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民法第543条
0
5044
304176
227215
2026-09-29T02:12:50Z
Fudoh123456789
75176
/* 解説 */
304176
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]
==条文==
(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
;第543条
: 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。
===改正経緯===
2017年改正により新設
改正前条文は以下のものであり、本条の趣旨は、債務者の帰責事由を要件から除いて、[[民法第542条]]に承継された。
(履行不能による解除権)
: 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
==解説==
2017年改正では債務不履行を原因とする解除に関しては、原則として債務者における帰責事由を評価せず、債務が履行されていないと言う事実のみで足りるとした。しかしながら、[[信義誠実の原則]]の観点から、債務不履行が債権者の帰責事由による場合は解除権がないものとした。
この場合の危険負担については、[[民法第536条]]参照。
==参照条文==
前二条
*[[民法第541条]](催告による解除)
*[[民法第542条]](催告によらない解除)
*[[民法第540条]](解除権の行使)
*[[民法第545条]](解除の効果)
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-1|第1節 総則]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-1-4|第4款 契約の解除]]
|[[民法第542条]]<br>(催告によらない解除)
|[[民法第544条]]<br>(解除権の不可分性)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|543]]
[[category:民法 2017年改正|543]]
83wi0dxpor13621qylti9ewnbbxhwi4
Wikibooks:スタブ
4
6654
304145
252147
2026-09-28T19:55:58Z
Tomzo
248
304145
wikitext
text/x-wiki
{{Proposed|すたふ|[[WB:STUB]]}}
== スタブとは ==
ウィキブックスでは、読者に対して提供する情報が不足しているページを'''スタブ'''と呼んでいます。スタブの多くは非常に短い文章や断片的な文章で、扱うべき主題についての記述が不十分なため、読者にはあまり役立ちません。中でも、ほとんど役立たない記事は俗に'''スタブ未満'''('''サブスタブ''' : [[:カテゴリ:サブスタブ]] 参照)と呼ばれています。特に悪戯書きと見分けがつかないようなスタブ未満は[[Wikibooks:即時削除|即時削除]]の対象となります。
== スタブの是非 ==
スタブの是非については、ウィキメディアプロジェクトのあちこちでたびたび議論が行われます。[[m:Kill the Stub Pages|スタブをなくせ(メタ・英語)]]、[[w:Wikipedia:スタブ|Wikipedia:スタブ]]などを参照してください。
'''スタブについては様々な要素があり簡単に結論がでるものではありません。'''
== 役に立つスタブ ==
スタブの長所を活かして短所を抑えるために役に立つスタブを作ってください。つまり、
# 読者が調べ物に役に立つスタブ
# 執筆者が加筆しやすいスタブ
# 新規執筆者の獲得に役に立つスタブ
の3つの条件を満たすスタブを作るべきです。
=== 役に立つスタブを作るために ===
* 誤解を生まないために何についてのページなのか主題と目的をはっきりさせる:正しい日本語、文書の目的に即した日本語を使ってください。あらかじめ明確な概要 (目次や要約) をつけるか、つけにくいものは重要事項を優先して書くようにしてください。
* '''読者が関心を持つ'''ような記事にする:出来るだけ概要以上の情報を付け加えて、読者を「もっと知りたい!」という気にさせてください。読者の中には知りたいことを調べて、加筆してくれる人がいるかもしれません。
* '''適切なリンク'''をつける:孤立した記事は忘れ去られやすくなります。文書が重複してたてられることをあらかじめ防ぐためにも、作ったスタブと関連する文書との間に適切なリンクを構築してください。また、他言語版の文書や日本語版のほかの姉妹プロジェクトのページとの間にも相互にリンクを張ってください。これは作ったスタブを検索サイトの上位に載せるためにも有効です。
* できるだけ良質な文章を多く書くようにする:[[{{SITENAME}}:中立的な観点|中立的な観点]]にそって、偏見が入るのを防いでください。また、スタブを作るときにも[[w:Wikipedia:事実を確認する|事実を確認して]]嘘が入らないようにしてください。一般に文章の量が多い方が検索サイトで複数のキーワードを設定した場合に引っかかりやすくなります。
* 自分の作ったスタブに幾らかの責任を持つ:もしも他の誰も加筆しなかったならば、自分自身で加筆してください。スタブを作ったことは忘れやすいので出来るだけ最初に書けることは全て書きましょう。
スタブは安易に作らずに時間と手間と集中力をかけて作ってください。そのほうが有益なものとなり、うまく成長しやすくなります。
== スタブ標識とスタブの見つけ方 ==
スタブを作ったり、見つけたりした場合には読者へのスタブ標識として<syntaxhighlight lang=wikitext inline>{{stub}}</syntaxhighlight>を挿入してください。これは、後記する方法でスタブを探す手がかりにもなります。逆に加筆してスタブ標識が不要になった場合には取り除いてください。
<syntaxhighlight lang=wikitext inline>{{stub}}</syntaxhighlight>が挿入されているスタブは次のページでご確認になれます。
* [[特別:Whatlinkshere/Template:stub|<syntaxhighlight lang=wikitext inline>{{stub}}</syntaxhighlight>が張られている記事]]
* [[特別:Whatlinkshere/{{NAMESPACE}}:{{PAGENAME}}|このページへリンクしているページ]]
また、検索エンジンで「書きかけ」を検索すると、結果で上位になりやすいスタブを探せます。
* [http://www.google.com/search?domains=https%3A%2F%2Fja.wikibooks.org&ie=utf-8&oe=utf-8&q=書きかけです&btnG=Google+検索&sitesearch=http%3A%2F%2Fja.wikibooks.org Googleで「書きかけ」を検索]
* [https://search.yahoo.co.jp/search?p=site%3Ahttps%3A%2F%2Fja.wikibooks.org%2F+%E6%9B%B8%E3%81%8D%E3%81%8B%E3%81%91 Yahoo!Japanで「書きかけ」を検索]
MediaWiki(ウィキペディアのソフトウエア)には、スタブの発見に役立つ機能があります。ログインしているユーザーは[[特別:Preferences|ユーザーオプション]]の設定で「スタブ表示にする閾値」を変えると、それ以後、'''設定したバイト値以下のサイズの記事へのリンクは、他と異なった色(通常の設定では、赤茶色っぽい色)になります'''。MediaWikiではUTF-8を使用しているため、日本語の1文字は3バイトとなることが多いので、1200にすれば400字詰め原稿用紙一枚の分量以下の記事の色が変わります。
次のページもスタブ探しに役立ちます。
* [[特別:Shortpages|短い記事]] (ただし、サーバ負荷低減のため更新されないことも多い)
[[category:スタブ|*]]
hzz7iz9efeygd8wuihjr2gsa5n8iuof
拡張子ハンドブック/B
0
8297
304152
52446
2026-09-28T21:44:21Z
Tomzo
248
統合提案
304152
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== b64 ==
[[w:Base64|Base64]]方式でエンコードされたファイル
== bak ==
バックアップ
== bas ==
#[[BASIC]] ソースコード
#[[w:Microsoft Visual Basic|Microsoft Visual Basic]] ソースコード
== bat ==
[[w:バッチファイル|バッチファイル]]
== bin ==
バイナリファイルに一般的に使われる拡張子。バイナリダンプや実行可能形式に使われることが多い。フォーマットはまちまち。
== blend ==
[[w:Blender]]の保存形式。
== bmp ==
[[w:Windows bitmap|ビットマップ]]
== bsc ==
ソースブラウザデータベースファイル。[[w:Microsoft Visual C++]] が自動生成する (BSCMAKE により .sbr ファイルから生成) 。
*参考: [http://support.microsoft.com/kb/132340/ja [MSVC] Visual C++ が使用するファイルの拡張子]
== bun ==
ワードプロセッサ「[[w:松 (ワープロ)|松]]」の文書ファイル
== bz2 ==
[[w:bzip2|bzip2]]圧縮ファイル
34xk6kld44zvpf06290o52ddd0qa820
拡張子ハンドブック/0-9
0
8298
304151
147899
2026-09-28T21:44:06Z
Tomzo
248
統合提案
304151
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== 123 ==
[[w:Lotus 1-2-3|Lotus 1-2-3]] の文書形式。表形式のデータ。
== 2bp ==
2bppの[[w:ビットマップ|ビットマップ]]ファイル
== 386 ==
[[w:仮想デバイスドライバ]]
== 3g2 ==
[[w:3GPP2#3GPP2ファイルフォーマット]]
== 3gp ==
[[w:3GPP#3GPPファイルフォーマット]]
== 3gp2 ==
[[w:3GPP2#3GPP2ファイルフォーマット]]
== 3gpp ==
[[w:3GPP#3GPPファイルフォーマット]]
== 68K ==
[[w:CP/M#CP/M-68K 用の実行ファイル]]
== 7z ==
[[w:7-Zip|7-Zip]] 圧縮書庫
*参考: [[w:7z|7z]]
ba9x2e2cix64z12ivts2mu19nptukxl
拡張子ハンドブック/F
0
8301
304154
236258
2026-09-28T21:44:47Z
Tomzo
248
統合提案
304154
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== f ==
[[w:FORTRAN|FORTRAN]]の[[w:ソースコード|ソースコード]]
== f77 ==
[[w:FORTRAN#FORTRAN 77|FORTRAN 77]] のソースコード
== f90 ==
[[w:FORTRAN#Fortran 90|Fortran 90]] のソースコード
== fav ==
[[w:Microsoft Outlook|Outlook]]バーへのショートカット
== flac ==
Free Lossless Audio Codec。可逆圧縮音声ファイル
== flt ==
[[w:Adobe Illustrator|Adobe Illustrator]] Filter
== flv ==
[[w:ストリーミング|ストリーミング]]可能な動画形式の[[w:Flash Video|Flash Video]]。[[w:YouTube|YouTube]]や[[w:ニコニコ動画|ニコニコ動画]]で使われている。
== fnt ==
フォント
== fon ==
フォント
== frm ==
[[w:Microsoft Visual Basic|Microsoft Visual Basic]] フォーム
sddimrgclqxzt0qhgz2zuzv5po6scf6
拡張子ハンドブック/E
0
8302
304153
178163
2026-09-28T21:44:34Z
Tomzo
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304153
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== edg ==
[[w:ドット絵|ドット絵]]エディタ「EDGE」の画像管理ファイル
== emf ==
Windows Enhanced Meta File。拡張[[w:メタデータ|メタ]]ファイル。
== eml ==
Microsoft [[w:Outlook Express|Outlook Express]] 電子メールファイル
== epub ==
電子書籍の拡張子
== eps ==
[[w:Adobe|Adobe]] [[w:Illustrator|Illustrator]] [[w:Encapsulated Post Script|Encapsulated Post Script]]
== euc ==
EUC系符号で書かれたテキストファイル。日本においてはEUC-JPのテキストファイルに稀に使われる。
== exe ==
[[Windows入門|Microsoft Windows]]、[[MS-DOS/PC DOS入門|MS-DOS]]における[[w:実行ファイル|実行可能ファイル]]
== exi ==
[[w:高効率XML交換形式|高効率XML交換形式]]のファイル。
XML文書をその文法的性質を利用して効率的に圧縮する,W3C勧告のXML符号化規約である。
== exif ==
デジタルカメラ画像形式。[[w:Exchangeable image file format|EXIF]]も参照
9mmnx70u5zuhewveiil2rjnoaw9ggme
拡張子ハンドブック/G
0
8303
304155
156539
2026-09-28T21:44:57Z
Tomzo
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統合提案
304155
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== gca ==
画像圧縮形式。
== gg ==
Google Gadget
== gif ==
Graphics Interchange Format。ウェブ上でよく使われる圧縮画像形式。
* [[w:Graphics_Interchange_Format]]
== glade ==
インターフェースデザイナGladeで使われる保存形式。
== gmanifest ==
Google Gadget Manifest
== go ==
Go言語のソースコードファイル
== gps ==
[[w:GRAPES|GRAPES]]で使われる保存形式。
== gz ==
[[w:gzip|gzip]] 圧縮形式。gunzipコマンドで解凍できる。
== gd2 ==
jj5hitskyceejmfmvz3qgyrmkiqdaqa
拡張子ハンドブック/I
0
8304
304157
296922
2026-09-28T21:45:27Z
Tomzo
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統合提案
304157
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== ico ==
[[w:アイコン|アイコン]]
== idl ==
インターフェース定義言語ファイル
== ilk ==
インクリメンタルリンク ステータス ファイル。[[w:Microsoft Visual C++|Microsoft Visual C++]] が自動生成する。再生成可能。
*参考: [https://msdn2.microsoft.com/ja-jp/library/1716cz97(VS.80).aspx リンカ入力としての .ilk ファイル]
== inf ==
主にインストール情報が格納されている設定ファイル
== ini ==
汎用の設定ファイル
== ish ==
[[w:ish|ish]]ファイル。バイナリ⇔テキスト相互変換形式である。
== iso ==
標準 [[w:ISO 9660|ISO 9660]] ディスクイメージファイル
8wj9odzw9fwokjiljrb4q1hzhh3emcx
拡張子ハンドブック/H
0
8305
304156
154300
2026-09-28T21:45:13Z
Tomzo
248
統合提案
304156
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== h ==
[[w:C言語|C]]/[[w:C++|C++]] [[w:ヘッダファイル|ヘッダ]]
== h264 ==
H.264エレメンタリストリーム(H.264 ES)。
== h2song ==
ドラムシーケンサーHydrogenの保存形式。xmlベース。
== hhc ==
HTML Help Workshop コンテンツ(目次)ファイル。
[[w:Microsoft Compiled HTML Help|Microsoft Compiled HTML Help]] (CHM) を作るためのソースファイルの一つ。
== hhk ==
HTML Help Workshop インデックスキー(索引)ファイル。
Microsoft Compiled HTML Help を作るためのソースファイルの一つ。
== hhp ==
HTML Help Workshop プロジェクト。
Microsoft Compiled HTML Help を開発するときに用いられる。
== hlp ==
Windowsヘルプ
== hpp ==
C++ヘッダ
== hs ==
[[w:Hot Soup Processor#HSP Document Library(HDL)|HDL]]のコマンドヘルプ
== hsp ==
[[w:Hot Soup Processor|HSP3]] スクリプトファイル
== htaccess ==
[[w:Apache HTTP Server|Apache HTTP Server]]で採用されている設定ファイルの一つ。
*[[w:.htaccess|.htaccess]]
== htm ==
[[HTML]]文書
== html ==
HTML文書
75j83l0933rl8whuapsl8c0pf3fzuro
拡張子ハンドブック/J
0
8306
304158
154314
2026-09-28T21:45:38Z
Tomzo
248
統合提案
304158
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== JAR==
[[w:Jar|Jar]] (Java ARchive) 形式。
== java ==
[[w:Java|Java]][[w:ソースコード|ソースコード]]。
* [[Java]] の教科書
== jokosher ==
音声編集ソフトJokosherの保存形式。
== jpeg ==
[[w:JPEG|JPEG]]。写真等によく用いられる圧縮画像形式。
== jpg ==
JPEG。写真等によく用いられる圧縮画像形式。
== js ==
[[JavaScript]]ソースコード
== json ==
データ記述言語[[JavaScript Object Notation|JSON]]で書かれたテキストファイル
== jtl ==
JMeterログ
== jxr ==
[[w:JPEG XR|JPEG XR]]。写真等に用いられる画像形式。
5ev3w5vxhf9l5u3fhhf05r12ctdk503
拡張子ハンドブック/K
0
8307
304159
47969
2026-09-28T21:45:50Z
Tomzo
248
統合提案
304159
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== key ==
[[w:サクラエディタ|サクラエディタ]] キー割り当て定義ファイル。
== kml ==
[[w:Google Earth|Google Earth]] 等で使う KML ([[w:Keyhole Markup Language|Keyhole Markup Language]]) ファイル。
== kmz ==
KML 圧縮ファイル。 KML ファイルと関連ファイル群を [[w:ZIP (ファイルフォーマット)|ZIP]] 圧縮したもの。
== ko ==
Linuxのカーネルモジュールファイル。
== kwd ==
[[w:サクラエディタ|サクラエディタ]] 強調キーワード定義ファイル。
dk0jsjcc3kmrtb5ehelsc5xtvgkcq0e
拡張子ハンドブック/L
0
8308
304160
68509
2026-09-28T21:46:02Z
Tomzo
248
統合提案
304160
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== l ==
[[w:lex|lex]]ファイル。
== lha ==
[[w:LHA|LZH]]形式圧縮書庫。日本以外で使われることのある拡張子。
== lib ==
[[w:静的リンク|スタティックリンク]][[w:ライブラリ|ライブラリ]]
== list ==
リスト形式の[[w:設定ファイル|設定ファイル]]
== lnk ==
Windows における[[w:ソフトリンク|ソフトリンク]](「[[w:ショートカット|ショートカット]]」)
== lo ==
ライブラリオブジェクト
== log ==
ログ([[w:データログ|データログ]])ファイル
== lzh ==
[[w:LHA|LZH]]形式圧縮書庫
jysvpwvaos32j3z3ftvu513p7c07y2y
拡張子ハンドブック/N
0
8310
304161
163824
2026-09-28T21:46:21Z
Tomzo
248
統合提案
304161
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== nako ==
日本語プログラミング言語[[w:なでしこ (プログラミング言語)|なでしこ]]のソースファイル
== ncb ==
[[w:Microsoft Visual C++|Microsoft Visual C++]] が作成する Intellisense Database ファイル。キャッシュなので、削除して問題無い。
== net ==
Network Configuration で用いられる形式。
== npc ==
[[w:ネオジオポケット|ネオジオポケット]]エミュレーターROMイメージ
== nrg ==
[[w:Nero Burning ROM|Nero Burning ROM]] Image File
cfv7h9ex2di4cx0ai8ra3mgt4gn78ay
拡張子ハンドブック/R
0
8312
304163
40313
2026-09-28T21:46:47Z
Tomzo
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統合提案
304163
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== rar ==
[[w:RAR|RAR]]書庫。[[w:WinRAR|WinRAR]]等で扱う。
== rb ==
[[w:Ruby|Ruby]]スクリプトファイル。
*[[Ruby]]の教科書
== rc ==
リソーススクリプト
== rc2 ==
リソーススクリプト。[[w:Microsoft Visual C++|Microsoft Visual C++]] が自動生成する。
== reg ==
[[w:レジストリ|レジストリ]]のインポート/エクスポートに用いる形式
== rkw ==
[[w:サクラエディタ|サクラエディタ]] 正規表現キーワード定義
== rtf ==
[[w:Rich Text Format|リッチテキスト]]文書
1qu2ygnwcy45cerbv6mikfoa8zfk9kn
拡張子ハンドブック/Q
0
8314
304162
37517
2026-09-28T21:46:34Z
Tomzo
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統合提案
304162
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== qt ==
Apple [[w:QuickTime|QuickTime]] ビデオ形式
93mt552sqfo69ntflnn8ktuvv8ibj33
拡張子ハンドブック/U
0
8317
304164
37527
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Tomzo
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統合提案
304164
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== url ==
インターネットショートカット
== user ==
[[w:Microsoft Visual Studio|Microsoft Visual Studio]] が自動生成する。削除して問題無い。
r4cv7kjj65rv13rh3cjbb5n7cbw55h2
拡張子ハンドブック/W
0
8318
304165
68507
2026-09-28T21:47:11Z
Tomzo
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統合提案
304165
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== wav ==
マイクロソフトとIBMが開発したオーディオ形式。無圧縮オーディオ(リニアPCM)であることが多いが、圧縮オーディオにも対応している。
== WJ* ==
[[w:Lotus 1-2-3|Lotus 1-2-3]] の表計算形式の文書([[MS-DOS/PC DOS入門|DOS]] 用バージョン)
== wk3 wk4 ==
[[w:Lotus 1-2-3|Lotus 1-2-3]] の表計算形式の文書([[Windows入門|Windows]] 用バージョン)
== wma ==
[[w:Windows Media Audio|Windows Media Audio]]。マイクロソフト規格の音声圧縮ファイル。
== wmv ==
[[w:Windows Media Video|Windows Media Video]]。マイクロソフト規格のストリーミング向け動画形式。
== wsh ==
[[w:Windows Script Host|Windows Script Host]] 設定ファイル
t3hraf1tioxv2kn8p3jhxhahn9xng45
拡張子ハンドブック/Y
0
8321
304166
38772
2026-09-28T21:47:19Z
Tomzo
248
統合提案
304166
wikitext
text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== yz1 ==
[[w:DeepFreezer|DeepFreezer]] 圧縮形式
fps7xxh270wle49k7pnxylainahr5ao
拡張子ハンドブック/Z
0
8322
304167
45231
2026-09-28T21:47:33Z
Tomzo
248
統合提案
304167
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text/x-wiki
{{Mergeto|拡張子ハンドブック|t=トーク:拡張子ハンドブック|date=2026-09-29}}
[[Category:{{BASEPAGENAME}}|{{SUBPAGENAME}}]]
{{ {{BASEPAGENAME}}}}
----
== Z ==
UNIXのデータ圧縮規格。
* [[w:UNIX Compress]]
== zip ==
ウェブ上でよく用いられる圧縮形式
* [[w:ZIP (ファイルフォーマット)]]
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拡張子ハンドブック
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Tomzo
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統合提案
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<div style="border:1px outset #99c;padding:1ex .5em;margin:2ex 1em;text-align:center;font:bold 200% sans-serif;">{{PAGENAME}}</div>
{{Wikipedia|拡張子}}
[[拡張子とは|スマートフォンの使い方/拡張子とは]]ではスマートフォンで使うことがある拡張子について解説してあります。
== まえがき ==
'''拡張子'''(かくちょうし)とは、コンピュータが扱うプログラムファイル、データファイル、文書ファイルなどの名前(ファイル名)の末尾につく短い文字列で、ファイルの種類を表したり、ファイルの扱い方を表したりします。
この本「'''{{PAGENAME}}'''」は、主な拡張子とその意味(拡張子が表すファイルの種類)を紹介します。ただ、拡張子はプラットフォームや時代により様々であり、正確な情報を集めるのがやや難しい面があります。調べ物の手がかりとして有効に活用して頂ければ幸いです。
== 目次 ==
{{拡張子ハンドブック}}
{{DEFAULTSORT:かくちようしはんとふつく}}
[[Category:情報技術]]
[[Category:拡張子ハンドブック|*]]
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ロジバンについての英語資料の日本語訳
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Tomzo
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内容が転送先のものに完全に含まれる。
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text/x-wiki
#転送 [[ロジバン/目次/ロジバンについての英語資料の日本語訳]]
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簿記
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Tomzo
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/* 註 */
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text/x-wiki
{{Wikipedia}}{{Wiktionary}}
{{NDC|343.9}}
== 目次 ==
# 総論
## [[/総論/総説|総説]]:簿記の意義、簿記の目的、簿記の種類、簿記学
## [[/総論/基礎概念|基礎概念]]:財産及び資本、負債、資本の負債性、損益、取引、勘定、帳簿
# 複式簿記の組織
## [[/複式簿記の組織/複式簿記の基礎|複式簿記の基礎]]:勘定理論、勘定口座の記入法、貸借の意義、勘定記入法則、取引の二重性、仕訳、仕訳および転記の例示、貸借平均の理
## [[/複式簿記の組織/勘定科目|勘定科目]]:勘定科目の分類、財産勘定、資本主勘定、損益勘定
## [[/複式簿記の組織/帳簿|帳簿]]:帳簿の種類、記帳心得、記帳例示
## [[/複式簿記の組織/決算|決算]]:総説、決算予備手続、帳簿の締切、決算報告書の作成
#* [[/第一例題]]
# 各種取引の処理法
## [[/各種取引の処理法/現金取引とその管理|現金取引とその管理]]:現金の管理、当座預金取引、諸預金取引、振替貯金取引、小払資金取引、仮払金・仮受金および未決算勘定
## [[/各種取引の処理法/手形取引|手形取引]]:総説、受取手形勘定と支払手形勘定、手形記入帳、為替手形の振出、自己振出約束手形の受入、手形の裏書、手形の割引、荷為替、取立為替、取立委任の裏書、融通手形、手形の更改、不渡手形
## [[/各種取引の処理法/掛取引(統括勘定の運用)|掛取引(統括勘定の運用)]]:総説、売掛金勘定・買掛金勘定、統括勘定、諸向借勘定・諸向貸勘定
#* [[/第二例題]]
## [[/各種取引の処理法/各種売買取引|各種売買取引]]:商品勘定の欠点、商品勘定の分割、未着品の売買、先物売買、月賦販売、商品券の発行、商品以外の物品の売買
## [[/各種取引の処理法/委託取引と組合売買|委託取引と組合売買]]:委託売買、委託販売、受託販売、受託買付、組合売買
## [[/各種取引の処理法/固定資産取引とその管理|固定資産取引とその管理]]:土地の売買、建物の売買と管理、運搬具、暖簾、特定資産、投資
## [[/各種取引の処理法/決算整理記入|決算整理記入]]:決算整理、土地の評価、減価償却、貸倒の見積、有価証券の評価、損益の見越と繰延、前払費用の控除、未経過利益の控除、未払費用の計上、未収利益の計上
## [[/各種取引の処理法/組合および会社固有の取引|組合および会社固有の取引]]:総説、組合および合名・合資会社の設立、出資の目的物、株式会社の設立、株式の打歩、株式合資会社および有限会社の設立、創業費、新社員の加入、社員の退社、社債の発行、純損益の処分、会社の解散
## [[/各種取引の処理法/支店取引|支店取引]]:総説、本支店間取引、商品の受渡価格、支店の元帳に開かるべき勘定の範囲
## [[/各種取引の処理法/勘定科目の設定|勘定科目の設定]]:勘定科目の設定、勘定科目の分類、勘定科目表
#* [[/第三例題]]
# 帳簿
## [[/帳簿/帳簿総説|帳簿総説]]:帳簿の種類、帳簿組織、帳簿組織の設定
## [[/帳簿/現金出納帳|現金出納帳]]:現金出納帳の仕訳帳化、多桁式現金出納帳、現金出納帳の分割、現金式仕訳帳
## [[/帳簿/仕入帳|仕入帳]]:仕入帳の仕訳帳化、戻し品記入帳、多桁式仕入帳、証憑式記入帳
## [[/帳簿/売上帳|売上帳]]:売上帳の仕訳帳化、戻り品記入帳、多桁式売上帳、売上帳の分割
## [[/帳簿/手形記入帳|手形記入帳]]:手形記入帳の仕訳帳化
## [[/帳簿/仕訳帳|仕訳帳]]:普通仕訳帳、多桁式仕訳帳
## [[/帳簿/元帳|元帳]]:元帳の分割、照合勘定、秘密元帳、ボストン式元帳
## [[/帳簿/取引証憑書および分課制度と帳簿|取引証憑書および分課制度と帳簿]]:取引証憑書、取引証憑書と帳簿、分課制度と帳簿、伝票、伝票の様式と記入法
## [[/帳簿/帳簿の体裁|帳簿の体裁]]:帳簿の体裁、帳簿と法規
#* [[/第四例題]]
# 諸表
## [[/諸表/試算表|試算表]]:試算表の意義および職能、試算表の種類、誤謬の種類とその捜査法、誤謬の訂正法、試算表検証力の限界、試算表と元帳との併合
## [[/諸表/棚卸表と財産目録|棚卸表と財産目録]]:棚卸表の意義および目的、棚卸表と財産目録、財産目録の内容とその作成法、財産目録と貸借対照表
## [[/諸表/精算表|精算表]]:精算表の意義および目的、精算表の種類、精算表の作成法
## [[/諸表/損益計算書と貸借対照表|損益計算書と貸借対照表]]:損益計算書と貸借対照表、損益計算書の作成法、貸借対照表の作成法、貸借対照表および損益計算書の総合、短期成果計算
## [[/諸表/キャッシュ・フロー計算書|キャッシュ・フロー計算書]]:キャッシュ・フロー計算書の意義および目的、キャッシュ・フロー計算書の作成法
## [[/諸表/株主資本等変動計算書|株主資本等変動計算書]]:株主資本等変動計算書の意義および目的、株主資本等変動計算書の作成法
# 簿記学説
## [[/簿記学説]]:簿記学説、人的説、物的説
# [[/補足資料]]
== 全章通覧 ==
[[/全章通覧]]
== 註 ==
{{註(吉田1942)}}
== 関連項目 ==
*[[日商簿記検定]]
*[[全経簿記能力検定]]
*[[税理士試験]]
*[[公認会計士試験]]
{{DEFAULTSORT:ほき}}
[[category:会計学]]
[[category:簿記論]]
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簿記/全章通覧
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Tomzo
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text/x-wiki
__EXPECTSHORTPAGE__
== 総論 ==
=== 総説 ===
{{:簿記/総論/総説}}
=== 基礎概念 ===
{{:簿記/総論/基礎概念}}
== 複式簿記の組織 ==
=== 複式簿記の基礎 ===
{{:簿記/複式簿記の組織/複式簿記の基礎}}
== 註 ==
{{註(吉田1942)}}
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テンプレート:註(吉田1942)
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Tomzo がページ「[[簿記/註]]」を「[[テンプレート:註(吉田1942)]]」に、リダイレクトを残さずに移動しました: 利用空間の修正: 繰り返し利用フレーズに標準空間利用は好ましくないため
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text/x-wiki
本書は、吉田(1942年)をもとにして作成したものである。
* 吉田良三、1942年『簿記概論』同文館、全国書誌番号 46022063、http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1068208 、著作権保護期間満了。
[[カテゴリ:簿記論]]
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Tomzo
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text/x-wiki
本書は、吉田(1942年)をもとにして作成したものである。
* 吉田良三、1942年『簿記概論』同文館、全国書誌番号 46022063、http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1068208 、著作権保護期間満了。
<noinclude>
[[カテゴリ:簿記論]]
</noinclude>
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解析学基礎/ベクトル値関数
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text/x-wiki
ベクトル値関数とは、返り値がスカラーではなく、ベクトルであるような関数(写像)のことです。これにより向き付けやベクトル場といったものを考えることができるようになり、物理学で電場や磁場、その他多くの場を可視化するのに役立っています。
[[物理数学I]]も参照のこと<!-- <ref>これらの分野間での記事の統合・分割や整合性の問題についてはWikibooks参加者間での議論を待ちたいと思います。ここではいったん叩き台のつもりで[[:en:Calculus]]から翻訳を行いました。</ref>-->。
式で表すと:
<math>\mathbf{F(t)}=\begin{pmatrix}\mathbf{a_1(t)}\\\vdots\\\mathbf{a_n(t)}\end{pmatrix}</math>
==極限・微分・積分==
簡単に言うと、ベクトル値関数の極限は、各成分の極限を並べたものです。
;証明
ベクトル値関数の極限がこのように確定しているとしましょう。
<math>\lim_{t\to c}\mathbf{F}(t)=\mathbf{L}=\begin{pmatrix}\mathbf{a_1}\\\vdots\\\mathbf{a_n}\end{pmatrix}</math>
このとき、任意の <math>\varepsilon>0</math> に対して <math>\phi>0</math> があって、
<math>0<|t-c|<\phi\implies|\mathbf{F}(t)-\mathbf{L}|<\varepsilon</math>
とできます。ここで、三角不等式 <math>|a_1|\le|\mathbf{F}|\le|a_1|+\cdots+|a_n|</math>
<math>|a_1(t)-a_1|\le|\mathbf{F}(t)-\mathbf{L}|</math>
を用いると、
<math>0<|t-c|<\phi\implies|a_1(t)-a_1|<\varepsilon</math>
ゆえに <math>\lim_{t\to c}a_1(t)=a_1</math>
同じことが各成分 <math>a_k(t)</math> について成り立ちます。
逆に、各成分について極限が存在して、それらをならべたものが <math>\mathbf{L}=\begin{pmatrix}\mathbf{a_1}\\\vdots\\\mathbf{a_n}\end{pmatrix}</math> になっているとしましょう。任意の <math>\varepsilon>0</math> に対して<math>\phi>0</math> がとれて、
<math>0<|t-c|<\phi\implies|a_k(t)-a_k|<\frac{\varepsilon}{n}</math>
となるようにできます。すると、
<math>0<|t-c|<\phi\implies|\mathbf{F}(t)-\mathbf{L}|\le\frac{\varepsilon_1}{n}+\cdots+\frac{\varepsilon_n}{n}=\varepsilon</math>
つまり、
<math>\lim_{t\to c}\mathbf{F}(t)=\mathbf{L}</math>
まとめると:
<math>\lim_{t\to c}\mathbf{F}(t)=\mathbf{L}=\begin{pmatrix}\mathbf{a_1}\\\vdots\\\mathbf{a_n}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\lim\limits_{t\to c}\mathbf{a_1(t)}\\\vdots\\\lim\limits_{t\to c}\mathbf{a_n(t)}\end{pmatrix}</math>
ベクトル値関数の微分の正式な定義は以下の通りです。
<!--I broke this up, so that it doesnt spill off over the side of the screen. May not be the best solution, but at least people don't have to scroll to see it all. --Whiteknight-->
<math>\begin{align}
\mathbf{F}'(t)
&=\lim_{h\to0}\frac{\mathbf{F}(t+h)-\mathbf{F}(t)}{h}\\
&=\lim_{h\to0}\frac{\begin{pmatrix}\mathbf{a_1(t+h)}\\\vdots\\\mathbf{a_n(t+h)}\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}\mathbf{a_1(t)}\\\vdots\\\mathbf{a_n(t)}\end{pmatrix}}{h}\\
&=\begin{pmatrix}\lim\limits_{h\to0}\dfrac{a_1(t+h)-a_1(t)}{h}\\\vdots\\\lim\limits_{h\to0}\dfrac{a_n(t+h)-a_n(t)}{h}\end{pmatrix}
\end{align}</math>
最後の等式は、極限の場合に示したことから成り立ちます。
微積分学の基本定理から、ベクトルの成分に対しても積分を適用することができます。
言い換えると:ベクトル値関数の極限は各成分の極限、ベクトル値関数の微分は各成分の微分、ベクトル値関数の積分は各成分の積分。
==速度・加速度・曲率、及び従法線==
原点を出発するベクトル値関数が、独立変数の変化とともに軌跡を描いていく様子を考えてみましょう。
このベクトル <math>\mathbf{r}(t)</math> は、'''位置ベクトル'''としてよく知られているものです。
<math>\mathbf{r}</math> が位置を、 t が時間を表しているとすると、物理学的には:
:<math>\mathbf{r}(t+h)-\mathbf{r}(t)</math> は変位ベクトル
:<math>\mathbf{r}'(t)=\mathbf{v}(t)</math> は速度ベクトル
:<math>|\mathbf{v}(t)|</math> は速さ
:<math>\mathbf{r}''(t)=\mathbf{v}'(t)=\mathbf{a}(t)</math> は加速度ベクトル
となります。これ以外に時々用いられるものに、曲率ベクトルがあります。
曲率ベクトルを求めるため、'''単位接ベクトル'''と呼ばれる次のようなベクトルを定義しましょう。 <math>\mathbf{T}(t)</math>
:<math>\mathbf{T}(t)=\frac{\mathbf{v}(t)}{|\mathbf{v}(t)|}</math> または略記して <math>\mathbf{\hat v}</math>
<math>\mathbf{N}=\frac{\mathbf{T}'(t)}{|\mathbf{v}(t)|}</math> は、これに対する法線ベクトルとなります。このことは内積の計算からわかります。実際、
<math>|\mathbf{v}(t)|=\frac{ds}{dt}</math>
と
<math>\mathbf{T}(t)=\frac{\mathbf{v}}{|\mathbf{v}|}=\frac{\frac{d\mathbf{r}}{dt}}{\frac{ds}{dt}}=\frac{d\mathbf{r}}{ds}</math>
と
<math>\mathbf{N}=\frac{\mathbf{T}'(t)}{|\mathbf{v}(t)|}=\frac{\frac{dT}{dt}}{\frac{ds}{dt}}=\frac{d\mathbf{T}}{ds}</math>
に注意すると、
('''※訳注''':''s'' は、ベクトル <math>\mathbf{r}</math> に対して <math>\left | \frac{\mathbf{r}(s)}{s}\right \vert \equiv 1</math> となるようなパラメータ(弧長パラメータ)です。このようなパラメータがつねにとれることは保証されています。一般のパラメータ ''t'' から弧長パラメータ ''s'' へ変数変換すると、連鎖律より
:<math>\mathbf{v}(t)=\mathbf{r}'(t)=\frac{d\mathbf{r}(t)}{dt}=\frac{ds}{dt} \frac{d\mathbf{r}(t(s))}{ds}</math>
:<math>\left | \frac{d\mathbf{r}(t)}{dt} \right \vert =\left | \frac{d\mathbf{r}(t(s))}{ds} \right \vert \left | \frac{ds}{dt} \right \vert =\left | \frac{ds}{dt}\right \vert </math>
等の等式が成り立ちます。なお、 ''t'' と ''s'' を同じ向きにとっておけば、最後の絶対値記号を外すことができます。)
次のように計算できます。:
<math>\frac{d}{ds}(\mathbf{T}\cdot\mathbf{T})=\frac{d}{ds}(1)=0</math>
<math>\frac{dT}{ds}\cdot\mathbf{T}+\mathbf{T}\cdot\frac{d\mathbf{T}}{ds}=0</math> (ライプニッツ則を使った)
<math>2\mathbf{T}\cdot\frac{d\mathbf{T}}{ds}=0</math>
<math>\mathbf{T}\cdot\frac{d\mathbf{T}}{ds}=0</math>
<math>\mathbf{T}\cdot\mathbf{N}=0</math>
よって、 <math>\mathbf{N}</math> は <math>\mathbf{T}</math> に垂直です。
これを使って、'''単位法線ベクトル''' <math>\frac{\frac{d\mathbf{T}}{ds}}{\left|\frac{d\mathbf{T}}{ds}\right|}</math> というものを考えることができます。分子は法線ベクトル、分母部分の <math>(|\frac{d\mathbf{T}}{ds}|)^{-1}</math> は曲率半径と呼ばれる量です。法線ベクトルは曲線の内側を向いているので、カーブが急になればなるほど、法線ベクトルの絶対値は大きくなり、したがって曲率半径は小さくなります。 土木工学では、カーブのきつさの指標として使われています(例:クローバー型の高速道路)。
これら以外に、 3次元の曲線に対しては従法線ベクトルというものを考えることができます。 <math>\mathbf{T}\times\mathbf{N}=\mathbf{B}</math>
これは曲線に平行な平面を作るのに使われます。
{{DEFAULTSORT:へくとるちかんすう}}
[[category:解析学]]
[[en:Calculus/Vectors]]
dbm67frrwjkjhcb2fzkhbjnrxon424a
スマートフォンの使い方
0
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304146
282490
2026-09-28T20:20:29Z
Tomzo
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text/x-wiki
スマートフォンの使い方の教科書である。
== 目次 ==
=== 初級 ===
[[初期設定]]
[[ボタン操作]]
[[文字入力]]
[[電話をかける|電話]]
[[メールを送る|メール]]
[[連絡先]]
[[写真を撮る]]
[[インターネットを使う|インターネット]]
[[メッセージ交換アプリを使う]]
[[SNSを使う]]
[[スマホに外付けすると便利なもの]]
=== 中級 ===
==== アプリ編 ====
[[デフォルトのアプリを使う]]
[[アプリをダウンロードして使う]]
==== コンテンツ編 ====
[[ストリーミングサービスを使う]]
[[ファイルをダウンロードして使う]]
[[テレビに映す]]
==== お金を使う編 ====
[[課金する]]
[[売買する]]
==== その他 ====
[[クラウドストレージを使う]]
[[データの引き継ぎ]]
=== 上級 ===
==== ファイル操作編 ====
[[ファイル圧縮とは]]
[[拡張子とは]]
[[apkファイル|apkファイル(androidのみ)]]
==== その他 ====
[[隠しコマンド・イースターエッグ|イースターエッグ]]
[[エミュレート|エミュレーション]]
[[root化]]
=== 巻末資料 ===
[[各部名称]]
[[設定変更]]
[[コンピューターウイルス]]
[[違法サイト・違法アプリ]]
[[不具合・壊れた]]
[[人間関係のトラブル]]
[[お金のトラブル]]
{{stub|it}}
{{DEFAULTSORT:すまあとふおん}}
[[カテゴリ:情報技術]]
[[カテゴリ:スマートフォン|*]]
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トーク:拡張子ハンドブック
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Tomzo
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text/x-wiki
== 読み方 ==
拡張子の読み方も記すべきだと思います。 [[利用者:ポプリ|ポプリ]] ([[利用者・トーク:ポプリ|トーク]]) 2021年6月3日 (木) 03:37 (UTC)
== 統合提案 ==
[[拡張子ハンドブック]]に、以下のページを統合。各ページとも記載量が少なく(サブスタブと判断する1200byteをピックアップ)、主題テーマに関して一覧性を欠き、統合後のページが巨大にはならないため。
*[[拡張子ハンドブック/0-9]]
*[[拡張子ハンドブック/B]]
*[[拡張子ハンドブック/E]]
*[[拡張子ハンドブック/F]]
*[[拡張子ハンドブック/G]]
*[[拡張子ハンドブック/H]]
*[[拡張子ハンドブック/I]]
*[[拡張子ハンドブック/J]]
*[[拡張子ハンドブック/K]]
*[[拡張子ハンドブック/L]]
*[[拡張子ハンドブック/N]]
*[[拡張子ハンドブック/Q]]
*[[拡張子ハンドブック/R]]
*[[拡張子ハンドブック/U]]
*[[拡張子ハンドブック/W]]
*[[拡張子ハンドブック/Y]]
*[[拡張子ハンドブック/Z]]
:統合後は、この単位でレベル3の見出しとしたいと考えます(独立ページにはリンクを継続)。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月28日 (月) 21:43 (UTC)
9mt4a0kafvlo1ug6ojqtnbdio6d45mf
会社法第796条の2
0
34522
304177
240244
2026-09-29T02:27:29Z
~2026-48245-29
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/* 条文 */
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wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
(吸収合併等をやめることの請求)
;第796条の2
:次に掲げる場合において、存続株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、存続株式会社等の株主は、存続株式会社等に対し、吸収合併等をやめることを請求することができる。ただし、前条第2項本文に規定する場合([[会社法第795条|第795条]]第2項各号に掲げる場合及び前条第1項ただし書又は第3項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。
:#当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合
:#前条第1項本文に規定する場合において、[[会社法第749条|第749条]]第1項第2号若しくは第3号、[[会社法第758条|第758条]]第4号又は[[会社法第768条|第768条]]第1項第2号若しくは第3号に掲げる事項が存続株式会社等又は消滅会社等の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるとき。
==解説==
:2014年改正にて新設。
==参照条文==
----
{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)|第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転]]<br>
[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)#5|第5章 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転の手続]]<br>
[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)#5-2|第2節 吸収合併等の手続]]
|[[会社法第796条]]<br>(吸収合併契約等の承認を要しない場合等)
|[[会社法第797条]]<br>(反対株主の株式買取請求)
}}
{{stub|law}}
[[category:会社法|796の2]]
[[category:会社法 2014年改正|796の2]]
1e0nt6lh9ds623uwt1kt62vh7r1eqcr
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304177
2026-09-29T08:22:01Z
Tomzo
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304181
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text/x-wiki
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
(吸収合併等をやめることの請求)
;第796条の2
:次に掲げる場合において、存続株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、存続株式会社等の株主は、存続株式会社等に対し、吸収合併等をやめることを請求することができる。ただし、[[会社法第796条|前条第2項本文に規定する場合]]([[会社法第795条|第795条第2項各号に掲げる場合]]及び[[会社法第796条|前条第1項ただし書又は第3項に規定する場合]]を除く。)は、この限りでない。
:#当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合
:#[[会社法第796条|前条第1項本文に規定する場合]]において、[[会社法第749条|第749条第1項第2号若しくは第3号]]、[[会社法第758条|第758条第4号]]又は[[会社法第768条|第768条第1項第2号若しくは第3号]]に掲げる事項が存続株式会社等又は消滅会社等の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるとき。
==解説==
:2014年改正にて新設。
==参照条文==
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{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)|第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転]]<br>
[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)#5|第5章 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転の手続]]<br>
[[第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転 (コンメンタール会社法)#5-2|第2節 吸収合併等の手続]]
|[[会社法第796条]]<br>(吸収合併契約等の承認を要しない場合等)
|[[会社法第797条]]<br>(反対株主の株式買取請求)
}}
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[[category:会社法|796の2]]
[[category:会社法 2014年改正|796の2]]
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高等学校日本史探究/新たな世紀の日本へⅡ
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/* バブルの崩壊 */ 輸出主導・量産指向型産業は海外で売れにくくなった。
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[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。
1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
|経済産業省
|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
{| style="border:2px solid #F3ADCB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
[[ファイル:GDP growth rate in Japan.svg|右|フレームなし|641x641ピクセル|日本の実質経済成長率の推移]]
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。
1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
[[ファイル:Unemployment Rate of Japan 1953-2009.jpg|サムネイル|395x395ピクセル|日本の失業率]]
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
|経済産業省
|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
{| style="border:2px solid #F3ADCB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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/* バブルの崩壊 */ 倒産銀行建物写真を追加。
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[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
★日本の実質経済成長率の推移
[[ファイル:GDP_growth_rate_in_Japan.svg|代替文=日本の実質経済成長率の推移|フレームなし|1178x1178ピクセル]]
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。<gallery mode="nolines" widths="200" heights="200">
ファイル:The Hokkaido Takushoku Bank.JPG|旧北海道拓殖銀行本店
ファイル:Kayabacho Tower, at Shinkawa, Chuo, Tokyo (2019-01-02) 02.jpg|旧山一證券本社
ファイル:日債銀本店.jpg|旧日本債券信用銀行本店
</gallery>1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
[[ファイル:Unemployment Rate of Japan 1953-2009.jpg|サムネイル|395x395ピクセル|日本の失業率]]
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
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|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
{| style="border:2px solid #F3ADCB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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/* バブルの崩壊 */ 旧日本長期信用銀行本店写真も追加。
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text/x-wiki
[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
★日本の実質経済成長率の推移
[[ファイル:GDP_growth_rate_in_Japan.svg|代替文=日本の実質経済成長率の推移|フレームなし|924x924px]]
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。<gallery mode="nolines" widths="200" heights="200">
ファイル:The Hokkaido Takushoku Bank.JPG|旧北海道拓殖銀行本店
ファイル:Kayabacho Tower, at Shinkawa, Chuo, Tokyo (2019-01-02) 02.jpg|旧山一證券本社
ファイル:日債銀本店.jpg|旧日本債券信用銀行本店
ファイル:Shinsei Bank (head office 1).jpg|旧日本長期信用銀行本店
</gallery>1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
[[ファイル:Unemployment Rate of Japan 1953-2009.jpg|サムネイル|395x395ピクセル|日本の失業率]]
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
|経済産業省
|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
{| style="border:2px solid #F3ADCB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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304178
304143
2026-09-29T03:15:37Z
Kwawe
68789
/* バブルの崩壊 */ アジア通貨危機の原因について叙述。
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wikitext
text/x-wiki
[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
★日本の実質経済成長率の推移
[[ファイル:GDP_growth_rate_in_Japan.svg|代替文=日本の実質経済成長率の推移|フレームなし|924x924px]]
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。<gallery mode="nolines" widths="200" heights="200">
ファイル:The Hokkaido Takushoku Bank.JPG|旧北海道拓殖銀行本店
ファイル:Kayabacho Tower, at Shinkawa, Chuo, Tokyo (2019-01-02) 02.jpg|旧山一證券本社
ファイル:日債銀本店.jpg|旧日本債券信用銀行本店
ファイル:Shinsei Bank (head office 1).jpg|旧日本長期信用銀行本店
</gallery>1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
[[ファイル:Unemployment Rate of Japan 1953-2009.jpg|サムネイル|395x395ピクセル|日本の失業率]]
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
国内長期不況で苦しむ中、アジア諸国の経済は大成長しました。しかし短期海外資金の依存・金融機関の過剰な借入れ・企業の過剰な借入れ・金融制度の弱さ・投機資金の流入などから海外投資家が危機感を示して一斉に海外資金を回収・売却・国外移動を行いました。1997年、タイの通貨バーツの価値が大きく下がりました。海外投資家は東アジア・東南アジアから次々と海外資金を回収・売却・国外移動を行いました(アジア通貨危機)。その結果、東アジア・東南アジア諸国の金融と経済は大きな爪痕を残しました。債務問題は韓国などで大きくなり、国際通貨基金(IMF)の支援を受けました。アジア通貨危機は日本経済と日本の金融機関にも大きな爪痕を残して、不良債権問題をさらに悪化させました。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
|経済産業省
|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
{| style="border:2px solid #F3ADCB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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2026-09-29T03:16:24Z
Kwawe
68789
/* バブルの崩壊 */
304179
wikitext
text/x-wiki
[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
★日本の実質経済成長率の推移
[[ファイル:GDP_growth_rate_in_Japan.svg|代替文=日本の実質経済成長率の推移|フレームなし|924x924px]]
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。<gallery mode="nolines" widths="200" heights="200">
ファイル:The Hokkaido Takushoku Bank.JPG|旧北海道拓殖銀行本店
ファイル:Kayabacho Tower, at Shinkawa, Chuo, Tokyo (2019-01-02) 02.jpg|旧山一證券本社
ファイル:日債銀本店.jpg|旧日本債券信用銀行本店
ファイル:Shinsei Bank (head office 1).jpg|旧日本長期信用銀行本店
</gallery>1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
[[ファイル:Unemployment Rate of Japan 1953-2009.jpg|サムネイル|395x395ピクセル|日本の失業率]]
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
国内長期不況で苦しむ中、アジア諸国の経済は大成長しました。しかし短期海外資金の依存・金融機関の過剰な借入れ・企業の過剰な借入れ・金融制度の弱さ・投機資金の流入などから海外投資家が危機感を示して一斉に海外資金を回収・売却・国外移動を行いました。1997年、タイの通貨バーツの価値が大きく下がりました。海外投資家は東アジア・東南アジアから次々と海外資金を回収・売却・国外移動を行いました(アジア通貨危機)。その結果、東アジア・東南アジア諸国の金融と経済は大きな爪痕を残しました。債務問題は韓国などで大きくなり、国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)の支援を受けました。アジア通貨危機は日本経済と日本の金融機関にも大きな爪痕を残して、不良債権問題をさらに悪化させました。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
|経済産業省
|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
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! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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Kwawe
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/* バブルの崩壊 */ 地図を追加。
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wikitext
text/x-wiki
[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
★日本の実質経済成長率の推移
[[ファイル:GDP_growth_rate_in_Japan.svg|代替文=日本の実質経済成長率の推移|フレームなし|924x924px]]
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。<gallery mode="nolines" widths="200" heights="200">
ファイル:The Hokkaido Takushoku Bank.JPG|旧北海道拓殖銀行本店
ファイル:Kayabacho Tower, at Shinkawa, Chuo, Tokyo (2019-01-02) 02.jpg|旧山一證券本社
ファイル:日債銀本店.jpg|旧日本債券信用銀行本店
ファイル:Shinsei Bank (head office 1).jpg|旧日本長期信用銀行本店
</gallery>1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
[[ファイル:Unemployment Rate of Japan 1953-2009.jpg|サムネイル|395x395ピクセル|日本の失業率]]
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
[[ファイル:Asian Financial Crisis EN-2009-05-05.png|サムネイル|364x364ピクセル|アジア通貨危機の影響国]]
