Wikisource jawikisource https://ja.wikisource.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8 MediaWiki 1.47.0-wmf.23 first-letter メディア 特別 トーク 利用者 利用者・トーク Wikisource Wikisource・トーク ファイル ファイル・トーク MediaWiki MediaWiki・トーク テンプレート テンプレート・トーク ヘルプ ヘルプ・トーク カテゴリ カテゴリ・トーク 作者 作者・トーク Page Page talk Index Index talk TimedText TimedText talk モジュール モジュール・トーク Event Event talk 日本郵政株式会社法 0 2532 246579 240399 2026-10-13T07:34:56Z HTDFPC 45275 246579 wikitext text/x-wiki {{header |title = {{PAGENAME}} |year = 2005 |notes = <[[Wikisource:日本の法律]] {{ウィキペディア|日本郵政}} *平成十七年十月二十一日法律第九十八号 *施行:平成十八年一月二十三日(附則第1条柱書および郵政民営化法施行令第1条) **[[#f1-1|附則第1条第1号]]:平成十七年十月二十一日 **[[#f1-2|同条第2号]]:平成十九年十月一日 {{ルビ使用}} *表等の詳細: **列の文字数はそれぞれ以下の通りである。 ***1列目: 7em ***2列目: 17em ***3列目: 16em **すべてのセルは左上に揃えてある。 **1列目のみ6行目と7行目のセルが結合している。 **セルとの間には黒の枠線が引いてある。 **セルには左右に0.5emずつの余白を置いてある。 **表等自体の幅は43emである。 }} <div style="text-indent:1em"> 日本郵政株式会社法をここに公布する。 </div> <div style="margin-left:2em"> {{御名御璽}} </div> <div style="margin-left:4em"> 平成十七年十月二十一日 </div> <div style="margin-right:2em;text-align:right"> 内閣総理大臣  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]] </div> '''法律第九十八号''' <div style="margin-left:3em"> 日本郵政株式会社法 </div> == 目次 == :[[#s1|第一章  総則]]([[#a1|第一条]] - [[#a3|第三条]]) :[[#s2|第二章  業務等]]([[#a4|第四条]] - [[#a13|第十三条]]) :[[#s3|第三章  雑則]]([[#a14|第十四条]] - [[#a17|第十七条]]) :[[#s4|第四章  罰則]]([[#a18|第十八条]] - [[#a23|第二十三条]]) :[[#附則|附則]] {{編章節款目|第一章  総則|margin-left=7|text-indent=-4|id=s1}} <div style="margin-left:1em"> <span id="a1">(会社の目的)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第一条 :日本郵政株式会社(以下「会社」という。)は、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の総数を保有し、これらの株式会社の経営管理を行うこと並びにこれらの株式会社の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とする。 </div> <span id="a2">(株式の政府保有)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第二条 :政府は、常時、会社の発行済株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式を含む。以下この条において同じ。)の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならない。 </div> <span id="a3">(商号の使用制限)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第三条 :会社でない者は、その商号中に日本郵政株式会社という文字を使用してはならない。 </div> </div> {{編章節款目|第二章  業務等|margin-left=7|text-indent=-4|id=s2}} <div style="margin-left:1em"> <span id="a4">(業務の範囲)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第四条 :会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うものとする。 <div style="margin-left:1em"> ::<span id="a4_1-1">一</span>  郵便事業株式会社及び郵便局株式会社が発行する株式の引受け及び保有 ::<span id="a4_1-2">二</span>  郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の経営の基本方針の策定及びその実施の確保 ::<span id="a4_1-3">三</span>  [[#a4_1-1|前二号]]に掲げるもののほか、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の株主としての権利の行使 ::<span id="a4_1-4">四</span>  [[#a4_1-1|前三号]]に掲げる業務に附帯する業務 </div> :<span id="a4_2">2</span>  会社は、[[#a4|前項]]に規定する業務のほか、総務大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行うことができる。 </div> <span id="a5">(郵便事業株式会社等の株式の保有)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第五条 :会社は、常時、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の総数を保有していなければならない。 </div> <span id="a6">(社会・地域貢献資金の交付)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第六条 :会社は、郵便事業株式会社に対し、[[郵便事業株式会社法#4_4|郵便事業株式会社法(平成十七年法律第九十九号)第四条第四項]]に規定する社会貢献業務計画の定めるところに従い、社会貢献業務([[郵便事業株式会社法#4_2|同条第二項]]に規定する社会貢献業務をいう。以下同じ。)の実施に要する費用に充てるものとして、社会貢献資金を交付するものとする。 :<span id="a6_2">2</span>  会社は、郵便局株式会社に対し、[[郵便局株式会社法#6_5|郵便局株式会社法(平成十七年法律第百号)第六条第五項]]に規定する地域貢献業務計画の定めるところに従い、地域貢献業務([[郵便局株式会社法#6_3|同条第三項]]に規定する地域貢献業務をいう。以下同じ。)の実施に要する費用に充てるものとして、地域貢献資金を交付するものとする。 :<span id="a6_3">3</span>  [[#a6|前二項]]に規定するもののほか、社会貢献資金又は地域貢献資金(以下「社会・地域貢献資金」という。)の交付に関し必要な事項は、総務省令で定める。 </div> <span id="a7">(一般担保)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第七条 :会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。 :<span id="a7_2">2</span>  [[#a7|前項]]の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。 </div> <span id="a8">(株式)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第八条 :会社は、会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式([[#a22-3|第二十二条第三号]]において「募集株式」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権([[#a22-3|同号]]において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。 :<span id="a8_2">2</span>  会社は、新株予約権の行使により株式を交付した後、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。 </div> <span id="a9">(取締役等の選任等の決議)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第九条 :会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 </div> <span id="a10">(事業計画)</span> <div style="text-indent:-1em"> :第十条 :会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 </div> <span id="a11">(定款の変更等)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第十一条 :会社の定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、会社分割及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 </div> <span id="a12">(財務諸表)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第十二条 :会社は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を総務大臣に提出しなければならない。 </div> <span id="a13">(社会・地域貢献基金)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第十三条 :会社は、社会・地域貢献資金の交付の財源をその運用によって得るために社会・地域貢献基金(以下「基金」という。)を設け、[[#a13_2|次項]]の規定により積み立てる金額をもってこれに充てるものとする。 :<span id="a13_2">2</span>  会社は、毎事業年度の損益計算上の利益金の額のうち、企業一般の配当の動向を考慮して政令で定めるところにより計算した金額を、一兆円に達するまで、基金に積み立てなければならない。 :<span id="a13_3">3</span>  基金の運用により生じた収益は、社会・地域貢献資金の交付の財源に充てるほか、当該収益の生じた事業年度中会社の他の支出の財源に充ててはならない。 :<span id="a13_4">4</span>  基金は、取り崩してはならない。ただし、基金の運用により生じた収益のみによっては社会・地域貢献資金の交付の財源を確保することができない場合であって、社会・地域貢献資金が交付されないことにより郵便事業株式会社又は郵便局株式会社の経営努力のみによっては社会貢献業務又は地域貢献業務の実施が困難となり、地域社会の安定に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、この限りでない。 :<span id="a13_5">5</span>  会社は、基金に係る経理については、総務省令で定めるところにより、その他の経理と区分して整理しなければならない。 :<span id="a13_6">6</span>  会社は、総務省令で定めるところにより、確実かつ有利な方法により基金を運用しなければならない。 :<span id="a13_7">7</span>  会社は、[[郵便事業株式会社法#4_3|郵便事業株式会社法第四条第三項]]又は[[郵便局株式会社法#6_4|郵便局株式会社法第六条第四項]]の規定により提出された申請書を総務大臣に提出するときは、基金の運用により生ずる収益の見通しに関する書類を併せて提出しなければならない。 :<span id="a13_8">8</span>  [[#a13_2|第二項]]の規定は、一兆円を超えて基金を積み立てることを妨げるものではない。ただし、二兆円に達するまでは、同項に規定する政令で定めるところにより計算した金額をもって積み立てなければならない。 :<span id="a13_9">9</span>  [[#a13|前各項]]に定めるもののほか、基金に関し必要な事項は、総務省令で定める。 </div> </div> {{編章節款目|第三章  雑則|margin-left=7|text-indent=-4|id=s3}} <div style="margin-left:1em"> <span id="a14">(監督)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第十四条 :会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。 :<span id="a14_2">2</span>  総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。 </div> <span id="a15">(報告及び検査)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第十五条 :総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。 :<span id="a15_2">2</span>  [[#a15|前項]]の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。 :<span id="a15_3">3</span>  [[#a15|第一項]]の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 </div> <span id="a16">(財務大臣との協議)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第十六条 :総務大臣は、[[#a8|第八条第一項]]、[[#a10|第十条]]又は[[#a11|第十一条]](定款の変更の決議に係るものにあっては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。 </div> <span id="a17">(課税の特例)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第十七条 :会社が各事業年度(会社が連結親法人(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第十二号の七の二に規定する連結親法人をいう。)に該当する場合には、各連結事業年度)において[[#a6|第六条第一項]]又は[[#a6_2|第二項]]の規定に基づき交付する金銭の額は、同法第三十七条第七項(同法第八十一条の六第六項において準用する場合を含む。)に規定する寄附金の額に含まれないものとする。 <span id="a17_2">2</span>  [[#a17|前項]]に規定する事業年度とは法人税法第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいい、[[#a17|同項]]に規定する連結事業年度とは同法第十五条の二に規定する連結事業年度をいう。 </div> </div> {{編章節款目|第四章  罰則|margin-left=7|text-indent=-4|id=s4}} <div style="margin-left:1em;text-indent:-1em"> ;<b id="a18">第十八条</b> :会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄{{ruby|賂|ろ}}を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。 :<span id="a18_2">2</span>  [[#a18|前項]]の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 ;<b id="a19">第十九条</b> :[[#a18|前条第一項]]の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 :<span id="a19_2">2</span>  [[#a19|前項]]の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。 ;<b id="a20">第二十条</b> :[[#a18|第十八条第一項]]の罪は、日本国外において[[#a18|同項]]の罪を犯した者にも適用する。 :<span id="a20_2">2</span>  [[#a19|前条第一項]]の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 ;<b id="a21">第二十一条</b> :[[#a15|第十五条第一項]]の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は[[#a15|同項]]の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。 ;<b id="a22">第二十二条</b> :次の[[#a22-1|各号]]のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。 <div style="margin-left:1em"> ::<span id="a22-1">一</span>  [[#a4_2|第四条第二項]]の規定に違反して、業務を行ったとき。 ::<span id="a22-2">二</span>  [[#a5|第五条]]の規定に違反して、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の株式を処分したとき。 ::<span id="a22-3">三</span>  [[#a8|第八条第一項]]の規定に違反して、募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき。 ::<span id="a22-4">四</span>  [[#a8_2|第八条第二項]]の規定に違反して、株式を交付した旨の届出を行わなかったとき。 ::<span id="a22-5">五</span>  [[#a10|第十条]]の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。 ::<span id="a22-6">六</span>  [[#a12|第十二条]]の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは事業報告書を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。 ::<span id="a22-7">七</span>  [[#a14_2|第十四条第二項]]の規定による命令に違反したとき。 </div> ;<b id="a23">第二十三条</b> :[[#a3|第三条]]の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。 </div> {{附則}} <div style="margin-left:1em"> <span id="f1">(施行期日)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第一条 ;この法律は、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第三十六条第九項の政令で定める日から施行する。ただし、次の[[#f1-1|各号]]に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 <div style="margin-left:1em"> ::<span id="f1-1">一</span>  [[#a3|第三条]]、[[#a9|第九条]]、[[#a11|第十一条]](定款の変更の決議に係る部分に限る。)及び[[#a23|第二十三条]]の規定  郵政民営化法附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日 ::<span id="f1-2">二</span>  [[#f2|次条]]の規定  郵政民営化法の施行の日 </div> </div> <span id="f2">(業務の特例)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第二条 :会社は、平成二十四年九月三十日までの間、[[#a4|第四条]]に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行うものとする。 <div style="margin-left:1em"> ::<span id="f2_1-1">一</span>  次に掲げる施設の譲渡又は廃止 <div style="margin-left:1em"> :::<span id="f2_1-1-i">イ</span>  承継計画(郵政民営化法第百六十六条第一項に規定する承継計画をいう。ロにおいて同じ。)において定めるところに従い会社が承継した郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号。ロにおいて「整備法」という。)第二条の規定による廃止前の郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)第四条第一項の施設 :::<span id="f2_1-1-ro">ロ</span>  承継計画において定めるところに従い会社が承継した整備法第二条の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第百一条第一項の施設 </div> ::<span id="f2_1-2">二</span>  [[#f2_1-1-i|前号イ]]又は[[#f2_1-1-ro|ロ]]に掲げる施設の譲渡又は廃止をするまでの間における当該施設の運営又は管理 ::<span id="f2_1-2">三</span>  [[#f2_1-1|前二号]]に掲げる業務に附帯する業務 </div> :<span id="f2_2">2</span>  会社は、[[#f2-2|前項第二号]]に掲げる業務及びこれに附帯する業務を行うに当たっては、当該業務と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならない。 </div> <span id="f3">(政府保有の株式の処分)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第三条 :政府は、その保有する会社の株式([[#a2|第二条]]に規定する発行済株式をいい、[[#a2|同条]]の規定により保有していなければならない発行済株式を除く。)については、できる限り早期に処分するよう努めるものとする。 </div> <span id="f4">(会社法の施行の日の前日までの間の読替え)</span> <div style="text-indent:-1em"> ;第四条 :会社法の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、会社法の施行の日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 </div> </div> <div style="margin:0 1em;"> {| border="0" cellpadding="0" cellspacing="0" style="border-collapse:collapse;" |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第二条</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百十一条ノ二第四項に規定する種類の株式を除き、同条第五項</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第八条第一項</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式(第二十二条第三号において「募集株式」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">新株、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行し、又は自己の株式を処分しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。ただし、新株予約権が行使されたことにより新株を発行し、又は自己の株式を移転しようとするときは、この限りでない</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第八条第二項</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">新株予約権の行使により株式を交付した後</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">前項ただし書の場合においては、当該新株を発行し、又は自己の株式を移転した後</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第十条</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">事業年度</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">営業年度</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第十一条</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">利益の処分</div> |- |rowspan="2" style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第十二条</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">事業年度</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">営業年度</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">事業報告書</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">営業報告書</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第十三条第二項及び第三項</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">事業年度</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">営業年度</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第十八条第一項及び第二十一条</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">執行役</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第二十二条</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">執行役</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第二十二条第三号</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">新株、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行し、又は自己の株式を処分したとき</div> |- |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:7.1em">第二十二条第六号</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:17.1em">事業報告書</div> |style="padding:0 0.5em;border:1px solid black;vertical-align:top;"|<div style="width:16.1em">営業報告書</div> |} </div> <div style="margin-right:2em;text-align:right"> 総務大臣  [[w:麻生太郎|麻生  太郎]] 財務大臣  [[w:谷垣禎一|谷垣  禎一]] 内閣総理大臣  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]] </div> {{DEFAULTSORT:につほんゆうせいかふしきかいしやほう}} [[Category:平成17年の法律]] [[Category:行政組織法]] {{PD-JapanGov}} 0118y1vv6jkrptpieel24atz9qtauwh 福岡高等裁判所平11 (う) 第429号 0 11090 246574 246540 2026-10-13T06:51:52Z ろづき 28406 246574 wikitext text/x-wiki {{Header |title=福岡高等裁判所平11(う)第429号 |year=1999 |notes= 掲載LEX/DB文献番号28085513。