および水素を発生する。反応後の生じる物質は、「水酸化物」では無く、「酸化物」なので注意。
:2Al + 3H<sub>2</sub>O → Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> + 3H<sub>2</sub>
:3Fe + 4H<sub>2</sub>O → Fe <sub>3</sub>O<sub>4</sub> + 4H<sub>2</sub>
Niおよび、Niよりイオン化傾向の小さい金属は、水とは反応しない。
==== 酸との反応 ====
一般に、水素よりもイオン化傾向の大きい金属の単体は、希硫酸や塩酸などと反応し、酸のH<sup>+</sup>を還元するので水素を発生し、金属自身は陽イオンになる。
:(参考:イオン化列) K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H<sub>2</sub>) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
* Mgと酸
Mgは希塩酸とも強く反応し、水素を生じる。
(KやCaについては、溶媒の水そのものと激しく反応するので、ここでは考察対象から外される。)
* Al,Zn,Feと酸
Al,Zn,Feは希塩酸 HCl や希硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> とも反応し、水素を発生する。
:2Al + 3H<sub>2</sub>O → Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> + 3H<sub>2</sub>
:Zn + 2HCl → ZnCl<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>
:Fe + H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> → FeSO<sub>4</sub> + H<sub>2</sub>
* Pbと酸
Pbは希酸とは反応しない。
* Cu,Hg,Agと酸
Cu,Hg,Agは塩酸や希硫酸には溶けない。これらCuとHgとAgは、水素よりもイオン化傾向が小さい。これを溶かす酸には、硝酸HNO<sub>3</sub>か、熱した濃硫酸H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>が必要である。これらの酸(HNO<sub>3</sub> あるいは H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>)は、強い酸化力をもつ。
:(濃硝酸) 3Cu + 8HNO<sub>3</sub> → 3Cu( NO<sub>3</sub> )<sub>2</sub> + 2NO + 4H<sub>2</sub>O
:(希硝酸) Cu + 4HNO<sub>3</sub> → Cu( NO<sub>3</sub> )<sub>2</sub> + 2NO<sub>2</sub> + 2H<sub>2</sub>O
:(熱濃硫酸) Cu + 2H2SO<sub>4</sub> → CuSO<sub>4</sub> + 2H<sub>2</sub>O + 2SO<sub>2</sub>
これらの反応のとき、水素は発生せず、希硝酸では NO が発生し、濃硝酸では NO<sub>2</sub> が発生し、硫酸では二酸化硫黄 SO<sub>2</sub> が発生する。
* Pt,Auと酸
Pt,Auは硝酸や濃硫酸では溶けない。これを溶かす酸は、'''王水'''(おうすい、ラテン語: aqua regia)と呼ばれる、濃塩酸と濃硝酸の混合液を、体積比が塩酸3:硝酸1の体積割合で混合した混合酸で溶ける。王水は酸化作用がきわめて強い。
* Al,Fe,Niの不動態
Al,Fe,Niは濃硝酸には溶けない。濃硝酸にひたすと、表面が反応し、緻密な酸化膜が表面にでき、内部にまでは反応が進行しなくなる。このような状態を'''不動態'''(ふどうたい)という。
== 電池の仕組み ==
二種類の金属単体を電解質水溶液に入れると電池ができる。これは[[イオン化傾向]](単体の金属の原子が水または水溶液中で電子を放出して陽イオンになる性質)が大きい金属が電子を放出して陽イオンとなって溶け、イオン化傾向の小さい金属が析出するためである。
電子の流れ出す側の電極の金属を'''負極'''(ふきょく、negative electrode)という。電子を受け取る側の金属の電極を'''正極'''(せいきょく、positive electrode)という。
この「正」と「負」は、(電極どうしをつないだ)銅線を基準に考えた視点である。
通常、イオン化傾向の大きい方の金属が負極になる。一方、イオン化傾向の小さい方の金属が正極になる。
なぜなら、イオン化傾向の大きい金属のほうが、陽イオンになって溶け出す結果、金属板には残された電子が多く蓄積するので、もし両方の金属板を銅線でつなげば、イオン化傾向の大きい方から小さい方に電子は流れる。「電流」では無く、「電子」としていることに注意。電子は負電荷であるので、電流の流れと電子の流れは、逆向きになる。
電池の、正極と負極とのあいだに生じる電位差(でんいさ)を、起電力という。
== 電池の種類 ==
=== ダニエル電池 ===
ダニエル電池(Daniell cell)とは、亜鉛板Znを入れたZnSO<sub>4</sub>水溶液と、銅板Cuを入れたCuSO<sub>4</sub>水溶液を、両方の溶液が混ざらないようにセロハンや素焼き板(溶液は混合しないがイオンは通過できる)で区切ってできる電池。セロハンや素焼き板の間をSO<sub>4</sub><sup>2-</sup>が亜鉛板側に移動する。CuSO<sub>4</sub>水溶液は濃く、ZnSO<sub>4</sub>水溶液は薄い方がよい(Znの溶出が進み、Cuの析出が進む方向)。
陽極(負極)での反応
:Zn → Zn<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup>
陰極(正極)での反応
:Cu<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu
電池図
:(-) Zn| Zn</sub>SO<sub>4</sub>aq | CuSO<sub>4</sub>aq |Cu (+)
起電力:1.1ボルト
=== 乾電池 ===
[[画像:Zincbattery.png|200px|thumb|right|マンガン乾電池の内部構造<br>1.正極端子 2.集電体(炭素棒) 3.負極(亜鉛) 4.正極(二酸化マンガン) 5.電解液(塩化亜鉛・塩化アンモニウム) 6.負極端子]]
電池の電解液は、文字通り「液体」なので、そのままでは持ち運びに不便である。そこで、改善策としてなんらかの方法で、電解液を固体状に固める発想が出てきた。
電解質溶液に添加物を加えて、電解質をペースト状にかためた電池を'''乾電池'''(dry cell)という。
代表的な乾電池としてマンガンを用いた'''マンガン乾電池'''(zinc–carbon battery)がある。
;マンガン乾電池
電池図は、
:(-) Zn | ZnCl<sub>2</sub>aq, NH<sub>4</sub>Claq | MnO<sub>2</sub>,C (+)
である。
反応式は、負極では亜鉛が以下のように反応して溶け出る。
:<math> \mathrm{ Zn \rightarrow Zn^{2+} + 2e^- } </math>
:<math> \mathrm{ Zn^{2+}+4NH_4^{+} \rightarrow [Zn(NH_3)_4]^{2+} + 4H^+ } </math>
正極の炭素棒は電子を媒介するだけで、炭素そのものは反応しない。電子を受け取るのはMnO<sub>2</sub>である。
=== 鉛蓄電池 ===
[[ファイル:Photo-CarBattery.jpg|200px|thumb|鉛蓄電池の外観。(自動車用)]]
ボルタの電池や乾電池は、使用していると、だんだん起電力が低下してしまい、もとには戻らない。
そして、いつかは起電力が無くなる。このような使った分は戻らない電池を'''一次電池'''(primary cell)という。
いっぽう、ダニエル電池や、鉛蓄電池という電池は、外部から電気を与えることで元に戻すことができる。
電池を元の状態へと回復させる場合には、外部電源により、電池の放電時とは逆向きに電流を流す。このようにして、消費した電池をもとの状態に戻すことを'''充電'''(じゅうでん、charge)という。
充電により繰り返して使用ができる電池を蓄電池あるいは'''二次電池'''(secondary cell)という。
充電によって、元に戻る理由は、放電時との逆反応が起こるからである。
ボルタ電池では、正極で発生した水素は空気中に散逸するので、逆電圧を加えても放電時の逆反応を起こす物質がないため、逆反応ができない。
充電の用語に対して、いっぽう、電池を使用している状態を'''放電'''(ほうでん、discharge ディスチャージ)という。
鉛電池の電池図は、
:(-) Pb | H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aq | PbO<sub>2</sub> (+)
起電力は電極1組あたり、約2.1Vである。(実際の製品では、容器内に複数組の電池が直列または並列になっている。)
放電時の反応は、
負極(-)では
:<math> \mathrm{ Pb + SO_4 \rightarrow PbSO_4 + 2e^- } </math>
がおこり、正極(+)では、
:<math> \mathrm{ PbO_2 + 4H^+ + SO_4{}^{2-} + 2e^- \rightarrow PbSO_4 + 2H_2O } </math>
がおこる。正極の負極がともに硫化されていることから分かるように、放電によって、電解液である硫酸は消費され、硫酸の濃度は低下していく。
鉛蓄電池の実用例として、自動車のバッテリとして、よく用いられている。
;鉛蓄電池の充電
充電時の場合は、以下の反応が起こる。
負極(-)では
:<math> \mathrm{ PbSO_4 + 2e^- \rightarrow Pb + SO_4} </math>
がおこり、正極(+)では、
:<math> \mathrm{ PbSO_4 + 2H_2O \rightarrow PbO_2 + 4H^+ + SO_4{}^{2-} + 2e^-} </math>
というふうに、逆反応がおこる。
:まとめ
鉛電池は希硫酸中にPbとPbO<sub>2</sub>を極板として入れた電池。
陽極(負極)での反応
:Pb + SO<sub>4</sub><sup>2-</sup> → PbSO<sub>4</sub> + 2e<sup>-</sup>
陰極(正極)での反応
:PbO<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> + 2e<sup>-</sup> + SO<sub>4</sub><sup>2-</sup> → PbSO<sub>4</sub> + 2H<sub>2</sub>O
電池図
:(-) Pb|H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>|PbO<sub>2</sub> (+)
起電力:2.1ボルト
=== 燃料電池 ===
[[Image:Solid oxide fuel cell protonic.svg|thumb|燃料電池。 (水素-酸素系)<br>左側から供給された水素 H<sub>2</sub> の一部は、正極でイオン化され、負極にたどり着き、酸素 O<sub>2</sub> と反応し水になる。<br>anode = 陰極 , cathode = 正極 , Fuel = 燃料 , electrolyte = 電解質 .]]
水素などの陽極の燃料を、触媒を用いてイオン化させ、余った電子を取り出す電池。陽極の燃料が水素の場合は、陰極で酸素および回収した電子と反応し水になる。
様々な方式の燃料電池がある。
'''リン酸型燃料電池'''の場合、
:(ー)H<sub>2</sub>|H<sub>3</sub>PO<sub>4</sub>aq|O<sub>2</sub>(+)
電解質にリン酸水溶液を用いている。負極に水素を供給する必要があり、正極に酸素を供給する必要のある電池である。
負極で起きる反応は、
:(負極) 2H<sub>2</sub> → 4H<sup>+</sup> +4e<sup>-</sup>
である。負極で生じた水素イオンが電解質を移動し、反対側の正極にまで達し、つぎの反応が起きる。
:(正極) O<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> +4e<sup>-</sup> → 2H<sub>2</sub>O
つまり、水素イオンが酸素によって酸化したわけである。つまり、水素イオンが燃焼したわけである。
この方式の燃料電池の反応式については、高校生はとりあえず、負極で水素が反応して水素イオンが発生することを、覚えておけばよい。そして、正極では酸素と反応して水が生じることを覚えておけばよい。
起電力は約1.2V(1.2ボルト)である。このリン酸型燃料電池は、酸素の酸化によって生じたエネルギーの一部を、電気エネルギーにしている装置として、解釈できる。
水の電気分解の、逆の原理であると、解釈してよい。
なお、正極と負極は多孔質になっており、水素や酸素を通過させられるようになっている。
この燃料電池の生成物が水なので、環境にやさしいと考えられおり、開発が進められており、一部は実用化もしている。
また、反応源の水素を発生するためにも、電気分解などの電力エネルギーなど、なんらかのエネルギーが必要なことから、この電池は、水素のエネルギーを電気エネルギーに変換している装置として、解釈もできる。
なお、アメリカのアポロ宇宙船に用いられた燃料電池はアルカリ型の方式のものであり、リン酸型ではない。
'''アルカリ型燃料電池'''とは、電解質に水酸化カリウム KOH などを用いる方式である。
:(ー)H<sub>2</sub>|KOHaq|O<sub>2</sub>(+)
他に、固体高分子型や固体酸化物型などがある。
=== リチウムイオン電池 ===
:負極: Liと黒鉛Cの化合物
:電解液: リチウム塩および有機溶媒
:正極: コバルト酸リチウム LiCoO<sub>2</sub>
:起電力: 約 4V
:ニ次電池
リチウムイオン電池は軽く、電気の容量も大きいので、携帯電話やノートパソコンなどの充電池として利用されている。
=== ※ 参考: その他の実用電池 ===
実用電池には上述した乾電池や鉛蓄電池の他にも、さまざまな電池があるが、イオン化傾向を利用しているということなどの基本的な仕組みは、あまり変わらない。
その他の実用されている化学電池には、
* アルカリマンガン電池
* 銀電池
* リチウム電池
* ニッケルカドミウム電池
などがある。
{| class="wikitable"
|+ 実用電池 (一次電池)
|-
! rowspan="2"| 名称 || colspan="3" |電池の構成|| rowspan="2"| 起電力
|-
! 負極 !! 電解質 !! 正極
|-
! マンガン電池
| Zn
| ZnCl<sub>4</sub>, NH<sub>4</sub>Cl
| MnO<sub>2</sub>
| 1.5 V
|-
! アルカリマンガン乾電池
| Zn
| KOH
| MnO<sub>2</sub>
| 1.5 V
|-
! リチウム電池
| Li
| 有機電解質
| MnO<sub>2</sub> など
| 3.0 V
|-
! 銀電池
| Zn
| KOH
| Ag<sub>2</sub>O
| 1.55 V
|-
! 空気亜鉛電池<br>(空気電池)
| Zn
| KOH
| O<sub>2</sub>
| 1.4 V
|-
|}
{| class="wikitable"
|+ 実用電池 (二次電池)
|-
! rowspan="2"| 名称 || colspan="3" |電池の構成|| rowspan="2"| 起電力
|-
! 負極 !! 電解質 !! 正極
|-
! 鉛蓄電池
| Pb
| H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>
| PbO<sub>2</sub>
| 2.0 V
|-
! ニッケル・カドミウム電池
| Cd
| KOH
| NiO(OH)
| 1.2 V
|-
! ニッケル水素電池
| MH<br>(水素吸蔵合金)
| KOH
| NiO(OH)
| 1.2 V
|-
! リチウムイオン電池
| Liをふくむ黒鉛
| リチウム塩
| LiCoO<sub>2</sub>
| 3.7 V
|-
|}
;アルカリマンガン電池
:負極: Zn
:電解液: KOH水溶液
:正極: MnO<sub>2</sub>
:起電力: 1.5V
;銀電池
:負極: Zn
:電解液: KOH水溶液
:正極: Ag<sub>2</sub>O
:起電力: 1.55V
:一次電池
銀電池は電圧が安定しているため、時計や電子体温計などに用いられる場合が多い。
;リチウム電池
:負極: Li
:電解液: LiClO<sub>4</sub> および有機溶媒
:正極: (CF)<sub>n</sub>
:起電力: 3.0V
:一次電池
リチウムは水と反応するので、電解質に水を使うことができない。このため、エチレンカーボネートなどの有機物を電解に用いる。
リチウム電池は長寿命のため、時計や電卓、心臓用ペースメーカなどに用いられている。
;空気電池
:一次電池
空気電池は軽量なので、よく補聴器に用いられている。購入時には、空気の侵入をふせぐシールが貼られている。使用し始める際には、シールをはがす。シールをはがすと放電が始まる。はがしたシールを貼り直しても、保存は効かない。
;ニッケルカドミウム電池
:負極: Cd
:電解液: KOH水溶液
:正極: オキシ水酸化ニッケル NiO(OH)
:起電力: 1.2V
:ニ次電池
ニッケルカドミウム電池は電動工具などによく利用されている。カドミウムの有害性の問題があるので、生産量は減少しており、代替品としてニッケル水素電池に置き換えられていっている。
;ニッケル水素電池
:負極: 水素吸蔵合金(MH)
:電解液: KOH水溶液
:正極: オキシ水酸化ニッケル NiO(OH)
:起電力: 1.3V
:ニ次電池
負極の水素吸蔵合金は、結晶格子の間に水素を取り込め、必要に応じて取り込んだ水素を放出できる。ニッケル水素電池は自動車のハイブリッドカーのバッテリーに用いられる。なお、水素記号のことを記号でMHと表す場合もある。
'''ボルタ電池'''[[File:ボルタの電池.svg|thumb|400px|ボルタの電池の原理図。酸が硫酸ではなく塩酸 HCl の場合。]]ボルタ電池は教科書では次のような説明がされるが、不正確な部分があるため、定期試験で出題されない限りは、覚える必要はない。
:希硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> の中に亜鉛板Znと銅板Cuを入れたもの。
負極(亜鉛板)での反応
:Zn → Zn<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup>
正極(銅板)での反応
:2H<sup> + </sup> + 2e<sup>-</sup> → H<sub>2</sub>↑
==== 起電力 ====
ボルタの電池では、得られる両極間の電位差は、1.1Vである。起電力は、両電極の金属の組み合わせによって決まる物質固有の値である。
==== 電池と酸化還元との関係 ====
ボルタの電池の亜鉛板で起きている反応は、電子を放出することから酸化反応である。また銅板で起きている反応は、電子を受けとっているので還元反応である。
=== 電池図 ===
ボルタ電池の構造を以下のような文字列に表した場合、このような表示を'''電池図'''あるいは'''電池式'''という。
:(-) Zn | H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aq |Cu (+)
aqは水のことである。H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aqと書いて、硫酸水溶液を表している。
==== 分極 ====
ボルタ電池では、正極の銅板で発生する水素が銅板を包むので、銅板と溶媒とのあいだの電子の移動が妨げられる'''分極'''が起きる。このような分極を防ぐために酸化剤を溶液に加える。この分極を防ぐ目的で加える酸化剤を'''減極剤'''という。減極剤としては過酸化水素水 H<sub>2</sub>O<sub>2</sub>,またはMnO<sub>2</sub>,またはPbO<sub>2</sub>を使用する。{{clear}}
== 電気分解 ==
電解質の水溶液に、電極を2本入れて、それぞれの電極に、外部の直流電源から電気を通じると、各電極で水溶液中の物質に化学反応を起こせる。これを'''電気分解'''という。
電気分解で、直流電源の負極につないだ側の電極を'''陰極'''という。
電気分解で、直流電源の正極につないだ側の電極を'''陽極'''という。
陰極の電荷は、電源の負極から電子が送られてくるので、陰極は負電荷に帯電する。いっぽう、陽極の電荷は、正電荷に帯電する。
なお、電気分解の電極には、化学的に安定な白金 Pt や炭素 C などを用いる。
電気分解のさい、陽極では酸化反応が起こり、陰極では還元反応が起こる。
一般に電気分解で反応を起こしたい対象は「水溶液」であり、電極そのものは反応を起こしたい対象ではないので、混同しないように注意のこと。外部の文献などでは、説明の簡略化のため、電気分解では「電極での反応」などという事が多いが、電極そのものが析出をするのでは無いので、間違えないように。
この電気分解の実用例として、金属の精錬に利用されている。
陰イオンのイオン化傾向は<chem>NO3^- > SO4^2- > OH^- > Cl^- > Br^- > I^-</chem>である。語呂合わせとして、{{Ruby|昇|NO3-}}{{Ruby|龍|SO4^2-}}の{{Ruby|水|OH-}}は{{Ruby|演|Cl-}}{{Ruby|習|Br-}}{{Ruby|用|I-}}がある。{{Ruby|昇|NO3-}}
=== 電気分解の反応 ===
==== 陰極での反応 ====
水溶液の電気分解では、水溶液中で、もっとも還元されやすい物質が電子を受け取り、還元反応が起こる。
:・ なので、Cu<sup>2+</sup>、Ag<sup>+</sup>などのイオン化傾向の小さい金属イオンが溶けていれば、これらの金属が析出する。
:・ K<sup>2+</sup>、Na<sup>+</sup>などのイオン化傾向の大きい金属イオンしか溶けてない場合、かわりにH<sub>2</sub>Oが還元されるため水素H<sub>2</sub>が発生する。
==== 陽極での反応 ====
電極がPt,Au,炭素の場合、イオン化傾向が OH<sup>-</sup> より小さい Cl<sup>-</sup>,I<sup>-</sup> ,Br<sup>-</sup> があれば、酸化されてCl<sub>2</sub>、I<sub>2</sub>などが発生する。
イオン化傾向が OH<sup>-</sup> より大きい SO<sub>4</sub><sup>2-</sup>、NO<sub>3</sub><sup>-</sup> は酸化されにくいため、かわりにH<sub>2</sub>Oが還元される酸素O<sub>2</sub>が発生する。
塩基性溶液では、OH<sup>-</sup>が酸化されてO<sub>2</sub>が発生する。
白金や炭素以外の物質を陽極(Cuの場合が多い)にした場合、陽極が酸化されて溶け出す。
=== 塩化銅水溶液の電気分解 ===
電極には、炭素電極または白金 Pt を用いる。塩化銅CuCl<sub>2</sub>水溶液では、陰極付近の水溶液では、電源から電子が送られてくるので以下の還元反応が起こり、陰極からは銅が析出する。
:陰極: Cu+ + 2e<sup>-</sup> → Cu
陽極では、電源へ電子が奪われるので、以下の酸化反応が起こり、陽極からは塩素が発生する。
:陽極: 2Cl<sup>-</sup> → Cl<sub>2</sub> + 2e<sup>-</sup>
=== 硫酸銅(II)水溶液の電気分解 ===
電極には、白金 Pt を用いるとする。硫酸銅 CuSO<sub>4</sub> 水溶液。
:陰極: Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu
陰極での反応は還元反応である。
:陽極: 2H<sub>2</sub>O → O<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> + 4e<sup>-</sup>
陽極での反応は酸化反応である。
この硫酸銅での電気分解の現象は、銅の電気精錬に応用されている。
=== 水の電気分解 ===
純水な水は電気を通さないので、導電性を高めるために硫酸か水酸化ナトリウムを加える。
;水酸化ナトリウムを加えた場合
H2とNaのイオン化傾向を比べた場合、Na>H<sub>2</sub>なので、陰極で還元されるのは水素イオンH<sup>+</sup>である。
:陰極: 2H<sup>+</sup> + 2e<sup>-</sup> → H<sub>2</sub>↑
陰極では、水素H<sub>2</sub>が発生。
:陽極: O<sub>2</sub>が発生。<br />
=== 電気分解の実用例 ===
==== 水酸化ナトリウムの製造 ====
:※ 教科書の範囲内。『化学基礎』科目で習う場合も多い。
工業的に水酸化ナトリウムの作る際に、イオン交換膜をもちいて設備で、食塩水を電気分解する方法が利用されている。
[[File:イオン交換膜法によるNaOHの製造法.svg|thumb|500px|イオン交換膜法によるNaOHの製造法<br>(※ この反応で陰極側に加える液体は、図では「純水」としてあるが、実際は導電性をもたせるために、うすめの水酸化ナトリウムを加える。検定教科書では「純水」と表記してある教科書もあるので、高校生は、気にしなくて良い。)]]
図のように陽イオン交換膜による隔壁でへだてて片方に陽極、もう片方に陰極の電極を配置する。
そして、陽極側にNaCl水溶液を入れる。電圧をなにも加えて無い状体では、NaイオンとClイオンに分離している。
そして電圧を加えると、電気分解が起きる。
陰極では
:<math> \mathrm{ 2H_2O + 2e^- \rightarrow H_2 + 2OH^- } </math> (還元)
陽極では
:<math> \mathrm{ 2Cl^- \rightarrow Cl_2 + 2e^-} </math> (酸化)
という反応が起きる。
その結果、Cl<sup>-</sup>イオンが発生する。このCl<sup>-</sup>イオンは陽イオン交換膜を通れず、Cl<sup>-</sup>イオンはそのまま陽極側にとどまる。そしてCl<sup>-</sup>イオンは陽極のプラス電荷を受け取って塩素ガスになり気体となって排出される。
いっぽうで、Na<sup>+</sup>イオンはそのまま水溶液中にとどまり、また陽イオン交換膜を通過する。
いっぽう陰極側ではOH<sup>-</sup>は陽イオン交換膜を通過できないので、そのまま陰極側にとどまる。また、水素イオンH<sup>+</sup>は陰極で電荷を受け取り、水素ガスを発生して、排出される。
こうして、陰極側の溶液ではNa<sup>+</sup>イオンとOH<sup>-</sup>イオンばかりになる。
Naはイオン化傾向が水よりも大きいので、陰極ではNa<sup>+</sup>はイオンのままである。なので陰極では水H<sub>2</sub>Oだけが還元されてOH<sup>-</sup>ができる。
こうして、陰極ではNaOHの濃度の高い水溶液が得られる。この水溶液を濃縮することによって、水酸化ナトリウムNaOHが得られる。
* 備考
現在、日本で工業的に水酸化ナトリウムを生産する方法は、イオン交換膜法である。
:※ なお「アンモニアソーダ法」は炭酸水素ナトリウムの製法である。混同しないように。
;隔膜法
以前は、アスベストなどをもちいた「隔膜法」(かくまくほう)が用いられていた。この隔膜法も、電気分解を用いる。濃い食塩水(塩化ナトリウム水溶液)を電気分解する方法で水酸化ナトリウムは生産できる。電気分解したときに、塩素の気体が発生するので、気体を排出することにより、溶液中にNa<sup>+</sup>イオンを多くさせている。
なお、陽イオン交換膜をもちいた方法とは違い、隔膜法の隔膜では塩素イオンも通過してしまうので、この方法では、得られる水溶液に不純物としてNaClが混ざる。
またなお、陽極は炭素Cである。陰極は鉄網Feである。隔膜の外部を鉄網で覆っている。
陽極では
:<math> \mathrm{ 2Cl^- \rightarrow Cl_2 + 2e^-} </math>
陰極では
:<math> \mathrm{ 2H_2O + 2e^- \rightarrow H_2 + 2OH^- } </math>
という反応が起きる。Naはイオン化傾向が水よりも大きいので、水が還元されてOH<sup>-</sup>ができる。
陰極で発生したOH<sup>-</sup>によってNaOHができるが、そのままだと陽極のCl2と反応してしまいNaClになってしまうので、NaとClとを結合させず隔離するために、隔膜としてアスベスト(「石綿」ともいう。)などでつくった多孔質の膜を用いる。アスベストは人体に有害である。
* 水銀法
昔の水酸化ナトリウムの製法では、水銀をもちいた水銀法という生産方法もあったが、水銀の有毒性に対する環境保護政策のため、現在(2013年)では日本での水酸化ナトリウムの工業生産では、水銀法は用いていない。
なお、水酸化ナトリウムのことを苛性ソーダ(かせいソーダ)ともいうので、自主調査する場合は、この呼び方も参考に。
==== 銅の精錬 ====
[[File:Electrorefining copper jp.svg|thumb|400px|銅の電気精錬]]
銅の鉱石を、コークスCなどとの加熱反応で還元したものは、純度が約99%で、'''粗銅'''(そどう)とよばれる。粗銅には、亜鉛や銀などの不純物が含まれるので、純度をあげためには、これら亜鉛などを分離する必要があり、そのために電解が利用されている。
硫酸銅(II)水溶液をもちいる。そのさいの電極(陽極)に、純度をあげたい銅を用いる。つまり、粗銅を陽極に用いる。純度の高い銅を陰極に用いる。電気分解により、次の反応が起こる。
:陰極: Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu
:陽極: Cu → Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup>
陽極からは、銅だけが溶け出すのではなく、イオン化傾向の大きい鉄や亜鉛やニッケルなども溶け出す。しかし陰極で析出するのは、ほとんど銅だけなので、よって陰極にて高純度の銅が得られる、という仕組みである。
粗銅中に銀や金が含まれていた場合、イオン化傾向が銅よりも小さい銀や金は、陽極の下に沈殿する。これを'''陽極泥'''(ようきょくでい、anode slime)という。陽極泥には、金や銀などが含まれているので、ここから金や銀を回収する。
陰極には純度の高い純度99.99%程度の銅が析出する。これを純銅(じゅんどう)という。
==== 融解塩の電解 ====
アルミニウムやマグネシウムやアルカリ金属やアルカリ土類金属はイオン化傾向が大きいため、そのイオンをふくむ溶液を電気分解しても、アルミニウムなどの単体は得られない。そこで、イオン化傾向の大きい金属を電気分解で得たいときは、塩や酸化物を融解し、これを電気分解することで単体を得る。このような方法を、'''溶融塩電解'''(ようゆうえん でんかい)という。
===== アルミニウムの精錬 =====
酸化アルミニウムAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の電気分解によって、アルミニウムが得られる。
酸化アルミニウムAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>じたいは、鉱石のボーキサイト(Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>・nH<sub>2</sub>O)から、つくられる。そのボーキサイトからの酸化アルミニウムのつくりかたの説明は省略する(検定教科書でも、くわしい説明は省略)。Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は、アルミナとも呼ばれる。
アルミニウムを得たい場合、アルミナAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は融点 2072 °Cと非常に高いため、そのままでは融解させづらい。そこで融点を下げるため、氷晶石Na<sub>3</sub> AlF<sub>6</sub>(融点 1012℃)を、割合が氷晶石9.5重量%ほど加えると、溶融温度が下がり、融点が約970℃になる。これを炭素電極によって電気分解によって、陰極で、アルミニウムができる。
陽極では、電極の炭素が空気中の酸素と反応して、COやCO<sub>2</sub>ができる。
:(陰極) Al<sup>3+</sup> + 3e<sup>-</sup> → Al
この一連のアルミニウムの電解方法を'''ホール・エルー法'''(ホール・エルーほう、Hall-Héroult process)という。名前の由来は発明者であるアメリカ人ホールとフランス人エルーである。
:※ 化学Ⅱで金属の精錬を扱う。
=== 電気分解と電気量との関係 ===
==== 単位の定義 ====
;クーロン
1A(アンペア)の電流が1秒間、流れこんで貯まったときの電気量を1'''クーロン'''という。記号はCであり、1クーロンは1Cと書く。
このアンペアに基づく定義は、現在(西暦2013年)での、1クーロンの定義である。
電気量をQ[C]とすると、電流i[A]で時間t秒の電流を流した場合は、Q[C]とi[A]とt[S]の関係は、
:Q = i × t
である。
;ファラデー定数
1molの数の価電子がもつ電荷は約96500 Cであることが実験的に確認されている。そこで、この96500 C/mol を'''ファラデー定数'''(ファラデーていすう、英: Faraday constant)という。記号はFで表す。1F = 96500 C/mol である。
また、別の科学者の実験により(物理学者ミリカン(人名)による油滴の帯電の静電気力の測定実験など)、
電子1個のもつ電子の電荷の大きさも分かっており
電子1個の電荷は 1.60×10<sup>-9</sup> [C]である。
普通、数式では電荷の文字はeで表すので、
:e = 1.60×10<sup>-9</sup> [C]
である。
計算を実際にしてみると、電子1個の電荷に、1モルぶんの粒子の個数を掛け算したものは、下記のように、たしかにファラデー定数に近い数字になる。
:<math> 1.60 \times 10^{-19} \times 6.02 \times 10^{23} = 96500 </math>
である。
電気素量に1molも個数6.02×10<sup>24</sup>をかけると、約96500になる。(読者は計算して、これを確かめよ。)
また、この計算の事実は、価電子が確かに電子であることとみなすことの妥当性も実証している。
なお電子1個のもつ電荷の大きさ e = 1.60×10<sup>-9</sup> [C] のことを電気素量(でんき そりょう)という。
==== ファラデーの電気分解の法則 ====
* 電気分解によって、電極で変化する物質量は、与えた電気量に比例する。
* 電気分解によって、価数の異なる物質の変化を比べた場合、同じ電気量で変化する物質量は物質の価数に反比例する。あるいは物質の(1/価数)に比例する。
この法則を、電気分解における'''ファラデーの法則'''という。あるいは単にファラデーの法則という。
;例1
AgNO<sub>3</sub>の電気分解では、電流1Fで物質量'''1mol'''のAgが析出する。なぜなら、Agは1価であり、反応式は
:<math> \mathrm{ Ag^+ + e^- \rightarrow Ag } </math>
のように反応するからである。
;例2
CuSO<sub>4</sub>の電気分解では、電流1Fで'''0.5mol'''のCuが析出する。なぜなら、Cuは'''2'''価であり、反応式は
:<math> \mathrm{ Cu^{2+} + 2e^- \rightarrow Cu } </math>
のように反応するから、銅を1分子ほど析出させるのに電子が2個ほど必要だからである。
;例3
H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>の電気分解では、電流1Fで'''0.5mol'''のH<sub>2</sub>が発生する。反応式は
:<math> \mathrm{ 2H^+ + 2e^- \rightarrow H_2 } </math>
のように反応するから、水素H<sub>2</sub>を1分子ほど発生させるのに電子が2個ほど必要だからである。
これ等の例のように、発生物の物質量を求める場合の手順は、
# まず反応式を書いてから、
# その式での、電子eの係数と生成物の係数との比を元に、発生物の物質量を計算する。
というふうに計算する。
== 亜鉛めっき ==
鉄の腐食を防ぐ目的で鉄の表面に亜鉛Znの薄膜をつけることがある。
これはイオン化傾向が亜鉛のほうが大きいので、腐食するときは亜鉛から腐食して、鉄の腐食が遅れるからである。
このような金属の表面に別の金属をつけることを'''めっき'''(鍍金)という。
鉄板や鋼板を亜鉛Znでめっきしたものを'''トタン'''という。
なお、めっきには他にもすずめっき(ブリキ)や金めっきや銀めっき、クロムめっきなどがある。他のめっきは、必ずしもイオン化傾向を利用して腐食を防ぐとは限らない。
== さびを防ぐ、その他の手法 ==
=== 範囲外: ペンキ塗装の目的と仕組み ===
:※ 科目『科学と人間生活』で大まかな塗装の意義について習う。(数研出版の教科書など。)
:(※ ペンキ塗装そのものは、電気などは、べつに利用していないが、ついでに学ぼう。なお、ペンキは、メッキではない。混同しないように。)
さびを防ぐには、空気や水との接触をふせぐのが効果的である。このため、建築では、鉄の部分の壁には、塗装をする場合が多い。
建築物で外壁の板金にペンキ塗装をしてある家庭が多い。ペンキ塗装する本来の目的は、サビなどの腐食を防ぐ事が、おもな目的である。(※ ここまで『科学と人間生活で習う。』)
:※ ときどき、「外壁の美観を向上する事だけがペンキ塗装の目的だ」というような勘違いしている、無知な大人がいる。
建築物で外壁の板金にペンキ塗装では、色のついた顔料の他にも、「上塗り」(うわぬり)および「下塗り」(したぬり)として樹脂製の塗料を塗っている。
ペンキで、外壁などに色をつける目的のひとつは、サビを防ぐための効果のある上塗り剤(うわぬりざい)・下塗り剤(したぬりざい)が年月の経過による劣化で落ちかけている場合に、目視で劣化を確認しやすくするための手段でもある。
:※ 無知な人の中には、上塗り材を、単なるツヤ出し剤だと誤解している人もいる。
プロの塗装工によるペンキ塗装では、色のついた塗料を塗る工程の前後に、
まず色塗りの前の工程として、ペンキの付着を向上するため及び(および)耐腐食性をあげるための下塗り(したぬり)をしており、また、色塗りの後の工程としてペンキが風雨で落ちないようにするため及び耐腐食性を上げるための上塗り(うわぬり)をしており、この下塗りと上塗りによって、耐腐食性を上げている。
:※ ときどき、自宅の外壁塗装の修繕(しゅうぜん)費用を安く済ませようとして、自分でペンキの顔料(色の部分)だけを購入して塗装をする人がときどき居るのだが、下塗りと上塗りの意味をしらずに、下塗りと上塗りの工程をはぶいてしまい、無駄な結果に終わってしまう人がいる。
:※ きみたち高校生は、無知な勘違いをしている馬鹿な大人には、ならないように気をつけよう。
=== 範囲外: ほうろう ===
:※ 科目『科学と人間生活』で大まかな「ほうろう」の意義について習う。(第一学習社の教科書など。)
(建物ではないが、)装飾品などで、金属にガラスを焼き付けることで、空気や水がその金属に接触するのを防ぐ手法もよくある。
このような手法を、「ほうろう」という。(※ ここまで、第一学習社の教科書などで習う。)
じつは、(装飾品などの他にも、「ほうろう」の用途はあり、)化学工場などで、腐食性の高い薬液が、その薬液が中にあるタンクやパイプなどに接触するのを防ぐために、内壁にガラスを焼き付けたりしてあるタンクやパイプを使う場合もある。(※ 工業高校の一部の科目の教科書で、紹介されている。)
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高校化学 化学反応とエネルギー
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2022-08-26T02:30:45Z
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== 反応熱 ==
化学反応や状態変化に伴って熱エネルギーの出入りが起こる時の熱のことを'''反応熱'''(heat of reaction)という。反応熱には燃焼熱、溶解熱(heat of dissolution)、中和熱(heat of neutralization )、生成熱、融解熱、蒸発熱(heat of evaporation)、昇華熱などがある。熱量の単位にはJ(ジュール)を使う。1cal=4.184Jである。反応熱の表記は、物質量1molあたりの熱量(単位は[kJ/mol] 。1kJ=1000J である )で表すことが多い。1ジュールとは、力の大きさ1ニュートンで移動距離1メートルの仕事をすることである。つまり、1J=1N・mである。
== 熱化学方程式 ==
化学反応式の右辺に反応熱を記し、両辺を等号で結んだ式を'''熱化学方程式'''(thermochemical equation)または'''熱化学反応式'''という。
たとえば、炭素(黒鉛)の1molを燃焼させた場合の熱化学方程式は次のようになる。
:C(黒鉛)+O<sub>2</sub>(気) = CO<sub>2</sub>(気)+394kJ
水素を燃焼させた場合、次のようになる。
:H2(気)+ <math>\frac{1}{2}</math> O<sub>2</sub> = H<sub>2</sub>O(液)+286kJ
反応熱は、上の式のように右辺に表す。
* 反応熱は、発熱反応のときは+(プラス)の符号で表し、吸熱反応のときは-(マイナス)で表す。
* 化学反応式での反応の矢印(→ または ←)が、等号(=)に変わる。
* 物質のもつエネルギーはその状態によって異なるので、原則として化学式に物質の状態を気体のときは(気)または(g)を付記、液体のときは(液)または(l)を付記、固体のときは(固)または(s)を付記、水溶液や大量の水は aq のように付記する。また、炭素など特別な物質は黒鉛やダイヤモンドなどの語句を付記するなどして表す。
* 熱化学方程式は、注目する物質1molがもつエネルギーを表す。このため、反応物質や副産物の係数が分数で示される場合もある。
== 反応熱の種類 ==
;燃焼熱
:1molの物質が完全燃焼するときの反応熱。
:たとえば水素の燃焼熱は、286kJである。
::H<sub>2</sub>(気)+ <math>\frac{1}{2}</math> O<sub>2</sub> = H<sub>2</sub>O(液)+286kJ
;溶解熱
:1molの物質が多量の溶媒に溶解するときの反応熱。
:たとえば水酸化ナトリウムNaOHが水に溶ける場合、水酸化ナトリウムの溶解熱は44.5kJである。
::NaOH(固)+ aq = NaOH aq + 44.5kJ
;中和熱
:酸と塩基の中和反応によって、1molの水が生成するときの反応熱。
:たとえば、塩酸と水酸化ナトリウムの中和熱は、56.5kJである。
::HCl aq+ NaOH aq = NaCl aq + H<sub>2</sub>O(液) + 56.5 kJ
:水素イオンと水酸化物イオンの中和熱は、56.5kJである。
::H<sup>+</sup>+OH<sup>-</sup> = H<sub>2</sub>O(液) + 56.5 kJ
;生成熱
:1molの化合物がその成分元素の単体から生成するときの反応熱。
;融解熱
:1molの固体が融解して液体になるときに吸収する熱量。
;蒸発熱
:1molの液体が蒸発して気体になるときに吸収する熱量。
:たとえば水H<sub>2</sub>Oの蒸発熱は44.0kJである。
::H<sub>2</sub>O(液) = H<sub>2</sub>O (気) - 44.0kJ
::H<sub>2</sub>O(液)+ 44.0kJ = H<sub>2</sub>O (気)
;昇華熱
:1molの固体が昇華して気体になるときに吸収する熱量。
== 反応熱の測定 ==
反応熱を測定するには、外部からの熱の出入りのない断熱した容器が必要である。反応熱などの熱量を測定するための測定器を'''熱量計'''という。反応熱の熱量計には、燃焼熱測定用のボンベ熱量計や、溶解熱測定用熱量計などがある。
ボンベ熱量計の測定原理は、試料を燃焼させた後に、容器内の水の温度変化を測定することで燃焼熱を測定する方式である。
== 熱化学 ==
[[File:Hess cycles NaOH jp.svg|500px]]
図のように、固体の水酸化ナトリウムから塩化ナトリウムを生成する反応には2つの経路があるが、どちらの経路で合成を行っても、出入りする熱量(反応熱)の総和は同じである。
化学反応の反応熱は、反応途中の経過には影響しない。反応の始めの状態と反応の終わりの状態によってのみ、反応熱が決定する。このことを'''ヘスの法則'''という。
;結合エネルギー
水素分子1molに432kJのエネルギーを与えると、結合を切り離すことができる。この結合を切り離すのに必要なエネルギーは、結合の強さを表すと考えて、この結合の切り離しに要したエネルギーを'''結合エネルギー'''(bond energy)と言う。結合エネルギーは1molあたりのエネルギーで示されるのが通常である。
たとえば水素の結合の切り離しを熱化学方程式で表すと、以下の様になる。
{{-}}
----
[[File:Hess cycles CO jp.svg|400px|thumb|]]
;例題. 一酸化炭素 CO
検定教科書では、よく練習問題で、COの生成熱を求めさせる問題が出題される。
解法は、図より
:394ー283=111
よってCOの生成熱は 111 kJ/mol である。
:答え '''111 kJ/mol'''
{{-}}
----
;そのほかの例 H2O
[[File:ヘスの法則svg.svg|thumb|350px|ヘスの法則の説明図。水(H2O)の場合。]]
:H<sub>2</sub>(気体)=2H(気体)-432kJ
気体や液体、固体などといった状態変化も同様に、経路によらず、発生する熱量の総和は一定である。
{{clear}}
{| style="width:100%"
|valign=top style="width:30%;text-indent:1em"|
{| class="wikitable"
|+ 結合エネルギー(kJ/mol)(25℃、1Pa)
! 結合 || 結合エネルギー
|-
| H-H || 436
|-
| C-H || 413
|-
| N-H || 390
|-
| O-H || 463
|-
|}
|valign=top style="width:30%;text-indent:1em"|
{| class="wikitable"
|+ <br /><br />
! 結合 || 結合エネルギー
|-
| H-F || 563
|-
| H-Cl || 432
|-
| F-F || 158
|-
| Cl-Cl || 243
|-
|}
|valign=top style="width:40%;text-indent:1em"|
{| class="wikitable"
|+ <br /><br />
! 結合 || 結合エネルギー
|-
| O-O || 490
|-
| C-C(ダイヤモンド) || 357
|-
| C-C || 348
|-
| C=C || 590
|-
| C≡C || 810
|-
|}
|}
同じ結合でも、周辺の分子の配置や数によって、すこしだけ結合エネルギーが変わってくる。そのため、正確な結合エネルギーの値は、分子ごとに違ってくる。高校では、ふつう、これら周辺分子の影響は扱わないので、無視してよい。
以上の表での結合エネルギーは、おおよそのエネルギーであり、正確なエネルギーの値は分子ごとに違うので、学校のテスト問題などを解くときは問題文を参照のこと。
;解離エネルギー
3個以上の分子は、結合の数が複数になる。この分子の全ての結合を切り離すのに必要なエネルギーを'''解離エネルギー'''(bond dissociation energy)という。通常は1molあたりの切り離しのエネルギー量で解離エネルギーを表す。
解離エネルギーは、その分子の持つ全ての結合の結合エネルギーの総和である。H<sub>2</sub>やO<sub>2</sub>などの結合を一個しか持たない分子では、結合エネルギーの値と解離エネルギーの値は一致する。
;反応熱と結合エネルギー
反応熱や生成熱は、反応の前後の物質の結合エネルギーが分かっている場合は、計算で求められる。その物質の、反応後の結合エネルギーの総和から、反応前の結合エネルギーの総和を引いた値で、反応熱を近似できる。
「近似」といったのは、分子間引力などの、結合の変化以外にもエネルギーが使われる場合があるからである。
:(反応熱) = -(反応前の結合エネルギー) + (反応後の結合エネルギー)
である。
== (※ 発展:) 格子エネルギー ==
(※ 数研出版の教科書、第一学習社の教科書などで紹介されている。)
金属結合や、イオン結合の結晶、共有結晶(ダイヤモンド)などの、結晶を構成するために必要とされるエネルギーのことを「格子エネルギー」という。この格子エネルギーは直接には測定できないので、ヘスの法則で間接的に求める。
== ※ 範囲外? :エンタルピー ==
:※ 令和3年用の指導要領でエンタルピーが言及されてるので、高校3年あたりの化学2(専門化学)あたりで出る可能性がある。
[[File:ヘスの法則svg.svg|thumb|350px|(※ 再掲)ヘスの法則の説明図。水(H2O)の場合。]]
化学の用語で、「エンタルピー」というのがあるのだが、これは何かというと、エンタルピーとは、内部エネルギーUに、圧力Pと体積Vの掛け算 PV を足したもののことである。
物理学では、加えた熱エネルギーをQとすると、熱は物質内部に内部エネルギーUとして蓄えられて内部エネルギーの変化分ΔUに寄与するか、または体積変化による膨張の力学的仕事 PΔV を行うので、
:Q = ΔU +PΔV
のような公式が(物理学では)知られている。
さて、あまり学問的には深い意味が無いのだが、たいていの化学反応の実験では、実務では普通、圧力が一定なので、
:PΔV = PV = Δ(PV)
となる実験環境が実務では場合が多い。
熱力学の別の理論で、もともとエンタルピーHという物理量があり、
:H = U+PV
と定義されている。これを差分形を下記のように式変形すると、
:ΔH = Δ(U+PV) = ΔU + Δ(PV) = ΔU + PΔV
と式変形できるので、
もし圧力一定の環境なら、
:Q=ΔH
とも表せる。
だが、あくまでも、圧力一定の環境でしか成り立たないので、あまり、この式に深い意味は無い。
なので、たとえば右に再掲したヘスの図の表などでは、縦軸の「エネルギー」のところを、「エンタルピー」と書いてもいい。
「だったらエネルギーでもいいのでは?」と思う高校生読者もいるだろう。
なので実際、以前の化学I〜化学II 方式の教科書では「エンタルピー」という用語は用いていない。
しかも、まぎらわしい事に、「エントロピー」という、発音が似ているが、まったく別の意味のまぎらわしい用語もある。なお、「エントロピー」は大まかにいうと、液体や気体などの、拡散や浸透などといった不可逆的な現象の程度を数量化したもの(なので、「乱雑さ」とも言われる。)。
なので、エントロピーはエネルギーではない。エントロピーはエンタルピーではない。
欧米の化学者たちは、慣習的に、ヘスの法則の計算で使うエネルギーのことを「エンタルピー」と読んでいる。
なので、大学に入ると、日本でもエンタルピー表記を習う。しかし上述したとおり、あまりエンタルピーに深い意味は無い。:(※ 欧米の高校教育や大学教育って、日本とは違い、欧米の理科教育は、あまり高度ではない。欧米の理科は公式暗記みたいな酷い教育である。)
{{コラム|よくある「知ったかぶり」|
知ったかぶりの大学生あたりが、「エンタルピー」自体に化学的に深い意味があるかのように吹聴(ふいちょう)するかもしれないが、知ったかぶりなので相手しないように。
:※ 大学生むけに忠告しておくと、反応の傾向を説明するのに使えそうなのは「ギブスエネルギー」のほうです。
知ったかぶり大学生の続出する背景事情としては、大学1年の理系学部の教養課程の化学でエンタルピーを習う事が多いので(計算法が比較的に容易なので、日本では、よく大学化学の初歩で紹介されていた)、あたかも大学の高度な化学の理論的な背景がエンタルピーの背景にあるかのように吹聴する大学生や大卒がアトを絶たないが、しかしその人は単に、大学1年の教養化学で勉強の止まってる人のタワゴトなので、相手しないように。
;大学生むけの忠告
ギブスエネルギーやヘルムホルツエネルギーなどを「自由エネルギー」というのを大学の熱力学で習うが、それらの定義式は単に、エントロピー(不可逆さ)を含んだ式に過ぎない。
結局、単に、「エントロピーを考慮すると、利点として、化学反応を統一的に理解しやすくなる」という当然の事にすぎない。
早い話、エントロピーと単にヘスの法則と内部エネルギーさえ考えれば、基本的にはそれで色々と説明できるし、そっちのほうが本質的である。
深淵な理論なんぞ無いのだが、しかし大学の化学の計算練習のネタにもされやすいので、大学カリキュラムでは、これらエンタルピーだのギブスエネルギーだののウケはいい。
しかし、深淵な意味は断じて無い。本質はどっちかというとエントロピー(乱雑さ)です。
欧米の化学の学術書では、単位はエントロピー表記ではなく、エネルギー表記の単位で表しているので、なのでギブスエネルギーなどで大学教科書では反応の傾向を表している。(要するに、欧米の教科書があまり論理的でない。日本の大学も欧米を真似ている。)
(なお、理科年表などでは、普通に「発生熱」とかの実験値が主要な物質については書いてあるので、ギブスエネルギーなどの理論は知らなくても発生熱などを調べることはできる。)
歴史的な背景事情を追記すると、エントロピー(乱雑さ)は今でこそ、啓蒙書などで紹介されたりするほどには知名度は高くなったが、むかしは違かったという事情がある。
近代ヨーロッパでは「エントロピー」(乱雑さ)が物理的な実態・現象としては、みられていない時代もあった。かつて、「エントロピー」は、単なる数式上の計算テクニックのひとつのようなものだと思われていた時代があったのだ。
そういう不遇なエントロピーの歴史背景も考えれば、歴史的にはギブスエネルギーやヘルムホルツエネルギーのようにエントロピー項をもつエネルギー量も代理人・保護者としてエントロピーを引き立てた意義はあるかもしれない。
だが、エントロピーの広く知れ渡った現在、そもそもエネルギーだけにかぎらずエントロピーも物理的な実態であるとして考えれば、理解はもっと簡単に済む。
とまあ、理論的にはエントロピー(乱雑さ)のほうが重要ではある。実際、物理学のきちんとした学術書を読むと、ギブスエネルギーよりもエントロピーのほうに説明の比重を置いている。
しかし、発音が「エンタルピー」と「エントロピー」とでは似ていて、まぎらわしい。そう考えれば、化学研究の実務の場では、ギブスエネルギーなどで置き換えるのも、それなりに実用的である。
大学の化学は、大学の数学や物理とは違い、大学の化学の理論というのは、いろんな妥協や歴史的経緯に基づいており、あまり大学化学は(精密で詳細ではあるが、しかし)論理的には、あまり厳密ではない。(実際の化学研究では可燃物や有機溶剤などの危険物・劇物なども使ったり、毒性のある物質も使う。なので、けっして数学みたいには、論理性ばかりを化学は重視できないのである。)
大学の化学教科書には、あたかも「もっともらしい」感じのする理屈が書いてあるだろうが、あまり盲信せず、実験結果などと照らし合わせて理解していく必要がある。
}}
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中学校社会 公民/国会
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2022-08-25T17:30:22Z
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/* 衆議院と参議院の違い */
wikitext
text/x-wiki
・ '''国会'''(こっかい) ・・・ 国民の選挙によって選ばれた代表者で構成される議会であり、立法権(りっぽうけん)をつかさどる。日本の国会は'''二院制'''(にいんせい)であり、衆議院(しゅうぎいん)と参議院(さんぎいん)がある。
・ '''二院制''' (にいんせい) ・・・ 国会が衆議院と参議院から成るように、議会が2つの議院から成り立つこと。メリットは、決議を慎重にし国民の意思をより正確に反映できること。もし、衆議院と参議院が、まったく同じ構成だと、同じ議論を衆議院と参議院で2回繰り返すだけになってしまうので、日本では衆議院と参議院の選挙区や任期などに、ちがいを設けてある。
== 衆議院と参議院の違い ==
[[ファイル:Diet of Japan Kokkai 2009.jpg|サムネイル|国会議事堂]]
{| class="wikitable"
|+
! !! 衆議院 !! 参議院
|-
! 議員定数
| 465人|| 248人
|-
! 任期
| 4年 || 6年
|-
! 改選は?
| ない || 3年ごと
|-
! 解散は?
| ある || ない
|-
! 選挙権
| colspan="2" |<center>満18歳以上</center>
|-
! 被選挙権
| 満25歳以上 || 満30歳以上
|}
<small>(2022/8現在)</small><ref>任期と解散については、それぞれ[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION 日本国憲法]45,46条、54条に定められている。</ref>
衆議院の任期が'''短く'''、衆議院にだけ'''解散がある'''。<br />
→ 衆議院には国民の意思を反映させる機会が参議院に比べて多いことを表している。これによって衆議院には、いくつかの点で参議院より強い権限が与えられている。'''衆議院の優越'''(しゅうぎいん の ゆうえつ)
議員定数・選挙権(せんきょけん)・被選挙権(ひせんきょけん)は[[w:公職選挙法|公職選挙法]](こうしょく せんきょほう)で決められている。
== 国会の種類 ==
{| class="wikitable"
|-
| '''通常国会'''('''常会''') || 毎年1回1月中に召集される。おもに予算関係の審議を行う。<br />会期は150日間である。
|-
| '''臨時国会'''('''臨時会''') || 臨時(緊急を要する災害対策のための補正予算など)に召集される。<br />内閣どちらかの議院の総議員の4分の1以上の要求で召集される。
|-
| '''特別国会'''('''特別会''') || 衆議院の解散による衆議院議員の総選挙の日から30日以内に開催される。<br />主に内閣総理大臣の指名が行われる。
|-
| 参議院の緊急集会 || 衆議院の解散中、国政上緊急に必要な議事がおきたときに内閣が集会を求める。
|}
== 国会の仕事 ==
[[画像:国会のしくみ.PNG]]
国会の仕事はいくつかありますが、最大の仕事は法律の制定や法律の改廃などの、'''立法'''(りっぽう)です。
==== 1. 法律の制定 ====
: 国会の仕事の中で最も重要。毎回、数十から数百を超える法律が作られる。'''内閣'''(ないかく)または'''議員'''(ぎいん)が法律案を提出する。図では、衆議院が先だが、参議院に先に提出することもある。もし衆参での議決が異なるときは、'''両院協議会'''(りょういん きょうぎかい)を開く。両院協議会でも一致しないときは、'''衆議院'''で再び審議を行い、衆議院の出席議員の3分の2以上の賛成があれば法案は可決する。(衆議院の優越)
==== 2. 予算の議決 ====
: 内閣が作成した予算案を、まず'''衆議院'''で審議し( 衆議院は'''予算先議権'''(よさん せんぎけん)を持つ )、その後 '''参議院'''で審議する。もし衆参での議決が異なるときは、'''両院協議会'''(りょういん きょうぎかい)を開き、それでも一致しないときは、'''衆議院'''の議決が国会の議決(最終決定)になる。(衆議院の優越)
==== 3. 決算の承認 ====
: 実際の歳入(収入)・歳出(支出)を集計した決算書を内閣が提出し、国会で承認する。
==== 4. 内閣総理大臣の指名 ====
: 両院で、内閣総理大臣指名選挙を開き、指名する。(任命は天皇の仕事)
==== 5. 条約の承認====
: 内閣が締結した条約を、承認する。予算の議決と同様に、衆議院の決定が優先される(衆議院の優越)。
==== 6. 弾劾裁判所の設置 ====
: 身分が保障されている裁判官の非行を議会で取り上げ、罷免(ひめん)処罰する制度を弾劾裁判(だんがい さいばん)という。日本の場合裁判官は、衆・参それぞれの7名の議員で構成される。
==== 7. 国政調査権を持つ ====
: 議会が、立法その他の重要な仕事を行うに際して国政に関して確実な資料に基づく正しい知識と、判断力を持つために調査を行う権限のこと。憲法では、そのために、証人の出頭および証言と記録の提出を要求できる、と定めている。
{| class="wikitable"
|-
! [http://ja.wikisource.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9C%8B%E6%86%B2%E6%B3%95#.E7.AC.AC.E5.9B.9B.E7.AB.A0_.E5.9C.8B.E6.9C.83 第62条]
|-
| 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
|}
実例
:3.11に起きた福島原子力発電所事故の調査のために設置された[[w:東京電力福島原子力発電所事故調査委員会|国会事故調]]。
==== 8. 内閣不信任の決議 ====
: 内閣に責任を追及する最も強い手段で、この決議が出されると、内閣は国会の支持を失うことになる。つまり、国会の信任のもとに内閣は成立しているということになる。
衆議院が内閣不信任案を決議した場合、内閣は10日以内に、衆議院を解散するか、内閣を総辞職しなければならない。
[[File:Junichiro Koizumi (cropped) during arrival ceremony on South Lawn of White House.jpg|thumb|200px|2005年に小泉純一郎首相の政権では郵政民営化(ゆうせい みんえいか)法案の是非をめぐっての解散総選挙が行われた。]]
:'''衆議院の解散'''<br />
::すべての衆議院議員の議員としての地位を、任期満了前に失わせる。総選挙を行うための解散。
:'''内閣総辞職'''<br />
::内閣の全国務大臣が全員いっせいに辞職することを内閣総辞職(ないかく そうじしょく)という。
== 国会の運営 ==
* 委員会と本会議
国会には、衆議院・参議院ともに、議員全員が出席する'''本会議'''(ほんかいぎ)と、議員が分かれて参加する、少数の議員からなる'''委員会'''(いいんかい)があります。
国会に出された法律案などの議案は、まず、専門の委員会で審議(しんぎ)され、その結果が本会議に報告され、本会議に議案が回されます。
委員会では、必要に応じて外部から議案に関係ある知識に詳しい専門家を呼んできて、専門家の意見を聞く、公聴会(こうちょうかい)を開く場合もある。
本会議では、委員会での審議を参考にして、本会議で討論をして審議を行い、本会議での審議の後に多数決で採決をされます。
本会議は、公開が原則となっており、テレビ中継などもされます。
法案の可決など議案の可決などを行っているのは、本会議です。
衆参どちらかの本会議で可決された議案は、もう一方の議員に回され、同じような過程で、委員会や本会議で審議され、本会議で採決します。
もし、衆議院の本会議の意見と、参議院の本会議の意見が異なれば、両院協議会が開かれます。
「衆議院の優越」とは、衆議院の本会議の結果が、参議院の本会議よりも優越する、ということです。
{{コラム|国会中継を見てみよう|[https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php 衆議院インターネット審議中継]では衆議院の、[https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php 参議院インターネット審議中継]では、参議院の本会議や委員会の中継や過去のアーカイブを見ることが出来る。他にも、[https://kokkai.ndl.go.jp/#/?back 国会会議録検索システム]では議事録が公開されている。}}
[[Category:中学校公民|こつかい]]
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国会
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2022-08-25T17:09:53Z
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転送先を [[中学校社会 公民/内閣]] から [[中学校社会 公民/国会]] に変更しました
wikitext
text/x-wiki
#転送 [[中学校社会 公民/国会]]
2d9zywe465y9g0beinv7idja1rxl482
中学校社会 公民/内閣
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199258
2022-08-25T17:08:30Z
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/* 国務大臣 */
wikitext
text/x-wiki
[[File:Soridaijinkantei2.jpg|thumb|400px|内閣総理大臣の執務(しつむ)の中心である総理大臣官邸(そうりだいじん かんてい)]]
内閣(ないかく、英:cabinet キャビネット)は、日本の行政権を担当する合議制の機関。内閣は、内閣総理大臣と国務大臣とで構成される。
== 内閣 ==
[[File:日本の議院内閣制のしくみ.svg|thumb|400px|日本の議院内閣制のしくみ]]
法律に基づき、実際に国の政治を行うことを'''行政'''(ぎょうせい)という。専門の行政機関が行政を行う。この行政機関を指揮・監督するのが'''内閣'''(ないかく)の仕事である。そして、内閣の最高責任者が'''内閣総理大臣'''(ないかく そうりだいじん)である。内閣総理大臣は'''首相'''(しゅしょう、英:prime minister プライム・ミニスター)とも、よばれる。
{| class="wikitable"
|-
! 憲法第65条
|-
| 行政権は、内閣に属する。
|}
{| class="wikitable"
|-
! 憲法第66条
|-
| 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。<br />
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。<br />
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
|}
== 構成 ==
=== 内閣総理大臣(首相) ===
'''国会議員'''(こっかい ぎいん)の中から'''国会'''(こっかい、英:Diet ダイエット)が'''指名'''した人物を天皇が任命する。
通常は、衆議院で多数を占める政党( 与党(よとう) )の党首が首相に指名される。
=== 国務大臣 ===
国務大臣の職には、財務大臣や文部科学大臣などのような各省庁の長が多い。
国務大臣には、'''内閣総理大臣が任命'''したものを天皇が承認する。
ただし国務大臣の過半数は国会議員でなければならない。国務大臣の数は17人以内である。内閣法(ないかくほう)第2条第2項により「国務大臣の数は、14人以内とする。ただし、特別に必要がある場合においては、3人を限度にその数を増加し、17人以内とすることができる。」
{| class="wikitable"
|-
! 憲法第67条
|-
|
#内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行う。<br />
#衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、參議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
|}
国務大臣のことを「~~大臣」、もしくは「~~相(しょう)」と呼ぶ。
:例.) 「岸田外相」(きしだ がいしょう)、外務大臣の名前が岸田という名の場合
== 仕事 ==
内閣総理大臣と全ての国務大臣が参加する閣議を開き、全会一致(ぜんかい いっち)で決定・実行に移す。
:*閣議(かくぎ): 内閣全体の意思を統一させ、政治の方針を決める非公開の会議。
=== 内閣総理大臣の仕事 ===
# 閣議(かくぎ)を主催(中心となってまとめる)する。
# 内閣を代表して、国会に法律案や予算案を提出する。
# 国の一般行政や外交について、国会に報告する。
# 行政の各部門(内閣府・省等)を指揮・監督する。
# 国務大臣の任命と罷免。
# NHK経営委員の任命。(承認は国会) 放送法 第31条 (※ 中学生は覚えなくてよい。)
{| class="wikitable"
|-
! 憲法第73条
|-
| 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。<br />
:1 法律を誠実に執行(しっこう)し、国務を総理すること。<br />
:2 外交関係を処理すること。<br />
:3 条約を締結すること。但し、事前に、時宜(じぎ)によつては事後に、国会の承認を経る(へる)ことを必要とする。<br />
:4 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。<br />
:5 予算を作成して国会に提出すること。<br />
:6 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。<br />
:7 大赦(たいしゃ)、特赦(とくしゃ)、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
|}
{| class="wikitable"
|-
! [http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html#1000000000003000000003000000000000000000000000000000000000000000000000000000000 放送法第三十一条第2項]
|-
| 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のため、両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、両議院の同意を得ないで委員を任命することができる。この場合においては、任命後最初の国会において、両議院の同意を得なければならない。
|}
=== 内閣全体としての仕事 ===
憲法第73条、79条、3条、7条参照
1. '''国会'''に提出するための法律案や予算案を作成する(憲法第73条第5項)<br />
2. 国会で決められた法律を執行する。またそのために必要であれば'''政令'''を制定する。(憲法第73条第1、6項)<br />
:'''政令'''(せいれい) :憲法・法律を実施するために内閣が出せる命令のこと。<br />
3. '''国家公務員'''の任用、免職などの事務を行う(憲法第73条第4項)<br />
4. '''外国'''との'''条約'''の'''締結'''(ていけつ)や外交関係の処理。(承認は国会)(憲法第73条第3項)<br />
5. '''天皇の国事行為'''(こくじ こうい)に対する助言と承認(憲法3条、7条)<br />
:'''国事行為'''(こくじ こうい) :すでに国会などで決定したことを天皇が国民に示す儀式。<br />
6. '''最高裁判所長官'''の指名(任命は天皇)(憲法79条)<br />
7. 刑罰が課せられている人に対する恩赦(おんしゃ)の決定(憲法第73条第9項)<br />
:'''恩赦'''(おんしゃ) :国家が国家的な祝賀(しゅくが)に際して特別に刑罰を減免する制度。減刑や刑の執行の免除など<br />
{| class="wikitable"
|-
! 憲法第3条
|-
| 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
|}
{| class="wikitable"
|-
! 憲法第7条
|-
| 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。<br />
:1 憲法改正、法律、政令及び条約を公布(こうふ)すること。<br />
:2 国会を召集すること。<br />
:3 衆議院を解散すること。<br />
:4 国会議員の総選挙の施行を公示すること。<br />
:5 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。<br />
:6 大赦(たいしゃ)、特赦(とくしゃ)、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。<br />
:7 栄典を授与(じゅよ)すること。<br />
:8 批准書(ひじゅんしょ)及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。<br />
:9 外国の大使及び公使を接受(せつじゅ)すること。<br />
:10 儀式を行ふこと <br />
|}
== 国会との関係 ==
内閣総理大臣は国会議員の中から選ばれる。(憲法第67条)
また国務大臣の過半数は国会議員であることが定められている。(第68条)
このように、内閣が国会の信任に基づいて成立し、内閣が国会に対して連帯して責任を負う仕組みを'''議院内閣制'''(ぎいん ないかくせい)という。
衆議院が内閣を信頼できない場合は、衆議院は'''内閣不信任案'''(ないかく ふしんにんあん)を提出できる。(第69条)
衆議院が内閣不信任案を決議した場合、内閣は10日以内に、衆議院を解散するか、内閣を総辞職しなければならない。
'''衆議院の解散'''<br />
:すべての衆議院議員の議員としての地位を、任期満了前に失わせる。'''総選挙を行うため'''にやる。
「国民に信を問おうじゃありませんか」とは衆議院解散および総選挙を行うことをさす。
'''内閣総辞職'''<br />
:内閣の全国務大臣が全員いっせいに辞職することを内閣総辞職(ないかく そうじしょく)という。
日本では内閣と国会の関係は「'''議院優位'''の内閣制度」である。
== 日本の主な省庁 ==
* 省庁
[[File:省庁図.png|thumb|日本の省庁の関係図簡略版]]
:・ 法務省(ほうむしょう)
:: 民法や刑法などの一般の法律を運用するための制度を作っている。なお、教育に関する法律や制度は文部科学省が担当(たんとう)している。医療に関する法律は厚生労働省が担当している。税金に関する法律や制度などは財務省が担当している。このように、法律によっては、他の省庁が担当するので、法務省では、それら他省の管理する法律・制度以外の一般の法律を担当している。
:・ 外務省(がいむ しょう)
::外国との外交のしごとをしています。
:・ 厚生労働省(こうせい ろうどうしょう)
::おもに、医療(いりょう)や、国民の健康にかんする仕事をしています。失業問題などの労働問題も、この省であつかっています。
::病院の医師は、厚生労働省の職員では無い。
:・ 文部科学省(もんぶかがくしょう)
::おもに学校教育に関する制度を作ったり仕事をしています。
::小学校など学校の教員は、文部科学省の職員では、無い。教育委員会も、文部科学省とは別の組織である。文部科学省は教育委員会などを通して学校を監督する立場にある。
:・ 財務省(ざいむ しょう)
::国の予算や決算をつくる省です。税金をあつめる税務署は、財務省が管理しています。
:・ 農林水産省(のうりんすいさんしょう)
::農業や漁業に関する制度をつくったり、振興したりするなどの仕事をしています。
::じっさいに農業を行うのは、農家であり、農林水産省の職員では無い。
:・ 経済産業省(けいざいさんぎょうしょう)
::商業や工業の振興や、貿易に必要な制度をつくったりしています。
:・ 国土交通省(こくどこうつうしょう)
::交通機関を管理しています。
::実際に土木工事などの作業をおこなうのは民間企業であり、国土交通省の職員では無い。たとえば国道などの道路工事なら、管理をしているのは国土交通省かもしれないが、じっさいに建設機械などを用いて工事をするのは民間の工事会社であるのが普通である。
:・ 防衛省(ぼうえいしょう)
::自衛隊(じえいたい)を管理しています。
<!-- ::自衛隊員は、防衛省の職員ではない。-->
:・ 総務省(そうむしょう)
::地方自治に関する仕事や、消防・防災などの仕事をしています。放送や通信に関する制度をつくる仕事もしています。選挙の事務もしている。消防署の消防隊員は、総務省の職員ではない。
:・ 環境省(かんきょうしょう)
::環境保護などの仕事をしています。
:・ 内閣府(ないかくふ)
::内閣の重要政策に関する内閣の事務を助ける。
== 公務員 ==
各省庁の行政を実際に行こなっているのは、公務員です。公務員(こうむいん)は国民のために働くことが憲法で義務づけられています。(憲法第15条 第2項)
公務員になる人の選び方は、なりたい人の中から、試験を行い、試験の合格者が公務員につけます。(公務員試験)
公務員の選び方には選挙はありません。(※ 範囲外: 「試験」と聞くと、ついついペーパーテスト(筆記試験)だけかと思いがちだが、実際には公務員の採用試験には面接もあったり、年齢制限などもある。また、大卒などの学歴がないと、特定の職種が受験できないという、受験資格の制限もある。)
公務員は働く場所により、大きく2つに分けられる。
国家公務員(こっか こうむいん): 国の機関で働く公務員。
地方公務員(ちほう こうむいん): 地方公共団体で働く公務員。
{| class="wikitable"
|-
! 憲法第15条
|-
|
# 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。<br />
# すべて公務員は、全体の奉仕者(ほうししゃ)であつて、一部の奉仕者ではない。<br />
# 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。<br />
# すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
|}
実際の業務は、高度で専門的なため、国会議員がその実態を知るのは難しい。
:これを 隠れ蓑(かくれみの) にして、「公務員が役所のためだけに働いたり、あるいは特定の政治家や企業などと結びついたりすることがあるだろう」と考えられ、批判の対象になっている。(※ 範囲外: いわゆる「癒着」(ゆちゃく)などの言葉は、公務員と特定の企業・政治家との結び付きを指す。2011年の原発事故で話題になった「原子力ムラ」も、そのような原発行政と電力業界との癒着(ゆちゃく)の体質を批判している。
::(※ 範囲外: なお「癒着」(ゆちゃく)とは、もともと生物学的な用語であり、傷口がふさがる際に、くっつく事などをいう。転じて、本来なら監督官庁として企業からは独立すべき行政が、企業と結びついていることを「癒着」と批判するようになった。)
{{コラム|※ 範囲外: 官僚は権力者か?|
:※ 「官僚」(かんりょう)とは、政策決定に影響を与えるほどの上級の公務員のこと(参考文献: 帝国書院の検定教科書)。
上述の「癒着」のようなハナシをきくと、あたかも官僚組織が絶大な権力をもっており、政治家などが目を離すと暴走しがちなように思えるだろう。
しかし第二次世界大戦後の日本では、その官僚の仕事内容は、単に、政治家の議決した法律のとおりに、各種の政策を実行しているだけである。
法律を議決する権限も、いっさい官僚にはない。日本で法律を制定できるのは、国会の、国会議員のみである。
「官僚が法案を考えている」といわれるが、これは単に、政治家が、法学者や法律研究者などの有識者の意見を参考にするのと同様に、公務員の意見も参考として聞いているだけのことにすぎない。
結局、もとを正すと、一見すると「官僚の暴走」と思えるものは、じつは政治家の権力の暴走なのであり、国民の愚かさの暴走なのである。
よく、政治評論家が、政治家が増税政策などの、国民の多くにはウケの悪い政策を、官僚のせいにしたりする。なぜなら、もし政治家のせいにすると、その政治家を選挙で選んだのは国民たちなので、自分たち国民じしんの(頭が)悪いことになってしまうので、なので官僚のせいにするのである。
}}
== 行政権の肥大化 ==
行政の仕事(行政権)が、国会・裁判所(他の三権)に比べて多くなっている事を言う。
仕事の増大にともない各省庁の権限も強化され、メディアなどからは(公務員の)「既得権益(きとく けんえき)だ」という批判もある。
これは法律の作成が実際には各省庁で行われていたり、法律に基づき細かなことを定める政令・省令・通達・規則が増えていることなどが影響している。
仕事が増えれば増えるほど、(労働時間が増えるなどのために、給料を多く払う必要があるので)費用がかさむので、国民の税負担が増す。
=== 行政改革 ===
こういった問題点に対し省庁再編(2001年~)、規制緩和、独立行政法人に仕事を移す、民間委託(官から民へ)などを行なった。
== 外国での議院内閣制および大統領制 ==
日本の議院内閣制は、イギリスの制度にならったものである。
いっぽうアメリカ合衆国では行政の最高責任書の選挙は議会によらず、事実上は国民によって直接に選ばれる大統領(だいとうりょう、英:President プレジデント)が行政の長になる。(実際はアメリカ国民が大統領選挙人(英:the Electoral College ジ・エレクトラル・カリージ)を選ぶ。この選挙人は議会とは異なる。)
アメリカの場合、議会には大統領の不信任決議権が無く、また大統領にも議会の解散権が無い。このように議会と大統領が独立している。
アメリカでは、法律の立法は、議会だけが立法権を持ち、大統領には立法権は無い。大統領には、議会が提案した法案への法案拒否権(ほうあんきょひけん)がある。大統領は議会には議席を持たない。
:くわしくは、単元『[[中学校社会 公民/外国での政府のしくみ]]』。
[[Category:中学校公民|ないかく]]
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高校化学 気体の性質
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{{pathnav|高等学校の学習|高等学校理科|高等学校 化学|pagename=気体の性質|frame=1|small=1}}
== 理想気体と実在気体 ==
:『[[高等学校理科 物理I/熱]]』が予備知識。
==== 理想気体 ====
ボイル・シャルルの法則は、温度が高い場合や、定圧の場合はよく当てはまる。しかし、気体の温度が低い場合や、気体の圧力が高い場合には、ズレが大きくなってくる。
熱力学の計算では、計算の便宜上、どんなときでもボイル・シャルルの法則が、そのまま成り立つ気体を考えると、計算の都合がいい。このような、ボイル・シャルルの法則がそのまま成り立つ気体のことを'''理想気体'''(ideal gas)という。
理想気体は気体分子の分子間力の影響が小さい場合に、良く成り立つ。
==== 実在気体 ====
[[File:理想気体からのズレ 温度一定.svg|thumb|500px|理想気体からのズレ。 温度一定]]
いっぽう、現実の気体を'''実在気体'''という。実在気体でも、状態方程式を改良することによって、計算ができるような工夫がされている。いくつかの改良された方程式があるが、そのうちのひとつとして、ファンデルワールス方程式という式がある。
;ファンデルワールスの状態方程式
理想気体の状態方程式では、分子そのものの大きさを考慮していないので、だったら、分子の大きさを考慮した式を作ればいいのである。同様に、理想気体では、分子間力も考慮していなかった。だったら、これを考慮した状態方程式を作れば良い。
このようにして、現実気体でも適合するように、分子の大きさと分子間力を考慮して改良された状態方程式として、'''ファンデルワールスの状態方程式'''がある。
ファンデルワールスの状態方程式を式であらわすと、
:<math> (P + \frac{n^2}{v^2} a)(V-nb) = nRT </math>
である。式中のaが分子間力を考慮した係数である。式中のbは'''排除体積'''といい、分子の大きさを考慮した数値である。
まず式中のaの係数について考えよう。
係数の<math>+\frac{n^2}{v^2} </math>が分かりづらいかもしれないが、プラス符号がついているのは、分子間力によって圧力が減少するからであり、そのためには、符号をプラスにする必要がある。
では、<math>+\frac{n^2}{v^2} </math> をどう解釈するかを述べる。
先に結論を述べるが、
:<math>+\frac{n^2}{v^2} </math> = ある分子に作用する分子間力<math>\frac{n}{v} </math> × モル濃度<math> \frac{n}{v} </math>
である。
では、この結論を導く。
まず、このような気体中の、ある1つの分子に作用する分子間力の大きさは、その分子の近くにあるまわりの分子の数に比例するので、よって、ある1つの分子に作用する分子間力の大きさは、気体の濃度
<math>c= \frac{n}{v} </math>
に比例する。
そして、すべての分子が、このような分子間力を作用しあっている事を考慮する必要があるが、しかし分子間力の性質として、近くどうしの分子のみを考えれば充分なので、現実的には、単位体積中の分子数で計算する事になる。
単位体積中の分子数とは、つまり、その気体のモル濃度 <math>c= \frac{n}{v} </math> である。
(なお、理想気体の式 pv=nRT は、<math>P = cRT </math>と変形できたことも、思い出そう。)
結局、<math>+\frac{n^2}{v^2} </math>は、単に、
:<math>+\frac{n^2}{v^2} </math> = ある分子に作用する分子間力<math>\frac{n}{v} </math> × モル濃度<math> \frac{n}{v} </math>
という計算である。
さて、bの係数について考えよう。
ボイル・シャルルの法則<math>PV = nRT </math>での体積Vとは、何かというと、これは気体分子が動ける空間である。だったら、それぞれの分子が動ける空間の体積は、その分子以外の他分子の体積を減算する必要がある。一般の気体の分子数は膨大なので他分子の数はn[mol]に比例すると見て良い。こうして、他分子の体積を減算した、気体分子が動ける分だけの体積<math>(V-nb)</math>を考慮すればよい。
==== ※ 範囲外: 分子間力の起きる原因 ====
このような気体における、上述のようなファンデルワールス方程式のような実験結果をひきおこす分子間力の原因は何だろう?