国内長期不況で苦しむ中、アジア諸国の経済は大成長しました。しかし短期海外資金の依存・金融機関の過剰な借入れ・企業の過剰な借入れ・金融制度の弱さ・投機資金の流入などから海外投資家が危機感を示して一斉に海外資金を回収・売却・国外移動を行いました。1997年、タイの通貨バーツの価値が大きく下がりました。海外投資家は東アジア・東南アジアから次々と海外資金を回収・売却・国外移動を行いました(アジア通貨危機)。その結果、東アジア・東南アジア諸国の金融と経済は大きな爪痕を残しました。債務問題は韓国などで大きくなり、国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)の支援を受けました。アジア通貨危機は日本経済と日本の金融機関にも大きな爪痕を残して、不良債権問題をさらに悪化させました。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
|経済産業省
|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
{| style="border:2px solid #F3ADCB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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/* バブルの崩壊 */ 失われた10年などについて叙述。
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[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅡ
引き続き「新たな世紀の日本へ」の内容を解説します。第2回目では、政界再編から小渕恵三内閣までの国内政治を見ていきます。
== 政界再編と55年体制の終結 ==
※55年体制の崩壊で、国内政治はどのように変わりましたか。
{| style="border:2px solid #80A491;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#80A491" |村山談話
1995年8月15日「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」を現代語に翻訳
|-
| style="padding:5px" |
|}
== バブルの崩壊 ==
プラザ合意後、大量のお金が土地購入・株式購入のために使われ、土地の値段・株価[資産価格]が次第に上がりました(資産インフレ)。1989(平成元)年、日本銀行は銀行へお金をあまり貸さなくなり、政府も土地の値段を上げすぎないようにしました(金融引き締め政策)。1990年代に入ってから、土地の値段・株価は下がり始めました。日経平均株価は、1989年12月末に3万8915円まで上がりました。しかし、その後は株式売却が増えて株価もいきなり下がり、1992年8月に1万4309円まで下がりました。土地の値段も1991年頃から下がり始め、1992年以後は日本各地で下がりました。2000年代半ばになると、大阪の一部商業地は一番高い時期の値段から約10分の1まで下がりました。こうして土地や株式の大幅な値上がりは終わり、1980年代後半のバブル経済は終わりました。
★日本の実質経済成長率の推移
[[ファイル:GDP_growth_rate_in_Japan.svg|代替文=日本の実質経済成長率の推移|フレームなし|924x924px]]
日本の景気は1991年から悪くなりました('''平成不況''')。実質経済成長率は1992年に1.3%、1993年に1%未満まで下がりました。1992年を3か月ずつに分けて見ると、4~6月は-3.3%となり、前の3か月より国内経済が小さくなりました。7~9月と10~12月もそれぞれ-0.1%となりました。第1次石油危機後に2期連続の経済縮小時期はあっても、3期連続の経済縮小は戦後初めてでした。僅かな景気回復時期も平成不況の途中にありました。しかしすぐに経済縮小となり、平成不況が長年続きました。
バブル経済当時の国民は金融機関からお金を借りて、株価と地価をより高い価格で買いました。金融機関は不動産会社にもお金を貸しました。バブル崩壊後、株価と地価が大きく下がりました。国民は株と土地を全て売っても借金を返せなくなりました。国民の借金も金融機関へ返ってこなくなりました(不良債権)。金融機関は株と土地を債権として持っており、不良債権から金融機関も大赤字になりました。
金融機関は不良債権処理にずっと追われて、さらに苦しくなりました。その結果、金融機関は不良債権の心配からお金を貸さなくなりました。企業は金融機関からお金を借りにくくなりました。国民も「この金融機関は大丈夫か」と不安を感じるようになり、金融機関はさらに苦しくなりました。その後、企業は新しい商品を作れなくなり、新しい工場を建てられなくなり、新しい機械も買えなくなりました。地価の下落・株価の下落・不良債権の増加・金融機関の経営悪化・金融機関の融資停止が全て重なって景気も次第に悪くなりました('''複合不況''')。
当時の政府と日本銀行はこれまでの不況と同じように、財政支出の拡大・低金利政策から数年で景気も回復するかもと思っていました。この誤対策は複合不況に一切効果ありません。住宅金融専門会社は1995年頃から相次いでつぶれました。1997年、北海道拓殖銀行と山一証券がつぶれました。1998年、日本債券信用銀行と日本長期信用銀行がつぶれました。このように大手金融機関がつぶれると、国民も他の金融機関も危ないのではないかと不安になりました。政府は金融システムまで止まらないように、倒産寸前の大手金融機関などに大量の公的資金を入れました。<gallery mode="nolines" widths="200" heights="200">
ファイル:The Hokkaido Takushoku Bank.JPG|旧北海道拓殖銀行本店
ファイル:Kayabacho Tower, at Shinkawa, Chuo, Tokyo (2019-01-02) 02.jpg|旧山一證券本社
ファイル:日債銀本店.jpg|旧日本債券信用銀行本店
ファイル:Shinsei Bank (head office 1).jpg|旧日本長期信用銀行本店
</gallery>1998年、小渕恵三が内閣総理大臣になりました。小渕恵三内閣も大型予算から景気を回復させしようとしました。小渕内閣が公共投資を増やして国民のお金を回そうとしても複合不況に一切効果ありません。こうして、公債発行残高は増えました。物価は1990年代後半からずっと下がり続けました(デフレスパイラル)。
[[ファイル:Unemployment Rate of Japan 1953-2009.jpg|サムネイル|395x395ピクセル|日本の失業率]]
企業は赤字なので、生き残るために経営の効率化[事業整理・人員削減・雇用調整・海外進出など]を進めました(リストラクチャリング)。中小企業の倒産も増えて、中高年労働者の解雇・中高年労働者の早期退職・新卒採用の削減から企業の人件費を大幅に減らしました。バブル景気の時期は労働者不足から「売り手市場」でも、バブル崩壊後から「買い手市場」へ変わりました。1990年代半ばから2000年代前半、企業は新卒採用を大幅に減らしました(就職氷河期)。1998年の完全失業率は4%を超え、2001年の完全失業率で5%になりました。
失業者が増えると労働者も「自分も仕事を失うかもしれない」と不安になり、個人消費を減らしました。消費者は同じような商品なら出来るだけ安い商品を選ぶようになり、ブランド品・高級品を買ってくれなくなりました。商品が売れなくなると、会社も少量生産・既存工場・既存機械だけで行うようになりました。その結果、会社の利益がさらに減って、人員削減・採用縮小もさらに進みました。株価と地価の下落から不良債権が増えて、金融機関の経営も苦しくなり、企業へお金を貸せなくなりました。
円高も国際分業も進みました。1994年、1ドルが100円を割り込みました。輸出主導・量産指向型産業[自動車・電子・家電・事務機器など]は海外で売れにくくなりました。また、バブル崩壊後の不景気から国内の購入者も減りました。生産費用を少しでも減らすため、労働者の給料が日本より低いアジア諸国[中国など]へ工場を移すようになりました[国内工場の閉鎖・国内工場の海外移転]。その結果、地元企業・周辺店舗の売り上げを減らし、失業者を増やしました(地域産業の空洞化)。
[[ファイル:Asian Financial Crisis EN-2009-05-05.png|サムネイル|273x273px|アジア通貨危機の影響国]]
国内長期不況で苦しむ中、アジア諸国の経済は大成長しました。しかし短期海外資金の依存・金融機関の過剰な借入れ・企業の過剰な借入れ・金融制度の弱さ・投機資金の流入などから海外投資家が危機感を示して一斉に海外資金を回収・売却・国外移動を行いました。1997年、タイの通貨バーツの価値が大きく下がりました。海外投資家は東アジア・東南アジアから次々と海外資金を回収・売却・国外移動を行いました(アジア通貨危機)。その結果、東アジア・東南アジア諸国の金融と経済は大きな爪痕を残しました。債務問題は韓国などで大きくなり、国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)の支援を受けました。アジア通貨危機は日本経済と日本の金融機関にも大きな爪痕を残して、不良債権問題をさらに悪化させました。
バブル経済崩壊後の平成不況はずっと続きました。景気は2002年初期に少しだけ上向きました。しかし、政府が公共事業中心の従来型景気対策を抑えながら不良債権処理と規制改革を進めました。その結果、企業は引き続き大規模なリストラと雇用調整を行いました。当初、バブル崩壊後の長期停滞は「失われた10年」とよばれました。その後も日本経済の停滞が強く、「失われた20年」「失われた30年」とよばれました。
== 行政改革と日米安保の変化 ==
★省庁再編
{| class="wikitable"
!再編前
!再編後
!再編前
!再編後
|-
|内閣官房
|内閣官房
|大蔵省
|財務省
|-
| rowspan="2" |総理府
金融再生委員会
経済企画庁
沖縄開発庁
| rowspan="2" |内閣府
|科学技術庁
文部省
|文部科学省
|-
|厚生省
労働省
|厚生労働省
|-
|国家公安委員会
|国家公安委員会
|農林水産省
|農林水産省
|-
|防衛庁
|防衛庁(省)
|通商産業省
|経済産業省
|-
|総務庁
郵政省
自治省
|総務省
| rowspan="2" |北海道開発庁
国土庁
建設省
運輸省
| rowspan="2" |国土交通省
|-
|法務省
|法務省
|-
|外務省
|外務省
|環境庁
|環境省
|}
{| style="border:2px solid #F3ADCB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F3ADCB" |'''アイヌ民族の戦後'''
|-
| style="padding:5px" |
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
[[カテゴリ:高等学校日本史探究|あらたなせいきのにほんへ]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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解析学基礎/ベクトル解析
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2026-09-29T00:11:01Z
~2026-51282-49
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/* 曲面 */
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wikitext
text/x-wiki
{{Pathnav|数学|解析学|解析学基礎|frame=1}}
{{wikipedia|ベクトル解析}}
ここでは、ベクトル解析について解説する。[[物理数学I ベクトル解析]]も参照。
==前提知識==
ここでは、実数のみで考える。
===ベクトル===
[[高等学校数学C/ベクトル]]、[[線型代数学/ベクトル]]、[[解析学基礎/ベクトル]]などを参照。本項では、矢印を付した表記(<math>\vec{a}</math>など)と太字斜体による表記(<math>\boldsymbol{x}</math>など)を混用する。
===行列===
[[高等学校数学C/数学的な表現の工夫]]及び[[線形代数学]]・[[線型代数学続論]]の各ページを参照。本項では大文字の太字立体(<math>\mathbf{A}</math>など)で表記する。
===多変数解析===
[[解析学基礎/多変数関数の微積分]]を参照。
===領域===
<math>D\subset\mathbb{R}^n</math>と点<math>\boldsymbol{a}\in D</math>(位置ベクトル表記なので太文字斜体)に対し、集合<math>B_\varepsilon(\boldsymbol{a}) := \{ \boldsymbol{x} \in D \mid \| \boldsymbol{x} - \boldsymbol{a} \|<\varepsilon \}</math>を点<math>\boldsymbol{a}</math>の'''<math>\varepsilon</math>-開球'''という。不等号を<math>\leqq</math>に変えたときは開区間↔閉区間と同様に'''閉球'''と呼ぶ。このとき、<math>D</math>のように<math>\mathbb{R}^n</math>の部分集合であって<math>\varepsilon</math>-開球を含むものを点<math>\boldsymbol{a}</math>の'''<math>\varepsilon</math>-開近傍'''と呼ぶ。閉球を含むときは同様に'''閉近傍'''と呼ぶ。
<math>\forall \boldsymbol{a} \in U, \exist \varepsilon>0, B_\varepsilon(\boldsymbol{a})\subset U</math>を満たす<math>U\subset\mathbb{R}^n</math>を'''開集合'''と呼び、<math>V=\mathbb{R}^n\setminus U</math>を'''閉集合'''と呼ぶ。
注意点として、開集合と閉集合は排反ではない。則ち「開集合且つ閉集合」である集合が存在し(例えば<math>\mathbb{R}, \varnothing</math>)、「開集合でも閉集合でもない」集合も存在する(例えば<math>[0, 1)</math>)。
<math>M\subset\mathbb{R}^n</math>を含む最小の閉集合を<math>M</math>の'''閉包'''と呼び、<math>M^-, \bar{M}, \mathrm{Cl}(M)</math>などと表す。例えば有理数の稠密性より<math>\mathbb{Q}^-=\mathbb{R}</math>である。
閉包の性質として「閉包=集合の内部と境界の和集合(<math>M^- = \mathrm{Int}(M) \cup \partial{M}</math>)」がある。
集合<math>S\subset\mathbb{R}^n</math>に対して以下を満たす<math>\mathbb{R}^n</math>上開集合の組<math>(G_1, G_2)</math>が'''とれない'''とき、
#<math>G_1 \cap S = \varnothing \land G_2 \cap S = \varnothing</math>
#<math>S = (G_1 \cap S) \sqcup (G_2 \cap S)</math>
「<math>S</math>は'''連結'''である」または「<math>S</math>は'''連結集合'''」という(但し、<math>\sqcup</math>は[[w:非交和|非交和]])。
空でない開連結集合を'''領域'''という。
実は、高校数学や1年次の解析学で扱ってきた「領域」はこの定義を満たしていないことが多かった。これは、「領域」の歴史的な用法では「条件の解集合」という意味であって開性や連結性を要求しなかったためである。しかし、本項を含めた以降に登場する数学ではこの定義を満たしていることが前提条件となる。なお、ややこしいことに「積分領域」は従来通り「その上で積分を行う集合」という緩い意味で使われることが多いので、区別が必要である。
===右手系===
三次元空間の正規直交基底を<math>(\boldsymbol{e}_1, \boldsymbol{e}_2, \boldsymbol{e}_3)</math>と置く。螺子を<math>\boldsymbol{e}_1\to\boldsymbol{e}_2</math>の向きに回すと<math>\boldsymbol{e}_3</math>の正方向に進むように3つの軸をとった系を'''右手系'''という。負方向に進むようにとったものを'''左手系'''という。数学・物理に限らず理数系の約束事として、'''三次元空間は必ず右手系で考える'''という暗黙の了解が存在するので覚えておこう。
右手系・左手系は基底の一部または全ての符号を反転することで変換することができる。一つだけを反転する場合は'''鏡像変換'''、二つだけを反転する場合は'''半回転'''、全てを反転する場合は'''空間反転'''と呼ぶ。
外積の結果として得るベクトルは右手系・左手系のどちらを考えるかで向きが変わる。このように、右手系↔左手系の変換で向きが変わるベクトルを'''軸性ベクトル'''という。
系の取り方で向きが変わるということは基底の係数である'''成分は不変量'''である。つまり、観測者の動きにベクトルが追従し、このベクトルは「物理的な実体を有しているのではなく計算の都合上向きが定められた便宜的な(=観測者が勝手に決めた)ベクトル」ということである。そのため、軸性ベクトルは'''擬ベクトル'''(シュードベクトル)とも呼ばれる。
位置や速度、加速度のような右手系・左手系のどちらを考えても同じ向きを向くベクトルを'''極性ベクトル'''という。座標系を取り換えても向きが維持されるため'''成分は座標変換に応じて変化する'''。これは、「観測の仕方によって起こる現象は変わらない」ということである。つまり擬ベクトルに対し、極性ベクトルは'''物理的実体を有するベクトル'''である。
偶奇と同じように軸性・極性にも外積を通じた相互関係が存在する。
:(軸性)×(軸性)=(軸性)
:(軸性)×(極性)=(極性)
:(極性)×(極性)=(軸性)
==基礎事項==
===ベクトル関数===
関数<math>\boldsymbol{f} (x) = \sum_{i} f_i(x) \boldsymbol{e}_i</math>を'''ベクトル(値)関数'''(vector-valued function, vector function)という。
ただし、各<math>\boldsymbol{e}_i</math>は各座標軸方向の単位ベクトルであり、<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の定義域は各<math>f_i(x)</math>の定義域の積集合である。
ベクトルの演算が成分ごとの演算結果を並べたベクトルで定義されたように、ベクトル関数の演算は(結果となる値が存在するならば)各成分の演算結果を並べたベクトルに等しい。これはベクトルの線型性による。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \cos x \\ \sin x \end{pmatrix}</math>の<math>x\to0</math>の極限は、
:<math>\lim_{x\to0} \boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \lim_{x\to0} \cos x \\ \lim_{x\to0} \sin x \end{pmatrix}</math> (<math>\because</math>線型性)
:<math>=\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>=\boldsymbol{e}_x</math>
と求まる。
このとき、<math>\boldsymbol{e}_x</math>を<math>\begin{pmatrix} \cos x \\ \sin x \end{pmatrix}</math>の<math>x\to0</math>に於ける'''極限ベクトル'''という。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>x=\alpha</math>で連続であるとは<math>\lim_{x\to\alpha}\boldsymbol{f}(x)=\boldsymbol{f}(\alpha)</math>が成立することであり、区間<math>I</math>で連続であるとは<math>\forall \alpha \in I</math>で連続であることである。
また、ベクトル関数の導関数<math>\boldsymbol{f}'(x)</math>は
:<math>\frac{d}{dx} \boldsymbol{f} (x) = \frac{d}{dx} \left( \sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i \right)</math>
:<math>= \sum_i \left( \frac{d}{dx} f_i (x) \boldsymbol{e}_i \right)</math>(<math>\because</math>線型性)
:<math>= \begin{pmatrix} f'_1(x) \\ f'_2(x) \\ \vdots \\ f'_i(x) \\ \vdots \end{pmatrix}</math>
である。
この結果は、ベクトル関数に於ける導関数の正式な定義 <math>\lim_{h\to0} \frac{\boldsymbol{f}(x+h) - \boldsymbol{f}(x)}{h}</math>からも導かれる。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>x=\alpha</math>で微分可能であるとは極限値<math>\boldsymbol{f}'(\alpha)=\lim_{x\to\alpha}\frac{\boldsymbol{f}(x)-\boldsymbol{f}(\alpha)}{x-\alpha}</math>が存在することであり、区間<math>I</math>で微分可能であるとは<math>\forall \alpha \in I</math>で微分可能であることである。
高階導関数・高階微分可能も同様にして定義される。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が区間<math>I</math>で連続ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^0</math>級であるといい、<math>\boldsymbol{f}\in C^0(I)</math>と書く。<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>I</math>で微分可能で<math>\boldsymbol{f}'(x)\in C^0(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^1</math>級である(一階連続微分可能)といい、<math>\boldsymbol{f}\in C^1(I)</math>と書く。<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>I</math>で二階微分可能で<math>\boldsymbol{f}'\in C^1(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^2</math>級である(二階連続微分可能)といい、<math>\boldsymbol{f}\in C^2(I)</math>と書く。同様にして順々に<math>C^k</math>級が定義され、<math>\forall k \in \mathbb{N}, \boldsymbol{f}\in C^k(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>で<math>C^\infty</math>級(無限階連続微分可能)であるといい、<math>\boldsymbol{f}\in C^\infty(I)</math>と書く。<math>C^\infty</math>級である関数を'''滑らかな'''関数ともいう。
高校数学や高校物理で扱った平面(<math>\mathbb{R}^2</math>)上の運動は、実は2項ベクトル関数の理論に他ならない。
例えば、平面上の運動に於ける加速度・速度・変位の関係は<math>\boldsymbol{x}(t)= \begin{pmatrix} f(t) \\ g(t) \end{pmatrix}</math>として<math>\boldsymbol{a}(t) = \frac{d}{dt}\boldsymbol{v}(t) = \frac{d^2}{dt^2} \boldsymbol{x}(t)</math>と表すことができる。
曲線の媒介変数表示は、パラメータを変数とするベクトル関数とみることができる。
例えば、円の媒介変数表示<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \end{cases}</math>は、<math>\boldsymbol{r}(\theta) = r\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix}</math>という2次元ベクトル関数とみることができる。更に<math>\theta=\omega t</math>とすると、これは等速円運動の式である。
1変数ベクトル関数の微分に関して、以下の公式が成り立つ。
#定数倍の導関数:<math>\{k\boldsymbol{a}(x)\}'=k\boldsymbol{a}'(x)</math>
#和・差の導関数:<math>\{ \boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x) \}' = \boldsymbol{a}'(x)\pm\boldsymbol{b}'(x)</math>
#積の導関数:<math>\{ f(x)\boldsymbol{a}(x) \}' = f'(x)\boldsymbol{a}(x)+f(x)\boldsymbol{a}'(x)</math>
#商の導関数:<math>\left\{ \frac{\boldsymbol{a}(x)}{f(x)} \right\}' = \frac{f(x)\boldsymbol{a}'(x)-f'(x)\boldsymbol{a}(x)}{\{f(x)\}^2} \quad (f(x)\neq0)</math>
#内積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x)</math>
#外積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x)</math>
#スカラー三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math>
#ベクトル三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math>
#連鎖律(チェイン・ルール):<math>[\boldsymbol{a}\{f(x)\}]'=\boldsymbol{a}'\{f(x)\}f'(x)</math>
ベクトル関数の'''ノルム'''(大きさ、長さ)は、通常のベクトルと同様に
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)} = \sqrt{\sum_{i} \{f_i (x)\}^2}</math>
で与えられる。
つまり、ノルムは元のベクトル関数と同一変数のスカラー関数である。
ここで、このスカラー関数が定数関数である条件に就て見てみよう。
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= c \quad (c\in\mathbb{R}_{>0})</math>の両辺を2乗して
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2 = \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x) = c^2</math>
:両辺微分すると内積の微分より
:<math>\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math>
:<math>\therefore \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math>
:逆に、
:<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0 \iff 2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=0</math>
:<math>\int \{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'dx= \int 0 dx</math>
:<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)=C_1</math>(<math>C_1\geq0</math>は積分定数)
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2=C_1</math>より
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{C_1} = \mathrm{const}.</math>
よって、以下が成り立つ。
{{定理|(直交条件の定理)}}
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= \mathrm{const}. \iff \boldsymbol{f}(x) \cdot \boldsymbol{f}'(x) = 0</math>
{{定理終わり}}
これは、物理的には「位置ベクトルと速度ベクトルが直交する」ことを表す。則ち、<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の終点が始点を中心とする円運動(球面運動)をするということである。
また、ベクトル関数が変数に依らず常に同一方向を向く条件も見てみよう(但し<math>\boldsymbol{f}(x)\neq\boldsymbol{0}</math>)。
:所与の条件は零ベクトルでない定ベクトル<math>\boldsymbol{c}</math>を用いて<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x)\boldsymbol{c}</math>と表される。
:両辺微分して<math>\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}=f'(x)\boldsymbol{c}</math>
:ここで元のベクトル関数との外積をとると
:<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}\times\{f'(x)\boldsymbol{c}\}=f(x)f'(x) (\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{c})=f(x)f'(x)\boldsymbol{0}=\boldsymbol{0}</math>
:逆に、
:<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{0}</math>とすると一次従属なので
:<math>\boldsymbol{f}'(x)=g(x)\boldsymbol{f}(x)</math>という微分方程式が成り立つ。
:各成分ごとに微分方程式を解くと、
::これは変数分離型微分方程式なので第i成分は
::<math>\frac{df_i}{dx}=g(x)f_i(x)</math>
::<math>\int \frac{df_i}{f_i(x)}=\int g(x)dx</math>
::<math>G'(x)=g(x), C_i</math>を積分定数として<math>\log|f_i(x)|=G(x)+C_i</math>
::<math>C_i=\pm e^{C_i}</math>と改めておくと<math>f_i(x)=C_i e^{G(x)}</math>
:よって
:<math>\boldsymbol{f}(x)=\sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i = \sum_i C_i e^{G(x)} \boldsymbol{e}_i = e^{G(x)} \sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math>
:ここで<math>f(x)=e^{G(x)}, \boldsymbol{c}=\sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math>と置くと
:<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x) \boldsymbol{c}</math>となり、方向は変数に依らず一定であることが判る//
よって、以下が成り立つ。
{{定理|(平行条件の定理)}}
<math>\boldsymbol{c},\boldsymbol{f}(x)\neq\boldsymbol{0}</math>として
:<math>\boldsymbol{f}(x)=f(x)\boldsymbol{c} \iff \boldsymbol{f}(x) \times \boldsymbol{f}'(x) = \boldsymbol{0}</math>
{{定理終わり}}
ベクトル解析では三次元空間の場合を考えることが多いため上では外積を用いて証明したが、外積は3項ベクトル(または7項ベクトル)にしか定義されないのであった。
一般次元では外積に代わって次の関係式を用いる。
:<math>|\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)|=\|\boldsymbol{f}(x)\|\|\boldsymbol{f}'(x)\|</math>
これはCS不等式の等号成立の場合である。
実際、<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\|\boldsymbol{f}(x)\|\|\boldsymbol{f}'(x)\|\cos\{\theta(x)\}</math>より等号成立の必要十分条件は
:<math>\cos\{\theta(x)\}=\pm1\iff\theta(x) \equiv 0 \,(\mathrm{mod}\pi)</math>
であり、2ベクトル<math>\boldsymbol{f}(x), \boldsymbol{f}'(x)</math>は平行とわかる。<br/>
平行ということは一次従属ということなので先程のように変数分離形微分方程式を解くことで3次元と同じ結果を得る。//
補足として、力学への応用を考える。
:速さの二乗<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|^2</math>を時間微分すると
:<math>\frac{d}{dt}\|\boldsymbol{v}(t)\|^2=\frac{d}{dt}(\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{v}(t))=\frac{d\boldsymbol{v}(t)}{dt}\cdot\boldsymbol{v}(t)+\boldsymbol{v}(t)\cdot\frac{d\boldsymbol{v}(t)}{dt}=2(\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{a}(t))</math>
:よって等速運動の条件<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|=\mathrm{const}.</math>は直交条件の定理から<math>\boldsymbol{v}(t)\perp\boldsymbol{a}(t)</math>に同値である。
:これを力学的に解釈すると、「加速度ベクトルは速度ベクトル方向に仕事をしないから速度ベクトルの大きさを変えずに向きだけを変える」となる。
:平面上で等速円運動を考えると円運動条件から<math>\boldsymbol{r}(t)\perp\boldsymbol{v}(t)</math>、等速条件から<math>\boldsymbol{v}(t)\perp\boldsymbol{a}(t)</math>なので<math>\boldsymbol{r}(t) /\!/ \boldsymbol{a}(t)</math>が出てくる。
:円運動条件<math>\|\boldsymbol{r}(t)\|^2=r^2</math>を一階微分すると
::<math>2\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{r}'(t)=0</math>
:もう一度微分して
::<math>2(\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{r}''(t)+\boldsymbol{r}'(t)\cdot\boldsymbol{r}'(t))=0</math>
:則ち
::<math>\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{a}(t)+\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{v}(t)=0</math>
:位置ベクトルと加速度ベクトルが一次従属なので<math>\boldsymbol{a}(t)=\lambda\boldsymbol{r}(t)</math>であり、等速条件より<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|=v</math>なので
::<math>\lambda r^2 + v^2 = 0</math>
::<math>\therefore \lambda = -\frac{v^2}{r^2}<0</math>
:則ち<math>\boldsymbol{r}(t)</math>と<math>\boldsymbol{a}(t)</math>は逆向きであり、円運動の中心は<math>\boldsymbol{r}(t)</math>の始点なので<math>\boldsymbol{a}(t)</math>は常に円運動の中心を向く'''向心加速度'''であることが証明された。//
なお、3次元以上では「<math>\boldsymbol{a}\perp\boldsymbol{b}\land\boldsymbol{b}\perp\boldsymbol{c}\implies\boldsymbol{a}/\!/\boldsymbol{c}</math>」が一般には成り立たないのでこの議論を成立させるには追加の条件が必要である。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の不定積分は、各<math>f_i(x)</math>の原始関数を並べたベクトルを<math>\boldsymbol{F}(x)</math>として
:<math>\int \boldsymbol{f}(x) dx = \boldsymbol{F}(x)+\boldsymbol{C}</math>(<math>\boldsymbol{C}</math>は各積分定数を並べたベクトル)
と表される。
また、定積分は
:<math>\int^b_a \boldsymbol{f}(x) dx=\boldsymbol{F}(b)-\boldsymbol{F}(a)</math>
と表される。
1変数ベクトル関数の積分について、以下が成り立つ(不定積分表記だが定積分に就ても同様)。
#定数倍の原始関数:<math>\int \{k\boldsymbol{a}(x)\} dx = k\int\boldsymbol{a}(x)dx</math>
#和・差の原始関数:<math>\int \{\boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x)\}dx=\int\boldsymbol{a}(x)dx\pm\int\boldsymbol{b}(x)dx</math>
#内積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \cdot \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math>
#外積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\times\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \times \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math>
#スカラー倍の部分積分:<math>\int f(x)\boldsymbol{a}'(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f'(x)\boldsymbol{a}(x) dx \iff \int f'(x)\boldsymbol{a}(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f(x)\boldsymbol{a}'(x) dx</math>
#内積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}dx</math>
#外積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}dx</math>
#置換積分:<math>u=f(x)</math>として<math>\int \boldsymbol{a}'\{f(x)\}f'(x) dx = \int \boldsymbol{a}(u)du</math>
平行条件の定理の証明でベクトル関数の微分方程式を解いたように、成分毎に考えることで解空間ベクトルを求められる。
:1階線型常微分方程式<math>\boldsymbol{f}'(x)+a(x)\boldsymbol{f}(x)=\boldsymbol{b}(x)</math>の解に就て考える。
:第<math>i</math>成分を考えると<math>f'_i(x)+a(x)f_i(x)=b_i(x)</math>という1階線型常微分方程式を得るので、
:両辺に積分因子<math>\mu(x)=\exp\left(\int a(x) dx\right)</math>を掛けることで
:<math>f_i(x)=\frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\}</math>を得る。
:よって一般解は
:<math>\boldsymbol{f}(x) = \sum_i \frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\} \boldsymbol{e}_i=\frac{1}{\mu(x)}\left\{ \int \mu(x) \boldsymbol{b}(x) dx + \boldsymbol{C} \right\}</math>
ベクトル関数は必ずしもここで扱った<math>\boldsymbol{f}: \mathbb{R}\to\mathbb{R}^n</math>のみを指さない。
例えば、ベクトル変数 <math>\boldsymbol{x}= \sum_i g_i (x) \boldsymbol{e}_i</math>に対して
:<math>\boldsymbol{h}(\boldsymbol{x})=\sum_i (h_i \circ g_i) (x) \boldsymbol{e}_i</math>
と定義されるような関数<math>\boldsymbol{h}:\mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^m</math>もベクトル関数である。
また、始域と終域の次元が異なる<math>\boldsymbol{i}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n \, (m, n\neq1)</math>のようなベクトル関数も考えられる。
一般に、始域が<math>\mathbb{R}^n (n\neq1)</math>であっても終域が<math>\mathbb{R}</math>である関数はベクトル関数に対して'''スカラー関数'''(scalar function)と呼ばれる。スカラー関数は入力ベクトルを「変数の組」と見れば通常の多変数関数に一致する。
この節で述べた理論は、多くは一般のベクトル関数に対しても成り立つ。但し、後述のヤコビ行列のような拡張を必要とするものもある。
また、多変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{f}(x_1, x_2,\cdots,x_n)</math>を考えたとき、多変数微積分の理論は一変数微積分と同様にしてベクトル関数にもそのまま拡張される。
===ベクトル場・スカラー場===
写像<math>\boldsymbol{a}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n</math>を'''ベクトル場'''(vector field)という。
実際には<math>m=n</math>の場合を考えることが多い。
写像<math>\varphi: \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}</math>を'''スカラー場'''(scalar field)という。
それぞれ上で述べたベクトル関数・スカラー関数に対応する。
もう少し具体的に述べると、空間の領域<math>V</math>が与えられたときその各点にスカラーまたはベクトルを割り当てたものが場である。要するに、<math>p\in V</math>とすると
:スカラー場:<math>\varphi=\varphi(p)</math>
:ベクトル場:<math>\boldsymbol{a}=\boldsymbol{a}(p)</math>
のように場は「点を入力とする<sup>※</sup>関数」である。
<small>※なお、ベクトル場を図示するときは「出力されたベクトルの'''始点は原点でなく入力された点'''」であることに注意が必要である。出力ベクトルの成分表示は「入力点を基準に据えたときの位置ベクトル」なので原点から目盛を数えることに意味はない。</small>
ここで<math>V</math>に何かしらの座標が設定されていれば、その座標系の変数の組をベクトルと見做すことで場を「通常のスカラー関数・ベクトル関数」として扱えるのである。
則ち、「滑らかな場」という概念は「滑らかな関数」として定義することができる。より具体的に言うと、スカラー場・ベクトル場が'''滑らか'''であるとは対応するスカラー関数・ベクトル関数が<math>C^\infty</math>級であることである。但し、滑らかさは任意の座標変換で保たれるわけではないことに注意が必要である(後述の座標変換テンソル及びその逆行列の全ての成分関数が滑らかである必要がある)。
ここで、二変数関数の極値を思い返してみる。
<math>z=f(x, y)</math>が<math>(a, b)</math>で極大であるとは<math>\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}\neq\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}</math>として
:<math>\exist \delta>0, \forall {\scriptstyle\left(\begin{array}{c} x \\[-6pt] y \end{array}\right)} \in \mathbb{R}^2, {\scriptstyle\left\| \left(\begin{array}{c} x \\[-6pt] y \end{array}\right) - \left(\begin{array}{c} a \\[-6pt] b \end{array}\right) \right\|} < \delta \implies f(x, y) \leq f(a, b)</math>
という定義だった。
<math>z=f(x, y)</math>は曲面を表すが、これを<math>z</math>軸正方向から<math>xy</math>平面に射影するとその陰が<math>(x, y)</math>の動く範囲となるのであった。
ここで<math>\boldsymbol{x}:=\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}, \boldsymbol{\alpha}:=\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}</math>とすると<math>z=f(x, y)</math>はスカラー場<math>z=\phi(\boldsymbol{x})</math>と解釈することができ、更に条件法の前件は<math>\boldsymbol{\alpha}</math>の<math>\delta</math>-開球(二次元なので開円板)である。
なので、極大値の定義式をベクトル解析的に解釈すると「<math>xy</math>平面の各点に<math>z</math>の値を割り当てた数分布に於いて、開円板<math>B_\delta(\boldsymbol{\alpha})</math>内部に於ける<math>z</math>の最大値が<math>\phi(\boldsymbol{\alpha})</math>となるような正数<math>\delta</math>が存在する」ということである。
ベクトル場の例としては、電場・磁場・重力場などが挙げられる。
スカラー場の例としては、電位分布・温度分布・圧力分布などが挙げられる。
例えば、ベクトル場<math>\boldsymbol{f}=(x, 0, 0)</math>は、<math>\mathbb{R}^3</math>内の平面<math>x=k</math>上の任意点に、その点を始点とするベクトル<math>\begin{pmatrix} k \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}</math>が存在する状態を表す。
ベクトル場の和は、出力ベクトルの型が同じならばベクトル場の成分の和をとったものに等しい。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x, y, z)=(y, z, x), \boldsymbol{g}(x, y, z)=(z, x, y)</math>について
:<math>(\boldsymbol{f}+\boldsymbol{g})(x, y, z)=(y, z, x)+(z, x, y)=(y+z, z+x, x+y)</math>である。
これは、ベクトル場の加法の定義が
:<math>\forall p \in V, (\boldsymbol{f}+\boldsymbol{g})(p):=\boldsymbol{f}(p)+\boldsymbol{g}(p)</math>
となっていて且つ<math>V</math>に座標を入れればベクトル関数の加法則をそのまま適用できるためである(入力点が異なるとき、場同士は足すことができない)。
曲線<math>\{\boldsymbol{x}\in\mathbb{R}^2 \mid \varphi(\boldsymbol{x})=\mathrm{const}.\}</math>を'''等高線'''(等高曲線)、曲面<math>\{\boldsymbol{x}\in\mathbb{R}^3 \mid \varphi(\boldsymbol{x})=\mathrm{const}.\}</math>を'''等位面'''(等位曲面)という。これらの詳細は後述する。
==曲線論・曲面論==
===曲線===
<math>xy</math>平面上の曲線は<math>y=f(x) (x\in[a, b])</math>という陽関数表示で扱うことが多かった。しかし、これだと自分自身と交わる('''自己交叉'''する)曲線や<math>x=x_0</math>に対して<math>f(x_0)</math>の値が複数存在する(<math>f</math>が'''多価関数''')場合に不都合が生じる。
例えば円を陽関数表示しようとすると
:<math>x^2+y^2=r^2</math>を<math>y</math>に就いて解いて
:<math>y=\pm\sqrt{r^2-x^2}</math>
則ち
:<math>y=\begin{cases} \sqrt{r^2-x^2} & (y\geq0) \\ -\sqrt{r^2-x^2} & (y<0) \end{cases}</math>
という多価関数が必要になる。
これだと端点の振舞を一々調べる必要があって曲線の連続性や接線の議論が煩雑になってしまう。
しかし、先程も述べたように曲線の媒介変数表示はベクトル関数として見れるのであった。
:<math>\boldsymbol{r}(\theta) = r\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix}</math>(再掲)
こうすると一変数連続ベクトル関数によって曲線を表すことが可能である。物理的に捉えると「質点の運動の軌跡を原点からの位置ベクトルの時間変化で表す」ということである。
一般に、<math>\boldsymbol{r}\in\mathbb{R}^n, t \in I</math>としてベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>の解集合<math>\{\boldsymbol{r}(t) \mid t \in I \}</math>は<math>n</math>次元空間内の曲線<math>C</math>を表す。これを<math>C</math>の'''ベクトル表示'''という。
ベクトル表示は成分表示に直せば<math>\boldsymbol{r}(t)=\sum_i r_i(t)\boldsymbol{e}_i</math>となる。これは媒介変数表示<math>\begin{cases} x_1&=&r_1(t) \\ x_2&=&r_2(t) \\ &\,\,\vdots& \\ x_n&=&r_n(t) \end{cases}</math>をベクトル表記したものに一致する。
例えば、<math>\boldsymbol{r}(t)=\begin{pmatrix} a\cos t \\ a\sin t \\ bt \end{pmatrix}</math>は'''常螺旋'''(弦巻線)のベクトル表示である。
パラメータが増加するときの点の移動方向を曲線の'''正の向き'''と定める。曲線の'''負の向き'''はパラメータが減少するときの点の移動方向である。このとき、パラメータで'''向き付け'''された曲線という表現もなされる。曲線<math>C</math>に対し、同じパラメータを用いた逆向きの曲線を<math>-C</math>と表す。ベクトル表示では<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に対して<math>-C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(-t)</math>ということである。
パラメータに関する変数変換<math>u=\phi(t)</math>を考える。但し、<math>\phi</math>は広義単調関数とする<sup>※</sup>。このとき、<math>\frac{du}{dt}</math>が非負ならば曲線の向き付けが保たれ、非正ならば向き付けが反転する。<math>\frac{du}{dt}=0</math>となる領域では点の運動が停止する。
<small>※<math>\phi</math>が非単調関数のときは曲線上の点が行ったり来たりすることになるため曲線のパラメータ表示としては扱いづらい。</small>
<math>\boldsymbol{r}(t) \in C^1</math>且つ<math>\boldsymbol{r}'(t)\neq\boldsymbol{0}</math>であるとき、曲線<math>C</math>は'''滑らか'''であるという。
滑らかな曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に対して<math>\boldsymbol{r}'(t)</math>を<math>C</math>の'''速度ベクトル'''という。
<math>\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\boldsymbol{r}</math>として点<math>\mathrm{P}(t)</math>に於ける速度ベクトルは<math>\lim_{\Delta t\to0}\frac{\boldsymbol{r}(t+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t)}{\Delta t}</math>の極限ベクトルであるが、<math>\boldsymbol{r}(t+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t)</math>を図示することで速度ベクトルが曲線<math>C</math>の点<math>\mathrm{P}(t)</math>に於ける接線の方向ベクトルになっていることがわかる。よって、速度ベクトルを'''接線ベクトル'''(接ベクトル)ともいう。
速度ベクトルが非零である曲線を'''正則'''な曲線と呼ぶ。滑らかな曲線は正則曲線である。
なお、一般には陽関数表示が区分的であることとベクトル表示の成分関数が区分的であることに対応はないほか、パラメータの取り方で速度ベクトルが変わるので「曲線の幾何学的滑らかさ」と「ベクトル表示した関数の解析学的滑らかさ」は一致するとは限らない。
正則な曲線に対して曲線長('''弧長''')を考える。
二次元曲線の場合は数学Ⅲで既に扱った。
:<math>L=\int_a^b \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}dt</math>
実は、これを一般の<math>n</math>次元にそのまま拡張することができる。
{{定理|(弧長公式)}}
曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>の点<math>\mathrm{P}(a)</math>から点<math>\mathrm{P}(b)</math>までの長さ(<math>a<b</math>)は
:<math>L=\int_a^b \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>
で与えられる。
{{定理終わり}}
*証明
:<math>a=t_0, b=t_m</math>として閉区間<math>[a, b]</math>を各<math>t_i</math>で等分割する。このとき小区間<math>[t_{k-1}, t_k]</math>の長さは<math>\Delta t=\frac{b-a}{m}</math>。
:<math>C</math>の点<math>\mathrm{P}(a)</math>から点<math>\mathrm{P}(b)</math>までの長さ<math>L</math>は折れ線の長さ<math>\overline{\mathrm{P}(t_{k-1})\mathrm{P}(t_k)}</math>の総和で近似される。
:ここで<math>\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\boldsymbol{r}(t)</math>より
::<math>L_m=\sum_{k=1}^m \| \boldsymbol{r}(t_k)-\boldsymbol{r}(t_{k-1}) \| = \sum_{k=1}^m \left\| \frac{\boldsymbol{r}(t_{k-1}+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t_{k-1})}{\Delta t-0} \right\|(\Delta t-0)</math>
:分割を限りなく細かくする極限をとると<math>m\to\infty</math>より<math>\Delta t\to0</math>なので
::<math>\lim_{m\to\infty} L_m = \sum_{k=1}^\infty \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt}(t_{k-1}) \right\|dt</math>
:区分求積法より最後の無限級数は収束して
:<math>L=\int_a^b \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>//
ここで、<math>dl=\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>という微小量を'''線素'''と呼ぶ。
1を線素に関して積分したパラメータ<math>s:=\int_0^t dl</math>を'''弧長パラメータ'''(標準パラメータ)という。弧長パラメータは曲線上で「基準点からの符号付き距離」を表す。
曲線の弧長パラメータによるベクトル表示('''弧長パラメータ表示''')を考える。<math>s=\int_0^t \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>で正則よりノルムは正。則ち<math>\frac{ds}{dt}>0</math>より<math>s=\phi(t)</math>は狭義単調増加なので、逆関数<math>t=\phi^{-1}(s)</math>を考えることができる。よって、<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に<math>t=\phi^{-1}(s)</math>を代入した<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\phi^{-1}(s))</math>が弧長パラメータ表示である。これを<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>と略記してしまうことも多いが、'''一般には元の<math>\boldsymbol{r}(t)</math>と成分関数が異なる'''ことに注意。
通常の媒介変数によるベクトル表示は「座標系が予め与えられた状況」での表示であるが、弧長パラメータは座標系を取り替えたとしても表す曲線そのものが変わらなければ不変である。よって、「座標系に依存しない表記」として弧長パラメータ表示は多く利用されている。
また、弧長パラメータ表示で連鎖律を適用すると
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\cdot\frac{dt}{ds}=\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\cdot\frac{1}{\frac{ds}{dt}}</math>
ここで微分積分学の基本定理より
:<math>\frac{ds}{dt}=\frac{d}{dt} \int_0^t \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt = \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|</math>
なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\frac{\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}}{\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|}</math>
であり、自身のノルムで割ってるので恒等的に<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} \right\|=1</math>である。
よって、弧長パラメータ表示された曲線の接ベクトルは常に単位ベクトルである。
弧長パラメータ表示された曲線で線素を考えると<math>s=\int_0^s \left\| \frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds} \right\| ds = \int_0^s dl</math>だが、常に<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} \right\|=1</math>なので<math>ds=dl</math>であり、弧長パラメータの微小量は線素に等しい(弧長パラメータそのものが1の線素に関する積分なので当たり前ではある)。
<math>\boldsymbol{e}_\dagger(s)=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}</math>と置くと、点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける接線の方程式は
:<math>\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s_0)=\boldsymbol{e}_\dagger(s_0) (s-s_0)</math>
と表される。
ここで<math>\boldsymbol{r}(s)</math>の中心<math>s_0</math>に於けるテイラー展開は
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\sum_{i=0}^\infty \frac{(s-s_0)^i}{i!} \frac{d^i}{ds^i}\boldsymbol{r}(s_0) </math>
であり、「接線が一次近似に対応する」という構造はベクトル関数でも維持されることが判った。
領域<math>\boldsymbol{D}</math>上の滑らかなベクトル場<math>\boldsymbol{a}</math>について、微分方程式<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}=\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t)) (\boldsymbol{r} \in \boldsymbol{D})</math>で与えられる曲線<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>を<math>\boldsymbol{a}</math>の'''流線'''(streamline)という(入力点を位置ベクトルと同一視していることに注意)。流線の接線ベクトルは元のベクトル場そのものになるので、ベクトルの相等から得る方程式<math>\frac{dx_1}{a_1}=\frac{dx_2}{a_2}=\cdots=\frac{dx_n}{a_n}</math>を'''流線方程式'''という。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x, y)=(y, x)</math>の流線は、
:定義から<math>\frac{dx}{dt}=y, \frac{dy}{dt}=x</math>
:合成関数の微分公式から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}=\frac{x}{y}</math>
:<math>\int y dy=\int xdx</math>
:<math>\frac{1}{2}y^2=\frac{1}{2}x^2+C</math>
:よって双曲線<math>y^2-x^2=2C</math>//
この場合、<math>t</math>に関する2つの微分方程式を組み合わせることで
:<math>\frac{d^2x}{dt^2}=x, \frac{d^2y}{dt^2}=y</math>という二階線型常微分方程式となり、一般解が双曲線関数を用いて<math>\begin{cases} x=C_1\cosh t+C_2\sinh t \\ y=C_1\sinh t+C_2\cosh t \end{cases}</math>であることが容易に判る。<br>なお、流線方程式を用いても<math>\frac{dx}{y}=\frac{dy}{x}</math>から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{x}{y}</math>が出てくる。
「流線の接線ベクトルが元のベクトル場になる」とはつまり、「接線が常にベクトル場と平行になるような曲線」を考えているということである。滑らかなベクトル場を考えているためそのような曲線は常に存在する。流線は「ベクトル場の流れを繋げていった曲線」と考えることができるので、「流れを簡潔に図示」するのにちょうどよい。
有名な例として、電気力線・磁力線はそれぞれ電場<math>\boldsymbol{E}</math>・磁束密度<math>\boldsymbol{B}</math>の流線である。
流線の微分方程式を弧長パラメータ表示を用いて変形する。
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}=\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))</math>の左辺に就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\frac{ds}{dt}=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot \|\boldsymbol{r}'(\phi^{-1}(s))\|</math>
元の方程式の両辺でノルムをとると
:<math>\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right\|=\|\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))\|</math>
代入して
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\|\boldsymbol{r}'(\phi^{-1}(s))\|=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\|\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))\|</math>
:<math>\therefore \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} = \boldsymbol{e}_{\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(\phi^{-1}(s)))}</math>
ここから、流線の形状はノルムには関係なく方向場のみで決まることがわかる。
===フレネ標搆===
ここでは、三次元空間に於ける正則曲線について考える。
<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>上の点<math>\mathrm{P}(s)</math>に於ける単位接線ベクトルを<math>\boldsymbol{t}</math>とおく。
先程の議論より<math>\boldsymbol{t}(s)=\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}</math>であり、<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds} \right\|=1 (=\mathrm{const}.)</math>なので直交条件の定理から<math>\boldsymbol{t}\cdot\frac{d\boldsymbol{t}}{ds}=0</math>、則ち<math>\boldsymbol{t} \perp \frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>である。この<math>\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>を'''主法線ベクトル'''という。
主法線ベクトルを<math>\boldsymbol{n}</math>とおくとき、<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n}</math>を'''従法線ベクトル'''(陪法線ベクトル)という。ここで先程の結果より<math>\boldsymbol{t}\perp\boldsymbol{n}</math>であって<math>\boldsymbol{b}</math>の定義より<math>\boldsymbol{t}\perp\boldsymbol{b}, \boldsymbol{n}\perp\boldsymbol{b}</math>なので、この3ベクトルの組を正規化した<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b \}</math>は<math>\mathbb{R}^3</math>の正規直交基底である。これを<math>\mathbb{R}^3</math>の'''フレネ標搆'''という。外積の結果よりフレネ標搆は<math>\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b</math>の順に右手系をなす。なお、接線ベクトル・主法線ベクトル・従法線ベクトルは全て曲線の位置ベクトル<math>\boldsymbol{r}(s)</math>を入力したベクトル場として捉えることができる。
