Wikibooks jawikibooks https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8 MediaWiki 1.47.0-wmf.16 first-letter メディア 特別 トーク 利用者 利用者・トーク Wikibooks Wikibooks・トーク ファイル ファイル・トーク MediaWiki MediaWiki・トーク テンプレート テンプレート・トーク ヘルプ ヘルプ・トーク カテゴリ カテゴリ・トーク Transwiki Transwiki‐ノート TimedText TimedText talk モジュール モジュール・トーク Event Event talk 高等学校倫理 0 5012 302580 300026 2026-08-22T12:41:16Z Kazu wiki Deutschland 92341 /* 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 */ 4単元への統合・再編とパイプリンクの適用 302580 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>高等学校倫理 <br>[[哲学・思想]]>高等学校倫理 高等学校の公民科目「倫理」の教科書です。 目次のタイトル・項目・内容は、下記2冊に合わせて作成しています。 * 東京書籍の教科書「倫理」(倫理701) * 文英堂の参考書「理解しやすい倫理」 学習指導要領によると、標準単位数は'''2単位'''となっています。 == 目次 == {{進捗状況}} === はじめに === [[高等学校倫理/倫理を学ぶ目的]]{{進捗|100%|2007-01-19}} === 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 === === 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 === ==== 第1章 人間としての心のあり方と青年期 ==== :* [[高等学校倫理/人間とは何か|人間とは何か]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 人間の生物学的特徴、文化的存在としての人間、さまざまな人間観(ホモ・サピエンス、ホモ・ファーベル、ホモ・ルーデンス、シンボルを用いる人間など) :* [[高等学校倫理/青年期の特徴と発達課題|青年期の特徴と発達課題]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 青年期の身体的・精神的変化、マージナル・マン(境界人)、心理的離乳、モラトリアム、エリクソン(アイデンティティの確立)、ハヴィガースト、レヴィン :* [[高等学校倫理/欲求と適応・防衛機制|欲求と適応・防衛機制]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* マズローの欲求階層説、葛藤(コンフリクト)、フロイトの精神分析、防衛機制(抑圧・合理化・昇華など) :* [[高等学校倫理/自己の探求と生きがい|自己の探求と生きがい]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 個性の形成と人格(パーソナリティ)、ユングの類型論、フランクル(『夜と霧』)、神谷美恵子(『生きがいについて』)、他者理解と自己実現 ==== 第2章 様々な人生観・倫理観・世界観I ==== # [[高等学校倫理/「哲学すること」をめざして|「哲学すること」をめざして]] # ギリシャの思想Ⅰ(ギリシャ思想の背景) # [[高等学校倫理/ギリシャの思想Ⅱ|ギリシャの思想Ⅱ]](ギリシャの自然哲学) # [[高等学校倫理/ギリシャの思想Ⅲ|ギリシャの思想Ⅲ]](ソクラテス){{進捗|00%|2024-04-03}} # ギリシャの思想Ⅳ(プラトン) # ギリシャの思想Ⅴ(アリストテレス) # ギリシャの思想Ⅵ(ヘレニズム・ローマ時代の思想) # 宗教と社会(集団的な現象としての宗教) # キリスト教Ⅰ(『旧約聖書』の倫理) # キリスト教Ⅱ(イエスの教え) # キリスト教Ⅲ(キリスト教の展開) # イスラームⅠ(ムハンマドとイスラームの教え) # イスラームⅡ(イスラームの展開) # 仏教Ⅰ(古代インドの思想) # 仏教Ⅱ(ブッダの思想) # 仏教Ⅲ(仏教の展開) # [[高等学校倫理/中国の思想Ⅰ|中国の思想Ⅰ]](古代中国の社会と思想) # 中国の思想Ⅱ(孔子と儒家の思想) # 中国の思想Ⅲ(儒教の展開) # 中国の思想Ⅳ(老荘思想) # 芸術Ⅰ(美の発見と芸術の創造・鑑賞){{進捗|00%|2024-04-03}} # [[高等学校倫理/芸術Ⅱ|芸術Ⅱ]](芸術と社会){{進捗|00%|2024-04-04}} ==== 第3章 様々な人生観・倫理観・世界観Ⅱ ==== # 近代と人間尊重の精神Ⅰ(人間主体の時代Ⅰ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代と人間尊重の精神Ⅱ(人間主体の時代Ⅱ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代思想の展開Ⅰ(新しい学問の方法){{進捗|00%|2013-07-05}} # [[高等学校倫理/近代思想の展開Ⅱ|近代思想の展開Ⅱ]](経験論と合理論の対話){{進捗|50%|2019-04-08}} # 近代思想の展開Ⅲ(社会契約説){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅰ(カント~人格の尊厳~) # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅱ(ドイツ観念論とロマン主義){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅲ(ヘーゲル~人倫の思想~){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅰ(功利主義と幸福){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅱ(社会主義思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅲ(実証主義と進化論思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅳ(プラグマティズム){{進捗|00%|2013-07-05}} # 理性への疑念(世界をとらえる知のあり方の変容){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅠ(存在への問い){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅡ(新たな知の枠組み) # 人間観・言語観の問い直しⅢ(現代思想の展開) # 他者・自然との関わりⅠ(他者と言語) # 他者・自然との関わりⅡ(民主社会の成熟のために) # 他者・自然との関わりⅢ(社会参加と奉仕) # 他者・自然との関わりⅣ(自然と人間との関わり) ==== 第4章 国際社会に生きる日本人としての自覚 ==== # 日本人の精神風土Ⅰ(日本人の自然観) # 日本人の精神風土Ⅱ(日本人の宗教観) # 日本人の精神風土Ⅲ(日本人の倫理観) # 仏教と日本人の思想形成Ⅰ(仏教の受容) # 仏教と日本人の思想形成Ⅱ(仏教の日本的展開) # 仏教と日本人の思想形成Ⅲ(仏教と日本文化) # 儒教と日本人の思想形成Ⅰ(儒教の受容) # 儒教と日本人の思想形成Ⅱ(儒教の日本的展開) # 国学の思想(国学の形成と展開) # 庶民の思想Ⅰ(庶民の思想の広がり) # 庶民の思想Ⅱ(幕末の思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代化と啓蒙思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅱ(キリスト教の受容) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅲ(社会思想の展開) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅳ(近代的な自己の追求) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代日本の創造的な思想) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅰ(戦後思想の動向) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅱ(グローバル化と日本人) === 第2編 現代の諸課題と倫理 === ==== 第1章 生命の倫理 ==== # [[高等学校倫理/医療技術の進歩と生命倫理|医療技術の進歩と生命倫理]]{{進捗|00%|2024-03-29}} # 生殖医療技術{{進捗|00%|2024-03-27}} # パターナリズムと自己決定権{{進捗|00%|2024-03-27}} # 生命の質(Quality of Life){{進捗|00%|2024-03-27}} # 臓器移植と脳死の問題{{進捗|00%|2024-03-27}} ==== 第2章 環境の倫理 ==== # 地球環境問題 # 環境保護の視点 # 環境問題と倫理 ==== 第3章 家族・福祉の課題 ==== # 家族のあり方の変容 # 家庭内における役割分担 # フェミニズムの運動 # 少子化と高齢化 ==== 第4章 地域社会の課題 ==== # 生活の基盤としての地域社会 # 地域社会の変容と課題 ==== 第5章 高度情報化社会の課題 ==== # 情報化の時代{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報化がもたらす恩恵と諸問題{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報リテラシーと情報倫理{{進捗|00%|2000-00-00}} ==== 第6章 文化と宗教の課題 ==== # グローバル化のなかの文化 # 異文化理解という課題 # 現代における宗教をめぐる問題 ==== 第7章 国際平和と人類の福祉の課題 ==== # 国際平和という課題 # 人類の福祉を求めて === 資料 === * [[高等学校倫理/先人たちの言葉]]{{進捗|00%|2019-03-27}} * [[高等学校倫理/参考文献]] [[Category:高等学校教育|りんり]] [[Category:社会科教育|高りんり]] [[Category:高等学校倫理|*]] 6ipm5z0ef1wv3eax0devexffpk377ys 302586 302580 2026-08-22T12:52:41Z Kazu wiki Deutschland 92341 /* 第2章 様々な人生観・倫理観・世界観Ⅰ */ 源流思想の各体系に合わせて5単元に統合・再編 302586 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>高等学校倫理 <br>[[哲学・思想]]>高等学校倫理 高等学校の公民科目「倫理」の教科書です。 目次のタイトル・項目・内容は、下記2冊に合わせて作成しています。 * 東京書籍の教科書「倫理」(倫理701) * 文英堂の参考書「理解しやすい倫理」 学習指導要領によると、標準単位数は'''2単位'''となっています。 == 目次 == {{進捗状況}} === はじめに === [[高等学校倫理/倫理を学ぶ目的]]{{進捗|100%|2007-01-19}} === 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 === === 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 === ==== 第1章 人間としての心のあり方と青年期 ==== :* [[高等学校倫理/人間とは何か|人間とは何か]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 人間の生物学的特徴、文化的存在としての人間、さまざまな人間観(ホモ・サピエンス、ホモ・ファーベル、ホモ・ルーデンス、シンボルを用いる人間など) :* [[高等学校倫理/青年期の特徴と発達課題|青年期の特徴と発達課題]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 青年期の身体的・精神的変化、マージナル・マン(境界人)、心理的離乳、モラトリアム、エリクソン(アイデンティティの確立)、ハヴィガースト、レヴィン :* [[高等学校倫理/欲求と適応・防衛機制|欲求と適応・防衛機制]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* マズローの欲求階層説、葛藤(コンフリクト)、フロイトの精神分析、防衛機制(抑圧・合理化・昇華など) :* [[高等学校倫理/自己の探求と生きがい|自己の探求と生きがい]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 個性の形成と人格(パーソナリティ)、ユングの類型論、フランクル(『夜と霧』)、神谷美恵子(『生きがいについて』)、他者理解と自己実現 ==== 第2章 様々な人生観・倫理観・世界観Ⅰ(源流思想) ==== :* [[高等学校倫理/ギリシャ思想|ギリシャ思想]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 自然哲学、ソフィスト(相対主義)、ソクラテス(無知の知・愛知・徳)、プラトン(イデア論・哲人政治)、アリストテレス(形相・質料・四元徳・中庸)、ヘレニズム思想(ストア派・エピクロス派) :* [[高等学校倫理/ユダヤ教・キリスト教・イスラーム|ユダヤ教・キリスト教・イスラーム]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* ユダヤ教(唯一神ヤハウェ・律法・選民思想)、イエスの教え(神の愛=アガペー・隣人愛・黄金律)、キリスト教の展開(パウロ・アウグスティヌス・トマス=アクィナス)、イスラーム(アッラー・預言者ムハンマド・『クルアーン』・六信五行) :* [[高等学校倫理/仏教とインド思想|仏教とインド思想]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* バラモン教とウパニシャッド哲学(輪廻・業・梵我一如)、ゴータマ=ブッダ(四諦・八正道・縁起・一切皆苦・慈悲)、大乗仏教(菩薩・空・中観・唯識)と上座部仏教 :* [[高等学校倫理/古代中国の思想|古代中国の思想]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 諸子百家、儒家(孔子の仁・礼、孟子の性善説、荀子の性悪説、朱子学・陽明学)、道家(老子・荘子の無為自然)、墨家(兼愛・交利)、法家(韓非子・法治主義) :* [[高等学校倫理/芸術と美の倫理|芸術と美の倫理]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 美の本質と体験、芸術の創造と鑑賞、カタルシス(浄化)、社会と芸術の関係 ==== 第3章 様々な人生観・倫理観・世界観Ⅱ ==== # 近代と人間尊重の精神Ⅰ(人間主体の時代Ⅰ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代と人間尊重の精神Ⅱ(人間主体の時代Ⅱ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代思想の展開Ⅰ(新しい学問の方法){{進捗|00%|2013-07-05}} # [[高等学校倫理/近代思想の展開Ⅱ|近代思想の展開Ⅱ]](経験論と合理論の対話){{進捗|50%|2019-04-08}} # 近代思想の展開Ⅲ(社会契約説){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅰ(カント~人格の尊厳~) # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅱ(ドイツ観念論とロマン主義){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅲ(ヘーゲル~人倫の思想~){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅰ(功利主義と幸福){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅱ(社会主義思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅲ(実証主義と進化論思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅳ(プラグマティズム){{進捗|00%|2013-07-05}} # 理性への疑念(世界をとらえる知のあり方の変容){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅠ(存在への問い){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅡ(新たな知の枠組み) # 人間観・言語観の問い直しⅢ(現代思想の展開) # 他者・自然との関わりⅠ(他者と言語) # 他者・自然との関わりⅡ(民主社会の成熟のために) # 他者・自然との関わりⅢ(社会参加と奉仕) # 他者・自然との関わりⅣ(自然と人間との関わり) ==== 第4章 国際社会に生きる日本人としての自覚 ==== # 日本人の精神風土Ⅰ(日本人の自然観) # 日本人の精神風土Ⅱ(日本人の宗教観) # 日本人の精神風土Ⅲ(日本人の倫理観) # 仏教と日本人の思想形成Ⅰ(仏教の受容) # 仏教と日本人の思想形成Ⅱ(仏教の日本的展開) # 仏教と日本人の思想形成Ⅲ(仏教と日本文化) # 儒教と日本人の思想形成Ⅰ(儒教の受容) # 儒教と日本人の思想形成Ⅱ(儒教の日本的展開) # 国学の思想(国学の形成と展開) # 庶民の思想Ⅰ(庶民の思想の広がり) # 庶民の思想Ⅱ(幕末の思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代化と啓蒙思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅱ(キリスト教の受容) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅲ(社会思想の展開) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅳ(近代的な自己の追求) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代日本の創造的な思想) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅰ(戦後思想の動向) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅱ(グローバル化と日本人) === 第2編 現代の諸課題と倫理 === ==== 第1章 生命の倫理 ==== # [[高等学校倫理/医療技術の進歩と生命倫理|医療技術の進歩と生命倫理]]{{進捗|00%|2024-03-29}} # 生殖医療技術{{進捗|00%|2024-03-27}} # パターナリズムと自己決定権{{進捗|00%|2024-03-27}} # 生命の質(Quality of Life){{進捗|00%|2024-03-27}} # 臓器移植と脳死の問題{{進捗|00%|2024-03-27}} ==== 第2章 環境の倫理 ==== # 地球環境問題 # 環境保護の視点 # 環境問題と倫理 ==== 第3章 家族・福祉の課題 ==== # 家族のあり方の変容 # 家庭内における役割分担 # フェミニズムの運動 # 少子化と高齢化 ==== 第4章 地域社会の課題 ==== # 生活の基盤としての地域社会 # 地域社会の変容と課題 ==== 第5章 高度情報化社会の課題 ==== # 情報化の時代{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報化がもたらす恩恵と諸問題{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報リテラシーと情報倫理{{進捗|00%|2000-00-00}} ==== 第6章 文化と宗教の課題 ==== # グローバル化のなかの文化 # 異文化理解という課題 # 現代における宗教をめぐる問題 ==== 第7章 国際平和と人類の福祉の課題 ==== # 国際平和という課題 # 人類の福祉を求めて === 資料 === * [[高等学校倫理/先人たちの言葉]]{{進捗|00%|2019-03-27}} * [[高等学校倫理/参考文献]] [[Category:高等学校教育|りんり]] [[Category:社会科教育|高りんり]] [[Category:高等学校倫理|*]] 5daaqakkrg49zwenofospxnca9peepi 302594 302586 2026-08-22T13:34:44Z Kazu wiki Deutschland 92341 [[Special:Contributions/Kazu wiki Deutschland|Kazu wiki Deutschland]] ([[User talk:Kazu wiki Deutschland|トーク]]) による版 [[Special:Diff/302586|302586]] を取り消し 302594 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>高等学校倫理 <br>[[哲学・思想]]>高等学校倫理 高等学校の公民科目「倫理」の教科書です。 目次のタイトル・項目・内容は、下記2冊に合わせて作成しています。 * 東京書籍の教科書「倫理」(倫理701) * 文英堂の参考書「理解しやすい倫理」 学習指導要領によると、標準単位数は'''2単位'''となっています。 == 目次 == {{進捗状況}} === はじめに === [[高等学校倫理/倫理を学ぶ目的]]{{進捗|100%|2007-01-19}} === 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 === === 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 === ==== 第1章 人間としての心のあり方と青年期 ==== :* [[高等学校倫理/人間とは何か|人間とは何か]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 人間の生物学的特徴、文化的存在としての人間、さまざまな人間観(ホモ・サピエンス、ホモ・ファーベル、ホモ・ルーデンス、シンボルを用いる人間など) :* [[高等学校倫理/青年期の特徴と発達課題|青年期の特徴と発達課題]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 青年期の身体的・精神的変化、マージナル・マン(境界人)、心理的離乳、モラトリアム、エリクソン(アイデンティティの確立)、ハヴィガースト、レヴィン :* [[高等学校倫理/欲求と適応・防衛機制|欲求と適応・防衛機制]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* マズローの欲求階層説、葛藤(コンフリクト)、フロイトの精神分析、防衛機制(抑圧・合理化・昇華など) :* [[高等学校倫理/自己の探求と生きがい|自己の探求と生きがい]] {{進捗|00%|2026-08-22}} ::* 個性の形成と人格(パーソナリティ)、ユングの類型論、フランクル(『夜と霧』)、神谷美恵子(『生きがいについて』)、他者理解と自己実現 ==== 第2章 様々な人生観・倫理観・世界観I ==== # [[高等学校倫理/「哲学すること」をめざして|「哲学すること」をめざして]] # ギリシャの思想Ⅰ(ギリシャ思想の背景) # [[高等学校倫理/ギリシャの思想Ⅱ|ギリシャの思想Ⅱ]](ギリシャの自然哲学) # [[高等学校倫理/ギリシャの思想Ⅲ|ギリシャの思想Ⅲ]](ソクラテス){{進捗|00%|2024-04-03}} # ギリシャの思想Ⅳ(プラトン) # ギリシャの思想Ⅴ(アリストテレス) # ギリシャの思想Ⅵ(ヘレニズム・ローマ時代の思想) # 宗教と社会(集団的な現象としての宗教) # キリスト教Ⅰ(『旧約聖書』の倫理) # キリスト教Ⅱ(イエスの教え) # キリスト教Ⅲ(キリスト教の展開) # イスラームⅠ(ムハンマドとイスラームの教え) # イスラームⅡ(イスラームの展開) # 仏教Ⅰ(古代インドの思想) # 仏教Ⅱ(ブッダの思想) # 仏教Ⅲ(仏教の展開) # [[高等学校倫理/中国の思想Ⅰ|中国の思想Ⅰ]](古代中国の社会と思想) # 中国の思想Ⅱ(孔子と儒家の思想) # 中国の思想Ⅲ(儒教の展開) # 中国の思想Ⅳ(老荘思想) # 芸術Ⅰ(美の発見と芸術の創造・鑑賞){{進捗|00%|2024-04-03}} # [[高等学校倫理/芸術Ⅱ|芸術Ⅱ]](芸術と社会){{進捗|00%|2024-04-04}} ==== 第3章 様々な人生観・倫理観・世界観Ⅱ ==== # 近代と人間尊重の精神Ⅰ(人間主体の時代Ⅰ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代と人間尊重の精神Ⅱ(人間主体の時代Ⅱ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代思想の展開Ⅰ(新しい学問の方法){{進捗|00%|2013-07-05}} # [[高等学校倫理/近代思想の展開Ⅱ|近代思想の展開Ⅱ]](経験論と合理論の対話){{進捗|50%|2019-04-08}} # 近代思想の展開Ⅲ(社会契約説){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅰ(カント~人格の尊厳~) # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅱ(ドイツ観念論とロマン主義){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅲ(ヘーゲル~人倫の思想~){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅰ(功利主義と幸福){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅱ(社会主義思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅲ(実証主義と進化論思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅳ(プラグマティズム){{進捗|00%|2013-07-05}} # 理性への疑念(世界をとらえる知のあり方の変容){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅠ(存在への問い){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅡ(新たな知の枠組み) # 人間観・言語観の問い直しⅢ(現代思想の展開) # 他者・自然との関わりⅠ(他者と言語) # 他者・自然との関わりⅡ(民主社会の成熟のために) # 他者・自然との関わりⅢ(社会参加と奉仕) # 他者・自然との関わりⅣ(自然と人間との関わり) ==== 第4章 国際社会に生きる日本人としての自覚 ==== # 日本人の精神風土Ⅰ(日本人の自然観) # 日本人の精神風土Ⅱ(日本人の宗教観) # 日本人の精神風土Ⅲ(日本人の倫理観) # 仏教と日本人の思想形成Ⅰ(仏教の受容) # 仏教と日本人の思想形成Ⅱ(仏教の日本的展開) # 仏教と日本人の思想形成Ⅲ(仏教と日本文化) # 儒教と日本人の思想形成Ⅰ(儒教の受容) # 儒教と日本人の思想形成Ⅱ(儒教の日本的展開) # 国学の思想(国学の形成と展開) # 庶民の思想Ⅰ(庶民の思想の広がり) # 庶民の思想Ⅱ(幕末の思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代化と啓蒙思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅱ(キリスト教の受容) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅲ(社会思想の展開) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅳ(近代的な自己の追求) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代日本の創造的な思想) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅰ(戦後思想の動向) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅱ(グローバル化と日本人) === 第2編 現代の諸課題と倫理 === ==== 第1章 生命の倫理 ==== # [[高等学校倫理/医療技術の進歩と生命倫理|医療技術の進歩と生命倫理]]{{進捗|00%|2024-03-29}} # 生殖医療技術{{進捗|00%|2024-03-27}} # パターナリズムと自己決定権{{進捗|00%|2024-03-27}} # 生命の質(Quality of Life){{進捗|00%|2024-03-27}} # 臓器移植と脳死の問題{{進捗|00%|2024-03-27}} ==== 第2章 環境の倫理 ==== # 地球環境問題 # 環境保護の視点 # 環境問題と倫理 ==== 第3章 家族・福祉の課題 ==== # 家族のあり方の変容 # 家庭内における役割分担 # フェミニズムの運動 # 少子化と高齢化 ==== 第4章 地域社会の課題 ==== # 生活の基盤としての地域社会 # 地域社会の変容と課題 ==== 第5章 高度情報化社会の課題 ==== # 情報化の時代{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報化がもたらす恩恵と諸問題{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報リテラシーと情報倫理{{進捗|00%|2000-00-00}} ==== 第6章 文化と宗教の課題 ==== # グローバル化のなかの文化 # 異文化理解という課題 # 現代における宗教をめぐる問題 ==== 第7章 国際平和と人類の福祉の課題 ==== # 国際平和という課題 # 人類の福祉を求めて === 資料 === * [[高等学校倫理/先人たちの言葉]]{{進捗|00%|2019-03-27}} * [[高等学校倫理/参考文献]] [[Category:高等学校教育|りんり]] [[Category:社会科教育|高りんり]] [[Category:高等学校倫理|*]] 6ipm5z0ef1wv3eax0devexffpk377ys 302595 302594 2026-08-22T13:35:49Z Kazu wiki Deutschland 92341 [[Special:Contributions/Kazu wiki Deutschland|Kazu wiki Deutschland]] ([[User talk:Kazu wiki Deutschland|トーク]]) による版 [[Special:Diff/302580|302580]] を取り消し 302595 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>高等学校倫理 <br>[[哲学・思想]]>高等学校倫理 高等学校の公民科目「倫理」の教科書です。 目次のタイトル・項目・内容は、下記2冊に合わせて作成しています。 * 東京書籍の教科書「倫理」(倫理701) * 文英堂の参考書「理解しやすい倫理」 学習指導要領によると、標準単位数は'''2単位'''となっています。 == 目次 == {{進捗状況}} === はじめに === [[高等学校倫理/倫理を学ぶ目的]]{{進捗|100%|2007-01-19}} === 第1編 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方 === ==== 第1章 人間の心のあり方 ==== # [[高等学校倫理/人間とは何かI|人間とは何かI]]{{進捗|00%|2023-11-05}} # [[高等学校倫理/人間とは何かII|人間とは何かII]]{{進捗|00%|2023-11-05}} # 様々な人間観{{進捗|00%|2023-10-25}} # 人間の発達{{進捗|00%|2023-10-25}} # 人間性の結晶としての文化{{進捗|00%|2023-10-25}} # 青年期とは何か{{進捗|00%|2023-10-25}} # 青年期の特徴{{進捗|00%|2023-10-25}} # 青年期の課題{{進捗|00%|2023-10-25}} # 欲求と防衛機制{{進捗|00%|2023-10-25}} # 認知{{進捗|00%|2023-10-25}} # 感情と個性{{進捗|00%|2023-10-25}} # 発達{{進捗|00%|2007-01-19}} # 生きる意味と生きがい{{進捗|00%|2007-01-19}} ==== 第2章 様々な人生観・倫理観・世界観I ==== # [[高等学校倫理/「哲学すること」をめざして|「哲学すること」をめざして]] # ギリシャの思想Ⅰ(ギリシャ思想の背景) # [[高等学校倫理/ギリシャの思想Ⅱ|ギリシャの思想Ⅱ]](ギリシャの自然哲学) # [[高等学校倫理/ギリシャの思想Ⅲ|ギリシャの思想Ⅲ]](ソクラテス){{進捗|00%|2024-04-03}} # ギリシャの思想Ⅳ(プラトン) # ギリシャの思想Ⅴ(アリストテレス) # ギリシャの思想Ⅵ(ヘレニズム・ローマ時代の思想) # 宗教と社会(集団的な現象としての宗教) # キリスト教Ⅰ(『旧約聖書』の倫理) # キリスト教Ⅱ(イエスの教え) # キリスト教Ⅲ(キリスト教の展開) # イスラームⅠ(ムハンマドとイスラームの教え) # イスラームⅡ(イスラームの展開) # 仏教Ⅰ(古代インドの思想) # 仏教Ⅱ(ブッダの思想) # 仏教Ⅲ(仏教の展開) # [[高等学校倫理/中国の思想Ⅰ|中国の思想Ⅰ]](古代中国の社会と思想) # 中国の思想Ⅱ(孔子と儒家の思想) # 中国の思想Ⅲ(儒教の展開) # 中国の思想Ⅳ(老荘思想) # 芸術Ⅰ(美の発見と芸術の創造・鑑賞){{進捗|00%|2024-04-03}} # [[高等学校倫理/芸術Ⅱ|芸術Ⅱ]](芸術と社会){{進捗|00%|2024-04-04}} ==== 第3章 様々な人生観・倫理観・世界観Ⅱ ==== # 近代と人間尊重の精神Ⅰ(人間主体の時代Ⅰ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代と人間尊重の精神Ⅱ(人間主体の時代Ⅱ){{進捗|00%|2013-07-05}} # 近代思想の展開Ⅰ(新しい学問の方法){{進捗|00%|2013-07-05}} # [[高等学校倫理/近代思想の展開Ⅱ|近代思想の展開Ⅱ]](経験論と合理論の対話){{進捗|50%|2019-04-08}} # 近代思想の展開Ⅲ(社会契約説){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅰ(カント~人格の尊厳~) # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅱ(ドイツ観念論とロマン主義){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人格の尊厳と人倫の思想Ⅲ(ヘーゲル~人倫の思想~){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅰ(功利主義と幸福){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅱ(社会主義思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅲ(実証主義と進化論思想){{進捗|00%|2013-07-05}} # 社会変革の思想Ⅳ(プラグマティズム){{進捗|00%|2013-07-05}} # 理性への疑念(世界をとらえる知のあり方の変容){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅠ(存在への問い){{進捗|00%|2013-07-05}} # 人間観・言語観の問い直しⅡ(新たな知の枠組み) # 人間観・言語観の問い直しⅢ(現代思想の展開) # 他者・自然との関わりⅠ(他者と言語) # 他者・自然との関わりⅡ(民主社会の成熟のために) # 他者・自然との関わりⅢ(社会参加と奉仕) # 他者・自然との関わりⅣ(自然と人間との関わり) ==== 第4章 国際社会に生きる日本人としての自覚 ==== # 日本人の精神風土Ⅰ(日本人の自然観) # 日本人の精神風土Ⅱ(日本人の宗教観) # 日本人の精神風土Ⅲ(日本人の倫理観) # 仏教と日本人の思想形成Ⅰ(仏教の受容) # 仏教と日本人の思想形成Ⅱ(仏教の日本的展開) # 仏教と日本人の思想形成Ⅲ(仏教と日本文化) # 儒教と日本人の思想形成Ⅰ(儒教の受容) # 儒教と日本人の思想形成Ⅱ(儒教の日本的展開) # 国学の思想(国学の形成と展開) # 庶民の思想Ⅰ(庶民の思想の広がり) # 庶民の思想Ⅱ(幕末の思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代化と啓蒙思想) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅱ(キリスト教の受容) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅲ(社会思想の展開) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅳ(近代的な自己の追求) # 西洋思想と日本人の近代化Ⅰ(近代日本の創造的な思想) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅰ(戦後思想の動向) # 国際社会に生きる日本人の自覚Ⅱ(グローバル化と日本人) === 第2編 現代の諸課題と倫理 === ==== 第1章 生命の倫理 ==== # [[高等学校倫理/医療技術の進歩と生命倫理|医療技術の進歩と生命倫理]]{{進捗|00%|2024-03-29}} # 生殖医療技術{{進捗|00%|2024-03-27}} # パターナリズムと自己決定権{{進捗|00%|2024-03-27}} # 生命の質(Quality of Life){{進捗|00%|2024-03-27}} # 臓器移植と脳死の問題{{進捗|00%|2024-03-27}} ==== 第2章 環境の倫理 ==== # 地球環境問題 # 環境保護の視点 # 環境問題と倫理 ==== 第3章 家族・福祉の課題 ==== # 家族のあり方の変容 # 家庭内における役割分担 # フェミニズムの運動 # 少子化と高齢化 ==== 第4章 地域社会の課題 ==== # 生活の基盤としての地域社会 # 地域社会の変容と課題 ==== 第5章 高度情報化社会の課題 ==== # 情報化の時代{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報化がもたらす恩恵と諸問題{{進捗|00%|2000-00-00}} # 情報リテラシーと情報倫理{{進捗|00%|2000-00-00}} ==== 第6章 文化と宗教の課題 ==== # グローバル化のなかの文化 # 異文化理解という課題 # 現代における宗教をめぐる問題 ==== 第7章 国際平和と人類の福祉の課題 ==== # 国際平和という課題 # 人類の福祉を求めて === 資料 === * [[高等学校倫理/先人たちの言葉]]{{進捗|00%|2019-03-27}} * [[高等学校倫理/参考文献]] [[Category:高等学校教育|りんり]] [[Category:社会科教育|高りんり]] [[Category:高等学校倫理|*]] 0f4igzpgtcw25e22mfd10yoo0ddxwh9 中学校理科 第1分野/物質のすがた 0 19244 302600 281549 2026-08-23T08:30:46Z ~2026-46006-00 92348 /* その他の気体 */ 302600 wikitext text/x-wiki {{Nav}} == 物質のすがた == ここでは物質の性質について調べる。