読者の高校生は、化学Iで「ファンデルワールス力」を習ったと思う。
このファンデルワールス力こそが、このような実在気体での、分子間力の原因だと考えられてる。
:(なお、気体にかぎらず、単に「分子間力」といっただけの場合、水素結合(分子間のHとOHの引き合う結合)なども含む。しかし、このファンデルワールス方程式の気体の理論では、例外として気体が水蒸気の場合を除けば、水素結合は原因ではないだろう。)
:(※ 上の節では、説明の簡単化のため、主に「ファンデルワールス力」の意味として「分子間力」という用語を用いた。)
分子や原子では瞬間的な分極が頻繁に起きていて、つまり、瞬間的に、プラス電荷とマイナス電荷が分子の両端に発生していて、ほかの分子と電気的な引力をおよぼしあっている、・・・というような説が、定説である。(量子力学などによるエネルギーの「ゆらぎ」が、その瞬間的な分極の起きる根拠とされている。)
分極の影響は、たとえば磁石なら遠くにいくほど、測定位置から両極の距離がほぼ同じになり、そして反対符号のN極とS極の磁力が打ち消しあうので、磁石全体の影響は逆2乗よりも急激に減少していく。このような原理で、分極では、遠くの物体の影響は無視できるのである。
== 分圧の法則 ==
反応しあわない分子式の異なる気体を混合させた複数種の気体を、一つの密閉した容器に混ぜた気体を、'''混合気体'''という。
混合して生じた混合気体の圧力を、その混合気体の'''全圧'''という。
例として、2種の気体Aと気体Bを混ぜた混合気体を考える。混合気体の各成分AとBをそれぞれ別に、Aだけにして同じ容器に同じ温度で入れた時の圧力を気体Aの'''分圧'''(ぶんあつ)という。同様に、気体Bを気体Bだけにしておなじ容器に同じ温度で入れたときの圧力を気体Bの分圧という。
気体Aの分圧を<math>p_A</math> として、気体Bの分圧を<math>p_B</math> とすると、全圧pと分圧の間に次の関係が成り立つことが知られている。
<math> p=p_A +p_B </math>
このような、「全圧は分圧の和に等しい。」という関係式を'''ドルトンの分圧の法則'''という。
気体成分が3個以上の場合でも、同様の結果が成り立つ。3種の場合は、気体A,B,Cについて、全圧と分圧の関係は、
<math> p=p_A +p_B+p_C </math>
である。気体成分の種類の数に関わらず、これらの「全圧は分圧の和に等しい。」という関係式を'''ドルトンの分圧の法則'''という。
=== 分圧の法則の導出 ===
分圧の法則は、「混合気体でも、状態方程式が各成分単独の場合と同様に成り立つ」と仮定すれば、状態方程式から分圧の法則を導出できる。この法則は、気体成分の種類が何種類でも成り立つが、説明のため、気体成分は3種類と仮定しよう。混合気体の物質量について、以下のような関係が導出できる。
<math> n= n_A +n_B + n_C </math>
これを示そう。まず、状態方程式より、全圧の状態方程式を表すと、
<math> pv=nRT </math>
である。
このとき、分圧と物質量は、分圧の定義より、次の式になる。
<math> p_A v=n_A RT </math>
<math> p_B v=n_B RT </math>
<math> p_C v=n_C RT </math>
これ等の3個の式を足し合わせると
<math> (p_A +p_B +p_C ) v= ( n_A +n_B + n_C ) RT </math>
これを、pv=nRTで割ると、
<math> \frac{p_A +p_B +p_C }{p} = \frac{ n_A +n_B + n_C }{n} </math>
また、物質量の<math> n </math> と、 <math> n_A +n_B + n_C </math> との関係は、質量保存の法則より、以下の関係が成り立つ。
<math> n= n_A +n_B + n_C </math>
これより、
<math> \frac{p_A +p_B +p_C }{p} = \frac{ n_A +n_B + n_C }{n} =1 </math>
つまり、
<math> \frac{p_A +p_B +p_C }{p} =1 </math>
両辺に分母を掛けて
<math> p_A +p_B +p_C =p </math>
これは、分圧の法則に他ならない。
かくして、ドルトンの分圧の法則は導出された。
=== 分圧とモル分率の関係 ===
混合気体の物質量の総和に対する、各成分の物質量の比を'''モル分率'''という。
たとえば、3種類の混合気体A,B,CにおけるAのモル分率は
<math> \frac{n_A}{n} </math>
である。
同様に、Bのモル分率は、
<math> \frac{n_B}{n} </math>
である。
モル分率と全圧について、次の関係式が成り立つ。
各成分の分圧は、全圧にその成分のモル分率を掛けたものに等しい。
<math> p_A v=n_A RT </math> ・・・(1)
<math> pv=nRT </math> ・・・(2)
これより、(1)を (2)で割って、
<math> \frac{p_A}{ p}= \frac{n_A}{n} </math>
分母の全圧pを両辺に掛ければ、
<math> p_A = p \frac{n_A}{n} </math>
となり、命題「各成分の分圧は、全圧にその成分のモル分率を掛けたものに等しい。」を状態方程式から導出できた。以上。
=== 水上置換法の分圧 ===
水素H<sub>2</sub>などを水上置換法で集める場合を考える。水上置換法で集められる気体は、水蒸気の混じった混合気体である。捕集した気体の圧力には、水蒸気の分圧が含まれている。
この例の水素の場合、水素のみの分圧を求めたい場合は、捕集した気体の全圧から、水蒸気の分圧を差し引く必要がある。
つまり水素の分圧<math> p_{H_2}</math>は、全圧<math>P </math>から水蒸気の分圧<math>p_{H_2 O} </math>を差し引いた値になる。
<math> p_{H_2} = P - p_{H_2 O} </math>
大気圧下での水蒸気圧については表などで与えられるので、それを利用する。なお、参考値を言うと、温度t=27℃で、水蒸気圧は、およそ3.6kPa、あるいは単位を変えれば27mmHgである。
=== 平均分子量 ===
酸素と窒素のまじった大気中の空気などのように、2種類以上の気体が混在してる時、この混合気体を、仮に1種類の気体からなると仮定して、その気体の分子量[mol]を算出したものを'''平均分子量'''という。たとえば、空気は混合気体であり、主成分の窒素と酸素の物質量[mol]の割合が、
窒素:酸素=4:1
であるが、モル質量が窒素28g/molであり、酸素は32g/molなので、空気の平均分子量は
''28.0[g/mol] ×'' <math>\frac{4}{5}</math> ''+ 32.0[g/mol]×'' <math> \frac{4}{5}</math>''= 28.8[g/mol]''
となる。
実際にはアルゴンやニ酸化炭素なども含まれているので、これより少し式や値は変わるが、ほとんど同じ値になる。
以上の例では、大気中の空気を例に平均分子量を解説したが、なにも空気で何くても平均分子量は必要に応じて定義される。
[[Category:高等学校化学]]
[[Category:高等学校教育]]
[[Category:化学]]
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高校化学 溶液の性質
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{{pathnav|高等学校の学習|高等学校理科|高等学校 化学|pagename=溶液の性質|frame=1|small=1}}
== 溶液 ==
[[Image:SaltInWaterSolutionLiquid.jpg|thumb|水に食塩を溶かし食塩水を作っている時の画像。]]
水 H<sub>2</sub>O に、食塩 NaCl を、これから混ぜる場合を考える。食塩を混ぜる前の水は、とくに他の砂糖や塩などの他の物質などを混ぜていない、純物質の水としよう。水道水は便宜上、一般の水と見なそう。純水も、大気圧下で採集を行えば、大気の空気が少し水に混ざるが、便宜上、それは無視しよう。
このような純物質の水に、少量の食塩をまぜたとしよう。水に食塩を混ぜて、スプーンなどで拡散すると、食塩は水中に拡散していき、やがて肉眼では見えなくなる。そして、混ぜた食塩の量が少なければ、水中にも食塩は沈殿しなくなる。このように、液体に混ぜた物質が、沈殿や凝集物を作らず、液中に拡散することを'''溶解'''(ようかい, dissolution)という。そして、水のように他のものを溶解する物体を'''溶媒'''(ようばい, solvent)という。塩化ナトリウムのように溶けた側の物質を'''溶質'''(ようしつ, solute)という。
溶媒が液体の場合に、溶解によって生じた均一な混合液体を'''溶液'''(ようえき, solution)という。
この食塩の例の場合は、食塩の量をもっと増やすと、やがて、かき混ぜても、溶けきらずに、時間が経てば底に食塩の沈殿が貯まるようになる。
このように、一定量の溶媒に溶ける溶質の量には限度がある。この溶かす限度の限界まで、溶質が溶けている状態の溶液を'''飽和溶液'''(ほうわようえき, saturated solution)という。これに対して、溶質がまだ溶ける溶液を'''不飽和溶液'''という。
== 電解質 ==
塩化ナトリウムNaClを水に溶かすと、ナトリウムイオンNa<sup>+</sup>と塩素イオンCl<sup>-</sup>のような、正負のイオンに分かれる。このように溶解の際に、イオンに分かれる現象を'''電離'''(でんり, ionizasion)という。そして、水に解けて電離する物質を'''電解質'''(でんかいしつ, electrolyte)という。
グルコースの溶液は、水に溶けても電解しない。このような水に溶けても電解しない物質を'''非電解質'''という。
電解現象と溶解とを混同しないように注意しよう。
電解質のうち、塩化ナトリウムの水溶液と、酢酸の水溶液との比較をすると、酢酸は溶解をするし電離もするが、塩化ナトリウムよりも電離しづらいことが分かっている。
電解質のうち、塩化ナトリウムのように電離をしやすい物質を'''強電解質'''という。酢酸のように、溶液中のイオンの電離が弱いが、電離をしている物質を'''弱電解質'''という。
== 水和 ==
[[File:Dipole water.png|thumb|150px|水分子の極性の概念図。]]
[[File:Na+H2O.svg|thumb|水分子によって水和したナトリウムイオン。]]
水分子は極性分子であり、酸素O原子がδ-に帯電し、H原子がδ+に帯電しているという、極性分子(polar molecule)である。
塩化ナトリウムを水に入れると、電離したそれぞれのイオン原子1個ずつについて、ナトリウムイオンNa<sup>+</sup>は水分子の陰性の酸素原子と引き合い、塩素イオンCl<sup>-</sup>は水分子の陽性の水素原子と引き合う。その結果、イオン原子は、周囲を水の分子によって囲まれる。
このように、溶質原子が水分子によって取り囲まれる現象を'''水和'''(すいわ, hydration)という。溶媒が水でない場合には、イオンが溶媒に取り囲まれるこのような現象は、'''溶媒和'''(solvation)と呼ばれる。
食塩の水和では、ナトリウムイオンでは隣に水分子の酸素原子の側が来る。塩素イオンでは、隣に水分子の水素原子の側が来る。
水和しているイオンを'''水和イオン'''(hydrated ion)という。
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== 親水基と疎水基 ==
エタノールC<sub>2</sub>H<sub>5</sub>OHやグルコース(ブドウ糖)C<sub>6</sub> H<sub>12</sub> O<sub>6</sub> などは水に良く溶ける。このエタノールの分子は、分子中にヒドロキシル基 OH を持つ。エタノールでは、このヒドロキシル基の部分が、水分子と水素結合を生じて、エタノール分子が水和をする。グルコース分子も、実はヒドロキシル基を持っており、このヒドロキシル基の部分が、水分子と水素結合を生じて、グルコース分子が水和をする。
このエタノール分子中のヒドロキシル基のように、水和されやすい原子団の部分を'''親水基'''(しんすいき, hydrophilic group)という。水和されやすい性質を'''親水性'''(hydrophilicity)という。
これに対して、ベンゼンC6H6などは水に溶けない。このような分子は極性をもたない無極性分子である。一般に、親水基を持たない無極性分子は、水には溶けない。
また、エタノール分子中のエチル基C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>の部分は、極性を持たず、この部分は水和には寄与していない。この分子の他にも、一般の炭化水素CmHnは無極性で、水和には寄与しない。このような、炭化水素のみからなりエタノールと違って親水基を持たない炭化水素分子は水和されにくい。このような親水性をもたない原子団を'''疎水基'''(そすいき, hydrophobic group)という。水和されにくい性質を'''疎水性'''(hydrophobicity)という。
無極性分子からなるヨウ素I<sub>2</sub>やナフタレンC<sub>10</sub> H<sub>8</sub> は、無極性分子の液体であるベンゼンC<sub>6</sub> H<sub>6</sub>や、四塩化炭素CCl(テトラクロロメタン)には、よく溶ける。
このように無極性分子の物質は、無極性分子の液体に溶けやすい。いっぽう、極性分子の物質は、極性分子からなる水に溶けやすいのであった。
これらのように、一般に極性の似ている分子は溶けあいやすい。
[[ファイル:Ethanol flat structure.png|thumb|left|200px|エタノールの構造式]]
{{clear}}
== 溶解度 ==
[[Image:SolubilityVsTemperature.png|right|400px|thumb|様々な物質の溶解度曲線]]
ある一定の温度で、ある一定の質量の溶媒に対して、溶質を溶かして、溶質が溶けきる最大限の飽和溶液を得た場合、その飽和溶液に溶けている溶質の量を'''溶解度'''(solubility)という。つまり、溶解度とは、未混合の溶媒に対して、「この溶媒は、これから、どれだけの溶質を溶かせるか」という能力のことである。溶解度と濃度とは、別の概念なので、混同しないように。
溶解度の数値の表し方は、2種類ある。
一般的なのは、溶媒の質量100gに対して、溶かせる溶質の質量の割合[g/100g]、またはその溶質の質量[g]で定義する方法である。
溶解度の単位は、無次元で表す場合もあるが、無次元だと状況が分かりづらいという考えのもと、[g/100g]や、[g]などと表す場合もある。
溶解度は、溶媒の温度によって変化する。溶媒が水の水溶液の場合、水の温度によって、溶解度は変化する。
水に溶かす溶質では、一般に水の温度が高まるほど、ほとんどの溶質で、溶解度は高まる。ただし、例外的に水酸化カルシウムCa(OH)など、いくつかの分子では、温度上昇によって溶解度が下がる物質もある。
溶解度の温度変化をグラフで表したものを'''溶解度曲線'''(solubility curve)という。
== 再結晶法 ==
不純物の混ざった混合物の固体に対して、その各成分の溶解度が大きく異なる場合は、その混合質を、熱した溶媒に飽和するまで溶かし、飽和後に冷却をしていけば、溶解度の小さい物質の側から先に、結晶が析出をしていくので不純物を取り除ける。このように、何らかの方法で溶質の結晶を析出させて不純物を取り除き精製する方法を'''再結晶法'''(recrystallization)という。
「再結晶」という語について、この例では、水溶液を用いた再結晶を紹介したが、「再結晶」とは、なにも水溶液にかぎらず、何らかの方法で結晶をいったん溶解または溶融させて、そのあとに結晶を析出させてえられた結晶ならば、一般に再結晶という。
なお、溶媒を冷却していく時に、あらかじめ他の実験で得られた、その物質の、平均的な溶解度を超えるまで冷やしても、析出しない場合がある。このように通常の溶解度を超えて溶質を含んでいる状態を'''過飽和'''(かほうわ, supersaturation)という。溶質を溶解度よりも過飽和に含んでいる溶液のことを'''過飽和溶液'''という。過飽和の状態は不安定であるので、過飽和溶液の場合は、少量の撹拌や振動などが加わるだけで、結晶の析出を始める。
溶質の種類によっては、再結晶法で結晶分子中に水分子が化合した結晶が得られる場合がある。このように結晶分子と化合している水を結晶水あるいは水和水という。結晶水は、加熱などによって除去できる場合が多い。
結晶から水和水を除去することを無水化などという。無水化して得られた結晶水を含まない固体を'''無水物'''(むすいぶつ, anhydride)という。
結晶が水和水を含む物質に対する溶解度の定義は、無水物の質量を、溶質の質量とみなして、溶解度を定義する。
== 沸点上昇 ==
砂糖水や食塩水は、100℃にしても沸騰しない。
不揮発性の溶質を溶媒に溶解させると溶液の沸点が上昇する現象を'''沸点上昇'''(boiling-point elevation)という。
純溶媒の沸点t<sub>1</sub> [K]と溶液の沸点t<sub>2</sub>[K]との沸点の差Δt<sub>b</sub>=t<sub>2</sub>- t<sub>1</sub> [K] を'''沸点上昇度'''(boiling-point elevation constant)という。
水が蒸気になる時に、水に溶けていた溶質は蒸気からは追い出され、蒸気には溶質は混じらない。このときに、溶質を追い出すためには、蒸気にエネルギーを与えなければならない。その結果、溶質がなかった場合より、高い温度にしないと沸騰しないのである。
沸点上昇Δt<sub>b</sub> は質量モル濃度c[mol/kg]に比例するので、式で書けば、
:Δt<sub>b</sub> = K<sub>b</sub> c
である。
なお、「質量モル濃度」とは、その溶媒 1kgあたりに溶けている、溶質のモル数のことである。
なお、沸点上昇度Δt<sub>b</sub>の比例係数をK<sub>b</sub> とした。比例係数K<sub>b</sub> の単位は、[K/(mol/kg)]つまり[K・kg/mol]で定義される。この比例係数K<sub>b</sub> [K・kg/mol]を'''モル沸点上昇'''(molal boiling-point elevation constant)という。
=== 蒸気圧降下 ===
[[Image:Water vapor pressure graph.jpg|thumb|right|300px|水の蒸気圧を縦軸に取って、温度(単位は℃)を横軸に取ったグラフ。<br> 水は通常は100度において沸騰し、その時の蒸気圧は101.325kPaという標準的な大気圧に等しい。]]
真空ポンプなどで水が入った溶液の周囲の気体を減圧していくと、100℃にならなくても沸騰する。このときの気体圧を'''飽和蒸気圧'''(saturated vapor pressure)という。この飽和蒸気圧が、溶液では下がり、より減圧しないと沸騰しなくなる。このことを'''蒸気圧降下'''(vapor pressure depression)という。
== 凝固点降下 ==
砂糖水や食塩水を冷やしても0℃では凍らない。このように不揮発性の溶質を溶媒に溶かすと溶媒の凝固点が下がる。
水が氷になる時に、溶質を追い出す。このときに、溶質を追い出すためには、溶質の動きを押さえなければならない。その結果、溶質がなかった場合よりも低い温度にしないと氷にならないのである。
不揮発性の溶質を溶媒に溶解させると溶液の凝固点が下がる現象を'''凝固点降下'''(freezing-point depression)という。
純溶媒の凝固点t<sub>1</sub> [K]と溶液の凝固点t<sub>2</sub>[K]との凝固点の差Δt<sub>f</sub>=t<sub>1</sub>- t<sub>2</sub> [K] を'''凝固点降下度'''(freezing-point depression constant)という。
凝固点降下度は質量モル濃度 m [mol/kg] に比例するので、凝固点降下度 Δt<sub>f</sub> の比例係数を K<sub>f</sub> としたとき、つまり
:Δt<sub>f</sub> = K<sub>f</sub> m
の比例係数 K<sub>f</sub> の単位は、 [K/(mol/kg)] つまり [K・kg/mol] で定義される。この比例係数 K<sub>f</sub> [K・kg/mol] を'''モル凝固点降下'''(molal freezing point depression constant)という。
== 過冷却 ==
[[File:Supercooling cooling-curve jp.svg|thumb|600px|過冷却]]
右図のように、冷却による温度変化と時間との関係をあらわしたグラフのことを'''冷却曲線'''という。
液体を冷却していって凝固点になっても、すぐには凝固しない。この状態を'''過冷却'''(かれいきゃく、supercooling)という。
冷却が進んで凝固点よりも少し温度が下がってから、凝固点まで温度が上がり、凝固が始まる。
凝固点降下と過冷却の関係は、右図のグラフのようになる。
== 浸透圧 ==
=== 半透膜 ===
セロハンというセルロースから作られる、ある化合物がある。(「セロ」ハンの「セロ」の由来は、「セルロース」の「セル」である。)
このセロハンを膜にしたセロハン膜には、水分子などの小さな分子は通すが、スクロース分子(スクロースは、ある種類の糖である。)などの比較的に大きな分子を通さない。このように、分子サイズの小さな分子を通し、分子サイズの大きな分子を通さない膜を'''半透膜'''(はんとうまく, semipermeable membrane)という。
半透膜には、セロハン膜の他にも、動物の膀胱膜(ぼうこうまく)がある。セルロースを硝酸でニトロ化した化合物の一種のコロジオン(collodion)という物質から作られるコロジオン膜も、半透膜である。
この他、生物の細胞膜も半透膜である。
ろ紙は半透膜ではない。ろ紙はセルロースなどの溶質を通してしまう。
=== 浸透圧 ===
[[Image:Pressione osmotica.jpg|thumb|濃度を均等にしようと、浸透がされる。]]
U字管の下部を半透膜で仕切って、片側に純水を入れ、もう片方にスクロース溶液を入れると、純水の一部がスクロース溶液の側に移動して、純水の液面が下がる。この現象を浸透という。このように両溶液に濃度差がある場合は、溶液を薄めて濃度差を無くそうとする力が働くので、この濃度差を無くそうとする力を'''浸透圧'''(しんとうあつ, osmotic pressure)という。
両液の水位を等しくするには、スクロース水溶液に圧力を加えないといけない。この圧力の大きさを浸透圧の大きさとする。浸透圧の大きさの記号はΠで表す。Πはギリシャ文字の大文字のパイである。
浸透圧を数値化する際や数式化する際に、純水を基準にして、純水と溶液との浸透圧を、単に浸透圧と言って用いる場合が多い。
=== ベッファーの実験 ===
では、浸透圧を数式化しよう。
まず、説明の簡略化のため、両液の片方は純水として純水への浸透を基準にしたとする。
浸透圧Π [Pa]は濃度c[mol/L]に比例する。Paは圧力の単位で'''パスカル'''(Pascal)という。
したがって
:Π ∝ c
また、浸透圧は絶対温度T[K]に比例することが、実験的に知られている。(ドイツの植物学者ベッファーによるベッファーの実験。)なので、
:Π ∝ T
以上の結果を合わせて、
:Π ∝ cT
比例係数をkとすれば、
:Π = kcT
である。
=== ファントホッフの式 ===
次に、実験的に比例係数kを、オランダ人の化学者のファントホッフが数値計算で求めた結果、この値は、気体の状態方程式として知られる PV = nRT の普遍気体定数 R の値と一致することが、実験的に分かっている。なので、このことを浸透圧の式に反映すれば、浸透圧の式は
:Π = cRT
となる。
モル濃度c[mol/L]は、溶液中のモル数をn[mol]として、その体積をV[m<sup>3</sup>]とすれば、
:c=n/V
である。(1L=1000cm<sup>3</sup>なので、モル濃度を体積に換算できる。)
これを浸透圧の公式に代入して、
:ΠV = nRT
という式が得られる。このように、気体の状態方程式 PV = nRT と似た形の式が得られる。この ΠV = nRT の式を浸透圧に関する'''ファントホッフの式'''という。
== コロイド溶液 ==
[[Image:Milk glass.jpg|right|250px|thumb|'''ミルク''' 水溶液の中に脂肪が分散したコロイド]]
直径がおよそ10<sup>-9</sup>mから、10<sup>-7</sup>mの粒子を'''コロイド粒子'''(colloid)という。
コロイド粒子の定義では、粒子が水溶性か否かは問わない。
コロイド粒子はろ紙を通過できるが、半透膜を通過できない。
デンプンを水に溶かした場合は、デンプンの粒子は、この程度の大きさであり、コロイド粒子である。
コロイド粒子が液体中に均一に分散している液を'''コロイド溶液'''という。
コロイド溶液の定義ではコロイド溶液が透明か否かを問わない。
コロイド粒子を分散させている液体を'''分散媒'''(ぶんさんばい, disperse medium)という。いっぽう、コロイド溶液中のコロイド粒子を'''分散質'''(ぶんさんしつ, dispersoid)という。
=== 水酸化鉄(Ⅲ)のコロイド溶液 ===
沸騰している水に、塩化鉄FeCl<sub>3</sub> を少量ほど加えると、赤色の水酸化鉄Fe(OH)<sub>3</sub> のコロイド溶液ができる。
:<math> \mathrm{FeCl_3 + 3 H_2 O \rightarrow Fe(OH)_3 + 3HCl} </math>
Fe(OH)<sub>3</sub> は水に不溶であり、これのコロイド溶液は不溶のFe(OH)<sub>3</sub> が水に分散したものである。このような不溶の物質が分散したコロイド溶液を'''分散コロイド'''(dispersion colloid)という。
=== 電気泳動 ===
U字管にコロイド溶液を入れ、電極を用いて、直流電圧を掛けておくと、コロイド粒子はいっぽうの電極の側に移動する。
電気を用いて液体の中から特定の粒子を移動させる現象を'''電気泳動'''(でんきえいどう, electrophoresis)という。
このことから、コロイド粒子は電荷を帯びている事が分かる。コロイド粒子は溶液ごとに、正または負の電荷を帯びている事が分かる。
水酸化鉄 Fe(OH)<sub>3</sub> は正に帯電している。コロイド粒子が正に帯電している場合を'''正コロイド''' (positive colloid)という。また水酸化アルミニウムAl(OH)3<sub>3</sub>は正に帯電している。水酸化アルミニウムも正コロイドである。
一般に金属の水酸化物と液体との混合物がコロイド溶液になる場合は、正コロイドであることが多い。
負電荷び帯電するコロイドを'''負コロイド'''(negative colloid)という。負コロイドの具体例は、粘土、イオウS、CuS などの金属硫化物、デンプン,Au, Ag, Pt, などである。
コロイドが沈殿しないのは、この帯電によって、互いの粒子どうしを反発させているからである。
では、なぜコロイドが電荷を帯びるのか。水酸化鉄Fe(OH)3<sub>3</sub>のコロイドが正に帯電するのは、化合物中のOH基の部分が、溶液中の陽イオンのH<sup>+</sup>あるいはFe<sup>+</sup>を吸引しやすいからだと考えられている。
セッケンのコロイドでは、コロイド粒子そのものがイオン化している。
セッケンは
:<math> \mathrm{ (R-COONa) \rightarrow (R-COO^{-}) + nNa^{+} } </math>
と電離する。
=== 疎水コロイドと親水コロイド ===
==== 疎水コロイド ====
水酸化鉄Fe(OH)<sub>3</sub> のコロイド溶液に、少量の電解質を加えるとコロイドが沈殿をする。
粘土のコロイド溶液に電解質を加えても同様に沈殿をする。
水酸化鉄は正コロイドであり、粘土は負コロイドであることから、この沈殿現象はコロイドが正負どちらの電荷でも生じる。
少量の電解質で沈殿するのは、最初に加えた電解質によって、コロイド粒子に反対符号のイオンが吸着し、その結果、分子間力が増えた結果、凝集しあって沈殿するからである。
このように少量の電解質で沈殿するコロイドを'''疎水コロイド'''(hydrophobic colloid)という。疎水コロイドが少量の電解質で沈殿する現象を'''凝析'''(ぎょうせき, flocculation)という。
なお、イオンの価数のおよそ6乗に比例して、凝析の効果が強まる。
電解質が反対符号の電荷を価数をもつほうが、より少量の電解質の添加でコロイドを沈殿させやすい。
たとえば正コロイドのFe(OH)<sub>3</sub> を沈殿させるために加える電解質では、1価のClよりも2価のSO<sub>4</sub><sup>2-</sup>のほうが2<sup>6</sup>倍=64倍ほど有効である。
疎水コロイドの凝析で、イオンの価数の6乗に比例して、凝析の効果が強まるという、この法則を'''シュルツ・ハーディの法則'''という。
:(※ 余談:) 粘土のコロイドが塩分で凝集するが、これは地理で習う三角州の形成の一因だろうと考えられている(※ 第一学習社の見解)。海水の陽イオンによって粘土のコロイドが凝集するという見解である。
==== 親水コロイド ====
いっぽう、デンプンやタンパク質のコロイドは、多量の電解質を加えないと沈殿しない。このデンプンやタンパク質の化学式を見ると、-OH基や-COOH基や-NH<sub>2</sub>基などの基がある。これらは水と吸着しやすい親水性の原子団の親水基である。
このため、沈殿させるには、水との吸着を無くすために多量の電解質を加えて、溶液全体のイオンにおける、水の影響を薄めて吸着を無くさなければならない。電解質を加えても溶液全体の電荷の合計自体は同じだが、水素結合は、他の結合よりも強いことを思いだそう。
デンプンやタンパク質などのように、水和しているコロイドを'''親水コロイド'''という。
親水コロイドに多量の電解質を加えて沈殿させることを'''塩析'''(えんせき, salting out)という。
電気泳動に関して、親水コロイドは水和のため、疎水コロイドと比べて、親水コロイドは移動速度が小さい。
==== 保護コロイド ====
疎水コロイドと親水コロイドとを混ぜたコロイド溶液は、どういった特性を持つだろうか。
疎水コロイドが、電解質を加えても沈殿しにくくなる。
親水コロイドは疎水コロイドと吸着しても、親水コロイドの親水性のため、少量の電解質を加えても親水コロイドは沈殿しない。その親水コロイドと吸着した疎水コロイドは、吸着している親水コロイドが少量の電解質では沈殿しないため、一緒の疎水コロイドも少量の電解質では沈殿しない。
このように親水性の高い親水コロイドとの吸着を仲立ちとして疎水コロイドが沈殿しづらくなる現象を、親水コロイドによる'''保護'''あるいは'''保護作用'''といい、この親水コロイドによる疎水コロイドの保護を目的として加える親水コロイドを加えた場合、その親水コロイドを'''保護コロイド'''という。
保護コロイドの例として、タンパク質の一種であるゼラチンや、墨汁に含まれるニカワなどがある。
ゼラチンもニカワも親水コロイドでもある。
インキに含まれるアラビアゴムも保護コロイドである。ゴムというと、つい連想で輪ゴムのような固体状のものを連想しがちかもしれないが、このアラビアゴムの純物質は、多糖類であり、水溶性が高い親水コロイドである。
=== コロイドの生じる要因 ===
==== 会合コロイド ====
[[File:Micel olie in water.gif|thumb|ミセル]]
セッケン分子は、親水性の水に水和しやすい部分と、疎水性の水とは水和しない部分とからなる。
疎水性の部分が、まるで疎水コロイドと同じように集まり、その結果としてセッケン分子は数百個ほど集まる。しかし、分子に親水性の部分があるので、まるで保護コロイドのように、セッケン分子は沈殿せず、コロイド溶液であり続ける。
このセッケン分子が凝集する際、親水性の部分を外側に向けて集まり、疎水性の部分は内側に向けて集まる。
セッケン分子の集合体のように、親水基と疎水基を持つ分子が、親水基を外側に向けて集合したものを'''ミセル'''という。
このようなコロイドを'''会合コロイド'''(かいごうコロイド, association colloid)という。会合コロイドは親水コロイドの一種に分類される。
[[File:Molekula mýdla.PNG|center|セッケン分子の構造]]
==== 分子コロイド ====
デンプンやタンパク質の水溶液は、水溶液中での分子1個の大きさはコロイド粒子の大きさである。このような分子1個の大きさがコロイドの大きさであるため、コロイド溶液となった物質およびその分散質を'''分子コロイド'''(molecular colloid)という。
==== 分散コロイド ====
溶媒には本来溶解しない不溶性物質が細かく分散される事によって構成されるコロイド。
炭素や水酸化鉄など疎水コロイドの多くを占める。
=== ゾルとゲル ===
==== ゲル ====
[[Image:Konnyaku.jpg|thumb|こんにゃく。ゲルの例。]]
ゼラチンのコロイド溶液を冷やすと固体状に固まる。寒天のコロイド溶液を冷やすと固体状に固まる。
このようにコロイド溶液が冷えて固まったものを'''ゲル'''(ドイツ語:Gel)という。
ゲルを乾燥させたものを'''キセロゲル'''(xerogel)という。高野豆腐やシリカゲルは、キセロゲルである。
乾かした寒天やゼラチンなどもキセロゲルである。キセロゲルを水につけると水を吸って膨らむ。これを'''膨潤'''(ぼうじゅん)という。
==== ゾル ====
コロイド溶液とも言う。
コロイド粒子が分散している流動性のある溶液のこと。
=== チンダル現象 ===
コロイド粒子が光を散乱させ、光の通路が輝いて見える現象。
=== ブラウン運動 ===
コロイド粒子が、熱運動する分散媒粒子に衝突されて行う不規則な運動。
== その他(※ 範囲外) ==
[[画像:close packing_box.svg|thumb|right|160px|ギュウギュウに詰まっててても、スキマはある。(※ なお、この図は数学の幾何学からの借用であり、けっして何らかの分子の化学構造の図ではないので混同しないように。)]]
普通科高校では習わないが、
たとえば水50mLにエタノールを50mLそそいで混ぜても、合計の容積はおそよ97mLになり、単独の液体の体積の単純な和よりも小さくなる。
これの理由は、
:水とエタノールがお互いに溶け合ってるため、
:大きいほうの分子の集団のスキマに、小さいほうの分子が入り込んでいる、
ためである。
右図のような 球の しきつめ の幾何学の図の例からも分かるように、圧縮できなくてもスキマのある物体の配置は存在する。
syh2cbvdq4t3gblquu6xu0wgxtlsik8
利用者:柳 清仁
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高校英語の文法
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== 目次 ==
* [[高校英語の文法/文の種類]]
* [[高校英語の文法/動詞と文型]]
* [[高校英語の文法/時制]] ※ 参考書によって微妙に単元名が異なるので暫定
* [[高校英語の文法/完了形]]
* [[高校英語の文法/助動詞]]
* [[高校英語の文法/不定詞]]
* [[高校英語の文法/動名詞]]
* [[高校英語の文法/分詞]]
*
* [[高校英語の文法/比較]]
* [[高校英語の文法/関係詞]]
* [[高校英語の文法/仮定法]]
* [[高校英語の文法/名詞]]
* [[高校英語の文法/冠詞]]
*
* [[高校英語の文法/否定]]
* [[高校英語の文法/接続詞]]
* [[高校英語の文法/前置詞]]
その他 [[高等学校英語/文法用語の英単語]] 「名詞」Noun など(入試には出ないので覚える必要は無い)
== 文の構造 ==
=== 文の要素 ===
文の構造を知るためには、文がどのような要素で成り立っているのかを知らなければならない。
==== 主語と述語動詞 ====
# '''The old man''' ''is'' a famous singer.
# '''My sister''' ''studied'' math.
## 訳例:その老人'''は'''有名な歌手'''だ'''。
## 訳例:私の姉'''は'''数学を研究'''していた'''。
1の文は「AはBだ」という文であり、2の文は「AはCする」という文である。どちらも
# 「…は」「…が」という主題の部分
# 「~である」「~する」という主題が何であるかについて述べる部分
の二つが共通している。
この場合、1を'''主部'''といい、2を'''述部'''という。
そして、主部の中心となる語を'''主語'''(Subject)といい、述部の中心となる部分を'''述語動詞'''(Predicate Verb略して'''動詞'''('''Verb'''))という。
たとえば上記「私の姉」以下略の場合、 sister を主語、My sister を主部と分類する場合もある。
だが、主部のことを主語という場合もある(文英堂インスパイア)。
以下では、述語動詞は原則として単に動詞と呼ぶ。
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|-
! || - || 主語 || 述語動詞 || -
|-
| -
| colspan="2" | 主部
| colspan="2" | 述部
|-
| 1.
| The old
| man
| is
| a famous singer.
|-
| 2.
| My
| sister
| studied
| math.
|}
主語は単に'''S'''で表し、動詞は'''V'''で表す。
==== 目的語 ====
# He ''has'' '''a personal computer'''.
# We ''played'' '''soccer'''.
# Everone ''likes'' '''Sushi'''.
## 訳例:彼はパソコン'''を'''持っている。
## 訳例:私たちはサッカー'''を'''した。
## 訳例:みんなが寿司'''を'''好む。
いずれの文の動詞も「~を」という、動作の対象が必要である。このような動作の対象を表す語を'''目的語'''(Object)といい、'''O'''で表す。
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|-
! || 主語 || 動詞 || 目的語
|-
| -
| colspan="1" | 主部
| colspan="2" | 述部
|-
| 1.
| He
| has
| a personal computer.
|-
| 2.
| We
| played
| soccer.
|-
| 3.
| Everone
| likes
| Sushi.
|}
このような、'''S+V+O'''という形の文は英文の基本形の一つである。
==== 補語 ====
# Mary ''is'' '''happy'''.
# John ''became'' '''a doctor'''.
## 訳例:メアリーは幸せだ。
## 訳例:ジョンは医者になった。
これらはいずれも主語の状態を説明した文であるが、isやbecomeで文を切ると意味をとれない。happyやa doctorという、主語の様子をおぎなう語があって初めて意味のある文となる。このように、主語の様子について説明する語を'''補語'''(Complement)という。補語は'''C'''で表される。
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|-
! || 主語 || 動詞 || 補語
|-
| -
| colspan="1" | 主部
| colspan="2" | 述部
|-
| 1.
| Mary
| is
| happy.
|-
| 2.
| John
| became
| a doctor.
|}
このような'''S+V+C'''の文も基本的な文の一つである。なお、後で学ぶように、補語は主語の様子だけでなく目的語の様子を説明する場合もある(例文:I call him Sensei.(私は彼を先生と呼ぶ))。
==== まとめ ====
文の要素を表す記号をまとめると、
主語 '''S''' (Subject) / 動詞 '''V''' (Verb) / 目的語 '''O''' (Object) / 補語 '''C''' (Complement) / 修飾語 '''M''' (Modifier)
である。
subject や verb などの単語は、青チャート、文英堂インスパイア、いいずな出版エバーグリーン、などで紹介されている。一方、大修館書店ジーニアス、桐原ファクトブックには無い。
「主部」と「主語」は厳密には異なるが、しかしSVOO文型やSVC文型など文型について言う場合、主部のことも含めて「主語」と呼んでよい。参考書もそうなっている。
文法用語でいう修飾語(Modifier)には副詞と形容詞があるが、しかし文型の理論でいう記号 '''M''' は副詞だけに限定するのが一般的である(インスパイア)。
また、よく記号Mを「修飾語」というが、実際には1単語の「語」だけでなくとも、複数の語からなる副詞句や副詞節でも「修飾語」といって記号 M で表す(インスパイア)。
== 動詞の用法 ==
=== 態 ===
==== 受動態 ====
;どういうときに受動態を使うか。
動作主が不明な場合、
動作主をぼかしたい場合(ジーニアス)、
動作主に興味が無い場合(インスパイア)、
and接続詞のある文などで、形容詞をつかった「 be +形容詞」型の文章と並列させたい場合、受動態を使うことで「 It is 形容詞 and is 過去分詞(受動態)」のように主語を同じままで並列できて読みやすくなる(ジーニアス)。
能動態だと主語が長くなる場合、受動態を使うことがよくある。英語では長い主語を避けるのが普通(インスパ、ジーニアス)。
;by以外の動作主の前置詞
受動態にて動詞主をあらわす前置詞は一般的には by であるが、
しかし be known to ~ (知られている)や be covered with (~で覆われている)など、意味や動詞によっては前置詞がすでに決まっている。ほか、
be caught in ((にわか雨などに)あう)、
be filled with (~で満たされている)、
などが、そういったby以外が決まっている動詞(青チャート、ジーニアス)。
余談だが、「be known by ~」は、動作主ではなく「判断の基準」を表すのに使われる(インスパイア)。
A man is known by the company he keeps. 「つきあっている友達を見れば、その人の人柄が分かる」(ことわざ)※ インスパイア
A tree is known by its fruit. 「木のよしあしはその果実によって決まる」→「人はことばではなく行いによって判断される」(ことわざ)※青チャート
なお、by で表せるような動詞の受動態の場合、動作主が一般の人である場合は、byおよび動作主を省略することもある(青チャート)。
;感情と受動態
感情を表す be surprised at (驚く)などを、一説には、形容詞ではなく受動態であると見なす場合もある(ジーニアス、青チャート)。
be pleased with / be delight with 「~で喜ぶ」、
be satisfied with 「~に満足する」、
be disappointed at / in / with 「~に落胆する」
be interested in 「~に興味を持つ」、
be amused at/with 「~を楽しむ」、
be amazed at 「~に驚嘆している」、※ ジーニアス
be worried about 「~を心配している」、
;被害や災害
感情だけでなく、被害や災害も、英語では普通は受動態であらわす(インスパイア、青チャート)。
be delayed (遅れる)
be delayed due to heavy snow 「大雪で遅れる」※インスパ 、 de delayed by heavy snow 「大雪で遅れる」※青チャ
be injured (けがをする)
be injured in the accident 「その事故でけがをする」※青チャ
be killed ((戦争や事故などで)死亡する)
be killed in traffic accident. 「交通事故で死亡する」※エバグリ
被害以外にも、受動態が使われる動詞がいくつかある。
be born in ~ 「~(場所、年)に生まれる」
I was born in U.S.A. 「私はアメリカ合衆国に生まれた」
be located in ~(場所)「~(場所)にある」※インスパ
be accustomed to 「~に慣れている」※インスパ
婚約や結婚も、受動態。
be engaged 「婚約している」
be married 「結婚している」
なお、married は、
He got married to her. 「彼は彼女と結婚した。」
のように get married でもいい、「get 過去分詞」では変化を表す(エバーグリーン)。
engaged には「従事している」の意味もあるが、こちらも受動態でしか使わないのが普通。つまり
be engaged 「従事している」
;受動態にならない動詞
resemble ,meet のように相互関係を表す動詞(ロイヤル)は、受動態にならない。ただし、meetは「出迎える」の意味では受動態になりうる(ロイヤル)。
所有の状態をあらわす用法での have や 非所有の状態を表す lack などの動詞(ロイヤル、インスパ)は、受動態にならない。ただし、have でも「手に入れる」という別の意味では受動態にできる(ロイヤル)。
cost (金額がかかる)など数量を目的語にとる動詞(ロイヤル、インスパ)は、受動態にならない。
suit(~に似合う)、become(~に似合う)などの動詞(インスパ)は、受動態にならない。
;be動詞ではなくgetやbecomeを使う動詞
get married 「結婚する」
He got married to her. 「彼は彼女と結婚した。」
become acquainted with 「知り合いになる」
==== 助動詞と組み合わさった受動態 ====
He could be seen by her.
受動態の文を作るときには、その文の述語は必ずbe動詞の節になるが、be動詞に対して助動詞を用いたり、時制の変化をさせることも普通に行なわれる。
この時には、例えば
He is seen by her.
という文が
He could be seen by her.
の様にbe動詞は、助動詞+beの形で書き換えられる。これは、be動詞の原形が
beで与えられることによる。同じ様に例えば、
might be
may be
must be
will be
なども用いることが出来る。また、過去形や現在完了と組み合わせるときにも通常の規則に従えばよい。例えば、上の文では
He was seen by her.
He has been seen by her.
などとなる。been は be の過去分詞である。ここで、be が過去分詞 been になったのは、現在完了を作るためであり、see が過去分詞 seen になったのは、受動態を作るためであることに注意。
== さまざまな構文 ==
=== 話法 ===
=== 会話表現 ===
== 品詞 ==
=== 代名詞 ===
==== 未分類 ====
中学校では「代名詞」として、 he や she や we など、基本的な代名詞を習う。
もちろんそれも代名詞であるが、しかしそれ以外にも多くの代名詞がある。
たとえば the same (「同じもの」の意味)も代名詞である(青チャート、ジーニアス)。なぜなら、the same は、なにか具体的な名詞を言う代わりとして使われるのだから、the same も立派な代名詞である。
このように、代名詞は別に一語でなくても構わない。
なお、形容詞的に the same の直後につづけて名詞が来る場合もあり、「the same ~ as ・・・(名詞または代名詞)」で、「・・・と同じ ~」の意味。
こちらの構文では the same は代名詞というよりも形容詞としての用法だが、市販の参考書では都合上、代名詞の章でいっしょにthe same ~ as の構文も教えているのが通例である。
ともかく例文は、たとえば
the same ~ as yours で「あなたのと同じ~」の意味(ジーニアス、エバーグリーン)。
the same shoes as yours なら「あなたのと同じ靴」だし(エバー)、
the same computer as yours なら「あなたのと同じコンピュータ」である(ジーニアス)。
一方、慣用的に、節が続く場合は as ではなく that の場合が多く
the same man that I saw yesterday で「昨日見かけたのと同じ男の人」の意味だし(エバーの和訳を少し改造)、
the same song that I heard yesterday で「昨日聞いたのと同じ曲」の意味(ジーニアス)。
のように、
「the same ~ that ・・・(節)」
というのもある。
ただし、節が続く場合でも、べつに as を使ってもかまわず、つまり「 the same ~ as ・・・(節)」としてもマチガイではない(ブレイクスルー)。
those who ~ で「~な人々」の意味の代名詞である。
たとえばエバーグリーンいわく、 those who wish to smoke で「たばこを吸いたい人々」である。
such は代名詞として「そのようなもの」「そのような人」として扱われる場合もある。
たとえば
He is an adult now, and should be treated as such. 「彼はもう大人なのだから、そのように扱うべきだ。」 ※ジーニアス
He is mere child, and should be treated as such. 「彼はまだほんの子供だから、子供として扱ってやるべきだ。」 ※青チャート
のように such はよく as such などとして使われる。
==== some と any ====
{| class="wikitable" style="left"
|+ 複合不定代名詞
! !! some- !! any- !! no- !! every-
|-
! 人<br> -one<br> -body
| someone <br> somebody<br>(だれか) || anyone <br> anybody<br>(だれか、だれでも) || no one (※ 離して書く)<br> nobody<br>(だれも~ない) || everyone<br> everybody<br>(だれでも)
|-
! 物<br>-thing
| something || anything || nothing || everything
|-
|}
some にも any にも「いくつかの」という意味がある。
よく参考書では、「 some は肯定文で使う。anyは疑問文・否定文で使う」などと習う(青チャート、ジーニアスなど)。
しかし桐原ファクトいわく、anyの基本的な意味は「どれでも」の意味である。any の「いくつかの」の意味は、「どれでも」の派生だと思うほうが良いだろう。
some と any の区別で悩んだ場合は、この「どれでも」の意味を基準に考えると良い。
だから肯定文であっても、「どれでも」の意味の形容詞には any を使う。
桐原ファクトいわく、疑問文で any を使う場合でも、ニュアンス的には「どれでも」の意味があるのが実際とのこと。否定文の any も同様。
この any の基本的な意味が「どれでも」の説に立てば、たとえば熟語 not ~ any が形容詞 no と同じ意味だということも、 not ~ any は「どれでもいいので存在してほしい(any)という事についてすら、それが成り立たない(not)。 → つまり無い」というふうに理解できます。
なお、any の後ろに否定語を置くのは禁止されている(ジーニアス、青チャート)。
ほか、慣用的な表現として、よくお茶などやコーヒーの飲み物をすすめる際に、
Would you like some coffee? 「コーヒーはいかがですか」(桐原ファクト)
Would you like some more tea? 「お茶のお代わりはいかがですか」(青チャート)
のようにsome を使う。
青チャートいわく、some は、答えが Yes であることを期待しているニュアンスのある表現とのこと。そういう用法もある。なので、人にものを勧めるからには、some で質問しないと失礼になるので、someを使うのが当然とのこと。
実際にはsome も any もけっして意味中立的な表現ではなく、それぞれニュアンスがあるので、some と any を完全に使い分けるのは難しいだろう。
参考書にあるような代表的な事例についてだけ、some とanyを使い分ければ、とりあえずは平気だろう。
somebody と anybody などの使い分けも、上記の some と any に準じる(桐原ファクト)。
たとえば「誰かに出会いました」といいたい場合は、somebody を使うべきだと桐原は言っている。これがもしanybodyだと 「誰でもいいのですが、その人に会いました」(原文ママ(桐原))という内容の意味不明の文章になってしまうことからも分かるとして、桐原ファクトは誰かに会った事を言いたい場合には somebody を使うべきだと言っている。
所有格については、-body や -thing の末尾に 's をつければいい(インスパ)。
Everybody's business is nobody's business. 「みなの仕事は誰の仕事でもない」(直訳)→「共同責任は無責任」(ことわざ)
※ 「共同責任は無責任」の部分がことわざ。青チャートおよびインスパイアがこの ことわざ を紹介。
;慣用句など
He is something of musician. 「彼はちょっとした音楽家だ」 ※青チャ、インスパ、ロイヤル
something of a 「少しは~である」※青チャ、「ちょっとした~」※インスパ、
He thinks he is something. 「彼は自分を立派な人だと思っている」
「He thinks himself somebody. 」などでも同じ意味。
somebody または something で「立派な人」の意味(青チャート)。
逆に、nobody または nothing には「とるにたらない人」の意味がある(青チャート、ロイヤル)。
be something like または look something like で「少し似ている」の意味(青チャ、ロイヤル)。
==== every とall の違い ====
「すべての」という意味での every は形容詞であるが(インスパイア)、市販の参考書では便宜的に代名詞の章で紹介される。形容詞なので、every 単独ではあつかわれず、必ず直後に名詞または代名詞をともなう(インスパイア)。
every には「すべての」の意味もある(桐原ファクト、インスパイア)。しかし every と all には、ニュアンスの違いが明確に存在する。
また、every の後ろは単数形でなければならない。
every は、その全部を構成する一つ一つに関心がある文脈の場合に用いられる(桐原ファクト)。だから every で形容される名詞は必ず単数形でなければならないのも当然である(桐原ファクト)。また、everyは例外がないことを強調している(ジーニアス)。
each は2つ以上、every は3つ以上のものについて使用する。
なお、each は比較的に小さい個数のものに使い、everyは比較的に大きい数のものに使う(ジーニアス)。 each の使用対象はべつに2個限定でなくても構わない。
every と all には、こういったニュアンスの違いがあるので、参考書によってはevery の標準的な和訳を「すべての」以外で紹介する参考書も多い。
たとえば「あらゆる」「どの~も」という訳で every を紹介する参考書がよくある(青チャート、ブレイクスル-)。
なお、every には別の用法で「~(数詞のつく名詞)ごとに」の意味もあり、この場合は複数形になる。
たとえば every six hours で「6時間ごとに」である(ブレイクスルー)。 every four years で「四年ごとに」である(エバーグリーン)、なおオリンピックが四年ごとに開かれる という文章。
なお、「一日おきに」は every other day である(インスパイア)。
{{コラム|every child を受ける代名詞は he か she か?|
桐原ファクトに書いてあるのですが、男女のどちらの場合もある単数の名詞について、それを代名詞で受ける際、
he か she かが、時代とともに変わっていきました。
もともとは、男女不明などの場合は、とりあえず he で代名詞を受けていました(桐原ファクト)。
だから every child も he で受けていました。
しかし、それが男女平等の観点に反するという意見が多くなり、近年になって、「 he/ she 」などと受ける代名詞が変わってきました。
「he / she 」はhe or she と読みます。
しかし、長くなるので会話などで不便でした(桐原ファクト)。
その不便さを解消するためか、さらに最近では、単数形であることを無視して every child のような名詞でも they で受けています(桐原ファクトの 2022年 第2版で確認)。
each も同様、最近では they で受けます(桐原ファクト)。
:※ 上記のような説が有名であるが、それに対する若干の異論もある。それは
「もともと he は男の代名詞ではなく性別不明の代名詞であり、もし、男である何らかの名詞についてそれを代名詞で受ける場合については、とりあえず性別不明の代名詞である he を当てるというルールだった」というような説です。
ツイッターで東大の地震学の教授・[[w:ロバート・ゲラー]]がそのような主張をしています。 [https://twitter.com/rjgeller/status/1062486963242979328 Robert Geller@rjgeller 午前8:26 · 2018年11月14日]
おおむね、その教授はおおむね「自分は50年前の高校生のときにそう習った(heは性別不明の代名詞だと習った)」(※ 日本語として読みやすくなるようにwiki側で文章を修正。正確な文章については参照元を読むこと)とツイッターで主張していました。
この場合でも男女は不平等であります。しかし、女性差別とは言いがたい実態になります。
つまり、「女性を無視して男性を意味する he を使っていたのではなく、そもそも he は男女不明の代名詞であったが、女性専用の she という代名詞が存在していたため、あとからhe に男性の意味がついてきた。なのに『性別不明の名詞に he を使う事を女性差別だ』というフェミニズム言説は間違っている」という説です。
もしこの説「he は性別不明の代名詞だった」論のとおりなら(この説が間違っている可能性もありますので、どちらかに決め付けないように)、現代の各国の英語教育が、フェミニズミム運動などに配慮して代名詞 he の歴史の説明について、若干のウソをついている事になる可能性があります。
どちらの場合にせよ(数学の確率問題の場合わけのように、マジメに検証する人は両方の可能性を検討する)、参考書の桐原ファクトをよく読めば、性別不明の代名詞 he → he/she → they の変遷について「男女平等」という表現は説明に用いていますが、しかし「女性差別」という表現は用いていません。桐原ファクトの著者たちは、なかなか優秀です。こういう何気ない言葉の端々に、参考書の著者の優秀さが現れます。
まあ、私たちは背景事情にまでは深入りする必要はありません。上記のような異論もあることも承知した上で、異論もふくめた両者の合意である he → he/she → they という性別不明の単数代名詞の客観的事実を覚えれば済みます。
}}
==== その他 ====
「those who ~」で「~する人々」
Heaven helps those who help themselves. 「天はみずから助くる者を助く。」(ことわざ) ※ 青チャート
So do I. 「私もです。」
「So 動詞+主語」 か「So 主語+動詞」かで意味が違う。
「So 動詞+主語」は、「主語もです」の意味。
「So 主語+動詞 」 は「主語は確かにそうだ」の意味(インスパ代名詞、ジーニアス副詞)。
例文を出せば、たとえば
So he is. 「確かに彼はそうだ」
Tom is kind. 「トムは親切だ。」
- So he is. 「確かに彼はそうだ(=彼・トムは親切だ)。」
- So is John. 「ジョンもそうです。(=トムだけでなくジョンも親切ですよ)」
のような違いがある。
Tom can French well. 「トムはフランス語を上手に話せます」
- So he can. 「確かに彼はそうだ」
- So can John. 「ジョンもフランス語が上手ですよ」
※ 青チャにcanで似た例文
=== 形容詞・副詞 ===
;副詞の位置
副詞の位置がどこに来るかについて、単語や文章によって様々である。
通常、英語では副詞の位置は、修飾対象に前置きである。
しかし very much や from time to time など複数語から構成される副詞表現になると、通常は文末または修飾対象の後ろに置かれるのが通常である(桐原ファクト)。
== 名詞構文・無生物主語 ==
=== 名詞構文 ===
=== 無生物主語 ===
The road takes you to the station. 「その道を歩いていくと駅につきます。」
The bus takes you to the station. 「そのバスに乗れば駅に行きます。」
take は「連れて行く」の意味だが、交通機関などを主語にして使うことも出来る。その場合は、たとえば道なら「その道を行けば、~につきます」のような意味になる。
takes の代わりに will take としても良い(ロイヤル英文法)。
「remind 人 of」 で「人に~を思い出させる」の意味である。
This picture reminds me of vacation in Greece. 「その写真を見ると、ギリシャでの休日を思い出す。」
This picture reminds me of holidays in London. 「その写真を見ると、ロンドンでの休日を思い出す。」
なお、大修館ジーニアスだとロンドン、桐原フォレストだとギリシャの例文。
「deprived 人 of ~」 「(機会などが)うばわれる」
The knee injury deprived him of the chance to play in the final game. 「ひざのけがのため、彼は決勝戦に出場する機会を失った。」
または
The knee injury deprived the player of the chance to play in the game. 「ひざにけがをしたため、その選手は試合に出場する機会を失った。」
のように例文が参考書によくある。
enable ~ は、「~をできるようにする」「~を可能にする」の意味。「~のおかげで、・・・できるようになった」と訳すことができる。
The scholarship enabled him to go on to university. 「その奨学金のおかげで彼は大学へ進学できた。」
ジーニアス、ロイヤルに scholarship の似た例文。
== 疑問詞 ==
疑問詞は、'''疑問代名詞'''と'''疑問副詞'''に分けられる。
下記に疑問代名詞の一覧の表を示す。
{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 疑問代名詞の種類
! !! 主格 !! 所有格 !! 目的格
|-
! 人
| who (だれが) || whose (だれの(もの)) || who / whom (だれを、だれに)
|-
! 人、事物
| what (何が) || ない || what (何を、何に)
|-
! 人、事物
| which || ない || which (どれを、どちらに)
|}
{{-}}
what, which には所有格が無い(青チャ、ロイヤル)。
what, which, whose は疑問形容詞としても用いられる(青チャ、ブレイクスルー)。※ ブレイクスルーでは、一覧表の直後で章が変わり、疑問形容詞の章になる。
上記の一覧表は、あくまで疑問代名詞のみである。
疑問副詞については、まったく言及していない。
{{-}}
インスパイア、青チャート、ブレイクスルー、ロイヤルには上記のような疑問詞の一覧表がある。
ジーニアス、エバーグリーン、桐原ファクトには無い。
=== 前置詞と疑問詞 ===
Where are you from? 出身はどちらですか?
文法上、ここでの Where は副詞であり、「疑問副詞」というのに分類される(ロイヤル)。
中学校では主語を you にした例を中心にWhereの疑問文を教わったかもしれないが(中学の1年くらいだと、まだ3人称をあまり習ってないなどの教育的理由があるので)、もちろん he や she などを主語にしても where を使った質問は使用可能である(青チャ)。
Where does he live in? 「彼はどこに住んでいますか」
- Los Angels. 「ロサンゼルスです」
のようにyou以外にも he やsheなどでも言うことも可能。
さて、「Where are you from?」 について前置詞 from に注目しよう。
もしかしたら中学高校などで「前置詞は名詞や代名詞の前に移動するのが原則」とか習うかもしれないが、しかし前置詞をけっしてfromの前に移動しない。
なので、Where は副詞であると考えたほうが理解しやすいだろう。(これとは別の解釈で、そもそも「副詞には前置詞がいらない」という考えから副詞ではなく代名詞としての機能だと考える立場もあり、ジーニアスやロイヤルやフォレストがそういう立場。だが、机上の空論だろう。)
なお、法学など幾つかの学問では、『原則』というのは例外のありうる規則、という意味である。おそらくジーニアスが「原則」という言葉を使っているのは、Where ~?などの疑問詞を文頭にもちいた疑問文の場合は例外的な事例という含みがあるのだろう。
Where に限らず、たとえば When などで疑問文を作るときも原則、それらの疑問詞の前には前置詞(When の場合は since や till や until など)を置かない。そのため、それら When の文でも前置詞は文末にくる場合が多くなる。
つまり、「いつから~?」なら When do you ~ since ? のような文章になる事が多い。
ただし、疑問代名詞の場合は例外的である。
たとえば前置詞 With を使う場合、Who が目的格 Whom に変化する場合もあり、
With whom do you ~? 「誰と一緒に~しますか?」
のようにWith が文頭にくる場合もあるが(桐原)、文語調である(青チャート)。with以外の前置詞の場合でも文頭に持ってくる場合には同様にwhoではなく whom に変化する(ジーニアス)。なお、前置詞を文頭に持ってくる場合、whomを使わずにwho のままで文頭の前置詞の次に置くのは禁止である。
なお、Whomを使わずとも who のままで下記のように言うこともでき
Who do you ~ with?
となり、こちらは口語調である。
青チャートからの引用になるが、
About Which Yamada were you talking? (文語)「どちらが山田さんのことを話していたのですか.」
Which Yamada were you talking about? (口語)「どちらが山田さんのことを話していたのですか.」
となる。
しかし、
What are you looking for? 「何をさがしているのですか。」
については、 look for でひとつの句動詞(群動詞)なので、forは動詞の直後の文末でなければならない(青チャート)。なお、句動詞のことを群動詞ともいう。青チャートでは「句動詞」、インスパイアでは「群動詞」である。
同様にlook for (=を探す), look after (~を世話する),laugh at(を笑う), listen to, depend on , などが句動詞(群動詞)である(青チャ、インスパ、ロイヤル)。なので、これら句動詞(群動詞)では、動詞と前置詞は分離できないので、語順は「疑問詞 ~ 動詞 前置詞?」になる。
さて、疑問副詞の話題に戻る。
Where are you from? の場合、もし前置詞 from がないと、「あなたはどこ?」となり、それが出身をたずねているのか、それとも現在地をたずねているのか、意味が分からなくなることもあってか、ともかく 「Where are you from?」の文章は from を省略できない。
ジーニアスは、話し言葉ではWhereでは from を省略しないという言い方をしているが、しかし書き言葉であっても from を省略しないのが一般的であろう(省略したら上述のように意味が通らなり読み手に誤解を与えるので。)。
しかし、用いる動詞などによっては前置詞を省略できる場合があり、たとえば
Where do you go to? 「どこに行きますか?」
なら、もし前置詞 to を省略しても、動詞 go から意味を推測できるので、この場合は to を省略されるのが許され、つまり
Where do you go?
でも許される(ジーニアス)。
このように文法の理論というのは、あまり論理的ではない。最終的には、英文法の学習では典型的な構文を覚えて、それを真似して使っていく必要がある。
=== 慣用的な疑問文 ===
How about a cup of tea? 「お茶を一杯いかがですか?」
How about ~? は勧誘を表す。
What do you say to ~ing 名詞/動名詞 ? 「~はいかがですか?」「~しませんか」
What do you say to ~ing でも勧誘を表せる。
ここでのsayの直後にある to は前置詞であると考えられている(桐原フォレスト)。どういうわけか、ジーニアスもロイヤルも、to が前置詞かどうかは言及していない。
ほか、Why don't you 動詞 ~ ? は、「~してはどうしょうか」のような相手に行為を促す(うながす)言い方であり、やや押し付けがましい言い方である(ジーニアス)。 Why don't we の形で、一緒になにかをする時に「~しましょうよ」の意味で使う場合もある(フォレスト)。
また、これを省略的に Why not ~? の形で「~はどうですか」「~してはいかがでしょうか」「~しましょうよ」の意味にもある。
How come S + V ~?
How come ~? は「どうして~」の意味でありwhy に近いが、How come のほうが感情的な表現であるので、目上の人に使うのは避けるのが良い(ジーニアス)。なお、How come は語順がSVと肯定形の語順になる。
How come you didn't call me ? 「どうして電話をくれなかったの?」
※ 「電話してほしかったのに」のような含みがあり、相手を責めているようにも受け取られかねない。だから返事も、Sorry, 「ごめん」とかになる(ジーニアス)。
許可を求める表現である Do you mind if~? で、「~してもいいですか」という許可を求める表現ができる。なお Would you mind if ~? については仮定法になり、つまり「~」中の動詞が過去形になる。Would you mind if ~? については 『[[高校英語の文法/仮定法]]』で説明済み。
Do you mind if のほうは、if ~ の動詞は現在形で構わない。
What becomes of ~? 「~はどうですか」※ 青チャ、インスパ
What has become of he? 「彼はどうなりましたか」 ※ 青チャに同じ例文
青チャートとインスパイアでしか、what becomes of は紹介してない。ジーニアス、エバグリ、ロイヤル、ブレイクスルー、桐原ファクトの巻末索引には無い事を確認。
しばらく見かけてない人や物の消息をたずねるのに what becomes of を使う(ジーニアス)。参考書では明記してないが、現在完了形や未来表現(will)などで使う例文が多い。
日本語の「どう」につられて how とするミスがあるので注意(青チャ)。
=== 間接疑問文 ===
「何が起きたかを話して」Tell me what happened. (ジーニアス、ブレイクスルー)
のように、文中に疑問的な言い回し(上記の例では「何が起きたか」what happened の部分)が含まれているが、しかし文全体としては平叙文のような英文があり、こういう構造の文のことを間接疑問文という。
「間接疑問」とはいうものの、文中の「関節疑問」の部分は名詞節として働く。
間接疑問文が疑問文なのか平叙文なのかの分類は入試では問われないので、安心していい。文法参考書でも、間接疑問文については、紹介を書籍の後半部に後回しに後回しにしている参考書もある。
このため、高校英語では、疑問文とは、文末が「?」で終わる文章のことだと思っておけば、特に問題が無い。
Would you tell me what happened? 「何が起きたかを話してくれませんか.」
のように間接疑問文をさらに文全体でも疑問文にすることもできるが、本ページでは深入りしない。
I know what he wants. 「私は彼が欲しいものを知っている.」
のような表現も、間接疑問文に分類する場合もある。なお、間接疑問の節中の動詞の人称格変化の有無や、時制の一致などに注意。
I don't know what he wants. 「私は彼が欲しいものを知らない.」
のように文全体が否定文になることもある。
I know where he lives. 「私は彼が住んでいる場所を知っている.」
なお、
Do you know where he lives? 「彼がどこに住んでいるかを知っていますか.」
と質問された場合、文法的には返事は
Yes, I do. 「はい知ってますよ」
No, I don't. 「いいえ、知りません」
となる。(ただし、現実では、質問された側が気を利かして、住んでいる場所まで答えてくれるような場合もありうるが、しかし本単元では考慮しないとする。)
文法的に、どこに住んでいるかを聞き出したい場合は、間接疑問ではなく、疑問副詞を用いた一般的な疑問文で
Where does he live?
で質問することになる。
このように、文頭の単語を見れば、文法上の返事の仕方や、文法的には質問されているものは何かを決定できる。
== 参考文献についての注意 ==
サブページ中の参考文献で、現代2022年では廃止になったシリーズの桐原『フォレスト』などを掲げているが、現代でも他社の いいずな出版『エバーグリーン』シリーズにフォレストの権利が引き継がれているようなので、わざわざ古本のフォレストを探す必要は無い。
[[カテゴリ:高等学校教育|ふむほふ]]
eugevt9925zxbuu4uc6o73whprjzo3r
Python/数値入力と文字入力と出力表示
0
23164
207262
207176
2022-08-25T23:58:56Z
Ef3
694
/* 文字列から浮動小数点数への変換 */ s/浮動小数点/浮動小数点数/2 /* 脚註 */
wikitext
text/x-wiki
{{Nav}}
=== 入力 ===
==== 文字列の入力 ====
文字列の入力には、[[Python/組込み関数#input|組込み関数input()]]を使います。
:<syntaxhighlight lang="python3">
x = input("文字を入力してみよう。")
print(2 * x)
</syntaxhighlight>
:<syntaxhighlight lang=text>
文字を入力してみよう。
a
aa
</syntaxhighlight>
:たとえば {{code|a}} と入力すると、 {{code|aa}}が出力されます。
:{{code|abc}}と入力すると、{{code|abcabc}} が出力されます。
なお、数字({{code|1}}や{{code|2}}など)を入力しても、文字として認識されます。
たとえば上のプログラムの実行で{{code|1}}を入力すると、出力は{{code|11}}となります(文字列の乗算演算子は文字列をオペランドの個数分繰返した文字列を返します)。
==== 数値の入力と計算 ====
では、数値を入力させて、計算をさせたい場合、どうすればい良いのでしょうか?
===== 文字列から整数への変換 =====
:<syntaxhighlight lang="python3">
s = input("数値を入力してください。2倍にします。")
n = int(s)
print(2 * n)
</syntaxhighlight>
:上記のコードを実行すると、数字の入力を求められますので、たとえば4と入力してエンターキーを押すと、{{code|8}}が表示されます。自動的に2倍にした数字({{code|4}}と入力た場合は{{code|8}})が表示されます。
:int()により、入力された文字列を数値(整数)に変換します。'''int'''は、整数(''integer'')の略です。
:上のプログラムで求められる入力に、{{code|2.7}}のような小数点の数を入れるとValueError例外があがります。
:<syntaxhighlight lang=text>
ValueError: invalid literal for int() with base 10: '2.7'
</syntaxhighlight>
===== 文字列から浮動小数点数への変換 =====
文字列を浮動小数点数の数値を得たい場合は、[[Python/組込み関数#float|組込み関数float()]]を使います。
:<syntaxhighlight lang="python">
s = input("数値を入力してください。2倍にします。")
n = float(s)
print(2 * n)
</syntaxhighlight>
:上のプログラムに、{{code|2.7}}を入力すると、{{code|5.4}}が表示されます。
:上のプログラムで求められる入力に、{{code|2.7a}}のような小数点の数を入れるとValueError例外があがります。
:<syntaxhighlight lang=text>
ValueError: could not convert string to float: '2.7a'
</syntaxhighlight>
{{コラム|文字列入力と例外処理|2=
input関数で得た文字列は(人間が自由に入力したものなので)、int関数やfloat関数が想定する形式ではない場合があり、そのときはValueError例外があがります。
この他、input関数がEOF(''End of File''; ファイルの終端)に達するとEOFError例外があがます。
例外を捕捉しないと、プログラムは異常終了してしまいます。
;例外を捕捉し再入力を求める例:<syntaxhighlight lang="python3">
while True:
try:
s = input("数値を入力してください:")
n = int(s)
print(f"{n} の二倍は {2 * n} です。")
break
except EOFError as e:
print(e)
break
except ValueError as e:
print(e)
</syntaxhighlight>
}}
==== 変数と文字列を同時に表示したい場合 ====
:<syntaxhighlight lang="python">
s = input("文字列を入力してみてください。")
print(s, "が入力されました。")
</syntaxhighlight>
:print関数の表示で、変数(上例の場合は、sが変数)と文字を一緒に表示したい場合は、たとえば上記のコードのように、「,」(カンマ)で区切って、一緒に表示することができます。
さきほどの数値の入力と計算プログラムを、この方法で、書き換えましょう。
:<syntaxhighlight lang="python">
s = input("数字を整数で入力してみよう。(入力値をiと表示します。) 2倍にするよ。")
i = int(s)
print(f"{i=}, {2 * i=}")
</syntaxhighlight>
これを実行して、たとえば「5」と入力してエンターキーを押すと、出力として
i=5, 2 * i=10
と表示されます。
== フォーマット済み文字列リテラル ==
Python には文字列の中に式を埋込み文字列化する「フォーマット済み文字列リテラル(''Formatted string literals''; F文字列とも)」があります<ref>{{Cite web
|url=https://docs.python.org/3/reference/lexical_analysis.html#f-strings
|title=Lexical analysis # Formatted string literals
|date=2021/11/29
|accessdate=2021/11/29
}}</ref>。
:<syntaxhighlight lang="python">
print(f"文字列の中に{ 式 }を埋め込むことができる")
</syntaxhighlight>
のように、fを引用符の前につける事で利用できます。
引用符は二重引用符でも一重引用符でも、どちらでも構いません(ただし、引用符の開始と終始における引用符の種類は一致している必要があります。)。
JavaScriptなどの「テンプレート・リテラル」に相当する機能です<ref>JavaScriptのテンプレート・リテラルはヒアドキュメントの機能も持っています。</ref>。
;[https://paiza.io/projects/gCqxNjp4vAzbtr9hBqqKqw?language=python3 コード例]:<syntaxhighlight lang="python">
x = 123
print(f"数は{x+100} です")
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
数は223 です
</syntaxhighlight>
F文字列は Pyhon3.6 から導入されました。Python2.x系では利用できません<ref>Python2.x系のサポートは2021/01/01に終了しました。 ⇒ [https://www.python.org/dev/peps/pep-0373/ PEP 373 -- Python 2.7 Release Schedule], [https://www.python.org/dev/peps/pep-0404/ PEP 404 -- Python 2.8 Un-release Schedule]</ref>。
=== '{' と '}' 自身の文字列中での使用 ===
場合によってはテンプレートリテラルを使いつつも '{' や '}' 自身を文字列中で使用したい場合があります。
その場合は、'{' は '{{'、'}' は '}}' と二重にします。
;コード例:<syntaxhighlight lang="python">
x = 123
print(f"文字列{{x}} には {x} が代入されます")
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
文字列{x} には 123 が代入されます
</syntaxhighlight>
=== {式=} :式と値の双方の文字列化 ===
式の後に等号'='を付けることで式のテキストと評価後の値の両方を文字列化することができます。
;[https://paiza.io/projects/ibQWf5NsteQyusJtg0-kpg?language=cpp コード例]:<syntaxhighlight lang="python" highlight=5 line>
x = 123
print(f"式と値の表示:{x=}")
print(f"式と値の表示:{[x * 2 for x in range(5)]=}")
print(f'''\
+++
{x=}
***
{[x * 2 for x in range(5)]=}
''')
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
式と値の表示:x=123
式と値の表示:[x * 2 for x in range(5)]=[0, 2, 4, 6, 8]
+++
x=123
***
[x * 2 for x in range(5)]=[0, 2, 4, 6, 8]
</syntaxhighlight>
: ''' から ''' あるいは、""" から """ はヒアドキュメントで、複数行に渡る文字列を表現できます。
: ヒアドキュメントに f あるいは F を前置すると、Fヒアドキュメントになり、式の埋め込みができます。
: 開始を、 <nowiki>'''\</nowiki> の様に \ を後置すると最初の改行を抑止できます。
== Pythonの文字列フーマッティングの歴史 ==
=== 文字列の%演算子 ===
最初に、文字列の % 演算子がありました。
:<syntaxhighlight lang="python">
x = 333
print('数は %s です' % x )
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
数は 333 です
</syntaxhighlight>
=== 文字列のformatメソッド ===
次に、文字列のformatメソッドができました<ref>[https://www.python.org/dev/peps/pep-3101/ PEP 3101 -- Advanced String Formatting]</ref>。
:<syntaxhighlight lang="python">
x = 200
print('数は{y} です'.format(y=x) )
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
数は200 です
</syntaxhighlight>
== 脚註 ==
<references />
{{Nav}}
nhm6f203qyft8cmqp0ajnbnv6o2qxf8
ファイル:Fere libenter homines id quod volunt credunt (Japanese).png
6
23291
207244
114423
2022-08-25T13:52:34Z
Linguae
449
Category
wikitext
text/x-wiki
[[Category:ラテン語の語句]]
[[Category:ガリア戦記]]
[[Category:ガリア戦記 第3巻]]
5orfm41uqgkpogzcj5gyr826hrnbhrv
ゲームプログラミング/バランス調整
0
27004
207256
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2022-08-25T17:01:38Z
Honooo
14373
/*DPS (Damage Per Second)*/
wikitext
text/x-wiki
{{substub}}
現在の版の著者達は、ゲーム戦闘の調整の経験はないので、現状では本ページの内容は調べ物としては役立ちません。経験があり、かつ人間性も良好な人の協力をお待ちしています。
==本ページの目的==
本科目『ゲームプログラミング』は、科目名に「プログラミング」とあるとおり、ゲームクリエイターのための教材ではなくプログラマーのための教材です。
従って、話題がプログラミング的な技術的な話題に片寄っています。一般のゲームクリエイターを目指す人には、本書のバランス調整の記述は到底、役立ちません。
プログラマーが、とりあえず何か趣味でゲームを作る際、バランス調整についての調べ物の手間を少なくするためだけの目的の教科書です。
……と、前編集者Suj. は書いたんだけど、その割にはこの人物の私欲を満たすためだけの駄文が結構くどくど書かれてる気がするんだけど…
気のせいか?まあまだちゃんと読んでないしね、熱でもあるのカナ? コロナか^^?
==バランス調整==
ゲームには難易度というものがあるが、そのゲームの面白さのため、あるいは商品としての購買力アップのため、調整し、最適値を見出す必要があるだろう。敵の強さや主人公の強さ、それらを調整し、最適値を見出すための調査、テストプレイなどが必要だ。
より普遍的に、バグ修正、操作性の改善、仕様実装の更新、そして今書いたバランス調整、ゲームを面白く、評価を高めるための様々な改善を、一般にチューニングと呼んでいる。
英語では、難易度の調整のことを「レベルデザイン」と言う。このレベルとは、高低差の意味で、欧米での昔の3Dゲームにおける、マップの高低差を意図しているらしい。このレベルを調整するツールをレベルエディタというが、このマップの高低差の調整で難易度が変わるので、しだいにレベルデザインが難易度の調整の意味になっていったという<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.57</ref>。
難易度デザイン、という言葉も使われている<ref>川上大典 ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日 第1版 第1刷、P.58</ref>。
そして、難易度の調整にはマップの処理もあるので、3Dゲームのレベルデザイン担当者は、MAYAなどの3Dグラフィックツールの技能を持っているスタッフが多いという<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P234</ref>。
===詰み、を避けたい===
製品として販売するゲーム、そしてそうでなくとも、プレイヤーがセーブした時点でクリア不能な状況、仕様になっている、つまり、プログラムの流れとして事実上そうなっている、これを「詰み」、と呼んでいますが、それは避ける必要がある。
これはプログラムの構造の問題ですが、ゲームは進行の仕様自体かなりの複雑さを持っていますから、制作者が気付かないうちにプレイヤーがそこに追い込まれる可能性があり、これは娯楽であるゲームとしては避けたい事態です<ref name="twogc78">蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日初版第1刷発行、P78</ref>。
まず、ゲーム全体のバランスとして、平均的なプレイヤーなら、妥当な労力でクリアできる調整も必要でしょう。
ゲームプレイで詰みに追い込まれるのは、プログラムの構造の悪さでもありますが、それを見つけ出すためには、具体的にテストプレイにおいて、少なくとも誰か一人のテストプレイヤーが、そのゲーム内で想定できるクリア困難な状況から、実際に挽回してクリアしたという、事実、実績が必要です。
つまりコンピュータープログラムで常にセキュリティの問題が発生するのと同様に、ゲームプログラムでは構造が複雑になりすぎて、詰みがプログラマーの想定を超えて発生する可能性があるので、実際のプレイで、実際のプレイヤーの現実の巻き返しで確認して調整したい、という事ですね<ref name="twogc78" />。
そして一方難易度調整として、平均的プレイヤーが平均的な労力でクリアできるようにしておきたい。
ちなみに現編集者の昔のゲームプレイ経験ですが、初代ファミコン版のファイナルファンタジーですね、番号は幾つだったか……市販の攻略本を読みながらプレイしていたのですが、あるところまでいった時点で、攻略本を読んでも、どう考えても先に進めない状況に陥り、まあ私のプレイヤーとしての技量にも問題あったのかもしれませんが、結局にっちもさっちもいかなくなって、プレイを放棄してクリアしないまま積みゲーになってしまったことがあります。もちろんそれでそのゲームの仕様が悪かったと主張するつもりはありませんが、プレイヤーの私としてはその時点で完全に詰んでしまったわけです。
===実はゲームプレイヤーだけではなく、あらゆる人間が面倒くさい、俺も、あんたもね^^===
……しかしあんまり面倒くさがると、結局最後には偉い人に怒られてしまうのがこの社会の常です^^;;;。
一般にゲームプレイヤーがプレイ中に面倒くさがることは、覚えること、計算すること、配ること、だと言われています<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』,P342</ref>。
ゲーム中に、Wolfram|Alpha が使えるような仕様にすると、案外よかったりしてね^^
===ゲーム制作者はいろいろ考えて作っているだろうけど、プレイヤーだってそれに負けずに考えてプレイしている===
プレーヤーも制作者も、時代の流れとともに、色々な変遷はありますよね。
時々指摘されるようですが、昔よりの最近の方が、ゲームの難しさに関する感受性が大きくて、割と簡単にこのゲームは難しいと指摘されることが多い、と、言われている。
たとえば携帯ゲームにおいて、平均的なゲームプレイヤーがクリアまでに5回ゲームオーバーになるように調整されたゲームは、今では「難しい」ゲームと判断される<ref>『ゲームプランナーの新しい教科書』、P210</ref>。つまり昔のプレイヤーの方が我慢強かったってこと??
一方平均的なプレイヤーならゲームオーバーにならない難易度のゲームは、やさしいゲームと呼ばれることが多い。
だからもはやゲームの難しい易しいという言葉さえ、相対的で、結構人によって判断が違う。
2011~2013年頃のテレビ番組で、ゲーム業界を取材した番組、夜中の番組で、こういうものがあったという。
「昔の子供は、難しいゲームをプレイしたとき、「このゲームは難しい」と答えていたが、今の子供は「このゲームはつまらない」 と答える」
しかし実はテレビというのはこの社会で一番いい加減なメディアで、常に制作者に都合のいい印象操作、不当なイメージ操作が行われている。
つまり昔の子供より今の子供の方が愚かだというイメージを作りたいだけで、インチキな企業のためのいんちきな広告としての意味以外何も持たないだろう。
===商業だろうとそうでなかろうとゲーム制作はプレイヤーの事を考える、難易度はどうする?===
『ナナのリテラシー』という漫画、作者はゲーム好きで、ゲーム雑誌でも描いていたことがあるようです。ビジネス系しかもノウハウ系かな?2巻がゲーム会社回。
ゲーム会社の隅の老人経営者曰く(この漫画内の話ですよ)、「誰もが飛び越せる絶妙な難易度の壁をクリアさせる」、これがゲーム作りのコツじゃ^^!!!
この漫画、前編集者が書くにはかなり、そこそこ取材されているという。
「PS」(プレステ)のロードは、「1回のロードで2WMが限界。どんなマップも2メガに入れなくちゃいけない。会話も音楽も全部ね。」なんて描写があるらしい。
この老人の主張は作品自体の主張でも作者の主張でもないというが、しかし前編集者は重要な事だと考えているようだ。
しかし誰もが飛び越せる絶妙な壁をクリアさせて、消費者に快楽を与えて、ガッポガッポも儲けるにしても、人間には個性があり、性格や性質にもばらつきがある。
全ての人に等しく、偉そうに試練を与えて、それを乗り越えたから気持ちいい、と自己満足に等しく浸らせることは難しい。
だから、インチキにガッポがっぽ儲けるためには(←しつこい^^;;;)、ターゲット層をある程度はしぼりこむ必要がある<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P.97 </ref>。
「遊んだプレイヤー全員が満足するものを、目指さない」との記述がある書籍もある<ref>塩川洋介『ゲームデザイン プロフェッショナル』、技術評論社、2020年10月3日 第1刷発行、P.173</ref>。ただこれはテストプレイヤーの意見を重視しすぎて振り回されないように、という意図がある記述だという。
ターゲット層を絞りこむには、実在の人物をイメージするのが良いと言う。「20代社会人男性が」、ではなく、自分の知人・友人・家族、あの人を面白がらせたい!!、と、いうのがいいようだ<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P205</ref>。
{{コラム|カラケオは気持ちよく歌いたい^^|
80年代~90年代にカラオケが流行した。と、いっても今でも、盛んだけどね。俺も好き^^
カラオケの難易度は、利用者が楽しめるように易しめに作られているようですね。というか前の項目で書いた、絶妙な難易度らしいよ。そこそこ難しく、それを乗り越えると俺は偉いと自己満足にふけれるらしい。岡田斗司夫が90年代後半にその指摘をしていたというが、しかし本当に前編集者は岡田斗司夫が好きなのね^^;;;。
小室哲哉の曲が典型的にそれだという人もいるらしい。そういえば、NHKアニメーション「だぁ!だぁ!だぁ!」のエンディングは凄く良かったな^^。いや、もちろんこれは只の雑談ですが^^;;;。
エヴァンゲリオンの残酷な天使のテーゼは、監督やスポンサーのレコード会社プロデューサーが、子供でも歌いやすいように作曲してくれと作曲家に依頼している。
確かに凝った楽曲の割に、カラオケで歌いやすい^^
}}
{{コラム|作者の意図通りに視聴者が受け取るとは限らない。作者の意図とは全く別に受け手は作品を楽しむ。それが嫌ならそもそも創作するなよ。|
商業作品であるなら、最終的には売上によって作品の是非が決まる、なんて前編集者は書いてるけど、インチキ書くなよ、あくまでも金は商売としての是非、作品としての価値、意義は別の話だよ。
しかしこいつほんとにアフリマンなのね。金と物質以外何も見えないのか。
ゲームの話題としては、味の善し悪しはプレイヤーが決める、という言葉があるようですね<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.167</ref>。ターゲット層が、美味い^^!!、と、いう作品を作りたい。
ジブリアニメの『となりのトトロ』は、子供たちにアニメばかり見ずに外で遊ぶように啓蒙するようなストーリーを作者・監督の宮崎駿は目指したと言われています。
ところでこれ↑前編集者の文章だけど、完全なる虚偽だよ、いいかがんにしろ。あのねー、宮崎さんという人は確かに少し偏屈な大人だから、その手の事は時々言うけど、映画を作る時は基本的に、見た人に楽しんでほしい、夢のような時間を過ごしてほしい、そしてこの社会に生まれてよかったと、子供も大人も思ってほしい、そういう思いで、常にそれが第一テーマで漫画映画を作ってるの。
すじ肉先輩さー、あんた俺や他の編集者を何度も知ったかぶりって書いたけど、結局あんたが人類史上、唯一最大の知ったかぶりだね。そもそもあんた、トトロ、観てないんじゃないの?
ほんとにあんたってなにも見えてないのね。「うちの子は、よく宮崎先生のアニメを見ています。面白いアニメを作ってくださり有難うございます」なんて感想は全く問題ないだろ。宮崎氏だってありがたく受け取ってるよ。それに対してアニメばかり観ずに外で遊べ!!なんて言うのはお前とお前の同類のキチガイだけだ。
あとガンダムやエヴァンゲリオンでも似たような逸話があるとのことだが、こっちはどうでもいい。そもそもこれを作っている連中は、宮崎氏ほど切迫した気持ちで作っているわけではなく、ただ金が欲しくて自分が偉いと思いたいだけだから、作った方がどう思おうが、そいつらに金を与えて養ってる連中がどう思おうが、大したことじゃあないだろ?
}}
===チュートリアル===
ゲームをプレイするための、操作方法をプレイヤーが知って覚えるための入門的なイベントをチュートリアルというようですね。実は現編集者はあまり、特に最近はほとんどコンピューターゲームはしないので、ここの執筆をしつつもゲームについてはあまり知らない。
ただここの主要執筆者で、ゲーム大好き、プログラム大好き、アニメ大好き、自分自身も一応絵描き、そしてハイルオタキングの E.Suj. かなりひどい内容の文章を大量に書き散らすので、このサイトの参加者として嫌々多少書き直しをせざるを得ない。
そこでチュートリアル、これはふつうゲーム自体に組み込まれ、初盤がそれになりますが、これは別モードにすると良いという指摘がある<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P401</ref>。
『不思議のダンジョン2 風来のシレン』が、このスタイルを採用している。
とはいえプレイヤーが必ずチュートリアルをプレイしなければ、ゲームを楽しめない構成なら、あまり大きな意味があるとも思えないが、しかしそうでない場合も多いだろう。
ゲーム構成の選択手として考えてもいいだろう。
===技能の習得としてのゲーム===
====ゲームをプレイしていることで、プレイヤーは何を知って、何を身につけているか?====
まあゲームをしていることで、プレイヤーは何らかの行為、練習を繰り返して、技能様の物を身につけていく、と、考えても、いい? まあいいか、とりあえずはそう見なしましょう。
ですからそこでプレイヤーが身に着ける技能を想定しておくと、上手にバランス調整が出来るという。
すじにく大先生が愛読している文献では、「教育的難易度」という用語を使っています<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー入門講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日 初版第1刷発行、225ページ</ref>。まあゲーム関係者で教育について分かってる奴なんて、ほとんどいないだろうけど…
ここでの教育難易度とは、むしろ大先生の意図とは逆で、ある敵を攻略するのにプレイヤーがなんらかの操作が必要な時、まず1個だけのその敵の撃破用の操作技能だけをプレイヤーが修得できれば攻略できるようにしろと、つまり、プレイヤーが技能を覚えやすいように、難易度を下げろという事でしょう。
前編集者は本質的キチガイなので、とにかく世の中で自分が偉いことが何より大事なので「教育」という言葉を使いたい。一方で割と似たようなことを語る時に、学習という言葉を使っている文献もある<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P.61 </ref>。要するにこの本の筆者の方が、E.Suj. よりまともな人間だという事でしょう。
ただ、プレイヤーの技能の習得という視点は、バランス調整の時に一番重要になるという。確かにゲームは技能や知恵、解決のための何らかの手段、鍛錬も必要だが、一方では間違いなく娯楽で、面白いものであるはずだ。
そしてゲームをすることで、自分の思考力が磨かれて、成長したという感慨を持つプレイヤーも多いようで<ref>https://www.teu.ac.jp/ap_page/koukai/2019_03_3endo.pdf 66ページ</ref>、全くその気持ちを否定する意図はないが、でもねー、ゲームっていうのは結局遊びなんだよ?
ゲーミフィケーションなんて言葉を使っていい気になっている連中もいるようだけど、まあその概念や運動がまったく意味を持たないとは言わないが、でもやっぱりゲームは娯楽であり遊びであり、ある程度堕落した、ある程度常識的な硬い世界からは非難される要素があるもので、あまり理屈を並べて自分たちの世界が高級なものだと主張しない方がいいんじゃあない?
{{コラム|ゲーミフィケーション|
どうもゲーム業界の連中が、自分たちの仕事を美化して、正当化したいため、ゲーミフィケーションがどうの、なんて言いだしたようだよ<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/190731a</ref>。
2019年にゲーミフィケーション学会設立。もっともこの運動や概念がまったく意味がないものだとは、現編集者も言わない。確かにゲーム的な行為を、もう少し遊びから離れて、現実の有用な出来事に結び付けようというのは、それほど間違っていないし、意義はある。
2013年ごろからすでに、企業の新人研修で、ゲームの要素を取り入れた研修などがされていたようだ。
岸本好弘(ファミスタの父、と呼ばれているらしい)の言では、「ゲームの本質っていうのは、人間が頭で想像することの素晴らしさ」<ref>https://www.fantasy.co.jp/edutainment/article/interview16</ref>ってことらしいけど、なんか軽い言葉だね。想像には意義があるが、それってほんとに頭でするもの?
40年前(※1980頃?)、
:「そのころアーケードゲームのデザインで言われていたのは、初めてそのゲームに挑戦したプレイヤーでも3分間程度は遊べるようにすること。「もう一度チャレンジしたら、先に進めそうだ!」と、プレイヤーの気持ちが動くように制作すること」
ってことだけど、そうすれば子供が100円玉いっぱい入れて、お前らが儲かるってだけだろ?
:「これって、現在IT業界で言われるUX、ユーザーエクスペリエンスですよね。ゲーム業界では理論化、言語化していなかったけれど、40年前から現代に通じることをやっていたんだなと思いました。」
何かそれらしい言葉だけ踊ってかっこつけてるようにしか聞こえん^^;;;。
:「ゲームって全部「そそのかし」なんです。ゲームをプレイしていて、Aの洞窟に行きなさいとか、Bの洞窟には行くなとは言われないですよね。プレイヤーが2つの洞窟をぱっと見たときに「こっちの洞窟に宝があるかも!」って見えるように作っているんです。これを「そそのかし」って言うんです。」
まあそれはそれでいいけど、それってそんなに大したことかね?
: (抜粋)「先生は答えを教えるのではなく、生徒が自分で「わかった!」、「僕が一人で気が付いた!」と思わせることが大切。」
思わせるっていうのがすごいし、傲慢だよな。お前は神か?
: 「ゲームをデザインするのも授業をデザインするのも同じです。楽しいと思うことやワクワクすることは脳の働きを最大限にする。だから、つらいことを我慢するのはよくない。脳が楽しいと感じることがとても大切なんです。」
お前みたいな奴って、すぐ脳がどうのって言うよな。まあ楽しいことやワクワクするのが大事なのは認めるが、人生つらいことを我慢しなければいけない時なんてしょっちゅうだよ。後ゲームと授業は別物にしろ、一緒にするな。
しかし思うんだけど、ゲーム業界の奴らって、自分たちの仕事に少しやましさがあるから、教育と結び付けて、高級なものに仕立て上げたいんじゃあないの?
まあゲーム的な教育っていうのはありだが、やはりゲームの本質は遊びで娯楽で、しかも堕落だよ。
}}
{{コラム|すじ肉しちゅ~は今日も右手を上げて、「ハイル、オタキング!!!」と言った。|
1990年代後半に、オタキング岡田斗司夫は、著書『世紀の大怪獣!!オカダ―岡田斗司夫のお蔵出し 』(おそらく)で、マリオカートを例に、市販のゲームソフトの多くは達成感を味合わせるものだと指摘した。
岡田に言わせれば、ゲーム文化以前の人生の趣味の多くは、必ずしも努力の量と、上達とが比例しない。スポーツ、絵画、しかしこれほんと?もちろん厳密に量を考えて、グダグダ気色悪い比較をすれば、そう見えることはあるけど、少なくとも人間、何かをすれば必ず、それなりに得るものがあるはずなんだけどね。
しかしファミコン以降のコンピュータ式のゲームでは努力は無駄にならず、ほぼ必ずといっていいくらい、少なくとも初心者レベルの範囲でなら、プレイして練習すれば上達するように設計されていると、岡田の著書では述べられている。
ふーん、要するにゲームプレイヤーって、ゲーム制作者が作った達成感が欲しいから、金払うってわけね。
岡田が言うには、人生はゲームみたいに甘くないし、もしかしたらゲームは現実逃避で不健全かもしれないけど、でも大人だって親だって達成感をもっと感じたいんだぜ・・・だから今日も娘といっしょにマリオカートをプレイしている、と書いてたって言うけど、そもそも現実逃避や不健全から達成感って手に入る?
なんか頭のおかしい奴はやたら達成感って言うんだけど、それってほんとに欲しい?
いや、もちろんある程度は欲しいけど、でもそんな重要な事かね? もっと人生で必要なもの、いっぱいないかね?
}}
{{コラム|ガイナックスとはオタキング岡田斗司夫が創業した、アニメーションとコンピューターゲームの制作会社である。|
ガイナックスは、コンピューターゲームも作っていたね。確か、美少女18禁ソフトもあったよね。
1991年、『プリンセスメーカー』、育成シミュレーションゲーム。確かに赤井孝美さんのグラフィックは魅力的だった。
少女を光源氏的に育成するゲームだったか、キャラクター育成ゲームのはしりだね<ref>STUDIO SHIN『ゲームプランナーの新しい教科書』、翔泳社、2018年3月10日 初版 第2刷 発行、P182</ref>。
98年にはコナミ社『ときめきメモリアル』というのが出た。ただこれは育成というよりは、美少女との恋愛疑似体験ゲームみたいな、まあ俺はやったことないから詳細は知らないけど、まあ美少女と上手に付き合えるように、男性キャラクターを育成する要素はあったのかね。
「プリンセスメーカー」→「同級生」→「ときメモ」の流れがあるって、ある評論家は言う。
良くわからないけど、岡田斗司夫はゲーム制作会社の社長でもあるんだから、前のコラムの達成感がどうののたわごとに意義を認めろって、すじ肉は書くんだけど、なんなのこいつ。
岡田斗司夫の肩書に関する議論って意味ある?
別にアニメ評論家でも、会社社長でも、なんでも勝手に名乗って威張っていればいいけど、でもやっぱり岡田斗司夫の肩書は、オタキングだよね。
}}
{{コラム|プリンセスメーカーdeathpenalty|
少女育成ゲーム・プリンセスメーカーは全滅時の損失が軽いのが、割と画期的だったようです。戦闘で全滅すると、拠点に戻されたうえ、1か月経過する。
全滅時の損失のことを和製英語でデス ペナルティといいます。英語では dead damage と云うらしい(DDと略すようです)。英語の death penalty は「死刑」の意味だって。
つまりどうやら、デスペナルティが軽くても、面白いはRPG は作れるらしい。
;デスルーラ
全滅しても拠点に戻るだけのシステムだと、拠点に戻りたい場合にわざと全滅する方法を使える。これを和製英語で「デスルーラ」と言う。ルーラとはドラクエの移動魔法ルーラのこと。
全滅したときに拠点に戻るゲームでは、拠点に戻れなくするイベントは不可能。
全滅したら拠点に戻れるからね。ただ、戦いが起こらなければどうかな?
どちらにしろこの議論、意味ある?
ただ例外的に全滅したとき拠点以外に戻る、っていう事は仕様で作れるよね。
}}
{{コラム|Roblox,Among_Us|
現編集者は現在は基本的に、コンピューターゲームはしない生活、でもほんのちょっと前、思うところあって、MicrosoftStore,Xbox 経由で、すこしゲームをしていた時期があった。
そしてMicrosoftStore はなんだかんだでゲームを売り込んでくるよね。
その時思ったんだけど、Roblox って面白そうだよねー。プレイはしていないんだけど、広告や表示を見ると、これ絶対面白いなって直感的に思う。
だからこのゲームのユーザーやプレイヤー、あるいは関係者にこのページの執筆してほしいな^^
後、Among_Us っていうのも面白そう。何か皮肉がすごく効いてそうだね。
}}
{{コラム|デスペナルティ関連|
このコラム、前編集者が、(この話題は、後述の商学書『メイド・イン・ジャパンは負けるのか』の話題と関連するので、残す必要がある。)ってメモを張っていたんだけど、読んでみたんだけど、現編集者Hにはちょっと話が見えなくてね。おそらくRPG をやりこんでいる人は内容が良くわかるんだろうけど、現編集者にとってはかなりの部分が???????だね。だからできるだけまとめる一方で、詳細不明の部分は前編集者の記述をそのまま残しました。
;帰り道を通せんぼするイベントは、詰みのリスクが高くなる。
サガシリーズはどこでもセーブできるが、この場合、帰り道を通せんぼするイベントは、上手に設計しないとクリア不能になる恐れがある。
ファミコン~スーファミ時代のドラクエとファイナルファンタジー、GB版サガとロマサガには帰り道を通せんぼするイベントは無いように見える。
ロマサガ1の氷結城の帰り道で通せんぼするボス敵がいる。しかし会話選択肢で戦闘を回避すると、詰みを避けられる。
古い時代のサガ系とロマサガでは、ダンジョン奥まで探検すると、最深部に一方通行のダンジョン出口がある。これは帰り道短縮の意味と、テンポ感向上(プレイヤーが既に理解していることを再度要求しないから)の効果がある。
しかしこの場合、もしダンジョンに一方通行出口がない場合、プレイヤーは帰り道にボス戦があると予測する。これはネタバレになってよくない。ドラクエは、最後の一方通行出口をあまり用意しないが、この狙いがあるのだろう。
このようにゲームのルール設定が、可能なイベントやマップを限定する。
}}
さて、ゲームのシリーズ物は、ルールが一様になる傾向がある。
だから、シリーズ作品によって搭載されるイベントの傾向も決まってくる。
イベントの傾向が限定されると、マンネリ化につながる恐れもある。
『メイド・イン・ジャパンは負けるのか』という2010年ごろの書籍でも、
シリーズ化とマンネリ化との相互関係が語られていて、基本的に家庭用ゲーム機の作品群の多くはゲーム性の根幹が90年代以降の作品は変わっておらず、変わったのはグラフィックが細かくなっただけ、と書かれている。
しかしゲーム会社からすれば、新規の斬新な発想のゲームはむしろ売れないと見られている。
グラフィック重視は、商業ゲームでは非常に重要と考えられているらしい。
そしてゲーム評論家は偉そうな批判はするが、自分では結局ゲームを作らない。
1980年代は、家庭用ゲーム黎明期。1995年ごろ、プレステ1時代からソフト容量が飛躍的に伸びた。
昔はゲームに勢いがあったが、今となっては、新しくて画期的かつリアリティと説得力のあるルールを思いつくこと自体、そんな簡単な事ではない。
漫画産業やアニメーション産業は黎明期をとっくに過ぎたようだが、結局今でもこの産業は続いている。そもそも、ラジオ、新聞、書籍、オールドメディアと呼んでいい産業も、今、しっかり続いている。2010年代のゲーム産業だって、もしかしたらスマホゲーム黎明期、ソーシャルゲーム黎明期なのかもしれない。
{{コラム|オタキングアノマリー論|
オタキングによるアノマリー(片寄り)論(『東大オタク学講座』に記述あり)によると、ゲームのバランス調整は結局普遍性は持たず、作家の世界観が反映されるものになる、という。
都市運営シミュレーション『シムシティ』、アメリカ製のゲームですが、ここでは火力発電所よりも原子力発電所の方が効果的な投資になっている。これは現実の経済情勢を正しく反映しているか?
これは現実の経済分析の話だが、現編集者はYESだと思っている。巨大なお金が動いているからこそ、いまだにこの国は原発をやめられない。
そして岡田はこの設定をアメリカ的な都市政策観の反映だとしている。しかし岡田はこのゲームの感覚を片寄りだと思っているのか?
そのほか、岡田は、ドラクエシリーズに対して、「なぜ作者の堀井さんは、作中で父親と子の関係に、どの作品でも、こだわりたがるんだろう? なにかあったんじゃねえの?」的なゲスい勘繰りもしています。
↑ちなみに上の段落は前編集者、E.Suj.の記述をそのまま残したものだが、まあね、オタキングがゲスい人間なのは、オタク全員が知っているからね^^;;;。
ここで書いたシムシティに関する議論と堀井氏に関する議論はどうも別の話のように見える。
つまり前編集者の議論は当初から混乱しているのだが、結局E.Suj. は作家の個性とは異常性の裏返しだと言いたいらしい。つまり個性とは長所ではなく、欠点の別形態だと。
では現編集者はこのE.Suj. に質問したいが、結局人間、個性持っていたほうがいいの?持っていない方がいいの?
大人は欠点すらうまく自分で活用しなければいけない、なんて書いてるけど、そんなこと上手く出来ている大人なんて、この地球上に一人もいないよ。
}}
====本文====
さて、上述までの再編集により、前編集者E.Suj, の邪念から生まれた、ゲーム-教育-成長のインチキ理論は完全に否定できたと思う。
結局前編集者もゲームにおける教育論は疑似的なものだと記述してるが、そんなら最初っからそんなこと書くな。
地獄のような長時間の再編集を終え、やっと話を本題のバランス調整にもどせることになった。
まずアクションゲームの調整。
敵が飛び道具で来るならどうする?