原本は実名。原審・上告審については、[[福岡地方裁判所平6 (わ) 第1050号、平6 (わ) 第1157号|第1審判決]]、[https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-80437.pdf 最高裁判決]。第1次再審請求審については、[[福岡地方裁判所平成21年 (た) 第11号|第1審決定]]、[[福岡高等裁判所平成26年 (く) 第56号|第2審決定]]、[https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-90266.pdf 最高裁決定]。第2次再審請求審については、[[福岡地方裁判所令和3年(た)第3号|第1審決定]]、[[福岡高等裁判所令和6年(く)第97号|第2審決定]]。 }} 福岡高等裁判所平成11年(う)第429号<br> 平成13年10月10日第二刑事部判決<br> <br> ==判決== 無職 久間三千年 昭和13年1月9日生<br>  上記の者に対する略取誘拐、殺人、死体遺棄被告事件について、平成11年9月29日福岡地方裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から控訴の申立てがあったので、当裁判所は、検察官中野寛司出席の上審理し、次のとおり判決する。 == 主文 == 本件控訴を棄却する。 == 理由 ==  本件控訴の趣意は、主任弁護人岩田務、弁護人徳田靖之、同鈴木宗嚴、同千野博之、同城台哲が連名で提出した控訴趣意書記載のとおりであり、これに対する答弁は検察官中野寛司が提出した答弁書記載のとおりであるから、これらを引用する。<br>  論旨は、要するに、原審において取り調べられた証拠中には、被告人と本件犯行とを直接結びつける証拠はなく、個々の情況証拠の認定にも疑問がある上、これらを総合評価しても、被告人が犯人であることにつき合理的な疑いを容れない程度の証明がなく、被告人は無罪であるのに、被告人を犯人と認定した原判決には証拠の評価を誤り、事実を誤認したものであるから、原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認がある、というのである。<br>  そこで、原審記録を調査し、当審における事実取調べの結果をも加えて検討する。<br>  原判決の認定した犯罪事実は、原判決の掲げる関係各証拠により優に認定することができ、所論の指摘する点につき原審記録を精査し、当審における事実取調べの結果を検討しても、その認定に誤りはないと認められる。ただし、犯行時刻につき、原判示第一の拐取時刻は午前8時30分過ぎころと認定するのが相当であり(原判決も補足説明において検討しているところによればそのように理解される。)、第二、第三の各殺害の時刻はその後午前9時30分前後ころまでの間と認定するのが相当である(A田の食事終了時間や、消化状況から厳密な時間を認定するのは相当でないと考えられることによる。)が、これらの点はもとより判決に影響を及ぼすものではない。 ===第1 原判決の認定した情況事実=== ====一====  原判決の認定している主要な情況証拠はおおむね次のとおりである。<br> '''1''' まず、原判決の補足説明一で認定した外形的事実が認められる。すなわち、被害者両名は、平成4年2月20日午前8時30分過ぎころから行方不明になり、そのころ犯人により拐取され、朝食後1ないし2時間後に扼頸により窒息死させられ、その後、甘木市と嘉穂郡嘉穂町とを結ぶ国道322号線、通称八丁峠第5カーブ付近に遺棄されたことが認められるが、原判示の被害者両名の死亡時刻がいずれも同じころであることは、死体解剖の結果、特に胃内容物の消化の程度及び死斑、硬直の状態から、これを認定することができる。<br> '''2''' 森林組合に勤務するT田は、同日午前11時過ぎころ、後に被害者両名の遺留品であるランドセル、着衣等が発見された斜面の上の路上で、停車していた不審な車両とその脇にいた頭部のはげた男を目撃したが、T田が目撃した車両は、紺色のワンボックスカーであり、同人の証言に当時の他の車両の製造販売状況に関する関係証拠を併せると、それは、マツダボンゴ車である可能性が高い。<br> '''3''' 被害者両名は、午前8時30分ころ登校途中の通学路上の原判示E村方前三叉路で最後に目撃された後、行方不明になっているが、そのころの午前8時30分過ぎに、原判示E村方前三叉路を北から南に走行してきた紺色マツダボンゴ車が目撃されている。 <br> '''4''' 被害者両名の着衣に付着していた繊維の分析の結果、その繊維は本件犯行当時被告人が使用していた車両と製造時期を同じくする、すなわち昭和57年ころから約1年半の間に製造されたマツダウェストコースト(マツダボンゴ車の最上級車)の座席シートの繊維と一致する蓋然性が極めて高い(なお、以下では、被告人車の座席シートの織布に用いられていたものと同様の織布を用いたマツダウェストコースト車について、単に「マツダウェストコースト」と略記する。)。<br> '''5''' 被害者は両名とも、扼頸により殺害された後、まずB山が、その後にA田が膣内に手指を挿入されていて、その手指を介して犯人の血液が膣内及び膣周辺部に付着している(犯人の血液が発見されるのは、この種の犯行としては特異な事情といえる。)が、そのことから、犯人は本件当時出血していたことが認められ、その血液型はB型、DNA型はMCT118型で16-26型である。なお、B山の血液型はA型、DNA型はMCT118型で18 - 25型、A田のそれはO型、23 - 27型である。<br> '''6''' 本件は、被害者両名が近隣の者らに気付かれずに拐取されているところから、被害者両名が犯人車両に抵抗することなく乗車したものと推認できるのであって、被害者両名から怪しまれない顔見知りの者の犯行である疑いが高いといえるし、犯人は犯行現場付近についての土地勘がある者と推定される。<br>  原判決は、以上のほか、以下の情況事実を認定しているが、これらは被告人を犯人と推認させるものに該当する。<br> '''7''' 被告人は、マツダウェストコーストを所有し、拐取現場の近隣に居住する者である。<br> '''8''' 被告人は、前記マツダウェストコーストを妻の勤務先への送迎に使用しており、通常の経路としては前記E村方前三叉路を通過する経路を採っていたが、当日朝も妻を送り帰路自宅に戻る途中の午前8時30分ころ、同所を通っていた蓋然性が高い。そして、そのころ、その現場付近で同種車両であるマツダボンゴ車が目撃されている。<br> '''9''' 被告人の血液型はB型で、DNA型のMCT118型が16v-v26型であり犯人のそれと符合している。<br> '''10''' そして、被告人所有の車両が買い換えのため下取りに出された同年9月に押収されたが、その車内後部座席から、尿痕及び血痕が発見され、その原因は本件以前に付着していたものとは認められず、しかも、その血痕の一部の血液型がO型、DNA型のうちのGc型がC型と判明し、A田のそれと符合していて、扼頸による窒息死の際の失禁(被害者両名のパンツとスカートに相当量の尿が付着している。)及びA田の鼻血の出血によるものとすれば、血痕、尿痕を矛盾なく説明できる。特に血痕が水洗いされるなどして薄められ座席内部にしみ込んだ状況が認められることについても矛盾なく説明が可能である。<br> '''11''' 被告人車はT田及びX田らの目撃した車両の仕様、特徴等と種々の点で符合し、特に異なる点は見当たらない。被害者両名の着衣付着繊維と被告人車の座席の繊維とを対比しても汚れなどを示す元素などを含めて特に矛盾点はなく、よく符合する。<br> '''12''' 犯人の前頭部にははげたところがあった、と述べるT田の供述の信用性も高いが、被告人は当時円形脱毛症に罹患していたことが認められる。<br> '''13''' 被告人は本件当時亀頭包皮炎に罹患していて、被告人が犯人だとすれば、犯人の血液が被害者両名から発見されているという特異な事実の説明が容易に可能になる状況がある。<br> '''14''' 本件は、被害者両名が気付かれずに拐取されているところから、顔見知りの者の犯行である疑いが高いといえるし、犯人は犯行現場付近についての土地勘がある者と認められるが、被告人は、このような条件をも充たしている。<br> '''15''' しかも、被告人には、アリバイが成立しない。<br> ====二====  原判決は、おおむね以上のような情況事実を認定した上、これらを総合することにより被告人が本件犯行の犯人であると認めるに十分であると認定しているところ、原判決挙示の関係各証拠を総合すれば、その情況事実の認定及びそれに基づく各犯罪事実の認定は、正当として是認することができ、記録を精査し、当審における事実取調べの結果を検討しても、原判決の認定、判断に誤りがあることはうかがわれない。<br> '''1''' 原判決の主要な情況事実の推論過程について説示するところについても異論を差し挟むべき点は特にない。ただ、本件犯行に使用された車両については、前記一1ないし3の事情からマツダボンゴ車である蓋然性が極めて高いのに加え、前記一4の繊維鑑定の結果がマツダウェストコーストの座席の繊維とほぼ一致すると認められる事情を併せると、マツダウェストコーストと認定するに十分というべきである。後記のとおり、繊維鑑定は、犯行使用車両の車種を特定するのに極めて重要な意味を有するものであって、これと殺害後約1時間半ないし2時間程度経過した時点における遺留品発見現場での車両の目撃状況などを併せると、そのように認定するに十分である。<br> '''2''' 被告人は、上記のとおり、マツダウェストコーストを所有する近隣の居住者である上、職に就いておらず、消防署に勤務する妻の送り迎えの通常の経路として犯行時間帯に被害者の通学路である本件拐取現場付近を通行しており、被告人車とよく似たマツダボンゴ車が、上記3のとおり目撃されており、被告人のアリバイも否定されている。したがって、被告人は、被害者が拐取されたころ、拐取現場付近をマツダウェストコーストで走行していた蓋然性が高く、被告人には犯罪事実に対する近接性が強く認められる。加えて、被害者から検出された犯人の血液型と、DNA型のうちのMCT118型が一致しているという重要な情況事実があり、被告人には出血の原因も存在していたことから、犯人の血液が被害者から発見されたことが説明できる情況がある。更に、被告人車から発見された血痕は、被害者の1人であるA田の血液型及び分解の進んでいたDNAからようやく抽出できたDNA型(Gc型)と符合し、A田が鼻血を出していたこと(死体や着衣の状態から明らかである。)とも符合する上、尿痕も発見されていて、これらは、車内における扼頸による窒息死に伴う失禁の事実を裏付けるものということができ、車内での殺害を裏付けるとともに、被告人車が犯行に使用され、その犯人が被告人であることを強く推認させる重要な情況事実である。被告人には、犯人像として考えられるところと矛盾する点はなく、他に犯人性を否定する方向に働く特段の証拠は見出せないというべきである。<br> '''3''' 以上のような諸般の情況事実を総合して、原判決は、被告人を本件犯行の犯人と認定するに十分であって、そのように認定するにつき合理的な疑いはないとしているが、その認定、判断は正当というべきである(なお、後記のとおり、拐取の犯行時刻は、同種車両の目撃状況から午前8時30分過ぎころと、殺害の時刻は、それぞれの食事終了の時間からすると午前9時30分ころまでの間と認定するのが相当であるが、もとよりその点の差異は判決に影響を及ぼすものとはいえない。)。<br> ===第2 主要な争点に関する所論について===  以下、主要な争点に関する所論にかんがみ、説明を補足し、その中で、当審の見解をも付加、補足し、被告人が犯人と認められる情況を更に明らかにすることとする。<br> ====一 犯罪の外形的事実及び死後経過時間について====  原判決が補足説明一で事案の概要として認定しているところは関係証拠に照らしおおむね正当として是認することができる。<br>  これを要約すると、次のとおりである。被害者A田A子及び同B山B子は本件当日である平成4年2月20日当時いずれも7歳で潤野小学校1年生であったが、A田は同日午前7時40分ころ出かけ、同級生のK山K子とともにB山を呼びに行き、3人で定められた通学路を通って登校し始めたが、ぐずぐずしていて遅れているのを数人の者に目撃され、同日午前8時30分ころ、原判示のE村方前の三叉路付近を行きつ戻りつしているのを農協職員D山D子により目撃されたのを最後に消息を絶った。翌日午後0時10分ころになって、拐取現場から28ないし36キロメートル(車で約35ないし約53分ほど)離れた、甘木市と嘉穂町とを通称八丁峠を超えて結ぶ国道322号線の甘木市野鳥側に位置する第5カーブ付近の斜面下に遺棄されているのを通行人が発見し、警察に通報した結果被害者両名の死体であることが判明した。死体解剖の結果、死因はいずれも扼頸による窒息死であり、A田は鼻血を出し、両名のパンツには相当多量の尿が付着し、処女膜に裂傷が、膣前壁に出血があり、血液が周囲に付着していること、B山は、会陰部に小裂創があり、処女膜と膣前壁部が損傷していて、周囲に血液が付着していること、死斑の出現状態は被害者両名とも同様であり、解剖開始時の午後10時ないし10時30分現在で死後おおむね1日ないし1日半程度が経過していることが判明した。翌22日になって遺棄現場より八丁峠の方に約3キロメートル上った第17カーブ付近の道路下斜面に被害者両名のランドセルなどの所持品及び下着、靴下のほかA田のキュロットスカートが捨てられているのが発見された。両名の胃内容物は朝食の際に摂取した物が残留しているとして特に矛盾がなく、鑑定の結果をも踏まえて、A田につき食後おおむね1、2時間後に殺害されたものと認められ、B山についても、その胃内容物の消化状況及び死斑や死後硬直の状態などでA田と差異がないことなどから、A田とほぼ同時刻に殺害されたものと認められる。<br>  所論は、A田が殺害されたのは、胃内に野菜片が含まれていることから、朝食後更に野菜片を含む食物を摂取した後に殺害されたと認めるべきであるから、殺害時刻はかなり遅くなるはずであり、その内容物は、朝食のそれであるとともに、行方不明となった後に摂取された野菜片を含んだ食物が加わったものと考えられるとする趣旨の主張をする。しかし、原判示のとおり、関係証拠によれば、野菜片は前夜食べた焼きそばに含まれる物が消化されないで残ったものとして矛盾がないこと、せき止めのシロップと思われるものが検出されていること、後に野菜片が含まれる食物を摂取しているとすれば、朝食べた物は消化が更に進んでいなければならず、結局後に食べた物が残存していることになるのであって、所論のいうような朝食の消化状態(摂取後1、2時間後)とは異なる状態にならざるを得なくなることからすれば、所論のようにいえないことが明らかである。