まず上であげた物質の性質について簡単に解説する。最初にここで扱う物質の分類について説明する。 物質の中にはいくつかの物質が混ざってできているものがある。 例えば、空気は[[w:酸素]](さんそ)や[[w:窒素]](ちっそ)などいくつかの気体が混ざってできている。このようにいくつかの物質が混ざってできている物質のことを[[w:混合物]](こんごうぶつ、mixture)と呼ぶ。いっぽう、混合物でなく、混じりけのない物質のことを[[w:純物質]](じゅんぶっしつ、pure substance)と呼ぶ。 <!--純物質の中にはある手順を取ることで更に分解できる物質があるが、その物質が純物質であるためには、この手順は必ず[[w:化学変化]]を含んでいる必要がある。--> 純物質については、化学変化を扱う項で説明する。 === 有機物と無機物 === 木材や砂糖などは燃えると二酸化炭素を発生する。木材は炭素を含み、砂糖も炭素を含む。このように炭素を含み、天然に存在する物質を'''有機物'''(ゆうきぶつ、organic compound)という。 * 有機物の例 : 砂糖、紙、木、プラスチックなど 有機物は、加熱すると、こげる。加熱した有機物の周囲の気体は、二酸化炭素をふくむので、石灰水の入った集気びんなどで集めて、びんをふって石灰水にまぜれば、白くにごる。また、水が発生する。 いっぽう、ガラスや食塩などのように炭素を含まない物質や、燃えても二酸化炭素をふくむ物質を出さない物質を無機物(むきぶつ inorganic compound)という。 * 無機物の例 : 鉄(スチールウール)、水、ガラス、食塩、アルミニウム、(二酸化炭素)など 二酸化炭素自身は、無機物に分類するのが普通である。 無機物は、燃えない物が多い。なので、加熱しても、こげない物が多い。たとえば食塩やガラスは燃えない。ただし、無機物でも、スチールウールなどのように燃える物もある。 加熱した無機物の周囲の気体を、石灰水の入った集気びんなどで集めて、びんをふって石灰水にまぜても、なにも白くにごらない。 有機物は、生き物の体内でなくても、科学実験で、人の手によって人工的に合成できる。1828年にウェーラーによって、尿素(にょうそ)が世界で初めて人工的に合成された。それ以前は、有機物は、生き物の体内でないと、つくれないと思われていた。 ==== プラスチック ==== [[File:Plastic bottle.jpg|thumb|150px|ペットボトル容器(画像の左側)の例。右上の試験官のような形のものを金型で圧延して、ボトルの形にしている。]] プラスチック材料は,天然には産出せず、主に石油などを原料として人工的につくられた物質で'''合成樹脂'''(ごうせいじゅし、synthetic resin)ともよばれる。 プラスチックは軽くて、割れにくく、加工しやすいので、いろいろな形のものをつくることができ、我々の生活を快適にしている物質といえる。 プラスチックは,炭素をふくむ物質であり、有機物のなかまである。そのため共通して加熱するととけてやわらかくなったり、燃え出したりする性質がある。 実験などでプラスチックを燃やすときは、換気をしながら実験すること。プラスチックプラスチック素は燃やすと、一般に二酸化炭素をふくむ気体が発生する 。 プラスチックの種類によっては、ダイオキシン有害な成分をふくむ気体もあるので換気をする必要があり、自治体によってはダイオキシン類対策特別措置法関連条例で禁止されている場合もある。 実験などは、学校の理科教員の指示にしたがって行うこと。 中学校で有機物として習うようなプラスチックは、つまり、ポリエチレン・ポリスチレン・ポリエチレンテレフタラート・ポリプロピレン・ポリ塩化ビニルは、燃やすと二酸化炭素が出てくる。これらのプラスチックを燃やして出た気体を集気ビンなどで集め、石灰水に通すと、二酸化炭素をふくむため、石灰水は白くにごる。 また、プラスチックは一般に熱や電気を通しにくい性質をもっている(しかし、近年は電気を通すプラスチックも開発されている)。 [[File:LDPE_bottle.jpg|thumb|100px|ポリエチレンの容器.]] プラスチックにはいろいろな種類がある。例えば、ペットボトルに使われている栓はポリエチレン(PE)でできており、本体はポリエチレンテレフタラート(PET)とよばれるプラスチックである。 {| class="wikitable" |+ おもなプラスチック ! 種類 || 用途 || 性質 || 密度/(g/cm<sup>3</sup>) |- |ポリエチレン<br />(PE) || *ふくろなどの包装材 *バケツ |水に浮く。<br />油や薬品に強い。 || 0.92~0.97 |- |ポリエチレンテレフタラート<br />(PET) || *ペットボトル |透明性が高い。<br />圧力に強い。<br />水より重く、沈む。 || 1.38~1.40 |- |ポリスチレン<br />(PS) || * 発泡材 * 食品トレイ * CDケース  |軽い。 || 1.05~1.07 |- |ポリプロピレン<br />(PP) || * ストロー * ペットボトルのふた |熱に強い。<br />水より軽く、水に浮く。 || 0.90~0.91  |- |ポリ塩化ビニル<br />(PVC) || * 水道管 * ホース * 消しゴム |燃えにくい。<br />薬品に強い。<br />水より重く、沈む。  || 1.2~1.6 |} ==== 金属 ==== この節では、固体の金属の性質を考える。 * 金属は、電気を通しやすい。 * 金属は熱を伝えやすい。 * 表面にかがやきがある。金属光沢(きんぞく こうたく)がある。 * 金属は、力を加えると、のばせたり、広げられたりする。なお、のばせる性質を延性(えんせい)という。たたくと広がる性質を展性(てんせい)という。 金属は、すべて無機物である。 フライパンで加熱する部分に鉄が用いられたり、やかんで加熱部に鉄などが用いられるのは、金属が熱を伝えやすいからである。フライパンの手で持つところは、熱を伝えにくいようにプラスチックなどで出来ている。 金属では、電気と熱を伝えやすい。このことから、「金属中で熱を伝えている物質は電気ではないのか?」という疑問が浮かんでくるかもしれない。じっさいに、金属中では電気が熱を伝えていることが、さまざまな実験により確かめられている。 * 磁石につくかどうかは、金属の性質ではない。銅は磁石につかないしアルミニウムも磁石につかないが、鉄は磁石につく。鉄も銅もアルミニウムも金属である。 : ※範囲外  なお、スチール缶やスチールウールなどの「スチール」(steel)とは、鋼(はがね)のことである。鋼(はがね)とは、鉄と炭素の合金のこと。スチールの成分は、鉄がほとんどで、ほんの少し、炭素が混ざっている。製鉄(せいてつ)のさい、鉄に炭素がまざって造られると、硬い(かたい)鋼になる。 : ※範囲外  「ステンレス鋼」(ステンレスこう、stainless steel)とは、鉄を主成分に、クロムなどが10%ほどの多い割合で加わった合金。このため、ステンレス鋼は磁石につかないのが、普通である。 ===物質の密度=== 物質の'''密度'''(みつど、density、デンシティ)とは、物質の単位体積あたりの質量を表す値である。密度の単位は、 g/cm<sup>3</sup> などである。 :{| style="border-collapse:collapse;border-spacing:0;" |+ style="font-weight:bold"| 質量・体積と密度の関係 |- style="text-align:center | style="white^space: nowrap" | 密度 [g/cm<sup>3</sup>] = &nbsp; || &nbsp;物質の質量 [g]&nbsp;<HR style="height:1px; background-color:black;>&nbsp;物質の体積 [cm<sup>3</sup>]&nbsp; |} : 密度 = 質量 ÷ 体積 密度は形状などによらず、同じ物質なら、密度は一定である。このため、ある物質の質量と体積は比例する。 さて、同じ体積の紙と銅とで重さを比べた場合、銅の方が重い。このことは、銅の密度が紙の密度よりも大きいことを示している。<!--体積の測定が極めて難しい多孔性の紙を引き合いに出すのはいかがなものか、鉄とアルミニウムの方がマシ?--> ある物質の密度が、水の密度 1.00 g/cm<sup>3</sup> よりも軽いとき、物質は水に浮く。なお、 リットルとcm<sup>3</sup>の関係は、 :1 L = 1000 cm<sup>3</sup> である。 * 実験 同じ体積の紙と銅を用意し、その重さの違いを確かめよ。重さの違いを確かめるには[[w:天秤]](てんびん、balance)などを利用することができる。 ; 密度について 密度はあらゆる物質が持つ量であり、その値は物質によって非常に異なっている。水のような液体や、空気のような気体の密度は通常固体の密度よりも小さい。すぐ後で扱うが、多くの物質は温度(と圧力)によって、その状態を"気体"、"液体"、"固体"に変化させる。このとき、物質の状態変化に伴って、物質の密度はこの順に大きくなることが普通である。つまり、ほとんどの物質で、固体の密度がもっとも大きく、つぎに液体の密度が大きく気体の密度はもっとも低い。 水はこの一般則の例外であす。水においては、"固体"(氷)の密度が"液体"(水)の密度よりも小さい。これは"氷が水に浮かぶ"性質につながっている。水の密度は、4 ℃ の液体のときが、もっとも密度が高い。 密度の単位は g/cm<sup>3</sup> (グラム毎立方(まいりっぽう)センチメートル ) またはkg/m<sup>3</sup> (キログラム毎立方メートル ) で与えられる。 * いろいろな物質の密度 : (温度をしめしていない物は、20℃での密度の値) {| style="width:100%" |+ style="font-weight:bold"|いろいろな物質の密度 |valign=top style="width:30%;text-indent:1em"| {| class="wikitable" |+ 固体 ! 物質名 || 密度/(g/cm<sup>3</sup>) |- | 氷(こおり)、0℃ || 0.92 |- | アルミニウム || 2.69 |- | 鉄 || 7.87 |- | 銅 || 8.96 |- | 金 || 19.3 |- |} |valign=top style="width:30%;text-indent:1em"| {| class="wikitable" |+ 液体 ! 物質名 || 密度/(g/cm<sup>3</sup>) |- | 水(みず)、4℃ || 1.00 |- | エタノール || 0.79 |- | 水銀 || 13.5 |- | 灯油 || 0.80~0.83 |- |} |valign=top style="width:40%;text-indent:1em"| {| class="wikitable" |+ 気体 ! 物質名 || 密度/(g/cm<sup>3</sup>) |- | 空気 || 0.00120 |- | 水素 || 0.00008 |- | 二酸化炭素 || 0.00184 |- | 酸素 || 0.0013 |- | 水蒸気(100℃) || 0.0006 |- |} |} === 天びんの使い方 === * 上皿てんびん [[ファイル:Balance de type Beranger 1kg.jpg|上皿天秤|thumb]] [[ファイル:Balance (PSF).jpg|thumb|上皿天秤に分銅を追加する図。<br />図では、薬包紙が見えませんが、理科の実験では、粉を乗せる時は薬包紙を使ってください。]] : (※ 日本の中学校で使うような上皿てんびんの画像を募集中。だれか撮影するか描くかして作ってください。) 質量を測定するときは、'''上皿天びん'''(うわざらてんびん)などの'''天びん'''(てんびん)を用いる。 ; 上皿天びんの操作方法 物質の質量を測定する場合は、片側に被測定物をのせ、反対側に分銅を載せる。分銅を質量の基準とする。 両方の皿の釣り合いを見て、質量を判断する仕組みである。 なので、皿に物を乗せる前に、両方の皿が釣り合っているかどうかを確認する必要が有る。もし、釣り合っていなかったら天びん本体に調整用のねじ等が付いているので、それで両方の皿が吊り合うように調整してから、皿に物を乗せる。 粉末などを測定する場合は、粉末が溢れたりしないように薬包紙(やくほうし)などを用いる。この場合は薬包紙を分銅を載せる側の皿にも置いた上で上記の調整を施したり、もしくは薬包紙の質量をあらかじめ測定しておく。 分銅は、あまり直接には、手で触らないようにする。 手の皮脂などが分銅につくと、その皮脂などの質量が追加した分だけ、重さが変わってしまうからである。 軽い分銅を皿に載せたりおろしたりする場合なら、専用のピンセットが天びんに付属していることがあるので、その付属のピンセットなどを用いる。 上皿てんびんの手順 # 上皿てんびんを水平な台の上に置く。 # 両方のうでに、それぞれ皿をのせる。まだ、分銅も測りたい物も、のせない。 # 指針が目もりの中央をさすように、調節ねじ で調整する。 # 右利きの場合、左の皿に、測りたい物をのせる。右の皿には、すこし質量が重そうな重りをのせ、つりあうように分銅を変えていく。(粉末の試料をのせる場合は、薬包紙を使う。) # 針のふれを見て、左右がつりあえば、そのときに左右のうでにかかる重さが、つりあっている。 # 使いおわったら、皿を片方のうでに、重ねておく。 *電子てんびん [[File:Analytical balance mettler ae-260.jpg|thumb|220px|電子てんびん]] 電子てんびんの場合、上皿てんびん とは違い、左右のうでは無い。 電子てんびんの手順 # 電子てんびんを水平な台の上に置く。 # 何ものせない時に、表示が 0g(ゼログラム) になるようにセットする。重さの表示値が「0.0」や「0.00」などの表示になるようにする。 # 薬包紙を使う場合は、さきに表示を 0g にセットしてから、薬包紙をのせ、もう一度、表示を 0g にセットする。 # はかりたい物をのせる。薬品の重さをはかりたい場合は、静かに、少しずつ、のせる。 # 表示値を読み取る。表示値が、はかりたい物の重さである。 ===気体の性質=== ==== 気体の集め方 ==== ; 水上置換法 [[File:水上置換法svg.svg|thumb|300px|気体の集め方における、水上置換法。集気ビンは、水で満たしておく。集め始めの、最初のほうの気体には、空気がまざっているので、最初のほうの気体は集めない。]] 科学実験で発生させた気体を集める場合、気体が'''空気よりも軽い'''物質の場合は、空気中を上昇していくので、補集用のフラスコなどは'''下'''向きにして集める必要がある。 水に溶けない気体の場合は、水を満たした水槽に、フラスコを開いた口を下向きにして入れ、フラスコの内部は水(みず)で満たしておき、このフラスコの中にガラス管などで気体を導く。この方法を'''水上置換法'''(すいじょうちかんほう、)という。 酸素や水素は水に溶けにくいので、水上置換法で集められる。 水に溶ける物質でも、'''溶けにくい'''物質ならば、水上置換法で集める場合もある。 ; 上方置換法 空気よりも'''軽い'''気体を集める場合で、'''水に溶けやすい物体を集める場合'''や、水に溶けにくい気体でも水に溶かしたくない場合などは、水を使わない方法で集める必要がある。フラスコの開いた口を'''下'''向きにし、そのフラスコの内部にガラス管などで気体を導く。このとき気体を導くための管は、フラスコの奥の上の方まで入れる必要がある。このような集め方を'''上方置換法'''(じょうほうちかんほう)という。 ; 下方置換法 空気よりも重い気体を集める場合は、補集用のフラスコなどは、開いた口を上向きにして集める必要がある。 この集め方を'''下方置換法'''(かほうちかんほう)という。 <gallery widths="200px" heights="200px"> File:上方置換法-svg.svg|上方置換法の図。気体を送るためのガラス管は、集気ビンの奥のほうまで入れる。 File:下方置換法-svg.svg|下方置換法の図。気体を送るためのガラス管は、集気ビンの奥のほうまで入れる。 </gallery> ==== いろいろな気体の性質 ==== ここでは、理科の実験でよく用いられる気体の性質についてまとめる。 ===== 二酸化炭素 ===== [[File:二酸化炭素の合成実験 svg.svg|thumb|400px|化学実験における、二酸化炭素の合成実験での、装置の組立て図。]] * 作り方の一例 : 石灰石に、うすい塩酸をくわえると、作れる。石灰水のかわりに、貝殻や卵の殻、大理石やチョークを用いても良い。石灰石は、炭酸カルシウムという物質で出来ている。この炭酸カルシウムと塩酸が反応することで二酸化炭素が出来る。 :: <span style="font-size: large">石灰石 + うすい塩酸 → 二酸化炭素</span> *その他の作り方 ** 炭酸水素ナトリウム( 重曹(じゅうそう) )を加熱する。炭酸水素ナトリウムの加熱分解(かねつ ぶんかい)で、二酸化炭素が出来る。 ** ふくらし粉(ふくらしこ)(=ベーキングパウダー)を加熱する。主成分が重曹(じゅうそう)なので。 性質 * 二酸化炭素は燃えない。助燃性(じょねんせい)も無い。そのため、二酸化炭素の集まったビンに線香を入れると、すぐに線香の火は消える。 * 二酸化炭素は空気より重い。二酸化炭素の密度は、空気の密度の約1.5倍。そのため、化学反応で発生させた二酸化炭素を集めるときは、下方置換法で集められる。 * 二酸化炭素の水に溶ける量が小さいので、水上置換法で集めても良い。 * 二酸化炭素は水に少し溶け、水溶液は <span style="font-size: large">弱い酸性</span> である。二酸化炭素の溶けた水溶液のことを <span style="font-size: large">炭酸水</span>(たんさんすい) という。 *: そのため、炭酸水は青色リトマス試験紙を赤色に変える。 *: また、炭酸水に緑色のBTB溶液を加えると、BTB溶液を黄色く変わる。 * 二酸化炭素を石灰水に通すと、石灰水が白くにごる。化学実験で発生した気体が二酸化炭素かどうかの確認方法に、この石灰水との反応が用いられることが多い。 *: 石灰水の白い色は、炭酸カルシウムが発生したためである。もとの石灰水は水酸化カルシウムをふくんでおり、石灰水に二酸化炭素を通すと、この水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化する。炭酸カルシウムは水には溶けず色が白いので、石灰水が白くにごる。 * 関連事項など 二酸化炭素(にさんかたんそ、carbon dioxide)は、空気中に0.03%程含まれる気体であり、酸素原子に炭素原子が2つ結合した分子からなる気体である。二酸化炭素は我々に取って身近な気体である。我々は呼吸をする際、酸素を吸収して二酸化炭素を排出している。これは我々が食物からエネルギーを取り出すさいに酸素を消費すると同時に、二酸化炭素を排出することと対応している。一方、植物は[[w:光合成]](こうごうせい、photosynthesis)によって二酸化炭素を吸収しつつ、酸素を排出する。これは呼吸と逆の反応である。光合成について詳しくは、[[中学校理科 第2分野]]を参照。 二酸化炭素は炭素と酸素が結合する(炭素が燃える)ことで生じる。我々の身の回りにある物の多くも炭素を含んでいる。例えば[[w:綿]](めん、cotton、コットン)などの[[w:天然繊維]](てんねんせんい、natural fiber)でできた衣類は炭素を含んでおり、それらが燃えるときには二酸化炭素が発生する。また、[[w:石油]](petroleum、ペトロレウム)やガソリン(gasoline)も炭素を含んでおり、燃えるときには二酸化炭素を発する。 二酸化炭素は空気よりも重い気体であるので、二酸化炭素を集める時には捕集器具を下方に置く('''下方置換法''' [[w:下方置換]])。二酸化炭素を水に溶かした溶液は、[[w:炭酸]](たんさん、carbonic acid)と呼ばれ、弱い酸性の水溶液になる。 ===== 酸素 ===== [[File:酸素の合成実験svg.svg|thumb|400px|酸素の生成実験での、装置の組み立て図。]] [[w:酸素]](さんそ、oxygen、英:オキシジェン)は空気中に20%ほどの割合で含まれる気体であり、我々にとって身近な気体である。我々は[[w:呼吸]](こきゅう、breathing、ブリジング)をする際体内に酸素を取り入れている。これは、我々が生命活動を行うのに必要なエネルギーを生産するために、食物から吸収した栄養素と酸素とが必要になるからである。 また、酸素は物体が燃えるために必要である。例えば、木に火をつける際、よく火が起こりかかった所に息を吹きかけて火を起こすが、これは木が燃えるために必要な酸素を送り込んでいるのである。より詳しくいえば、木の表面は炭素を含んだ物質でできており、物質中の炭素と空気中の酸素が結合する反応によって熱が発生するのである。 物が燃えるのに、酸素との結合が必要なことを、酸素の <span style="font-size: large">助燃性</span>(じょねんせい) と言う。可燃物が濃度の高い酸素と反応すると、火花を出して、はげしく燃えるので、実験時は取扱いに注意のこと。 [[File:Manganese-dioxide-sample.jpg|thumb|二酸化マンガン]] 実験室では、薄い'''過酸化水素水'''(かさんかすいそすい)を用いて酸素を発生させることが多い。[[w:過酸化水素水]](hydrogen peroxide)は平時でも酸素と水とに分解するが、'''二酸化マンガン'''(にさんかマンガン、manganese dioxide)を加えることでその反応を促進することができる。ただし、このとき反応を行うのはあくまで過酸化水素水のみであり、[[w:二酸化マンガン]]は反応の際に変化しない。このように反応の際に自身は変化せずに他の反応を促進する働きがある物質を、'''触媒'''(しょくばい、catalyst、カタリスト)と呼ぶ。([[w:触媒]]について詳しくは[[高等学校化学]]などを参照。) :<span style="font-size: large">二酸化マンガン + オキシドール → 酸素</span> ;オキシドール なお、消毒薬で「オキシドール」というものがあるが、これは過酸化水素水の水溶液である。 過酸化水素水は血液に混ざると、血液中に含まれる'''カタラーゼ'''という物質が触媒の作用をし、過酸化水素水を分解して、酸素と水に分解する。 消毒薬のオキシドールを傷口につけると発泡するのは、酸素が発生したためである。 生のレバーにもカタラーゼがふくまれているので、生レバーにオキシドールをかけても、酸素が発生する。 その他の作り方 * 酸化銀を加熱して、発生した気体を水上置換法で集めれば酸素である。 * 酸素系漂白剤に湯を加える。 ※ 製品表示に「まぜるな危険」と書いてある漂白剤や洗剤などは、まぜてはいけない。有毒な気体が発生する恐れがある。 酸素の集め方 * 水に溶けにくく、空気より軽いので、水上置換法で集める。 魚などの水中の生き物は、水に、わずかに溶けている酸素を呼吸している。 ===== 水素 ===== [[File:水素の合成実験svg.svg|thumb|500px|水素の合成実験]] '''水素'''(すいそ、英: hydrogen、ハイドロジェン)は非常に軽い気体であり、空気中で燃える。(可燃性(かねんせい)である。) 水素が燃えるとき、水素が酸素と結合することで水が発生する。 可燃性なので、実験時は取扱いに注意。学校の先生の指導をキチンと聞くこと。 作り方 * 亜鉛に、うすい塩酸を加えると、水素が発生する。 *: <span style="font-size: large">亜鉛 + 塩酸 → 水素</span> * または、塩酸(えんさん、hydrochloric acid、ハイドロクロリック・アシッド)などの酸性の溶液と、金属(例えばアルミニウムや鉄)を反応させることで水素を発生させることができる。 集め方 * 水に溶けにくいので、水上置換法で集める。 性質 * 水素は気体の中で、一番、軽い。水素は空気よりも軽いので、かつては飛行船を浮かせるための気体としてヨーロッパなどで用いられたこともある。 * 無色・無臭・無味である。 * 水素には可燃性はあるが、助燃性は無い。そのため、空気中の酸素もふくめて、まったく酸素のない、純粋な水素の中では、燃えない。 ===== アンモニア ===== [[File:アンモニア合成実験svg.svg|thumb|400px|アンモニア合成実験の説明図。]] '''アンモニア'''(英:ammonia)は窒素と水素からなる分子であり、性質は匂いの強い気体であり、また水に溶けやすい。アンモニアの水溶液はアルカリ性を示す。アンモニアは空気よりも軽く、補集するときには器具を上に置いて捕集する。(アンモニアは水に溶けるので、水上置換法では集められず、'''上方置換法'''でアンモニアを集める必要がある。) なお、アンモニアのにおいを確認するときは、手であおぐなどして、アンモニアから鼻のほうへ風を送って、においを確認する。 けっして、直接、鼻を近づけて確認してはいけない。鼻を近づけて確認すると危険である。 アンモニアの作り方 * 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて、加熱する。 *: <span style="font-size: large">塩化アンモニウム + 水酸化カルシウム → アンモニア</span> *性質 ** 無色である。 * 刺激臭があり、有毒。けっして直接、鼻で、臭いをかいではいけない。かぐときは、手であおいで、間接的に臭いをかぐ。 *: (※ 画像募集中。アンモニアなどの臭いをかぐ時の、かぎかたの説明画像。) * 水に良く溶ける。そのため、水上置換法では、集められない。 * 空気より軽く、水に溶けてしまうので、集めるときは上方置換法で集める。 * 水溶液は、アルカリ性をしめす。赤色リトマス紙を青色に変える。BTB溶液の緑色(=中性)から、BTB溶液を青色(=アルカリ性)に変える。また、フェノールフタレイン溶液を赤くする。(アルカリ性のもとでは、フェノールフタレイン溶液は赤くなる。) [[File:Fountain of ammonia 2.svg|thumb|150px|アンモニアの噴水]] * 燃えない。可燃性も助燃性も無い。 * アンモニアは塩化水素と反応して、白煙を生じる。塩化水素は塩酸にふくまれている。アンモニアの確認に、この反応が用いられる。実験する時は、ガラス棒の先に濃い塩酸をつけて、そのガラス棒を気体の入った集気ビンなどの口に近づける。 ===== 窒素 ===== 窒素(ちっそ)は、大気の80%を占める気体であり、水に溶けにくく、化学反応を起こしにくい性質を持つ。 性質 * 無色であり、においは無い。 * 空気よりも、わずかに軽い。 * 水に溶けにくい。 * 燃えない。助燃性も可燃性も無い。 * 化学的に安定している。 ===== 空気 ===== 大気中の空気は、主に、80%ちかくは窒素であり、20%ちかくが酸素である。なお、水蒸気は、空気の成分にはふくめないのが一般的である。大気中の空気のうち、二酸化炭素などは、ごくわずかである。 ==== その他の気体 ==== 危険な性質のため、中学校では実験をして生成する機会は無いが、他にも知っておくべき気体がある。 * 二酸化硫黄 ** 硫黄を燃やしたときに、できる物質である。火山ガスにもふくまれる。 ** 有毒である。 ** においは刺激臭であり、卵のくさったようなにおいがする。 ** 空気よりも重い。二酸化硫黄の密度は、空気の2.3倍。 ** 水に溶けやすい。水溶液は酸性である。 ** 漂白作用がある。 ** 酸性雨の原因の物質の一つでもある。 * 塩素 ** 有毒である。かなり毒性が強い。 ** 黄緑色をしている。刺激臭がある。 ** 空気より重い。塩素の密度は、空気の約2.5倍。 ** 水に溶けやすく、水溶液は酸性である。 ** 水溶液には漂白作用や殺菌作用がある。そのため、洗剤などにも用いられている。 プールの消毒剤や、水道水の消毒にも、塩素が用いられている。 * 塩化水素 ** 無色である。刺激臭がある。有毒である。 ** 水に溶けやすく、水溶液は塩酸であり、強い酸性をしめす。 * 一酸化炭素 ** 有毒であり、かなり毒性が強い。酸素が不足した不完全燃焼で発生する。 不完全燃焼をふせぐため、物を燃やすときには、換気をする必要がある。 * メタン ** 都市ガスの主成分。 ** 無色。無臭である。 都市ガスでは、ガスもれを分かりやすくするため、いやな臭い(におい)がつけてある。 ** 水に溶けにくい。 * プロパン ** LPガスの主成分。 ** 無色。無臭である。  都市ガスもプロパンガスも、主成分のメタンやプロパンそのものには、においが無い。ガスもれを気づきやすくするという、安全上のため、いやな臭い(におい)がつけてある。 メタンは空気よりも軽いので、ガスが漏れたときは、上のほうに たまる。プロパンは空気よりも重いので、ガスが漏れたときは、下のほうに たまる。 * ブタン ** カセットコンロの燃料の気体として利用されている。 ** 無色。無臭である。  {| class="wikitable" |+ おもな気体の性質 ! 気体|| 色 || におい || 密度/(g/L) || 水に対する<br />溶けやすさ || その他の性質 |- | 二酸化炭素 || ない || ない || 1.84 <br />(空気の1.5倍) || 少し溶ける。<br />水溶液は酸性。炭酸水。 || 石灰水を白くにごらせる。 |- | 酸素 || ない || ない || 1.33 <br />(空気の1.1倍) || 溶けにくい。 || ものを燃やす働きがある。<br />空気中のおよそ <math>\frac{1}{5}</math> の割合をしめる。 |- | 水素 || ない || ない || 0.08 <br />(空気の0.07倍) || 溶けにくい。 || 火をつけると酸素と化合して、はげしく燃えて、水ができる。 |- | アンモニア || ない || 刺激臭 || 0.72 <br />(空気の0.60倍) || とても溶けやすい。<br />水溶液はアルカリ性。 || 有毒。<br />水溶液は、アルカリ性なので、赤色リトマス紙を青くする。 |- | 窒素 || ない || ない || 1.16 <br />(空気の0.97倍) || 溶けにくい。 || 燃えない。<br />空気中のおよそ <math>\frac{4}{5}</math> の割合をしめる。<br />化学的に安定しており反応しづらい。 |- | 塩素 || 黄緑色 || 刺激臭 || 3.00 <br />(空気の2.5倍) || 溶けやすい。水溶液は酸性。 || 有毒。<br />漂白作用・殺菌作用がある。 |- | 塩化水素 || ない || 刺激臭 || 1.53 <br />(空気の1.3倍) || とても溶けやすい。<br />水溶液は酸性であり、希塩酸である。 || 水溶液は酸性なので、青色リトマス紙を赤くする。 |} == 水溶液 == === 水溶液の性質 === 砂糖を水に溶かすと砂糖水ができる。食塩を水に溶かすとこのとき、食塩水ができる。 :溶質(ようしつ) ・・・ 水にとかした砂糖や食塩のように、水に溶けている物質を'''溶質'''(ようしつ、solute、ソリュート)という。 :溶媒(ようばい )・・・ 砂糖水や食塩水での、水のように、溶質を溶かしている液体を'''溶媒'''(ようばい、solvent、ソルベント)という。 :溶液(ようえき) ・・・ 溶質が溶媒に溶けた液を'''溶液'''(ようえき、solution、ソリューション)という。砂糖水や食塩水は溶液である。 :水溶液(すいようえき) ・・・ 溶媒が水の溶液を'''水溶液'''(すいようえき、aqueous solution)という。砂糖水や食塩水は水溶液である。 * 水溶液の性質 :* 水溶液は透明である。色は無色とは、かぎらない。溶質によっては、色が付いている場合もある。たとえば硫酸銅の水溶液は青くて透明である。「透明」とは、向こう側が見えるかどうかのことであって、色がついているかどうかとは無関係である。 :* 溶液中での溶質の濃さはどの部分でも同じである。 :* 水溶液は放置しても、温度が変わらなければ、溶質は溶けたままであり、透明なままであり、溶質がしずんだりしないし、にごったりもしない。 :* 溶質は、固体とは、かぎらない。気体や液体が溶質の場合もある。たとえば炭酸水は、二酸化炭素という気体がとけた水溶液である。 :* 砂糖や食塩が水に溶けても、消えたわけではないので、重さは残る。そのため、くわえた砂糖や塩のぶんだけ、水溶液の重さは増える。 たとえば何も溶かしていない水100gが入ってるビーカーに、食塩を20gくわえて溶かすと、食塩水の水溶液の重さは120gになる。(なお、水100gに対し、温度20℃では食塩は37gくらいまで溶ける。) たとえ、溶質を多く くわえすぎて、溶けのこりが出ても、ビーカー内の重さは はじめの水の重さと加えた溶質の重さの合計であり、質量は失われない。 [[File:Paper filter folding and filtration.JPG|thumb|ろ紙は、折って、ろうと台に入れて、用いる。]] :* 溶質は、ろ紙(ろし)を通過する。 :* 石灰水そのものは、水酸化カルシウムのとけた水溶液であり、透明である。二酸化炭素を通して白くにごるのは、二酸化炭素を通すと溶質が変化をして炭酸カルシウムという溶けない白色の物質に変わったからである。 :* 硫酸や塩酸も、水溶液である。 * ろ紙の使い方 ** ろうと台を用いる。 ろ紙の選び方は、折って開いたあとに、ろうとの8分目ぐらいの大きさになる物をえらぶ。 ろ紙の折り方 {| |[[File:ろ紙の折り方.png|thumb|理科実験などで使う、ろ紙の折り方の手順。]] |[[File:ろ過 器具 svg.svg|thumb|ろ過の器具の使い方。]] |[[File:Filtracia.png|thumb|1:ビーカー および ろ過前の液体、 2:支持台、 3:ろうと、 4:ろ過された溶液、 5:支持台、 6:ガラス棒、 7:ろ紙 。]] |} :二つ折りにする。 → 4つ折りにする。 → 円すい形に ひらく。 → ろうと に はめる。 → ろ紙に水をつけて、ろうとに接着させる。 ::(※ 画像を募集中。ろ紙の折り方・使い方を説明する画像を、だれか描いてください。) :* ろうとの先は、ろ過後の液体の入るビーカーの口につける。ろうとの先がナナメに とがっているので、とがって長くなってる側を受け入れ側のビーカーにつける。 :* ろ過させたい液体は、ガラス棒を伝わらせて、入れる。ろ過前の液体の入ってるほうのビーカーの口は、ろうとの上にある。ろ過前の液体の入ってるほうのビーカーの口は、直接は ろうと に、ふれない。 :* ろ過させたい液体を、ろ紙の8分目くらいまで入れる。入れすぎないようにする。 {{コラム|コラム: コロイド溶液| 牛乳は、不透明です。しかし、牛乳を放っておいても、沈殿は出来ません。いっぽう、ふつうの泥水(どろみず)は、放っておくと、沈殿ができます。 牛乳のような、水溶液ではないけれど、沈殿もできない液体を、'''コロイド溶液'''(コロイドようえき)といいます。 血液や墨汁も、コロイド溶液です。 コロイド溶液は、粒子がとても小さいので、水となじんで、沈殿をしないのです。 コロイド溶液では、粒子は、液体中に均等に分散しています。 コロイド溶液を、無理に水と粒子に分けるには、遠心分離機(えんしん ぶんりき)という装置を使います。