もちろん事実上はほぼ無限の対応策があるが、例えば、物陰に隠れながら移動して近づく、あるいはこちらも飛び道具で応戦とか、幾つか具体策は見えるでしょう。
(しかしよく考えたら、この行動って、E.Suj.のこのサイトでの行動とそっくりだよね^^;;;。)
基本的にゲームバランス調整では、例えば、物陰に隠れて攻撃を避けるなどの具体的技法、そして事実上それはそのゲームでの有効策なのですが、プレイヤーがこの対応策を覚えるように導く、そしてそれを可能なものにするため難易度を下げる、これが必要だと言います<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー入門講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、226ページ</ref>。
一つの方針としては、必要だと思われる技能をプレイヤーが行っていると判断したら、しかも一度には基本的に一つ、その敵を簡単に倒せるようなプログラムにする。
とにかく特定の方向にプレーヤーを導く意図を持つ、つまり導きたい方向にプレイヤーが行為すれば、難易度が下がる。だから、飛び道具を避ける物陰には、罠も無ければ敵もいない<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、226ページ</ref>。
あれっ、今気づいたんだけど、新約聖書には、狭き門から入れ、って言葉があったよね…。
基本的には前編集をわかり易く書き直してるだけなんだけど…
とにかくこの場合、推奨されるパラメーター設定は、目的の敵を妥当な経過で主人公が攻撃したら、敵はすぐ倒せるようにしておけって書いてるんだけど、これって広き門じゃあない?
とにかくこの前編集は、あらゆるプログラムを駆使して、プレイヤーが特定の行動をするよう導けって書いてある…。
まあしかしまとめ編集を続けるかね…
大抵のゲームは先に進むと難易度が上がっていくようだが、いや、これ自体事実かどうか怪しいが、仮にそうするとした場合、その難易度の上がった敵のギミックや行動は、制作者が導く行動を複数、と言ってもごく少数の複合だろうが、プレイヤーがなしたら、敵を倒せるようにしたら良いという。複合技をプレイヤーが繰り出すことで、成長した感や、興奮を、ユーザーは感じるだろう<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日 初版 第1刷発行、228ページ</ref>。
前編集者は、ゲームの後半難易度を上げるのは、プレイヤーに創意工夫を呼び起こすためと書いている。
確かに難易度が上がれば、創意工夫して解決を目指すのはゲームだけではない。しかし現編集者が問題を感じるのは、常にプログラムの手妻を駆使して、特定行動にユーザを導けと主張している点だ。
これは実はアメリカの過去の宇宙開発で宇宙に送る実験動物を調教、教育した方法と全く同じだ。
とにかくゲーム制作者の中に、このような馬鹿げた教育論を持っている愚か者はそこそこいそうだが。
このインチキな前編集者の愛読書には、ボス戦などの難しいイベントの目的は、プレイヤーが自分自身の技量を試す、自分がこのゲームにおける熟練プレイヤーか試す、そこにあるという。歯ごたえのある敵と戦って、自分がこのゲームにはまっているかどうか知る事が出来る、そういうことだろう<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P60</ref>。
;やはり何事も制限はあるか?
例えば主人公が不死身なら、まあゲームになりませんよね。何らかの弱いところは必ずあるでしょう。
所持金が無限とか、無いですよね。お前はドラえもんのポケットか?^^;;;
敵もそこそこ強いよね、あんまり弱いのはちょっと。
(たとえばアクションゲームで一時停止ボタン(ポーズボタン)を押さずにトイレに行ってウンコを数分してきても、ウンコから戻ってきてもキャラが負けてないのは明らかに駄目)。
↑ちなみにこれは前編集者の記述だけど、ん~、まあ、残しておくか^^;;;。
だから前編集者としては、プレイヤーに創意工夫を求める。まあもっともプレイヤーが創意工夫しないゲームなんて、この世にないけど。
だからゲームオーバーはやっぱり必要だということか<ref>川上大典 ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.254</ref>。
だから前編集者はゲームには敗北とそれを回避するための努力が必要だと主張する。
まあでもこのサイトの別の場所でも書いたけど、E.Suj.は努力なんて全くしてないけどね。ただ毎日欲望のまま手を動かしてるだけ。
;真実は一つ^^!!!本当?とりあえず解法は複数^^!!!!
スーパーマリオのステージ1-1の最初のクリボーをどうする? (解1)踏んずけてやる^^!!!(解2)そのクリボーを飛び越えてこっちに来い!!!^^(解3)ブロックに乗って、絶景哉^^。
====ゲームと漫画、アニメーション====
非常におおざっぱに語ると、漫画やアニメーションは完成して世に出た時点で、その版では、定められた運命が記述されている、ヤーンの書のようなものでしょう。
ゲームはインタラクティブだから、運命は決まっていないし、あいまいで、事実上選択肢がある世界。
そしてゲーム=戦闘ではないが、戦闘を描いたゲーム、漫画、アニメーション、
というのは明らかにある、そしてその話なんですが…
1982年『鳥山明のヘタッピマンガ研究所』という書籍では、マンガやアニメや特撮(ウルトラマン)などの敵の強さは、主人公がなんとか苦戦しながら倒せるギリギリの強さだと指摘されている。ただしこの出典関係の記述にはWiki著書の記憶違いがあるかもしれない。
しかしゲームでの敵は、もうちょっと弱めにしておくといいらしい。
まあそりゃあそうだよね。毎回毎回ギリギリの敵と戦うなら、ゲームなんて誰もしなくなるよ。これに関して前編集者はプレイヤーの創意工夫がどうのなんて書いてるけど、完全なる欺瞞だろう。
具体作品を上げると、ゲーム『激神フリーザ』。要するにドラゴンボール原作のゲームですね。クリリンでもちょっと鍛えて頑張ればザーボン(ナメック星編の中ボス敵)を倒せるようになっている(原作マンガだとクリリンはザーボンを倒せない)。
漫画やアニメーションでは、一回の戦闘での強敵の倒しかたが一通りしかなく、いちばん読者に魅力的に見える奇想天外・破天荒な倒しかたで、敵を倒します。なのでここでは、ギリギリ倒せる強さのほうが良い。
しかしゲームの強敵では、多くのプレイヤーの、それぞれ異なる色々なアイデアに対応した倒し方を何通りも準備する必要があるので、ゲームでの強敵の強さは、ギリギリ倒せる状態よりも少し弱めにする必要がある。しかしやはりそれ以前に、あまり敵が強すぎたら、プレイヤーがしんどすぎるだろ、単に難易度が高いゲームになっちゃうよ。
==== 「廃人」 ====
基本的にコンピューターゲーム界隈は、いちびった下品な人間が多いので、そこで飛び交う言葉も汚い言葉が多い。
例えば、廃人、なんてよく言うらしいよ。つまりいろいろな理由で暇な人間、まあ、E,Suj. もそうだけど、普通に忙しい人間より、ネットゲームとかでは有利だよね。そういう人間を貶めたくて言うんだね。
後色々な理由でゲームに過度にお金を費やせる人に悪口言いたい時とかね。
まあはっきり言って、E.Suj. も間違いなくこの廃人の一人だけど、彼の愛読書では、「廃課金ユーザー」という記述にしているらしい<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P66</ref>。「廃Wikiユーザー」とか?
だけど世の中色々でね。人にはそれぞれ事情がある。望まなくても廃人になってしまう人はいっぱいいるよ。
===ゲーム作者が自作をプレイしたら、やはり他者プレイヤーよりそのゲームは簡単だと見なすだろう。===
あらゆる分野で作者は自作は面白いし、難易度やネガティブな要素は低いと見るだろう。作り手は妥当なバランスをどう見出したら良いだろうか?
====作者が客観的に自作を見る事さえ難しい、しかしいいバランスは見つけ出したい====
やはり常識的な判断としても、経験則としても、作者がやや簡単だと思うくらいがちょうどいい、という事だろう<ref>STUDIO SHIN 著『ゲームプランナーの新しい教科書』、翔泳社、2018年3月10日 初版第2刷発行、54ページ</ref>。
プレイヤーにとっては易しいほうの案Aと難しいほうの案Bとがあったら、ゲーム本編には、やさしいほうの案Aを採用するのが良い<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、P207および235ページ</ref>。
難しい方の案Bは、付加的なサブステージ(クリアには不要な)に流用するといいですかね<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日 初版第1刷発行、P207および235ページ</ref>。
RPGにおいてはクリアに絶対に必要なイベントと、エクストラのクリア条件ではないイベントがありますね。それぞれ「強制イベント」、「任意イベント」と、呼ぶこともあります<ref>STUDIO SHIN著『ゲームプランナーの新しい教科書』、P198</ref>。
サブステージや任意イベントの難易度は、割と自由に扱う事が出来そう。むしろ様々な難易度があった方が、多様なユーザーの要求に対応しているとも言えるし、しかしそもそもサブステージなどなくてもいいとも言えますが、あるとしたら、遊びは多くなりますよね<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、P208</ref>。
そして基本的に作り手は「簡単」だと思っていても、初めてプレイするプレイヤーには難しい、それはよくあることですよね<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P56</ref>。
====レベル上げを楽しむ?====
一般的なゲームは、例えばRPGでは、ストーリーや戦術性の面白さが普遍的な主流の興味ですよね。作り手も、RPGというジャンルが今現在、どういう一般的な魅力があるか、それを考えて、それを重視して作る。
一方プレイヤーとしては、正道を外れたややマニアックな楽しみ方もある。RPGのレベル上げ(だけ)を楽しむ、なんて遊び方もできますよね。
つまりプレイヤーはプレイヤーで、本来の制作者が意図した別のところで楽しみを見出すこともある。ある意味コンピュータープログラムのインタラクティブな性質が、そういう遊び方を見出す余地を持っていると言える。
しかし制作者はやはり、RPGの持つ本道の面白さを目指してゲームを作るでしょう。
前編集者はこのことを、少年漫画を例に語っていますね。
漫画家スポコン漫画(そう?^^;;)「バクマン」では、こんなエピソードがあったようです。
「たとえ少女の読者がいても、その少女は、「男の子が読んでいるマンガを自分も読んでみたい」、と思うような女の子。少年ジャンプの取るべき編集姿勢としては、あくまで、男の子向けを貫かないといけない」
少年漫画誌は、ターゲットは、少年、割と年少の男の子ですからね。それ以外のファンがいても、その読者層におもねる漫画は載せないでしょう。それはカテゴリ崩壊だよね。
しかし実は少年にもいろいろな個性を持つ子がいる。少女にも、大人にも、老人にもいろいろな個性がある。ターゲットがどうのと言ったところで、実は結構あいまいでいい加減な物なんだよね。
少年ジャンプは自らの分析として、売れる漫画の方向性として、「友情・努力・勝利」の3原則を提唱した。この3原則を外すことは今現在は許されてはいないのでしょう。
====No title.====
ある意味当然のことだが、ゲームの作者は、ほかのプレイヤーより、自身のゲームの難易度を低いと見るだろう。「作者バイアス」という言葉が使われることもある。
;雑誌「ゲーム批評」による指摘
1990年代に「ゲーム批評」という雑誌が、ゲームの内容を考えるときは、ゲーム制作に熟練していない人は、既存ゲームを難しくアレンジした提案をしがちだと指摘しています。
例えば、スーパーファミコン版のマリオ、こういうゲームを自分たちが作る時、どういうゲームにしようか?
マリオが空を飛んだ時、簡単にクリアできるけど、ここで空中に敵キャラクターを多く配置したらどうだろうか? そして『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』、、云々の記述が前編集にあったが、これはいつものこの前編集者の一般的な他者に対する愚弄目的の文章なので、再掲載する必要はないだろう。
そしてこのアイディアに対する、一般的な批判としては、マリオの地上ステージの空中に敵が少ないのは、ゲームが苦手なプレイヤーのための救済措置だったり、あるいは体験済みステージ前半を無視するための工夫、であるので、その部分を難しく、複雑にするのは不適切だと思われる、と、いうことになる。
ところでやや話題が脱線するが、過去少年マガジンに掲載されていた、漫画作品、[[w:1・2の三四郎]]にも、似たような話があった。
高校生の主人公、東 三四郎と、本当はレスリング部にしたい西上 馬之助と三四郎の友人南小路 虎吉の三人で柔道部の活動をしていたのだが、ある日三四郎が馬之助にこう言う。
「スタンハンセンのウエスタンラリアット(プロレスの技)の改良技を考えたのだが」
「ほう」
「ハンセンは、ラリアットを打撃技にしているが、ここで打撃しないで、首に引っかけるようにして倒して後頭部をマットに打ち付けるのはどうだろう?」
「あほ!!それはジャイアント馬場の、ランニング・ネックブリーカー・ドロップや。ハンセンはそれをもとにウエスタンラリアットを考えたの。なんでお前がわざわざそれをもとに戻してんのや」
ただ、今ではこのジャイアント馬場云々は俗説と言われているようですね。
少しマリオの話とは違うかもしれませんが、脱線の雑談として書いてみました^^
さて、今仮に、「ゲーム作者はネットの批評はあまり参考にしない。基本的にゲームを作ったことのない人の意見はあまり意味がないと考えている。」と、いう主張があったところで、あなたはこの意見をどう思いますか?
まず全くの素の状態でこの言及を聴いたところで、その通りだと思います?あるいはいや、違うと思います?。
そしてもし素の状態ではなく、仮に出典とやらがあった場合、出典と言ってもいろいろありますよね。ネットの言及の場合もあるし、あるいは何らかの偉そうな市販の書籍にそう書いてあるかもしれない。
この辺の出典とかの情報、事実で意見変わります?
だからあなたが素の状態でどう思おうと、偉そうな人の言及があったら、じゃあそれは正しいんだと思いますか?。
しかしまあこの言及の場合は、ゲーム作家とやらが、ああ、俺はそう思っていると言えば、一つの証言となりますよね。
しかしゲーム作家だって複数いる。しかもゲーム作家と呼んでいい人とは具体的にだれか?
ですから現編集者はこの議論は全く無意味だと考える。しかし実は前編集者もやりたいことは、ただただ商業の創作者を持ち上げて、ネット上や同人の創作者を貶めたいだけなんですよね。
とにかく前編集者は私欲を見たすために、この言及の出典とやらを探しましたが、辛うじて、「一次情報以外、個性には役立たない:インターネットやSNS:そうした情報は知識として役に立つことはありますが、ゲームデザイナーが個性を発揮するうえではあまり役に立ちません<ref>『ゲームデザイン プロフェショナル』、P314</ref>」という記述を見つけただけだったという。
{{コラム|マリオメーカー、他|
マリオメーカーは任天堂が2015に発売した、Wii U用の(3DS用も有)ゲームソフトウェアですね。マリオのゲームの素材を使って、自分でもアクションマリオゲームが作れる。
このソフトウェアでは、自作のマリオゲームを任天堂のWebサイトに投稿、公開する事が出来ます。しかし条件があって、一度そのゲームをクリアしないと、公開はできません。
そして一方、実は、マリオメーカーが発売される前、インターネット上には「改造マリオ」といって、マリオのROMを違法改造して、自作ステージをつくって無料公開する行為が行われていました。
実際には改造マリオのデータを、ゲームとして利用するのはなかなか手間がかかり、むしろそのプレイ映像を動画化し、それが動画サイトで人気になったようです。しかし改造マリオを作るという行為自体が、著作権の問題を持っていました。
そして多くの場合、そのステージの難易度は異常に高くなり、そしてその難易度の高いマリオを実際にクリアする動画が非常に人気を持ったようです。
さて、そこでこのことに関して、前編集者は例え話を始めたのですが、まず一つ目が、「犬が人をかんでもニュースにならないが、人が犬をかむとニュースになる」、だそうです。
つまり…改造マリオの方が人が犬を噛んでいる? すると任天堂本家のマリオメーカーが、犬が人を噛んでいるか?
辛うじてこの例え話の意味は分かるけど、もう一つの例え話がこれ↓なんだけど…
また、アンケート調査などの心理学的ノウハウとして、「あなたは○○を買いますか?」と「あなたは○○を好きですか?」と聞いたときでは、アンケート結果の傾向がかなり異なり、多くの人が、「○○を好きですか?」と質問されても決して実際に好きなものを答えるのではなく、世間から賞賛されそうな趣味趣向の場合にだけ回答で「はい、好きです」と答えるようであるという、分析結果があります。
これはさらによくわからん(?_?)?????
マリオメーカーは買うで、改造マリオは好き?
要するにいつものこの編集者の議論で、商業のマリオメーカーを褒め称えて、Web文化の改造マリオは貶めたいんだろうね。
まあ改造マリオは違法性があるから、別にそれはそれでいいけど…
}}
{{コラム|とにかく E.Suj. はWeb文化を貶めて、商業文化を誉めそやしたい|
確かにWeb上には無料コンテンツも多々あるが、商売人たちが仕掛けているのは、有料コンテンツのための撒き餌のようなものだ。一方で同人、アマチュア活動として、無料で作品を公開している人もたくさんいるし、これらのコンテンツまで貶めようと試みる E.Suj. は本当に性根の腐った嫌な人間だね。勿論違法性のある無料コンテンツもあるから、これらは当然非難されてしかるものだろう。
まずゲームに関しては、前編集者の報告では、実際にプレイすることなく、無料動画を見ただけとか、あるいはさらに悪い例はWeb上の言論だけをもとに、特定のゲームを批判する人物がいるようで、これは確かに良くないことだ。
漫画界でも、似たような問題があるようだ。マンガ『ラーメン発見伝』(小学館ビッグコミックスペリオール )では、作中のライバル役のラーメン屋経営者(いわゆる「ラーメンハゲ」)が、ネットの情報をもとにラーメンの実際の食べたときの味を無視してラーメン評論をするラーメンマニアに陰口で悪態をついています。確かに漫画だろうが、ラーメンだろうが、映画だろうが、小説だろうが、実物に触れないのにあれこれ言うのは、基本的には悪いことだろう。
とはいえ現編集者は、[[v:Topic:読まないのに書評]]なんてやっちゃったけどね。まあ気にすんなよ^^;;;。
そこで前編集者は、Webを徹底的に否定して、市販本だけに価値を置いているけど、それも極論じゃあない?
ゲームを実際にプレイしないで、各種情報で知った気になるのは確かに良くないこと<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.282</ref>だけど、我々だってすべてのゲームはプレイできないよ。
それに各種情報から、何となくいけ好かない存在って誰にでもあるものだし、まあ基本悪口はよくないけど、Webは新しい混沌メディアだからね。市販の書籍やゲームが圧倒的に価値高いわけではないね。
新聞の第一面によく載っている、有り得なく馬鹿馬鹿しい書籍の広告、あんなの絶対に買わないし、読まなくたって無条件で悪口言いたくなるよ。
とにかく E.Suj.はゲームに関して、メジャー作品、人気作をプレイせよ<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P280</ref>、なんて書くけど大きなお世話。自分のプレイするゲームは自分で選ぶね。
YouTube動画に、「アニメ私塾」というチャンネルがあるらしくて、そこで勧める絵の練習法は、プロのアニメ作品の模写らしいけど、これだって単に一つの意見。絵の勉強法なんて無数にあるよ。
まあ確かに漫画に関する違法サイト読書は問題だろうし、検挙もされているけど、同人誌やエロ関係の無断掲載は検挙もしていないように見える。
ただそこで漫画を読むことは倫理的に非難はされるけど、読んだ以上は、作品を読んでいないという評価は違うだろう。勿論不正な方法で読んだという非難は正当だけどね。
結局、E.Suj.の目的は、いい加減な言論を駆使して、既成の商業コンテンツの権威と金を守りたいんだろう。
}}
アナログゲーム(カードゲームやボードゲーム)の設計者は、ネット上の意見はもとより、実際のテストプレイヤーの意見さえあまりあてにならないという考えがあるらしい。テストプレーヤーも様々な理由で本音を語らなかったり、何らかのバイアスであまり有用な意見が出てこないという見方もある。一番重視するのは、実際のプレイの様子を観察することだいう<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P338</ref>。
{{コラム|世のメディアでは、人気投票企画は多いが、基本的には遊びでお祭りでファンサービスで、本格的な統計調査とは別物だろう。|
イナズマイレブン、2008発売のサッカーRPG。アニメ化や映画化もされている。中学校サッカー部が舞台だから、中学生がメインターゲットだろう。
この公式サイトが、登場キャラクターの人気投票を行ったという。
作品中に、五条というマイナーキャラクターがいた。中学生で、おじさんぽい顔、眼鏡で目が隠れ、何を考えているかわからない不気味な悪役的キャラクター。
ある匿名掲示板で、おそらく[[w:2ちゃんねる]]だと思いますが、このキャラクターへの組織票投票の呼びかけが行われました。
はたして2(5)ちゃんねるに中学生のユーザーがいるのか? 少しはいるかもしれないが、やはりこの組織票祭りの参加者の多くはもっと年長、しかしそれほど年寄りのメンバーもいないように思われる。
まあ結局オタクどもの遊び、祭りということだろうが、しかしその影響か、その公式サイトでの人気投票結果は、五条が一位になった。
まあ不合理な結果と言えば結果だが、ネット上ではその手の馬鹿げたことはしょっちゅう起こる。少しこだわりのある変わり者たちが、自然な状態をかき乱したくて、色々なことを仕掛けてくる。
公式サイトの運営者としては、面白くない展開だが、そもそもイナズマイレブンのゲームユーザーの何割が中学生か?
購買層の中に明らかにこの手のオタク、大きなお友達が、かなりの数占めているだろう。
しかしこういう人たちが、企画内容に大きな影響を及ぼすなら、やはり運営としては面白くない話だ。
AKB48の人気投票は、CDに投票券をつけている形式だが、やはりここでも不規則状況を狙って、投票券目当てでおなじCDを何枚も購入するファンがいるらしい。
勿論この手の、奇矯な手妻は、人気投票の企画者にとっては、面白くないことだが、しかし世の中こういう変わり者は必ずある程度いるものでね、それはそれぞれの企画者が上手に運営方法考えればいいのであって、こんな話をこのページにわざわざコラムとか言って書く意味ある?
;美人投票
経済学者ケインズは、投資家の行動を美人投票にたとえた。「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える」、投資家は、この手の美人投票に参加しているようなものだと。普通の美人投票では、自分自身が美人だと思う女性に投票する。しかしこの投資家の美人投票では、賞品目当てなので、自分自身がどう思うかより、票が集まる写真はどれかを予想して投票するだろう。
前述のイナズマイレブンの投票祭りも、自分が好きな登場人物に投票しているわけではない。地味で目立たないキャラクターが一位になれば面白かろうと、示し合わせて、不美人投票をしているのだ。
;ノイジー・マイノリティ
ノイジー・マイノリティとは、少数派であるのにその声は大きい、目立つ、目立つにかかわらず、そのような考え方、主張をする人は少数である、だから基本的にはその人たちの大きい声は聞き入れない方が良い、多数派の意見を反映していない、ということでしょう。
基本的にはネガティブな意味を持つ言葉であり、大騒ぎするクレーマーに近いイメージだろう。
なるほどね、確かに現編集者の主張はいつでも希少な少数派の意見に近いだろう。
そしてすじ肉しちゅ~なる人物はいつも多数派の味方で、多数派の安易で愚かな意見が絶対的に正しいと振りかざし、他者を愚弄し常に暴力をふるっている。
そういう多数派の暴力に対抗するために、マイノリティとして常に俺は大騒ぎしているのだが、物は言いよう、言い方を少し変えれば、集団、多数派の暴力が正しいと、言い張る事が出来るんだね。
衆愚の暴力とは、どこまでも防ぐのが困難なのね。
}}
さて、我々は学業でも、スポーツでも、趣味でも、そしてもちろん仕事でも、必ず技能というのがあって、それを日々身に着けている、身に着けようと試みていると考えていいと思いますが、果たして今の自分はどんな技能を持っているのか?そもそも何らかの技能持っているのか?そういうことで悩んだり考え込んでしまうことはありますよね。
E.Suj.のように集団におもねる以外の生き方を一切知らず、大した技能なんかないのに、スキルスキルと威張り倒して他人を貶めること以外何もしない人間がいる一方で、かなりの技能を持っているのに自信が持てず、鬱々と生活している人間もいます。
勿論技能自体はかなり客観的な物でしょうが、他者の技能評価は結構いいかげんで、技能が大したない人間が威張り散らして、ある程度技能がある人間をこき下ろして貶めている事なんて、世の中でしょっちゅう起こっていますよ。
そこで大した話ではないんですが、ある技能からある技能に転向する場合がありますよね。つまり生活自体が変わるのでしょう。特定の技能をふるう生活から別の技能中心の生活に変わること。
具体的にゲーム業務に関する話題では、デザイナーからプランナーに役務が変わるとか…
その時にはやはり、デザイナーとしての自分は封印したほうがいい<ref>大久保磨『レベルデザイン徹底指南書』、2016年12月14日 初版 第1刷発行、P81</ref>。
やはりプランナーとしての仕事を優先し、デザインに関してあまり大上段に口を出さない方がいいでしょう。
{{コラム|一人で何でも出来るわけではない。しかし偏向した愚か者の集団より、一人の総合的な人間の方が、相対的にいいものを作り出すだろう。|
基本的に商業漫画、商業アニメーション、そしてほとんど多くの商業メディアはその根源的な創作部分でさえ、多人数の協業で作られています。一応全体を統括する指揮者はいますが、個々の秀逸な表現はその監督だけの手柄ではない。
これはこの手の物事についてある程度知っている人間にとっては、もちろんたまには例外もありますが、ほぼ当たり前のことで、得意げに語ることでも何でもない。
「と学会」の人が2010年ごろにニコニコ生放送の番組に出演したときに、この人物は、ある漫画原作者にネタ提供したと語ったという。しかしネタ提供といっても様々な形態があり、ピンからキリまであり、実際にその作品に貢献していない場合もあるし、単にこいつ、自慢話したかっただけだろ?
漫画家にしろ脚本家にしろ、色々な事柄にアイディアの元を頼っているだろう。有償無償に関わらず、アドバイザーも多いと思う。
ゴルゴ13なんかは明らかに協業で作られていたし、各種映画やテレビドラマも、様々な人間がその作品の質の向上に寄与している。
歴史ものや軍事物、その分野の専門家が強力に考証を加えているし、当然設定の信頼度も高くなる。
だから創作作品は協業関係が上手に機能して、それを統一した理念でまとめ上げれば、当然質はかなり高いものを作る事が出来る。
}}
{{コラム|可処分時間|
経理には「可処分所得」という用語があります。労働者の給料のうち、税金や社会保険料など支払いが義務付けられているものを差し引いた、残りの自由に使えるぶんの金額です。勿論その中から自分の生活費は支出しなければいけませんがね。
そこから類推して「可処分時間」。
前編集者の言葉では、「1日のうちの自分の起きている時間のうち、労働時間などを差し引いた、残りの自由に使える時間」。
だから、もし無職で何らかの理由で生活できるなら、100%が可処分時間でしょう。
で、E.Suj. はこのサイトで、こういう人間をひたすら愚弄するような文章を書き続けて来たのですが、 E.Suj. 自身の可処分時間は何%?
仮にこのサイトでインチキ書いてお金が入っても、それは可処分時間に入れろよ?
そして…「商売の競争とは、消費者の可処分所得の奪い合い」ということらしいけど…希少な可処分時間を奪われたうえ、そいつらに金払うの? 可処分時間って必ず金払って埋めなければいけないの?
}}
===ドラゴンクエストは、ゲームを進めるため、ゲーム操作の技能を得ることを求めていない?===
ドラゴンクエストでは、ゲームのプレイを続け、キャラクターのレベルが上がっていくごとに、キャラクターも戦闘力が上がり、より強い敵も倒せるようになる。これはそれ以前のアーケードゲームのように、プレイヤーがゲーム操作の上手な技能を身に着けることによってクリアするのではなく、レベルが上がることで事実上、プレイヤーが上手な操作する必要なく強くなっている。これを、「クリア保障」と呼んでいるWebコンテンツもある<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/column05/170905b
2020年12月21日に閲覧して確認.</ref>。
ドラクエでダンジョンに入った場合でも、様々な試行錯誤は繰り返すであろうが、プレイし続けて時間経過とともに経験値が上がると、最後にはダンジョンのボスも倒す事が出来て、クリアする事が出来る。
つまりドラゴンクエストでは、プレイヤーがそのゲームの操作の技能を覚えることで、難易度の高いステージをクリアしているのではなく、ゲームを続け、経験値が上がりレベルが上がることによって、ある意味自動的に強くなっている。
序盤のダンジョンで未探検のものがある場合、その時点ではかなり探索は困難を極めるが、レベルが上がった時点では、割と簡単に、クリアできる。つまり難易度が自動的に下がっているともいえる。
つまりドラゴンクエストのクリアシステムは、ゲームを続けてプレイを重ねていくうちに自動的にキャラクターは強くなり、最後にはゲームクリア、コンプリートに至る、ということだろう。
ドラゴンクエストのようなインターフェイスでも、古いゲームやフリーゲームではこの特徴を満たしてはいないものがあると、前編集者は書いていたが、どういう事だろう? 何度も書くが現編集者はそれ程沢山ゲームをやりこんでいるわけではない。
アクションゲームでは当然難易度の高いステージはそれなりの技能やテクニックが必要だろう。しかしRPGではそれほど技能の必要や出る幕もないから、多かれ少なかれドラゴンクエストのような形態にはなるのではないだろうか?
全体を通してレベルがそれほど上がらないゲームというのはあるし、あったのだろう。この場合は何らかのゲーム上の困難の打開策や有効な戦術を見出さない限り、クリア困難の事態に陥るだろう。
RPGに限らず一般に、ゲームの後半に行くに従って、次ステージ攻略などのための事前準備の増加や、試行錯誤の時間の増加に時間のかかるようになっていく事が多い。そして、ステージクリアに必要な時間の増加が、ゲームを苦手とするプレイヤーに、そのゲームのクリアを諦めさせる<ref>http://endohlab.org/paper/whydoplayersdrop.pdf 2020年12月21日に閲覧して確認.</ref>。つまり娯楽であるはずのゲームが、難易度が上がりすぎてその機能を果たさなくなるのだろう。
=== 自由度 ===
一本道で難題を乗り越えるゲームもありますが、いっぽうでマルチエンディングとか、攻略ルートや展開が複数あるゲームもありますよね。こういう自由度の高いゲームは、その展開の場合の数に応じて、調整の際に考慮する事項も増えていきます<ref>『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖!』、P78</ref>。
===Non-title===
※バランス調整に限った話題ではないが、他に適した単元が見つからないし、メインページに書くほどでもないので(←なら書かないで削除せよ。by E.H.)、間借り(まがり)的にバランス調整のページで書くことにする。ただし、この節の内容を他のぺージに移動することは、 E.H.が禁止する。
====ゲーム業界に就職したい?====
……ならば、今現在の業界を構成している人達のアドバイスに従うのが無難だろう。
まず彼らが望むのは、ゲーム人気作の知識。特にデザイナーならなおさららしい。まず過去の名作は手本になるという。それから共通言語としての、コンセプトや知識を知っておくべきだと<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P278</ref>。
とにかくゲームについて知らないのはよくないようだ。過去現在の人気作や、自分の興味ある、そして入社出来たら実際に作っているジャンルのゲームについて、プレイし、周辺知識も知っておきたい。
====[https://www.uta-net.com/movie/59818/ シッパイマン]====
この節のタイトルは、失敗とは何かを知りたければ、以下を読むよりリンク先を見た方がいいだろう、という意味のリンク付きタイトルです。
基本的に前編集者は手本がなくては生きていけないようで、創意工夫という言葉もあまり知らない。そして権威ある手本のパワーに依存しまくって、他者を愚弄しまくる。
しかしまあとりあえず、その論旨に乗っかって記述するが、人気作や人気シリーズをとりあえず崇めて手本にせよと。そして人気でない作も良く調べて、崇める手本と比べてどこが良くないか見いだせ<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/interview/200615a/3 2020年11月27日に閲覧して確認.</ref>、と。
そしてなぜか前編集者はゲームの事だけで完結せず、アニメの事も語りたがるんだけど、まあ好きだからなんだろうけど、ガンダムについて語りたければ、それ以前のロボットアニメについても調べろ、と、岡田斗司夫や氷川竜介が書いていたんだって。
結局、性格の汚い有名人の権威に頼りっぱなし。
そしてまたまた岡田斗司夫の著作によると、演劇作家・演出家の鴻上尚史氏はゲーム進出に失敗したらしい。失敗してたの^^;;;??? 現編集者はそれは知らなかった。ゲームに手を出したことは知っていたけど…そもそも鴻上さん、映画制作も失敗していなかった^^;;;?。特別に好きでファンだという訳ではないけど、一時期この人のラジオかなり聴いていたんだけど…
とにかく岡田氏の結論は、鴻上氏とどういう関連があるかはわからないが、「成功例から学びたがる人は多いが、しかし成功例だけから学ぶのは素人。プロは失敗例にこそ学ぶ。」、らしい。もっともこれはあくまでも前編集者の要約だけど…
うーん、プロだの素人だのはどうでもいいけど、失敗と成功の両方から学ぶのは、ごくごく当たり前で妥当なことじゃないの?
あと失敗に関しては、畑村洋太郎氏の失敗学という概念もある。<ref>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/43/2/43_2_182/_pdf</ref>
{{コラム|「失敗を恐れるな!!」なんてよく言うけど、実は誰もが失敗は怖い。むしろその怖さや失敗自体との向き合い方が問題なのだろう。|
まあ現実問題として、失敗のない人生なんてないよね。
かと言ってねー、そう簡単に人間成功しないし、物事上手くいかないものだよ。
とにかくどん欲に成功を求めすぎるのも、逆説的に失敗の元になるだろう
あとあまり点数とか量について考えない方がいいと思う。
マーフィーの法則ではないけど、この世界と我々の人生は明らかに失敗方向にバイアスがかかっている。
失点しても試合に勝てばいいという意見もあるけど<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.334</ref>、結局ぼろ負けして泣いて帰ることもしょっちゅうだよ^^;;;。
しかしまあ、誰もがそこそこ成功したいよね。
だけどさー、なんだかんだであんたらの人生、物事上手くいって楽しいときは確実にあるでしょ?
}}
===異業種? いやいや、それどころか、異人、異世界の事も想像しろ><!!!===
ゲームとは文化でもあるでしょうか。様々な文化の一分野? そうなると文芸とかイラストとか、短歌とか映画とか、小説とか漫画とか、様々な文化のジャンルがありますよね。
特定のジャンルが衰退するとか発展するとか、具体的にはどういうことですか? もちろん商業文化としての、流通の規模というのはありますよね。しかし文化というのはだれ一人手掛けなくても、自分自身がその創作活動を続け、何らかの形で発表し、そしてそれを享受する人がある程度いる以上、仮にお金は一切発生しなくても、完全にこの世から消え去ることはない。
2012年に新日本プロレスリングを買収したゲーム会社のブシロードは、こう述べた。「すべてのジャンルはマニアが潰す」<ref>https://newspicks.com/news/4135958/body/ 2021年11月7日に確認→ただし有料コンテンツなので表紙を確認しただけ^^;;;</ref>。マニアねー。そもそもオタクとマニアはどう違うの? オタキングを崇拝している人たちは、マニアは悪く言えるけど、オタクは悪く言えないよね? どっちにしろ大した言及じゃあないよ、馬鹿げた話だね。
そしてゲーム業界は、1990~2000年の一時期、ジャンルによってはゲームが高難易度化した作品が多くなって、新規参入者が苦手と感じてプレイヤーが減って衰退縮小していったことがあったという。
まずゲームのジャンルが明確に固定化されているとは思えない。ある程度はそれ様の物はあると思うけど、結局これって、ゲーム商売の話であって、もっと一般にゲームが好きな人たちの事を考えると、特定のジャンルが好きならば絶対自分たち自身でその分野を盛り上げようとするだろうし、そういう人たちが少なければ当然ジャンルの規模は小さくなり、小さくなったり消えてしまったところで、それはそれ、歴史の流れなんじゃあない?
ゲームセンターの対戦格闘ゲームでは、初心者が筐体をプレイすると、熟練者が参入して、初心者を打ち負かす「初心者狩り」が起こり、初心者が楽しめない、参入者が減ってそのジャンル自体が衰退、ということもあったようです。
スポーツ競技でも似たようなことが起きると言うが、まあ結局この社会、やさしいいい人なんてほとんどいないし、本当の意味で賢い人間もほとんどいない。
とにかくどんな分野でも、事実上楽しくなければ、人は去っていくだろう。
{{コラム|作者は答えを知ってしまっている、が、それでも、自分の作りだした物語と世界は、素敵で魅力的なものだと思っているだろう。|
ハドソン『新桃太郎伝説』(スーファミ版)の攻略本『新桃太郎伝説 究極本』(KKベストセラーズ 刊)で、作者の さくま あきら が、読者インタビューにこう答えています。
読者「ゲーム中、もっとも印象に残ったシーンはどこですか?」
さくま氏「作者はシナリオの答えを知ってるので、もっとも印象に残るとかそういうのはありません」
これは明らかに質問の仕方がおかしいし、不適切だろう。最も印象に残ったシーンって、…これはゲームと物語を受け取った側が感じる事じゃない? 。
}}
;ティッシュテスター
作者バイアスでバランスが分からなくなるのは作者だけではなく、テストプレイヤーやデバッガーも、そのゲームに慣れてゆくと、次第に感覚が一般プレイヤーとずれていき、適切なバランス側が分からなくなっていく。
このことに関して「ティッシュ テスター」(tissue tester)という言葉があるらしい。つまりティッシュは一度きりの使い捨て、新鮮にゲームを見てバランスを判断できるテスターも、最初の一回きりということ。最もテスターも仕事としてそれをやっているのだから、使い捨てにされたらたまったもんじゃあないけどね。
「フレッシュミート」(新鮮な肉、fresh meat)とも言うようですね。
どちらにしろゲーム業界の連中が、他人を雇うということをどう見て考えているか、よくわかる言い草だね。
=== 要素の相互関係 ===
====概要====
調整は、関連あるものを、まとめて同時期に、ただし1個ずつ、行う<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.182</ref>。
だから、関連ある要素を実装しきっていない段階では、調整はない。だから開発の最初の方では調整しないだろう。
しかし、場合によっては、要素の実装をそろうのを待つと調整開始の時期が遅くなりすぎてしまい、計画に支障が出る場合があります。そういう場合、ある程度のまとまりのある実装ができた段階で、調整をするようです。
具体的な調整の判断基準については、参考文献『ゲームデザイン プロフェッショナル』を買ってお読みください。
しかしここで釘を刺しておくが、 Wikiは決して読書ガイドではない。システムとして多人数の協業の手段を提供しているだけで、あくまでもWeb上のコンテンツ、文書に過ぎない。ウィキペディアが出典主義なのは、協業上の文章作成として、信頼度を保つための方法として、その姿勢を採用しているだけで、この場合も読書ガイドではない。
原則としてWikiは、文書として独立、完結しているもので、市販本と等位の存在、しかも基本無料、だからと言って市販本より質が悪いとは限らない。
ゲームデザインなんちゃらという本が最初から素晴らしいと思っているのなら、アマゾンで検索してその本を購入すればいいのであって、Wiki を読む必要も、関わる必要も、書く必要もない。
さて、バランス調整を実際にどうするのか、そしてそれ以外でのゲーム創作の総合的な知見、感覚は、例えば『RPGツクール』で実際にゲーム制作に手を染めれば、おのずと理解が深まっていくだろう<ref>大久保磨『レベルデザイン徹底指南書』、2016年12月14日初版第1刷発行、P81</ref>。
====マップと敵====
ゲームのバランスには、様々なパラメータがかかわる。敵の強さ、マップの構成、各種アイテムや装備品の強さ、要素とその関係が上手に整理された時、ゲーム全体がバランスの取れた、プレーヤーにとって楽しい、続けていたくなるゲームになるのだろう。
宝箱もマップの要素。敵の強さだけではなく、宝箱の中のアイテムも、ゲームバランスに影響を及ぼす。そこでマップが実装された後でバランス調整するのが好ましい。
しかし実際には、マップ実装は時間も手間もかかる。マップはステージと物語の世界観も反映しているので、そう簡単にトントンと決まらない。
マップに敵を組み込む方式で調整する場合は、マップ実装が済まないとバランス調整はできない。
:マップを作ってからそのマップに敵を組み込んでみてプレイしてみて、敵の強さを決める?
:敵の強さを決めてから、マップを決める?
:マップと敵を別々に決めてから、最後に組み合わせて微調整?
色々な方法があるが、とにかく物事、自分たちに都合のいいようにしつらえられていることはほとんどないので、迷いながら現実に打つ手を見出すしかないだろう。
====始めよければすべてよし? 或いは終わりよければすべてよし? いやいや、どっちにしろ全然駄目なこともあるよ^^====
とはいえ、まずは始め。バランス調整もまず序盤を多めにプレイして、面白いバランスを見出すのがいいようだ。
やはり始めと終わりが重要で、中盤は多少いい加減でもなんとかなるらしい<ref>『ゲームプランナー集中講座』、P236</ref>。
アニメーション業界でも、とりあえず始めと終わりに力を入れろという考えはあるらしい。テレビシリーズでもとりあえず一話と最終話に力と予算を費やしている場合は多い。
結局最初は気合が入っているが、最後に向かってドタバタして、事実上最初に力がやけに入っていた、ということは起こるだろう。
あと現実問題として、RPGのバランス調整は、主に敵の強さを調整している。味方の調整や装備品の調整はあまり行われない。慣習的にそうなのか、あるいは何らかの合理的な理由があるのか、は、不明。とはいえ味方の値は、プレイヤーやプレー状況によって変わる経験値を持った全体を通じた可変値だから、こちらで調整するほうが事実上難しいだろう。
スーパーファミコンRPG『新桃太郎伝説』では、最終ボスのパラメータのほうを調整していることが、攻略本、『新桃太郎伝説究極本』に書かれている。(調整前はボスはもっとHPが多かった。)
しかし味方キャラクターや装備品の数値を全く調整しない、と、いうわけではない。敵の能力値は大きく変更して調整するが、味方関係は小さな変更になるのだろう。
そして結局常識的には、序盤から順番にバランス調整していくしか道はない。
そのため、過去のゲームでは、ゲーム後半の調整がうまく機能せず、極端に難しかったり或いは簡単すぎたり、そんな場合も多かったようだ。ドラゴンクエスト2の後半ダンジョンであるロンダルキア洞窟とその次ステージがその典型例という指摘もある。
{{コラム|ゲーム理論とは何か?|
ゲーム理論は基本、数学上の議論で、様々な社会科学上の問題に関連する発想だと考えられています。数学者フォン・ノイマンと経済学者モルゲンシュテインの研究が契機で、現在まで様々な発展をしているようですが、典型例では[[w:囚人のジレンマ]]の議論が有名です。
宗教学者、人類学者の中沢新一氏は、ノイマンのゲーム理論では昨今のコンピューターゲームについては十分に説明できない、と語っていました。(ただし出典不明、Wiki著者の記憶も不鮮明)。最近の中沢氏は、ゲーム産業に関心を持ち、コンピューターゲームのイベントにも登壇しているようです<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/nakagawa-endo_bb/2 2022年1月18日に確認. </ref>。
ゲーム理論では、複数の主体が相互関係を持った時どう行動するか、それを数学的に分析していきますが、主に人間の社会行動を議論したい時に、理論的な根拠として提示されるものです。
一方コンピューターゲームは、娯楽としてのゲームそのもの、しかし人間の行動を規定する相互作用でもある。
中沢は特に言及していないですが、数学的にモデル化するなら、政策応用なら「国際情勢」など外交的な制約によって出力にとりうる値1個あたりの幅や個数が2~3個に限定されたりのような、値の個数が十分に小さくて有限の整数個の場合でないと、なかなかゲーム理論の応用は効果を発揮しません。
↑上の段落の記述はこのサイトの一Wiki著者の言及ですが、参考までに無編集で掲載します。
人間の社会行動を議論し解明するためのゲーム理論ですが、我々がコンピューターゲームをする、というのも一つの行動、社会行動ではありますね。
ゲーム制作に関する参考書類でもゲーム理論について語られることはありますが、詳細に具体的に、ゲーム制作とゲーム理論の関係性について解説されることはあまり無いようです<ref>『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』、P64</ref>。
}}
===キャラクターのレベル上昇とバランス調整===
ハドソン社の慣習では、新しく訪れたダンジョンでは、「レベルが3上がると、敵を1撃で倒せるようにすべし」、としている<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P.94。</ref>。この基準はゲーム界では有名な言葉らしく、スーパーファミコン時代の桃太郎伝説シリーズは、この調整のはずだ。
== RPGのダメージ計算式 ==
===特化型が有利===
ファミコン時代から現在に至るまで、特にRPG で、平均的に能力を持つキャラクターよりも、「○○だけなら自分が一番強い」という特化型のキャラクターの方が戦闘で強くなるようです。平均的なバランス型は器用貧乏に陥ってしまう。<ref >川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.227</ref>
そしてゲームの戦闘のダメージ計算式は、一般的に、プログラマーではなくゲームデザイナーが考えます<ref>『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』、P145</ref>。
では特化型が有利になるのはなぜか?
たとえば、キャラクターに能力をプレイヤーが自由に選んで振り分け配分できるシステムのゲームがあったとしましょう。(商業ゲームでも、いくつかの作品で、似たようなシステムのRPGがあります)。そう言えば comico の過去の公式掲載漫画、『マジカルゴ』でも、魔法少女たちにそうやって能力を振り分けていましたね…。もちろんこれ、雑談!!^^。
合計値を 100として…
;作成キャラの能力例
ちから: 10
たいりょく: 30
しゅびりょく: 10
すばやさ: 40
きようさ: 10
そしてもう一人…
;平均型キャラA
ちから: 20
たいりょく:20
しゅびりょく: 20
すばやさ: 20
きようさ: 20
:(※ 合計100)
さらに…
;特化型キャラB
ちから: 40
たいりょく:20
しゅびりょく: 30
すばやさ: 5
きようさ: 5
:(※ 合計100)
ここでA と B をコンピュータ上でRPGの戦闘システムのアルゴリズムで対戦させると、ほとんどの20世紀のプログラムでは、B のほうが勝ち、つまり特化型のほうが強くなってしまいます。
さらに書くと、「攻撃力」のような、敵にダメージを与える意味のパラメーターに振り割ったほうが、キャラクターが強くなるゲームが多い。(ファミコン時代から、ウィザードリィ1の攻略本でそう言われていました。敵モンスター『ワイバーン』の攻略法として「攻撃は最大の防御」、と。表紙の黒かった攻略本なので、たぶんゲームアーツの本。『ウィザードリィ攻略の手引き』(MIA BOOKS)かと思われます。)
なぜこうなるかというと、もし攻撃力が上がると、敵を倒すのに要するターン数も減少するので、結果的に敵を倒すまでに自キャラの受けるダメージ量も減るからです。なお、現実の軍事学でも、似たような事が言われており、戦術論ですが、クラウゼヴィッツ(近代ドイツの軍事学者の)は防御重視の作戦よりも攻撃重視の作戦のほうが有利だと述べています。相手が攻撃をあきらめない以上は、相手を攻撃して倒す以外戦闘を終了できない。
やはり平均型は弱い。パラメータの振り分けは多くの場合完全自由ではないが、例えば、ドラゴンクエスト2(ファミコン版)では、サマルトリア王子は弱くなってしまう。ファイナルファンタジー3・5の赤魔導師も、似たような弱点を抱えています。
以下のような指摘もある。
:・ウィザードリィやドラクエなどの古いRPGのアルゴリズムが、特化型に有利になっているという歴史的な経緯。
:・命中率などの確率に関わるパラメータ(「器用さ」)のある場合、パラメータ割り振り前から既にある程度の底上げ補正がされている場合が多いので、わざわざ命中率を上げると割り損になる。
:・「すばやさ」(素早さ)が攻撃の順番にしか影響しない場合、素早さが低くても1ターンに1度は攻撃できるので、素早さを上げるのはあまり意味がない。
命中率に関しては、多くのRPGで、攻撃が外れるのは、プレイヤーに不満感を与えるので、たいていのゲームでは、ゲーム序盤のレベル1のキャラであっても、数値上での「命中率」や「器用さ」などの表向きの命中率が低くても、たとえば「命中率 40」と表示されていても、実際のゲーム内部での命中率は、たとえば+20%されていて、本当の命中率が60%になる場合もあります。
例えば命中率が 80%の場合は、事実は底上げされて 100%ですから、それより大きい値に命中率を決めるのは意味がありません。
勿論プログラムの方で、100%を超える値に意味を持たせて、なんらかの有利が与えられれば、意味を持ちますが、多くの古いゲームでは、100% が天井でそれ以上何もないようです。
===ダメージ計算式===
さて、RPGの戦闘におけるダメージの計算式に、アルテリオス計算式というのがあります。これは、昔のゲーム『アルテリオス』で採用された計算式なのですが、
攻撃側の攻撃力 - 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
という式ですね。
ドラクエやファイナルファンタジーのシリーズの計算式はもっと複雑なのですが、どのRPGでもダメージ計算式の基本的な設計思想・方針はアルテリオス計算式と同じです。
アルテリオス以外のダメージ計算式でも、たとえば
:1.3×攻撃側の攻撃力 - 0.75 × 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
と、それぞれの項に定数をかけて、少しだけ発展させたものになることが多いようです。
ダメージ式が簡単な方が、バランス調整もやりやすくなりますよね。勿論複雑にしようと思えばいろいろ考えられるでしょうが、結局出来るだけ単純にした方が、プログラム実行上のロスもないし、何かと意義があるでしょう。
さて、以下の式で、
:攻撃側の攻撃力 - 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
もし自軍の攻撃力が0の場合、敵にダメージを与えられないので(ダメージが0)、絶対に負けてしまいますよね。また、攻撃力が敵の守備力を下回る場合も、絶対に負ける。
一方、「すばやさ」パラメータが戦闘の先攻/後攻の順番にしか影響しない場合、素早さが0であっても、勝つことは可能です。
また、守備力が0であっても、勝つことは可能です。
だからパラメータはそれぞれ意義が大きかったりあまり無かったりして、ゲーム上の強さに対する特性がありますね。
また、
:1.3×攻撃側の攻撃力 - 0.75 × 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
のように係数を掛けた計算式の場合、
守備力を1ポイント増やしても、その効果は25%減少されます。(たとえばレベルアップの際に上昇パラメータを一種類選べるシステムの場合、守備力を選ぶと損になる場合が多い。最も守備力だけいつまでも上げなくていいのかという問題もあるけどね。)
いっぽう、攻撃力を1ポイント増やすと、効果は30%増しです。
だから当然と言えば当然だけど、各種パラメータの状態や有利不利にはむらがある。しかし一方、ゲーム上の有利不利は、ゲーム展開の全体像で判断すべきものだから、特定の数式だけで議論するのもやや不適だろう。
===DPS(Damage Per Second)===
:※ 出典は無いが、あまりに有名な概念(らしい)。……と、いうか、多少の知性があれば、こんなこと、誰でもすぐ思いつく。
最近のRPGゲームには攻撃コマンド選択時に「二段斬り」などの技能選択ができます。
技能を設計する時に、ついついやってしまうミスで、見かけの数値に混乱させられて、実際には強くなっていない特技を作ってしまう、そんな事が時々あります。
たとえば特技、『ためる』。次回ターン時のダメージを数倍に倍増し、次回ターンの1回だけ、ダメージを倍増させる
この特技では、次回ターンのダメージが二倍を超えないとあまり意義を持ちません。
『ためる』コマンドを選択したターンは、攻撃をしてませんからね。
通常攻撃
:1+1=2
ためる二倍攻撃
:0+2=2
で、普通に考えると結局同じになります。
ファイナルファンタジー3の職業『空手家』の技能『ためる』、は、こういう性質を持っていたという指摘があります。ただ仮にその特質があったところで、そこに気づいた人はその不利を理解するわけですから、それ自体がゲーム性だという主張はできます。
しかしそういう事態を避けるためには、'''DPS''' ('''D'''amage '''P'''er '''S'''econd)概念が便利ですね。DPS とは1秒あたりのダメージ量、という意味です。
もともと欧米のアクションゲームについての理論研究に由来する用語なので、単位が 秒(second)になっていますが、RPGに応用する場合には単位をターンに変えるといいでしょう。
つまり上述のためるコマンドではDPS(あるいはDPT?) が同じなので、有利がない、だから、後の攻撃ダメージ量を「2.5倍」や「3倍」にするといいわけですね。
さてさらに、
「『ためる』を2回続けると、さらにダメージ量がアップ」などのシステムを導入するとき、必ずDPSを増やすには?
つまり数式を使うと、
:0 + 0 + x > 3
の xを求めているのですよね。
だから、『ためる』2回後のダメージ量は、最低でも「3.5倍」のように3を超える数値、あるいは整数に限定すれば、たとえば「4倍」とか「5倍」とかになっている必要があります。
== KPI ==
Key Performance Indicator という経営的な指標があり、『レベルデザイン徹底指南書』P140 および 『ゲームプランとデザインの教科書』P70 によると、共通しているのは後述の内容です。なお、『ゲームプランとデザインの教科書』P67 によると、オンラインゲームの運営などで使われる用語ですが、別にゲーム業界限定の用語ではありません。
;DAU(Daily Active User)
:デイリー・アクティブ・ユーザー
DAUとは、その日に遊んでくれたユーザーの人数です。
;MAU(Mathly Active User)
:マンスリー・アクティブ・ユーザー
MAUとは、その月に遊んでくれたユーザーの人数です。
;WAU(Weekly Active User)
:ウィークリー・アクティブ・ユーザー
WAUとは、その週に遊んでくれたユーザーの人数です。
;PU(Paying User)
:ペイング・ユーザー
課金ユーザーの人数のことです。その日を課金ユーザー人数をDPU、その月の課金ユーザー人数をMPUと言います<ref>『レベルデザイン徹底指南書』、P140</ref>。
;課金率
たとえば、ある月のユーザ数のうちの課金ユーザーの割合など、
一定期間中の課金ユーザーの割合を言ったりしますす<ref>『レベルデザイン徹底指南書』、P140</ref>。
あるいは、全ユーザーのうちの課金ユーザーのことだったりしますす<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P70</ref>。(書籍によって、内容が微妙に違う)
;継続率
前月と比べて今月はどんだけユーザーが残っているかとか、あるいは前週と比べて今週はどんだけユーザーが残っているかのことを、
継続率といいます。
(以上)
このほかにも、色々な指標があります。
== 参考文献・脚注など ==
4olubql4jqplrhyc2pcmag5c6va84yl
207260
207256
2022-08-25T20:18:08Z
Honooo
14373
/* KPI */ 再編集一応の終了。ただいつものように今後少し、出典の整理を考えます。
wikitext
text/x-wiki
{{substub}}
現在の版の著者達は、ゲーム戦闘の調整の経験はないので、現状では本ページの内容は調べ物としては役立ちません。経験があり、かつ人間性も良好な人の協力をお待ちしています。
==本ページの目的==
本科目『ゲームプログラミング』は、科目名に「プログラミング」とあるとおり、ゲームクリエイターのための教材ではなくプログラマーのための教材です。
従って、話題がプログラミング的な技術的な話題に片寄っています。一般のゲームクリエイターを目指す人には、本書のバランス調整の記述は到底、役立ちません。
プログラマーが、とりあえず何か趣味でゲームを作る際、バランス調整についての調べ物の手間を少なくするためだけの目的の教科書です。
……と、前編集者Suj. は書いたんだけど、その割にはこの人物の私欲を満たすためだけの駄文が結構くどくど書かれてる気がするんだけど…
気のせいか?まあまだちゃんと読んでないしね、熱でもあるのカナ? コロナか^^?
==バランス調整==
ゲームには難易度というものがあるが、そのゲームの面白さのため、あるいは商品としての購買力アップのため、調整し、最適値を見出す必要があるだろう。敵の強さや主人公の強さ、それらを調整し、最適値を見出すための調査、テストプレイなどが必要だ。
より普遍的に、バグ修正、操作性の改善、仕様実装の更新、そして今書いたバランス調整、ゲームを面白く、評価を高めるための様々な改善を、一般にチューニングと呼んでいる。
英語では、難易度の調整のことを「レベルデザイン」と言う。このレベルとは、高低差の意味で、欧米での昔の3Dゲームにおける、マップの高低差を意図しているらしい。このレベルを調整するツールをレベルエディタというが、このマップの高低差の調整で難易度が変わるので、しだいにレベルデザインが難易度の調整の意味になっていったという<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.57</ref>。
難易度デザイン、という言葉も使われている<ref>川上大典 ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日 第1版 第1刷、P.58</ref>。
そして、難易度の調整にはマップの処理もあるので、3Dゲームのレベルデザイン担当者は、MAYAなどの3Dグラフィックツールの技能を持っているスタッフが多いという<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P234</ref>。
===詰み、を避けたい===
製品として販売するゲーム、そしてそうでなくとも、プレイヤーがセーブした時点でクリア不能な状況、仕様になっている、つまり、プログラムの流れとして事実上そうなっている、これを「詰み」、と呼んでいますが、それは避ける必要がある。
これはプログラムの構造の問題ですが、ゲームは進行の仕様自体かなりの複雑さを持っていますから、制作者が気付かないうちにプレイヤーがそこに追い込まれる可能性があり、これは娯楽であるゲームとしては避けたい事態です<ref name="twogc78">蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日初版第1刷発行、P78</ref>。
まず、ゲーム全体のバランスとして、平均的なプレイヤーなら、妥当な労力でクリアできる調整も必要でしょう。
ゲームプレイで詰みに追い込まれるのは、プログラムの構造の悪さでもありますが、それを見つけ出すためには、具体的にテストプレイにおいて、少なくとも誰か一人のテストプレイヤーが、そのゲーム内で想定できるクリア困難な状況から、実際に挽回してクリアしたという、事実、実績が必要です。
つまりコンピュータープログラムで常にセキュリティの問題が発生するのと同様に、ゲームプログラムでは構造が複雑になりすぎて、詰みがプログラマーの想定を超えて発生する可能性があるので、実際のプレイで、実際のプレイヤーの現実の巻き返しで確認して調整したい、という事ですね<ref name="twogc78" />。
そして一方難易度調整として、平均的プレイヤーが平均的な労力でクリアできるようにしておきたい。
ちなみに現編集者の昔のゲームプレイ経験ですが、初代ファミコン版のファイナルファンタジーですね、番号は幾つだったか……市販の攻略本を読みながらプレイしていたのですが、あるところまでいった時点で、攻略本を読んでも、どう考えても先に進めない状況に陥り、まあ私のプレイヤーとしての技量にも問題あったのかもしれませんが、結局にっちもさっちもいかなくなって、プレイを放棄してクリアしないまま積みゲーになってしまったことがあります。もちろんそれでそのゲームの仕様が悪かったと主張するつもりはありませんが、プレイヤーの私としてはその時点で完全に詰んでしまったわけです。
===実はゲームプレイヤーだけではなく、あらゆる人間が面倒くさい、俺も、あんたもね^^===
……しかしあんまり面倒くさがると、結局最後には偉い人に怒られてしまうのがこの社会の常です^^;;;。
一般にゲームプレイヤーがプレイ中に面倒くさがることは、覚えること、計算すること、配ること、だと言われています<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』,P342</ref>。
ゲーム中に、Wolfram|Alpha が使えるような仕様にすると、案外よかったりしてね^^
===ゲーム制作者はいろいろ考えて作っているだろうけど、プレイヤーだってそれに負けずに考えてプレイしている===
プレーヤーも制作者も、時代の流れとともに、色々な変遷はありますよね。
時々指摘されるようですが、昔よりの最近の方が、ゲームの難しさに関する感受性が大きくて、割と簡単にこのゲームは難しいと指摘されることが多い、と、言われている。
たとえば携帯ゲームにおいて、平均的なゲームプレイヤーがクリアまでに5回ゲームオーバーになるように調整されたゲームは、今では「難しい」ゲームと判断される<ref>『ゲームプランナーの新しい教科書』、P210</ref>。つまり昔のプレイヤーの方が我慢強かったってこと??
一方平均的なプレイヤーならゲームオーバーにならない難易度のゲームは、やさしいゲームと呼ばれることが多い。
だからもはやゲームの難しい易しいという言葉さえ、相対的で、結構人によって判断が違う。
2011~2013年頃のテレビ番組で、ゲーム業界を取材した番組、夜中の番組で、こういうものがあったという。
「昔の子供は、難しいゲームをプレイしたとき、「このゲームは難しい」と答えていたが、今の子供は「このゲームはつまらない」 と答える」
しかし実はテレビというのはこの社会で一番いい加減なメディアで、常に制作者に都合のいい印象操作、不当なイメージ操作が行われている。
つまり昔の子供より今の子供の方が愚かだというイメージを作りたいだけで、インチキな企業のためのいんちきな広告としての意味以外何も持たないだろう。
===商業だろうとそうでなかろうとゲーム制作はプレイヤーの事を考える、難易度はどうする?===
『ナナのリテラシー』という漫画、作者はゲーム好きで、ゲーム雑誌でも描いていたことがあるようです。ビジネス系しかもノウハウ系かな?2巻がゲーム会社回。
ゲーム会社の隅の老人経営者曰く(この漫画内の話ですよ)、「誰もが飛び越せる絶妙な難易度の壁をクリアさせる」、これがゲーム作りのコツじゃ^^!!!
この漫画、前編集者が書くにはかなり、そこそこ取材されているという。
「PS」(プレステ)のロードは、「1回のロードで2WMが限界。どんなマップも2メガに入れなくちゃいけない。会話も音楽も全部ね。」なんて描写があるらしい。
この老人の主張は作品自体の主張でも作者の主張でもないというが、しかし前編集者は重要な事だと考えているようだ。
しかし誰もが飛び越せる絶妙な壁をクリアさせて、消費者に快楽を与えて、ガッポガッポも儲けるにしても、人間には個性があり、性格や性質にもばらつきがある。
全ての人に等しく、偉そうに試練を与えて、それを乗り越えたから気持ちいい、と自己満足に等しく浸らせることは難しい。
だから、インチキにガッポがっぽ儲けるためには(←しつこい^^;;;)、ターゲット層をある程度はしぼりこむ必要がある<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P.97 </ref>。
「遊んだプレイヤー全員が満足するものを、目指さない」との記述がある書籍もある<ref>塩川洋介『ゲームデザイン プロフェッショナル』、技術評論社、2020年10月3日 第1刷発行、P.173</ref>。ただこれはテストプレイヤーの意見を重視しすぎて振り回されないように、という意図がある記述だという。
ターゲット層を絞りこむには、実在の人物をイメージするのが良いと言う。「20代社会人男性が」、ではなく、自分の知人・友人・家族、あの人を面白がらせたい!!、と、いうのがいいようだ<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P205</ref>。
{{コラム|カラケオは気持ちよく歌いたい^^|
80年代~90年代にカラオケが流行した。と、いっても今でも、盛んだけどね。俺も好き^^
カラオケの難易度は、利用者が楽しめるように易しめに作られているようですね。というか前の項目で書いた、絶妙な難易度らしいよ。そこそこ難しく、それを乗り越えると俺は偉いと自己満足にふけれるらしい。岡田斗司夫が90年代後半にその指摘をしていたというが、しかし本当に前編集者は岡田斗司夫が好きなのね^^;;;。
小室哲哉の曲が典型的にそれだという人もいるらしい。そういえば、NHKアニメーション「だぁ!だぁ!だぁ!」のエンディングは凄く良かったな^^。いや、もちろんこれは只の雑談ですが^^;;;。
エヴァンゲリオンの残酷な天使のテーゼは、監督やスポンサーのレコード会社プロデューサーが、子供でも歌いやすいように作曲してくれと作曲家に依頼している。
確かに凝った楽曲の割に、カラオケで歌いやすい^^
}}
{{コラム|作者の意図通りに視聴者が受け取るとは限らない。作者の意図とは全く別に受け手は作品を楽しむ。それが嫌ならそもそも創作するなよ。|
商業作品であるなら、最終的には売上によって作品の是非が決まる、なんて前編集者は書いてるけど、インチキ書くなよ、あくまでも金は商売としての是非、作品としての価値、意義は別の話だよ。
しかしこいつほんとにアフリマンなのね。金と物質以外何も見えないのか。
ゲームの話題としては、味の善し悪しはプレイヤーが決める、という言葉があるようですね<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.167</ref>。ターゲット層が、美味い^^!!、と、いう作品を作りたい。
ジブリアニメの『となりのトトロ』は、子供たちにアニメばかり見ずに外で遊ぶように啓蒙するようなストーリーを作者・監督の宮崎駿は目指したと言われています。
ところでこれ↑前編集者の文章だけど、完全なる虚偽だよ、いいかがんにしろ。あのねー、宮崎さんという人は確かに少し偏屈な大人だから、その手の事は時々言うけど、映画を作る時は基本的に、見た人に楽しんでほしい、夢のような時間を過ごしてほしい、そしてこの社会に生まれてよかったと、子供も大人も思ってほしい、そういう思いで、常にそれが第一テーマで漫画映画を作ってるの。
すじ肉先輩さー、あんた俺や他の編集者を何度も知ったかぶりって書いたけど、結局あんたが人類史上、唯一最大の知ったかぶりだね。そもそもあんた、トトロ、観てないんじゃないの?
ほんとにあんたってなにも見えてないのね。「うちの子は、よく宮崎先生のアニメを見ています。面白いアニメを作ってくださり有難うございます」なんて感想は全く問題ないだろ。宮崎氏だってありがたく受け取ってるよ。それに対してアニメばかり観ずに外で遊べ!!なんて言うのはお前とお前の同類のキチガイだけだ。
あとガンダムやエヴァンゲリオンでも似たような逸話があるとのことだが、こっちはどうでもいい。そもそもこれを作っている連中は、宮崎氏ほど切迫した気持ちで作っているわけではなく、ただ金が欲しくて自分が偉いと思いたいだけだから、作った方がどう思おうが、そいつらに金を与えて養ってる連中がどう思おうが、大したことじゃあないだろ?
}}
===チュートリアル===
ゲームをプレイするための、操作方法をプレイヤーが知って覚えるための入門的なイベントをチュートリアルというようですね。実は現編集者はあまり、特に最近はほとんどコンピューターゲームはしないので、ここの執筆をしつつもゲームについてはあまり知らない。
ただここの主要執筆者で、ゲーム大好き、プログラム大好き、アニメ大好き、自分自身も一応絵描き、そしてハイルオタキングの E.Suj. かなりひどい内容の文章を大量に書き散らすので、このサイトの参加者として嫌々多少書き直しをせざるを得ない。
そこでチュートリアル、これはふつうゲーム自体に組み込まれ、初盤がそれになりますが、これは別モードにすると良いという指摘がある<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P401</ref>。
『不思議のダンジョン2 風来のシレン』が、このスタイルを採用している。
とはいえプレイヤーが必ずチュートリアルをプレイしなければ、ゲームを楽しめない構成なら、あまり大きな意味があるとも思えないが、しかしそうでない場合も多いだろう。
ゲーム構成の選択手として考えてもいいだろう。
===技能の習得としてのゲーム===
====ゲームをプレイしていることで、プレイヤーは何を知って、何を身につけているか?====
まあゲームをしていることで、プレイヤーは何らかの行為、練習を繰り返して、技能様の物を身につけていく、と、考えても、いい? まあいいか、とりあえずはそう見なしましょう。
ですからそこでプレイヤーが身に着ける技能を想定しておくと、上手にバランス調整が出来るという。
すじにく大先生が愛読している文献では、「教育的難易度」という用語を使っています<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー入門講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日 初版第1刷発行、225ページ</ref>。まあゲーム関係者で教育について分かってる奴なんて、ほとんどいないだろうけど…
ここでの教育難易度とは、むしろ大先生の意図とは逆で、ある敵を攻略するのにプレイヤーがなんらかの操作が必要な時、まず1個だけのその敵の撃破用の操作技能だけをプレイヤーが修得できれば攻略できるようにしろと、つまり、プレイヤーが技能を覚えやすいように、難易度を下げろという事でしょう。
前編集者は本質的キチガイなので、とにかく世の中で自分が偉いことが何より大事なので「教育」という言葉を使いたい。一方で割と似たようなことを語る時に、学習という言葉を使っている文献もある<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P.61 </ref>。要するにこの本の筆者の方が、E.Suj. よりまともな人間だという事でしょう。
ただ、プレイヤーの技能の習得という視点は、バランス調整の時に一番重要になるという。確かにゲームは技能や知恵、解決のための何らかの手段、鍛錬も必要だが、一方では間違いなく娯楽で、面白いものであるはずだ。
そしてゲームをすることで、自分の思考力が磨かれて、成長したという感慨を持つプレイヤーも多いようで<ref>https://www.teu.ac.jp/ap_page/koukai/2019_03_3endo.pdf 66ページ</ref>、全くその気持ちを否定する意図はないが、でもねー、ゲームっていうのは結局遊びなんだよ?
ゲーミフィケーションなんて言葉を使っていい気になっている連中もいるようだけど、まあその概念や運動がまったく意味を持たないとは言わないが、でもやっぱりゲームは娯楽であり遊びであり、ある程度堕落した、ある程度常識的な硬い世界からは非難される要素があるもので、あまり理屈を並べて自分たちの世界が高級なものだと主張しない方がいいんじゃあない?
{{コラム|ゲーミフィケーション|
どうもゲーム業界の連中が、自分たちの仕事を美化して、正当化したいため、ゲーミフィケーションがどうの、なんて言いだしたようだよ<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/190731a</ref>。
2019年にゲーミフィケーション学会設立。もっともこの運動や概念がまったく意味がないものだとは、現編集者も言わない。確かにゲーム的な行為を、もう少し遊びから離れて、現実の有用な出来事に結び付けようというのは、それほど間違っていないし、意義はある。
2013年ごろからすでに、企業の新人研修で、ゲームの要素を取り入れた研修などがされていたようだ。
岸本好弘(ファミスタの父、と呼ばれているらしい)の言では、「ゲームの本質っていうのは、人間が頭で想像することの素晴らしさ」<ref>https://www.fantasy.co.jp/edutainment/article/interview16</ref>ってことらしいけど、なんか軽い言葉だね。想像には意義があるが、それってほんとに頭でするもの?
40年前(※1980頃?)、
:「そのころアーケードゲームのデザインで言われていたのは、初めてそのゲームに挑戦したプレイヤーでも3分間程度は遊べるようにすること。「もう一度チャレンジしたら、先に進めそうだ!」と、プレイヤーの気持ちが動くように制作すること」
ってことだけど、そうすれば子供が100円玉いっぱい入れて、お前らが儲かるってだけだろ?
:「これって、現在IT業界で言われるUX、ユーザーエクスペリエンスですよね。ゲーム業界では理論化、言語化していなかったけれど、40年前から現代に通じることをやっていたんだなと思いました。」
何かそれらしい言葉だけ踊ってかっこつけてるようにしか聞こえん^^;;;。
:「ゲームって全部「そそのかし」なんです。ゲームをプレイしていて、Aの洞窟に行きなさいとか、Bの洞窟には行くなとは言われないですよね。プレイヤーが2つの洞窟をぱっと見たときに「こっちの洞窟に宝があるかも!」って見えるように作っているんです。これを「そそのかし」って言うんです。」
まあそれはそれでいいけど、それってそんなに大したことかね?
: (抜粋)「先生は答えを教えるのではなく、生徒が自分で「わかった!」、「僕が一人で気が付いた!」と思わせることが大切。」
思わせるっていうのがすごいし、傲慢だよな。お前は神か?
: 「ゲームをデザインするのも授業をデザインするのも同じです。楽しいと思うことやワクワクすることは脳の働きを最大限にする。だから、つらいことを我慢するのはよくない。脳が楽しいと感じることがとても大切なんです。」
お前みたいな奴って、すぐ脳がどうのって言うよな。まあ楽しいことやワクワクするのが大事なのは認めるが、人生つらいことを我慢しなければいけない時なんてしょっちゅうだよ。後ゲームと授業は別物にしろ、一緒にするな。
しかし思うんだけど、ゲーム業界の奴らって、自分たちの仕事に少しやましさがあるから、教育と結び付けて、高級なものに仕立て上げたいんじゃあないの?
まあゲーム的な教育っていうのはありだが、やはりゲームの本質は遊びで娯楽で、しかも堕落だよ。
}}
{{コラム|すじ肉しちゅ~は今日も右手を上げて、「ハイル、オタキング!!!」と言った。|
1990年代後半に、オタキング岡田斗司夫は、著書『世紀の大怪獣!!オカダ―岡田斗司夫のお蔵出し 』(おそらく)で、マリオカートを例に、市販のゲームソフトの多くは達成感を味合わせるものだと指摘した。
岡田に言わせれば、ゲーム文化以前の人生の趣味の多くは、必ずしも努力の量と、上達とが比例しない。スポーツ、絵画、しかしこれほんと?もちろん厳密に量を考えて、グダグダ気色悪い比較をすれば、そう見えることはあるけど、少なくとも人間、何かをすれば必ず、それなりに得るものがあるはずなんだけどね。
しかしファミコン以降のコンピュータ式のゲームでは努力は無駄にならず、ほぼ必ずといっていいくらい、少なくとも初心者レベルの範囲でなら、プレイして練習すれば上達するように設計されていると、岡田の著書では述べられている。
ふーん、要するにゲームプレイヤーって、ゲーム制作者が作った達成感が欲しいから、金払うってわけね。
岡田が言うには、人生はゲームみたいに甘くないし、もしかしたらゲームは現実逃避で不健全かもしれないけど、でも大人だって親だって達成感をもっと感じたいんだぜ・・・だから今日も娘といっしょにマリオカートをプレイしている、と書いてたって言うけど、そもそも現実逃避や不健全から達成感って手に入る?
なんか頭のおかしい奴はやたら達成感って言うんだけど、それってほんとに欲しい?
いや、もちろんある程度は欲しいけど、でもそんな重要な事かね? もっと人生で必要なもの、いっぱいないかね?
}}
{{コラム|ガイナックスとはオタキング岡田斗司夫が創業した、アニメーションとコンピューターゲームの制作会社である。|
ガイナックスは、コンピューターゲームも作っていたね。確か、美少女18禁ソフトもあったよね。
1991年、『プリンセスメーカー』、育成シミュレーションゲーム。確かに赤井孝美さんのグラフィックは魅力的だった。
少女を光源氏的に育成するゲームだったか、キャラクター育成ゲームのはしりだね<ref>STUDIO SHIN『ゲームプランナーの新しい教科書』、翔泳社、2018年3月10日 初版 第2刷 発行、P182</ref>。
98年にはコナミ社『ときめきメモリアル』というのが出た。ただこれは育成というよりは、美少女との恋愛疑似体験ゲームみたいな、まあ俺はやったことないから詳細は知らないけど、まあ美少女と上手に付き合えるように、男性キャラクターを育成する要素はあったのかね。
「プリンセスメーカー」→「同級生」→「ときメモ」の流れがあるって、ある評論家は言う。
良くわからないけど、岡田斗司夫はゲーム制作会社の社長でもあるんだから、前のコラムの達成感がどうののたわごとに意義を認めろって、すじ肉は書くんだけど、なんなのこいつ。
岡田斗司夫の肩書に関する議論って意味ある?
別にアニメ評論家でも、会社社長でも、なんでも勝手に名乗って威張っていればいいけど、でもやっぱり岡田斗司夫の肩書は、オタキングだよね。
}}
{{コラム|プリンセスメーカーdeathpenalty|
少女育成ゲーム・プリンセスメーカーは全滅時の損失が軽いのが、割と画期的だったようです。戦闘で全滅すると、拠点に戻されたうえ、1か月経過する。
全滅時の損失のことを和製英語でデス ペナルティといいます。英語では dead damage と云うらしい(DDと略すようです)。英語の death penalty は「死刑」の意味だって。
つまりどうやら、デスペナルティが軽くても、面白いはRPG は作れるらしい。
;デスルーラ
全滅しても拠点に戻るだけのシステムだと、拠点に戻りたい場合にわざと全滅する方法を使える。これを和製英語で「デスルーラ」と言う。ルーラとはドラクエの移動魔法ルーラのこと。
全滅したときに拠点に戻るゲームでは、拠点に戻れなくするイベントは不可能。
全滅したら拠点に戻れるからね。ただ、戦いが起こらなければどうかな?
どちらにしろこの議論、意味ある?
ただ例外的に全滅したとき拠点以外に戻る、っていう事は仕様で作れるよね。
}}
{{コラム|Roblox,Among_Us|
現編集者は現在は基本的に、コンピューターゲームはしない生活、でもほんのちょっと前、思うところあって、MicrosoftStore,Xbox 経由で、すこしゲームをしていた時期があった。
そしてMicrosoftStore はなんだかんだでゲームを売り込んでくるよね。
その時思ったんだけど、Roblox って面白そうだよねー。プレイはしていないんだけど、広告や表示を見ると、これ絶対面白いなって直感的に思う。
だからこのゲームのユーザーやプレイヤー、あるいは関係者にこのページの執筆してほしいな^^
後、Among_Us っていうのも面白そう。何か皮肉がすごく効いてそうだね。
}}
{{コラム|デスペナルティ関連|
このコラム、前編集者が、(この話題は、後述の商学書『メイド・イン・ジャパンは負けるのか』の話題と関連するので、残す必要がある。)ってメモを張っていたんだけど、読んでみたんだけど、現編集者Hにはちょっと話が見えなくてね。おそらくRPG をやりこんでいる人は内容が良くわかるんだろうけど、現編集者にとってはかなりの部分が???????だね。だからできるだけまとめる一方で、詳細不明の部分は前編集者の記述をそのまま残しました。
;帰り道を通せんぼするイベントは、詰みのリスクが高くなる。
サガシリーズはどこでもセーブできるが、この場合、帰り道を通せんぼするイベントは、上手に設計しないとクリア不能になる恐れがある。
ファミコン~スーファミ時代のドラクエとファイナルファンタジー、GB版サガとロマサガには帰り道を通せんぼするイベントは無いように見える。
ロマサガ1の氷結城の帰り道で通せんぼするボス敵がいる。しかし会話選択肢で戦闘を回避すると、詰みを避けられる。
古い時代のサガ系とロマサガでは、ダンジョン奥まで探検すると、最深部に一方通行のダンジョン出口がある。これは帰り道短縮の意味と、テンポ感向上(プレイヤーが既に理解していることを再度要求しないから)の効果がある。
しかしこの場合、もしダンジョンに一方通行出口がない場合、プレイヤーは帰り道にボス戦があると予測する。これはネタバレになってよくない。ドラクエは、最後の一方通行出口をあまり用意しないが、この狙いがあるのだろう。
このようにゲームのルール設定が、可能なイベントやマップを限定する。
}}
さて、ゲームのシリーズ物は、ルールが一様になる傾向がある。
だから、シリーズ作品によって搭載されるイベントの傾向も決まってくる。
イベントの傾向が限定されると、マンネリ化につながる恐れもある。
『メイド・イン・ジャパンは負けるのか』という2010年ごろの書籍でも、
シリーズ化とマンネリ化との相互関係が語られていて、基本的に家庭用ゲーム機の作品群の多くはゲーム性の根幹が90年代以降の作品は変わっておらず、変わったのはグラフィックが細かくなっただけ、と書かれている。
しかしゲーム会社からすれば、新規の斬新な発想のゲームはむしろ売れないと見られている。
グラフィック重視は、商業ゲームでは非常に重要と考えられているらしい。
そしてゲーム評論家は偉そうな批判はするが、自分では結局ゲームを作らない。
1980年代は、家庭用ゲーム黎明期。1995年ごろ、プレステ1時代からソフト容量が飛躍的に伸びた。
昔はゲームに勢いがあったが、今となっては、新しくて画期的かつリアリティと説得力のあるルールを思いつくこと自体、そんな簡単な事ではない。
漫画産業やアニメーション産業は黎明期をとっくに過ぎたようだが、結局今でもこの産業は続いている。そもそも、ラジオ、新聞、書籍、オールドメディアと呼んでいい産業も、今、しっかり続いている。2010年代のゲーム産業だって、もしかしたらスマホゲーム黎明期、ソーシャルゲーム黎明期なのかもしれない。
{{コラム|オタキングアノマリー論|
オタキングによるアノマリー(片寄り)論(『東大オタク学講座』に記述あり)によると、ゲームのバランス調整は結局普遍性は持たず、作家の世界観が反映されるものになる、という。
都市運営シミュレーション『シムシティ』、アメリカ製のゲームですが、ここでは火力発電所よりも原子力発電所の方が効果的な投資になっている。これは現実の経済情勢を正しく反映しているか?
これは現実の経済分析の話だが、現編集者はYESだと思っている。巨大なお金が動いているからこそ、いまだにこの国は原発をやめられない。
そして岡田はこの設定をアメリカ的な都市政策観の反映だとしている。しかし岡田はこのゲームの感覚を片寄りだと思っているのか?
そのほか、岡田は、ドラクエシリーズに対して、「なぜ作者の堀井さんは、作中で父親と子の関係に、どの作品でも、こだわりたがるんだろう? なにかあったんじゃねえの?」的なゲスい勘繰りもしています。
↑ちなみに上の段落は前編集者、E.Suj.の記述をそのまま残したものだが、まあね、オタキングがゲスい人間なのは、オタク全員が知っているからね^^;;;。
ここで書いたシムシティに関する議論と堀井氏に関する議論はどうも別の話のように見える。
つまり前編集者の議論は当初から混乱しているのだが、結局E.Suj. は作家の個性とは異常性の裏返しだと言いたいらしい。つまり個性とは長所ではなく、欠点の別形態だと。
では現編集者はこのE.Suj. に質問したいが、結局人間、個性持っていたほうがいいの?持っていない方がいいの?
大人は欠点すらうまく自分で活用しなければいけない、なんて書いてるけど、そんなこと上手く出来ている大人なんて、この地球上に一人もいないよ。
}}
====本文====
さて、上述までの再編集により、前編集者E.Suj, の邪念から生まれた、ゲーム-教育-成長のインチキ理論は完全に否定できたと思う。
結局前編集者もゲームにおける教育論は疑似的なものだと記述してるが、そんなら最初っからそんなこと書くな。
地獄のような長時間の再編集を終え、やっと話を本題のバランス調整にもどせることになった。
まずアクションゲームの調整。
敵が飛び道具で来るならどうする?
もちろん事実上はほぼ無限の対応策があるが、例えば、物陰に隠れながら移動して近づく、あるいはこちらも飛び道具で応戦とか、幾つか具体策は見えるでしょう。
(しかしよく考えたら、この行動って、E.Suj.のこのサイトでの行動とそっくりだよね^^;;;。)
基本的にゲームバランス調整では、例えば、物陰に隠れて攻撃を避けるなどの具体的技法、そして事実上それはそのゲームでの有効策なのですが、プレイヤーがこの対応策を覚えるように導く、そしてそれを可能なものにするため難易度を下げる、これが必要だと言います<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー入門講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、226ページ</ref>。
一つの方針としては、必要だと思われる技能をプレイヤーが行っていると判断したら、しかも一度には基本的に一つ、その敵を簡単に倒せるようなプログラムにする。
とにかく特定の方向にプレーヤーを導く意図を持つ、つまり導きたい方向にプレイヤーが行為すれば、難易度が下がる。だから、飛び道具を避ける物陰には、罠も無ければ敵もいない<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、226ページ</ref>。
あれっ、今気づいたんだけど、新約聖書には、狭き門から入れ、って言葉があったよね…。
基本的には前編集をわかり易く書き直してるだけなんだけど…
とにかくこの場合、推奨されるパラメーター設定は、目的の敵を妥当な経過で主人公が攻撃したら、敵はすぐ倒せるようにしておけって書いてるんだけど、これって広き門じゃあない?
とにかくこの前編集は、あらゆるプログラムを駆使して、プレイヤーが特定の行動をするよう導けって書いてある…。
まあしかしまとめ編集を続けるかね…
大抵のゲームは先に進むと難易度が上がっていくようだが、いや、これ自体事実かどうか怪しいが、仮にそうするとした場合、その難易度の上がった敵のギミックや行動は、制作者が導く行動を複数、と言ってもごく少数の複合だろうが、プレイヤーがなしたら、敵を倒せるようにしたら良いという。複合技をプレイヤーが繰り出すことで、成長した感や、興奮を、ユーザーは感じるだろう<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日 初版 第1刷発行、228ページ</ref>。
前編集者は、ゲームの後半難易度を上げるのは、プレイヤーに創意工夫を呼び起こすためと書いている。
確かに難易度が上がれば、創意工夫して解決を目指すのはゲームだけではない。しかし現編集者が問題を感じるのは、常にプログラムの手妻を駆使して、特定行動にユーザを導けと主張している点だ。
これは実はアメリカの過去の宇宙開発で宇宙に送る実験動物を調教、教育した方法と全く同じだ。
とにかくゲーム制作者の中に、このような馬鹿げた教育論を持っている愚か者はそこそこいそうだが。
このインチキな前編集者の愛読書には、ボス戦などの難しいイベントの目的は、プレイヤーが自分自身の技量を試す、自分がこのゲームにおける熟練プレイヤーか試す、そこにあるという。歯ごたえのある敵と戦って、自分がこのゲームにはまっているかどうか知る事が出来る、そういうことだろう<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P60</ref>。
;やはり何事も制限はあるか?
例えば主人公が不死身なら、まあゲームになりませんよね。何らかの弱いところは必ずあるでしょう。
所持金が無限とか、無いですよね。お前はドラえもんのポケットか?^^;;;
敵もそこそこ強いよね、あんまり弱いのはちょっと。
(たとえばアクションゲームで一時停止ボタン(ポーズボタン)を押さずにトイレに行ってウンコを数分してきても、ウンコから戻ってきてもキャラが負けてないのは明らかに駄目)。
↑ちなみにこれは前編集者の記述だけど、ん~、まあ、残しておくか^^;;;。
だから前編集者としては、プレイヤーに創意工夫を求める。まあもっともプレイヤーが創意工夫しないゲームなんて、この世にないけど。
だからゲームオーバーはやっぱり必要だということか<ref>川上大典 ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.254</ref>。
だから前編集者はゲームには敗北とそれを回避するための努力が必要だと主張する。
まあでもこのサイトの別の場所でも書いたけど、E.Suj.は努力なんて全くしてないけどね。ただ毎日欲望のまま手を動かしてるだけ。
;真実は一つ^^!!!本当?とりあえず解法は複数^^!!!!
スーパーマリオのステージ1-1の最初のクリボーをどうする? (解1)踏んずけてやる^^!!!(解2)そのクリボーを飛び越えてこっちに来い!!!^^(解3)ブロックに乗って、絶景哉^^。
====ゲームと漫画、アニメーション====
非常におおざっぱに語ると、漫画やアニメーションは完成して世に出た時点で、その版では、定められた運命が記述されている、ヤーンの書のようなものでしょう。
ゲームはインタラクティブだから、運命は決まっていないし、あいまいで、事実上選択肢がある世界。
そしてゲーム=戦闘ではないが、戦闘を描いたゲーム、漫画、アニメーション、
というのは明らかにある、そしてその話なんですが…
1982年『鳥山明のヘタッピマンガ研究所』という書籍では、マンガやアニメや特撮(ウルトラマン)などの敵の強さは、主人公がなんとか苦戦しながら倒せるギリギリの強さだと指摘されている。ただしこの出典関係の記述にはWiki著書の記憶違いがあるかもしれない。
しかしゲームでの敵は、もうちょっと弱めにしておくといいらしい。
まあそりゃあそうだよね。毎回毎回ギリギリの敵と戦うなら、ゲームなんて誰もしなくなるよ。これに関して前編集者はプレイヤーの創意工夫がどうのなんて書いてるけど、完全なる欺瞞だろう。
具体作品を上げると、ゲーム『激神フリーザ』。要するにドラゴンボール原作のゲームですね。クリリンでもちょっと鍛えて頑張ればザーボン(ナメック星編の中ボス敵)を倒せるようになっている(原作マンガだとクリリンはザーボンを倒せない)。
漫画やアニメーションでは、一回の戦闘での強敵の倒しかたが一通りしかなく、いちばん読者に魅力的に見える奇想天外・破天荒な倒しかたで、敵を倒します。なのでここでは、ギリギリ倒せる強さのほうが良い。
しかしゲームの強敵では、多くのプレイヤーの、それぞれ異なる色々なアイデアに対応した倒し方を何通りも準備する必要があるので、ゲームでの強敵の強さは、ギリギリ倒せる状態よりも少し弱めにする必要がある。しかしやはりそれ以前に、あまり敵が強すぎたら、プレイヤーがしんどすぎるだろ、単に難易度が高いゲームになっちゃうよ。
==== 「廃人」 ====
基本的にコンピューターゲーム界隈は、いちびった下品な人間が多いので、そこで飛び交う言葉も汚い言葉が多い。
例えば、廃人、なんてよく言うらしいよ。つまりいろいろな理由で暇な人間、まあ、E,Suj. もそうだけど、普通に忙しい人間より、ネットゲームとかでは有利だよね。そういう人間を貶めたくて言うんだね。
後色々な理由でゲームに過度にお金を費やせる人に悪口言いたい時とかね。
まあはっきり言って、E.Suj. も間違いなくこの廃人の一人だけど、彼の愛読書では、「廃課金ユーザー」という記述にしているらしい<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P66</ref>。「廃Wikiユーザー」とか?