<br>  次に、所論は、B山の胃内容からは、死亡時期を明らかにすることはできず、また、A田が先に殺害され、相当後にB山が殺害されたとしても不自然ではないから、B山の死亡時間に関する原判決の認定も誤りであると主張する。しかし、B山が朝食に摂取したイチゴとミルク入りカステラロールの消化状況、とりわけカステラ部分の消化が早く進むこと、胆汁が胆のう内に滞留している状態にあったこと(胃を通過した食物が十二指腸に至ると胆汁が排出されることから、胆汁が胆のう内に滞留していることは、食物がいまだ胃内にとどまっていたことを示していることになり、食事後それほど経過していないことになる。)からすれば、その状況が食事後1、2時間として矛盾がないばかりか、死斑の発生状況や死後硬直状況などがA田と変わりないものと認められること、両名がパンツを着用したまま失禁している状態から、先に殺害行為がされ、その後にいたずらがされていて、いたずらの順序は原判示のとおり先にB山に、後にA田にされていること(被害者両名の膣内部及び膣周辺部の血液反応等から明らかである。この点は後に触れる。)からしても、ほぼ同じ時間ころに殺害されたことを認定するに十分である。そして、A田の食事を終える時間や胃内容物の消化状況などを総合すると、被害者両名の殺害は誘拐されてから午前9時30分前後ころまでの間に行われたものと認めるのが相当である。<br> ====二 T田証言の信用性について====  T田の証言要旨は、原判示のとおりであり、同証言の重要性にかんがみ当審においても弁護人の請求により再度尋問をしたが、その内容に特に異なる点は認められず、原審において供述経過の証拠として取り調べられている供述調書に照らしても、その内容に実質的な変遷はないことが認められる。その証言内容はおおむね次のとおりである。<br>  すなわち、T田は、甘木市森林組合の職員として甘木市内の同事務所に勤務し、本件当日である2月20日は、国道322号線の八丁峠の手前を東に入った大休の山林の状況の検査、写真撮影に赴き、その仕事を終えて午前11時ころ出発し、カーブの多い山道の上記国道に出てしばらく進んだところの左カーブ(第17カーブより約50メートル下方)の向かって右側の路肩に、一台の車が停止しているのを前方約60メートルの地点に発見した。厳冬期であり車の通行が稀である上に、通常はそのような場所に停止する車両はないことから、不審に思ってその車両を見ると、紺色のワンボックスカーであり、後輪が小さくダブルタイヤになっていて、古い型のものであり、車輪のところに黒ずんだ輪のようなものが見えた。助手席の傍らに男が立っていて、カッターシャツにチョッキの軽装であり、目が合うのを避けるようにし、つまずいて前のめりに手をつくような状態になったが、その際前頭部付近がはげたようになっているのが見えた。今ごろ何だろうと思いながら通過し、振り返ると、リアウィンドーやサイドウィンドーは暗く、中が見えない状態であったから後部の窓にはフィルムが張られているように見えた。つんのめった男は、車の左側後部座席付近に道路に背を向けるようにして立っていた。不審に思いながら事務所に戻ったが、戻る途中、山道では他の車両に遭わなかった。翌日夕方、事務所で勤務中に、2人の女児の死体が八丁峠に通ずる国道の下の方で発見されたとの報道を聞いて、昨日のことを思い出し、紺色のワンボックスカーやその傍らの男のことを同僚のJに話したが、その際は死体の発見場所が違っていることから事件とは関係ないものということになり、翌日にも再び話題になったが、やはり関係がないだろうということになり警察等に知らせることなくそのままにしていた。3月2日になって、警察官の聞き込みを受けその話をしたところ、その場所に案内するように言われ、3月4日警察官とともに車でその場所に行った。最初にこの場所ではないかと分かったが、間違えているかもしれないので、2、3回行きつ戻りつし、雑木林の様子やカーブ、ガードレールの状態、手前の右側には小高い場所があったことなどからその場所に間違いないものと判断し、その場所を指示した。その指示をするまでに、ランドセルなどの遺留品発見現場がその場所であることは警察官らからも一切聞かされておらず、その指示をした後になって初めてそのことを聞いた。おおむね以上のとおりである。<br>  そうすると、T田が、本件当日の2月20日午前11時10分ころ、原判示の場所で、紺色ワンボックスカーで後輪がダブルタイヤで、窓にフィルムが貼ってあり中が見えないようになっている古い型の車両が駐車しており、かつ、頭部にはげた部位があり冬季にしては軽装の男がその傍らにいたのを見かけたことは、間違いないものと認められる。しかも、T田は、その後押収された車両を空港の警察航空隊で実際に見ているが、同一の型であることを確認していて、実際に見た物と押収されている被告人車との間に違いのないことを供述しているが、この点についての信用性に疑いを抱かせるような状況も見出せない。<br>  所論は、T田証言は瞬時の目撃証言としては詳細に過ぎ、その内容には、体験していない情報に基づく部分が相当多く含まれているとしてその信用性を争うが、当審における同証人の再尋問を含む事実取調べの結果を検討しても、原判決が同証言にその認める限度で信用性を認めていることに少なくとも誤りがあるとは考えられない。すなわち、(1)同証人は、森林組合に勤務し、目撃現場付近の山中については、季節を問わず仕事で通行していて、詳細な知識、経験を有している者であるが、本件犯行時の冬季に遺留品発見現場付近の八丁峠に向かう国道を通行する車両は珍しく、しかも、その通行の安全に支障となるようなカーブ付近に停車していた車両に不審の念を抱き、運転しながらも強い関心と注意をもって車の状態を目撃したこと、(2)日ごろから雑誌等で車の仕様についても関心を抱いていて大まかな知識を得ていたため、車種や形状、仕様などについての観察も詳細となり、これを記憶にとどめることができたこと、 (3)そばに立っていた者がつんのめるように手をついて倒れ、目が合うのを避けるようにしていたので不審の念を更に強めていることから、その状況を記憶にとどめやすい状況が生じていること、(4)翌日夕方、死体発見をラジオ報道で知り、同僚のJらにその際の様子を話したが、不審車両を目撃したのは死体発見現場より上方であったことから、関係はないだろうということになり、その翌日に再び話題になった際も同様であったが、それにより当時の状況を思い返し記憶を新たにしていることなどの事情が認められるのであって、これらの事情に照らすと、証言に現れた程度の内容を観察し記憶にとどめ続けることは十分可能であると認められる。年齢、着衣の色、背の高さなど比較的一般的な事項についての記憶には正確性が欠けることが考えられるが、通常とは異なる特殊な事象については、そのようにいえないこともよく経験するところである。また、累次の供述にもかかわらず、その内容は当初から基本的に変わらないこと、被告人を目撃したかどうかについては面通しを受けても同一性を識別できない旨供述し、目撃した人物の年齢を若く供述するなど、被告人が犯人であるとすれば異なることになるような内容を含めて供述していることなどからしても、T田が記憶に従い誇張もなく供述していることに疑いを差し挟む余地はないと認められる。特に、目撃した車両の車種や形状、色、紺色のダブルタイヤのワンボックスカーという基本的な要素については、証人の車に対する日ごろからのある程度の関心や知識経験からして間違えようのないところと考えられ、その時点では、本件の犯行に使用された車両がいかなるものかは捜査機関自体においても全く把握していなかったと認められるのであって、捜査機関は、T田のそのような供述により、初めて犯行車両がT田の目撃したものである疑いを強め、それにより犯人車両につき紺色のマツダボンゴ車である可能性があるとして絞りをかけることが可能になったものというべきであり(なお、当時の新聞には犯人車は白色の乗用車ではないかとする記事が掲載されている。)、K1警察官がT田の聞き込みに赴いた経緯として供述するところも自然に理解できるものである。捜査機関が犯人の可能性のある人物の一人として被告人を把握していたとしても、この段階では、T田に何らかの示唆、暗示を与え、その供述内容を左右してまで、犯人像を被告人と一致させる必要があったとの事情はうかがわれない。原判決は、この点につき抑制的かつ慎重に判断を示しているのであって、その結論は、大筋において是認することができる。<br>  以上の認定、判断は、当審において取り調べたT田証人の再尋問の結果や、目撃実験の結果を記載した鑑定書(嚴島鑑定)及びその作成者である当審証人嚴島行雄の証言を検討しても左右されない。なお、嚴島鑑定は、厳冬期とは異なり車の往来の激しい4月の桜開花時に行われており、停車車両に不審を抱かせるような厳冬期の目撃状況とはそもそも全く条件が異なること、目撃された車両がダブルタイヤを装着した車両で前輪と後輪の大きさが異なるとされているにもかかわらず、通常の車輪の奥にもう1個の同じ大きさの車輪を重ね合わせるなどしていてタイヤの違いに気付くことが困難な状態で実験をしていることなどからすれば、その結果は到底採用できないものといわなければならない。特に、実験時には対向してきてすれ違う通行車両が平均して約30秒に1台の割合で存在したことが認められる以上、対向車との安全に注意を向けることが必要になり、途中で停車している車両についての注意、関心が弱まるばかりか、他の車両についての類似記憶が入り込むことになって、道路脇にたまたま停止している車両の細部についての記憶を保持しにくくなることなどを考えると、観察及び記憶の条件、状況は、T田のそれとは明らかに異なるものといわざるを得ない。<br>  目撃時間及び目撃場所の正確性について見るに、目撃時間については、当日の森林組合の業務の過程で目撃しており、業務日誌のグリーンダイヤリーの裏付けもあること、場所については、約12日後に警察官とともに現地を走行し、行ったり来たりしながら場所の特定をしており、その間に警察官から示唆を受けたりした形跡はないこと、森林組合職員として山道や山道での運転に慣れており、その場所的な判断には通常人よりも高い信用性を認めることができるといえることなどに照らし、正確性を認めることができる。その場所は、まさにランドセルなどの遺留品が発見された斜面の上の道路であって、本件犯行とそれに用いられた自動車や犯人の特定に結びつくものといえる。行ったり来たりしながら場所の特定をした経緯については、その証言内容からしても、特定に至る心理過程を十分確認、了解できるものとなっているのであって、所論のいうように信用性に乏しいものとは考えられない。<br>  所論は、T田証言には警察官の誘導が相当程度入っているのではないかという疑問を呈するが、犯人の年齢等についての供述内容が被告人の実際の年齢等と異なること、面通しでも被告人を犯人と特定できていないこと、K1証言によれば、最初森林組合に聞き込みに行ったK1警察官は、現場付近である大休の作業現場の作業員からT田のことを聞いて、森林組合事務所にT田を訪ねたところ、T田が紺色のボンゴ車と不審な行動をした男を見ていることを初めて知ったことが明らかであること、また、J証言によれば、T田の供述内容は、既に事件の翌日にJらが聞いていたものと同じであることが明らかであることなどの事情にかんがみると、T田の証言のうち少なくとも当初の供述調書に現れている部分が、警察官の誘導により得られたものであることはうかがわれない。頭部にはげた部分があったという点も、手をついて倒れた際に自然に目に入ったもので、特異な出来事として記憶しているものといえるから、信用性を認めることができる。<br>  そして、前記のとおりの死亡推定時刻に照らすと、犯人は、国道322号線の通称八丁峠第5カーブで、午前11時ころ、被害者両名の死体を見とがめられないように急いで遺棄した後に、被害者らの所持品を捨てているとその間に見とがめられる危険が大きいと考えて、その場から去り峠の方に進んでからランドセルなどの所持品を捨てたが、その際に、かえって運悪くT田に目撃されたという蓋然性が高いというべきである。そして、原判示のとおり、当時製造され使用されていた各種ワンボックスカーの色や仕様に関する証拠に照らせば、T田の目撃した車両がマツダのボンゴ車に限られることが認められ、そのことは車に多少とも関心のある者が調べればすぐ明らかになる程度の事項でもあるから、T田証人が、他社のワンボックスカーとは異なるマツダのボンゴ車であると供述するのも、その趣旨で理解できるというべきである。<br> ====三 拐取現場付近の目撃証言(W田証言、X田証言)の信用性について====  これらの者は、誘拐現場付近でその時刻ころ犯人車に類似した車両を目撃した証人であるところ、両名は、少なくとも、小学校の方向に走り去った車両が紺色系統ないし黒っぽい色のワンボックスカーであること、W田は、さらに、これがダブルタイヤ仕様のものであることや、フィルムが貼ってあって中がよく見えない状態になっていたことを供述している。なお、W田の現認位置からすれば、W田からは車両の窓の状況がよく見えること、犯人車がガードレールの終端よりも先まで進行すれば、同車のダブルタイヤ装着状況も良好に現認できることが認められる。<br>  W田及びX田が拐取現場付近で目撃した車両に関する供述内容については、十分な信用性が認められるというべきである。確かに、両名は本件被害発生後間もなくの時点で、当日の状況について警察官から尋ねられており、当初は、被害者両名を見かけたかどうかを聞かれて見かけなかった旨答えていたが、数か月後になって、通りかかった車両について聞かれたことから、紺色のボンゴ車が走りすぎるのを見た状況を克明に供述するに至ったものであることは、所論の指摘するとおりである。しかし、見かけた車についての供述時期がそのように遅れたことについては、それなりに了解可能な理由が見出されるのであって、直ちに、所論のいうようにそれが警察官の誘導によるものとの疑いがあるともいえない。殊に、両名は、被害者らが失踪したころ、その近辺に居合わせた者として事情を聞かれており、目撃者自身が疑いの目で見られかねない状況もなかったとはいえず、それだけに、その事件との関係を念頭にその場所における体験を繰り返し想起していることが考えられるから、それが、記憶を保持させる重要な要因となっているといえる。そして、いずれの供述者も、当日の業務の経過の中で生じたこととして、その状況を記憶しているばかりか、特にX田は、目撃したその車両に接触されそうになったという強い心理的緊張、強烈な体験を伴った記憶として、その車両についての具体的な記憶を保持していることが認められる。また、W田は、車のことについての知識が特に豊富であって、車両の特徴などからその車種を識別することには人一倍たけていることが認められ、しかも、X田から、「今、ひかれそうになった。」と訴えられてその車両が疾走していくのを30メートル程度前方に見たというのであるから、大まかな特徴を記憶にとどめているのは決して不自然ではない。ただ、警察官により車について聴取されるまでに相当の期間が経過していたばかりか、その後協力しようとして考えるうちに、細部についてはあいまいな記憶にとどまるのに細部まで明らかになってきたかのような錯覚を生じている疑いがないとはいえず、当審で供述経過を立証する趣旨で取り調べた捜査段階の供述調書に照らしても、カーテンなどの細部についての公判供述にまで高度の信用性を認めることにはちゅうちょせざるを得ないが、その供述態度や供述内容に照らし、少なくとも車種の特定に至る程度の供述内容の限度では信用性を認めるに十分である。 <br>  しかも、W田が供述する目撃時刻についても、業務の過程における事情をもとに特定している上、交通の妨げとならないようにX田運転車両を移動させる必要があったこととも結びついた記憶として、それぞれの時間の特定がかなり明確にできる状況にあったものと認められるから、正確性が高いというべきであり、また、被害者両名の目撃状況に関するD山を始め農協職員、学校関係者らの供述内容の信用性に疑問はなく、これらを併せると、被害者が午前8時30分かその直後ころ、E村方前三叉路付近でW田らの目撃車両により誘拐された蓋然性が高いというべきである。なお、D山証言の信用性については原判決説示のとおりである。<br> ====四 繊維鑑定について====  被害者両名の着衣に座席シートの繊維が付着しており、それがマツダウェストコーストのそれと符合していることについては、おおむね原判決が詳細に認定しているとおりである。B山は、スカートやトレーナーの新品を当日の朝包装されていた袋から取出して初めて着用していたこと、A田もよく洗濯されたものを着用していること、両名は徒歩で登校中のところを拐取され、その後数時間のうちに殺害、遺棄されていることからして、これらの衣類に付着した繊維には犯人車両の座席シートに由来するものが多いと推定されるところ、関係証拠によれば、付着繊維には、マツダウェストコーストの座席の模様を構成する繊維の色である焦げ茶、黄茶、だいだい、薄黄茶の各色繊維が多数付着していることが認められ、しかも、各色の付着繊維の数もそれぞれの色の座席に占める色の広さの順に存在していることが認められるのであって、これだけでも特異な事実というべきである。のみならず、その付着繊維は、マツダウェストコーストの座席の原糸である東レの製造に係るナイロン6のステープル糸と一致し(つや消し剤として加えられている二酸化チタンの含有量などについても、矛盾のない結果が得られている。)、しかも、この原糸の染色に使用された4種の染料のうち、2種の染料(イソランイェローK-RLS、ラナシンブラックBRL)に関する詳細な含有分析結果が、焦げ茶色と黄茶色の繊維につきおおよその配合比も含めて相互に一致し、黄茶色の繊維については染色等の過程で使用されたものと推定される物質の存在を示すラマンバンド1120カイザー付近の特異点が(原判決は、焦げ茶色のものにもこれが認められるとしているが、この点は正しくない。)が検出されていること、そのうちの1本の付着繊維は、前記B山の新調のスカートから発見されていることなど、付着繊維がマツダウェストコーストの座席シートに符合する結果が出ていることが認められ、これらの点については原判決が詳細に認定しているとおりである。そして、座席シートについては、自動車メーカーで独自にデザインし、これに基づき織布を作る会社(本件では住江株式会社)が染色会社(本件では茶久染色株式会社)に染色の注文を出し、その色の調整は染色会社が独自の方法でその都度、染料の選択、配合比、添加物などを決めて行うもので、これらの点については性質上個別性、独自性が高いものであること、そもそも、座席のデザイン色調などはその都度車種ごとに検討し、配合比率などを適宜、独自に定めているのであって、それぞれの染料の選択、配合比等には個性が顕著に認められることを考慮に入れると、マツダウェストコーストの座席シートの繊維と着衣付着の繊維とは極めて類似しほぼ一致するものと認めることができる。原判決が、他のメーカーが製造した自動車や被告人車とは製造時期を異にし、異なる織布を座席シートに用いたマツダウェストコースト車の中に、その座席シートの原糸材質が東レのナイロン6であり、イソランイェローK-RLS、ラナシンブラックBRLという特定の染料が同じ配合比で使用されている可能性はほとんどないとはいえても全くないとまで認定することのできる証拠は存せず、それだけでは付着繊維がマツダスウェストコーストに由来するものとは断定できない旨を判示しているのも、その趣旨のものにほかならない。しかし、付着繊維に関する鑑定等の結果は、T田、W田、X田の各目撃供述を補強するものであり、目撃された車両がマツダボンゴ車と認められることと併せると、本件の犯人車がマツダボンゴ車以外の車種であるとの現実的な可能性は認め難く、しかも、座席シートやこれに用いられている繊維の特徴からすると、犯人車はマツダボンゴ車の中でも最も上のグレードであるウエストコースト車に属するものであり、関係証拠を総合すると昭和57年から約1年半の間に製造されたものと認めるに十分である。以上と異なる所論は関係証拠に照らし採用できない。<br>  以上の事実のほか、関係証拠により認められる原判決の補足説明「一 事案の概要」の項に掲げる事実を総合すれば、犯人が、原判示の犯罪事実のとおり被害者両名を誘拐し、殺害しその死体を遺棄した事実を優に認定することができる。以下、犯人が被告人であるとする原判決の認定の当否について検討する。<br> ====五 被告人の車両保有事実並びに当日の行動及びアリバイについて====  被告人は、マツダボンゴ車の最上級車であるマツダウェストコーストを保有していたところ、犯行現場の近辺ないし飯塚市内及びその付近でこれを保有する者は十数台と極めて限られていることが関係証拠により明らかである。したがって、被告人は、その保有者の1人として犯人としての嫌疑が及ぶことは避けられない(なお、当日運行に供されていたと認められるマツダウェストコーストの保有者ないし判明している運転者の血液型、DNA型(MCT118型)で、犯人のそれと一致する者は被告人のみと認められるところ、この点は、もとより被告人が犯人であることを認めるべき証拠とはならないが、被告人の犯人性を高める方向には働くものということができる。)。<br>  のみならず、被告人は、本件当時、毎朝出勤する妻を勤務先の消防署まで送り届けて帰宅することを続けていたが、被告人及びその妻の供述によると、そのコースはほとんど本件拐取現場付近のE村方前三叉路を経由するものであったことが認められる。その時間についても、通常午前8時過ぎころ自宅を出て、午前8時15分ころ消防署に到着し、すぐ折り返して午前8時30分ころ帰宅するというものであり、通常は復路E村方前の三叉路を通過する時刻がおおむね午前8時28分ころであったことが関係証拠により認められる。したがって、本件当日被告人がその経路を通っているとすれば、その時刻ころ犯行現場付近を通過することになるものと認められる。犯行時刻は午前8時30分かその直後であると認められるから、被告人が犯人とすればいつもよりやや遅れて通過することになるが、同種同型の車がその前に通過したことをうかがわせる状況はD山、W田らの供述を検討する限り見出せないし、被告人が現場付近を通常通過する時刻に通過していたとすれば、被害児童2名を見かけているはずであると考えられる。他方、犯人であるとすれば、遅刻する被害児童の姿を見てしばらくためらうなどしていたことも考えられるから、多少の遅れはむしろ自然に理解することができる。<br>  ところで、被告人は、当日の朝の行動について、妻を送り届けた後は、そのまま母親の家に行っており、引き続きパチンコ店でパチンコをしていたのであって、犯行時間帯に現場付近を通行した事実はなく、もとより被害児童の姿も見ていないとして、アリバイの主張をしている。<br>  しかし、関係証拠によると、本件については、被告人は、遅くとも翌日の朝には、町内放送で捜索への参加を呼びかける知らせを聞き、知っていたのであり、また、現場付近では当然ながら同じ時間帯に検問等の態勢がとられるなど本件発生に伴った動きが生じていたものと認められ、遅くとも、翌日には、まさに被告人の通行する場所でその通行する時間帯に誘拐事件が発生していることを知ったことが認められるから、前日の自分の行動がどうであったか否応なく思い返さざるを得ない心理状態にあったものと認めざるを得ない。仮に、その時点で本件発生の詳細な状況までは知らなかったとしても、数日後警察官からの聞き込みを受けた時点では、本件の内容を詳しく知ったことが明らかであるから、この点は同様に解される。また、被告人の居住区域では以前にも女児の行方不明事件(昭和63年12月愛子ちゃん事件)が発生し、被告人は町内会長としてその捜査に協力しているが、最後の目撃者として自分自身も強く疑われかねない事情もあったことがうかがわれるから、被告人としては、本件の発生に無頓着でいられるはずはなく、本件の発生状況を知った際、直ちに犯行時刻ころの自分の行動につき確かめ、その主張するようなアリバイに当たる事実があれば、これで自分は疑われなくて済む、という安堵を伴う強烈な印象をもってその事実を再確認し、脳裏に焼き付けることになったはずであり、当日朝現場付近を通行していたならば、その際の状況、経路等につき想起してその後の行動を含めて明確かつ事細かに記憶にとどめたはずであって、その後も折に触れ反すうし、詳細な記憶となるというのが、被告人の心理状態に合致するものといえる。<br>  これに対し、被告人は、その後いろいろと思い返しているうちに、母親の自宅に米を持って行っており、アリバイがあることに気付いた、と供述しているのであるから、その想起の過程について供述するところは不自然というほかはないものである。妻を勤務先に送り届けた後、母親宅に米を届けるまでの間に一旦帰宅したのか否かという点に関し、供述に変遷も見られるし、被告人は、捜査段階において、当初は、事件の前日に米を購入した事実を根拠にその翌日である事件当日には母親のもとに米を届けた旨のアリバイを主張していたことがうかがわれるが、事件前日には米を購入した事実が認められないことを指摘されて、これを撤回し、毎月このころ米を届けており、妻子を通院先に送り届けた日などを根拠にして判断した結果、事件当日に母親のもとに米を届けていることに変わりはない旨アリバイ主張の根拠を変更しているのも不自然である。以上によれば、アリバイの主張は信用できないものといわざるを得ない。したがって、被告人は当日の行動につき十分な記憶を有しているにもかかわらず、信用できないアリバイ主張をしていることになる。<br>  そうすると、被告人は本件当日も通常の経路で本件誘拐現場付近を通行していた蓋然性が極めて高く、したがって、X田及びW田に目撃されたマツダボンゴ車は、被告人車である蓋然性が極めて高いというべきである。<br> ====六 被害者から発見された犯人の血液成分に関する鑑定について(石山鑑定を含む)==== '''1''' B山の膣から流出し木の枝に付着したと認められる血痕、B山の膣周辺付着物及び膣内容物、A田の膣周辺付着物及び膣内容物の検査、鑑定結果によれば、A田、B山由来の血液型、DNA型以外の犯人に由来するものと考えられる血液型はB型であり、DNA型はMCT118型につき16-26型(123塩基ラダーマーカーによる判定)であり、被告人のそれと同型であることが認められる。<br> '''2''' まず、血液型についての科警研の検査結果が正当であることについては、疑問の余地がない。所論は、犯人はAB型の可能性があるというが、クロロホルムメタノール法により血液成分のみをほぼ純粋に取り出して行った検査結果では、B山膣周辺付着物及びB山膣内容物についての検査結果から明らかなように、B山の血液型であるA型より被害者に由来しない血液型成分であるB型の方が強く出ていることが認められ、A田の膣周辺付着物、A田の膣内容物についての検査結果から、A田の血液型であるO型と被害者に由来しないB型が同程度出ているのに、B山の血液型であるA型がわずかしか出ていないことが認められる。しかし、犯人の血液型がAB型であったとすれば、A型とB型の反応が同程度に出るはずであり、上記いずれの検査結果とも合致しない。したがって、被害者らに由来しない血液型、すなわち、犯人のものと思料される血液型はB型であることが明らかである。<br> '''3''' 次に、MCT118型のDNA鑑定結果が一定の条件の下で証拠能力を有することについては最高裁判所の判例(平成12年7月17日第二小法廷決定・刑集54巻6号550頁)のとおりであり、本件で問題となっている他のDNA型識別方法についても同様に解されるところ、本件の各鑑定結果については、いずれもその要件を充たしているものと認められる。<br>  まず、犯人のDNA型のうち、MCT118型については、科警研による検査結果が123塩基ラダーマーカーを用いた当時の基準により16-26型と判別していることの信用性は十分であり、その理由は原判決が判示しているとおりである。すなわち、123塩基ラダーマーカーを用いて判別された16-26型は、アレリックラダーマーカーを用いた場合では、18-30型に対応するとされているが、18-29型、18-31型に対応する場合もあり得るとされているようであり、当時の方法によれば、それが16-26型として表示されることになる原因も一応明らかにされている(分子量に従った泳動がゲルの性質等によりある程度阻害される(遅くなる)ことによる現象として理解されている。)。したがって、当時の方法ではアレリックラダーマーカーによれば更に細分化されて型判別されるものを近似的にまとめて表示している可能性も否定できないが、仮にそうであったとしても、絞り込みの際の識別方法としては十分意味のあるものであって、この点については疑問の余地はない。したがって、123塩基ラダーマーカーを用いて判別したその型が16-26型であることは犯人特定の情況証拠として重要な意味を持つことに変わりはない。<br> '''4''' 所論は、本件で採用された科警研の123塩基ラダーマーカーによるMCT118型検査法による型判定は、MCT118型検査の原理である塩基列の繰り返しを正確に反映しないものであって、単に移動度という現象を示すものであり、原理的な裏付けのないいわば幻の型を型として判定しているにすぎず、隣の型との識別も正しく行われないものとなっているという趣旨に解される主張をしている。確かに、123塩基ラダーマーカーを使用しポリアクリルアミドゲル中を泳動させた場合には、塩基列の実際の繰り返し数よりも少ない数値しか得られないことが判明しているのであって、その繰り返し回数を正確に示すアレリックラダーマーカーによる方が検査方法として優れていることは所論の指摘するとおりと認められる。しかし、塩基列の繰り返し数が同じであれば、同一条件の下でほぼ同一の泳動状態を現出するということが判明しており、123塩基ラダーマーカーを用いた科警研の型判定はそれを識別の基準としていること、そして、その識別により同一性の判断が可能であること、現象を見ているにすぎない以上一つ違いのものとの識別に困難を生ずる場合があることは否定できないが、識別が明確にできているものについては、その現象自体が、ある特定の塩基列の繰り返し回数に正確に対応しているといえるのであって、識別方法としての意味が十分にあるものということができる。原理どおりの繰り返し回数がなぜ正確に反映されず、少なく出るかについても前述のように一応の原因が挙げられているが、その解明が十分とはいえないからといって、検査結果の正確性が減少する場合があるとはいえ、識別方法として科学的な根拠を欠くということになるものではないし、それが一致することをもって確率的な絞り込みの資料とすることを妨げるものではない。留意すべきは、それをもって塩基列の繰り返し回数を忠実に反映したものと考えないことであり、本件でいえば、123塩基ラダーマーカーを用いて判別された16-26型は、アレリックラダーマーカーを用いた場合には、18-30型ばかりではなく、18-29型、18-31型に判別される可能性もある(なお、123塩基ラダーマーカーを用いて判別された16型がアレリックラダーマーカーを用いて判別された18型のみに対応することは本件で提出されている文献等からも明らかである。)ことを念頭に置き、出現率を考える必要があるということがいえるにすぎない。