(※ 遠心分離機の装置が高度なので、中学生は、実験しなくていい。) [[File:Tyndalův efekt na koloidní směsi mléka.jpg|thumb|left|チンダル現象 ]] 牛乳のほか、書道などで使う墨(すみ)も、コロイドです。墨を放置しても、沈殿しません。 :※ 参考書では、受験研究社がコロイドを紹介している。受験研究社は述べてないが、昭和の昔から、小学生レベルくらいの科学図鑑で、コロイドと次のチンダル現象は、定番の内容。 うすいコロイド溶液に、ペンライトでもレーザーポインターでも何でも良いですが、細い光を当てると、光の通路が見えます。これを'''チンダル現象'''と言います。 いっぽう、純粋や水溶液に光を当てても、通路は見えないです(受験研究社)。 }} {{-}} === 質量パーセント濃度 === 水溶液の溶質の濃さを数値化したものを'''濃度'''(のうど、concentration、コンセントレイション)と言う。 水溶液の濃度を表す場合は、いろいろな表し方がある。このうち、よく用いられる質量パーセント濃度の表し方を説明する。 水溶液の全体の質量(溶媒の質量だけでなく、水溶液全体の質量)に対する、溶質の質量をパーセント表示したものが、質量パーセント濃度である。 式で表すと、 :質量パーセント濃度[%] = { 溶質の質量[g] / 溶液の質量[g] }× 100 <TABLE BORDER=0 CELLSPACING=0 CELLPADDING=0> <TR ALIGN=center> <TD NOWRAP>  質量パーセント濃度[%] = </TD><TD NOWRAP>&nbsp; 溶質の質量[g]&nbsp;<HR SIZE=1 COLOR=0>&nbsp; 溶液の質量[g]&nbsp;</TD> <TD>× 100</TD> </TR> </TABLE> あるいは :質量パーセント濃度[%] = { 溶質の質量[g] / (溶質の質量[g] + 溶媒の質量[g] ) }× 100 <TABLE BORDER=0 CELLSPACING=0 CELLPADDING=0> <TR ALIGN=center> <TD NOWRAP>  質量パーセント濃度[%] = </TD><TD NOWRAP>&nbsp; 溶質の質量[g]&nbsp;<HR SIZE=1 COLOR=0>&nbsp; 溶質の質量[g] + 溶媒の質量[g]&nbsp;</TD> <TD>× 100</TD> </TR> </TABLE> である。 === 飽和と溶解度 === ある物質を一定量の水に溶かしていき、その物質がもうこれ以上は溶けきれなくなったときのことを'''飽和'''(ほうわ、saturation、サチュレイション)という。 :水100gに対し、温度20℃では食塩は37gくらいまで溶ける。 :水100gに、温度20℃では砂糖は200gくらいまで溶ける。 :飽和水溶液(ほうわ すいようえき) ・・・ 飽和した状態の水溶液を'''飽和水溶液'''(ほうわすいようえき、saturated solution など)という。 :溶解度(ようかいど) ・・・ 水100gに物質を溶かして飽和水溶液にしたとき、溶けた溶質の質量をその物質の'''溶解度'''(ようかいど、solubility、ソリュビリティ)という。物質ごとに溶解度はちがう。 {| class="wikitable" |+ いろいろな固体の、水100gに溶ける溶解度(g) !  温度(℃) ||  0  ||  20  ||  40  ||  60  ||  80  ||  100  |- | 砂糖 ||  179  ||  204  ||  238  ||  287  ||  362  ||  485  |- | 塩化ナトリウム ||  35.6  ||  35.8  ||  36.3  ||  37.1  ||  38.0  ||  39.3  |- | 硝酸カリウム ||  13.3  ||  31.6  ||  63.9  ||  110  ||  169  ||  246  |- | ホウ酸 ||  2.7  ||  5.0  ||  8.7  ||  14.8  ||  23.6  ||  40.3  |- | 硫酸銅 ||  14.3  ||  20.7  ||  28.5  ||  40.0  ||  55.0  ||  75.4  |- | 水酸化カルシウム ||  0.14  ||  0.13  ||  0.11  ||  0.09  ||  0.07  ||  0.05  |} [[File:溶解度曲線 1.svg|thumb|500px|いろいろな固体の溶解度曲線]] どの溶質も、温度が高くなると、溶解度は増えるが、その増え方の度合いは物質ごとにちがう。 食塩(塩化ナトリウム)は、あまり温度によって溶解度が、ほとんど変わらない。 ミョウバンは、温度によって、溶解度が、急激に変わる。 水溶液から出てきた固体をルーペや顕微鏡で観察すると、その物質に特有な規則正しい形をしていることがわかる。純粋な物質で規則正しい形をした固体を'''結晶'''(けっしょう、crystal、クリスタル)という。 物質をいったん溶媒に溶かし、温度を下げたり溶媒を蒸発させたりして再び結晶として取り出す操作を'''再結晶'''(さいけっしょう)という。再結晶により物質をより純粋にすることができる。 {{clear}} == 物質の状態変化 == [[File:Fluessiger Stickstoff.jpg|thumb|200px|窒素は室温で気体だが、冷やすと液体となる]] [[File:States_of_matter_En.svg|thumb|350px|粒子の動き。左から順に、気体、液体、固体。]] 水を摂氏0℃まで冷やすと氷(こおり)になったり、100℃にすると沸騰して水蒸気になるように、同じ物質でも、温度によって状態が変わる。 水に限らず、物質は温度によって、状態が変わり、固体(こたい)、液体(えきたい)、気体(きたい)の三種類のうちのいずれかをとる。 食塩(塩化ナトリウム)は約800℃で液体になる。鉄は約1500℃で液体になる。窒素は約 -200℃(マイナス200℃)で液体になる。 食塩を融解させる実験はふつうの試験管では出来ない。耐熱試験管やルツボなどを用いる必要がある。 * 固体(こたい) 氷(こおり)や鉄や木や紙や布などのような物体。固体の内部では、粒子は、規則ただしく整列している。 * 液体(えきたい) 水(みず)やアルコールなどのような、流れることのできる物体。 液体は、容器によって形は変わるが、体積は変わらない。液体では、粒子どうしは整列しておらず、自由に動けるので、形が変わる。 粒子の間隔(かんかく)は、固体よりも広い。 * 気体(きたい) 空気や酸素や二酸化炭素のような物体。 容器の仲に広がり、容器によって体積は変わるし、形も変わる。気体では、粒子は飛び回っており、粒子と粒子の間隔は、とても広い。 {| style="width:100%" |valign=top style="width:30%;text-indent:1em"| {| class="wikitable" |+ おもな物質の融点 ! 物質名 || 融点 <br />(℃) |- | 鉄 || 1540 ℃ |- | 銅 || 1083 |- | 食塩 || 801 |- | ナフタレン || 81 |- | パルミチン酸 || 63 |- | 水 || 0 |- | 水銀 || ー39 |- | エタノール || ー114.5 |- | 窒素 || ー210 |- | 酸素 || ー219 |- |} |valign=top style="width:30%;text-indent:1em"| {| class="wikitable" |+ おもな物質の沸点 ! 物質名 || 沸点 <br />(℃) |- | 鉄 || 2750 ℃ |- | 食塩 || 1413 |- | ナフタレン || 218 |- | 水 || 100 |- | エタノール || 78 |- | 窒素 || ー195 |- | 酸素 || ー183 |- |} |valign=top style="width:40%;text-indent:1em"| |} 物質が、固体から液体に変化したり、液体から固体に変化したり、液体から気体に変化したり、気体から液体に変化することを'''状態変化'''(じょうたい へんか)という。 状態変化をしても、物質そのものは他の物質には変化せず、また質量は変化しない。 温度が高くなるほど、物質を構成している粒子の運動は激しくなる。そのため、一般に温度が高くなるほど、体積がふえる。ただし、氷から水への変化は例外であり、4℃のときがもっとも密度が大きい。 液体が気体になることを'''気化'''(きか)という。 水を熱して100℃に近づけると、容器の底の方の水が泡立つが、これは水に溶けていた空気が気化したものである。この現象を'''沸騰'''(ふっとう)という。 水が気体になったものを'''水蒸気'''(すいじょうき、water vapor、ウォーター ベイパー)という。水から水蒸気に変化すると体積は元の水の約1700倍にも変化する。いっぽう水蒸気から水になると、体積は元の水蒸気の約 <math>\frac{1}{1700}</math> 倍になる。 沸騰の実験を行うときは、急激に沸騰すると、湯が吹き飛んで危険なので、急激な沸騰を防ぐために'''沸騰石'''(ふっとうせき、boiling chip)を加える。なお、急激に沸騰することを突沸(とっぷつ)という。 一度、使用した沸騰石は再利用してはいけない。沸騰石が突沸を防止できるのは最初の一回だけである。また、長期間、液体につけた沸騰石も能力を失う。 === 物質の融点と沸点 === ここでは物質の[[w:沸点]]と[[w:融点]]について説明する。物質は温度や圧力を変化させることで"気体"(きたい、gas、ガス)、"液体"(えきたい、liquid、リキッド)、"固体"(こたい、solid、ソリッド)の間を移り変わることが知られている。 ここでは特に、温度による変化について述べる。 上であげた"気体"、"液体"、"固体"のことを物質の[[w:三態]](さんたい)と呼び、これらの間の変化を[[w:状態変化]](じょうたいへんか)と呼ぶ。特に、状態変化のうち固体から液体への変化を[[w:融解]](ゆうかい、Melting)と呼び、液体から気体への状態変化を[[w:蒸発]](じょうはつ、evaporation)と呼ぶ。また、融解が起こる温度を'''融点'''(ゆうてん、melting point)と呼び、蒸発が起こる温度を'''沸点'''(ふってん、boiling point)と呼ぶ。日常的な例では水の温度を 摂氏0度 にすることで水を固体にすることができる。また、水の温度を摂氏100度にすることで、水を[[w:水蒸気]]にすることができる。これらは状態変化の例である。 純物質の状態変化の際に物質の温度変化を観察すると、特徴的な結果が観察できる。 ==== 液体の沸点 ==== * 実験 氷などの物質を状態変化させその温度変化を観察せよ。特に物質の状態変化が続いているときの温度に着目せよ。 [[File:ガスバーナーsvg.svg|thumb|350px|ガスバーナーの説明図。]] [[File:ガスバーナー内部.png|thumb|400px|ガスバーナーの内部での、各種気体の模式図。]] :(※ 実験結果の温度曲線の画像を募集中。だれかプロットするかして描いてください。) 氷が水になるとき、しばらく温度変化しない時間がつづく。 この実験では、熱を加え続けても、状態変化が続いているときには物質の温度は変化しないことが観察できる。これは、加えた熱が、状態変化のためのエネルギーに用いられるからである。つまり、氷がとけるために、加えられた熱エネルギーが用いられているので、しばらく温度が変化しない。 ただし、ロウのような混合物では、状態変化をしている時でも、温度は変化する。混合物の加熱実験では、融解中でも、温度が上がりつづける。 純物質の場合でだけ、固体がとけているときに、しばらく温度が変化しない現象が起きる。のは、純物質の場合のみである。 固体から液体になるときだけでなく、液体から気体になる沸騰のときでも、温度は一定である。 たとえば水を沸騰させると、水温は100℃の状態がつづく。 水にかぎらず、純粋な物質なら、融解や沸騰のときには、しばらく温度が変わらない。 一般に純物質の融点と沸点は、(同じ圧力では)物質ごとに決まった値を持つ。このことは、混合物を分離するために利用することができる。 「(同じ圧力では)」と書いたのは、沸点は気圧によって変わるからである。たとえば高い山の頂上付近では、沸点が下がる現象がある。 通常の標高の低い場所では水の沸点は100℃だが、たとえば日本の富士山の頂上付近では水の沸点は約88℃で沸騰が始まる。 ;食塩水の加熱 食塩水などのように、かなりの高温にしないと融解しない固体の物質(食塩の主成分の塩化ナトリウムの融点は約800℃と、水の沸点を大きく上まわっている。)が溶けている水溶液を考える。 まず、食塩水は、沸点が100℃よりも少しだけ高くなる。この現象を沸点上昇(ふってんじょうしょう、boiling-point elevation)という。 食塩水を加熱すると、沸点で水だけを含む純粋な水蒸気が得られる。水蒸気には、食塩は含まれていない。 この蒸気を冷ませば、純粋な水が得られる。このように蒸発を利用して、溶液から液体を分離する方法を'''蒸留'''(じょうりゅう、distillation)という。 ;水とエタノールの混合液体の加熱 :(※ 水とエタノールの混合液体の温度曲線の画像を募集中。だれか描いてください。) 水とエタノールの混合液体のような液体どうしの混合物について、加熱をした時の温度変化を観察する同じ実験を行うと、状態変化の最中にも混合物全体の温度が変化することが観察できる。 たとえば、純粋なエタノールの沸点は、約78℃だが、混合液体だと、78℃くらいで沸騰が始まってからも、温度の上昇は緩やかになるが、それでも温度はなだらかに上昇していく。これが純物質の蒸発とは違う性質である。78℃くらいで蒸発が始まった時の蒸気にはエタノールの成分が多く含まれているが、少しだけ水蒸気も含まれている。このように、純物質の蒸発とは、少しちがう現象がおきる。 水とエタノールの混合液体の加熱をつづけて、80℃から82℃、85℃、88℃、92℃、93℃、95℃・・・・・・と加熱を続けていくと、100℃の手前で、温度上昇がゆるやかになり、100℃以上は上がらない。 この100℃あたりの蒸気を調べると、水を多く含むが、エタノールもすこしだけ含む。 このように、温度によって、蒸気に多く含む物質が異なるので、異なる今度での蒸気を分けて集めることで、物質の純度を高めることができ、この方法で純度を高めることを'''分留'''(ぶんりゅう)という。 ;水とエタノールの分留 例えば沸点がより低い物質の沸点近くに温度を保ったとき、蒸発した気体には沸点が低いほうの物質が多く含まれると考えられる。 蒸気を集めて、それを冷やして液体に戻すと、沸点の低いほうの物質を多く含む液体が得られる。 この手法で物質を分離することを'''蒸留'''(じょうりゅう)と呼ぶ。蒸留は[[w:原油]](げんゆ)を精製する際に用いられるなど多くの応用がある。(詳しくは[[w:蒸留]]を参照。) 水の蒸気にも少しだけエタノールが含まれるように、分留では完全に分離することは不可能である。純度を上げるためには、分留で分離した異なる温度での蒸気を、冷まして液化させた後に、また蒸発させて分留をして、さらにその異なる温度での蒸気を冷まして液化させたものを再び分流して・・・・というふうに、何回も分留を繰り返すことによって、純度をあげている。 ;気圧と沸点 融点と沸点は物質にかかる、大気の圧力によって変化することが知られている。例えば、高山で水を沸騰させるには100度より低い温度で十分なことが知られている。これは高山では[[w:大気圧]]がより低いため、水を蒸発させるのに必要なエネルギーが減るからである。 <!--(圧力の変化に対する沸点、融点の変化については[[w:クラウジウス-クラペイロンの式]]などが知られているが、この式は大学レベルなので、これについては、詳しくは述べない。)--> ;質量との関係 物質が状態変化を起こすとき物質の体積は変化するが物質の質量は変化しないことを説明する。このことは例えば、"氷をコップに入れて重さを測り、氷が融けた状態での重さと比較する"などの実験を行うことで確認できる。 状態変化は分子と分子と間の相互作用を変化させるが、分子自体は変化させない(物質が分子と呼ばれる小さい粒でできていることは後に説明する)。例えば、固体では個々の分子間の距離は近く分子が自由に動くことができない一方、気体では分子が自由に動くことができる。このときにも分子自身の数や重さが変化するわけではないため、状態変化によって物質の質量は変化しない。 ==== 蒸留と石油化学 ==== [[File:Crude Oil Distillation.png|thumb|right|500px|蒸留塔。<br>最上は石油ガス。<br>35℃〜180℃: ガソリンおよびナフサ。<br>170℃〜250℃: 灯油およびジェット燃料。<br>240℃〜350℃: 軽油。<br>350℃以上: アスファルト。<br>温度は、おぼえなくてもよいです。]] 石油化学産業とは、石油を原料として、さまざまな製品をつくる産業である。 ほとんどのプラスチックは、石油を原料にして作られている。たとえば、ビニル袋などのビニル製品、合成ゴムなどのプラスチックは、石油から作られるのが通常である。 また、灯油や軽油やガソリンなども、石油から作られている。 * 原油 地中から取り出したままの石油を原油(げんゆ)という。この原油が、石油工業の、おおもとの原料である。 原油そのものでは製品にはならず、この原油を工場で成分ごとに分けます。これを石油の精製(せいせい)といいます。 蒸留塔(じょうりゅうとう)で、成分ごとに分けられます。 石油の蒸気は、温度によって、ふくまれる成分の割合がかわってくるので、この現象を利用して、成分ごとに分けています。蒸留塔の中には、数十段ものトレイ( 棚(たな)のこと )が組み込まれています。図では、トレイが数段ですが、じっさいには、もっと多いです。このように、成分ごとに沸騰(ふっとう)する温度のちがいで物質をわけることを、 分留(ぶんりゅう) と言います。 精製によって、原油は成分ごとにわかれ、ガス、ガソリン、'''ナフサ'''、灯油、軽油、アスファルトなどに分かれ、分留されます。分留された成分のことを留分(りゅうぶん)と言うことがあります。「ガソリン留分」、「ナフサ留分」、「軽油留分」などのように言います。ガソリン留分からガソリンがつくられ、軽油留分から軽油が作られます。 ナフサは、プラスチックなど、さまざまな製品の原料になります。ナフサを分解するナフサ分解炉(ぶんかいろ)で、'''エチレン'''やプロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエンなどのガスの成分が、とり出されていきます。 これらエチレンなどの成分から、プラスチックや合成繊維(ごうせいせんい)、合成ゴム(ごうせいゴム)などの誘導品(ゆうどうひん)を作っていきます プラスチックのポリエチレンは、エチレンを原料に作られます。ポリプロピレンは、プロピレンを原料に作られます。 ==== 融解と凝固 ==== [[File:Chemical name state change japanese.svg|thumb|500px|(高校の範囲 )状態変化の名称<br>固体から気体になる昇華の例としては、たとえばドライアイス(固体の二酸化炭素)があります。]] ;凝固 水(みず)を冷やすていくと摂氏0℃で氷(こおり)になる。このように、ほとんどの液体は、冷やしていくと固体になる。液体が固体になることを'''凝固'''(ぎょうこ、freezing)と言い、そのときの温度を'''凝固点'''(ぎょうこてん、freezing point)と言う。 凝固が終わりきるまでの、水(みず)と氷(こおり)が混じっている混合物のときの温度は0℃のままである。 凝固が終わり、水(みず)がすべて氷(こおり)になった氷(こおり)を冷やしていくと、さらに温度を下げることが可能である。 いっぽう、氷を加熱していくと、摂氏0℃で溶け始め水になっていく。溶け終わるまでの間は、氷と水の混合物の温度は0℃のままである。 ;融解 このように、固体は加熱していくと、たいていの物質では液体になる。加熱された固体が液体になることを'''融解'''(ゆうかい)という。 そして、加熱された物質が融解するときの温度を'''融点'''(ゆうてん、melting point)と言う。 一般に、ふつうの物質では、凝固点と融点とは同じ温度である。 ;過冷却 凝固点まで冷やしても、凝固が開始しない場合がある。この場合、ほんの少しの振動などを液体に加えたりすると、凝固が開始するのが一般である。 凝固点で凝固が開始しない場合に、凝固を開始させないように静かに冷却を続けていくと、凝固点より低い温度でも、液体でいられる。この現象を'''過冷却'''(かれいきゃく、supercooling、スーパー・クーリング)という。 == 電気的な性質 == 次に電気伝導度(でんき でんどうど)について説明する。後に扱うが、物質に流れる電気とは、[[w:電子]](でんし、electron、'''エレクトロン''')の流れのことであり、物質に電気が通りやすいかどうかは、物質の性質によって決まる。電気伝導度は、物質が電気を通しやすいかどうかを表す値であり、物質ごとに決まる定数である。この値は、物質が持つ電子の状態によっており、密度と同様に微視的に決まる値である。 例えば、流れて来た電子が入り込む部分が、既に他の電子によって埋まっている場合には、その物質は電気を通しにくくなる。一方、電子が非常に動きやすい状態になっている物質では、流れてきた電子が他の電子を押し出して電子の流れを伝えるため、電気が流れやすくなる。これらは物質ごとの結合の性質によって変化することが知られているが、ここでは詳しくは扱わない。(詳しくは[[高等学校化学]]などを参照。) さいわいにも電気の通りやすさには物質の種類ごとにある程度の共通性がある。ここではその性質についてまとめる。 * 実験 物質に対して電気を流す実験を行う。特に、いくつかの金属について電気が通りやすいことを確認する。水溶液について実験を行うときには十分に安全上の注意を払うこと。 実験の結果から金属については電気が通りやすいことがわかる。(これは、金属原子間の結合方法によっているが、これについては[[高等学校化学]]、[[w:金属結合]]などを参照。)。 一般に電気を流すためには[[w:導線]]が用いられるが、導線の材質には通常何らかの金属が用いられる。これは金属の電気伝導度が高いことに加え、丈夫であることや加工が可能であることによるものである。 *発展 雷と金属 電気が関わる現象として[[w:雷]]がある。 :[[画像:Thunder.jpg|200px|雷]] 雷は、雲の中の水滴と地面との間に非常に高い電圧が生じた結果、本来なら電気を通しにくい大気中を電気が通過していく現象である。電気は基本的に電気を通しやすい物質に向かっていく傾向があるため、電気伝導度の高い金属製の物体は雷を呼びやすく、注意が必要である。一方、この性質を利用して雷を誘導する器具として[[w:避雷針]]がある。 また、物質によっては固体の時に電気を通さなかった物質で、水溶液にすることで電気を通すようになる物質もある([[w:食塩]]など)。これらの物質は大抵は[[w:イオン結合]](ionic bond)によって結合する物質である。(詳しくは[[高等学校化学]]を参照。) *発展 物質の色 物質の性質として目につきやすいものとして、その物質の色があげられる。残念ながら物質の色について一般的に述べることは難しい。これは、物質に色がついて見えるのは、物質がある色([[w:波長]])の光を選択的に反射していることに対応するのだが、その仕組みが物質のミクロの構造によることが多いからである。例えば、[[w:ダイヤモンド]](diamond)と[[w:黒鉛]](こくえん、graphite、'''グラファイト''')は同じ[[w:炭素|炭素]][[w:原子|原子]](たんそげんし)からできていることが知られているが、これらの色は全く異なる。 :[[画像:Brillanten.jpg|200px|ダイヤモンド]][[画像:GraphiteUSGOV.jpg|200px|黒鉛]] これは、これら2つの物質では原子の並び方が異なっており、光に対する反応が違うからである。このように物質の色について調べるには光についての知識が必要となるため、ここでは細かく扱うことはしない。(詳しくは[[高等学校物理]]などを参照。) <!--*注意(発展) 上の例では物質からの光は物質からの反射によるものと述べたが、物質自体もそれが持つ熱によってある波長の光を放射していることに注意が必要である。ただし、その波長は通常は[[w:赤外線]]に属するものであり、人間の目で見ることはできない。[[w:赤外線]]、[[w:黒体輻射]]を参照。--> == 発展 == === 材料 === ==== 生分解性樹脂 ==== プラスチックは、くさりにくい種類のものが多い。なので、農業用のフィルムなど、自然界でつかうプラスチックでは、やぶれたりして散らばったりすると、ちらばった破片などが、自然界で、くさらずにのこり続けてしまうので、ゴミとして、のこり続けてしまう、という問題があった。 そこで、自然界で分解されやすい、'''生分解性樹脂'''(せいぶんかいせい じゅし、biodegradable polymer)が、開発された。 なお、生分解性樹脂などが、自然界で分解されることを'''生分解'''という。 生分解性樹脂の成分は、種類にもよるが、おもに、タンパク質の生分解樹脂もあれば、あるいは、乳酸(にゅうさん)をもとに得られるポリ乳酸や、あるいはグリコール酸をもとにポリグリコール酸のものや、あるいはデンプンやセルロース、キトサンなどからつくられるものがある。微生物などの作用によって、これらの生分解性樹脂は、しぜんに分解される。 外科(げか)手術用の縫合糸(ほうごうし)に、抜糸(ばっし)の必要がないため、ポリ乳酸やポリグリコール酸の糸が使われている(※ 高校理科の啓林館、東京書籍の検定教科書に記述あり)。 {{clear}} === 熱可塑性と熱硬化性 === プラスチックの種類のうち、高温に熱すると柔らかくなり、冷やすとかたくなるプラスチックを'''熱可塑性プラスチック'''(ねつかそせいプラスチック)という。 いっぽう、別の種類のプラスチックとして、加熱しても軟化せず、加熱によってかたくなり、また、冷やしても軟化しないプラスチックを'''熱硬化性プラスチック'''(ねつこうかせいプラスチック)という。 プラスチックのことを「樹脂」(じゅし)あるいは「合成樹脂」(ごうせいじゅし)とも言う。 * 熱可塑性プラスチックの一覧 :'''ポリスチレン''' - 発砲スチロールなど :ポリ酢酸ビニル - 接着ボンド :ポリエチレン - スーパーマーケットなどで渡される透明のレジ袋は、ポリエチレン製である場合が多い。 :ポリプレピレン - :ポリ塩化ビニル - :'''ポリエチレンテレフタラート''' - ペットボトルの材料 これらのプラスチックが、熱可塑性である。 塩化ビニルは、燃やすと有害な気体がでるので、無理に、これらのプラスチックの加熱の実験しなくて良い。 * 熱硬化性プラスチックの一覧 :フェノール樹脂 - :尿素樹脂(にょうそ じゅし)、「ユリア樹脂」ともいう、 :メラミン樹脂 :アルキド樹脂 === 導電性高分子 === 2000年にノーベル化学賞を白川英樹(しらかわ ひでき)が取ったことでも有名な導電性高分子とは、 ポリアセチレンに、少量のヨウ素や臭素(しゅうそ)を加えたものである。 [[Category:中学校教育|りか1]] [[Category:理科教育|中1]] [[カテゴリ:物質]] tssdqzqulomlwogi3dr7d948rcdwere 高等学校倫理/人間とは何かI 0 38673 302581 300064 2026-08-22T12:44:03Z Kazu wiki Deutschland 92341 生物学的特質(直立二足歩行・生理的早産)、多様な人間観の比較表、和辻哲郎・パスカルの人間論を加筆・完成 302581 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>人間とは何か == 人間存在への根本的な問い == 人間は古くから「人間とは何か」「人間はどのように生きるべきか」という問いを繰り返し探究してきた。自然科学や生命科学の進歩により、人間の身体構造や遺伝子情報(ゲノム)の解明が進んだ現代においても、心や意識、生きる意味といった根源的な問いが尽きることはない。 特に自己の存在や他者との関わりに強い意識を向ける青年期において、人間とは何かという問いを先人たちの思想や哲学的思索を手がかりとして考察することは極めて重要である。 == 人間の生物学的特質と文化 == 生物学上の分類において、人間(現生人類)は霊長目ヒト科ヒト属に属する動物である。約700万年前に他の類人猿と分岐して以降、生物としての人間には他の動物と比較して以下のような顕著な特質が発達した。 * '''直立二足歩行''': 両手を前足の役割から解放し、道具の製作や使用、手作業の高度化を可能にした。 * '''脳の発達と言語の使用''': 重い頭部を直立した骨格で支えられるようになり、大脳皮質が著しく発達した。これにより、抽象的な思考や複雑な'''言語'''によるコミュニケーションが可能となった。 * '''道具の製作と使用''': 既存の自然物をそのまま用いるだけでなく、目的に応じて道具そのものを加工・製作する能力を獲得した。 * '''長期にわたる養育期間(生理的早産)''': スイスの動物行動学者'''ポルトマン'''(Adolf Portmann)は、人間が本来必要とされる成熟期間に達する前に未熟な状態で生まれてくることを'''生理的早産'''(離巣性動物と就巣性動物の中間としての「二次的就巣性」)と呼んだ。人間は生まれてからの長期の養育期間を通じて、親や社会から学習し、文化や言語を身につける。 人間は、生物学的な自然の制約を超えて、言語・技術・法・規範・芸術・宗教などの'''文化'''を創造し、それを世代を超えて継承・発展させる'''文化的存在'''である。 == 多様な人間観(人間の定義) == 古今東西の思想家や哲学者たちは、人間の本質を捉えるために多様な人間観(人間の定義)を提示してきた。 {| class="wikitable" |+ 主な人間観(人間の定義)一覧 |- ! 概念名(ラテン語・用語) !! 主な提唱者・論者 !! 特徴・意味 |- ! '''ホモ・サピエンス'''<br>(知性人・英知人) | リンネ(Carl von Linné) | 「知恵のある人」の意。理性的思考や知性によって世界の法則を理解し、真理を追究する存在。 |- ! '''ホモ・ファーベル'''<br>(工作人・道具人) | ベルクソン(Henri Bergson) | 道具を自ら考案・製作し、自然環境を加工して生活を切り拓く存在。 |- ! '''ホモ・ルーデンス'''<br>(遊戯人) | ホイジンガ(Johan Huizinga) | 遊び(遊戯)の中に人間活動の根源があり、文化や法、学問、芸術も遊びの精神から発展したとする存在。 |- ! '''シンボル(象徴)を操る動物'''<br>(アニマル・シンボリクム) | カッシーラー(Ernst Cassirer) | 単なる知覚や本能に従うだけでなく、言語、宗教、芸術、神話などの「シンボル(象徴体系)」を介して世界を認識・媒介する存在。 |- ! '''ホモ・レリギオスス'''<br>(宗教人) | エリアーデ(Mircea Eliade) | 聖なるもの(神仏や超越的実在)に畏敬の念を抱き、宗教的儀礼や祈りを通じて生の意味を見出す存在。 |- ! '''ホモ・エコノミクス'''<br>(経済人) | 古典派経済学(アダム・スミス等) | 自己の効用(利益や満足)を最大化するため、合理的な計算に基づいて経済活動を行う存在。 |- ! '''ポリス的動物'''<br>(社会的存在) | アリストテレス(Aristoteles) | 人間は孤立しては十全に生きられず、国家・社会(ポリス)という共同体の中で他者と交わることで初めて本性を完成させる存在。 |- ! '''考える葦''' | パスカル(Blaise Pascal) | 人間は自然界で最も弱い一茎の葦にすぎないが、宇宙を包み込む「思考」を持つ点に人間の尊厳があるとする観点。 |} == 考えることと自己のあり方 == === 間柄的存在としての人間 === 日本の倫理学者'''和辻哲郎'''(わつじ てつろう)は、その著書『倫理学』において、「人間」という日本語が「人の間(あいだ)」を意味することに着目した。人間は単なる個別の「人」であると同時に、常に他者との関係性(共同体)の中にある'''間柄的存在'''であると論じ、個人性と社会性の二面性を統合して生きることの重要性を説いた。 === 思考と人間の尊厳 === フランスの思想家・科学者'''パスカル'''は、著書『パンセ(瞑想録)』の中で次のように述べた。 > 「人間は一本の葦にすぎない。自然のうちでもっとも弱いものである。しかし、それは'''考える葦'''である。」 物理的存在としての人間は極めて脆く弱小であるが、自分が死ぬことや宇宙の広大さを自覚し「考える」ことができる点にこそ、人間の偉大さと尊厳(モラル)の根拠があるとした。 人間は、単に生物として生存するだけでなく、「何のために生きるのか」「どのように生きるのが善いのか」を主体的に問い直し、自らの生き方を意味づけていく存在なのである。 == 参考文献・資料 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * 久保真理ほか編著『最新版 倫理資料集 ソフィエ〜智を学び夢を育む』清水書院、2023年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:人間]] pglpr5deivlki7vwv19hexp8obkgoc0 302596 302581 2026-08-22T13:42:54Z Kazu wiki Deutschland 92341 [[Special:Contributions/Kazu wiki Deutschland|Kazu wiki Deutschland]] ([[User talk:Kazu wiki Deutschland|トーク]]) による版 [[Special:Diff/302581|302581]] を取り消し 302596 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>人間とは何か == 人間存在への根本的な問い == 人類は昔から「人間とは何か」について真剣に考えて様々な考えを積み重ねてきました。現在、様々な遺伝子科学から人体について分かってもその疑問は終わりません。また、青年期の人にとって自分が他人と違う点について強く感じられます。近年、人間の遺伝子情報が完全に読めるようになりました。この遺伝子情報から「人間とは何か」を探る研究が進められています。約700万年前、人間は現れました。その生物が直立二足歩行するかどうかで最古の人間を他の動物から分けました。この大事な問いについて先人の考えを参考にしつつ自分で考えてみましょう。 == 人間を人間たらしめているもの == 昔から様々な思想家が「人間とは何か」の答えを探して一生懸命考えても「う~ん」止まりでした。アリストテレスは対人関係なかったら人間も生きられない部分に注目して「人間は本性上、ポリス的動物【人間は生まれつき集まって暮らす動物】」と伝えました。次に、人間本来の意味は世の中の中国社会でした。儒家の荀子は「人間は牙も羽もない弱い生物です。しかし、人間は知恵を使って集団で暮らせるから他の動物に負けません。だから、社会規則の礼を受け入れましょう。」と伝えました。 == 人間の生物学的側面と特質 == == 考えることと自己のあり方 == == 資料出所 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍株式会社 2023年 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』株式会社第一学習社 2023年 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』株式会社清水書院 2023年 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』株式会社浜島書店 2024年 * 久保真理ほか編著『最新版 倫理資料集 ソフィエ~智を学び夢を育む』株式会社清水書院 2023年 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』株式会社文英堂 2023年 {{substub|241201}} [[カテゴリ:高等学校倫理]] [[カテゴリ:人間]] mlv0p928b16h1z0wcd2ah3tnb2gimw8 解析学基礎/ベクトル解析 0 45683 302598 302514 2026-08-23T04:41:14Z ~2026-45891-98 92335 /* 体積分 */ 302598 wikitext text/x-wiki {{Pathnav|数学|解析学|解析学基礎|frame=1}} {{wikipedia|ベクトル解析}} ここでは、ベクトル解析について解説する。[[物理数学I ベクトル解析]]及び[[解析学基礎/多変数関数の微積分]]も参照。 ==前提知識== ここでは、実数のみで考える。 ===ベクトル=== [[高等学校数学C/ベクトル]]、[[線型代数学/ベクトル]]、[[解析学基礎/ベクトル]]などを参照。本項では、矢印を付した表記(<math>\vec{a}</math>など)と太字斜体による表記(<math>\boldsymbol{x}</math>など)を混用する。 ===行列=== [[高等学校数学C/数学的な表現の工夫]]及び[[線形代数学]]の各ページを参照。本項では大文字の太字立体(<math>\mathbf{A}</math>など)で表記する。 ===ベクトル関数=== 関数<math>\boldsymbol{f} (x) = \sum_{i} f_i(x) \boldsymbol{e}_i</math>を'''ベクトル(値)関数'''(vector-valued function, vector function)という。 ただし、各<math>\boldsymbol{e}_i</math>は各座標軸方向の単位ベクトルであり、<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の定義域は各<math>f_i(x)</math>の定義域の積集合である。 