だけど世の中色々でね。人にはそれぞれ事情がある。望まなくても廃人になってしまう人はいっぱいいるよ。
===ゲーム作者が自作をプレイしたら、やはり他者プレイヤーよりそのゲームは簡単だと見なすだろう。===
あらゆる分野で作者は自作は面白いし、難易度やネガティブな要素は低いと見るだろう。作り手は妥当なバランスをどう見出したら良いだろうか?
====作者が客観的に自作を見る事さえ難しい、しかしいいバランスは見つけ出したい====
やはり常識的な判断としても、経験則としても、作者がやや簡単だと思うくらいがちょうどいい、という事だろう<ref>STUDIO SHIN 著『ゲームプランナーの新しい教科書』、翔泳社、2018年3月10日 初版第2刷発行、54ページ</ref>。
プレイヤーにとっては易しいほうの案Aと難しいほうの案Bとがあったら、ゲーム本編には、やさしいほうの案Aを採用するのが良い<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、P207および235ページ</ref>。
難しい方の案Bは、付加的なサブステージ(クリアには不要な)に流用するといいですかね<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日 初版第1刷発行、P207および235ページ</ref>。
RPGにおいてはクリアに絶対に必要なイベントと、エクストラのクリア条件ではないイベントがありますね。それぞれ「強制イベント」、「任意イベント」と、呼ぶこともあります<ref>STUDIO SHIN著『ゲームプランナーの新しい教科書』、P198</ref>。
サブステージや任意イベントの難易度は、割と自由に扱う事が出来そう。むしろ様々な難易度があった方が、多様なユーザーの要求に対応しているとも言えるし、しかしそもそもサブステージなどなくてもいいとも言えますが、あるとしたら、遊びは多くなりますよね<ref>吉沢秀雄『ゲームプランナー集中講座』SBクリエイティブ、2015年12月29日初版第1刷発行、P208</ref>。
そして基本的に作り手は「簡単」だと思っていても、初めてプレイするプレイヤーには難しい、それはよくあることですよね<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P56</ref>。
====レベル上げを楽しむ?====
一般的なゲームは、例えばRPGでは、ストーリーや戦術性の面白さが普遍的な主流の興味ですよね。作り手も、RPGというジャンルが今現在、どういう一般的な魅力があるか、それを考えて、それを重視して作る。
一方プレイヤーとしては、正道を外れたややマニアックな楽しみ方もある。RPGのレベル上げ(だけ)を楽しむ、なんて遊び方もできますよね。
つまりプレイヤーはプレイヤーで、本来の制作者が意図した別のところで楽しみを見出すこともある。ある意味コンピュータープログラムのインタラクティブな性質が、そういう遊び方を見出す余地を持っていると言える。
しかし制作者はやはり、RPGの持つ本道の面白さを目指してゲームを作るでしょう。
前編集者はこのことを、少年漫画を例に語っていますね。
漫画家スポコン漫画(そう?^^;;)「バクマン」では、こんなエピソードがあったようです。
「たとえ少女の読者がいても、その少女は、「男の子が読んでいるマンガを自分も読んでみたい」、と思うような女の子。少年ジャンプの取るべき編集姿勢としては、あくまで、男の子向けを貫かないといけない」
少年漫画誌は、ターゲットは、少年、割と年少の男の子ですからね。それ以外のファンがいても、その読者層におもねる漫画は載せないでしょう。それはカテゴリ崩壊だよね。
しかし実は少年にもいろいろな個性を持つ子がいる。少女にも、大人にも、老人にもいろいろな個性がある。ターゲットがどうのと言ったところで、実は結構あいまいでいい加減な物なんだよね。
少年ジャンプは自らの分析として、売れる漫画の方向性として、「友情・努力・勝利」の3原則を提唱した。この3原則を外すことは今現在は許されてはいないのでしょう。
====No title.====
ある意味当然のことだが、ゲームの作者は、ほかのプレイヤーより、自身のゲームの難易度を低いと見るだろう。「作者バイアス」という言葉が使われることもある。
;雑誌「ゲーム批評」による指摘
1990年代に「ゲーム批評」という雑誌が、ゲームの内容を考えるときは、ゲーム制作に熟練していない人は、既存ゲームを難しくアレンジした提案をしがちだと指摘しています。
例えば、スーパーファミコン版のマリオ、こういうゲームを自分たちが作る時、どういうゲームにしようか?
マリオが空を飛んだ時、簡単にクリアできるけど、ここで空中に敵キャラクターを多く配置したらどうだろうか? そして『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』、、云々の記述が前編集にあったが、これはいつものこの前編集者の一般的な他者に対する愚弄目的の文章なので、再掲載する必要はないだろう。
そしてこのアイディアに対する、一般的な批判としては、マリオの地上ステージの空中に敵が少ないのは、ゲームが苦手なプレイヤーのための救済措置だったり、あるいは体験済みステージ前半を無視するための工夫、であるので、その部分を難しく、複雑にするのは不適切だと思われる、と、いうことになる。
ところでやや話題が脱線するが、過去少年マガジンに掲載されていた、漫画作品、[[w:1・2の三四郎]]にも、似たような話があった。
高校生の主人公、東 三四郎と、本当はレスリング部にしたい西上 馬之助と三四郎の友人南小路 虎吉の三人で柔道部の活動をしていたのだが、ある日三四郎が馬之助にこう言う。
「スタンハンセンのウエスタンラリアット(プロレスの技)の改良技を考えたのだが」
「ほう」
「ハンセンは、ラリアットを打撃技にしているが、ここで打撃しないで、首に引っかけるようにして倒して後頭部をマットに打ち付けるのはどうだろう?」
「あほ!!それはジャイアント馬場の、ランニング・ネックブリーカー・ドロップや。ハンセンはそれをもとにウエスタンラリアットを考えたの。なんでお前がわざわざそれをもとに戻してんのや」
ただ、今ではこのジャイアント馬場云々は俗説と言われているようですね。
少しマリオの話とは違うかもしれませんが、脱線の雑談として書いてみました^^
さて、今仮に、「ゲーム作者はネットの批評はあまり参考にしない。基本的にゲームを作ったことのない人の意見はあまり意味がないと考えている。」と、いう主張があったところで、あなたはこの意見をどう思いますか?
まず全くの素の状態でこの言及を聴いたところで、その通りだと思います?あるいはいや、違うと思います?。
そしてもし素の状態ではなく、仮に出典とやらがあった場合、出典と言ってもいろいろありますよね。ネットの言及の場合もあるし、あるいは何らかの偉そうな市販の書籍にそう書いてあるかもしれない。
この辺の出典とかの情報、事実で意見変わります?
だからあなたが素の状態でどう思おうと、偉そうな人の言及があったら、じゃあそれは正しいんだと思いますか?。
しかしまあこの言及の場合は、ゲーム作家とやらが、ああ、俺はそう思っていると言えば、一つの証言となりますよね。
しかしゲーム作家だって複数いる。しかもゲーム作家と呼んでいい人とは具体的にだれか?
ですから現編集者はこの議論は全く無意味だと考える。しかし実は前編集者もやりたいことは、ただただ商業の創作者を持ち上げて、ネット上や同人の創作者を貶めたいだけなんですよね。
とにかく前編集者は私欲を見たすために、この言及の出典とやらを探しましたが、辛うじて、「一次情報以外、個性には役立たない:インターネットやSNS:そうした情報は知識として役に立つことはありますが、ゲームデザイナーが個性を発揮するうえではあまり役に立ちません<ref>『ゲームデザイン プロフェショナル』、P314</ref>」という記述を見つけただけだったという。
{{コラム|マリオメーカー、他|
マリオメーカーは任天堂が2015に発売した、Wii U用の(3DS用も有)ゲームソフトウェアですね。マリオのゲームの素材を使って、自分でもアクションマリオゲームが作れる。
このソフトウェアでは、自作のマリオゲームを任天堂のWebサイトに投稿、公開する事が出来ます。しかし条件があって、一度そのゲームをクリアしないと、公開はできません。
そして一方、実は、マリオメーカーが発売される前、インターネット上には「改造マリオ」といって、マリオのROMを違法改造して、自作ステージをつくって無料公開する行為が行われていました。
実際には改造マリオのデータを、ゲームとして利用するのはなかなか手間がかかり、むしろそのプレイ映像を動画化し、それが動画サイトで人気になったようです。しかし改造マリオを作るという行為自体が、著作権の問題を持っていました。
そして多くの場合、そのステージの難易度は異常に高くなり、そしてその難易度の高いマリオを実際にクリアする動画が非常に人気を持ったようです。
さて、そこでこのことに関して、前編集者は例え話を始めたのですが、まず一つ目が、「犬が人をかんでもニュースにならないが、人が犬をかむとニュースになる」、だそうです。
つまり…改造マリオの方が人が犬を噛んでいる? すると任天堂本家のマリオメーカーが、犬が人を噛んでいるか?
辛うじてこの例え話の意味は分かるけど、もう一つの例え話がこれ↓なんだけど…
また、アンケート調査などの心理学的ノウハウとして、「あなたは○○を買いますか?」と「あなたは○○を好きですか?」と聞いたときでは、アンケート結果の傾向がかなり異なり、多くの人が、「○○を好きですか?」と質問されても決して実際に好きなものを答えるのではなく、世間から賞賛されそうな趣味趣向の場合にだけ回答で「はい、好きです」と答えるようであるという、分析結果があります。
これはさらによくわからん(?_?)?????
マリオメーカーは買うで、改造マリオは好き?
要するにいつものこの編集者の議論で、商業のマリオメーカーを褒め称えて、Web文化の改造マリオは貶めたいんだろうね。
まあ改造マリオは違法性があるから、別にそれはそれでいいけど…
}}
{{コラム|とにかく E.Suj. はWeb文化を貶めて、商業文化を誉めそやしたい|
確かにWeb上には無料コンテンツも多々あるが、商売人たちが仕掛けているのは、有料コンテンツのための撒き餌のようなものだ。一方で同人、アマチュア活動として、無料で作品を公開している人もたくさんいるし、これらのコンテンツまで貶めようと試みる E.Suj. は本当に性根の腐った嫌な人間だね。勿論違法性のある無料コンテンツもあるから、これらは当然非難されてしかるものだろう。
まずゲームに関しては、前編集者の報告では、実際にプレイすることなく、無料動画を見ただけとか、あるいはさらに悪い例はWeb上の言論だけをもとに、特定のゲームを批判する人物がいるようで、これは確かに良くないことだ。
漫画界でも、似たような問題があるようだ。マンガ『ラーメン発見伝』(小学館ビッグコミックスペリオール )では、作中のライバル役のラーメン屋経営者(いわゆる「ラーメンハゲ」)が、ネットの情報をもとにラーメンの実際の食べたときの味を無視してラーメン評論をするラーメンマニアに陰口で悪態をついています。確かに漫画だろうが、ラーメンだろうが、映画だろうが、小説だろうが、実物に触れないのにあれこれ言うのは、基本的には悪いことだろう。
とはいえ現編集者は、[[v:Topic:読まないのに書評]]なんてやっちゃったけどね。まあ気にすんなよ^^;;;。
そこで前編集者は、Webを徹底的に否定して、市販本だけに価値を置いているけど、それも極論じゃあない?
ゲームを実際にプレイしないで、各種情報で知った気になるのは確かに良くないこと<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.282</ref>だけど、我々だってすべてのゲームはプレイできないよ。
それに各種情報から、何となくいけ好かない存在って誰にでもあるものだし、まあ基本悪口はよくないけど、Webは新しい混沌メディアだからね。市販の書籍やゲームが圧倒的に価値高いわけではないね。
新聞の第一面によく載っている、有り得なく馬鹿馬鹿しい書籍の広告、あんなの絶対に買わないし、読まなくたって無条件で悪口言いたくなるよ。
とにかく E.Suj.はゲームに関して、メジャー作品、人気作をプレイせよ<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P280</ref>、なんて書くけど大きなお世話。自分のプレイするゲームは自分で選ぶね。
YouTube動画に、「アニメ私塾」というチャンネルがあるらしくて、そこで勧める絵の練習法は、プロのアニメ作品の模写らしいけど、これだって単に一つの意見。絵の勉強法なんて無数にあるよ。
まあ確かに漫画に関する違法サイト読書は問題だろうし、検挙もされているけど、同人誌やエロ関係の無断掲載は検挙もしていないように見える。
ただそこで漫画を読むことは倫理的に非難はされるけど、読んだ以上は、作品を読んでいないという評価は違うだろう。勿論不正な方法で読んだという非難は正当だけどね。
結局、E.Suj.の目的は、いい加減な言論を駆使して、既成の商業コンテンツの権威と金を守りたいんだろう。
}}
アナログゲーム(カードゲームやボードゲーム)の設計者は、ネット上の意見はもとより、実際のテストプレイヤーの意見さえあまりあてにならないという考えがあるらしい。テストプレーヤーも様々な理由で本音を語らなかったり、何らかのバイアスであまり有用な意見が出てこないという見方もある。一番重視するのは、実際のプレイの様子を観察することだいう<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P338</ref>。
{{コラム|世のメディアでは、人気投票企画は多いが、基本的には遊びでお祭りでファンサービスで、本格的な統計調査とは別物だろう。|
イナズマイレブン、2008発売のサッカーRPG。アニメ化や映画化もされている。中学校サッカー部が舞台だから、中学生がメインターゲットだろう。
この公式サイトが、登場キャラクターの人気投票を行ったという。
作品中に、五条というマイナーキャラクターがいた。中学生で、おじさんぽい顔、眼鏡で目が隠れ、何を考えているかわからない不気味な悪役的キャラクター。
ある匿名掲示板で、おそらく[[w:2ちゃんねる]]だと思いますが、このキャラクターへの組織票投票の呼びかけが行われました。
はたして2(5)ちゃんねるに中学生のユーザーがいるのか? 少しはいるかもしれないが、やはりこの組織票祭りの参加者の多くはもっと年長、しかしそれほど年寄りのメンバーもいないように思われる。
まあ結局オタクどもの遊び、祭りということだろうが、しかしその影響か、その公式サイトでの人気投票結果は、五条が一位になった。
まあ不合理な結果と言えば結果だが、ネット上ではその手の馬鹿げたことはしょっちゅう起こる。少しこだわりのある変わり者たちが、自然な状態をかき乱したくて、色々なことを仕掛けてくる。
公式サイトの運営者としては、面白くない展開だが、そもそもイナズマイレブンのゲームユーザーの何割が中学生か?
購買層の中に明らかにこの手のオタク、大きなお友達が、かなりの数占めているだろう。
しかしこういう人たちが、企画内容に大きな影響を及ぼすなら、やはり運営としては面白くない話だ。
AKB48の人気投票は、CDに投票券をつけている形式だが、やはりここでも不規則状況を狙って、投票券目当てでおなじCDを何枚も購入するファンがいるらしい。
勿論この手の、奇矯な手妻は、人気投票の企画者にとっては、面白くないことだが、しかし世の中こういう変わり者は必ずある程度いるものでね、それはそれぞれの企画者が上手に運営方法考えればいいのであって、こんな話をこのページにわざわざコラムとか言って書く意味ある?
;美人投票
経済学者ケインズは、投資家の行動を美人投票にたとえた。「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える」、投資家は、この手の美人投票に参加しているようなものだと。普通の美人投票では、自分自身が美人だと思う女性に投票する。しかしこの投資家の美人投票では、賞品目当てなので、自分自身がどう思うかより、票が集まる写真はどれかを予想して投票するだろう。
前述のイナズマイレブンの投票祭りも、自分が好きな登場人物に投票しているわけではない。地味で目立たないキャラクターが一位になれば面白かろうと、示し合わせて、不美人投票をしているのだ。
;ノイジー・マイノリティ
ノイジー・マイノリティとは、少数派であるのにその声は大きい、目立つ、目立つにかかわらず、そのような考え方、主張をする人は少数である、だから基本的にはその人たちの大きい声は聞き入れない方が良い、多数派の意見を反映していない、ということでしょう。
基本的にはネガティブな意味を持つ言葉であり、大騒ぎするクレーマーに近いイメージだろう。
なるほどね、確かに現編集者の主張はいつでも希少な少数派の意見に近いだろう。
そしてすじ肉しちゅ~なる人物はいつも多数派の味方で、多数派の安易で愚かな意見が絶対的に正しいと振りかざし、他者を愚弄し常に暴力をふるっている。
そういう多数派の暴力に対抗するために、マイノリティとして常に俺は大騒ぎしているのだが、物は言いよう、言い方を少し変えれば、集団、多数派の暴力が正しいと、言い張る事が出来るんだね。
衆愚の暴力とは、どこまでも防ぐのが困難なのね。
}}
さて、我々は学業でも、スポーツでも、趣味でも、そしてもちろん仕事でも、必ず技能というのがあって、それを日々身に着けている、身に着けようと試みていると考えていいと思いますが、果たして今の自分はどんな技能を持っているのか?そもそも何らかの技能持っているのか?そういうことで悩んだり考え込んでしまうことはありますよね。
E.Suj.のように集団におもねる以外の生き方を一切知らず、大した技能なんかないのに、スキルスキルと威張り倒して他人を貶めること以外何もしない人間がいる一方で、かなりの技能を持っているのに自信が持てず、鬱々と生活している人間もいます。
勿論技能自体はかなり客観的な物でしょうが、他者の技能評価は結構いいかげんで、技能が大したない人間が威張り散らして、ある程度技能がある人間をこき下ろして貶めている事なんて、世の中でしょっちゅう起こっていますよ。
そこで大した話ではないんですが、ある技能からある技能に転向する場合がありますよね。つまり生活自体が変わるのでしょう。特定の技能をふるう生活から別の技能中心の生活に変わること。
具体的にゲーム業務に関する話題では、デザイナーからプランナーに役務が変わるとか…
その時にはやはり、デザイナーとしての自分は封印したほうがいい<ref>大久保磨『レベルデザイン徹底指南書』、2016年12月14日 初版 第1刷発行、P81</ref>。
やはりプランナーとしての仕事を優先し、デザインに関してあまり大上段に口を出さない方がいいでしょう。
{{コラム|一人で何でも出来るわけではない。しかし偏向した愚か者の集団より、一人の総合的な人間の方が、相対的にいいものを作り出すだろう。|
基本的に商業漫画、商業アニメーション、そしてほとんど多くの商業メディアはその根源的な創作部分でさえ、多人数の協業で作られています。一応全体を統括する指揮者はいますが、個々の秀逸な表現はその監督だけの手柄ではない。
これはこの手の物事についてある程度知っている人間にとっては、もちろんたまには例外もありますが、ほぼ当たり前のことで、得意げに語ることでも何でもない。
「と学会」の人が2010年ごろにニコニコ生放送の番組に出演したときに、この人物は、ある漫画原作者にネタ提供したと語ったという。しかしネタ提供といっても様々な形態があり、ピンからキリまであり、実際にその作品に貢献していない場合もあるし、単にこいつ、自慢話したかっただけだろ?
漫画家にしろ脚本家にしろ、色々な事柄にアイディアの元を頼っているだろう。有償無償に関わらず、アドバイザーも多いと思う。
ゴルゴ13なんかは明らかに協業で作られていたし、各種映画やテレビドラマも、様々な人間がその作品の質の向上に寄与している。
歴史ものや軍事物、その分野の専門家が強力に考証を加えているし、当然設定の信頼度も高くなる。
だから創作作品は協業関係が上手に機能して、それを統一した理念でまとめ上げれば、当然質はかなり高いものを作る事が出来る。
}}
{{コラム|可処分時間|
経理には「可処分所得」という用語があります。労働者の給料のうち、税金や社会保険料など支払いが義務付けられているものを差し引いた、残りの自由に使えるぶんの金額です。勿論その中から自分の生活費は支出しなければいけませんがね。
そこから類推して「可処分時間」。
前編集者の言葉では、「1日のうちの自分の起きている時間のうち、労働時間などを差し引いた、残りの自由に使える時間」。
だから、もし無職で何らかの理由で生活できるなら、100%が可処分時間でしょう。
で、E.Suj. はこのサイトで、こういう人間をひたすら愚弄するような文章を書き続けて来たのですが、 E.Suj. 自身の可処分時間は何%?
仮にこのサイトでインチキ書いてお金が入っても、それは可処分時間に入れろよ?
そして…「商売の競争とは、消費者の可処分所得の奪い合い」ということらしいけど…希少な可処分時間を奪われたうえ、そいつらに金払うの? 可処分時間って必ず金払って埋めなければいけないの?
}}
===ドラゴンクエストは、ゲームを進めるため、ゲーム操作の技能を得ることを求めていない?===
ドラゴンクエストでは、ゲームのプレイを続け、キャラクターのレベルが上がっていくごとに、キャラクターも戦闘力が上がり、より強い敵も倒せるようになる。これはそれ以前のアーケードゲームのように、プレイヤーがゲーム操作の上手な技能を身に着けることによってクリアするのではなく、レベルが上がることで事実上、プレイヤーが上手な操作する必要なく強くなっている。これを、「クリア保障」と呼んでいるWebコンテンツもある<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/column05/170905b
2020年12月21日に閲覧して確認.</ref>。
ドラクエでダンジョンに入った場合でも、様々な試行錯誤は繰り返すであろうが、プレイし続けて時間経過とともに経験値が上がると、最後にはダンジョンのボスも倒す事が出来て、クリアする事が出来る。
つまりドラゴンクエストでは、プレイヤーがそのゲームの操作の技能を覚えることで、難易度の高いステージをクリアしているのではなく、ゲームを続け、経験値が上がりレベルが上がることによって、ある意味自動的に強くなっている。
序盤のダンジョンで未探検のものがある場合、その時点ではかなり探索は困難を極めるが、レベルが上がった時点では、割と簡単に、クリアできる。つまり難易度が自動的に下がっているともいえる。
つまりドラゴンクエストのクリアシステムは、ゲームを続けてプレイを重ねていくうちに自動的にキャラクターは強くなり、最後にはゲームクリア、コンプリートに至る、ということだろう。
ドラゴンクエストのようなインターフェイスでも、古いゲームやフリーゲームではこの特徴を満たしてはいないものがあると、前編集者は書いていたが、どういう事だろう? 何度も書くが現編集者はそれ程沢山ゲームをやりこんでいるわけではない。
アクションゲームでは当然難易度の高いステージはそれなりの技能やテクニックが必要だろう。しかしRPGではそれほど技能の必要や出る幕もないから、多かれ少なかれドラゴンクエストのような形態にはなるのではないだろうか?
全体を通してレベルがそれほど上がらないゲームというのはあるし、あったのだろう。この場合は何らかのゲーム上の困難の打開策や有効な戦術を見出さない限り、クリア困難の事態に陥るだろう。
RPGに限らず一般に、ゲームの後半に行くに従って、次ステージ攻略などのための事前準備の増加や、試行錯誤の時間の増加に時間のかかるようになっていく事が多い。そして、ステージクリアに必要な時間の増加が、ゲームを苦手とするプレイヤーに、そのゲームのクリアを諦めさせる<ref>http://endohlab.org/paper/whydoplayersdrop.pdf 2020年12月21日に閲覧して確認.</ref>。つまり娯楽であるはずのゲームが、難易度が上がりすぎてその機能を果たさなくなるのだろう。
=== 自由度 ===
一本道で難題を乗り越えるゲームもありますが、いっぽうでマルチエンディングとか、攻略ルートや展開が複数あるゲームもありますよね。こういう自由度の高いゲームは、その展開の場合の数に応じて、調整の際に考慮する事項も増えていきます<ref>『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖!』、P78</ref>。
===Non-title===
※バランス調整に限った話題ではないが、他に適した単元が見つからないし、メインページに書くほどでもないので(←なら書かないで削除せよ。by E.H.)、間借り(まがり)的にバランス調整のページで書くことにする。ただし、この節の内容を他のぺージに移動することは、 E.H.が禁止する。
====ゲーム業界に就職したい?====
……ならば、今現在の業界を構成している人達のアドバイスに従うのが無難だろう。
まず彼らが望むのは、ゲーム人気作の知識。特にデザイナーならなおさららしい。まず過去の名作は手本になるという。それから共通言語としての、コンセプトや知識を知っておくべきだと<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P278</ref>。
とにかくゲームについて知らないのはよくないようだ。過去現在の人気作や、自分の興味ある、そして入社出来たら実際に作っているジャンルのゲームについて、プレイし、周辺知識も知っておきたい。
====[https://www.uta-net.com/movie/59818/ シッパイマン]====
この節のタイトルは、失敗とは何かを知りたければ、以下を読むよりリンク先を見た方がいいだろう、という意味のリンク付きタイトルです。
基本的に前編集者は手本がなくては生きていけないようで、創意工夫という言葉もあまり知らない。そして権威ある手本のパワーに依存しまくって、他者を愚弄しまくる。
しかしまあとりあえず、その論旨に乗っかって記述するが、人気作や人気シリーズをとりあえず崇めて手本にせよと。そして人気でない作も良く調べて、崇める手本と比べてどこが良くないか見いだせ<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/interview/200615a/3 2020年11月27日に閲覧して確認.</ref>、と。
そしてなぜか前編集者はゲームの事だけで完結せず、アニメの事も語りたがるんだけど、まあ好きだからなんだろうけど、ガンダムについて語りたければ、それ以前のロボットアニメについても調べろ、と、岡田斗司夫や氷川竜介が書いていたんだって。
結局、性格の汚い有名人の権威に頼りっぱなし。
そしてまたまた岡田斗司夫の著作によると、演劇作家・演出家の鴻上尚史氏はゲーム進出に失敗したらしい。失敗してたの^^;;;??? 現編集者はそれは知らなかった。ゲームに手を出したことは知っていたけど…そもそも鴻上さん、映画制作も失敗していなかった^^;;;?。特別に好きでファンだという訳ではないけど、一時期この人のラジオかなり聴いていたんだけど…
とにかく岡田氏の結論は、鴻上氏とどういう関連があるかはわからないが、「成功例から学びたがる人は多いが、しかし成功例だけから学ぶのは素人。プロは失敗例にこそ学ぶ。」、らしい。もっともこれはあくまでも前編集者の要約だけど…
うーん、プロだの素人だのはどうでもいいけど、失敗と成功の両方から学ぶのは、ごくごく当たり前で妥当なことじゃないの?
あと失敗に関しては、畑村洋太郎氏の失敗学という概念もある。<ref>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/43/2/43_2_182/_pdf</ref>
{{コラム|「失敗を恐れるな!!」なんてよく言うけど、実は誰もが失敗は怖い。むしろその怖さや失敗自体との向き合い方が問題なのだろう。|
まあ現実問題として、失敗のない人生なんてないよね。
かと言ってねー、そう簡単に人間成功しないし、物事上手くいかないものだよ。
とにかくどん欲に成功を求めすぎるのも、逆説的に失敗の元になるだろう
あとあまり点数とか量について考えない方がいいと思う。
マーフィーの法則ではないけど、この世界と我々の人生は明らかに失敗方向にバイアスがかかっている。
失点しても試合に勝てばいいという意見もあるけど<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.334</ref>、結局ぼろ負けして泣いて帰ることもしょっちゅうだよ^^;;;。
しかしまあ、誰もがそこそこ成功したいよね。
だけどさー、なんだかんだであんたらの人生、物事上手くいって楽しいときは確実にあるでしょ?
}}
===異業種? いやいや、それどころか、異人、異世界の事も想像しろ><!!!===
ゲームとは文化でもあるでしょうか。様々な文化の一分野? そうなると文芸とかイラストとか、短歌とか映画とか、小説とか漫画とか、様々な文化のジャンルがありますよね。
特定のジャンルが衰退するとか発展するとか、具体的にはどういうことですか? もちろん商業文化としての、流通の規模というのはありますよね。しかし文化というのはだれ一人手掛けなくても、自分自身がその創作活動を続け、何らかの形で発表し、そしてそれを享受する人がある程度いる以上、仮にお金は一切発生しなくても、完全にこの世から消え去ることはない。
2012年に新日本プロレスリングを買収したゲーム会社のブシロードは、こう述べた。「すべてのジャンルはマニアが潰す」<ref>https://newspicks.com/news/4135958/body/ 2021年11月7日に確認→ただし有料コンテンツなので表紙を確認しただけ^^;;;</ref>。マニアねー。そもそもオタクとマニアはどう違うの? オタキングを崇拝している人たちは、マニアは悪く言えるけど、オタクは悪く言えないよね? どっちにしろ大した言及じゃあないよ、馬鹿げた話だね。
そしてゲーム業界は、1990~2000年の一時期、ジャンルによってはゲームが高難易度化した作品が多くなって、新規参入者が苦手と感じてプレイヤーが減って衰退縮小していったことがあったという。
まずゲームのジャンルが明確に固定化されているとは思えない。ある程度はそれ様の物はあると思うけど、結局これって、ゲーム商売の話であって、もっと一般にゲームが好きな人たちの事を考えると、特定のジャンルが好きならば絶対自分たち自身でその分野を盛り上げようとするだろうし、そういう人たちが少なければ当然ジャンルの規模は小さくなり、小さくなったり消えてしまったところで、それはそれ、歴史の流れなんじゃあない?
ゲームセンターの対戦格闘ゲームでは、初心者が筐体をプレイすると、熟練者が参入して、初心者を打ち負かす「初心者狩り」が起こり、初心者が楽しめない、参入者が減ってそのジャンル自体が衰退、ということもあったようです。
スポーツ競技でも似たようなことが起きると言うが、まあ結局この社会、やさしいいい人なんてほとんどいないし、本当の意味で賢い人間もほとんどいない。
とにかくどんな分野でも、事実上楽しくなければ、人は去っていくだろう。
{{コラム|作者は答えを知ってしまっている、が、それでも、自分の作りだした物語と世界は、素敵で魅力的なものだと思っているだろう。|
ハドソン『新桃太郎伝説』(スーファミ版)の攻略本『新桃太郎伝説 究極本』(KKベストセラーズ 刊)で、作者の さくま あきら が、読者インタビューにこう答えています。
読者「ゲーム中、もっとも印象に残ったシーンはどこですか?」
さくま氏「作者はシナリオの答えを知ってるので、もっとも印象に残るとかそういうのはありません」
これは明らかに質問の仕方がおかしいし、不適切だろう。最も印象に残ったシーンって、…これはゲームと物語を受け取った側が感じる事じゃない? 。
}}
;ティッシュテスター
作者バイアスでバランスが分からなくなるのは作者だけではなく、テストプレイヤーやデバッガーも、そのゲームに慣れてゆくと、次第に感覚が一般プレイヤーとずれていき、適切なバランス側が分からなくなっていく。
このことに関して「ティッシュ テスター」(tissue tester)という言葉があるらしい。つまりティッシュは一度きりの使い捨て、新鮮にゲームを見てバランスを判断できるテスターも、最初の一回きりということ。最もテスターも仕事としてそれをやっているのだから、使い捨てにされたらたまったもんじゃあないけどね。
「フレッシュミート」(新鮮な肉、fresh meat)とも言うようですね。
どちらにしろゲーム業界の連中が、他人を雇うということをどう見て考えているか、よくわかる言い草だね。
=== 要素の相互関係 ===
====概要====
調整は、関連あるものを、まとめて同時期に、ただし1個ずつ、行う<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P.182</ref>。
だから、関連ある要素を実装しきっていない段階では、調整はない。だから開発の最初の方では調整しないだろう。
しかし、場合によっては、要素の実装をそろうのを待つと調整開始の時期が遅くなりすぎてしまい、計画に支障が出る場合があります。そういう場合、ある程度のまとまりのある実装ができた段階で、調整をするようです。
具体的な調整の判断基準については、参考文献『ゲームデザイン プロフェッショナル』を買ってお読みください。
しかしここで釘を刺しておくが、 Wikiは決して読書ガイドではない。システムとして多人数の協業の手段を提供しているだけで、あくまでもWeb上のコンテンツ、文書に過ぎない。ウィキペディアが出典主義なのは、協業上の文章作成として、信頼度を保つための方法として、その姿勢を採用しているだけで、この場合も読書ガイドではない。
原則としてWikiは、文書として独立、完結しているもので、市販本と等位の存在、しかも基本無料、だからと言って市販本より質が悪いとは限らない。
ゲームデザインなんちゃらという本が最初から素晴らしいと思っているのなら、アマゾンで検索してその本を購入すればいいのであって、Wiki を読む必要も、関わる必要も、書く必要もない。
さて、バランス調整を実際にどうするのか、そしてそれ以外でのゲーム創作の総合的な知見、感覚は、例えば『RPGツクール』で実際にゲーム制作に手を染めれば、おのずと理解が深まっていくだろう<ref>大久保磨『レベルデザイン徹底指南書』、2016年12月14日初版第1刷発行、P81</ref>。
====マップと敵====
ゲームのバランスには、様々なパラメータがかかわる。敵の強さ、マップの構成、各種アイテムや装備品の強さ、要素とその関係が上手に整理された時、ゲーム全体がバランスの取れた、プレーヤーにとって楽しい、続けていたくなるゲームになるのだろう。
宝箱もマップの要素。敵の強さだけではなく、宝箱の中のアイテムも、ゲームバランスに影響を及ぼす。そこでマップが実装された後でバランス調整するのが好ましい。
しかし実際には、マップ実装は時間も手間もかかる。マップはステージと物語の世界観も反映しているので、そう簡単にトントンと決まらない。
マップに敵を組み込む方式で調整する場合は、マップ実装が済まないとバランス調整はできない。
:マップを作ってからそのマップに敵を組み込んでみてプレイしてみて、敵の強さを決める?
:敵の強さを決めてから、マップを決める?
:マップと敵を別々に決めてから、最後に組み合わせて微調整?
色々な方法があるが、とにかく物事、自分たちに都合のいいようにしつらえられていることはほとんどないので、迷いながら現実に打つ手を見出すしかないだろう。
====始めよければすべてよし? 或いは終わりよければすべてよし? いやいや、どっちにしろ全然駄目なこともあるよ^^====
とはいえ、まずは始め。バランス調整もまず序盤を多めにプレイして、面白いバランスを見出すのがいいようだ。
やはり始めと終わりが重要で、中盤は多少いい加減でもなんとかなるらしい<ref>『ゲームプランナー集中講座』、P236</ref>。
アニメーション業界でも、とりあえず始めと終わりに力を入れろという考えはあるらしい。テレビシリーズでもとりあえず一話と最終話に力と予算を費やしている場合は多い。
結局最初は気合が入っているが、最後に向かってドタバタして、事実上最初に力がやけに入っていた、ということは起こるだろう。
あと現実問題として、RPGのバランス調整は、主に敵の強さを調整している。味方の調整や装備品の調整はあまり行われない。慣習的にそうなのか、あるいは何らかの合理的な理由があるのか、は、不明。とはいえ味方の値は、プレイヤーやプレー状況によって変わる経験値を持った全体を通じた可変値だから、こちらで調整するほうが事実上難しいだろう。
スーパーファミコンRPG『新桃太郎伝説』では、最終ボスのパラメータのほうを調整していることが、攻略本、『新桃太郎伝説究極本』に書かれている。(調整前はボスはもっとHPが多かった。)
しかし味方キャラクターや装備品の数値を全く調整しない、と、いうわけではない。敵の能力値は大きく変更して調整するが、味方関係は小さな変更になるのだろう。
そして結局常識的には、序盤から順番にバランス調整していくしか道はない。
そのため、過去のゲームでは、ゲーム後半の調整がうまく機能せず、極端に難しかったり或いは簡単すぎたり、そんな場合も多かったようだ。ドラゴンクエスト2の後半ダンジョンであるロンダルキア洞窟とその次ステージがその典型例という指摘もある。
{{コラム|ゲーム理論とは何か?|
ゲーム理論は基本、数学上の議論で、様々な社会科学上の問題に関連する発想だと考えられています。数学者フォン・ノイマンと経済学者モルゲンシュテインの研究が契機で、現在まで様々な発展をしているようですが、典型例では[[w:囚人のジレンマ]]の議論が有名です。
宗教学者、人類学者の中沢新一氏は、ノイマンのゲーム理論では昨今のコンピューターゲームについては十分に説明できない、と語っていました。(ただし出典不明、Wiki著者の記憶も不鮮明)。最近の中沢氏は、ゲーム産業に関心を持ち、コンピューターゲームのイベントにも登壇しているようです<ref>https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/nakagawa-endo_bb/2 2022年1月18日に確認. </ref>。
ゲーム理論では、複数の主体が相互関係を持った時どう行動するか、それを数学的に分析していきますが、主に人間の社会行動を議論したい時に、理論的な根拠として提示されるものです。
一方コンピューターゲームは、娯楽としてのゲームそのもの、しかし人間の行動を規定する相互作用でもある。
中沢は特に言及していないですが、数学的にモデル化するなら、政策応用なら「国際情勢」など外交的な制約によって出力にとりうる値1個あたりの幅や個数が2~3個に限定されたりのような、値の個数が十分に小さくて有限の整数個の場合でないと、なかなかゲーム理論の応用は効果を発揮しません。
↑上の段落の記述はこのサイトの一Wiki著者の言及ですが、参考までに無編集で掲載します。
人間の社会行動を議論し解明するためのゲーム理論ですが、我々がコンピューターゲームをする、というのも一つの行動、社会行動ではありますね。
ゲーム制作に関する参考書類でもゲーム理論について語られることはありますが、詳細に具体的に、ゲーム制作とゲーム理論の関係性について解説されることはあまり無いようです<ref>『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』、P64</ref>。
}}
===キャラクターのレベル上昇とバランス調整===
ハドソン社の慣習では、新しく訪れたダンジョンでは、「レベルが3上がると、敵を1撃で倒せるようにすべし」、としている<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P.94。</ref>。この基準はゲーム界では有名な言葉らしく、スーパーファミコン時代の桃太郎伝説シリーズは、この調整のはずだ。
== RPGのダメージ計算式 ==
===特化型が有利===
ファミコン時代から現在に至るまで、特にRPG で、平均的に能力を持つキャラクターよりも、「○○だけなら自分が一番強い」という特化型のキャラクターの方が戦闘で強くなるようです。平均的なバランス型は器用貧乏に陥ってしまう。<ref >川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.227</ref>
そしてゲームの戦闘のダメージ計算式は、一般的に、プログラマーではなくゲームデザイナーが考えます<ref>『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』、P145</ref>。
では特化型が有利になるのはなぜか?
たとえば、キャラクターに能力をプレイヤーが自由に選んで振り分け配分できるシステムのゲームがあったとしましょう。(商業ゲームでも、いくつかの作品で、似たようなシステムのRPGがあります)。そう言えば comico の過去の公式掲載漫画、『マジカルゴ』でも、魔法少女たちにそうやって能力を振り分けていましたね…。もちろんこれ、雑談!!^^。
合計値を 100として…
;作成キャラの能力例
ちから: 10
たいりょく: 30
しゅびりょく: 10
すばやさ: 40
きようさ: 10
そしてもう一人…
;平均型キャラA
ちから: 20
たいりょく:20
しゅびりょく: 20
すばやさ: 20
きようさ: 20
:(※ 合計100)
さらに…
;特化型キャラB
ちから: 40
たいりょく:20
しゅびりょく: 30
すばやさ: 5
きようさ: 5
:(※ 合計100)
ここでA と B をコンピュータ上でRPGの戦闘システムのアルゴリズムで対戦させると、ほとんどの20世紀のプログラムでは、B のほうが勝ち、つまり特化型のほうが強くなってしまいます。
さらに書くと、「攻撃力」のような、敵にダメージを与える意味のパラメーターに振り割ったほうが、キャラクターが強くなるゲームが多い。(ファミコン時代から、ウィザードリィ1の攻略本でそう言われていました。敵モンスター『ワイバーン』の攻略法として「攻撃は最大の防御」、と。表紙の黒かった攻略本なので、たぶんゲームアーツの本。『ウィザードリィ攻略の手引き』(MIA BOOKS)かと思われます。)
なぜこうなるかというと、もし攻撃力が上がると、敵を倒すのに要するターン数も減少するので、結果的に敵を倒すまでに自キャラの受けるダメージ量も減るからです。なお、現実の軍事学でも、似たような事が言われており、戦術論ですが、クラウゼヴィッツ(近代ドイツの軍事学者の)は防御重視の作戦よりも攻撃重視の作戦のほうが有利だと述べています。相手が攻撃をあきらめない以上は、相手を攻撃して倒す以外戦闘を終了できない。
やはり平均型は弱い。パラメータの振り分けは多くの場合完全自由ではないが、例えば、ドラゴンクエスト2(ファミコン版)では、サマルトリア王子は弱くなってしまう。ファイナルファンタジー3・5の赤魔導師も、似たような弱点を抱えています。
以下のような指摘もある。
:・ウィザードリィやドラクエなどの古いRPGのアルゴリズムが、特化型に有利になっているという歴史的な経緯。
:・命中率などの確率に関わるパラメータ(「器用さ」)のある場合、パラメータ割り振り前から既にある程度の底上げ補正がされている場合が多いので、わざわざ命中率を上げると割り損になる。
:・「すばやさ」(素早さ)が攻撃の順番にしか影響しない場合、素早さが低くても1ターンに1度は攻撃できるので、素早さを上げるのはあまり意味がない。
命中率に関しては、多くのRPGで、攻撃が外れるのは、プレイヤーに不満感を与えるので、たいていのゲームでは、ゲーム序盤のレベル1のキャラであっても、数値上での「命中率」や「器用さ」などの表向きの命中率が低くても、たとえば「命中率 40」と表示されていても、実際のゲーム内部での命中率は、たとえば+20%されていて、本当の命中率が60%になる場合もあります。
例えば命中率が 80%の場合は、事実は底上げされて 100%ですから、それより大きい値に命中率を決めるのは意味がありません。
勿論プログラムの方で、100%を超える値に意味を持たせて、なんらかの有利が与えられれば、意味を持ちますが、多くの古いゲームでは、100% が天井でそれ以上何もないようです。
===ダメージ計算式===
さて、RPGの戦闘におけるダメージの計算式に、アルテリオス計算式というのがあります。これは、昔のゲーム『アルテリオス』で採用された計算式なのですが、
攻撃側の攻撃力 - 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
という式ですね。
ドラクエやファイナルファンタジーのシリーズの計算式はもっと複雑なのですが、どのRPGでもダメージ計算式の基本的な設計思想・方針はアルテリオス計算式と同じです。
アルテリオス以外のダメージ計算式でも、たとえば
:1.3×攻撃側の攻撃力 - 0.75 × 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
と、それぞれの項に定数をかけて、少しだけ発展させたものになることが多いようです。
ダメージ式が簡単な方が、バランス調整もやりやすくなりますよね。勿論複雑にしようと思えばいろいろ考えられるでしょうが、結局出来るだけ単純にした方が、プログラム実行上のロスもないし、何かと意義があるでしょう。
さて、以下の式で、
:攻撃側の攻撃力 - 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
もし自軍の攻撃力が0の場合、敵にダメージを与えられないので(ダメージが0)、絶対に負けてしまいますよね。また、攻撃力が敵の守備力を下回る場合も、絶対に負ける。
一方、「すばやさ」パラメータが戦闘の先攻/後攻の順番にしか影響しない場合、素早さが0であっても、勝つことは可能です。
また、守備力が0であっても、勝つことは可能です。
だからパラメータはそれぞれ意義が大きかったりあまり無かったりして、ゲーム上の強さに対する特性がありますね。
また、
:1.3×攻撃側の攻撃力 - 0.75 × 守備側の守備力 = 守備側のダメージ
のように係数を掛けた計算式の場合、
守備力を1ポイント増やしても、その効果は25%減少されます。(たとえばレベルアップの際に上昇パラメータを一種類選べるシステムの場合、守備力を選ぶと損になる場合が多い。最も守備力だけいつまでも上げなくていいのかという問題もあるけどね。)
いっぽう、攻撃力を1ポイント増やすと、効果は30%増しです。
だから当然と言えば当然だけど、各種パラメータの状態や有利不利にはむらがある。しかし一方、ゲーム上の有利不利は、ゲーム展開の全体像で判断すべきものだから、特定の数式だけで議論するのもやや不適だろう。
===DPS(Damage Per Second)===
:※ 出典は無いが、あまりに有名な概念(らしい)。……と、いうか、多少の知性があれば、こんなこと、誰でもすぐ思いつく。
最近のRPGゲームには攻撃コマンド選択時に「二段斬り」などの技能選択ができます。
技能を設計する時に、ついついやってしまうミスで、見かけの数値に混乱させられて、実際には強くなっていない特技を作ってしまう、そんな事が時々あります。
たとえば特技、『ためる』。次回ターン時のダメージを数倍に倍増し、次回ターンの1回だけ、ダメージを倍増させる
この特技では、次回ターンのダメージが二倍を超えないとあまり意義を持ちません。
『ためる』コマンドを選択したターンは、攻撃をしてませんからね。
通常攻撃
:1+1=2
ためる二倍攻撃
:0+2=2
で、普通に考えると結局同じになります。
ファイナルファンタジー3の職業『空手家』の技能『ためる』、は、こういう性質を持っていたという指摘があります。ただ仮にその特質があったところで、そこに気づいた人はその不利を理解するわけですから、それ自体がゲーム性だという主張はできます。
しかしそういう事態を避けるためには、'''DPS''' ('''D'''amage '''P'''er '''S'''econd)概念が便利ですね。DPS とは1秒あたりのダメージ量、という意味です。
もともと欧米のアクションゲームについての理論研究に由来する用語なので、単位が 秒(second)になっていますが、RPGに応用する場合には単位をターンに変えるといいでしょう。
つまり上述のためるコマンドではDPS(あるいはDPT?) が同じなので、有利がない、だから、後の攻撃ダメージ量を「2.5倍」や「3倍」にするといいわけですね。
さてさらに、
「『ためる』を2回続けると、さらにダメージ量がアップ」などのシステムを導入するとき、必ずDPSを増やすには?
つまり数式を使うと、
:0 + 0 + x > 3
の xを求めているのですよね。
だから、『ためる』2回後のダメージ量は、最低でも「3.5倍」のように3を超える数値、あるいは整数に限定すれば、たとえば「4倍」とか「5倍」とかになっている必要があります。
==KPI==
Key Performance Indicator という経営的な指標があり、『レベルデザイン徹底指南書』P140 および 『ゲームプランとデザインの教科書』P70 によると、共通しているのは後述の内容です。なお、『ゲームプランとデザインの教科書』P67 によると、オンラインゲームの運営などで使われる用語ですが、特にゲーム業界限定の用語ではありません。
;DAU(Daily Active User)
:デイリー・アクティブ・ユーザー
DAUとは、その日に遊んでくれたユーザーの人数です。
;MAU(Mathly Active User)
:マンスリー・アクティブ・ユーザー
MAUとは、その月に遊んでくれたユーザーの人数です。
;WAU(Weekly Active User)
:ウィークリー・アクティブ・ユーザー
WAUとは、その週に遊んでくれたユーザーの人数です。
;PU(Paying User)
:ペイング・ユーザー
課金ユーザーの人数のことです。その日を課金ユーザー人数をDPU、その月の課金ユーザー人数をMPUと言います<ref>『レベルデザイン徹底指南書』、P140</ref>。
;課金率
たとえば、ある月のユーザ数のうちの課金ユーザーの割合など、一定期間中の、課金ユーザーの割合を言います<ref>『レベルデザイン徹底指南書』、P140</ref>。あるいは単に、全ユーザーのうちの課金ユーザーの割合<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P70</ref>、の場合もあります。(書籍によって、内容が微妙に違う)
;継続率
前月と比べて今月はユーザーがどれだけ残っているか、あるいは前週と比べて今週はどのくらいけユーザーが残っているか,のことを継続率といいます。
(以上)
このほかにも、色々な指標があります。
== 参考文献・脚注など ==
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小学校社会/6学年/歴史編/天皇中心の国づくり-飛鳥時代から奈良時代
0
32873
207266
207081
2022-08-26T01:58:59Z
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{{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|小学校の学習|小学校社会|小学校社会/6学年|小学校社会/6学年/歴史編|frame=1}}
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|+ この章の概要
|<!--飛鳥時代(聖徳太子の政策、遣隋使)から奈良時代にかけて--><!--(イ) 大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子を手掛かりに,天皇を中心とした政治が確立されたことを理解すること。-->
★時代区分:飛鳥時代、奈良時代</br>
★取り扱う年代:おおむね6世紀以前から794年(平安遷都)まで
;飛鳥時代
: 大和朝廷によって日本が統一されると、ますます、大陸との行き来が増えました。朝鮮半島から技術や文化を持った人々が定住し、これらを伝えました('''渡来人''')。また、仏教が日本に伝えられたのもこのころです。
: 当時、中国では「'''{{ruby|隋|ずい}}'''」が国を統一し強力なものとなっていました。推古天皇の皇太子である'''聖徳太子'''は、隋にならって天皇中心の強力な政治を進めるため、役人の心得をしるした「'''十七条の憲法'''」をあらわし、序列を明らかにする「'''冠位十二階'''」を定めました。また、'''小野妹子'''などを隋に派遣し('''遣隋使''')、隋と親交を結ぶとともに、隋の制度などを学ばせました。なお、まもなく隋は「'''{{ruby|唐|とう}}'''」に滅ぼされますが、中国への派遣はつづき、これを'''遣唐使'''と言います。また、仏教がさかんになり、'''法隆寺'''などの寺院が建てられました。これは、都が{{ruby|飛鳥|あすか}}(奈良県中部)を中心にくりひろげられたので、この時代を「'''飛鳥時代'''」と言います。
:大化の改新
: 聖徳太子が亡くなったのち、最も勢力を持っていた蘇我氏を中大兄皇子(後の'''天智天皇''')は中臣鎌足('''藤原鎌足'''、「'''藤原氏'''」の始祖)らとともに討ち、天皇中心の政治を一層強力なものにしました。例えば、土地は天皇のものとして人々に均等に分け与え、'''{{ruby|租|そ}}{{ruby|庸|よう}}{{ruby|調|ちょう}}'''といった税を徴収する制度('''公地公民制''')などがすすめられました。また、この時、中国にならって、初めて'''元号'''「大化」を定めました。これらの事件や改革を'''大化の改新'''と言います。このころ、朝鮮半島では'''{{ruby|新羅|しらぎ}}'''が統一を進めていて、唐と連合して'''{{ruby|百済|くだら}}'''を攻めました。百済は日本に助けを求め、日本は百済とともに新羅・唐と戦いましたがやぶれ、多くの百済の人々が日本へ移り住みました。
;奈良時代
: 朝廷は、国づくりをすすめるのに、'''{{ruby|律令|りつりょう}}'''という法律を作り、それにもとづく政治が行われるようになりました('''律令制''')。また、それまでは、天皇が変わるたびに都を移していたのですが、現在の奈良市に大規模な都「'''平城京'''(奈良の都)」を作り、そこで天皇が代わっても引き続いて政治を行うようになりました。また、このころ、初めて貨幣が作られました('''和同開珎''')。
: 平城京には、遣唐使で留学した僧や来日した僧によって多くの寺院が作られました。'''聖武天皇'''は即位した頃、地震や疫病などの災いが起こったのを受け、仏教に救いを求めて、全国に'''国分寺'''や'''国分尼寺'''を建立しました。これ話の総本山として奈良に'''東大寺'''をつくり、そこに大仏('''奈良の大仏''')を作りました。
: 平城京に都のあった時代を「'''奈良時代'''」と言います。
|}yふyフイhじじj
== 飛鳥時代 ==
=== 大和政権の政治 ===
:[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#大和政権|大和政権は5世紀後半から6世紀前半にかけて、日本の「くに」を統一しました]]。しかし、統一前は各地の「くに」の王であったものが、大和政権にしたがって{{ruby|国造|くにのみやつこ}}や{{ruby|県主|あがたぬし}}などといわれる称号<ref>このような称号を{{ruby|姓|かばね}}といいます。「かばね」は、個人に与えられたものではなく、一族全体で称したものです。</ref>のついた豪族となっただけで、大和朝廷との関係はうすいものでした。他方で、{{ruby|大王|おおきみ}}のまわりの朝廷も、{{ruby|臣|おみ}}、{{ruby|連|むらじ}}、{{ruby|伴造|とものみやつこ}}などの様々な称号のついた豪族によってなりたっており、なかでも{{ruby|大臣|おおおみ}}である{{ruby|蘇我|そが}}氏、{{ruby|大連|おおむらじ}}である{{ruby|物部|もののべ}}氏や{{ruby|大伴|おおとも}}氏といった豪族が有力となっており、それらが、きそっていました。
:<span id="渡来人"/>また、このころ、日本は朝鮮半島との間に深い関係がありました。朝鮮半島は、中国に隣接しており高い技術や文化が伝わっていたので、それらを持った人々が多く日本にやってきて、日本に住み着きます。この人々を'''{{ruby|渡来人|とらいじん}}'''といいます。日本に、'''仏教'''が伝わったのもこのころです。はじめは、渡来人たちの宗教として広まり、やがて6世紀のなかば、朝鮮半島南西部にあって親密な関係にある'''{{ruby|百済|くだら}}'''の国王から、{{ruby|大王|おおきみ}}あてに正式に伝わりました。
:前の章で書かれたとおり、[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#好太王の碑|倭が朝鮮半島の'''{{ruby|高句麗|こうくり}}'''にせめいったことの記録があります。]]日本は、当時、朝鮮半島の南に{{ruby|任那|みまな}}と呼ばれた領土があったのではないかと考えられてもいますが、朝鮮半島南東部の'''{{ruby|新羅|しらぎ}}'''がだんだん勢力を伸ばしてきて、任那を攻めとってしまいます。
:大和政権は、これに兵を送りましたが、任那はとりもどせませんでした。また、地方の豪族たちもしばしば反乱を起こしました。大和政権は、統一にともなって、支配する地域が広がり、そこに住む人々の数も大きくふえたため、たとえば、戦争を行うとか反乱をおさめるために兵士を集めるなど、それまでのような、豪族の連合では問題の解決が難しくなっていました。
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable" style="width:100%"
|'''【脱線 - 覚えなくてもいい話】<span id="部民"/>大和政権の国の仕組みと苗字(姓)'''<small>
:大和政権は、日本を統一したといっても、それは、豪族の連合であって、国としてのまとまりは弱いものでした。
:このころは、「税」か土地を有する主人と人民の間のやりとりなのかはあいまいで、大和政権が征服した土地の一部を、{{ruby|大王|おおきみ}}の土地として、各地の豪族(国造や県主など)にまかせて、そこからの収穫を都におくるというものでした。このような土地を「{{ruby|屯倉|みやけ}}」と言います。「{{ruby|三宅|みやけ}}」さんという苗字(姓)はこれに由来します。なお、各地の豪族が支配した土地を、「{{ruby|田荘|たどころ}}」と言います。「{{ruby|田所|たどころ}}」という苗字の方もいますね。
:また、{{ruby|大王|おおきみ}}は、職業別の人民のグループをしたがえていて、屯倉(農地)で働かせたり、ニワトリを飼わせたり、工芸品を作らせたりしました。そこから得られるものも大和朝廷のものとなりました。この人民のグループを「{{ruby|部民|べのたみ}}」と言います。田をたがやす{{ruby|田部|たべ}}、ニワトリを飼う{{ruby|鳥飼部|とりかいべ}}、土器を作る{{ruby|土師部|はじべ}}などさまざまな部民がいました。また、豪族のもとにも同じような、人民のグループがいて、それらの人々は「{{ruby|部曲|かきべ}}」と言われてました<ref><span id="奴婢"/>部民・部曲の他、主人が売り買いすることもある召使いや{{ruby|奴隷|どれい}}のような{{ruby|身分|みぶん}}である、{{ruby|家人|けにん}}や{{ruby|奴婢|ぬひ}}と呼ばれる人々もいました。</ref>。その部民の中に、川の渡し船を職業としたグループがいます。河川を使った水運や大きな橋のない時代に、陸上交通を助けたりもしたでしょう。この部民を「渡部」と書いて「わたべ」「わたなべ」と読みます。きっと、皆さんのだれかの苗字か、知り合いの苗字ですよね。もどっていえば、「田部・多部・田辺」さん、「鳥飼」さんとか「土師」さんとかもいませんか。
:服を作る部民を「服部」といいます。「はっとり」さんですよね。これは、もとは「はとりべ」と呼ばれていて、「はたおり」からきています。
:
:以上の話を、簡単に表にすると以下のようになります。
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable"
! !! 支配する土地 !! 支配する人民
|-
! {{ruby|大王|おおきみ}}(天皇)
| {{ruby|屯倉|みやけ}} || {{ruby|部民|べのたみ}}
|-
! 豪族
| {{ruby|田荘|たどころ}} || {{ruby|部曲|かきべ}}
|}
</div></small>
|}</div>
[[File:Prince Shotoku face.svg|180px|thumb|聖徳太子]]
=== 聖徳太子 ===
:大和の有力な豪族どうしの争いは、まず、大伴氏は政治を失敗して勢力が弱くなります。のこった蘇我氏の{{ruby|蘇我馬子|そが の うまこ}}と物部氏の{{ruby|物部守屋|もののべ の もりや}}は、{{ruby|用明|ようめい}}天皇<ref>聖徳太子の父になります。</ref>の死後、誰を天皇とするかで争います。これは、大和朝廷で仏教を信仰するかという争いでもありました。馬子<ref><span id="呼称"/>歴史では、個人を指すのに、しばしば下の名前だけでさししめすことがあります。姓名ともに記述すると長くなってしまいますし、代名詞「彼・彼女」では、複数の人物が登場したときに誰を指すのかがわかりにくくなります。上の名前(氏姓・苗字)では、後から出てくる藤原氏・源氏・徳川氏など同じ一族の区別がつきません。日本人の本名である{{ruby|諱|いみな}}は、重なることが少ないため、そのような取り扱いになります。ただし、明治以降は、特定の一族ばかりが活躍することも少なくなり、また、姓の種類が増えたこともあって、上の名前(姓)で個人を指すことが増えます。</ref>は、仏教をとりいれる立場で守屋はそれに反対する立場でした。馬子は、この争いに勝ち、大きな権力をにぎります。馬子は、次の天皇を自分の思いのままにならないからという理由で殺してしまい、593年、初めて女性の天皇である<span id="推古"/>{{ruby|推古|すいこ}}天皇を即位させます。馬子は女性の天皇だと戦争などの時に不安があるため、おいの{{ruby|厩戸王|うまやどのおう}}を{{ruby|摂政|せっしょう}}とし、政治を補佐させます。これが、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#聖徳太子(しょうとくたいし)|聖徳太子]]|しょうとくたいし}}'''です<ref name="太子">「聖徳太子」は、死後につけられた名前です。歴史の学習では、「太子」だけで「聖徳太子」をさすことがよくあります。なお、本文中「-天皇」と書いていますが、この時代「天皇」という言葉は、まだありません。この前の節までは、大和政権の長をあらわすのに、その時代に使われていた{{ruby|大王|おおきみ}}という表現をしていましたが、聖徳太子の時代以降は、個々の天皇を個人名として表す必要があるため、「-天皇」という表現とします。</ref>。聖徳太子は摂政の立場で、豪族の集団の政治から、'''天皇中心の政治'''を目指します。また、お寺をつくるなどして、仏教文化をさかんにします。これは、都が{{ruby|飛鳥|あすか}}(奈良県中部)を中心にくりひろげられたので、この時代を「'''飛鳥時代'''」と言います。
:太子<ref name="太子"/>は、仏教の信仰が厚く、また、深く研究していたと伝えられます。摂政となる前、馬子と守屋の戦いでは、仏教方である馬子がわにあって、{{ruby|四天王|してんのう}}の像をほって、勝ったならば寺を作ってまつると祈りました。戦いに勝った結果建てられたのが、現在大阪市にある、四天王寺というお寺です。
:太子が摂政になった当時、中国では「'''{{ruby|隋|ずい}}'''」が南北に分かれた中国を統一し強力なものとなっていました。[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#南北|大和朝廷は南の王朝には何度も使者を送っていた]]のですが、北の王朝へは送っておらず様子があまりわかりませんでした。600年太子は隋に使者を送って様子をみさせます('''{{ruby|遣隋使|けんずいし}}''')。使者は、隋からもどって、太子に隋の進んだ政治、特に皇帝に権力がまとまった様子({{ruby|中央集権|ちゅうおうしゅうけん}})を報告します。太子は、深く納得して、豪族たちの争う大和政権の仕組みをかえようととりくみ、以下のようなことをおこないました。
:'''聖徳太子の改革'''
::*'''{{ruby|冠位十二階|かんいじゅうにかい}}の制'''
::*:603年、太子は朝廷に使えるものを役割の重さにしたがって、12の段階に分け、それを冠の色で見分けられるようにしました。それまでは、臣・連・国造などの称号が多数あってその関係は明確ではなく、また、それは豪族一族に認められたものでしたが、この制度によって、一族ではなく、能力のある個人に役職があたえられることになりました。この、冠位の制度は、「{{ruby|位階|いかい}}<ref name="位階">役人の順番を表したもの。後世には、「正一位、従一位、・・・」と言うように表すようになりました。</ref>」の形となって後世まで引き継がれます。
::*'''{{ruby|十七条|じゅうしちじょう}}の{{ruby|憲法|けんぽう}}'''
::*:役人としてのこころがまえをしるしました。一人で決めないで、みんなで相談して決めることなどが説かれ、また、仏教を信じることなどが決められています。
<div style="margin:0 4em 0 8em">
{| style="border:1px solid #777; background-color:#ffffff; width:60%; margin:0.25em 0"
| style="padding:0.25em 0.5em" |'''十七条の憲法(要約)'''
:1条 争いをやめ、なかよくしなさい。
:2条 仏教を厚く保護しなさい。
:3条 天皇の命令にはしたがいなさい。
:5条 裁判は、公正に行いなさい。
:12条 農民などの{{ruby|民|たみ}}から、勝手に税やみつぎ物をとってはいけません。
:17条 重要なことを決めるときには、話し合いで決めなさい。
|}</div>
:[[ファイル:Horyu-ji08s3200.jpg|thumb|法隆寺。{{ruby|金堂|こんどう}}と{{ruby|五重塔|ごじゅうのとう}}]][[File:Shakyamuni Triad Horyuji2.JPG|thumb|法隆寺の{{ruby|釈迦三尊像|しゃかさんぞんぞう}}(金堂)]]
::*'''{{ruby|遣隋使|けんずいし}}'''
::*:607年、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#小野妹子(おののいもこ)|小野妹子]]|おののいもこ}}'''に太子の手紙を持たせて、ふたたび隋に使者を送りました。609年、やはり、小野妹子が使者となり派遣されました。この遣隋使には、国の制度を学ぶための留学生や仏教を学ぶための留学僧を多数ともなっていました。遣隋使は、610年、614年にも送られます。
::*'''仏教の普及'''
:::*仏教を深く研究し、お経の解説書をあらわしました。
:::*四天王寺ほか多くの寺を{{Ruby|建立|こんりゅう}}<ref>寺などを建てること。</ref>しました。
:::*:607年に、{{ruby|斑鳩|いかるが}}に建てた'''{{Ruby|法隆寺|ほうりゅうじ}}'''は特に有名です。
:::*:*法隆寺は、現存する木造建築としては世界最古といわれています<ref>ただし、太子の死後、まもなく火災にあい、現在のものは670年に立て直されたものと言われています。それでも、世界最古の木造建築物です。</ref>。また、法隆寺金堂の釈迦三尊像<ref>渡来人系の{{ruby|鞍作止利|くらつくりのとり}}が聖徳太子の病気回復を祈って制作し、太子の死後完成したものとされます。また、真ん中の釈迦は聖徳太子をモデルにしたとも伝えられています。</ref>など国宝に指定されているものが数多くあります。法隆寺は、1993年に世界文化遺産に登録されました。
::*その他
::*:初めて、日本の歴史書『天皇記』『国記』をまとめさせましたが、現在は残っていません。
:'''聖徳太子の改革の結果'''
::622年、聖徳太子は亡くなりました。推古天皇(628年没)よりも先に亡くなったため天皇になることはありませんでした。
::聖徳太子の改革によって大和政権はどうかわったでしょうか。冠位十二階や十七条の憲法によって、大和政権は天皇を中心とした政権であることが理解されたのではないかと思います。しかしながら、法律などを決めて政治のルールにするまでは達しませんでしたし、多くの豪族の勢力は弱まったものの、太子の政策は、馬子<ref>太子の{{ruby|妃|きさき}}は馬子の娘です。</ref>(626年没)の協力があってなされたため最大の豪族である蘇我氏は強い勢力をもちつづけました。聖徳太子の改革は、天皇中心の政治に向けて「さきがけ」となったと言えるでしょう。太子のやりのこしたことを、これからのべる「大化の改新」や「律令制」で完成させるのです。
::隋との外交はうまくいった方でしょう。隋に留学した人々は、あらたな知識を持って日本に帰ってきました。ただ、隋は、618年、太子が生きている間に、{{ruby|唐|とう}}にほろぼされます。太子は、新たな王朝と外交を始めなければならないと心配していたのではないでしょうか。
::聖徳太子の功績で最も大きいものは、仏教の普及だとおもわれます。聖徳太子が、摂政である時期、多くの寺が建立され、朝廷内にも定着しました。
=== 大化の改新と律令制の成立 ===
:聖徳太子の改革の後も、蘇我氏だけは強い勢力をもちつづけました。626年馬子が亡くなると、その子である蘇我{{ruby|蝦夷|えみし}}が{{ruby|大臣|おおおみ}}の地位をつぎました。蝦夷は、推古天皇の死後の{{ruby|舒明|じょめい}}天皇の即位、その次の{{ruby|皇極|こうぎょく}}天皇の即位にあたって口を出すほどの権力をもちました。642年、蝦夷は生きている間に子の蘇我{{ruby|入鹿|いるか}}に{{ruby|大臣|おおおみ}}を天皇のゆるしなくゆずりました。入鹿は聖徳太子の天皇中心の政治をめざす人々と対立し、643年には聖徳太子の子の{{ruby|山背大兄王|やましろのおおえのおう}}をせめほろぼします。
:645年、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)|中大兄皇子]]|なかのおおえのおうじ}}'''は、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#中臣鎌足(なかとみのかまたり)|中臣鎌足]]|なかとみのかまたり}}''' とはかってくわだてて、宮中で入鹿を殺し、そのまま、蝦夷の屋敷をせめて、自殺させます({{ruby|乙巳|いっし}}の{{ruby|変|へん}})。
:こうして、力を持った豪族はいなくなったので、中大兄皇子たちは、天皇中心の政治を行うために改革を行います。中大兄皇子は、聖徳太子と同じように皇太子として、この改革をおこないます。
:*'''元号の制定'''
:*:はじめて、「'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/はじめに#元号|元号]]|げんごう}}'''」をさだめて「'''{{ruby|大化|たいか}}'''」としました。元号は元々中国の習慣で、{{ruby|暦|こよみ}}を皇帝(日本では天皇)が決めることができるというものです。
:*:ここから、これから行われる改革を「'''{{Ruby|大化|たいか}}の{{Ruby|改新|かいしん}}'''」といいます。
:*'''改新の{{ruby|詔|みことのり}}'''
:*:翌646年、改革の内容を示した「改新の{{ruby|詔|みことのり}}<ref>天皇の命令</ref>」が出されます。以下の4か条です<ref name="詔">ただし、これは『日本書紀』に書かれたことであって、現在の研究では646年に、このようなまとまったもので出されたわけではなく、何年もかけて整備されていったものだとされています。たとえば、「防人」が、この{{ruby|詔|みことのり}}に出てきますが、実際、九州に配置されたのは663年以降とされています。</ref>。これにさらに明細にあたる副文がそえられています。
<div style="margin:0 4em 0 8em">
{| style="border:1px solid #777; background-color:#ffffff; width:100%; margin:0.25em 0"
| style="padding:0.25em 0.5em" |'''改新の{{ruby|詔|みことのり}}'''(大意)
#[[#部民|今までの、天皇の{{ruby|部民|べのたみ}}と各地の{{ruby|屯倉|みやけ}}、そして豪族の所有する{{ruby|部曲|かきべ}}」の民と各地の{{ruby|田荘|たどころ}}]]を廃止する。
#{{ruby|都|みやこ}}を定め、{{ruby|畿内|きない}}・{{ruby|国司|こくし}}・{{ruby|郡司|ぐんじ}}・{{ruby|関所|せきしょ}}・{{ruby|斥候|せっこう}}・{{ruby|防人|さきもり}}・{{ruby|駅伝|えきでん}}制などの制度を導入し、通行証を作成し、国郡の境界を設定することとする。
#{{ruby|戸籍|こせき}}・{{ruby|土地台帳|とちだいちょう}}を作成し、{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}をおこなう。
#今までの{{ruby|労役|ろうえき}}を廃止して、新たな{{ruby|租税|そぜい}}制度({{Ruby|田|でん}}の{{Ruby|調|ちょう}})をつくる。
|}</div>
:::おのおの、解説します。
:::#天皇の{{ruby|部民|べのたみ}}と各地の{{ruby|屯倉|みやけ}}、そして豪族の所有する{{ruby|部曲|かきべ}}」の民と各地の{{ruby|田荘|たどころ}}を廃止する。
:::#:<span id="公地公民"/>大化の改新までは、土地・人民とも、天皇(=大和朝廷=日本)に属するのと、豪族に属するのがあったけれども、すべて、天皇に属するものとするということです。これを、 '''{{Ruby|公地公民|こうちこうみん}}''' といいます。
:::#:簡単にいえば、豪族から土地と人民<ref>{{ruby|家人|けにん}}・{{ruby|奴婢|ぬひ}}といった人々は、そのまま、豪族などのものとされました。</ref>をとりあげたということです。かわって、これらの豪族は朝廷の役人となり、役人の官位({{ruby|官職|かんしょく}}と{{ruby|位階|いかい}}<ref name="位階"/>)にあわせた報酬があたえられるようになりました。このことで、豪族は、朝廷にしたがうものとなりました。役人には、だれでもなれることになっていましたが、実際になるのは、このようなもともと豪族だった役人の子孫ばかりでした。こののちの時代にかけて、このようにもともと豪族であった中央の役人やその一族を「'''{{ruby|貴族|きぞく}}'''」と呼ぶことにしましょう。
:::#{{ruby|都|みやこ}}を定め、{{ruby|畿内|きない}}・{{ruby|国司|こくし}}・{{ruby|郡司|ぐんじ}}・{{ruby|関所|せきしょ}}・{{ruby|斥候|せっこう}}・{{ruby|防人|さきもり}}・{{ruby|駅伝|えきでん}}制などの制度を導入し、通行証を作成し、国郡の境界を設定することとする。
:::#:都と地方の政治についてさだめます。
:::#:*{{ruby|都|みやこ}}を定めます。改新前は、朝廷は天皇の住まい周辺に集まったもので、あまり大規模ではありませんでした。天皇中心の政治を行うにあたっては、役人の数もふえ、役所などの規模が大きくなっていきます。そこで、単に天皇の住まいではなく、国全体をおさめる都市として、{{ruby|都|みやこ}}を考えるようになります。大化の改新当初は小規模で、よく移転しましたが、やがて、平城京という大きな都ができ、安定します。
:::#:*{{ruby|畿内|きない}}<ref>「きだい」とも読みます。</ref>は、都近辺の国です。都の政治の影響もあるため、国の中でも特別なあつかいをします。今の日本で「首都圏」のようなものです。現在の奈良県・大阪府・京都府の一部が畿内となります。
:::#:*それまで、<span id="国"/>各地の豪族(国造や県主など)がおさめていた地域を、いくつかにまとめ「'''{{ruby|国|くに}}'''」として朝廷から役人を'''{{ruby|国司|こくし}}'''として送り統治します。それまで、各地をおさめていた豪族は、朝廷の役人である'''{{ruby|郡司|ぐんじ}}'''となって、おさめていた地域で国司を補佐します。
:::#:*関所は、国境におかれて都などを守る拠点となります。また、人は田をたがやしたりする労働力なので、移動は厳しく制限されます。通行証がなければ関所は通られません。
:::#:*各国の状況は{{ruby|斥候|せっこう}}が調べて、朝廷に報告します。
:::#:*九州に大陸からの警備の兵として'''{{ruby|防人|さきもり}}'''がおかれました。
:::#:*日本中の国と都で使者をやり取りするようになったので、街道沿いには、使者が使う馬を何頭も飼って馬を乗りかえたり、夜になったら宿泊したりする「{{ruby|駅|えき}}」を作り、都との連絡が、うまくできるようにした{{ruby|駅伝|えきでん}}制を整備しました。
:::#{{ruby|戸籍|こせき}}・{{ruby|土地台帳|とちだいちょう}}を作成し、{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}をおこなう。
:::#*「公地公民」になって、朝廷は人民に土地を分け与えて農業をすることとなりました。これを、{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}といいます。
:::#*人々の名前や年齢、住所を登録した {{Ruby|戸籍|こせき}} を作成し、それにもとづいて、{{ruby|土地台帳|とちだいちょう}}に書かれた土地をわりあてます。人々はそれをたがやし収穫をあげて、その中から税をおさめるという仕組みです。
:::#今までの{{ruby|労役|ろうえき}}を廃止して、新たな{{ruby|租税|そぜい}}制度({{Ruby|田|でん}}の{{Ruby|調|ちょう}})をつくる。
:::#*今までは部民は天皇に、部曲は豪族に、収穫や工芸品などをおさめていたのですが、そのおさめる割合などは決まっていなかったところ、改新ではその内容を決めるというものです。この{{ruby|詔|みことのり}}では、田からの収穫によるものにしかふれていませんが、'''{{Ruby|租庸調|そようちょう}}'''という形にまとめられます。
:::#**'''{{Ruby|租|そ}}'''<span id="租"/>とは、田の収穫量の、約3~10%を、国におさめる税です。
:::#**'''{{Ruby|庸|よう}}'''とは、都に出てきて年10日ほど働くか、布<ref>近代になるまで、糸をつむぎ、{{ruby|布|ぬの}}を織るのは大変な作業で、布・繊維製品は大変高価なものでした。</ref>を納める税です
:::#**'''{{Ruby|調|ちょう}}'''とは、繊維製品または地方の特産物を、国に納める税です。
:::#*このほかに、兵士としてつとめる{{Ruby|兵役|へいえき}}の仕事がありました。兵役には、住まいの国の軍団に配属されるもののあれば、{{Ruby|衛士|えじ}}として都に上って宮中の護衛をしたり、最もつらかったものに九州に行って国防の任務にあたる{{Ruby|防人|さきもり}}となることもありました。
:::#*:この防人のつらさを歌った歌として、つぎのような歌が残っています。
<div style="margin:0 10em 0 12em;; width:80%; border:1px solid #000000;">
'''さきもりの歌''' (『{{Ruby|万葉集|まんようしゅう}}』より )
:: {{中付きルビ|3|唐|から|衣|ころも|裾|すそ}}に取りつき泣く子らを置きてそ来ぬや{{Ruby|母|おも}}なしにして
:::(現代語{{Ruby|訳|やく}})唐衣のにすがって泣きつく子どもたちを、(防人に出るため)置いてきてしまったなあ。あの子たちには母もいないのに。
</div>
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable" style="width:100%"
|'''【脱線 - 覚えなくてもいい話】「{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}」と昔の単位({{ruby|尺貫法|しゃっかんほう}})の話'''<small>
:<span id="班田収授"/>「{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}」によって、「みんな平等に田んぼがもらえるようになったんだ。」と思うかもしれませんが、そう言うものではありませんでした。
:まず、人々は{{ruby|良民|りょうみん}}と{{ruby|賎民|せんみん}}に分けられます。賎民は、朝廷や豊かな貴族や地方豪族などの[[#奴婢|召使いや奴隷]]です。
:6年ごとに、6歳以上の良民に対して、男性なら2{{ruby|段|たん}}、女性なら、その2/3の田が割り当てられます。この田を、'''{{ruby|区分田|くぶんでん}}'''<span id="区分田"/>といいます。
:*「{{ruby|段|たん}}」は「反」とも書きますが、広さの単位です。現在の単位で言うと1段は約12アールです。2段だと、50m四方の田んぼをイメージすればいいかと思います。
:*元々は、1{{ruby|石|こく}}(=約180リットル)の米が取れる広さを1段としていました。1石は1000{{ruby|合|ごう}}<ref>1石=10{{ruby|斗|と}}=100{{ruby|升|しょう}}=1000合</ref>で、当時は、1年を360日で計算していたので、1人1日3合(女性の場合は2合)が必要と考えていたのでしょう。「合」は、今でもお米を炊く時に使いますからみなさんイメージしやすいでしょう。ただ、「1石の米が取れる広さ」といっても決められません。ですから、1段は360{{ruby|歩|ぶ}}とされました。{{ruby|歩|ぶ}}は、1{{ruby|間|けん}}(約1.8m)四方の面積で、「{{ruby|坪|つぼ}}」と同じです。たたみ、2{{ruby|畳|じょう}}分の面積ですね。
:*割り当てられた田から、想定される収穫の3%を税として納めなければなりませんでした。2段なら2石ですから、6{{ruby|升|しょう}}となります。
:つまり、朝廷は、「1年分食べるのに困らない」面積の田と同じ広さの田をわりあて、その分から税を払い残りで生活するようにと言っていることになります。
:これですべてかと言うと、当然そうではありません。役人などは、区分田の他に、役人の位による{{ruby|位田|いでん}}(8〜80{{ruby|町|ちょう}}:1町=10段)、職務による{{ruby|職田|しょくでん}}(2〜40町)が割り当てられ、功績のある物には{{ruby|功田|こうでん}}や{{ruby|賜田|しでん}}が割り当てられました。また、寺や神社には、そこを維持するための{{ruby|寺田|じでん}}・{{ruby|神田|しんでん}}がわりあてられていました。
:これらの土地は広大で、また、日頃の職務を持つ役人や僧侶がたがやすことはできません。そこをたがやしたのは、土地に応じて割り当てられた良民らのほか、その役人や寺に属する[[#奴婢|{{ruby|家人|けにん}}や{{ruby|奴婢|ぬひ}}]]といった人たちでした。家人や奴婢にも区分田はわりあてられましたが、良民の1/3で足りることはなかったでしょうから、主人から独立はできませんでした。
:※なお、この単位については、[[小学校社会/6学年/歴史編/戦乱の世の中と日本の統一-戦国時代・安土桃山時代#太閤検地|約800年後に大きく見直されます]]。
</small>
|}</div>
:
:*'''中大兄皇子の外交'''
:*:<span id="遣唐使"/>隋が618年に{{Ruby|唐|とう}}に滅ぼされた後、蘇我蝦夷がまだ大臣の時代、遣隋使につづいて{{Ruby|遣唐使|けんとうし}}が派遣され、皇帝に遠方から来たことで歓迎されました。大化の改新以後も数度にわたって派遣し、唐との親交を深めていました。
:*:このころ、朝鮮半島の情勢が大きく変わります。唐は、勢力を伸ばしている新羅を配下に加え、隋の時代から敵対していた高句麗に対して攻撃しようとしていました。日本は、任那を失ったのちも百済とは親交を深めていたところですが、新羅はさらに勢力を伸ばそうと隣国の百済を唐とともにせめ、660年に百済をほろぼしてしまいます。百済の{{ruby|遺臣|いしん}}<ref>ほろびた国の家臣。</ref>たちは、日本にいた百済王の王子を立てて、百済の復興を望み、日本に支援を願います。朝廷はこれに応じ、約4万人<ref>日本の全人口が約600万人のころです。</ref>の兵を朝鮮半島に送ります。
:*:663年日本・百済連合軍は、唐・新羅連合軍と戦い({{ruby|白村江|はくすきのえ}}の戦い)、約1万人の戦死者をだすほどの惨敗をし、百済から多くの亡命者をひきつれ帰国します。
:*:中大兄皇子は、唐・新羅連合軍が日本に攻めてくることにそなえ<ref>実際に、北に向かった唐・新羅連合軍は、668年高句麗を滅ぼしています。</ref>、防人をおいて九州を守らせ<ref name="詔"/>、667年都を現在の大阪市にあった{{ruby|難波宮|なにわのみや}}から滋賀県の{{ruby|近江京|おうみきょう}}に移しました。翌年、天皇に即位し'''天智天皇'''となります。
:*:国内での防衛を固めると同時に、唐に何度も使いを送って友好関係を回復させようと努力しました。
:*'''律令制の成立'''
:*:白村江の戦いの敗北は、国の仕組みが遅れていることを自覚させました。唐が強大な理由の一つは、国づくりの基本がしっかりとした法律もとづいているからだと考えた天智天皇は、唐と同じような国づくりを目指して、668年に{{ruby|近江令|おうみりょう}}という法律を決めます。
:*:天智天皇は671年に亡くなり、<span id="壬申の乱"/>翌672年、天智天皇の子{{ruby|大友皇子|おおとものおうじ}}と弟{{ruby|大海人皇子|おおあまのおうじ}}がはげしく争い({{ruby|壬申|じんしん}}の乱)、大海人皇子が即位し、'''天武天皇'''となります。
:*:天武天皇は、681年、よりよい法律を定めるように命じ、686年天武天皇が亡くなったあとの689年に{{ruby|飛鳥浄御原令|あすかきよみはらりょう}}が完成しました。しかし、飛鳥浄御原令は、役所の仕組みや税の仕組みなどを決めた「{{ruby|令|りょう}}」の部分しかなく、まだ、犯罪の処罰について決めた「{{ruby|律|りつ}}」の部分はありませんでした。
:*:法律の研究はさらに進み、701年に、「律」の部分もそろった '''{{Ruby|大宝律令|たいほうりつりょう}}'''が完成して、しっかりとした法律にもとづく天皇を中心とした国づくりが完成することになります<ref>「'''日本'''」という国の名前は、大宝律令の完成にともない、「倭」に代わって、決められたとも言われています。</ref>。この律令によって、政治を行うことを「'''{{Ruby|律令制|りつりょうせい}}'''」 と言います。
:*:'''律令制の役所'''<span id="律令制"/>
:*::「令」によって、朝廷の仕組みが明確になりました。
:*::*政治を行う「{{Ruby|太政官|だじょうかん}}」と、宮中の{{Ruby|祭祀|さいし}}を行う「{{Ruby|神祇官|じんぎかん}}」に分けられます。
:*::*<span id="太政官"/>「太政官」には{{Ruby|太政大臣|だじょうだいじん}}、{{Ruby|左大臣|さだいじん}}、{{Ruby|右大臣|うだいじん}}などがいて重要なことをとりあつかいます。
:*::*「太政官」の下に、租税を扱う{{Ruby|民部省|みんぶしょう}}、軍事を扱う{{Ruby|兵部省|ひょうぶしょう}}、朝廷の財産を扱う{{Ruby|大蔵省|おおくらしょう}}など専門をあつかう、8個の役所(省)が作られました。
:*::*国司も「太政官」の下にありました。九州は、畿内から遠い一方で大陸とは近かったので、{{Ruby|太宰府|だざいふ}}と言う特別の役所がおかれました。
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable" style="width:100%"
|'''【脱線 - 覚えなくてもいい話】「{{ruby|令制国|りょうせいこく}}」の話'''<small>
:「改新の{{ruby|詔|みことのり}}」に、「[[#国|各地の豪族(国造や県主など)がおさめていた地域を、いくつかにまとめ「'''{{ruby|国|くに}}'''」として朝廷から役人を'''{{ruby|国司|こくし}}'''として送り統治します。]]」とありましたが、大宝律令の{{ruby|令|りょう}}によって、これがほぼ確定しました。「{{ruby|国|くに}}」はいろいろな意味を持っていますので、歴史の学習では、これを、「{{ruby|令|りょう}}で決めた国」という意味で「{{ruby|令制国|りょうせいこく}}」と呼んでいます。また、令制国の名を「{{ruby|旧国名|きゅうこくめい}}」ということがよくあります。
:令制国は、今の都府県(北海道と沖縄県はそのころは朝廷の支配はおよんでいませんでした)と同じくらいの広さを持つ地域です。今の県の中には、元々令制国の領域をそのまま県の領域にしたものもあります。たとえば、県の歌が『{{ruby|信濃|しなの}}の国』である長野県は「{{ruby|信濃|しなの}}」という令制国でした。同じような例は{{ruby|甲斐|かい}}(山梨県)、{{ruby|美濃|みの}}(岐阜県)、{{ruby|讃岐|さぬき}}(香川県)、{{ruby|日向|ひゅうが}}(宮崎県)など多数あります。また、{{ruby|陸奥|むつ}}(青森県、岩手県、宮城県、福島県、秋田県の一部)、{{ruby|武蔵|むさし}}(東京都、埼玉県、神奈川県の一部)のように令制国が複数の都府県に分割されたり、{{ruby|伊豆|いず}}、{{ruby|駿河|するが}}、{{ruby|遠江|とおとうみ}}で静岡県となった複数の令制国が一つの県になった例もあります。兵庫県は{{ruby|摂津|せっつ}}の西部、{{ruby|播磨|はりま}}、{{ruby|但馬|たじま}}、{{ruby|丹波|たんば}}の西部、{{ruby|淡路|あわじ}}など多数の令制国からできています。令制国は古くからありますから、同じ県でも住んでいる人々の気質が違うとはよく言われるところです。皆さんも今住んでいるところが、令制国ではなんと呼ばれていたか調べてみましょう。
:令制国の名前は、昔からの地名に漢字2文字をあてて名づけられました。3文字のものから1文字けずったり<ref>(例)上毛野→{{ruby|上野|こうずけ}}(群馬県)・下毛野国→{{ruby|下野|しもつけ}}(栃木県)</ref>、1文字のものに1文字くわえたり<ref>(例)和→{{ruby|大和|やまと}}(奈良県)・泉→{{ruby|和泉|いずみ}}(大阪府南部)</ref>しました。また、元々大きな国をいくつかに分けて、都に近い方から「前・中・後<ref>(例){{ruby|越|こし}}の国→{{ruby|越前|えちぜん}}(福井県)・{{ruby|越中|えっちゅう}}(富山県)・{{ruby|越後|えちご}}(新潟県)、{{ruby|吉備|きび}}の国→{{ruby|備前|びぜん}}(岡山県東部)・{{ruby|備中|びっちゅう}}(岡山県西部)・{{ruby|備後|びんご}}(広島県東部)</ref>」「上・下<ref>(例){{ruby|総|ふさ}}の国→{{ruby|上総|かずさ}}(千葉県中部)・{{ruby|下総|しもうさ}}(千葉県北部・茨城県南部):当時は東京湾を渡って房総半島を北上する道が通常の道でした。</ref>」をつけるやり方もありました。
:また、「旧国名」の一部、たとえば、{{ruby|長門|ながと}}(山口県北部)の「長」をとって、「{{ruby|州|しゅう}}」の字をつけ、別名を「{{ruby|長州|ちょうしゅう}}」とする呼び方もよくされています。
:「旧国名」は、今でも日常的生活でよく使います。地名では、{{ruby|大隅|おおすみ}}半島、{{ruby|信濃|しなの}}川、{{ruby|'''武蔵'''村山|むさしむらやま}}市などがあり、{{ruby|安'''芸'''|あき}}(広島県西部)と{{ruby|伊'''予'''|いよ}}(愛媛県)の間の海峡は{{ruby|芸予|げいよ}}海峡といいます。また、サツマイモは{{ruby|薩摩|さつま}}(鹿児島県)から全国に普及した芋ですし、香川県の名物は{{ruby|讃岐|さぬき}}うどんです。{{ruby|'''紀'''伊|きい}}(和歌山県・三重県南部)と{{ruby|伊'''勢'''|いせ}}(三重県北中部)を結ぶ鉄道の路線は{{ruby|紀勢|きせい}}本線と言います。身の回りに「旧国名」に関係するものがないか探してみてください。
:また、役人の国司がいた地域を{{ruby|国府|こくふ}}<span id="国府"/>といいますが、これにちなむ地名も全国に見られます。「国府」のついた地名や{{ruby|府中|ふちゅう}}などがそうです。
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|}</div>
== 奈良時代 ==
=== 平城京遷都 ===
[[File:Heijokyo.jpg|right|350px|平城京のイメージ図]]
:律令制も完成し世の中が落ち着いてきました。一方で、律令が完成したことで多くの役所が、王宮には必要となり、これまでの{{ruby|都|みやこ}}では、手ぜまになってきました。また、唐や新羅とも国交が回復し、その国の使者などが{{ruby|都|みやこ}}におとずれるようになり、威信を保つため、立派な街並みや建物などを備えることが求められました。そこで、710年、元明天皇は、現在の{{ruby|奈良|なら}}市に、「'''{{ruby|平城京|へいじょうきょう}}'''」 を建設し{{ruby|遷都|せんと}}<ref>都を移すこと。</ref>。平城京は、それまでの都に比べ巨大で、唐の都である{{ruby|長安|ちょうあん}}にならって{{ruby|碁盤|ごばん}}の目のように、区画が整理されています。この都が平城京にあった時代を '''{{ruby|奈良|なら}}時代''' といいます。
:奈良時代の初期は、律令制が確立していく時期で、いろいろな唐の文化や制度を学んで取り入れていきました。
[[Image:yakushiji_toutou_1.jpg|thumb|left|180px|薬師寺東塔]]
:*'''遣唐使の派遣と唐風文化'''
:*:[[#遣唐使|白村江の戦いにまけてからのちの数回の使者の派遣]]もあって、また、遣唐使を派遣するようになりました。遣唐使の中には、長い間留学し、その経験を朝廷で発揮するものもいました。たとえば、{{Ruby|吉備真備|きびのまきび}}は、十数年唐に留学し、多くの書物と楽器や日時計といったものを日本に持ち込み、政治の世界ではその経験をいかして[[#太政官|右大臣]]にまでなりました。また、{{Ruby|阿倍仲麻呂|あべのなかまろ}}は、真備とともに唐に渡って、学問をおさめますが、大変優秀であったため、唐の役人になり出世しました<ref>唐は、国際的な国で、中国人でなくても高位の役人になれました。</ref><ref>仲麻呂は、30年以上唐に滞在し、老齢になって日本に帰国しようと、遣唐使の帰りの船に乗りましたが、難船し船は唐に戻り、結局帰国できず唐の地で亡くなりました。</ref>。
:*:また、唐の建築様式が伝えられ、宮殿や役所、寺院などが唐風に作られました。唐風建築は、現在でも『薬師寺東塔』などに残っており、日本の寺院建築に大きな影響を残しました。
:*<span id="記紀"/>'''歴史書の{{ruby|編纂|へんさん}}'''
:*:中国の王朝には、前の王朝までの歴史を{{ruby|編纂|へんさん}}<ref>いろいろな資料を集めて、一つの書物を作ること。</ref>する習慣があります。朝廷は中国をまねて、712年に『'''{{ruby|古事記|こじき}}'''』、720年に『{{ruby|日本書紀|にほんしょき}}』を完成させました。『古事記』には、神話の時代から[[#推古|推古天皇]]にいたるまでのできごとが物語を語るように書かれていて、『日本書紀』には神話の時代から持統天皇までの歴史が、神話時代は元となる資料を比較し、天皇の代になってからは、できごとの起こった順に沿って書かれています。古事記と日本書紀は、あわせて『{{ruby|記紀|きき}}』と言っています。
:*'''万葉集'''
:*:このころになると、日本でも、漢字を使える人たちが相当に増え、そういう人の中から、漢字一文字の音を日本語の音に当てるという工夫が生まれ一般的になってきました。この工夫から、日本語の{{Ruby|詩歌|しいか}}である{{Ruby|和歌|わか}}が文字で記録できるようになりました。こうして記録した和歌をまとめた{{Ruby|万葉集|まんようしゅう}}が759年ごろに{{Ruby|編纂|へんさん}}されました。貴族だけでなく、農民など様々な身分の者が作ったと思われる和歌も{{Ruby|収録|しゅうろく}}されており、合計で4500首の歌が収録されています。このため、当時の庶民の生活の様子がよくわかったりします。
:*:また、このような、漢字で日本語の音を表す工夫を{{Ruby|万葉仮名|まんようがな}}<span id="万葉仮名"/>といい、後世の{{Ruby|仮名|かな}}(ひらがな、カタカナ)の源流となります。
:*'''{{ruby|和同開珎|わどうかいちん}}の{{ruby|鋳造|ちゅうぞう}}'''<span id="和同開珎"/>[[File:Wadōkaichin found at Sūfuku-ji Temple Site TNM front.jpg|thumb|150px|和同開珎(東京国立博物館所蔵)]]
:*:平城京完成前の708年、日本で初めて<ref>それ以前に「'''{{ruby|富本銭|ふほんせん}}'''」という貨幣があったという説がありますが、反対意見も強く決着していません。</ref>の{{ruby|貨幣|かへい}}(お金)「'''{{ruby|和同開珎|わどうかいちん}}'''<ref>{{ruby|珎|ちん}}を「{{ruby|寶|ほう}}(「宝」の旧字体)」の略字とみて「わどうかいほう」と読む説もあります</ref>」が{{ruby|鋳造|ちゅうぞう}}<ref>金属をとかして、型に流しこんで、製品を作ること。</ref>されました。
:*:貨幣(お金)ができるまでは、[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#市|{{ruby|市|いち}}]]などで、欲しいものがあって、それを手に入れるには、米などを代わりに渡さなければなりませんでした('''{{ruby|物々交換|ぶつぶつこうかん}}''')。物々交換は、相手が欲しいものを持っていないと成立しません。また、野菜や果物、魚などは大量に手に入れても傷んだり腐ったりするので、長期間保管できませんし、工芸品はそれを保管する場所が必要になるところ、貨幣(お金)の場合、農作物などを大量に手に入れた時に売って貨幣(お金)で残しておけば、別の機会に、物を買うのに使えますから無駄がありません。
:*:しかし、日本では、貨幣(お金)は一般的なものにならず、物々交換が主で、貨幣(お金)による売買が一般的になったのは、これから、600年から700年後の話になります。
:*東西の交流ー正倉院御物
:*:{{Ruby|東大寺|とうだいじ}}にある {{Ruby|正倉院|しょうそういん}} には、奈良時代の美術品や、{{Ruby|聖武天皇|しょうむてんのう}}が愛用した道具などがおさめられています。これらは、{{Ruby|正倉院御物|しょうそういんぎょぶつ}}<ref>「{{Ruby|御物|ぎょぶつ}}」とは、天皇の物について、天皇を尊敬していうことばです。</ref>と呼ばれますが、遣唐使が唐から持ち帰ったものなども多く、しかも、唐は国際的な国であったので、遠く西のペルシア(現在のイラン)あたりから伝えられたものもあり、世界的に大変貴重なものとなっています。
<gallery widths="200px">
Image:Shoso-in.jpg|正倉院正倉
Image:Azekura-dukuri JPN.JPG|正倉院の宝物庫
Image:RED LACQUERED CABINET Shosoin N2.JPG|{{Ruby|赤漆文欟木御厨子|せきしつぶんかんぼくのおんずし}}
Image:8Lobed Mirror Inlay Shosoin.jpg|{{Ruby|平螺鈿背八角鏡|へいらでんはいのはっかくきょう}}
Image:Silver Backed Bronze Mirror Shosoin.JPG|{{Ruby|金銀山水八卦背八角鏡|きんぎんさんすいはっけはいのはっかくきょう}}
Image:LADIES UNDER TREES SCREEN4th Shosoin.JPG|{{Ruby|鳥毛立女屏風|とりげりつじょのびょうぶ}}第4(部分)
Image:ROCHECHI Screen Panel Shosoin NH44.JPG|{{Ruby|羊木臈纈屏風|ひつじきろうけちのびょうぶ}}
Image:Silver Incense Burner Shosoin.JPG|{{Ruby|銀薫炉|ぎんのくんろ}}