<math>\{\boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b \}</math>の張る平面を'''法平面'''、<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_b \}</math>の張る平面を'''展直平面'''、<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n \}</math>の張る平面を'''接触平面'''という。
即ち、法平面・展直平面・接触平面は<math>tnb</math>空間の点<math>\mathrm{P}(s)</math>を原点とした基準面である。
平面の方程式の法線ベクトルに接ベクトル・主法線ベクトル・従法線ベクトルをそれぞれ代入することで
:法平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{t}(s)=0</math>
:展直平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{n}(s)=0</math>
:接触平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{b}(s)=0</math>
とわかる。
<math>\|\boldsymbol{t}\|=1</math>は常に成り立つが<math>\|\boldsymbol{n}\|, \|\boldsymbol{b}\|</math>は<math>1</math>とは限らない。そこで、主法線ベクトルの大きさ<math>\kappa(s)=\|\boldsymbol{n}(s)\|</math>を曲線<math>C</math>の'''曲率'''と呼ぶことにする。なお、<math>\|\boldsymbol{b}\|=\| \boldsymbol{t} \| \|\boldsymbol{n}\|\sin\frac{\pi}{2}</math>より<math>\|\boldsymbol{b}\|=\|\boldsymbol{n}\|=\kappa</math>が成り立つ。
主法線ベクトルの定義に立ち戻ると<math>\boldsymbol{n}(s)=\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>であった。つまり、主法線ベクトルは接ベクトルの速度ベクトルなので「弧長パラメータを変化させたときに接ベクトルがどのくらい変化するか」という指標である。接ベクトルの変化の大小と<math>\kappa</math>の大小は対応し、接ベクトルの大小はカーブの緩急に対応することから<math>\kappa</math>の大小とカーブの緩急も対応する。これが「曲率」という名前の由来である。
なお、<math>\kappa(s)=0</math>の場合は<math>\boldsymbol{n}(s)=\boldsymbol{0}</math>なので<math>\boldsymbol{t}(s)=\boldsymbol{k}</math>(定ベクトル)であり、<math>\boldsymbol{r}(s)=s\boldsymbol{k}</math>という直線の場合に対応することがわかる。
単位接ベクトルの<math>s</math>を微分変数とする導関数(<math>s</math>-導関数)は主法線ベクトルだったが、単位主法線ベクトル・単位従法線ベクトルの<math>s</math>-導関数がどのように表されるか見ていく。
ここで、フレネ標搆が<math>\mathbb{R}^3</math>の正規直交基底であることから、<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}, \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}</math>ともにフレネ標搆の一次結合で表現できると予想される。
単位従法線ベクトルに就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\frac{d}{ds}(\boldsymbol{e}_t\times\boldsymbol{e}_n)=\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\times\boldsymbol{e}_n+\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>
<math>\boldsymbol{t}=\boldsymbol{e}_t</math>より<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\boldsymbol{n}=\kappa\boldsymbol{e}_n</math>則ち<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\times\boldsymbol{e}_n=\kappa\boldsymbol{e}_n\times\boldsymbol{e}_n=\boldsymbol{0}</math>なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>
<math>\|\boldsymbol{e}_n\|=1</math>から直交条件の定理より<math>\boldsymbol{e}_n\perp\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>なので
:<math>\boldsymbol{e}_n\times\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\boldsymbol{e}_n\times(\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds})=\left(\boldsymbol{e}_n\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}\right)-(\boldsymbol{e}_n\cdot\boldsymbol{e}_t)\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\boldsymbol{0}</math>
外積が零ベクトルなので<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds} /\!\!/ \boldsymbol{e}_n</math>であり、一次従属より
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n</math>
となるスカラー関数<math>\tau(s)</math>が存在する。
この<math>\tau(s)</math>を曲線<math>C</math>の'''捩率'''と呼ぶ。捩率は接触平面の回転(捩れ)の率を表す。
<math>\tau=0</math>ならば<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=0</math>より<math>\boldsymbol{e}_b</math>方向は変化しないので曲線は接触平面と平行な平面上に拘束される。即ち、<math>C</math>は平面曲線である。
単位主法線ベクトルに就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\frac{d}{ds}(\boldsymbol{e}_b\times\boldsymbol{e}_t)=\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}\times\boldsymbol{e}_t+\boldsymbol{e}_b\times\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}</math>
ここで<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\kappa\boldsymbol{e}_n, \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n</math>を代入して
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n\times\boldsymbol{e}_t+\boldsymbol{e}_b\times\kappa\boldsymbol{e}_n=\tau\boldsymbol{e}_b-\kappa\boldsymbol{e}_t</math>
よって、フレネ標搆の弧長パラメータを微分変数とする導関数を以下のようにフレネ標搆の一次結合で表すことができた。
:<math>\begin{cases} \frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\kappa\boldsymbol{e}_n \\ \frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds} = \tau\boldsymbol{e}_b-\kappa\boldsymbol{e}_t \\ \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n \end{cases}</math>
これを一次変換で表記すると以下のようになる。但し、厳密にはベクトルを成分としている部分は列ではなく行に配置するのが正しいことに注意。
{{定理|(フレネ=セレーの公式)}}
:<math>\frac{d}{ds}\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & \kappa & 0 \\ -\kappa & 0 & \tau \\ 0 & -\tau & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix}</math>
{{定理終わり}}
表現行列が反対称行列(歪対称行列)になっているが、これは「直交変換を一次近似すると反対称変換になる」という無限小回転の理論に対応する。
捩率を求めるときは「基底分解の係数は対応する基底ベクトルとの内積に等しい」という性質を利用すれば<math>\boldsymbol{e}_b\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\tau</math>となるので左辺を計算すればよい。
例えば、円<math>\begin{cases} x^2+y^2=a^2 \\ z=b \end{cases}</math>の曲率と捩率は以下のように求まる。
:媒介変数表示して<math>\boldsymbol{r}(t)=\begin{pmatrix} a\cos t \\ a\sin t \\ b \end{pmatrix}</math>
:接線ベクトルは<math>\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}=\begin{pmatrix} -a\sin t \\ a\cos t \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:弧長パラメータ<math>s</math>は<math>s=\int^t_0 \left\|\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\right\|dt = \int_0^t a dt = at</math>
:<math>\therefore t=\frac{s}{a}</math>
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\begin{pmatrix} a\cos\frac{s}{a} \\ a\sin\frac{s}{a} \\ b \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{t}=\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\begin{pmatrix} -\sin\frac{s}{a} \\ \cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{n}=\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}=\frac{1}{a}\begin{pmatrix} -\cos\frac{s}{a} \\ -\sin\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\kappa=\|\boldsymbol{n}\|=\frac{1}{a}</math>
:<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ \frac{1}{a} \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{e}_n=\begin{pmatrix} -\cos\frac{s}{a} \\ -\sin\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\frac{1}{a}\begin{pmatrix} \sin\frac{s}{a} \\ -\cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{e}_b = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}</math>
:<math>\tau = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}\cdot\frac{1}{a}\begin{pmatrix} \sin\frac{s}{a} \\ -\cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}=0</math>//
フレネ・セレーの公式は[[線型代数学続論/行列値関数|行列関数]]に関する一階常微分方程式である。そのため、微分方程式の基本定理(ピカール=リンデレーエフの定理)により初期条件(<math>s=0</math>に於けるフレネ標搆)を与えれば、滑らかな曲率関数・捩率関数の組<math>(\kappa, \tau)</math>を定めることで微分方程式の解として一般の<math>s</math>に対するフレネ標搆を一意に得る。このとき、曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>は接ベクトルを出発点を選んで積分することで決定される。
従って、次の定理が成り立つ<!-- 厳密証明はhttps://sshmathgeom.private.coocan.jp/diffgeom/curvetheorem.htmlを参照 -->。
{{定理|(曲線の基本定理)}}
開区間<math>(a,b)</math>上の実数<math>s</math>を変数とする2つの滑らかな関数<math>\kappa(s),\tau(s)</math>を与える。但し、<math>\kappa(s)</math>は正とする。<br/>
このとき、<math>\kappa(s)</math>を曲率、<math>\tau(s)</math>を捩率、<math>s</math>を弧長パラメータとする三次元空間上の曲線<math>C</math>が剛体運動を除いて一意に定まる。
{{定理終わり}}
剛体運動とは「曲線の形を変えない」運動のことである(平行移動・回転など)。
<math>\kappa(s), \tau(s)</math>の定める曲線族を一般に<math>\mathcal{C}[\kappa, \tau]</math>と書く。
例えば、円を含む螺旋は<math>c_1, c_2=\mathrm{const}.</math>として<math>\mathcal{C}[c_1, c_2]</math>と書ける。
<math>R=\frac{1}{\kappa}</math>を'''曲率半径'''という。曲率半径は曲線の特定のカーブにおける曲がり具合の急さを表す指標であり、カーブを近似する真円('''密着円''')の半径でもある。高速道路の標識で<math>R=\circ\circ \mathrm{m}</math>は、そのカーブの曲率半径を示している。道路設計では、快適なドライブの為曲率半径がなるべく大きくなるように工夫を凝らしている。
ここで<math>\boldsymbol{r}(s)</math>の中心<math>s_0</math>に於けるテイラー展開は
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\sum_{i=0}^\infty \frac{(s-s_0)^i}{i!} \frac{d^i}{ds^i}\boldsymbol{r}(s_0) </math>(再掲)
だったが、二次近似式(三次以降を切り捨てた式)を考えると
:<math>\boldsymbol{r}(s) \fallingdotseq \boldsymbol{r}(s_0)+\frac{d\boldsymbol{r}(s_0)}{ds}(s-s_0) + \frac{1}{2}\frac{d^2\boldsymbol{r}(s_0)}{ds^2}(s-s_0)^2 </math>
フレネ標搆を用いて書き直すと
:<math>\boldsymbol{r}(s) \fallingdotseq \boldsymbol{r}(s_0)+\boldsymbol{e}_t(s-s_0) + \frac{1}{2}\kappa(s_0)\boldsymbol{e}_n(s-s_0)^2 </math>
二次近似とは「曲線を円弧で近似する」ことだったので曲率<math>\kappa(s_0)</math>が近似に用いる円弧と関係ある量であることが予想される。<br/>
接触平面で密着円<math> \| \boldsymbol{r} - (\boldsymbol{r}(s_0)+R\boldsymbol{e}_n) \| = R </math>を考える。接触平面を<math>xy</math>平面と考えると円の方程式は
:<math>x^2+(y-R)^2=R^2</math>
:<math>y=R-\sqrt{R^2-x^2}</math>
テイラー展開して
:<math>y=\frac{x^2}{2R}+O(x^4)</math>
二次の項を比較すると
:<math>\frac{x^2}{2R}=\frac{(s-s_0)^2}{2}\kappa</math>
よって
:<math>R=\frac{1}{\kappa}</math>
と定義するのは妥当である。
なお、先ほど求めた円の曲率から、真円に関して「曲率半径=半径」であることが判る。
フレネ・セレーの公式で最初の二行二列のみを考えると<math>\mathbb{R}^2</math>内の曲線に対するフレネ・セレーの公式を得る。一般に<math>\mathbb{R}^n</math>上の曲線に対し、今回の議論と同様にして接ベクトル・主法線ベクトル・曲率を定義することができる。但し、三次元空間と異なって同じ曲率に対して異なる曲線を与えることができる(主法線ベクトルが接触平面内で接ベクトルに対して左右どちらを向くかがそのままでは定まらないため)。なお、4次元以上であっても平面拘束曲線ならば捩率は0であって従法線ベクトルは零ベクトルに定まる。
===単純閉曲線===
パラメータ区間を<math>I=[a, b]</math>とする。
このとき、曲線の端点はそれぞれ<math>\mathrm{P}(a), \mathrm{P}(b)</math>である。
端点が一致する、つまり<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P}(b)</math>である連続曲線を'''閉曲線'''という。
自己交叉しない、つまり<math>\forall t_1, t_2 \in (a, b), t_1 \neq t_2 \iff \mathrm{P}(t_1)\neq\mathrm{P}(t_2)</math>となる閉曲線を'''単純閉曲線'''(ジョルダン曲線)という。閉曲線でない曲線に就いて「自己交叉しない」という条件は「曲線を表すベクトル関数が単射」と同値であるので、端点のみ単射性を外してやれば単純閉曲線の定義を得る。
幾何学的直観から、平面に拘束された単純閉曲線はその平面を単純閉曲線で囲まれた'''内部'''とそうでない'''外部'''の二つの領域に分割することが予想できる。
このことは以下の定理によって保証される。
{{定理|(ジョルダンの曲線定理)}}
平面<math>\Pi\subset\mathbb{R}^n</math>内の任意の単純閉曲線<math>\gamma</math>に対し、有界領域<math>I</math>・非有界領域<math>O</math>の組であって<math>\Pi\setminus\gamma=I \sqcup O</math>且つ<math>\partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>であるものが唯一つに定まる。
{{定理終わり}}
この<math>I, O</math>をそれぞれ内部・外部と定義する。証明は[[位相幾何学]]で行う。なお、「<math>\partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>」を態々明示しているのは、滑らかでない単純閉曲線に対しては「<math>\Pi\setminus\gamma=I \sqcup O \implies \partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>」が自明でないためである。
正則単純閉曲線に対して「曲線の向き」の幾何学的意味を考える。
ジョルダンの曲線定理より単純閉曲線<math>\gamma:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s) \quad(\boldsymbol{r}\in \Pi)</math>は平面<math>\Pi</math>を内部<math>I</math>と外部<math>O</math>に分割する。平面拘束曲線なので<math>\forall{s}, \tau(s)=0</math>であり、従法線ベクトルは零ベクトル且つ接触平面が常に<math>\Pi</math>に一致する。
主法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(s)</math>が接ベクトル<math>\boldsymbol{t}(s)</math>に対して左側を向いているとすると、<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0) \quad(\varepsilon>0)</math>が点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける<math>\gamma</math>の進行方向左側にある点である。
ここで、<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける<math>\varepsilon</math>-開球<math>B_\varepsilon(s_0)</math>を考えると、平面<math>\Pi</math>上では<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0)</math>が左側の領域、<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0)</math>が右側の領域に入る。
<math>s=s_0</math>を動かすと各点で進行方向左は<math>I, O</math>のいずれかであり、<math>\gamma</math>の正則性と<math>I, O</math>の連結性から「<math>I, O</math>のどちらが左側であるかは曲線全体で変わらない」ことが言える。
ここで円の場合を考える。<math>\Pi</math>に直交座標<math>u, v</math>を入れると向心加速度の議論から「加速度ベクトル=主法線ベクトルは円の中心を向く」ので、「円の正の向きは円の内部を左手に見る進行方向」である。
任意の正則単純閉曲線<math>\gamma</math>に対して自己交叉を起こさないまま円へ連続変形する可逆写像が存在し、その変形に於いて「左側」と「<math>I, O</math>」の対応は変化しない。則ち、円で確認された「正の向きは囲まれた内部を左手に見る向き」は任意の正則単純閉曲線で成り立つ。
つまり、単純閉曲線の正の向きは点を動かしたときに'''自身の囲む領域の内部を左手に見る向き'''である。負の向きは左手に外部を見る向きである。
集合<math>A</math>に含まれる任意の2点に対してそれらを端点とする滑らかな曲線<math>C</math>をとれるとき、<math>A</math>は'''弧状連結'''であるという。
弧状連結集合<math>S</math>内の任意の閉曲線<math>\gamma</math>に対して1点に退化するような連続変形が可能なとき、<math>S</math>は'''単連結'''であるという。単連結でない集合は'''多重連結'''であるという。
平面<math>\Pi\subset\mathbb{R}^n</math>に含まれる単連結集合<math>S</math>に対し、<math>\hat{\Pi}:=\Pi\cup\{\infty\}</math>とすると集合<math>\hat{\Pi}\setminus{S}</math>は連結である。逆も成り立つ。
なお、「<math>A</math>が連結集合である」ことは「補集合<math>\overline{A}</math>が非連結集合である」ことを意味しない。そのため「単連結な連結集合」も考えられ、特に「単連結な領域」はこの先頻繁に登場する。
集合<math>A</math>に含まれる任意の2点を結んだ線分が<math>A</math>に包含されるとき、<math>A</math>は'''凸型'''であるという。凸型集合でない集合は'''凹型'''であるという。
集合<math>A</math>内の1点を固定してそこから<math>A</math>内任意点へ引いた線分が<math>A</math>に包含されるとき、<math>A</math>は'''星状'''(星型)であるという。このとき固定した点を'''星の中心'''という。凸型集合は全て星状集合である。
単純閉曲線<math>\gamma</math>を境界とする内部<math>I</math>に関して<math>I\cup\gamma</math>が凸型集合であるとき、<math>\gamma</math>を'''卵形線'''(凸単純閉曲線・オーヴァル)という。
曲線<math>C</math>の曲率関数<math>\kappa(s)</math>が<math>C^3</math>級であるとき、<math>\kappa'(s_0)=0</math>を満たす点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>を<math>C</math>の'''頂点'''という。
例えば、標準楕円<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1</math>の頂点は4点<math>(\pm{a},0),(0,\pm{b})</math>である。このことは、<math>\mathbb{R}^2</math>上曲線<math>C:\boldsymbol{r}=x(t)\boldsymbol{e}_x(t)+y(t)\boldsymbol{e}_y(t)</math>に対する曲率の公式<math>\kappa(t)=\frac{\left|\frac{dx}{dt}\frac{d^2y}{dt^2}-\frac{dy}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}\right|}{\left\{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2\right\}^\frac{3}{2}}</math>と<math>\frac{ds}{dt}>0</math>を用いて確かめられる。
実は、この事実は楕円に限らないことが以下の定理で示される。
{{定理|(ムコパディヤーヤの定理・四頂点定理)}}
<math>\mathbb{R}^2</math>上の滑らかな卵形線は少なくとも4つの頂点を持つ。
{{定理終わり}}
*証明
:滑らかな卵形線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)\quad(s\in[a, b])</math>に対して曲率関数<math>\kappa(s)</math>は滑らかであり、<math>\kappa\in C^3</math>を満たす。
:卵形線は単純閉曲線なので<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P(b)}</math>であり、<math>\kappa(a)=\kappa(b)</math>。
:曲率関数が定数関数のときは<math>\kappa\in C^\infty</math>且つ常に<math>\kappa'(s)=0</math>なので曲線を構成するすべての点が頂点であり、明らかに定理を満たす。
:曲率関数が定数関数でないとする。
:ワイエルシュトラスの極値定理より<math>\kappa(s)</math>は<math>s\in[a, b]</math>のどこかで最大値・最小値をとり、その点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす。
:従って少なくとも2つの頂点を持つ。
:ここで、頂点がこの2つのみと仮定する。
:曲率が最大値・最小値をとる点をそれぞれ<math>\mathrm{M, N}</math>と置く。
:線分<math>\mathrm{MN}</math>を含む直線を<math>x</math>軸とし、その垂直方向に<math>y</math>軸をとる。
:<math>s</math>が増加すると曲線上の点が<math>\mathrm{N}\to\mathrm{M}</math>のように動くとき、
:<math>\kappa(s)</math>は最小値から最大値に向かって増大し、他に頂点がないので狭義単調増加である。
:同様に、<math>\mathrm{M}\to\mathrm{N}</math>の向きでは<math>\kappa(s)</math>は狭義単調減少である。
:従って、<math>\kappa'(s)y(s)\neq0</math>の正の側だけ考えれば良い。
:<math>y(a)=y(b)=0</math>に注意すると部分積分して
:<math>0<\int_a^b \kappa'(s)y(s)ds=-\int_a^b \kappa(s)y'(s)ds</math>
:主法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(s)= \begin{pmatrix} \xi_1(s) \\ \xi_2(s) \end{pmatrix}</math>を考えると二次元版フレネ=セレーの公式から<math>\frac{d\boldsymbol{n}}{ds}=-\kappa\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}</math>なので
:<math>\xi'_2(s)=-\kappa(s)y'(s)</math>
:よって
:<math>-\int_a^b \kappa(s)y'(s)ds=\int_a^b \xi_2(s)ds = \left[\xi_2(s)\right]_a^b=0</math>
:なので矛盾した不等式<math>0<0</math>を得る。
:則ち、<math>\mathrm{M, N}</math>と異なる点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が少なくとも一つ存在する。
:そのような点を<math>\mathrm{L}</math>と置く。
:<math>\mathrm{L}</math>が<math>\mathrm{N}\to\mathrm{M}</math>という経路の途中にあるとする。
:このとき、<math>\mathrm{L}</math>以外に<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が存在すると「<math>\mathrm{M}\to\mathrm{N}</math>という経路の途中にそのような点が無い」という最初の仮定に反するので
:<math>\mathrm{M, N, L}</math>以外では<math>\kappa'(s)y(s)>0</math>である。
:同様に部分積分を行うことで矛盾した不等式を得、<math>\mathrm{M, N, L}</math>と異なる点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が少なくとも一つ存在することが判る。
:この時点で「<math>\mathrm{M, N}</math>間の二つの経路のいずれにも<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が存在しない」という仮定が否定されたのでこれ以上背理法を適用することはできない。
:よって、頂点個数の最小値は<math>4</math>である。//
最小値4をとる卵形線が実際に存在することは楕円の例で確かめた。
この定理は「卵形線」を「(正則)単純閉曲線」に取り換えてもそのまま成り立つことが知られている。一般の閉曲線でこの定理を成り立たせるには追加の条件が必要となる。
先程も述べたように、接ベクトルと単位主法線ベクトルは2次元以上の空間内部にある曲線ならば定義することができる。そして、<math>\boldsymbol{t}\cdot\boldsymbol{n}=0</math>も必ず成り立つ。よって、<math>\boldsymbol{e}_t\cdot\boldsymbol{e}_n=0</math>の両辺を<math>s</math>で微分して
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\cdot\boldsymbol{e}_n+\boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=0</math>
:<math>\therefore \boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\boldsymbol{n}\cdot\boldsymbol{e}_n=-\kappa</math>
ここで「基底分解に於ける成分はその基底との内積に等しい」という性質から、<br/>
一般次元に於いても「<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>の接線方向成分は<math>-\kappa(s)</math>」であることが判る。
ここで<math>C^2</math>級曲線の位置ベクトル<math>\boldsymbol{r}(s)</math>に対して単位主法線<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>を対応させることを考える。この対応を'''ガウス表示'''という。
<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>を二次までテイラー展開すると<math>\Delta s>0</math>を微小量として
:<math>\boldsymbol{e}_n(s+\Delta s)=\boldsymbol{e}_n(s)+\frac{d\boldsymbol{e}_n(s)}{ds}\Delta s + O(\Delta s^2)</math>
ここで<math>\boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\kappa</math>より、<math>s</math>を<math>\Delta s</math>だけ動かしたときの接線方向の速さは<math>|\kappa(s)|\Delta s</math>である(<math>\kappa(s)</math>が正で正の向き、負で負の向きに動くとする)。
閉曲線に対してはガウス表示によって法線方向の変化を完全に捉えられるので、<math>\kappa(s)</math>を微小量<math>\Delta s</math>に関して積分した<math>\int_a^b \kappa(s)ds</math>を考えてみる。
ガウス表示では曲線を単位主法線ベクトルの描く単位円として考えることができる。閉曲線では<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P}(b)</math>より明らかに<math>\boldsymbol{e}_n(a)=\boldsymbol{e}_n(b)</math>であり、閉曲線が一周する間にベクトル<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>はこの単位円を<math>m(\in\mathbb{Z})</math>周する<sup>※</sup>。
<small>※物理的には「円そのものが動いても円周上の質点は『この円をどっちの方向に何周したか』という情報しか持たない」ので、単位円が動くことは議論にあまり関係ない</small>
弧度法より単位円を<math>m</math>周する符号付き道のりは<math>2\pi{m}</math>であり、ガウス表示より<math>\int_a^b \kappa(s)ds=2\pi{m}</math>。
従って、<math>m=\frac{1}{2\pi}\int_a^b \kappa(s)ds</math>
この<math>m</math>を閉曲線の'''回転数'''と呼ぶことにする。
曲率が負の場合には積分値が途中で相殺されてしまうので、絶対値を付けて積分した
:<math>\mu:=\int_a^b |\kappa(s)|ds</math>
という量を考えることにする。
これを閉曲線の'''全曲率'''と呼ぶ。
全曲率に対して以下の定理が成り立つ。
{{定理|(フェンヒェルの定理)}}
滑らかな閉曲線の全曲率は<math>\mu\geq2\pi</math>を満たす。等号成立の場合は卵形線である。
{{定理終わり}}
証明は省略する。
===曲面===
多変数解析で既に扱った、三次元空間に於ける曲面の陽関数表示<math>z=f(x, y)</math>を'''モンジュ表示'''という。<math>f(x, y, z)=\mathrm{const}.</math>と陰関数表示された曲面は陰関数定理が成り立つ範囲でモンジュ表示に直すことができる。
一次式で陰関数表示される曲面を'''一次曲面'''という。平面の方程式より、一次曲面は全て平面である。
二次式で陰関数表示される曲面を'''二次曲面'''という。
以下、二次曲面の例を挙げる。各係数は非退化条件を満たすとする。なお、「直線に平行な平面」は「直線を法線とする平面に垂直な平面」を意味することに注意。
*'''球面'''(sphere)
:高校数学で扱ったように、点<math>(a, b, c)</math>を中心とする半径<math>r</math>の球面の方程式は<math>(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2</math>である。この球面上の点の位置ベクトルは<math>\boldsymbol{r}=\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}</math>なので、球面が満たすベクトル方程式は一般に<math>\|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{a}\|=\mathrm{const}.</math>である。これは円のベクトル方程式の次元を上げたものである。
*'''楕円面'''(ellipsoid)
:楕円の方程式を拡張した方程式<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}+\frac{z^2}{c^2}=1</math>が表す曲面である。<math>xyz</math>空間の基本面で切った断面は全て楕円となる。
*'''楕円拋物面'''(elliptic paraboloid)
:楕円の平面拘束条件を外した方程式<math>z=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}</math>が表す曲面である。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は楕円、平行な平面で切った断面は拋物線となる。
*'''双曲拋物面'''(hyperbolic paraboloid)
:双曲線の平面拘束条件を外した方程式<math>z=\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}</math>が表す曲面である。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は双曲線、平行な平面で切った断面は拋物線となる。また、原点は鞍点である。
*'''一葉双曲面'''(hyperboloid of one sheet)
:楕円面の方程式の一つの項の符号を変えた<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}-\frac{z^2}{c^2}=1</math>の表す曲面。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は楕円、平行な平面で切った断面は双曲線となる。
*'''二葉双曲面'''(hyperboloid of two sheet)
:楕円面の方程式の二つの項の符号を変えた<math>\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}-\frac{z^2}{c^2}=1</math>の表す曲面。断面の分類は一葉双曲面と同じだが、<math>m^2<c^2</math>のときは平面<math>z=m</math>と交わらないため「二葉」と名付けられている。
*'''錐面'''(conical surface)
:方程式<math>\frac{z^2}{c^2}=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}</math>の表す曲面。<math>xy</math>平面との交点は原点のみであり、<math>yz</math>平面・<math>zx</math>平面で切った断面は直線である。
閉区間<math>I\subset\mathbb{R}</math>上の一変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}(t)</math>を用いたベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t) \quad(t\in I)</math>の解集合は次元に依らず曲線を表した。
同様に、領域<sup>※</sup><math>D\subset\mathbb{R}^2</math>上の二変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}(t, u)</math>を用いたベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u) \quad({\scriptstyle\left(\begin{array}{c} t \\[-6pt] u \end{array}\right)}\in D)</math>の解集合は次元に依らず曲面を表すと考えられる。
厳密には[[線型代数学/基底と次元|階数・退化次数の定理]]<!-- 次元定理・線型写像の基本定理 -->などを用いてこのことを確かめられる。
<small>※ここでいう「領域」は冒頭で厳密に定義した「領域」であることに注意。</small>
曲線と同様に、曲面の'''パラメータ表示'''と'''ベクトル表示'''は次のように定義される。
:パラメータ表示:<math>\begin{cases} x_1&=&r_1(t, u) \\ x_2&=&r_2(t, u) \\ &\,\,\vdots& \\ x_n&=&r_n(t, u) \end{cases}</math>
:ベクトル表示:<math>\left\{\boldsymbol{r}(t, u) \,\bigg|\, {\scriptstyle\left(\begin{array}{c} t \\[-6pt] u \end{array}\right)} \in D \right\}</math>
また、<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>のようにも表す。
例えば、<math>k>l>0</math>として<math>\boldsymbol{r}(t, u)=\begin{pmatrix} (k+l\cos u)\cos t \\ (k+l\cos u)\sin t \\ l\sin u \end{pmatrix} \quad(D=\left\{ \begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix} \bigg| \begin{array}{c} 0 \leq t \leq 2\pi \\ 0 \leq u \leq 2\pi \end{array} \right\})</math>は'''トーラス'''のベクトル表示である。
<math>\mathbb{R}^3</math>上の平面の方程式は高校数学に於いて<math>\begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}\neq\boldsymbol{0}</math>として一次式<math>ax+by+cz+d=0</math>と表せることを学んだ。
これのベクトル方程式を求めてみよう。
:①<math>c=0</math>のとき
::平面の方程式は<math>\begin{cases} ax+by+d=0 \\ z=\mathrm{const}. \end{cases}</math>
::[1]<math>b=0</math>のとき
:::平面の方程式は<math>\begin{cases} ax+d=0 \\ y=\mathrm{const}. \\ z=\mathrm{const}. \end{cases}</math>
:::<math>\begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}\neq\boldsymbol{0}</math>より<math>a\neq0</math>
:::<math>y=t, z=u</math>と置換すると
:::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} -\frac{d}{a} \\ t \\ u \end{pmatrix}</math>
:::<math>\boldsymbol{r} = t\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} -\frac{d}{a} \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}</math>
::[2]<math>b\neq0</math>のとき
:::<math>x=t, z=u</math>と置換すると
:::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} t \\ -\frac{a}{b}t-\frac{d}{b} \\ u \end{pmatrix}</math>
:::<math>\boldsymbol{r} = t\begin{pmatrix} 1 \\ -\frac{a}{b} \\ 0 \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 0 \\ -\frac{d}{b} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:②<math>c\neq0</math>のとき
::<math>x=t, y=u</math>と置換すると
::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} t \\ u \\ -\frac{a}{c}t-\frac{b}{c}u-\frac{d}{c} \end{pmatrix}</math>
::<math>\boldsymbol{r}=t\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ -\frac{a}{c} \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \\ -\frac{b}{c} \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ -\frac{d}{c} \end{pmatrix}</math>
なお、ここから平面のベクトル方程式が一般に<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{a}+t\boldsymbol{b}+u\boldsymbol{c}</math>という「直線のベクトル方程式を拡張した形」であることがわかる。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)\in C^1</math>且つ<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\neq\boldsymbol{0}</math>である曲面を'''滑らか'''な曲面という。
曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>とその上の点<math>\mathrm{P}_0=(a, b)</math>に対し、曲線<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(a, u), \boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, b)</math>をそれぞれ点<math>\mathrm{P}_0</math>に於ける'''<math>t</math>曲線'''・'''<math>u</math>曲線'''という。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)\in C^1</math>であるとき、偏導関数の定義から
:<math>\frac{\partial}{\partial{u}}\boldsymbol{r}(a, u)=\frac{d}{du}\boldsymbol{r}(a, u)</math>
:<math>\frac{\partial}{\partial{t}}\boldsymbol{r}(t, b)=\frac{d}{dt}\boldsymbol{r}(t, b)</math>
ここで<math>a, b</math>をそれぞれ<math>t</math>軸・<math>u</math>軸上で動かすことで<math>t</math>曲線・<math>u</math>曲線の接ベクトルがそれぞれ<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}</math>であると判る。これらを曲面のパラメータ方向の'''接ベクトル'''という。
これらの接ベクトルが平行でないとき、曲面<math>S</math>上の任意の点<math>\mathrm{P}</math>に対して<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>の張る平面が定まる。これを曲面<math>S</math>の点<math>\mathrm{P}</math>に於ける'''接平面'''という。曲線の接線は一次元ベクトル空間<math>\left\{ \xi\frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \bigg| t \in\mathbb{R} \right\}</math>で表されたが、接平面は二次元ベクトル空間<math>\left\{ \xi\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}+\eta\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \bigg| \xi, \eta \in \mathbb{R} \right\}</math>で表される。このような接ベクトル全体が張るベクトル空間を一般に'''接空間'''と呼ぶ。
接ベクトルの組が一次独立である曲面を'''正則'''な曲面という。滑らかな曲面は正則曲面である。
曲面<math>S</math>の接平面に垂直なベクトルを<math>S</math>の'''法線ベクトル'''という。
三次元空間ならば接平面を張る2ベクトルの外積<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>で求められる。
モンジュ表示された曲面<math>S:z=f(x, y)</math>に対して接平面の存在性(つまり曲面の正則性)は「二変数関数<math>f</math>の全微分可能」に対応した。ベクトル表示された曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>に対しては「ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}</math>の全微分可能性」だけでは足りず、「ヤコビ行列<math>\frac{\partial{(\boldsymbol{r})}}{\partial{(t, u)}}</math>の階数が2」も要求される。
以下、正則曲面のみ扱う。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)</math>の微小変化は全微分で与えられる。
:<math>d\boldsymbol{r}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt+ \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>
則ち、各パラメータを同時に<math>\begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix}\to\begin{pmatrix} t+dt \\ u+du \end{pmatrix}</math>と単調に動かしたとき、対応する曲面上の点が描く領域は2ベクトル<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>の張る微小平行四辺形として近似できる。その微小面積は線型代数の内容から
:<math>\sqrt{ \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt \right\|^2 \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du \right\|^2 - \left\{ \left(\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt\right)\cdot\left(\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du\right) \right\}^2 }=\sqrt{\left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \right\|^2\left\|\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\right\|^2 - \left( \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\cdot\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \right)^2 } dtdu</math>
である。
これを領域<math>D</math>で重積分してやれば曲面の表面積('''曲面積''')が求まると考えられる。
{{定理|(曲面積)}}
<math>E := \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \right\|^2,\quad F := \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\cdot\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}},\quad G := \left\|\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\right\|^2</math>とすると、<br>
曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>の領域<math>D</math>に於ける曲面積は
:<math>S=\iint_D \sqrt{EG-F^2}dtdu</math>
{{定理終わり}}
この<math>E, F, G</math>を<math>S</math>の'''第一基本量'''と呼ぶ。また、<math>dS:=\sqrt{EG-F^2}dtdu</math>を'''面素'''(面積素・面積要素)と呼ぶ。
<math>t, u</math>が共通のパラメータ<math>\theta</math>で媒介変数表示されるとき、曲面は曲線に退化するので線素を考えられる。
具体的には、
:<math>dl=\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\right\|d\theta</math>
より
:<math>\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\right\|^2=\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}</math>
ここで合成関数の常微分公式より
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\frac{dt}{d\theta}+ \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\frac{du}{d\theta}</math>
なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}=\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right\|^2\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2\left(\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{du}\right)\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{du}\right\|^2\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2</math>
:<math>=E\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2F\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+G\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2</math>
よって
:<math>dl=\sqrt{E\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2F\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+G\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2}d\theta=\sqrt{E(dt)^2+2Fdtdu+G(du)^2}</math>
このように、線素は<math>\theta</math>のとり方に依存しない。
そこで、最後の式で右辺を二乗した
:<math>I:=E(dt)^2+2Fdtdu+G(du)^2</math>
を<math>S</math>の'''第一基本形式'''と定める。
第一基本形式は二次形式になっていることが見て取れるので、<math>\boldsymbol{v}:=\begin{pmatrix} dt \\ du \end{pmatrix}, \mathbf{K}:=\begin{pmatrix} E & F \\ F & G \end{pmatrix}</math>とおくと
:<math>I={}^t\!\boldsymbol{v} \mathbf{K} \boldsymbol{v}</math>
と行列表示できる。
ここで<math>I=dl^2>0</math>なので<math>\mathbf{K}</math>は正定値行列である。
また、<math>\boldsymbol{x}_i=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \boldsymbol{x}_j=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>と置いて第一基本量の定義を思い返してみると<math>\mathbf{K}_{ij}=\boldsymbol{x}_i \cdot \boldsymbol{x}_j</math>なのでこの行列は接ベクトルに関するグラム行列である。この意味でも、<math>\mathbf{K}</math>は正定値行列である。
また、面素の式で根号の中身が<math>\det\mathbf{K}</math>に等しいことも判る。
則ち、第一基本量が曲面の本質であると予想される。
<math>F=0 \land E=G=\lambda</math>であるとき、<math>\mathbf{K}=\lambda\mathbf{E}_2</math>である。このときのパラメータの組<math>(u, v)</math>を曲面の'''等温座標系'''という。
等温座標系で表示された曲面<math>S</math>に対し、第一基本形式は<math>I=\lambda(dt^2+du^2)</math>と二次形式の標準形となっている。則ち、等温座標系へのパラメータ変換は主軸変換である。
面素を考えると<math>dS=\lambda^2dtdu</math>と非常に単純な形となるほか、曲面上の角度計算が平面の場合と全く同じ式で与えられることも等温座標系の利点である。
曲面<math>S</math>上の各点<math>\mathrm{P}</math>に対して単位法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>を考える。ベクトル表示の定義域<math>D</math>でベクトル場<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>が連続であるとき、<math>S</math>は'''向き付け可能'''であるという。
向き付け不能な曲面の例として<math>\boldsymbol{r}(t, u)=\begin{pmatrix} (u\cos t+2)\sin 2t \\ (u\cos t+2)\cos 2t \\ u\sin t \end{pmatrix} \quad(D=\left\{ \begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix} \bigg| \begin{array}{c} 0 \leq t \leq \pi \\ -1 \leq u \leq 1 \end{array} \right\})</math>と表される'''メビウスの帯'''が挙げられる。
メビウスの帯が向き付け不能である証明を概説する。
:接ベクトルをそれぞれ求める。簡単のため<math>u=0</math>として考える。単位法線ベクトルは外積を正規化して得るが、向きの取り方で正負の符号が付く。どちらの符号を採用するにしろ<math>\boldsymbol{n}(\boldsymbol{r}(0, 0))\neq\boldsymbol{n}(\boldsymbol{r}(\pi, 0))</math>を得、<math>\boldsymbol{r}(0, 0)=\boldsymbol{r}(\pi, 0)</math>より同じ点に対して異なる法線ベクトルを出力するので<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>はwell-definedではなく、向き付け可能性の定義を満たさない。//
四次元以上の空間では法線ベクトルの方向を複数とれるため法線ベクトル場は扱いにくい。そこで、法線ベクトルに依らない定義を考えたい。
2つの滑らかな曲面<math>S_1, S_2</math>が以下を満たすとき、
#パラメータ<math>(t_1, u_1), (t_2, u_2)</math>の間に滑らかな全単射<math>\begin{cases}t_2 =\phi(t_1, u_1) \\ u_2=\psi(t_1, u_1) \end{cases}</math>が存在する。
#この変数変換のヤコビ行列<math>\frac{\partial{(\phi, \psi)}}{\partial{(t_1, u_1)}}</math>が正則。
#<math>\boldsymbol{r}_1(t_1, u_1)=\boldsymbol{r}_2(t_2, u_2)</math>
この2つは'''パラメータ変換で同値'''という。
このとき、ヤコビアンが正であるパラメータの組は'''同じ向き'''、負であるパラメータの組は'''逆向き'''であるという。
任意の<math>(t_1, u_1)</math>に対して開近傍<math>U \subset \mathrm{dom}S_1</math>をとったとき、どの<math>U</math>上でも<math>\det\frac{\partial{(\phi, \psi)}}{\partial{(t_1, u_1)}}>0</math>を満足するならば<math>S_1</math>は'''向き付け可能'''という。
向き付け可能な曲面の接空間に対して右手系を成すような向きの法線ベクトルを'''外向き法線ベクトル'''と呼ぶ。
外向き法線の向く側を曲面の'''表'''、その反対側を曲面の'''裏'''と定義する。
<math>\partial{S}=\varnothing</math>を満たす正則曲面<math>S</math>を'''閉曲面'''という。ジョルダンの曲線定理を拡張した定理('''ジョルダン・ブラウワーの分離定理''')によって閉曲面が空間を内部・外部に分割することが保証される。内部に面する向きを閉曲面の裏、外部に面する向きを閉曲面の表と定義する。
パラメータ空間の座標軸の向きの組み合わせが<math>xy</math>平面と同じとき、外向き法線で定義される閉曲面の表裏は内部・外部から定義される表裏に一致する。
円錐の方程式・ロドリゲスの回転公式
===種々の曲率===
法曲率・主曲率・平均曲率・全曲率
==直交曲線座標系==
{{節stub}}
===円筒座標系===
平面の座標系として直交座標の他に斜交座標、極座標(円座標)、重心座標などがあったように、空間の座標系も複数通り考えられる。
空間座標を3つの実数の組<math>(r, \theta, z)</math>で表した座標系を'''円筒座標系'''('''円柱座標系'''、cylindrical coordinate system)という。ただし、<math>r</math>は原点からの(符号付き)距離、<math>\theta</math>は基準面に於ける始線からの正の回転角、<math>z</math>は基準面からの高さである。
円筒座標系は、円座標系のrθ平面にz軸方向の次元を加えた3次元空間の座標と考えられる。
そのため、円筒座標系と直交座標系の対応は以下のようになる。
:<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \\ z=z \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2} \\ \theta = \arctan\frac{y}{x} \\ z=z \end{cases}</math>
但し、<math>r</math>は基準面の裏側では負とする。
直交座標のz軸を基に円筒座標系の座標軸を決定する。一般に座標軸は直線とは限らないので、「軸」ではなく「曲線」と呼ぶことにする('''座標線''')。なお、「曲線」という語は一般に「直線」を包含する。
:r曲線:z軸上の点を通りz軸に垂直な半直線。
:θ曲線:z軸を法線とする平面内にあり、中心がz軸上にある円周。
:z曲線:z軸に平行な直線。
ここで、各曲線に沿った微小変化がどのように表されるか見ていく。
<math>\boldsymbol{f}: (r,\theta,z)\to(x,y,z)</math>とする。
<math>\boldsymbol{f}</math>全体の微小変化は全微分<math>d\boldsymbol{f}=\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}</math>で表される。
上で求めた関係式より
:<math>\boldsymbol{f}\begin{pmatrix} r \\ \theta \\ z\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} r\cos\theta \\ r\sin\theta \\ z \end{pmatrix}</math>
なので、
:<math>\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} = \begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial{r}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\cos\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\sin\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}z & \frac{\partial}{\partial{\theta}}z & \frac{\partial}{\partial{z}}z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}</math>
よって
:<math>d\boldsymbol{f}=\begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin \theta \\ 0 \end{pmatrix}dr + \begin{pmatrix} -\sin\theta \\ \cos\theta \\ 0 \end{pmatrix}rd\theta + \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}dz </math>
再右辺の各項を<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>と書くことにすると、<math>|d\vec{r}|, |d\vec{\theta}|, |d\vec{z}|</math>はそれぞれ<math>dr, rd\theta, dz</math>とわかる。<math>r, \theta, z</math>を物理量として捉えたとき<math>d\theta</math>の単位はラジアン(無次元量)であり、<math>rd\theta</math>の単位はメートル(長さの次元1)なので、次元の整合性が取れる。
纏めると以下のようになる。
{| class="wikitable"
| ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_x</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_y</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_z</math>成分 ||style="text-align:center;"| ノルム
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{r}</math> ||style="text-align:center;"| <math>\cos\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>\sin\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>dr</math>
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{\theta}</math> ||style="text-align:center;"| <math>-r\sin\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>r\cos\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>rd\theta</math>