ベクトルの演算が成分ごとの演算結果を並べたベクトルで定義されたように、ベクトル関数の演算は(結果となる値が存在するならば)各成分の演算結果を並べたベクトルに等しい。これはベクトルの線型性による。 例えば、<math>\boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \cos x \\ \sin x \end{pmatrix}</math>の<math>x\to0</math>の極限は、 :<math>\lim_{x\to0} \boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \lim_{x\to0} \cos x \\ \lim_{x\to0} \sin x \end{pmatrix}</math> (<math>\because</math>線型性) :<math>=\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}</math> :<math>=\boldsymbol{e}_x</math> と求まる。 このとき、<math>\boldsymbol{e}_x</math>を<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の<math>x\to0</math>に於ける'''極限ベクトル'''という。 また、ベクトル関数の導関数<math>\boldsymbol{f}'(x)</math>は :<math>\frac{d}{dx} \boldsymbol{f} (x) = \frac{d}{dx} \left( \sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i \right)</math> :<math>= \sum_i \left( \frac{d}{dx} f_i (x) \boldsymbol{e}_i \right)</math>(<math>\because</math>線型性) :<math>= \begin{pmatrix} f'_1(x) \\ f'_2(x) \\ \vdots \\ f'_i(x) \\ \vdots \end{pmatrix}</math> である。 この結果は、ベクトル関数に於ける導関数の正式な定義 <math>\lim_{h\to0} \frac{\boldsymbol{f}(x+h) - \boldsymbol{f}(x)}{h}</math>からも導かれる。 高校数学や高校物理で扱った平面(<math>\mathbb{R}^2</math>)上の運動は、実は2項ベクトル関数の理論に他ならない。 例えば、平面上の運動に於ける加速度・速度・変位の関係は<math>\boldsymbol{x}(t)= \begin{pmatrix} f(t) \\ g(t) \end{pmatrix}</math>として<math>\boldsymbol{a}(t) = \frac{d}{dt}\boldsymbol{v}(t) = \frac{d^2}{dt^2} \boldsymbol{x}(t)</math>と表すことができる。 曲線の媒介変数表示は、パラメータを変数とするベクトル関数とみることができる。 例えば、円の媒介変数表示<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \end{cases}</math>は、<math>\boldsymbol{r}(\theta) = r\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix}</math>という2次元ベクトル関数とみることができる。更に<math>\theta=\omega t</math>とすると、これは等速円運動の式である。 1変数ベクトル関数の微分に関して、以下の公式が成り立つ。 #定数倍の導関数:<math>\{k\boldsymbol{a}(x)\}'=k\boldsymbol{a}'(x)</math> #和・差の導関数:<math>\{ \boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x) \}' = \boldsymbol{a}'(x)\pm\boldsymbol{b}'(x)</math> #積の導関数:<math>\{ f(x)\boldsymbol{a}(x) \}' = f'(x)\boldsymbol{a}(x)+f(x)\boldsymbol{a}'(x)</math> #商の導関数:<math>\left\{ \frac{\boldsymbol{a}(x)}{f(x)} \right\}' = \frac{f(x)\boldsymbol{a}'(x)-f'(x)\boldsymbol{a}(x)}{\{f(x)\}^2} \quad (f(x)\neq0)</math> #内積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x)</math> #外積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x)</math> #スカラー三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math> #ベクトル三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math> ベクトル関数の'''ノルム'''(大きさ、長さ)は、通常のベクトルと同様に :<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)} = \sqrt{\sum_{i} \{f_i (x)\}^2}</math> で与えられる。 つまり、ノルムは元のベクトル関数と同一変数のスカラー関数である。 ここで、このスカラー関数が定数関数である条件に就て見てみよう。 :<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= c \quad (c\in\mathbb{R}_{>0})</math>の両辺を2乗して :<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2 = \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x) = c^2</math> :両辺微分すると内積の微分より :<math>\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math> :<math>\therefore \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math> :逆に、 :<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0 \iff 2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=0</math> :<math>\int \{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'dx= \int 0 dx</math> :<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)=C_1</math>(<math>C_1\geq0</math>は積分定数) :<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2=C_1</math>より :<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{C_1} = \mathrm{const}.</math> よって、以下が成り立つ。 '''直交条件の定理''' <math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= \mathrm{const}. \iff \boldsymbol{f}(x) \cdot \boldsymbol{f}'(x) = 0</math> これは、物理的には「位置ベクトルと速度ベクトルが直交する」ことを表す。 また、ベクトル関数が変数に依らず常に同一方向を向く条件も見てみよう。 :所与の条件は<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x)\boldsymbol{c}</math>と表される。 :両辺微分して<math>\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}=f'(x)\boldsymbol{c}</math> :ここで元のベクトル関数との外積をとると :<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}\times\{f'(x)\boldsymbol{c}\}=f(x)f'(x) (\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{c})=f(x)f'(x)\boldsymbol{0}=\boldsymbol{0}</math> :逆に、 :<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{0}</math>とすると一次従属なので :<math>\boldsymbol{f}'(x)=g(x)\boldsymbol{f}(x)</math>という微分方程式が成り立つ。 :各成分ごとに微分方程式を解くと、 ::これは変数分離型微分方程式なので第i成分は ::<math>\frac{df_i}{dx}=g(x)f_i(x)</math> ::<math>\int \frac{df_i}{f_i(x)}=\int g(x)dx</math> ::<math>G'(x)=g(x), C_i</math>を積分定数として<math>\log|f_i(x)|=G(x)+C_i</math> ::<math>C_i=\pm e^{C_i}</math>と改めておくと<math>f_i(x)=C_i e^{G(x)}</math> :よって :<math>\boldsymbol{f}(x)=\sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i = \sum_i C_i e^{G(x)} \boldsymbol{e}_i = e^{G(x)} \sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math> :ここで<math>f(x)=e^{G(x)}, \boldsymbol{c}=\sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math>と置くと :<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x) \boldsymbol{c}</math>となり、方向は変数に依らず一定であることが判る// よって、以下が成り立つ。 '''平行条件の定理''' <math>\boldsymbol{f}(x)=f(x)\boldsymbol{c} \iff \boldsymbol{f}(x) \times \boldsymbol{f}'(x) = 0</math> <math>\boldsymbol{f}(x)</math>の不定積分は、各<math>f_i(x)</math>の原始関数を並べたベクトルを<math>\boldsymbol{F}(x)</math>として :<math>\int \boldsymbol{f}(x) dx = \boldsymbol{F}(x)+\boldsymbol{C}</math>(<math>\boldsymbol{C}</math>は各積分定数を並べたベクトル) と表される。 また、定積分は :<math>\int^a_b \boldsymbol{f}(x) dx=\boldsymbol{F}(b)-\boldsymbol{F}(a)</math> と表される。 1変数ベクトル関数の積分について、以下が成り立つ(不定積分表記だが定積分に就ても同様)。 #定数倍の原始関数:<math>\int \{k\boldsymbol{a}(x)\} dx = k\int\boldsymbol{a}(x)dx</math> #和・差の原始関数:<math>\int \{\boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x)\}dx=\int\boldsymbol{a}(x)dx\pm\int\boldsymbol{b}(x)dx</math> #内積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \cdot \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math> #外積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\times\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \times \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math> #スカラー倍の部分積分:<math>\int f(x)\boldsymbol{a}'(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f'(x)\boldsymbol{a}(x) dx \iff \int f'(x)\boldsymbol{a}(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f(x)\boldsymbol{a}'(x) dx</math> #内積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}dx</math> #外積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}dx</math> 平行条件の定理の証明でベクトル関数の微分方程式を解いたように、成分毎に考えることで解空間ベクトルを求められる。 :1階線型常微分方程式<math>\boldsymbol{f}'(x)+a(x)\boldsymbol{f}(x)=\boldsymbol{b}(x)</math>の解に就て考える。 :第<math>i</math>成分を考えると<math>f'_i(x)+a(x)f_i(x)=b_i(x)</math>という1階線型常微分方程式を得るので、 :両辺に積分因子<math>\mu(x)=\exp\left(\int a(x) dx\right)</math>を掛けることで :<math>f_i(x)=\frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\}</math>を得る。 :よって一般解は :<math>\boldsymbol{f}(x) = \sum_i \frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\} \boldsymbol{e}_i=\frac{1}{\mu(x)}\left\{ \int \mu(x) \boldsymbol{b}(x) dx + \boldsymbol{C} \right\}</math> ベクトル関数は必ずしもここで扱った<math>\boldsymbol{f}: \mathbb{R}\to\mathbb{R}^n</math>のみを指さない。 例えば、ベクトル変数 <math>\boldsymbol{x}= \sum_i g_i (x) \boldsymbol{e}_i</math>に対して :<math>\boldsymbol{h}(\boldsymbol{x})=\sum_i (h \circ g)_i (x) \boldsymbol{e}_i</math> と定義されるような関数<math>\boldsymbol{h}:\mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^m</math>もベクトル関数である。 また、始域と終域の次元が異なる<math>\boldsymbol{i}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n \, (m, n\neq1)</math>のようなベクトル関数も考えられる。 一般に、始域が<math>\mathbb{R}^n (n\neq1)</math>であっても終域が<math>\mathbb{R}</math>である関数はベクトル関数に対して'''スカラー関数'''(scalar function)と呼ばれる。 この節で述べた理論は、多くは一般のベクトル関数に対しても成り立つ。但し、後述のヤコビ行列のような拡張を必要とするものもある。 ===ベクトル場・スカラー場=== 写像<math>\boldsymbol{X}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n</math>を'''ベクトル場'''(vector field)という。 実際には<math>m=n</math>の場合を考えることが多い。 写像<math>F: \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}</math>を'''スカラー場'''(scalar field)という。 それぞれ上で述べたベクトル関数・スカラー関数に対応する。 ベクトル場の例としては、電場・磁場・重力場などが挙げられる。 スカラー場の例としては、電位分布・温度分布・圧力分布などが挙げられる。 例えば、ベクトル場<math>\boldsymbol{f}=(x, 0, 0)</math>は、<math>\mathbb{R}^3</math>内の平面<math>x=k</math>上の任意点に、その点を始点とするベクトル<math>\begin{pmatrix} k \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}</math>が存在する状態を表す。 ベクトル場の第i成分に第k成分の変数が入っていたとしても、それはiと異なる独立変数なのでスカラーと見做してよい。 ベクトル場の和は、ベクトル場の成分の和をとったものに等しい。 例えば、<math>\boldsymbol{f}=(1,2,3), \boldsymbol{g}=(3, 4, 5)</math>について :<math>\boldsymbol{f}+\boldsymbol{g}=(1, 2, 3)+(3, 4, 5)=(1+3, 2+4, 3+5)=(4, 6, 8)</math>である。 領域<math>\boldsymbol{D}</math>上のベクトル場<math>\boldsymbol{X}</math>について、微分方程式<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}=\boldsymbol{X}(\boldsymbol{r}) (\boldsymbol{r} \in \boldsymbol{D})</math>で与えられる曲線<math>z=\boldsymbol{r}(t)</math>を<math>\boldsymbol{X}</math>の'''流線'''(streamline)という。流線の接線ベクトルは元のベクトル場そのものになるので、方程式<math>\frac{dx_1}{X_{x_1}}=\frac{dx_2}{X_{x_2}}=\cdots=\frac{dx_n}{X_{x_n}}</math>を'''流線方程式'''という。 例えば、<math>\boldsymbol{f}(x, y)=(y, x)</math>の流線は、 :定義から<math>\frac{dx}{dt}=y, \frac{dy}{dt}=x</math> :合成関数の微分公式から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}=\frac{x}{y}</math> :<math>\int y dy=\int xdx</math> :<math>\frac{1}{2}y^2=\frac{1}{2}x^2+C</math> :よって双曲線<math>y^2-x^2=2C</math>// この場合、<math>t</math>に関する2つの微分方程式を組み合わせることで :<math>\frac{d^2x}{dt^2}=x, \frac{d^2y}{dt^2}=y</math>という二階線型常微分方程式となり、一般解が双曲線関数を用いて<math>\begin{cases} x=C_1\cosh t+C_2\sinh t \\ y=C_1\sinh t+C_2\cosh t \end{cases}</math>であることが容易に判る。<br>なお、流線方程式を用いても<math>\frac{dx}{y}=\frac{dy}{x}</math>から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{x}{y}</math>が出てくる。 ==三次元ユークリッド空間== xyz空間上のスカラー場を<math>F:\mathbb{R}^3\to\mathbb{R}</math>、ベクトル場を<math>\boldsymbol{X}:\mathbb{R}^3\to\mathbb{R}^3</math>とする。また、<math>\boldsymbol{X}</math>のx, y, z成分をそれぞれ<math>X_x, X_y, X_z</math>と書くことにする。また、註がない限り凡ての議論は直交座標系のxyz空間で考えるものとする。 ===偏微分=== 三変数関数<math>f(x, y, z)</math>の'''偏導関数'''(partial derivative)はそれぞれ以下のように定義される。 :<math>\frac{\partial{f}}{\partial{x}}=\lim_{h \to 0} \frac{f(x+h,y,z)-f(x,y,z)}{h}</math> :<math>\frac{\partial{f}}{\partial{y}}=\lim_{h \to 0} \frac{f(x,y+h,z)-f(x,y,z)}{h}</math> :<math>\frac{\partial{f}}{\partial{z}}=\lim_{h \to 0} \frac{f(x,y,z+h)-f(x,y,z)}{h}</math> 偏導関数は、着目する変数軸方向の傾きを表す。 偏導関数を求める操作を'''偏微分'''(partial differentiation)という。 つまり、偏微分とは'''着目する変数以外を定数と見做し、一変数関数とみて微分する'''操作である。 記号「<math>\partial</math>」は「デル(del)」「ラウン(ド)ディー(rounded d)」「パーシャルディー(partial d)」などと読まれる。 着目する変数以外を明示したい場合は、<math>\partial_x f(x, y, z), \; u_x |_{x,y,z}</math>などの記法が用いられる。 偏微分でも、一変数関数の微分と同様の性質が成り立つ(特に線型性と積の微分)。証明は別項に譲る。 例えば、<math>\frac{\partial}{\partial{x}}(x^2+2yx+y^2)=\frac{\partial}{\partial{x}} x^2 + y \frac{\partial}{\partial{x}} x + y^2 \frac{\partial}{\partial{x}} 1 = 2x+y</math>である。 偏導関数に偏微分変数の微小量を掛けて全ての変数について足し合わせた :<math>df = \frac{\partial{f}}{\partial{x}}dx + \frac{\partial{f}}{\partial{y}}dy + \frac{\partial{f}}{\partial{z}}dz</math> を<math>f(x, y, z)</math>の'''(完)全微分'''(total derivative)という。 全微分は、関数<math>f(x, y, z)</math>を<math>\text{∆} x, \text{∆} y, \text{∆} z</math>だけ変化させたときの関数全体の変化量<math>\text{∆} f = f(x+\text{∆} x, y+\text{∆} y, z+\text{∆} z)-f(x,y,z)</math>の<math>\text{∆} x, \text{∆} y, \text{∆} z \to 0</math>とした三重極限に等しい。 つまり、 :<math>f(x+dx,y+dy,z+dz) - f(x,y,z) = \frac{\partial{f}}{\partial{x}}dx + \frac{\partial{f}}{\partial{y}}dy + \frac{\partial{f}}{\partial{z}}dz</math> が成り立つ。 これを形式的に変形すると、 :<math>\frac{f(x+dx,y+dy,z+dz) - f(x,y,z)}{dxdydz} = \frac{\partial{f}}{\partial{x}dydz} + \frac{\partial{f}}{\partial{y}dzdx} + \frac{\partial{f}}{\partial{z}dxdy}</math> となるが、右辺を見ると変数名が循環していることが、左辺を見ると一変数関数の導関数の定義式に酷似していることが判る。 <math>\boldsymbol{f}= \begin{pmatrix} f_1(x, y, z) \\ f_2(x, y, z) \\ f_3(x, y, z) \end{pmatrix}</math>としたとき、 :<math>\mathbf{J}_\boldsymbol{f} (x,y,z) = \frac{\partial{(f_1,f_2,f_3)}}{\partial{(x,y,z)}} = \begin{pmatrix} \frac{\partial{f_1}}{\partial{x}} & \frac{\partial{f_1}}{\partial{y}} & \frac{\partial{f_1}}{\partial{z}} \\ \frac{\partial{f_2}}{\partial{x}} & \frac{\partial{f_2}}{\partial{y}} & \frac{\partial{f_2}}{\partial{z}} \\ \frac{\partial{f_3}}{\partial{x}} & \frac{\partial{f_3}}{\partial{y}} & \frac{\partial{f_3}}{\partial{z}} \end{pmatrix}</math> を<math>\boldsymbol{f}</math>の'''関数行列'''(functional matrix)または'''ヤコビ行列'''('''ヤコビアン'''、Jacobian matrix)という。 これを用いると、3次元ベクトル関数<math>\boldsymbol{f} (x, y, z)</math>の全微分は以下のように求められる。 :<math>d\boldsymbol{f} = \mathbf{J}_\boldsymbol{f} (x_0,y_0,z_0) d\boldsymbol{v}</math> ただし、<math>d\boldsymbol{v} = \begin{pmatrix} dx \\ dy \\ dz \end{pmatrix}</math>である。このベクトルを'''方向ベクトル'''(direction vector)という。 ===線積分=== 関数<math>f(x, y, z)</math>が三次元ユークリッド空間<math>\mathbb{R}^3</math>上に曲線<math>C</math>を描いているとする。 <math>C</math>上の点<math>A</math>から点<math>B</math>まで、<math>C</math>に沿って積分することを考える。 経路<math>A \to B</math>を微小線分<math>\text{∆} l</math>に分けたとき、[[高等学校数学III/積分法#区分求積法|区分求積法]]により以下のように'''線積分'''(line integral)が定義される。 :<math>\int_A^B f(x, y, z) dl = \lim_{\text{∆} l \to 0} \sum_A^B f(x, y, z) \text{∆} l</math> このとき、経路<math>A \to B</math>を'''積分(経)路'''(path)や'''積分領域'''(domain of integral)という。 なお、線積分は[[量子力学]]の経路積分(path integral)とは異なる概念なので、混同に注意。 右辺の極限が具体的にどのような値に収束し、どのように計算されるかを見ていく。 曲線<math>C</math>の媒介変数表示を<math>\boldsymbol{p}(t) = \begin{pmatrix} x(t) \\ y(t) \\ z(t) \end{pmatrix}</math>とし、初期条件を<math>\boldsymbol{p}(a)=\vec{\mathrm{OA}}, \boldsymbol{p}(b)=\vec{\mathrm{OB}}</math>とする。 このとき、閉区間<math>[a, b]</math>を長さ<math>\text{∆} t = \frac{b-a}{n}</math>の<math>n</math>個の小区間<math>[t_{n-1}, t_n]</math>に分割し、<math>C</math>上に標本点<math>\boldsymbol{p}(t_i)</math>をとる。各標本点を結ぶ線分の長さを<math>\text{∆} s_i</math>とおけば、<math>F(\boldsymbol{p} (t_i)) \text{∆} s_i</math>の総和はリーマン和である。 <math>\text{∆} t \to 0</math>の極限を考えると、 :<math>\text{∆} s_i = \|\boldsymbol{p}(t_i + \text{∆} t) - \boldsymbol{p}(t_i)\| = \left\| \frac{\boldsymbol{p}(t_i+\text{∆} t) - \boldsymbol{p}(t_i+0)}{\text{∆} t - 0} \right\| (\text{∆} t -0) = \left\|\frac{d\boldsymbol{p}(t_i)}{dt}\right\| dt</math> よりこのリーマン和の極限は収束し、 :<math>\lim_{\text{∆} t \to 0} \sum_{i=1}^n F(\boldsymbol{p}(t_i)) \text{∆} s_i = \int_a^b F(\boldsymbol{p}(t)) \left\|\frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt}\right\| dt</math>// ここで、この線積分の値は(同じ向き付けを与える限り)'''媒介変数のとり方に依らない'''。 <math>\boldsymbol{p}(u) = \begin{pmatrix} x(t(u)) \\ y(t(u)) \\ z(t(u)) \end{pmatrix}, u \in [c, d]</math>という変数変換を考えると、<br>恒等的に<math>\frac{dt}{du}>0</math>のとき :<math>\int_c^d F(\boldsymbol{p}(t(u))) \left\| \frac{d \boldsymbol{p}(u)}{du} \right\| du = \int_a^b F(\boldsymbol{p}(t(u))) \left\| \frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt} \right\| \frac{dt}{du} du = \int_a^b F(\boldsymbol{p}(t)) \left\|\frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt}\right\| dt</math> となり、一致する。 「恒等的に<math>\frac{dt}{du}>0</math>」は「<math>t, u</math>それぞれを用いた媒介変数表示が同じ向き付けを与える」ことと同値なので、先述の内容が確かめられた。 そこで、<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt} \right\|dt</math>を更に(形式的に)変形する。 :<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt} \right\|dt = \left\| \begin{pmatrix} \frac{d}{dt} x(t) \\ \frac{d}{dt} y(t) \\ \frac{d}{dt} z(t) \end{pmatrix} \right\| dt</math> :<math>= \sqrt{ \left(\frac{dx(t)}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy(t)}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dz(t)}{dt}\right)^2} \; dt</math> :<math>= \sqrt{ (dx(t))^2+(dy(t))^2+(dz(t))^2}</math> :<math>=\sqrt{dx^2+dy^2+dz^2}</math> 最後の式を<math>dl</math>で置くと、<math>dl = \| d\boldsymbol{p} \|</math>が形式的に成り立つ。 この<math>dl</math>を'''線素'''(line element)と呼ぶ。 線素を用いることで、曲線<math>C</math>(の一部)を積分経路とするスカラー場<math>F</math>の線積分は以下のように略記される。 :<math>\int_C F dl</math> 特に積分経路が閉曲線である('''閉経路''')とき、この線積分を'''周回積分'''('''閉路積分'''、closed line integral)といい :<math>\oint_C F dl</math> と表す。 線積分<math>\int_C dl</math>は<math>C</math>の長さに等しい。 :<math>\int_C dl = \int_a^b \| d\boldsymbol{p}(t) \| = \int_a^b \left\| \frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt} \right\|dt</math> :<math>=\int_a^b \sqrt{ \left(\frac{dx(t)}{dt} \right)^2+\left(\frac{dy(t)}{dt} \right)^2+\left(\frac{dz(t)}{dt} \right)^2} dt</math> これは[[高等学校数学III/積分法#曲線の長さ|平面上の曲線の長さの式]]を三次元に拡張した式であることがわかる。 <math>C</math>を<math>C</math>上任意点からの符号付き距離<math>s</math>('''弧長パラメータ''')で媒介変数表示することを考える。ただし、積分経路の端点をそれぞれ<math>s=\alpha, \beta</math>の場合とする。 すなわち、<math>\boldsymbol{q}(s)= \begin{pmatrix} x(s) \\ y(s) \\ z(s) \end{pmatrix}</math>と表示する。 このとき定義から<math>s=\int_0^s \left\| \frac{d\boldsymbol{q}}{ds} \right\| ds</math>なので、両辺を<math>s</math>で微分すると微分積分学の基本定理より :<math>1=\left\| \frac{d\boldsymbol{q}}{ds} \right\|</math> が恒等的に成り立つ。 これは、接線方向のベクトル('''接ベクトル''')が単位ベクトルであることを示す。 よって、 :<math>\int_C F dl = \int_\alpha^\beta F(\boldsymbol{q}(s)) ds</math> である。 スカラー場の場合と同様の議論により、ベクトル場の線積分は以下のように計算されるとわかる。 :<math>\int_C \boldsymbol{X} \cdot d \boldsymbol{l} = \int_a^b \boldsymbol{X} (\boldsymbol{p}(t)) \cdot \boldsymbol{p}' (t) dt</math> ここで<math>d\boldsymbol{l}</math>は'''線素ベクトル'''であり、 :<math>d\boldsymbol{l} = \begin{pmatrix} dx \\ dy \\ dz \end{pmatrix} = dx\boldsymbol{e}_x+dy\boldsymbol{e}_y+dz\boldsymbol{e}_z</math> と定義される。 そのため、この線積分は :<math>\int_C X_x dx + X_y dy + X_z dz</math> とも書かれる。 線素ベクトルは積分経路の接ベクトルとなるので、ベクトル場の線積分を'''接線積分'''(integral of tangential component)という場合もある。 <math>C</math>を弧長パラメータ<math>s</math>で媒介変数表示すると、 :<math>\int_C \boldsymbol{X} \cdot d\boldsymbol{l} = \int_\alpha^\beta \boldsymbol{X}(\boldsymbol{q}(s)) \cdot \frac{d\boldsymbol{q}}{ds} ds</math> ここで<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{q}}{ds} \right\|=1</math>より、内積 <math>\boldsymbol{X}(\boldsymbol{q}(s)) \cdot \frac{d\boldsymbol{q}}{ds}</math>は<math>\boldsymbol{X}(\boldsymbol{q}(s))</math>を<math>\boldsymbol{q}(s)</math>方向に射影したものである。 すなわち、線積分はベクトル場<math>\boldsymbol{X}</math>の<math>C</math>の接線方向成分を積分したものである。これは「仕事」や「流れ」といった物理的な概念に通じ、線積分の本質を形作る。 なお、スカラー場の線積分に登場した線素<math>dl</math>は、線素ベクトルの大きさ<math>\| d\boldsymbol{l} \|</math>に等しい。これは、スカラー場の線積分が経路に沿った「長さの重み付け」積分であることを示している。 位置ベクトルを<math>\boldsymbol{r}(x, y, z)</math>とする。積分経路を流線上にとると、流線の定義から<math>d\boldsymbol{r}//\boldsymbol{X}(\boldsymbol{r})</math>則ち一次従属なので、<math>d\boldsymbol{r}=k\boldsymbol{X}(\boldsymbol{r})</math>と書ける。 よって線積分の被積分関数は<math>\boldsymbol{X} \cdot d\boldsymbol{r} = k\|\boldsymbol{X}\|^2</math>となり、積分値が最大化される他、ベクトル場の沿流方向成分を抽出できる。実際に計算する際は、<math>\int_{\mathrm{streamline}} k\|\boldsymbol{X}\|^2</math>とは書かず、<math>\int_{\mathrm{streamline}} \boldsymbol{X} \cdot \frac{d\boldsymbol{r}}{dt}dt</math>と書くのが望ましい(積分記号と積分微小要素はセットのため)。 <math>C</math>の単位接線ベクトルを<math>\boldsymbol{t}</math>とおくと、先ほどの議論より<math>\boldsymbol{t}=\frac{d\boldsymbol{p}(s)}{ds}</math>であり、直交条件の定理から<math>\boldsymbol{t}\cdot\frac{d\boldsymbol{t}}{dt}=0</math>、則ち<math>\frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt}=\frac{d^2\boldsymbol{p}(s)}{ds^2}</math>である。このベクトルを'''主法線ベクトル'''という。主法線ベクトルを<math>\boldsymbol{n}</math>とおくとき、<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n}</math>を'''従法線ベクトル'''という。正規化すると<math>\boldsymbol{e}_b = \boldsymbol{e}_t \times \boldsymbol{e}_n</math>、則ち<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b \}</math>は<math>\mathbb{R}^3</math>の正規直交基底である。 主法線ベクトルの大きさ<math>\kappa=\|\boldsymbol{n}\|</math>を<math>C</math>の'''曲率'''、<math>\tau=\boldsymbol{e}_b\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{dt}</math>を<math>C</math>の'''{{ruby|捩|れい}}率'''という。 例えば、円<math>x^2+y^2=r^2</math>の曲率と捩率は以下のように求まる。 :媒介変数表示して<math>\boldsymbol{p}(t)=r\begin{pmatrix} \cos t \\ \sin t \\ 0 \end{pmatrix}</math> :接線ベクトルは<math>\frac{d\boldsymbol{p}(t)}{dt}=r\begin{pmatrix} -\sin t \\ \cos t \\ 0 \end{pmatrix}</math> :弧長パラメータ<math>s</math>は<math>s=\int^t_0 \left\|\frac{d\boldsymbol{p}(u)}{dt}\right\|du = \int_0^t r dt = rt</math> :<math>\therefore t=\frac{s}{r}</math> :<math>\boldsymbol{p}(s)=r\begin{pmatrix} \cos\frac{s}{r} \\ \sin\frac{s}{r} \\ 0 \end{pmatrix}</math> :<math>\frac{\boldsymbol{p}(s)}{ds}=\begin{pmatrix} -\sin\frac{s}{r} \\ \cos\frac{s}{r} \\ 0 \end{pmatrix}</math> :<math>\frac{d^2\boldsymbol{p}(s)}{ds^2}=-\frac{1}{r}\begin{pmatrix} \cos\frac{s}{r} \\ \sin\frac{s}{r} \\ 0 \end{pmatrix}</math> :<math>\kappa=\left\|\frac{d^2\boldsymbol{p}(s)}{ds^2}\right\|=\frac{1}{r}</math> :<math>\boldsymbol{t}=r\begin{pmatrix} -\sin t \\ \cos t \\ 0 \end{pmatrix}, \boldsymbol{n}=\frac{d\boldsymbol{t}}{dt}=-r\begin{pmatrix} \cos t \\ \sin t \\ 0 \end{pmatrix}</math> :<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ r^2 \end{pmatrix}</math> :<math>\tau = \frac{\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}\cdot-r\begin{pmatrix} -\sin t \\ \cos t \\ 0 \end{pmatrix}}{r^2\cdot\frac{1}{r}}=0</math>// 曲率・捩率を用いることで、<math>\boldsymbol{t}, \boldsymbol{n}, \boldsymbol{b}</math>のs-方向微分を求めることができる。 '''フレネ=セレーの公式''' <math>\frac{d}{ds}\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & \kappa & 0 \\ -\kappa & 0 & \tau \\ 0 & -\tau & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix}</math> 全微分がヤコビ行列による一次変換で表されたように、こちらも一次変換の形式で表すことができた。一般に、微分操作は<math>\infty</math>次行列を表現行列とする線形写像である。詳しくは[[関数解析学]]で扱う。 また、曲線は<math>(\kappa, \tau)</math>の値と初期条件のみで定まるので、<math>(\kappa, \tau)</math>の定める曲線族を<math>\mathcal{C}[\kappa, \tau]</math>と書く。 例えば、円を含む螺旋は<math>c_1, c_2=\mathrm{const}.</math>として一般に<math>\mathcal{C}[c_1, c_2]</math>と書ける。 <math>R=\frac{1}{\kappa}</math>を'''曲率半径'''という。曲率半径は曲線の特定のカーブにおける曲がり具合の急さを表す指標であり、カーブを近似する真円('''密着円''')の半径でもある。高速道路の標識で<math>R=\circ\circ \mathrm{m}</math>は、そのカーブの曲率半径を示している。道路設計では、快適なドライブの為曲率半径がなるべく大きくなるように工夫を凝らしている。 ===面積分=== 関数<math>f(x, y, z)</math>が三次元ユークリッド空間<math>\mathbb{R}^3</math>上に曲面<math>S</math>を描いているとする。 <math>S</math>に沿って積分することを考える。 領域<math>S</math>を微小領域に分割した表面積を<math>\text{∆} S_i</math>としたとき、区分求積法により以下のように'''(曲)面積分'''(surface integral)が定義される。 :<math>\iint_S f(x, y, z) dS = \lim_{\text{∆} S \to 0} \sum_i f(x_i, y_i, z_i) \text{∆} S_i</math> 右辺の極限が具体的にどのような値に収束し、どのように計算されるかを見ていく。 曲面<math>S</math>の滑らかな媒介変数表示を<math>\boldsymbol{p}(s, t) = \begin{pmatrix} x(s, t) \\ y(s, t) \\ z(s, t) \end{pmatrix}</math>とする。 ここで、パラメータベクトル<math>\begin{pmatrix} s \\ t \end{pmatrix}</math>が属する領域<math>T (\subset \mathbb{R}^2)</math>を微小矩形領域<math>\text{∆} T_i</math>に分割する。このとき、各iについて<math>\text{∆} T_i = [s_i, s_i+\text{∆} s_i] \times [t_i, t_i+\text{∆} t_i]</math>であり、各<math>\text{∆} T_i</math>に対応する曲面上の領域を<math>\text{∆} S_i = \boldsymbol{p}(\text{∆} T_i)</math>とする。 このとき、パラメータ領域の面積変化率は、各変数に関する接ベクトル同士の張る接平面上の面積ベクトルで表される。 すなわち、<math>\text{∆} s_i, \text{∆} t_i \to 0</math>のとき :<math>\text{∆} S_i = \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{p}(s_i, t_i)}}{\partial{s}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{p}(s_i, t_i)}}{\partial{t}} \right\| \text{∆} s_i \text{∆} t_i</math> である。 このリーマン和の二重極限は収束し、 :<math>\lim_{\scriptstyle \text{∆} s_i \to 0 \atop \scriptstyle \text{∆} t_i \to 0} \sum_i f(x_i, y_i, z_i) \text{∆}{S_i} = \lim_{\scriptstyle \text{∆} s_i \to 0 \atop \scriptstyle \text{∆} t_i \to 0} \sum_i f(\boldsymbol{p}(s_i, t_i)) \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{X}(s_i, t_i)}}{\partial{s}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{X}(s_i, t_i)}}{\partial{t}} \right\| \text{∆}{s_i} \text{∆}{t_i}</math> :<math>=\iint_T f(\boldsymbol{p}(s, t)) \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{s}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{t}} \right\| ds dt</math>// すなわち、面積分は二重積分に帰着される。 面積分の値は(Sの向き付けが同じならば)パラメータのとり方に依らない。 証明は恒等条件<math>\det \frac{\partial(s_1, t_1)}{\partial(s_2, t_2)}>0</math>を用いて線積分と同様に行われる。 そこで、<math>F</math>の<math>S</math>上での面積分を以下のように略記する。 :<math>\iint_S F dS</math> 1の面積分を考えると、 :<math>\iint_S dS</math> は曲面<math>S</math>の表面積に等しいことが知られている。 そのため、<math>dS</math>を'''面(積要)素'''(surface element)と呼ぶ。 <math>S</math>が閉曲面のときは :<math>\oiint_S F dS</math> とも書く。 例えば、関数<math>z=f(x, y)</math>が<math>\mathbb{R}^3</math>上に描く曲面の表面積は、<math>\boldsymbol{p}= \begin{pmatrix} x \\ y \\ z\end{pmatrix}</math>として :<math>\iint_T \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{x}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{y}} \right\| dx dy</math> :<math>=\iint_T \left\| \begin{pmatrix} -\frac{\partial{f}}{\partial{x}} \\ -\frac{\partial{f}}{\partial{y}} \\ 1 \end{pmatrix} \right\| dxdy</math> :<math>=\iint_T \sqrt{ \left( \frac{\partial{f}}{\partial{x}} \right)^2 + \left( \frac{\partial{f}}{\partial{y}} \right)^2 + 1 } \; dxdy</math> と求められる。 スカラー場の場合と同様の議論により、ベクトル場の面積分は以下のように計算されるとわかる。 :<math>\iint_S \boldsymbol{X} \cdot d \vec{S} = \iint \boldsymbol{X} (\boldsymbol{p}(s, t)) \cdot \left( \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{s}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{t}} \right) dsdt</math> :<math>=\iint \det \begin{pmatrix} \boldsymbol{X}, \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{s}}, \frac{\partial{\boldsymbol{p}}}{\partial{t}} \end{pmatrix} ds dt</math>(<math>\because</math>ベクトル三重積の性質) ここで<math>d\vec{S}</math>は面素ベクトルであり、 :<math>d\vec{S} = \boldsymbol{n} dS</math> と定義される。 <math>\boldsymbol{n}</math>は有向曲面<math>S</math>と右手系(後述)をなすように定められた単位法線ベクトルである。 <math>\boldsymbol{n}</math>は、x, y, z軸それぞれとなす角度を<math>\alpha, \beta, \gamma</math>とすると通常の余弦関数で表されるベクトル<math>\begin{pmatrix} \cos \alpha \\ \cos \beta \\ \cos \gamma \end{pmatrix}</math>に等しい。これを'''方向余弦'''という。 方向余弦に関して、以下のような関係が成り立つ(※証明の加筆お願いします)。 :<math>\begin{cases} \cos\alpha dS = dydz \\ \cos\beta dS = dzdx \\ \cos\gamma dS = dxdy \end{cases}</math> これを用いることで、 :<math>d\vec{S} = \boldsymbol{e}_x dydz + \boldsymbol{e}_y dzdx + \boldsymbol{e}_z dxdy = \begin{pmatrix} dydz \\ dzdx \\ dxdy \end{pmatrix}</math> と表せる。 敢えてx⇒y⇒zの順で記したように、変数名が循環していることがわかる。 ===体積分=== 関数<math>f(x, y, z)</math>が三次元ユークリッド空間<math>\mathbb{R}^3</math>上に立体領域<math>V</math>を描いているとする。 <math>V</math>に沿って積分することを考える。 立体<math>V</math>を微小立体に分割した体積を<math>\text{∆} V_i</math>としたとき、区分求積法により以下のように'''体(積)積分'''(volume integral)が定義される。 :<math>\iiint_V f(x, y, z) dV = \lim_{\text{∆} V \to 0} \sum_i f(x_i, y_i, z_i) \text{∆} V_i</math> 体積分では、リーマン和の三重極限を用いて右辺の極限値を求めることが困難である(3つの極限を任意に交換できるとは限らないため)。 そのため、以下のように考える。 微小立体の体積<math>dV</math>は、各辺の長さが<math>dx, dy, dz</math>である直方体の体積で近似できる(どのような分割の仕方をしても微小領域では直方体に近似できるため)。 よって、<math>dV = dxdydz</math>。この<math>dV</math>を'''体(積)素'''(volume element)という。 つまり、体積分は<math>V</math>についての三重積分 :<math>\iiint_V f(x,y,z) dxdydz</math> に等しい。 <math>V</math>の媒介変数表示を<math>\boldsymbol{r}(s, t, u) = \begin{pmatrix} x(s, t, u) \\ y(s, t, u) \\ z(s, t, u) \end{pmatrix}</math>とすると、スカラー場の<math>V</math>に関する体積分は :<math>\iiint_V F(\boldsymbol{r}) dV = \iiint_V F (\boldsymbol{r}(s, t, u)) \left\| \det \frac{\partial{(x, y, z)}}{\partial{(s, t, u)}} \right\| dsdtdu</math> で表される。 積分領域<math>V</math>が閉立体であるときは :<math>\oiiint_V F dV</math> とも書く。 また、ベクトル場 の<math>V</math>に関する体積分は、ベクトル場の成分となるスカラー場の体積分を並べたベクトル :<math>\iiint_V \boldsymbol{X}(\boldsymbol{r}) dV = \begin{pmatrix} \iiint_V X_x(\boldsymbol{r}) dV \\ \iiint_V X_y(\boldsymbol{r}) dV \\ \iiint_V X_z(\boldsymbol{r}) dV \end{pmatrix}</math> で表される。 ===円筒座標系=== 平面の座標系として直交座標の他に斜交座標、極座標(円座標)、重心座標などがあったように、空間の座標系も複数通り考えられる。 空間座標を3つの実数の組<math>(r, \theta, z)</math>で表した座標系を'''円筒座標系'''('''円柱座標系'''、cylindrical coordinate system)という。ただし、<math>r</math>は原点からの(符号付き)距離、<math>\theta</math>は基準面に於ける始線からの正の回転角、<math>z</math>は基準面からの高さである。 円筒座標系は、円座標系のrθ平面にz軸方向の次元を加えた3次元空間の座標と考えられる。 そのため、円筒座標系と直交座標系の対応は以下のようになる。 :<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \\ z=z \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2} \\ \theta = \arctan\frac{y}{x} \\ z=z \end{cases}</math> 但し、<math>r</math>は基準面の裏側では負とする。 直交座標のz軸を基に円筒座標系の座標軸を決定する。一般に座標軸は直線とは限らないので、「軸」ではなく「曲線」と呼ぶことにする('''座標線''')。なお、「曲線」という語は一般に「直線」を包含する。 :r曲線:z軸上の点を通りz軸に垂直な半直線。 :θ曲線:z軸を法線とする平面内にあり、中心がz軸上にある円周。 :z曲線:z軸に平行な直線。 ここで、各曲線に沿った微小変化がどのように表されるか見ていく。 <math>\boldsymbol{f}: (r,\theta,z)\to(x,y,z)</math>とする。 <math>\boldsymbol{f}</math>全体の微小変化は全微分<math>d\boldsymbol{f}=\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}</math>で表される。 上で求めた関係式より :<math>\boldsymbol{f}\begin{pmatrix} r \\ \theta \\ z\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} r\cos\theta \\ r\sin\theta \\ z \end{pmatrix}</math> なので、 :<math>\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} = \begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial{r}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\cos\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\sin\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}z & \frac{\partial}{\partial{\theta}}z & \frac{\partial}{\partial{z}}z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}</math> よって :<math>d\boldsymbol{f}=\begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin \theta \\ 0 \end{pmatrix}dr + \begin{pmatrix} -\sin\theta \\ \cos\theta \\ 0 \end{pmatrix}rd\theta + \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}dz </math> 再右辺の各項を<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>と書くことにすると、<math>|d\vec{r}|, |d\vec{\theta}|, |d\vec{z}|</math>はそれぞれ<math>dr, rd\theta, dz</math>とわかる。<math>r, \theta, z</math>を物理量として捉えたとき<math>d\theta</math>の単位はラジアン(無次元量)であり、<math>rd\theta</math>の単位はメートル(長さの次元1)なので、次元の整合性が取れる。 纏めると以下のようになる。 {| class="wikitable" | ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_x</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_y</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_z</math>成分 ||style="text-align:center;"| ノルム |- |style="text-align:center;"| <math>d\vec{r}</math> ||style="text-align:center;"| <math>\cos\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>\sin\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>dr</math> |- |style="text-align:center;"| <math>d\vec{\theta}</math> ||style="text-align:center;"| <math>-r\sin\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>r\cos\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>rd\theta</math> |- |style="text-align:center;"| <math>d\vec{z}</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>1</math> ||style="text-align:center;"| <math>dz</math> |} ここで<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>は内積を取ればどの組も互いに直交することが容易にわかるので、この3つのベクトルは3次元ユークリッド空間の直交基底である。 そこで、それぞれのベクトルを正規化することで各軸曲線方向の基本ベクトルを得る。 :<math>\boldsymbol{e}_r = \frac{d\vec{r}}{dr} = \cos\theta \boldsymbol{e}_x + \sin\theta \boldsymbol{e}_y</math> :<math>\boldsymbol{e}_\theta = \frac{d\vec{\theta}}{rd\theta} = -\sin\theta\boldsymbol{e}_x+\cos\theta\boldsymbol{e}_y</math> :<math>\boldsymbol{e}_z=\frac{d\vec{z}}{dz}=\boldsymbol{e}_z</math> これを一次変換の形式で表すと :<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math> となる。 このときの変換行列を、座標系または基底ベクトルを変換することから'''座標変換行列'''又は'''基底変換行列'''という。場合によっては'''変換テンソル'''とも呼ぶ。 なお、この直交座標⇒円筒座標の座標変換行列は、xyz空間に於けるz軸まわりの回転行列に等しい。 逆基底変換はこの座標変換行列の逆行列を求めれば定式化できる。 回転行列は直交行列なので :<math>\begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} ^{-1}= {}^t \! \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} </math> であり、 :<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math> 円筒座標系は、[[電磁気学]]の解析でよく使用される。 例えば、高校物理の公式<math>B(r)=\frac{\mu_0I}{\tau r}</math>は、円筒座標系を知っていれば「電流がz軸に平行であることから磁場はz方向に一葉且つθ方向に回転対称なので、r方向の項のみが寄与する」と理解される。 ===極座標系=== 高等学校までの地理で習ったように、球面上の位置は緯度<math>\theta</math>と経度<math>\phi</math>で定めることができる。 一般に三次元空間で球面上のある点の座標を定めるには、更に球の中心からの距離<math>r</math>が必要である。 このようにして定められる座標系を'''三次元極座標系'''(polar coordinate system in 3D)または'''球(面)座標系'''(spherical coordinate system)という。 xyz座標空間の点<math>P(x, y, z)</math>の極座標表示を考える。 <math>r=|\vec{OP}|=\sqrt{x^2+y^2+z^2}</math>は容易にわかる。 <math>\theta</math>はz軸からの'''天頂角'''(zenith angle)であり、<math>\vec{OP}</math>のz軸への正射影ベクトルを<math>\vec{OH}=\vec{h}</math>とすると<math>\tan\theta = \frac{|\vec{h}|}{z}</math>が成り立つ。<math>|\vec{h}|=\sqrt{x^2+y^2}</math>より、<math>\theta=\arctan \frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z}</math>である。 <math>\phi</math>はx軸からの'''方位角'''(azimuth angle)であり、<math>P</math>からxy平面に下した垂線の足<math>Q</math>を考えると<math>\tan\phi=\frac{y}{x}</math>とわかる。よって、<math>\phi=\arctan\frac{y}{x}</math>である。 逆に、これを<math>P(x, y, z)</math>に復元することを考える。 <math>\triangle OHP</math>について<math>\angle HOP=\theta</math>なので、<math>z=\overline{OH}=r\cos\theta</math>。 また、<math>\triangle OPQ</math>について<math>\angle OPQ=\theta</math>なので、<math>\overline{OQ}=r\sin\theta</math>。 よって<math>x=\overline{OQ}\cos\phi=r\sin\theta\cos\phi, y=\overline{OQ}\sin\phi=r\sin\theta\sin\phi</math>。 以上を纏めると、直交座標と球面座標の対応関係は :<math>\begin{cases} x=r\sin\theta\cos\phi \\ y=r\sin\theta\sin\phi \\ z=r\cos\theta \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2+z^2} \\ \theta=\arctan\frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z} \\ \phi=\arctan\frac{y}{x} \end{cases}</math> 一般に緯度は<math>-90^\circ \leqq \theta \leqq 90^\circ</math>、経度は<math>-180^\circ \leqq \phi \leqq 180^\circ</math>の範囲で表される(但し、符号の違いは東⇔西、南⇔北の違いである)。同様に、球面座標の天頂角<math>\theta</math>、方位角<math>\phi</math>は<math>\theta \in [-\frac{\pi}{4}, \frac{\tau}{4}], \phi \in [-\frac{\tau}{2}, \frac{\tau}{2}]</math>で考える。赤道面より下側(すなわち南半球)では<math>\theta<0</math>とする。 直交座標のz軸を基に極座標系の座標線を決定する。 :r曲線:原点を通る半直線。 :θ曲線:原点中心でz軸上の一点から出る半円弧。 :φ曲線:z軸を法線とする平面内でz軸上に中心を持つ円周。 各曲線に沿った微小変化は円柱座標系の場合と同様、ベクトル場の全微分を用いて :<math>\begin{cases} d\vec{r}= \begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi \\ \cos\theta \end{pmatrix} dr \\ d\vec{\theta}= \begin{pmatrix} \cos\theta\cos\phi \\ \cos\theta\sin\phi \\ -\sin\theta \end{pmatrix}rd\theta \\ d\vec{\phi} = \begin{pmatrix} -\sin\phi \\ \cos\phi \\ 0 \end{pmatrix} r\sin\theta d\phi \end{cases}</math> と求まる。 これらは(内積の結果から)互いに直交するので、円柱座標の場合と同様の議論により :<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \sin\theta\sin\phi & \cos\theta \\ \cos\theta\cos\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\theta \\ -\sin\phi & \cos\phi & 0 \end{pmatrix}</math> と変換テンソルが求まる。 これも直交行列であるので、逆変換テンソルは :<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \cos\theta\cos\phi & \cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\phi \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \end{pmatrix}</math> と求まる。 球面座標系は、[[力学]]の解析でよく使用される。 例えば、赤道平面における角運動量保存則は<math>mr^2\frac{d\phi}{dt}=\mathrm{const}.</math>と表示されるが、これはz軸方向の角運動量を球面座標系の演算により取り出したものである。 球面座標系は特に機械制御に応用されている。 円柱座標系・球面座標系ともに各基底ベクトルが互いに直交しているので、そのことを明示して(且つ通常の直交座標系と区別して)'''直交曲線座標系'''(orthogonal curvilinear coordinate system)と呼ぶ場合がある。直交曲線座標系には、他にも放物柱座標系や楕円座標系などがある。 ===勾配=== スカラー場の'''勾配'''(gradient)を以下のように定義する。 :<math>\mathrm{grad} \, F = \begin{pmatrix} \frac{\partial{F}}{\partial{x}} \\ \frac{\partial{F}}{\partial{y}} \\ \frac{\partial{F}}{\partial{z}} \end{pmatrix} = \frac{\partial{F}}{\partial{x}} \boldsymbol{e}_x + \frac{\partial{F}}{\partial{y}} \boldsymbol{e}_y + \frac{\partial{F}}{\partial{z}} \boldsymbol{e}_z</math> 勾配は、幾何的にはスカラー場の各点に於ける傾きを表す。