Image:Gold Silver Painted BOX Shosoin.JPG|{{Ruby|蘇芳地金銀絵箱蓋|すおうじきんぎんえのはこ}}
</gallery>
:::::※その他、有名な所蔵品に「{{Ruby|螺鈿紫檀五絃琵|らでんしたんごげんのびわ}}」や「{{Ruby|瑠璃杯|るりのつき}}」などがあります。
{{-}}
[[File:Daibutsu of Todaiji 3.jpg|thumb|left|250px|東大寺の大仏]]
=== 仏教の興盛 ===
[[File:Emperor Shomu Face.svg|thumb|180px|聖武天皇]]
:<span id="奈良仏教"/>8世紀のなかごろ、都では病気が流行し、多くの死者が出たり、さらに、貴族の反乱が起きたりしたため、世の中に不安が広がりました。仏教を深く信じた'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#聖武天皇(しょうむてんのう)|聖武天皇]]|しょうむてんのう}}'''は、仏教の力を借りて人々の不安をしずめ、社会を安定させようとしました<ref>仏教に対する、このような考えを{{ruby|鎮護国家|ちんごこっか}}といいます。</ref>。
:まず741年に国ごとに{{ruby|国分寺|こくぶんじ}}と{{ruby|国分尼寺|こくぶんにじ}}を建てさせました。そして、都には国分寺の総本山として{{ruby|東大寺|とうだいじ}}を建てさせ、そのなかに銅製の'''大仏'''を作らせました。そのころには、この巨大な仏像(高さ約15m、周囲約70m)を作る金属加工の技術はありましたが、これほど大きな仏像を作った経験はなかったため、建立には苦労をきわめ、752年の完成まで7年かかりました。
{{-}}
[[File:Gyouki Face.jpg|thumb|180px|行基]]
:仏教はもともと、[[#渡来人|渡来人]]が伝え、一族の宗教とし、やがて、天皇をはじめとする支配階級に広がっていったものでした。遣唐使にともなって留学し、帰国して寺を開く僧もふえ、平城京には多くの寺とそこで学ぶ僧が見られるようになりましたが、彼らの多くは仏教を学問としてとらえ、民衆のことを考えることはあまりありませんでした。
:このころ、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#行基(ぎょうき)|行基]]|ぎょうき}}'''という僧がいました。かれは、渡来人の子孫で、身分を問わず用水の池や橋を造りながら、諸国をまわって教えを説いていたので、多くの人々にしたわれていました<ref>この民衆の生活に深くかかわろうとする教えは、{{Ruby|道昭|どうしょう}}に学びました。道昭は遣唐使で留学し、{{Ruby|玄奘|げんじょう}}に学んでいます。玄奘は、『西遊記』の三蔵法師のモデルになった人です。</ref>。はじめのうちは、当時、民衆への仏教の直接の布教は禁止されており危険な人物と思われ、朝廷は行基の行動をとりしまりました。しかし、民衆や地方豪族の支持を集め、朝廷も危険な行動ではないと理解し、とりしまりをゆるめました。
:こうしたなか、大仏建立には、とても多くの人々の支持と労働力を必要とするので、朝廷は、人々にしたわれていた行基を、日本の仏教の最高峰である'''{{Ruby|大僧正|だいそうじょう}}'''に任じて、大仏建立を主導させました。
[[File:Jianzhen (Tōshōdai-ji, 2).jpg|thumb|left|180px|鑑真]]
:遣唐使で唐に向かった多くの日本の僧が学ぶにつれ、唐の僧の中にも日本に興味をいだく者が出てきました。'''{{Ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#鑑真(がんじん)|鑑真]]|がんじん}}'''がそのひとりです。鑑真は、その当時の唐にあって、僧となるものに戒律を与える教えの第一人者で、日本の留学僧の招きに応じ、日本に渡ろうとしましたが、最初は皇帝からの許可が降りず、許可を得てから渡ろうとして、5回も失敗し、6回目にようやく日本に着きました。6回目に日本についたころには、失明していました。鑑真は、奈良に '''{{Ruby|唐招提寺|とうしょうだいじ}}''' を開き,そして多くの日本人の僧を育てました。
{{-}}
=== 律令制のいきづまり ===
:こうして、聖徳太子がはじめ、大化の改新をへて、「天皇中心の国づくり」と言う考えは、律令制で完成するのですが、奈良時代の半ばにはすでにいきづまりを見せていました。
:国は、人々から「税」を集めることで政治を行うことができます。律令制では、「[[#租|租]]」が最も重要な税で、それは、「[[#班田収授|班田収授法]]」でわりあてられた田から得られるものでした。「班田収授法」は、戸籍や土地台帳の整備など実施には大変難しい点があり、畿内以外の全国で実施できたのかはうたがわしいものがあります。地方では、できたとしても[[#国府|国府]]近辺のごく一部ではなかったかと言われています。
:また、班田収授法が実施できた地域でも問題がありました。
:人口が増えると、新たな[[#口分田|口分田]]をわりあてるために新たに土地を{{ruby|開墾|かいこん}}しなければならないのですが、開墾しても朝廷の土地(公地)となるのでは誰も開墾しないと言うことです。
:朝廷は723年に開墾した土地は三世代(自分-子-孫 又は 子-孫-曾孫)にわたって私有を認める{{ruby|三世一身法|さんぜいっしんのほう}}を出して開墾を勧めますが、それでも十分ではなく<ref>三世代目で、朝廷におさめることになるので、耕作をやめて荒地にもどすようになりました。ただし、墾田永年私財法までの20年で三世代目になった例は少なかったのではないかといわれ、墾田永年私財法を求めた勢力がひろめた話とも言われています。</ref>、<span id="墾田永年私財法"/>743年{{ruby|墾田永年私財法|こんでんえいねんしざいほう}}が出され、新たに開墾した土地は、税は納めますが自分の土地として売ったり相続したりできることとなりました。
:墾田永年私財法で、積極的に開墾を行なったのは、貴族や大きな寺で、これらが勢力を持って「天皇中心」がゆらいでいくことになります。
== 脚注 ==
以下は学習の参考ですので覚える必要はありません。<small>
<references/></small>
----
{{前後
|type=章
|[[小学校社会/6学年/歴史編]]
|[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の流れをつかもう|日本の歴史の流れ]]
|[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり|歴史の始まり]]
|[[小学校社会/6学年/歴史編/貴族の文化-平安時代|貴族の文化-平安時代]]
}}
[[Category:社会|しようかつこうしやかい6]]
[[Category:小学校社会|6ねん]]
[[Category:小学校社会 歴史|#04]]
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2022-08-26T01:59:22Z
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wikitext
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{{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|小学校の学習|小学校社会|小学校社会/6学年|小学校社会/6学年/歴史編|frame=1}}
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|+ この章の概要
|<!--飛鳥時代(聖徳太子の政策、遣隋使)から奈良時代にかけて--><!--(イ) 大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子を手掛かりに,天皇を中心とした政治が確立されたことを理解すること。-->
★時代区分:飛鳥時代、奈良時代</br>
★取り扱う年代:おおむね6世紀以前から794年(平安遷都)まで
;飛鳥時代
: 大和朝廷によって日本が統一されると、ますます、大陸との行き来が増えました。朝鮮半島から技術や文化を持った人々が定住し、これらを伝えました('''渡来人''')。また、仏教が日本に伝えられたのもこのころです。
: 当時、中国では「'''{{ruby|隋|ずい}}'''」が国を統一し強力なものとなっていました。推古天皇の皇太子である'''聖徳太子'''は、隋にならって天皇中心の強力な政治を進めるため、役人の心得をしるした「'''十七条の憲法'''」をあらわし、序列を明らかにする「'''冠位十二階'''」を定めました。また、'''小野妹子'''などを隋に派遣し('''遣隋使''')、隋と親交を結ぶとともに、隋の制度などを学ばせました。なお、まもなく隋は「'''{{ruby|唐|とう}}'''」に滅ぼされますが、中国への派遣はつづき、これを'''遣唐使'''と言います。また、仏教がさかんになり、'''法隆寺'''などの寺院が建てられました。これは、都が{{ruby|飛鳥|あすか}}(奈良県中部)を中心にくりひろげられたので、この時代を「'''飛鳥時代'''」と言います。
:大化の改新
: 聖徳太子が亡くなったのち、最も勢力を持っていた蘇我氏を中大兄皇子(後の'''天智天皇''')は中臣鎌足('''藤原鎌足'''、「'''藤原氏'''」の始祖)らとともに討ち、天皇中心の政治を一層強力なものにしました。例えば、土地は天皇のものとして人々に均等に分け与え、'''{{ruby|租|そ}}{{ruby|庸|よう}}{{ruby|調|ちょう}}'''といった税を徴収する制度('''公地公民制''')などがすすめられました。また、この時、中国にならって、初めて'''元号'''「大化」を定めました。これらの事件や改革を'''大化の改新'''と言います。このころ、朝鮮半島では'''{{ruby|新羅|しらぎ}}'''が統一を進めていて、唐と連合して'''{{ruby|百済|くだら}}'''を攻めました。百済は日本に助けを求め、日本は百済とともに新羅・唐と戦いましたがやぶれ、多くの百済の人々が日本へ移り住みました。
;奈良時代
: 朝廷は、国づくりをすすめるのに、'''{{ruby|律令|りつりょう}}'''という法律を作り、それにもとづく政治が行われるようになりました('''律令制''')。また、それまでは、天皇が変わるたびに都を移していたのですが、現在の奈良市に大規模な都「'''平城京'''(奈良の都)」を作り、そこで天皇が代わっても引き続いて政治を行うようになりました。また、このころ、初めて貨幣が作られました('''和同開珎''')。
: 平城京には、遣唐使で留学した僧や来日した僧によって多くの寺院が作られました。'''聖武天皇'''は即位した頃、地震や疫病などの災いが起こったのを受け、仏教に救いを求めて、全国に'''国分寺'''や'''国分尼寺'''を建立しました。これ話の総本山として奈良に'''東大寺'''をつくり、そこに大仏('''奈良の大仏''')を作りました。
: 平城京に都のあった時代を「'''奈良時代'''」と言います。
|}
== 飛鳥時代 ==
=== 大和政権の政治 ===
:[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#大和政権|大和政権は5世紀後半から6世紀前半にかけて、日本の「くに」を統一しました]]。しかし、統一前は各地の「くに」の王であったものが、大和政権にしたがって{{ruby|国造|くにのみやつこ}}や{{ruby|県主|あがたぬし}}などといわれる称号<ref>このような称号を{{ruby|姓|かばね}}といいます。「かばね」は、個人に与えられたものではなく、一族全体で称したものです。</ref>のついた豪族となっただけで、大和朝廷との関係はうすいものでした。他方で、{{ruby|大王|おおきみ}}のまわりの朝廷も、{{ruby|臣|おみ}}、{{ruby|連|むらじ}}、{{ruby|伴造|とものみやつこ}}などの様々な称号のついた豪族によってなりたっており、なかでも{{ruby|大臣|おおおみ}}である{{ruby|蘇我|そが}}氏、{{ruby|大連|おおむらじ}}である{{ruby|物部|もののべ}}氏や{{ruby|大伴|おおとも}}氏といった豪族が有力となっており、それらが、きそっていました。
:<span id="渡来人"/>また、このころ、日本は朝鮮半島との間に深い関係がありました。朝鮮半島は、中国に隣接しており高い技術や文化が伝わっていたので、それらを持った人々が多く日本にやってきて、日本に住み着きます。この人々を'''{{ruby|渡来人|とらいじん}}'''といいます。日本に、'''仏教'''が伝わったのもこのころです。はじめは、渡来人たちの宗教として広まり、やがて6世紀のなかば、朝鮮半島南西部にあって親密な関係にある'''{{ruby|百済|くだら}}'''の国王から、{{ruby|大王|おおきみ}}あてに正式に伝わりました。
:前の章で書かれたとおり、[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#好太王の碑|倭が朝鮮半島の'''{{ruby|高句麗|こうくり}}'''にせめいったことの記録があります。]]日本は、当時、朝鮮半島の南に{{ruby|任那|みまな}}と呼ばれた領土があったのではないかと考えられてもいますが、朝鮮半島南東部の'''{{ruby|新羅|しらぎ}}'''がだんだん勢力を伸ばしてきて、任那を攻めとってしまいます。
:大和政権は、これに兵を送りましたが、任那はとりもどせませんでした。また、地方の豪族たちもしばしば反乱を起こしました。大和政権は、統一にともなって、支配する地域が広がり、そこに住む人々の数も大きくふえたため、たとえば、戦争を行うとか反乱をおさめるために兵士を集めるなど、それまでのような、豪族の連合では問題の解決が難しくなっていました。
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable" style="width:100%"
|'''【脱線 - 覚えなくてもいい話】<span id="部民"/>大和政権の国の仕組みと苗字(姓)'''<small>
:大和政権は、日本を統一したといっても、それは、豪族の連合であって、国としてのまとまりは弱いものでした。
:このころは、「税」か土地を有する主人と人民の間のやりとりなのかはあいまいで、大和政権が征服した土地の一部を、{{ruby|大王|おおきみ}}の土地として、各地の豪族(国造や県主など)にまかせて、そこからの収穫を都におくるというものでした。このような土地を「{{ruby|屯倉|みやけ}}」と言います。「{{ruby|三宅|みやけ}}」さんという苗字(姓)はこれに由来します。なお、各地の豪族が支配した土地を、「{{ruby|田荘|たどころ}}」と言います。「{{ruby|田所|たどころ}}」という苗字の方もいますね。
:また、{{ruby|大王|おおきみ}}は、職業別の人民のグループをしたがえていて、屯倉(農地)で働かせたり、ニワトリを飼わせたり、工芸品を作らせたりしました。そこから得られるものも大和朝廷のものとなりました。この人民のグループを「{{ruby|部民|べのたみ}}」と言います。田をたがやす{{ruby|田部|たべ}}、ニワトリを飼う{{ruby|鳥飼部|とりかいべ}}、土器を作る{{ruby|土師部|はじべ}}などさまざまな部民がいました。また、豪族のもとにも同じような、人民のグループがいて、それらの人々は「{{ruby|部曲|かきべ}}」と言われてました<ref><span id="奴婢"/>部民・部曲の他、主人が売り買いすることもある召使いや{{ruby|奴隷|どれい}}のような{{ruby|身分|みぶん}}である、{{ruby|家人|けにん}}や{{ruby|奴婢|ぬひ}}と呼ばれる人々もいました。</ref>。その部民の中に、川の渡し船を職業としたグループがいます。河川を使った水運や大きな橋のない時代に、陸上交通を助けたりもしたでしょう。この部民を「渡部」と書いて「わたべ」「わたなべ」と読みます。きっと、皆さんのだれかの苗字か、知り合いの苗字ですよね。もどっていえば、「田部・多部・田辺」さん、「鳥飼」さんとか「土師」さんとかもいませんか。
:服を作る部民を「服部」といいます。「はっとり」さんですよね。これは、もとは「はとりべ」と呼ばれていて、「はたおり」からきています。
:
:以上の話を、簡単に表にすると以下のようになります。
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable"
! !! 支配する土地 !! 支配する人民
|-
! {{ruby|大王|おおきみ}}(天皇)
| {{ruby|屯倉|みやけ}} || {{ruby|部民|べのたみ}}
|-
! 豪族
| {{ruby|田荘|たどころ}} || {{ruby|部曲|かきべ}}
|}
</div></small>
|}</div>
[[File:Prince Shotoku face.svg|180px|thumb|聖徳太子]]
=== 聖徳太子 ===
:大和の有力な豪族どうしの争いは、まず、大伴氏は政治を失敗して勢力が弱くなります。のこった蘇我氏の{{ruby|蘇我馬子|そが の うまこ}}と物部氏の{{ruby|物部守屋|もののべ の もりや}}は、{{ruby|用明|ようめい}}天皇<ref>聖徳太子の父になります。</ref>の死後、誰を天皇とするかで争います。これは、大和朝廷で仏教を信仰するかという争いでもありました。馬子<ref><span id="呼称"/>歴史では、個人を指すのに、しばしば下の名前だけでさししめすことがあります。姓名ともに記述すると長くなってしまいますし、代名詞「彼・彼女」では、複数の人物が登場したときに誰を指すのかがわかりにくくなります。上の名前(氏姓・苗字)では、後から出てくる藤原氏・源氏・徳川氏など同じ一族の区別がつきません。日本人の本名である{{ruby|諱|いみな}}は、重なることが少ないため、そのような取り扱いになります。ただし、明治以降は、特定の一族ばかりが活躍することも少なくなり、また、姓の種類が増えたこともあって、上の名前(姓)で個人を指すことが増えます。</ref>は、仏教をとりいれる立場で守屋はそれに反対する立場でした。馬子は、この争いに勝ち、大きな権力をにぎります。馬子は、次の天皇を自分の思いのままにならないからという理由で殺してしまい、593年、初めて女性の天皇である<span id="推古"/>{{ruby|推古|すいこ}}天皇を即位させます。馬子は女性の天皇だと戦争などの時に不安があるため、おいの{{ruby|厩戸王|うまやどのおう}}を{{ruby|摂政|せっしょう}}とし、政治を補佐させます。これが、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#聖徳太子(しょうとくたいし)|聖徳太子]]|しょうとくたいし}}'''です<ref name="太子">「聖徳太子」は、死後につけられた名前です。歴史の学習では、「太子」だけで「聖徳太子」をさすことがよくあります。なお、本文中「-天皇」と書いていますが、この時代「天皇」という言葉は、まだありません。この前の節までは、大和政権の長をあらわすのに、その時代に使われていた{{ruby|大王|おおきみ}}という表現をしていましたが、聖徳太子の時代以降は、個々の天皇を個人名として表す必要があるため、「-天皇」という表現とします。</ref>。聖徳太子は摂政の立場で、豪族の集団の政治から、'''天皇中心の政治'''を目指します。また、お寺をつくるなどして、仏教文化をさかんにします。これは、都が{{ruby|飛鳥|あすか}}(奈良県中部)を中心にくりひろげられたので、この時代を「'''飛鳥時代'''」と言います。
:太子<ref name="太子"/>は、仏教の信仰が厚く、また、深く研究していたと伝えられます。摂政となる前、馬子と守屋の戦いでは、仏教方である馬子がわにあって、{{ruby|四天王|してんのう}}の像をほって、勝ったならば寺を作ってまつると祈りました。戦いに勝った結果建てられたのが、現在大阪市にある、四天王寺というお寺です。
:太子が摂政になった当時、中国では「'''{{ruby|隋|ずい}}'''」が南北に分かれた中国を統一し強力なものとなっていました。[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#南北|大和朝廷は南の王朝には何度も使者を送っていた]]のですが、北の王朝へは送っておらず様子があまりわかりませんでした。600年太子は隋に使者を送って様子をみさせます('''{{ruby|遣隋使|けんずいし}}''')。使者は、隋からもどって、太子に隋の進んだ政治、特に皇帝に権力がまとまった様子({{ruby|中央集権|ちゅうおうしゅうけん}})を報告します。太子は、深く納得して、豪族たちの争う大和政権の仕組みをかえようととりくみ、以下のようなことをおこないました。
:'''聖徳太子の改革'''
::*'''{{ruby|冠位十二階|かんいじゅうにかい}}の制'''
::*:603年、太子は朝廷に使えるものを役割の重さにしたがって、12の段階に分け、それを冠の色で見分けられるようにしました。それまでは、臣・連・国造などの称号が多数あってその関係は明確ではなく、また、それは豪族一族に認められたものでしたが、この制度によって、一族ではなく、能力のある個人に役職があたえられることになりました。この、冠位の制度は、「{{ruby|位階|いかい}}<ref name="位階">役人の順番を表したもの。後世には、「正一位、従一位、・・・」と言うように表すようになりました。</ref>」の形となって後世まで引き継がれます。
::*'''{{ruby|十七条|じゅうしちじょう}}の{{ruby|憲法|けんぽう}}'''
::*:役人としてのこころがまえをしるしました。一人で決めないで、みんなで相談して決めることなどが説かれ、また、仏教を信じることなどが決められています。
<div style="margin:0 4em 0 8em">
{| style="border:1px solid #777; background-color:#ffffff; width:60%; margin:0.25em 0"
| style="padding:0.25em 0.5em" |'''十七条の憲法(要約)'''
:1条 争いをやめ、なかよくしなさい。
:2条 仏教を厚く保護しなさい。
:3条 天皇の命令にはしたがいなさい。
:5条 裁判は、公正に行いなさい。
:12条 農民などの{{ruby|民|たみ}}から、勝手に税やみつぎ物をとってはいけません。
:17条 重要なことを決めるときには、話し合いで決めなさい。
|}</div>
:[[ファイル:Horyu-ji08s3200.jpg|thumb|法隆寺。{{ruby|金堂|こんどう}}と{{ruby|五重塔|ごじゅうのとう}}]][[File:Shakyamuni Triad Horyuji2.JPG|thumb|法隆寺の{{ruby|釈迦三尊像|しゃかさんぞんぞう}}(金堂)]]
::*'''{{ruby|遣隋使|けんずいし}}'''
::*:607年、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#小野妹子(おののいもこ)|小野妹子]]|おののいもこ}}'''に太子の手紙を持たせて、ふたたび隋に使者を送りました。609年、やはり、小野妹子が使者となり派遣されました。この遣隋使には、国の制度を学ぶための留学生や仏教を学ぶための留学僧を多数ともなっていました。遣隋使は、610年、614年にも送られます。
::*'''仏教の普及'''
:::*仏教を深く研究し、お経の解説書をあらわしました。
:::*四天王寺ほか多くの寺を{{Ruby|建立|こんりゅう}}<ref>寺などを建てること。</ref>しました。
:::*:607年に、{{ruby|斑鳩|いかるが}}に建てた'''{{Ruby|法隆寺|ほうりゅうじ}}'''は特に有名です。
:::*:*法隆寺は、現存する木造建築としては世界最古といわれています<ref>ただし、太子の死後、まもなく火災にあい、現在のものは670年に立て直されたものと言われています。それでも、世界最古の木造建築物です。</ref>。また、法隆寺金堂の釈迦三尊像<ref>渡来人系の{{ruby|鞍作止利|くらつくりのとり}}が聖徳太子の病気回復を祈って制作し、太子の死後完成したものとされます。また、真ん中の釈迦は聖徳太子をモデルにしたとも伝えられています。</ref>など国宝に指定されているものが数多くあります。法隆寺は、1993年に世界文化遺産に登録されました。
::*その他
::*:初めて、日本の歴史書『天皇記』『国記』をまとめさせましたが、現在は残っていません。
:'''聖徳太子の改革の結果'''
::622年、聖徳太子は亡くなりました。推古天皇(628年没)よりも先に亡くなったため天皇になることはありませんでした。
::聖徳太子の改革によって大和政権はどうかわったでしょうか。冠位十二階や十七条の憲法によって、大和政権は天皇を中心とした政権であることが理解されたのではないかと思います。しかしながら、法律などを決めて政治のルールにするまでは達しませんでしたし、多くの豪族の勢力は弱まったものの、太子の政策は、馬子<ref>太子の{{ruby|妃|きさき}}は馬子の娘です。</ref>(626年没)の協力があってなされたため最大の豪族である蘇我氏は強い勢力をもちつづけました。聖徳太子の改革は、天皇中心の政治に向けて「さきがけ」となったと言えるでしょう。太子のやりのこしたことを、これからのべる「大化の改新」や「律令制」で完成させるのです。
::隋との外交はうまくいった方でしょう。隋に留学した人々は、あらたな知識を持って日本に帰ってきました。ただ、隋は、618年、太子が生きている間に、{{ruby|唐|とう}}にほろぼされます。太子は、新たな王朝と外交を始めなければならないと心配していたのではないでしょうか。
::聖徳太子の功績で最も大きいものは、仏教の普及だとおもわれます。聖徳太子が、摂政である時期、多くの寺が建立され、朝廷内にも定着しました。
=== 大化の改新と律令制の成立 ===
:聖徳太子の改革の後も、蘇我氏だけは強い勢力をもちつづけました。626年馬子が亡くなると、その子である蘇我{{ruby|蝦夷|えみし}}が{{ruby|大臣|おおおみ}}の地位をつぎました。蝦夷は、推古天皇の死後の{{ruby|舒明|じょめい}}天皇の即位、その次の{{ruby|皇極|こうぎょく}}天皇の即位にあたって口を出すほどの権力をもちました。642年、蝦夷は生きている間に子の蘇我{{ruby|入鹿|いるか}}に{{ruby|大臣|おおおみ}}を天皇のゆるしなくゆずりました。入鹿は聖徳太子の天皇中心の政治をめざす人々と対立し、643年には聖徳太子の子の{{ruby|山背大兄王|やましろのおおえのおう}}をせめほろぼします。
:645年、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)|中大兄皇子]]|なかのおおえのおうじ}}'''は、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#中臣鎌足(なかとみのかまたり)|中臣鎌足]]|なかとみのかまたり}}''' とはかってくわだてて、宮中で入鹿を殺し、そのまま、蝦夷の屋敷をせめて、自殺させます({{ruby|乙巳|いっし}}の{{ruby|変|へん}})。
:こうして、力を持った豪族はいなくなったので、中大兄皇子たちは、天皇中心の政治を行うために改革を行います。中大兄皇子は、聖徳太子と同じように皇太子として、この改革をおこないます。
:*'''元号の制定'''
:*:はじめて、「'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/はじめに#元号|元号]]|げんごう}}'''」をさだめて「'''{{ruby|大化|たいか}}'''」としました。元号は元々中国の習慣で、{{ruby|暦|こよみ}}を皇帝(日本では天皇)が決めることができるというものです。
:*:ここから、これから行われる改革を「'''{{Ruby|大化|たいか}}の{{Ruby|改新|かいしん}}'''」といいます。
:*'''改新の{{ruby|詔|みことのり}}'''
:*:翌646年、改革の内容を示した「改新の{{ruby|詔|みことのり}}<ref>天皇の命令</ref>」が出されます。以下の4か条です<ref name="詔">ただし、これは『日本書紀』に書かれたことであって、現在の研究では646年に、このようなまとまったもので出されたわけではなく、何年もかけて整備されていったものだとされています。たとえば、「防人」が、この{{ruby|詔|みことのり}}に出てきますが、実際、九州に配置されたのは663年以降とされています。</ref>。これにさらに明細にあたる副文がそえられています。
<div style="margin:0 4em 0 8em">
{| style="border:1px solid #777; background-color:#ffffff; width:100%; margin:0.25em 0"
| style="padding:0.25em 0.5em" |'''改新の{{ruby|詔|みことのり}}'''(大意)
#[[#部民|今までの、天皇の{{ruby|部民|べのたみ}}と各地の{{ruby|屯倉|みやけ}}、そして豪族の所有する{{ruby|部曲|かきべ}}」の民と各地の{{ruby|田荘|たどころ}}]]を廃止する。
#{{ruby|都|みやこ}}を定め、{{ruby|畿内|きない}}・{{ruby|国司|こくし}}・{{ruby|郡司|ぐんじ}}・{{ruby|関所|せきしょ}}・{{ruby|斥候|せっこう}}・{{ruby|防人|さきもり}}・{{ruby|駅伝|えきでん}}制などの制度を導入し、通行証を作成し、国郡の境界を設定することとする。
#{{ruby|戸籍|こせき}}・{{ruby|土地台帳|とちだいちょう}}を作成し、{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}をおこなう。
#今までの{{ruby|労役|ろうえき}}を廃止して、新たな{{ruby|租税|そぜい}}制度({{Ruby|田|でん}}の{{Ruby|調|ちょう}})をつくる。
|}</div>
:::おのおの、解説します。
:::#天皇の{{ruby|部民|べのたみ}}と各地の{{ruby|屯倉|みやけ}}、そして豪族の所有する{{ruby|部曲|かきべ}}」の民と各地の{{ruby|田荘|たどころ}}を廃止する。
:::#:<span id="公地公民"/>大化の改新までは、土地・人民とも、天皇(=大和朝廷=日本)に属するのと、豪族に属するのがあったけれども、すべて、天皇に属するものとするということです。これを、 '''{{Ruby|公地公民|こうちこうみん}}''' といいます。
:::#:簡単にいえば、豪族から土地と人民<ref>{{ruby|家人|けにん}}・{{ruby|奴婢|ぬひ}}といった人々は、そのまま、豪族などのものとされました。</ref>をとりあげたということです。かわって、これらの豪族は朝廷の役人となり、役人の官位({{ruby|官職|かんしょく}}と{{ruby|位階|いかい}}<ref name="位階"/>)にあわせた報酬があたえられるようになりました。このことで、豪族は、朝廷にしたがうものとなりました。役人には、だれでもなれることになっていましたが、実際になるのは、このようなもともと豪族だった役人の子孫ばかりでした。こののちの時代にかけて、このようにもともと豪族であった中央の役人やその一族を「'''{{ruby|貴族|きぞく}}'''」と呼ぶことにしましょう。
:::#{{ruby|都|みやこ}}を定め、{{ruby|畿内|きない}}・{{ruby|国司|こくし}}・{{ruby|郡司|ぐんじ}}・{{ruby|関所|せきしょ}}・{{ruby|斥候|せっこう}}・{{ruby|防人|さきもり}}・{{ruby|駅伝|えきでん}}制などの制度を導入し、通行証を作成し、国郡の境界を設定することとする。
:::#:都と地方の政治についてさだめます。
:::#:*{{ruby|都|みやこ}}を定めます。改新前は、朝廷は天皇の住まい周辺に集まったもので、あまり大規模ではありませんでした。天皇中心の政治を行うにあたっては、役人の数もふえ、役所などの規模が大きくなっていきます。そこで、単に天皇の住まいではなく、国全体をおさめる都市として、{{ruby|都|みやこ}}を考えるようになります。大化の改新当初は小規模で、よく移転しましたが、やがて、平城京という大きな都ができ、安定します。
:::#:*{{ruby|畿内|きない}}<ref>「きだい」とも読みます。</ref>は、都近辺の国です。都の政治の影響もあるため、国の中でも特別なあつかいをします。今の日本で「首都圏」のようなものです。現在の奈良県・大阪府・京都府の一部が畿内となります。
:::#:*それまで、<span id="国"/>各地の豪族(国造や県主など)がおさめていた地域を、いくつかにまとめ「'''{{ruby|国|くに}}'''」として朝廷から役人を'''{{ruby|国司|こくし}}'''として送り統治します。それまで、各地をおさめていた豪族は、朝廷の役人である'''{{ruby|郡司|ぐんじ}}'''となって、おさめていた地域で国司を補佐します。
:::#:*関所は、国境におかれて都などを守る拠点となります。また、人は田をたがやしたりする労働力なので、移動は厳しく制限されます。通行証がなければ関所は通られません。
:::#:*各国の状況は{{ruby|斥候|せっこう}}が調べて、朝廷に報告します。
:::#:*九州に大陸からの警備の兵として'''{{ruby|防人|さきもり}}'''がおかれました。
:::#:*日本中の国と都で使者をやり取りするようになったので、街道沿いには、使者が使う馬を何頭も飼って馬を乗りかえたり、夜になったら宿泊したりする「{{ruby|駅|えき}}」を作り、都との連絡が、うまくできるようにした{{ruby|駅伝|えきでん}}制を整備しました。
:::#{{ruby|戸籍|こせき}}・{{ruby|土地台帳|とちだいちょう}}を作成し、{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}をおこなう。
:::#*「公地公民」になって、朝廷は人民に土地を分け与えて農業をすることとなりました。これを、{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}といいます。
:::#*人々の名前や年齢、住所を登録した {{Ruby|戸籍|こせき}} を作成し、それにもとづいて、{{ruby|土地台帳|とちだいちょう}}に書かれた土地をわりあてます。人々はそれをたがやし収穫をあげて、その中から税をおさめるという仕組みです。
:::#今までの{{ruby|労役|ろうえき}}を廃止して、新たな{{ruby|租税|そぜい}}制度({{Ruby|田|でん}}の{{Ruby|調|ちょう}})をつくる。
:::#*今までは部民は天皇に、部曲は豪族に、収穫や工芸品などをおさめていたのですが、そのおさめる割合などは決まっていなかったところ、改新ではその内容を決めるというものです。この{{ruby|詔|みことのり}}では、田からの収穫によるものにしかふれていませんが、'''{{Ruby|租庸調|そようちょう}}'''という形にまとめられます。
:::#**'''{{Ruby|租|そ}}'''<span id="租"/>とは、田の収穫量の、約3~10%を、国におさめる税です。
:::#**'''{{Ruby|庸|よう}}'''とは、都に出てきて年10日ほど働くか、布<ref>近代になるまで、糸をつむぎ、{{ruby|布|ぬの}}を織るのは大変な作業で、布・繊維製品は大変高価なものでした。</ref>を納める税です
:::#**'''{{Ruby|調|ちょう}}'''とは、繊維製品または地方の特産物を、国に納める税です。
:::#*このほかに、兵士としてつとめる{{Ruby|兵役|へいえき}}の仕事がありました。兵役には、住まいの国の軍団に配属されるもののあれば、{{Ruby|衛士|えじ}}として都に上って宮中の護衛をしたり、最もつらかったものに九州に行って国防の任務にあたる{{Ruby|防人|さきもり}}となることもありました。
:::#*:この防人のつらさを歌った歌として、つぎのような歌が残っています。
<div style="margin:0 10em 0 12em;; width:80%; border:1px solid #000000;">
'''さきもりの歌''' (『{{Ruby|万葉集|まんようしゅう}}』より )
:: {{中付きルビ|3|唐|から|衣|ころも|裾|すそ}}に取りつき泣く子らを置きてそ来ぬや{{Ruby|母|おも}}なしにして
:::(現代語{{Ruby|訳|やく}})唐衣のにすがって泣きつく子どもたちを、(防人に出るため)置いてきてしまったなあ。あの子たちには母もいないのに。
</div>
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable" style="width:100%"
|'''【脱線 - 覚えなくてもいい話】「{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}」と昔の単位({{ruby|尺貫法|しゃっかんほう}})の話'''<small>
:<span id="班田収授"/>「{{ruby|班田収授法|はんでんしゅうじゅのほう}}」によって、「みんな平等に田んぼがもらえるようになったんだ。」と思うかもしれませんが、そう言うものではありませんでした。
:まず、人々は{{ruby|良民|りょうみん}}と{{ruby|賎民|せんみん}}に分けられます。賎民は、朝廷や豊かな貴族や地方豪族などの[[#奴婢|召使いや奴隷]]です。
:6年ごとに、6歳以上の良民に対して、男性なら2{{ruby|段|たん}}、女性なら、その2/3の田が割り当てられます。この田を、'''{{ruby|区分田|くぶんでん}}'''<span id="区分田"/>といいます。
:*「{{ruby|段|たん}}」は「反」とも書きますが、広さの単位です。現在の単位で言うと1段は約12アールです。2段だと、50m四方の田んぼをイメージすればいいかと思います。
:*元々は、1{{ruby|石|こく}}(=約180リットル)の米が取れる広さを1段としていました。1石は1000{{ruby|合|ごう}}<ref>1石=10{{ruby|斗|と}}=100{{ruby|升|しょう}}=1000合</ref>で、当時は、1年を360日で計算していたので、1人1日3合(女性の場合は2合)が必要と考えていたのでしょう。「合」は、今でもお米を炊く時に使いますからみなさんイメージしやすいでしょう。ただ、「1石の米が取れる広さ」といっても決められません。ですから、1段は360{{ruby|歩|ぶ}}とされました。{{ruby|歩|ぶ}}は、1{{ruby|間|けん}}(約1.8m)四方の面積で、「{{ruby|坪|つぼ}}」と同じです。たたみ、2{{ruby|畳|じょう}}分の面積ですね。
:*割り当てられた田から、想定される収穫の3%を税として納めなければなりませんでした。2段なら2石ですから、6{{ruby|升|しょう}}となります。
:つまり、朝廷は、「1年分食べるのに困らない」面積の田と同じ広さの田をわりあて、その分から税を払い残りで生活するようにと言っていることになります。
:これですべてかと言うと、当然そうではありません。役人などは、区分田の他に、役人の位による{{ruby|位田|いでん}}(8〜80{{ruby|町|ちょう}}:1町=10段)、職務による{{ruby|職田|しょくでん}}(2〜40町)が割り当てられ、功績のある物には{{ruby|功田|こうでん}}や{{ruby|賜田|しでん}}が割り当てられました。また、寺や神社には、そこを維持するための{{ruby|寺田|じでん}}・{{ruby|神田|しんでん}}がわりあてられていました。
:これらの土地は広大で、また、日頃の職務を持つ役人や僧侶がたがやすことはできません。そこをたがやしたのは、土地に応じて割り当てられた良民らのほか、その役人や寺に属する[[#奴婢|{{ruby|家人|けにん}}や{{ruby|奴婢|ぬひ}}]]といった人たちでした。家人や奴婢にも区分田はわりあてられましたが、良民の1/3で足りることはなかったでしょうから、主人から独立はできませんでした。
:※なお、この単位については、[[小学校社会/6学年/歴史編/戦乱の世の中と日本の統一-戦国時代・安土桃山時代#太閤検地|約800年後に大きく見直されます]]。
</small>
|}</div>
:
:*'''中大兄皇子の外交'''
:*:<span id="遣唐使"/>隋が618年に{{Ruby|唐|とう}}に滅ぼされた後、蘇我蝦夷がまだ大臣の時代、遣隋使につづいて{{Ruby|遣唐使|けんとうし}}が派遣され、皇帝に遠方から来たことで歓迎されました。大化の改新以後も数度にわたって派遣し、唐との親交を深めていました。
:*:このころ、朝鮮半島の情勢が大きく変わります。唐は、勢力を伸ばしている新羅を配下に加え、隋の時代から敵対していた高句麗に対して攻撃しようとしていました。日本は、任那を失ったのちも百済とは親交を深めていたところですが、新羅はさらに勢力を伸ばそうと隣国の百済を唐とともにせめ、660年に百済をほろぼしてしまいます。百済の{{ruby|遺臣|いしん}}<ref>ほろびた国の家臣。</ref>たちは、日本にいた百済王の王子を立てて、百済の復興を望み、日本に支援を願います。朝廷はこれに応じ、約4万人<ref>日本の全人口が約600万人のころです。</ref>の兵を朝鮮半島に送ります。
:*:663年日本・百済連合軍は、唐・新羅連合軍と戦い({{ruby|白村江|はくすきのえ}}の戦い)、約1万人の戦死者をだすほどの惨敗をし、百済から多くの亡命者をひきつれ帰国します。
:*:中大兄皇子は、唐・新羅連合軍が日本に攻めてくることにそなえ<ref>実際に、北に向かった唐・新羅連合軍は、668年高句麗を滅ぼしています。</ref>、防人をおいて九州を守らせ<ref name="詔"/>、667年都を現在の大阪市にあった{{ruby|難波宮|なにわのみや}}から滋賀県の{{ruby|近江京|おうみきょう}}に移しました。翌年、天皇に即位し'''天智天皇'''となります。
:*:国内での防衛を固めると同時に、唐に何度も使いを送って友好関係を回復させようと努力しました。
:*'''律令制の成立'''
:*:白村江の戦いの敗北は、国の仕組みが遅れていることを自覚させました。唐が強大な理由の一つは、国づくりの基本がしっかりとした法律もとづいているからだと考えた天智天皇は、唐と同じような国づくりを目指して、668年に{{ruby|近江令|おうみりょう}}という法律を決めます。
:*:天智天皇は671年に亡くなり、<span id="壬申の乱"/>翌672年、天智天皇の子{{ruby|大友皇子|おおとものおうじ}}と弟{{ruby|大海人皇子|おおあまのおうじ}}がはげしく争い({{ruby|壬申|じんしん}}の乱)、大海人皇子が即位し、'''天武天皇'''となります。
:*:天武天皇は、681年、よりよい法律を定めるように命じ、686年天武天皇が亡くなったあとの689年に{{ruby|飛鳥浄御原令|あすかきよみはらりょう}}が完成しました。しかし、飛鳥浄御原令は、役所の仕組みや税の仕組みなどを決めた「{{ruby|令|りょう}}」の部分しかなく、まだ、犯罪の処罰について決めた「{{ruby|律|りつ}}」の部分はありませんでした。
:*:法律の研究はさらに進み、701年に、「律」の部分もそろった '''{{Ruby|大宝律令|たいほうりつりょう}}'''が完成して、しっかりとした法律にもとづく天皇を中心とした国づくりが完成することになります<ref>「'''日本'''」という国の名前は、大宝律令の完成にともない、「倭」に代わって、決められたとも言われています。</ref>。この律令によって、政治を行うことを「'''{{Ruby|律令制|りつりょうせい}}'''」 と言います。
:*:'''律令制の役所'''<span id="律令制"/>
:*::「令」によって、朝廷の仕組みが明確になりました。
:*::*政治を行う「{{Ruby|太政官|だじょうかん}}」と、宮中の{{Ruby|祭祀|さいし}}を行う「{{Ruby|神祇官|じんぎかん}}」に分けられます。
:*::*<span id="太政官"/>「太政官」には{{Ruby|太政大臣|だじょうだいじん}}、{{Ruby|左大臣|さだいじん}}、{{Ruby|右大臣|うだいじん}}などがいて重要なことをとりあつかいます。
:*::*「太政官」の下に、租税を扱う{{Ruby|民部省|みんぶしょう}}、軍事を扱う{{Ruby|兵部省|ひょうぶしょう}}、朝廷の財産を扱う{{Ruby|大蔵省|おおくらしょう}}など専門をあつかう、8個の役所(省)が作られました。
:*::*国司も「太政官」の下にありました。九州は、畿内から遠い一方で大陸とは近かったので、{{Ruby|太宰府|だざいふ}}と言う特別の役所がおかれました。
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable" style="width:100%"
|'''【脱線 - 覚えなくてもいい話】「{{ruby|令制国|りょうせいこく}}」の話'''<small>
:「改新の{{ruby|詔|みことのり}}」に、「[[#国|各地の豪族(国造や県主など)がおさめていた地域を、いくつかにまとめ「'''{{ruby|国|くに}}'''」として朝廷から役人を'''{{ruby|国司|こくし}}'''として送り統治します。]]」とありましたが、大宝律令の{{ruby|令|りょう}}によって、これがほぼ確定しました。「{{ruby|国|くに}}」はいろいろな意味を持っていますので、歴史の学習では、これを、「{{ruby|令|りょう}}で決めた国」という意味で「{{ruby|令制国|りょうせいこく}}」と呼んでいます。また、令制国の名を「{{ruby|旧国名|きゅうこくめい}}」ということがよくあります。
:令制国は、今の都府県(北海道と沖縄県はそのころは朝廷の支配はおよんでいませんでした)と同じくらいの広さを持つ地域です。今の県の中には、元々令制国の領域をそのまま県の領域にしたものもあります。たとえば、県の歌が『{{ruby|信濃|しなの}}の国』である長野県は「{{ruby|信濃|しなの}}」という令制国でした。同じような例は{{ruby|甲斐|かい}}(山梨県)、{{ruby|美濃|みの}}(岐阜県)、{{ruby|讃岐|さぬき}}(香川県)、{{ruby|日向|ひゅうが}}(宮崎県)など多数あります。また、{{ruby|陸奥|むつ}}(青森県、岩手県、宮城県、福島県、秋田県の一部)、{{ruby|武蔵|むさし}}(東京都、埼玉県、神奈川県の一部)のように令制国が複数の都府県に分割されたり、{{ruby|伊豆|いず}}、{{ruby|駿河|するが}}、{{ruby|遠江|とおとうみ}}で静岡県となった複数の令制国が一つの県になった例もあります。兵庫県は{{ruby|摂津|せっつ}}の西部、{{ruby|播磨|はりま}}、{{ruby|但馬|たじま}}、{{ruby|丹波|たんば}}の西部、{{ruby|淡路|あわじ}}など多数の令制国からできています。令制国は古くからありますから、同じ県でも住んでいる人々の気質が違うとはよく言われるところです。皆さんも今住んでいるところが、令制国ではなんと呼ばれていたか調べてみましょう。
:令制国の名前は、昔からの地名に漢字2文字をあてて名づけられました。3文字のものから1文字けずったり<ref>(例)上毛野→{{ruby|上野|こうずけ}}(群馬県)・下毛野国→{{ruby|下野|しもつけ}}(栃木県)</ref>、1文字のものに1文字くわえたり<ref>(例)和→{{ruby|大和|やまと}}(奈良県)・泉→{{ruby|和泉|いずみ}}(大阪府南部)</ref>しました。また、元々大きな国をいくつかに分けて、都に近い方から「前・中・後<ref>(例){{ruby|越|こし}}の国→{{ruby|越前|えちぜん}}(福井県)・{{ruby|越中|えっちゅう}}(富山県)・{{ruby|越後|えちご}}(新潟県)、{{ruby|吉備|きび}}の国→{{ruby|備前|びぜん}}(岡山県東部)・{{ruby|備中|びっちゅう}}(岡山県西部)・{{ruby|備後|びんご}}(広島県東部)</ref>」「上・下<ref>(例){{ruby|総|ふさ}}の国→{{ruby|上総|かずさ}}(千葉県中部)・{{ruby|下総|しもうさ}}(千葉県北部・茨城県南部):当時は東京湾を渡って房総半島を北上する道が通常の道でした。</ref>」をつけるやり方もありました。
:また、「旧国名」の一部、たとえば、{{ruby|長門|ながと}}(山口県北部)の「長」をとって、「{{ruby|州|しゅう}}」の字をつけ、別名を「{{ruby|長州|ちょうしゅう}}」とする呼び方もよくされています。
:「旧国名」は、今でも日常的生活でよく使います。地名では、{{ruby|大隅|おおすみ}}半島、{{ruby|信濃|しなの}}川、{{ruby|'''武蔵'''村山|むさしむらやま}}市などがあり、{{ruby|安'''芸'''|あき}}(広島県西部)と{{ruby|伊'''予'''|いよ}}(愛媛県)の間の海峡は{{ruby|芸予|げいよ}}海峡といいます。また、サツマイモは{{ruby|薩摩|さつま}}(鹿児島県)から全国に普及した芋ですし、香川県の名物は{{ruby|讃岐|さぬき}}うどんです。{{ruby|'''紀'''伊|きい}}(和歌山県・三重県南部)と{{ruby|伊'''勢'''|いせ}}(三重県北中部)を結ぶ鉄道の路線は{{ruby|紀勢|きせい}}本線と言います。身の回りに「旧国名」に関係するものがないか探してみてください。
:また、役人の国司がいた地域を{{ruby|国府|こくふ}}<span id="国府"/>といいますが、これにちなむ地名も全国に見られます。「国府」のついた地名や{{ruby|府中|ふちゅう}}などがそうです。
</small>
|}</div>
== 奈良時代 ==
=== 平城京遷都 ===
[[File:Heijokyo.jpg|right|350px|平城京のイメージ図]]
:律令制も完成し世の中が落ち着いてきました。一方で、律令が完成したことで多くの役所が、王宮には必要となり、これまでの{{ruby|都|みやこ}}では、手ぜまになってきました。また、唐や新羅とも国交が回復し、その国の使者などが{{ruby|都|みやこ}}におとずれるようになり、威信を保つため、立派な街並みや建物などを備えることが求められました。そこで、710年、元明天皇は、現在の{{ruby|奈良|なら}}市に、「'''{{ruby|平城京|へいじょうきょう}}'''」 を建設し{{ruby|遷都|せんと}}<ref>都を移すこと。</ref>。平城京は、それまでの都に比べ巨大で、唐の都である{{ruby|長安|ちょうあん}}にならって{{ruby|碁盤|ごばん}}の目のように、区画が整理されています。この都が平城京にあった時代を '''{{ruby|奈良|なら}}時代''' といいます。
:奈良時代の初期は、律令制が確立していく時期で、いろいろな唐の文化や制度を学んで取り入れていきました。
[[Image:yakushiji_toutou_1.jpg|thumb|left|180px|薬師寺東塔]]
:*'''遣唐使の派遣と唐風文化'''
:*:[[#遣唐使|白村江の戦いにまけてからのちの数回の使者の派遣]]もあって、また、遣唐使を派遣するようになりました。遣唐使の中には、長い間留学し、その経験を朝廷で発揮するものもいました。たとえば、{{Ruby|吉備真備|きびのまきび}}は、十数年唐に留学し、多くの書物と楽器や日時計といったものを日本に持ち込み、政治の世界ではその経験をいかして[[#太政官|右大臣]]にまでなりました。また、{{Ruby|阿倍仲麻呂|あべのなかまろ}}は、真備とともに唐に渡って、学問をおさめますが、大変優秀であったため、唐の役人になり出世しました<ref>唐は、国際的な国で、中国人でなくても高位の役人になれました。</ref><ref>仲麻呂は、30年以上唐に滞在し、老齢になって日本に帰国しようと、遣唐使の帰りの船に乗りましたが、難船し船は唐に戻り、結局帰国できず唐の地で亡くなりました。</ref>。
:*:また、唐の建築様式が伝えられ、宮殿や役所、寺院などが唐風に作られました。唐風建築は、現在でも『薬師寺東塔』などに残っており、日本の寺院建築に大きな影響を残しました。
:*<span id="記紀"/>'''歴史書の{{ruby|編纂|へんさん}}'''
:*:中国の王朝には、前の王朝までの歴史を{{ruby|編纂|へんさん}}<ref>いろいろな資料を集めて、一つの書物を作ること。</ref>する習慣があります。朝廷は中国をまねて、712年に『'''{{ruby|古事記|こじき}}'''』、720年に『{{ruby|日本書紀|にほんしょき}}』を完成させました。『古事記』には、神話の時代から[[#推古|推古天皇]]にいたるまでのできごとが物語を語るように書かれていて、『日本書紀』には神話の時代から持統天皇までの歴史が、神話時代は元となる資料を比較し、天皇の代になってからは、できごとの起こった順に沿って書かれています。古事記と日本書紀は、あわせて『{{ruby|記紀|きき}}』と言っています。
:*'''万葉集'''
:*:このころになると、日本でも、漢字を使える人たちが相当に増え、そういう人の中から、漢字一文字の音を日本語の音に当てるという工夫が生まれ一般的になってきました。この工夫から、日本語の{{Ruby|詩歌|しいか}}である{{Ruby|和歌|わか}}が文字で記録できるようになりました。こうして記録した和歌をまとめた{{Ruby|万葉集|まんようしゅう}}が759年ごろに{{Ruby|編纂|へんさん}}されました。貴族だけでなく、農民など様々な身分の者が作ったと思われる和歌も{{Ruby|収録|しゅうろく}}されており、合計で4500首の歌が収録されています。このため、当時の庶民の生活の様子がよくわかったりします。
:*:また、このような、漢字で日本語の音を表す工夫を{{Ruby|万葉仮名|まんようがな}}<span id="万葉仮名"/>といい、後世の{{Ruby|仮名|かな}}(ひらがな、カタカナ)の源流となります。
:*'''{{ruby|和同開珎|わどうかいちん}}の{{ruby|鋳造|ちゅうぞう}}'''<span id="和同開珎"/>[[File:Wadōkaichin found at Sūfuku-ji Temple Site TNM front.jpg|thumb|150px|和同開珎(東京国立博物館所蔵)]]
:*:平城京完成前の708年、日本で初めて<ref>それ以前に「'''{{ruby|富本銭|ふほんせん}}'''」という貨幣があったという説がありますが、反対意見も強く決着していません。</ref>の{{ruby|貨幣|かへい}}(お金)「'''{{ruby|和同開珎|わどうかいちん}}'''<ref>{{ruby|珎|ちん}}を「{{ruby|寶|ほう}}(「宝」の旧字体)」の略字とみて「わどうかいほう」と読む説もあります</ref>」が{{ruby|鋳造|ちゅうぞう}}<ref>金属をとかして、型に流しこんで、製品を作ること。</ref>されました。
:*:貨幣(お金)ができるまでは、[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり#市|{{ruby|市|いち}}]]などで、欲しいものがあって、それを手に入れるには、米などを代わりに渡さなければなりませんでした('''{{ruby|物々交換|ぶつぶつこうかん}}''')。物々交換は、相手が欲しいものを持っていないと成立しません。また、野菜や果物、魚などは大量に手に入れても傷んだり腐ったりするので、長期間保管できませんし、工芸品はそれを保管する場所が必要になるところ、貨幣(お金)の場合、農作物などを大量に手に入れた時に売って貨幣(お金)で残しておけば、別の機会に、物を買うのに使えますから無駄がありません。
:*:しかし、日本では、貨幣(お金)は一般的なものにならず、物々交換が主で、貨幣(お金)による売買が一般的になったのは、これから、600年から700年後の話になります。
:*東西の交流ー正倉院御物
:*:{{Ruby|東大寺|とうだいじ}}にある {{Ruby|正倉院|しょうそういん}} には、奈良時代の美術品や、{{Ruby|聖武天皇|しょうむてんのう}}が愛用した道具などがおさめられています。これらは、{{Ruby|正倉院御物|しょうそういんぎょぶつ}}<ref>「{{Ruby|御物|ぎょぶつ}}」とは、天皇の物について、天皇を尊敬していうことばです。</ref>と呼ばれますが、遣唐使が唐から持ち帰ったものなども多く、しかも、唐は国際的な国であったので、遠く西のペルシア(現在のイラン)あたりから伝えられたものもあり、世界的に大変貴重なものとなっています。
<gallery widths="200px">
Image:Shoso-in.jpg|正倉院正倉
Image:Azekura-dukuri JPN.JPG|正倉院の宝物庫
Image:RED LACQUERED CABINET Shosoin N2.JPG|{{Ruby|赤漆文欟木御厨子|せきしつぶんかんぼくのおんずし}}
Image:8Lobed Mirror Inlay Shosoin.jpg|{{Ruby|平螺鈿背八角鏡|へいらでんはいのはっかくきょう}}
Image:Silver Backed Bronze Mirror Shosoin.JPG|{{Ruby|金銀山水八卦背八角鏡|きんぎんさんすいはっけはいのはっかくきょう}}
Image:LADIES UNDER TREES SCREEN4th Shosoin.JPG|{{Ruby|鳥毛立女屏風|とりげりつじょのびょうぶ}}第4(部分)
Image:ROCHECHI Screen Panel Shosoin NH44.JPG|{{Ruby|羊木臈纈屏風|ひつじきろうけちのびょうぶ}}
Image:Silver Incense Burner Shosoin.JPG|{{Ruby|銀薫炉|ぎんのくんろ}}
Image:Gold Silver Painted BOX Shosoin.JPG|{{Ruby|蘇芳地金銀絵箱蓋|すおうじきんぎんえのはこ}}
</gallery>
:::::※その他、有名な所蔵品に「{{Ruby|螺鈿紫檀五絃琵|らでんしたんごげんのびわ}}」や「{{Ruby|瑠璃杯|るりのつき}}」などがあります。
{{-}}
[[File:Daibutsu of Todaiji 3.jpg|thumb|left|250px|東大寺の大仏]]
=== 仏教の興盛 ===
[[File:Emperor Shomu Face.svg|thumb|180px|聖武天皇]]
:<span id="奈良仏教"/>8世紀のなかごろ、都では病気が流行し、多くの死者が出たり、さらに、貴族の反乱が起きたりしたため、世の中に不安が広がりました。仏教を深く信じた'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#聖武天皇(しょうむてんのう)|聖武天皇]]|しょうむてんのう}}'''は、仏教の力を借りて人々の不安をしずめ、社会を安定させようとしました<ref>仏教に対する、このような考えを{{ruby|鎮護国家|ちんごこっか}}といいます。</ref>。
:まず741年に国ごとに{{ruby|国分寺|こくぶんじ}}と{{ruby|国分尼寺|こくぶんにじ}}を建てさせました。そして、都には国分寺の総本山として{{ruby|東大寺|とうだいじ}}を建てさせ、そのなかに銅製の'''大仏'''を作らせました。そのころには、この巨大な仏像(高さ約15m、周囲約70m)を作る金属加工の技術はありましたが、これほど大きな仏像を作った経験はなかったため、建立には苦労をきわめ、752年の完成まで7年かかりました。
{{-}}
[[File:Gyouki Face.jpg|thumb|180px|行基]]
:仏教はもともと、[[#渡来人|渡来人]]が伝え、一族の宗教とし、やがて、天皇をはじめとする支配階級に広がっていったものでした。遣唐使にともなって留学し、帰国して寺を開く僧もふえ、平城京には多くの寺とそこで学ぶ僧が見られるようになりましたが、彼らの多くは仏教を学問としてとらえ、民衆のことを考えることはあまりありませんでした。
:このころ、'''{{ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#行基(ぎょうき)|行基]]|ぎょうき}}'''という僧がいました。かれは、渡来人の子孫で、身分を問わず用水の池や橋を造りながら、諸国をまわって教えを説いていたので、多くの人々にしたわれていました<ref>この民衆の生活に深くかかわろうとする教えは、{{Ruby|道昭|どうしょう}}に学びました。道昭は遣唐使で留学し、{{Ruby|玄奘|げんじょう}}に学んでいます。玄奘は、『西遊記』の三蔵法師のモデルになった人です。</ref>。はじめのうちは、当時、民衆への仏教の直接の布教は禁止されており危険な人物と思われ、朝廷は行基の行動をとりしまりました。しかし、民衆や地方豪族の支持を集め、朝廷も危険な行動ではないと理解し、とりしまりをゆるめました。
:こうしたなか、大仏建立には、とても多くの人々の支持と労働力を必要とするので、朝廷は、人々にしたわれていた行基を、日本の仏教の最高峰である'''{{Ruby|大僧正|だいそうじょう}}'''に任じて、大仏建立を主導させました。
[[File:Jianzhen (Tōshōdai-ji, 2).jpg|thumb|left|180px|鑑真]]
:遣唐使で唐に向かった多くの日本の僧が学ぶにつれ、唐の僧の中にも日本に興味をいだく者が出てきました。'''{{Ruby|[[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典#鑑真(がんじん)|鑑真]]|がんじん}}'''がそのひとりです。鑑真は、その当時の唐にあって、僧となるものに戒律を与える教えの第一人者で、日本の留学僧の招きに応じ、日本に渡ろうとしましたが、最初は皇帝からの許可が降りず、許可を得てから渡ろうとして、5回も失敗し、6回目にようやく日本に着きました。6回目に日本についたころには、失明していました。鑑真は、奈良に '''{{Ruby|唐招提寺|とうしょうだいじ}}''' を開き,そして多くの日本人の僧を育てました。
{{-}}
=== 律令制のいきづまり ===
:こうして、聖徳太子がはじめ、大化の改新をへて、「天皇中心の国づくり」と言う考えは、律令制で完成するのですが、奈良時代の半ばにはすでにいきづまりを見せていました。
:国は、人々から「税」を集めることで政治を行うことができます。律令制では、「[[#租|租]]」が最も重要な税で、それは、「[[#班田収授|班田収授法]]」でわりあてられた田から得られるものでした。「班田収授法」は、戸籍や土地台帳の整備など実施には大変難しい点があり、畿内以外の全国で実施できたのかはうたがわしいものがあります。地方では、できたとしても[[#国府|国府]]近辺のごく一部ではなかったかと言われています。
:また、班田収授法が実施できた地域でも問題がありました。
:人口が増えると、新たな[[#口分田|口分田]]をわりあてるために新たに土地を{{ruby|開墾|かいこん}}しなければならないのですが、開墾しても朝廷の土地(公地)となるのでは誰も開墾しないと言うことです。
:朝廷は723年に開墾した土地は三世代(自分-子-孫 又は 子-孫-曾孫)にわたって私有を認める{{ruby|三世一身法|さんぜいっしんのほう}}を出して開墾を勧めますが、それでも十分ではなく<ref>三世代目で、朝廷におさめることになるので、耕作をやめて荒地にもどすようになりました。ただし、墾田永年私財法までの20年で三世代目になった例は少なかったのではないかといわれ、墾田永年私財法を求めた勢力がひろめた話とも言われています。</ref>、<span id="墾田永年私財法"/>743年{{ruby|墾田永年私財法|こんでんえいねんしざいほう}}が出され、新たに開墾した土地は、税は納めますが自分の土地として売ったり相続したりできることとなりました。
:墾田永年私財法で、積極的に開墾を行なったのは、貴族や大きな寺で、これらが勢力を持って「天皇中心」がゆらいでいくことになります。
== 脚注 ==
以下は学習の参考ですので覚える必要はありません。<small>
<references/></small>
----
{{前後
|type=章
|[[小学校社会/6学年/歴史編]]
|[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の流れをつかもう|日本の歴史の流れ]]
|[[小学校社会/6学年/歴史編/歴史の始まり|歴史の始まり]]
|[[小学校社会/6学年/歴史編/貴族の文化-平安時代|貴族の文化-平安時代]]
}}
[[Category:社会|しようかつこうしやかい6]]
[[Category:小学校社会|6ねん]]
[[Category:小学校社会 歴史|#04]]
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音声ファイルで聴くクラシック音楽入門/行進曲
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2022-08-26T00:25:17Z
安東大將軍倭國王
57764
/* 义勇军进行曲 / 義勇軍進行曲 (中国の国歌) */
wikitext
text/x-wiki
<!--【2022年1月2日起稿】-->
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Gartoon mimetypes ogg.svg|border|150px]]
|[[画像:Band of the Welsh Guards, Buckingham Palace, London - Diliff.jpg|border|400px|]]
|[[画像:Gartoon mimetypes midi.svg|border|150px]]
|}
</div>
== クラシック音楽の行進曲 ==
クラシック音楽「行進曲」または「マーチ」には次のようなものがあります。
*軍隊の行進に合わせて伴奏される楽曲
*祝祭(結婚・葬送など)や儀式の行列に合わせて伴奏される楽曲
*上記のような伴奏の形式で作曲された楽曲
ここでは20世紀の作品を中心に定番の曲を採り上げます。
== 定番の行進曲 ==
{| class="wikitable"
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"
|
!作曲者
!曲 名
! style="font-size:9pt;" |発表年
!音声ファイル
! style="font-size:10pt;"|再生時間
|- <!--【近代音楽】-->
! colspan="6" style="background-color:#aeffff;" |[[w:近代音楽|近代音楽]]([[w:en:Modernism (music)|Modernism (music)]]: 1890~1975頃)
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【ボギー大佐】-->
|[[画像:RICKETTS Frederick J.jpg|border|center|40px]]
!<!--作曲者-->[[w:ケネス・アルフォード|アルフォード]]
|<!--曲 名--> style="font-size:14pt;" |'''[[w:ボギー大佐|ボギー大佐]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1914
|<!-- file -->[[File:Colonel Bogey.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Colonel Bogey.ogg|3分51秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【錨を上げて】-->
|[[画像:AnchorsAweigh.jpeg|border|center|50px]]
!<!--作曲者--> style="font-size:10pt;" |ツィンマーマン<ref>[[w:en:Charles A. Zimmermann]]</ref>
|<!--曲 名--> style="font-size:14pt;" |'''[[w:錨を上げて|錨を上げて]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1906
|<!-- file -->[[File:Anchors Aweigh (1951), by Philip Green and his Orchestra.oga]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Anchors Aweigh (1951), by Philip Green and his Orchestra.oga|1分50秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【スーザ:海を越える握手】-->
|[[画像:John Philip Sousa, band director and composer (SAYRE 9828).jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ジョン・フィリップ・スーザ|スーザ]]
|<!--曲 名-->[[w:海を越える握手|海を越える握手]]
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1899
|<!-- file -->[[File:Hands Across the Sea.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Hands Across the Sea.ogg|3分2秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【スーザ:星条旗よ永遠なれ】-->
|[[画像:John Philip Sousa, band director and composer (SAYRE 9828).jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ジョン・フィリップ・スーザ|スーザ]]
|<!--曲 名--> style="font-size:14pt;"|'''[[w:星条旗よ永遠なれ|星条旗よ永遠なれ]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1896
|<!-- file -->[[File:USMC stars stripes forever.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:USMC stars stripes forever.ogg|3分36秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【スーザ:雷神】-->
|[[画像:John Philip Sousa, band director and composer (SAYRE 9828).jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ジョン・フィリップ・スーザ|スーザ]]
|<!--曲 名--> style="font-size:15pt;" |[[w:雷神 (行進曲)|雷神]]
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1889
|<!-- file -->[[File:The Thunderer - U.S. Army Band.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:The Thunderer - U.S. Army Band.ogg|2分49秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【スーザ:ワシントン・ポスト】-->
|[[画像:John Philip Sousa, band director and composer (SAYRE 9828).jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ジョン・フィリップ・スーザ|スーザ]]
|<!--曲 名--> style="font-size:14pt;"|'''[[w:ワシントン・ポスト (行進曲)|ワシントン・ポスト]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1889
|<!-- file -->[[File:Washington Post.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Washington Post.ogg|2分40秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【スーザ「忠誠」】-->
|[[画像:John Philip Sousa, band director and composer (SAYRE 9828).jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ジョン・フィリップ・スーザ|スーザ]]
|<!--曲 名--> style="font-size:15pt;" |[[w:忠誠 (行進曲)|忠誠]]
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1888
|<!-- file -->[[File:John Philip Sousa - U.S. Marine Band - Semper Fidelis March.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:John Philip Sousa - U.S. Marine Band - Semper Fidelis March.ogg|4分15秒]]
|- <!--【ロマン派音楽】-->
! colspan="6" style="background-color:#eeb6ee;" |[[w:ロマン派音楽|ロマン派音楽]]([[w:en:Romantic music|Romantic music]]:1800~1910頃)
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【フチーク「フローレンス行進曲」】-->
|[[画像:Fucik portait3.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ユリウス・フチーク (作曲家)|フチーク]]
|<!--曲 名-->フローレンス行進曲<br><small>(フローレンティナー行進曲)</small>
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1907
|<!-- file -->[[File:Florentiner March, performed by the United States Navy Band.wav]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Florentiner March, performed by the United States Navy Band.wav|5分57秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【エルガー:威風堂々】-->
|[[画像:Edward Elgar.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:エドワード・エルガー|エルガー]]
|<!--曲 名-->'''[[w:威風堂々 (行進曲)|威風堂々]] 第1番'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1901-<br>1907頃
|<!-- file -->[[File:Pomp and Circumstance, Op. 39 - No. 1 - United States Army Band.mp3]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Pomp and Circumstance, Op. 39 - No. 1 - United States Army Band.mp3|6分37秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【J.F.ワーグナー:】-->
|
!<!--作曲者-->[[w:ヨーゼフ・フランツ・ワーグナー|J.F.ワーグナー]]<ref>有名な[[w:リヒャルト・ワーグナー|リヒャルト・ワーグナー]]とは、同姓の異人。</ref>
|<!--曲 名--> style="font-size:14pt;" |'''[[w:双頭の鷲の旗の下に|双頭の鷲の旗の下に]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1902
|<!-- file -->[[File:Under the Double Eagle.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Under the Double Eagle.ogg|2分40秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【フチーク「剣闘士の入場」】-->
|[[画像:Fucik portait3.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ユリウス・フチーク (作曲家)|フチーク]]
|<!--曲 名-->[[w:剣闘士の入場|剣闘士の入場]]
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1897
|<!-- file -->[[File:Julius Fučík's "Entrance of the Gladiators", performed by the United States Marine Band.wav]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Julius Fučík's "Entrance of the Gladiators", performed by the United States Marine Band.wav|2分35秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【タイケ「旧友」】-->
|[[画像:Carl Albert Hermann Teike.png|border|center|40px]]
!<!--作曲者-->[[w:カール・タイケ|タイケ]]
|<!--曲 名--> style="font-size:17pt;" |'''[[w:旧友 (行進曲)|旧友]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1889
|<!-- file -->[[File:Anker-5387-10815.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Anker-5387-10815.ogg|3分25秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【ヴェルディ「アイーダ 凱旋行進曲」】-->
|[[画像:Verdi-1850s.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ジュゼッペ・ヴェルディ|ヴェルディ]]
|<!--曲 名-->歌劇『[[w:アイーダ|アイーダ]]』より<br> '''[[w:アイーダ#凱旋行進曲|凱旋行進曲]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1871
|<!-- file -->[[File:Triumphal March from Aida.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Triumphal March from Aida.ogg|5分08秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【ラデツキー行進曲】-->
|[[画像:Johan Strauss padre.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:ヨハン・シュトラウス1世|J.シュトラウス<br>1世(父)]]
|<!--曲 名-->'''[[w:ラデツキー行進曲|ラデツキー行進曲]]'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1848
|<!-- file -->[[File:Radetzky March.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Radetzky March.ogg|2分33秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【シューベルト「軍隊行進曲 第1番」】-->
|[[画像:Franz Schubert by Wilhelm August Rieder 1875 larger version (head cropped).png|border|center|50px]]
!<!--作曲者--> style="font-size:12pt;" |[[w:フランツ・シューベルト|シューベルト]]
|<!--曲 名-->『'''[[w:軍隊行進曲 (シューベルト)|三つの軍隊行進曲]]'''』<br> より '''第1番'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1818
|<!-- file -->[[File:F. Schubert - Marche militaire op. 51 no. 1 D 733.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:F. Schubert - Marche militaire op. 51 no. 1 D 733.ogg|4分12秒]]
|- <!--【】-->
! colspan="6" |祝祭や儀式の「行進曲」
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【メンデルスゾーン:結婚行進曲】-->
|[[画像:Felix Mendelssohn Bartholdy.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者--> style="font-size:10pt;" |[[w:フェリックス・メンデルスゾーン|メンデルスゾーン]]
|<!--曲 名-->『[[w:夏の夜の夢 (メンデルスゾーン)|夏の夜の夢]]』より<br> '''結婚行進曲'''
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1842
|<!-- file -->[[File:A Midsummer Night's Dream Op. 61 Wedding March (Mendelssohn) European Archive.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:A Midsummer Night's Dream Op. 61 Wedding March (Mendelssohn) European Archive.ogg|4分54秒]]
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【葬送行進曲】-->
|[[画像:Chopin, by Wodzinska.JPG|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:フレデリック・ショパン|ショパン]]
|<!--曲 名-->『[[w:ピアノソナタ第2番 (ショパン)|ピアノソナタ第2番]]』<br> 第3楽章「'''葬送行進曲'''」
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1837
|<!-- file -->[[File:Frederic Chopin Piano Sonata No.2 in B flat minor Op35 - III Marche Funebre.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Frederic Chopin Piano Sonata No.2 in B flat minor Op35 - III Marche Funebre.ogg|9分49秒]]
|- <!--【番外】-->
! colspan="6" |(番外)
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【スッペ「軽騎兵」序曲】-->
|[[画像:Franz von Suppé by Gabriel Decker 1847.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:フランツ・フォン・スッペ|スッペ]]
|<!--曲 名-->喜歌劇『軽騎兵』<ref>[[w:en:Leichte Kavallerie]]</ref> 序曲
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1866
|<!-- file -->[[File:Overture to Light Cavalry - U.S. Marine Band.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:File:Overture to Light Cavalry - U.S. Marine Band.ogg|6分59秒]]
|}
<!-- これより予備タグ -->
<div style="color:#fefefe">
<span style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:15pt;">
<!--
style="font-size:11pt;"|
-->
|- <!--【】-->
! colspan="6" |
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【】-->
|[[画像:|border|center|50px]]
!<!--作曲者--><!--[[w:|]]
|<!--曲 名--><!--[[w:|]]
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |
|<!-- file -->[[]]
|<!--リンク--> style="font-size:10pt;"|[[:|分秒]]
</div>
==日本や中国の「行進曲」==
{| class="wikitable"
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"
|
! style="width:5em;" |作曲者
! style="width:10em;" |曲 名
! style="width:3em;font-size:9pt;" |発表年
!音声ファイル
! style="width:2em;font-size:8pt;" |再生<br>時間
|}
===軍艦行進曲(軍艦マーチ)===
{| class="wikitable"
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"
|
! style="width:5em;" |作曲者
! style="width:10em;" |曲 名
! style="width:3em;font-size:9pt;" |発表年
!音声ファイル
! style="width:2em;font-size:8pt;" |再生<br>時間
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【軍艦行進曲】-->
|[[画像:Setoguchi Toukichi.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者--> style="font-size:9pt;" |[[w:瀬戸口藤吉|瀬戸口藤吉]]
|<!--曲 名-->[[w:軍艦行進曲|軍艦行進曲]]<br>(行進曲「軍艦」)
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1896
|<!-- file -->[[File:01 軍艦行進曲.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:8pt;"|[[:File:01 軍艦行進曲.ogg|3分20秒]]
|-
| style="font-size:10pt;" colspan="6" |ご存じ、パチンコ店のBGM「軍艦マーチ」。日本の軍国主義の象徴として、現在の中国ではご禁制の曲です。
{|
|-
| style="vertical-align:top;" |1. <ruby><rb>守</rb><rp>(</rp><rt>まも</rt><rp>)</rp></ruby>るも<ruby><rb>攻</rb><rp>(</rp><rt>せ</rt><rp>)</rp></ruby>むるも <ruby><rb>黑鐵</rb><rp>(</rp><rt>くろがね</rt><rp>)</rp></ruby>の<br> <ruby><rb>浮</rb><rp>(</rp><rt>う</rt><rp>)</rp></ruby>かべる<ruby><rb>城</rb><rp>(</rp><rt>しろ</rt><rp>)</rp></ruby>ぞ <ruby><rb>賴</rb><rp>(</rp><rt>たの</rt><rp>)</rp></ruby>みなる<br> <ruby><rb>浮</rb><rp>(</rp><rt>う</rt><rp>)</rp></ruby>かべるその<ruby><rb>城</rb><rp>(</rp><rt>しろ</rt><rp>)</rp></ruby> <ruby><rb>日</rb><rp>(</rp><rt>ひ</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>本</rb><rp>(</rp><rt>もと</rt><rp>)</rp></ruby>の<br> <ruby><rb>皇國</rb><rp>(</rp><rt>みくに</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>四方</rb><rp>(</rp><rt>よも</rt><rp>)</rp></ruby>を <ruby><rb>守</rb><rp>(</rp><rt>まも</rt><rp>)</rp></ruby>るべし<br> <ruby><rb>眞鐵</rb><rp>(</rp><rt>まがね</rt><rp>)</rp></ruby>のその<ruby><rb>艦</rb><rp>(</rp><rt>ふね</rt><rp>)</rp></ruby> <ruby><rb>日</rb><rp>(</rp><rt>ひ</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>本</rb><rp>(</rp><rt>もと</rt><rp>)</rp></ruby>に<br> <ruby><rb>仇</rb><rp>(</rp><rt>あだ</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>爲</rb><rp>(</rp><rt>な</rt><rp>)</rp></ruby>す<ruby><rb>國</rb><rp>(</rp><rt>くに</rt><rp>)</rp></ruby>を <ruby><rb>攻</rb><rp>(</rp><rt>せ</rt><rp>)</rp></ruby>めよかし
| style="vertical-align:top;" |2. <ruby><rb>石炭</rb><rp>(</rp><rt>いはき</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>煙</rb><rp>(</rp><rt>けぶり</rt><rp>)</rp></ruby>は <ruby><rb>大洋</rb><rp>(</rp><rt>わたつみ</rt><rp>)</rp></ruby>の<ref>現代仮名遣いでは「い<u>わ</u>きのけ<u>む</u>りはわ<u>だ</u>つみの」となります。</ref><br> <ruby><rb>龍</rb><rp>(</rp><rt>たつ</rt><rp>)</rp></ruby>かとばかり <ruby><rb>靡</rb><rp>(</rp><rt>なび</rt><rp>)</rp></ruby>くなり<br> <ruby><rb>彈</rb><rp>(</rp><rt>たま</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>擊</rb><rp>(</rp><rt>う</rt><rp>)</rp></ruby>つ<ruby><rb>響</rb><rp>(</rp><rt>ひゞ</rt><rp>)</rp></ruby>きは <ruby><rb>雷</rb><rp>(</rp><rt>いかづち</rt><rp>)</rp></ruby>の<br> <ruby><rb>聲</rb><rp>(</rp><rt>こゑ</rt><rp>)</rp></ruby>かとばかり <ruby><rb>響</rb><rp>(</rp><rt>どよ</rt><rp>)</rp></ruby>むなり<ref>現代仮名遣いでは「こ<u>え</u>かとばかりどよむなり」となります。</ref><br> <ruby><rb>萬里</rb><rp>(</rp><rt>ばんり</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>波濤</rb><rp>(</rp><rt>はたう</rt><rp>)</rp></ruby>を <ruby><rb>乘</rb><rp>(</rp><rt>の</rt><rp>)</rp></ruby>り<ruby><rb>越</rb><rp>(</rp><rt>こ</rt><rp>)</rp></ruby>えて<ref>現代仮名遣いでは「ばんりのは<u>と</u>うをのりこえて」となります。</ref><br> <ruby><rb>皇國</rb><rp>(</rp><rt>みくに</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>光</rb><rp>(</rp><rt>ひかり</rt><rp>)</rp></ruby> <ruby><rb>輝</rb><rp>(</rp><rt>かゞや</rt><rp>)</rp></ruby>かせ<ref>現代仮名遣いでは「みくにのひかり か<u>が</u>やかせ」となります。</ref>
| style="vertical-align:top;" |3. <ruby><rb>海</rb><rp>(</rp><rt>うみ</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>行</rb><rp>(</rp><rt>ゆ</rt><rp>)</rp></ruby>かば <ruby><rb>水</rb><rp>(</rp><rt>み</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>漬</rb><rp>(</rp><rt>づ</rt><rp>)</rp></ruby>く<ruby><rb>屍</rb><rp>(</rp><rt>かばね</rt><rp>)</rp></ruby><br> <ruby><rb>山</rb><rp>(</rp><rt>やま</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>行</rb><rp>(</rp><rt>ゆ</rt><rp>)</rp></ruby>かば <ruby><rb>草</rb><rp>(</rp><rt>くさ</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>生</rb><rp>(</rp><rt>む</rt><rp>)</rp></ruby>す<ruby><rb>屍</rb><rp>(</rp><rt>かばね</rt><rp>)</rp><br></ruby><br> <ruby><rb>大君</rb><rp>(</rp><rt>おほきみ</rt><rp>)</rp></ruby>の <ruby><rb>邊</rb><rp>(</rp><rt>へ</rt><rp>)</rp></ruby>にこそ<ruby><rb>死</rb><rp>(</rp><rt>し</rt><rp>)</rp></ruby>なめ<ref>現代仮名遣いでは「お<u>お</u>きみのへにこそしなめ」となります。</ref><br> <ruby><rb>長</rb><rp>(</rp><rt>の</rt><rp>)</rp></ruby><ruby><rb>閑</rb><rp>(</rp><rt>ど</rt><rp>)</rp></ruby>には<ruby><rb>死</rb><rp>(</rp><rt>し</rt><rp>)</rp></ruby>なじ
| style="vertical-align:top;" |4. <br> (後奏)
|-
| colspan="4" |[[w:鳥山啓|鳥山啓]](1837-1914)作詞、[[w:瀬戸口藤吉|瀬戸口藤吉]](1868-1941)作曲
|}
|}
===义勇军进行曲 / 義勇軍進行曲 (中国の国歌)===
{| class="wikitable"
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"
|
! style="width:5em;" |作曲者
! style="width:10em;" |曲 名
! style="width:3em;font-size:9pt;" |発表年
!音声ファイル
! style="width:2em;font-size:8pt;" |再生<br>時間
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【】-->
|[[画像:Tian Han and Nie Er.jpg|border|center|50px]]
!<!--作曲者-->[[w:聶耳|聶耳]]
|<!--曲 名-->[[w:義勇軍進行曲|義勇軍進行曲]]
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |1935
|<!-- file -->[[File:March_of_the_Volunteers_instrumental.ogg]]
|<!--リンク--> style="font-size:8pt;"|[[:File:March_of_the_Volunteers_instrumental.ogg|0分49秒]]
|-
| style="font-size:10pt;" colspan="6" |中華人民共和国の国歌です。
{|
|-
|-
!簡体字 による歌詞
!繁体字 による歌詞
!日本語訳
|-
| style="vertical-align:top;" | 起来!不愿做奴隶的人们!<br> 把我们的血肉,筑成我们新的长城!<br> 中华民族到了最危险的时候,<br> 每个人被迫着发出最后的吼声。<br> 起来!起来!起来!<br> 我们万众一心,<br> 冒着敌人的炮火,前进!<br> 冒着敌人的炮火,前进!<br> 前进!前进!进!
| style="vertical-align:top;" | 起來!不願做奴隸的人們!<br> 把我們的血肉,築成我們新的長城!<br> 中華民族到了最危險的時候,<br> 每個人被迫著發出最後的吼聲。<br> 起來!起來!起來!<br> 我們萬眾一心,<br> 冒著敵人的炮火,前進!<br> 冒著敵人的炮火,前進!<br> 前進!前進!進!
| style="vertical-align:top;" | 起て!支配望まぬ者よ!<br> 血肉で新たな長城を築こう!<br> 中華民族に最大の危機せまる、<br> 最後の雄叫びをあげる時だ。<br> 起て!起て!起て!<br> 我ら、心一つにして<br> 敵の砲火をついて進め<br> 敵の砲火をついて進め!<br> 進め!進め!進め!