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{z}</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>1</math> ||style="text-align:center;"| <math>dz</math>
|}
ここで<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>は内積を取ればどの組も互いに直交することが容易にわかるので、この3つのベクトルは3次元ユークリッド空間の直交基底である。
そこで、それぞれのベクトルを正規化することで各軸曲線方向の基本ベクトルを得る。
:<math>\boldsymbol{e}_r = \frac{d\vec{r}}{dr} = \cos\theta \boldsymbol{e}_x + \sin\theta \boldsymbol{e}_y</math>
:<math>\boldsymbol{e}_\theta = \frac{d\vec{\theta}}{rd\theta} = -\sin\theta\boldsymbol{e}_x+\cos\theta\boldsymbol{e}_y</math>
:<math>\boldsymbol{e}_z=\frac{d\vec{z}}{dz}=\boldsymbol{e}_z</math>
これを一次変換の形式で表すと
:<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math>
となる。
このときの変換行列を、座標系または基底ベクトルを変換することから'''座標変換行列'''又は'''基底変換行列'''という。場合によっては'''変換テンソル'''とも呼ぶ。
なお、この直交座標⇒円筒座標の座標変換行列は、xyz空間に於けるz軸まわりの回転行列に等しい。
逆基底変換はこの座標変換行列の逆行列を求めれば定式化できる。
回転行列は直交行列なので
:<math>\begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} ^{-1}= {}^t \! \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} </math>
であり、
:<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math>
円筒座標系は、[[電磁気学]]の解析でよく使用される。
例えば、高校物理の公式<math>B(r)=\frac{\mu_0I}{\tau r}</math>は、円筒座標系を知っていれば「電流がz軸に平行であることから磁場はz方向に一葉且つθ方向に回転対称なので、r方向の項のみが寄与する」と理解される。
===極座標系===
高等学校までの地理で習ったように、球面上の位置は緯度<math>\theta</math>と経度<math>\phi</math>で定めることができる。
一般に三次元空間で球面上のある点の座標を定めるには、更に球の中心からの距離<math>r</math>が必要である。
このようにして定められる座標系を'''三次元極座標系'''(polar coordinate system in 3D)または'''球(面)座標系'''(spherical coordinate system)という。
xyz座標空間の点<math>P(x, y, z)</math>の極座標表示を考える。
<math>r=|\vec{OP}|=\sqrt{x^2+y^2+z^2}</math>は容易にわかる。
<math>\theta</math>はz軸からの'''天頂角'''(zenith angle)であり、<math>\vec{OP}</math>のz軸への正射影ベクトルを<math>\vec{OH}=\vec{h}</math>とすると<math>\tan\theta = \frac{|\vec{h}|}{z}</math>が成り立つ。<math>|\vec{h}|=\sqrt{x^2+y^2}</math>より、<math>\theta=\arctan \frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z}</math>である。
<math>\phi</math>はx軸からの'''方位角'''(azimuth angle)であり、<math>P</math>からxy平面に下した垂線の足<math>Q</math>を考えると<math>\tan\phi=\frac{y}{x}</math>とわかる。よって、<math>\phi=\arctan\frac{y}{x}</math>である。
逆に、これを<math>P(x, y, z)</math>に復元することを考える。
<math>\triangle OHP</math>について<math>\angle HOP=\theta</math>なので、<math>z=\overline{OH}=r\cos\theta</math>。
また、<math>\triangle OPQ</math>について<math>\angle OPQ=\theta</math>なので、<math>\overline{OQ}=r\sin\theta</math>。
よって<math>x=\overline{OQ}\cos\phi=r\sin\theta\cos\phi, y=\overline{OQ}\sin\phi=r\sin\theta\sin\phi</math>。
以上を纏めると、直交座標と球面座標の対応関係は
:<math>\begin{cases} x=r\sin\theta\cos\phi \\ y=r\sin\theta\sin\phi \\ z=r\cos\theta \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2+z^2} \\ \theta=\arctan\frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z} \\ \phi=\arctan\frac{y}{x} \end{cases}</math>
一般に緯度は<math>-90^\circ \leqq \theta \leqq 90^\circ</math>、経度は<math>-180^\circ \leqq \phi \leqq 180^\circ</math>の範囲で表される(但し、符号の違いは東⇔西、南⇔北の違いである)。同様に、球面座標の天頂角<math>\theta</math>、方位角<math>\phi</math>は<math>\theta \in [-\frac{\pi}{4}, \frac{\tau}{4}], \phi \in [-\frac{\tau}{2}, \frac{\tau}{2}]</math>で考える。赤道面より下側(すなわち南半球)では<math>\theta<0</math>とする。
直交座標のz軸を基に極座標系の座標線を決定する。
:r曲線:原点を通る半直線。
:θ曲線:原点中心でz軸上の一点から出る半円弧。
:φ曲線:z軸を法線とする平面内でz軸上に中心を持つ円周。
各曲線に沿った微小変化は円柱座標系の場合と同様、ベクトル場の全微分を用いて
:<math>\begin{cases} d\vec{r}= \begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi \\ \cos\theta \end{pmatrix} dr \\ d\vec{\theta}= \begin{pmatrix} \cos\theta\cos\phi \\ \cos\theta\sin\phi \\ -\sin\theta \end{pmatrix}rd\theta \\ d\vec{\phi} = \begin{pmatrix} -\sin\phi \\ \cos\phi \\ 0 \end{pmatrix} r\sin\theta d\phi \end{cases}</math>
と求まる。
これらは(内積の結果から)互いに直交するので、円柱座標の場合と同様の議論により
:<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \sin\theta\sin\phi & \cos\theta \\ \cos\theta\cos\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\theta \\ -\sin\phi & \cos\phi & 0 \end{pmatrix}</math>
と変換テンソルが求まる。
これも直交行列であるので、逆変換テンソルは
:<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \cos\theta\cos\phi & \cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\phi \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \end{pmatrix}</math>
と求まる。
球面座標系は、[[力学]]の解析でよく使用される。
例えば、赤道平面における角運動量保存則は<math>mr^2\frac{d\phi}{dt}=\mathrm{const}.</math>と表示されるが、これはz軸方向の角運動量を球面座標系の演算により取り出したものである。
球面座標系は特に機械制御に応用されている。
円柱座標系・球面座標系ともに各基底ベクトルが互いに直交しているので、そのことを明示して(且つ通常の直交座標系と区別して)'''直交曲線座標系'''(orthogonal curvilinear coordinate system)と呼ぶ場合がある。直交曲線座標系には、他にも放物柱座標系や楕円座標系などがある。
===円環座標系===
===双極座標系===
===回転放物面座標===
===放物柱座標===
===回転楕円面座標===
===楕円柱座標===
===楕円体座標===
==空間微分==
===勾配===
===発散===
===回転===
===ラプラシアン===
==空間積分==
===線積分===
===面積分===
===体積分===
===ガウスの発散定理===
===ストークスの定理===
===グリーンの定理===
==発展事項==
{{節stub}}
{{Advanced|多様体論}}
{{Advanced|微分幾何学}}
{{Advanced|積分幾何学}}
===体積分再考===
体積分は先程「<math>\mathbb{R}^3</math>上の閉立体<math>V</math>」上で考えたが、実はここには線積分・面積分との大きな非対称性がある。
線積分は「曲線」、面積分は「曲面」を積分領域としたが、先程定義した体積分の積分領域は「平坦な立体」なのである(二次元で例えば楕円領域<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\leq1</math>は境界こそ"曲線"だが空間そのものは<math>\mathbb{R}^2</math>という"平面"であることと同じ)。
1次元の曲がった空間である曲線<math>M^1:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>が<math>\mathbb{R}^2</math>内、2次元の曲がった空間である曲面<math>M^2:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t)</math>が<math>\mathbb{R}^3</math>内に存在するように、3次元の曲がった空間である曲立体<math>M^3:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t, u)</math>は<math>\mathbb{R}^4</math>内に存在すると考えるのが自然である。ここで一般に<math>M^n\subset\mathbb{R}^{n+1}</math>が成り立つと予想され、この関係を「<math>M^n</math>の<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>への'''埋め込み'''」と呼ぶことにする。
線積分を<math>M^1</math>、面積分を<math>M^2</math>で定義したように、体積分を<math>M^3</math>で定義することを考える。
媒介変数空間<math>\begin{pmatrix} s \\ t \\ u \end{pmatrix} \in V \subset\mathbb{R^3}</math>上の微小変化を考えると全微分を用いて
:<math>d\boldsymbol{r}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>
よって<math>V</math>上の微小立方体<math>dsdtdu</math>は3ベクトル<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>の張る微小平行六面体へ移される。
体素はこの微小平行六面体の体積と考えられるが、<math>\boldsymbol{r}\in\mathbb{R}^4</math>より当然この3ベクトルは4項ベクトルなので、'''外積を含んでいるスカラー三重積は使えない'''。
全微分を一次変換表記すると
:<math>d\boldsymbol{r}=\begin{pmatrix} \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
:<math>=\begin{pmatrix} \frac{\partial{x}}{\partial{s}} & \frac{\partial{x}}{\partial{t}} & \frac{\partial{x}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{y}}{\partial{s}} & \frac{\partial{y}}{\partial{t}} & \frac{\partial{y}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{z}}{\partial{s}} & \frac{\partial{z}}{\partial{t}} & \frac{\partial{z}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{w}}{\partial{s}} & \frac{\partial{w}}{\partial{t}} & \frac{\partial{w}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
:<math>=\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
ここでヤコビ行列は<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\in\mathbb{R}^{4\times3}</math>であって'''正方行列でないので行列式も求まらない'''。
そこで、[[線型代数学続論/種々の行列#随伴行列|グラム行列]]を利用することを考える。
'''グラム行列は必ず半正定値行列'''なので行列式は非負であり、平方根をとれる。
そのため、<math>\mathbf{G}:=\left(\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\right)^*\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>として<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を体積拡大率とする。
これは正方行列ならヤコビアンの絶対値に一致する。
{{NavTop|title=補足:体積拡大率に一致する証明}}
:<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>の列ベクトルにグラム=シュミットの直交化法を適用すると[[線型代数学続論/行列分解|QR分解]]によって
:<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}=\mathbf{QR}\quad (\mathbf{Q}\in\mathbb{R}^{4\times3}, \mathbf{R}\in\mathbb{R}^{3\times3})</math>
よって
:<math>\mathbf{G}=(\mathbf{QR})^*\mathbf{QR}</math>
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{Q}^*\mathbf{Q}\mathbf{R}</math>
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{E}_3\mathbf{R}</math>(<math>\because\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列)
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{R}</math>
:<math>\therefore \sqrt{\det\mathbf{G}}=\sqrt{\det\left( \mathbf{R}^*\mathbf{R} \right)}=\sqrt{\left(\det\mathbf{R}\right)^2}=|\det\mathbf{R}|</math>
<math>\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列なのでその一次変換は等長変換であり、全微分による拡大率は<math>\mathbf{R}</math>による拡大率と一致する。<br/>
則ち、<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を拡大率としてとれる。//
{{NavBottom}}
よって体積分は
:<math>\iiint_{M^3} f(\boldsymbol{r})dM^3 = \iiint_{V} f(\boldsymbol{r}(s, t, u))\sqrt{\det\mathbf{G}}\,dsdtdu</math>
ここから、適切な媒介変数表示が存在するならば<math>M^n</math>上での体積分の計算に<math>\mathbb{R}^{n+1}\setminus M^n</math>の情報は入ってこず、<math>M^n</math>の情報のみで計算されると予想される。
実際、<math>M^n</math>に適切な媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})\quad(\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n)</math>が存在するとき、全微分による一次変換の拡大率は同様にグラム行列式の平方根で与えられるので体積素は<math>dM^n = \sqrt{\det\mathbf{G}} \prod_{k=1}^{n}d\boldsymbol{p}_k</math>と書け、これは正しい。
実は、体素だけでなく一般に角度や長さといった幾何学的な量は埋め込み先である<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>の情報を全く必要とせず、<math>M^n</math>の情報だけで構成できることが知られている。このことは微分幾何学のうち[[w:リーマン幾何学|リーマン幾何学]]と呼ばれる分野で詳しく扱われる。
ここまで<math>M^n</math>を適切な媒介変数<math>\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n</math>で表すことを強調してきたが、媒介変数表示を考えるということは<math>M^n</math>から媒介変数空間<math>U\subset\mathbb{R}^n</math>への射影<math>\pi:M^n\to U</math>を考えるということである。
ここで、この<math>\pi</math>が全単射ならば逆向きの射影<math>\pi^{-1}:U\to M^n</math>が存在してそれが媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})</math>となるわけであるが、これは以下のようにも捉えられる。
:<math>\pi</math>によって射影した平坦な空間で座標を設定すると、'''適切な逆変換<sup>※</sup>によって曲がった空間<math>M^n</math>上に(局所)座標系を与えることができる'''。
つまり、体積分を媒介変数空間に置換積分するということは、逆に体積分の元の表示が「<math>M^n</math>上の局所座標系に於ける積分」であることを示している。
※この適切な逆変換が存在する条件は'''陰関数定理そのもの'''である。
ここで、適切な媒介変数表示が存在するよう<math>M^n</math>に制限を課したものが、以下で扱う'''多様体'''である。
===多様体===
===微分形式===
[[線型代数学続論/外積代数]]も参照。
===リーマン計量===
===テンソル解析===
[[線型代数学続論/テンソル代数]]も参照。
===複素ベクトル解析===
[[複素解析学]]も参照。
{{DEFAULTSORT:へくとるかいせき}}
[[Category:解析学]]
[[Category:微分積分学]]
[[Category:ベクトル解析|かいせきかくきそ]]
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2026-09-29T00:18:23Z
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/* 曲線 */
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wikitext
text/x-wiki
{{Pathnav|数学|解析学|解析学基礎|frame=1}}
{{wikipedia|ベクトル解析}}
ここでは、ベクトル解析について解説する。[[物理数学I ベクトル解析]]も参照。
==前提知識==
ここでは、実数のみで考える。
===ベクトル===
[[高等学校数学C/ベクトル]]、[[線型代数学/ベクトル]]、[[解析学基礎/ベクトル]]などを参照。本項では、矢印を付した表記(<math>\vec{a}</math>など)と太字斜体による表記(<math>\boldsymbol{x}</math>など)を混用する。
===行列===
[[高等学校数学C/数学的な表現の工夫]]及び[[線形代数学]]・[[線型代数学続論]]の各ページを参照。本項では大文字の太字立体(<math>\mathbf{A}</math>など)で表記する。
===多変数解析===
[[解析学基礎/多変数関数の微積分]]を参照。
===領域===
<math>D\subset\mathbb{R}^n</math>と点<math>\boldsymbol{a}\in D</math>(位置ベクトル表記なので太文字斜体)に対し、集合<math>B_\varepsilon(\boldsymbol{a}) := \{ \boldsymbol{x} \in D \mid \| \boldsymbol{x} - \boldsymbol{a} \|<\varepsilon \}</math>を点<math>\boldsymbol{a}</math>の'''<math>\varepsilon</math>-開球'''という。不等号を<math>\leqq</math>に変えたときは開区間↔閉区間と同様に'''閉球'''と呼ぶ。このとき、<math>D</math>のように<math>\mathbb{R}^n</math>の部分集合であって<math>\varepsilon</math>-開球を含むものを点<math>\boldsymbol{a}</math>の'''<math>\varepsilon</math>-開近傍'''と呼ぶ。閉球を含むときは同様に'''閉近傍'''と呼ぶ。
<math>\forall \boldsymbol{a} \in U, \exist \varepsilon>0, B_\varepsilon(\boldsymbol{a})\subset U</math>を満たす<math>U\subset\mathbb{R}^n</math>を'''開集合'''と呼び、<math>V=\mathbb{R}^n\setminus U</math>を'''閉集合'''と呼ぶ。
注意点として、開集合と閉集合は排反ではない。則ち「開集合且つ閉集合」である集合が存在し(例えば<math>\mathbb{R}, \varnothing</math>)、「開集合でも閉集合でもない」集合も存在する(例えば<math>[0, 1)</math>)。
<math>M\subset\mathbb{R}^n</math>を含む最小の閉集合を<math>M</math>の'''閉包'''と呼び、<math>M^-, \bar{M}, \mathrm{Cl}(M)</math>などと表す。例えば有理数の稠密性より<math>\mathbb{Q}^-=\mathbb{R}</math>である。
閉包の性質として「閉包=集合の内部と境界の和集合(<math>M^- = \mathrm{Int}(M) \cup \partial{M}</math>)」がある。
集合<math>S\subset\mathbb{R}^n</math>に対して以下を満たす<math>\mathbb{R}^n</math>上開集合の組<math>(G_1, G_2)</math>が'''とれない'''とき、
#<math>G_1 \cap S = \varnothing \land G_2 \cap S = \varnothing</math>
#<math>S = (G_1 \cap S) \sqcup (G_2 \cap S)</math>
「<math>S</math>は'''連結'''である」または「<math>S</math>は'''連結集合'''」という(但し、<math>\sqcup</math>は[[w:非交和|非交和]])。
空でない開連結集合を'''領域'''という。
実は、高校数学や1年次の解析学で扱ってきた「領域」はこの定義を満たしていないことが多かった。これは、「領域」の歴史的な用法では「条件の解集合」という意味であって開性や連結性を要求しなかったためである。しかし、本項を含めた以降に登場する数学ではこの定義を満たしていることが前提条件となる。なお、ややこしいことに「積分領域」は従来通り「その上で積分を行う集合」という緩い意味で使われることが多いので、区別が必要である。
===右手系===
三次元空間の正規直交基底を<math>(\boldsymbol{e}_1, \boldsymbol{e}_2, \boldsymbol{e}_3)</math>と置く。螺子を<math>\boldsymbol{e}_1\to\boldsymbol{e}_2</math>の向きに回すと<math>\boldsymbol{e}_3</math>の正方向に進むように3つの軸をとった系を'''右手系'''という。負方向に進むようにとったものを'''左手系'''という。数学・物理に限らず理数系の約束事として、'''三次元空間は必ず右手系で考える'''という暗黙の了解が存在するので覚えておこう。
右手系・左手系は基底の一部または全ての符号を反転することで変換することができる。一つだけを反転する場合は'''鏡像変換'''、二つだけを反転する場合は'''半回転'''、全てを反転する場合は'''空間反転'''と呼ぶ。
外積の結果として得るベクトルは右手系・左手系のどちらを考えるかで向きが変わる。このように、右手系↔左手系の変換で向きが変わるベクトルを'''軸性ベクトル'''という。
系の取り方で向きが変わるということは基底の係数である'''成分は不変量'''である。つまり、観測者の動きにベクトルが追従し、このベクトルは「物理的な実体を有しているのではなく計算の都合上向きが定められた便宜的な(=観測者が勝手に決めた)ベクトル」ということである。そのため、軸性ベクトルは'''擬ベクトル'''(シュードベクトル)とも呼ばれる。
位置や速度、加速度のような右手系・左手系のどちらを考えても同じ向きを向くベクトルを'''極性ベクトル'''という。座標系を取り換えても向きが維持されるため'''成分は座標変換に応じて変化する'''。これは、「観測の仕方によって起こる現象は変わらない」ということである。つまり擬ベクトルに対し、極性ベクトルは'''物理的実体を有するベクトル'''である。
偶奇と同じように軸性・極性にも外積を通じた相互関係が存在する。
:(軸性)×(軸性)=(軸性)
:(軸性)×(極性)=(極性)
:(極性)×(極性)=(軸性)
==基礎事項==
===ベクトル関数===
関数<math>\boldsymbol{f} (x) = \sum_{i} f_i(x) \boldsymbol{e}_i</math>を'''ベクトル(値)関数'''(vector-valued function, vector function)という。
ただし、各<math>\boldsymbol{e}_i</math>は各座標軸方向の単位ベクトルであり、<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の定義域は各<math>f_i(x)</math>の定義域の積集合である。
ベクトルの演算が成分ごとの演算結果を並べたベクトルで定義されたように、ベクトル関数の演算は(結果となる値が存在するならば)各成分の演算結果を並べたベクトルに等しい。これはベクトルの線型性による。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \cos x \\ \sin x \end{pmatrix}</math>の<math>x\to0</math>の極限は、
:<math>\lim_{x\to0} \boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \lim_{x\to0} \cos x \\ \lim_{x\to0} \sin x \end{pmatrix}</math> (<math>\because</math>線型性)
:<math>=\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>=\boldsymbol{e}_x</math>
と求まる。
このとき、<math>\boldsymbol{e}_x</math>を<math>\begin{pmatrix} \cos x \\ \sin x \end{pmatrix}</math>の<math>x\to0</math>に於ける'''極限ベクトル'''という。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>x=\alpha</math>で連続であるとは<math>\lim_{x\to\alpha}\boldsymbol{f}(x)=\boldsymbol{f}(\alpha)</math>が成立することであり、区間<math>I</math>で連続であるとは<math>\forall \alpha \in I</math>で連続であることである。
また、ベクトル関数の導関数<math>\boldsymbol{f}'(x)</math>は
:<math>\frac{d}{dx} \boldsymbol{f} (x) = \frac{d}{dx} \left( \sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i \right)</math>
:<math>= \sum_i \left( \frac{d}{dx} f_i (x) \boldsymbol{e}_i \right)</math>(<math>\because</math>線型性)
:<math>= \begin{pmatrix} f'_1(x) \\ f'_2(x) \\ \vdots \\ f'_i(x) \\ \vdots \end{pmatrix}</math>
である。
この結果は、ベクトル関数に於ける導関数の正式な定義 <math>\lim_{h\to0} \frac{\boldsymbol{f}(x+h) - \boldsymbol{f}(x)}{h}</math>からも導かれる。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>x=\alpha</math>で微分可能であるとは極限値<math>\boldsymbol{f}'(\alpha)=\lim_{x\to\alpha}\frac{\boldsymbol{f}(x)-\boldsymbol{f}(\alpha)}{x-\alpha}</math>が存在することであり、区間<math>I</math>で微分可能であるとは<math>\forall \alpha \in I</math>で微分可能であることである。
高階導関数・高階微分可能も同様にして定義される。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が区間<math>I</math>で連続ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^0</math>級であるといい、<math>\boldsymbol{f}\in C^0(I)</math>と書く。<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>I</math>で微分可能で<math>\boldsymbol{f}'(x)\in C^0(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^1</math>級である(一階連続微分可能)といい、<math>\boldsymbol{f}\in C^1(I)</math>と書く。<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>I</math>で二階微分可能で<math>\boldsymbol{f}'\in C^1(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^2</math>級である(二階連続微分可能)といい、<math>\boldsymbol{f}\in C^2(I)</math>と書く。同様にして順々に<math>C^k</math>級が定義され、<math>\forall k \in \mathbb{N}, \boldsymbol{f}\in C^k(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>で<math>C^\infty</math>級(無限階連続微分可能)であるといい、<math>\boldsymbol{f}\in C^\infty(I)</math>と書く。<math>C^\infty</math>級である関数を'''滑らかな'''関数ともいう。
高校数学や高校物理で扱った平面(<math>\mathbb{R}^2</math>)上の運動は、実は2項ベクトル関数の理論に他ならない。
例えば、平面上の運動に於ける加速度・速度・変位の関係は<math>\boldsymbol{x}(t)= \begin{pmatrix} f(t) \\ g(t) \end{pmatrix}</math>として<math>\boldsymbol{a}(t) = \frac{d}{dt}\boldsymbol{v}(t) = \frac{d^2}{dt^2} \boldsymbol{x}(t)</math>と表すことができる。
曲線の媒介変数表示は、パラメータを変数とするベクトル関数とみることができる。
例えば、円の媒介変数表示<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \end{cases}</math>は、<math>\boldsymbol{r}(\theta) = r\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix}</math>という2次元ベクトル関数とみることができる。更に<math>\theta=\omega t</math>とすると、これは等速円運動の式である。
1変数ベクトル関数の微分に関して、以下の公式が成り立つ。
#定数倍の導関数:<math>\{k\boldsymbol{a}(x)\}'=k\boldsymbol{a}'(x)</math>
#和・差の導関数:<math>\{ \boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x) \}' = \boldsymbol{a}'(x)\pm\boldsymbol{b}'(x)</math>
#積の導関数:<math>\{ f(x)\boldsymbol{a}(x) \}' = f'(x)\boldsymbol{a}(x)+f(x)\boldsymbol{a}'(x)</math>
#商の導関数:<math>\left\{ \frac{\boldsymbol{a}(x)}{f(x)} \right\}' = \frac{f(x)\boldsymbol{a}'(x)-f'(x)\boldsymbol{a}(x)}{\{f(x)\}^2} \quad (f(x)\neq0)</math>
#内積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x)</math>
#外積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x)</math>
#スカラー三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math>
#ベクトル三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math>
#連鎖律(チェイン・ルール):<math>[\boldsymbol{a}\{f(x)\}]'=\boldsymbol{a}'\{f(x)\}f'(x)</math>
ベクトル関数の'''ノルム'''(大きさ、長さ)は、通常のベクトルと同様に
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)} = \sqrt{\sum_{i} \{f_i (x)\}^2}</math>
で与えられる。
つまり、ノルムは元のベクトル関数と同一変数のスカラー関数である。
ここで、このスカラー関数が定数関数である条件に就て見てみよう。
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= c \quad (c\in\mathbb{R}_{>0})</math>の両辺を2乗して
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2 = \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x) = c^2</math>
:両辺微分すると内積の微分より
:<math>\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math>
:<math>\therefore \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math>
:逆に、
:<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0 \iff 2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=0</math>
:<math>\int \{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'dx= \int 0 dx</math>
:<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)=C_1</math>(<math>C_1\geq0</math>は積分定数)
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2=C_1</math>より
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{C_1} = \mathrm{const}.</math>
よって、以下が成り立つ。
{{定理|(直交条件の定理)}}
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= \mathrm{const}. \iff \boldsymbol{f}(x) \cdot \boldsymbol{f}'(x) = 0</math>
{{定理終わり}}
これは、物理的には「位置ベクトルと速度ベクトルが直交する」ことを表す。則ち、<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の終点が始点を中心とする円運動(球面運動)をするということである。
また、ベクトル関数が変数に依らず常に同一方向を向く条件も見てみよう(但し<math>\boldsymbol{f}(x)\neq\boldsymbol{0}</math>)。
:所与の条件は零ベクトルでない定ベクトル<math>\boldsymbol{c}</math>を用いて<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x)\boldsymbol{c}</math>と表される。
:両辺微分して<math>\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}=f'(x)\boldsymbol{c}</math>
:ここで元のベクトル関数との外積をとると
:<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}\times\{f'(x)\boldsymbol{c}\}=f(x)f'(x) (\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{c})=f(x)f'(x)\boldsymbol{0}=\boldsymbol{0}</math>
:逆に、
:<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{0}</math>とすると一次従属なので
:<math>\boldsymbol{f}'(x)=g(x)\boldsymbol{f}(x)</math>という微分方程式が成り立つ。
:各成分ごとに微分方程式を解くと、
::これは変数分離型微分方程式なので第i成分は
::<math>\frac{df_i}{dx}=g(x)f_i(x)</math>
::<math>\int \frac{df_i}{f_i(x)}=\int g(x)dx</math>
::<math>G'(x)=g(x), C_i</math>を積分定数として<math>\log|f_i(x)|=G(x)+C_i</math>
::<math>C_i=\pm e^{C_i}</math>と改めておくと<math>f_i(x)=C_i e^{G(x)}</math>
:よって
:<math>\boldsymbol{f}(x)=\sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i = \sum_i C_i e^{G(x)} \boldsymbol{e}_i = e^{G(x)} \sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math>
:ここで<math>f(x)=e^{G(x)}, \boldsymbol{c}=\sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math>と置くと
:<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x) \boldsymbol{c}</math>となり、方向は変数に依らず一定であることが判る//
よって、以下が成り立つ。
{{定理|(平行条件の定理)}}
<math>\boldsymbol{c},\boldsymbol{f}(x)\neq\boldsymbol{0}</math>として
:<math>\boldsymbol{f}(x)=f(x)\boldsymbol{c} \iff \boldsymbol{f}(x) \times \boldsymbol{f}'(x) = \boldsymbol{0}</math>
{{定理終わり}}
ベクトル解析では三次元空間の場合を考えることが多いため上では外積を用いて証明したが、外積は3項ベクトル(または7項ベクトル)にしか定義されないのであった。
一般次元では外積に代わって次の関係式を用いる。
:<math>|\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)|=\|\boldsymbol{f}(x)\|\|\boldsymbol{f}'(x)\|</math>
これはCS不等式の等号成立の場合である。
実際、<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\|\boldsymbol{f}(x)\|\|\boldsymbol{f}'(x)\|\cos\{\theta(x)\}</math>より等号成立の必要十分条件は
:<math>\cos\{\theta(x)\}=\pm1\iff\theta(x) \equiv 0 \,(\mathrm{mod}\pi)</math>
であり、2ベクトル<math>\boldsymbol{f}(x), \boldsymbol{f}'(x)</math>は平行とわかる。<br/>
平行ということは一次従属ということなので先程のように変数分離形微分方程式を解くことで3次元と同じ結果を得る。//
補足として、力学への応用を考える。
:速さの二乗<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|^2</math>を時間微分すると
:<math>\frac{d}{dt}\|\boldsymbol{v}(t)\|^2=\frac{d}{dt}(\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{v}(t))=\frac{d\boldsymbol{v}(t)}{dt}\cdot\boldsymbol{v}(t)+\boldsymbol{v}(t)\cdot\frac{d\boldsymbol{v}(t)}{dt}=2(\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{a}(t))</math>
:よって等速運動の条件<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|=\mathrm{const}.</math>は直交条件の定理から<math>\boldsymbol{v}(t)\perp\boldsymbol{a}(t)</math>に同値である。
:これを力学的に解釈すると、「加速度ベクトルは速度ベクトル方向に仕事をしないから速度ベクトルの大きさを変えずに向きだけを変える」となる。
:平面上で等速円運動を考えると円運動条件から<math>\boldsymbol{r}(t)\perp\boldsymbol{v}(t)</math>、等速条件から<math>\boldsymbol{v}(t)\perp\boldsymbol{a}(t)</math>なので<math>\boldsymbol{r}(t) /\!/ \boldsymbol{a}(t)</math>が出てくる。
:円運動条件<math>\|\boldsymbol{r}(t)\|^2=r^2</math>を一階微分すると
::<math>2\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{r}'(t)=0</math>
:もう一度微分して
::<math>2(\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{r}''(t)+\boldsymbol{r}'(t)\cdot\boldsymbol{r}'(t))=0</math>
:則ち
::<math>\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{a}(t)+\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{v}(t)=0</math>
:位置ベクトルと加速度ベクトルが一次従属なので<math>\boldsymbol{a}(t)=\lambda\boldsymbol{r}(t)</math>であり、等速条件より<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|=v</math>なので
::<math>\lambda r^2 + v^2 = 0</math>
::<math>\therefore \lambda = -\frac{v^2}{r^2}<0</math>
:則ち<math>\boldsymbol{r}(t)</math>と<math>\boldsymbol{a}(t)</math>は逆向きであり、円運動の中心は<math>\boldsymbol{r}(t)</math>の始点なので<math>\boldsymbol{a}(t)</math>は常に円運動の中心を向く'''向心加速度'''であることが証明された。//
なお、3次元以上では「<math>\boldsymbol{a}\perp\boldsymbol{b}\land\boldsymbol{b}\perp\boldsymbol{c}\implies\boldsymbol{a}/\!/\boldsymbol{c}</math>」が一般には成り立たないのでこの議論を成立させるには追加の条件が必要である。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の不定積分は、各<math>f_i(x)</math>の原始関数を並べたベクトルを<math>\boldsymbol{F}(x)</math>として
:<math>\int \boldsymbol{f}(x) dx = \boldsymbol{F}(x)+\boldsymbol{C}</math>(<math>\boldsymbol{C}</math>は各積分定数を並べたベクトル)
と表される。
また、定積分は
:<math>\int^b_a \boldsymbol{f}(x) dx=\boldsymbol{F}(b)-\boldsymbol{F}(a)</math>
と表される。
1変数ベクトル関数の積分について、以下が成り立つ(不定積分表記だが定積分に就ても同様)。
#定数倍の原始関数:<math>\int \{k\boldsymbol{a}(x)\} dx = k\int\boldsymbol{a}(x)dx</math>
#和・差の原始関数:<math>\int \{\boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x)\}dx=\int\boldsymbol{a}(x)dx\pm\int\boldsymbol{b}(x)dx</math>
#内積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \cdot \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math>
#外積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\times\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \times \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math>
#スカラー倍の部分積分:<math>\int f(x)\boldsymbol{a}'(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f'(x)\boldsymbol{a}(x) dx \iff \int f'(x)\boldsymbol{a}(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f(x)\boldsymbol{a}'(x) dx</math>
#内積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}dx</math>
#外積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}dx</math>
#置換積分:<math>u=f(x)</math>として<math>\int \boldsymbol{a}'\{f(x)\}f'(x) dx = \int \boldsymbol{a}(u)du</math>
平行条件の定理の証明でベクトル関数の微分方程式を解いたように、成分毎に考えることで解空間ベクトルを求められる。
:1階線型常微分方程式<math>\boldsymbol{f}'(x)+a(x)\boldsymbol{f}(x)=\boldsymbol{b}(x)</math>の解に就て考える。
:第<math>i</math>成分を考えると<math>f'_i(x)+a(x)f_i(x)=b_i(x)</math>という1階線型常微分方程式を得るので、
:両辺に積分因子<math>\mu(x)=\exp\left(\int a(x) dx\right)</math>を掛けることで
:<math>f_i(x)=\frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\}</math>を得る。
:よって一般解は
:<math>\boldsymbol{f}(x) = \sum_i \frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\} \boldsymbol{e}_i=\frac{1}{\mu(x)}\left\{ \int \mu(x) \boldsymbol{b}(x) dx + \boldsymbol{C} \right\}</math>
ベクトル関数は必ずしもここで扱った<math>\boldsymbol{f}: \mathbb{R}\to\mathbb{R}^n</math>のみを指さない。
例えば、ベクトル変数 <math>\boldsymbol{x}= \sum_i g_i (x) \boldsymbol{e}_i</math>に対して
:<math>\boldsymbol{h}(\boldsymbol{x})=\sum_i (h_i \circ g_i) (x) \boldsymbol{e}_i</math>
と定義されるような関数<math>\boldsymbol{h}:\mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^m</math>もベクトル関数である。
また、始域と終域の次元が異なる<math>\boldsymbol{i}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n \, (m, n\neq1)</math>のようなベクトル関数も考えられる。
一般に、始域が<math>\mathbb{R}^n (n\neq1)</math>であっても終域が<math>\mathbb{R}</math>である関数はベクトル関数に対して'''スカラー関数'''(scalar function)と呼ばれる。スカラー関数は入力ベクトルを「変数の組」と見れば通常の多変数関数に一致する。
この節で述べた理論は、多くは一般のベクトル関数に対しても成り立つ。但し、後述のヤコビ行列のような拡張を必要とするものもある。
また、多変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{f}(x_1, x_2,\cdots,x_n)</math>を考えたとき、多変数微積分の理論は一変数微積分と同様にしてベクトル関数にもそのまま拡張される。
===ベクトル場・スカラー場===
写像<math>\boldsymbol{a}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n</math>を'''ベクトル場'''(vector field)という。
実際には<math>m=n</math>の場合を考えることが多い。
写像<math>\varphi: \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}</math>を'''スカラー場'''(scalar field)という。
それぞれ上で述べたベクトル関数・スカラー関数に対応する。
もう少し具体的に述べると、空間の領域<math>V</math>が与えられたときその各点にスカラーまたはベクトルを割り当てたものが場である。要するに、<math>p\in V</math>とすると
:スカラー場:<math>\varphi=\varphi(p)</math>
:ベクトル場:<math>\boldsymbol{a}=\boldsymbol{a}(p)</math>
のように場は「点を入力とする<sup>※</sup>関数」である。
<small>※なお、ベクトル場を図示するときは「出力されたベクトルの'''始点は原点でなく入力された点'''」であることに注意が必要である。出力ベクトルの成分表示は「入力点を基準に据えたときの位置ベクトル」なので原点から目盛を数えることに意味はない。</small>
ここで<math>V</math>に何かしらの座標が設定されていれば、その座標系の変数の組をベクトルと見做すことで場を「通常のスカラー関数・ベクトル関数」として扱えるのである。
則ち、「滑らかな場」という概念は「滑らかな関数」として定義することができる。より具体的に言うと、スカラー場・ベクトル場が'''滑らか'''であるとは対応するスカラー関数・ベクトル関数が<math>C^\infty</math>級であることである。但し、滑らかさは任意の座標変換で保たれるわけではないことに注意が必要である(後述の座標変換テンソル及びその逆行列の全ての成分関数が滑らかである必要がある)。
ここで、二変数関数の極値を思い返してみる。
<math>z=f(x, y)</math>が<math>(a, b)</math>で極大であるとは<math>\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}\neq\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}</math>として
:<math>\exist \delta>0, \forall {\scriptstyle\left(\begin{array}{c} x \\[-6pt] y \end{array}\right)} \in \mathbb{R}^2, {\scriptstyle\left\| \left(\begin{array}{c} x \\[-6pt] y \end{array}\right) - \left(\begin{array}{c} a \\[-6pt] b \end{array}\right) \right\|} < \delta \implies f(x, y) \leq f(a, b)</math>
という定義だった。
<math>z=f(x, y)</math>は曲面を表すが、これを<math>z</math>軸正方向から<math>xy</math>平面に射影するとその陰が<math>(x, y)</math>の動く範囲となるのであった。
ここで<math>\boldsymbol{x}:=\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}, \boldsymbol{\alpha}:=\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}</math>とすると<math>z=f(x, y)</math>はスカラー場<math>z=\phi(\boldsymbol{x})</math>と解釈することができ、更に条件法の前件は<math>\boldsymbol{\alpha}</math>の<math>\delta</math>-開球(二次元なので開円板)である。
なので、極大値の定義式をベクトル解析的に解釈すると「<math>xy</math>平面の各点に<math>z</math>の値を割り当てた数分布に於いて、開円板<math>B_\delta(\boldsymbol{\alpha})</math>内部に於ける<math>z</math>の最大値が<math>\phi(\boldsymbol{\alpha})</math>となるような正数<math>\delta</math>が存在する」ということである。
ベクトル場の例としては、電場・磁場・重力場などが挙げられる。
スカラー場の例としては、電位分布・温度分布・圧力分布などが挙げられる。
例えば、ベクトル場<math>\boldsymbol{f}=(x, 0, 0)</math>は、<math>\mathbb{R}^3</math>内の平面<math>x=k</math>上の任意点に、その点を始点とするベクトル<math>\begin{pmatrix} k \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}</math>が存在する状態を表す。
ベクトル場の和は、出力ベクトルの型が同じならばベクトル場の成分の和をとったものに等しい。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x, y, z)=(y, z, x), \boldsymbol{g}(x, y, z)=(z, x, y)</math>について
:<math>(\boldsymbol{f}+\boldsymbol{g})(x, y, z)=(y, z, x)+(z, x, y)=(y+z, z+x, x+y)</math>である。
これは、ベクトル場の加法の定義が
:<math>\forall p \in V, (\boldsymbol{f}+\boldsymbol{g})(p):=\boldsymbol{f}(p)+\boldsymbol{g}(p)</math>
となっていて且つ<math>V</math>に座標を入れればベクトル関数の加法則をそのまま適用できるためである(入力点が異なるとき、場同士は足すことができない)。
曲線<math>\{\boldsymbol{x}\in\mathbb{R}^2 \mid \varphi(\boldsymbol{x})=\mathrm{const}.\}</math>を'''等高線'''(等高曲線)、曲面<math>\{\boldsymbol{x}\in\mathbb{R}^3 \mid \varphi(\boldsymbol{x})=\mathrm{const}.\}</math>を'''等位面'''(等位曲面)という。これらの詳細は後述する。
==曲線論・曲面論==
===曲線===
<math>xy</math>平面上の曲線は<math>y=f(x) (x\in[a, b])</math>という陽関数表示で扱うことが多かった。しかし、これだと自分自身と交わる('''自己交叉'''する)曲線や<math>x=x_0</math>に対して<math>f(x_0)</math>の値が複数存在する(<math>f</math>が'''多価関数''')場合に不都合が生じる。
例えば円を陽関数表示しようとすると
:<math>x^2+y^2=r^2</math>を<math>y</math>に就いて解いて
:<math>y=\pm\sqrt{r^2-x^2}</math>
則ち
:<math>y=\begin{cases} \sqrt{r^2-x^2} & (y\geq0) \\ -\sqrt{r^2-x^2} & (y<0) \end{cases}</math>
という多価関数が必要になる。
これだと端点の振舞を一々調べる必要があって曲線の連続性や接線の議論が煩雑になってしまう。
しかし、先程も述べたように曲線の媒介変数表示はベクトル関数として見れるのであった。
:<math>\boldsymbol{r}(\theta) = r\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix}</math>(再掲)
こうすると一変数連続ベクトル関数によって曲線を表すことが可能である。物理的に捉えると「質点の運動の軌跡を原点からの位置ベクトルの時間変化で表す」ということである。
一般に、<math>\boldsymbol{r}\in\mathbb{R}^n, t \in I</math>としてベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>の解集合<math>\{\boldsymbol{r}(t) \mid t \in I \}</math>は<math>n</math>次元空間内の曲線<math>C</math>を表す。これを<math>C</math>の'''ベクトル表示'''という。
ベクトル表示は成分表示に直せば<math>\boldsymbol{r}(t)=\sum_i r_i(t)\boldsymbol{e}_i</math>となる。これは媒介変数表示<math>\begin{cases} x_1&=&r_1(t) \\ x_2&=&r_2(t) \\ &\,\,\vdots& \\ x_n&=&r_n(t) \end{cases}</math>をベクトル表記したものに一致する。
例えば、<math>\boldsymbol{r}(t)=\begin{pmatrix} a\cos t \\ a\sin t \\ bt \end{pmatrix}</math>は'''常螺旋'''(弦巻線)のベクトル表示である。
パラメータが増加するときの点の移動方向を曲線の'''正の向き'''と定める。曲線の'''負の向き'''はパラメータが減少するときの点の移動方向である。このとき、パラメータで'''向き付け'''された曲線という表現もなされる。曲線<math>C</math>に対し、同じパラメータを用いた逆向きの曲線を<math>-C</math>と表す。ベクトル表示では<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に対して<math>-C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(-t)</math>ということである。
パラメータに関する変数変換<math>u=\phi(t)</math>を考える。但し、<math>\phi</math>は広義単調関数とする<sup>※</sup>。このとき、<math>\frac{du}{dt}</math>が非負ならば曲線の向き付けが保たれ、非正ならば向き付けが反転する。<math>\frac{du}{dt}=0</math>となる領域では点の運動が停止する。
<small>※<math>\phi</math>が非単調関数のときは曲線上の点が行ったり来たりすることになるため曲線のパラメータ表示としては扱いづらい。</small>
<math>\boldsymbol{r}(t) \in C^1</math>且つ<math>\boldsymbol{r}'(t)\neq\boldsymbol{0}</math>であるとき、曲線<math>C</math>は'''滑らか'''であるという。
滑らかな曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に対して<math>\boldsymbol{r}'(t)</math>を<math>C</math>の'''速度ベクトル'''という。
<math>\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\boldsymbol{r}</math>として点<math>\mathrm{P}(t)</math>に於ける速度ベクトルは<math>\lim_{\Delta t\to0}\frac{\boldsymbol{r}(t+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t)}{\Delta t}</math>の極限ベクトルであるが、<math>\boldsymbol{r}(t+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t)</math>を図示することで速度ベクトルが曲線<math>C</math>の点<math>\mathrm{P}(t)</math>に於ける接線の方向ベクトルになっていることがわかる。よって、速度ベクトルを'''接線ベクトル'''(接ベクトル)ともいう。
速度ベクトルが非零である曲線を'''正則'''な曲線と呼ぶ。滑らかな曲線は正則曲線である。
なお、一般には陽関数表示が区分的であることとベクトル表示の成分関数が区分的であることに対応はないほか、パラメータの取り方で速度ベクトルが変わるので「曲線の幾何学的滑らかさ」と「ベクトル表示した関数の解析学的滑らかさ」は一致するとは限らない。
正則な曲線に対して曲線長('''弧長''')を考える。
二次元曲線の場合は数学Ⅲで既に扱った。
:<math>L=\int_a^b \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}dt</math>
実は、これを一般の<math>n</math>次元にそのまま拡張することができる。
{{定理|(弧長公式)}}
曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>の点<math>\mathrm{P}(a)</math>から点<math>\mathrm{P}(b)</math>までの長さ(<math>a<b</math>)は
:<math>L=\int_a^b \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>
で与えられる。
{{定理終わり}}
*証明
:<math>a=t_0, b=t_m</math>として閉区間<math>[a, b]</math>を各<math>t_i</math>で等分割する。このとき小区間<math>[t_{k-1}, t_k]</math>の長さは<math>\Delta t=\frac{b-a}{m}</math>。
:<math>C</math>の点<math>\mathrm{P}(a)</math>から点<math>\mathrm{P}(b)</math>までの長さ<math>L</math>は折れ線の長さ<math>\overline{\mathrm{P}(t_{k-1})\mathrm{P}(t_k)}</math>の総和で近似される。
:ここで<math>\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\boldsymbol{r}(t)</math>より
::<math>L_m=\sum_{k=1}^m \| \boldsymbol{r}(t_k)-\boldsymbol{r}(t_{k-1}) \| = \sum_{k=1}^m \left\| \frac{\boldsymbol{r}(t_{k-1}+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t_{k-1})}{\Delta t-0} \right\|(\Delta t-0)</math>
:分割を限りなく細かくする極限をとると<math>m\to\infty</math>より<math>\Delta t\to0</math>なので
::<math>\lim_{m\to\infty} L_m = \sum_{k=1}^\infty \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt}(t_{k-1}) \right\|dt</math>
:区分求積法より最後の無限級数は収束して
:<math>L=\int_a^b \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>//
ここで、<math>dl:=\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>という微小量を'''線素'''と呼ぶ。
1を線素に関して積分したパラメータ<math>s:=\int_0^t dl</math>を'''弧長パラメータ'''(標準パラメータ)という。弧長パラメータは曲線上で「基準点からの符号付き距離」を表す。
曲線の弧長パラメータによるベクトル表示('''弧長パラメータ表示''')を考える。<math>s=\int_0^t \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>で正則よりノルムは正。則ち<math>\frac{ds}{dt}>0</math>より<math>s=\phi(t)</math>は狭義単調増加なので、逆関数<math>t=\phi^{-1}(s)</math>を考えることができる。よって、<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に<math>t=\phi^{-1}(s)</math>を代入した<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\phi^{-1}(s))</math>が弧長パラメータ表示である。これを<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>と略記してしまうことも多いが、'''一般には元の<math>\boldsymbol{r}(t)</math>と成分関数が異なる'''ことに注意。
通常の媒介変数によるベクトル表示は「座標系が予め与えられた状況」での表示であるが、弧長パラメータは座標系を取り替えたとしても表す曲線そのものが変わらなければ不変である。よって、「座標系に依存しない表記」として弧長パラメータ表示は多く利用されている。
また、弧長パラメータ表示で連鎖律を適用すると