これは、最右辺の式が「各軸方向の傾きを表すベクトルの和」になっていることからわかる。「スカラー場の各点の傾き」とは、則ち「スカラー場上の変化が最も急峻な方向及び変化の速さ」のことである。このことから、「gradient」の和訳として「勾配」が充当されたのは妥当である。 <math>F</math>に一変数<math>f(x) ,g(y), h(z)</math>をそれぞれ代入すると、各座標軸方向の傾き(すなわち通常の導関数)を得る。このことからも、勾配がスカラー場の各点に於ける傾きを表すことが判る。 勾配はベクトル量であるため、そのことを明示するため新たな演算子を導入する。 '''空間偏微分演算子'''('''ハミルトン演算子'''<!-- 壁谷・川上「ベクトル解析入門」での呼称 -->)<math>\nabla</math>を以下のように定義する。 :<math>\nabla=\begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial{x}} \\ \frac{\partial}{\partial{y}} \\ \frac{\partial}{\partial{z}} \end{pmatrix} = \frac{\partial}{\partial{x}}\boldsymbol{e}_x + \frac{\partial}{\partial{y}} \boldsymbol{e}_y + \frac{\partial}{\partial{z}} \boldsymbol{e}_z</math> この演算子自体は偏微分作用素の対象を後接しないと意味を成さない。しかし、便宜的にベクトル量と考えてベクトルと同様の演算則が成り立つと見做す。そのため、この演算子に関する演算は[[w:記号の濫用]](symbol abuse)であることを註しておく。 <math>\nabla</math>の正式な読み方は'''ナブラ'''(nabla)であるが、<math>\text{∆}</math>(delta)を反転した形であることから'''エイトレッド'''(atled)とも読まれる。なお、ナブラの由来は「竪琴」を意味する古代ギリシャ語「νάβλα」である。 空間偏微分演算子を用いることで、勾配は以下のように略記される。 :<math>\mathrm{grad} \, F = \nabla F</math> <math>F</math>はスカラー場なのでスカラー量であり、<math>\nabla</math>は便宜的にベクトル量と考えることから、その積<math>\nabla F</math>はベクトル量のスカラー倍、すなわちベクトル量であることが見て取れる。 勾配を用いて定義される概念として、電場が有名である。 :電位<math>\phi</math>に対する電場<math>E</math>は :<math>E:=-\mathrm{grad} \, \phi</math> スカラー場の全微分は :<math>dF= \frac{\partial{F}}{\partial{x}}dx + \frac{\partial{F}}{\partial{y}}dy+\frac{\partial{F}}{\partial{z}}dz</math> で定義された。 これを内積の成分表示とみると、ベクトル表示は :<math>dF = \begin{pmatrix} \frac{\partial{F}}{\partial{x}} \\ \frac{\partial{F}}{\partial{y}} \\ \frac{\partial{F}}{\partial{z}} \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} dx \\ dy \\ dz \end{pmatrix}</math> である。 すなわち、スカラー場の全微分は :<math>dF = \nabla F \cdot d\boldsymbol{v}</math> と表される。 一般に、任意方向Sの単位ベクトルが方向余弦ベクトル<math>\boldsymbol{n}</math>で表されるとすると、<math>\boldsymbol{n}</math>方向の方向微分係数は勾配と方向余弦ベクトルの内積で表される。更に、スカラー場の最大傾斜が勾配ベクトル方向であると判る。 ベクトル場の全微分は :<math>d\boldsymbol{X} = \frac{\partial{(X_x,X_y,X_z)}}{\partial{(x,y,z)}} \cdot d\boldsymbol{v}</math> で定義された。 ここでn次行列 <math>\mathbf{A}</math>とn項列ベクトル <math>\boldsymbol{a}</math>に対し、<math>(\mathbf{A} \circledast \boldsymbol{a})_{ij} = (\mathbf{A}_{ij}) a_i</math>となるような可換二項演算子 <math>\circledast</math>を定義する。これは本項独自の記法である。但し、<math>(\mathbf{P})_{ij}</math>は行列 <math>\mathbf{P}</math>の第ij成分を表す。 この記法を用いると、ヤコビ行列<math>\frac{\partial{(X_x,X_y,X_z)}}{\partial{(x,y,z)}}</math>は<math>\nabla \circledast \boldsymbol{X}</math>と表すことができる。 則ち、ベクトル場の全微分は :<math>d\boldsymbol{X} = (\nabla \circledast \boldsymbol{X}) \cdot d\boldsymbol{v}</math> と表される。 ベクトル変数による微分を考える。ベクトル変数による微分は、変数ベクトルの各成分による偏微分を並べたベクトルで表される。 例えば、 :<math>\frac{df}{d\boldsymbol{r}}=\begin{pmatrix} \frac{\partial{f}}{\partial{r_x}} \\ \frac{\partial{f}}{\partial{r_y}} \\ \frac{\partial{f}}{\partial{r_z}} \end{pmatrix}</math> である。 これは<math>\boldsymbol{r}</math>の各成分が直交基底をなすとき、勾配であると考えてよい。 ===発散=== ベクトル場の'''発散'''(divergence)を以下のように定義する。 :<math>\mathrm{div} \, \boldsymbol{X}= \frac{\partial{X_x}}{\partial{x}}+\frac{\partial{X_y}}{\partial{y}}+\frac{\partial{X_z}}{\partial{z}}</math> 発散は、ベクトル場の各点における指力線ベクトルの流出入量の収支を表す。これは、右辺の式が「各軸方向のベクトルの大きさの変化率の和」になっていることからわかる。「発散」の辞書的定義は「自身から何かを湧出すること」であり、ベクトル場の発散の正負は夫々其の点に於ける指力線ベクトル全体としての流出・流入に対応している。故に、「divergence」を「発散」と訳出したことは妥当と考えられる。 発散はスカラー量であるが、それを明示するため空間偏微分演算子による表記を考える。<math>\boldsymbol{X}=\begin{pmatrix} X_x \\ X_y \\ X_z \end{pmatrix}</math>より、発散は空間偏微分演算子を用いると以下のように表せる。 :<math>\mathrm{div} \, \boldsymbol{X}= \nabla \cdot \boldsymbol{X}</math> 発散を用いた概念として、ガウスの法則が有名である。 :電荷密度<math>\rho</math>、電場<math>\boldsymbol{E}</math>、空間の誘電率<math>\varepsilon</math>とすると :<math>\mathrm{div} \, \boldsymbol{E} = \frac{\rho}{\varepsilon}</math> 極座標で考えることにより、この式の重要な性質「荷電粒子の座標を原点にとると原点以外では<math>\mathrm{div} \, \boldsymbol{E}=0</math>」を証明することができる。 ベクトル場の存在する3次元領域内に体積<math>\text{∆} v</math>の閉曲面をとる。 閉曲面の有向微小表面積を<math>d\vec{S}</math>とするとき、この微小面を通過する指力線の量は :<math>\boldsymbol{X}_n dS = \boldsymbol{X} \cdot d\vec{S}</math>(<math>\boldsymbol{X}_n</math>は法線成分) である。 この閉曲面全体を出入りする指力線の総量は面積分 :<math>\oiint_S \boldsymbol{X} \cdot d\vec{S}</math> で与えられる。 発散は単位体積当たりの指力線ベクトルの湧出量とも考えられるので、上式を規格化(体積で除)し体積を0に近づけた極限は発散に等しい。 :<math>\mathrm{div} \, \boldsymbol{X} = \lim_{\text{∆} V \to 0} \frac{1}{\text{∆} V} \oiint_S \boldsymbol{X} \cdot d\vec{S}</math> これを積分形に変形すると、以下の'''ガウスの発散定理'''(Gauss' divergence theorem)を得る。 :<math>\iiint_{\text{∆} V} \mathrm{div} \, \boldsymbol{X} dV = \oiint_S \boldsymbol{X} \cdot d\vec{S}</math> 発散はまた、ヤコビ行列の跡に等しい。 :<math>\mathrm{div} \, \boldsymbol{X} = \mathrm{tr} (\nabla \circledast \boldsymbol{X})</math> ===回転=== 回転運動は、以下の3つにより一意に定まる。 *回転軸の方向 *回転の速さ *回転方向(軸に対して右回転か左回転か) 「回転方向」を(暗黙の諒解として)回転軸に対して右螺子の向きにとることにする('''右手系''')。すると、回転運動を表すのに必要な情報は「方向」と「速さ(=スカラー量)」のみとなる。 従って、'''任意の回転運動はベクトルで表示される'''(ベクトルの大きさは「回転の速さ」で定める)。このようなベクトルを'''角速度ベクトル'''という。 ベクトル場の'''回転'''(curl、rotation、rotor)を以下のように定義する。 :<math>\mathrm{curl} \, \boldsymbol{X} = \mathrm{rot} \, \boldsymbol{X} = \begin{pmatrix} \frac{\partial{X_z}}{\partial{y}}-\frac{\partial{X_y}}{\partial{z}} \\ \frac{\partial{X_x}}{\partial{z}}-\frac{\partial{X_z}}{\partial{x}} \\ \frac{\partial{X_y}}{\partial{x}}-\frac{\partial{X_x}}{\partial{y}} \end{pmatrix}</math> <math>\mathrm{curl}</math>は理学系、<math>\mathrm{rot}</math>は工学系が好んで使用する。 z軸方向の成分について考える。 z軸方向の回転はフレミングの左手の法則からxy平面内の成分のみが寄与すると考えられる。z軸の正方向の回転を生むには、x軸方向の変化率を大きくしてy軸方向の変化率を小さくすればよい。 ある軸方向の変化率とはその軸の変数に関する偏導関数のことであったので、回転のz成分を<math>\frac{\partial{X_y}}{\partial{x}}-\frac{\partial{X_x}}{\partial{y}}</math>とすれば満足する。 x軸方向・y軸方向も同様であるので、回転は上の式で表されるとわかる。 ここまで定性的に見てきたが、今度は定量的に考える。 回転の正式な定義は「微小領域境界を線積分した値の微小面積密度を並べたベクトル」である。これは以下のように陰に表示される。 :<math>(\mathrm{curl} \, \boldsymbol{X}) \cdot \boldsymbol{n} := \lim_{S\to0} \frac{1}{|S|} \oint_{\partial{S}} \boldsymbol{X} \cdot d\vec{l}</math> :但し、<math>S</math>は<math>\boldsymbol{n}</math>を単位法線ベクトルとし点<math>l(\vec{l})</math>を含む微小有向面、<math>\partial{S}</math>はその境界となる微小閉曲線、<math>|S|</math>は<math>S</math>の表面積。 定義に従ってz軸方向の回転の式を導く。<math>C</math>を積分経路とする。 :<math>(\mathrm{curl} \, \boldsymbol{X})_z = \lim_{\text{∆} S\to0} \frac{1}{|\text{∆} S|} \oint_C \boldsymbol{X} \cdot d\vec{l}</math> :<math>= \lim_{\scriptstyle \text{∆} x \to 0 \atop \scriptstyle \text{∆} y \to 0} \frac{1}{\text{∆} x \text{∆} y} \oint_C \boldsymbol{X} \cdot d\vec{l}</math> :<math>=\lim_{\scriptstyle \text{∆} x \to 0 \atop \scriptstyle \text{∆} y \to 0} \frac{1}{\text{∆} x \text{∆} y} \left( \int_{\text{∆} x} X_x (x, y, z) dl + \int_{\text{∆} y} X_y (x+\text{∆} x, y, z) dl - \int_{\text{∆} x} X_x (x, y+\text{∆} y, z) dl - \int_{\text{∆} y} X_y (x, y, z) dl \right)</math> :<math>=\lim_{\scriptstyle \text{∆} x \to 0 \atop \scriptstyle \text{∆} y \to 0} \frac{1}{\text{∆} x \text{∆} y} \left( X_x(x, y, z) \text{∆} x + X_y(x+\text{∆} x, y, z) \text{∆} y -X_x(x, y+\text{∆} y, z) \text{∆} x - X_y(x, y, z) \text{∆} y \right)</math> :<math>=\lim_{\scriptstyle \text{∆} x \to 0 \atop \scriptstyle \text{∆} y \to 0} \left( \frac{X_x(x, y, z)}{\text{∆} y} + \frac{X_y(x+\text{∆} x, y, z)}{\text{∆} x} - \frac{X_x(x, y+\text{∆} y, z)}{\text{∆} y} - \frac{X_y(x, y, z)}{\text{∆} x} \right)</math> :<math>=\lim_{\scriptstyle \text{∆} x \to 0 \atop \scriptstyle \text{∆} y \to 0} \left( \frac{X_y(x, y+\text{∆} y, z)-X_y(x, y, z)}{\text{∆} x} - \frac{X_x(x+\text{∆} x, y, z) - X_x(x, y, z)}{\text{∆} y} \right)</math> :<math>=\frac{\partial{X_y}}{\partial{x}}-\frac{\partial{X_x}}{\partial{y}}</math>// 回転はベクトル量であるが、それを明示するため空間偏微分演算子による表記を考える。 成分に着目すると外積の形式なので、 :<math>\mathrm{curl} \, \boldsymbol{X}= \nabla \times \boldsymbol{X}</math> と表されることが判る。 外積の性質から、回転は行列式 :<math>\det \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x & \boldsymbol{e}_y & \boldsymbol{e}_z \\ \frac{\partial}{\partial{x}} & \frac{\partial}{\partial{y}} & \frac{\partial}{\partial{z}} \\ X_x & X_y & X_z \end{pmatrix}</math> でも表示される。 回転を用いた概念として、ファラデーの電磁誘導の法則が有名である。 :電場<math>\boldsymbol{E}</math>、磁束密度<math>\boldsymbol{B}</math>として :<math>\mathrm{rot} \, \boldsymbol{E} = -\frac{\partial{\boldsymbol{B}}}{\partial{t}}</math> 流体の渦の記述にも応用されている。 回転は常に角速度ベクトルと一致するとは限らない。そのため、必ずしも回転運動そのものを記述しない。 回転の正式な定義から、以下の'''ストークスの定理'''(Stokes' theorem)が成り立つと判る。 :<math>\int_S \mathrm{curl} \, \boldsymbol{X} \cdot d\vec{S} = \oint_C \boldsymbol{X} \cdot d\vec{l}</math> :但し、<math>C</math>は閉曲面<math>S</math>の境界曲線。 回転は、ヤコビ行列を用いると以下のように表される。 :<math>\mathrm{rot} \, \boldsymbol{X} = 2 \mathrm{axl} \left( \frac{\nabla \circledast \boldsymbol{X} - {}^t \! (\nabla \circledast \boldsymbol{X})}{2} \right)</math> :ここで<math>\nabla \circledast \boldsymbol{X} - {}^t \! (\nabla \circledast \boldsymbol{X})</math>は反対称行列であり、<math>\mathrm{axl}</math>は反対称行列を軸ベクトルに移す写像である。 ===ラプラシアン=== 以下のように'''ラプラス演算子'''('''ラプラス作用素'''、Laplacian)を定義する。但し、<math>\text{∆}</math>は通常のデルタ(Unicode文字名: GREEK CAPITAL LETTER DELTA, U+394)ではなく'''増分記号'''(Unicode文字名:INCREMENT, U+2206)である(が通常のデルタで書かれることが多い)。 :<math>\text{∆} = \nabla \cdot \nabla = \frac{\partial^2}{\partial{x^2}} + \frac{\partial^2}{\partial{y^2}} + \frac{\partial^2}{\partial{z^2}}</math> 第二式は通常、[[w:記号の濫用]]により単に<math>\nabla^2</math>と書かれる。 スカラー場の'''ラプラシアン'''を以下のように定義する。 :<math>\text{∆} F = \frac{\partial^2F}{\partial{x^2}} + \frac{\partial^2F}{\partial{y^2}} + \frac{\partial^2F}{\partial{z^2}}</math> ラプラス演算子の定義により、左辺は以下のように変形される。 :<math>\text{∆} F = \nabla^2 F = \nabla \cdot (\nabla F) = \mathrm{div} \, (\mathrm{grad} \, F)</math> スカラー場のラプラシアンは、各成分方向の曲率の和、すなわちスカラー場の各点に於ける突出・沈み込みの度合いを表す。 ベクトル場のラプラシアンは、「各成分のラプラシアンを並べたベクトル」で表される。 :<math>\text{∆} \boldsymbol{X} = \begin{pmatrix} \text{∆} X_x \\ \text{∆} X_y \\ \text{∆} X_z \end{pmatrix}</math> ベクトル場では以下の等式が成り立つ。 :<math>\text{∆} \boldsymbol{X} = \mathrm{grad} \, (\mathrm{div} \, \boldsymbol{X}) - \mathrm{rot} \, (\mathrm{rot} \, \boldsymbol{X})</math> 回転が<math>\boldsymbol{0}</math>ならば<math>\text{∆} \boldsymbol{X} = \nabla (\nabla \cdot \boldsymbol{X})</math>であり、形式的に<math>(\nabla \cdot) \nabla = \nabla (\nabla \cdot) = \nabla^2</math>が成り立つ。 ラプラシアンは、ポアソン方程式やシュレディンガー方程式、拡散方程式・波動方程式など、物理学の様々な局面で登場する。 ベクトル場<math>\boldsymbol{X}</math>にスカラー関数<math>\phi</math>を掛けた関数について、その発散は以下であると容易に証明される。 :<math>\mathrm{div} \, (\phi\boldsymbol{X}) = \mathrm{grad} \, \phi \cdot \boldsymbol{X} + \phi \mathrm{div} \, \boldsymbol{X}</math> ここで、<math>\boldsymbol{X}</math>をスカラー関数<math>\psi</math>の勾配<math>\mathrm{grad} \, \psi</math>と見做すと、 :<math>\mathrm{div} \, (\phi \mathrm{grad} \, \psi) = \mathrm{grad} \, \phi \cdot \mathrm{grad} \, \psi + \phi \mathrm{div} \, (\mathrm{grad} \, \psi)</math> 空間偏微分演算子及びラプラス演算子を用いて表記すると、 :<math>\nabla \cdot (\phi \nabla \psi) = \nabla \phi \cdot \nabla \psi + \phi \text{∆} \psi</math> 両辺を三次元領域Vに関して体積分すると、 :<math>\int_V \nabla (\phi \nabla \psi) dV = \int_V (\nabla \phi \cdot \nabla \psi + \phi \text{∆} \psi) dV</math> Vの境界曲面をSとして左辺にガウスの発散定理を適用すると、 :<math>\oint_S (\phi \nabla \psi) \cdot d\vec{S} = \int_V (\phi \text{∆} \psi + \nabla \phi \cdot \nabla \psi) dV</math> これを'''グリーンの第一定理'''(Green's first theorem)という。 グリーンの第一定理に於いて、<math>\phi</math>と<math>\psi</math>を入れ替えた式は :<math>\oint_S (\psi \nabla \phi) \cdot d\vec{S} = \int_V (\psi \text{∆} \phi + \nabla \psi \cdot \nabla \phi) dV</math> 元の式との差をとると :<math>\int_S (\phi \nabla \psi - \psi \nabla \phi) \cdot d\vec{S} = \int_V (\phi \text{∆} \psi - \psi \text{∆} \phi) dV</math> これを'''グリーンの第二定理'''(Green's second theorem)という。 <math>S</math>の単位法線ベクトルを<math>\boldsymbol{n}</math>、その方向の軸を<math>n</math>とすると、 :<math>(\phi \nabla \psi) \cdot d\vec{S} = (\phi \nabla \psi) \cdot \boldsymbol{n} dS = \phi \frac{\partial{\psi}}{\partial{n}} dS</math> グリーンの第二定理の左辺を書き換えて :<math>\int_S \left( \phi \frac{\partial{\psi}}{\partial{n}} - \psi \frac{\partial{\phi}}{\partial{n}} \right) dS = \int_V (\phi \text{∆} \psi - \psi \text{∆} \phi) dV</math> これを'''グリーンの定理'''(Green's theorem)という。 ===積分定理=== {{節stub}} この節では、上述したガウスの発散定理、ストークスの定理、グリーンの定理を厳密な議論により証明する。 *ガウスの発散定理の証明 *ストークスの定理の証明 *グリーンの定理の証明 ;補足事項 一般に<math>\mathrm{rot} \,(\mathrm{grad} \, F)=\mathrm{div} \, (\mathrm{rot} \, \boldsymbol{X})=0</math>が成り立つ。証明は下記の演習問題で行う。 <math>\mathrm{rot} \, \boldsymbol{x} = \boldsymbol{0}</math>を満たすベクトル場<math>\boldsymbol{x}</math>を'''層状ベクトル場'''(lamellar vector field)という。回転を持たないことから'''非回転的ベクトル場'''(irrotational vector field)ともいう。 上記の性質から、<math>\boldsymbol{x} = \mathrm{grad} \, f</math>となるスカラー場<math>f</math>が存在する。この<math>f</math>を、<math>\boldsymbol{x}</math>の'''スカラーポテンシャル'''(scalar potential)という。 <math>\mathrm{div} \, \boldsymbol{y} = 0</math>を満たすスカラー場<math>\boldsymbol{y}</math>を'''管状ベクトル場'''(solenoidal vector field)という。発散を持たないことから'''回転的ベクトル場'''(rotational vector field)ともいう。 上記の性質から、<math>\boldsymbol{y} = \mathrm{rot} \, \boldsymbol{g}</math>となるベクトル場<math>\boldsymbol{g}</math>が存在する。この<math>\boldsymbol{g}</math>を、<math>\boldsymbol{y}</math>の'''ベクトルポテンシャル'''(vector potential)という。 スカラーポテンシャル及びベクトルポテンシャルの存在は、[[w:ポアンカレの補題]]の特別な場合であり、ユークリッド空間<math>\mathbb{R}^n</math>では一般に成り立つ。 ;演習問題 #<math>\boldsymbol{f}(x, y, z)= \begin{pmatrix} yz \\ zx \\ xy \end{pmatrix}</math>の曲率・捩率・流線方程式を求めよ。但し、 #<math>\int_{-1}^1 \int_{-\sqrt{1-z^2}}^\sqrt{1-z^2} \int_{-\sqrt{1-z^2-y^2}}^\sqrt{1-z^2-y^2} dxdydz</math>を円筒座標または極座標に変数変換し、計算せよ。 #<math>\mathrm{rot} \, (\boldsymbol{X}+\boldsymbol{Y}) = \mathrm{rot} \, \boldsymbol{X} + \mathrm{rot} \, \boldsymbol{Y}</math>を示せ。 #<math>\mathrm{curl} \,(\mathrm{grad} \, F)=\mathrm{div} \, (\mathrm{curl} \, \boldsymbol{X})=0</math>を証明せよ。 #<math>\text{∆} \boldsymbol{X} = \mathrm{grad} \, (\mathrm{div} \, \boldsymbol{X}) - \mathrm{rot} \, (\mathrm{rot} \, \boldsymbol{X})</math>を確かめよ。 #線素ベクトル・面素ベクトル・体素を円筒座標系の基本ベクトルを用いて表せ。 #極座標系に於ける勾配・発散・回転・ラプラシアンを導出せよ。 #層状ベクトル場上の線積分は積分経路に依存せず、始点と終点のみに依存することを証明せよ。 #<math>\boldsymbol{f}=\begin{pmatrix} 3x \\ 5y \\ 7z \end{pmatrix}</math>とする。円筒側面<math>x^2+y^2=1, -2\leq z \leq 2</math>上での面積分を求めよ。但し、面積ベクトルは円筒面に対して外向きとする。 ==複素ベクトル解析== [[複素解析学]]も参照。 {{節stub}} ==n次元== {{節stub}} {{Advanced|多様体論}} {{Advanced|微分幾何学}} {{Advanced|積分幾何学}} ===体積分=== 体積分は先程「<math>\mathbb{R}^3</math>上の閉立体<math>V</math>」上で考えたが、実はここには線積分・面積分との大きな非対称性がある。 線積分は「曲線」、面積分は「曲面」を積分領域としたが、先程定義した体積分の積分領域は「平坦な立体」なのである(二次元で例えば楕円領域<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\leq1</math>は境界こそ"曲線"だが空間そのものは<math>\mathbb{R}^2</math>という"平面"であることと同じ)。 1次元の曲がった空間である曲線<math>M^1:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>が<math>\mathbb{R}^2</math>内、2次元の曲がった空間である曲面<math>M^2:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t)</math>が<math>\mathbb{R}^3</math>内に存在するように、3次元の曲がった空間である曲立体<math>M^3:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t, u)</math>は<math>\mathbb{R}^4</math>内に存在すると考えるのが自然である。ここで一般に<math>M^n\subset\mathbb{R}^{n+1}</math>が成り立つと予想され、この関係を「<math>M^n</math>の<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>への'''埋め込み'''」と呼ぶことにする。 線積分を<math>M^1</math>、面積分を<math>M^2</math>で定義したように、体積分を<math>M^3</math>で定義することを考える。 媒介変数空間<math>\begin{pmatrix} s \\ t \\ u \end{pmatrix} \in V \subset\mathbb{R^3}</math>上の微小変化を考えると全微分を用いて :<math>d\boldsymbol{r}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math> よって<math>V</math>上の微小立方体<math>dsdtdu</math>は3ベクトル<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>の張る微小平行六面体へ移される。 体素はこの微小平行六面体の体積と考えられるが、<math>\boldsymbol{r}\in\mathbb{R}^4</math>より当然この3ベクトルは4項ベクトルなので、'''外積を含んでいるスカラー三重積は使えない'''。 全微分を一次変換表記すると :<math>d\boldsymbol{r}=\begin{pmatrix} \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math> :<math>=\begin{pmatrix} \frac{\partial{x}}{\partial{s}} & \frac{\partial{x}}{\partial{t}} & \frac{\partial{x}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{y}}{\partial{s}} & \frac{\partial{y}}{\partial{t}} & \frac{\partial{y}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{z}}{\partial{s}} & \frac{\partial{z}}{\partial{t}} & \frac{\partial{z}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{w}}{\partial{s}} & \frac{\partial{w}}{\partial{t}} & \frac{\partial{w}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math> :<math>=\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math> ここでヤコビ行列は<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\in\mathbb{R}^{4\times3}</math>であって'''正方行列でないので行列式も求まらない'''。 そこで、[[線型代数学続論/種々の行列#随伴行列|グラム行列]]を利用することを考える。 '''グラム行列は必ず半正定値行列'''なので行列式は非負であり、平方根をとれる。 そのため、<math>\mathbf{G}:=\left(\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\right)^*\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>として<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を体積拡大率とする。 これは正方行列ならヤコビアンの絶対値に一致する。 {{NavTop|title=補足:体積拡大率に一致する証明}} :<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>の列ベクトルにグラム=シュミットの直交化法を適用すると[[線型代数学続論/行列分解|QR分解]]によって :<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}=\mathbf{QR}\quad (\mathbf{Q}\in\mathbb{R}^{4\times3}, \mathbf{R}\in\mathbb{R}^{3\times3})</math> よって :<math>\mathbf{G}=(\mathbf{QR})^*\mathbf{QR}</math> :<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{Q}^*\mathbf{Q}\mathbf{R}</math> :<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{E}_3\mathbf{R}</math>(<math>\because\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列) :<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{R}</math> :<math>\therefore \sqrt{\det\mathbf{G}}=\sqrt{\det\left( \mathbf{R}^*\mathbf{R} \right)}=\sqrt{\left(\det\mathbf{R}\right)^2}=|\det\mathbf{R}|</math> <math>\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列なのでその一次変換は等長変換であり、全微分による拡大率は<math>\mathbf{R}</math>による拡大率と一致する。