|}
|}
<!-- これより予備タグ -->
<!--
<ruby><rb>●</rb><rp>(</rp><rt>●</rt><rp>)</rp></ruby>
-->
<div style="color:#fefefe">
<span style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:15pt;">
<span style="font-size:11pt;">
<!--
style="font-size:11pt;"|
-->
|- <!--【】-->
! colspan="6" |
|- style="text-align:left;font-family:Times New Roman;font-size:13pt;" <!--【】-->
|[[画像:|border|center|50px]]
!<!--作曲者--><!--[[w:|]]
|<!--曲 名--><!--[[w:|]]
|<!--発表年--> style="font-size:9pt;" |
|<!-- file -->[[]]
|<!--リンク--> style="font-size:8pt;"|[[:|分秒]]
</div>
==著作権についての注記==
:[[音声ファイルで聴くクラシック音楽入門#著作権についての注記]] を参照。
==脚注==
<references/>
== 関連項目 ==
*[[音声ファイルで聴くクラシック音楽入門]]
**[[音声ファイルで聴くクラシック音楽入門/行進曲|/行進曲]]
**[[音声ファイルで聴くクラシック音楽入門/バロック音楽・古楽/チェンバロの曲|/チェンバロの曲]]
**[[音声ファイルで聴くクラシック音楽入門/動画ファイルで視聴してみよう|/動画ファイルで視聴してみよう]]
**[[音声ファイルで聴くクラシック音楽入門/外部音源|/外部音源]]
**[[音声ファイルで聴くクラシック音楽入門/作曲家の一覧|/作曲家の一覧]]
== 関連記事 ==
{{Commons|Category:Marches (music)|行進曲}}
[[Category:音声ファイルで聴くクラシック音楽入門|こうしんきよく]]
05s2m06mwfuqbf03wkepws2gdok2lpi
ガリア戦記 第3巻/注解
0
33824
207243
207179
2022-08-25T13:37:06Z
Linguae
449
/* 各節注解 */
wikitext
text/x-wiki
<div style="font-family:Arial Black;font-style:normal;font-size:15pt;color:#990033;text-align:center;background-color:#fff0ff;">C・IVLII・CAESARIS・COMMENTARIORVM・BELLI・GALLICI</div>
<div style="font-family:Arial Black;font-style:normal;font-size:30pt;color:#990033;text-align:center;background-color:#fff0ff;">LIBER・TERTIVS</div>
<span style="font-size:13pt;">『<span style="background-color:#ffc;">[[ガリア戦記 第3巻]]</span>』の単語や構文を詳しく読み解く <span style="background-color:#fc8;font-size:15pt;">'''[[ガリア戦記/注解編|注解編]]'''</span> の目次。</span>
{| id="toc" style="border:0px #ddf; align:left;clear:all;" align="center" cellpadding="5"
|-
! style="background:#ccf; text-align:center;" colspan="10"| ガリア戦記 第3巻 注解
|- style="background:#f8f8ff; text-align:right; font-size: 0.85em;"
|[[/1節|1節]]
|[[/2節|2節]]
|[[/3節|3節]]
|[[/4節|4節]]
|[[/5節|5節]]
|[[/6節|6節]]
|[[/7節|7節]]
|[[/8節|8節]]
|[[/9節|9節]]
|[[/10節|10節]]
<!--
|- style="background:#f8f8ff; text-align:right; font-size: 0.85em;"
|[[/11節|11節]]
|[[/12節|12節]]
|[[/13節|13節]]
|[[/14節|14節]]
|[[/15節|15節]]
|[[/16節|16節]]
|[[/17節|17節]]
|[[/18節|18節]]
|[[/19節|19節]]
|[[/20節|20節]]
|- style="background:#f8f8ff; text-align:right; font-size: 0.85em;"
|[[/21節|21節]]
|[[/22節|22節]]
|[[/23節|23節]]
|[[/24節|24節]]
|[[/25節|25節]]
|[[/26節|26節]]
|[[/27節|27節]]
|[[/28節|28節]]
|[[/29節|29節]]
|[[/30節|30節]]
| colspan="6" |
|- style="background:#f8f8ff; text-align:right; font-size: 0.85em;"
|[[/1節|1節]]
|[[/2節|2節]]
|[[/3節|3節]]
|[[/4節|4節]]
|[[/5節|5節]]
|[[/6節|6節]]
|[[/7節|7節]]
|[[/8節|8節]]
|[[/9節|9節]]
|[[/0節|0節]]
-->
|-
| style="background:#f5fefe; text-align:left; font-size: 0.8em;" colspan="10"|
[[ガリア戦記 第1巻/注解|'''注解''' 第1巻]] |
[[ガリア戦記 第2巻/注解|第2巻]] |
[[ガリア戦記 第3巻/注解|第3巻]] <!--|
[[ガリア戦記 第4巻/注解|第4巻]] |
[[ガリア戦記 第5巻/注解|第5巻]] |
[[ガリア戦記 第6巻/注解|第6巻]] |
[[ガリア戦記 第7巻/注解|第7巻]] |
[[ガリア戦記 第8巻/注解|第8巻]]-->
|}
<br style="clear:both;" />
__notoc__
== 各節注解 ==
[[画像:Gaule -56.png|thumb|right|150px|ガリア戦記 第3巻の情勢図(BC56年)。<br>黄色の領域がローマ領。桃色が同盟部族領。]]
===アルプス・オクトードゥールスの戦い===
*<span style="background-color:#fff;">[[/1節]] {{進捗|00%|2022-04-24}}</span> (144語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/2節]] {{進捗|00%|2022-05-05}}</span> (127語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/3節]] {{進捗|00%|2022-05-05}}</span> (104語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/4節]] {{進捗|00%|2022-05-30}}</span> (97語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/5節]] {{進捗|00%|2022-05-29}}</span> (108語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/6節]] {{進捗|00%|2022-06-06}}</span> (130語)
===大西洋岸ウェネティー族の造反===
{{Wikipedia|モルビアン湾の海戦|モルビアン湾の海戦}}
[[画像:Map of Aremorican tribes (Latin).svg|thumb|right|400px|[[w:アルモリカ|アルモリカ]](<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">''[[w:en:Armorica|Armorica]]''</span> )の部族分布図。]]
*<span style="background-color:#fff;">[[/7節]] {{進捗|00%|2022-06-12}}</span> (98語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/8節]] {{進捗|00%|2022-06-20}}</span> (147語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/9節]] {{進捗|00%|2022-06-19}}</span> (220語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/10節]] {{進捗|00%|2022-07-02}}</span> (79語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/11節]] {{進捗|00%|2022-07-03}}</span> (112語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/12節]] {{進捗|00%|2022-07-09}}</span> (116語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/13節]] {{進捗|00%|2022-07-18}}</span> (193<!--?-->語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/14節]] {{進捗|00%|2022-07-17}}</span> (205語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/15節]] {{進捗|00%|2022-08-21}}</span> (94語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/16節]] {{進捗|00%|2022-08-22}}</span> (80語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/17節]] {{進捗|00%|2022-08-24}}</span> (159語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/18節]] {{進捗|00%|2022-08-25}}</span> (161語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/19節]] {{進捗|00%|2022-08-25}}</span>
<!--【ポン】
*<span style="background-color:#fff;">[[/34節]] {{進捗|00%|2022-04-06}}</span> (37語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/54節]] {{進捗|00%|2021-08-26}}</span> (59語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/22節]] {{進捗|00%|2022-01-19}}</span> (65語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/16節]] {{進捗|00%|2021-12-15}}</span> (76節) 短い節
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*<span style="background-color:#fff;">[[/45節]] {{進捗|00%|2021-06-23}}</span> (86語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/13節]] {{進捗|00%|2021-11-13}}</span> (92節) 短い節
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*<span style="background-color:#fff;">[[/4節]] {{進捗|00%|2022-05-16}}</span> (97語) 短い節
*<span style="background-color:#fff;">[[/46節]] {{進捗|00%|2021-07-03}}</span> (104語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/42節]] {{進捗|00%|2021-05-27}}</span> (182語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/43節]] {{進捗|00%|2021-06-02}}</span> (217語)
*<span style="background-color:#fff;">[[/44節]] {{進捗|00%|2021-06-03}}</span> (362語) 長い節
-->
== 固有名詞 ==
<!--
*<span style="background-color:#ffd;">[[/地名]] {{進捗|00%|2020-06-11}}</span>
*<span style="background-color:#ffd;">[[/部族名]] {{進捗|00%|2020-06-11}}</span>
*<span style="background-color:#ffd;">[[/人名]] {{進捗|00%|2020-07-12}}</span>
-->
== 関連項目 ==
*<span style="background-color:#ffd;">[[ガリア戦記]]</span><!--【2006年4月23日起稿】-->
**<span style="background-color:#ffd;">[[ガリア戦記/注解編]]</span><!--(2020-03-27)-->
***<span style="background-color:#ffd;">[[ガリア戦記/注解編/写本と校訂版]] {{進捗|00%|2020-04-17}}</span><!--(2020-04-17)-->
**<span style="background-color:#ffd;">[[ガリア戦記/用例集]] {{進捗|00%|2020-03-29}}</span><!--(2020-03-29)-->
**[[ガリア戦記/内容目次]]:巻・章・節の内容を記した目次 {{進捗|75%|2011-04-02}}
**[[ガリア戦記/参照画像一覧]]:本文で参照した画像一覧 {{進捗|75%|2011-04-16}}
<br><div style="font-size:20pt;"> Ā Ē Ī Ō Ū ā ē ī ō ū Ă Ĕ Ĭ Ŏ Ŭ ă ĕ ĭ ŏ ŭ </div>
<div style="font-size:13pt;">
<math>\overline{\mbox{VIIII}} </math>
</div><!-- [[w:Help:数式の表示]] -->
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;background-color:#fff;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;"></span>
<!--
*<span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;">† : </span>校訂者が、テクストが壊れていると判断した部分をこの記号で囲んでいる。
-->
<!--
<ruby><rb>●漢字●</rb><rp>(</rp><rt>●ルビ●</rt><rp>)</rp></ruby>
-->
<!--
*<span style="background-color:#ffd;">[[/注解/3節]] {{進捗|00%|2022-07-02}}</span>
-->
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**:<span style="color:#009900;">(訳注:
**:<span style="color:#009900;font-family:Times New Roman;">(訳注:
-->
== 関連記事 ==
{{Wikisource|la:Commentarii de bello Gallico/Liber III|ガリア戦記 第3巻(ラテン語)}}
*ウィキソース
**<span style="font-family:Times New Roman;">[[s:la:Commentarii de bello Gallico/Liber III]] (第3巻 ラテン語)</span>
**<span style="font-family:Times New Roman;">[[s:en:Commentaries on the Gallic War/Book 3]] (第3巻 英訳)</span>
**<span style="font-family:Times New Roman;">[[s:fr:La Guerre des Gaules/Livre III]] (第3巻 仏訳)</span>
----
{{Commons|Category:Battles of Caesar's Gallic Wars|Battles of Caesar's Gallic Warsのカテゴリ}}
*<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[wikt:fr:Catégorie:Mots en latin issus d’un mot en gaulois]]</span>
----
*第3巻の登場人物
**Galba (副官)
***[[w:セルウィウス・スルピキウス・ガルバ (紀元前54年法務官)]]
***[[w:en:Servius Sulpicius Galba (praetor 54 BC)]]
***[[w:fr:Servius Sulpicius Galba (préteur en -54)]]
**Baculus
***[[w:la:Publius Sextius Baculus]]
**Volusenus
***[[w:en:Gaius Volusenus]]
***[[w:fr:Caius Volusenus]]
**Crassus
***[[w:プブリウス・リキニウス・クラッスス]]
***[[w:la:Publius Licinius Crassus]]
***[[w:en:Publius Licinius Crassus (son of triumvir)]]
***[[w:fr:Publius Crassus]]
**Labienus (副官)
***[[w:ティトゥス・ラビエヌス]]
***[[w:la:Titus Labienus]]
***[[w:en:Titus Labienus]]
***[[w:fr:Titus Labienus]]
**Sabinus (副官)
***[[w:クィントゥス・ティトゥリウス・サビヌス]]
***[[w:en:Quintus Titurius Sabinus]]
***[[w:fr:Quintus Titurius Sabinus]]
**Brutus
***[[w:デキムス・ユニウス・ブルトゥス・アルビヌス]]
***[[w:la:Decimus Iunius Brutus Albinus]]
***[[w:en:Decimus Junius Brutus Albinus]]
***[[w:fr:Decimus Junius Brutus Albinus]]
<br>
<hr><!--【第3巻の関連記事】-->
{{Commons|Category:Armorica|Armorica}}
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">
*[[c:Category:Armorica]]
**[[c:Category:Maps of the Antiquity of Bretagne]]
*[[c:Category:Ancient Roman ships]]
*[[c:Category:Steering oars]]
*[[w:la:Vicipaedia:Glossarium nauticum]]
<br>
*[[w:en:Battle of Octodurus]]
</span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;"></span>
== 外部リンク ==
*[[ガリア戦記/注解編#外部リンク]] を参照。
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:13pt;">
; Eastman, Frederick Carlos., D'Ooge, Benjamin L. 1860-1940.(1917)
*[https://catalog.hathitrust.org/Record/001058370 Catalog Record: Caesar in Gaul and selections from the third... | HathiTrust Digital Library] (catalog.hathitrust.org)
:[https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=7&skin=2021 #7 - Caesar in Gaul and selections from the third book of the Civil ... - Full View | HathiTrust Digital Library] (babel.hathitrust.org)
:II.35./BOOK III [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=383&skin=2021 #383 ]
:III.2,3,4 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=384&skin=2021 #384 ]
:III.5,-8 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=385&skin=2021 #385 ]
:III.9 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=386&skin=2021 #386 ]
:III.10,11,12 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=387&skin=2021 #387 ]
:III.13, 14 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=388&skin=2021 #388 ]
:III.15,-17 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=389&skin=2021 #389 ]
:III.18,-21 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=390&skin=2021 #390 ]
:III.22,-24 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=391&skin=2021 #391 ]
:III.25,-29 [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=392&skin=2021 #392 ]
:BOOK IV. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=393&skin=2021 #393 ]
<!--
:II.1. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=367&skin=2021 #367 ]
:II.10. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=372&skin=2021 #372 ]
:II.20. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=377&skin=2021 #377 ]
:II.21. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=378&skin=2021 #378 ]
:II.23. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=379&skin=2021 #379 ]
:II.25. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=380&skin=2021 #380 ]
:II.28. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=381&skin=2021 #381 ]
:II.30. [https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.hn5cnb&view=1up&seq=382&skin=2021 #382 ]
-->
</span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:13pt;"></span>
[[Category:ガリア戦記 第3巻|*#]]
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高校英語の文法/接続詞
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すじにくシチュー
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/* 名詞節を導く従属接続詞 */
wikitext
text/x-wiki
== 接続詞 ==
語と語、句と句、節と節、など、文法上対等のものを結びつけるのが等位接続詞である。
いっぽう、従属節を主節と結びつけるのが従属接続詞であり(ジーニアス、フォレスト)、従位接続詞ともいう(ロイヤル)。
== 等位接続詞 ==
=== 概要 ===
'''等位接続詞'''とは、and, or, but のように文法上等しいものを結びつける接続詞である。上記のほかにも、nor , so, for が等位接続詞である。
both A and B や either A or B なども便宜的にか等位接続詞として分類される。また、 not A but B や not only A but (also) B も等位接続詞として分類される。
便宜的に、not only A but also B と同じ意味をもつ as well as も、参考書では同じ単元で紹介される。
either は、「AかBかのどちらか」という意味である。
neither A nor B は、AもBも両方とも否定する表現であり、つまり「AとBのどちらも~ない」の意味である。
なお、neither A nor B が主語の場合、動詞はBの時制に一致させる(ジーニアス)。また、nor の直後の文章は肯定形である。
neither は基本、A,Bの2つしか使わない。3つ以上では使わないのが原則だが、しかし米英には原則に反して3つ以上で使う人もいるが(ロイヤル)、入試にはそこまで出ないだろう。また、neither で nor の代わりに原則に反して or を使う人もいるとのこと(ロイヤル)。入試では原則的な場合だけを考えればよいだろう。
「neither」とは not either の意味だろう、というのがロイヤル英文法の見解。
nor は、 neither のある文でなくても使われる場合がある(桐原、ロイヤル)。
否定語の not や don't などのあと、 「not A, nor B」または「don't A(動詞) nor B(動詞) 」で「AもBも無い」という意味で、neitherなしで nor が not などの否定語とともに使われる場合がある。 カンマが無い場合もある(ロイヤル英文法)。この場合でも、A nor B のあとに動詞が来る場合、その文は肯定形である。
「AもBもどちらも~ない」と否定の内容を並列させたい場合、andではなくnorを使う(桐原)。
さて、and には、命令文のあとに使われたい場合には、「そうすれば」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
or には、「または」の意味のほかにも「すなわち」「言い換えれば」というある語を別の語で言い換える用法の意味もあるが(ジーニアスおよびエバーグリーンに「言い換えれば」アリ)、どちらの意味の場合でも等位接続詞として分類される。また、or には、命令文のあとに使われたい場合には、「さもなければ」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
なお、「すなわち」「言い換えれば」の意味で or が接続詞として使われる場合、orの前にふつうはカンマ(,)が来る(ジーニアス、いいづなエバーグリーン)。
{{コラム|数学の集合論との違い|
「夏も冬も両方とも好き」は英語では「 I like summer and winter. 」である(ブレイクスル-)。
「夏も冬も両方とも好きではない」は英語ではneither を使わずとも、
I don't like summer or winter.
でもいえて、この場合は接続詞が or になっていることに注意(ブレイクスル-)。
一見すると、数学の集合演算における否定演算での積集合「∩」や和集合「∪」などの演算子の反転のように見えるが、しかし実は、数学の集合の理論(ベン図などの理論のこと)とは違う。
まず、英語において、 A and B が数学でいう和集合(演算子∪)か積集合(演算子は∩)かは文脈による。「情報」科などで習うかもしれないブール代数のand計算は積集合だが、しかし実際の英語の場合はそうとは限らないので注意。
また、よくよく考えると、数学では、積集合 A∩B の否定 not (A∩B )は、 (not A) ∪ (not B) である。
つまり、数学では、単に not がつくだけでは集合演算子は変わらない。要素すべてに not がついて、さらにそのnot を因数分解的にひとまとめにくくる段階になって、ようやく集合演算子が反転するのが、数学的な規則である。
しかし英語では、not がついただけの段階の時点で、接続詞が and から or に反転してしまっている。
このように、集合の数学 と 英語のand/orの文法は、似ているが微妙に違うので、混同しないように。
ともかく、数学では、not でくくったら、集合の演算子は反転する(∪から∩に。または∩から∪に)。しかし英語では、そういう数学的規則は無視されている。
だから、neither の例文をもとに覚えたほうが早いし安全である。
単に「 neither A nor B のように don't A or B のように言う」とでも覚えるしかない。語学はしょせん、暗記科目である。
}}
=== so/ for ===
接続詞としての so は、 <出来事→結果> の語順として「理由の文、so 結果の文」のように理由を前に、結果を後ろに書き、「・・・なので~」「・・・だから~」という意味になる。理由というほど明白な因果関係でなくても、比較的に関連性の高い2つの出来事において、「ある出来事, so 出来事の結果」という用法でも良い。
また、この場合の so の直前にはカンマ「 , 」を置くのが普通(ジーニアス、エバーグリーン)。
余談だが、接続詞としての so と for はそれぞれ、節と節だけ結びつける(フォレスト、エバーグリーン)。つまり、語と語、句と句、語と句などは結び付けない。
いっぽう、for は、 <結果←出来事> の語順として、「結果, for 理由の章」の構文で、堅い言い回しとして理由を説明する。口語で用いることはあまり無い(ジーニアス、エバーグリーン)。ほか、 for は、forの前述の出来事に対して、その理由を述べる接続詞である。
なので、普通は for の直前にはカンマ「 , 」が来る。
接続詞としての for は等位接続詞である。for は従属接続詞ではない等の理由で(ロイヤル)、because のように主節の前に出すことはできない。なお、もし For が文頭に置かれている場合、それは、その直前の文の理由を説明している(ロイヤル)。
=== and ===
いつつかの名詞が and で結ばれている場合、基本的には全体としては複数形として判断する。
Tom, Bob and John are students of this school.
しかし、下記のように例外がある。
Ham and eggs is my favorite breakfast. 「ハムアンドエッグは、私の好きな朝食だ」※ インスパイアより同じ例文
「Ham and eggs 」で1セットの食品なので、これは単数形として判定する。
同様に、
curry and rice (カレーライス)
a cup of saucer (皿つきマグカップ)
a knife and fork (ナイフとフォーク) ※インスパ、ジーニアス
bread and butter (バターつきパン)
body and mental (肉体と精神) ※インスパイア
は1セットの名詞とみなすので、それぞで単数形として判定する(青チャ、インスパ)。
なお、a cup of saucer の 「a」は、a 「cup of saucer 」ということで、「cup of saucer 」のセットがひとつという意味(ジーニアス)。なので、後ろ側の saucer には a がつかない(ジーニアス)。
けっして、1つのカップといくつかの皿ではない。
a knife and fork も同様、 a「knife and fork」 という意味なので、「knife and fork」のセットが一つの意味(ジーニアス)。
まず、and の基本的な意味を確認しよう。
;並列と順序
and の基本的な意味は並列「および」「と」の意味だが、もうひとつ、動作・時間の順序という意味もある。「先に起きたこと and その直後に起きたこと」のような語順で and を使うこともある。
動作や時間の順序のand は、「そして」や「~して、」の意味である(ジーニアス、ロイヤル)。
たとえば come and see は「先に来て、そして見る(見た)」の意味であり、つまり不定詞の結果用法 come to see と同じ意味である(フォレスト)。同様の表現として、 go and see もある。
;因果関係
さらに、and が因果関係をあらわす場合もある(ジーニアス、ロイヤル)。普通、文章では、先に行ったり紹介した動作が、あとの動作の理由になるので、andで因果関係を表すのも自然であろう。
{{コラム|and なのに逆接?|
上記で and は因果関係を表す場合もあるといったが、しかし人生では、必ずしも前に起きた動作の期待どおりに後の結果が起きるとは限らない場合も多々あるものである。このため、and があたかも but のような逆接的な意味かのように見える英文が生じる場合もある。
たとえば、「彼は努力して、そして失敗した」は、順序を意識すれば try hard and failed のような言い回しになる(ジーニアス)。努力 try hard という準備にもかかわらず失敗 fail したことから、文脈によっては and なのにまるで逆接のような意味も読み取れる場合もある。
さて、このことから、もし後の起きたことが先に起きたことに比べて対照的な場合、場合によっては and は、あたかも逆接 but のような意味に見える場合がある。
とはいえ、これはand の順序関係の用法の、派生的なものである。andの基本的な意味は、あくまで並列・順序だと思うべきだろう。
}}
== 従属接続詞 ==
=== 名詞節を導く従属接続詞 ===
==== whether と if ====
一方、名詞節を導くために使われる that およびwhether(~かどうか) と if(~かどうか) は'''従属接続詞'''である。that や whether を接続詞として解釈する考えもある。
ここでの名詞節を導く if は、「~かどうか」の意味での if である。「もし~ならば、」の if のことではない。また、「もし」の if との混同をさけるため、文頭では名詞節の if は使えない(ファクトブック)。この「~かどうか」の意味の if の性質について言い方を変えるなら、つまり if は動詞の目的語としてしか使えない(ジーニアス、青チャート、ほか多数)。
また、whether or not (~かどうか)という成句はある一方、ifにはない(インスパイア、青チャート)。
ほか、「whether to ~(動詞)」で「~すべきかどうか」というto不定詞の用法はあるが、ifには不定詞が続かない(インスパイア、青チャート)。
なお、 whether to go 「行くべきかどうか」という語が、参考書によくある典型例である。さらに、 whether to go or not (青チャート)「行くべきかどうか」や whether to go or stay (ブレイクスルー)「行くべきかとどまるべきか」のようになる場合もある。
さらに、助動詞 should を使って「べき」を強調する whether we should go or stay 「行くべきか残るべきか」という表現もある(青チャート)。
whether we should go or not のように、whether の直後ではなく分節の最後に or not をつける場合もある(ジーニアス)。
また、whether は前置詞の目的語になることがあるが、ifはならない(インスパイア)。
The question whether we should go or stay のように名詞と同格の節をみちびくこともある(インスパイア、青チャート、ジーニアス)。関係代名詞または前置詞のようにも見えるかもしれないが、しかしどの参考書も、関係詞や前置詞としてではなく「名詞と同格の節」という概念で説明している。一方、if には、名詞と同格の用法は無い。
if の本来の用法は「もしも~」であり、「~かどうか」の意味は派生的な意味にすぎない、と考えるのが良いだろう。
ほか、if は口語的、whether は文語的である(ジーニアス、青チャ-ト、エバグリ)。
depends on whether 、
など、動詞句 depends on とwhether との組み合わせが決まっている(青チャート)。depends on と if との組み合わせは禁止。なお depends on は、前置詞の目的語にwhether が来る例にもなっている。
wonder と ask は、if でも whether でも、どちらでも良い(ブレイクスルー、青チャート)。
ほか、 I wonder if ~ で「~がどうかなと思う」の意味。
==== that ====
さて、従属接続詞の典型的な文で
The fact is (that)・・・ 「事実は・・・ということだ。」
The trouble is (that)・・・ 「困ったことに・・・ということだ。」
The truth is (that)・・・ 「真実は・・・ということだ。」
The reason is (that)・・・ 「理由は・・・ということだ。」
などがある。
このように、名詞節を導く that は、「・・・ということだ。」の意味になる。
that は主語・補語・目的語になる(上記の the reason is that などの例文の場合は、that が補語になっている)。
ほか、 It is 形容詞 that ・・・ という形式主語の文章で 使われる that は接続詞でもある(ジーニアス、エバーグリーン )。
ほか、that節が know,say ,think, tell, hope など一般的な動詞の目的語になっている場合は、thatを省略することも多い(ブレイクスルー、インスパイア)。
ただし、形式目的語の that は省略できない(エバーグリーン)。形式目的語とは、
He made it clear that ~ . 「彼は~であることを明らかにした。」
のような it を仮の目的語とする文章のこと。
that 節は普通は前置詞の後ろに置かれることないが(ジーニアス)、例外的に in that(~という点で、~だから) と except that(~を除いて)という用法がある。
なお、 in that には意味の異なる「~という点で」という用法と、もうひとつ「~だから」「~であるか」という別の用法があることに注意(ジーニアス)。
参考書によっては in that は前置詞の項目に書いてある場合もある(青チャート)。
ほか、Now that で、「今や~だから」という表現ができる。口語ではよくthatが省略され、Now だけになる。
典型的な例文は
Now (that) he is eighteen, he can vote. 「今や彼は18歳なのだから、彼は投票できる。」
である(ジーニアス、青チャート)。
このほか、紹介している参考書は少ないが(青チャート、インスパイア)、分詞構文の Seeing that ~「~であるから」「~だから」が接続詞的に用いられる用法もある(青チャート)。
I'm glad that you have come to meet us. 「あなたがお迎えにきてくれて、うれしく思います」(青チャート)
のような例文がよくある。
I'm glad that ~ 「~できて、うれしいです」
のように、「感情を現す形容詞 + that 」の that も接続詞である(青チャート)。
afraid, disappointed, sad, sorry, glad, happy, angry, surprised , upset などがこのような形容詞である(青チャート、ジーニアス)。この場合の that は省略されることも多い。なお、この場合の感情に続く that 以下の内容は「理由」を表す(ジーニアス)。
We are sorry that you cannot come. 「あなたがこられないのは残念です。」(インスパイア)
この場合の sorry は謝罪ではないので注意。
sure 「確信している」は日本語では感情とは言いづらいが、青チャートはこれを感情に含めている。ただし、ジーニアスはsureを不採用。
なお、sure は感情のように I'm sure that ~ と主語を人称代名詞とするのが普通。辞書ジーニアスを見たが、it を主語にする sure は見つからなかった。
いっぽう、certain は、 It is certain that ~ も I'm certain もともに許される。(フォレストに I'm certain あり。ブレイクスルーに it is certain)
なお、確信ではなく「疑わしい」と思っている場合は、
It is doubtful whether (またはif)~ 「~かどうかは疑わしい」
のように、 接続詞は whether または if になる。この場合の whether や if も名詞節である。 I'm doubtful whether(if) のように人称代名詞で言ってもよい(インスパイア)。さらに、形容詞ではなく動詞 doubt で I doubt whether (if) ~ で言うことも可能(インスパイア)。
{{コラム|(※ 発展)doubt のあとは that か whether か |
doubt のあとが doubt whether のように whether になる場合は、肯定の平叙文の場合だけである(インスパイア)。
doubt については否定形の場合、don't doubt that ~ のようになる(インスパイア)。つまり、否定形 doubtでは whether ではなく that になる。 これは、don't doubt は直訳しただけなら単に「疑ってはいない」というだけになってしまうが、しかし実際には don't doubt は「確信している」という意味を表すのに慣用的に使われている(インスパイア)からである。インスパイアの場合、I don't doubt that ~ を「~することは間違いない」と訳している。かなりマニアックな話題であり、ほかの参考書は取り上げていない。
けっして「否定形のあとなら whether がthat になる」(×)というわけではない(ジーニアス)。「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ」という文章で、「どうでもいい」は It doesn't concern me なので(ジーニアス)、それと「彼女が来るかどうか」を合わせて
It doesn't concern me whether she will come or not. 「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ。」(ジーニアス)
という例文もあるほどだ(ジーニアス)。
さらに疑問文の場合、 Do you doubt that ~ のように、that になる。
これはもう、論理的に説明するのが困難だが、安心してもいいことに他社の参考書にまず書いてない。入試には出ないだろう。
入試の出題者だって、そこまで瑣末なことは問わない。
実は「高校レベル」の参考書と言うのは、実は読者対象は題名に反して決して高校生だけが対象でなく、大学の教師などが知識を広く浅くアップデートするためにも出版されているので、上述のような入試の範囲をやや超えた細かい話題も載っていたりするのである。インスパイアがどうかは知らないが。
}}
なお「確信」している場合、I'm sure は「確信している」の「信」じるの文字からも想像がつくように、動詞 believe で
I believe that と細かなニュアンスを無視すれば言い換えもできる(インスパイア)。
ほか、確信していない場合は、つまり確信に not がつく場合は、that よりも whether や if のほうが好ましい(インスパイア、ブレイクスルー)。つまり
I'm not sure whether(またはif) ~
のようになる(インスパイア、ブレイクスルー)。
なお、動詞で「信じていない」という場合、つまり don't believe の場合、 I didn't believe what ~ のように whether ではなく what になるのに注意(インスパイア)。
=== 副詞節を導く従属接続詞 ===
==== はじめに ====
ほか、(たとえば平叙文のなかで)副詞節を導かれるために使われる when (~のとき、)や where (~の場所)が従属接続詞である。
before , after および since や until なども従属接続詞。
as soon as や once もこれに含める(ジーニアス、フォレスト)。
また、過去形で It was not ling before ~ なら「すぐに~できた」の意味であり、副詞 soon で言い換えできる(ジーニアス)。
「until ~」は、「~」の瞬間まで動作が継続しているときに使い、「~するまで(ずっと)」の意味である(エバーグリーンに「ずっと」)。
一方、継続しない場合で、その時までに動作が完了している場合には、untilではなくby the time 「~する(時)までに」を使う(ジーニアス、インスパイア)。
また、until と by the time の両方とも、内容が未来の話であっても従属節の時制は現在形になる(インスパイア)。
いっぽう、主節のほうは、until の主節は未来の内容でも現在時制だが、しかし by the time の主節は未来のほうなら未来表現(will)になるという違いがある(インスパイア)。
:※ インスパイア以外は by the time の主節の時制に言及していない。
as well as が等位接続詞なのに as soon as が従属なのはアレだが、まあどの参考書でもそういう分類になっている。
as soon as は言い換えで、the moment や the instant や no sooner ・・・ than ~ などの言い換え表現がある。
なお、 no sooner ・・・ than ~ は参考書によっては、『接続詞』の単元ではなく『比較』の単元に節に書いてある(青チャートなど)。
青チャートいわく、immediately も「~するとすぐに」だが、イギリス英語とのこと。
no sooner ・・・ than ~ の言い回しは文頭にくる場合もあり、その際に倒置によって主語と助動詞の語順が逆になる。
つまり、助動詞に had を使っているなら、とりあえず主語をIとするなら(べつに he でも she でも構わない)、倒置の場合は
No sooner had I + 過去分詞・・・ than ~ の語順である。
よく助動詞 had による過去完了形が使われるが(エバーグリーン、ジーニアス、青チャート)、しかし別に助動詞 did による単なる過去形でも構わない(インスパイア)。
構文の意味は微妙に違うが、
hardly(またはscarcely) ・・・ when(またはbefore) ~ 「~するやいなや」
も文頭にくる倒置をすれば主語と述語の動詞が逆転するので、よく
no sooner の構文といっしょに参考書では紹介されることも多い(ジーニアス、青チャート)。
倒置する場合、上述の構文の語順は、とりあえず主語を he とするなら、
Hardly had he 過去分詞 when ・・・
の語順である。
なお、no longer 「もう~ではない」「もはや~ではない」は特に倒置は起きず、参考書でも特に倒置については言及はされていない(ジーニアス、エバーグリーン)。
よくある例文が、「宇宙旅行は(月への旅行は)もはや夢ではない」のような例文であり(インスパイア、青チャート)、たとえば
Traveling into space is no longer a dream. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
A trip to the moon is no longer a dream. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」(青チャート)
また、no longer は現在時制とともに使われることが多い(青チャート)。上述の例文も現在時制になっていることに注目。
no longer ~ は、not ~ any longer でも言い換えでき、どの参考書でも言及されている。
Traveling into space is not a dream any longer. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
青チャートはany longer の言い換えをしてないが、もし言い換えするなら、下記のようになるだろう。
A trip to the moon is not a dream any longer. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」 (wikiオリジナル)
I cannot stand ~ any longer. 「もうこれ以上、~に我慢できない。」(青チャート、ブレイクスルー)
入試にはめったに出ないが、じつは他にも言い換え表現として not ~ any more や not ~ anymore などもある(青チャート比較、ジーニアス接続詞)。
==== 否定 ====
参考書によっては「接続詞」の単元ではなく否定の単元に掛かれていることも多いが、no や not などの否定の語句をつかった接続詞的な内容の構文がある。
「cannot help ~ing 」と 「have no choice but to ~(to不定詞)」との使い分けが、重要である。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」「思わず~してしまう」の意味。cannot help ~ing は感情をおさえきれずに(青チャート)、思わず何かをしてしまう時に使う表現である。
Cannot help laughing 「笑わずにはいられない」
のように使う。「cannot help but 動詞の原型 」という言い方もある(ジーニアス、ブレイクスルー)。
cannot help but laugh
のように使う。
一方、自分の感情に反して、外部的な事情などで「~せざるを得ない」場合には、
have no choice but to 動詞の原形(to不定詞)
を使う(青チャート、ジーニアス)。
She had no choice to give up her job. 「彼女は仕事をやめざるを得なかった。」(青チャートを改変)
のように使う(エバーグリーン、青チャート)。
なお、
I had no choice to quit my job. 「私は仕事をやめざるを得なかった。」(エバーグリーン)
==== once ====
once は「いったん~すると」の意味。once をどう分類するかが参考書ごとに違う。
ifやunlessなどと同様に「条件」として once を分類する参考書もあれば(ブレイクスルー、インスパイア)、
beforeやafterやsinceなどと同様の「起点」として once を分類する参考書もある(ジーニアス、フォレスト)。
なお、as soon as と once がなぜか同じ章節で紹介される参考書が多いが(ジーニアス、フォレスト、しかし意味が違う接続詞なので混同しないように。
if~ は内容が未来であっても現在形を使うが、as soon as ~ も後続の文では内容が未来であっても現在形を使うので、もしかしたらその理由でonceが「条件」として分類されているのかもしれない。
また、as soon as ~ と同様に、once ~ も後続の文の内容が未来であっても現在形を使う(ジーニアス)。そういう共通点からか、一緒に「起点」として紹介されるのかもしれない。
しかし、単に分類が同じだけであり、 once は as soon as とは意味がまったく違うので、混同しないように。
==== その他 ====
時間の表現だけでなく、because や since (since には理由の意味もある)も従属接続詞。
because は従属接続詞なので、よって主節なしで
「Because ~ .」
といったBecause だけの節をつくることは原則、誤用だとみなされる(青チャート、ジーニアス)。
ただし例外的に、"Why ~?" といった Why を使った質問文に対して、解答で"Because ~" と because だけの節の文章が許されている(青チャート、ジーニアス)。
since は基本、相手が既知の話題についての理由を説明するときに使うので(ブレイクスルー、フォレスト、ジーニアス)、since節の時制は過去形になる事も多い(青チャート)。また、上記の事情のため、sinceのつくる副詞節は文頭や前方に置かれることも多いが(インスパイア、ジーニアス、ブレイクスルー)、しかしsinceを文頭に置かなくても正しい英語である(青チャート)。
「so ~(形容詞) that ・・・(文)」 は従属接続詞。
so に等位接続詞の用法もあるが、しかし 「so 形容詞 that 文」で結びつけられている形容詞とthat後続の文は対等ではないので、従属接続詞のほうが適切であろう。
例文は著作権のため省略。
==== 譲歩 ====
「譲歩」の意味である、though や although が従属接続詞として分類されている(ジーニアス、フォレスト、ロイヤル)。
though よりも although のほうが堅い言い回しである(フォレスト、ロイヤル)。
なお、英文法の接続詞の単元でいう「譲歩」は、日本語の日常語の「譲歩」とは意味がやや違う。日常語の「譲歩」とは、自分と相手・他人の主張が対立したい場合に、相手の意見を聞き入れたり時には従うことに重点が置かれるのが日常語の譲歩である(広辞苑、三省堂新明解)。
しかし、この接続詞の英文法でいう「譲歩」とは、相手の主張の一部を事実ではあると認めた上で、それでも自分の主張に事実性などがあることを主張しているのが、英文法の接続詞の分野での「譲歩」である(桐原フォレスト)。
even if ~ も even though ~ も「たとえ ~ だとしても」という譲歩の意味があるが、下記のような違いがある。
even though ~ は、though の後に事実がきて、話し手は事実を知っている。
even if ~ は、if のあとに仮定がきて、その仮定が事実かどうかを話しては知らない。
これとは別に、 even if ~ で if のあとが仮定法過去になる場合もある(ジーニアス、インスパイア)。
基本的には、even if も even though も、evenは単に直後の語を強調しているだけである(インスパイア)。 if「もし~」 のあとが事実かどうかを話し手が知らないのもifの不普通の用法だし、though 「~にもかかわらず」も通常は話し手は事実を前提にしているからである。
単に even は if や though に譲歩の意味をつけたしたり、譲歩を強調したりしているだけにすぎない。
==== 条件 ====
条件を表すif および unless も従属接続詞。
unless は、「もし~でなければ」という意味であるが(ジーニアス、ロイヤル)、「~でない限り、」と訳される場合も多い(フォレスト、ロイヤル)。なお、unless の直後の文は否定形にはならず(フォレスト、ジーニアス)、つまり unless の直後の文は肯定形である。
unless は、「否定の条件」であるという性質に加えて、さらに基本的に「唯一の条件」という性質がある(青チャート)。「起きてほしくない事を避けるためには、unless 以降の内容を実行するしかない」という意味での唯一性の主張が unless にはある。
このことなどから、 unless ~の文を if ・・・ not ~ の文章に書き換えできる一方で(unless → if not は可能な場合が多い)、しかし if not → unless の書き換えが無理な場合が多い。
unless は「条件の文 unless 予想される結果の文」の語順。unless においてカンマなどは不要。
unless の語順は、「予想される結末 unless 結末が成り立たなくなる条件」である。なお、unlessの主節(※ 予想される結末のほう)には、willなどの未来表現を使うのが普通。一方、ifおよびunless では従属節の内容がたとえ未来における内容であっても従属節の時制は現在形にする(ジーニアス)。桐原やロイヤルでは従属節の時制はとくに解説では明記されていないが、例文の時制を見ればジーニアスと同様に桐原などでもunlessの従属節は現在形である。
==== 否定の慣用表現 ====
※ 参考書によっては、「接続詞」の単元ではなく、「否定」の単元で下記が紹介されている場合もある(ジーニアス、エバーグリーン)。
===== not long before =====
It will not long before ~ は「まもなく~するだろう」の意味である。直訳すれば「~するまでに長くはない」だが(青チャート)、英語では「まもなく~するだろう」の意味である。
===== not until =====
It is not until ~ that ・・・ で「~して初めて・・・する」の意味である。直訳すれば「・・・まで~しない」だが(青チャート、インスパイア)、実際にはそこまで否定のニュアンスは無いし(とくに出典なし)、また過去形でも It was not until ~ that ・・・ として使われる(エバーグリーン、ジーニアス)。
典型的な文章は「病気になって初めて健康のありがたさが分かる」だが(ジーニアス、インスパイア)、参考書によって英文が微妙に違う。
ジーニアスでは
It was not until I became ill that I realized the value of health.
である。
インスパイアは、
It is not until we fail ill that we appreciate the value of good health.
である。
上記のように、同じような和訳の言い回しでも、文献により英文が微妙に違うので、暗記の必要はない。もし暗記させる教育者がいれば教員としての見識不足を疑われるだけである。
=== in case ~ ===
「in case ~(文)」は「~の場合にそなえて」の意味であり、従属接続詞として分類され、この場合は普通は主節のあとに in case ~ が置かれる(フォレレスト、ジーニアス)。
in case ~ の典型的な例文は、
Take an umbrella with you in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ 数研 青チャート、ジーニアス
take の代わりに bring の場合もある。また、この傘をもっていく例文の場合なら with you は省略可能。上記例文の出典の参考書にも with you をつけてないものもある。
Bring an umbrella in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ ファクトブック
命令形ではなく平叙文の場合もあり、下記のような例文もある。
I'll take an umbrella with me in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていこう。」 ※ フォレスト
with me は省略可能。自分で持っていくので with me になる(青チャート)。
「in case ~ 」の副詞節に it should rain. のように should が使われる場合もあるが、これは可能性が低いと話し手・書き手が思っている意味である(青チャート、ブレイクスルー)。
なお、in case は上記の「~するといけないから」「~しないように」の用法の他にも、case 「条件」の文字通り「~の条件で」の意味で in case を使う場合もアメリカ英語では見られ(ジーニアス、フォレスト)、この場合は if でも言い換えできる。
言い換え表現で、「~するといけないから」「~しないように」用法の in case と同じ意味は「for fear that A ~」や「lest A (should) ~」でも言える。
for fear も lest も、ともに固い表現である(ジーニアス)。ジーニアス以外の参考書の多くは、for fear が固い表現であることを取り上げていない。
for fear ~でも lest ~でも、つづく「~」の部分には not をつけない。日本語に引きづられて not をつけないように注意。
英和辞典を見れば fear は「恐れ」「不安」などの意味が書いてあることからも想像がつくように、for fear のあとには、おそれている内容を書くので、つまり、実現してほしくないことを肯定形で書くことになるのも当然であろう。
さて、lest について、ジーニアスいわく、 lest は固い言い方なだけであり、頻度自体は for fear よりも lest のほうが高いと、ジーニアスは主張している。
lest のshould が省略される場合もある。なお、shouldが省略された場合には、続く動詞には原形が来る。lest のshould 省略時の動詞の原形をつかうことを仮定法現在として解釈する流儀もある(青チャート)。
ほか、文法教育的にはあまり注目されないが、
so that ~ 「~のために」と、否定 not を組み合わせて、たとえば 「so that A won't ~」により「~しないように」という言い換えも可能である。won't の変わりに can't の場合もある(ブレイクスルー)。
=== その他 ===
その他、as far as や as long as など範囲を表す表現が、カンマなどを補われて、従属接続詞として分類される。
「as far as I know,」 で「私の知る限りでは、」の意味。as far as の代わりに so far as とすることもある(ロイヤル)。
よくある典型文は
As far as I know, he is ~. 「私の知るかぎり、彼は~な人だ」
である(フォレスト、インスパイア)。そのほか、
As far as I'm concerned, ~ 「私に関する限り、」
という表現が、たとえば「私に関する限り、それで結構です。」(青チャート)とか「私に関する限り、不満はありません。」(ジーニアス)のような文章で使われる。
このように as ・・・ as は範囲を表すことがある。
このほか、別の用法で as far as で、自分の意見を言う用法もある(ブレイクスルー、ジーニアス)。たとえばブレイクスルーいわく、「私の意見では、冷凍食品はおいしくない」という単なる持論にも as far as を使っている例文がある。
as long as には用法が2種類あり、ひとつの用法は「~する間」という時間的な範囲を表す用法であり、もうひとつの用法は最低限の条件を表し(フォレスト)、「~しさえすれば」などと訳される(ジーニアス、フォレスト)。as long as の代わりに so long as とすることもある(ジーニアス、フォレスト)。「~する限りは」と訳される場合もある(ロイヤル)。
慣用的なよくある言い回しとして、「as long as I live 」で「私が生きている限り」の意味(ロイヤル、ジーニアス)。
I will never forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章がよく参考書にある(ジーニアス、青チャート)。
なお、べつにneverを使わずとも、
I won't forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章もよくある(インスパイア)。
「~さえすれば」の as long as は、言い換えとして、if only または only if で言い換えすることもできる。
目的を表す「 so that ~」も接続詞である。in order that も同様、目的を表す接続詞である。なお、so that ~ について、口語では thatが省略されることも多く、つまり so だけで目的の接続詞になることもある(フォレスト、ジーニアス)。
so that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
なお、「so ~(形容詞など) that ・・・」は程度をあらわす接続詞である。
in order that ~ は堅い表現。in order that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
as も接続詞の用法がある(ロイヤル、フォレスト)。
その他にも、さまざまな接続詞がある
suppose や supposed や providing や provided (どれも「もし~ならば」の意味)などを接続詞として分類することもある(フォレスト)。
rzo03dueb80qvhbpmb8otgs00aw4t96
207265
207264
2022-08-26T01:51:42Z
すじにくシチュー
12058
/* その他 */
wikitext
text/x-wiki
== 接続詞 ==
語と語、句と句、節と節、など、文法上対等のものを結びつけるのが等位接続詞である。
いっぽう、従属節を主節と結びつけるのが従属接続詞であり(ジーニアス、フォレスト)、従位接続詞ともいう(ロイヤル)。
== 等位接続詞 ==
=== 概要 ===
'''等位接続詞'''とは、and, or, but のように文法上等しいものを結びつける接続詞である。上記のほかにも、nor , so, for が等位接続詞である。
both A and B や either A or B なども便宜的にか等位接続詞として分類される。また、 not A but B や not only A but (also) B も等位接続詞として分類される。
便宜的に、not only A but also B と同じ意味をもつ as well as も、参考書では同じ単元で紹介される。
either は、「AかBかのどちらか」という意味である。
neither A nor B は、AもBも両方とも否定する表現であり、つまり「AとBのどちらも~ない」の意味である。
なお、neither A nor B が主語の場合、動詞はBの時制に一致させる(ジーニアス)。また、nor の直後の文章は肯定形である。
neither は基本、A,Bの2つしか使わない。3つ以上では使わないのが原則だが、しかし米英には原則に反して3つ以上で使う人もいるが(ロイヤル)、入試にはそこまで出ないだろう。また、neither で nor の代わりに原則に反して or を使う人もいるとのこと(ロイヤル)。入試では原則的な場合だけを考えればよいだろう。
「neither」とは not either の意味だろう、というのがロイヤル英文法の見解。
nor は、 neither のある文でなくても使われる場合がある(桐原、ロイヤル)。
否定語の not や don't などのあと、 「not A, nor B」または「don't A(動詞) nor B(動詞) 」で「AもBも無い」という意味で、neitherなしで nor が not などの否定語とともに使われる場合がある。 カンマが無い場合もある(ロイヤル英文法)。この場合でも、A nor B のあとに動詞が来る場合、その文は肯定形である。
「AもBもどちらも~ない」と否定の内容を並列させたい場合、andではなくnorを使う(桐原)。
さて、and には、命令文のあとに使われたい場合には、「そうすれば」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
or には、「または」の意味のほかにも「すなわち」「言い換えれば」というある語を別の語で言い換える用法の意味もあるが(ジーニアスおよびエバーグリーンに「言い換えれば」アリ)、どちらの意味の場合でも等位接続詞として分類される。また、or には、命令文のあとに使われたい場合には、「さもなければ」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
なお、「すなわち」「言い換えれば」の意味で or が接続詞として使われる場合、orの前にふつうはカンマ(,)が来る(ジーニアス、いいづなエバーグリーン)。
{{コラム|数学の集合論との違い|
「夏も冬も両方とも好き」は英語では「 I like summer and winter. 」である(ブレイクスル-)。
「夏も冬も両方とも好きではない」は英語ではneither を使わずとも、
I don't like summer or winter.
でもいえて、この場合は接続詞が or になっていることに注意(ブレイクスル-)。
一見すると、数学の集合演算における否定演算での積集合「∩」や和集合「∪」などの演算子の反転のように見えるが、しかし実は、数学の集合の理論(ベン図などの理論のこと)とは違う。
まず、英語において、 A and B が数学でいう和集合(演算子∪)か積集合(演算子は∩)かは文脈による。「情報」科などで習うかもしれないブール代数のand計算は積集合だが、しかし実際の英語の場合はそうとは限らないので注意。
また、よくよく考えると、数学では、積集合 A∩B の否定 not (A∩B )は、 (not A) ∪ (not B) である。
つまり、数学では、単に not がつくだけでは集合演算子は変わらない。要素すべてに not がついて、さらにそのnot を因数分解的にひとまとめにくくる段階になって、ようやく集合演算子が反転するのが、数学的な規則である。
しかし英語では、not がついただけの段階の時点で、接続詞が and から or に反転してしまっている。
このように、集合の数学 と 英語のand/orの文法は、似ているが微妙に違うので、混同しないように。
ともかく、数学では、not でくくったら、集合の演算子は反転する(∪から∩に。または∩から∪に)。しかし英語では、そういう数学的規則は無視されている。
だから、neither の例文をもとに覚えたほうが早いし安全である。
単に「 neither A nor B のように don't A or B のように言う」とでも覚えるしかない。語学はしょせん、暗記科目である。
}}
=== so/ for ===
接続詞としての so は、 <出来事→結果> の語順として「理由の文、so 結果の文」のように理由を前に、結果を後ろに書き、「・・・なので~」「・・・だから~」という意味になる。理由というほど明白な因果関係でなくても、比較的に関連性の高い2つの出来事において、「ある出来事, so 出来事の結果」という用法でも良い。
また、この場合の so の直前にはカンマ「 , 」を置くのが普通(ジーニアス、エバーグリーン)。
余談だが、接続詞としての so と for はそれぞれ、節と節だけ結びつける(フォレスト、エバーグリーン)。つまり、語と語、句と句、語と句などは結び付けない。
いっぽう、for は、 <結果←出来事> の語順として、「結果, for 理由の章」の構文で、堅い言い回しとして理由を説明する。口語で用いることはあまり無い(ジーニアス、エバーグリーン)。ほか、 for は、forの前述の出来事に対して、その理由を述べる接続詞である。
なので、普通は for の直前にはカンマ「 , 」が来る。
接続詞としての for は等位接続詞である。for は従属接続詞ではない等の理由で(ロイヤル)、because のように主節の前に出すことはできない。なお、もし For が文頭に置かれている場合、それは、その直前の文の理由を説明している(ロイヤル)。
=== and ===
いつつかの名詞が and で結ばれている場合、基本的には全体としては複数形として判断する。
Tom, Bob and John are students of this school.
しかし、下記のように例外がある。
Ham and eggs is my favorite breakfast. 「ハムアンドエッグは、私の好きな朝食だ」※ インスパイアより同じ例文
「Ham and eggs 」で1セットの食品なので、これは単数形として判定する。
同様に、
curry and rice (カレーライス)
a cup of saucer (皿つきマグカップ)
a knife and fork (ナイフとフォーク) ※インスパ、ジーニアス
bread and butter (バターつきパン)
body and mental (肉体と精神) ※インスパイア
は1セットの名詞とみなすので、それぞで単数形として判定する(青チャ、インスパ)。
なお、a cup of saucer の 「a」は、a 「cup of saucer 」ということで、「cup of saucer 」のセットがひとつという意味(ジーニアス)。なので、後ろ側の saucer には a がつかない(ジーニアス)。
けっして、1つのカップといくつかの皿ではない。
a knife and fork も同様、 a「knife and fork」 という意味なので、「knife and fork」のセットが一つの意味(ジーニアス)。
まず、and の基本的な意味を確認しよう。
;並列と順序
and の基本的な意味は並列「および」「と」の意味だが、もうひとつ、動作・時間の順序という意味もある。「先に起きたこと and その直後に起きたこと」のような語順で and を使うこともある。
動作や時間の順序のand は、「そして」や「~して、」の意味である(ジーニアス、ロイヤル)。
たとえば come and see は「先に来て、そして見る(見た)」の意味であり、つまり不定詞の結果用法 come to see と同じ意味である(フォレスト)。同様の表現として、 go and see もある。
;因果関係
さらに、and が因果関係をあらわす場合もある(ジーニアス、ロイヤル)。普通、文章では、先に行ったり紹介した動作が、あとの動作の理由になるので、andで因果関係を表すのも自然であろう。
{{コラム|and なのに逆接?|
上記で and は因果関係を表す場合もあるといったが、しかし人生では、必ずしも前に起きた動作の期待どおりに後の結果が起きるとは限らない場合も多々あるものである。このため、and があたかも but のような逆接的な意味かのように見える英文が生じる場合もある。
たとえば、「彼は努力して、そして失敗した」は、順序を意識すれば try hard and failed のような言い回しになる(ジーニアス)。努力 try hard という準備にもかかわらず失敗 fail したことから、文脈によっては and なのにまるで逆接のような意味も読み取れる場合もある。
さて、このことから、もし後の起きたことが先に起きたことに比べて対照的な場合、場合によっては and は、あたかも逆接 but のような意味に見える場合がある。
とはいえ、これはand の順序関係の用法の、派生的なものである。andの基本的な意味は、あくまで並列・順序だと思うべきだろう。
}}
== 従属接続詞 ==
=== 名詞節を導く従属接続詞 ===
==== whether と if ====
一方、名詞節を導くために使われる that およびwhether(~かどうか) と if(~かどうか) は'''従属接続詞'''である。that や whether を接続詞として解釈する考えもある。
ここでの名詞節を導く if は、「~かどうか」の意味での if である。「もし~ならば、」の if のことではない。また、「もし」の if との混同をさけるため、文頭では名詞節の if は使えない(ファクトブック)。この「~かどうか」の意味の if の性質について言い方を変えるなら、つまり if は動詞の目的語としてしか使えない(ジーニアス、青チャート、ほか多数)。
また、whether or not (~かどうか)という成句はある一方、ifにはない(インスパイア、青チャート)。
ほか、「whether to ~(動詞)」で「~すべきかどうか」というto不定詞の用法はあるが、ifには不定詞が続かない(インスパイア、青チャート)。
なお、 whether to go 「行くべきかどうか」という語が、参考書によくある典型例である。さらに、 whether to go or not (青チャート)「行くべきかどうか」や whether to go or stay (ブレイクスルー)「行くべきかとどまるべきか」のようになる場合もある。
さらに、助動詞 should を使って「べき」を強調する whether we should go or stay 「行くべきか残るべきか」という表現もある(青チャート)。
whether we should go or not のように、whether の直後ではなく分節の最後に or not をつける場合もある(ジーニアス)。
また、whether は前置詞の目的語になることがあるが、ifはならない(インスパイア)。
The question whether we should go or stay のように名詞と同格の節をみちびくこともある(インスパイア、青チャート、ジーニアス)。関係代名詞または前置詞のようにも見えるかもしれないが、しかしどの参考書も、関係詞や前置詞としてではなく「名詞と同格の節」という概念で説明している。一方、if には、名詞と同格の用法は無い。
if の本来の用法は「もしも~」であり、「~かどうか」の意味は派生的な意味にすぎない、と考えるのが良いだろう。
ほか、if は口語的、whether は文語的である(ジーニアス、青チャ-ト、エバグリ)。
depends on whether 、
など、動詞句 depends on とwhether との組み合わせが決まっている(青チャート)。depends on と if との組み合わせは禁止。なお depends on は、前置詞の目的語にwhether が来る例にもなっている。
wonder と ask は、if でも whether でも、どちらでも良い(ブレイクスルー、青チャート)。
ほか、 I wonder if ~ で「~がどうかなと思う」の意味。
==== that ====
さて、従属接続詞の典型的な文で
The fact is (that)・・・ 「事実は・・・ということだ。」
The trouble is (that)・・・ 「困ったことに・・・ということだ。」
The truth is (that)・・・ 「真実は・・・ということだ。」
The reason is (that)・・・ 「理由は・・・ということだ。」
などがある。
このように、名詞節を導く that は、「・・・ということだ。」の意味になる。
that は主語・補語・目的語になる(上記の the reason is that などの例文の場合は、that が補語になっている)。
ほか、 It is 形容詞 that ・・・ という形式主語の文章で 使われる that は接続詞でもある(ジーニアス、エバーグリーン )。
ほか、that節が know,say ,think, tell, hope など一般的な動詞の目的語になっている場合は、thatを省略することも多い(ブレイクスルー、インスパイア)。
ただし、形式目的語の that は省略できない(エバーグリーン)。形式目的語とは、
He made it clear that ~ . 「彼は~であることを明らかにした。」
のような it を仮の目的語とする文章のこと。
that 節は普通は前置詞の後ろに置かれることないが(ジーニアス)、例外的に in that(~という点で、~だから) と except that(~を除いて)という用法がある。
なお、 in that には意味の異なる「~という点で」という用法と、もうひとつ「~だから」「~であるか」という別の用法があることに注意(ジーニアス)。
参考書によっては in that は前置詞の項目に書いてある場合もある(青チャート)。
ほか、Now that で、「今や~だから」という表現ができる。口語ではよくthatが省略され、Now だけになる。
典型的な例文は
Now (that) he is eighteen, he can vote. 「今や彼は18歳なのだから、彼は投票できる。」
である(ジーニアス、青チャート)。
このほか、紹介している参考書は少ないが(青チャート、インスパイア)、分詞構文の Seeing that ~「~であるから」「~だから」が接続詞的に用いられる用法もある(青チャート)。
I'm glad that you have come to meet us. 「あなたがお迎えにきてくれて、うれしく思います」(青チャート)
のような例文がよくある。
I'm glad that ~ 「~できて、うれしいです」
のように、「感情を現す形容詞 + that 」の that も接続詞である(青チャート)。
afraid, disappointed, sad, sorry, glad, happy, angry, surprised , upset などがこのような形容詞である(青チャート、ジーニアス)。この場合の that は省略されることも多い。なお、この場合の感情に続く that 以下の内容は「理由」を表す(ジーニアス)。
We are sorry that you cannot come. 「あなたがこられないのは残念です。」(インスパイア)
この場合の sorry は謝罪ではないので注意。
sure 「確信している」は日本語では感情とは言いづらいが、青チャートはこれを感情に含めている。ただし、ジーニアスはsureを不採用。
なお、sure は感情のように I'm sure that ~ と主語を人称代名詞とするのが普通。辞書ジーニアスを見たが、it を主語にする sure は見つからなかった。
いっぽう、certain は、 It is certain that ~ も I'm certain もともに許される。(フォレストに I'm certain あり。ブレイクスルーに it is certain)
なお、確信ではなく「疑わしい」と思っている場合は、
It is doubtful whether (またはif)~ 「~かどうかは疑わしい」
のように、 接続詞は whether または if になる。この場合の whether や if も名詞節である。 I'm doubtful whether(if) のように人称代名詞で言ってもよい(インスパイア)。さらに、形容詞ではなく動詞 doubt で I doubt whether (if) ~ で言うことも可能(インスパイア)。
{{コラム|(※ 発展)doubt のあとは that か whether か |
doubt のあとが doubt whether のように whether になる場合は、肯定の平叙文の場合だけである(インスパイア)。
doubt については否定形の場合、don't doubt that ~ のようになる(インスパイア)。つまり、否定形 doubtでは whether ではなく that になる。 これは、don't doubt は直訳しただけなら単に「疑ってはいない」というだけになってしまうが、しかし実際には don't doubt は「確信している」という意味を表すのに慣用的に使われている(インスパイア)からである。インスパイアの場合、I don't doubt that ~ を「~することは間違いない」と訳している。かなりマニアックな話題であり、ほかの参考書は取り上げていない。
けっして「否定形のあとなら whether がthat になる」(×)というわけではない(ジーニアス)。「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ」という文章で、「どうでもいい」は It doesn't concern me なので(ジーニアス)、それと「彼女が来るかどうか」を合わせて
It doesn't concern me whether she will come or not. 「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ。」(ジーニアス)
という例文もあるほどだ(ジーニアス)。
さらに疑問文の場合、 Do you doubt that ~ のように、that になる。
これはもう、論理的に説明するのが困難だが、安心してもいいことに他社の参考書にまず書いてない。入試には出ないだろう。
入試の出題者だって、そこまで瑣末なことは問わない。
実は「高校レベル」の参考書と言うのは、実は読者対象は題名に反して決して高校生だけが対象でなく、大学の教師などが知識を広く浅くアップデートするためにも出版されているので、上述のような入試の範囲をやや超えた細かい話題も載っていたりするのである。インスパイアがどうかは知らないが。
}}
なお「確信」している場合、I'm sure は「確信している」の「信」じるの文字からも想像がつくように、動詞 believe で
I believe that と細かなニュアンスを無視すれば言い換えもできる(インスパイア)。
ほか、確信していない場合は、つまり確信に not がつく場合は、that よりも whether や if のほうが好ましい(インスパイア、ブレイクスルー)。つまり
I'm not sure whether(またはif) ~
のようになる(インスパイア、ブレイクスルー)。
なお、動詞で「信じていない」という場合、つまり don't believe の場合、 I didn't believe what ~ のように whether ではなく what になるのに注意(インスパイア)。
=== 副詞節を導く従属接続詞 ===
==== はじめに ====
ほか、(たとえば平叙文のなかで)副詞節を導かれるために使われる when (~のとき、)や where (~の場所)が従属接続詞である。
before , after および since や until なども従属接続詞。
as soon as や once もこれに含める(ジーニアス、フォレスト)。
また、過去形で It was not ling before ~ なら「すぐに~できた」の意味であり、副詞 soon で言い換えできる(ジーニアス)。
「until ~」は、「~」の瞬間まで動作が継続しているときに使い、「~するまで(ずっと)」の意味である(エバーグリーンに「ずっと」)。
一方、継続しない場合で、その時までに動作が完了している場合には、untilではなくby the time 「~する(時)までに」を使う(ジーニアス、インスパイア)。
また、until と by the time の両方とも、内容が未来の話であっても従属節の時制は現在形になる(インスパイア)。
いっぽう、主節のほうは、until の主節は未来の内容でも現在時制だが、しかし by the time の主節は未来のほうなら未来表現(will)になるという違いがある(インスパイア)。
:※ インスパイア以外は by the time の主節の時制に言及していない。
as well as が等位接続詞なのに as soon as が従属なのはアレだが、まあどの参考書でもそういう分類になっている。
as soon as は言い換えで、the moment や the instant や no sooner ・・・ than ~ などの言い換え表現がある。
なお、 no sooner ・・・ than ~ は参考書によっては、『接続詞』の単元ではなく『比較』の単元に節に書いてある(青チャートなど)。
青チャートいわく、immediately も「~するとすぐに」だが、イギリス英語とのこと。
no sooner ・・・ than ~ の言い回しは文頭にくる場合もあり、その際に倒置によって主語と助動詞の語順が逆になる。
つまり、助動詞に had を使っているなら、とりあえず主語をIとするなら(べつに he でも she でも構わない)、倒置の場合は
No sooner had I + 過去分詞・・・ than ~ の語順である。
よく助動詞 had による過去完了形が使われるが(エバーグリーン、ジーニアス、青チャート)、しかし別に助動詞 did による単なる過去形でも構わない(インスパイア)。
構文の意味は微妙に違うが、
hardly(またはscarcely) ・・・ when(またはbefore) ~ 「~するやいなや」
も文頭にくる倒置をすれば主語と述語の動詞が逆転するので、よく
no sooner の構文といっしょに参考書では紹介されることも多い(ジーニアス、青チャート)。
倒置する場合、上述の構文の語順は、とりあえず主語を he とするなら、
Hardly had he 過去分詞 when ・・・
の語順である。
なお、no longer 「もう~ではない」「もはや~ではない」は特に倒置は起きず、参考書でも特に倒置については言及はされていない(ジーニアス、エバーグリーン)。
よくある例文が、「宇宙旅行は(月への旅行は)もはや夢ではない」のような例文であり(インスパイア、青チャート)、たとえば
Traveling into space is no longer a dream. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
A trip to the moon is no longer a dream. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」(青チャート)
また、no longer は現在時制とともに使われることが多い(青チャート)。上述の例文も現在時制になっていることに注目。
no longer ~ は、not ~ any longer でも言い換えでき、どの参考書でも言及されている。
Traveling into space is not a dream any longer. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
青チャートはany longer の言い換えをしてないが、もし言い換えするなら、下記のようになるだろう。
A trip to the moon is not a dream any longer. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」 (wikiオリジナル)
I cannot stand ~ any longer. 「もうこれ以上、~に我慢できない。」(青チャート、ブレイクスルー)
入試にはめったに出ないが、じつは他にも言い換え表現として not ~ any more や not ~ anymore などもある(青チャート比較、ジーニアス接続詞)。
==== 否定 ====
参考書によっては「接続詞」の単元ではなく否定の単元に掛かれていることも多いが、no や not などの否定の語句をつかった接続詞的な内容の構文がある。
「cannot help ~ing 」と 「have no choice but to ~(to不定詞)」との使い分けが、重要である。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」「思わず~してしまう」の意味。cannot help ~ing は感情をおさえきれずに(青チャート)、思わず何かをしてしまう時に使う表現である。
Cannot help laughing 「笑わずにはいられない」
のように使う。「cannot help but 動詞の原型 」という言い方もある(ジーニアス、ブレイクスルー)。
cannot help but laugh
のように使う。
一方、自分の感情に反して、外部的な事情などで「~せざるを得ない」場合には、
have no choice but to 動詞の原形(to不定詞)
を使う(青チャート、ジーニアス)。
She had no choice to give up her job. 「彼女は仕事をやめざるを得なかった。」(青チャートを改変)
のように使う(エバーグリーン、青チャート)。
なお、
I had no choice to quit my job. 「私は仕事をやめざるを得なかった。」(エバーグリーン)
==== once ====
once は「いったん~すると」の意味。once をどう分類するかが参考書ごとに違う。
ifやunlessなどと同様に「条件」として once を分類する参考書もあれば(ブレイクスルー、インスパイア)、
beforeやafterやsinceなどと同様の「起点」として once を分類する参考書もある(ジーニアス、フォレスト)。
なお、as soon as と once がなぜか同じ章節で紹介される参考書が多いが(ジーニアス、フォレスト、しかし意味が違う接続詞なので混同しないように。
if~ は内容が未来であっても現在形を使うが、as soon as ~ も後続の文では内容が未来であっても現在形を使うので、もしかしたらその理由でonceが「条件」として分類されているのかもしれない。
また、as soon as ~ と同様に、once ~ も後続の文の内容が未来であっても現在形を使う(ジーニアス)。そういう共通点からか、一緒に「起点」として紹介されるのかもしれない。
しかし、単に分類が同じだけであり、 once は as soon as とは意味がまったく違うので、混同しないように。
==== その他 ====
===== 理由や原因のbecause/since/as =====
時間の表現だけでなく、because や since (since には理由の意味もある)も従属接続詞。
because は従属接続詞なので、よって主節なしで
「Because ~ .」
といったBecause だけの節をつくることは原則、誤用だとみなされる(青チャート、ジーニアス)。
ただし例外的に、"Why ~?" といった Why を使った質問文に対して、解答で"Because ~" と because だけの節の文章が許されている(青チャート、ジーニアス)。
because は、相手がまだ知らない情報を理由としてあげるのに使われ、また主節のあとにbecause節が置かれるのが一般的である。
since は基本、相手が既知の話題についての理由を説明するときに使うので(ブレイクスルー、フォレスト、ジーニアス)、since節の時制は過去形になる事も多い(青チャート)。また、上記の事情のため、sinceのつくる副詞節は文頭や前方に置かれることも多いが(インスパイア、ジーニアス、ブレイクスルー)、しかしsinceを文頭に置かなくても正しい英語である(青チャート)。
as もssince と同様、相手がすでに知っている情報を理由としてあげる際に使われる(インスパイア、ジーニアス)。
ただし、asはいくつか意味があるので、あまり意味がはっきりしないので、はっきり説明したい場合にはasの使用が避けられる場合もある(インスパイア)。
理由の因果関係の強調の順序としては、
(因果関係が強い側)because > since > as (弱い側)
の順に因果関係が強い(青、インスパ)。
このほか、forで理由を述べる用法があるが、文語調である(青チャート)。forについては紹介している参考書が少ないので省略。
===== その他 =====
「so ~(形容詞) that ・・・(文)」 は従属接続詞。
so に等位接続詞の用法もあるが、しかし 「so 形容詞 that 文」で結びつけられている形容詞とthat後続の文は対等ではないので、従属接続詞のほうが適切であろう。
例文は著作権のため省略。
==== 譲歩 ====
「譲歩」の意味である、though や although が従属接続詞として分類されている(ジーニアス、フォレスト、ロイヤル)。
though よりも although のほうが堅い言い回しである(フォレスト、ロイヤル)。
なお、英文法の接続詞の単元でいう「譲歩」は、日本語の日常語の「譲歩」とは意味がやや違う。日常語の「譲歩」とは、自分と相手・他人の主張が対立したい場合に、相手の意見を聞き入れたり時には従うことに重点が置かれるのが日常語の譲歩である(広辞苑、三省堂新明解)。
しかし、この接続詞の英文法でいう「譲歩」とは、相手の主張の一部を事実ではあると認めた上で、それでも自分の主張に事実性などがあることを主張しているのが、英文法の接続詞の分野での「譲歩」である(桐原フォレスト)。
even if ~ も even though ~ も「たとえ ~ だとしても」という譲歩の意味があるが、下記のような違いがある。
even though ~ は、though の後に事実がきて、話し手は事実を知っている。
even if ~ は、if のあとに仮定がきて、その仮定が事実かどうかを話しては知らない。
これとは別に、 even if ~ で if のあとが仮定法過去になる場合もある(ジーニアス、インスパイア)。
基本的には、even if も even though も、evenは単に直後の語を強調しているだけである(インスパイア)。 if「もし~」 のあとが事実かどうかを話し手が知らないのもifの不普通の用法だし、though 「~にもかかわらず」も通常は話し手は事実を前提にしているからである。
単に even は if や though に譲歩の意味をつけたしたり、譲歩を強調したりしているだけにすぎない。
==== 条件 ====
条件を表すif および unless も従属接続詞。
unless は、「もし~でなければ」という意味であるが(ジーニアス、ロイヤル)、「~でない限り、」と訳される場合も多い(フォレスト、ロイヤル)。なお、unless の直後の文は否定形にはならず(フォレスト、ジーニアス)、つまり unless の直後の文は肯定形である。
unless は、「否定の条件」であるという性質に加えて、さらに基本的に「唯一の条件」という性質がある(青チャート)。「起きてほしくない事を避けるためには、unless 以降の内容を実行するしかない」という意味での唯一性の主張が unless にはある。
このことなどから、 unless ~の文を if ・・・ not ~ の文章に書き換えできる一方で(unless → if not は可能な場合が多い)、しかし if not → unless の書き換えが無理な場合が多い。
unless は「条件の文 unless 予想される結果の文」の語順。unless においてカンマなどは不要。
unless の語順は、「予想される結末 unless 結末が成り立たなくなる条件」である。なお、unlessの主節(※ 予想される結末のほう)には、willなどの未来表現を使うのが普通。一方、ifおよびunless では従属節の内容がたとえ未来における内容であっても従属節の時制は現在形にする(ジーニアス)。桐原やロイヤルでは従属節の時制はとくに解説では明記されていないが、例文の時制を見ればジーニアスと同様に桐原などでもunlessの従属節は現在形である。
==== 否定の慣用表現 ====
※ 参考書によっては、「接続詞」の単元ではなく、「否定」の単元で下記が紹介されている場合もある(ジーニアス、エバーグリーン)。
===== not long before =====
It will not long before ~ は「まもなく~するだろう」の意味である。直訳すれば「~するまでに長くはない」だが(青チャート)、英語では「まもなく~するだろう」の意味である。
===== not until =====
It is not until ~ that ・・・ で「~して初めて・・・する」の意味である。直訳すれば「・・・まで~しない」だが(青チャート、インスパイア)、実際にはそこまで否定のニュアンスは無いし(とくに出典なし)、また過去形でも It was not until ~ that ・・・ として使われる(エバーグリーン、ジーニアス)。
典型的な文章は「病気になって初めて健康のありがたさが分かる」だが(ジーニアス、インスパイア)、参考書によって英文が微妙に違う。
ジーニアスでは
It was not until I became ill that I realized the value of health.
である。
インスパイアは、
It is not until we fail ill that we appreciate the value of good health.
である。
上記のように、同じような和訳の言い回しでも、文献により英文が微妙に違うので、暗記の必要はない。もし暗記させる教育者がいれば教員としての見識不足を疑われるだけである。
=== in case ~ ===
「in case ~(文)」は「~の場合にそなえて」の意味であり、従属接続詞として分類され、この場合は普通は主節のあとに in case ~ が置かれる(フォレレスト、ジーニアス)。
in case ~ の典型的な例文は、
Take an umbrella with you in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ 数研 青チャート、ジーニアス
take の代わりに bring の場合もある。また、この傘をもっていく例文の場合なら with you は省略可能。上記例文の出典の参考書にも with you をつけてないものもある。
Bring an umbrella in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ ファクトブック
命令形ではなく平叙文の場合もあり、下記のような例文もある。
I'll take an umbrella with me in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていこう。」 ※ フォレスト
with me は省略可能。自分で持っていくので with me になる(青チャート)。
「in case ~ 」の副詞節に it should rain. のように should が使われる場合もあるが、これは可能性が低いと話し手・書き手が思っている意味である(青チャート、ブレイクスルー)。
なお、in case は上記の「~するといけないから」「~しないように」の用法の他にも、case 「条件」の文字通り「~の条件で」の意味で in case を使う場合もアメリカ英語では見られ(ジーニアス、フォレスト)、この場合は if でも言い換えできる。
言い換え表現で、「~するといけないから」「~しないように」用法の in case と同じ意味は「for fear that A ~」や「lest A (should) ~」でも言える。
for fear も lest も、ともに固い表現である(ジーニアス)。ジーニアス以外の参考書の多くは、for fear が固い表現であることを取り上げていない。
for fear ~でも lest ~でも、つづく「~」の部分には not をつけない。日本語に引きづられて not をつけないように注意。
英和辞典を見れば fear は「恐れ」「不安」などの意味が書いてあることからも想像がつくように、for fear のあとには、おそれている内容を書くので、つまり、実現してほしくないことを肯定形で書くことになるのも当然であろう。
さて、lest について、ジーニアスいわく、 lest は固い言い方なだけであり、頻度自体は for fear よりも lest のほうが高いと、ジーニアスは主張している。
lest のshould が省略される場合もある。なお、shouldが省略された場合には、続く動詞には原形が来る。lest のshould 省略時の動詞の原形をつかうことを仮定法現在として解釈する流儀もある(青チャート)。
ほか、文法教育的にはあまり注目されないが、
so that ~ 「~のために」と、否定 not を組み合わせて、たとえば 「so that A won't ~」により「~しないように」という言い換えも可能である。won't の変わりに can't の場合もある(ブレイクスルー)。
=== その他 ===
その他、as far as や as long as など範囲を表す表現が、カンマなどを補われて、従属接続詞として分類される。
「as far as I know,」 で「私の知る限りでは、」の意味。as far as の代わりに so far as とすることもある(ロイヤル)。
よくある典型文は
As far as I know, he is ~. 「私の知るかぎり、彼は~な人だ」
である(フォレスト、インスパイア)。そのほか、
As far as I'm concerned, ~ 「私に関する限り、」
という表現が、たとえば「私に関する限り、それで結構です。」(青チャート)とか「私に関する限り、不満はありません。」(ジーニアス)のような文章で使われる。
このように as ・・・ as は範囲を表すことがある。
このほか、別の用法で as far as で、自分の意見を言う用法もある(ブレイクスルー、ジーニアス)。たとえばブレイクスルーいわく、「私の意見では、冷凍食品はおいしくない」という単なる持論にも as far as を使っている例文がある。
as long as には用法が2種類あり、ひとつの用法は「~する間」という時間的な範囲を表す用法であり、もうひとつの用法は最低限の条件を表し(フォレスト)、「~しさえすれば」などと訳される(ジーニアス、フォレスト)。as long as の代わりに so long as とすることもある(ジーニアス、フォレスト)。「~する限りは」と訳される場合もある(ロイヤル)。
慣用的なよくある言い回しとして、「as long as I live 」で「私が生きている限り」の意味(ロイヤル、ジーニアス)。
I will never forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章がよく参考書にある(ジーニアス、青チャート)。
なお、べつにneverを使わずとも、
I won't forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章もよくある(インスパイア)。
「~さえすれば」の as long as は、言い換えとして、if only または only if で言い換えすることもできる。
目的を表す「 so that ~」も接続詞である。in order that も同様、目的を表す接続詞である。なお、so that ~ について、口語では thatが省略されることも多く、つまり so だけで目的の接続詞になることもある(フォレスト、ジーニアス)。
so that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
なお、「so ~(形容詞など) that ・・・」は程度をあらわす接続詞である。
in order that ~ は堅い表現。in order that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
as も接続詞の用法がある(ロイヤル、フォレスト)。
その他にも、さまざまな接続詞がある
suppose や supposed や providing や provided (どれも「もし~ならば」の意味)などを接続詞として分類することもある(フォレスト)。
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2022-08-26T04:13:19Z
すじにくシチュー
12058
/* 副詞節を導く従属接続詞 */
wikitext
text/x-wiki
== 接続詞 ==
語と語、句と句、節と節、など、文法上対等のものを結びつけるのが等位接続詞である。
いっぽう、従属節を主節と結びつけるのが従属接続詞であり(ジーニアス、フォレスト)、従位接続詞ともいう(ロイヤル)。
== 等位接続詞 ==
=== 概要 ===
'''等位接続詞'''とは、and, or, but のように文法上等しいものを結びつける接続詞である。上記のほかにも、nor , so, for が等位接続詞である。
both A and B や either A or B なども便宜的にか等位接続詞として分類される。また、 not A but B や not only A but (also) B も等位接続詞として分類される。
便宜的に、not only A but also B と同じ意味をもつ as well as も、参考書では同じ単元で紹介される。
either は、「AかBかのどちらか」という意味である。
neither A nor B は、AもBも両方とも否定する表現であり、つまり「AとBのどちらも~ない」の意味である。
なお、neither A nor B が主語の場合、動詞はBの時制に一致させる(ジーニアス)。また、nor の直後の文章は肯定形である。
neither は基本、A,Bの2つしか使わない。3つ以上では使わないのが原則だが、しかし米英には原則に反して3つ以上で使う人もいるが(ロイヤル)、入試にはそこまで出ないだろう。また、neither で nor の代わりに原則に反して or を使う人もいるとのこと(ロイヤル)。入試では原則的な場合だけを考えればよいだろう。
「neither」とは not either の意味だろう、というのがロイヤル英文法の見解。
nor は、 neither のある文でなくても使われる場合がある(桐原、ロイヤル)。
否定語の not や don't などのあと、 「not A, nor B」または「don't A(動詞) nor B(動詞) 」で「AもBも無い」という意味で、neitherなしで nor が not などの否定語とともに使われる場合がある。 カンマが無い場合もある(ロイヤル英文法)。この場合でも、A nor B のあとに動詞が来る場合、その文は肯定形である。
「AもBもどちらも~ない」と否定の内容を並列させたい場合、andではなくnorを使う(桐原)。
さて、and には、命令文のあとに使われたい場合には、「そうすれば」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
or には、「または」の意味のほかにも「すなわち」「言い換えれば」というある語を別の語で言い換える用法の意味もあるが(ジーニアスおよびエバーグリーンに「言い換えれば」アリ)、どちらの意味の場合でも等位接続詞として分類される。また、or には、命令文のあとに使われたい場合には、「さもなければ」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
なお、「すなわち」「言い換えれば」の意味で or が接続詞として使われる場合、orの前にふつうはカンマ(,)が来る(ジーニアス、いいづなエバーグリーン)。
{{コラム|数学の集合論との違い|
「夏も冬も両方とも好き」は英語では「 I like summer and winter. 」である(ブレイクスル-)。
「夏も冬も両方とも好きではない」は英語ではneither を使わずとも、
I don't like summer or winter.
でもいえて、この場合は接続詞が or になっていることに注意(ブレイクスル-)。
一見すると、数学の集合演算における否定演算での積集合「∩」や和集合「∪」などの演算子の反転のように見えるが、しかし実は、数学の集合の理論(ベン図などの理論のこと)とは違う。
まず、英語において、 A and B が数学でいう和集合(演算子∪)か積集合(演算子は∩)かは文脈による。「情報」科などで習うかもしれないブール代数のand計算は積集合だが、しかし実際の英語の場合はそうとは限らないので注意。
また、よくよく考えると、数学では、積集合 A∩B の否定 not (A∩B )は、 (not A) ∪ (not B) である。
つまり、数学では、単に not がつくだけでは集合演算子は変わらない。要素すべてに not がついて、さらにそのnot を因数分解的にひとまとめにくくる段階になって、ようやく集合演算子が反転するのが、数学的な規則である。
しかし英語では、not がついただけの段階の時点で、接続詞が and から or に反転してしまっている。
このように、集合の数学 と 英語のand/orの文法は、似ているが微妙に違うので、混同しないように。
ともかく、数学では、not でくくったら、集合の演算子は反転する(∪から∩に。または∩から∪に)。しかし英語では、そういう数学的規則は無視されている。
だから、neither の例文をもとに覚えたほうが早いし安全である。
単に「 neither A nor B のように don't A or B のように言う」とでも覚えるしかない。語学はしょせん、暗記科目である。
}}
=== so/ for ===
接続詞としての so は、 <出来事→結果> の語順として「理由の文、so 結果の文」のように理由を前に、結果を後ろに書き、「・・・なので~」「・・・だから~」という意味になる。理由というほど明白な因果関係でなくても、比較的に関連性の高い2つの出来事において、「ある出来事, so 出来事の結果」という用法でも良い。
また、この場合の so の直前にはカンマ「 , 」を置くのが普通(ジーニアス、エバーグリーン)。
余談だが、接続詞としての so と for はそれぞれ、節と節だけ結びつける(フォレスト、エバーグリーン)。つまり、語と語、句と句、語と句などは結び付けない。
いっぽう、for は、 <結果←出来事> の語順として、「結果, for 理由の章」の構文で、堅い言い回しとして理由を説明する。口語で用いることはあまり無い(ジーニアス、エバーグリーン)。ほか、 for は、forの前述の出来事に対して、その理由を述べる接続詞である。
なので、普通は for の直前にはカンマ「 , 」が来る。
接続詞としての for は等位接続詞である。for は従属接続詞ではない等の理由で(ロイヤル)、because のように主節の前に出すことはできない。なお、もし For が文頭に置かれている場合、それは、その直前の文の理由を説明している(ロイヤル)。
=== and ===
いつつかの名詞が and で結ばれている場合、基本的には全体としては複数形として判断する。
Tom, Bob and John are students of this school.