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\cdot\frac{dt}{ds}=\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\cdot\frac{1}{\frac{ds}{dt}}</math>
ここで微分積分学の基本定理より
:<math>\frac{ds}{dt}=\frac{d}{dt} \int_0^t \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt = \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|</math>
なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\frac{\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}}{\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|}</math>
であり、自身のノルムで割ってるので恒等的に<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} \right\|=1</math>である。
よって、弧長パラメータ表示された曲線の接ベクトルは常に単位ベクトルである。
弧長パラメータ表示された曲線で線素を考えると<math>s=\int_0^s \left\| \frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds} \right\| ds = \int_0^s dl</math>だが、常に<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} \right\|=1</math>なので<math>ds=dl</math>であり、弧長パラメータの微小量は線素に等しい(弧長パラメータそのものが1の線素に関する積分なので当たり前ではある)。
<math>\boldsymbol{e}_\dagger(s)=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}</math>と置くと、点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける接線の方程式は
:<math>\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s_0)=\boldsymbol{e}_\dagger(s_0) (s-s_0)</math>
と表される。
ここで<math>\boldsymbol{r}(s)</math>の中心<math>s_0</math>に於けるテイラー展開は
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\sum_{i=0}^\infty \frac{(s-s_0)^i}{i!} \frac{d^i}{ds^i}\boldsymbol{r}(s_0) </math>
であり、「接線が一次近似に対応する」という構造はベクトル関数でも維持されることが判った。
領域<math>\boldsymbol{D}</math>上の滑らかなベクトル場<math>\boldsymbol{a}</math>について、微分方程式<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}=\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t)) (\boldsymbol{r} \in \boldsymbol{D})</math>で与えられる曲線<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>を<math>\boldsymbol{a}</math>の'''流線'''(streamline)という(入力点を位置ベクトルと同一視していることに注意)。流線の接線ベクトルは元のベクトル場そのものになるので、ベクトルの相等から得る方程式<math>\frac{dx_1}{a_1}=\frac{dx_2}{a_2}=\cdots=\frac{dx_n}{a_n}</math>を'''流線方程式'''という。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x, y)=(y, x)</math>の流線は、
:定義から<math>\frac{dx}{dt}=y, \frac{dy}{dt}=x</math>
:合成関数の微分公式から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}=\frac{x}{y}</math>
:<math>\int y dy=\int xdx</math>
:<math>\frac{1}{2}y^2=\frac{1}{2}x^2+C</math>
:よって双曲線<math>y^2-x^2=2C</math>//
この場合、<math>t</math>に関する2つの微分方程式を組み合わせることで
:<math>\frac{d^2x}{dt^2}=x, \frac{d^2y}{dt^2}=y</math>という二階線型常微分方程式となり、一般解が双曲線関数を用いて<math>\begin{cases} x=C_1\cosh t+C_2\sinh t \\ y=C_1\sinh t+C_2\cosh t \end{cases}</math>であることが容易に判る。<br>なお、流線方程式を用いても<math>\frac{dx}{y}=\frac{dy}{x}</math>から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{x}{y}</math>が出てくる。
「流線の接線ベクトルが元のベクトル場になる」とはつまり、「接線が常にベクトル場と平行になるような曲線」を考えているということである。滑らかなベクトル場を考えているためそのような曲線は常に存在する。流線は「ベクトル場の流れを繋げていった曲線」と考えることができるので、「流れを簡潔に図示」するのにちょうどよい。
有名な例として、電気力線・磁力線はそれぞれ電場<math>\boldsymbol{E}</math>・磁束密度<math>\boldsymbol{B}</math>の流線である。
流線の微分方程式を弧長パラメータ表示を用いて変形する。
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}=\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))</math>の左辺に就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\frac{ds}{dt}=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot \|\boldsymbol{r}'(\phi^{-1}(s))\|</math>
元の方程式の両辺でノルムをとると
:<math>\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right\|=\|\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))\|</math>
代入して
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\|\boldsymbol{r}'(\phi^{-1}(s))\|=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\|\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))\|</math>
:<math>\therefore \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} = \boldsymbol{e}_{\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(\phi^{-1}(s)))}</math>
ここから、流線の形状はノルムには関係なく方向場のみで決まることがわかる。
===フレネ標搆===
ここでは、三次元空間に於ける正則曲線について考える。
<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>上の点<math>\mathrm{P}(s)</math>に於ける単位接線ベクトルを<math>\boldsymbol{t}</math>とおく。
先程の議論より<math>\boldsymbol{t}(s)=\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}</math>であり、<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds} \right\|=1 (=\mathrm{const}.)</math>なので直交条件の定理から<math>\boldsymbol{t}\cdot\frac{d\boldsymbol{t}}{ds}=0</math>、則ち<math>\boldsymbol{t} \perp \frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>である。この<math>\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>を'''主法線ベクトル'''という。
主法線ベクトルを<math>\boldsymbol{n}</math>とおくとき、<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n}</math>を'''従法線ベクトル'''(陪法線ベクトル)という。ここで先程の結果より<math>\boldsymbol{t}\perp\boldsymbol{n}</math>であって<math>\boldsymbol{b}</math>の定義より<math>\boldsymbol{t}\perp\boldsymbol{b}, \boldsymbol{n}\perp\boldsymbol{b}</math>なので、この3ベクトルの組を正規化した<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b \}</math>は<math>\mathbb{R}^3</math>の正規直交基底である。これを<math>\mathbb{R}^3</math>の'''フレネ標搆'''という。外積の結果よりフレネ標搆は<math>\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b</math>の順に右手系をなす。なお、接線ベクトル・主法線ベクトル・従法線ベクトルは全て曲線の位置ベクトル<math>\boldsymbol{r}(s)</math>を入力したベクトル場として捉えることができる。
<math>\{\boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b \}</math>の張る平面を'''法平面'''、<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_b \}</math>の張る平面を'''展直平面'''、<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n \}</math>の張る平面を'''接触平面'''という。
即ち、法平面・展直平面・接触平面は<math>tnb</math>空間の点<math>\mathrm{P}(s)</math>を原点とした基準面である。
平面の方程式の法線ベクトルに接ベクトル・主法線ベクトル・従法線ベクトルをそれぞれ代入することで
:法平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{t}(s)=0</math>
:展直平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{n}(s)=0</math>
:接触平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{b}(s)=0</math>
とわかる。
<math>\|\boldsymbol{t}\|=1</math>は常に成り立つが<math>\|\boldsymbol{n}\|, \|\boldsymbol{b}\|</math>は<math>1</math>とは限らない。そこで、主法線ベクトルの大きさ<math>\kappa(s)=\|\boldsymbol{n}(s)\|</math>を曲線<math>C</math>の'''曲率'''と呼ぶことにする。なお、<math>\|\boldsymbol{b}\|=\| \boldsymbol{t} \| \|\boldsymbol{n}\|\sin\frac{\pi}{2}</math>より<math>\|\boldsymbol{b}\|=\|\boldsymbol{n}\|=\kappa</math>が成り立つ。
主法線ベクトルの定義に立ち戻ると<math>\boldsymbol{n}(s)=\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>であった。つまり、主法線ベクトルは接ベクトルの速度ベクトルなので「弧長パラメータを変化させたときに接ベクトルがどのくらい変化するか」という指標である。接ベクトルの変化の大小と<math>\kappa</math>の大小は対応し、接ベクトルの大小はカーブの緩急に対応することから<math>\kappa</math>の大小とカーブの緩急も対応する。これが「曲率」という名前の由来である。
なお、<math>\kappa(s)=0</math>の場合は<math>\boldsymbol{n}(s)=\boldsymbol{0}</math>なので<math>\boldsymbol{t}(s)=\boldsymbol{k}</math>(定ベクトル)であり、<math>\boldsymbol{r}(s)=s\boldsymbol{k}</math>という直線の場合に対応することがわかる。
単位接ベクトルの<math>s</math>を微分変数とする導関数(<math>s</math>-導関数)は主法線ベクトルだったが、単位主法線ベクトル・単位従法線ベクトルの<math>s</math>-導関数がどのように表されるか見ていく。
ここで、フレネ標搆が<math>\mathbb{R}^3</math>の正規直交基底であることから、<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}, \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}</math>ともにフレネ標搆の一次結合で表現できると予想される。
単位従法線ベクトルに就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\frac{d}{ds}(\boldsymbol{e}_t\times\boldsymbol{e}_n)=\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\times\boldsymbol{e}_n+\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>
<math>\boldsymbol{t}=\boldsymbol{e}_t</math>より<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\boldsymbol{n}=\kappa\boldsymbol{e}_n</math>則ち<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\times\boldsymbol{e}_n=\kappa\boldsymbol{e}_n\times\boldsymbol{e}_n=\boldsymbol{0}</math>なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>
<math>\|\boldsymbol{e}_n\|=1</math>から直交条件の定理より<math>\boldsymbol{e}_n\perp\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>なので
:<math>\boldsymbol{e}_n\times\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\boldsymbol{e}_n\times(\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds})=\left(\boldsymbol{e}_n\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}\right)-(\boldsymbol{e}_n\cdot\boldsymbol{e}_t)\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\boldsymbol{0}</math>
外積が零ベクトルなので<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds} /\!\!/ \boldsymbol{e}_n</math>であり、一次従属より
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n</math>
となるスカラー関数<math>\tau(s)</math>が存在する。
この<math>\tau(s)</math>を曲線<math>C</math>の'''捩率'''と呼ぶ。捩率は接触平面の回転(捩れ)の率を表す。
<math>\tau=0</math>ならば<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=0</math>より<math>\boldsymbol{e}_b</math>方向は変化しないので曲線は接触平面と平行な平面上に拘束される。即ち、<math>C</math>は平面曲線である。
単位主法線ベクトルに就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\frac{d}{ds}(\boldsymbol{e}_b\times\boldsymbol{e}_t)=\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}\times\boldsymbol{e}_t+\boldsymbol{e}_b\times\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}</math>
ここで<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\kappa\boldsymbol{e}_n, \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n</math>を代入して
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n\times\boldsymbol{e}_t+\boldsymbol{e}_b\times\kappa\boldsymbol{e}_n=\tau\boldsymbol{e}_b-\kappa\boldsymbol{e}_t</math>
よって、フレネ標搆の弧長パラメータを微分変数とする導関数を以下のようにフレネ標搆の一次結合で表すことができた。
:<math>\begin{cases} \frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\kappa\boldsymbol{e}_n \\ \frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds} = \tau\boldsymbol{e}_b-\kappa\boldsymbol{e}_t \\ \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n \end{cases}</math>
これを一次変換で表記すると以下のようになる。但し、厳密にはベクトルを成分としている部分は列ではなく行に配置するのが正しいことに注意。
{{定理|(フレネ=セレーの公式)}}
:<math>\frac{d}{ds}\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & \kappa & 0 \\ -\kappa & 0 & \tau \\ 0 & -\tau & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix}</math>
{{定理終わり}}
表現行列が反対称行列(歪対称行列)になっているが、これは「直交変換を一次近似すると反対称変換になる」という無限小回転の理論に対応する。
捩率を求めるときは「基底分解の係数は対応する基底ベクトルとの内積に等しい」という性質を利用すれば<math>\boldsymbol{e}_b\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\tau</math>となるので左辺を計算すればよい。
例えば、円<math>\begin{cases} x^2+y^2=a^2 \\ z=b \end{cases}</math>の曲率と捩率は以下のように求まる。
:媒介変数表示して<math>\boldsymbol{r}(t)=\begin{pmatrix} a\cos t \\ a\sin t \\ b \end{pmatrix}</math>
:接線ベクトルは<math>\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}=\begin{pmatrix} -a\sin t \\ a\cos t \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:弧長パラメータ<math>s</math>は<math>s=\int^t_0 \left\|\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\right\|dt = \int_0^t a dt = at</math>
:<math>\therefore t=\frac{s}{a}</math>
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\begin{pmatrix} a\cos\frac{s}{a} \\ a\sin\frac{s}{a} \\ b \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{t}=\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\begin{pmatrix} -\sin\frac{s}{a} \\ \cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{n}=\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}=\frac{1}{a}\begin{pmatrix} -\cos\frac{s}{a} \\ -\sin\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\kappa=\|\boldsymbol{n}\|=\frac{1}{a}</math>
:<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ \frac{1}{a} \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{e}_n=\begin{pmatrix} -\cos\frac{s}{a} \\ -\sin\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\frac{1}{a}\begin{pmatrix} \sin\frac{s}{a} \\ -\cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{e}_b = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}</math>
:<math>\tau = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}\cdot\frac{1}{a}\begin{pmatrix} \sin\frac{s}{a} \\ -\cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}=0</math>//
フレネ・セレーの公式は[[線型代数学続論/行列値関数|行列関数]]に関する一階常微分方程式である。そのため、微分方程式の基本定理(ピカール=リンデレーエフの定理)により初期条件(<math>s=0</math>に於けるフレネ標搆)を与えれば、滑らかな曲率関数・捩率関数の組<math>(\kappa, \tau)</math>を定めることで微分方程式の解として一般の<math>s</math>に対するフレネ標搆を一意に得る。このとき、曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>は接ベクトルを出発点を選んで積分することで決定される。
従って、次の定理が成り立つ<!-- 厳密証明はhttps://sshmathgeom.private.coocan.jp/diffgeom/curvetheorem.htmlを参照 -->。
{{定理|(曲線の基本定理)}}
開区間<math>(a,b)</math>上の実数<math>s</math>を変数とする2つの滑らかな関数<math>\kappa(s),\tau(s)</math>を与える。但し、<math>\kappa(s)</math>は正とする。<br/>
このとき、<math>\kappa(s)</math>を曲率、<math>\tau(s)</math>を捩率、<math>s</math>を弧長パラメータとする三次元空間上の曲線<math>C</math>が剛体運動を除いて一意に定まる。
{{定理終わり}}
剛体運動とは「曲線の形を変えない」運動のことである(平行移動・回転など)。
<math>\kappa(s), \tau(s)</math>の定める曲線族を一般に<math>\mathcal{C}[\kappa, \tau]</math>と書く。
例えば、円を含む螺旋は<math>c_1, c_2=\mathrm{const}.</math>として<math>\mathcal{C}[c_1, c_2]</math>と書ける。
<math>R=\frac{1}{\kappa}</math>を'''曲率半径'''という。曲率半径は曲線の特定のカーブにおける曲がり具合の急さを表す指標であり、カーブを近似する真円('''密着円''')の半径でもある。高速道路の標識で<math>R=\circ\circ \mathrm{m}</math>は、そのカーブの曲率半径を示している。道路設計では、快適なドライブの為曲率半径がなるべく大きくなるように工夫を凝らしている。
ここで<math>\boldsymbol{r}(s)</math>の中心<math>s_0</math>に於けるテイラー展開は
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\sum_{i=0}^\infty \frac{(s-s_0)^i}{i!} \frac{d^i}{ds^i}\boldsymbol{r}(s_0) </math>(再掲)
だったが、二次近似式(三次以降を切り捨てた式)を考えると
:<math>\boldsymbol{r}(s) \fallingdotseq \boldsymbol{r}(s_0)+\frac{d\boldsymbol{r}(s_0)}{ds}(s-s_0) + \frac{1}{2}\frac{d^2\boldsymbol{r}(s_0)}{ds^2}(s-s_0)^2 </math>
フレネ標搆を用いて書き直すと
:<math>\boldsymbol{r}(s) \fallingdotseq \boldsymbol{r}(s_0)+\boldsymbol{e}_t(s-s_0) + \frac{1}{2}\kappa(s_0)\boldsymbol{e}_n(s-s_0)^2 </math>
二次近似とは「曲線を円弧で近似する」ことだったので曲率<math>\kappa(s_0)</math>が近似に用いる円弧と関係ある量であることが予想される。<br/>
接触平面で密着円<math> \| \boldsymbol{r} - (\boldsymbol{r}(s_0)+R\boldsymbol{e}_n) \| = R </math>を考える。接触平面を<math>xy</math>平面と考えると円の方程式は
:<math>x^2+(y-R)^2=R^2</math>
:<math>y=R-\sqrt{R^2-x^2}</math>
テイラー展開して
:<math>y=\frac{x^2}{2R}+O(x^4)</math>
二次の項を比較すると
:<math>\frac{x^2}{2R}=\frac{(s-s_0)^2}{2}\kappa</math>
よって
:<math>R=\frac{1}{\kappa}</math>
と定義するのは妥当である。
なお、先ほど求めた円の曲率から、真円に関して「曲率半径=半径」であることが判る。
フレネ・セレーの公式で最初の二行二列のみを考えると<math>\mathbb{R}^2</math>内の曲線に対するフレネ・セレーの公式を得る。一般に<math>\mathbb{R}^n</math>上の曲線に対し、今回の議論と同様にして接ベクトル・主法線ベクトル・曲率を定義することができる。但し、三次元空間と異なって同じ曲率に対して異なる曲線を与えることができる(主法線ベクトルが接触平面内で接ベクトルに対して左右どちらを向くかがそのままでは定まらないため)。なお、4次元以上であっても平面拘束曲線ならば捩率は0であって従法線ベクトルは零ベクトルに定まる。
===単純閉曲線===
パラメータ区間を<math>I=[a, b]</math>とする。
このとき、曲線の端点はそれぞれ<math>\mathrm{P}(a), \mathrm{P}(b)</math>である。
端点が一致する、つまり<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P}(b)</math>である連続曲線を'''閉曲線'''という。
自己交叉しない、つまり<math>\forall t_1, t_2 \in (a, b), t_1 \neq t_2 \iff \mathrm{P}(t_1)\neq\mathrm{P}(t_2)</math>となる閉曲線を'''単純閉曲線'''(ジョルダン曲線)という。閉曲線でない曲線に就いて「自己交叉しない」という条件は「曲線を表すベクトル関数が単射」と同値であるので、端点のみ単射性を外してやれば単純閉曲線の定義を得る。
幾何学的直観から、平面に拘束された単純閉曲線はその平面を単純閉曲線で囲まれた'''内部'''とそうでない'''外部'''の二つの領域に分割することが予想できる。
このことは以下の定理によって保証される。
{{定理|(ジョルダンの曲線定理)}}
平面<math>\Pi\subset\mathbb{R}^n</math>内の任意の単純閉曲線<math>\gamma</math>に対し、有界領域<math>I</math>・非有界領域<math>O</math>の組であって<math>\Pi\setminus\gamma=I \sqcup O</math>且つ<math>\partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>であるものが唯一つに定まる。
{{定理終わり}}
この<math>I, O</math>をそれぞれ内部・外部と定義する。証明は[[位相幾何学]]で行う。なお、「<math>\partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>」を態々明示しているのは、滑らかでない単純閉曲線に対しては「<math>\Pi\setminus\gamma=I \sqcup O \implies \partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>」が自明でないためである。
正則単純閉曲線に対して「曲線の向き」の幾何学的意味を考える。
ジョルダンの曲線定理より単純閉曲線<math>\gamma:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s) \quad(\boldsymbol{r}\in \Pi)</math>は平面<math>\Pi</math>を内部<math>I</math>と外部<math>O</math>に分割する。平面拘束曲線なので<math>\forall{s}, \tau(s)=0</math>であり、従法線ベクトルは零ベクトル且つ接触平面が常に<math>\Pi</math>に一致する。
主法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(s)</math>が接ベクトル<math>\boldsymbol{t}(s)</math>に対して左側を向いているとすると、<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0) \quad(\varepsilon>0)</math>が点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける<math>\gamma</math>の進行方向左側にある点である。
ここで、<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける<math>\varepsilon</math>-開球<math>B_\varepsilon(s_0)</math>を考えると、平面<math>\Pi</math>上では<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0)</math>が左側の領域、<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0)</math>が右側の領域に入る。
<math>s=s_0</math>を動かすと各点で進行方向左は<math>I, O</math>のいずれかであり、<math>\gamma</math>の正則性と<math>I, O</math>の連結性から「<math>I, O</math>のどちらが左側であるかは曲線全体で変わらない」ことが言える。
ここで円の場合を考える。<math>\Pi</math>に直交座標<math>u, v</math>を入れると向心加速度の議論から「加速度ベクトル=主法線ベクトルは円の中心を向く」ので、「円の正の向きは円の内部を左手に見る進行方向」である。
任意の正則単純閉曲線<math>\gamma</math>に対して自己交叉を起こさないまま円へ連続変形する可逆写像が存在し、その変形に於いて「左側」と「<math>I, O</math>」の対応は変化しない。則ち、円で確認された「正の向きは囲まれた内部を左手に見る向き」は任意の正則単純閉曲線で成り立つ。
つまり、単純閉曲線の正の向きは点を動かしたときに'''自身の囲む領域の内部を左手に見る向き'''である。負の向きは左手に外部を見る向きである。
集合<math>A</math>に含まれる任意の2点に対してそれらを端点とする滑らかな曲線<math>C</math>をとれるとき、<math>A</math>は'''弧状連結'''であるという。
弧状連結集合<math>S</math>内の任意の閉曲線<math>\gamma</math>に対して1点に退化するような連続変形が可能なとき、<math>S</math>は'''単連結'''であるという。単連結でない集合は'''多重連結'''であるという。
平面<math>\Pi\subset\mathbb{R}^n</math>に含まれる単連結集合<math>S</math>に対し、<math>\hat{\Pi}:=\Pi\cup\{\infty\}</math>とすると集合<math>\hat{\Pi}\setminus{S}</math>は連結である。逆も成り立つ。
なお、「<math>A</math>が連結集合である」ことは「補集合<math>\overline{A}</math>が非連結集合である」ことを意味しない。そのため「単連結な連結集合」も考えられ、特に「単連結な領域」はこの先頻繁に登場する。
集合<math>A</math>に含まれる任意の2点を結んだ線分が<math>A</math>に包含されるとき、<math>A</math>は'''凸型'''であるという。凸型集合でない集合は'''凹型'''であるという。
集合<math>A</math>内の1点を固定してそこから<math>A</math>内任意点へ引いた線分が<math>A</math>に包含されるとき、<math>A</math>は'''星状'''(星型)であるという。このとき固定した点を'''星の中心'''という。凸型集合は全て星状集合である。
単純閉曲線<math>\gamma</math>を境界とする内部<math>I</math>に関して<math>I\cup\gamma</math>が凸型集合であるとき、<math>\gamma</math>を'''卵形線'''(凸単純閉曲線・オーヴァル)という。
曲線<math>C</math>の曲率関数<math>\kappa(s)</math>が<math>C^3</math>級であるとき、<math>\kappa'(s_0)=0</math>を満たす点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>を<math>C</math>の'''頂点'''という。
例えば、標準楕円<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1</math>の頂点は4点<math>(\pm{a},0),(0,\pm{b})</math>である。このことは、<math>\mathbb{R}^2</math>上曲線<math>C:\boldsymbol{r}=x(t)\boldsymbol{e}_x(t)+y(t)\boldsymbol{e}_y(t)</math>に対する曲率の公式<math>\kappa(t)=\frac{\left|\frac{dx}{dt}\frac{d^2y}{dt^2}-\frac{dy}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}\right|}{\left\{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2\right\}^\frac{3}{2}}</math>と<math>\frac{ds}{dt}>0</math>を用いて確かめられる。
実は、この事実は楕円に限らないことが以下の定理で示される。
{{定理|(ムコパディヤーヤの定理・四頂点定理)}}
<math>\mathbb{R}^2</math>上の滑らかな卵形線は少なくとも4つの頂点を持つ。
{{定理終わり}}
*証明
:滑らかな卵形線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)\quad(s\in[a, b])</math>に対して曲率関数<math>\kappa(s)</math>は滑らかであり、<math>\kappa\in C^3</math>を満たす。
:卵形線は単純閉曲線なので<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P(b)}</math>であり、<math>\kappa(a)=\kappa(b)</math>。
:曲率関数が定数関数のときは<math>\kappa\in C^\infty</math>且つ常に<math>\kappa'(s)=0</math>なので曲線を構成するすべての点が頂点であり、明らかに定理を満たす。
:曲率関数が定数関数でないとする。
:ワイエルシュトラスの極値定理より<math>\kappa(s)</math>は<math>s\in[a, b]</math>のどこかで最大値・最小値をとり、その点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす。
:従って少なくとも2つの頂点を持つ。
:ここで、頂点がこの2つのみと仮定する。
:曲率が最大値・最小値をとる点をそれぞれ<math>\mathrm{M, N}</math>と置く。
:線分<math>\mathrm{MN}</math>を含む直線を<math>x</math>軸とし、その垂直方向に<math>y</math>軸をとる。
:<math>s</math>が増加すると曲線上の点が<math>\mathrm{N}\to\mathrm{M}</math>のように動くとき、
:<math>\kappa(s)</math>は最小値から最大値に向かって増大し、他に頂点がないので狭義単調増加である。
:同様に、<math>\mathrm{M}\to\mathrm{N}</math>の向きでは<math>\kappa(s)</math>は狭義単調減少である。
:従って、<math>\kappa'(s)y(s)\neq0</math>の正の側だけ考えれば良い。
:<math>y(a)=y(b)=0</math>に注意すると部分積分して
:<math>0<\int_a^b \kappa'(s)y(s)ds=-\int_a^b \kappa(s)y'(s)ds</math>
:主法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(s)= \begin{pmatrix} \xi_1(s) \\ \xi_2(s) \end{pmatrix}</math>を考えると二次元版フレネ=セレーの公式から<math>\frac{d\boldsymbol{n}}{ds}=-\kappa\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}</math>なので
:<math>\xi'_2(s)=-\kappa(s)y'(s)</math>
:よって
:<math>-\int_a^b \kappa(s)y'(s)ds=\int_a^b \xi_2(s)ds = \left[\xi_2(s)\right]_a^b=0</math>
:なので矛盾した不等式<math>0<0</math>を得る。
:則ち、<math>\mathrm{M, N}</math>と異なる点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が少なくとも一つ存在する。
:そのような点を<math>\mathrm{L}</math>と置く。
:<math>\mathrm{L}</math>が<math>\mathrm{N}\to\mathrm{M}</math>という経路の途中にあるとする。
:このとき、<math>\mathrm{L}</math>以外に<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が存在すると「<math>\mathrm{M}\to\mathrm{N}</math>という経路の途中にそのような点が無い」という最初の仮定に反するので
:<math>\mathrm{M, N, L}</math>以外では<math>\kappa'(s)y(s)>0</math>である。
:同様に部分積分を行うことで矛盾した不等式を得、<math>\mathrm{M, N, L}</math>と異なる点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が少なくとも一つ存在することが判る。
:この時点で「<math>\mathrm{M, N}</math>間の二つの経路のいずれにも<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が存在しない」という仮定が否定されたのでこれ以上背理法を適用することはできない。
:よって、頂点個数の最小値は<math>4</math>である。//
最小値4をとる卵形線が実際に存在することは楕円の例で確かめた。
この定理は「卵形線」を「(正則)単純閉曲線」に取り換えてもそのまま成り立つことが知られている。一般の閉曲線でこの定理を成り立たせるには追加の条件が必要となる。
先程も述べたように、接ベクトルと単位主法線ベクトルは2次元以上の空間内部にある曲線ならば定義することができる。そして、<math>\boldsymbol{t}\cdot\boldsymbol{n}=0</math>も必ず成り立つ。よって、<math>\boldsymbol{e}_t\cdot\boldsymbol{e}_n=0</math>の両辺を<math>s</math>で微分して
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\cdot\boldsymbol{e}_n+\boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=0</math>
:<math>\therefore \boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\boldsymbol{n}\cdot\boldsymbol{e}_n=-\kappa</math>
ここで「基底分解に於ける成分はその基底との内積に等しい」という性質から、<br/>
一般次元に於いても「<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>の接線方向成分は<math>-\kappa(s)</math>」であることが判る。
ここで<math>C^2</math>級曲線の位置ベクトル<math>\boldsymbol{r}(s)</math>に対して単位主法線<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>を対応させることを考える。この対応を'''ガウス表示'''という。
<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>を二次までテイラー展開すると<math>\Delta s>0</math>を微小量として
:<math>\boldsymbol{e}_n(s+\Delta s)=\boldsymbol{e}_n(s)+\frac{d\boldsymbol{e}_n(s)}{ds}\Delta s + O(\Delta s^2)</math>
ここで<math>\boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\kappa</math>より、<math>s</math>を<math>\Delta s</math>だけ動かしたときの接線方向の速さは<math>|\kappa(s)|\Delta s</math>である(<math>\kappa(s)</math>が正で正の向き、負で負の向きに動くとする)。
閉曲線に対してはガウス表示によって法線方向の変化を完全に捉えられるので、<math>\kappa(s)</math>を微小量<math>\Delta s</math>に関して積分した<math>\int_a^b \kappa(s)ds</math>を考えてみる。
ガウス表示では曲線を単位主法線ベクトルの描く単位円として考えることができる。閉曲線では<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P}(b)</math>より明らかに<math>\boldsymbol{e}_n(a)=\boldsymbol{e}_n(b)</math>であり、閉曲線が一周する間にベクトル<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>はこの単位円を<math>m(\in\mathbb{Z})</math>周する<sup>※</sup>。
<small>※物理的には「円そのものが動いても円周上の質点は『この円をどっちの方向に何周したか』という情報しか持たない」ので、単位円が動くことは議論にあまり関係ない</small>
弧度法より単位円を<math>m</math>周する符号付き道のりは<math>2\pi{m}</math>であり、ガウス表示より<math>\int_a^b \kappa(s)ds=2\pi{m}</math>。
従って、<math>m=\frac{1}{2\pi}\int_a^b \kappa(s)ds</math>
この<math>m</math>を閉曲線の'''回転数'''と呼ぶことにする。
曲率が負の場合には積分値が途中で相殺されてしまうので、絶対値を付けて積分した
:<math>\mu:=\int_a^b |\kappa(s)|ds</math>
という量を考えることにする。
これを閉曲線の'''全曲率'''と呼ぶ。
全曲率に対して以下の定理が成り立つ。
{{定理|(フェンヒェルの定理)}}
滑らかな閉曲線の全曲率は<math>\mu\geq2\pi</math>を満たす。等号成立の場合は卵形線である。
{{定理終わり}}
証明は省略する。
===曲面===
多変数解析で既に扱った、三次元空間に於ける曲面の陽関数表示<math>z=f(x, y)</math>を'''モンジュ表示'''という。<math>f(x, y, z)=\mathrm{const}.</math>と陰関数表示された曲面は陰関数定理が成り立つ範囲でモンジュ表示に直すことができる。
一次式で陰関数表示される曲面を'''一次曲面'''という。平面の方程式より、一次曲面は全て平面である。
二次式で陰関数表示される曲面を'''二次曲面'''という。
以下、二次曲面の例を挙げる。各係数は非退化条件を満たすとする。なお、「直線に平行な平面」は「直線を法線とする平面に垂直な平面」を意味することに注意。
*'''球面'''(sphere)
:高校数学で扱ったように、点<math>(a, b, c)</math>を中心とする半径<math>r</math>の球面の方程式は<math>(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2</math>である。この球面上の点の位置ベクトルは<math>\boldsymbol{r}=\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}</math>なので、球面が満たすベクトル方程式は一般に<math>\|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{a}\|=\mathrm{const}.</math>である。これは円のベクトル方程式の次元を上げたものである。
*'''楕円面'''(ellipsoid)
:楕円の方程式を拡張した方程式<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}+\frac{z^2}{c^2}=1</math>が表す曲面である。<math>xyz</math>空間の基本面で切った断面は全て楕円となる。
*'''楕円拋物面'''(elliptic paraboloid)
:楕円の平面拘束条件を外した方程式<math>z=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}</math>が表す曲面である。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は楕円、平行な平面で切った断面は拋物線となる。
*'''双曲拋物面'''(hyperbolic paraboloid)
:双曲線の平面拘束条件を外した方程式<math>z=\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}</math>が表す曲面である。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は双曲線、平行な平面で切った断面は拋物線となる。また、原点は鞍点である。
*'''一葉双曲面'''(hyperboloid of one sheet)
:楕円面の方程式の一つの項の符号を変えた<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}-\frac{z^2}{c^2}=1</math>の表す曲面。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は楕円、平行な平面で切った断面は双曲線となる。
*'''二葉双曲面'''(hyperboloid of two sheet)
:楕円面の方程式の二つの項の符号を変えた<math>\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}-\frac{z^2}{c^2}=1</math>の表す曲面。断面の分類は一葉双曲面と同じだが、<math>m^2<c^2</math>のときは平面<math>z=m</math>と交わらないため「二葉」と名付けられている。
*'''錐面'''(conical surface)
:方程式<math>\frac{z^2}{c^2}=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}</math>の表す曲面。<math>xy</math>平面との交点は原点のみであり、<math>yz</math>平面・<math>zx</math>平面で切った断面は直線である。
閉区間<math>I\subset\mathbb{R}</math>上の一変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}(t)</math>を用いたベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t) \quad(t\in I)</math>の解集合は次元に依らず曲線を表した。
同様に、領域<sup>※</sup><math>D\subset\mathbb{R}^2</math>上の二変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}(t, u)</math>を用いたベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u) \quad({\scriptstyle\left(\begin{array}{c} t \\[-6pt] u \end{array}\right)}\in D)</math>の解集合は次元に依らず曲面を表すと考えられる。
厳密には[[線型代数学/基底と次元|階数・退化次数の定理]]<!-- 次元定理・線型写像の基本定理 -->などを用いてこのことを確かめられる。
<small>※ここでいう「領域」は冒頭で厳密に定義した「領域」であることに注意。</small>
曲線と同様に、曲面の'''パラメータ表示'''と'''ベクトル表示'''は次のように定義される。
:パラメータ表示:<math>\begin{cases} x_1&=&r_1(t, u) \\ x_2&=&r_2(t, u) \\ &\,\,\vdots& \\ x_n&=&r_n(t, u) \end{cases}</math>
:ベクトル表示:<math>\left\{\boldsymbol{r}(t, u) \,\bigg|\, {\scriptstyle\left(\begin{array}{c} t \\[-6pt] u \end{array}\right)} \in D \right\}</math>
また、<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>のようにも表す。
例えば、<math>k>l>0</math>として<math>\boldsymbol{r}(t, u)=\begin{pmatrix} (k+l\cos u)\cos t \\ (k+l\cos u)\sin t \\ l\sin u \end{pmatrix} \quad(D=\left\{ \begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix} \bigg| \begin{array}{c} 0 \leq t \leq 2\pi \\ 0 \leq u \leq 2\pi \end{array} \right\})</math>は'''トーラス'''のベクトル表示である。
<math>\mathbb{R}^3</math>上の平面の方程式は高校数学に於いて<math>\begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}\neq\boldsymbol{0}</math>として一次式<math>ax+by+cz+d=0</math>と表せることを学んだ。
これのベクトル方程式を求めてみよう。
:①<math>c=0</math>のとき
::平面の方程式は<math>\begin{cases} ax+by+d=0 \\ z=\mathrm{const}. \end{cases}</math>
::[1]<math>b=0</math>のとき
:::平面の方程式は<math>\begin{cases} ax+d=0 \\ y=\mathrm{const}. \\ z=\mathrm{const}. \end{cases}</math>
:::<math>\begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}\neq\boldsymbol{0}</math>より<math>a\neq0</math>
:::<math>y=t, z=u</math>と置換すると
:::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} -\frac{d}{a} \\ t \\ u \end{pmatrix}</math>
:::<math>\boldsymbol{r} = t\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} -\frac{d}{a} \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}</math>
::[2]<math>b\neq0</math>のとき
:::<math>x=t, z=u</math>と置換すると
:::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} t \\ -\frac{a}{b}t-\frac{d}{b} \\ u \end{pmatrix}</math>
:::<math>\boldsymbol{r} = t\begin{pmatrix} 1 \\ -\frac{a}{b} \\ 0 \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 0 \\ -\frac{d}{b} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:②<math>c\neq0</math>のとき
::<math>x=t, y=u</math>と置換すると
::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} t \\ u \\ -\frac{a}{c}t-\frac{b}{c}u-\frac{d}{c} \end{pmatrix}</math>
::<math>\boldsymbol{r}=t\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ -\frac{a}{c} \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \\ -\frac{b}{c} \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ -\frac{d}{c} \end{pmatrix}</math>
なお、ここから平面のベクトル方程式が一般に<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{a}+t\boldsymbol{b}+u\boldsymbol{c}</math>という「直線のベクトル方程式を拡張した形」であることがわかる。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)\in C^1</math>且つ<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\neq\boldsymbol{0}</math>である曲面を'''滑らか'''な曲面という。
曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>とその上の点<math>\mathrm{P}_0=(a, b)</math>に対し、曲線<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(a, u), \boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, b)</math>をそれぞれ点<math>\mathrm{P}_0</math>に於ける'''<math>t</math>曲線'''・'''<math>u</math>曲線'''という。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)\in C^1</math>であるとき、偏導関数の定義から
:<math>\frac{\partial}{\partial{u}}\boldsymbol{r}(a, u)=\frac{d}{du}\boldsymbol{r}(a, u)</math>
:<math>\frac{\partial}{\partial{t}}\boldsymbol{r}(t, b)=\frac{d}{dt}\boldsymbol{r}(t, b)</math>
ここで<math>a, b</math>をそれぞれ<math>t</math>軸・<math>u</math>軸上で動かすことで<math>t</math>曲線・<math>u</math>曲線の接ベクトルがそれぞれ<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}</math>であると判る。これらを曲面のパラメータ方向の'''接ベクトル'''という。
これらの接ベクトルが平行でないとき、曲面<math>S</math>上の任意の点<math>\mathrm{P}</math>に対して<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>の張る平面が定まる。これを曲面<math>S</math>の点<math>\mathrm{P}</math>に於ける'''接平面'''という。曲線の接線は一次元ベクトル空間<math>\left\{ \xi\frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \bigg| t \in\mathbb{R} \right\}</math>で表されたが、接平面は二次元ベクトル空間<math>\left\{ \xi\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}+\eta\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \bigg| \xi, \eta \in \mathbb{R} \right\}</math>で表される。このような接ベクトル全体が張るベクトル空間を一般に'''接空間'''と呼ぶ。
接ベクトルの組が一次独立である曲面を'''正則'''な曲面という。滑らかな曲面は正則曲面である。
曲面<math>S</math>の接平面に垂直なベクトルを<math>S</math>の'''法線ベクトル'''という。
三次元空間ならば接平面を張る2ベクトルの外積<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>で求められる。
モンジュ表示された曲面<math>S:z=f(x, y)</math>に対して接平面の存在性(つまり曲面の正則性)は「二変数関数<math>f</math>の全微分可能」に対応した。ベクトル表示された曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>に対しては「ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}</math>の全微分可能性」だけでは足りず、「ヤコビ行列<math>\frac{\partial{(\boldsymbol{r})}}{\partial{(t, u)}}</math>の階数が2」も要求される。
以下、正則曲面のみ扱う。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)</math>の微小変化は全微分で与えられる。
:<math>d\boldsymbol{r}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt+ \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>
則ち、各パラメータを同時に<math>\begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix}\to\begin{pmatrix} t+dt \\ u+du \end{pmatrix}</math>と単調に動かしたとき、対応する曲面上の点が描く領域は2ベクトル<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>の張る微小平行四辺形として近似できる。その微小面積は線型代数の内容から
:<math>\sqrt{ \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt \right\|^2 \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du \right\|^2 - \left\{ \left(\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt\right)\cdot\left(\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du\right) \right\}^2 }=\sqrt{\left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \right\|^2\left\|\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\right\|^2 - \left( \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\cdot\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \right)^2 } dtdu</math>
である。
これを領域<math>D</math>で重積分してやれば曲面の表面積('''曲面積''')が求まると考えられる。
{{定理|(曲面積)}}
<math>E := \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \right\|^2,\quad F := \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\cdot\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}},\quad G := \left\|\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\right\|^2</math>とすると、<br>
曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>の領域<math>D</math>に於ける曲面積は
:<math>S=\iint_D \sqrt{EG-F^2}dtdu</math>
{{定理終わり}}
この<math>E, F, G</math>を<math>S</math>の'''第一基本量'''と呼ぶ。また、<math>dS:=\sqrt{EG-F^2}dtdu</math>を'''面素'''(面積素・面積要素)と呼ぶ。
<math>t, u</math>が共通のパラメータ<math>\theta</math>で媒介変数表示されるとき、曲面は曲線に退化するので線素を考えられる。
具体的には、
:<math>dl=\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\right\|d\theta</math>
より
:<math>\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\right\|^2=\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}</math>
ここで合成関数の常微分公式より
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\frac{dt}{d\theta}+ \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\frac{du}{d\theta}</math>
なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}=\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right\|^2\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2\left(\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{du}\right)\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{du}\right\|^2\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2</math>
:<math>=E\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2F\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+G\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2</math>
よって
:<math>dl=\sqrt{E\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2F\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+G\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2}d\theta=\sqrt{E(dt)^2+2Fdtdu+G(du)^2}</math>
このように、線素は<math>\theta</math>のとり方に依存しない。
そこで、最後の式で右辺を二乗した
:<math>I:=E(dt)^2+2Fdtdu+G(du)^2</math>
を<math>S</math>の'''第一基本形式'''と定める。
第一基本形式は二次形式になっていることが見て取れるので、<math>\boldsymbol{v}:=\begin{pmatrix} dt \\ du \end{pmatrix}, \mathbf{K}:=\begin{pmatrix} E & F \\ F & G \end{pmatrix}</math>とおくと
:<math>I={}^t\!\boldsymbol{v} \mathbf{K} \boldsymbol{v}</math>
と行列表示できる。
ここで<math>I=dl^2>0</math>なので<math>\mathbf{K}</math>は正定値行列である。
また、<math>\boldsymbol{x}_i=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \boldsymbol{x}_j=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>と置いて第一基本量の定義を思い返してみると<math>\mathbf{K}_{ij}=\boldsymbol{x}_i \cdot \boldsymbol{x}_j</math>なのでこの行列は接ベクトルに関するグラム行列である。この意味でも、<math>\mathbf{K}</math>は正定値行列である。
また、面素の式で根号の中身が<math>\det\mathbf{K}</math>に等しいことも判る。
則ち、第一基本量が曲面の本質であると予想される。
<math>F=0 \land E=G=\lambda</math>であるとき、<math>\mathbf{K}=\lambda\mathbf{E}_2</math>である。このときのパラメータの組<math>(u, v)</math>を曲面の'''等温座標系'''という。
等温座標系で表示された曲面<math>S</math>に対し、第一基本形式は<math>I=\lambda(dt^2+du^2)</math>と二次形式の標準形となっている。則ち、等温座標系へのパラメータ変換は主軸変換である。
面素を考えると<math>dS=\lambda^2dtdu</math>と非常に単純な形となるほか、曲面上の角度計算が平面の場合と全く同じ式で与えられることも等温座標系の利点である。