<br/> 則ち、<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を拡大率としてとれる。// {{NavBottom}} よって体積分は :<math>\iiint_{M^3} f(\boldsymbol{r})dM^3 = \iiint_{V} f(\boldsymbol{r}(s, t, u))\sqrt{\det\mathbf{G}}\,dsdtdu</math> ここから、適切な媒介変数表示が存在するならば<math>M^n</math>上での体積分の計算に<math>\mathbb{R}^{n+1}\setminus M^n</math>の情報は入ってこず、<math>M^n</math>の情報のみで計算されると予想される。 実際、<math>M^n</math>に適切な媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})\quad(\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n)</math>が存在するとき、全微分による一次変換の拡大率は同様にグラム行列式の平方根で与えられるので体積素は<math>dM^n = \sqrt{\det\mathbf{G}} \prod_{k=1}^{n}d\boldsymbol{p}_k</math>と書け、これは正しい。 実は、体素だけでなく一般に角度や長さといった幾何学的な量は埋め込み先である<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>の情報を全く必要とせず、<math>M^n</math>の情報だけで構成できることが知られている。このことは微分幾何学のうち[[w:リーマン幾何学|リーマン幾何学]]と呼ばれる分野で詳しく扱われる。 ここまで<math>M^n</math>を適切な媒介変数<math>\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n</math>で表すことを強調してきたが、媒介変数表示を考えるということは<math>M^n</math>から媒介変数空間<math>U\subset\mathbb{R}^n</math>への射影<math>\pi:M^n\to U</math>を考えるということである。 ここで、この<math>\pi</math>が全単射ならば逆向きの射影<math>\pi^{-1}:U\to M^n</math>が存在してそれが媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})</math>となるわけであるが、これは以下のようにも捉えられる。 :<math>\pi</math>によって射影した平坦な空間で座標を設定すると、'''適切な逆変換<sup>※</sup>によって曲がった空間<math>M^n</math>上に(局所)座標系を与えることができる'''。 つまり、体積分を媒介変数空間に置換積分するということは、逆に体積分の元の表示が「<math>M^n</math>上の局所座標系に於ける積分」であることを示している。 ※この適切な逆変換が存在する条件は'''陰関数定理そのもの'''である。 ここで、適切な媒介変数表示が存在するよう<math>M^n</math>に制限を課したものが、以下で扱う'''多様体'''である。 ===多様体=== ===微分形式=== ===勾配・発散=== {{DEFAULTSORT:へくとるかいせき}} [[Category:解析学]] [[Category:微分積分学]] [[Category:ベクトル解析|かいせきかくきそ]] mxfd9qwpfliu0m5j9ii8hkkpw8blb39 高等学校国語/国語便覧/戦争と文学 0 48699 302584 302475 2026-08-22T12:49:04Z 椎楽 32225 「はじめに」を追加。その他若干加筆。 302584 wikitext text/x-wiki == はじめに == 戦争をテーマにした作品は小学校から高校まで、各学年の国語教科書に必ず掲載されている。そのため、戦争について国語で学ぶことも多い。 一方で、戦争や軍隊は私たちにとってそれほど身近ではないため、イメージしにくいのも事実である。 ここでは、戦争や軍隊に関する様々な豆知識を紹介することで、より深い読解ができるようにすることを目的としている。例えば「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」は小学校の定番教材だが、その背景にある知識があれば、また読み方も変わってくる。 また、最後に様々な戦争文学を紹介している。教科書に載っている定番作品(「バグダッドの靴磨き」など)だけでなく、ちょっとした息抜きにも読める短編、腰をすえて読む長編小説なども紹介する。また、書かれた時代や作者の視点なども多様である。ぜひ、色々と読み比べてほしい。 なお、2026年現在の国語教科書に掲載されている戦争に関する文学作品のほとんどはアジア・太平洋戦争に関するものである。また、日本で見ることの多い戦争文学や戦争に関する芸術・表現活動もアジア・太平洋戦争、および第二次世界大戦が圧倒的に多い。そのため、このページの記述も戦前日本のものが中心となることをあらかじめ断っておく。 == 軍隊の生活 == === 軍隊に入るまで === 一言で「軍隊に入る」といっても、どんな「階級」かよって全く異なる。ごく大雑把に言えば、以下の3つに分けられる。 * 兵卒 * 下士官 * 士官 これらについては後述するが、簡単に言えば…… * 兵卒:現場で手足となって動く人々。 * 下士官:兵卒のまとめ役。あるいは企業でいうところの専門職。 * 士官:軍の幹部。 といったところだろう。こうした役割の違いも軍に入るときの違いに影響している。 1. 兵卒として入隊 :兵卒として入隊する方法は主に二つ。一つは自ら志願すること。戦前の日本では17歳になると男子は志願できた。もう一つが'''徴兵'''である。大日本帝国時代の日本では、満20歳になると男子は'''徴兵検査'''を受ける必要があった。戦前日本の徴兵検査は主に身体検査であり、体格別に甲・乙(第1・第2)・丙・丁・戊と分けられた。この中で、甲種合格と第1乙種が現役兵として充てられた。 {| class="wikitable" |+ 合格判定基準 ! 判定区分 ! colspan="2" |基準要旨 ! 兵役区分 |- ! 甲種 | colspan="2" |身長1.55メートル以上にして身体強健なる者 (その中で、より兵役に適するとみられる者) |現役の兵卒となる |- ! rowspan="2"|乙種 | rowspan="2"|身長1.55メートル以上にして 甲種に次ぐ者 | 第一乙種    | rowspan="2" |現役の兵卒が足りなくなったときに召集される(補充兵) |- | 第二乙種 |- ! 丙種 | colspan="2" |身長1.55メートル以上にして乙種に次ぐ者 及身長1.50メートル以上、1.55メートル未満の者 | 基本的には軍務につかない。または補給などで支援する(国民兵役) |- ! 丁種 | colspan="2" |身長1.50メートル未満の者 及疾病等のある者 | 兵役に適さない |- ! 戊種 | colspan="2" |病中または病後など | 兵役の適否につき<br />判定できない |} :ただ、戦争のない時期はそれほど多く兵を持つ必要がない。そのため、平時にはくじ引きで現役入隊するかどうかが決まった。徴兵期間は2年(1927年以降)。それが終わると、'''予備役'''となり一般社会に戻る。いわば、軍隊のパートタイマーである。 2. 下士官として入隊 :下士官は、いわば「就職先として軍隊を選んだ人」である。そのため、下士官は'''職業軍人'''とされ、基本的に定年まで勤めあげることができる。その分、入隊基準も厳しくなる。大体、自衛隊を含む現代の軍隊では高卒レベルの学力は求められる。 :なお、帝国陸海軍の場合は兵として入隊してから3か月後に志願して採用されると下士官になれたようだ。 3.士官として入隊 :士官は軍の幹部で、もちろん職業軍人である。そのため、幹部育成コースに乗らなければ士官にはなれない。具体的には、'''士官学校'''(国や時代によって名称は異なる)に合格して軍人としての専門教育を受ける必要がある。なお、士官学校は学歴的には大学と同等とされることが多いため、一般の大学生・大卒生でも何らかの形で教育を受けるか試験に合格すると最初から士官として入隊できる。 === 軍隊の暮らし === === その後 === == 軍の組織 == == 戦時下の生活 == == 戦争文学 == === アジア・太平洋戦争以前 === * 『坂の上の雲』(司馬遼太郎著, 文春文庫) :明治維新から日露戦争に至る日本を舞台に、「日本騎兵の父」と呼ばれた[[w:秋山好古|秋山好古]]とその弟で海軍参謀・[[w:秋山真之|秋山真之]]、現代俳句の創始者・正岡子規との友情を描いた長編小説。 * 『西部戦線異状なし』(エーリヒ・マリア・レマルク著, 新潮文庫) * 『ジョニーは戦場へ行った』(ダルトン・トランボ著, 角川新書他) === アジア・太平洋戦争 === * 『生きてゐる兵隊』(石川達三著, 中公文庫) :出版社特派員として、中国大陸での取材を基にした小説。日中戦争における日本軍の実態を写実的に描いたため、戦前・戦中期には発禁処分を受けた。 * 『麦と兵隊』(火野葦平, 角川文庫) :1938年の徐州作戦を描いた作品。戦中のヒット作の一つであり、歌も作られた。 * 『大地の子』(山崎豊子著, 文春文庫) * 『きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記』(日本戦没学生記念会編, 岩波文庫) * 『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著, 岩波現代文庫) :独ソ戦に参戦したソ連軍女性たちの口述記録。コミカライズ版(角川書店)もあるので、そちらを先に読んでもいいだろう。 * 『ぼうさまになったからす』(文:松谷みよ子, 絵:司修, 偕成社) :長野県上田市で採取した話に基づく絵本。 ==== 沖縄戦 ==== * 『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』(仲宗根政善編著, 角川文庫) :ひめゆり学徒隊の女学生たちの手記。これを基に3度映画化もされている。 ==== 広島・長崎 ==== * 『夏の花』(原民喜著, 岩波文庫/集英社文庫) * 『原爆詩集』(峠三吉, 岩波文庫) * 『黒い雨』(井伏鱒二著, 新潮文庫) * 『ヒロシマ・ノート』(大江健三郎著, 岩波新書) === 現代の戦争 === * 「バグダッドの靴磨き」(米原万里著, 『セレクション戦争と文学3「9・11 変容する戦争」』(集英社)収録) === 「未来」の戦争 === * 『虐殺器官』(伊藤計劃著, ハヤカワ文庫) * 『となり町戦争』(三崎亜記著, 集英社) * 「リトルガールふたたび」(山本弘著, 『アリスへの決別』(早川書房)収録) == 参考文献 == === 新書・一般書など === * 浅田次郎他編『セレクション 戦争と文学1-8』(集英社) * 『コレクション 戦争と文学 別巻 〈戦争と文学〉案内』(集英社) * 一ノ瀬俊也『皇軍兵士の日常生活』(講談社現代新書) * 松谷みよ子『現代民話考[2]』(ちくま文庫) * 吉田裕『日本軍兵士』(中公新書) * 吉田裕『続・日本軍兵士』(中公新書) === 学参 === *『プレミアムカラー 国語便覧』(数研出版) 3e609uem7cpuuolv8kizxr7k724ainu 利用者:鴎海/テンプレート/Math statement/testcases 2 48728 302599 302578 2026-08-23T05:32:19Z 鴎海 70504 白紙化 302599 wikitext text/x-wiki phoiac9h4m842xq45sp7s6u21eteeq1 高等学校倫理/青年期の特徴と発達課題 0 48729 302582 2026-08-22T12:45:23Z Kazu wiki Deutschland 92341 青年期の定義、マージナルマン・モラトリアム等の重要概念、エリクソンのアイデンティティ、ハヴィガーストの発達課題を加筆・作成 302582 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>青年期の特徴と発達課題 == 青年期とは == '''青年期'''(思春期・青春期、adolescence)とは、子どもから大人へと移行する過渡期のことを指す。現代社会では、中学校・高等学校・大学等への進学や社会構造の複雑化に伴い、おおむね12歳〜20歳代前半頃までの長期間にわたるプロセスとして捉えられている。 近代以前の社会では、'''通過儀礼'''(イニシエーション、成人式など)を経て短期間で子どもから大人の役割・責任へと移行していたが、産業社会の高度化・複雑化により、自立した社会人となるまでに長い準備期間('''モラトリアム''')が必要とされるようになった。 == 青年期の特徴と心の変化 == === 身体的変化と精神的変化 === * '''第二次性徴''': ホルモンの分泌に伴い、生殖機能の発達や性差による体型の変化が生じる。 * '''第二の誕生''': フランスの思想家'''ルソー'''(Jean-Jacques Rousseau, 1712–1778)は、教育論『'''エミール'''』の中で「われわれはいわば二度生まれる。一度目は存在するために(生物として)、二度目は生きるために(人間として)。一度目は種(性)のために、二度目は社会のために。」と述べ、自己への目覚めと社会的人格の形成期を位置づけた。 * '''疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドラング)''': アメリカの心理学者'''ホール'''(Granville Stanley Hall, 1844–1924)は、青年期を感情の起伏が激しく、理想と現実の間で激しく揺れ動く「'''疾風怒濤'''の時代」と表現した。 === 青年期を表す主な概念 === {| class="wikitable" |+ 青年期を表す主な概念と提唱者 |- ! 概念名 !! 提唱者 !! 内容・意味 |- ! '''マージナル・マン'''<br>(境界人・周辺人) | '''レヴィン'''<br>(Kurt Lewin) | 子どもの世界にも大人の世界にも完全に所属できず、両者の境界(マージン)に位置して不安定な心理状態にある存在。 |- ! '''心理的離乳''' | '''ホリングワース'''<br>(Leta Stetter Hollingworth) | 親への依存関係から脱し、精神的・情緒的な自立を求めていく過程。'''第二次反抗期'''を経て親の権威を相対化する。 |- ! '''モラトリアム'''<br>(猶予期間) | '''エリクソン'''<br>(Erik H. Erikson) | 本来は「支払猶予」を意味する経済用語。社会人としての責任や義務を一時的に猶予され、自己の生き方を模索する期間('''心理社会的モラトリアム''')。 |} == 青年期の発達課題とアイデンティティ == === エリクソンのアイデンティティ概念 === アメリカの精神分析学者・発達心理学者'''エリクソン'''(Erik H. Erikson, 1902–1994)は、人間の生涯を8つの発達段階に区分し、それぞれの段階に特有の課題と危機が存在すると説いた('''ライフサイクル論''')。 * '''自我同一性(アイデンティティ、Identity)の確立''': ** 「自分は何者か」「何を信じ、何を目指して生きるのか」という問いに対し、過去・現在・未来の自己に一貫性・連続性を持ち、かつ他者や社会からも承認されているという確信。 * '''アイデンティティの拡散(同一性拡散)''': ** アイデンティティの確立に失敗し、自己の役割や存在価値を見失い、無気力・自己喪失感・目標不全などに陥る状態。 === ハヴィガーストの発達課題 === アメリカの教育学者'''ハヴィガースト'''(Robert J. Havighurst, 1900–1991)は、人間が健全に成長し社会に適応するために、それぞれの年代で達成すべき課題を'''発達課題'''として整理した。 * '''青年期における主な発達課題''': # 同年代の男女との成熟した人間関係の構築 # 男性または女性としての社会的役割の獲得 # 自身の身体的変化を受け入れ、効果的に活用すること # 両親や他の大人からの情緒的自立 # 経済的自立に関する確信・準備 # 職業の選択およびその準備 # 結婚と家庭生活への準備 # 市民として必要な知識・態度の発達 # 社会的責任のある行動を求め、達成すること # 行動の指針となる倫理体系や価値観の確立 == 現代の青年と人間関係の諸相 == 現代の高度情報化社会や消費社会の進展に伴い、青年の生き方や心理状態には多様な傾向が見られる。 * '''モラトリアム人間''': 小此木啓吾が提唱。大人になることを拒み、アイデンティティを固定化させずにいつまでも可能性を残したまま漂う青年。 * '''ピーターパン・シンドローム''': カイリーが提唱。身体は成熟して大人になっても、精神的に大人になりきれず子どもにとどまろうとする男性の心理。 * '''シンデレラ・コンプレックス''': ダウリングが提唱。潜在的な依存欲求から、誰かが現れて自分の人生を幸福にしてくれるのを待ち望む心理傾向。 * '''スチューデント・アパシー''': 学生が学業に対して無気力・無関心になる状態。 * '''ふれあい恐怖症''': 他者と深く関わることで自分が傷ついたり、相手を傷つけたりすることを恐れ、表面的な希薄な付き合いに終始する傾向。 * '''パラサイト・シングル'''(山田昌弘): 学校卒業後も親と同居し、基礎的な生活基盤を親に依存し続ける未婚者。 == 参考文献 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:青年期]] [[Category:心理学]] 7dbhqkej2yygm1as28d9wmznq7omm35 高等学校倫理/欲求と適応・防衛機制 0 48730 302583 2026-08-22T12:47:49Z Kazu wiki Deutschland 92341 マズローの欲求階層説、レヴィンの葛藤類型、フロイトの精神分析(心の三層構造)、防衛機制の一覧表を加筆・作成 302583 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>欲求と適応・防衛機制 == 欲求の構造と種類 == 人間が生き、成長していく過程において、行動を引き起こす原動力を'''欲求'''(Need / Drive)という。欲求は、その発生源や性質によって大きく以下のように分類される。 * '''一次的欲求(生理的欲求・生物的欲求)''': 生命維持や種族保存のために生まれつき備わっている本能的な欲求(食欲、睡眠欲、性欲、排泄欲、体温調節など)。 * '''二次的欲求(社会的欲求・心理的欲求)''': 社会生活や文化的な経験を通じて後天的に形成される欲求。 ** '''社会的欲求''': 集団に所属したい(親和欲求・所属欲求)、他者に認められたい(承認欲求)、他者を支配したい(権力欲求)など。 ** '''自我・個人的欲求''': 知識を得たい(知的好奇心)、目標を達成したい(達成欲求)、自分らしい生き方を実現したい(自己実現欲求)など。 === マズローの欲求階層説 === アメリカの人間性心理学者'''マズロー'''(Abraham Maslow, 1908–1970)は、人間の欲求は低次から高次へとピラミッド状に5段階の階層をなしており、低次の欲求が一定程度満たされると、より高次の欲求が現れるとする'''欲求階層説'''(自己実現理論)を唱えた。 {| class="wikitable" style="text-align:left;" |+ マズローの欲求5段階説 |- ! 段階 !! 欲求の種類 !! 内容・特徴 !! 欲求の性質 |- ! 第5階層 | '''自己実現の欲求''' | 自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮し、あるべき自分になりたいという欲求 | '''成長欲求'''<br>(満たされるほどさらに強くなる) |- ! 第4階層 | '''承認(尊重)の欲求''' | 他者から認められたい、尊敬されたい、自尊心を保ちたいという欲求 | rowspan="4" | '''欠乏欲求'''<br>(不足すると不快・不安を生じ、満たされると鎮まる) |- ! 第3階層 | '''所属と愛の欲求(社会的欲求)''' | 集団や社会に所属し、他者と良好な関係を結んで孤独を避けたい欲求 |- ! 第2階層 | '''安全の欲求''' | 身体の安全、経済的安定、予測可能な秩序ある環境を求める欲求 |- ! 第1階層 | '''生理的欲求''' | 生命維持のための根源的な欲求(食欲・睡眠欲・排泄欲など) |} ※ 第1〜第4階層は満たされないと欠乏感を生じる'''欠乏欲求'''、第5階層の自己実現欲求は人間としての潜在能力を自発的に開花させようとする'''成長欲求'''に位置づけられる。 == 葛藤(コンフリクト)と欲求不満(フラストレーション) == === 葛藤(コンフリクト)の類型 === 2つ以上の対立する欲求が同時に存在し、どちらを選択すべきか判断に迷う心理状態を'''葛藤'''(コンフリクト、Conflict)という。ドイツの心理学者'''レヴィン'''(Kurt Lewin)は、葛藤を以下の3つの基本類型に分類した。 # '''「接近-接近」型(+ と +)''': 魅力的な2つの選択肢があり、両方望ましいが1つしか選べない状態(例:「食べたいケーキが2つあり、どちらにするか迷う」)。 # '''「回避-回避」型(− と −)''': 嫌な2つの選択肢があり、両方避けたいがどちらかを選ばねばならない状態(例:「勉強したくないが、テストで赤点も取りたくない」)。 # '''「接近-回避」型(+ と −)''': 1つの対象に対して、望ましい側面と避けたい側面の両方が同時に存在している状態(例:「甘いケーキを食べたいが、太りたくない」)。 === 欲求不満(フラストレーション)とその反応 === 何らかの障害や妨害によって欲求が阻止され、満足が得られない心理的緊張状態を'''欲求不満'''(フラストレーション、Frustration)という。 欲求不満が生じた際、人間は以下のような反応を示す。 * '''合理的解決''': 障害を客観的に分析し、努力や工夫、代替手段によって建設的に解決を図る。 * '''近道反応・攻撃''': 欲求不満の原因や無関係な対象に対して、直接的・間接的な攻撃や暴力、暴言で発散しようとする。 * '''無反応・固執''': 解決の見込みがないにもかかわらず、同じ行動を無目的に繰り返す、または無気力状態に陥る。 * '''適応機制(防衛機制)''': 無意識のうちに心の安定を保ち、自我を崩壊や不安から守ろうとする心理的メカニズム。 == フロイトの精神分析と心の構造 == オーストリアの精神医学者'''フロイト'''(Sigmund Freud, 1856–1939)は、人間の精神活動の大部分は意識されていない'''無意識'''(Unconscious)に支配されているとし、'''精神分析学'''を創始した。 === 心の三層構造 === フロイトは、人間の心の構造を以下の3つの機能に区分した。 * '''エス(イド、Id)''': 快楽原則に従い、本能的な欲望や衝動(リビドー=性的エネルギーなど)が渦巻く無意識の領域。 * '''超自我(スーパーエゴ、Superego)''': 親のしつけや社会規範・道徳が内面化されたもの。エスの衝動を抑圧し、良心や罪悪感として自我を監視・規制する。 * '''自我(エゴ、Ego)''': 現実原則に従い、エスの本能的欲求と超自我の道徳的命令、そして外界の現実との間で調整を図る意識的な主体。 自我がエスと超自我のバランスを保てなくなり、強い不安や危機を感じたときに働く無意識の自己防衛システムが'''防衛機制'''である(後に娘のアンナ・フロイトにより体系化された)。 == 防衛機制(適応機制)の分類 == 防衛機制(Defense Mechanism)は、不安や苦痛から自我を守るための無意識の心の働きである。 {| class="wikitable" |+ 主な防衛機制の一覧 |- ! 類型 !! 防衛機制名 !! 内容・意味 !! 具体例 |- ! rowspan="2" | 逃避・除去 | '''抑圧'''(Repression) | 最も基本的な防衛機制。苦痛な感情や認めたくない衝動を無意識の奥底へ押し込めること。 | 幼少期の強いトラウマや失敗の記憶を無意識に忘れ去る。 |- | '''逃避'''(Escape) | 困難な現実や問題から逃げ出し、別の世界や活動に身を避けること。 | テスト勉強から逃れるために部屋の掃除に没頭する、空想の世界に浸る(白昼夢)。 |- ! rowspan="2" | 歪曲・責任転嫁 | '''合理化'''(Rationalization) | 満たされない欲求に対して、都合のよい理由や理屈をつけて正当化すること。 | 手に入らなかったブドウを「どうせ酸っぱくて不味いに決まっている」と諦める(イソップ寓話「酸っぱい葡萄」)。手に入ったまずいレモンを「甘くて美味しい」と思い込む(「甘い檸檬」)。 |- | '''投射(投影)'''(Projection) | 自分の中にある認めたくない欠点や敵意を、相手が持っているかのように見なすこと。 | 自分が相手を嫌っているのに、「相手が私を嫌っている」と思い込む。 |- ! rowspan="2" | 未熟化・なりすまし | '''退行'''(Regression) | 耐えがたい困難に直面したとき、より未発達な発達段階(幼児期など)の行動に戻ること。 | 弟や妹が生まれたときに、上の子が赤ちゃん返りをして指しゃぶりや夜尿をする。 |- ! '''同一視(同一化)'''(Identification) | 自分より優れた他者や権威ある集団と自分を重ね合わせ、自分が優れているように感じること。 | 有名なタレントの服装を真似る、社会的地位の高い親や友人の権威を自慢する。 |- ! 反対の表出 | '''反動形成'''(Reaction Formation) | 抑圧された無意識の欲求や感情とは、正反対の態度や行動を過度に強調して表すこと。 | 好きな相手に対してわざと冷たく当たる、憎んでいる相手に過剰にお世辞を言ったり親切に振る舞う。 |- ! 置き換え | '''代償(補償)'''(Compensation) | 欲求が満たされないとき、別の対象や分野で成功を収めることで埋め合わせをすること。 | 勉強が苦手な生徒が、スポーツや芸術活動に励んで高い評価を得る。 |- ! 高次の適応 | '''昇華'''(Sublimation) | 社会的に容認されない本能的衝動(性欲や攻撃性など)を、学問・芸術・スポーツなどの社会的に価値ある活動へ昇華させること。 | 強い攻撃衝動をボクシングや格闘技に向ける、失恋の悲しみや性的エネルギーを文学や芸術作品の創作に注ぐ。 |} ※ 防衛機制は日常的に誰にでも見られる心理的適応行動であるが、特定の防衛機制に過度に依存しすぎると現実適応が困難になる場合がある。 == 参考文献 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:心理学]] [[Category:青年期]] 27ma2avxzuo1b98vpwh8e53pwph5o62 高等学校倫理/自己の探求と生きがい 0 48731 302585 2026-08-22T12:49:05Z Kazu wiki Deutschland 92341 パーソナリティの構造、類型論(ユング・クレッチマー・シュプランガー)、フランクル・神谷美恵子の生きがい論、自己実現と他者理解を加筆・作成 302585 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>自己の探求と生きがい == 個性の形成とパーソナリティ == === パーソナリティ(人格)の構造 === 人間が他者と異なり、その人独特の行動や思考のパターンを持つ全体的な特徴を'''パーソナリティ'''(人格・個性、Personality)という。パーソナリティは「仮面」を意味するラテン語「ペルソナ(persona)」に由来する。 パーソナリティは、以下の3つの要素が相互に作用し合って形成される。 * '''気質''': 感情の起伏や刺激への反応性など、生まれつきの遺伝的・生理的基盤に基づく特徴。 * '''性格''': 育った環境、しつけ、対人関係などの経験を通じて後天的に形づくられる行動・態度の特徴。 * '''知能・能力''': 知識の習得や問題解決、身体的技能などに関する能力。 === パーソナリティの類型論 === 心理学者たちは、人間の多様な性格や行動傾向を理解するために、いくつかの代表的な「類型(タイプ)」に分類する'''類型論'''を提示した。 {| class="wikitable" |+ 主なパーソナリティの類型論 |- ! 提唱者 !! 分類の基準・視点 !! 主なタイプと特徴 |- ! '''ユング'''<br>(Carl Gustav Jung) | '''心のエネルギー(リビドー)の向かう方向''' | * '''外向型''': 心の関心が外界の人や物事に向かい、社交的・活動的・開放的。 * '''内向型''': 心の関心が自分の内面や思索に向かい、内省的・慎重・孤独を好む。<br> ※さらに4つの心的機能(思考・感情・感覚・直観)と組み合わせて8類型に分類した。 |- ! '''クレッチマー'''<br>(Ernst Kretschmer) | '''体型(体格)と気質の相関''' | * '''肥満型'''(循環気質・躁うつ気質): 社交的、親しみやすい、感情の起伏がある。 * '''細長型'''(分裂気質): 非社交的、静か、繊細、理屈っぽい。 * '''筋骨型'''(粘着気質): 几帳面、頑固、責任感が強い、執着しやすい。 |- ! '''シュプランガー'''<br>(Eduard Spranger) | '''何に人生の最高の価値を置くか'''<br>(文化価値的関心) | * '''理論型''': 真理の探究や客観的法則を重視する(学者・科学者)。 * '''経済型''': 実用性や利害関係、効率を重視する(実業家)。 * '''審美型''': 美や調和、芸術的感動を重視する(芸術家)。 * '''宗教型''': 聖なるもの、魂の救済や超越的実在を重視する(宗教家)。 * '''権力型''': 他者を支配し、自己の意志を貫くことを重視する(政治家)。 * '''社会型''': 他者への愛や奉仕、社会貢献を重視する(教育者・社会事業家)。 |} == 生きる意味と生きがいの探求 == 青年期において、自分自身の存在意義や「何のために生きるのか」という問いと向き合うことは極めて重要な課題である。 === フランクル:苦悩の中に見出す生きる意味 === オーストリアの精神科医'''フランクル'''(Viktor Frankl, 1905–1997)は、ナチスの強制収容所(アウシュヴィッツなど)での極限状態を生き延びた体験を著書『'''夜と霧'''』に記した。 * '''意味への意志''': 人間の最も根本的な動機は、快楽(フロイト)や権力(アドラー)ではなく、「人生の意味を求めること」であるとした。 * '''問いの逆転''': 私たちが「人生に何を期待するか(人生にどんな意味があるか)」を問うのではなく、「'''人生が私たちに何を求めているか'''(私たち自身が人生から問われている)」と視点を逆転させることが重要であると説いた。人間はあらゆる状況(たとえ苦痛や絶望の中であっても)において、人生の問いに責任を持って応答(コミット)することで意味を実現できるとした(ロゴセラピー)。 === 神谷美恵子:生きがいへの問い === 日本の精神科医'''神谷美恵子'''(かみや みえこ, 1914–1979)は、ハンセン病患者の療養施設(長島愛生園)での長年の治療と心のケアの経験を通じ、著書『'''生きがいについて'''』を著した。 * '''生きがい感の本質''': 生きがいとは、単に生活が満たされていることではなく、「自分が必要とされているという実感」「自己の存在が肯定され、未来への希望や使命感を持っている状態」から生まれるとした。 * 苦難や病気によってそれまでの目標を失った人間が、内面的な葛藤を経て新たな使命を見出し、真の「生きがい」を再構築していく精神の尊さを明らかにした。 == 自己実現と他者理解 == === 自己実現と自己超越 === * '''自己実現''': 自己の持つ潜在的な能力や可能性を十分に開花させ、自分らしい生き方を全うすること。 * '''自己超越''': 自分の利益やエゴを超えて、他者への奉仕、真理の探究、社会課題の解決など、自分以外の高次な目的のために自己を捧げること。マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に「自己超越」の段階を位置づけた。 === 他者との関わりと自己の確立 === 真の自己探求は、自己の内面に閉じこもること(孤立・独善)によってではなく、他者と出会い、他者の痛みに共感し、責任を持って関わるプロセスの中で深まる。 * '''ブーバーの「対話」''': オーストリア出身の哲学者'''マルティン・ブーバー'''(Martin Buber, 1878–1965)は、著書『我と汝』において、他者を自分の都合で利用する「我-それ(I-It)」の関係ではなく、互いに全人格的に向き合い応答し合う「'''我-汝(I-Thou)'''」の対話的関係こそが真の人間存在を成り立たせると説いた。 * 自分自身の個性や限界を受け入れ(自己受容)、異なる価値観を持つ他者を尊重しながら協働することを通じて、青年は自立した主体的な生き方を築いていく。 == 参考文献 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * フランクル著、霜山徳爾訳『夜と霧』みすず書房、2002年。 * 神谷美恵子著『生きがいについて』みすず書房、2004年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:心理学]] [[Category:青年期]] 01gqiljc6nzf1gpomozh384l8878d98 高等学校倫理/ギリシャ思想 0 48732 302587 2026-08-22T12:54:06Z Kazu wiki Deutschland 92341 自然哲学(アルケー一覧表)、ソフィストとソクラテス、プラトン(イデア論・四元徳)、アリストテレス(形相と質料・中庸・正義論)、ヘレニズム思想(ストア派・エピクロス派)を加筆・作成 302587 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>ギリシャ思想 == ギリシャ思想の誕生と背景 == 古代ギリシャ(紀元前6世紀〜)において、ポリス(都市国家)の発展と奴隷制を基盤とした市民の生活のゆとり('''スコレー'''、schole:閑暇・余暇)を背景に、自然や人間についての合理的探究が始まった。 従来の神話(ミュトス、mythos)による説明から脱却し、理性的思考('''ロゴス'''、logos)に基づいて世界の普遍的な法則や原理を明らかにしようとする知的探究の姿勢('''テオリア'''、theoria:観照)から、哲学(フィロソフィア、philosophia:愛知)が誕生した。 == 自然哲学(イオニア学派など) == 哲学の端緒となったのは、小アジアのイオニア地方(ミレトスなど)を中心とする'''自然哲学'''である。彼らは自然(ピュシス、physis)の生成変化を観察し、万物の根源となる物質・原理('''アルケー'''、arche)を探求した。 {| class="wikitable" |+ 主な自然哲学者とアルケー |- ! 思想家 !! 学派・地域 !! 主なアルケー(万物の根源) !! 主張・特徴 |- ! '''タレス'''(Thales) | ミレトス学派 | '''水''' | 「哲学の父」と呼ばれる。神話によらず合理的説明を試みた。 |- ! '''アナクシマンドロス'''(Anaximandros) | ミレトス学派 | '''無限定なもの'''(ト・アペイロン) | 特定の性質を持たない根源物質から万物が生成・消滅すると説いた。 |- ! '''アナクシメネス'''(Anaximenes) | ミレトス学派 | '''空気''' | 空気の希薄化と凝縮によって多様な物質が生じるとした。 |- ! '''ピタゴラス'''(Pythagoras) | 南イタリア | '''数'''(比例・調和) | 世界の秩序(コスモス)は数の調和(ハルモニア)と数学的秩序によって成り立っているとした。 |- ! '''ヘラクレイトス'''(Herakleitos) | エフェソス | '''火'''(ロゴス) | 「'''万物は流転する'''(パンタ・レイ)」。対立物の闘争と調和を支配する法則をロゴスとした。 |- ! '''パルメニデス'''(Parmenides) | エレア学派 | '''「有るもの」'''(不変・不動) | 感覚による変化は仮象であり、理性によって捉えられる「有るものは有り、無いものは無い」と主張。 |- ! '''エンペドクレス'''(Empedokles) | シチリア | '''土・水・火・空気'''の四元素 | 4つのリゾーマ(根)が「愛(引力)」と「憎しみ(斥力)」によって結合・分離するとした。 |- ! '''デモクリトス'''(Demokritos) | トラキア | '''原子'''(アトム)と'''空虚'''(ケノン) | 物質を分割していくとこれ以上分割できない粒子(アトム)に行き着くとする'''原子論'''(唯物論の祖)を完成。 |} == ソフィストとソクラテス == 紀元前5世紀、アテネで直接民主政が最盛期を迎えると、関心は「自然」から「人間と社会(ポリス)」へと移行した。 === ソフィスト(職業的弁論家) === 市民が民会や法廷で優位に立つための弁論術や修辞学を教える職業教師を'''ソフィスト'''(知者)と呼んだ。