しかし、下記のように例外がある。
Ham and eggs is my favorite breakfast. 「ハムアンドエッグは、私の好きな朝食だ」※ インスパイアより同じ例文
「Ham and eggs 」で1セットの食品なので、これは単数形として判定する。
同様に、
curry and rice (カレーライス)
a cup of saucer (皿つきマグカップ)
a knife and fork (ナイフとフォーク) ※インスパ、ジーニアス
bread and butter (バターつきパン)
body and mental (肉体と精神) ※インスパイア
は1セットの名詞とみなすので、それぞで単数形として判定する(青チャ、インスパ)。
なお、a cup of saucer の 「a」は、a 「cup of saucer 」ということで、「cup of saucer 」のセットがひとつという意味(ジーニアス)。なので、後ろ側の saucer には a がつかない(ジーニアス)。
けっして、1つのカップといくつかの皿ではない。
a knife and fork も同様、 a「knife and fork」 という意味なので、「knife and fork」のセットが一つの意味(ジーニアス)。
まず、and の基本的な意味を確認しよう。
;並列と順序
and の基本的な意味は並列「および」「と」の意味だが、もうひとつ、動作・時間の順序という意味もある。「先に起きたこと and その直後に起きたこと」のような語順で and を使うこともある。
動作や時間の順序のand は、「そして」や「~して、」の意味である(ジーニアス、ロイヤル)。
たとえば come and see は「先に来て、そして見る(見た)」の意味であり、つまり不定詞の結果用法 come to see と同じ意味である(フォレスト)。同様の表現として、 go and see もある。
;因果関係
さらに、and が因果関係をあらわす場合もある(ジーニアス、ロイヤル)。普通、文章では、先に行ったり紹介した動作が、あとの動作の理由になるので、andで因果関係を表すのも自然であろう。
{{コラム|and なのに逆接?|
上記で and は因果関係を表す場合もあるといったが、しかし人生では、必ずしも前に起きた動作の期待どおりに後の結果が起きるとは限らない場合も多々あるものである。このため、and があたかも but のような逆接的な意味かのように見える英文が生じる場合もある。
たとえば、「彼は努力して、そして失敗した」は、順序を意識すれば try hard and failed のような言い回しになる(ジーニアス)。努力 try hard という準備にもかかわらず失敗 fail したことから、文脈によっては and なのにまるで逆接のような意味も読み取れる場合もある。
さて、このことから、もし後の起きたことが先に起きたことに比べて対照的な場合、場合によっては and は、あたかも逆接 but のような意味に見える場合がある。
とはいえ、これはand の順序関係の用法の、派生的なものである。andの基本的な意味は、あくまで並列・順序だと思うべきだろう。
}}
== 従属接続詞 ==
=== 名詞節を導く従属接続詞 ===
==== whether と if ====
一方、名詞節を導くために使われる that およびwhether(~かどうか) と if(~かどうか) は'''従属接続詞'''である。that や whether を接続詞として解釈する考えもある。
ここでの名詞節を導く if は、「~かどうか」の意味での if である。「もし~ならば、」の if のことではない。また、「もし」の if との混同をさけるため、文頭では名詞節の if は使えない(ファクトブック)。この「~かどうか」の意味の if の性質について言い方を変えるなら、つまり if は動詞の目的語としてしか使えない(ジーニアス、青チャート、ほか多数)。
また、whether or not (~かどうか)という成句はある一方、ifにはない(インスパイア、青チャート)。
ほか、「whether to ~(動詞)」で「~すべきかどうか」というto不定詞の用法はあるが、ifには不定詞が続かない(インスパイア、青チャート)。
なお、 whether to go 「行くべきかどうか」という語が、参考書によくある典型例である。さらに、 whether to go or not (青チャート)「行くべきかどうか」や whether to go or stay (ブレイクスルー)「行くべきかとどまるべきか」のようになる場合もある。
さらに、助動詞 should を使って「べき」を強調する whether we should go or stay 「行くべきか残るべきか」という表現もある(青チャート)。
whether we should go or not のように、whether の直後ではなく分節の最後に or not をつける場合もある(ジーニアス)。
また、whether は前置詞の目的語になることがあるが、ifはならない(インスパイア)。
The question whether we should go or stay のように名詞と同格の節をみちびくこともある(インスパイア、青チャート、ジーニアス)。関係代名詞または前置詞のようにも見えるかもしれないが、しかしどの参考書も、関係詞や前置詞としてではなく「名詞と同格の節」という概念で説明している。一方、if には、名詞と同格の用法は無い。
if の本来の用法は「もしも~」であり、「~かどうか」の意味は派生的な意味にすぎない、と考えるのが良いだろう。
ほか、if は口語的、whether は文語的である(ジーニアス、青チャ-ト、エバグリ)。
depends on whether 、
など、動詞句 depends on とwhether との組み合わせが決まっている(青チャート)。depends on と if との組み合わせは禁止。なお depends on は、前置詞の目的語にwhether が来る例にもなっている。
wonder と ask は、if でも whether でも、どちらでも良い(ブレイクスルー、青チャート)。
ほか、 I wonder if ~ で「~がどうかなと思う」の意味。
==== that ====
さて、従属接続詞の典型的な文で
The fact is (that)・・・ 「事実は・・・ということだ。」
The trouble is (that)・・・ 「困ったことに・・・ということだ。」
The truth is (that)・・・ 「真実は・・・ということだ。」
The reason is (that)・・・ 「理由は・・・ということだ。」
などがある。
このように、名詞節を導く that は、「・・・ということだ。」の意味になる。
that は主語・補語・目的語になる(上記の the reason is that などの例文の場合は、that が補語になっている)。
ほか、 It is 形容詞 that ・・・ という形式主語の文章で 使われる that は接続詞でもある(ジーニアス、エバーグリーン )。
ほか、that節が know,say ,think, tell, hope など一般的な動詞の目的語になっている場合は、thatを省略することも多い(ブレイクスルー、インスパイア)。
ただし、形式目的語の that は省略できない(エバーグリーン)。形式目的語とは、
He made it clear that ~ . 「彼は~であることを明らかにした。」
のような it を仮の目的語とする文章のこと。
that 節は普通は前置詞の後ろに置かれることないが(ジーニアス)、例外的に in that(~という点で、~だから) と except that(~を除いて)という用法がある。
なお、 in that には意味の異なる「~という点で」という用法と、もうひとつ「~だから」「~であるか」という別の用法があることに注意(ジーニアス)。
参考書によっては in that は前置詞の項目に書いてある場合もある(青チャート)。
ほか、Now that で、「今や~だから」という表現ができる。口語ではよくthatが省略され、Now だけになる。
典型的な例文は
Now (that) he is eighteen, he can vote. 「今や彼は18歳なのだから、彼は投票できる。」
である(ジーニアス、青チャート)。
このほか、紹介している参考書は少ないが(青チャート、インスパイア)、分詞構文の Seeing that ~「~であるから」「~だから」が接続詞的に用いられる用法もある(青チャート)。
I'm glad that you have come to meet us. 「あなたがお迎えにきてくれて、うれしく思います」(青チャート)
のような例文がよくある。
I'm glad that ~ 「~できて、うれしいです」
のように、「感情を現す形容詞 + that 」の that も接続詞である(青チャート)。
afraid, disappointed, sad, sorry, glad, happy, angry, surprised , upset などがこのような形容詞である(青チャート、ジーニアス)。この場合の that は省略されることも多い。なお、この場合の感情に続く that 以下の内容は「理由」を表す(ジーニアス)。
We are sorry that you cannot come. 「あなたがこられないのは残念です。」(インスパイア)
この場合の sorry は謝罪ではないので注意。
sure 「確信している」は日本語では感情とは言いづらいが、青チャートはこれを感情に含めている。ただし、ジーニアスはsureを不採用。
なお、sure は感情のように I'm sure that ~ と主語を人称代名詞とするのが普通。辞書ジーニアスを見たが、it を主語にする sure は見つからなかった。
いっぽう、certain は、 It is certain that ~ も I'm certain もともに許される。(フォレストに I'm certain あり。ブレイクスルーに it is certain)
なお、確信ではなく「疑わしい」と思っている場合は、
It is doubtful whether (またはif)~ 「~かどうかは疑わしい」
のように、 接続詞は whether または if になる。この場合の whether や if も名詞節である。 I'm doubtful whether(if) のように人称代名詞で言ってもよい(インスパイア)。さらに、形容詞ではなく動詞 doubt で I doubt whether (if) ~ で言うことも可能(インスパイア)。
{{コラム|(※ 発展)doubt のあとは that か whether か |
doubt のあとが doubt whether のように whether になる場合は、肯定の平叙文の場合だけである(インスパイア)。
doubt については否定形の場合、don't doubt that ~ のようになる(インスパイア)。つまり、否定形 doubtでは whether ではなく that になる。 これは、don't doubt は直訳しただけなら単に「疑ってはいない」というだけになってしまうが、しかし実際には don't doubt は「確信している」という意味を表すのに慣用的に使われている(インスパイア)からである。インスパイアの場合、I don't doubt that ~ を「~することは間違いない」と訳している。かなりマニアックな話題であり、ほかの参考書は取り上げていない。
けっして「否定形のあとなら whether がthat になる」(×)というわけではない(ジーニアス)。「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ」という文章で、「どうでもいい」は It doesn't concern me なので(ジーニアス)、それと「彼女が来るかどうか」を合わせて
It doesn't concern me whether she will come or not. 「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ。」(ジーニアス)
という例文もあるほどだ(ジーニアス)。
さらに疑問文の場合、 Do you doubt that ~ のように、that になる。
これはもう、論理的に説明するのが困難だが、安心してもいいことに他社の参考書にまず書いてない。入試には出ないだろう。
入試の出題者だって、そこまで瑣末なことは問わない。
実は「高校レベル」の参考書と言うのは、実は読者対象は題名に反して決して高校生だけが対象でなく、大学の教師などが知識を広く浅くアップデートするためにも出版されているので、上述のような入試の範囲をやや超えた細かい話題も載っていたりするのである。インスパイアがどうかは知らないが。
}}
なお「確信」している場合、I'm sure は「確信している」の「信」じるの文字からも想像がつくように、動詞 believe で
I believe that と細かなニュアンスを無視すれば言い換えもできる(インスパイア)。
ほか、確信していない場合は、つまり確信に not がつく場合は、that よりも whether や if のほうが好ましい(インスパイア、ブレイクスルー)。つまり
I'm not sure whether(またはif) ~
のようになる(インスパイア、ブレイクスルー)。
なお、動詞で「信じていない」という場合、つまり don't believe の場合、 I didn't believe what ~ のように whether ではなく what になるのに注意(インスパイア)。
=== 副詞節を導く従属接続詞 ===
==== はじめに ====
ほか、(たとえば平叙文のなかで)副詞節を導かれるために使われる when (~のとき、)や where (~の場所)が従属接続詞である。
before , after および since や until なども従属接続詞。
as soon as や once もこれに含める(ジーニアス、フォレスト)。
また、過去形で It was not ling before ~ なら「すぐに~できた」の意味であり、副詞 soon で言い換えできる(ジーニアス)。
after について、主説が過去形のとき、本来ならafter節は(主節よりも前の出来事なので、after節が)過去完了形になるはずだが、実際には(主節が過去形であるのに合わせて)after節も過去形のままで済ませることも許される。もちろん、after節を過去完了形にしても良い(ジーニアス、インスパイア)。
なお、beforeの場合は、過去のある出来事よりも前(before)の出来事について言及したい場合、場合によって完了形になるはずなのは主節のほうである(ジーニアス)。beforeの場合も、本来なら主節が過去完了になる場合でも、(before節が過去形であるのに合わせて)主節を過去形のままにすることが許される。
「until ~」は、「~」の瞬間まで動作が継続しているときに使い、「~するまで(ずっと)」の意味である(エバーグリーンに「ずっと」)。
一方、継続しない場合で、その時までに動作が完了している場合には、untilではなくby the time 「~する(時)までに」を使う(ジーニアス、インスパイア)。
また、until と by the time の両方とも、内容が未来の話であっても従属節の時制は現在形になる(インスパイア)。
いっぽう、主節のほうは、until の主節は未来の内容でも現在時制だが、しかし by the time の主節は未来のほうなら未来表現(will)になるという違いがある(インスパイア)。
:※ インスパイア以外は by the time の主節の時制に言及していない。
as well as が等位接続詞なのに as soon as が従属なのはアレだが、まあどの参考書でもそういう分類になっている。
as soon as は言い換えで、the moment や the instant や no sooner ・・・ than ~ などの言い換え表現がある。
なお、 no sooner ・・・ than ~ は参考書によっては、『接続詞』の単元ではなく『比較』の単元に節に書いてある(青チャートなど)。
青チャートいわく、immediately も「~するとすぐに」だが、イギリス英語とのこと。
no sooner ・・・ than ~ の言い回しは文頭にくる場合もあり、その際に倒置によって主語と助動詞の語順が逆になる。
つまり、助動詞に had を使っているなら、とりあえず主語をIとするなら(べつに he でも she でも構わない)、倒置の場合は
No sooner had I + 過去分詞・・・ than ~ の語順である。
よく助動詞 had による過去完了形が使われるが(エバーグリーン、ジーニアス、青チャート)、しかし別に助動詞 did による単なる過去形でも構わない(インスパイア)。
構文の意味は微妙に違うが、
hardly(またはscarcely) ・・・ when(またはbefore) ~ 「~するやいなや」
も文頭にくる倒置をすれば主語と述語の動詞が逆転するので、よく
no sooner の構文といっしょに参考書では紹介されることも多い(ジーニアス、青チャート)。
倒置する場合、上述の構文の語順は、とりあえず主語を he とするなら、
Hardly had he 過去分詞 when ・・・
の語順である。
なお、no longer 「もう~ではない」「もはや~ではない」は特に倒置は起きず、参考書でも特に倒置については言及はされていない(ジーニアス、エバーグリーン)。
よくある例文が、「宇宙旅行は(月への旅行は)もはや夢ではない」のような例文であり(インスパイア、青チャート)、たとえば
Traveling into space is no longer a dream. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
A trip to the moon is no longer a dream. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」(青チャート)
また、no longer は現在時制とともに使われることが多い(青チャート)。上述の例文も現在時制になっていることに注目。
no longer ~ は、not ~ any longer でも言い換えでき、どの参考書でも言及されている。
Traveling into space is not a dream any longer. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
青チャートはany longer の言い換えをしてないが、もし言い換えするなら、下記のようになるだろう。
A trip to the moon is not a dream any longer. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」 (wikiオリジナル)
I cannot stand ~ any longer. 「もうこれ以上、~に我慢できない。」(青チャート、ブレイクスルー)
入試にはめったに出ないが、じつは他にも言い換え表現として not ~ any more や not ~ anymore などもある(青チャート比較、ジーニアス接続詞)。
==== 否定 ====
参考書によっては「接続詞」の単元ではなく否定の単元に掛かれていることも多いが、no や not などの否定の語句をつかった接続詞的な内容の構文がある。
「cannot help ~ing 」と 「have no choice but to ~(to不定詞)」との使い分けが、重要である。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」「思わず~してしまう」の意味。cannot help ~ing は感情をおさえきれずに(青チャート)、思わず何かをしてしまう時に使う表現である。
Cannot help laughing 「笑わずにはいられない」
のように使う。「cannot help but 動詞の原型 」という言い方もある(ジーニアス、ブレイクスルー)。
cannot help but laugh
のように使う。
一方、自分の感情に反して、外部的な事情などで「~せざるを得ない」場合には、
have no choice but to 動詞の原形(to不定詞)
を使う(青チャート、ジーニアス)。
She had no choice to give up her job. 「彼女は仕事をやめざるを得なかった。」(青チャートを改変)
のように使う(エバーグリーン、青チャート)。
なお、
I had no choice to quit my job. 「私は仕事をやめざるを得なかった。」(エバーグリーン)
==== once ====
once は「いったん~すると」の意味。once をどう分類するかが参考書ごとに違う。
ifやunlessなどと同様に「条件」として once を分類する参考書もあれば(ブレイクスルー、インスパイア)、
beforeやafterやsinceなどと同様の「起点」として once を分類する参考書もある(ジーニアス、フォレスト)。
なお、as soon as と once がなぜか同じ章節で紹介される参考書が多いが(ジーニアス、フォレスト、しかし意味が違う接続詞なので混同しないように。
if~ は内容が未来であっても現在形を使うが、as soon as ~ も後続の文では内容が未来であっても現在形を使うので、もしかしたらその理由でonceが「条件」として分類されているのかもしれない。
また、as soon as ~ と同様に、once ~ も後続の文の内容が未来であっても現在形を使う(ジーニアス)。そういう共通点からか、一緒に「起点」として紹介されるのかもしれない。
しかし、単に分類が同じだけであり、 once は as soon as とは意味がまったく違うので、混同しないように。
==== その他 ====
===== 理由や原因のbecause/since/as =====
時間の表現だけでなく、because や since (since には理由の意味もある)も従属接続詞。
because は従属接続詞なので、よって主節なしで
「Because ~ .」
といったBecause だけの節をつくることは原則、誤用だとみなされる(青チャート、ジーニアス)。
ただし例外的に、"Why ~?" といった Why を使った質問文に対して、解答で"Because ~" と because だけの節の文章が許されている(青チャート、ジーニアス)。
because は、相手がまだ知らない情報を理由としてあげるのに使われ、また主節のあとにbecause節が置かれるのが一般的である。
since は基本、相手が既知の話題についての理由を説明するときに使うので(ブレイクスルー、フォレスト、ジーニアス)、since節の時制は過去形になる事も多い(青チャート)。また、上記の事情のため、sinceのつくる副詞節は文頭や前方に置かれることも多いが(インスパイア、ジーニアス、ブレイクスルー)、しかしsinceを文頭に置かなくても正しい英語である(青チャート)。
as もssince と同様、相手がすでに知っている情報を理由としてあげる際に使われる(インスパイア、ジーニアス)。
ただし、asはいくつか意味があるので、あまり意味がはっきりしないので、はっきり説明したい場合にはasの使用が避けられる場合もある(インスパイア)。
理由の因果関係の強調の順序としては、
(因果関係が強い側)because > since > as (弱い側)
の順に因果関係が強い(青、インスパ)。
このほか、forで理由を述べる用法があるが、文語調である(青チャート)。forについては紹介している参考書が少ないので省略。
===== その他 =====
「so ~(形容詞) that ・・・(文)」 は従属接続詞。
so に等位接続詞の用法もあるが、しかし 「so 形容詞 that 文」で結びつけられている形容詞とthat後続の文は対等ではないので、従属接続詞のほうが適切であろう。
例文は著作権のため省略。
==== 譲歩 ====
「譲歩」の意味である、though や although が従属接続詞として分類されている(ジーニアス、フォレスト、ロイヤル)。
though よりも although のほうが堅い言い回しである(フォレスト、ロイヤル)。
なお、英文法の接続詞の単元でいう「譲歩」は、日本語の日常語の「譲歩」とは意味がやや違う。日常語の「譲歩」とは、自分と相手・他人の主張が対立したい場合に、相手の意見を聞き入れたり時には従うことに重点が置かれるのが日常語の譲歩である(広辞苑、三省堂新明解)。
しかし、この接続詞の英文法でいう「譲歩」とは、相手の主張の一部を事実ではあると認めた上で、それでも自分の主張に事実性などがあることを主張しているのが、英文法の接続詞の分野での「譲歩」である(桐原フォレスト)。
even if ~ も even though ~ も「たとえ ~ だとしても」という譲歩の意味があるが、下記のような違いがある。
even though ~ は、though の後に事実がきて、話し手は事実を知っている。
even if ~ は、if のあとに仮定がきて、その仮定が事実かどうかを話しては知らない。
これとは別に、 even if ~ で if のあとが仮定法過去になる場合もある(ジーニアス、インスパイア)。
基本的には、even if も even though も、evenは単に直後の語を強調しているだけである(インスパイア)。 if「もし~」 のあとが事実かどうかを話し手が知らないのもifの不普通の用法だし、though 「~にもかかわらず」も通常は話し手は事実を前提にしているからである。
単に even は if や though に譲歩の意味をつけたしたり、譲歩を強調したりしているだけにすぎない。
==== 条件 ====
条件を表すif および unless も従属接続詞。
unless は、「もし~でなければ」という意味であるが(ジーニアス、ロイヤル)、「~でない限り、」と訳される場合も多い(フォレスト、ロイヤル)。なお、unless の直後の文は否定形にはならず(フォレスト、ジーニアス)、つまり unless の直後の文は肯定形である。
unless は、「否定の条件」であるという性質に加えて、さらに基本的に「唯一の条件」という性質がある(青チャート)。「起きてほしくない事を避けるためには、unless 以降の内容を実行するしかない」という意味での唯一性の主張が unless にはある。
このことなどから、 unless ~の文を if ・・・ not ~ の文章に書き換えできる一方で(unless → if not は可能な場合が多い)、しかし if not → unless の書き換えが無理な場合が多い。
unless は「条件の文 unless 予想される結果の文」の語順。unless においてカンマなどは不要。
unless の語順は、「予想される結末 unless 結末が成り立たなくなる条件」である。なお、unlessの主節(※ 予想される結末のほう)には、willなどの未来表現を使うのが普通。一方、ifおよびunless では従属節の内容がたとえ未来における内容であっても従属節の時制は現在形にする(ジーニアス)。桐原やロイヤルでは従属節の時制はとくに解説では明記されていないが、例文の時制を見ればジーニアスと同様に桐原などでもunlessの従属節は現在形である。
==== 否定の慣用表現 ====
※ 参考書によっては、「接続詞」の単元ではなく、「否定」の単元で下記が紹介されている場合もある(ジーニアス、エバーグリーン)。
===== not long before =====
It will not long before ~ は「まもなく~するだろう」の意味である。直訳すれば「~するまでに長くはない」だが(青チャート)、英語では「まもなく~するだろう」の意味である。
===== not until =====
It is not until ~ that ・・・ で「~して初めて・・・する」の意味である。直訳すれば「・・・まで~しない」だが(青チャート、インスパイア)、実際にはそこまで否定のニュアンスは無いし(とくに出典なし)、また過去形でも It was not until ~ that ・・・ として使われる(エバーグリーン、ジーニアス)。
典型的な文章は「病気になって初めて健康のありがたさが分かる」だが(ジーニアス、インスパイア)、参考書によって英文が微妙に違う。
ジーニアスでは
It was not until I became ill that I realized the value of health.
である。
インスパイアは、
It is not until we fail ill that we appreciate the value of good health.
である。
上記のように、同じような和訳の言い回しでも、文献により英文が微妙に違うので、暗記の必要はない。もし暗記させる教育者がいれば教員としての見識不足を疑われるだけである。
=== in case ~ ===
「in case ~(文)」は「~の場合にそなえて」の意味であり、従属接続詞として分類され、この場合は普通は主節のあとに in case ~ が置かれる(フォレレスト、ジーニアス)。
in case ~ の典型的な例文は、
Take an umbrella with you in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ 数研 青チャート、ジーニアス
take の代わりに bring の場合もある。また、この傘をもっていく例文の場合なら with you は省略可能。上記例文の出典の参考書にも with you をつけてないものもある。
Bring an umbrella in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ ファクトブック
命令形ではなく平叙文の場合もあり、下記のような例文もある。
I'll take an umbrella with me in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていこう。」 ※ フォレスト
with me は省略可能。自分で持っていくので with me になる(青チャート)。
「in case ~ 」の副詞節に it should rain. のように should が使われる場合もあるが、これは可能性が低いと話し手・書き手が思っている意味である(青チャート、ブレイクスルー)。
なお、in case は上記の「~するといけないから」「~しないように」の用法の他にも、case 「条件」の文字通り「~の条件で」の意味で in case を使う場合もアメリカ英語では見られ(ジーニアス、フォレスト)、この場合は if でも言い換えできる。
言い換え表現で、「~するといけないから」「~しないように」用法の in case と同じ意味は「for fear that A ~」や「lest A (should) ~」でも言える。
for fear も lest も、ともに固い表現である(ジーニアス)。ジーニアス以外の参考書の多くは、for fear が固い表現であることを取り上げていない。
for fear ~でも lest ~でも、つづく「~」の部分には not をつけない。日本語に引きづられて not をつけないように注意。
英和辞典を見れば fear は「恐れ」「不安」などの意味が書いてあることからも想像がつくように、for fear のあとには、おそれている内容を書くので、つまり、実現してほしくないことを肯定形で書くことになるのも当然であろう。
さて、lest について、ジーニアスいわく、 lest は固い言い方なだけであり、頻度自体は for fear よりも lest のほうが高いと、ジーニアスは主張している。
lest のshould が省略される場合もある。なお、shouldが省略された場合には、続く動詞には原形が来る。lest のshould 省略時の動詞の原形をつかうことを仮定法現在として解釈する流儀もある(青チャート)。
ほか、文法教育的にはあまり注目されないが、
so that ~ 「~のために」と、否定 not を組み合わせて、たとえば 「so that A won't ~」により「~しないように」という言い換えも可能である。won't の変わりに can't の場合もある(ブレイクスルー)。
=== その他 ===
その他、as far as や as long as など範囲を表す表現が、カンマなどを補われて、従属接続詞として分類される。
「as far as I know,」 で「私の知る限りでは、」の意味。as far as の代わりに so far as とすることもある(ロイヤル)。
よくある典型文は
As far as I know, he is ~. 「私の知るかぎり、彼は~な人だ」
である(フォレスト、インスパイア)。そのほか、
As far as I'm concerned, ~ 「私に関する限り、」
という表現が、たとえば「私に関する限り、それで結構です。」(青チャート)とか「私に関する限り、不満はありません。」(ジーニアス)のような文章で使われる。
このように as ・・・ as は範囲を表すことがある。
このほか、別の用法で as far as で、自分の意見を言う用法もある(ブレイクスルー、ジーニアス)。たとえばブレイクスルーいわく、「私の意見では、冷凍食品はおいしくない」という単なる持論にも as far as を使っている例文がある。
as long as には用法が2種類あり、ひとつの用法は「~する間」という時間的な範囲を表す用法であり、もうひとつの用法は最低限の条件を表し(フォレスト)、「~しさえすれば」などと訳される(ジーニアス、フォレスト)。as long as の代わりに so long as とすることもある(ジーニアス、フォレスト)。「~する限りは」と訳される場合もある(ロイヤル)。
慣用的なよくある言い回しとして、「as long as I live 」で「私が生きている限り」の意味(ロイヤル、ジーニアス)。
I will never forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章がよく参考書にある(ジーニアス、青チャート)。
なお、べつにneverを使わずとも、
I won't forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章もよくある(インスパイア)。
「~さえすれば」の as long as は、言い換えとして、if only または only if で言い換えすることもできる。
目的を表す「 so that ~」も接続詞である。in order that も同様、目的を表す接続詞である。なお、so that ~ について、口語では thatが省略されることも多く、つまり so だけで目的の接続詞になることもある(フォレスト、ジーニアス)。
so that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
なお、「so ~(形容詞など) that ・・・」は程度をあらわす接続詞である。
in order that ~ は堅い表現。in order that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
as も接続詞の用法がある(ロイヤル、フォレスト)。
その他にも、さまざまな接続詞がある
suppose や supposed や providing や provided (どれも「もし~ならば」の意味)などを接続詞として分類することもある(フォレスト)。
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2022-08-26T04:21:01Z
すじにくシチュー
12058
/* 副詞節を導く従属接続詞 */
wikitext
text/x-wiki
== 接続詞 ==
語と語、句と句、節と節、など、文法上対等のものを結びつけるのが等位接続詞である。
いっぽう、従属節を主節と結びつけるのが従属接続詞であり(ジーニアス、フォレスト)、従位接続詞ともいう(ロイヤル)。
== 等位接続詞 ==
=== 概要 ===
'''等位接続詞'''とは、and, or, but のように文法上等しいものを結びつける接続詞である。上記のほかにも、nor , so, for が等位接続詞である。
both A and B や either A or B なども便宜的にか等位接続詞として分類される。また、 not A but B や not only A but (also) B も等位接続詞として分類される。
便宜的に、not only A but also B と同じ意味をもつ as well as も、参考書では同じ単元で紹介される。
either は、「AかBかのどちらか」という意味である。
neither A nor B は、AもBも両方とも否定する表現であり、つまり「AとBのどちらも~ない」の意味である。
なお、neither A nor B が主語の場合、動詞はBの時制に一致させる(ジーニアス)。また、nor の直後の文章は肯定形である。
neither は基本、A,Bの2つしか使わない。3つ以上では使わないのが原則だが、しかし米英には原則に反して3つ以上で使う人もいるが(ロイヤル)、入試にはそこまで出ないだろう。また、neither で nor の代わりに原則に反して or を使う人もいるとのこと(ロイヤル)。入試では原則的な場合だけを考えればよいだろう。
「neither」とは not either の意味だろう、というのがロイヤル英文法の見解。
nor は、 neither のある文でなくても使われる場合がある(桐原、ロイヤル)。
否定語の not や don't などのあと、 「not A, nor B」または「don't A(動詞) nor B(動詞) 」で「AもBも無い」という意味で、neitherなしで nor が not などの否定語とともに使われる場合がある。 カンマが無い場合もある(ロイヤル英文法)。この場合でも、A nor B のあとに動詞が来る場合、その文は肯定形である。
「AもBもどちらも~ない」と否定の内容を並列させたい場合、andではなくnorを使う(桐原)。
さて、and には、命令文のあとに使われたい場合には、「そうすれば」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
or には、「または」の意味のほかにも「すなわち」「言い換えれば」というある語を別の語で言い換える用法の意味もあるが(ジーニアスおよびエバーグリーンに「言い換えれば」アリ)、どちらの意味の場合でも等位接続詞として分類される。また、or には、命令文のあとに使われたい場合には、「さもなければ」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
なお、「すなわち」「言い換えれば」の意味で or が接続詞として使われる場合、orの前にふつうはカンマ(,)が来る(ジーニアス、いいづなエバーグリーン)。
{{コラム|数学の集合論との違い|
「夏も冬も両方とも好き」は英語では「 I like summer and winter. 」である(ブレイクスル-)。
「夏も冬も両方とも好きではない」は英語ではneither を使わずとも、
I don't like summer or winter.
でもいえて、この場合は接続詞が or になっていることに注意(ブレイクスル-)。
一見すると、数学の集合演算における否定演算での積集合「∩」や和集合「∪」などの演算子の反転のように見えるが、しかし実は、数学の集合の理論(ベン図などの理論のこと)とは違う。
まず、英語において、 A and B が数学でいう和集合(演算子∪)か積集合(演算子は∩)かは文脈による。「情報」科などで習うかもしれないブール代数のand計算は積集合だが、しかし実際の英語の場合はそうとは限らないので注意。
また、よくよく考えると、数学では、積集合 A∩B の否定 not (A∩B )は、 (not A) ∪ (not B) である。
つまり、数学では、単に not がつくだけでは集合演算子は変わらない。要素すべてに not がついて、さらにそのnot を因数分解的にひとまとめにくくる段階になって、ようやく集合演算子が反転するのが、数学的な規則である。
しかし英語では、not がついただけの段階の時点で、接続詞が and から or に反転してしまっている。
このように、集合の数学 と 英語のand/orの文法は、似ているが微妙に違うので、混同しないように。
ともかく、数学では、not でくくったら、集合の演算子は反転する(∪から∩に。または∩から∪に)。しかし英語では、そういう数学的規則は無視されている。
だから、neither の例文をもとに覚えたほうが早いし安全である。
単に「 neither A nor B のように don't A or B のように言う」とでも覚えるしかない。語学はしょせん、暗記科目である。
}}
=== so/ for ===
接続詞としての so は、 <出来事→結果> の語順として「理由の文、so 結果の文」のように理由を前に、結果を後ろに書き、「・・・なので~」「・・・だから~」という意味になる。理由というほど明白な因果関係でなくても、比較的に関連性の高い2つの出来事において、「ある出来事, so 出来事の結果」という用法でも良い。
また、この場合の so の直前にはカンマ「 , 」を置くのが普通(ジーニアス、エバーグリーン)。
余談だが、接続詞としての so と for はそれぞれ、節と節だけ結びつける(フォレスト、エバーグリーン)。つまり、語と語、句と句、語と句などは結び付けない。
いっぽう、for は、 <結果←出来事> の語順として、「結果, for 理由の章」の構文で、堅い言い回しとして理由を説明する。口語で用いることはあまり無い(ジーニアス、エバーグリーン)。ほか、 for は、forの前述の出来事に対して、その理由を述べる接続詞である。
なので、普通は for の直前にはカンマ「 , 」が来る。
接続詞としての for は等位接続詞である。for は従属接続詞ではない等の理由で(ロイヤル)、because のように主節の前に出すことはできない。なお、もし For が文頭に置かれている場合、それは、その直前の文の理由を説明している(ロイヤル)。
=== and ===
いつつかの名詞が and で結ばれている場合、基本的には全体としては複数形として判断する。
Tom, Bob and John are students of this school.
しかし、下記のように例外がある。
Ham and eggs is my favorite breakfast. 「ハムアンドエッグは、私の好きな朝食だ」※ インスパイアより同じ例文
「Ham and eggs 」で1セットの食品なので、これは単数形として判定する。
同様に、
curry and rice (カレーライス)
a cup of saucer (皿つきマグカップ)
a knife and fork (ナイフとフォーク) ※インスパ、ジーニアス
bread and butter (バターつきパン)
body and mental (肉体と精神) ※インスパイア
は1セットの名詞とみなすので、それぞで単数形として判定する(青チャ、インスパ)。
なお、a cup of saucer の 「a」は、a 「cup of saucer 」ということで、「cup of saucer 」のセットがひとつという意味(ジーニアス)。なので、後ろ側の saucer には a がつかない(ジーニアス)。
けっして、1つのカップといくつかの皿ではない。
a knife and fork も同様、 a「knife and fork」 という意味なので、「knife and fork」のセットが一つの意味(ジーニアス)。
まず、and の基本的な意味を確認しよう。
;並列と順序
and の基本的な意味は並列「および」「と」の意味だが、もうひとつ、動作・時間の順序という意味もある。「先に起きたこと and その直後に起きたこと」のような語順で and を使うこともある。
動作や時間の順序のand は、「そして」や「~して、」の意味である(ジーニアス、ロイヤル)。
たとえば come and see は「先に来て、そして見る(見た)」の意味であり、つまり不定詞の結果用法 come to see と同じ意味である(フォレスト)。同様の表現として、 go and see もある。
;因果関係
さらに、and が因果関係をあらわす場合もある(ジーニアス、ロイヤル)。普通、文章では、先に行ったり紹介した動作が、あとの動作の理由になるので、andで因果関係を表すのも自然であろう。
{{コラム|and なのに逆接?|
上記で and は因果関係を表す場合もあるといったが、しかし人生では、必ずしも前に起きた動作の期待どおりに後の結果が起きるとは限らない場合も多々あるものである。このため、and があたかも but のような逆接的な意味かのように見える英文が生じる場合もある。
たとえば、「彼は努力して、そして失敗した」は、順序を意識すれば try hard and failed のような言い回しになる(ジーニアス)。努力 try hard という準備にもかかわらず失敗 fail したことから、文脈によっては and なのにまるで逆接のような意味も読み取れる場合もある。
さて、このことから、もし後の起きたことが先に起きたことに比べて対照的な場合、場合によっては and は、あたかも逆接 but のような意味に見える場合がある。
とはいえ、これはand の順序関係の用法の、派生的なものである。andの基本的な意味は、あくまで並列・順序だと思うべきだろう。
}}
== 従属接続詞 ==
=== 名詞節を導く従属接続詞 ===
==== whether と if ====
一方、名詞節を導くために使われる that およびwhether(~かどうか) と if(~かどうか) は'''従属接続詞'''である。that や whether を接続詞として解釈する考えもある。
ここでの名詞節を導く if は、「~かどうか」の意味での if である。「もし~ならば、」の if のことではない。また、「もし」の if との混同をさけるため、文頭では名詞節の if は使えない(ファクトブック)。この「~かどうか」の意味の if の性質について言い方を変えるなら、つまり if は動詞の目的語としてしか使えない(ジーニアス、青チャート、ほか多数)。
また、whether or not (~かどうか)という成句はある一方、ifにはない(インスパイア、青チャート)。
ほか、「whether to ~(動詞)」で「~すべきかどうか」というto不定詞の用法はあるが、ifには不定詞が続かない(インスパイア、青チャート)。
なお、 whether to go 「行くべきかどうか」という語が、参考書によくある典型例である。さらに、 whether to go or not (青チャート)「行くべきかどうか」や whether to go or stay (ブレイクスルー)「行くべきかとどまるべきか」のようになる場合もある。
さらに、助動詞 should を使って「べき」を強調する whether we should go or stay 「行くべきか残るべきか」という表現もある(青チャート)。
whether we should go or not のように、whether の直後ではなく分節の最後に or not をつける場合もある(ジーニアス)。
また、whether は前置詞の目的語になることがあるが、ifはならない(インスパイア)。
The question whether we should go or stay のように名詞と同格の節をみちびくこともある(インスパイア、青チャート、ジーニアス)。関係代名詞または前置詞のようにも見えるかもしれないが、しかしどの参考書も、関係詞や前置詞としてではなく「名詞と同格の節」という概念で説明している。一方、if には、名詞と同格の用法は無い。
if の本来の用法は「もしも~」であり、「~かどうか」の意味は派生的な意味にすぎない、と考えるのが良いだろう。
ほか、if は口語的、whether は文語的である(ジーニアス、青チャ-ト、エバグリ)。
depends on whether 、
など、動詞句 depends on とwhether との組み合わせが決まっている(青チャート)。depends on と if との組み合わせは禁止。なお depends on は、前置詞の目的語にwhether が来る例にもなっている。
wonder と ask は、if でも whether でも、どちらでも良い(ブレイクスルー、青チャート)。
ほか、 I wonder if ~ で「~がどうかなと思う」の意味。
==== that ====
さて、従属接続詞の典型的な文で
The fact is (that)・・・ 「事実は・・・ということだ。」
The trouble is (that)・・・ 「困ったことに・・・ということだ。」
The truth is (that)・・・ 「真実は・・・ということだ。」
The reason is (that)・・・ 「理由は・・・ということだ。」
などがある。
このように、名詞節を導く that は、「・・・ということだ。」の意味になる。
that は主語・補語・目的語になる(上記の the reason is that などの例文の場合は、that が補語になっている)。
ほか、 It is 形容詞 that ・・・ という形式主語の文章で 使われる that は接続詞でもある(ジーニアス、エバーグリーン )。
ほか、that節が know,say ,think, tell, hope など一般的な動詞の目的語になっている場合は、thatを省略することも多い(ブレイクスルー、インスパイア)。
ただし、形式目的語の that は省略できない(エバーグリーン)。形式目的語とは、
He made it clear that ~ . 「彼は~であることを明らかにした。」
のような it を仮の目的語とする文章のこと。
that 節は普通は前置詞の後ろに置かれることないが(ジーニアス)、例外的に in that(~という点で、~だから) と except that(~を除いて)という用法がある。
なお、 in that には意味の異なる「~という点で」という用法と、もうひとつ「~だから」「~であるか」という別の用法があることに注意(ジーニアス)。
参考書によっては in that は前置詞の項目に書いてある場合もある(青チャート)。
ほか、Now that で、「今や~だから」という表現ができる。口語ではよくthatが省略され、Now だけになる。
典型的な例文は
Now (that) he is eighteen, he can vote. 「今や彼は18歳なのだから、彼は投票できる。」
である(ジーニアス、青チャート)。
このほか、紹介している参考書は少ないが(青チャート、インスパイア)、分詞構文の Seeing that ~「~であるから」「~だから」が接続詞的に用いられる用法もある(青チャート)。
I'm glad that you have come to meet us. 「あなたがお迎えにきてくれて、うれしく思います」(青チャート)
のような例文がよくある。
I'm glad that ~ 「~できて、うれしいです」
のように、「感情を現す形容詞 + that 」の that も接続詞である(青チャート)。
afraid, disappointed, sad, sorry, glad, happy, angry, surprised , upset などがこのような形容詞である(青チャート、ジーニアス)。この場合の that は省略されることも多い。なお、この場合の感情に続く that 以下の内容は「理由」を表す(ジーニアス)。
We are sorry that you cannot come. 「あなたがこられないのは残念です。」(インスパイア)
この場合の sorry は謝罪ではないので注意。
sure 「確信している」は日本語では感情とは言いづらいが、青チャートはこれを感情に含めている。ただし、ジーニアスはsureを不採用。
なお、sure は感情のように I'm sure that ~ と主語を人称代名詞とするのが普通。辞書ジーニアスを見たが、it を主語にする sure は見つからなかった。
いっぽう、certain は、 It is certain that ~ も I'm certain もともに許される。(フォレストに I'm certain あり。ブレイクスルーに it is certain)
なお、確信ではなく「疑わしい」と思っている場合は、
It is doubtful whether (またはif)~ 「~かどうかは疑わしい」
のように、 接続詞は whether または if になる。この場合の whether や if も名詞節である。 I'm doubtful whether(if) のように人称代名詞で言ってもよい(インスパイア)。さらに、形容詞ではなく動詞 doubt で I doubt whether (if) ~ で言うことも可能(インスパイア)。
{{コラム|(※ 発展)doubt のあとは that か whether か |
doubt のあとが doubt whether のように whether になる場合は、肯定の平叙文の場合だけである(インスパイア)。
doubt については否定形の場合、don't doubt that ~ のようになる(インスパイア)。つまり、否定形 doubtでは whether ではなく that になる。 これは、don't doubt は直訳しただけなら単に「疑ってはいない」というだけになってしまうが、しかし実際には don't doubt は「確信している」という意味を表すのに慣用的に使われている(インスパイア)からである。インスパイアの場合、I don't doubt that ~ を「~することは間違いない」と訳している。かなりマニアックな話題であり、ほかの参考書は取り上げていない。
けっして「否定形のあとなら whether がthat になる」(×)というわけではない(ジーニアス)。「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ」という文章で、「どうでもいい」は It doesn't concern me なので(ジーニアス)、それと「彼女が来るかどうか」を合わせて
It doesn't concern me whether she will come or not. 「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ。」(ジーニアス)
という例文もあるほどだ(ジーニアス)。
さらに疑問文の場合、 Do you doubt that ~ のように、that になる。
これはもう、論理的に説明するのが困難だが、安心してもいいことに他社の参考書にまず書いてない。入試には出ないだろう。
入試の出題者だって、そこまで瑣末なことは問わない。
実は「高校レベル」の参考書と言うのは、実は読者対象は題名に反して決して高校生だけが対象でなく、大学の教師などが知識を広く浅くアップデートするためにも出版されているので、上述のような入試の範囲をやや超えた細かい話題も載っていたりするのである。インスパイアがどうかは知らないが。
}}
なお「確信」している場合、I'm sure は「確信している」の「信」じるの文字からも想像がつくように、動詞 believe で
I believe that と細かなニュアンスを無視すれば言い換えもできる(インスパイア)。
ほか、確信していない場合は、つまり確信に not がつく場合は、that よりも whether や if のほうが好ましい(インスパイア、ブレイクスルー)。つまり
I'm not sure whether(またはif) ~
のようになる(インスパイア、ブレイクスルー)。
なお、動詞で「信じていない」という場合、つまり don't believe の場合、 I didn't believe what ~ のように whether ではなく what になるのに注意(インスパイア)。
=== 副詞節を導く従属接続詞 ===
==== はじめに ====
ほか、(たとえば平叙文のなかで)副詞節を導かれるために使われる when (~のとき、)や where (~の場所)が従属接続詞である。
before , after および since や until なども従属接続詞。
as soon as や once もこれに含める(ジーニアス、フォレスト)。
また、過去形で It was not ling before ~ なら「すぐに~できた」の意味であり、副詞 soon で言い換えできる(ジーニアス)。
after について、前後関係が文脈から明白な場合は、主節が過去形のときでも、本来ならafter節は(主節よりも前の出来事なので、after節が)過去完了形になるはずだが、実際には(主節が過去形であるのに合わせて)after節も過去形のままで済ませることも許される。もちろん、after節を過去完了形にしても良く、after節を過去完了ぬすると前後関係が強調される(ジーニアス、インスパイア)。
なお、beforeの場合は、過去のある出来事よりも前(before)の出来事について言及したい場合、場合によって完了形になるはずなのは主節のほうである(ジーニアス)。beforeの場合も、本来なら主節が過去完了になる場合でも、(before節が過去形であるのに合わせて)主節を過去形のままにすることが許される。
なお、since 「~してから」「~して以来」の場合、これは継続の起点を表す意味の「~してから」だが、主節は完了形であるのが原則である(ジーニアス、インスパイア)。sinceを用いて現在継続中の事を言う場合、主節は現在完了形、since節は過去形、というパターンが多い(青チャート)。
「until ~」は、「~」の瞬間まで動作が継続しているときに使い、「~するまで(ずっと)」の意味である(エバーグリーンに「ずっと」)。
一方、継続しない場合で、その時までに動作が完了している場合には、untilではなくby the time 「~する(時)までに」を使う(ジーニアス、インスパイア)。
また、until と by the time の両方とも、内容が未来の話であっても従属節の時制は現在形になる(インスパイア)。
いっぽう、主節のほうは、until の主節は未来の内容でも現在時制だが、しかし by the time の主節は未来のほうなら未来表現(will)になるという違いがある(インスパイア)。
:※ インスパイア以外は by the time の主節の時制に言及していない。
as well as が等位接続詞なのに as soon as が従属なのはアレだが、まあどの参考書でもそういう分類になっている。
as soon as は言い換えで、the moment や the instant や no sooner ・・・ than ~ などの言い換え表現がある。
なお、 no sooner ・・・ than ~ は参考書によっては、『接続詞』の単元ではなく『比較』の単元に節に書いてある(青チャートなど)。
青チャートいわく、immediately も「~するとすぐに」だが、イギリス英語とのこと。
no sooner ・・・ than ~ の言い回しは文頭にくる場合もあり、その際に倒置によって主語と助動詞の語順が逆になる。
つまり、助動詞に had を使っているなら、とりあえず主語をIとするなら(べつに he でも she でも構わない)、倒置の場合は
No sooner had I + 過去分詞・・・ than ~ の語順である。
よく助動詞 had による過去完了形が使われるが(エバーグリーン、ジーニアス、青チャート)、しかし別に助動詞 did による単なる過去形でも構わない(インスパイア)。
構文の意味は微妙に違うが、
hardly(またはscarcely) ・・・ when(またはbefore) ~ 「~するやいなや」
も文頭にくる倒置をすれば主語と述語の動詞が逆転するので、よく
no sooner の構文といっしょに参考書では紹介されることも多い(ジーニアス、青チャート)。
倒置する場合、上述の構文の語順は、とりあえず主語を he とするなら、
Hardly had he 過去分詞 when ・・・
の語順である。
なお、no longer 「もう~ではない」「もはや~ではない」は特に倒置は起きず、参考書でも特に倒置については言及はされていない(ジーニアス、エバーグリーン)。
よくある例文が、「宇宙旅行は(月への旅行は)もはや夢ではない」のような例文であり(インスパイア、青チャート)、たとえば
Traveling into space is no longer a dream. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
A trip to the moon is no longer a dream. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」(青チャート)
また、no longer は現在時制とともに使われることが多い(青チャート)。上述の例文も現在時制になっていることに注目。
no longer ~ は、not ~ any longer でも言い換えでき、どの参考書でも言及されている。
Traveling into space is not a dream any longer. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
青チャートはany longer の言い換えをしてないが、もし言い換えするなら、下記のようになるだろう。
A trip to the moon is not a dream any longer. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」 (wikiオリジナル)
I cannot stand ~ any longer. 「もうこれ以上、~に我慢できない。」(青チャート、ブレイクスルー)
入試にはめったに出ないが、じつは他にも言い換え表現として not ~ any more や not ~ anymore などもある(青チャート比較、ジーニアス接続詞)。
==== 否定 ====
参考書によっては「接続詞」の単元ではなく否定の単元に掛かれていることも多いが、no や not などの否定の語句をつかった接続詞的な内容の構文がある。
「cannot help ~ing 」と 「have no choice but to ~(to不定詞)」との使い分けが、重要である。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」「思わず~してしまう」の意味。cannot help ~ing は感情をおさえきれずに(青チャート)、思わず何かをしてしまう時に使う表現である。
Cannot help laughing 「笑わずにはいられない」
のように使う。「cannot help but 動詞の原型 」という言い方もある(ジーニアス、ブレイクスルー)。
cannot help but laugh
のように使う。
一方、自分の感情に反して、外部的な事情などで「~せざるを得ない」場合には、
have no choice but to 動詞の原形(to不定詞)
を使う(青チャート、ジーニアス)。
She had no choice to give up her job. 「彼女は仕事をやめざるを得なかった。」(青チャートを改変)
のように使う(エバーグリーン、青チャート)。
なお、
I had no choice to quit my job. 「私は仕事をやめざるを得なかった。」(エバーグリーン)
==== once ====
once は「いったん~すると」の意味。once をどう分類するかが参考書ごとに違う。
ifやunlessなどと同様に「条件」として once を分類する参考書もあれば(ブレイクスルー、インスパイア)、
beforeやafterやsinceなどと同様の「起点」として once を分類する参考書もある(ジーニアス、フォレスト)。
なお、as soon as と once がなぜか同じ章節で紹介される参考書が多いが(ジーニアス、フォレスト、しかし意味が違う接続詞なので混同しないように。
if~ は内容が未来であっても現在形を使うが、as soon as ~ も後続の文では内容が未来であっても現在形を使うので、もしかしたらその理由でonceが「条件」として分類されているのかもしれない。
また、as soon as ~ と同様に、once ~ も後続の文の内容が未来であっても現在形を使う(ジーニアス)。そういう共通点からか、一緒に「起点」として紹介されるのかもしれない。
しかし、単に分類が同じだけであり、 once は as soon as とは意味がまったく違うので、混同しないように。
==== その他 ====
===== 理由や原因のbecause/since/as =====
時間の表現だけでなく、because や since (since には理由の意味もある)も従属接続詞。
because は従属接続詞なので、よって主節なしで
「Because ~ .」
といったBecause だけの節をつくることは原則、誤用だとみなされる(青チャート、ジーニアス)。
ただし例外的に、"Why ~?" といった Why を使った質問文に対して、解答で"Because ~" と because だけの節の文章が許されている(青チャート、ジーニアス)。
because は、相手がまだ知らない情報を理由としてあげるのに使われ、また主節のあとにbecause節が置かれるのが一般的である。
since は基本、相手が既知の話題についての理由を説明するときに使うので(ブレイクスルー、フォレスト、ジーニアス)、since節の時制は過去形になる事も多い(青チャート)。また、上記の事情のため、sinceのつくる副詞節は文頭や前方に置かれることも多いが(インスパイア、ジーニアス、ブレイクスルー)、しかしsinceを文頭に置かなくても正しい英語である(青チャート)。
as もssince と同様、相手がすでに知っている情報を理由としてあげる際に使われる(インスパイア、ジーニアス)。
ただし、asはいくつか意味があるので、あまり意味がはっきりしないので、はっきり説明したい場合にはasの使用が避けられる場合もある(インスパイア)。
理由の因果関係の強調の順序としては、
(因果関係が強い側)because > since > as (弱い側)
の順に因果関係が強い(青、インスパ)。
このほか、forで理由を述べる用法があるが、文語調である(青チャート)。forについては紹介している参考書が少ないので省略。
===== その他 =====
「so ~(形容詞) that ・・・(文)」 は従属接続詞。
so に等位接続詞の用法もあるが、しかし 「so 形容詞 that 文」で結びつけられている形容詞とthat後続の文は対等ではないので、従属接続詞のほうが適切であろう。
例文は著作権のため省略。
==== 譲歩 ====
「譲歩」の意味である、though や although が従属接続詞として分類されている(ジーニアス、フォレスト、ロイヤル)。
though よりも although のほうが堅い言い回しである(フォレスト、ロイヤル)。
なお、英文法の接続詞の単元でいう「譲歩」は、日本語の日常語の「譲歩」とは意味がやや違う。日常語の「譲歩」とは、自分と相手・他人の主張が対立したい場合に、相手の意見を聞き入れたり時には従うことに重点が置かれるのが日常語の譲歩である(広辞苑、三省堂新明解)。
しかし、この接続詞の英文法でいう「譲歩」とは、相手の主張の一部を事実ではあると認めた上で、それでも自分の主張に事実性などがあることを主張しているのが、英文法の接続詞の分野での「譲歩」である(桐原フォレスト)。
even if ~ も even though ~ も「たとえ ~ だとしても」という譲歩の意味があるが、下記のような違いがある。
even though ~ は、though の後に事実がきて、話し手は事実を知っている。
even if ~ は、if のあとに仮定がきて、その仮定が事実かどうかを話しては知らない。
これとは別に、 even if ~ で if のあとが仮定法過去になる場合もある(ジーニアス、インスパイア)。
基本的には、even if も even though も、evenは単に直後の語を強調しているだけである(インスパイア)。 if「もし~」 のあとが事実かどうかを話し手が知らないのもifの不普通の用法だし、though 「~にもかかわらず」も通常は話し手は事実を前提にしているからである。
単に even は if や though に譲歩の意味をつけたしたり、譲歩を強調したりしているだけにすぎない。
==== 条件 ====
条件を表すif および unless も従属接続詞。
unless は、「もし~でなければ」という意味であるが(ジーニアス、ロイヤル)、「~でない限り、」と訳される場合も多い(フォレスト、ロイヤル)。なお、unless の直後の文は否定形にはならず(フォレスト、ジーニアス)、つまり unless の直後の文は肯定形である。
unless は、「否定の条件」であるという性質に加えて、さらに基本的に「唯一の条件」という性質がある(青チャート)。「起きてほしくない事を避けるためには、unless 以降の内容を実行するしかない」という意味での唯一性の主張が unless にはある。
このことなどから、 unless ~の文を if ・・・ not ~ の文章に書き換えできる一方で(unless → if not は可能な場合が多い)、しかし if not → unless の書き換えが無理な場合が多い。
unless は「条件の文 unless 予想される結果の文」の語順。unless においてカンマなどは不要。
unless の語順は、「予想される結末 unless 結末が成り立たなくなる条件」である。なお、unlessの主節(※ 予想される結末のほう)には、willなどの未来表現を使うのが普通。一方、ifおよびunless では従属節の内容がたとえ未来における内容であっても従属節の時制は現在形にする(ジーニアス)。桐原やロイヤルでは従属節の時制はとくに解説では明記されていないが、例文の時制を見ればジーニアスと同様に桐原などでもunlessの従属節は現在形である。
==== 否定の慣用表現 ====
※ 参考書によっては、「接続詞」の単元ではなく、「否定」の単元で下記が紹介されている場合もある(ジーニアス、エバーグリーン)。
===== not long before =====
It will not long before ~ は「まもなく~するだろう」の意味である。直訳すれば「~するまでに長くはない」だが(青チャート)、英語では「まもなく~するだろう」の意味である。
===== not until =====
It is not until ~ that ・・・ で「~して初めて・・・する」の意味である。直訳すれば「・・・まで~しない」だが(青チャート、インスパイア)、実際にはそこまで否定のニュアンスは無いし(とくに出典なし)、また過去形でも It was not until ~ that ・・・ として使われる(エバーグリーン、ジーニアス)。
典型的な文章は「病気になって初めて健康のありがたさが分かる」だが(ジーニアス、インスパイア)、参考書によって英文が微妙に違う。
ジーニアスでは
It was not until I became ill that I realized the value of health.
である。
インスパイアは、
It is not until we fail ill that we appreciate the value of good health.
である。
上記のように、同じような和訳の言い回しでも、文献により英文が微妙に違うので、暗記の必要はない。もし暗記させる教育者がいれば教員としての見識不足を疑われるだけである。
=== in case ~ ===
「in case ~(文)」は「~の場合にそなえて」の意味であり、従属接続詞として分類され、この場合は普通は主節のあとに in case ~ が置かれる(フォレレスト、ジーニアス)。
in case ~ の典型的な例文は、
Take an umbrella with you in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ 数研 青チャート、ジーニアス
take の代わりに bring の場合もある。また、この傘をもっていく例文の場合なら with you は省略可能。上記例文の出典の参考書にも with you をつけてないものもある。
Bring an umbrella in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ ファクトブック
命令形ではなく平叙文の場合もあり、下記のような例文もある。
I'll take an umbrella with me in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていこう。」 ※ フォレスト
with me は省略可能。自分で持っていくので with me になる(青チャート)。
「in case ~ 」の副詞節に it should rain. のように should が使われる場合もあるが、これは可能性が低いと話し手・書き手が思っている意味である(青チャート、ブレイクスルー)。
なお、in case は上記の「~するといけないから」「~しないように」の用法の他にも、case 「条件」の文字通り「~の条件で」の意味で in case を使う場合もアメリカ英語では見られ(ジーニアス、フォレスト)、この場合は if でも言い換えできる。
言い換え表現で、「~するといけないから」「~しないように」用法の in case と同じ意味は「for fear that A ~」や「lest A (should) ~」でも言える。
for fear も lest も、ともに固い表現である(ジーニアス)。ジーニアス以外の参考書の多くは、for fear が固い表現であることを取り上げていない。
for fear ~でも lest ~でも、つづく「~」の部分には not をつけない。日本語に引きづられて not をつけないように注意。
英和辞典を見れば fear は「恐れ」「不安」などの意味が書いてあることからも想像がつくように、for fear のあとには、おそれている内容を書くので、つまり、実現してほしくないことを肯定形で書くことになるのも当然であろう。
さて、lest について、ジーニアスいわく、 lest は固い言い方なだけであり、頻度自体は for fear よりも lest のほうが高いと、ジーニアスは主張している。
lest のshould が省略される場合もある。なお、shouldが省略された場合には、続く動詞には原形が来る。lest のshould 省略時の動詞の原形をつかうことを仮定法現在として解釈する流儀もある(青チャート)。
ほか、文法教育的にはあまり注目されないが、
so that ~ 「~のために」と、否定 not を組み合わせて、たとえば 「so that A won't ~」により「~しないように」という言い換えも可能である。won't の変わりに can't の場合もある(ブレイクスルー)。
=== その他 ===
その他、as far as や as long as など範囲を表す表現が、カンマなどを補われて、従属接続詞として分類される。
「as far as I know,」 で「私の知る限りでは、」の意味。as far as の代わりに so far as とすることもある(ロイヤル)。
よくある典型文は
As far as I know, he is ~. 「私の知るかぎり、彼は~な人だ」
である(フォレスト、インスパイア)。そのほか、
As far as I'm concerned, ~ 「私に関する限り、」
という表現が、たとえば「私に関する限り、それで結構です。」(青チャート)とか「私に関する限り、不満はありません。」(ジーニアス)のような文章で使われる。
このように as ・・・ as は範囲を表すことがある。
このほか、別の用法で as far as で、自分の意見を言う用法もある(ブレイクスルー、ジーニアス)。たとえばブレイクスルーいわく、「私の意見では、冷凍食品はおいしくない」という単なる持論にも as far as を使っている例文がある。
as long as には用法が2種類あり、ひとつの用法は「~する間」という時間的な範囲を表す用法であり、もうひとつの用法は最低限の条件を表し(フォレスト)、「~しさえすれば」などと訳される(ジーニアス、フォレスト)。as long as の代わりに so long as とすることもある(ジーニアス、フォレスト)。「~する限りは」と訳される場合もある(ロイヤル)。
慣用的なよくある言い回しとして、「as long as I live 」で「私が生きている限り」の意味(ロイヤル、ジーニアス)。
I will never forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章がよく参考書にある(ジーニアス、青チャート)。
なお、べつにneverを使わずとも、
I won't forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章もよくある(インスパイア)。
「~さえすれば」の as long as は、言い換えとして、if only または only if で言い換えすることもできる。
目的を表す「 so that ~」も接続詞である。in order that も同様、目的を表す接続詞である。なお、so that ~ について、口語では thatが省略されることも多く、つまり so だけで目的の接続詞になることもある(フォレスト、ジーニアス)。
so that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
なお、「so ~(形容詞など) that ・・・」は程度をあらわす接続詞である。
in order that ~ は堅い表現。in order that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
as も接続詞の用法がある(ロイヤル、フォレスト)。
その他にも、さまざまな接続詞がある
suppose や supposed や providing や provided (どれも「もし~ならば」の意味)などを接続詞として分類することもある(フォレスト)。
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207273
207272
2022-08-26T04:29:23Z
すじにくシチュー
12058
/* 副詞節を導く従属接続詞 */
wikitext
text/x-wiki
== 接続詞 ==
語と語、句と句、節と節、など、文法上対等のものを結びつけるのが等位接続詞である。
いっぽう、従属節を主節と結びつけるのが従属接続詞であり(ジーニアス、フォレスト)、従位接続詞ともいう(ロイヤル)。
== 等位接続詞 ==
=== 概要 ===
'''等位接続詞'''とは、and, or, but のように文法上等しいものを結びつける接続詞である。上記のほかにも、nor , so, for が等位接続詞である。
both A and B や either A or B なども便宜的にか等位接続詞として分類される。また、 not A but B や not only A but (also) B も等位接続詞として分類される。
便宜的に、not only A but also B と同じ意味をもつ as well as も、参考書では同じ単元で紹介される。
either は、「AかBかのどちらか」という意味である。
neither A nor B は、AもBも両方とも否定する表現であり、つまり「AとBのどちらも~ない」の意味である。
なお、neither A nor B が主語の場合、動詞はBの時制に一致させる(ジーニアス)。また、nor の直後の文章は肯定形である。
neither は基本、A,Bの2つしか使わない。3つ以上では使わないのが原則だが、しかし米英には原則に反して3つ以上で使う人もいるが(ロイヤル)、入試にはそこまで出ないだろう。また、neither で nor の代わりに原則に反して or を使う人もいるとのこと(ロイヤル)。入試では原則的な場合だけを考えればよいだろう。
「neither」とは not either の意味だろう、というのがロイヤル英文法の見解。
nor は、 neither のある文でなくても使われる場合がある(桐原、ロイヤル)。
否定語の not や don't などのあと、 「not A, nor B」または「don't A(動詞) nor B(動詞) 」で「AもBも無い」という意味で、neitherなしで nor が not などの否定語とともに使われる場合がある。 カンマが無い場合もある(ロイヤル英文法)。この場合でも、A nor B のあとに動詞が来る場合、その文は肯定形である。
「AもBもどちらも~ない」と否定の内容を並列させたい場合、andではなくnorを使う(桐原)。
さて、and には、命令文のあとに使われたい場合には、「そうすれば」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
or には、「または」の意味のほかにも「すなわち」「言い換えれば」というある語を別の語で言い換える用法の意味もあるが(ジーニアスおよびエバーグリーンに「言い換えれば」アリ)、どちらの意味の場合でも等位接続詞として分類される。また、or には、命令文のあとに使われたい場合には、「さもなければ」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
なお、「すなわち」「言い換えれば」の意味で or が接続詞として使われる場合、orの前にふつうはカンマ(,)が来る(ジーニアス、いいづなエバーグリーン)。
{{コラム|数学の集合論との違い|
「夏も冬も両方とも好き」は英語では「 I like summer and winter. 」である(ブレイクスル-)。
「夏も冬も両方とも好きではない」は英語ではneither を使わずとも、
I don't like summer or winter.
でもいえて、この場合は接続詞が or になっていることに注意(ブレイクスル-)。
一見すると、数学の集合演算における否定演算での積集合「∩」や和集合「∪」などの演算子の反転のように見えるが、しかし実は、数学の集合の理論(ベン図などの理論のこと)とは違う。
まず、英語において、 A and B が数学でいう和集合(演算子∪)か積集合(演算子は∩)かは文脈による。「情報」科などで習うかもしれないブール代数のand計算は積集合だが、しかし実際の英語の場合はそうとは限らないので注意。
また、よくよく考えると、数学では、積集合 A∩B の否定 not (A∩B )は、 (not A) ∪ (not B) である。
つまり、数学では、単に not がつくだけでは集合演算子は変わらない。要素すべてに not がついて、さらにそのnot を因数分解的にひとまとめにくくる段階になって、ようやく集合演算子が反転するのが、数学的な規則である。
しかし英語では、not がついただけの段階の時点で、接続詞が and から or に反転してしまっている。
このように、集合の数学 と 英語のand/orの文法は、似ているが微妙に違うので、混同しないように。
ともかく、数学では、not でくくったら、集合の演算子は反転する(∪から∩に。または∩から∪に)。しかし英語では、そういう数学的規則は無視されている。
だから、neither の例文をもとに覚えたほうが早いし安全である。
単に「 neither A nor B のように don't A or B のように言う」とでも覚えるしかない。語学はしょせん、暗記科目である。
}}
=== so/ for ===
接続詞としての so は、 <出来事→結果> の語順として「理由の文、so 結果の文」のように理由を前に、結果を後ろに書き、「・・・なので~」「・・・だから~」という意味になる。理由というほど明白な因果関係でなくても、比較的に関連性の高い2つの出来事において、「ある出来事, so 出来事の結果」という用法でも良い。
また、この場合の so の直前にはカンマ「 , 」を置くのが普通(ジーニアス、エバーグリーン)。
余談だが、接続詞としての so と for はそれぞれ、節と節だけ結びつける(フォレスト、エバーグリーン)。つまり、語と語、句と句、語と句などは結び付けない。
いっぽう、for は、 <結果←出来事> の語順として、「結果, for 理由の章」の構文で、堅い言い回しとして理由を説明する。口語で用いることはあまり無い(ジーニアス、エバーグリーン)。ほか、 for は、forの前述の出来事に対して、その理由を述べる接続詞である。
なので、普通は for の直前にはカンマ「 , 」が来る。
接続詞としての for は等位接続詞である。for は従属接続詞ではない等の理由で(ロイヤル)、because のように主節の前に出すことはできない。なお、もし For が文頭に置かれている場合、それは、その直前の文の理由を説明している(ロイヤル)。
=== and ===
いつつかの名詞が and で結ばれている場合、基本的には全体としては複数形として判断する。
Tom, Bob and John are students of this school.
しかし、下記のように例外がある。
Ham and eggs is my favorite breakfast. 「ハムアンドエッグは、私の好きな朝食だ」※ インスパイアより同じ例文
「Ham and eggs 」で1セットの食品なので、これは単数形として判定する。
同様に、
curry and rice (カレーライス)
a cup of saucer (皿つきマグカップ)
a knife and fork (ナイフとフォーク) ※インスパ、ジーニアス
bread and butter (バターつきパン)
body and mental (肉体と精神) ※インスパイア
は1セットの名詞とみなすので、それぞで単数形として判定する(青チャ、インスパ)。
なお、a cup of saucer の 「a」は、a 「cup of saucer 」ということで、「cup of saucer 」のセットがひとつという意味(ジーニアス)。なので、後ろ側の saucer には a がつかない(ジーニアス)。
けっして、1つのカップといくつかの皿ではない。
a knife and fork も同様、 a「knife and fork」 という意味なので、「knife and fork」のセットが一つの意味(ジーニアス)。
まず、and の基本的な意味を確認しよう。
;並列と順序
and の基本的な意味は並列「および」「と」の意味だが、もうひとつ、動作・時間の順序という意味もある。「先に起きたこと and その直後に起きたこと」のような語順で and を使うこともある。
動作や時間の順序のand は、「そして」や「~して、」の意味である(ジーニアス、ロイヤル)。
たとえば come and see は「先に来て、そして見る(見た)」の意味であり、つまり不定詞の結果用法 come to see と同じ意味である(フォレスト)。同様の表現として、 go and see もある。
;因果関係
さらに、and が因果関係をあらわす場合もある(ジーニアス、ロイヤル)。普通、文章では、先に行ったり紹介した動作が、あとの動作の理由になるので、andで因果関係を表すのも自然であろう。
{{コラム|and なのに逆接?|
上記で and は因果関係を表す場合もあるといったが、しかし人生では、必ずしも前に起きた動作の期待どおりに後の結果が起きるとは限らない場合も多々あるものである。このため、and があたかも but のような逆接的な意味かのように見える英文が生じる場合もある。
たとえば、「彼は努力して、そして失敗した」は、順序を意識すれば try hard and failed のような言い回しになる(ジーニアス)。努力 try hard という準備にもかかわらず失敗 fail したことから、文脈によっては and なのにまるで逆接のような意味も読み取れる場合もある。
さて、このことから、もし後の起きたことが先に起きたことに比べて対照的な場合、場合によっては and は、あたかも逆接 but のような意味に見える場合がある。
とはいえ、これはand の順序関係の用法の、派生的なものである。andの基本的な意味は、あくまで並列・順序だと思うべきだろう。
}}
== 従属接続詞 ==
=== 名詞節を導く従属接続詞 ===
==== whether と if ====
一方、名詞節を導くために使われる that およびwhether(~かどうか) と if(~かどうか) は'''従属接続詞'''である。that や whether を接続詞として解釈する考えもある。
ここでの名詞節を導く if は、「~かどうか」の意味での if である。「もし~ならば、」の if のことではない。また、「もし」の if との混同をさけるため、文頭では名詞節の if は使えない(ファクトブック)。この「~かどうか」の意味の if の性質について言い方を変えるなら、つまり if は動詞の目的語としてしか使えない(ジーニアス、青チャート、ほか多数)。
また、whether or not (~かどうか)という成句はある一方、ifにはない(インスパイア、青チャート)。
ほか、「whether to ~(動詞)」で「~すべきかどうか」というto不定詞の用法はあるが、ifには不定詞が続かない(インスパイア、青チャート)。
なお、 whether to go 「行くべきかどうか」という語が、参考書によくある典型例である。さらに、 whether to go or not (青チャート)「行くべきかどうか」や whether to go or stay (ブレイクスルー)「行くべきかとどまるべきか」のようになる場合もある。
さらに、助動詞 should を使って「べき」を強調する whether we should go or stay 「行くべきか残るべきか」という表現もある(青チャート)。
whether we should go or not のように、whether の直後ではなく分節の最後に or not をつける場合もある(ジーニアス)。
また、whether は前置詞の目的語になることがあるが、ifはならない(インスパイア)。
The question whether we should go or stay のように名詞と同格の節をみちびくこともある(インスパイア、青チャート、ジーニアス)。関係代名詞または前置詞のようにも見えるかもしれないが、しかしどの参考書も、関係詞や前置詞としてではなく「名詞と同格の節」という概念で説明している。一方、if には、名詞と同格の用法は無い。
if の本来の用法は「もしも~」であり、「~かどうか」の意味は派生的な意味にすぎない、と考えるのが良いだろう。
ほか、if は口語的、whether は文語的である(ジーニアス、青チャ-ト、エバグリ)。
depends on whether 、
など、動詞句 depends on とwhether との組み合わせが決まっている(青チャート)。depends on と if との組み合わせは禁止。なお depends on は、前置詞の目的語にwhether が来る例にもなっている。
wonder と ask は、if でも whether でも、どちらでも良い(ブレイクスルー、青チャート)。
ほか、 I wonder if ~ で「~がどうかなと思う」の意味。
==== that ====
さて、従属接続詞の典型的な文で
The fact is (that)・・・ 「事実は・・・ということだ。」
The trouble is (that)・・・ 「困ったことに・・・ということだ。」
The truth is (that)・・・ 「真実は・・・ということだ。」
The reason is (that)・・・ 「理由は・・・ということだ。」
などがある。
このように、名詞節を導く that は、「・・・ということだ。」の意味になる。
that は主語・補語・目的語になる(上記の the reason is that などの例文の場合は、that が補語になっている)。
ほか、 It is 形容詞 that ・・・ という形式主語の文章で 使われる that は接続詞でもある(ジーニアス、エバーグリーン )。
ほか、that節が know,say ,think, tell, hope など一般的な動詞の目的語になっている場合は、thatを省略することも多い(ブレイクスルー、インスパイア)。
ただし、形式目的語の that は省略できない(エバーグリーン)。形式目的語とは、
He made it clear that ~ . 「彼は~であることを明らかにした。」
のような it を仮の目的語とする文章のこと。
that 節は普通は前置詞の後ろに置かれることないが(ジーニアス)、例外的に in that(~という点で、~だから) と except that(~を除いて)という用法がある。
なお、 in that には意味の異なる「~という点で」という用法と、もうひとつ「~だから」「~であるか」という別の用法があることに注意(ジーニアス)。
参考書によっては in that は前置詞の項目に書いてある場合もある(青チャート)。
ほか、Now that で、「今や~だから」という表現ができる。口語ではよくthatが省略され、Now だけになる。
典型的な例文は
Now (that) he is eighteen, he can vote. 「今や彼は18歳なのだから、彼は投票できる。」
である(ジーニアス、青チャート)。
このほか、紹介している参考書は少ないが(青チャート、インスパイア)、分詞構文の Seeing that ~「~であるから」「~だから」が接続詞的に用いられる用法もある(青チャート)。
I'm glad that you have come to meet us. 「あなたがお迎えにきてくれて、うれしく思います」(青チャート)
のような例文がよくある。
I'm glad that ~ 「~できて、うれしいです」
のように、「感情を現す形容詞 + that 」の that も接続詞である(青チャート)。
afraid, disappointed, sad, sorry, glad, happy, angry, surprised , upset などがこのような形容詞である(青チャート、ジーニアス)。この場合の that は省略されることも多い。なお、この場合の感情に続く that 以下の内容は「理由」を表す(ジーニアス)。
We are sorry that you cannot come. 「あなたがこられないのは残念です。」(インスパイア)
この場合の sorry は謝罪ではないので注意。
sure 「確信している」は日本語では感情とは言いづらいが、青チャートはこれを感情に含めている。ただし、ジーニアスはsureを不採用。
なお、sure は感情のように I'm sure that ~ と主語を人称代名詞とするのが普通。辞書ジーニアスを見たが、it を主語にする sure は見つからなかった。
いっぽう、certain は、 It is certain that ~ も I'm certain もともに許される。(フォレストに I'm certain あり。ブレイクスルーに it is certain)
なお、確信ではなく「疑わしい」と思っている場合は、
It is doubtful whether (またはif)~ 「~かどうかは疑わしい」
のように、 接続詞は whether または if になる。この場合の whether や if も名詞節である。 I'm doubtful whether(if) のように人称代名詞で言ってもよい(インスパイア)。さらに、形容詞ではなく動詞 doubt で I doubt whether (if) ~ で言うことも可能(インスパイア)。
{{コラム|(※ 発展)doubt のあとは that か whether か |
doubt のあとが doubt whether のように whether になる場合は、肯定の平叙文の場合だけである(インスパイア)。
doubt については否定形の場合、don't doubt that ~ のようになる(インスパイア)。つまり、否定形 doubtでは whether ではなく that になる。 これは、don't doubt は直訳しただけなら単に「疑ってはいない」というだけになってしまうが、しかし実際には don't doubt は「確信している」という意味を表すのに慣用的に使われている(インスパイア)からである。インスパイアの場合、I don't doubt that ~ を「~することは間違いない」と訳している。かなりマニアックな話題であり、ほかの参考書は取り上げていない。
けっして「否定形のあとなら whether がthat になる」(×)というわけではない(ジーニアス)。「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ」という文章で、「どうでもいい」は It doesn't concern me なので(ジーニアス)、それと「彼女が来るかどうか」を合わせて
It doesn't concern me whether she will come or not. 「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ。」(ジーニアス)
という例文もあるほどだ(ジーニアス)。
さらに疑問文の場合、 Do you doubt that ~ のように、that になる。
これはもう、論理的に説明するのが困難だが、安心してもいいことに他社の参考書にまず書いてない。入試には出ないだろう。
入試の出題者だって、そこまで瑣末なことは問わない。
実は「高校レベル」の参考書と言うのは、実は読者対象は題名に反して決して高校生だけが対象でなく、大学の教師などが知識を広く浅くアップデートするためにも出版されているので、上述のような入試の範囲をやや超えた細かい話題も載っていたりするのである。インスパイアがどうかは知らないが。
}}
なお「確信」している場合、I'm sure は「確信している」の「信」じるの文字からも想像がつくように、動詞 believe で
I believe that と細かなニュアンスを無視すれば言い換えもできる(インスパイア)。
ほか、確信していない場合は、つまり確信に not がつく場合は、that よりも whether や if のほうが好ましい(インスパイア、ブレイクスルー)。つまり
I'm not sure whether(またはif) ~
のようになる(インスパイア、ブレイクスルー)。
なお、動詞で「信じていない」という場合、つまり don't believe の場合、 I didn't believe what ~ のように whether ではなく what になるのに注意(インスパイア)。
=== 副詞節を導く従属接続詞 ===
==== はじめに ====
ほか、(たとえば平叙文のなかで)副詞節を導かれるために使われる when (~のとき、)や where (~の場所)が従属接続詞である。
before , after および since や until なども従属接続詞。
as soon as や once もこれに含める(ジーニアス、フォレスト)。
また、過去形で It was not ling before ~ なら「すぐに~できた」の意味であり、副詞 soon で言い換えできる(ジーニアス)。
after について、前後関係が文脈から明白な場合は、主節が過去形のときでも、本来ならafter節は(主節よりも前の出来事なので、after節が)過去完了形になるはずだが、実際には(主節が過去形であるのに合わせて)after節も過去形のままで済ませることも許される。もちろん、after節を過去完了形にしても良く、after節を過去完了ぬすると前後関係が強調される(ジーニアス、インスパイア)。
なお、beforeの場合は、過去のある出来事よりも前(before)の出来事について言及したい場合、場合によって完了形になるはずなのは主節のほうである(ジーニアス)。beforeの場合も、本来なら主節が過去完了になる場合でも、(before節が過去形であるのに合わせて)主節を過去形のままにすることが許される。
before節の中身は肯定形である。つまり、before節には否定形を置けない(エバグリ)。どうしてもbeforeを使って「忘れないうちに」といいたい場合、「忘れる前に」と脳内で和訳を言い換え、before you forget のように言い換える必要がある(ロイヤル、エバグリ)。
なお、since 「~してから」「~して以来」の場合、これは継続の起点を表す意味の「~してから」だが、主節は完了形であるのが原則である(ジーニアス、インスパイア)。sinceを用いて現在継続中の事を言う場合、主節は現在完了形、since節は過去形、というパターンが多い(青チャート)。
「until ~」は、「~」の瞬間まで動作が継続しているときに使い、「~するまで(ずっと)」の意味である(エバーグリーンに「ずっと」)。
一方、継続しない場合で、その時までに動作が完了している場合には、untilではなくby the time 「~する(時)までに」を使う(ジーニアス、インスパイア)。
また、until と by the time の両方とも、内容が未来の話であっても従属節の時制は現在形になる(インスパイア)。
いっぽう、主節のほうは、until の主節は未来の内容でも現在時制だが、しかし by the time の主節は未来のほうなら未来表現(will)になるという違いがある(インスパイア)。
:※ インスパイア以外は by the time の主節の時制に言及していない。
as well as が等位接続詞なのに as soon as が従属なのはアレだが、まあどの参考書でもそういう分類になっている。
as soon as は言い換えで、the moment や the instant や no sooner ・・・ than ~ などの言い換え表現がある。
なお、 no sooner ・・・ than ~ は参考書によっては、『接続詞』の単元ではなく『比較』の単元に節に書いてある(青チャートなど)。
青チャートいわく、immediately も「~するとすぐに」だが、イギリス英語とのこと。
no sooner ・・・ than ~ の言い回しは文頭にくる場合もあり、その際に倒置によって主語と助動詞の語順が逆になる。
つまり、助動詞に had を使っているなら、とりあえず主語をIとするなら(べつに he でも she でも構わない)、倒置の場合は
No sooner had I + 過去分詞・・・ than ~ の語順である。
よく助動詞 had による過去完了形が使われるが(エバーグリーン、ジーニアス、青チャート)、しかし別に助動詞 did による単なる過去形でも構わない(インスパイア)。
構文の意味は微妙に違うが、
hardly(またはscarcely) ・・・ when(またはbefore) ~ 「~するやいなや」
も文頭にくる倒置をすれば主語と述語の動詞が逆転するので、よく
no sooner の構文といっしょに参考書では紹介されることも多い(ジーニアス、青チャート)。
倒置する場合、上述の構文の語順は、とりあえず主語を he とするなら、
Hardly had he 過去分詞 when ・・・
の語順である。
なお、no longer 「もう~ではない」「もはや~ではない」は特に倒置は起きず、参考書でも特に倒置については言及はされていない(ジーニアス、エバーグリーン)。
よくある例文が、「宇宙旅行は(月への旅行は)もはや夢ではない」のような例文であり(インスパイア、青チャート)、たとえば
Traveling into space is no longer a dream. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
A trip to the moon is no longer a dream. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」(青チャート)
また、no longer は現在時制とともに使われることが多い(青チャート)。上述の例文も現在時制になっていることに注目。
no longer ~ は、not ~ any longer でも言い換えでき、どの参考書でも言及されている。
Traveling into space is not a dream any longer. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
青チャートはany longer の言い換えをしてないが、もし言い換えするなら、下記のようになるだろう。
A trip to the moon is not a dream any longer. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」 (wikiオリジナル)
I cannot stand ~ any longer. 「もうこれ以上、~に我慢できない。」(青チャート、ブレイクスルー)
入試にはめったに出ないが、じつは他にも言い換え表現として not ~ any more や not ~ anymore などもある(青チャート比較、ジーニアス接続詞)。
==== 否定 ====
参考書によっては「接続詞」の単元ではなく否定の単元に掛かれていることも多いが、no や not などの否定の語句をつかった接続詞的な内容の構文がある。
「cannot help ~ing 」と 「have no choice but to ~(to不定詞)」との使い分けが、重要である。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」「思わず~してしまう」の意味。cannot help ~ing は感情をおさえきれずに(青チャート)、思わず何かをしてしまう時に使う表現である。
Cannot help laughing 「笑わずにはいられない」
のように使う。「cannot help but 動詞の原型 」という言い方もある(ジーニアス、ブレイクスルー)。
cannot help but laugh
のように使う。
一方、自分の感情に反して、外部的な事情などで「~せざるを得ない」場合には、
have no choice but to 動詞の原形(to不定詞)
を使う(青チャート、ジーニアス)。
She had no choice to give up her job. 「彼女は仕事をやめざるを得なかった。」(青チャートを改変)
のように使う(エバーグリーン、青チャート)。
なお、
I had no choice to quit my job. 「私は仕事をやめざるを得なかった。」(エバーグリーン)
==== once ====
once は「いったん~すると」の意味。once をどう分類するかが参考書ごとに違う。
ifやunlessなどと同様に「条件」として once を分類する参考書もあれば(ブレイクスルー、インスパイア)、
beforeやafterやsinceなどと同様の「起点」として once を分類する参考書もある(ジーニアス、フォレスト)。
なお、as soon as と once がなぜか同じ章節で紹介される参考書が多いが(ジーニアス、フォレスト、しかし意味が違う接続詞なので混同しないように。
if~ は内容が未来であっても現在形を使うが、as soon as ~ も後続の文では内容が未来であっても現在形を使うので、もしかしたらその理由でonceが「条件」として分類されているのかもしれない。
また、as soon as ~ と同様に、once ~ も後続の文の内容が未来であっても現在形を使う(ジーニアス)。そういう共通点からか、一緒に「起点」として紹介されるのかもしれない。
しかし、単に分類が同じだけであり、 once は as soon as とは意味がまったく違うので、混同しないように。
==== その他 ====
===== 理由や原因のbecause/since/as =====
時間の表現だけでなく、because や since (since には理由の意味もある)も従属接続詞。
because は従属接続詞なので、よって主節なしで
「Because ~ .」
といったBecause だけの節をつくることは原則、誤用だとみなされる(青チャート、ジーニアス)。
ただし例外的に、"Why ~?" といった Why を使った質問文に対して、解答で"Because ~" と because だけの節の文章が許されている(青チャート、ジーニアス)。
because は、相手がまだ知らない情報を理由としてあげるのに使われ、また主節のあとにbecause節が置かれるのが一般的である。
since は基本、相手が既知の話題についての理由を説明するときに使うので(ブレイクスルー、フォレスト、ジーニアス)、since節の時制は過去形になる事も多い(青チャート)。また、上記の事情のため、sinceのつくる副詞節は文頭や前方に置かれることも多いが(インスパイア、ジーニアス、ブレイクスルー)、しかしsinceを文頭に置かなくても正しい英語である(青チャート)。
as もssince と同様、相手がすでに知っている情報を理由としてあげる際に使われる(インスパイア、ジーニアス)。
ただし、asはいくつか意味があるので、あまり意味がはっきりしないので、はっきり説明したい場合にはasの使用が避けられる場合もある(インスパイア)。
理由の因果関係の強調の順序としては、
(因果関係が強い側)because > since > as (弱い側)
の順に因果関係が強い(青、インスパ)。
このほか、forで理由を述べる用法があるが、文語調である(青チャート)。forについては紹介している参考書が少ないので省略。
===== その他 =====
「so ~(形容詞) that ・・・(文)」 は従属接続詞。
so に等位接続詞の用法もあるが、しかし 「so 形容詞 that 文」で結びつけられている形容詞とthat後続の文は対等ではないので、従属接続詞のほうが適切であろう。
例文は著作権のため省略。
==== 譲歩 ====
「譲歩」の意味である、though や although が従属接続詞として分類されている(ジーニアス、フォレスト、ロイヤル)。
though よりも although のほうが堅い言い回しである(フォレスト、ロイヤル)。
なお、英文法の接続詞の単元でいう「譲歩」は、日本語の日常語の「譲歩」とは意味がやや違う。日常語の「譲歩」とは、自分と相手・他人の主張が対立したい場合に、相手の意見を聞き入れたり時には従うことに重点が置かれるのが日常語の譲歩である(広辞苑、三省堂新明解)。
しかし、この接続詞の英文法でいう「譲歩」とは、相手の主張の一部を事実ではあると認めた上で、それでも自分の主張に事実性などがあることを主張しているのが、英文法の接続詞の分野での「譲歩」である(桐原フォレスト)。
even if ~ も even though ~ も「たとえ ~ だとしても」という譲歩の意味があるが、下記のような違いがある。
even though ~ は、though の後に事実がきて、話し手は事実を知っている。
even if ~ は、if のあとに仮定がきて、その仮定が事実かどうかを話しては知らない。
これとは別に、 even if ~ で if のあとが仮定法過去になる場合もある(ジーニアス、インスパイア)。
基本的には、even if も even though も、evenは単に直後の語を強調しているだけである(インスパイア)。 if「もし~」 のあとが事実かどうかを話し手が知らないのもifの不普通の用法だし、though 「~にもかかわらず」も通常は話し手は事実を前提にしているからである。
単に even は if や though に譲歩の意味をつけたしたり、譲歩を強調したりしているだけにすぎない。
==== 条件 ====
条件を表すif および unless も従属接続詞。
unless は、「もし~でなければ」という意味であるが(ジーニアス、ロイヤル)、「~でない限り、」と訳される場合も多い(フォレスト、ロイヤル)。なお、unless の直後の文は否定形にはならず(フォレスト、ジーニアス)、つまり unless の直後の文は肯定形である。
unless は、「否定の条件」であるという性質に加えて、さらに基本的に「唯一の条件」という性質がある(青チャート)。「起きてほしくない事を避けるためには、unless 以降の内容を実行するしかない」という意味での唯一性の主張が unless にはある。
このことなどから、 unless ~の文を if ・・・ not ~ の文章に書き換えできる一方で(unless → if not は可能な場合が多い)、しかし if not → unless の書き換えが無理な場合が多い。
unless は「条件の文 unless 予想される結果の文」の語順。unless においてカンマなどは不要。
unless の語順は、「予想される結末 unless 結末が成り立たなくなる条件」である。なお、unlessの主節(※ 予想される結末のほう)には、willなどの未来表現を使うのが普通。一方、ifおよびunless では従属節の内容がたとえ未来における内容であっても従属節の時制は現在形にする(ジーニアス)。桐原やロイヤルでは従属節の時制はとくに解説では明記されていないが、例文の時制を見ればジーニアスと同様に桐原などでもunlessの従属節は現在形である。
==== 否定の慣用表現 ====
※ 参考書によっては、「接続詞」の単元ではなく、「否定」の単元で下記が紹介されている場合もある(ジーニアス、エバーグリーン)。
===== not long before =====
It will not long before ~ は「まもなく~するだろう」の意味である。直訳すれば「~するまでに長くはない」だが(青チャート)、英語では「まもなく~するだろう」の意味である。
===== not until =====
It is not until ~ that ・・・ で「~して初めて・・・する」の意味である。直訳すれば「・・・まで~しない」だが(青チャート、インスパイア)、実際にはそこまで否定のニュアンスは無いし(とくに出典なし)、また過去形でも It was not until ~ that ・・・ として使われる(エバーグリーン、ジーニアス)。
典型的な文章は「病気になって初めて健康のありがたさが分かる」だが(ジーニアス、インスパイア)、参考書によって英文が微妙に違う。
ジーニアスでは
It was not until I became ill that I realized the value of health.
である。
インスパイアは、
It is not until we fail ill that we appreciate the value of good health.
である。
上記のように、同じような和訳の言い回しでも、文献により英文が微妙に違うので、暗記の必要はない。もし暗記させる教育者がいれば教員としての見識不足を疑われるだけである。
=== in case ~ ===
「in case ~(文)」は「~の場合にそなえて」の意味であり、従属接続詞として分類され、この場合は普通は主節のあとに in case ~ が置かれる(フォレレスト、ジーニアス)。
in case ~ の典型的な例文は、
Take an umbrella with you in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ 数研 青チャート、ジーニアス
take の代わりに bring の場合もある。また、この傘をもっていく例文の場合なら with you は省略可能。上記例文の出典の参考書にも with you をつけてないものもある。
Bring an umbrella in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ ファクトブック
命令形ではなく平叙文の場合もあり、下記のような例文もある。
I'll take an umbrella with me in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていこう。」 ※ フォレスト
with me は省略可能。自分で持っていくので with me になる(青チャート)。
「in case ~ 」の副詞節に it should rain. のように should が使われる場合もあるが、これは可能性が低いと話し手・書き手が思っている意味である(青チャート、ブレイクスルー)。
なお、in case は上記の「~するといけないから」「~しないように」の用法の他にも、case 「条件」の文字通り「~の条件で」の意味で in case を使う場合もアメリカ英語では見られ(ジーニアス、フォレスト)、この場合は if でも言い換えできる。
言い換え表現で、「~するといけないから」「~しないように」用法の in case と同じ意味は「for fear that A ~」や「lest A (should) ~」でも言える。
for fear も lest も、ともに固い表現である(ジーニアス)。ジーニアス以外の参考書の多くは、for fear が固い表現であることを取り上げていない。
for fear ~でも lest ~でも、つづく「~」の部分には not をつけない。日本語に引きづられて not をつけないように注意。
英和辞典を見れば fear は「恐れ」「不安」などの意味が書いてあることからも想像がつくように、for fear のあとには、おそれている内容を書くので、つまり、実現してほしくないことを肯定形で書くことになるのも当然であろう。
さて、lest について、ジーニアスいわく、 lest は固い言い方なだけであり、頻度自体は for fear よりも lest のほうが高いと、ジーニアスは主張している。
lest のshould が省略される場合もある。なお、shouldが省略された場合には、続く動詞には原形が来る。lest のshould 省略時の動詞の原形をつかうことを仮定法現在として解釈する流儀もある(青チャート)。
ほか、文法教育的にはあまり注目されないが、
so that ~ 「~のために」と、否定 not を組み合わせて、たとえば 「so that A won't ~」により「~しないように」という言い換えも可能である。won't の変わりに can't の場合もある(ブレイクスルー)。
=== その他 ===
その他、as far as や as long as など範囲を表す表現が、カンマなどを補われて、従属接続詞として分類される。
「as far as I know,」 で「私の知る限りでは、」の意味。as far as の代わりに so far as とすることもある(ロイヤル)。
よくある典型文は
As far as I know, he is ~. 「私の知るかぎり、彼は~な人だ」
である(フォレスト、インスパイア)。そのほか、
As far as I'm concerned, ~ 「私に関する限り、」
という表現が、たとえば「私に関する限り、それで結構です。」(青チャート)とか「私に関する限り、不満はありません。」(ジーニアス)のような文章で使われる。
このように as ・・・ as は範囲を表すことがある。
このほか、別の用法で as far as で、自分の意見を言う用法もある(ブレイクスルー、ジーニアス)。たとえばブレイクスルーいわく、「私の意見では、冷凍食品はおいしくない」という単なる持論にも as far as を使っている例文がある。
as long as には用法が2種類あり、ひとつの用法は「~する間」という時間的な範囲を表す用法であり、もうひとつの用法は最低限の条件を表し(フォレスト)、「~しさえすれば」などと訳される(ジーニアス、フォレスト)。as long as の代わりに so long as とすることもある(ジーニアス、フォレスト)。「~する限りは」と訳される場合もある(ロイヤル)。
慣用的なよくある言い回しとして、「as long as I live 」で「私が生きている限り」の意味(ロイヤル、ジーニアス)。
I will never forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章がよく参考書にある(ジーニアス、青チャート)。
なお、べつにneverを使わずとも、
I won't forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章もよくある(インスパイア)。
「~さえすれば」の as long as は、言い換えとして、if only または only if で言い換えすることもできる。
目的を表す「 so that ~」も接続詞である。in order that も同様、目的を表す接続詞である。なお、so that ~ について、口語では thatが省略されることも多く、つまり so だけで目的の接続詞になることもある(フォレスト、ジーニアス)。
so that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
なお、「so ~(形容詞など) that ・・・」は程度をあらわす接続詞である。
in order that ~ は堅い表現。in order that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
as も接続詞の用法がある(ロイヤル、フォレスト)。
その他にも、さまざまな接続詞がある
suppose や supposed や providing や provided (どれも「もし~ならば」の意味)などを接続詞として分類することもある(フォレスト)。
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2022-08-26T04:43:52Z
すじにくシチュー
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/* 副詞節を導く従属接続詞 */
wikitext
text/x-wiki
== 接続詞 ==
語と語、句と句、節と節、など、文法上対等のものを結びつけるのが等位接続詞である。
いっぽう、従属節を主節と結びつけるのが従属接続詞であり(ジーニアス、フォレスト)、従位接続詞ともいう(ロイヤル)。
== 等位接続詞 ==
=== 概要 ===
'''等位接続詞'''とは、and, or, but のように文法上等しいものを結びつける接続詞である。上記のほかにも、nor , so, for が等位接続詞である。
both A and B や either A or B なども便宜的にか等位接続詞として分類される。また、 not A but B や not only A but (also) B も等位接続詞として分類される。
便宜的に、not only A but also B と同じ意味をもつ as well as も、参考書では同じ単元で紹介される。
either は、「AかBかのどちらか」という意味である。
neither A nor B は、AもBも両方とも否定する表現であり、つまり「AとBのどちらも~ない」の意味である。
なお、neither A nor B が主語の場合、動詞はBの時制に一致させる(ジーニアス)。また、nor の直後の文章は肯定形である。
neither は基本、A,Bの2つしか使わない。3つ以上では使わないのが原則だが、しかし米英には原則に反して3つ以上で使う人もいるが(ロイヤル)、入試にはそこまで出ないだろう。また、neither で nor の代わりに原則に反して or を使う人もいるとのこと(ロイヤル)。入試では原則的な場合だけを考えればよいだろう。
「neither」とは not either の意味だろう、というのがロイヤル英文法の見解。
nor は、 neither のある文でなくても使われる場合がある(桐原、ロイヤル)。
否定語の not や don't などのあと、 「not A, nor B」または「don't A(動詞) nor B(動詞) 」で「AもBも無い」という意味で、neitherなしで nor が not などの否定語とともに使われる場合がある。 カンマが無い場合もある(ロイヤル英文法)。この場合でも、A nor B のあとに動詞が来る場合、その文は肯定形である。
「AもBもどちらも~ない」と否定の内容を並列させたい場合、andではなくnorを使う(桐原)。
さて、and には、命令文のあとに使われたい場合には、「そうすれば」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
or には、「または」の意味のほかにも「すなわち」「言い換えれば」というある語を別の語で言い換える用法の意味もあるが(ジーニアスおよびエバーグリーンに「言い換えれば」アリ)、どちらの意味の場合でも等位接続詞として分類される。また、or には、命令文のあとに使われたい場合には、「さもなければ」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
なお、「すなわち」「言い換えれば」の意味で or が接続詞として使われる場合、orの前にふつうはカンマ(,)が来る(ジーニアス、いいづなエバーグリーン)。
{{コラム|数学の集合論との違い|
「夏も冬も両方とも好き」は英語では「 I like summer and winter. 」である(ブレイクスル-)。
「夏も冬も両方とも好きではない」は英語ではneither を使わずとも、
I don't like summer or winter.