曲面<math>S</math>上の各点<math>\mathrm{P}</math>に対して単位法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>を考える。ベクトル表示の定義域<math>D</math>でベクトル場<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>が連続であるとき、<math>S</math>は'''向き付け可能'''であるという。
向き付け不能な曲面の例として<math>\boldsymbol{r}(t, u)=\begin{pmatrix} (u\cos t+2)\sin 2t \\ (u\cos t+2)\cos 2t \\ u\sin t \end{pmatrix} \quad(D=\left\{ \begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix} \bigg| \begin{array}{c} 0 \leq t \leq \pi \\ -1 \leq u \leq 1 \end{array} \right\})</math>と表される'''メビウスの帯'''が挙げられる。
メビウスの帯が向き付け不能である証明を概説する。
:接ベクトルをそれぞれ求める。簡単のため<math>u=0</math>として考える。単位法線ベクトルは外積を正規化して得るが、向きの取り方で正負の符号が付く。どちらの符号を採用するにしろ<math>\boldsymbol{n}(\boldsymbol{r}(0, 0))\neq\boldsymbol{n}(\boldsymbol{r}(\pi, 0))</math>を得、<math>\boldsymbol{r}(0, 0)=\boldsymbol{r}(\pi, 0)</math>より同じ点に対して異なる法線ベクトルを出力するので<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>はwell-definedではなく、向き付け可能性の定義を満たさない。//
四次元以上の空間では法線ベクトルの方向を複数とれるため法線ベクトル場は扱いにくい。そこで、法線ベクトルに依らない定義を考えたい。
2つの滑らかな曲面<math>S_1, S_2</math>が以下を満たすとき、
#パラメータ<math>(t_1, u_1), (t_2, u_2)</math>の間に滑らかな全単射<math>\begin{cases}t_2 =\phi(t_1, u_1) \\ u_2=\psi(t_1, u_1) \end{cases}</math>が存在する。
#この変数変換のヤコビ行列<math>\frac{\partial{(\phi, \psi)}}{\partial{(t_1, u_1)}}</math>が正則。
#<math>\boldsymbol{r}_1(t_1, u_1)=\boldsymbol{r}_2(t_2, u_2)</math>
この2つは'''パラメータ変換で同値'''という。
このとき、ヤコビアンが正であるパラメータの組は'''同じ向き'''、負であるパラメータの組は'''逆向き'''であるという。
任意の<math>(t_1, u_1)</math>に対して開近傍<math>U \subset \mathrm{dom}S_1</math>をとったとき、どの<math>U</math>上でも<math>\det\frac{\partial{(\phi, \psi)}}{\partial{(t_1, u_1)}}>0</math>を満足するならば<math>S_1</math>は'''向き付け可能'''という。
向き付け可能な曲面の接空間に対して右手系を成すような向きの法線ベクトルを'''外向き法線ベクトル'''と呼ぶ。
外向き法線の向く側を曲面の'''表'''、その反対側を曲面の'''裏'''と定義する。
<math>\partial{S}=\varnothing</math>を満たす正則曲面<math>S</math>を'''閉曲面'''という。ジョルダンの曲線定理を拡張した定理('''ジョルダン・ブラウワーの分離定理''')によって閉曲面が空間を内部・外部に分割することが保証される。内部に面する向きを閉曲面の裏、外部に面する向きを閉曲面の表と定義する。
パラメータ空間の座標軸の向きの組み合わせが<math>xy</math>平面と同じとき、外向き法線で定義される閉曲面の表裏は内部・外部から定義される表裏に一致する。
円錐の方程式・ロドリゲスの回転公式
===種々の曲率===
法曲率・主曲率・平均曲率・全曲率
==直交曲線座標系==
{{節stub}}
===円筒座標系===
平面の座標系として直交座標の他に斜交座標、極座標(円座標)、重心座標などがあったように、空間の座標系も複数通り考えられる。
空間座標を3つの実数の組<math>(r, \theta, z)</math>で表した座標系を'''円筒座標系'''('''円柱座標系'''、cylindrical coordinate system)という。ただし、<math>r</math>は原点からの(符号付き)距離、<math>\theta</math>は基準面に於ける始線からの正の回転角、<math>z</math>は基準面からの高さである。
円筒座標系は、円座標系のrθ平面にz軸方向の次元を加えた3次元空間の座標と考えられる。
そのため、円筒座標系と直交座標系の対応は以下のようになる。
:<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \\ z=z \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2} \\ \theta = \arctan\frac{y}{x} \\ z=z \end{cases}</math>
但し、<math>r</math>は基準面の裏側では負とする。
直交座標のz軸を基に円筒座標系の座標軸を決定する。一般に座標軸は直線とは限らないので、「軸」ではなく「曲線」と呼ぶことにする('''座標線''')。なお、「曲線」という語は一般に「直線」を包含する。
:r曲線:z軸上の点を通りz軸に垂直な半直線。
:θ曲線:z軸を法線とする平面内にあり、中心がz軸上にある円周。
:z曲線:z軸に平行な直線。
ここで、各曲線に沿った微小変化がどのように表されるか見ていく。
<math>\boldsymbol{f}: (r,\theta,z)\to(x,y,z)</math>とする。
<math>\boldsymbol{f}</math>全体の微小変化は全微分<math>d\boldsymbol{f}=\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}</math>で表される。
上で求めた関係式より
:<math>\boldsymbol{f}\begin{pmatrix} r \\ \theta \\ z\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} r\cos\theta \\ r\sin\theta \\ z \end{pmatrix}</math>
なので、
:<math>\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} = \begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial{r}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\cos\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\sin\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}z & \frac{\partial}{\partial{\theta}}z & \frac{\partial}{\partial{z}}z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}</math>
よって
:<math>d\boldsymbol{f}=\begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin \theta \\ 0 \end{pmatrix}dr + \begin{pmatrix} -\sin\theta \\ \cos\theta \\ 0 \end{pmatrix}rd\theta + \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}dz </math>
再右辺の各項を<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>と書くことにすると、<math>|d\vec{r}|, |d\vec{\theta}|, |d\vec{z}|</math>はそれぞれ<math>dr, rd\theta, dz</math>とわかる。<math>r, \theta, z</math>を物理量として捉えたとき<math>d\theta</math>の単位はラジアン(無次元量)であり、<math>rd\theta</math>の単位はメートル(長さの次元1)なので、次元の整合性が取れる。
纏めると以下のようになる。
{| class="wikitable"
| ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_x</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_y</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_z</math>成分 ||style="text-align:center;"| ノルム
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{r}</math> ||style="text-align:center;"| <math>\cos\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>\sin\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>dr</math>
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{\theta}</math> ||style="text-align:center;"| <math>-r\sin\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>r\cos\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>rd\theta</math>
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{z}</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>1</math> ||style="text-align:center;"| <math>dz</math>
|}
ここで<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>は内積を取ればどの組も互いに直交することが容易にわかるので、この3つのベクトルは3次元ユークリッド空間の直交基底である。
そこで、それぞれのベクトルを正規化することで各軸曲線方向の基本ベクトルを得る。
:<math>\boldsymbol{e}_r = \frac{d\vec{r}}{dr} = \cos\theta \boldsymbol{e}_x + \sin\theta \boldsymbol{e}_y</math>
:<math>\boldsymbol{e}_\theta = \frac{d\vec{\theta}}{rd\theta} = -\sin\theta\boldsymbol{e}_x+\cos\theta\boldsymbol{e}_y</math>
:<math>\boldsymbol{e}_z=\frac{d\vec{z}}{dz}=\boldsymbol{e}_z</math>
これを一次変換の形式で表すと
:<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math>
となる。
このときの変換行列を、座標系または基底ベクトルを変換することから'''座標変換行列'''又は'''基底変換行列'''という。場合によっては'''変換テンソル'''とも呼ぶ。
なお、この直交座標⇒円筒座標の座標変換行列は、xyz空間に於けるz軸まわりの回転行列に等しい。
逆基底変換はこの座標変換行列の逆行列を求めれば定式化できる。
回転行列は直交行列なので
:<math>\begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} ^{-1}= {}^t \! \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} </math>
であり、
:<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math>
円筒座標系は、[[電磁気学]]の解析でよく使用される。
例えば、高校物理の公式<math>B(r)=\frac{\mu_0I}{\tau r}</math>は、円筒座標系を知っていれば「電流がz軸に平行であることから磁場はz方向に一葉且つθ方向に回転対称なので、r方向の項のみが寄与する」と理解される。
===極座標系===
高等学校までの地理で習ったように、球面上の位置は緯度<math>\theta</math>と経度<math>\phi</math>で定めることができる。
一般に三次元空間で球面上のある点の座標を定めるには、更に球の中心からの距離<math>r</math>が必要である。
このようにして定められる座標系を'''三次元極座標系'''(polar coordinate system in 3D)または'''球(面)座標系'''(spherical coordinate system)という。
xyz座標空間の点<math>P(x, y, z)</math>の極座標表示を考える。
<math>r=|\vec{OP}|=\sqrt{x^2+y^2+z^2}</math>は容易にわかる。
<math>\theta</math>はz軸からの'''天頂角'''(zenith angle)であり、<math>\vec{OP}</math>のz軸への正射影ベクトルを<math>\vec{OH}=\vec{h}</math>とすると<math>\tan\theta = \frac{|\vec{h}|}{z}</math>が成り立つ。<math>|\vec{h}|=\sqrt{x^2+y^2}</math>より、<math>\theta=\arctan \frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z}</math>である。
<math>\phi</math>はx軸からの'''方位角'''(azimuth angle)であり、<math>P</math>からxy平面に下した垂線の足<math>Q</math>を考えると<math>\tan\phi=\frac{y}{x}</math>とわかる。よって、<math>\phi=\arctan\frac{y}{x}</math>である。
逆に、これを<math>P(x, y, z)</math>に復元することを考える。
<math>\triangle OHP</math>について<math>\angle HOP=\theta</math>なので、<math>z=\overline{OH}=r\cos\theta</math>。
また、<math>\triangle OPQ</math>について<math>\angle OPQ=\theta</math>なので、<math>\overline{OQ}=r\sin\theta</math>。
よって<math>x=\overline{OQ}\cos\phi=r\sin\theta\cos\phi, y=\overline{OQ}\sin\phi=r\sin\theta\sin\phi</math>。
以上を纏めると、直交座標と球面座標の対応関係は
:<math>\begin{cases} x=r\sin\theta\cos\phi \\ y=r\sin\theta\sin\phi \\ z=r\cos\theta \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2+z^2} \\ \theta=\arctan\frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z} \\ \phi=\arctan\frac{y}{x} \end{cases}</math>
一般に緯度は<math>-90^\circ \leqq \theta \leqq 90^\circ</math>、経度は<math>-180^\circ \leqq \phi \leqq 180^\circ</math>の範囲で表される(但し、符号の違いは東⇔西、南⇔北の違いである)。同様に、球面座標の天頂角<math>\theta</math>、方位角<math>\phi</math>は<math>\theta \in [-\frac{\pi}{4}, \frac{\tau}{4}], \phi \in [-\frac{\tau}{2}, \frac{\tau}{2}]</math>で考える。赤道面より下側(すなわち南半球)では<math>\theta<0</math>とする。
直交座標のz軸を基に極座標系の座標線を決定する。
:r曲線:原点を通る半直線。
:θ曲線:原点中心でz軸上の一点から出る半円弧。
:φ曲線:z軸を法線とする平面内でz軸上に中心を持つ円周。
各曲線に沿った微小変化は円柱座標系の場合と同様、ベクトル場の全微分を用いて
:<math>\begin{cases} d\vec{r}= \begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi \\ \cos\theta \end{pmatrix} dr \\ d\vec{\theta}= \begin{pmatrix} \cos\theta\cos\phi \\ \cos\theta\sin\phi \\ -\sin\theta \end{pmatrix}rd\theta \\ d\vec{\phi} = \begin{pmatrix} -\sin\phi \\ \cos\phi \\ 0 \end{pmatrix} r\sin\theta d\phi \end{cases}</math>
と求まる。
これらは(内積の結果から)互いに直交するので、円柱座標の場合と同様の議論により
:<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \sin\theta\sin\phi & \cos\theta \\ \cos\theta\cos\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\theta \\ -\sin\phi & \cos\phi & 0 \end{pmatrix}</math>
と変換テンソルが求まる。
これも直交行列であるので、逆変換テンソルは
:<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \cos\theta\cos\phi & \cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\phi \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \end{pmatrix}</math>
と求まる。
球面座標系は、[[力学]]の解析でよく使用される。
例えば、赤道平面における角運動量保存則は<math>mr^2\frac{d\phi}{dt}=\mathrm{const}.</math>と表示されるが、これはz軸方向の角運動量を球面座標系の演算により取り出したものである。
球面座標系は特に機械制御に応用されている。
円柱座標系・球面座標系ともに各基底ベクトルが互いに直交しているので、そのことを明示して(且つ通常の直交座標系と区別して)'''直交曲線座標系'''(orthogonal curvilinear coordinate system)と呼ぶ場合がある。直交曲線座標系には、他にも放物柱座標系や楕円座標系などがある。
===円環座標系===
===双極座標系===
===回転放物面座標===
===放物柱座標===
===回転楕円面座標===
===楕円柱座標===
===楕円体座標===
==空間微分==
===勾配===
===発散===
===回転===
===ラプラシアン===
==空間積分==
===線積分===
===面積分===
===体積分===
===ガウスの発散定理===
===ストークスの定理===
===グリーンの定理===
==発展事項==
{{節stub}}
{{Advanced|多様体論}}
{{Advanced|微分幾何学}}
{{Advanced|積分幾何学}}
===体積分再考===
体積分は先程「<math>\mathbb{R}^3</math>上の閉立体<math>V</math>」上で考えたが、実はここには線積分・面積分との大きな非対称性がある。
線積分は「曲線」、面積分は「曲面」を積分領域としたが、先程定義した体積分の積分領域は「平坦な立体」なのである(二次元で例えば楕円領域<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\leq1</math>は境界こそ"曲線"だが空間そのものは<math>\mathbb{R}^2</math>という"平面"であることと同じ)。
1次元の曲がった空間である曲線<math>M^1:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>が<math>\mathbb{R}^2</math>内、2次元の曲がった空間である曲面<math>M^2:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t)</math>が<math>\mathbb{R}^3</math>内に存在するように、3次元の曲がった空間である曲立体<math>M^3:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t, u)</math>は<math>\mathbb{R}^4</math>内に存在すると考えるのが自然である。ここで一般に<math>M^n\subset\mathbb{R}^{n+1}</math>が成り立つと予想され、この関係を「<math>M^n</math>の<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>への'''埋め込み'''」と呼ぶことにする。
線積分を<math>M^1</math>、面積分を<math>M^2</math>で定義したように、体積分を<math>M^3</math>で定義することを考える。
媒介変数空間<math>\begin{pmatrix} s \\ t \\ u \end{pmatrix} \in V \subset\mathbb{R^3}</math>上の微小変化を考えると全微分を用いて
:<math>d\boldsymbol{r}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>
よって<math>V</math>上の微小立方体<math>dsdtdu</math>は3ベクトル<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>の張る微小平行六面体へ移される。
体素はこの微小平行六面体の体積と考えられるが、<math>\boldsymbol{r}\in\mathbb{R}^4</math>より当然この3ベクトルは4項ベクトルなので、'''外積を含んでいるスカラー三重積は使えない'''。
全微分を一次変換表記すると
:<math>d\boldsymbol{r}=\begin{pmatrix} \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
:<math>=\begin{pmatrix} \frac{\partial{x}}{\partial{s}} & \frac{\partial{x}}{\partial{t}} & \frac{\partial{x}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{y}}{\partial{s}} & \frac{\partial{y}}{\partial{t}} & \frac{\partial{y}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{z}}{\partial{s}} & \frac{\partial{z}}{\partial{t}} & \frac{\partial{z}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{w}}{\partial{s}} & \frac{\partial{w}}{\partial{t}} & \frac{\partial{w}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
:<math>=\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
ここでヤコビ行列は<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\in\mathbb{R}^{4\times3}</math>であって'''正方行列でないので行列式も求まらない'''。
そこで、[[線型代数学続論/種々の行列#随伴行列|グラム行列]]を利用することを考える。
'''グラム行列は必ず半正定値行列'''なので行列式は非負であり、平方根をとれる。
そのため、<math>\mathbf{G}:=\left(\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\right)^*\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>として<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を体積拡大率とする。
これは正方行列ならヤコビアンの絶対値に一致する。
{{NavTop|title=補足:体積拡大率に一致する証明}}
:<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>の列ベクトルにグラム=シュミットの直交化法を適用すると[[線型代数学続論/行列分解|QR分解]]によって
:<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}=\mathbf{QR}\quad (\mathbf{Q}\in\mathbb{R}^{4\times3}, \mathbf{R}\in\mathbb{R}^{3\times3})</math>
よって
:<math>\mathbf{G}=(\mathbf{QR})^*\mathbf{QR}</math>
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{Q}^*\mathbf{Q}\mathbf{R}</math>
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{E}_3\mathbf{R}</math>(<math>\because\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列)
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{R}</math>
:<math>\therefore \sqrt{\det\mathbf{G}}=\sqrt{\det\left( \mathbf{R}^*\mathbf{R} \right)}=\sqrt{\left(\det\mathbf{R}\right)^2}=|\det\mathbf{R}|</math>
<math>\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列なのでその一次変換は等長変換であり、全微分による拡大率は<math>\mathbf{R}</math>による拡大率と一致する。<br/>
則ち、<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を拡大率としてとれる。//
{{NavBottom}}
よって体積分は
:<math>\iiint_{M^3} f(\boldsymbol{r})dM^3 = \iiint_{V} f(\boldsymbol{r}(s, t, u))\sqrt{\det\mathbf{G}}\,dsdtdu</math>
ここから、適切な媒介変数表示が存在するならば<math>M^n</math>上での体積分の計算に<math>\mathbb{R}^{n+1}\setminus M^n</math>の情報は入ってこず、<math>M^n</math>の情報のみで計算されると予想される。
実際、<math>M^n</math>に適切な媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})\quad(\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n)</math>が存在するとき、全微分による一次変換の拡大率は同様にグラム行列式の平方根で与えられるので体積素は<math>dM^n = \sqrt{\det\mathbf{G}} \prod_{k=1}^{n}d\boldsymbol{p}_k</math>と書け、これは正しい。
実は、体素だけでなく一般に角度や長さといった幾何学的な量は埋め込み先である<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>の情報を全く必要とせず、<math>M^n</math>の情報だけで構成できることが知られている。このことは微分幾何学のうち[[w:リーマン幾何学|リーマン幾何学]]と呼ばれる分野で詳しく扱われる。
ここまで<math>M^n</math>を適切な媒介変数<math>\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n</math>で表すことを強調してきたが、媒介変数表示を考えるということは<math>M^n</math>から媒介変数空間<math>U\subset\mathbb{R}^n</math>への射影<math>\pi:M^n\to U</math>を考えるということである。
ここで、この<math>\pi</math>が全単射ならば逆向きの射影<math>\pi^{-1}:U\to M^n</math>が存在してそれが媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})</math>となるわけであるが、これは以下のようにも捉えられる。
:<math>\pi</math>によって射影した平坦な空間で座標を設定すると、'''適切な逆変換<sup>※</sup>によって曲がった空間<math>M^n</math>上に(局所)座標系を与えることができる'''。
つまり、体積分を媒介変数空間に置換積分するということは、逆に体積分の元の表示が「<math>M^n</math>上の局所座標系に於ける積分」であることを示している。
※この適切な逆変換が存在する条件は'''陰関数定理そのもの'''である。
ここで、適切な媒介変数表示が存在するよう<math>M^n</math>に制限を課したものが、以下で扱う'''多様体'''である。
===多様体===
===微分形式===
[[線型代数学続論/外積代数]]も参照。
===リーマン計量===
===テンソル解析===
[[線型代数学続論/テンソル代数]]も参照。
===複素ベクトル解析===
[[複素解析学]]も参照。
{{DEFAULTSORT:へくとるかいせき}}
[[Category:解析学]]
[[Category:微分積分学]]
[[Category:ベクトル解析|かいせきかくきそ]]
0p4np0vclpzh65baip2t7x4af6dmh4v
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2026-09-29T00:29:51Z
~2026-51282-49
92621
/* 曲面 */
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wikitext
text/x-wiki
{{Pathnav|数学|解析学|解析学基礎|frame=1}}
{{wikipedia|ベクトル解析}}
ここでは、ベクトル解析について解説する。[[物理数学I ベクトル解析]]も参照。
==前提知識==
ここでは、実数のみで考える。
===ベクトル===
[[高等学校数学C/ベクトル]]、[[線型代数学/ベクトル]]、[[解析学基礎/ベクトル]]などを参照。本項では、矢印を付した表記(<math>\vec{a}</math>など)と太字斜体による表記(<math>\boldsymbol{x}</math>など)を混用する。
===行列===
[[高等学校数学C/数学的な表現の工夫]]及び[[線形代数学]]・[[線型代数学続論]]の各ページを参照。本項では大文字の太字立体(<math>\mathbf{A}</math>など)で表記する。
===多変数解析===
[[解析学基礎/多変数関数の微積分]]を参照。
===領域===
<math>D\subset\mathbb{R}^n</math>と点<math>\boldsymbol{a}\in D</math>(位置ベクトル表記なので太文字斜体)に対し、集合<math>B_\varepsilon(\boldsymbol{a}) := \{ \boldsymbol{x} \in D \mid \| \boldsymbol{x} - \boldsymbol{a} \|<\varepsilon \}</math>を点<math>\boldsymbol{a}</math>の'''<math>\varepsilon</math>-開球'''という。不等号を<math>\leqq</math>に変えたときは開区間↔閉区間と同様に'''閉球'''と呼ぶ。このとき、<math>D</math>のように<math>\mathbb{R}^n</math>の部分集合であって<math>\varepsilon</math>-開球を含むものを点<math>\boldsymbol{a}</math>の'''<math>\varepsilon</math>-開近傍'''と呼ぶ。閉球を含むときは同様に'''閉近傍'''と呼ぶ。
<math>\forall \boldsymbol{a} \in U, \exist \varepsilon>0, B_\varepsilon(\boldsymbol{a})\subset U</math>を満たす<math>U\subset\mathbb{R}^n</math>を'''開集合'''と呼び、<math>V=\mathbb{R}^n\setminus U</math>を'''閉集合'''と呼ぶ。
注意点として、開集合と閉集合は排反ではない。則ち「開集合且つ閉集合」である集合が存在し(例えば<math>\mathbb{R}, \varnothing</math>)、「開集合でも閉集合でもない」集合も存在する(例えば<math>[0, 1)</math>)。
<math>M\subset\mathbb{R}^n</math>を含む最小の閉集合を<math>M</math>の'''閉包'''と呼び、<math>M^-, \bar{M}, \mathrm{Cl}(M)</math>などと表す。例えば有理数の稠密性より<math>\mathbb{Q}^-=\mathbb{R}</math>である。
閉包の性質として「閉包=集合の内部と境界の和集合(<math>M^- = \mathrm{Int}(M) \cup \partial{M}</math>)」がある。
集合<math>S\subset\mathbb{R}^n</math>に対して以下を満たす<math>\mathbb{R}^n</math>上開集合の組<math>(G_1, G_2)</math>が'''とれない'''とき、
#<math>G_1 \cap S = \varnothing \land G_2 \cap S = \varnothing</math>
#<math>S = (G_1 \cap S) \sqcup (G_2 \cap S)</math>
「<math>S</math>は'''連結'''である」または「<math>S</math>は'''連結集合'''」という(但し、<math>\sqcup</math>は[[w:非交和|非交和]])。
空でない開連結集合を'''領域'''という。
実は、高校数学や1年次の解析学で扱ってきた「領域」はこの定義を満たしていないことが多かった。これは、「領域」の歴史的な用法では「条件の解集合」という意味であって開性や連結性を要求しなかったためである。しかし、本項を含めた以降に登場する数学ではこの定義を満たしていることが前提条件となる。なお、ややこしいことに「積分領域」は従来通り「その上で積分を行う集合」という緩い意味で使われることが多いので、区別が必要である。
===右手系===
三次元空間の正規直交基底を<math>(\boldsymbol{e}_1, \boldsymbol{e}_2, \boldsymbol{e}_3)</math>と置く。螺子を<math>\boldsymbol{e}_1\to\boldsymbol{e}_2</math>の向きに回すと<math>\boldsymbol{e}_3</math>の正方向に進むように3つの軸をとった系を'''右手系'''という。負方向に進むようにとったものを'''左手系'''という。数学・物理に限らず理数系の約束事として、'''三次元空間は必ず右手系で考える'''という暗黙の了解が存在するので覚えておこう。
右手系・左手系は基底の一部または全ての符号を反転することで変換することができる。一つだけを反転する場合は'''鏡像変換'''、二つだけを反転する場合は'''半回転'''、全てを反転する場合は'''空間反転'''と呼ぶ。
外積の結果として得るベクトルは右手系・左手系のどちらを考えるかで向きが変わる。このように、右手系↔左手系の変換で向きが変わるベクトルを'''軸性ベクトル'''という。
系の取り方で向きが変わるということは基底の係数である'''成分は不変量'''である。つまり、観測者の動きにベクトルが追従し、このベクトルは「物理的な実体を有しているのではなく計算の都合上向きが定められた便宜的な(=観測者が勝手に決めた)ベクトル」ということである。そのため、軸性ベクトルは'''擬ベクトル'''(シュードベクトル)とも呼ばれる。
位置や速度、加速度のような右手系・左手系のどちらを考えても同じ向きを向くベクトルを'''極性ベクトル'''という。座標系を取り換えても向きが維持されるため'''成分は座標変換に応じて変化する'''。これは、「観測の仕方によって起こる現象は変わらない」ということである。つまり擬ベクトルに対し、極性ベクトルは'''物理的実体を有するベクトル'''である。
偶奇と同じように軸性・極性にも外積を通じた相互関係が存在する。
:(軸性)×(軸性)=(軸性)
:(軸性)×(極性)=(極性)
:(極性)×(極性)=(軸性)
==基礎事項==
===ベクトル関数===
関数<math>\boldsymbol{f} (x) = \sum_{i} f_i(x) \boldsymbol{e}_i</math>を'''ベクトル(値)関数'''(vector-valued function, vector function)という。
ただし、各<math>\boldsymbol{e}_i</math>は各座標軸方向の単位ベクトルであり、<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の定義域は各<math>f_i(x)</math>の定義域の積集合である。
ベクトルの演算が成分ごとの演算結果を並べたベクトルで定義されたように、ベクトル関数の演算は(結果となる値が存在するならば)各成分の演算結果を並べたベクトルに等しい。これはベクトルの線型性による。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \cos x \\ \sin x \end{pmatrix}</math>の<math>x\to0</math>の極限は、
:<math>\lim_{x\to0} \boldsymbol{f}(x) = \begin{pmatrix} \lim_{x\to0} \cos x \\ \lim_{x\to0} \sin x \end{pmatrix}</math> (<math>\because</math>線型性)
:<math>=\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>=\boldsymbol{e}_x</math>
と求まる。
このとき、<math>\boldsymbol{e}_x</math>を<math>\begin{pmatrix} \cos x \\ \sin x \end{pmatrix}</math>の<math>x\to0</math>に於ける'''極限ベクトル'''という。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>x=\alpha</math>で連続であるとは<math>\lim_{x\to\alpha}\boldsymbol{f}(x)=\boldsymbol{f}(\alpha)</math>が成立することであり、区間<math>I</math>で連続であるとは<math>\forall \alpha \in I</math>で連続であることである。
また、ベクトル関数の導関数<math>\boldsymbol{f}'(x)</math>は
:<math>\frac{d}{dx} \boldsymbol{f} (x) = \frac{d}{dx} \left( \sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i \right)</math>
:<math>= \sum_i \left( \frac{d}{dx} f_i (x) \boldsymbol{e}_i \right)</math>(<math>\because</math>線型性)
:<math>= \begin{pmatrix} f'_1(x) \\ f'_2(x) \\ \vdots \\ f'_i(x) \\ \vdots \end{pmatrix}</math>
である。
この結果は、ベクトル関数に於ける導関数の正式な定義 <math>\lim_{h\to0} \frac{\boldsymbol{f}(x+h) - \boldsymbol{f}(x)}{h}</math>からも導かれる。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>x=\alpha</math>で微分可能であるとは極限値<math>\boldsymbol{f}'(\alpha)=\lim_{x\to\alpha}\frac{\boldsymbol{f}(x)-\boldsymbol{f}(\alpha)}{x-\alpha}</math>が存在することであり、区間<math>I</math>で微分可能であるとは<math>\forall \alpha \in I</math>で微分可能であることである。
高階導関数・高階微分可能も同様にして定義される。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が区間<math>I</math>で連続ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^0</math>級であるといい、<math>\boldsymbol{f}\in C^0(I)</math>と書く。<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>I</math>で微分可能で<math>\boldsymbol{f}'(x)\in C^0(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^1</math>級である(一階連続微分可能)といい、<math>\boldsymbol{f}\in C^1(I)</math>と書く。<math>\boldsymbol{f}(x)</math>が<math>I</math>で二階微分可能で<math>\boldsymbol{f}'\in C^1(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>上で<math>C^2</math>級である(二階連続微分可能)といい、<math>\boldsymbol{f}\in C^2(I)</math>と書く。同様にして順々に<math>C^k</math>級が定義され、<math>\forall k \in \mathbb{N}, \boldsymbol{f}\in C^k(I)</math>ならば<math>\boldsymbol{f}(x)</math>は<math>I</math>で<math>C^\infty</math>級(無限階連続微分可能)であるといい、<math>\boldsymbol{f}\in C^\infty(I)</math>と書く。<math>C^\infty</math>級である関数を'''滑らかな'''関数ともいう。
高校数学や高校物理で扱った平面(<math>\mathbb{R}^2</math>)上の運動は、実は2項ベクトル関数の理論に他ならない。
例えば、平面上の運動に於ける加速度・速度・変位の関係は<math>\boldsymbol{x}(t)= \begin{pmatrix} f(t) \\ g(t) \end{pmatrix}</math>として<math>\boldsymbol{a}(t) = \frac{d}{dt}\boldsymbol{v}(t) = \frac{d^2}{dt^2} \boldsymbol{x}(t)</math>と表すことができる。
曲線の媒介変数表示は、パラメータを変数とするベクトル関数とみることができる。
例えば、円の媒介変数表示<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \end{cases}</math>は、<math>\boldsymbol{r}(\theta) = r\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix}</math>という2次元ベクトル関数とみることができる。更に<math>\theta=\omega t</math>とすると、これは等速円運動の式である。
1変数ベクトル関数の微分に関して、以下の公式が成り立つ。
#定数倍の導関数:<math>\{k\boldsymbol{a}(x)\}'=k\boldsymbol{a}'(x)</math>
#和・差の導関数:<math>\{ \boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x) \}' = \boldsymbol{a}'(x)\pm\boldsymbol{b}'(x)</math>
#積の導関数:<math>\{ f(x)\boldsymbol{a}(x) \}' = f'(x)\boldsymbol{a}(x)+f(x)\boldsymbol{a}'(x)</math>
#商の導関数:<math>\left\{ \frac{\boldsymbol{a}(x)}{f(x)} \right\}' = \frac{f(x)\boldsymbol{a}'(x)-f'(x)\boldsymbol{a}(x)}{\{f(x)\}^2} \quad (f(x)\neq0)</math>
#内積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x)</math>
#外積の導関数:<math>\{\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}' = \boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)+\boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x)</math>
#スカラー三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\cdot\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math>
#ベクトル三重積の導関数:<math>[\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}]' = \boldsymbol{a}'(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}'(x)\times\boldsymbol{c}(x)\}+\boldsymbol{a}(x)\times\{\boldsymbol{b}(x)\times\boldsymbol{c}'(x)\}</math>
#連鎖律(チェイン・ルール):<math>[\boldsymbol{a}\{f(x)\}]'=\boldsymbol{a}'\{f(x)\}f'(x)</math>
ベクトル関数の'''ノルム'''(大きさ、長さ)は、通常のベクトルと同様に
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)} = \sqrt{\sum_{i} \{f_i (x)\}^2}</math>
で与えられる。
つまり、ノルムは元のベクトル関数と同一変数のスカラー関数である。
ここで、このスカラー関数が定数関数である条件に就て見てみよう。
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= c \quad (c\in\mathbb{R}_{>0})</math>の両辺を2乗して
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2 = \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x) = c^2</math>
:両辺微分すると内積の微分より
:<math>\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math>
:<math>\therefore \boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0</math>
:逆に、
:<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=0 \iff 2\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{f}'(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)+\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'=0</math>
:<math>\int \{\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)\}'dx= \int 0 dx</math>
:<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}(x)=C_1</math>(<math>C_1\geq0</math>は積分定数)
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|^2=C_1</math>より
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \| = \sqrt{C_1} = \mathrm{const}.</math>
よって、以下が成り立つ。
{{定理|(直交条件の定理)}}
:<math>\| \boldsymbol{f}(x) \|= \mathrm{const}. \iff \boldsymbol{f}(x) \cdot \boldsymbol{f}'(x) = 0</math>
{{定理終わり}}
これは、物理的には「位置ベクトルと速度ベクトルが直交する」ことを表す。則ち、<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の終点が始点を中心とする円運動(球面運動)をするということである。
また、ベクトル関数が変数に依らず常に同一方向を向く条件も見てみよう(但し<math>\boldsymbol{f}(x)\neq\boldsymbol{0}</math>)。
:所与の条件は零ベクトルでない定ベクトル<math>\boldsymbol{c}</math>を用いて<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x)\boldsymbol{c}</math>と表される。
:両辺微分して<math>\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}=f'(x)\boldsymbol{c}</math>
:ここで元のベクトル関数との外積をとると
:<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\{f(x)\boldsymbol{c}\}\times\{f'(x)\boldsymbol{c}\}=f(x)f'(x) (\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{c})=f(x)f'(x)\boldsymbol{0}=\boldsymbol{0}</math>
:逆に、
:<math>\boldsymbol{f}(x)\times\boldsymbol{f}'(x)=\boldsymbol{0}</math>とすると一次従属なので
:<math>\boldsymbol{f}'(x)=g(x)\boldsymbol{f}(x)</math>という微分方程式が成り立つ。
:各成分ごとに微分方程式を解くと、
::これは変数分離型微分方程式なので第i成分は
::<math>\frac{df_i}{dx}=g(x)f_i(x)</math>
::<math>\int \frac{df_i}{f_i(x)}=\int g(x)dx</math>
::<math>G'(x)=g(x), C_i</math>を積分定数として<math>\log|f_i(x)|=G(x)+C_i</math>
::<math>C_i=\pm e^{C_i}</math>と改めておくと<math>f_i(x)=C_i e^{G(x)}</math>
:よって
:<math>\boldsymbol{f}(x)=\sum_i f_i(x) \boldsymbol{e}_i = \sum_i C_i e^{G(x)} \boldsymbol{e}_i = e^{G(x)} \sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math>
:ここで<math>f(x)=e^{G(x)}, \boldsymbol{c}=\sum_i C_i \boldsymbol{e}_i</math>と置くと
:<math>\boldsymbol{f}(x) = f(x) \boldsymbol{c}</math>となり、方向は変数に依らず一定であることが判る//
よって、以下が成り立つ。
{{定理|(平行条件の定理)}}
<math>\boldsymbol{c},\boldsymbol{f}(x)\neq\boldsymbol{0}</math>として
:<math>\boldsymbol{f}(x)=f(x)\boldsymbol{c} \iff \boldsymbol{f}(x) \times \boldsymbol{f}'(x) = \boldsymbol{0}</math>
{{定理終わり}}
ベクトル解析では三次元空間の場合を考えることが多いため上では外積を用いて証明したが、外積は3項ベクトル(または7項ベクトル)にしか定義されないのであった。
一般次元では外積に代わって次の関係式を用いる。
:<math>|\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)|=\|\boldsymbol{f}(x)\|\|\boldsymbol{f}'(x)\|</math>
これはCS不等式の等号成立の場合である。
実際、<math>\boldsymbol{f}(x)\cdot\boldsymbol{f}'(x)=\|\boldsymbol{f}(x)\|\|\boldsymbol{f}'(x)\|\cos\{\theta(x)\}</math>より等号成立の必要十分条件は
:<math>\cos\{\theta(x)\}=\pm1\iff\theta(x) \equiv 0 \,(\mathrm{mod}\pi)</math>
であり、2ベクトル<math>\boldsymbol{f}(x), \boldsymbol{f}'(x)</math>は平行とわかる。<br/>
平行ということは一次従属ということなので先程のように変数分離形微分方程式を解くことで3次元と同じ結果を得る。//
補足として、力学への応用を考える。
:速さの二乗<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|^2</math>を時間微分すると
:<math>\frac{d}{dt}\|\boldsymbol{v}(t)\|^2=\frac{d}{dt}(\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{v}(t))=\frac{d\boldsymbol{v}(t)}{dt}\cdot\boldsymbol{v}(t)+\boldsymbol{v}(t)\cdot\frac{d\boldsymbol{v}(t)}{dt}=2(\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{a}(t))</math>
:よって等速運動の条件<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|=\mathrm{const}.</math>は直交条件の定理から<math>\boldsymbol{v}(t)\perp\boldsymbol{a}(t)</math>に同値である。
:これを力学的に解釈すると、「加速度ベクトルは速度ベクトル方向に仕事をしないから速度ベクトルの大きさを変えずに向きだけを変える」となる。
:平面上で等速円運動を考えると円運動条件から<math>\boldsymbol{r}(t)\perp\boldsymbol{v}(t)</math>、等速条件から<math>\boldsymbol{v}(t)\perp\boldsymbol{a}(t)</math>なので<math>\boldsymbol{r}(t) /\!/ \boldsymbol{a}(t)</math>が出てくる。
:円運動条件<math>\|\boldsymbol{r}(t)\|^2=r^2</math>を一階微分すると
::<math>2\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{r}'(t)=0</math>
:もう一度微分して
::<math>2(\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{r}''(t)+\boldsymbol{r}'(t)\cdot\boldsymbol{r}'(t))=0</math>
:則ち
::<math>\boldsymbol{r}(t)\cdot\boldsymbol{a}(t)+\boldsymbol{v}(t)\cdot\boldsymbol{v}(t)=0</math>
:位置ベクトルと加速度ベクトルが一次従属なので<math>\boldsymbol{a}(t)=\lambda\boldsymbol{r}(t)</math>であり、等速条件より<math>\|\boldsymbol{v}(t)\|=v</math>なので
::<math>\lambda r^2 + v^2 = 0</math>
::<math>\therefore \lambda = -\frac{v^2}{r^2}<0</math>
:則ち<math>\boldsymbol{r}(t)</math>と<math>\boldsymbol{a}(t)</math>は逆向きであり、円運動の中心は<math>\boldsymbol{r}(t)</math>の始点なので<math>\boldsymbol{a}(t)</math>は常に円運動の中心を向く'''向心加速度'''であることが証明された。//
なお、3次元以上では「<math>\boldsymbol{a}\perp\boldsymbol{b}\land\boldsymbol{b}\perp\boldsymbol{c}\implies\boldsymbol{a}/\!/\boldsymbol{c}</math>」が一般には成り立たないのでこの議論を成立させるには追加の条件が必要である。
<math>\boldsymbol{f}(x)</math>の不定積分は、各<math>f_i(x)</math>の原始関数を並べたベクトルを<math>\boldsymbol{F}(x)</math>として
:<math>\int \boldsymbol{f}(x) dx = \boldsymbol{F}(x)+\boldsymbol{C}</math>(<math>\boldsymbol{C}</math>は各積分定数を並べたベクトル)
と表される。
また、定積分は
:<math>\int^b_a \boldsymbol{f}(x) dx=\boldsymbol{F}(b)-\boldsymbol{F}(a)</math>
と表される。
1変数ベクトル関数の積分について、以下が成り立つ(不定積分表記だが定積分に就ても同様)。
#定数倍の原始関数:<math>\int \{k\boldsymbol{a}(x)\} dx = k\int\boldsymbol{a}(x)dx</math>
#和・差の原始関数:<math>\int \{\boldsymbol{a}(x)\pm\boldsymbol{b}(x)\}dx=\int\boldsymbol{a}(x)dx\pm\int\boldsymbol{b}(x)dx</math>
#内積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \cdot \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math>
#外積の原始関数<math>\int \{\boldsymbol{k}\times\boldsymbol{a}(x)\}dx=\boldsymbol{k} \times \left( \int \boldsymbol{a}(x) dx \right)</math>
#スカラー倍の部分積分:<math>\int f(x)\boldsymbol{a}'(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f'(x)\boldsymbol{a}(x) dx \iff \int f'(x)\boldsymbol{a}(x)dx= f(x)\boldsymbol{a}(x)-\int f(x)\boldsymbol{a}'(x) dx</math>
#内積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\cdot\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\cdot\boldsymbol{b}(x)\}dx</math>
#外積の部分積分:<math>\int \{ \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}'(x) \}dx = \boldsymbol{a}(x)\times\boldsymbol{b}(x) - \int \{\boldsymbol{a}'(x)\times\boldsymbol{b}(x)\}dx</math>
#置換積分:<math>u=f(x)</math>として<math>\int \boldsymbol{a}'\{f(x)\}f'(x) dx = \int \boldsymbol{a}(u)du</math>
平行条件の定理の証明でベクトル関数の微分方程式を解いたように、成分毎に考えることで解空間ベクトルを求められる。
:1階線型常微分方程式<math>\boldsymbol{f}'(x)+a(x)\boldsymbol{f}(x)=\boldsymbol{b}(x)</math>の解に就て考える。
:第<math>i</math>成分を考えると<math>f'_i(x)+a(x)f_i(x)=b_i(x)</math>という1階線型常微分方程式を得るので、
:両辺に積分因子<math>\mu(x)=\exp\left(\int a(x) dx\right)</math>を掛けることで
:<math>f_i(x)=\frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\}</math>を得る。
:よって一般解は
:<math>\boldsymbol{f}(x) = \sum_i \frac{1}{\mu(x)} \left\{ \int \mu(x) b_i(x) dx + C_i \right\} \boldsymbol{e}_i=\frac{1}{\mu(x)}\left\{ \int \mu(x) \boldsymbol{b}(x) dx + \boldsymbol{C} \right\}</math>
ベクトル関数は必ずしもここで扱った<math>\boldsymbol{f}: \mathbb{R}\to\mathbb{R}^n</math>のみを指さない。
例えば、ベクトル変数 <math>\boldsymbol{x}= \sum_i g_i (x) \boldsymbol{e}_i</math>に対して
:<math>\boldsymbol{h}(\boldsymbol{x})=\sum_i (h_i \circ g_i) (x) \boldsymbol{e}_i</math>
と定義されるような関数<math>\boldsymbol{h}:\mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^m</math>もベクトル関数である。
また、始域と終域の次元が異なる<math>\boldsymbol{i}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n \, (m, n\neq1)</math>のようなベクトル関数も考えられる。
一般に、始域が<math>\mathbb{R}^n (n\neq1)</math>であっても終域が<math>\mathbb{R}</math>である関数はベクトル関数に対して'''スカラー関数'''(scalar function)と呼ばれる。スカラー関数は入力ベクトルを「変数の組」と見れば通常の多変数関数に一致する。
この節で述べた理論は、多くは一般のベクトル関数に対しても成り立つ。但し、後述のヤコビ行列のような拡張を必要とするものもある。
また、多変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{f}(x_1, x_2,\cdots,x_n)</math>を考えたとき、多変数微積分の理論は一変数微積分と同様にしてベクトル関数にもそのまま拡張される。
===ベクトル場・スカラー場===
写像<math>\boldsymbol{a}: \mathbb{R}^m \to \mathbb{R}^n</math>を'''ベクトル場'''(vector field)という。
実際には<math>m=n</math>の場合を考えることが多い。
写像<math>\varphi: \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}</math>を'''スカラー場'''(scalar field)という。
それぞれ上で述べたベクトル関数・スカラー関数に対応する。
もう少し具体的に述べると、空間の領域<math>V</math>が与えられたときその各点にスカラーまたはベクトルを割り当てたものが場である。要するに、<math>p\in V</math>とすると
:スカラー場:<math>\varphi=\varphi(p)</math>
:ベクトル場:<math>\boldsymbol{a}=\boldsymbol{a}(p)</math>
のように場は「点を入力とする<sup>※</sup>関数」である。
<small>※なお、ベクトル場を図示するときは「出力されたベクトルの'''始点は原点でなく入力された点'''」であることに注意が必要である。出力ベクトルの成分表示は「入力点を基準に据えたときの位置ベクトル」なので原点から目盛を数えることに意味はない。</small>
ここで<math>V</math>に何かしらの座標が設定されていれば、その座標系の変数の組をベクトルと見做すことで場を「通常のスカラー関数・ベクトル関数」として扱えるのである。
則ち、「滑らかな場」という概念は「滑らかな関数」として定義することができる。より具体的に言うと、スカラー場・ベクトル場が'''滑らか'''であるとは対応するスカラー関数・ベクトル関数が<math>C^\infty</math>級であることである。但し、滑らかさは任意の座標変換で保たれるわけではないことに注意が必要である(後述の座標変換テンソル及びその逆行列の全ての成分関数が滑らかである必要がある)。
ここで、二変数関数の極値を思い返してみる。
<math>z=f(x, y)</math>が<math>(a, b)</math>で極大であるとは<math>\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}\neq\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}</math>として
:<math>\exist \delta>0, \forall {\scriptstyle\left(\begin{array}{c} x \\[-6pt] y \end{array}\right)} \in \mathbb{R}^2, {\scriptstyle\left\| \left(\begin{array}{c} x \\[-6pt] y \end{array}\right) - \left(\begin{array}{c} a \\[-6pt] b \end{array}\right) \right\|} < \delta \implies f(x, y) \leq f(a, b)</math>
という定義だった。
<math>z=f(x, y)</math>は曲面を表すが、これを<math>z</math>軸正方向から<math>xy</math>平面に射影するとその陰が<math>(x, y)</math>の動く範囲となるのであった。
ここで<math>\boldsymbol{x}:=\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}, \boldsymbol{\alpha}:=\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}</math>とすると<math>z=f(x, y)</math>はスカラー場<math>z=\phi(\boldsymbol{x})</math>と解釈することができ、更に条件法の前件は<math>\boldsymbol{\alpha}</math>の<math>\delta</math>-開球(二次元なので開円板)である。
なので、極大値の定義式をベクトル解析的に解釈すると「<math>xy</math>平面の各点に<math>z</math>の値を割り当てた数分布に於いて、開円板<math>B_\delta(\boldsymbol{\alpha})</math>内部に於ける<math>z</math>の最大値が<math>\phi(\boldsymbol{\alpha})</math>となるような正数<math>\delta</math>が存在する」ということである。
ベクトル場の例としては、電場・磁場・重力場などが挙げられる。
スカラー場の例としては、電位分布・温度分布・圧力分布などが挙げられる。
例えば、ベクトル場<math>\boldsymbol{f}=(x, 0, 0)</math>は、<math>\mathbb{R}^3</math>内の平面<math>x=k</math>上の任意点に、その点を始点とするベクトル<math>\begin{pmatrix} k \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}</math>が存在する状態を表す。
ベクトル場の和は、出力ベクトルの型が同じならばベクトル場の成分の和をとったものに等しい。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x, y, z)=(y, z, x), \boldsymbol{g}(x, y, z)=(z, x, y)</math>について
:<math>(\boldsymbol{f}+\boldsymbol{g})(x, y, z)=(y, z, x)+(z, x, y)=(y+z, z+x, x+y)</math>である。
これは、ベクトル場の加法の定義が
:<math>\forall p \in V, (\boldsymbol{f}+\boldsymbol{g})(p):=\boldsymbol{f}(p)+\boldsymbol{g}(p)</math>
となっていて且つ<math>V</math>に座標を入れればベクトル関数の加法則をそのまま適用できるためである(入力点が異なるとき、場同士は足すことができない)。