その証明力は、将来はともかく現状では、123塩基ラダーマーカーによる判定もアレリックラダーマーカーによる判定も(アレリックラダーマーカーを用いて同じ型と判定されたものでも、塩基組成には違いの見られる場合がある。)、あくまでも類型的なDNAの型判定にすぎず、科学の進歩により将来は更に細分化され、指紋に近い精度になることも考えられるが、現時点では到底そのような高い精度のものではなく、同一とされていても詳しく見ていけば別のものであるという場合もあり得ることは当然であり、したがって、血液型判定と原理的には変わらないシステムであることは改めていうまでもない。しかしながら、そのような前提のもとで検討しても、被害者両名及び遺棄現場の木の枝付着資料から発見された血痕等に含まれ、123塩基ラダーマーカーを用いて16型と判別されるDNAの塩基数の現象上の計測値(デンシトグラムによる。)は398.2から401.1の範囲に入っており、同じく26型とされるものの計測値は561.6から565.7の範囲に入っているのに対し、被告人のそれの現象上の計測値は、16型とされるものについては399.2と400.0、26型とされるものについては563.7と564.9であり、資料(犯人)の数値と被告人の数値との差は最大でも3.3にとどまる(なお、資料の16型の平均値は399.7、26型の平均値は564.0であり、被告人のそれは399.6と564.3であるから、平均値ではほとんど変わらず、その差は0.3以内にすぎない。)ところ、繰り返し回数が1回異なれば原理上はプラスマイナス16、現象としてはそれよりやや低いプラスマイナス13ないし15程度の数値の差が生ずることになることから判断すれば、両者のMCT118型についての型(塩基列の繰り返し回数。すなわち、アレリックラダーマーカーを用いた場合に判別される型)が同一であることは、測定誤差を考慮しても明白であるといわなければならない。したがって、アレリックラダーマーカーを使用して型判定を行っていたとしても等しい結果が出ていたと認められる。<br>  そうしてみると、被告人及び本件資料(犯人)のDNA型(MCT118型)は、同じ型であり、アレリックラダーマーカーを用いて判別した場合には、18-29型か18-30型か18-31型かのいずれかの型に一致するといえる以上、そのどれに当たるかが明確になっていないとしても、塩基列の繰り返し回数を基準とするDNA型としては同一であるということができる。<br>  なお、123塩基ラダーマーカーを用いた場合の16-26型の出現率は、原審弁13号証によると、0.1572(16型の出現率)×0.1052(26型の出現率)×2=0.033程度で、約30人に1人、これにB型の出現率0.22を乗ずると、約0.0073となり約130人に1人の出現率になる。次に、アレリックラダーマーカーを用いて判別したMCT118型の出現頻度の方が123塩基ラダーマーカーを用いたそれよりも検査資料数が多く、出現頻度としての信頼性が高いと思料されるので、123塩基ラダーマーカーを用いて判別した16-26型について、アレリックラダーマーカーを用いた場合に判別されたであろう型に置き換えて、その出現率の算定を試みることにする。なお、前記のとおり、123塩基ラダーマーカーを用いて判別された16-26型は、アレリックラダーマーカーを用いて判別した場合には、18-29型、18-30型、もしくは18-31型かのいずれかの型を示すから、出現頻度の算出に当たっては、これら3つの型のうち、弁13号証によれば、最も出現頻度の高いと認められる18-30型について検討することで足りる。そうすると、上記18-30型の出現率は、0.1447(18型の出現率)×0.1484(30型の出現率)×2=0.043であり、約23人に1人となり、これに、前記0.22を乗ずると約100人余りに1人となるのであって、123塩基ラダーマーカーを用いて型判別をした場合の出現率とさほど変わりはない数値になる。いずれにしても、被害者から発見された血液成分に関する上記のような鑑定の結果に、犯行に使用された同種の車両を保有する近隣の者という絞り込みと併せると、これだけでも被告人が犯人である蓋然性は極めて高いといわざるを得ない。しかも、近隣の者で、同様に同種車両を保有する者につき、血液型、DNA型を調査したが該当者はなかった、という捜査結果には保有者の家族や偶然の使用者は含まれていないことを考慮しても、その捜査結果による絞り込みも更に加わることは否定できないから、その蓋然性は更に補強されるものといわなければならない。<br> '''5''' 次に、犯人のDNA型のうちHLADQα型についての科警研の鑑定結果(1.3-3型)を採用しなかった原判決の結論も正当である。すなわち、犯人のそれが1.3-3型(被告人のそれもこれと同じである。)である可能性があるとはいえ、(1)HLADQα型の特定には、本件当時においてはMCT118型の検出に必要とされるものよりも相当多くのDNA量が必要とされていたことが認められること、(2)資料中には被害者の血液成分よりも犯人の血液成分の方がより多く含まれていたとしても、血液成分以外については、犯人よりも被害者のものが多量に含まれており、型判別に用いられるDNAの総量としては、犯人のものよりも被害者のものの方が優勢である場合も当然に予想されること(すなわち、血液型検査で強く反応を示すのは赤血球であるが、赤血球は核を持たず、したがってDNAも持たないから、資料中の赤血球数の多少はDNA型の判別に際して得られる反応の強弱に影響せず、血液成分中では白血球細胞の核内にあるDNAのみが型判別に用いられることになる。ところで、本件で鑑定に用いられた血痕などのように、血液成分のみならず、膣液などの体液をも含んでいると思料される混合資料の場合には、その体液に混入している一般細胞等の核内にあるDNAも型判定に用いられることになるのであるから、当該資料中の血液成分については犯人のものの方が被害者のものよりも相対的に多く含まれ、その結果犯人の血液型が被害者の血液型よりも強く検出される場合であっても、DNA総量としては、被害者のものの方が犯人のものよりも多く含まれる場合のあることは十分考えられるのである。)、(3)当時の検査キットでは、1.1型に対する感度よりも1.3型に対する感度の方が鈍く、そのためにA田の膣周辺付着物及び膣内容物からは1.3型の検出ができなかった可能性があること(u証言)などを総合して考察すると、犯人のHLADQα型がB山の膣周辺付着物、膣内容物から検出されているといえるかどうかについては、v証言にもかかわらず、なお、疑問が残るというべきである。ただ、この結果は、犯人の型が1.3-3型としても矛盾しないという意味を有するものと理解するのが相当である。<br>  所論は、犯人は1.3型を持たない者ではないかという合理的な疑いを否定できないと主張する。確かに、MCT118型では、A田の膣周辺付着物からは犯人とA田のDNA型がほぼ同様の強さで検出されているように見えるが、膣内容物の方からは犯人のそれはやっと検出されるという状態にあることが認められるところからすると、HLADQα型について、A田の膣周辺付着物や膣内容物からは、A田の型である1.1型のみが検出され、被告人の型である1.3型が検出されていないからといって、直ちに被告人が犯人でないとの疑いを生じさせるものとはいえないばかりか、1.3型が検出されないことについては、上記(3)のように、改良前の当時の検査キットでは、1.3型に対する感度が低く、発色しにくかったためにA田の膣周辺付着物からも検出されなかったものと理解することもできるし、他にもいろいろな原因のあり得るところと考えられる。なお、犯人のHLADQα型がA田と同じものではないかとの疑いは、クロロホルムメタノール法による血液型の検査結果からも明らかなように、犯人の血液は、A田のものよりもB山のものの方に多量に含まれているのに、B山のものから1.1型が検出されていないことや、前記のように1.3型の方が1.1型よりもHLADQα型の検査キットの感度が鈍かったとされていることなどからすれば、これを否定することができるというべきである。いずれにしても、HLADQα型が検出できるだけの犯人由来のDNA量が得られなかったために、これが検出ができなかったにすぎないことが考えられるのであって、所論のように犯人が1.3-3型を持たない者であるとの合理的な疑いを抱かせるものとはいえないから、所論は採用できない。 <br> '''6''' 他方、石山鑑定において被告人のDNA型を発見できなかったとする結論が、犯人が被告人ではないとする合理的な疑いを生ずるものかどうかについて検討する。<br> '''(1) ''' まず、HLADQβ型の結果については、B山、A田に由来する者以外の者の型を検出しているものとは認め難く、石山鑑定に用いられた各資料は、科警研の鑑定後の残量であって鑑定に供しうる資料が微量であった上、相対的には被害者のDNAよりも犯人のそれが少ないために、各被害者本人の分(A田から採取されたものからはA田の、B山から採取されたものからはB山の分)のみが検出されている可能性があるものと認められる(HLADQα型についての科警研のA田の膣周辺付着物及び膣内容物の鑑定結果参照。これらのものからはB山のA型血液が検出されているのに、B山に由来する1.3-3型DNAは検出されていない。)。すなわち、犯人の分は、実際には資料中にそれが存在しているにもかかわらず、その量が少なく検出限度以下であるために、HLADQα型の場合と同様に検出不能であったことが十分に考えられるというべきである。なお、A田の膣周辺付着物からは、HLADQβ1座につき、B山及び被告人と同型のもの(0601、3022)が検出されているところ、これは、B山のみのものか、犯人とB山の両名のものが合わさったものかは必ずしも明らかではないというべきであるが、HLADQβ2座では被害者(被採取者)本人自身のもの(A田もB山も同型である。)しか検出されていない合理的な可能性があることと対比すると、β1座で被害者本人自身以外のものが検出されているのは、B山のものと犯人のものが同型であり、これが合わさったために濃度が高くなり泳動のバンドとして可視的なものになった可能性が考えられるから、それが原因ではないかと解される。すなわち、A田の膣周辺付着物及び膣内容物からは、MCT118型では犯人の型が検出されているのに対しB山の型は検出されていないこと、他方、HLADQα型では同じHLADQ座にあるDNA型でありながら犯人の型もB山の型も検出されていないことを対比して考えると、β1座では、前記のように、むしろB山のものと犯人のものが同型であり、これが合わさったために濃度が高くなって可視的になったものと見るのが相当と解される。そうすると、HLADQβ型の検出結果(被告人の型のうちの1.1型の不検出)をもって、被告人が犯人ではないとの合理的な疑いを抱かせるものとはいえないというべきである。<br> ''' (2) ''' また、ミトコンドリアDNAの型判定の結果についてみると、石山鑑定によれば、資料中に含まれるミトコンドリアDNAはB山タイプ、A田タイプのもの、すなわち、B山及びA田に由来するものがほとんどであり、被告人タイプのものは検出されているとはいえない、というのである。<br>  ところで、石山鑑定のミトコンドリアDNAに関する鑑定結果に現れた内容を検討すると、そのミトコンドリアDNA型はほとんどが被害者に由来するものであり、犯人に由来する可能性のあるものがわずかしか発見されていないと見ることができるものである。すなわち、検査の対象とされたもの(鑑定資料中のミトコンドリアDNAを増殖することで得られたクローン化されたDNA部分)のうち相当数のものについてはDNAの塩基配列(4種のアミノ酸A、C、G、Tの配列)が分析解明されているところ、それによると、人のミトコンドリアDNAの塩基配列を解析した多数の事例の集積の中で変異が発見されていない部位(言い換えると、人のミトコンドリアDNA中の当該部位については同一の塩基の存在しかこれまでには確認されておらず、当該部位に存在する塩基の型には個体差が見られない部位)であるにもかかわらず、本件鑑定においては、通常とは異なる塩基の存在が確認されており、変異の生じているものが少なからず発見されているのであって、これは、石山鑑定人も供述しているように、大腸菌を用いたDNA増幅法(いわゆる間接法)による場合には変異が現れやすいとされていることから、本件鑑定でも同様の現象が生じたものと一応推定してよいと考えられる。したがって、人のミトコンドリアDNAであるならば通常は変異が見られないはずの部位に生じた変異については、間接法を用いた増幅の過程で生じた変異であり、鑑定資料に含まれる増幅前のミトコンドリアDNA中には存在しなかった塩基の変異であると推定してよいと考えられるから、これらの変異部分を除外して塩基配列を詳細に検討すると、ほとんどのDNA型(DNAの特定部位がクローン化されたそれ)がB山タイプないしA田タイプのものといえるのであって、この結論は石山証言からも明らかというべきである。<br>  ただ、MCT118型では犯人由来のDNA型が認められるのに、ミトコンドリアDNAについては、そもそも犯人に由来する可能性のあるDNA型の検出数が少なすぎるとの印象を受けるが、このような差異が生じるのは、細胞に含まれるミトコンドリアの数は細胞の種類によって相当な較差があるからではないかと考えられる。すなわち、DNAの型判定は細胞中に通常は1個しかない核内に存在するDNAを対象としているのに対し、ミトコンドリアDNAの型判定は細胞質中のミトコンドリア内に存在するDNAを対象としているもので、1個の細胞が細胞質内に保有するミトコンドリアの数は、細胞の種類や性質などによって大きく異なっていることから(文献では、多いものでは数千個に達するものもあるとされている。)、鑑定に供される資料中に含まれる細胞の種類やその種類ごとの細胞数に応じて、ミトコンドリアDNAの検出には差異が見られるのであり、例え同一の資料を用いたとしても、MCT118型のように核内に存在するDNAを対象とした型判定とミトコンドリアDNAの型判定との間で、その検出結果に差異を生じて少しも不自然ではないのである。そして、エネルギーを生み出す必要のある細胞、たとえば筋肉細胞などではミトコンドリアが多く存在することが知られていることからすると、膣液に混入している膣の細胞には、血液細胞(白血球の細胞)に比べてミトコンドリアが多く含まれているものと考えられるのであって、これを本件鑑定に当てはめて考察すると、鑑定資料とされた血痕中に含まれるもののうち、被害者に由来する細胞にはミトコンドリアが多く含まれていて、犯人に由来する細胞中のミトコンドリアの数と対比すると、前者が優勢になっていたと考える余地が多分にあり、被害者に由来するB山タイプ及びA田タイプのミトコンドリアDNAを持ったクローンが大多数を占め、犯人由来の可能性のあるミトコンドリアDNAを持ったクローンが極めてわずかしか形成、検出されていないのも首肯できるのであり、特に不自然、不合理とはいえないこととなる。そして、B山の膣周辺付着物からはB山タイプと認めることのできるDNA型しか発見されていないこと、B山の膣内容物からは、1個を除き、B山タイプと認めることのできるDNA型しか発見されていないこと、他方、A田の膣周辺付着物からは、A田タイプと認められるDNA型のほかB山タイプと認められるDNA型が多数発見されていることについても、B山に先にいたずらがされ、次いでA田にいたずらがされたとすれば、その説明が可能になり、よく理解できることになる。