でもいえて、この場合は接続詞が or になっていることに注意(ブレイクスル-)。
一見すると、数学の集合演算における否定演算での積集合「∩」や和集合「∪」などの演算子の反転のように見えるが、しかし実は、数学の集合の理論(ベン図などの理論のこと)とは違う。
まず、英語において、 A and B が数学でいう和集合(演算子∪)か積集合(演算子は∩)かは文脈による。「情報」科などで習うかもしれないブール代数のand計算は積集合だが、しかし実際の英語の場合はそうとは限らないので注意。
また、よくよく考えると、数学では、積集合 A∩B の否定 not (A∩B )は、 (not A) ∪ (not B) である。
つまり、数学では、単に not がつくだけでは集合演算子は変わらない。要素すべてに not がついて、さらにそのnot を因数分解的にひとまとめにくくる段階になって、ようやく集合演算子が反転するのが、数学的な規則である。
しかし英語では、not がついただけの段階の時点で、接続詞が and から or に反転してしまっている。
このように、集合の数学 と 英語のand/orの文法は、似ているが微妙に違うので、混同しないように。
ともかく、数学では、not でくくったら、集合の演算子は反転する(∪から∩に。または∩から∪に)。しかし英語では、そういう数学的規則は無視されている。
だから、neither の例文をもとに覚えたほうが早いし安全である。
単に「 neither A nor B のように don't A or B のように言う」とでも覚えるしかない。語学はしょせん、暗記科目である。
}}
=== so/ for ===
接続詞としての so は、 <出来事→結果> の語順として「理由の文、so 結果の文」のように理由を前に、結果を後ろに書き、「・・・なので~」「・・・だから~」という意味になる。理由というほど明白な因果関係でなくても、比較的に関連性の高い2つの出来事において、「ある出来事, so 出来事の結果」という用法でも良い。
また、この場合の so の直前にはカンマ「 , 」を置くのが普通(ジーニアス、エバーグリーン)。
余談だが、接続詞としての so と for はそれぞれ、節と節だけ結びつける(フォレスト、エバーグリーン)。つまり、語と語、句と句、語と句などは結び付けない。
いっぽう、for は、 <結果←出来事> の語順として、「結果, for 理由の章」の構文で、堅い言い回しとして理由を説明する。口語で用いることはあまり無い(ジーニアス、エバーグリーン)。ほか、 for は、forの前述の出来事に対して、その理由を述べる接続詞である。
なので、普通は for の直前にはカンマ「 , 」が来る。
接続詞としての for は等位接続詞である。for は従属接続詞ではない等の理由で(ロイヤル)、because のように主節の前に出すことはできない。なお、もし For が文頭に置かれている場合、それは、その直前の文の理由を説明している(ロイヤル)。
=== and ===
いつつかの名詞が and で結ばれている場合、基本的には全体としては複数形として判断する。
Tom, Bob and John are students of this school.
しかし、下記のように例外がある。
Ham and eggs is my favorite breakfast. 「ハムアンドエッグは、私の好きな朝食だ」※ インスパイアより同じ例文
「Ham and eggs 」で1セットの食品なので、これは単数形として判定する。
同様に、
curry and rice (カレーライス)
a cup of saucer (皿つきマグカップ)
a knife and fork (ナイフとフォーク) ※インスパ、ジーニアス
bread and butter (バターつきパン)
body and mental (肉体と精神) ※インスパイア
は1セットの名詞とみなすので、それぞで単数形として判定する(青チャ、インスパ)。
なお、a cup of saucer の 「a」は、a 「cup of saucer 」ということで、「cup of saucer 」のセットがひとつという意味(ジーニアス)。なので、後ろ側の saucer には a がつかない(ジーニアス)。
けっして、1つのカップといくつかの皿ではない。
a knife and fork も同様、 a「knife and fork」 という意味なので、「knife and fork」のセットが一つの意味(ジーニアス)。
まず、and の基本的な意味を確認しよう。
;並列と順序
and の基本的な意味は並列「および」「と」の意味だが、もうひとつ、動作・時間の順序という意味もある。「先に起きたこと and その直後に起きたこと」のような語順で and を使うこともある。
動作や時間の順序のand は、「そして」や「~して、」の意味である(ジーニアス、ロイヤル)。
たとえば come and see は「先に来て、そして見る(見た)」の意味であり、つまり不定詞の結果用法 come to see と同じ意味である(フォレスト)。同様の表現として、 go and see もある。
;因果関係
さらに、and が因果関係をあらわす場合もある(ジーニアス、ロイヤル)。普通、文章では、先に行ったり紹介した動作が、あとの動作の理由になるので、andで因果関係を表すのも自然であろう。
{{コラム|and なのに逆接?|
上記で and は因果関係を表す場合もあるといったが、しかし人生では、必ずしも前に起きた動作の期待どおりに後の結果が起きるとは限らない場合も多々あるものである。このため、and があたかも but のような逆接的な意味かのように見える英文が生じる場合もある。
たとえば、「彼は努力して、そして失敗した」は、順序を意識すれば try hard and failed のような言い回しになる(ジーニアス)。努力 try hard という準備にもかかわらず失敗 fail したことから、文脈によっては and なのにまるで逆接のような意味も読み取れる場合もある。
さて、このことから、もし後の起きたことが先に起きたことに比べて対照的な場合、場合によっては and は、あたかも逆接 but のような意味に見える場合がある。
とはいえ、これはand の順序関係の用法の、派生的なものである。andの基本的な意味は、あくまで並列・順序だと思うべきだろう。
}}
== 従属接続詞 ==
=== 名詞節を導く従属接続詞 ===
==== whether と if ====
一方、名詞節を導くために使われる that およびwhether(~かどうか) と if(~かどうか) は'''従属接続詞'''である。that や whether を接続詞として解釈する考えもある。
ここでの名詞節を導く if は、「~かどうか」の意味での if である。「もし~ならば、」の if のことではない。また、「もし」の if との混同をさけるため、文頭では名詞節の if は使えない(ファクトブック)。この「~かどうか」の意味の if の性質について言い方を変えるなら、つまり if は動詞の目的語としてしか使えない(ジーニアス、青チャート、ほか多数)。
また、whether or not (~かどうか)という成句はある一方、ifにはない(インスパイア、青チャート)。
ほか、「whether to ~(動詞)」で「~すべきかどうか」というto不定詞の用法はあるが、ifには不定詞が続かない(インスパイア、青チャート)。
なお、 whether to go 「行くべきかどうか」という語が、参考書によくある典型例である。さらに、 whether to go or not (青チャート)「行くべきかどうか」や whether to go or stay (ブレイクスルー)「行くべきかとどまるべきか」のようになる場合もある。
さらに、助動詞 should を使って「べき」を強調する whether we should go or stay 「行くべきか残るべきか」という表現もある(青チャート)。
whether we should go or not のように、whether の直後ではなく分節の最後に or not をつける場合もある(ジーニアス)。
また、whether は前置詞の目的語になることがあるが、ifはならない(インスパイア)。
The question whether we should go or stay のように名詞と同格の節をみちびくこともある(インスパイア、青チャート、ジーニアス)。関係代名詞または前置詞のようにも見えるかもしれないが、しかしどの参考書も、関係詞や前置詞としてではなく「名詞と同格の節」という概念で説明している。一方、if には、名詞と同格の用法は無い。
if の本来の用法は「もしも~」であり、「~かどうか」の意味は派生的な意味にすぎない、と考えるのが良いだろう。
ほか、if は口語的、whether は文語的である(ジーニアス、青チャ-ト、エバグリ)。
depends on whether 、
など、動詞句 depends on とwhether との組み合わせが決まっている(青チャート)。depends on と if との組み合わせは禁止。なお depends on は、前置詞の目的語にwhether が来る例にもなっている。
wonder と ask は、if でも whether でも、どちらでも良い(ブレイクスルー、青チャート)。
ほか、 I wonder if ~ で「~がどうかなと思う」の意味。
==== that ====
さて、従属接続詞の典型的な文で
The fact is (that)・・・ 「事実は・・・ということだ。」
The trouble is (that)・・・ 「困ったことに・・・ということだ。」
The truth is (that)・・・ 「真実は・・・ということだ。」
The reason is (that)・・・ 「理由は・・・ということだ。」
などがある。
このように、名詞節を導く that は、「・・・ということだ。」の意味になる。
that は主語・補語・目的語になる(上記の the reason is that などの例文の場合は、that が補語になっている)。
ほか、 It is 形容詞 that ・・・ という形式主語の文章で 使われる that は接続詞でもある(ジーニアス、エバーグリーン )。
ほか、that節が know,say ,think, tell, hope など一般的な動詞の目的語になっている場合は、thatを省略することも多い(ブレイクスルー、インスパイア)。
ただし、形式目的語の that は省略できない(エバーグリーン)。形式目的語とは、
He made it clear that ~ . 「彼は~であることを明らかにした。」
のような it を仮の目的語とする文章のこと。
that 節は普通は前置詞の後ろに置かれることないが(ジーニアス)、例外的に in that(~という点で、~だから) と except that(~を除いて)という用法がある。
なお、 in that には意味の異なる「~という点で」という用法と、もうひとつ「~だから」「~であるか」という別の用法があることに注意(ジーニアス)。
参考書によっては in that は前置詞の項目に書いてある場合もある(青チャート)。
ほか、Now that で、「今や~だから」という表現ができる。口語ではよくthatが省略され、Now だけになる。
典型的な例文は
Now (that) he is eighteen, he can vote. 「今や彼は18歳なのだから、彼は投票できる。」
である(ジーニアス、青チャート)。
このほか、紹介している参考書は少ないが(青チャート、インスパイア)、分詞構文の Seeing that ~「~であるから」「~だから」が接続詞的に用いられる用法もある(青チャート)。
I'm glad that you have come to meet us. 「あなたがお迎えにきてくれて、うれしく思います」(青チャート)
のような例文がよくある。
I'm glad that ~ 「~できて、うれしいです」
のように、「感情を現す形容詞 + that 」の that も接続詞である(青チャート)。
afraid, disappointed, sad, sorry, glad, happy, angry, surprised , upset などがこのような形容詞である(青チャート、ジーニアス)。この場合の that は省略されることも多い。なお、この場合の感情に続く that 以下の内容は「理由」を表す(ジーニアス)。
We are sorry that you cannot come. 「あなたがこられないのは残念です。」(インスパイア)
この場合の sorry は謝罪ではないので注意。
sure 「確信している」は日本語では感情とは言いづらいが、青チャートはこれを感情に含めている。ただし、ジーニアスはsureを不採用。
なお、sure は感情のように I'm sure that ~ と主語を人称代名詞とするのが普通。辞書ジーニアスを見たが、it を主語にする sure は見つからなかった。
いっぽう、certain は、 It is certain that ~ も I'm certain もともに許される。(フォレストに I'm certain あり。ブレイクスルーに it is certain)
なお、確信ではなく「疑わしい」と思っている場合は、
It is doubtful whether (またはif)~ 「~かどうかは疑わしい」
のように、 接続詞は whether または if になる。この場合の whether や if も名詞節である。 I'm doubtful whether(if) のように人称代名詞で言ってもよい(インスパイア)。さらに、形容詞ではなく動詞 doubt で I doubt whether (if) ~ で言うことも可能(インスパイア)。
{{コラム|(※ 発展)doubt のあとは that か whether か |
doubt のあとが doubt whether のように whether になる場合は、肯定の平叙文の場合だけである(インスパイア)。
doubt については否定形の場合、don't doubt that ~ のようになる(インスパイア)。つまり、否定形 doubtでは whether ではなく that になる。 これは、don't doubt は直訳しただけなら単に「疑ってはいない」というだけになってしまうが、しかし実際には don't doubt は「確信している」という意味を表すのに慣用的に使われている(インスパイア)からである。インスパイアの場合、I don't doubt that ~ を「~することは間違いない」と訳している。かなりマニアックな話題であり、ほかの参考書は取り上げていない。
けっして「否定形のあとなら whether がthat になる」(×)というわけではない(ジーニアス)。「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ」という文章で、「どうでもいい」は It doesn't concern me なので(ジーニアス)、それと「彼女が来るかどうか」を合わせて
It doesn't concern me whether she will come or not. 「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ。」(ジーニアス)
という例文もあるほどだ(ジーニアス)。
さらに疑問文の場合、 Do you doubt that ~ のように、that になる。
これはもう、論理的に説明するのが困難だが、安心してもいいことに他社の参考書にまず書いてない。入試には出ないだろう。
入試の出題者だって、そこまで瑣末なことは問わない。
実は「高校レベル」の参考書と言うのは、実は読者対象は題名に反して決して高校生だけが対象でなく、大学の教師などが知識を広く浅くアップデートするためにも出版されているので、上述のような入試の範囲をやや超えた細かい話題も載っていたりするのである。インスパイアがどうかは知らないが。
}}
なお「確信」している場合、I'm sure は「確信している」の「信」じるの文字からも想像がつくように、動詞 believe で
I believe that と細かなニュアンスを無視すれば言い換えもできる(インスパイア)。
ほか、確信していない場合は、つまり確信に not がつく場合は、that よりも whether や if のほうが好ましい(インスパイア、ブレイクスルー)。つまり
I'm not sure whether(またはif) ~
のようになる(インスパイア、ブレイクスルー)。
なお、動詞で「信じていない」という場合、つまり don't believe の場合、 I didn't believe what ~ のように whether ではなく what になるのに注意(インスパイア)。
=== 副詞節を導く従属接続詞 ===
==== はじめに ====
ほか、(たとえば平叙文のなかで)副詞節を導かれるために使われる when (~のとき、)や where (~の場所)が従属接続詞である。
before , after および since や until なども従属接続詞。
as soon as や once もこれに含める(ジーニアス、フォレスト)。
また、過去形で It was not ling before ~ なら「すぐに~できた」の意味であり、副詞 soon で言い換えできる(ジーニアス)。
after について、前後関係が文脈から明白な場合は、主節が過去形のときでも、本来ならafter節は(主節よりも前の出来事なので、after節が)過去完了形になるはずだが、実際には(主節が過去形であるのに合わせて)after節も過去形のままで済ませることも許される。もちろん、after節を過去完了形にしても良く、after節を過去完了ぬすると前後関係が強調される(ジーニアス、インスパイア)。
なお、beforeの場合は、過去のある出来事よりも前(before)の出来事について言及したい場合、場合によって完了形になるはずなのは主節のほうである(ジーニアス)。beforeの場合も、本来なら主節が過去完了になる場合でも、(before節が過去形であるのに合わせて)主節を過去形のままにすることが許される。
before節の中身は肯定形である。つまり、before節には否定形を置けない(エバグリ)。どうしてもbeforeを使って「忘れないうちに」といいたい場合、「忘れる前に」と脳内で和訳を言い換え、before you forget のように言い換える必要がある(ロイヤル、エバグリ)。
なお、since 「~してから」「~して以来」の場合、これは継続の起点を表す意味の「~してから」だが、主節は完了形であるのが原則である(ジーニアス、インスパイア)。sinceを用いて現在継続中の事を言う場合、主節は現在完了形、since節は過去形、というパターンが多い(青チャート)。
since の節に否定は用いない(インスパイア It's been ~ since の単元)。
「until ~」は、「~」の瞬間まで動作が継続しているときに使い、「~するまで(ずっと)」の意味である(エバーグリーンに「ずっと」)。
一方、継続しない場合で、その時までに動作が完了している場合には、untilではなくby the time 「~する(時)までに」を使う(ジーニアス、インスパイア)。
また、until と by the time の両方とも、内容が未来の話であっても従属節の時制は現在形になる(インスパイア)。
いっぽう、主節のほうは、until の主節は未来の内容でも現在時制だが、しかし by the time の主節は未来のほうなら未来表現(will)になるという違いがある(インスパイア)。
:※ インスパイア以外は by the time の主節の時制に言及していない。
as well as が等位接続詞なのに as soon as が従属なのはアレだが、まあどの参考書でもそういう分類になっている。
as soon as は言い換えで、the moment や the instant や no sooner ・・・ than ~ などの言い換え表現がある。
なお、 no sooner ・・・ than ~ は参考書によっては、『接続詞』の単元ではなく『比較』の単元に節に書いてある(青チャートなど)。
青チャートいわく、immediately も「~するとすぐに」だが、イギリス英語とのこと。
no sooner ・・・ than ~ の言い回しは文頭にくる場合もあり、その際に倒置によって主語と助動詞の語順が逆になる。
つまり、助動詞に had を使っているなら、とりあえず主語をIとするなら(べつに he でも she でも構わない)、倒置の場合は
No sooner had I + 過去分詞・・・ than ~ の語順である。
よく助動詞 had による過去完了形が使われるが(エバーグリーン、ジーニアス、青チャート)、しかし別に助動詞 did による単なる過去形でも構わない(インスパイア)。
構文の意味は微妙に違うが、
hardly(またはscarcely) ・・・ when(またはbefore) ~ 「~するやいなや」
も文頭にくる倒置をすれば主語と述語の動詞が逆転するので、よく
no sooner の構文といっしょに参考書では紹介されることも多い(ジーニアス、青チャート)。
倒置する場合、上述の構文の語順は、とりあえず主語を he とするなら、
Hardly had he 過去分詞 when ・・・
の語順である。
なお、no longer 「もう~ではない」「もはや~ではない」は特に倒置は起きず、参考書でも特に倒置については言及はされていない(ジーニアス、エバーグリーン)。
よくある例文が、「宇宙旅行は(月への旅行は)もはや夢ではない」のような例文であり(インスパイア、青チャート)、たとえば
Traveling into space is no longer a dream. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
A trip to the moon is no longer a dream. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」(青チャート)
また、no longer は現在時制とともに使われることが多い(青チャート)。上述の例文も現在時制になっていることに注目。
no longer ~ は、not ~ any longer でも言い換えでき、どの参考書でも言及されている。
Traveling into space is not a dream any longer. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
青チャートはany longer の言い換えをしてないが、もし言い換えするなら、下記のようになるだろう。
A trip to the moon is not a dream any longer. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」 (wikiオリジナル)
I cannot stand ~ any longer. 「もうこれ以上、~に我慢できない。」(青チャート、ブレイクスルー)
入試にはめったに出ないが、じつは他にも言い換え表現として not ~ any more や not ~ anymore などもある(青チャート比較、ジーニアス接続詞)。
==== 否定 ====
参考書によっては「接続詞」の単元ではなく否定の単元に掛かれていることも多いが、no や not などの否定の語句をつかった接続詞的な内容の構文がある。
「cannot help ~ing 」と 「have no choice but to ~(to不定詞)」との使い分けが、重要である。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」「思わず~してしまう」の意味。cannot help ~ing は感情をおさえきれずに(青チャート)、思わず何かをしてしまう時に使う表現である。
Cannot help laughing 「笑わずにはいられない」
のように使う。「cannot help but 動詞の原型 」という言い方もある(ジーニアス、ブレイクスルー)。
cannot help but laugh
のように使う。
一方、自分の感情に反して、外部的な事情などで「~せざるを得ない」場合には、
have no choice but to 動詞の原形(to不定詞)
を使う(青チャート、ジーニアス)。
She had no choice to give up her job. 「彼女は仕事をやめざるを得なかった。」(青チャートを改変)
のように使う(エバーグリーン、青チャート)。
なお、
I had no choice to quit my job. 「私は仕事をやめざるを得なかった。」(エバーグリーン)
==== once ====
once は「いったん~すると」の意味。once をどう分類するかが参考書ごとに違う。
ifやunlessなどと同様に「条件」として once を分類する参考書もあれば(ブレイクスルー、インスパイア)、
beforeやafterやsinceなどと同様の「起点」として once を分類する参考書もある(ジーニアス、フォレスト)。
なお、as soon as と once がなぜか同じ章節で紹介される参考書が多いが(ジーニアス、フォレスト、しかし意味が違う接続詞なので混同しないように。
if~ は内容が未来であっても現在形を使うが、as soon as ~ も後続の文では内容が未来であっても現在形を使うので、もしかしたらその理由でonceが「条件」として分類されているのかもしれない。
また、as soon as ~ と同様に、once ~ も後続の文の内容が未来であっても現在形を使う(ジーニアス)。そういう共通点からか、一緒に「起点」として紹介されるのかもしれない。
しかし、単に分類が同じだけであり、 once は as soon as とは意味がまったく違うので、混同しないように。
==== その他 ====
===== 理由や原因のbecause/since/as =====
時間の表現だけでなく、because や since (since には理由の意味もある)も従属接続詞。
because は従属接続詞なので、よって主節なしで
「Because ~ .」
といったBecause だけの節をつくることは原則、誤用だとみなされる(青チャート、ジーニアス)。
ただし例外的に、"Why ~?" といった Why を使った質問文に対して、解答で"Because ~" と because だけの節の文章が許されている(青チャート、ジーニアス)。
because は、相手がまだ知らない情報を理由としてあげるのに使われ、また主節のあとにbecause節が置かれるのが一般的である。
since は基本、相手が既知の話題についての理由を説明するときに使うので(ブレイクスルー、フォレスト、ジーニアス)、since節の時制は過去形になる事も多い(青チャート)。また、上記の事情のため、sinceのつくる副詞節は文頭や前方に置かれることも多いが(インスパイア、ジーニアス、ブレイクスルー)、しかしsinceを文頭に置かなくても正しい英語である(青チャート)。
as もssince と同様、相手がすでに知っている情報を理由としてあげる際に使われる(インスパイア、ジーニアス)。
ただし、asはいくつか意味があるので、あまり意味がはっきりしないので、はっきり説明したい場合にはasの使用が避けられる場合もある(インスパイア)。
理由の因果関係の強調の順序としては、
(因果関係が強い側)because > since > as (弱い側)
の順に因果関係が強い(青、インスパ)。
このほか、forで理由を述べる用法があるが、文語調である(青チャート)。forについては紹介している参考書が少ないので省略。
===== その他 =====
「so ~(形容詞) that ・・・(文)」 は従属接続詞。
so に等位接続詞の用法もあるが、しかし 「so 形容詞 that 文」で結びつけられている形容詞とthat後続の文は対等ではないので、従属接続詞のほうが適切であろう。
例文は著作権のため省略。
==== 譲歩 ====
「譲歩」の意味である、though や although が従属接続詞として分類されている(ジーニアス、フォレスト、ロイヤル)。
though よりも although のほうが堅い言い回しである(フォレスト、ロイヤル)。
なお、英文法の接続詞の単元でいう「譲歩」は、日本語の日常語の「譲歩」とは意味がやや違う。日常語の「譲歩」とは、自分と相手・他人の主張が対立したい場合に、相手の意見を聞き入れたり時には従うことに重点が置かれるのが日常語の譲歩である(広辞苑、三省堂新明解)。
しかし、この接続詞の英文法でいう「譲歩」とは、相手の主張の一部を事実ではあると認めた上で、それでも自分の主張に事実性などがあることを主張しているのが、英文法の接続詞の分野での「譲歩」である(桐原フォレスト)。
even if ~ も even though ~ も「たとえ ~ だとしても」という譲歩の意味があるが、下記のような違いがある。
even though ~ は、though の後に事実がきて、話し手は事実を知っている。
even if ~ は、if のあとに仮定がきて、その仮定が事実かどうかを話しては知らない。
これとは別に、 even if ~ で if のあとが仮定法過去になる場合もある(ジーニアス、インスパイア)。
基本的には、even if も even though も、evenは単に直後の語を強調しているだけである(インスパイア)。 if「もし~」 のあとが事実かどうかを話し手が知らないのもifの不普通の用法だし、though 「~にもかかわらず」も通常は話し手は事実を前提にしているからである。
単に even は if や though に譲歩の意味をつけたしたり、譲歩を強調したりしているだけにすぎない。
==== 条件 ====
条件を表すif および unless も従属接続詞。
unless は、「もし~でなければ」という意味であるが(ジーニアス、ロイヤル)、「~でない限り、」と訳される場合も多い(フォレスト、ロイヤル)。なお、unless の直後の文は否定形にはならず(フォレスト、ジーニアス)、つまり unless の直後の文は肯定形である。
unless は、「否定の条件」であるという性質に加えて、さらに基本的に「唯一の条件」という性質がある(青チャート)。「起きてほしくない事を避けるためには、unless 以降の内容を実行するしかない」という意味での唯一性の主張が unless にはある。
このことなどから、 unless ~の文を if ・・・ not ~ の文章に書き換えできる一方で(unless → if not は可能な場合が多い)、しかし if not → unless の書き換えが無理な場合が多い。
unless は「条件の文 unless 予想される結果の文」の語順。unless においてカンマなどは不要。
unless の語順は、「予想される結末 unless 結末が成り立たなくなる条件」である。なお、unlessの主節(※ 予想される結末のほう)には、willなどの未来表現を使うのが普通。一方、ifおよびunless では従属節の内容がたとえ未来における内容であっても従属節の時制は現在形にする(ジーニアス)。桐原やロイヤルでは従属節の時制はとくに解説では明記されていないが、例文の時制を見ればジーニアスと同様に桐原などでもunlessの従属節は現在形である。
==== 否定の慣用表現 ====
※ 参考書によっては、「接続詞」の単元ではなく、「否定」の単元で下記が紹介されている場合もある(ジーニアス、エバーグリーン)。
===== not long before =====
It will not long before ~ は「まもなく~するだろう」の意味である。直訳すれば「~するまでに長くはない」だが(青チャート)、英語では「まもなく~するだろう」の意味である。
===== not until =====
It is not until ~ that ・・・ で「~して初めて・・・する」の意味である。直訳すれば「・・・まで~しない」だが(青チャート、インスパイア)、実際にはそこまで否定のニュアンスは無いし(とくに出典なし)、また過去形でも It was not until ~ that ・・・ として使われる(エバーグリーン、ジーニアス)。
典型的な文章は「病気になって初めて健康のありがたさが分かる」だが(ジーニアス、インスパイア)、参考書によって英文が微妙に違う。
ジーニアスでは
It was not until I became ill that I realized the value of health.
である。
インスパイアは、
It is not until we fail ill that we appreciate the value of good health.
である。
上記のように、同じような和訳の言い回しでも、文献により英文が微妙に違うので、暗記の必要はない。もし暗記させる教育者がいれば教員としての見識不足を疑われるだけである。
=== in case ~ ===
「in case ~(文)」は「~の場合にそなえて」の意味であり、従属接続詞として分類され、この場合は普通は主節のあとに in case ~ が置かれる(フォレレスト、ジーニアス)。
in case ~ の典型的な例文は、
Take an umbrella with you in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ 数研 青チャート、ジーニアス
take の代わりに bring の場合もある。また、この傘をもっていく例文の場合なら with you は省略可能。上記例文の出典の参考書にも with you をつけてないものもある。
Bring an umbrella in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ ファクトブック
命令形ではなく平叙文の場合もあり、下記のような例文もある。
I'll take an umbrella with me in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていこう。」 ※ フォレスト
with me は省略可能。自分で持っていくので with me になる(青チャート)。
「in case ~ 」の副詞節に it should rain. のように should が使われる場合もあるが、これは可能性が低いと話し手・書き手が思っている意味である(青チャート、ブレイクスルー)。
なお、in case は上記の「~するといけないから」「~しないように」の用法の他にも、case 「条件」の文字通り「~の条件で」の意味で in case を使う場合もアメリカ英語では見られ(ジーニアス、フォレスト)、この場合は if でも言い換えできる。
言い換え表現で、「~するといけないから」「~しないように」用法の in case と同じ意味は「for fear that A ~」や「lest A (should) ~」でも言える。
for fear も lest も、ともに固い表現である(ジーニアス)。ジーニアス以外の参考書の多くは、for fear が固い表現であることを取り上げていない。
for fear ~でも lest ~でも、つづく「~」の部分には not をつけない。日本語に引きづられて not をつけないように注意。
英和辞典を見れば fear は「恐れ」「不安」などの意味が書いてあることからも想像がつくように、for fear のあとには、おそれている内容を書くので、つまり、実現してほしくないことを肯定形で書くことになるのも当然であろう。
さて、lest について、ジーニアスいわく、 lest は固い言い方なだけであり、頻度自体は for fear よりも lest のほうが高いと、ジーニアスは主張している。
lest のshould が省略される場合もある。なお、shouldが省略された場合には、続く動詞には原形が来る。lest のshould 省略時の動詞の原形をつかうことを仮定法現在として解釈する流儀もある(青チャート)。
ほか、文法教育的にはあまり注目されないが、
so that ~ 「~のために」と、否定 not を組み合わせて、たとえば 「so that A won't ~」により「~しないように」という言い換えも可能である。won't の変わりに can't の場合もある(ブレイクスルー)。
=== その他 ===
その他、as far as や as long as など範囲を表す表現が、カンマなどを補われて、従属接続詞として分類される。
「as far as I know,」 で「私の知る限りでは、」の意味。as far as の代わりに so far as とすることもある(ロイヤル)。
よくある典型文は
As far as I know, he is ~. 「私の知るかぎり、彼は~な人だ」
である(フォレスト、インスパイア)。そのほか、
As far as I'm concerned, ~ 「私に関する限り、」
という表現が、たとえば「私に関する限り、それで結構です。」(青チャート)とか「私に関する限り、不満はありません。」(ジーニアス)のような文章で使われる。
このように as ・・・ as は範囲を表すことがある。
このほか、別の用法で as far as で、自分の意見を言う用法もある(ブレイクスルー、ジーニアス)。たとえばブレイクスルーいわく、「私の意見では、冷凍食品はおいしくない」という単なる持論にも as far as を使っている例文がある。
as long as には用法が2種類あり、ひとつの用法は「~する間」という時間的な範囲を表す用法であり、もうひとつの用法は最低限の条件を表し(フォレスト)、「~しさえすれば」などと訳される(ジーニアス、フォレスト)。as long as の代わりに so long as とすることもある(ジーニアス、フォレスト)。「~する限りは」と訳される場合もある(ロイヤル)。
慣用的なよくある言い回しとして、「as long as I live 」で「私が生きている限り」の意味(ロイヤル、ジーニアス)。
I will never forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章がよく参考書にある(ジーニアス、青チャート)。
なお、べつにneverを使わずとも、
I won't forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章もよくある(インスパイア)。
「~さえすれば」の as long as は、言い換えとして、if only または only if で言い換えすることもできる。
目的を表す「 so that ~」も接続詞である。in order that も同様、目的を表す接続詞である。なお、so that ~ について、口語では thatが省略されることも多く、つまり so だけで目的の接続詞になることもある(フォレスト、ジーニアス)。
so that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
なお、「so ~(形容詞など) that ・・・」は程度をあらわす接続詞である。
in order that ~ は堅い表現。in order that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
as も接続詞の用法がある(ロイヤル、フォレスト)。
その他にも、さまざまな接続詞がある
suppose や supposed や providing や provided (どれも「もし~ならば」の意味)などを接続詞として分類することもある(フォレスト)。
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207275
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2022-08-26T07:15:06Z
すじにくシチュー
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/* 譲歩 */
wikitext
text/x-wiki
== 接続詞 ==
語と語、句と句、節と節、など、文法上対等のものを結びつけるのが等位接続詞である。
いっぽう、従属節を主節と結びつけるのが従属接続詞であり(ジーニアス、フォレスト)、従位接続詞ともいう(ロイヤル)。
== 等位接続詞 ==
=== 概要 ===
'''等位接続詞'''とは、and, or, but のように文法上等しいものを結びつける接続詞である。上記のほかにも、nor , so, for が等位接続詞である。
both A and B や either A or B なども便宜的にか等位接続詞として分類される。また、 not A but B や not only A but (also) B も等位接続詞として分類される。
便宜的に、not only A but also B と同じ意味をもつ as well as も、参考書では同じ単元で紹介される。
either は、「AかBかのどちらか」という意味である。
neither A nor B は、AもBも両方とも否定する表現であり、つまり「AとBのどちらも~ない」の意味である。
なお、neither A nor B が主語の場合、動詞はBの時制に一致させる(ジーニアス)。また、nor の直後の文章は肯定形である。
neither は基本、A,Bの2つしか使わない。3つ以上では使わないのが原則だが、しかし米英には原則に反して3つ以上で使う人もいるが(ロイヤル)、入試にはそこまで出ないだろう。また、neither で nor の代わりに原則に反して or を使う人もいるとのこと(ロイヤル)。入試では原則的な場合だけを考えればよいだろう。
「neither」とは not either の意味だろう、というのがロイヤル英文法の見解。
nor は、 neither のある文でなくても使われる場合がある(桐原、ロイヤル)。
否定語の not や don't などのあと、 「not A, nor B」または「don't A(動詞) nor B(動詞) 」で「AもBも無い」という意味で、neitherなしで nor が not などの否定語とともに使われる場合がある。 カンマが無い場合もある(ロイヤル英文法)。この場合でも、A nor B のあとに動詞が来る場合、その文は肯定形である。
「AもBもどちらも~ない」と否定の内容を並列させたい場合、andではなくnorを使う(桐原)。
さて、and には、命令文のあとに使われたい場合には、「そうすれば」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
or には、「または」の意味のほかにも「すなわち」「言い換えれば」というある語を別の語で言い換える用法の意味もあるが(ジーニアスおよびエバーグリーンに「言い換えれば」アリ)、どちらの意味の場合でも等位接続詞として分類される。また、or には、命令文のあとに使われたい場合には、「さもなければ」の意味になるが、この意味の場合でも等位接続詞として分類される。
なお、「すなわち」「言い換えれば」の意味で or が接続詞として使われる場合、orの前にふつうはカンマ(,)が来る(ジーニアス、いいづなエバーグリーン)。
{{コラム|数学の集合論との違い|
「夏も冬も両方とも好き」は英語では「 I like summer and winter. 」である(ブレイクスル-)。
「夏も冬も両方とも好きではない」は英語ではneither を使わずとも、
I don't like summer or winter.
でもいえて、この場合は接続詞が or になっていることに注意(ブレイクスル-)。
一見すると、数学の集合演算における否定演算での積集合「∩」や和集合「∪」などの演算子の反転のように見えるが、しかし実は、数学の集合の理論(ベン図などの理論のこと)とは違う。
まず、英語において、 A and B が数学でいう和集合(演算子∪)か積集合(演算子は∩)かは文脈による。「情報」科などで習うかもしれないブール代数のand計算は積集合だが、しかし実際の英語の場合はそうとは限らないので注意。
また、よくよく考えると、数学では、積集合 A∩B の否定 not (A∩B )は、 (not A) ∪ (not B) である。
つまり、数学では、単に not がつくだけでは集合演算子は変わらない。要素すべてに not がついて、さらにそのnot を因数分解的にひとまとめにくくる段階になって、ようやく集合演算子が反転するのが、数学的な規則である。
しかし英語では、not がついただけの段階の時点で、接続詞が and から or に反転してしまっている。
このように、集合の数学 と 英語のand/orの文法は、似ているが微妙に違うので、混同しないように。
ともかく、数学では、not でくくったら、集合の演算子は反転する(∪から∩に。または∩から∪に)。しかし英語では、そういう数学的規則は無視されている。
だから、neither の例文をもとに覚えたほうが早いし安全である。
単に「 neither A nor B のように don't A or B のように言う」とでも覚えるしかない。語学はしょせん、暗記科目である。
}}
=== so/ for ===
接続詞としての so は、 <出来事→結果> の語順として「理由の文、so 結果の文」のように理由を前に、結果を後ろに書き、「・・・なので~」「・・・だから~」という意味になる。理由というほど明白な因果関係でなくても、比較的に関連性の高い2つの出来事において、「ある出来事, so 出来事の結果」という用法でも良い。
また、この場合の so の直前にはカンマ「 , 」を置くのが普通(ジーニアス、エバーグリーン)。
余談だが、接続詞としての so と for はそれぞれ、節と節だけ結びつける(フォレスト、エバーグリーン)。つまり、語と語、句と句、語と句などは結び付けない。
いっぽう、for は、 <結果←出来事> の語順として、「結果, for 理由の章」の構文で、堅い言い回しとして理由を説明する。口語で用いることはあまり無い(ジーニアス、エバーグリーン)。ほか、 for は、forの前述の出来事に対して、その理由を述べる接続詞である。
なので、普通は for の直前にはカンマ「 , 」が来る。
接続詞としての for は等位接続詞である。for は従属接続詞ではない等の理由で(ロイヤル)、because のように主節の前に出すことはできない。なお、もし For が文頭に置かれている場合、それは、その直前の文の理由を説明している(ロイヤル)。
=== and ===
いつつかの名詞が and で結ばれている場合、基本的には全体としては複数形として判断する。
Tom, Bob and John are students of this school.
しかし、下記のように例外がある。
Ham and eggs is my favorite breakfast. 「ハムアンドエッグは、私の好きな朝食だ」※ インスパイアより同じ例文
「Ham and eggs 」で1セットの食品なので、これは単数形として判定する。
同様に、
curry and rice (カレーライス)
a cup of saucer (皿つきマグカップ)
a knife and fork (ナイフとフォーク) ※インスパ、ジーニアス
bread and butter (バターつきパン)
body and mental (肉体と精神) ※インスパイア
は1セットの名詞とみなすので、それぞで単数形として判定する(青チャ、インスパ)。
なお、a cup of saucer の 「a」は、a 「cup of saucer 」ということで、「cup of saucer 」のセットがひとつという意味(ジーニアス)。なので、後ろ側の saucer には a がつかない(ジーニアス)。
けっして、1つのカップといくつかの皿ではない。
a knife and fork も同様、 a「knife and fork」 という意味なので、「knife and fork」のセットが一つの意味(ジーニアス)。
まず、and の基本的な意味を確認しよう。
;並列と順序
and の基本的な意味は並列「および」「と」の意味だが、もうひとつ、動作・時間の順序という意味もある。「先に起きたこと and その直後に起きたこと」のような語順で and を使うこともある。
動作や時間の順序のand は、「そして」や「~して、」の意味である(ジーニアス、ロイヤル)。
たとえば come and see は「先に来て、そして見る(見た)」の意味であり、つまり不定詞の結果用法 come to see と同じ意味である(フォレスト)。同様の表現として、 go and see もある。
;因果関係
さらに、and が因果関係をあらわす場合もある(ジーニアス、ロイヤル)。普通、文章では、先に行ったり紹介した動作が、あとの動作の理由になるので、andで因果関係を表すのも自然であろう。
{{コラム|and なのに逆接?|
上記で and は因果関係を表す場合もあるといったが、しかし人生では、必ずしも前に起きた動作の期待どおりに後の結果が起きるとは限らない場合も多々あるものである。このため、and があたかも but のような逆接的な意味かのように見える英文が生じる場合もある。
たとえば、「彼は努力して、そして失敗した」は、順序を意識すれば try hard and failed のような言い回しになる(ジーニアス)。努力 try hard という準備にもかかわらず失敗 fail したことから、文脈によっては and なのにまるで逆接のような意味も読み取れる場合もある。
さて、このことから、もし後の起きたことが先に起きたことに比べて対照的な場合、場合によっては and は、あたかも逆接 but のような意味に見える場合がある。
とはいえ、これはand の順序関係の用法の、派生的なものである。andの基本的な意味は、あくまで並列・順序だと思うべきだろう。
}}
== 従属接続詞 ==
=== 名詞節を導く従属接続詞 ===
==== whether と if ====
一方、名詞節を導くために使われる that およびwhether(~かどうか) と if(~かどうか) は'''従属接続詞'''である。that や whether を接続詞として解釈する考えもある。
ここでの名詞節を導く if は、「~かどうか」の意味での if である。「もし~ならば、」の if のことではない。また、「もし」の if との混同をさけるため、文頭では名詞節の if は使えない(ファクトブック)。この「~かどうか」の意味の if の性質について言い方を変えるなら、つまり if は動詞の目的語としてしか使えない(ジーニアス、青チャート、ほか多数)。
また、whether or not (~かどうか)という成句はある一方、ifにはない(インスパイア、青チャート)。
ほか、「whether to ~(動詞)」で「~すべきかどうか」というto不定詞の用法はあるが、ifには不定詞が続かない(インスパイア、青チャート)。
なお、 whether to go 「行くべきかどうか」という語が、参考書によくある典型例である。さらに、 whether to go or not (青チャート)「行くべきかどうか」や whether to go or stay (ブレイクスルー)「行くべきかとどまるべきか」のようになる場合もある。
さらに、助動詞 should を使って「べき」を強調する whether we should go or stay 「行くべきか残るべきか」という表現もある(青チャート)。
whether we should go or not のように、whether の直後ではなく分節の最後に or not をつける場合もある(ジーニアス)。
また、whether は前置詞の目的語になることがあるが、ifはならない(インスパイア)。
The question whether we should go or stay のように名詞と同格の節をみちびくこともある(インスパイア、青チャート、ジーニアス)。関係代名詞または前置詞のようにも見えるかもしれないが、しかしどの参考書も、関係詞や前置詞としてではなく「名詞と同格の節」という概念で説明している。一方、if には、名詞と同格の用法は無い。
if の本来の用法は「もしも~」であり、「~かどうか」の意味は派生的な意味にすぎない、と考えるのが良いだろう。
ほか、if は口語的、whether は文語的である(ジーニアス、青チャ-ト、エバグリ)。
depends on whether 、
など、動詞句 depends on とwhether との組み合わせが決まっている(青チャート)。depends on と if との組み合わせは禁止。なお depends on は、前置詞の目的語にwhether が来る例にもなっている。
wonder と ask は、if でも whether でも、どちらでも良い(ブレイクスルー、青チャート)。
ほか、 I wonder if ~ で「~がどうかなと思う」の意味。
==== that ====
さて、従属接続詞の典型的な文で
The fact is (that)・・・ 「事実は・・・ということだ。」
The trouble is (that)・・・ 「困ったことに・・・ということだ。」
The truth is (that)・・・ 「真実は・・・ということだ。」
The reason is (that)・・・ 「理由は・・・ということだ。」
などがある。
このように、名詞節を導く that は、「・・・ということだ。」の意味になる。
that は主語・補語・目的語になる(上記の the reason is that などの例文の場合は、that が補語になっている)。
ほか、 It is 形容詞 that ・・・ という形式主語の文章で 使われる that は接続詞でもある(ジーニアス、エバーグリーン )。
ほか、that節が know,say ,think, tell, hope など一般的な動詞の目的語になっている場合は、thatを省略することも多い(ブレイクスルー、インスパイア)。
ただし、形式目的語の that は省略できない(エバーグリーン)。形式目的語とは、
He made it clear that ~ . 「彼は~であることを明らかにした。」
のような it を仮の目的語とする文章のこと。
that 節は普通は前置詞の後ろに置かれることないが(ジーニアス)、例外的に in that(~という点で、~だから) と except that(~を除いて)という用法がある。
なお、 in that には意味の異なる「~という点で」という用法と、もうひとつ「~だから」「~であるか」という別の用法があることに注意(ジーニアス)。
参考書によっては in that は前置詞の項目に書いてある場合もある(青チャート)。
ほか、Now that で、「今や~だから」という表現ができる。口語ではよくthatが省略され、Now だけになる。
典型的な例文は
Now (that) he is eighteen, he can vote. 「今や彼は18歳なのだから、彼は投票できる。」
である(ジーニアス、青チャート)。
このほか、紹介している参考書は少ないが(青チャート、インスパイア)、分詞構文の Seeing that ~「~であるから」「~だから」が接続詞的に用いられる用法もある(青チャート)。
I'm glad that you have come to meet us. 「あなたがお迎えにきてくれて、うれしく思います」(青チャート)
のような例文がよくある。
I'm glad that ~ 「~できて、うれしいです」
のように、「感情を現す形容詞 + that 」の that も接続詞である(青チャート)。
afraid, disappointed, sad, sorry, glad, happy, angry, surprised , upset などがこのような形容詞である(青チャート、ジーニアス)。この場合の that は省略されることも多い。なお、この場合の感情に続く that 以下の内容は「理由」を表す(ジーニアス)。
We are sorry that you cannot come. 「あなたがこられないのは残念です。」(インスパイア)
この場合の sorry は謝罪ではないので注意。
sure 「確信している」は日本語では感情とは言いづらいが、青チャートはこれを感情に含めている。ただし、ジーニアスはsureを不採用。
なお、sure は感情のように I'm sure that ~ と主語を人称代名詞とするのが普通。辞書ジーニアスを見たが、it を主語にする sure は見つからなかった。
いっぽう、certain は、 It is certain that ~ も I'm certain もともに許される。(フォレストに I'm certain あり。ブレイクスルーに it is certain)
なお、確信ではなく「疑わしい」と思っている場合は、
It is doubtful whether (またはif)~ 「~かどうかは疑わしい」
のように、 接続詞は whether または if になる。この場合の whether や if も名詞節である。 I'm doubtful whether(if) のように人称代名詞で言ってもよい(インスパイア)。さらに、形容詞ではなく動詞 doubt で I doubt whether (if) ~ で言うことも可能(インスパイア)。
{{コラム|(※ 発展)doubt のあとは that か whether か |
doubt のあとが doubt whether のように whether になる場合は、肯定の平叙文の場合だけである(インスパイア)。
doubt については否定形の場合、don't doubt that ~ のようになる(インスパイア)。つまり、否定形 doubtでは whether ではなく that になる。 これは、don't doubt は直訳しただけなら単に「疑ってはいない」というだけになってしまうが、しかし実際には don't doubt は「確信している」という意味を表すのに慣用的に使われている(インスパイア)からである。インスパイアの場合、I don't doubt that ~ を「~することは間違いない」と訳している。かなりマニアックな話題であり、ほかの参考書は取り上げていない。
けっして「否定形のあとなら whether がthat になる」(×)というわけではない(ジーニアス)。「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ」という文章で、「どうでもいい」は It doesn't concern me なので(ジーニアス)、それと「彼女が来るかどうか」を合わせて
It doesn't concern me whether she will come or not. 「彼女が来るかどうかはどうでもいいことだ。」(ジーニアス)
という例文もあるほどだ(ジーニアス)。
さらに疑問文の場合、 Do you doubt that ~ のように、that になる。
これはもう、論理的に説明するのが困難だが、安心してもいいことに他社の参考書にまず書いてない。入試には出ないだろう。
入試の出題者だって、そこまで瑣末なことは問わない。
実は「高校レベル」の参考書と言うのは、実は読者対象は題名に反して決して高校生だけが対象でなく、大学の教師などが知識を広く浅くアップデートするためにも出版されているので、上述のような入試の範囲をやや超えた細かい話題も載っていたりするのである。インスパイアがどうかは知らないが。
}}
なお「確信」している場合、I'm sure は「確信している」の「信」じるの文字からも想像がつくように、動詞 believe で
I believe that と細かなニュアンスを無視すれば言い換えもできる(インスパイア)。
ほか、確信していない場合は、つまり確信に not がつく場合は、that よりも whether や if のほうが好ましい(インスパイア、ブレイクスルー)。つまり
I'm not sure whether(またはif) ~
のようになる(インスパイア、ブレイクスルー)。
なお、動詞で「信じていない」という場合、つまり don't believe の場合、 I didn't believe what ~ のように whether ではなく what になるのに注意(インスパイア)。
=== 副詞節を導く従属接続詞 ===
==== はじめに ====
ほか、(たとえば平叙文のなかで)副詞節を導かれるために使われる when (~のとき、)や where (~の場所)が従属接続詞である。
before , after および since や until なども従属接続詞。
as soon as や once もこれに含める(ジーニアス、フォレスト)。
また、過去形で It was not ling before ~ なら「すぐに~できた」の意味であり、副詞 soon で言い換えできる(ジーニアス)。
after について、前後関係が文脈から明白な場合は、主節が過去形のときでも、本来ならafter節は(主節よりも前の出来事なので、after節が)過去完了形になるはずだが、実際には(主節が過去形であるのに合わせて)after節も過去形のままで済ませることも許される。もちろん、after節を過去完了形にしても良く、after節を過去完了ぬすると前後関係が強調される(ジーニアス、インスパイア)。
なお、beforeの場合は、過去のある出来事よりも前(before)の出来事について言及したい場合、場合によって完了形になるはずなのは主節のほうである(ジーニアス)。beforeの場合も、本来なら主節が過去完了になる場合でも、(before節が過去形であるのに合わせて)主節を過去形のままにすることが許される。
before節の中身は肯定形である。つまり、before節には否定形を置けない(エバグリ)。どうしてもbeforeを使って「忘れないうちに」といいたい場合、「忘れる前に」と脳内で和訳を言い換え、before you forget のように言い換える必要がある(ロイヤル、エバグリ)。
なお、since 「~してから」「~して以来」の場合、これは継続の起点を表す意味の「~してから」だが、主節は完了形であるのが原則である(ジーニアス、インスパイア)。sinceを用いて現在継続中の事を言う場合、主節は現在完了形、since節は過去形、というパターンが多い(青チャート)。
since の節に否定は用いない(インスパイア It's been ~ since の単元)。
「until ~」は、「~」の瞬間まで動作が継続しているときに使い、「~するまで(ずっと)」の意味である(エバーグリーンに「ずっと」)。
一方、継続しない場合で、その時までに動作が完了している場合には、untilではなくby the time 「~する(時)までに」を使う(ジーニアス、インスパイア)。
また、until と by the time の両方とも、内容が未来の話であっても従属節の時制は現在形になる(インスパイア)。
いっぽう、主節のほうは、until の主節は未来の内容でも現在時制だが、しかし by the time の主節は未来のほうなら未来表現(will)になるという違いがある(インスパイア)。
:※ インスパイア以外は by the time の主節の時制に言及していない。
as well as が等位接続詞なのに as soon as が従属なのはアレだが、まあどの参考書でもそういう分類になっている。
as soon as は言い換えで、the moment や the instant や no sooner ・・・ than ~ などの言い換え表現がある。
なお、 no sooner ・・・ than ~ は参考書によっては、『接続詞』の単元ではなく『比較』の単元に節に書いてある(青チャートなど)。
青チャートいわく、immediately も「~するとすぐに」だが、イギリス英語とのこと。
no sooner ・・・ than ~ の言い回しは文頭にくる場合もあり、その際に倒置によって主語と助動詞の語順が逆になる。
つまり、助動詞に had を使っているなら、とりあえず主語をIとするなら(べつに he でも she でも構わない)、倒置の場合は
No sooner had I + 過去分詞・・・ than ~ の語順である。
よく助動詞 had による過去完了形が使われるが(エバーグリーン、ジーニアス、青チャート)、しかし別に助動詞 did による単なる過去形でも構わない(インスパイア)。
構文の意味は微妙に違うが、
hardly(またはscarcely) ・・・ when(またはbefore) ~ 「~するやいなや」
も文頭にくる倒置をすれば主語と述語の動詞が逆転するので、よく
no sooner の構文といっしょに参考書では紹介されることも多い(ジーニアス、青チャート)。
倒置する場合、上述の構文の語順は、とりあえず主語を he とするなら、
Hardly had he 過去分詞 when ・・・
の語順である。
なお、no longer 「もう~ではない」「もはや~ではない」は特に倒置は起きず、参考書でも特に倒置については言及はされていない(ジーニアス、エバーグリーン)。
よくある例文が、「宇宙旅行は(月への旅行は)もはや夢ではない」のような例文であり(インスパイア、青チャート)、たとえば
Traveling into space is no longer a dream. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
A trip to the moon is no longer a dream. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」(青チャート)
また、no longer は現在時制とともに使われることが多い(青チャート)。上述の例文も現在時制になっていることに注目。
no longer ~ は、not ~ any longer でも言い換えでき、どの参考書でも言及されている。
Traveling into space is not a dream any longer. 「宇宙への旅行はもはや夢ではない。」(インスパイア)
青チャートはany longer の言い換えをしてないが、もし言い換えするなら、下記のようになるだろう。
A trip to the moon is not a dream any longer. 「月への旅行はもはや単なる夢ではない。」 (wikiオリジナル)
I cannot stand ~ any longer. 「もうこれ以上、~に我慢できない。」(青チャート、ブレイクスルー)
入試にはめったに出ないが、じつは他にも言い換え表現として not ~ any more や not ~ anymore などもある(青チャート比較、ジーニアス接続詞)。
==== 否定 ====
参考書によっては「接続詞」の単元ではなく否定の単元に掛かれていることも多いが、no や not などの否定の語句をつかった接続詞的な内容の構文がある。
「cannot help ~ing 」と 「have no choice but to ~(to不定詞)」との使い分けが、重要である。
cannot help ~ing は「~せずにはいられない」「思わず~してしまう」の意味。cannot help ~ing は感情をおさえきれずに(青チャート)、思わず何かをしてしまう時に使う表現である。
Cannot help laughing 「笑わずにはいられない」
のように使う。「cannot help but 動詞の原型 」という言い方もある(ジーニアス、ブレイクスルー)。
cannot help but laugh
のように使う。
一方、自分の感情に反して、外部的な事情などで「~せざるを得ない」場合には、
have no choice but to 動詞の原形(to不定詞)
を使う(青チャート、ジーニアス)。
She had no choice to give up her job. 「彼女は仕事をやめざるを得なかった。」(青チャートを改変)
のように使う(エバーグリーン、青チャート)。
なお、
I had no choice to quit my job. 「私は仕事をやめざるを得なかった。」(エバーグリーン)
==== once ====
once は「いったん~すると」の意味。once をどう分類するかが参考書ごとに違う。
ifやunlessなどと同様に「条件」として once を分類する参考書もあれば(ブレイクスルー、インスパイア)、
beforeやafterやsinceなどと同様の「起点」として once を分類する参考書もある(ジーニアス、フォレスト)。
なお、as soon as と once がなぜか同じ章節で紹介される参考書が多いが(ジーニアス、フォレスト、しかし意味が違う接続詞なので混同しないように。
if~ は内容が未来であっても現在形を使うが、as soon as ~ も後続の文では内容が未来であっても現在形を使うので、もしかしたらその理由でonceが「条件」として分類されているのかもしれない。
また、as soon as ~ と同様に、once ~ も後続の文の内容が未来であっても現在形を使う(ジーニアス)。そういう共通点からか、一緒に「起点」として紹介されるのかもしれない。
しかし、単に分類が同じだけであり、 once は as soon as とは意味がまったく違うので、混同しないように。
==== その他 ====
===== 理由や原因のbecause/since/as =====
時間の表現だけでなく、because や since (since には理由の意味もある)も従属接続詞。
because は従属接続詞なので、よって主節なしで
「Because ~ .」
といったBecause だけの節をつくることは原則、誤用だとみなされる(青チャート、ジーニアス)。
ただし例外的に、"Why ~?" といった Why を使った質問文に対して、解答で"Because ~" と because だけの節の文章が許されている(青チャート、ジーニアス)。
because は、相手がまだ知らない情報を理由としてあげるのに使われ、また主節のあとにbecause節が置かれるのが一般的である。
since は基本、相手が既知の話題についての理由を説明するときに使うので(ブレイクスルー、フォレスト、ジーニアス)、since節の時制は過去形になる事も多い(青チャート)。また、上記の事情のため、sinceのつくる副詞節は文頭や前方に置かれることも多いが(インスパイア、ジーニアス、ブレイクスルー)、しかしsinceを文頭に置かなくても正しい英語である(青チャート)。
as もssince と同様、相手がすでに知っている情報を理由としてあげる際に使われる(インスパイア、ジーニアス)。
ただし、asはいくつか意味があるので、あまり意味がはっきりしないので、はっきり説明したい場合にはasの使用が避けられる場合もある(インスパイア)。
理由の因果関係の強調の順序としては、
(因果関係が強い側)because > since > as (弱い側)
の順に因果関係が強い(青、インスパ)。
このほか、forで理由を述べる用法があるが、文語調である(青チャート)。forについては紹介している参考書が少ないので省略。
===== その他 =====
「so ~(形容詞) that ・・・(文)」 は従属接続詞。
so に等位接続詞の用法もあるが、しかし 「so 形容詞 that 文」で結びつけられている形容詞とthat後続の文は対等ではないので、従属接続詞のほうが適切であろう。
例文は著作権のため省略。
==== 譲歩 ====
「譲歩」の意味である、though や although が従属接続詞として分類されている(ジーニアス、フォレスト、ロイヤル)。
though よりも although のほうが堅い言い回しである(フォレスト、ロイヤル)。
なお、英文法の接続詞の単元でいう「譲歩」は、日本語の日常語の「譲歩」とは意味がやや違う。日常語の「譲歩」とは、自分と相手・他人の主張が対立したい場合に、相手の意見を聞き入れたり時には従うことに重点が置かれるのが日常語の譲歩である(広辞苑、三省堂新明解)。
しかし、この接続詞の英文法でいう「譲歩」とは、相手の主張の一部を事実ではあると認めた上で、それでも自分の主張に事実性などがあることを主張しているのが、英文法の接続詞の分野での「譲歩」である(桐原フォレスト)。
even if ~ も even though ~ も「たとえ ~ だとしても」という譲歩の意味があるが、下記のような違いがある。
even though ~ は、though の後に事実がきて、話し手は事実を知っている。
even if ~ は、if のあとに仮定がきて、その仮定が事実かどうかを話しては知らない。
これは基本的には、even がない場合の if節 や though節 における事実関係と同様である(インスパイア、桐原ファクト)。
日本語だと「たとえ~だとしても」と聞くと、なんとなく強い決心や確信や強めの命令などが続くように思われがちだが、しかし英語のeven if や even thoutgh は別にそういった決心や確信などではなくとも、使われる。たとえば青チャートに「彼は若かったが、優れた才能を持っていた。」と言う文章で Even though を用いている(青チャ)。桐原ファクトでは「彼はケガをしているにもかかわらず、プレーを続けた」という逆境を強調する文で even though を用いている。
もちろん、決心や確信や命令などを強調するために even if や even though が用いられることもよくあり、多くの参考書の例文がそうなっている(明言はしていないが)。※青チャ、インスパ
これとは別に、 even if ~ で if のあとが仮定法過去になる場合もある(ジーニアス、インスパイア)。
基本的には、even if も even though も、evenは単に直後の語を強調しているだけである(インスパイア)。 if「もし~」 のあとが事実かどうかを話し手が知らないのもifの不普通の用法だし、though 「~にもかかわらず」も通常は話し手は事実を前提にしているからである。
単に even は if や though に譲歩の意味をつけたしたり、譲歩を強調したりしているだけにすぎない。
==== 条件 ====
条件を表すif および unless も従属接続詞。
unless は、「もし~でなければ」という意味であるが(ジーニアス、ロイヤル)、「~でない限り、」と訳される場合も多い(フォレスト、ロイヤル)。なお、unless の直後の文は否定形にはならず(フォレスト、ジーニアス)、つまり unless の直後の文は肯定形である。
unless は、「否定の条件」であるという性質に加えて、さらに基本的に「唯一の条件」という性質がある(青チャート)。「起きてほしくない事を避けるためには、unless 以降の内容を実行するしかない」という意味での唯一性の主張が unless にはある。
このことなどから、 unless ~の文を if ・・・ not ~ の文章に書き換えできる一方で(unless → if not は可能な場合が多い)、しかし if not → unless の書き換えが無理な場合が多い。
unless は「条件の文 unless 予想される結果の文」の語順。unless においてカンマなどは不要。
unless の語順は、「予想される結末 unless 結末が成り立たなくなる条件」である。なお、unlessの主節(※ 予想される結末のほう)には、willなどの未来表現を使うのが普通。一方、ifおよびunless では従属節の内容がたとえ未来における内容であっても従属節の時制は現在形にする(ジーニアス)。桐原やロイヤルでは従属節の時制はとくに解説では明記されていないが、例文の時制を見ればジーニアスと同様に桐原などでもunlessの従属節は現在形である。
==== 否定の慣用表現 ====
※ 参考書によっては、「接続詞」の単元ではなく、「否定」の単元で下記が紹介されている場合もある(ジーニアス、エバーグリーン)。
===== not long before =====
It will not long before ~ は「まもなく~するだろう」の意味である。直訳すれば「~するまでに長くはない」だが(青チャート)、英語では「まもなく~するだろう」の意味である。
===== not until =====
It is not until ~ that ・・・ で「~して初めて・・・する」の意味である。直訳すれば「・・・まで~しない」だが(青チャート、インスパイア)、実際にはそこまで否定のニュアンスは無いし(とくに出典なし)、また過去形でも It was not until ~ that ・・・ として使われる(エバーグリーン、ジーニアス)。
典型的な文章は「病気になって初めて健康のありがたさが分かる」だが(ジーニアス、インスパイア)、参考書によって英文が微妙に違う。
ジーニアスでは
It was not until I became ill that I realized the value of health.
である。
インスパイアは、
It is not until we fail ill that we appreciate the value of good health.
である。
上記のように、同じような和訳の言い回しでも、文献により英文が微妙に違うので、暗記の必要はない。もし暗記させる教育者がいれば教員としての見識不足を疑われるだけである。
=== in case ~ ===
「in case ~(文)」は「~の場合にそなえて」の意味であり、従属接続詞として分類され、この場合は普通は主節のあとに in case ~ が置かれる(フォレレスト、ジーニアス)。
in case ~ の典型的な例文は、
Take an umbrella with you in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ 数研 青チャート、ジーニアス
take の代わりに bring の場合もある。また、この傘をもっていく例文の場合なら with you は省略可能。上記例文の出典の参考書にも with you をつけてないものもある。
Bring an umbrella in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていきなさい。」 ※ ファクトブック
命令形ではなく平叙文の場合もあり、下記のような例文もある。
I'll take an umbrella with me in case it rains. 「雨が降るといけないから、かさを持っていこう。」 ※ フォレスト
with me は省略可能。自分で持っていくので with me になる(青チャート)。
「in case ~ 」の副詞節に it should rain. のように should が使われる場合もあるが、これは可能性が低いと話し手・書き手が思っている意味である(青チャート、ブレイクスルー)。
なお、in case は上記の「~するといけないから」「~しないように」の用法の他にも、case 「条件」の文字通り「~の条件で」の意味で in case を使う場合もアメリカ英語では見られ(ジーニアス、フォレスト)、この場合は if でも言い換えできる。
言い換え表現で、「~するといけないから」「~しないように」用法の in case と同じ意味は「for fear that A ~」や「lest A (should) ~」でも言える。
for fear も lest も、ともに固い表現である(ジーニアス)。ジーニアス以外の参考書の多くは、for fear が固い表現であることを取り上げていない。
for fear ~でも lest ~でも、つづく「~」の部分には not をつけない。日本語に引きづられて not をつけないように注意。
英和辞典を見れば fear は「恐れ」「不安」などの意味が書いてあることからも想像がつくように、for fear のあとには、おそれている内容を書くので、つまり、実現してほしくないことを肯定形で書くことになるのも当然であろう。
さて、lest について、ジーニアスいわく、 lest は固い言い方なだけであり、頻度自体は for fear よりも lest のほうが高いと、ジーニアスは主張している。
lest のshould が省略される場合もある。なお、shouldが省略された場合には、続く動詞には原形が来る。lest のshould 省略時の動詞の原形をつかうことを仮定法現在として解釈する流儀もある(青チャート)。
ほか、文法教育的にはあまり注目されないが、
so that ~ 「~のために」と、否定 not を組み合わせて、たとえば 「so that A won't ~」により「~しないように」という言い換えも可能である。won't の変わりに can't の場合もある(ブレイクスルー)。
=== その他 ===
その他、as far as や as long as など範囲を表す表現が、カンマなどを補われて、従属接続詞として分類される。
「as far as I know,」 で「私の知る限りでは、」の意味。as far as の代わりに so far as とすることもある(ロイヤル)。
よくある典型文は
As far as I know, he is ~. 「私の知るかぎり、彼は~な人だ」
である(フォレスト、インスパイア)。そのほか、
As far as I'm concerned, ~ 「私に関する限り、」
という表現が、たとえば「私に関する限り、それで結構です。」(青チャート)とか「私に関する限り、不満はありません。」(ジーニアス)のような文章で使われる。
このように as ・・・ as は範囲を表すことがある。
このほか、別の用法で as far as で、自分の意見を言う用法もある(ブレイクスルー、ジーニアス)。たとえばブレイクスルーいわく、「私の意見では、冷凍食品はおいしくない」という単なる持論にも as far as を使っている例文がある。
as long as には用法が2種類あり、ひとつの用法は「~する間」という時間的な範囲を表す用法であり、もうひとつの用法は最低限の条件を表し(フォレスト)、「~しさえすれば」などと訳される(ジーニアス、フォレスト)。as long as の代わりに so long as とすることもある(ジーニアス、フォレスト)。「~する限りは」と訳される場合もある(ロイヤル)。
慣用的なよくある言い回しとして、「as long as I live 」で「私が生きている限り」の意味(ロイヤル、ジーニアス)。
I will never forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章がよく参考書にある(ジーニアス、青チャート)。
なお、べつにneverを使わずとも、
I won't forget your kindness as long as I live. 「私が生きているかぎり、あなたのご親切を忘れません。」
のような文章もよくある(インスパイア)。
「~さえすれば」の as long as は、言い換えとして、if only または only if で言い換えすることもできる。
目的を表す「 so that ~」も接続詞である。in order that も同様、目的を表す接続詞である。なお、so that ~ について、口語では thatが省略されることも多く、つまり so だけで目的の接続詞になることもある(フォレスト、ジーニアス)。
so that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
なお、「so ~(形容詞など) that ・・・」は程度をあらわす接続詞である。
in order that ~ は堅い表現。in order that 節の中では、can や will や may をつかうのが普通(フォレスト、ジーニアス)。
as も接続詞の用法がある(ロイヤル、フォレスト)。
その他にも、さまざまな接続詞がある
suppose や supposed や providing や provided (どれも「もし~ならば」の意味)などを接続詞として分類することもある(フォレスト)。
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羅馬史略/漢語表記について
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2022-08-25T12:35:27Z
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text/x-wiki
<div style="text-align:center">
{|
|-
|[[画像:Roman Empire under Hadrian-zh-classical.png|thumb|right|800px|漢文で描かれた『[[w:zh:哈德良|哈遠良]]時之羅馬帝國』([[w:ハドリアヌス|ハドリアヌス]]治下のローマ帝国)。]]
|}
</div>
<div style="background-color:#fffffe; width:760px;"> 『[[羅馬史略]]』など明治初期の書物において、西洋の固有名詞(地名や人名)を表記するにあたっては、中国の漢語(漢文)にならった当て字の漢字表記と、カタカナによる表記が混在していた。特に慣用化した固有名詞については、決まった漢字表記が用いられていた。それらの漢字表記は、漢語(漢文)の表記を踏襲したものもあれば、英語などの発音に日本人の訳者が漢字を当てたものもある。
{| class="wikitable"
|-
!漢文表記
!現代中国語<br>(繁体字)
!中国語<br>(簡体字)
!『羅馬史略』
!英 語
!ラテン語
!現代日本語
!備 考
|- style="font-family:游明朝;font-size:15pt;" <!--【ローマ】-->
|<!--漢文-->[[w:zh-classical:古羅馬|(古)羅馬]]<hr>[[w:zh-classical:羅馬|羅馬]](都)
|<!--繁体-->[[wikt:en:羅馬#Chinese|羅馬]]<br><span style="font-family:Times New Roman;font-size:11pt;">\lu̯ɔ˧˥ ma̠˨˩\</span>
|<!--簡体-->[[wikt:en:罗马|罗马]]<br><span style="font-family:Times New Roman;font-size:11pt;">\lu̯ɔ˧˥ ma̠˨˩\</span>
|<!--史略-->羅馬
|<!--英語-->[[wikt:en:Rome#English|Rome]]<br><span style="font-family:Times New Roman;font-size:11pt;"><small>英</small> /rəʊm/,<br><small>米</small> /ɹoʊm/</span>
|<!--ラ語-->[[wikt:en:Roma#Latin|Roma]]<ref>ラテン語のローマ国家の国号は <span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;">[[wikt:en:SPQR|senātus populusque Rōmānus]]</span>「ローマの元老院と人民」。また、ローマ帝国(''[[w:en:Roman Empire|Roman Empire]]'')に当たる表現として <span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;">[[w:la:Imperium Romanum|Imperium Romanum]]</span>「ローマの支配圏」などがある。</ref><br>[ˈroːmä]
|<!--日語-->[[wikt:en:ローマ|ローマ]]
|<!--備考-->
|- style="font-family:游明朝;font-size:15pt;" <!--【カエサル】-->
|<!--漢文 [[w:zh-classical: -->[[w:zh-classical:凱撒|凱撒]]
|<!--繁体-->[[wikt:en:凱撒|凱撒]]
|<!--簡体-->[[wikt:en:凯撒|凯撒]]
|<!--史略--><ruby><rb>塞撒</rb><rp>(</rp><rt>セサル</rt><rp>)</rp></ruby> <ref>英語の [[wikt:en:Cæsar#English|Cæsar]] という綴りが「セサル」と解されたのであろう。</ref>
|<!--英語-->[[wikt:en:Caesar#English|Caesar]],<br>[[wikt:en:Cæsar#English|Cæsar]],<br>[[wikt:en:Cesar#English|Cesar]]<br><span style="font-family:Times New Roman;font-size:11pt;">/ˈsiːzə(ɹ)/</span>
|<!--ラ語-->[[wikt:en:Caesar#Latin|Caesar]]<br>[ˈkae̯sar]
|<!--日語-->[[wikt:en:カエサル|カエサル]],<br>[[wikt:en:シーザー|シーザー]]
|<!--備考-->
|- style="font-family:游明朝;font-size:15pt;" <!--【】-->
|<!--漢文 [[w:zh-classical: -->
|<!--繁体-->
|<!--簡体-->
|<!--史略-->
|<!--英語-->
|<!--ラ語-->
|<!--日語-->
|<!--備考-->
|}
(編集中)
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== 脚注 ==
<div class="references-small"><references /></div>
== 関連項目 ==
*[[羅馬史略]]
**[[羅馬史略/巻之五/塞撒ガ髙慮ヲ征伐スル事|../塞撒ガ髙慮ヲ征伐スル事]]
**[[羅馬史略/漢語表記について|../漢語表記について]]
== 外部リンク ==
[[Category:羅馬史略|かんこ]]
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ガリア戦記 第3巻/注解/18節
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2022-08-25T13:35:22Z
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/* 原文テキスト */
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<div style="font-family:Arial Black;font-style:normal;font-size:15pt;color:#990033;text-align:center;">C・IVLII・CAESARIS・COMMENTARIORVM・BELLI・GALLICI</div>
<div style="font-family:Arial Black;font-style:normal;font-size:30pt;color:#990033;text-align:center;">LIBER・TERTIVS</div>
<br>
{| id="toc" style="align:center;clear:all;" align="center" cellpadding="5"
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[[ガリア戦記 第3巻/注解/19節|19節]]
|}
__notoc__
== 原文テキスト ==
<div style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;color:#333;text-align:left;"><ref>原文テキストについては[[ガリア戦記/注解編#原文テキスト]]を参照。</ref> 18.
<!--❶--><sup>1</sup>Hac confirmata opinione timoris, idoneum quendam hominem et callidum deligit, Gallum, ex eis<!--iis--> quos auxili<!--auxilii--> causa secum habebat. <!--❷--><sup>2</sup>Huic magnis praemiis pollicitationibusque persuadet uti ad hostis<!--hostes--> transeat, et quid fieri velit edocet. <!--❸--><sup>3</sup>Qui ubi pro perfuga ad eos venit, timorem Romanorum proponit, quibus angustiis ipse Caesar a Venetis prematur docet, <!--❹--><sup>4</sup>neque longius abesse quin proxima nocte Sabinus clam ex castris exercitum educat, et ad Caesarem auxili<!--auxilii--> ferendi causa proficiscatur. <!--❺--><sup>5</sup>Quod ubi auditum est, conclamant omnes occasionem negoti<!--negotii--> bene gerendi amittendam non esse,<!--:--> ad castra iri oportere. <!--❻--><sup>6</sup>Multae res ad hoc consilium Gallos hortabantur: superiorum dierum Sabini cunctatio, perfugae confirmatio, inopia cibariorum, cui rei parum diligenter ab his<!--iis--> erat provisum, spes Venetici belli, et quod fere libenter homines id quod volunt credunt. <!--❼--><sup>7</sup>His rebus adducti non prius Viridovicem reliquosque duces ex concilio dimittunt quam ab his<!--iis--> sit concessum arma uti capiant et ad castra contendant. <!--❽--><sup>8</sup>Qua re concessa laeti, ut explorata victoria, sarmentis virgultisque collectis<!--conlectis><!--,--> quibus fossas Romanorum compleant, ad castra pergunt. </div>
<span style="background-color:#ffc;"></span>
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;テキスト引用についての注記
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:oblique;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:bold;font-size:15pt;"></span>
== 整形テキスト ==
<div style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;color:#333;text-align:left;"><ref>整形テキストについては[[ガリア戦記/注解編#凡例]]を参照。</ref>
</div>
<span style="color:#800;"></span>
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;注記
<!--
*原文の <span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;">[[wikt:en:accommodatae|accommodātae]], [[wikt:en:Aduatuci|Aduatucī]], [[wikt:en:Aduatucos|Aduatucōs]], [[wikt:en:Aedui#Latin|Aeduī]], [[wikt:en:Alpis#Latin|Alpīs]], [[wikt:en:appropinquabat|appropinquābat]], [[wikt:en:appropinquare#Latin|appropinquāre]], [[wikt:en:appulso#Latin|appulsō]], [[wikt:en:auxili#Latin|auxilī]], [[wikt:en:cedentis|cēdentīs]], [[wikt:en:cohortis|cohortīs]], [[wikt:en:coicere|coicere]], [[wikt:en:coiecerunt|coiēcērunt]], [[wikt:en:coiecisse|coiēcisse]], [[wikt:en:collatis|collātīs]], [[wikt:en:collocabant|collocābant]], [[wikt:en:collocandis|collocandīs]], [[wikt:en:collocarat|collocārat]], [[wikt:en:collocare#Latin|collocāre]], [[wikt:en:collocaret|collocāret]], [[wikt:en:collocari|collocārī]], [[wikt:en:colloquium#Latin|colloquium]], complūrīs, [[wikt:en:conantis|cōnantīs]], [[wikt:en:consili|cōnsilī]], [[wikt:en:eis#Latin|eīs]], [[wikt:en:finis#Latin|fīnīs]], [[wikt:en:hostis#Latin|hostīs]], [[wikt:en:imperi#Latin|imperī]], [[wikt:en:irridere#Latin|irrīdēre]], [[wikt:en:montis|montīs]], [[wikt:en:navis#Latin|nāvīs]], [[wikt:en:negoti|negōtī]], nōn nūllōs, [[wikt:en:omnis#Latin|omnīs]], [[wikt:en:partis#Latin|partīs]], [[wikt:en:proeli|proelī]], proficīscentīs, [[wikt:en:resistentis|resistentīs]], [[wikt:en:subeuntis|subeuntīs]], trīs, [[wikt:en:vectigalis#Latin|vectīgālīs]] </span> などは、<br>それぞれ <span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;">[[wikt:en:adcommodatae|adcommodātae]], [[wikt:de:Atuatuci|Atuatucī]], Atuatucōs, Haeduī, [[wikt:en:Alpes#Latin|Alpēs]], [[wikt:en:adpropinquabat|adpropinquābat]], [[wikt:en:adpropinquare|adpropinquāre]], [[wikt:en:adpulso|adpulsō]], [[wikt:en:auxilii|auxiliī]], [[wikt:en:cedentes#Latin|cēdentēs]], [[wikt:en:cohortes#Latin|cohortēs]], [[wikt:en:conicere|conicere]], [[wikt:en:coniecerunt|coniēcērunt]], [[wikt:en:coniecisse|coniēcisse]], [[wikt:en:conlatis|conlātīs]], [[wikt:en:conlocabant|conlocābant]], [[wikt:en:conlocandis|conlocandīs]], [[wikt:en:conlocarat|conlocārat]], [[wikt:en:conlocare|conlocāre]], [[wikt:en:conlocaret|conlocāret]], [[wikt:en:conlocari|conlocārī]], [[wikt:en:conloquium#Latin|conloquium]], [[wikt:en:complures#Latin|complūrēs]], [[wikt:en:conantes|cōnantēs]], [[wikt:en:consilii|cōnsiliī]], [[wikt:en:iis#Latin|iīs]], [[wikt:en:fines#Latin|fīnēs]], [[wikt:en:hostes#Latin|hostēs]], [[wikt:en:imperii#Latin|imperiī]], [[wikt:en:inridere|inrīdēre]], [[wikt:en:montes#Latin|montēs]], [[wikt:en:naves#Latin|nāvēs]], [[wikt:en:negotii|negōtiī]], [[wikt:en:nonnullos|nōnnūllōs]], [[wikt:en:omnes#Latin|omnēs]], [[wikt:en:partes#Latin|partēs]], [[wikt:en:proelii|proeliī]], [[wikt:en:proficiscentes|proficīscentēs]], [[wikt:en:resistentes#Latin|resistentēs]], [[wikt:en:subeuntes|subeuntēs]], [[wikt:en:tres#Latin|trēs]], [[wikt:en:vectigales|vectīgālēs]] </span> などとした。
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<span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:oblique;font-size:15pt;"></span>
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== 注解 ==
=== 1項 ===
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;語釈
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;対訳
《 》 内は、訳者が説明のために補った語。<span style="font-family:Times New Roman;font-size:30pt;">{</span> <span style="font-family:Times New Roman;font-size:30pt;">}</span> 内は関係文。
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"></span>
-->
== 訳文 ==
*<span style="background-color:#dff;">訳文は、[[ガリア戦記_第3巻#18節]]</span>
== 脚注 ==
{{Reflist}}
== 解説 ==
<!--
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|- style="height:23em;"
|
|
|}
-->
== 関連項目 ==
*[[ガリア戦記]]
**[[ガリア戦記/注解編]]
***[[ガリア戦記 第3巻/注解]]
**[[ガリア戦記/用例集]]
== 関連記事 ==
== 外部リンク ==
[[Category:ガリア戦記 第3巻|18節]]
dg0z7gdygs973864gf3eumr0ebvtqzx
ガリア戦記 第3巻/注解/19節
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19節
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text/x-wiki
<div style="font-family:Arial Black;font-style:normal;font-size:15pt;color:#990033;text-align:center;">C・IVLII・CAESARIS・COMMENTARIORVM・BELLI・GALLICI</div>
<div style="font-family:Arial Black;font-style:normal;font-size:30pt;color:#990033;text-align:center;">LIBER・TERTIVS</div>
<br>
{| id="toc" style="align:center;clear:all;" align="center" cellpadding="5"
|-
! style="background:#bbf; text-align:center;" | [[ガリア戦記/注解編|ガリア戦記 注解編]]
| style="background:#ccf; text-align:center;" | [[ガリア戦記 第3巻/注解|第3巻]]
| style="background:#eef; text-align:center;"|
[[ガリア戦記 第3巻/注解/18節|18節]] |
[[ガリア戦記 第3巻/注解/19節|19節]] |
[[ガリア戦記 第3巻/注解/20節|20節]]
|}
__notoc__
== 原文テキスト ==
<div style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;color:#333;text-align:left;"><ref>原文テキストについては[[ガリア戦記/注解編#原文テキスト]]を参照。</ref>
</div>
<span style="background-color:#ffc;"></span>
----
;テキスト引用についての注記
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:oblique;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:bold;font-size:15pt;"></span>
== 整形テキスト ==
<div style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;color:#333;text-align:left;"><ref>整形テキストについては[[ガリア戦記/注解編#凡例]]を参照。</ref>
</div>
<span style="color:#800;"></span>
----
;注記
<!--
*原文の <span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;">[[wikt:en:accommodatae|accommodātae]], [[wikt:en:Aduatuci|Aduatucī]], [[wikt:en:Aduatucos|Aduatucōs]], [[wikt:en:Aedui#Latin|Aeduī]], [[wikt:en:Alpis#Latin|Alpīs]], [[wikt:en:appropinquabat|appropinquābat]], [[wikt:en:appropinquare#Latin|appropinquāre]], [[wikt:en:appulso#Latin|appulsō]], [[wikt:en:auxili#Latin|auxilī]], [[wikt:en:cedentis|cēdentīs]], [[wikt:en:cohortis|cohortīs]], [[wikt:en:coicere|coicere]], [[wikt:en:coiecerunt|coiēcērunt]], [[wikt:en:coiecisse|coiēcisse]], [[wikt:en:collatis|collātīs]], [[wikt:en:collocabant|collocābant]], [[wikt:en:collocandis|collocandīs]], [[wikt:en:collocarat|collocārat]], [[wikt:en:collocare#Latin|collocāre]], [[wikt:en:collocaret|collocāret]], [[wikt:en:collocari|collocārī]], [[wikt:en:colloquium#Latin|colloquium]], complūrīs, [[wikt:en:conantis|cōnantīs]], [[wikt:en:consili|cōnsilī]], [[wikt:en:eis#Latin|eīs]], [[wikt:en:finis#Latin|fīnīs]], [[wikt:en:hostis#Latin|hostīs]], [[wikt:en:imperi#Latin|imperī]], [[wikt:en:irridere#Latin|irrīdēre]], [[wikt:en:montis|montīs]], [[wikt:en:navis#Latin|nāvīs]], [[wikt:en:negoti|negōtī]], nōn nūllōs, [[wikt:en:omnis#Latin|omnīs]], [[wikt:en:partis#Latin|partīs]], [[wikt:en:proeli|proelī]], proficīscentīs, [[wikt:en:resistentis|resistentīs]], [[wikt:en:subeuntis|subeuntīs]], trīs, [[wikt:en:vectigalis#Latin|vectīgālīs]] </span> などは、<br>それぞれ <span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;">[[wikt:en:adcommodatae|adcommodātae]], [[wikt:de:Atuatuci|Atuatucī]], Atuatucōs, Haeduī, [[wikt:en:Alpes#Latin|Alpēs]], [[wikt:en:adpropinquabat|adpropinquābat]], [[wikt:en:adpropinquare|adpropinquāre]], [[wikt:en:adpulso|adpulsō]], [[wikt:en:auxilii|auxiliī]], [[wikt:en:cedentes#Latin|cēdentēs]], [[wikt:en:cohortes#Latin|cohortēs]], [[wikt:en:conicere|conicere]], [[wikt:en:coniecerunt|coniēcērunt]], [[wikt:en:coniecisse|coniēcisse]], [[wikt:en:conlatis|conlātīs]], [[wikt:en:conlocabant|conlocābant]], [[wikt:en:conlocandis|conlocandīs]], [[wikt:en:conlocarat|conlocārat]], [[wikt:en:conlocare|conlocāre]], [[wikt:en:conlocaret|conlocāret]], [[wikt:en:conlocari|conlocārī]], [[wikt:en:conloquium#Latin|conloquium]], [[wikt:en:complures#Latin|complūrēs]], [[wikt:en:conantes|cōnantēs]], [[wikt:en:consilii|cōnsiliī]], [[wikt:en:iis#Latin|iīs]], [[wikt:en:fines#Latin|fīnēs]], [[wikt:en:hostes#Latin|hostēs]], [[wikt:en:imperii#Latin|imperiī]], [[wikt:en:inridere|inrīdēre]], [[wikt:en:montes#Latin|montēs]], [[wikt:en:naves#Latin|nāvēs]], [[wikt:en:negotii|negōtiī]], [[wikt:en:nonnullos|nōnnūllōs]], [[wikt:en:omnes#Latin|omnēs]], [[wikt:en:partes#Latin|partēs]], [[wikt:en:proelii|proeliī]], [[wikt:en:proficiscentes|proficīscentēs]], [[wikt:en:resistentes#Latin|resistentēs]], [[wikt:en:subeuntes|subeuntēs]], [[wikt:en:tres#Latin|trēs]], [[wikt:en:vectigales|vectīgālēs]] </span> などとした。
-->
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-style:oblique;font-size:15pt;"></span>
<span style="color:#b00;"></span>
<span style="color:#800;"></span>
<span style="font-size:10pt;"></span>
<span style="background-color:#ff0;"></span>
== 注解 ==
=== 1項 ===
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:20pt;"></span>
;語釈
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;background-color:#fff;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"></span>
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"></span>
<span style="background-color:#ccffcc;"></span>
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;対訳
《 》 内は、訳者が説明のために補った語。<span style="font-family:Times New Roman;font-size:30pt;">{</span> <span style="font-family:Times New Roman;font-size:30pt;">}</span> 内は関係文。
<span style="font-family:Times New Roman;font-size:15pt;"></span>
-->
== 訳文 ==
*<span style="background-color:#dff;">訳文は、[[ガリア戦記_第3巻#19節]]</span>
== 脚注 ==
{{Reflist}}
== 解説 ==
<!--
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|- style="height:23em;"
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|}
-->
== 関連項目 ==
*[[ガリア戦記]]
**[[ガリア戦記/注解編]]
***[[ガリア戦記 第3巻/注解]]
**[[ガリア戦記/用例集]]
== 関連記事 ==
== 外部リンク ==
[[Category:ガリア戦記 第3巻|19節]]
7watmzvk02ilvpseev7bpjuq7v0ueoj
ファイル:Map of Aremorican tribes (Latin).svg
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ページの作成:「[[Category:ガリア戦記 第3巻]]」
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[[Category:ガリア戦記 第3巻]]
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ファイル:Gaule -56.png
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ファイル:Avaricum westpoint july 2006.jpg
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ファイル:Caesar's Gallic war; (Allen and Greenough's ed.) (1898) (14778908094).jpg
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ページの作成:「カエサル <small>(左側中央)</small>がアラル川 (<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[w:la:Arar|Arar]]</span>、[[w:ソーヌ川|ソーヌ川]]) でヘルウェーティイー族 <span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[w:la:Helvetii|Helvetii]]</span> を破った後、その使節ディーウィコー <span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[w:en:Divico|Divico]]</span> <small>(右側…」
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カエサル <small>(左側中央)</small>がアラル川 (<span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[w:la:Arar|Arar]]</span>、[[w:ソーヌ川|ソーヌ川]]) でヘルウェーティイー族 <span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[w:la:Helvetii|Helvetii]]</span> を破った後、その使節ディーウィコー <span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">[[w:en:Divico|Divico]]</span> <small>(右側中央)</small> と会見した場面 (第1巻13節~14節)。<br>19世紀スイスの画家 <span style="font-family:Times New Roman;font-size:13pt;">''[[w:en:Karl Jauslin|Karl Jauslin]]'' (1842-1904)</span>による歴史画。ヘルウェーティイー族はスイス人のルーツとみなされるため、ディーウィコーも歴史的英雄として凛々しい姿で描写されている。
[[Category:ガリア戦記 第1巻]]
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カテゴリ:ガリア戦記 第7巻
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ガリア戦記 第7巻
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『[[ガリア戦記]]』の[[ガリア戦記 第7巻|第7巻]]のカテゴリ。
[[Category:ガリア戦記|7]]
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化学熱力学
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GeSciHok
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ページの作成:「{{進捗状況}} 高校で化学を履修した人向けの、化学熱力学の教科書。 == 気体の性質 == 絶対温度というマクロな物理量が、ミクロな分子の熱運動の激しさに対応していることを学ぶ。 *[[化学熱力学/理想気体の状態方程式|理想気体の状態方程式]] *[[化学熱力学/気体分子運動論|気体分子運動論]] *[[化学熱力学/実在気体|実在気体]] == 反応熱 == 化学熱力…」
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{{進捗状況}}
高校で化学を履修した人向けの、化学熱力学の教科書。
== 気体の性質 ==
絶対温度というマクロな物理量が、ミクロな分子の熱運動の激しさに対応していることを学ぶ。
*[[化学熱力学/理想気体の状態方程式|理想気体の状態方程式]]
*[[化学熱力学/気体分子運動論|気体分子運動論]]
*[[化学熱力学/実在気体|実在気体]]
== 反応熱 ==
化学熱力学における基本概念を学ぶ。化学エネルギー・力学的エネルギー・電気エネルギー・熱エネルギーの相互変換について学ぶ。
*[[化学熱力学/系と外界|系と外界]]
*[[化学熱力学/体積変化に伴う仕事|体積変化に伴う仕事]]
*[[化学熱力学/内部エネルギー|内部エネルギー]]
*[[化学熱力学/熱力学第一法則|熱力学第一法則]]
*[[化学熱力学/定積過程・断熱過程・定圧過程・等温過程|定積過程・断熱過程・定圧過程・等温過程]]
*[[化学熱力学/熱容量|熱容量]]
*[[化学熱力学/標準反応エンタルピー|標準反応エンタルピー]]
== 反応の進む向き ==
エントロピーが「断熱系における取り返しのつかなさ」の尺度であることを学ぶ。化学反応の進む向きが、標準反応ギブズエネルギーの正負から判断できることを学ぶ。
*[[化学熱力学/準静的過程|準静的過程]]
*[[化学熱力学/熱力学第二法則|熱力学第二法則]]
*[[化学熱力学/エントロピー|エントロピー]]
*[[化学熱力学/熱力学第三法則|熱力学第三法則]]
*[[化学熱力学/ギブズエネルギー|ギブズエネルギー]]
*[[化学熱力学/標準反応ギブズエネルギー|標準反応ギブズエネルギー]]
== 化学ポテンシャル ==
化学ポテンシャルが「分子が感じる居心地の悪さ」の尺度であることを学ぶ。
*[[化学熱力学/熱力学の基本式|熱力学の基本式]]
*[[化学熱力学/化学ポテンシャル|化学ポテンシャル]]
*[[化学熱力学/純物質の状態変化|純物質の状態変化]]
*[[化学熱力学/希薄溶液の性質|希薄溶液の性質]]
*[[化学熱力学/化学平衡|化学平衡]]
[[Category:化学|かかくねつりきかく]]
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化学熱力学/気体分子運動論
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GeSciHok
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ページの作成:「気体分子運動論から、体積''V''の容器に入った単原子理想気体の圧力''p''が、気体分子の運動エネルギーの総和''K''と次の関係にあることが示される。 :<math> pV = \frac{2}{3}K </math> この式と理想気体の状態方程式、 :<math> pV = nRT </math> から、次式が得られる。 :<math> K = \frac{3}{2}nRT </math> この式は、気体分子の熱運動の運動エネルギーの平均値は、気体の種…」
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text/x-wiki
気体分子運動論から、体積''V''の容器に入った単原子理想気体の圧力''p''が、気体分子の運動エネルギーの総和''K''と次の関係にあることが示される。
:<math> pV = \frac{2}{3}K </math>
この式と理想気体の状態方程式、
:<math> pV = nRT </math>
から、次式が得られる。
:<math> K = \frac{3}{2}nRT </math>
この式は、気体分子の熱運動の運動エネルギーの平均値は、気体の種類に依らず、絶対温度''T''だけで決まることと、絶対温度というマクロな物理量が、ミクロな分子の熱運動の激しさに対応していることを示している。
4hua31wwcvzojkkbzu2f2oo1l9yw6u9
化学熱力学/理想気体の状態方程式
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ページの作成:「理想気体の状態方程式 <math>pV = nRT</math> は、ボイルの法則・シャルルの法則・アボガドロの法則を一つにまとめた式である。」
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理想気体の状態方程式 <math>pV = nRT</math> は、ボイルの法則・シャルルの法則・アボガドロの法則を一つにまとめた式である。
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