曲線<math>\{\boldsymbol{x}\in\mathbb{R}^2 \mid \varphi(\boldsymbol{x})=\mathrm{const}.\}</math>を'''等高線'''(等高曲線)、曲面<math>\{\boldsymbol{x}\in\mathbb{R}^3 \mid \varphi(\boldsymbol{x})=\mathrm{const}.\}</math>を'''等位面'''(等位曲面)という。これらの詳細は後述する。
==曲線論・曲面論==
===曲線===
<math>xy</math>平面上の曲線は<math>y=f(x) (x\in[a, b])</math>という陽関数表示で扱うことが多かった。しかし、これだと自分自身と交わる('''自己交叉'''する)曲線や<math>x=x_0</math>に対して<math>f(x_0)</math>の値が複数存在する(<math>f</math>が'''多価関数''')場合に不都合が生じる。
例えば円を陽関数表示しようとすると
:<math>x^2+y^2=r^2</math>を<math>y</math>に就いて解いて
:<math>y=\pm\sqrt{r^2-x^2}</math>
則ち
:<math>y=\begin{cases} \sqrt{r^2-x^2} & (y\geq0) \\ -\sqrt{r^2-x^2} & (y<0) \end{cases}</math>
という多価関数が必要になる。
これだと端点の振舞を一々調べる必要があって曲線の連続性や接線の議論が煩雑になってしまう。
しかし、先程も述べたように曲線の媒介変数表示はベクトル関数として見れるのであった。
:<math>\boldsymbol{r}(\theta) = r\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix}</math>(再掲)
こうすると一変数連続ベクトル関数によって曲線を表すことが可能である。物理的に捉えると「質点の運動の軌跡を原点からの位置ベクトルの時間変化で表す」ということである。
一般に、<math>\boldsymbol{r}\in\mathbb{R}^n, t \in I</math>としてベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>の解集合<math>\{\boldsymbol{r}(t) \mid t \in I \}</math>は<math>n</math>次元空間内の曲線<math>C</math>を表す。これを<math>C</math>の'''ベクトル表示'''という。
ベクトル表示は成分表示に直せば<math>\boldsymbol{r}(t)=\sum_i r_i(t)\boldsymbol{e}_i</math>となる。これは媒介変数表示<math>\begin{cases} x_1&=&r_1(t) \\ x_2&=&r_2(t) \\ &\,\,\vdots& \\ x_n&=&r_n(t) \end{cases}</math>をベクトル表記したものに一致する。
例えば、<math>\boldsymbol{r}(t)=\begin{pmatrix} a\cos t \\ a\sin t \\ bt \end{pmatrix}</math>は'''常螺旋'''(弦巻線)のベクトル表示である。
パラメータが増加するときの点の移動方向を曲線の'''正の向き'''と定める。曲線の'''負の向き'''はパラメータが減少するときの点の移動方向である。このとき、パラメータで'''向き付け'''された曲線という表現もなされる。曲線<math>C</math>に対し、同じパラメータを用いた逆向きの曲線を<math>-C</math>と表す。ベクトル表示では<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に対して<math>-C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(-t)</math>ということである。
パラメータに関する変数変換<math>u=\phi(t)</math>を考える。但し、<math>\phi</math>は広義単調関数とする<sup>※</sup>。このとき、<math>\frac{du}{dt}</math>が非負ならば曲線の向き付けが保たれ、非正ならば向き付けが反転する。<math>\frac{du}{dt}=0</math>となる領域では点の運動が停止する。
<small>※<math>\phi</math>が非単調関数のときは曲線上の点が行ったり来たりすることになるため曲線のパラメータ表示としては扱いづらい。</small>
<math>\boldsymbol{r}(t) \in C^1</math>且つ<math>\boldsymbol{r}'(t)\neq\boldsymbol{0}</math>であるとき、曲線<math>C</math>は'''滑らか'''であるという。
滑らかな曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に対して<math>\boldsymbol{r}'(t)</math>を<math>C</math>の'''速度ベクトル'''という。
<math>\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\boldsymbol{r}</math>として点<math>\mathrm{P}(t)</math>に於ける速度ベクトルは<math>\lim_{\Delta t\to0}\frac{\boldsymbol{r}(t+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t)}{\Delta t}</math>の極限ベクトルであるが、<math>\boldsymbol{r}(t+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t)</math>を図示することで速度ベクトルが曲線<math>C</math>の点<math>\mathrm{P}(t)</math>に於ける接線の方向ベクトルになっていることがわかる。よって、速度ベクトルを'''接線ベクトル'''(接ベクトル)ともいう。
速度ベクトルが非零である曲線を'''正則'''な曲線と呼ぶ。滑らかな曲線は正則曲線である。
なお、一般には陽関数表示が区分的であることとベクトル表示の成分関数が区分的であることに対応はないほか、パラメータの取り方で速度ベクトルが変わるので「曲線の幾何学的滑らかさ」と「ベクトル表示した関数の解析学的滑らかさ」は一致するとは限らない。
正則な曲線に対して曲線長('''弧長''')を考える。
二次元曲線の場合は数学Ⅲで既に扱った。
:<math>L=\int_a^b \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}dt</math>
実は、これを一般の<math>n</math>次元にそのまま拡張することができる。
{{定理|(弧長公式)}}
曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>の点<math>\mathrm{P}(a)</math>から点<math>\mathrm{P}(b)</math>までの長さ(<math>a<b</math>)は
:<math>L=\int_a^b \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>
で与えられる。
{{定理終わり}}
*証明
:<math>a=t_0, b=t_m</math>として閉区間<math>[a, b]</math>を各<math>t_i</math>で等分割する。このとき小区間<math>[t_{k-1}, t_k]</math>の長さは<math>\Delta t=\frac{b-a}{m}</math>。
:<math>C</math>の点<math>\mathrm{P}(a)</math>から点<math>\mathrm{P}(b)</math>までの長さ<math>L</math>は折れ線の長さ<math>\overline{\mathrm{P}(t_{k-1})\mathrm{P}(t_k)}</math>の総和で近似される。
:ここで<math>\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\boldsymbol{r}(t)</math>より
::<math>L_m=\sum_{k=1}^m \| \boldsymbol{r}(t_k)-\boldsymbol{r}(t_{k-1}) \| = \sum_{k=1}^m \left\| \frac{\boldsymbol{r}(t_{k-1}+\Delta t)-\boldsymbol{r}(t_{k-1})}{\Delta t-0} \right\|(\Delta t-0)</math>
:分割を限りなく細かくする極限をとると<math>m\to\infty</math>より<math>\Delta t\to0</math>なので
::<math>\lim_{m\to\infty} L_m = \sum_{k=1}^\infty \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt}(t_{k-1}) \right\|dt</math>
:区分求積法より最後の無限級数は収束して
:<math>L=\int_a^b \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>//
ここで、<math>dl:=\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>という微小量を'''線素'''と呼ぶ。
1を線素に関して積分したパラメータ<math>s:=\int_0^t dl</math>を'''弧長パラメータ'''(標準パラメータ)という。弧長パラメータは曲線上で「基準点からの符号付き距離」を表す。
曲線の弧長パラメータによるベクトル表示('''弧長パラメータ表示''')を考える。<math>s=\int_0^t \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt</math>で正則よりノルムは正。則ち<math>\frac{ds}{dt}>0</math>より<math>s=\phi(t)</math>は狭義単調増加なので、逆関数<math>t=\phi^{-1}(s)</math>を考えることができる。よって、<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>に<math>t=\phi^{-1}(s)</math>を代入した<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\phi^{-1}(s))</math>が弧長パラメータ表示である。これを<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>と略記してしまうことも多いが、'''一般には元の<math>\boldsymbol{r}(t)</math>と成分関数が異なる'''ことに注意。
通常の媒介変数によるベクトル表示は「座標系が予め与えられた状況」での表示であるが、弧長パラメータは座標系を取り替えたとしても表す曲線そのものが変わらなければ不変である。よって、「座標系に依存しない表記」として弧長パラメータ表示は多く利用されている。
また、弧長パラメータ表示で連鎖律を適用すると
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\cdot\frac{dt}{ds}=\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\cdot\frac{1}{\frac{ds}{dt}}</math>
ここで微分積分学の基本定理より
:<math>\frac{ds}{dt}=\frac{d}{dt} \int_0^t \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|dt = \left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|</math>
なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\frac{\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}}{\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \right\|}</math>
であり、自身のノルムで割ってるので恒等的に<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} \right\|=1</math>である。
よって、弧長パラメータ表示された曲線の接ベクトルは常に単位ベクトルである。
弧長パラメータ表示された曲線で線素を考えると<math>s=\int_0^s \left\| \frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds} \right\| ds = \int_0^s dl</math>だが、常に<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} \right\|=1</math>なので<math>ds=dl</math>であり、弧長パラメータの微小量は線素に等しい(弧長パラメータそのものが1の線素に関する積分なので当たり前ではある)。
<math>\boldsymbol{e}_\dagger(s)=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}</math>と置くと、点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける接線の方程式は
:<math>\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s_0)=\boldsymbol{e}_\dagger(s_0) (s-s_0)</math>
と表される。
ここで<math>\boldsymbol{r}(s)</math>の中心<math>s_0</math>に於けるテイラー展開は
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\sum_{i=0}^\infty \frac{(s-s_0)^i}{i!} \frac{d^i}{ds^i}\boldsymbol{r}(s_0) </math>
であり、「接線が一次近似に対応する」という構造はベクトル関数でも維持されることが判った。
領域<math>\boldsymbol{D}</math>上の滑らかなベクトル場<math>\boldsymbol{a}</math>について、微分方程式<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}=\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t)) (\boldsymbol{r} \in \boldsymbol{D})</math>で与えられる曲線<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t)</math>を<math>\boldsymbol{a}</math>の'''流線'''(streamline)という(入力点を位置ベクトルと同一視していることに注意)。流線の接線ベクトルは元のベクトル場そのものになるので、ベクトルの相等から得る方程式<math>\frac{dx_1}{a_1}=\frac{dx_2}{a_2}=\cdots=\frac{dx_n}{a_n}</math>を'''流線方程式'''という。
例えば、<math>\boldsymbol{f}(x, y)=(y, x)</math>の流線は、
:定義から<math>\frac{dx}{dt}=y, \frac{dy}{dt}=x</math>
:合成関数の微分公式から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}=\frac{x}{y}</math>
:<math>\int y dy=\int xdx</math>
:<math>\frac{1}{2}y^2=\frac{1}{2}x^2+C</math>
:よって双曲線<math>y^2-x^2=2C</math>//
この場合、<math>t</math>に関する2つの微分方程式を組み合わせることで
:<math>\frac{d^2x}{dt^2}=x, \frac{d^2y}{dt^2}=y</math>という二階線型常微分方程式となり、一般解が双曲線関数を用いて<math>\begin{cases} x=C_1\cosh t+C_2\sinh t \\ y=C_1\sinh t+C_2\cosh t \end{cases}</math>であることが容易に判る。<br>なお、流線方程式を用いても<math>\frac{dx}{y}=\frac{dy}{x}</math>から<math>\frac{dy}{dx}=\frac{x}{y}</math>が出てくる。
「流線の接線ベクトルが元のベクトル場になる」とはつまり、「接線が常にベクトル場と平行になるような曲線」を考えているということである。滑らかなベクトル場を考えているためそのような曲線は常に存在する。流線は「ベクトル場の流れを繋げていった曲線」と考えることができるので、「流れを簡潔に図示」するのにちょうどよい。
有名な例として、電気力線・磁力線はそれぞれ電場<math>\boldsymbol{E}</math>・磁束密度<math>\boldsymbol{B}</math>の流線である。
流線の微分方程式を弧長パラメータ表示を用いて変形する。
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}=\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))</math>の左辺に就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\frac{ds}{dt}=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot \|\boldsymbol{r}'(\phi^{-1}(s))\|</math>
元の方程式の両辺でノルムをとると
:<math>\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right\|=\|\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))\|</math>
代入して
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\|\boldsymbol{r}'(\phi^{-1}(s))\|=\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}\cdot\|\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(t))\|</math>
:<math>\therefore \frac{d\boldsymbol{r}}{ds} = \boldsymbol{e}_{\boldsymbol{a}(\boldsymbol{r}(\phi^{-1}(s)))}</math>
ここから、流線の形状はノルムには関係なく方向場のみで決まることがわかる。
===フレネ標搆===
ここでは、三次元空間に於ける正則曲線について考える。
<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>上の点<math>\mathrm{P}(s)</math>に於ける単位接線ベクトルを<math>\boldsymbol{t}</math>とおく。
先程の議論より<math>\boldsymbol{t}(s)=\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}</math>であり、<math>\left\| \frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds} \right\|=1 (=\mathrm{const}.)</math>なので直交条件の定理から<math>\boldsymbol{t}\cdot\frac{d\boldsymbol{t}}{ds}=0</math>、則ち<math>\boldsymbol{t} \perp \frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>である。この<math>\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>を'''主法線ベクトル'''という。
主法線ベクトルを<math>\boldsymbol{n}</math>とおくとき、<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n}</math>を'''従法線ベクトル'''(陪法線ベクトル)という。ここで先程の結果より<math>\boldsymbol{t}\perp\boldsymbol{n}</math>であって<math>\boldsymbol{b}</math>の定義より<math>\boldsymbol{t}\perp\boldsymbol{b}, \boldsymbol{n}\perp\boldsymbol{b}</math>なので、この3ベクトルの組を正規化した<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b \}</math>は<math>\mathbb{R}^3</math>の正規直交基底である。これを<math>\mathbb{R}^3</math>の'''フレネ標搆'''という。外積の結果よりフレネ標搆は<math>\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b</math>の順に右手系をなす。なお、接線ベクトル・主法線ベクトル・従法線ベクトルは全て曲線の位置ベクトル<math>\boldsymbol{r}(s)</math>を入力したベクトル場として捉えることができる。
<math>\{\boldsymbol{e}_n, \boldsymbol{e}_b \}</math>の張る平面を'''法平面'''、<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_b \}</math>の張る平面を'''展直平面'''、<math>\{\boldsymbol{e}_t, \boldsymbol{e}_n \}</math>の張る平面を'''接触平面'''という。
即ち、法平面・展直平面・接触平面は<math>tnb</math>空間の点<math>\mathrm{P}(s)</math>を原点とした基準面である。
平面の方程式の法線ベクトルに接ベクトル・主法線ベクトル・従法線ベクトルをそれぞれ代入することで
:法平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{t}(s)=0</math>
:展直平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{n}(s)=0</math>
:接触平面の方程式:<math>(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{r}(s))\cdot\boldsymbol{b}(s)=0</math>
とわかる。
<math>\|\boldsymbol{t}\|=1</math>は常に成り立つが<math>\|\boldsymbol{n}\|, \|\boldsymbol{b}\|</math>は<math>1</math>とは限らない。そこで、主法線ベクトルの大きさ<math>\kappa(s)=\|\boldsymbol{n}(s)\|</math>を曲線<math>C</math>の'''曲率'''と呼ぶことにする。なお、<math>\|\boldsymbol{b}\|=\| \boldsymbol{t} \| \|\boldsymbol{n}\|\sin\frac{\pi}{2}</math>より<math>\|\boldsymbol{b}\|=\|\boldsymbol{n}\|=\kappa</math>が成り立つ。
主法線ベクトルの定義に立ち戻ると<math>\boldsymbol{n}(s)=\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}</math>であった。つまり、主法線ベクトルは接ベクトルの速度ベクトルなので「弧長パラメータを変化させたときに接ベクトルがどのくらい変化するか」という指標である。接ベクトルの変化の大小と<math>\kappa</math>の大小は対応し、接ベクトルの大小はカーブの緩急に対応することから<math>\kappa</math>の大小とカーブの緩急も対応する。これが「曲率」という名前の由来である。
なお、<math>\kappa(s)=0</math>の場合は<math>\boldsymbol{n}(s)=\boldsymbol{0}</math>なので<math>\boldsymbol{t}(s)=\boldsymbol{k}</math>(定ベクトル)であり、<math>\boldsymbol{r}(s)=s\boldsymbol{k}</math>という直線の場合に対応することがわかる。
単位接ベクトルの<math>s</math>を微分変数とする導関数(<math>s</math>-導関数)は主法線ベクトルだったが、単位主法線ベクトル・単位従法線ベクトルの<math>s</math>-導関数がどのように表されるか見ていく。
ここで、フレネ標搆が<math>\mathbb{R}^3</math>の正規直交基底であることから、<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}, \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}</math>ともにフレネ標搆の一次結合で表現できると予想される。
単位従法線ベクトルに就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\frac{d}{ds}(\boldsymbol{e}_t\times\boldsymbol{e}_n)=\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\times\boldsymbol{e}_n+\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>
<math>\boldsymbol{t}=\boldsymbol{e}_t</math>より<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\boldsymbol{n}=\kappa\boldsymbol{e}_n</math>則ち<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\times\boldsymbol{e}_n=\kappa\boldsymbol{e}_n\times\boldsymbol{e}_n=\boldsymbol{0}</math>なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>
<math>\|\boldsymbol{e}_n\|=1</math>から直交条件の定理より<math>\boldsymbol{e}_n\perp\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>なので
:<math>\boldsymbol{e}_n\times\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=\boldsymbol{e}_n\times(\boldsymbol{e}_t\times\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds})=\left(\boldsymbol{e}_n\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}\right)-(\boldsymbol{e}_n\cdot\boldsymbol{e}_t)\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\boldsymbol{0}</math>
外積が零ベクトルなので<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds} /\!\!/ \boldsymbol{e}_n</math>であり、一次従属より
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n</math>
となるスカラー関数<math>\tau(s)</math>が存在する。
この<math>\tau(s)</math>を曲線<math>C</math>の'''捩率'''と呼ぶ。捩率は接触平面の回転(捩れ)の率を表す。
<math>\tau=0</math>ならば<math>\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=0</math>より<math>\boldsymbol{e}_b</math>方向は変化しないので曲線は接触平面と平行な平面上に拘束される。即ち、<math>C</math>は平面曲線である。
単位主法線ベクトルに就いて
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\frac{d}{ds}(\boldsymbol{e}_b\times\boldsymbol{e}_t)=\frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}\times\boldsymbol{e}_t+\boldsymbol{e}_b\times\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}</math>
ここで<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\kappa\boldsymbol{e}_n, \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n</math>を代入して
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n\times\boldsymbol{e}_t+\boldsymbol{e}_b\times\kappa\boldsymbol{e}_n=\tau\boldsymbol{e}_b-\kappa\boldsymbol{e}_t</math>
よって、フレネ標搆の弧長パラメータを微分変数とする導関数を以下のようにフレネ標搆の一次結合で表すことができた。
:<math>\begin{cases} \frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}=\kappa\boldsymbol{e}_n \\ \frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds} = \tau\boldsymbol{e}_b-\kappa\boldsymbol{e}_t \\ \frac{d\boldsymbol{e}_b}{ds}=-\tau\boldsymbol{e}_n \end{cases}</math>
これを一次変換で表記すると以下のようになる。但し、厳密にはベクトルを成分としている部分は列ではなく行に配置するのが正しいことに注意。
{{定理|(フレネ=セレーの公式)}}
:<math>\frac{d}{ds}\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & \kappa & 0 \\ -\kappa & 0 & \tau \\ 0 & -\tau & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_t \\ \boldsymbol{e}_n \\ \boldsymbol{e}_b \end{pmatrix}</math>
{{定理終わり}}
表現行列が反対称行列(歪対称行列)になっているが、これは「直交変換を一次近似すると反対称変換になる」という無限小回転の理論に対応する。
捩率を求めるときは「基底分解の係数は対応する基底ベクトルとの内積に等しい」という性質を利用すれば<math>\boldsymbol{e}_b\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\tau</math>となるので左辺を計算すればよい。
例えば、円<math>\begin{cases} x^2+y^2=a^2 \\ z=b \end{cases}</math>の曲率と捩率は以下のように求まる。
:媒介変数表示して<math>\boldsymbol{r}(t)=\begin{pmatrix} a\cos t \\ a\sin t \\ b \end{pmatrix}</math>
:接線ベクトルは<math>\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}=\begin{pmatrix} -a\sin t \\ a\cos t \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:弧長パラメータ<math>s</math>は<math>s=\int^t_0 \left\|\frac{d\boldsymbol{r}(t)}{dt}\right\|dt = \int_0^t a dt = at</math>
:<math>\therefore t=\frac{s}{a}</math>
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\begin{pmatrix} a\cos\frac{s}{a} \\ a\sin\frac{s}{a} \\ b \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{t}=\frac{d\boldsymbol{r}(s)}{ds}=\begin{pmatrix} -\sin\frac{s}{a} \\ \cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{n}=\frac{d\boldsymbol{t}(s)}{ds}=\frac{1}{a}\begin{pmatrix} -\cos\frac{s}{a} \\ -\sin\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\kappa=\|\boldsymbol{n}\|=\frac{1}{a}</math>
:<math>\boldsymbol{b}=\boldsymbol{t}\times\boldsymbol{n} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ \frac{1}{a} \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{e}_n=\begin{pmatrix} -\cos\frac{s}{a} \\ -\sin\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=\frac{1}{a}\begin{pmatrix} \sin\frac{s}{a} \\ -\cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:<math>\boldsymbol{e}_b = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}</math>
:<math>\tau = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}\cdot\frac{1}{a}\begin{pmatrix} \sin\frac{s}{a} \\ -\cos\frac{s}{a} \\ 0 \end{pmatrix}=0</math>//
フレネ・セレーの公式は[[線型代数学続論/行列値関数|行列関数]]に関する一階常微分方程式である。そのため、微分方程式の基本定理(ピカール=リンデレーエフの定理)により初期条件(<math>s=0</math>に於けるフレネ標搆)を与えれば、滑らかな曲率関数・捩率関数の組<math>(\kappa, \tau)</math>を定めることで微分方程式の解として一般の<math>s</math>に対するフレネ標搆を一意に得る。このとき、曲線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>は接ベクトルを出発点を選んで積分することで決定される。
従って、次の定理が成り立つ<!-- 厳密証明はhttps://sshmathgeom.private.coocan.jp/diffgeom/curvetheorem.htmlを参照 -->。
{{定理|(曲線の基本定理)}}
開区間<math>(a,b)</math>上の実数<math>s</math>を変数とする2つの滑らかな関数<math>\kappa(s),\tau(s)</math>を与える。但し、<math>\kappa(s)</math>は正とする。<br/>
このとき、<math>\kappa(s)</math>を曲率、<math>\tau(s)</math>を捩率、<math>s</math>を弧長パラメータとする三次元空間上の曲線<math>C</math>が剛体運動を除いて一意に定まる。
{{定理終わり}}
剛体運動とは「曲線の形を変えない」運動のことである(平行移動・回転など)。
<math>\kappa(s), \tau(s)</math>の定める曲線族を一般に<math>\mathcal{C}[\kappa, \tau]</math>と書く。
例えば、円を含む螺旋は<math>c_1, c_2=\mathrm{const}.</math>として<math>\mathcal{C}[c_1, c_2]</math>と書ける。
<math>R=\frac{1}{\kappa}</math>を'''曲率半径'''という。曲率半径は曲線の特定のカーブにおける曲がり具合の急さを表す指標であり、カーブを近似する真円('''密着円''')の半径でもある。高速道路の標識で<math>R=\circ\circ \mathrm{m}</math>は、そのカーブの曲率半径を示している。道路設計では、快適なドライブの為曲率半径がなるべく大きくなるように工夫を凝らしている。
ここで<math>\boldsymbol{r}(s)</math>の中心<math>s_0</math>に於けるテイラー展開は
:<math>\boldsymbol{r}(s)=\sum_{i=0}^\infty \frac{(s-s_0)^i}{i!} \frac{d^i}{ds^i}\boldsymbol{r}(s_0) </math>(再掲)
だったが、二次近似式(三次以降を切り捨てた式)を考えると
:<math>\boldsymbol{r}(s) \fallingdotseq \boldsymbol{r}(s_0)+\frac{d\boldsymbol{r}(s_0)}{ds}(s-s_0) + \frac{1}{2}\frac{d^2\boldsymbol{r}(s_0)}{ds^2}(s-s_0)^2 </math>
フレネ標搆を用いて書き直すと
:<math>\boldsymbol{r}(s) \fallingdotseq \boldsymbol{r}(s_0)+\boldsymbol{e}_t(s-s_0) + \frac{1}{2}\kappa(s_0)\boldsymbol{e}_n(s-s_0)^2 </math>
二次近似とは「曲線を円弧で近似する」ことだったので曲率<math>\kappa(s_0)</math>が近似に用いる円弧と関係ある量であることが予想される。<br/>
接触平面で密着円<math> \| \boldsymbol{r} - (\boldsymbol{r}(s_0)+R\boldsymbol{e}_n) \| = R </math>を考える。接触平面を<math>xy</math>平面と考えると円の方程式は
:<math>x^2+(y-R)^2=R^2</math>
:<math>y=R-\sqrt{R^2-x^2}</math>
テイラー展開して
:<math>y=\frac{x^2}{2R}+O(x^4)</math>
二次の項を比較すると
:<math>\frac{x^2}{2R}=\frac{(s-s_0)^2}{2}\kappa</math>
よって
:<math>R=\frac{1}{\kappa}</math>
と定義するのは妥当である。
なお、先ほど求めた円の曲率から、真円に関して「曲率半径=半径」であることが判る。
フレネ・セレーの公式で最初の二行二列のみを考えると<math>\mathbb{R}^2</math>内の曲線に対するフレネ・セレーの公式を得る。一般に<math>\mathbb{R}^n</math>上の曲線に対し、今回の議論と同様にして接ベクトル・主法線ベクトル・曲率を定義することができる。但し、三次元空間と異なって同じ曲率に対して異なる曲線を与えることができる(主法線ベクトルが接触平面内で接ベクトルに対して左右どちらを向くかがそのままでは定まらないため)。なお、4次元以上であっても平面拘束曲線ならば捩率は0であって従法線ベクトルは零ベクトルに定まる。
===単純閉曲線===
パラメータ区間を<math>I=[a, b]</math>とする。
このとき、曲線の端点はそれぞれ<math>\mathrm{P}(a), \mathrm{P}(b)</math>である。
端点が一致する、つまり<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P}(b)</math>である連続曲線を'''閉曲線'''という。
自己交叉しない、つまり<math>\forall t_1, t_2 \in (a, b), t_1 \neq t_2 \iff \mathrm{P}(t_1)\neq\mathrm{P}(t_2)</math>となる閉曲線を'''単純閉曲線'''(ジョルダン曲線)という。閉曲線でない曲線に就いて「自己交叉しない」という条件は「曲線を表すベクトル関数が単射」と同値であるので、端点のみ単射性を外してやれば単純閉曲線の定義を得る。
幾何学的直観から、平面に拘束された単純閉曲線はその平面を単純閉曲線で囲まれた'''内部'''とそうでない'''外部'''の二つの領域に分割することが予想できる。
このことは以下の定理によって保証される。
{{定理|(ジョルダンの曲線定理)}}
平面<math>\Pi\subset\mathbb{R}^n</math>内の任意の単純閉曲線<math>\gamma</math>に対し、有界領域<math>I</math>・非有界領域<math>O</math>の組であって<math>\Pi\setminus\gamma=I \sqcup O</math>且つ<math>\partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>であるものが唯一つに定まる。
{{定理終わり}}
この<math>I, O</math>をそれぞれ内部・外部と定義する。証明は[[位相幾何学]]で行う。なお、「<math>\partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>」を態々明示しているのは、滑らかでない単純閉曲線に対しては「<math>\Pi\setminus\gamma=I \sqcup O \implies \partial{I}=\partial{O}=\gamma</math>」が自明でないためである。
正則単純閉曲線に対して「曲線の向き」の幾何学的意味を考える。
ジョルダンの曲線定理より単純閉曲線<math>\gamma:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s) \quad(\boldsymbol{r}\in \Pi)</math>は平面<math>\Pi</math>を内部<math>I</math>と外部<math>O</math>に分割する。平面拘束曲線なので<math>\forall{s}, \tau(s)=0</math>であり、従法線ベクトルは零ベクトル且つ接触平面が常に<math>\Pi</math>に一致する。
主法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(s)</math>が接ベクトル<math>\boldsymbol{t}(s)</math>に対して左側を向いているとすると、<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0) \quad(\varepsilon>0)</math>が点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける<math>\gamma</math>の進行方向左側にある点である。
ここで、<math>\mathrm{P}(s_0)</math>に於ける<math>\varepsilon</math>-開球<math>B_\varepsilon(s_0)</math>を考えると、平面<math>\Pi</math>上では<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0)</math>が左側の領域、<math>\boldsymbol{r}(s_0)+\varepsilon\boldsymbol{n}(s_0)</math>が右側の領域に入る。
<math>s=s_0</math>を動かすと各点で進行方向左は<math>I, O</math>のいずれかであり、<math>\gamma</math>の正則性と<math>I, O</math>の連結性から「<math>I, O</math>のどちらが左側であるかは曲線全体で変わらない」ことが言える。
ここで円の場合を考える。<math>\Pi</math>に直交座標<math>u, v</math>を入れると向心加速度の議論から「加速度ベクトル=主法線ベクトルは円の中心を向く」ので、「円の正の向きは円の内部を左手に見る進行方向」である。
任意の正則単純閉曲線<math>\gamma</math>に対して自己交叉を起こさないまま円へ連続変形する可逆写像が存在し、その変形に於いて「左側」と「<math>I, O</math>」の対応は変化しない。則ち、円で確認された「正の向きは囲まれた内部を左手に見る向き」は任意の正則単純閉曲線で成り立つ。
つまり、単純閉曲線の正の向きは点を動かしたときに'''自身の囲む領域の内部を左手に見る向き'''である。負の向きは左手に外部を見る向きである。
集合<math>A</math>に含まれる任意の2点に対してそれらを端点とする滑らかな曲線<math>C</math>をとれるとき、<math>A</math>は'''弧状連結'''であるという。
弧状連結集合<math>S</math>内の任意の閉曲線<math>\gamma</math>に対して1点に退化するような連続変形が可能なとき、<math>S</math>は'''単連結'''であるという。単連結でない集合は'''多重連結'''であるという。
平面<math>\Pi\subset\mathbb{R}^n</math>に含まれる単連結集合<math>S</math>に対し、<math>\hat{\Pi}:=\Pi\cup\{\infty\}</math>とすると集合<math>\hat{\Pi}\setminus{S}</math>は連結である。逆も成り立つ。
なお、「<math>A</math>が連結集合である」ことは「補集合<math>\overline{A}</math>が非連結集合である」ことを意味しない。そのため「単連結な連結集合」も考えられ、特に「単連結な領域」はこの先頻繁に登場する。
集合<math>A</math>に含まれる任意の2点を結んだ線分が<math>A</math>に包含されるとき、<math>A</math>は'''凸型'''であるという。凸型集合でない集合は'''凹型'''であるという。
集合<math>A</math>内の1点を固定してそこから<math>A</math>内任意点へ引いた線分が<math>A</math>に包含されるとき、<math>A</math>は'''星状'''(星型)であるという。このとき固定した点を'''星の中心'''という。凸型集合は全て星状集合である。
単純閉曲線<math>\gamma</math>を境界とする内部<math>I</math>に関して<math>I\cup\gamma</math>が凸型集合であるとき、<math>\gamma</math>を'''卵形線'''(凸単純閉曲線・オーヴァル)という。
曲線<math>C</math>の曲率関数<math>\kappa(s)</math>が<math>C^3</math>級であるとき、<math>\kappa'(s_0)=0</math>を満たす点<math>\mathrm{P}(s_0)</math>を<math>C</math>の'''頂点'''という。
例えば、標準楕円<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1</math>の頂点は4点<math>(\pm{a},0),(0,\pm{b})</math>である。このことは、<math>\mathbb{R}^2</math>上曲線<math>C:\boldsymbol{r}=x(t)\boldsymbol{e}_x(t)+y(t)\boldsymbol{e}_y(t)</math>に対する曲率の公式<math>\kappa(t)=\frac{\left|\frac{dx}{dt}\frac{d^2y}{dt^2}-\frac{dy}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}\right|}{\left\{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2\right\}^\frac{3}{2}}</math>と<math>\frac{ds}{dt}>0</math>を用いて確かめられる。
実は、この事実は楕円に限らないことが以下の定理で示される。
{{定理|(ムコパディヤーヤの定理・四頂点定理)}}
<math>\mathbb{R}^2</math>上の滑らかな卵形線は少なくとも4つの頂点を持つ。
{{定理終わり}}
*証明
:滑らかな卵形線<math>C:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)\quad(s\in[a, b])</math>に対して曲率関数<math>\kappa(s)</math>は滑らかであり、<math>\kappa\in C^3</math>を満たす。
:卵形線は単純閉曲線なので<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P(b)}</math>であり、<math>\kappa(a)=\kappa(b)</math>。
:曲率関数が定数関数のときは<math>\kappa\in C^\infty</math>且つ常に<math>\kappa'(s)=0</math>なので曲線を構成するすべての点が頂点であり、明らかに定理を満たす。
:曲率関数が定数関数でないとする。
:ワイエルシュトラスの極値定理より<math>\kappa(s)</math>は<math>s\in[a, b]</math>のどこかで最大値・最小値をとり、その点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす。
:従って少なくとも2つの頂点を持つ。
:ここで、頂点がこの2つのみと仮定する。
:曲率が最大値・最小値をとる点をそれぞれ<math>\mathrm{M, N}</math>と置く。
:線分<math>\mathrm{MN}</math>を含む直線を<math>x</math>軸とし、その垂直方向に<math>y</math>軸をとる。
:<math>s</math>が増加すると曲線上の点が<math>\mathrm{N}\to\mathrm{M}</math>のように動くとき、
:<math>\kappa(s)</math>は最小値から最大値に向かって増大し、他に頂点がないので狭義単調増加である。
:同様に、<math>\mathrm{M}\to\mathrm{N}</math>の向きでは<math>\kappa(s)</math>は狭義単調減少である。
:従って、<math>\kappa'(s)y(s)\neq0</math>の正の側だけ考えれば良い。
:<math>y(a)=y(b)=0</math>に注意すると部分積分して
:<math>0<\int_a^b \kappa'(s)y(s)ds=-\int_a^b \kappa(s)y'(s)ds</math>
:主法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(s)= \begin{pmatrix} \xi_1(s) \\ \xi_2(s) \end{pmatrix}</math>を考えると二次元版フレネ=セレーの公式から<math>\frac{d\boldsymbol{n}}{ds}=-\kappa\frac{d\boldsymbol{r}}{ds}</math>なので
:<math>\xi'_2(s)=-\kappa(s)y'(s)</math>
:よって
:<math>-\int_a^b \kappa(s)y'(s)ds=\int_a^b \xi_2(s)ds = \left[\xi_2(s)\right]_a^b=0</math>
:なので矛盾した不等式<math>0<0</math>を得る。
:則ち、<math>\mathrm{M, N}</math>と異なる点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が少なくとも一つ存在する。
:そのような点を<math>\mathrm{L}</math>と置く。
:<math>\mathrm{L}</math>が<math>\mathrm{N}\to\mathrm{M}</math>という経路の途中にあるとする。
:このとき、<math>\mathrm{L}</math>以外に<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が存在すると「<math>\mathrm{M}\to\mathrm{N}</math>という経路の途中にそのような点が無い」という最初の仮定に反するので
:<math>\mathrm{M, N, L}</math>以外では<math>\kappa'(s)y(s)>0</math>である。
:同様に部分積分を行うことで矛盾した不等式を得、<math>\mathrm{M, N, L}</math>と異なる点で<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が少なくとも一つ存在することが判る。
:この時点で「<math>\mathrm{M, N}</math>間の二つの経路のいずれにも<math>\kappa'(s)=0</math>を満たす点が存在しない」という仮定が否定されたのでこれ以上背理法を適用することはできない。
:よって、頂点個数の最小値は<math>4</math>である。//
最小値4をとる卵形線が実際に存在することは楕円の例で確かめた。
この定理は「卵形線」を「(正則)単純閉曲線」に取り換えてもそのまま成り立つことが知られている。一般の閉曲線でこの定理を成り立たせるには追加の条件が必要となる。
先程も述べたように、接ベクトルと単位主法線ベクトルは2次元以上の空間内部にある曲線ならば定義することができる。そして、<math>\boldsymbol{t}\cdot\boldsymbol{n}=0</math>も必ず成り立つ。よって、<math>\boldsymbol{e}_t\cdot\boldsymbol{e}_n=0</math>の両辺を<math>s</math>で微分して
:<math>\frac{d\boldsymbol{e}_t}{ds}\cdot\boldsymbol{e}_n+\boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=0</math>
:<math>\therefore \boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\boldsymbol{n}\cdot\boldsymbol{e}_n=-\kappa</math>
ここで「基底分解に於ける成分はその基底との内積に等しい」という性質から、<br/>
一般次元に於いても「<math>\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}</math>の接線方向成分は<math>-\kappa(s)</math>」であることが判る。
ここで<math>C^2</math>級曲線の位置ベクトル<math>\boldsymbol{r}(s)</math>に対して単位主法線<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>を対応させることを考える。この対応を'''ガウス表示'''という。
<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>を二次までテイラー展開すると<math>\Delta s>0</math>を微小量として
:<math>\boldsymbol{e}_n(s+\Delta s)=\boldsymbol{e}_n(s)+\frac{d\boldsymbol{e}_n(s)}{ds}\Delta s + O(\Delta s^2)</math>
ここで<math>\boldsymbol{e}_t\cdot\frac{d\boldsymbol{e}_n}{ds}=-\kappa</math>より、<math>s</math>を<math>\Delta s</math>だけ動かしたときの接線方向の速さは<math>|\kappa(s)|\Delta s</math>である(<math>\kappa(s)</math>が正で正の向き、負で負の向きに動くとする)。
閉曲線に対してはガウス表示によって法線方向の変化を完全に捉えられるので、<math>\kappa(s)</math>を微小量<math>\Delta s</math>に関して積分した<math>\int_a^b \kappa(s)ds</math>を考えてみる。
ガウス表示では曲線を単位主法線ベクトルの描く単位円として考えることができる。閉曲線では<math>\mathrm{P}(a)=\mathrm{P}(b)</math>より明らかに<math>\boldsymbol{e}_n(a)=\boldsymbol{e}_n(b)</math>であり、閉曲線が一周する間にベクトル<math>\boldsymbol{e}_n(s)</math>はこの単位円を<math>m(\in\mathbb{Z})</math>周する<sup>※</sup>。
<small>※物理的には「円そのものが動いても円周上の質点は『この円をどっちの方向に何周したか』という情報しか持たない」ので、単位円が動くことは議論にあまり関係ない</small>
弧度法より単位円を<math>m</math>周する符号付き道のりは<math>2\pi{m}</math>であり、ガウス表示より<math>\int_a^b \kappa(s)ds=2\pi{m}</math>。
従って、<math>m=\frac{1}{2\pi}\int_a^b \kappa(s)ds</math>
この<math>m</math>を閉曲線の'''回転数'''と呼ぶことにする。
曲率が負の場合には積分値が途中で相殺されてしまうので、絶対値を付けて積分した
:<math>\mu:=\int_a^b |\kappa(s)|ds</math>
という量を考えることにする。
これを閉曲線の'''全曲率'''と呼ぶ。
全曲率に対して以下の定理が成り立つ。
{{定理|(フェンヒェルの定理)}}
滑らかな閉曲線の全曲率は<math>\mu\geq2\pi</math>を満たす。等号成立の場合は卵形線である。
{{定理終わり}}
証明は省略する。
===曲面===
多変数解析で既に扱った、三次元空間に於ける曲面の陽関数表示<math>z=f(x, y)</math>を'''モンジュ表示'''という。<math>f(x, y, z)=\mathrm{const}.</math>と陰関数表示された曲面は陰関数定理が成り立つ範囲でモンジュ表示に直すことができる。
一次式で陰関数表示される曲面を'''一次曲面'''という。平面の方程式より、一次曲面は全て平面である。
二次式で陰関数表示される曲面を'''二次曲面'''という。
以下、二次曲面の例を挙げる。各係数は非退化条件を満たすとする。なお、「直線に平行な平面」は「直線を法線とする平面に垂直な平面」を意味することに注意。
*'''球面'''(sphere)
:高校数学で扱ったように、点<math>(a, b, c)</math>を中心とする半径<math>r</math>の球面の方程式は<math>(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2</math>である。この球面上の点の位置ベクトルは<math>\boldsymbol{r}=\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}</math>なので、球面が満たすベクトル方程式は一般に<math>\|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{a}\|=\mathrm{const}.</math>である。これは円のベクトル方程式の次元を上げたものである。
*'''楕円面'''(ellipsoid)
:楕円の方程式を拡張した方程式<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}+\frac{z^2}{c^2}=1</math>が表す曲面である。<math>xyz</math>空間の基本面で切った断面は全て楕円となる。
*'''楕円拋物面'''(elliptic paraboloid)
:楕円の平面拘束条件を外した方程式<math>z=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}</math>が表す曲面である。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は楕円、平行な平面で切った断面は拋物線となる。
*'''双曲拋物面'''(hyperbolic paraboloid)
:双曲線の平面拘束条件を外した方程式<math>z=\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}</math>が表す曲面である。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は双曲線、平行な平面で切った断面は拋物線となる。また、原点は鞍点である。
*'''一葉双曲面'''(hyperboloid of one sheet)
:楕円面の方程式の一つの項の符号を変えた<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}-\frac{z^2}{c^2}=1</math>の表す曲面。<math>z</math>軸に垂直な平面で切った断面は楕円、平行な平面で切った断面は双曲線となる。
*'''二葉双曲面'''(hyperboloid of two sheet)
:楕円面の方程式の二つの項の符号を変えた<math>\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}-\frac{z^2}{c^2}=1</math>の表す曲面。断面の分類は一葉双曲面と同じだが、<math>m^2<c^2</math>のときは平面<math>z=m</math>と交わらないため「二葉」と名付けられている。
*'''錐面'''(conical surface)
:方程式<math>\frac{z^2}{c^2}=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}</math>の表す曲面。<math>xy</math>平面との交点は原点のみであり、<math>yz</math>平面・<math>zx</math>平面で切った断面は直線である。
閉区間<math>I\subset\mathbb{R}</math>上の一変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}(t)</math>を用いたベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t) \quad(t\in I)</math>の解集合は次元に依らず曲線を表した。
同様に、領域<sup>※</sup><math>D\subset\mathbb{R}^2</math>上の二変数ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}(t, u)</math>を用いたベクトル方程式<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u) \quad({\scriptstyle\left(\begin{array}{c} t \\[-6pt] u \end{array}\right)}\in D)</math>の解集合は次元に依らず曲面を表すと考えられる。
厳密には[[線型代数学/基底と次元|階数・退化次数の定理]]<!-- 次元定理・線型写像の基本定理 -->などを用いてこのことを確かめられる。
<small>※ここでいう「領域」は冒頭で厳密に定義した「領域」であることに注意。</small>
曲線と同様に、曲面の'''パラメータ表示'''と'''ベクトル表示'''は次のように定義される。
:パラメータ表示:<math>\begin{cases} x_1&=&r_1(t, u) \\ x_2&=&r_2(t, u) \\ &\,\,\vdots& \\ x_n&=&r_n(t, u) \end{cases}</math>
:ベクトル表示:<math>\left\{\boldsymbol{r}(t, u) \,\bigg|\, {\scriptstyle\left(\begin{array}{c} t \\[-6pt] u \end{array}\right)} \in D \right\}</math>
また、<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>のようにも表す。
例えば、<math>k>l>0</math>として<math>\boldsymbol{r}(t, u)=\begin{pmatrix} (k+l\cos u)\cos t \\ (k+l\cos u)\sin t \\ l\sin u \end{pmatrix} \quad(D=\left\{ \begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix} \bigg| \begin{array}{c} 0 \leq t \leq 2\pi \\ 0 \leq u \leq 2\pi \end{array} \right\})</math>は'''トーラス'''のベクトル表示である。
<math>\mathbb{R}^3</math>上の平面の方程式は高校数学に於いて<math>\begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}\neq\boldsymbol{0}</math>として一次式<math>ax+by+cz+d=0</math>と表せることを学んだ。
これのベクトル方程式を求めてみよう。
:①<math>c=0</math>のとき
::平面の方程式は<math>\begin{cases} ax+by+d=0 \\ z=\mathrm{const}. \end{cases}</math>
::[1]<math>b=0</math>のとき
:::平面の方程式は<math>\begin{cases} ax+d=0 \\ y=\mathrm{const}. \\ z=\mathrm{const}. \end{cases}</math>
:::<math>\begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}\neq\boldsymbol{0}</math>より<math>a\neq0</math>
:::<math>y=t, z=u</math>と置換すると
:::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} -\frac{d}{a} \\ t \\ u \end{pmatrix}</math>
:::<math>\boldsymbol{r} = t\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} -\frac{d}{a} \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}</math>
::[2]<math>b\neq0</math>のとき
:::<math>x=t, z=u</math>と置換すると
:::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} t \\ -\frac{a}{b}t-\frac{d}{b} \\ u \end{pmatrix}</math>
:::<math>\boldsymbol{r} = t\begin{pmatrix} 1 \\ -\frac{a}{b} \\ 0 \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 0 \\ -\frac{d}{b} \\ 0 \end{pmatrix}</math>
:②<math>c\neq0</math>のとき
::<math>x=t, y=u</math>と置換すると
::<math>\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} t \\ u \\ -\frac{a}{c}t-\frac{b}{c}u-\frac{d}{c} \end{pmatrix}</math>
::<math>\boldsymbol{r}=t\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ -\frac{a}{c} \end{pmatrix}+u\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \\ -\frac{b}{c} \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ -\frac{d}{c} \end{pmatrix}</math>
なお、ここから平面のベクトル方程式が一般に<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{a}+t\boldsymbol{b}+u\boldsymbol{c}</math>という「直線のベクトル方程式を拡張した形」であることがわかる。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)\in C^1</math>且つ<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\neq\boldsymbol{0}</math>である曲面を'''滑らか'''な曲面という。
曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>とその上の点<math>\mathrm{P}_0=(a, b)</math>に対し、曲線<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(a, u), \boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, b)</math>をそれぞれ点<math>\mathrm{P}_0</math>に於ける'''<math>t</math>曲線'''・'''<math>u</math>曲線'''という。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)\in C^1</math>であるとき、偏導関数の定義から
:<math>\frac{\partial}{\partial{u}}\boldsymbol{r}(a, u)=\frac{d}{du}\boldsymbol{r}(a, u)</math>
:<math>\frac{\partial}{\partial{t}}\boldsymbol{r}(t, b)=\frac{d}{dt}\boldsymbol{r}(t, b)</math>
ここで<math>a, b</math>をそれぞれ<math>t</math>軸・<math>u</math>軸上で動かすことで<math>t</math>曲線・<math>u</math>曲線の接ベクトルがそれぞれ<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}</math>であると判る。これらを曲面のパラメータ方向の'''接ベクトル'''という。