彼らは伝統的な慣習や社会制度('''ノモス'''、nomos:人為・掟)と自然本来の法則('''ピュシス'''、physis:自然・本性)を区別し、価値の相対性を説いた。 * '''プロタゴラス'''(Protagoras, 前485頃–前410頃): ** 「'''人間は万物の尺度である'''」と述べ、絶対的な真理は存在せず、各人の主観的感覚によって事物のあり方が異なるとする'''主観主義・相対主義'''を唱えた。 * '''ゴルギアス'''(Gorgias): 不可知論・懐疑主義を展開し、相手を言いくるめる詭弁術へ傾斜した。 === ソクラテス(愛知の探究) === ソフィストたちの相対主義や功利的な弁論術を批判し、普遍的・客観的な善や真理を求め続けたのが'''ソクラテス'''(Sokrates, 前469頃–前399)である。 * '''魂への配慮(プシュケーの世話)''': 富や名声などの外面的な価値にとらわれず、魂を善く美しく育てる(徳='''アレテー'''の探究)ことこそが真の幸福につながると説いた。 * '''無知の自覚(無知の知)''': 真の善や美について自分は「何も知らない」という自覚(「よく知っていると思い込んでいる人々」に対する優位)。 * '''問答法(対話法・助産術)''': 街頭で市民と対話を重ね、相手の思い込みの矛盾を突いて無知を自覚させ('''アイロニー''')、真の知を産み落とす手助けをした('''助産術'''、マイエウティケー)。 * '''知徳合一・知行合一・福徳一致''': ** 真の徳を知れば自ずと正しい行動をなし(知行合一)、徳を備えた魂善き生き方こそが真の幸福をもたらす(福徳一致)とした。 * 最期: 青年を惑わし国家の神々を冒涜したという不当な罪で告発され死刑判決を受けたが、法に従い毒杯を仰いで刑に服した(「'''不正に不正で報いてはならない'''」『ソクラテスの弁明』『クリトン』)。 == プラトン(イデア論と理想国家) == ソクラテスの弟子'''プラトン'''(Platon, 前427–前347)は、師の死を機に民主政の衆愚化に絶望し、客観的真理の体系化と理想国家の構想を追究した。著書は対話篇形式(『国家』『饗宴』『パイドン』等)。学園'''アカデメイア'''を開設。 === イデア論と認識 === * '''イデア(Idea)''': 感覚で捉える変化しやすい現象界(現実世界)を超越した、理性にのみ捉えられる永遠不変の真実在・事物の本質型。 * '''善のイデア''': イデアの世界の最高峰に位置し、他のすべてのイデアを成り立たせる究極の実在(太陽にたとえられる)。 * '''洞窟の比喩''': 人間は洞窟の中で縛られ、壁に映る影(現象界)を真実と思い込んでいる囚人のようなものだが、理性の目を開いて洞窟の外の太陽(イデア)を見るべきであるとした。 * '''エロース(Eros)''': 不完全な現実から完全なイデアの世界へと憧れ求める知的な愛。 * '''想起説(アナムネーシス、anamnesis)''': 人間の魂はかつてイデア界にいた記憶を持っており、感覚界の事物を手がかりにして理性がその記憶を思い出す(想起する)ことが「知る」ことであるとした。 === 魂の三分説と四元徳・哲人政治 === プラトンは人間の魂と国家の構造を対応させた。 {| class="wikitable" style="text-align:center;" |+ 魂の三分説と四元徳・理想国家の構成 |- ! 魂の区分 !! 対応する徳 !! 国家の階級 !! 役割 |- ! 理性(頭部) | '''知恵''' | 統治者(哲人・哲学者) | 国家全体を正しく統治・指導する |- ! 気概(胸部) | '''勇気''' | 防衛者(軍人・戦士) | 国土を防衛し、命令を忠実に実行する |- ! 欲望(腹部) | '''節制''' | 生産者(農民・職人・商人) | 物質的基盤を支え、欲望を統御する |- ! colspan="4" | '''正義'''(3つの部分がそれぞれの徳を発揮し、全体として調和が保たれた状態) |} * '''哲人政治(哲人王思想)''': 「国家の統治者が真の哲学者となるか、あるいは統治者が真剣に哲学を探究しない限り、国家や人類の悪弊は終わらない」とし、善のイデアを認識した哲学者が治める理想国家を説いた。 == アリストテレス(現実主義と中庸) == プラトンの弟子で「万学の祖」と呼ばれる'''アリストテレス'''(Aristoteles, 前384–前322)は、イデア界を現実から切り離したプラトンの二元論(イデア界と現象界)を批判し、個々の具体的な現実事物(個物='''ト・トデ・ティ''')の中に本質が存在すると説いた。学園'''リュケイオン'''を開設(逍遥学派・ペリパトス派)。 === 形相(エイドス)と質料(ヒュレー) === * '''質料(ヒュレー、hyle)''': 事物を構成する素材・材料(可能態=デュナミス)。 * '''形相(エイドス、eidos)''': その事物の本質・設計図・目的(現実態=エネルゲイア)。 * (例:木材[質料]が加工され、椅子という本質[形相]を備えた現実の椅子となる。事物は可能態から目的としての現実態へと発展・運動する)。 === 徳(アレテー)と中庸(メソテース) === アリストテレスは人生の究極の目的を'''最高善'''('''幸福'''=エウダイモニア)であるとし、その達成には徳(アレテー)の実践が必要であるとした。 * '''知性的徳''': 理性の働きそのものに関する徳(知恵・思慮・技術など)。教育や学習によって身につく。 * '''習性的徳(倫理的徳)''': 感情や欲望を理性の指導に従わせる徳(勇気・節制・正義・温厚など)。日常的な実践と習慣づけによって身につく。 * '''中庸(メソテース、mesotes)''': 倫理的徳の基準。過度と不足の両極端を避け、状況に応じた適切なバランスをとること。 ** (例:臆病[不足]と無謀[過度]の中間 = '''勇気''') * '''テオリア(観照)的生活''': 人間にとって最高の幸福は、純粋に理性を用いて真理を観照するテオリア的生活にあるとした。 === 社会・政治思想 === * 「'''人間は本性上、ポリス的動物(社会的存在)である'''」: 人間は孤立しては自足を達成できず、共同体(ポリス)の中で他者と交わり徳を磨くことで初めて本性を完成させる。 * '''正義(ディカイオシュネー)''': ** '''全般的正義(普遍的正義)''': 法や社会規範を遵守すること。 ** '''部分的正義(個別的正義)''': *** '''配分的正義''': 功績や能力、価値に応じて富や名誉、役職を比例的に配分すること(幾何学的比例)。 *** '''調整的正義(是正的正義)''': 裁判や契約などで生じた不均衡・不当な損得を均等に回復・是正すること(算術的比例)。 * '''友愛(フィリア、philia)''': 正義とともにポリス社会を結びつける不可欠な絆。自己の利益のためではなく、相手そのものの善を願う真の友愛を重視した。 == ヘレニズム・ローマ時代の思想 == アレクサンドロス大王の東征以降、ポリスが崩壊し広大な世界帝国が形成されると、市民の関心は「ポリスの政治」から「個人の心の平安」へと向かった(ヘレニズム時代)。特定の国家にとらわれない'''世界市民主義'''(コスモポリタニズム)が広まった。 {| class="wikitable" |+ ストア派とエピクロス派の比較 |- ! 項目 !! ストア派(禁欲主義) !! エピクロス派(快楽主義) |- ! 創始者 | '''ゼノン'''(Zenon, 前335頃–前263頃) | '''エピクロス'''(Epikouros, 前341頃–前270頃) |- ! 人生の目的 | 自然(宇宙の理性=ロゴス)に従って生きること | 精神的・永続的な快楽を追求すること |- ! 理想の境地 | '''アパテイア'''(Apatheia)<br>(情念・情欲=パトスに惑わされない不動心) | '''アタラクシア'''(Ataraxia)<br>(肉体的苦痛や精神的不安のない平穏な心) |- ! 主な実践・態度 | 欲望を抑え、理性的義務を果たす('''禁欲主義''') | 隠れて生きよ(社会の喧騒を離れ、友人とともに知足の生活を送る) |- ! 主な後継者・論者 | セネカ、エピクテトス、マルクス=アウレリウス | ルクレティウス |} * '''新プラトン主義(プロティノス)''': ヘレニズム末期に成立。万物は究極の一者(ト・ヘン)から段階的に流出(流出説)し、霊魂は観照とエクスタシス(脱自)を通じて一者へと回帰・合一することを目指した。キリスト教神学に多大な影響を与えた。 == 参考文献 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:西洋哲学]] [[Category:古代ギリシャ]] 6qmlqhjwkav3n9kqoxrkqkj3xav58qy 高等学校倫理/ユダヤ教・キリスト教・イスラーム 0 48733 302588 2026-08-22T12:56:52Z Kazu wiki Deutschland 92341 ユダヤ教(唯一神・契約・律法・選民思想)、キリスト教(イエスの愛・パウロ・アウグスティヌス・トマス)、イスラーム(六信五行)、三宗教の比較表を加筆・作成 302588 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>ユダヤ教・キリスト教・イスラーム == 唯一神教(アブラハムの宗教)の系譜 == 中東のパレスチナ・アラビア半島地域を源流とする、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの3つの宗教は、いずれも旧約聖書の祖であるアブラハムを共通の始祖と仰ぐことから'''「アブラハムの宗教」'''あるいは'''「砂漠の一神教」'''と呼ばれる。 これらの宗教に共通する最大の特徴は、世界を創造し摂理する唯一絶対の神(超越者)を信仰し、神と人間の「契約」や神の「啓示」に基づく倫理・実践を重視する点にある。 == ユダヤ教 == === ユダヤ教の特徴と歴史 === 紀元前2千年紀頃、セム系のヘブライ人(後のユダヤ人)によって形成された、世界最古の本格的な一神教である。 * '''唯一神ヤハウェ''': 万物を創造した絶対的な神ヤハウェを信仰する。神は目に見えない超越者であり、偶像崇拝は厳禁とされる。 * '''神との契約''': 神ヤハウェと人間(イスラエル民)の間には「契約」が結ばれているとされ、民が神の戒めを守るならば、神は彼らを守護するという双務的な関係性に基づいている。 * '''律法(トーラー)''': モーセが神から授かったとされる「モーセの十戒」をはじめとする厳しい戒めや律法(『旧約聖書』のトラー)の遵守が信仰の中心となる。 * '''選民思想と預言者''': 自らを神に選ばれた民とする'''選民思想'''を持つ一方で、社会的不正義や堕落を厳しく告発し、神の正義と救済(メシア=救世主の到来)を説く'''預言者'''(アモス、イザヤ、エレミヤなど)の伝統を生み出した。 == キリスト教 == === イエスの教えと愛 === ユダヤ教の枠内で生まれたナザレの'''イエス'''(Jesus, 紀元前4年頃–紀元後30年頃)は、ユダヤ教の形式主義や律法の厳格な運用を批判し、神の無条件の愛と救済を説いた。 * '''アガペー(神の無償の愛)''': 人間を分け隔てなく包み込む神の無限の愛('''アガペー'''、agape)を説いた。 * '''隣人愛と黄金律''': 神への愛とともに、自分を愛するように隣人を愛する「隣人愛」を説き、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にもしなさい」という'''黄金律'''を提示した。 * '''十字架と復活''': イエスは罪深い人間を救うために十字架にかけられて処刑されたが、3日後に復活したと信じられ、彼は人類の罪を贖う「キリスト(救世主)」であるとされた(『新約聖書』)。 === キリスト教の展開と思想家 === * '''使徒パウロ''': イエスの死後、律法の遵守よりも「キリストへの信仰」による救済を強調し、ユダヤ教の枠を超えて異邦人(非ユダヤ人)への世界宗教化への道を開いた。 * '''アウグスティヌス(Aurelius Augustinus, 354–430)''': ** 古代末期の最大の教会学者。『告白録』『神の国』を著す。 ** 人間は本来原罪を負った無力な存在であり、救済は人間の善行ではなく神の絶対的な恵み('''恩寵''')によってのみもたらされると説いた。 * '''トマス=アクィナス(Thomas Aquinas, 1225–1274)''': ** 中世スコラ学の大成者。『神学大全』を著す。 ** アリストテレスの哲学を取り入れ、人間の「理性」と信仰による「啓示」は矛盾せず調和しうるものとして、キリスト教神学を体系化した。 == イスラーム == === イスラームの誕生と教え === 7世紀初頭、アラビア半島のメッカで預言者'''ムハンマド'''(Muhammad, 570年頃–632)によって創始された世界宗教である。 * '''唯一神アッラー''': 「アッラーのほかに神はなし、ムハンマドはその使徒なり」という信仰告白を基本とする。アッラーは絶対的な創造主であり、人間はアッラーの「下僕(しもべ)」としてその意志に絶対服従(「イスラーム」の原義は「服従」)することが求められる。 * '''『クルアーン』(コラン)''': ムハンマドが天使ジブリール(ガブリエル)を通じてアッラーから受け取った言葉をまとめた最高典籍。アラビア語で記され、神の絶対的な啓示とされる。 * '''救済と来世''': 人間は死後に審判を受け、信仰と善行の度合いに応じて天国または地獄に赴くとされる。 === 六信五行 === イスラームの信仰と実践の基盤となる規律。 * '''六信(信仰の6か条)''': # アッラー(唯一神)の存在 # 天使(ジブリールなど)の存在 # 啓示された聖典(律法・福音・クルアーンなど) # 歴代の預言者(アブラハム、モーセ、イエス、ムハンマドなど) # 来世(審判と復活・天国と地獄) # 定命(神の予定・摂理=カダル) * '''五行(実践の5つの義務)''': # '''信仰告白'''(シャハーダ) # '''礼拝'''(サラー:メッカの方向に向かって1日5回) # '''断食'''(サウム:ラマダーン月の日中の飲食断ち) # '''布施・喜捨'''(ザカート:貧者への富の分配) # '''巡礼'''(ハッジ:人生で一度はメッカのカーバ神殿へ) == ユダヤ教・キリスト教・イスラームの比較 == {| class="wikitable" style="text-align:center;" |+ 唯一神教3宗教の比較 |- ! 項目 !! ユダヤ教 !! キリスト教 !! イスラーム |- ! 唯一神の呼び名 | ヤハウェ(テトラグラトン) || 神(ゴッド / テオス) || アッラー |- ! 聖典 | 『旧約聖書』(トラーなど) || 『旧約聖書』および『新約聖書』 || 『クルアーン』(コラン) |- ! 始祖・重要人物 | モーセ、アブラハム || イエス(キリスト)、パウロ || ムハンマド(最後の預言者) |- ! イエスの位置づけ | 預言者・メストレとしては認めない || 神の子、人類の救世主(キリスト) || 神の遣わした偉大な預言者のひとり |- ! 中心的な教え | 神との契約・律法の遵守 || アガペー(愛)・十字架の贖罪 || アッラーへの絶対服従・六信五行 |- ! 発展の背景 | ヘブライ人の民族宗教 || ローマ帝国全域から世界へ拡大 || アラビア半島から西アジア・北アフリカへ拡大 |} == 参考文献 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:宗教思想]] [[Category:世界宗教]] f1odpbsw6j7frbwb9ehdtjmtgoodcrm 高等学校倫理/仏教とインド思想 0 48734 302589 2026-08-22T12:58:02Z Kazu wiki Deutschland 92341 ウパニシャッド哲学(梵我一如・輪廻・業)、ブッダの根本仏教(縁起・三法印・四諦八正道・慈悲)、上座部と大乗仏教(菩薩・空・唯識)の比較表を加筆・作成 302589 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>仏教とインド思想 == 古代インド思想の形成とバラモン教 == === ヴェーダの宗教とカースト制度 === 紀元前1500年頃、インド北西部に侵入したアーリア人は、自然現象を神々として崇拝する賛歌や儀礼の集成である『'''ヴェーダ'''』(Veda)を生み出した。 * '''カースト制度(ヴァルナ制)''': 司祭階級である'''バラモン'''(司祭)を頂点とし、'''クシャトリヤ'''(王族・武士)、'''ヴァイシャ'''(庶民・農民・商人)、'''シュードラ'''(隷属民・不可触民)の4身分からなる身分制度が固定化され、バラモンによる祭式至上主義が確立した。 === ウパニシャッド哲学(奥義書) === 紀元前6世紀頃、形式化した祭式への反省から、宇宙と人間の本質を探究する'''ウパニシャッド哲学'''(奥義書)が興った。 * '''輪廻(サンサーラ)と業(カルマ)''': 人間は死後も前世の行為('''業''')に応じて、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)などの様々な世界へ生まれ変わりを繰り返す('''輪廻''')と考え、これを苦しみと捉えた。 * '''梵我一如(ぼんがいちにょ)''': 宇宙の根本原理である'''ブラフマン(梵)'''と、個人の自己の本質である'''アートマン(我)'''が究極的に同一であると悟ることで、輪廻の苦しみから解放される('''解脱''')と説いた。 == ゴータマ=ブッダの思想と根本仏教 == 紀元前5世紀頃、クシャトリヤやヴァイシャ階級の台頭と都市の発展を背景に、バラモンの権威やカースト制度を否定する自由思想家(六師外道など)が現れた。その中でシャカ族の王子として生まれた'''ゴータマ=シッダールタ'''('''ブッダ'''=目覚めた人、前5世紀頃)によって仏教が開かれた。 === 根本思想:縁起と一切皆苦 === * '''縁起の法(縁起説)''': 「これがあるとき、それがある。これが生じるとき、それが生じる。」— あらゆる事物は単独・固定して存在するのではなく、互いに依存し合い、無数の原因('''因''')と条件('''縁''')によって生起・変化しているという法則。 * '''三法印(四法印)''': 仏教が掲げる世界の真理。 # '''諸行無常''': この世のすべての現象や物質は常に移り変わり、永遠不変のものはない。 # '''諸法無我''': あらゆる存在には、固定的な実体や不変の「我(アートマン)」は存在しない。 # '''涅槃寂静''': 煩悩の火を消し去り、執着を離れた完全な心の平安の境地('''ニルヴァーナ''')。 # ('''一切皆苦'''): 思い通りにならない現実への執着から生じる苦の自覚。 === 四諦・八正道 === ブッダは、人間が直面する苦しみの原因を解明し、それを克服して解脱に至るための実践的真理として'''四諦'''(四聖諦)を説いた。 {| class="wikitable" |+ 四諦(4つの真理) |- ! 真理 !! 内容 |- ! '''苦諦'''(くたい) | 人生は本質的に思い通りにならない苦しみであるという真理。<br>('''四苦八苦''':生・老・病・死の根本苦 + 愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦) |- ! '''集諦'''(じったい) | 苦しみの原因は、無知('''無明''')から生じる自己中心的な執着や欲望('''渇愛'''・煩悩)の集積にあるという真理。 |- ! '''滅諦'''(めったい) | 渇愛や煩悩を断ち切ることで、苦しみの止滅した境地('''解脱・涅槃''')に達することができるという真理。 |- ! '''道諦'''(どうたい) | 涅槃に至るための正しい実践方法が'''八正道'''(中道の実践)であるという真理。 |} * '''中道(ちゅうどう)''': 極端な快楽の追究にも、無益な苦行にも偏らない、理性的で調和のとれた生き方。 * '''八正道''': 正見(正しい見解)、正思惟(正しい思索)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行為)、正命(正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい気づき)、正定(正しい精神統一)。 === 慈悲の精神 === * '''慈悲(じひ)''': すべての生きとし生けるものに対して、親が子を想うように抜苦与楽(苦しみを抜き、安楽を与える)を願う普遍的な愛の精神。 ** '''慈'''(マイトリー):他者に幸福や安楽を与えること(友愛)。 ** '''悲'''(カルナー):他者の苦しみや悲しみに深く共感し、それを取り除くこと。 == 仏教の展開と分派 == === 上座部仏教と部派仏教 === ブッダの入滅後、教団は戒律の解釈などを巡って厳格な長老派の'''上座部'''と、革新的で柔軟な'''大衆部'''(だいしゅぶ)に分裂した(根本分裂)。その後さらに細分化し(部派仏教)、出家して厳しい修行を積んだ聖者('''阿羅漢'''、アラハン)自身の個人的な解脱を目指す傾向が強まった。 === 大乗仏教の興起と教理 === 紀元前後、自己の解脱のみに専念する部派仏教を出家者中心のエリート主義(「小乗」=小さな乗り物)と批判し、すべての衆生(生きとし生けるもの)を救済しようとする'''大乗仏教'''(大きな乗り物)の運動が興った。 * '''菩薩(ぼさつ、菩提薩埵)''': 自らの解脱(成仏)を後回しにし、苦しむ人々を救うために世俗の中で実践(利他行)に励む理想的な修行者像。 * '''六波羅蜜(ろくはらみつ)''': 菩薩が実践すべき6つの徳目(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・'''智慧''')。 * '''空(くう)と中観派''': ** '''竜樹(ナーガールジュナ, 150頃–250頃)''': 『中論』を著し、すべての事物は縁起によって成り立っているため固有の実体を持たないとする'''「空」'''の思想を体系化した(中観思想)。 * '''唯識(ゆいしき)と瑜伽行派''': ** '''無着(アサンガ)'''・'''世親(ヴァスバンドゥ)''': 外界に客観的な実体は存在せず、すべては人間の深層心理('''阿頼耶識'''、あらやしき)がつくり出した映像(仮象)にすぎないとする'''「唯識」'''の思想を確立した。 {| class="wikitable" style="text-align:center;" |+ 上座部仏教と大乗仏教の比較 |- ! 項目 !! 上座部仏教(南伝仏教) !! 大乗仏教(北伝仏教) |- ! 理想像 | '''阿羅漢'''(個人的な解脱を達成した聖者) || '''菩薩'''(自利利他を行じ、すべての衆生を救済する者) |- ! 救済の対象 | 出家して修行を積んだ者自身 || すべての衆生(万人救済・一切衆生悉有仏性) |- ! 重視する実践 | 戒律の厳格な遵守、瞑想修行 || '''六波羅蜜'''(布施・智慧など)、利他行 |- ! 主な伝播地域 | スリランカ、ミャンマー、タイ、カンボジアなど || 中央アジア、中国、朝鮮半島、日本、チベットなど |} == 参考文献 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * 中村元『仏教の思想』岩波書店、1991年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:仏教]] [[Category:東洋思想]] 3207paruxfkt341ki5ocauml9ixlhqy 高等学校倫理/芸術と美の倫理 0 48735 302590 2026-08-22T13:02:14Z Kazu wiki Deutschland 92341 美の体験と美学、古代ギリシャ(ミメーシス・カタルシス)、近代美学(カント・シラー)、日本の伝統的美意識(もののあわれ・幽玄・わびさび・いき)、現代の芸術倫理を加筆・作成 302590 wikitext text/x-wiki [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>芸術と美の倫理 == 美の体験と人間の精神 == 人間は古くから、自然の風景や造形物、音楽や言葉の中に「美」を感じ、それに心を揺さぶられてきた。倫理学や美学において、「美」の体験は単なる視覚的・聴覚的快感にとどまらず、人間の精神を浄化し、自己を高め、他者や世界との深いつながりを実感させる重要な営みとして位置づけられている。 * '''美学(エステティックス、Aesthetics)''': 18世紀ドイツの哲学者'''バウムガルテン'''(Alexander Baumgarten)が創始。理性による認識(論理学)に対し、感性による認識の完成(感性的認識の学)として「美学」を提唱した。 * '''真・善・美の調和''': 古代ギリシャ以来、客観的真理(真)、道徳的善(善)、感性的調和(美)は、人間の精神が目指すべき普遍的な価値(普遍的価値)として不可分に結びついて捉えられてきた。 == 思想史における芸術と美の捉え方 == === 古代ギリシャ:模倣(ミメーシス)とカタルシス === 古代ギリシャ哲学において、芸術は自然や人間の行為の「模倣(ミメーシス、mimesis)」として捉えられた。 * '''プラトンの芸術批判(詩人追放論)''': ** プラトンは、現実世界は「イデアの模倣(影)」にすぎないとし、芸術はその現実をさらに模倣した「模倣の模倣(影の影)」であり、真実から三段階も離れた低次なものとして批判した。また、悲劇などが人間の感情や欲望を煽ることを警戒し、理想国家から詩人・劇作家を追放すべきだとする'''詩人追放論'''を説いた。 * '''アリストテレスのカタルシス論''': ** プラトンの弟子アリストテレスは著書『詩学』において、模倣は人間に生まれつき備わった自然な学習本能であり、芸術は個々の個別的な事実を超えて普遍的な人間の本質を描き出すものとして評価した。 ** '''カタルシス(浄化、Katharsis)''': ギリシャ悲劇の鑑賞を通じて、観客が主人公の過酷な運命に「恐れ(畏怖)」と「憐れみ(同情)」の感情を抱き、それによって心の中に溜まった抑圧された感情が洗い流され、精神的な調和と安定を取り戻す心理的効果を説いた。 === 近代哲学における美の探究 === 近代に入ると、美は主観的な感情と客観的な普遍性を架橋する契機として論じられた。 * '''カントの無関心性(美判断論)''': ** ドイツの哲学者'''カント'''(Immanuel Kant)は著書『判断力批判』において、美の体験を利害関係や欲望から切り離された純粋な「'''無関心な満足'''(利害関心のない快)」であるとした。事物を利用・所有しようとする欲望(利害)を離れ、対象の純粋な形式そのものを鑑賞することに美の本質があるとした。 * '''シラーの遊戯衝動''': ** ドイツの詩人・劇作家'''シラー'''(Friedrich Schiller)は、人間に備わる物質的衝動(感性)と形式衝動(理性)を調和させる媒介として「'''遊戯衝動'''(遊びの精神)」を位置づけ、美と芸術を通じた情操教育(美育論)によって真の人格の自由が達成されると説いた。 == 日本の伝統的美意識 == 日本の伝統的な文化や思想においては、自然の移ろいや無常観と深く結びついた独自の美意識が育まれてきた。 {| class="wikitable" |+ 日本の伝統的な美意識 |- ! 概念名 !! 主な論者・担い手 !! 特徴・意味 |- ! '''もののあはれ''' | 本居宣長(国学) | 平安時代の『源氏物語』などに代表される、自然の美や人の世の無常、人生の機微に触れて心から深く湧き出るしみじみとした情感・共感。 |- ! '''幽玄(ゆうげん)''' | 世阿弥(能楽)、藤原定家 | 言葉や目に見える形の奥深くに隠された、余情豊かで神秘的・気品ある奥深い美。 |- ! '''わび(侘び)・さび(寂び)''' | 千利休(茶道)、松尾芭蕉(俳諧) | 簡素・素朴で不足しているもの、古びて枯淡なものの中に、無駄を削ぎ落とした本質的な精神の豊かさや静寂を見出す美意識。 |- ! '''いき(粋)''' | 九鬼周造(『「いき」の構造』) | 江戸町人文化に育まれた、垢抜けして洗練された色気(媚態)と、張り(誇り・意気地)、諦め(無常感による執着のなさ)が融合した美の構造。 |} == 現代社会と芸術・表現の自由 == === 芸術の社会的役割と自己表現 === 芸術活動は、単なる美の創造にとどまらず、社会的な課題や不正義に対する批評(プロテスト)、人間の普遍的な苦悩の可視化、多様な他者との対話を促すコミュニケーションとして機能している。 * 人間は芸術の創作や鑑賞を通じて自己の内面を深く見つめ(自己探求)、言葉にできない感情を表現・昇華(フロイトの昇華)させる。 * 他者の創作した作品に触れることで、自分とは異なる文化・時代・立場の痛みに共感し、想像力を育む契機となる。 === 表現の自由と倫理的責任 === 現代の民主主義社会において、芸術表現の自由(日本国憲法第21条)は基本的人権として最大限に保障されなければならない。一方で、芸術表現が他者の名誉、プライバシー、人権を侵害する場合や、ヘイトスピーチ・差別扇動に当たる場合など、'''表現の自由と公共の福祉・倫理的責任'''とのバランスをどのように保つべきかが重要な課題となっている。 == 参考文献 == * 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍、2023年。 * 越智貢ほか編著『高等学校 倫理』第一学習社、2023年。 * 菅野覚明ほか編著『高等学校 新倫理』清水書院、2023年。 * 浜島書店編集部編著『最新図説 倫理』浜島書店、2024年。 * 九鬼周造『「いき」の構造』岩波文庫、1979年。 * 藤田正勝著『理解しやすい倫理』文英堂、2023年。 [[Category:高等学校倫理]] [[Category:美学]] [[Category:芸術]] 1u593l9eet45x268u3dew5e0pcicw6s 利用者・トーク:Kazu wiki Deutschland 3 48736 302591 2026-08-22T13:05:35Z 椎楽 32225 /* 高校「倫理」の記述について */ 新しい節 302591 wikitext text/x-wiki == 高校「倫理」の記述について == 初めまして。椎楽と申します。 高校「倫理」の加筆、ありがとうございます。これまで、このページを編集していたのは事実上私だけでしたので、加筆いただき大変助かります。 ただ、すでにいくつかのページは既存のページがあり、それを問答無用でページリンクを外して新たなページへのリンクを貼りなおされていることにいささか戸惑っております。お時間のあるときでかまいませんので、ページ体系と既存内容に関してお話し合いができればと存じます。--[[利用者:椎楽|椎楽]] ([[利用者・トーク:椎楽|トーク]]) 2026年8月22日 (土) 13:05 (UTC) qnyp3p9yw1y8pa3e3ts8lzo073cqm33 302592 302591 2026-08-22T13:26:34Z Kazu wiki Deutschland 92341 /* 高校「倫理」の記述について */ 返信 302592 wikitext text/x-wiki == 高校「倫理」の記述について == 初めまして。椎楽と申します。 高校「倫理」の加筆、ありがとうございます。これまで、このページを編集していたのは事実上私だけでしたので、加筆いただき大変助かります。 ただ、すでにいくつかのページは既存のページがあり、それを問答無用でページリンクを外して新たなページへのリンクを貼りなおされていることにいささか戸惑っております。お時間のあるときでかまいませんので、ページ体系と既存内容に関してお話し合いができればと存じます。--[[利用者:椎楽|椎楽]] ([[利用者・トーク:椎楽|トーク]]) 2026年8月22日 (土) 13:05 (UTC) :椎楽様 :ご連絡いただきまして、ありがとうございます。 :ご指摘の通り、問答無用でページリンクを外してしまっておりました。 :大変ご迷惑おかけいたしました。 :内容を充実させたいと思い、目次の再編・記事の加筆をしていたのですが、すでに作成してくださっていた記事に気づかず、新たなページのリンクを貼ってしまっておりました。 :一旦、元に戻させていただく形でよろしいでしょうか。--[[利用者:Kazu wiki Deutschland|Kazu wiki Deutschland]] ([[利用者・トーク:Kazu wiki Deutschland|トーク]]) 2026年8月22日 (土) 13:26 (UTC) ejbwx0o6ig0dvund2nj3xxv8t0bwgxy 302593 302592 2026-08-22T13:31:58Z 椎楽 32225 /* 高校「倫理」の記述について */ 返信 302593 wikitext text/x-wiki == 高校「倫理」の記述について == 初めまして。椎楽と申します。 高校「倫理」の加筆、ありがとうございます。これまで、このページを編集していたのは事実上私だけでしたので、加筆いただき大変助かります。 ただ、すでにいくつかのページは既存のページがあり、それを問答無用でページリンクを外して新たなページへのリンクを貼りなおされていることにいささか戸惑っております。お時間のあるときでかまいませんので、ページ体系と既存内容に関してお話し合いができればと存じます。--[[利用者:椎楽|椎楽]] ([[利用者・トーク:椎楽|トーク]]) 2026年8月22日 (土) 13:05 (UTC) :椎楽様 :ご連絡いただきまして、ありがとうございます。 :ご指摘の通り、問答無用でページリンクを外してしまっておりました。 :大変ご迷惑おかけいたしました。 :内容を充実させたいと思い、目次の再編・記事の加筆をしていたのですが、すでに作成してくださっていた記事に気づかず、新たなページのリンクを貼ってしまっておりました。 :一旦、元に戻させていただく形でよろしいでしょうか。--[[利用者:Kazu wiki Deutschland|Kazu wiki Deutschland]] ([[利用者・トーク:Kazu wiki Deutschland|トーク]]) 2026年8月22日 (土) 13:26 (UTC) ::元に戻すこと、よろしくお願いします。 ::なお、折角お書きになられているので、勝手な提案ですが、[[大学受験参考書]]の「[[大学受験倫理]]」に今の内容をコピーされてはいかがでしょうか。--[[利用者:椎楽|椎楽]] ([[利用者・トーク:椎楽|トーク]]) 2026年8月22日 (土) 13:31 (UTC) mtzljkx000ecgnn1x78ck1dmoj84yr2 トーク:高等学校倫理/仏教とインド思想 1 48737 302597 2026-08-22T17:37:56Z 椎楽 32225 /* 失礼を承知でお尋ねします */ 新しい節 302597 wikitext text/x-wiki == 失礼を承知でお尋ねします == この記事を注意深く拝読いたしましたが、看過できない誤りがいくつか見られます。 単なるうっかりミスであれば私が自分で直すところですが、ハルシネーションと思われる記述がいくつか見られます。 * 「人間は死後も前世の行為('''業''')に応じて、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)などの様々な世界へ生まれ変わりを繰り返す('''輪廻''')と考え、これを苦しみと捉えた」。この「六道輪廻」は仏教思想であり、ウパニシャッド哲学では単なる「輪廻」であるはずです。 * 五'''陰'''盛苦。確かにこうも書きますが、「倫理」の教科書では全社「五'''蘊'''盛苦」で統一されています。いつの間に変わったのでしょうか。 * 「('''一切皆苦'''): 思い通りにならない現実への執着から生じる苦の自覚」。'''苦を自覚していたら「苦」にはなりません'''。 * 「阿羅漢、アラハン」。漢語に寄せるなら「アラカン」、サンスクリット語に寄せるなら「アルハン」が妥当だと思われます。 * 参考文献の「中村元『仏教の思想』岩波書店、1991年」。'''そんな本はありません'''。参考 https://ndlsearch.ndl.go.jp/search?cs=bib&f-ht=ndl&keyword=%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%85%83+%E4%BB%8F%E6%95%99%E3%81%AE%E6%80%9D%E6%83%B3 また、[[高等学校倫理/ユダヤ教・キリスト教・イスラーム]]にもいくつか不自然な点が見られます。 * 「イエスは罪深い人間を救うために十字架にかけられて処刑されたが、3日後に復活したと信じられ、彼は人類の罪を贖う「キリスト(救世主)」であるとされた」。パウロの思想と混ざっていませんか? * アウグスティヌスは普通「教父」とされます。 * 「ユダヤ教・キリスト教・イスラームの比較」節ですが次の点が気になります。 # 「唯一神の呼び名」ユダヤ教の「ヤハウェ」、だけが浮いています。キリスト教やイスラームとの統一でいえば「主」が妥当でしょう。(なお、資料集などでそのような表があればページをご提示いただければありがたいです) # 「クルアーン」をコランと表記するのは寡聞にして聞いたことがありません。 # 「預言者・メストレとしては認めない」。「メストレ」というのも、私の勉強不足で聞いたことがありません(検索したらmasterと類語のようですね)。メシアではありませんか。 「倫理」はかなり厄介な科目で、私などはなかなか手がつかないのですが、1時間で7ページも新規に立ち上げられていらっしゃいます。こんなハイペースは見たことがありません。'''失礼を承知でお尋ねしますが、AIに資料を読み込ませて記事内容を生成させていらっしゃいませんか? '''ただ、もしこれが私の邪推でしたら伏してお詫び申し上げます。その際には、指摘した点は私が責任をもって修正いたします。--[[利用者:椎楽|椎楽]] ([[利用者・トーク:椎楽|トーク]]) 2026年8月22日 (土) 17:37 (UTC) 81m48qt7zs44g8x4efeiwwwpcjoueam