関係証拠によれば、B山は仰向けのまま遺棄されており、その体液が遺体の下にあった木の葉や枝にも滴下していることが認められることからすると、重力の作用によってB山の膣内から膣液等が漏れ出し、これが膣周辺に付着していた犯人に由来する付着血液を流し薄めるように作用していることが考えられるのに対し、A田の場合は、仰向けに遺棄されていて、膣周辺部に付着したB山由来のものがそのまま残り、多く発見されるに至ったものと見ることが可能である。<br>  また、科警研の鑑定により各資料が費消された結果、石山鑑定に用いられたのは、ごく少量の綿をつまみ取ったようなものに、かすかに色がついているという資料であり、混合血痕であるため凝集が起こるなどして必ずしも資料各部で均一に混合していなかったことも考えられるから、科警研における鑑定と石山鑑定とでは、用いられた資料にそもそも違いがあり、石山鑑定の資料には犯人由来のミトコンドリアDNAがわずかにしか混入していなかった可能性も考えられる。<br>  このように見てくると、犯人由来の可能性のあるミトコンドリアDNAがわずかしか発見されていないことについてはそれなりの説明が可能であり、したがって、被告人タイプのミトコンドリアDNAが特に発見されないからといって、それだけで被告人が犯人ではない合理的な疑いを生ずるものではないと考えられる。のみならず、本件では、被告人のミトコンドリアDNA型(検査の対象となったDNA部分の特異点である番号16223の部位のCがTに、番号16362の部位のTがCになっている。)と1塩基違いのミトコンドリアDNA型がB山の膣内容物から1個発見されているところ、この塩基配列中被告人のものと唯一異なる塩基の部位は、人のミトコンドリアにはこれまで変異が発見されておらず変異が見られないはずの部位(番号16309)であり、これを除いて見れば、被告人タイプのそれと一致することになるので、そのミトコンドリアDNAは被告人に由来するものと見ることも十分可能なものである。すなわち、塩基配列のすべてが一致していない以上被告人のものが発見されたとはいえないとする石山証言は正当であるが、同証言は被告人のものが発見されないともいえないというのであって、塩基配列に唯一違いが認められる部位(番号16309)は、個体間に変異が発見されていないとされている部分であるから、たとえば大腸菌を用いた増幅過程で変異が生じた可能性が十分にあると考えられるのであり、これを除いて考察すると被告人の塩基配列に一致するのであるから、そのDNAは犯人由来のものであり、かつ、犯人が被告人であることを否定するものとはいえないことになることに留意しなければならない。したがって、ミトコンドリアのDNA型の鑑定結果についても、所論のいうように被告人が犯人であることにつき合理的な疑いを抱かせるものとはいえない。<br>  結局、石山鑑定の結果が被告人が犯人ではない旨の合理的な疑いを抱かせるものであるとする所論は、採用できない。<br> '''7''' 所論は、DNA型の鑑定のような重大な結果を生じかねない性質のものについては、再検査が可能なように資料を残すなり、増幅したPCR資料を残すなりしておく必要があり、そのような措置を講じていない本件では、証拠能力を否定すべきであり、少なくとも信用性を否定すべきである、というのである。確かに、所論のように資料を残すなどして再検査を可能にする方途を講ずることは望ましいが、資料が少なかったり、なかなか結果が出しにくい場合に全部使い切ることがあったとしても、やむを得ない場合のあることは否定できないことである。そして、本件では、科警研の検査で資料をほとんど使っているが、検査の結果がなかなか出にくかったことなどを考慮すれば、残量が少なくなったのもやむを得ないという事情があること、殊更再鑑定を避けるために費消するなどの不適切な事情も見当たらないことからすれば、資料をほとんど使い切ったからといって、その故をもって証拠能力を否定すべきものと解されない。また、鑑定の内容に照らしても、以上のとおり、MCT118型についての信用性を認めることができる。所論は採用できない。<br> ====七 被告人車内の血痕及び尿痕について====  関係証拠によると、被告人車が押収され、その内部から血痕及び尿痕が発見されているところ、その発見経過、状況、結果については原判示のとおりと認められる(原判決補足説明六1)。すなわち、尿痕については押収された直後に発見され、後部座席の左側シートに2か所尿痕が発見され、人尿と確認されたが、血液型は判明しなかった。他方、血痕については、その際後部座席シート左側ドアに接する部分及びその下のフロアマットから発見された分について、血液型がO型であることが判明したが、DNA型の判別をMCT118型及びHLADQα型につき行ったもののDNA型は検出できなかった。その原因は、水洗いされて水で薄められるなどしてDNAの分解が進んでいるためと推定された。その後、DNA型につき新たな方法が開発されたことを聞いた科捜研係官が、平成6年4月に至り、その資料として上記座席シート中の血痕付着部分と考えるところを切り取った際、先に繊維鑑定のために切り取って東レに送付していた部分の下に接する座席のスポンジ部分に、変色痕が認められたことから、翌日繊維鑑定の終了を理由にそのシート部分の返却を東レから受けた際、その裏側に2か所染みのあることが判明し、それが当初から付着していたことが東レの鑑定人によって確認され、さらに、座席シートをはがして調べてみると、シートの裏にはほかにも染み状になった部分があり、これらのうちいくつかは血液反応を示した。そこで、座席シートから新たに発見した血痕様部分と東レに繊維鑑定に出していた部分につき科警研に血液型及びDNA型の鑑定を依頼したところ、東レに繊維鑑定に出していた部分の裏2か所のものにつき、血液型がO型であることが検出され、MCT118型、HLADQα型については検出できなかったが、DNAの分解が進んでいることが考えられたので、塩基数の少ない部位に関し新たに開発されたものを含む他のDNA型検査法(TH01型、PM検査法)を試みたところ、そのうちの1か所から、Gc型についてCのホモ(v証言、原審第5回388項、その出現率は、当審弁43号証によると、約16人に1人と認められる。)であることが検出された。他方、同時に、保存されていたA田及びB山の毛髪を使用して同様の検査を施したところ、MCT118型は検出できなかったが、HLADQα型、TH01及びPM法ではすべての型を検出することができ、その結果、A田のDNA型はGc型についてはCのホモであり、上記座席シートから検出されたものと同一の型であることが判明した。<br>  さらに、関係証拠によると、PM検査では、HLADQα型判定と同様にドット法を用い、試薬の発色によってDNAの型判定を行う方法が採用されているが、その場合、検査紙上に設けられた各種のDNA型に対応する位置に発色が見られたとしても、Sの位置(標準マーカー、HLADQα型の分子量のものが検出できるかどうかをその指標としていることが認められる。本件では、HLADQα型は検出できないのであるから、発色しないのが当然ということになる。)が発色しないときは、アガロースゲル電気泳動法によりDNAの増殖が認められた場合にのみ、当該発色の状況を有効な型判定に用いることができるとされていることから、泳動法でDNAの増殖状況を検査したところ、Gc型の部分にしかDNAの増殖を検出できなかったため、Gc型についてのみの判定にとどめたものであること、しかし、発色法では、PM検査5種のうち、塩基数の最も小さいGc型には明瞭な発色があったほか、塩基数の小さいHBGG型につきAB型、D7S8型につきA型を示す部位にやや薄いとはいえ発色があり、これらについてもA田と同一の部位に発色が認められるが、Sの発色がなく発色の弱さや電気泳動法による判定が得られなかったことから、型判定には使用しなかったこと(もっとも、アガロース電気泳動の写真をよく見ると、極めて薄いが泳動の影が見えないではないようにも思われる。)、PM法のうち上記のものを除いた塩基数の多い2種については発色がなかったことが認められる。<br>  以上によれば、被告人車を押収した後間もなく行われた第1回の鑑定ではO型の血液型を持つ血痕が発見されたにとどまるが、その後、新たに開発されたPM法などを用いた第2回の鑑定では、O型の血液型に加えDNA型のうちGc型につきC型(C型のホモ)が検出されていることから、その血痕は型判定からしても、A田のそれと矛盾しないものといえるものが発見されていることになる。ところで、DNAは時間の経過とともに分解が進み、したがって、塩基数の多いものほど分解が速く進み判別が困難になると考えられるから、MCT118型などの塩基数の多いものについては型判別ができないほどにDNAの分解が進んでいたとしても、より塩基数の少ない部位についてはDNA部分が分解されないまま残っているものが相対的に多く存在するため、これを用いた型判定が可能である場合のあることは容易に理解できる。そして、Gc型の判定は、PM法を用いられる各種のDNA部分の中でも最も塩基数が少ない部位に位置するDNA部分を用いて行われることからすると、Gc型よりもやや塩基数の多い部位に位置するDNA部分を用いて行われるHBGG型及びD7S8型の判定についてやや薄いとはいえ発色が認められていてそれがA田のものと同一であることは、検査法の原理からすれば決して無意味なものとはいえず、これらにつき全く発色が認められない場合とは異なり、その血痕がA田に由来するものであることを更に補強しているものと認めるのが相当である。<br>  さらに、単に付着したにとどまる血液は容易にふき取ることができ、水洗いすれば消し去ることができるが、したたり落ちたりして多量に付着した血液の場合は織布の繊維の間や織り目の隙間にしみ込みやすいし、水洗いすれば更に内部にしみ込んで広がることが考えられるところ、本件においてそれぞれの血痕が座席から発見された経緯に照らして見ると、ふき取ったり水洗いしたりしたことを前提とすれば、したたり落ちたりした血痕のみが検出される結果になることをたやすく説明できるものといわなければならない。関係証拠によると、A田の死体からは鼻血を出していたことが認められ、着衣にはそれが滴下したことを示す痕跡が認められる。A田の鼻血が座席等に滴下したとすれば、被告人車内からA田のみの血痕が発見され、犯人やB山の血痕が発見されないことを合理的に説明することができるというべきである。また、関係証拠によると、被告人が、本件の約7か月後に被告人車を買い換えのため下取りに出した際、通常下取りに出される車両と異なり車内が異常な程きれいに掃除されていたことが認められ、被告人自身も水洗いするなどしたことを認めていることからすれば、滴下するなどしたA田の鼻血が織り目を通って座席裏側にしみ込んだことが推測されるから、本件の血痕の発見過程に格別不自然な点は見出せないというべきである。付着していた血痕はいずれもやっと鑑定が可能な程分解が進んだものであることからしても、DNAの分解を進めることになる水洗いなどがされている事実ともよく符合するとともに、作為された可能性も否定されるというべきであり、発見過程について関係証拠を詳細に検討しても作為を疑わせる点は見出せない。<br>  本件では、血痕とともに尿痕が発見されているが、被害者両名の下着には失禁による尿痕が認められるところ、車内から尿痕が発見されたことは、殺害が車内で行われたと推定される本件では、その状況を血痕とともに裏付けるものとして説明できるものである。<br>  所論は、被告人の家族、親族にはO型のものが多数おり、その血液や尿が付着していることが考えられるし、以前の所有者の時代に付着したことも考えられるというが、この点について原判決が詳細に判示しているところは、大筋において関係証拠により正当として是認することができる。発見された血痕と尿痕は同時に生じたものでしかも殺害の際に生じたものであるとした場合、すべての要素を矛盾なく説明することができることからしても、所論のいうような可能性は極めて乏しいといわざるを得ず、合理的疑いを生じさせるものではない。 <br> ====八 亀頭包皮炎罹患の事実について====  本件では、通常のわいせつ目的の事件とは異なり、被害者の局部に犯人に由来すると認められる血液の付着、混入が認められる点で特異性があると認められる。すなわち、上記のような血液の付着、混入状況からすれば、犯人が出血していたことが認められるが、被害者の局部からは唾液の存在が確認されていないから、犯人の出血原因としては口内出血の可能性は考えられない。ところで、関係証拠によれば、原判示のとおり、被告人は当時亀頭包皮炎に罹患していた事実が認められる。所論は、そのような事実はなかったとして争うが、原判示のとおり、被告人は元々その罹患を理由に本件の犯人ではないと主張していたのみならず、医師や薬剤師の供述調書等から、その事実を認めるに十分である。犯人が被告人であるとすれば、通常は生じにくい血液の付着、混入の事実を容易に説明することができるものであるから、この事実は、犯人の特異性についての説明を可能にするものであり、被告人の犯人性を補強するものということができる。<br> ====九 その他の補強的な情況事実について====  以上の情況証拠を総合すれば、被告人が本件の犯人であることを認めるに十分というべきであるが、本件については、このほかにも、被告人の犯人性を補強するいくつかの事情が存在する。<br> '''1''' 関係証拠によると、被告人は本件当時円形脱毛症の症状を呈していたことが認められる。この点は、T田の見た犯人と考えられる者の容ぼうの特色を裏付けるものであり、被告人が犯人であることを補強している。<br> '''2''' また、本件は、被害者2名が同時に誘拐されて被害に遭っているところ、B山らは、日ごろから知らない人について行ったり知らない人の車に乗ったりしないように両親らから注意を受けていたのに、容易に乗車していることがうかがわれることからすれば、被害者と顔見知りの者による犯行と推認されるところ、被告人の長男は、被害者とは学年は異なるが同じ小学校に通っているなど、接点があり、被告人は日中は暇であるため、長男の友達を含む子供らと遊ぶなどして久間のおじちゃんとして知られていることが認められ、被害者らとは顔見知りになっていたことがうかがわれる。この点も被告人が犯人である可能性を補強しているといえる。<br> '''3''' 被告人は、死体遺棄現場付近についての土地勘を有するものであることは、これまでの職歴や近隣居住の事実及び本件の前年ころの秋ころ、知人に八丁峠に通ずる道路で目撃されていることなどにより裏付けられているから、被告人が遺棄現場付近につき不案内であるとはいえない。<br> ====一〇 被告人が犯人ではないとの方向に働くような事実について==== '''1''' 所論は、犯人は小児性愛者であると推定されるが、被告人には、たとえば、そのことに関心を示すビデオなどを所有せず、そのような傾向はうかがわれないから犯人とは考えられないと主張する。確かに、被告人が小児性愛者であることを示す物的な証拠は発見されていない。しかし、そのような外形的な事情がうかがわれなくても、小学生などの児童に対するわいせつ犯罪が行われていることは、実務上もしばしば見受けられるのであって、必ずしもこれを異とするに足りないというべきである。<br> '''2''' T田は、本件発生の2か月くらい後に、消防署に車で妻を送ってきた被告人を、捜査車両内から面通ししているところ、T田は目撃した者との同一性を確認できなかった事実がある。しかし、T田が目撃したのはわずかな時間であり、かつ、顔を正面から明確に見ておらず、倒れて手を着くようにして前屈みになった頭部と後ろ向きになった姿を見ているにとどまるのであるから、特色のある点は別として目撃した人物について記憶に残りにくいのが通常と考えられることなどに照らすと、同一性の確認ができていないことをもって、被告人が犯人ではないとの疑いを抱かせるものとはいえない。