これらの接ベクトルが平行でないとき、曲面<math>S</math>上の任意の点<math>\mathrm{P}</math>に対して<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>の張る平面が定まる。これを曲面<math>S</math>の点<math>\mathrm{P}</math>に於ける'''接平面'''という。曲線の接線は一次元ベクトル空間<math>\left\{ \xi\frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \bigg| t \in\mathbb{R} \right\}</math>で表されたが、接平面は二次元ベクトル空間<math>\left\{ \xi\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}+\eta\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \bigg| \xi, \eta \in \mathbb{R} \right\}</math>で表される。このような接ベクトル全体が張るベクトル空間を一般に'''接空間'''と呼ぶ。
接ベクトルの組が一次独立である曲面を'''正則'''な曲面という。滑らかな曲面は正則曲面である。
曲面<math>S</math>の接平面に垂直なベクトルを<math>S</math>の'''法線ベクトル'''という。
三次元空間ならば接平面を張る2ベクトルの外積<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \times \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>で求められる。
モンジュ表示された曲面<math>S:z=f(x, y)</math>に対して接平面の存在性(つまり曲面の正則性)は「二変数関数<math>f</math>の全微分可能」に対応した。ベクトル表示された曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>に対しては「ベクトル関数<math>\boldsymbol{r}</math>の全微分可能性」だけでは足りず、「ヤコビ行列<math>\frac{\partial{(\boldsymbol{r})}}{\partial{(t, u)}}</math>の階数が2」も要求される。
以下、正則曲面のみ扱う。
<math>\boldsymbol{r}(t, u)</math>の微小変化は全微分で与えられる。
:<math>d\boldsymbol{r}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt+ \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>
則ち、各パラメータを同時に<math>\begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix}\to\begin{pmatrix} t+dt \\ u+du \end{pmatrix}</math>と単調に動かしたとき、対応する曲面上の点が描く領域は2ベクトル<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt, \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>の張る微小平行四辺形として近似できる。その微小面積は線型代数の内容から
:<math>\sqrt{ \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt \right\|^2 \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du \right\|^2 - \left\{ \left(\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt\right)\cdot\left(\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du\right) \right\}^2 }=\sqrt{\left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \right\|^2\left\|\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\right\|^2 - \left( \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\cdot\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \right)^2 } dtdu</math>
である。
これを領域<math>D=\mathrm{dom}\,S</math>で重積分してやれば曲面の表面積('''曲面積''')が求まると考えられる。
{{定理|(曲面積)}}
<math>E := \left\| \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} \right\|^2,\quad F := \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\cdot\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}},\quad G := \left\|\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\right\|^2</math>とすると、<br>
曲面<math>S:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(t, u)</math>の領域<math>D</math>に於ける曲面積は
:<math>S=\iint_D \sqrt{EG-F^2}dtdu</math>
{{定理終わり}}
この<math>E, F, G</math>を<math>S</math>の'''第一基本量'''と呼ぶ。また、<math>dS:=\sqrt{EG-F^2}dtdu</math>を'''面素'''(面積素・面積要素)と呼ぶ。
<math>t, u</math>が共通のパラメータ<math>\theta</math>で媒介変数表示されるとき、曲面は曲線に退化するので線素を考えられる。
具体的には、
:<math>dl=\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\right\|d\theta</math>
より
:<math>\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\right\|^2=\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}</math>
ここで合成関数の常微分公式より
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}\frac{dt}{d\theta}+ \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}\frac{du}{d\theta}</math>
なので
:<math>\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{d\theta}=\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right\|^2\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2\left(\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\cdot\frac{d\boldsymbol{r}}{du}\right)\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+\left\|\frac{d\boldsymbol{r}}{du}\right\|^2\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2</math>
:<math>=E\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2F\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+G\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2</math>
よって
:<math>dl=\sqrt{E\left(\frac{dt}{d\theta}\right)^2+2F\frac{dt}{d\theta}\frac{du}{d\theta}+G\left(\frac{du}{d\theta}\right)^2}d\theta=\sqrt{E(dt)^2+2Fdtdu+G(du)^2}</math>
このように、線素は<math>\theta</math>のとり方に依存しない。
そこで、最後の式で右辺を二乗した
:<math>I:=E(dt)^2+2Fdtdu+G(du)^2</math>
を<math>S</math>の'''第一基本形式'''と定める。
第一基本形式は二次形式になっていることが見て取れるので、<math>\boldsymbol{v}:=\begin{pmatrix} dt \\ du \end{pmatrix}, \mathbf{K}:=\begin{pmatrix} E & F \\ F & G \end{pmatrix}</math>とおくと
:<math>I={}^t\!\boldsymbol{v} \mathbf{K} \boldsymbol{v}</math>
と行列表示できる。
ここで<math>I=dl^2>0</math>なので<math>\mathbf{K}</math>は正定値行列である。
また、<math>\boldsymbol{x}_i=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}, \boldsymbol{x}_j=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}</math>と置いて第一基本量の定義を思い返してみると<math>\mathbf{K}_{ij}=\boldsymbol{x}_i \cdot \boldsymbol{x}_j</math>なのでこの行列は接ベクトルに関するグラム行列である。この意味でも、<math>\mathbf{K}</math>は正定値行列である。
また、面素の式で根号の中身が<math>\det\mathbf{K}</math>に等しいことも判る。
則ち、第一基本量が曲面の本質であると予想される。
<math>F=0 \land E=G=\lambda</math>であるとき、<math>\mathbf{K}=\lambda\mathbf{E}_2</math>である。このときのパラメータの組<math>(u, v)</math>を曲面の'''等温座標系'''という。
等温座標系で表示された曲面<math>S</math>に対し、第一基本形式は<math>I=\lambda(dt^2+du^2)</math>と二次形式の標準形となっている。則ち、等温座標系へのパラメータ変換は主軸変換である。
面素を考えると<math>dS=\lambda^2dtdu</math>と非常に単純な形となるほか、曲面上の角度計算が平面の場合と全く同じ式で与えられることも等温座標系の利点である。
曲面<math>S</math>上の各点<math>\mathrm{P}</math>に対して単位法線ベクトル<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>を考える。ベクトル表示の定義域<math>D</math>でベクトル場<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>が連続であるとき、<math>S</math>は'''向き付け可能'''であるという。
向き付け不能な曲面の例として<math>\boldsymbol{r}(t, u)=\begin{pmatrix} (u\cos t+2)\sin 2t \\ (u\cos t+2)\cos 2t \\ u\sin t \end{pmatrix} \quad(D=\left\{ \begin{pmatrix} t \\ u \end{pmatrix} \bigg| \begin{array}{c} 0 \leq t \leq \pi \\ -1 \leq u \leq 1 \end{array} \right\})</math>と表される'''メビウスの帯'''が挙げられる。
メビウスの帯が向き付け不能である証明を概説する。
:接ベクトルをそれぞれ求める。簡単のため<math>u=0</math>として考える。単位法線ベクトルは外積を正規化して得るが、向きの取り方で正負の符号が付く。どちらの符号を採用するにしろ<math>\boldsymbol{n}(\boldsymbol{r}(0, 0))\neq\boldsymbol{n}(\boldsymbol{r}(\pi, 0))</math>を得、<math>\boldsymbol{r}(0, 0)=\boldsymbol{r}(\pi, 0)</math>より同じ点に対して異なる法線ベクトルを出力するので<math>\boldsymbol{n}(\mathrm{P})</math>はwell-definedではなく、向き付け可能性の定義を満たさない。//
四次元以上の空間では法線ベクトルの方向を複数とれるため法線ベクトル場は扱いにくい。そこで、法線ベクトルに依らない定義を考えたい。
2つの滑らかな曲面<math>S_1, S_2</math>が以下を満たすとき、
#パラメータ<math>(t_1, u_1), (t_2, u_2)</math>の間に滑らかな全単射<math>\begin{cases}t_2 =\phi(t_1, u_1) \\ u_2=\psi(t_1, u_1) \end{cases}</math>が存在する。
#この変数変換のヤコビ行列<math>\frac{\partial{(\phi, \psi)}}{\partial{(t_1, u_1)}}</math>が正則。
#<math>\boldsymbol{r}_1(t_1, u_1)=\boldsymbol{r}_2(t_2, u_2)</math>
この2つは'''パラメータ変換で同値'''という。
このとき、ヤコビアンが正であるパラメータの組は'''同じ向き'''、負であるパラメータの組は'''逆向き'''であるという。
任意の<math>(t_1, u_1)</math>に対して開近傍<math>U \subset \mathrm{dom}\,S_1</math>をとったとき、どの<math>U</math>上でも<math>\det\frac{\partial{(\phi, \psi)}}{\partial{(t_1, u_1)}}>0</math>を満足するならば<math>S_1</math>は'''向き付け可能'''という。
向き付け可能な曲面の接空間に対して右手系を成すような向きの法線ベクトルを'''外向き法線ベクトル'''と呼ぶ。
外向き法線の向く側を曲面の'''表'''、その反対側を曲面の'''裏'''と定義する。
<math>\partial{S}=\varnothing</math>を満たす正則曲面<math>S</math>を'''閉曲面'''という。ジョルダンの曲線定理を拡張した定理('''ジョルダン・ブラウワーの分離定理''')によって閉曲面が空間を内部・外部に分割することが保証される。内部に面する向きを閉曲面の裏、外部に面する向きを閉曲面の表と定義する。
パラメータ空間の座標軸の向きの組み合わせが<math>xy</math>平面と同じとき、外向き法線で定義される閉曲面の表裏は内部・外部から定義される表裏に一致する。
円錐の方程式・ロドリゲスの回転公式
===種々の曲率===
法曲率・主曲率・平均曲率・全曲率
==直交曲線座標系==
{{節stub}}
===円筒座標系===
平面の座標系として直交座標の他に斜交座標、極座標(円座標)、重心座標などがあったように、空間の座標系も複数通り考えられる。
空間座標を3つの実数の組<math>(r, \theta, z)</math>で表した座標系を'''円筒座標系'''('''円柱座標系'''、cylindrical coordinate system)という。ただし、<math>r</math>は原点からの(符号付き)距離、<math>\theta</math>は基準面に於ける始線からの正の回転角、<math>z</math>は基準面からの高さである。
円筒座標系は、円座標系のrθ平面にz軸方向の次元を加えた3次元空間の座標と考えられる。
そのため、円筒座標系と直交座標系の対応は以下のようになる。
:<math>\begin{cases} x=r\cos\theta \\ y=r\sin\theta \\ z=z \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2} \\ \theta = \arctan\frac{y}{x} \\ z=z \end{cases}</math>
但し、<math>r</math>は基準面の裏側では負とする。
直交座標のz軸を基に円筒座標系の座標軸を決定する。一般に座標軸は直線とは限らないので、「軸」ではなく「曲線」と呼ぶことにする('''座標線''')。なお、「曲線」という語は一般に「直線」を包含する。
:r曲線:z軸上の点を通りz軸に垂直な半直線。
:θ曲線:z軸を法線とする平面内にあり、中心がz軸上にある円周。
:z曲線:z軸に平行な直線。
ここで、各曲線に沿った微小変化がどのように表されるか見ていく。
<math>\boldsymbol{f}: (r,\theta,z)\to(x,y,z)</math>とする。
<math>\boldsymbol{f}</math>全体の微小変化は全微分<math>d\boldsymbol{f}=\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}</math>で表される。
上で求めた関係式より
:<math>\boldsymbol{f}\begin{pmatrix} r \\ \theta \\ z\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} r\cos\theta \\ r\sin\theta \\ z \end{pmatrix}</math>
なので、
:<math>\frac{\partial{(x,y,z)}}{\partial{(r,\theta,z)}} = \begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial{r}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\cos\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\cos\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{\theta}}r\sin\theta & \frac{\partial}{\partial{z}}r\sin\theta \\ \frac{\partial}{\partial{r}}z & \frac{\partial}{\partial{\theta}}z & \frac{\partial}{\partial{z}}z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}</math>
よって
:<math>d\boldsymbol{f}=\begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & r\cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} dr \\ d\theta \\ dz \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin \theta \\ 0 \end{pmatrix}dr + \begin{pmatrix} -\sin\theta \\ \cos\theta \\ 0 \end{pmatrix}rd\theta + \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}dz </math>
再右辺の各項を<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>と書くことにすると、<math>|d\vec{r}|, |d\vec{\theta}|, |d\vec{z}|</math>はそれぞれ<math>dr, rd\theta, dz</math>とわかる。<math>r, \theta, z</math>を物理量として捉えたとき<math>d\theta</math>の単位はラジアン(無次元量)であり、<math>rd\theta</math>の単位はメートル(長さの次元1)なので、次元の整合性が取れる。
纏めると以下のようになる。
{| class="wikitable"
| ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_x</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_y</math>成分 ||style="text-align:center;"| <math>\boldsymbol{e}_z</math>成分 ||style="text-align:center;"| ノルム
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{r}</math> ||style="text-align:center;"| <math>\cos\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>\sin\theta dr</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>dr</math>
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{\theta}</math> ||style="text-align:center;"| <math>-r\sin\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>r\cos\theta d\theta</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>rd\theta</math>
|-
|style="text-align:center;"| <math>d\vec{z}</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>0</math> ||style="text-align:center;"| <math>1</math> ||style="text-align:center;"| <math>dz</math>
|}
ここで<math>d\vec{r}, d\vec{\theta}, d\vec{z}</math>は内積を取ればどの組も互いに直交することが容易にわかるので、この3つのベクトルは3次元ユークリッド空間の直交基底である。
そこで、それぞれのベクトルを正規化することで各軸曲線方向の基本ベクトルを得る。
:<math>\boldsymbol{e}_r = \frac{d\vec{r}}{dr} = \cos\theta \boldsymbol{e}_x + \sin\theta \boldsymbol{e}_y</math>
:<math>\boldsymbol{e}_\theta = \frac{d\vec{\theta}}{rd\theta} = -\sin\theta\boldsymbol{e}_x+\cos\theta\boldsymbol{e}_y</math>
:<math>\boldsymbol{e}_z=\frac{d\vec{z}}{dz}=\boldsymbol{e}_z</math>
これを一次変換の形式で表すと
:<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math>
となる。
このときの変換行列を、座標系または基底ベクトルを変換することから'''座標変換行列'''又は'''基底変換行列'''という。場合によっては'''変換テンソル'''とも呼ぶ。
なお、この直交座標⇒円筒座標の座標変換行列は、xyz空間に於けるz軸まわりの回転行列に等しい。
逆基底変換はこの座標変換行列の逆行列を求めれば定式化できる。
回転行列は直交行列なので
:<math>\begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} ^{-1}= {}^t \! \begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} </math>
であり、
:<math>\begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_x \\ \boldsymbol{e}_y \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \boldsymbol{e}_r \\ \boldsymbol{e}_\theta \\ \boldsymbol{e}_z \end{pmatrix}</math>
円筒座標系は、[[電磁気学]]の解析でよく使用される。
例えば、高校物理の公式<math>B(r)=\frac{\mu_0I}{\tau r}</math>は、円筒座標系を知っていれば「電流がz軸に平行であることから磁場はz方向に一葉且つθ方向に回転対称なので、r方向の項のみが寄与する」と理解される。
===極座標系===
高等学校までの地理で習ったように、球面上の位置は緯度<math>\theta</math>と経度<math>\phi</math>で定めることができる。
一般に三次元空間で球面上のある点の座標を定めるには、更に球の中心からの距離<math>r</math>が必要である。
このようにして定められる座標系を'''三次元極座標系'''(polar coordinate system in 3D)または'''球(面)座標系'''(spherical coordinate system)という。
xyz座標空間の点<math>P(x, y, z)</math>の極座標表示を考える。
<math>r=|\vec{OP}|=\sqrt{x^2+y^2+z^2}</math>は容易にわかる。
<math>\theta</math>はz軸からの'''天頂角'''(zenith angle)であり、<math>\vec{OP}</math>のz軸への正射影ベクトルを<math>\vec{OH}=\vec{h}</math>とすると<math>\tan\theta = \frac{|\vec{h}|}{z}</math>が成り立つ。<math>|\vec{h}|=\sqrt{x^2+y^2}</math>より、<math>\theta=\arctan \frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z}</math>である。
<math>\phi</math>はx軸からの'''方位角'''(azimuth angle)であり、<math>P</math>からxy平面に下した垂線の足<math>Q</math>を考えると<math>\tan\phi=\frac{y}{x}</math>とわかる。よって、<math>\phi=\arctan\frac{y}{x}</math>である。
逆に、これを<math>P(x, y, z)</math>に復元することを考える。
<math>\triangle OHP</math>について<math>\angle HOP=\theta</math>なので、<math>z=\overline{OH}=r\cos\theta</math>。
また、<math>\triangle OPQ</math>について<math>\angle OPQ=\theta</math>なので、<math>\overline{OQ}=r\sin\theta</math>。
よって<math>x=\overline{OQ}\cos\phi=r\sin\theta\cos\phi, y=\overline{OQ}\sin\phi=r\sin\theta\sin\phi</math>。
以上を纏めると、直交座標と球面座標の対応関係は
:<math>\begin{cases} x=r\sin\theta\cos\phi \\ y=r\sin\theta\sin\phi \\ z=r\cos\theta \end{cases} \iff \begin{cases} r=\sqrt{x^2+y^2+z^2} \\ \theta=\arctan\frac{\sqrt{x^2+y^2}}{z} \\ \phi=\arctan\frac{y}{x} \end{cases}</math>
一般に緯度は<math>-90^\circ \leqq \theta \leqq 90^\circ</math>、経度は<math>-180^\circ \leqq \phi \leqq 180^\circ</math>の範囲で表される(但し、符号の違いは東⇔西、南⇔北の違いである)。同様に、球面座標の天頂角<math>\theta</math>、方位角<math>\phi</math>は<math>\theta \in [-\frac{\pi}{4}, \frac{\tau}{4}], \phi \in [-\frac{\tau}{2}, \frac{\tau}{2}]</math>で考える。赤道面より下側(すなわち南半球)では<math>\theta<0</math>とする。
直交座標のz軸を基に極座標系の座標線を決定する。
:r曲線:原点を通る半直線。
:θ曲線:原点中心でz軸上の一点から出る半円弧。
:φ曲線:z軸を法線とする平面内でz軸上に中心を持つ円周。
各曲線に沿った微小変化は円柱座標系の場合と同様、ベクトル場の全微分を用いて
:<math>\begin{cases} d\vec{r}= \begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi \\ \cos\theta \end{pmatrix} dr \\ d\vec{\theta}= \begin{pmatrix} \cos\theta\cos\phi \\ \cos\theta\sin\phi \\ -\sin\theta \end{pmatrix}rd\theta \\ d\vec{\phi} = \begin{pmatrix} -\sin\phi \\ \cos\phi \\ 0 \end{pmatrix} r\sin\theta d\phi \end{cases}</math>
と求まる。
これらは(内積の結果から)互いに直交するので、円柱座標の場合と同様の議論により
:<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \sin\theta\sin\phi & \cos\theta \\ \cos\theta\cos\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\theta \\ -\sin\phi & \cos\phi & 0 \end{pmatrix}</math>
と変換テンソルが求まる。
これも直交行列であるので、逆変換テンソルは
:<math>\begin{pmatrix} \sin\theta\cos\phi & \cos\theta\cos\phi & \cos\phi \\ \sin\theta\sin\phi & \cos\theta\sin\phi & -\sin\phi \\ -\sin\theta & \cos\theta & 0 \end{pmatrix}</math>
と求まる。
球面座標系は、[[力学]]の解析でよく使用される。
例えば、赤道平面における角運動量保存則は<math>mr^2\frac{d\phi}{dt}=\mathrm{const}.</math>と表示されるが、これはz軸方向の角運動量を球面座標系の演算により取り出したものである。
球面座標系は特に機械制御に応用されている。
円柱座標系・球面座標系ともに各基底ベクトルが互いに直交しているので、そのことを明示して(且つ通常の直交座標系と区別して)'''直交曲線座標系'''(orthogonal curvilinear coordinate system)と呼ぶ場合がある。直交曲線座標系には、他にも放物柱座標系や楕円座標系などがある。
===円環座標系===
===双極座標系===
===回転放物面座標===
===放物柱座標===
===回転楕円面座標===
===楕円柱座標===
===楕円体座標===
==空間微分==
===勾配===
===発散===
===回転===
===ラプラシアン===
==空間積分==
===線積分===
===面積分===
===体積分===
===ガウスの発散定理===
===ストークスの定理===
===グリーンの定理===
==発展事項==
{{節stub}}
{{Advanced|多様体論}}
{{Advanced|微分幾何学}}
{{Advanced|積分幾何学}}
===体積分再考===
体積分は先程「<math>\mathbb{R}^3</math>上の閉立体<math>V</math>」上で考えたが、実はここには線積分・面積分との大きな非対称性がある。
線積分は「曲線」、面積分は「曲面」を積分領域としたが、先程定義した体積分の積分領域は「平坦な立体」なのである(二次元で例えば楕円領域<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\leq1</math>は境界こそ"曲線"だが空間そのものは<math>\mathbb{R}^2</math>という"平面"であることと同じ)。
1次元の曲がった空間である曲線<math>M^1:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s)</math>が<math>\mathbb{R}^2</math>内、2次元の曲がった空間である曲面<math>M^2:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t)</math>が<math>\mathbb{R}^3</math>内に存在するように、3次元の曲がった空間である曲立体<math>M^3:\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(s, t, u)</math>は<math>\mathbb{R}^4</math>内に存在すると考えるのが自然である。ここで一般に<math>M^n\subset\mathbb{R}^{n+1}</math>が成り立つと予想され、この関係を「<math>M^n</math>の<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>への'''埋め込み'''」と呼ぶことにする。
線積分を<math>M^1</math>、面積分を<math>M^2</math>で定義したように、体積分を<math>M^3</math>で定義することを考える。
媒介変数空間<math>\begin{pmatrix} s \\ t \\ u \end{pmatrix} \in V \subset\mathbb{R^3}</math>上の微小変化を考えると全微分を用いて
:<math>d\boldsymbol{r}=\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt+\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>
よって<math>V</math>上の微小立方体<math>dsdtdu</math>は3ベクトル<math>\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}}ds,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}}dt,\quad\frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}}du</math>の張る微小平行六面体へ移される。
体素はこの微小平行六面体の体積と考えられるが、<math>\boldsymbol{r}\in\mathbb{R}^4</math>より当然この3ベクトルは4項ベクトルなので、'''外積を含んでいるスカラー三重積は使えない'''。
全微分を一次変換表記すると
:<math>d\boldsymbol{r}=\begin{pmatrix} \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{s}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{t}} & \frac{\partial{\boldsymbol{r}}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
:<math>=\begin{pmatrix} \frac{\partial{x}}{\partial{s}} & \frac{\partial{x}}{\partial{t}} & \frac{\partial{x}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{y}}{\partial{s}} & \frac{\partial{y}}{\partial{t}} & \frac{\partial{y}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{z}}{\partial{s}} & \frac{\partial{z}}{\partial{t}} & \frac{\partial{z}}{\partial{u}} \\ \frac{\partial{w}}{\partial{s}} & \frac{\partial{w}}{\partial{t}} & \frac{\partial{w}}{\partial{u}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
:<math>=\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\begin{pmatrix} ds \\ dt \\ du \end{pmatrix}</math>
ここでヤコビ行列は<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\in\mathbb{R}^{4\times3}</math>であって'''正方行列でないので行列式も求まらない'''。
そこで、[[線型代数学続論/種々の行列#随伴行列|グラム行列]]を利用することを考える。
'''グラム行列は必ず半正定値行列'''なので行列式は非負であり、平方根をとれる。
そのため、<math>\mathbf{G}:=\left(\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}\right)^*\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>として<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を体積拡大率とする。
これは正方行列ならヤコビアンの絶対値に一致する。
{{NavTop|title=補足:体積拡大率に一致する証明}}
:<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}</math>の列ベクトルにグラム=シュミットの直交化法を適用すると[[線型代数学続論/行列分解|QR分解]]によって
:<math>\frac{\partial{(x, y, z, w)}}{\partial{(s, t, u)}}=\mathbf{QR}\quad (\mathbf{Q}\in\mathbb{R}^{4\times3}, \mathbf{R}\in\mathbb{R}^{3\times3})</math>
よって
:<math>\mathbf{G}=(\mathbf{QR})^*\mathbf{QR}</math>
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{Q}^*\mathbf{Q}\mathbf{R}</math>
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{E}_3\mathbf{R}</math>(<math>\because\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列)
:<math>=\mathbf{R}^*\mathbf{R}</math>
:<math>\therefore \sqrt{\det\mathbf{G}}=\sqrt{\det\left( \mathbf{R}^*\mathbf{R} \right)}=\sqrt{\left(\det\mathbf{R}\right)^2}=|\det\mathbf{R}|</math>
<math>\mathbf{Q}</math>は列ユニタリ行列なのでその一次変換は等長変換であり、全微分による拡大率は<math>\mathbf{R}</math>による拡大率と一致する。<br/>
則ち、<math>\sqrt{\det\mathbf{G}}</math>を拡大率としてとれる。//
{{NavBottom}}
よって体積分は
:<math>\iiint_{M^3} f(\boldsymbol{r})dM^3 = \iiint_{V} f(\boldsymbol{r}(s, t, u))\sqrt{\det\mathbf{G}}\,dsdtdu</math>
ここから、適切な媒介変数表示が存在するならば<math>M^n</math>上での体積分の計算に<math>\mathbb{R}^{n+1}\setminus M^n</math>の情報は入ってこず、<math>M^n</math>の情報のみで計算されると予想される。
実際、<math>M^n</math>に適切な媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})\quad(\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n)</math>が存在するとき、全微分による一次変換の拡大率は同様にグラム行列式の平方根で与えられるので体積素は<math>dM^n = \sqrt{\det\mathbf{G}} \prod_{k=1}^{n}d\boldsymbol{p}_k</math>と書け、これは正しい。
実は、体素だけでなく一般に角度や長さといった幾何学的な量は埋め込み先である<math>\mathbb{R}^{n+1}</math>の情報を全く必要とせず、<math>M^n</math>の情報だけで構成できることが知られている。このことは微分幾何学のうち[[w:リーマン幾何学|リーマン幾何学]]と呼ばれる分野で詳しく扱われる。
ここまで<math>M^n</math>を適切な媒介変数<math>\boldsymbol{p}\in\mathbb{R}^n</math>で表すことを強調してきたが、媒介変数表示を考えるということは<math>M^n</math>から媒介変数空間<math>U\subset\mathbb{R}^n</math>への射影<math>\pi:M^n\to U</math>を考えるということである。
ここで、この<math>\pi</math>が全単射ならば逆向きの射影<math>\pi^{-1}:U\to M^n</math>が存在してそれが媒介変数表示<math>\boldsymbol{r}=\boldsymbol{r}(\boldsymbol{p})</math>となるわけであるが、これは以下のようにも捉えられる。
:<math>\pi</math>によって射影した平坦な空間で座標を設定すると、'''適切な逆変換<sup>※</sup>によって曲がった空間<math>M^n</math>上に(局所)座標系を与えることができる'''。
つまり、体積分を媒介変数空間に置換積分するということは、逆に体積分の元の表示が「<math>M^n</math>上の局所座標系に於ける積分」であることを示している。
※この適切な逆変換が存在する条件は'''陰関数定理そのもの'''である。
ここで、適切な媒介変数表示が存在するよう<math>M^n</math>に制限を課したものが、以下で扱う'''多様体'''である。
===多様体===
===微分形式===
[[線型代数学続論/外積代数]]も参照。
===リーマン計量===
===テンソル解析===
[[線型代数学続論/テンソル代数]]も参照。
===複素ベクトル解析===
[[複素解析学]]も参照。
{{DEFAULTSORT:へくとるかいせき}}
[[Category:解析学]]
[[Category:微分積分学]]
[[Category:ベクトル解析|かいせきかくきそ]]
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Wikibooks:統合提案
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2026-09-28T21:43:20Z
Tomzo
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/* 2026年9月 */
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wikitext
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== ガイドライン ==
=== 統合の手順のガイドライン ===
* 「[[Wikibooks:ページの分割と統合#ページの統合|ページの統合]]」を参照
=== このページへの記載のガイドライン ===
* 議論は必ず統合に関わるページのノートで行ってください。
** ただし、カテゴリページの統合については、このページに記載する必要はありません。[[Wikibooks:カテゴリの提案と議論#統合提案の場合]]に従ってください。
* 提案は月で分けて記載してください。
* 統合後の記事名と議論を行う場所を明示してください([[#提案書式の例]]を参照してください)。
* 記載には日時入りの[[Wikibooks:署名|署名]] (<nowiki>--~~~~</nowiki>)を加えてください。
* 特に重要な案件については、[[Wikibooks:コミュニティ・ポータル|コミュニティ・ポータル]]に告知するための[[Template:CP統合提案|リスト]]にも記載してください。
* 統合を実施したか、議論の結果実施しないという結論に至ったものは、報告を記載してください。その後1週間経過したものは除去してください。
* 以下のいずれかの場合は議論の終了とみなします。
*# 参加者によって議論終了の合意が形成された場合。
*# 議論停止から1か月経過した場合。これは、その後の加筆・修正により統合が不適切となっている可能性があるためです。
*# botによりテンプレートが自動除去され、2週間以内に再度貼付されない場合。さらに議論を継続する必要がある場合には、テンプレートの{{Para|date}}指定を新たにして再度貼付してください。
* 議論が終了した場合には以下の対応を行ってください。
** 告知及びテンプレートの除去。
*** 提案者又は議論参加者は提案告知及びテンプレートを除去して下さい。除去されない場合には他の人が除去しても構いません。
*** 議論の終了、放置、継続中の如何にかかわらず、テンプレートは貼付後六ヶ月経過した場合にはbotによって自動的に除去されます。
** 再度提案を行うことは可能です(ただし、それまでの議論を踏まえて、提案の内容や理由を再検討することが望ましい)。
== 統合提案の一覧 ==
この節では統合を提案する項目をリストします。追加・編集する前に前節のガイドラインに目を通してください。
=== 提案書式の例 ===
このページにて統合を提案する際の書式の例を以下に記載します。
<syntaxhighlight lang="wikitext">
* [[リダイレクトにすべき記事1]]と[[リダイレクトにすべき記事2]]を[[統合後の記事として適切と思われる記事]]へ統合。(理由を記載)のため。議論は[[ノート:統合後の記事として適切と思われる記事]]にて。--~~~~
</syntaxhighlight><noinclude>[[Category:プロジェクト関連文書用テンプレート|とうごうていあん]]</noinclude><includeonly>[[Category:統合提案|*]][[Category:ページの分割と統合|とうこうていあん]]</includeonly>
=== 2025年7月 ===
* [[高等学校理科基礎地学分野]]を[[高等学校 地学基礎]]の配下へ統合。指導要領改定対応の一環です。有効内容としては「地球と天体」が一部ある程度なので分岐スタブとしてサブページの付け替えで対応の方向を考えています。議論は[[ノート:高等学校 地学基礎]]にて。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2025年7月27日 (日) 05:11 (UTC)
*:内容を確認したところ、学習指導要領の改正により、[[高等学校理科基礎]]は[[高等学校 科学と人間生活]]に継承されたものと理解されますので、上記提案を修正し、[[高等学校理科基礎]]を[[高等学校 科学と人間生活]]に改正経緯として統合(リダイレクト化)、[[高等学校理科基礎地学分野]]は[[高等学校理科 科学と人間生活/身近な天体と太陽系における地球]]に統合することを提案します。議論は[[ノート:高等学校 科学と人間生活]]及び[[ノート:高等学校理科 科学と人間生活/身近な天体と太陽系における地球]]にて。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月23日 (水) 22:46 (UTC)
=== 2026年1月 ===
* [[日本語/方言]]と[[日本語の方言]]を[[日本語の方言]]へ統合。同じテーマを書いており、特に内容にも違いがないため。[[Wikibooks:ページの分割と統合#統合すべきでない場合]]の「統合するまでもない記事」に当たるような気もしますが、勝手がまだ分かっていないので取り敢えずここで聞きたいと思います。。内容は[[日本語の方言]]のほうが充実しています(と言っても赤リンクばかりのリンク記事ですが)。記事名はどちらにしても構わないと思いますが、単純に日本語共通化語の下位にある存在ではないという観点と、カテゴリとの一致から、[[日本語の方言]]のほうが適当だと思っています。議論は[[ノート:日本語の方言]]にて。--[[利用者:BrassSnail|BrassSnail]] ([[利用者・トーク:BrassSnail|トーク]]) 2026年1月15日 (木) 15:14 (UTC)<small>(リンク修正:[[利用者:BrassSnail|BrassSnail]] ([[利用者・トーク:BrassSnail|トーク]]) 2026年1月15日 (木) 15:28 (UTC))</small>
**{{cmt|コメント}} 基本的に賛成ですが、ツリー構造であることを考えると、[[日本語/方言]]側に寄せる方が良いと思います。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月3日 (木) 19:45 (UTC)
**:私もはじめはそう思ったのですが、[[日本語]]というタイトルの記事が現在「標準語」のみを対象にしているところからすると、各方言は標準語のバリエーションではなく、標準語と呼ばれるものも日本語の一変種に過ぎないという(少なくとも私の持っている)考えには合わないと思ったので、この形での提案としました。そちらの記事を日本語/共通語のようなタイトルに変更するのでも良いかもしれませんが、実態として需要の高いのは標準語でありそれがサブページ的場所に置かれるのは不便かもしれないという点と、それはそれで「標準語」対「それ以外の方言」という構図になってしまわないかという懸念があります。--[[利用者:BrassSnail|BrassSnail]] ([[利用者・トーク:BrassSnail|トーク]]) 2026年9月6日 (日) 11:27 (UTC)
*[[センター試験 世界史B対策]]を[[センター試験 世界史対策]]へ、[[センター試験 日本史B対策]]を[[センター試験 日本史対策]]へ、[[センター試験 地理B対策]]を[[センター試験 地理対策]]へ統合。議論は[[ノート:日本の大学受験ガイド]]へ。--[[利用者:なまえみてい|なまえみてい]] ([[利用者・トーク:なまえみてい|トーク]]) 2026年1月27日 (火) 03:37 (UTC)
** {{コメント2|対処}} 異論がなかったため、[[Wikibooks:ページの分割と統合#ページの統合]]の通りに統合しました。--[[利用者:なまえみてい|なまえみてい]] ([[利用者・トーク:なまえみてい|トーク]]) 2026年2月4日 (水) 08:24 (UTC)
=== 2026年8月 ===
* [[Subversion/目次]]を[[Subversion]]へ統合。呼び元の[[Subversion]]には[[Subversion/目次]]へのリンクしかなく、目次ページの分量も少ないため分散の必要性に欠けます。議論は[[ノート:Subversion]]にて。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年8月30日 (日) 17:56 (UTC)
*:{{対処}} 特に異論がなかったため、統合します。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月7日 (月) 04:14 (UTC)
=== 2026年9月 ===
* [[高等学校物理/物理公式集]]を[[初等物理学公式集]]へ統合。明らかに重複です、情報量は[[初等物理学公式集]]の方が多いので、こちらに寄せるべきものと考えます。議論は[[ノート:初等物理学公式集]]にて。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月4日 (金) 01:12 (UTC)
*:{{対処}} 特に異論がなかったため、統合しました。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月24日 (木) 00:20 (UTC)
*[[音楽用語]]に、[[音楽用語 あ行]]、[[音楽用語 か行]]、[[音楽用語 さ行]]、[[音楽用語 た行]]、[[音楽用語 な行]]、[[音楽用語 は行]]、[[音楽用語 ま行]]、[[音楽用語 A-E]]、[[音楽用語 K-O]]、[[音楽用語 P-T]]を統合。各ページとも記載量が少なく、主題テーマに関して一覧性を欠き、統合後のページが巨大にはならないため。議論は[[ノート:音楽用語]]にて。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月28日 (月) 00:51 (UTC)
*[[音楽用語 強弱記号/変化記号]]を[[強弱記号]]に統合。記載内容の重複。議論は[[ノート:強弱記号]]にて。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月28日 (月) 01:25 (UTC)
*[[拡張子ハンドブック]]に、以下のページを統合。各ページとも記載量が少なく(サブスタブと判断する1200byteをピックアップ)、主題テーマに関して一覧性を欠き、統合後のページが巨大にはならないため。
*:*[[拡張子ハンドブック/0-9]]
*:*[[拡張子ハンドブック/B]]
*:*[[拡張子ハンドブック/E]]
*:*[[拡張子ハンドブック/F]]
*:*[[拡張子ハンドブック/G]]
*:*[[拡張子ハンドブック/H]]
*:*[[拡張子ハンドブック/I]]
*:*[[拡張子ハンドブック/J]]
*:*[[拡張子ハンドブック/K]]
*:*[[拡張子ハンドブック/L]]
*:*[[拡張子ハンドブック/N]]
*:*[[拡張子ハンドブック/Q]]
*:*[[拡張子ハンドブック/R]]
*:*[[拡張子ハンドブック/U]]
*:*[[拡張子ハンドブック/W]]
*:*[[拡張子ハンドブック/Y]]
*:*[[拡張子ハンドブック/Z]]
*:議論は[[ノート:拡張子ハンドブック]]にて。--[[利用者:Tomzo|Tomzo]] ([[利用者・トーク:Tomzo|トーク]]) 2026年9月28日 (月) 21:43 (UTC)
[[category:統合提案|*]]
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高等学校日本史探究/新たな世紀の日本へⅣ
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2026-09-28T12:26:15Z
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/* 新しい世界を目指して */ スマートフォンの普及について叙述。
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text/x-wiki
[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅣ
本節は国民生活文化史などについて詳しく記します。
== 新しい世界を目指して ==
[[ファイル:Sustainable_Development_Goals.png|サムネイル|306x306ピクセル|17の持続可能な開発目標の一覧]]
※当項目は時事的な要素が強いため毎年見直し更新があります。
20世紀後期から21世紀初期にかけて、日本社会は大きく変わりました。NPO(民間非営利組織)法人が増え、会社・役所だけでなく、市民も社会活動へ参加出来るようになりました。一方、少子高齢化と人口減少・家族の変化・働き方の変化・外国人の増加・情報通信技術の拡大・環境問題・エネルギー問題・自然災害・収入の差・生活の差・差別・海外の戦争・近隣諸国の対立などが日本の暮らしにかかわるようになりました。
冷戦終結後、軍隊用のインターネットが一般用に代わって、企業・家庭で一気に広がりました。また、半導体技術向上と通信機器の高性能化から情報通信環境を大きく変えました。1990年代、パーソナルコンピュータが一般家庭へ広がりました。パーソナルコンピュータ世帯普及率は1996年に20%、2006年に80%を超えました。インターネットの世帯利用率も2002年に80%を超えました。このように一般家庭へパーソナルコンピュータとインターネットが入ると、わざわざ図書館に行かなくても家庭内で必要な情報を探したり、遠くの相手とすぐに情報をやり取りしたり出来るようになりました。
2000年代後半以降、スマートフォンは若者を中心に急速に広まり、2010年代から日常生活に欠かせない道具の1つになりました。スマートフォン1台で通話・通信・音楽・写真・動画・ゲームなどを出来るようになり、国民の日常生活が大きく変わりました。一方、新聞購読者を減らしました。情報発信の仕組みも新聞社・出版社・放送局などから国民のスマートフォンに変わり、文章・写真・映像をインターネット上に出して同じように届けられるようになりました。
コンピュータが1999年から2000年へ正しく切り替わらないまま、人間の暮らしを止めてしまうかもしれないと心配されました。そのため、世界各地でコンピュータのプログラムを点検して、必要な修正を進めました。その結果、2000年を迎えても、大規模な障害は発生しないまま終わりました。
SNS(ソーシャルネットワークサービス)は対人関係と会話の仕方を大きく変えました。ブログ・ツイッター・フェイスブック・ラインの拡大から新聞社・テレビ局などを通さなくても政治問題と社会問題について自分の意見を書いたり、類似思想者・類似共感者と繋がったり、社会活動の参加を呼びかけたり出来るようになりました。2023年、ツイッターは名前をXへ変えました。2017年以降、性暴力被害者・セクシャルハラスメント被害者の「#MeToo」運動が各地へ広がりました。類似被害者がお互いの投稿を知って性暴力被害・セクシャルハラスメント被害を同じように訴えました。しかし、誹謗中傷・偽情報・誤情報・個人情報流出・著作権・情報利用の格差なども問題になりました。2022年、侮辱罪の法定刑が重くなり、発信者情報の開示制度も整いました。2025年、情報流通プラットフォーム対処法が始まり、権利侵害情報への対応と運用の透明化も求められました。
人間が細かく文章・画像を最初から作らなくても、コンピュータへ指示をしたら文章・画像・映像などを勝手に作ってくれます(生成AI)。この生成AIは2020年代から瞬く間に広がり、各分野[労働・教育・行政など]で使われるようになりました。しかし、生成文章と生成画像の著作権・情報の信頼性・人間の創作活動との関係が新たな問題になりました。そのため、AI生成情報をそのまま鵜吞みにしないで他の一次資料と比べて本当に正しいのかを判断出来るかもこれまで以上に大切になりました。2025年、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)が成立しました。政府はAIの研究や利用を進めつつ偽情報の拡大問題・著作権問題にも対応しました。また、生成AIを取り入れて行政の仕事を進めやすくしようとしました。
== 平成時代・令和時代の文化史・科学史 ==
※当項目は時事的な要素が強いため毎年見直し更新があります。
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 全国歴史教育研究協議会編『[新課程版]日本史用語集』株式会社山川出版社 2023年
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
* 各種新聞等資料・各種政府公式白書
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/* 新しい世界を目指して */ 携帯電話の広がりについて叙述。
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text/x-wiki
[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅣ
本節は国民生活文化史などについて詳しく記します。
== 新しい世界を目指して ==
[[ファイル:Sustainable_Development_Goals.png|サムネイル|306x306ピクセル|17の持続可能な開発目標の一覧]]
※当項目は時事的な要素が強いため毎年見直し更新があります。
20世紀後期から21世紀初期にかけて、日本社会は大きく変わりました。NPO(民間非営利組織)法人が増え、会社・役所だけでなく、市民も社会活動へ参加出来るようになりました。一方、少子高齢化と人口減少・家族の変化・働き方の変化・外国人の増加・情報通信技術の拡大・環境問題・エネルギー問題・自然災害・収入の差・生活の差・差別・海外の戦争・近隣諸国の対立などが日本の暮らしにかかわるようになりました。
冷戦終結後、軍隊用のインターネットが一般用に代わって、企業・家庭で一気に広がりました。また、半導体技術向上と通信機器の高性能化から情報通信環境を大きく変えました。1990年代、パーソナルコンピュータが一般家庭へ広がりました。パーソナルコンピュータ世帯普及率は1996年に20%、2006年に80%を超えました。インターネットの世帯利用率も2002年に80%を超えました。このように一般家庭へパーソナルコンピュータとインターネットが入ると、わざわざ図書館に行かなくても家庭内で必要な情報を探したり、遠くの相手とすぐに情報をやり取りしたり出来るようになりました。
大半の国民が携帯電話も同時期に持つようになりました。1987年、一般向け携帯電話が店に並び始めました。1990年代末以降、インターネットを携帯電話でも使えるようになり、若者を中心にインターネット利用者が増えました。2000年、携帯電話契約数が固定電話契約数を上回りました。高速・大容量通信の整備が2000年代に整えられ、文字・音楽・映像をインターネットで楽しめるようになりました。テレビでもデジタル化が進み、地上デジタルテレビ放送が始まりました。2011年、東日本大震災の一部被災地域を除いて、地上テレビ放送がアナログ放送からデジタル放送へ切り替わりました。
2000年代後半以降、スマートフォンは若者を中心に急速に広まり、2010年代から日常生活に欠かせない道具の1つになりました。スマートフォン1台で通話・通信・音楽・写真・動画・ゲームなどを出来るようになり、国民の日常生活が大きく変わりました。一方、新聞購読者を減らしました。情報発信の仕組みも新聞社・出版社・放送局などから国民のスマートフォンに変わり、文章・写真・映像をインターネット上に出して同じように届けられるようになりました。
コンピュータが1999年から2000年へ正しく切り替わらないまま、人間の暮らしを止めてしまうかもしれないと心配されました。そのため、世界各地でコンピュータのプログラムを点検して、必要な修正を進めました。その結果、2000年を迎えても、大規模な障害は発生しないまま終わりました。
SNS(ソーシャルネットワークサービス)は対人関係と会話の仕方を大きく変えました。ブログ・ツイッター・フェイスブック・ラインの拡大から新聞社・テレビ局などを通さなくても政治問題と社会問題について自分の意見を書いたり、類似思想者・類似共感者と繋がったり、社会活動の参加を呼びかけたり出来るようになりました。2023年、ツイッターは名前をXへ変えました。2017年以降、性暴力被害者・セクシャルハラスメント被害者の「#MeToo」運動が各地へ広がりました。類似被害者がお互いの投稿を知って性暴力被害・セクシャルハラスメント被害を同じように訴えました。しかし、誹謗中傷・偽情報・誤情報・個人情報流出・著作権・情報利用の格差なども問題になりました。2022年、侮辱罪の法定刑が重くなり、発信者情報の開示制度も整いました。2025年、情報流通プラットフォーム対処法が始まり、権利侵害情報への対応と運用の透明化も求められました。
人間が細かく文章・画像を最初から作らなくても、コンピュータへ指示をしたら文章・画像・映像などを勝手に作ってくれます(生成AI)。この生成AIは2020年代から瞬く間に広がり、各分野[労働・教育・行政など]で使われるようになりました。しかし、生成文章と生成画像の著作権・情報の信頼性・人間の創作活動との関係が新たな問題になりました。そのため、AI生成情報をそのまま鵜吞みにしないで他の一次資料と比べて本当に正しいのかを判断出来るかもこれまで以上に大切になりました。2025年、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)が成立しました。政府はAIの研究や利用を進めつつ偽情報の拡大問題・著作権問題にも対応しました。また、生成AIを取り入れて行政の仕事を進めやすくしようとしました。
== 平成時代・令和時代の文化史・科学史 ==
※当項目は時事的な要素が強いため毎年見直し更新があります。
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 全国歴史教育研究協議会編『[新課程版]日本史用語集』株式会社山川出版社 2023年
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
* 各種新聞等資料・各種政府公式白書
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/* 新しい世界を目指して */
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[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>新たな世紀の日本へⅣ
本節は国民生活文化史などについて詳しく記します。
== 新しい世界を目指して ==
※当項目は時事的な要素が強いため毎年見直し更新があります。
20世紀後期から21世紀初期にかけて、日本社会は大きく変わりました。NPO(民間非営利組織)法人が増え、会社・役所だけでなく、市民も社会活動へ参加出来るようになりました。一方、少子高齢化と人口減少・家族の変化・働き方の変化・外国人の増加・情報通信技術の拡大・環境問題・エネルギー問題・自然災害・収入の差・生活の差・差別・海外の戦争・近隣諸国の対立などが日本の暮らしにかかわるようになりました。
冷戦終結後、軍隊用のインターネットが一般用に代わって、企業・家庭で一気に広がりました。また、半導体技術向上と通信機器の高性能化から情報通信環境を大きく変えました。1990年代、パーソナルコンピュータが一般家庭へ広がりました。パーソナルコンピュータ世帯普及率は1996年に20%、2006年に80%を超えました。インターネットの世帯利用率も2002年に80%を超えました。このように一般家庭へパーソナルコンピュータとインターネットが入ると、わざわざ図書館に行かなくても家庭内で必要な情報を探したり、遠くの相手とすぐに情報をやり取りしたり出来るようになりました。
大半の国民が携帯電話も同時期に持つようになりました。1987年、一般向け携帯電話が店に並び始めました。1990年代末以降、インターネットを携帯電話でも使えるようになり、若者を中心にインターネット利用者が増えました。2000年、携帯電話契約数が固定電話契約数を上回りました。高速・大容量通信の整備が2000年代に整えられ、文字・音楽・映像をインターネットで楽しめるようになりました。テレビでもデジタル化が進み、地上デジタルテレビ放送が始まりました。2011年、東日本大震災の一部被災地域を除いて、地上テレビ放送がアナログ放送からデジタル放送へ切り替わりました。
2000年代後半以降、スマートフォンは若者を中心に急速に広まり、2010年代から日常生活に欠かせない道具の1つになりました。スマートフォン1台で通話・通信・音楽・写真・動画・ゲームなどを出来るようになり、国民の日常生活が大きく変わりました。一方、新聞購読者を減らしました。情報発信の仕組みも新聞社・出版社・放送局などから国民のスマートフォンに変わり、文章・写真・映像をインターネット上に出して同じように届けられるようになりました。
コンピュータが1999年から2000年へ正しく切り替わらないまま、人間の暮らしを止めてしまうかもしれないと心配されました。そのため、世界各地でコンピュータのプログラムを点検して、必要な修正を進めました。その結果、2000年を迎えても、大規模な障害は発生しないまま終わりました。
SNS(ソーシャルネットワークサービス)は対人関係と会話の仕方を大きく変えました。ブログ・ツイッター・フェイスブック・ラインの拡大から新聞社・テレビ局などを通さなくても政治問題と社会問題について自分の意見を書いたり、類似思想者・類似共感者と繋がったり、社会活動の参加を呼びかけたり出来るようになりました。2023年、ツイッターは名前をXへ変えました。2017年以降、性暴力被害者・セクシャルハラスメント被害者の「#MeToo」運動が各地へ広がりました。類似被害者がお互いの投稿を知って性暴力被害・セクシャルハラスメント被害を同じように訴えました。しかし、誹謗中傷・偽情報・誤情報・個人情報流出・著作権・情報利用の格差なども問題になりました。2022年、侮辱罪の法定刑が重くなり、発信者情報の開示制度も整いました。2025年、情報流通プラットフォーム対処法が始まり、権利侵害情報への対応と運用の透明化も求められました。
人間が細かく文章・画像を最初から作らなくても、コンピュータへ指示をしたら文章・画像・映像などを勝手に作ってくれます(生成AI)。この生成AIは2020年代から瞬く間に広がり、各分野[労働・教育・行政など]で使われるようになりました。しかし、生成文章と生成画像の著作権・情報の信頼性・人間の創作活動との関係が新たな問題になりました。そのため、AI生成情報をそのまま鵜吞みにしないで他の一次資料と比べて本当に正しいのかを判断出来るかもこれまで以上に大切になりました。2025年、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)が成立しました。政府はAIの研究や利用を進めつつ偽情報の拡大問題・著作権問題にも対応しました。また、生成AIを取り入れて行政の仕事を進めやすくしようとしました。
[[ファイル:Sustainable_Development_Goals.png|サムネイル|306x306ピクセル|17の持続可能な開発目標の一覧]]
== 平成時代・令和時代の文化史・科学史 ==
※当項目は時事的な要素が強いため毎年見直し更新があります。
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『日本史探究』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史探究』株式会社山川出版社 2023年
* 高埜利彦、高村直助ほか編著『日本史A 改訂版』株式会社山川出版社 2016年
* 渡邊晃宏ほか編著『日本史探究』東京書籍株式会社 2023年
* 伊藤純郎ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社清水書院 2023年
* 大橋幸泰ほか編著『高等学校日本史探究』株式会社第一学習社 2023年
* 山中裕典著'''『'''改訂版 大学入学共通テスト 歴史総合、日本史探究の点数が面白いほどとれる本'''』'''株式会社KADOKAWA 2024年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『詳説日本史研究』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『世界一わかりやすい河合敦の日本史B[近・現代]の特別講座』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
* 全国歴史教育研究協議会編『[新課程版]日本史用語集』株式会社山川出版社 2023年
* 外園豊基編集代表『最新日本史図表』株式会社第一学習社 2026年
* 東京法令出版編著『歴史資料館 日本史のライブラリー』東京法令出版株式会社 2026年
* 各種新聞等資料・各種政府公式白書
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カテゴリ:スマートフォン
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