<br> '''3''' ポリグラフの検査結果について<br>  ポリグラフ検査は2回にわたっていて、当審においていずれも弁護人に開示されたものであるところ、最初のもののみにつき弁護人から証拠として請求され、検察官の同意を得て取り調べられたものである。その結果は、反応を否定されているものもあるが疑問判定が多く、いわゆる白の鑑定にはなっていない。その内容を弁護人の指摘に従って検討しても、以上の情況証拠と併せて考察すれば、これをもって所論のいうように被告人が犯人でないことに疑いを差し挟ませるものということはできない。<br> '''4''' 石山鑑定について<br>  同鑑定が犯人が被告人以外の者である疑いを抱かせるに足りるものではないことは前示のとおりである。<br> ===第3 情況証拠の十分性について===  本件では、犯行現場を目撃されたり、死体や証拠物の遺棄状況を直接目撃されていないし、T田も犯人を目撃しているといえるものの、当然とはいえ、頭部にはげた部分があることを目撃している程度にとどまり被告人が目撃人物と似ているかどうかについても明確にできない程度の目撃であること、死体等や遺留品から被告人のものであることが明らかに認められるものも存在せず、被告人車内からも、それだけで被害者と明確に結びつくような被害者の遺留物、痕跡なども発見されておらず、まして、被告人の自白もないことから、以上の情況をもって被告人が犯人であることが合理的疑いを超えて証明されているかどうかを検討しなければならない。<br>  しかし、(1)繊維鑑定の結果及び遺留品発見現場上の路上における車両等車両目撃状況等を総合すると、犯行に使用された車はマツダウェストコーストと認めるに十分であること、(2)被告人は、誘拐現場付近に居住する者でほかならぬその車両を保有しており、これを保有する者は現場付近や飯塚市内及びその周辺においては極めて少数に限られていること、(3)被告人の使用車両からは、被害者の一人であるA田の鼻血により生じたものであるとして付着状況が矛盾せず、A田の血液型、DNA型と同じ特徴を備えた血痕と、扼頸による殺害に伴う被害者の失禁と考えて矛盾しない尿痕が、後部座席(血痕は座席裏側)から発見されていること、(4)被告人は、マツダウェストコーストを使用して誘拐の犯行時刻ころ日常的に本件誘拐現場付近を通行していた者であり、被告人のいう当日のアリバイは信用できず、犯行当日の誘拐の犯行時刻ころも被告人が犯行現場を通行していたことが強く推認されること、(5)他方、死体に付着、混入する血液からは被告人の血液型、DNA型の一部と一致するものが発見されており、これと積極的に矛盾する要素は見出されず、犯人が出血していたという特異な事実は被告人の亀頭包皮炎罹患の事実により裏付けられることなどの情況事実が累積している。これらの情況事実は、いずれも犯人と犯行とを結びつける情況として重要かつ特異的であり、一つ一つの情況がそれぞれに相当大きな確率で犯人を絞り込むという性質を有するものであり、これらは相互に独立した要素であるから、その結果、犯人である確率は幾何級数的に高まっていることが明らかである。さらに、被告人車以外の同種車両についての捜査も相当詳細に行われていて、周辺の類似対象車両のアリバイ、保有者の血液型、DNA型についても地道かつ膨大な捜査がされていて、その結果該当車両は他にはほとんど見出せない情況もある。他方、被告人が犯人ではないのではないかという方向に働く証拠をつぶさに検討してもその疑いを抱かせるには足りない。これらの事情を総合して考慮すれば、被告人が本件の犯人であることにつき合理的疑いを超えた立証があるものと認めるに十分である。<br>  以上によれば、本件犯行の犯人は被告人と認められる。その他所論が多岐にわたり指摘する点について逐一原審記録及び当審における事実取調べの結果を検討しても、以上の認定、判断は左右されない。<br>  原判決には所論のような事実誤認はなく、論旨は理由がない。<br> ===第4 職権による量刑判断===  事案にかんがみ、職権で原審の量刑につき判断を示しておくことにする。<br>  本件は、登校途中の小学1年生の女児2名を略取誘拐し、わいせつ目的で扼殺した上、両名の陰部をもてあそび、遠方に運んでその死体を山中に遺棄したという事案である。その犯行は、動機、態様において悪質極まりないばかりか、冷酷、非情かつ残忍というに尽きる。自己の卑劣な欲望により2名もの幼い純粋な命を奪った刑責は誠に重いというほかはない。被害者の苦痛及び無念の情は測り難く、遺族の深い悲しみ、精神的打撃は察するに余りある。地域住民に与えた不安恐怖の念も誠に大きいものがある。にもかかわらず、被告人は、反省の情を全く示しておらず、被害弁償も含め慰謝の方途も講じられていない。<br>  死刑は、究極の刑罰であり、これを科するには、事案の重大性、悪質性、被害者の遺族の被害感情、社会に与えた影響の深刻さ、被告人の反社会性、更生可能性など諸般の事情を総合し、真にやむを得ない場合に限るものと解されるところ、本件においてこれらの事情をつぶさに検討しても、犯行の重大性、冷酷非情な態様、動機の悪質性、被害者の遺族の感情、被告人の反社会性等を重視せざるを得ないことからすると、死刑をもって処断するのは誠にやむを得ないといわなければならない。原審の量刑判断は相当である。<br>  よって、刑訴法396条により本件控訴を棄却し、当審における訴訟費用については、同法181条1項ただし書を適用して被告人にこれを負担させないこととし、主文のとおり判決する。<br> 平成13年10月10日<br> 福岡高等裁判所第二刑事部<br> 裁判長裁判官 小出錞一 裁判官 駒谷孝雄 裁判官 松藤和博<br> <br> [[カテゴリ:日本の判例|ふくおかこうとうさいはんしよへいせい11ねんうたい429こう]] {{PD-JapanGov}} 6jijbmyw0xnrdhfk3aqiy3gyzxlv7iw 福岡地方裁判所平成21年 (た) 第11号 0 14603 246573 246541 2026-10-13T06:51:34Z ろづき 28406 246573 wikitext text/x-wiki {{Header |title=福岡地方裁判所平成21年(た)第11号 |year=2009 |notes= 掲載LLI/DB 判例秘書、判例時報2396号96頁。原本は実名。確定判決については、[[福岡地方裁判所平6 (わ) 第1050号、平6 (わ) 第1157号|第1審判決]]、[[福岡高等裁判所平11 (う) 第429号|第2審判決]]、[https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-80437.pdf 最高裁判決]。本決定の抗告審以降は、[[福岡高等裁判所平成26年 (く) 第56号|第2審決定]]、[https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-90266.pdf 最高裁決定]。第2次再審請求審については、[[福岡地方裁判所令和3年(た)第3号|第1審決定]]、[[福岡高等裁判所令和6年(く)第97号|第2審決定]]。 }} 再審請求事件<br> 福岡地方裁判所平成21年(た)第11号<br> 平成26年3月31日第2刑事部決定<br> == 決定 == 請求人 久間C子<br>  亡久間三千年に対する死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件について、平成11年9月29日福岡地方裁判所が言い渡した有罪の確定判決に対し、請求人から再審の請求があったので、当裁判所は、請求人、弁護人及び検察官の意見を聴いた上、次のとおり決定する。 == 主文 == 本件再審請求を棄却する。 == 理由 == ===第1 確定判決の存在等=== ====1 裁判等の経緯====  亡久間三千年(以下「事件本人」という)は、平成11年9月29日、福岡地方裁判所において、死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件(福岡地方裁判所平成6年(わ)第1050号、同第1157号)について、死刑に処する旨の有罪判決の言渡しを受けた。事件本人はこれを不服として控訴したが、平成13年10月10日、福岡高等裁判所はこれを棄却し(福岡高等裁判所平成11年(う)第429号)、さらに、事件本人は上告したが、平成18年9月8日、最高裁判所第二小法廷はこれを棄却し(最高裁判所平成13年(あ)第2010号)、平成18年10月8日、上記第1審判決が確定した(以下、同判決を「確定判決」という。なお、事件本人については、平成20年10月28日、その刑が執行された。)。 ====2 確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨====  確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨は、次のとおりである。すなわち、事件本人は、平成4年2月20日午前8時30分頃から午前8時50分頃までの間、福岡県飯塚市(以下略)付近路上において、潤野小学校に登校中のA田A子(当時7歳、以下「被害者A田」という)及びB山B子(当時7歳、以下「被害者B山」といい、被害者A田と併せて「被害者両名」という)を認め、被害者両名が未成年者であることを知りながら、自己の運転する普通乗用自動車(マツダステーションワゴン・ウエストコースト、登録番号「筑豊55つ6112」)に乗車させ、同小学校への通学路外に連れ出して、未成年者である被害者両名を略取又は誘拐し、同日午前8時30分頃から午前9時頃までの間、同市内又はその近郊において、殺意をもって、被害者両名の頸部を手で絞め付け圧迫し、被害者両名をいずれも窒息により死亡させて殺害し、同日午前11時頃、福岡県甘木市(以下略)から国道322号線を嘉穂町方向に約1.4キロメートル進行した地点(通称八丁峠第5カーブ付近)において、その南方山中に、被害者両名の死体を投げ捨てて遺棄した、というものである(なお、確定控訴審判決は、その理由中において、拐取の犯行時刻は午前8時30分過ぎ頃であり、各殺害の犯行時刻はその後午前9時30分前後頃までの間と認定するのが相当である旨判示している。)。 ====3 確定判決の証拠構造等====  確定判決の有罪認定の証拠構造及び認定根拠の概要は、次のとおりである。<br>  すなわち、確定判決は、本件において、事件本人と犯行との結び付きについて、これを証明する直接証拠は存在せず、情況証拠によって証明された個々の情況事実は、そのどれを検討してみても、単独では事件本人を犯人と断定することができないものであるが、情況証拠によって証明された個々の情況事実は、すべて照合して総合評価する必要があり、諸情況を総合すれば、事件本人が犯人であることについて、合理的な疑いを超えて認定することができるとした(確定判決194頁ないし198頁)。<br>  確定判決は、その根拠として多数の情況事実を列挙し検討しているが、判文全体及び証拠関係に照らすと、主として、以下のような情況事実ないし情況証拠群を有罪認定の根拠としているものと理解することができる。<br> '''(1)''' ①T田T男(以下「T田」という)らの目撃供述によれば、本件犯行に犯人が使用したと疑われる車両は、マツダ製の後輪ダブルタイヤの紺色のワゴンタイプの車両で、リアウインドーにフィルムが貼ってあるなどの特徴を有しており、また、②被害者両名の失踪場所の状況や時間帯並びに同場所と被害者両名の遺体及び遺留品の発見現場との位置関係や遺留品の発見現場で目撃された不審車両の発見時間からして、犯人は被害者両名の失踪場所等についての土地鑑を有する者であると推測されるところ、③事件本人は、上記①の車両と特徴を同じくする車両(以下「事件本人車」という)を所有し、かつ、上記失踪場所等に土地鑑を有すること(他方で、福岡県飯塚警察署管内に居住又は所在し、上記失踪場所等を通行する可能性があって、上記特徴をほぼ満たす車両を使用していた者のうち、事件本人以外の者には、いずれもアリバイが成立すること)<br> '''(2)''' 被害者両名の着衣から発見された、被害者両名が犯人が使用した車両に乗せられた機会に付着したと認められる繊維片は、事件本人車と同型のマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高いこと<br> '''(3)''' 事件本人車の後部座席シートから被害者A田と同じ血液型であるO型の血痕と人尿の尿痕が検出されているところ、被害者両名ともに殺害されたときに生じたと認められる失禁と出血があり、事件本人が犯人であるとすれば、上記の血痕及び尿痕の付着を合理的に説明できること(なお、事件本人が事件本人車を入手して自己の管理下に置く以前に、上記の血痕及び尿痕が付着した可能性はないこと)<br> '''(4)''' 警察庁科学警察研究所(以下「科警研」という)が実施した血液型鑑定及びDNA型鑑定によれば、被害者B山の遺体付近の木の枝に付着していた血痕並びに被害者両名の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に、犯人に由来すると認められる血痕ないし血液が混在しており、仮に犯人が1人であるとした場合には、その犯人の血液型はB型、MCT118型は16-26型であり、いずれも事件本人の型と一致していること<br> '''(5)''' 事件本人は、本件当時、亀頭包皮炎に罹患しており、外部からの刺激により亀頭から容易に出血する状態にあったから、事件本人が犯人であるとすれば、被害者両名の膣内容等に犯人に由来すると認められる血液等が混在していたことを合理的に説明できること<br> '''(6)''' 被害者両名が失踪した時間帯及び失踪現場は、事件本人が妻を勤務先に事件本人車で送った後、事件本人方に帰る途中の時間帯及び通路にあたっていた可能性があること、他方で、事件本人にはアリバイが成立しないこと(事件本人に犯行の機会があったこと)<br> ===第2 再審請求の趣旨及び理由等=== ====1====  本件再審請求の趣旨及び理由は、弁護人作成の再審請求書(平成21年10月28日付け)、再審理由補充書(平成22年11月10日付け)、反論書(同年12月28日付け)、再審理由補充書(平成23年8月2日付け)、意見書(平成24年10月25日付け)、再審理由補充書(同年11月16日付け)、再審理由補充書(同年12月27日付け)、意見書(平成25年1月15日付け)、意見書(同年2月6日付け)、意見書(その2)(同月7日付け)、意見書(同月28日付け)、再審理由総括書面(同年4月15日付け)、反論書(同年6月3日付け)、検察官の意見書9に対する反論書(同年7月10日付け)に、それぞれ記載されたとおりである。<br>  弁護人は、本件再審請求において、別紙記載の証拠を提出し、これらによれば、確定判決が有罪認定の根拠として挙げる情況証拠のうち、柱となるものの証拠能力ないし信用性が否定され、その余のいかなる情況証拠を総合しても、事件本人を犯人と認めることはできないから、これらの証拠は、事件本人に対して無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠に該当するので、速やかに再審を開始すべきである旨主張している。<br>  弁護人が提出した証拠は多数に上るが、その主要な証拠及び立証命題は、次の3点に集約することができる(平成25年4月15日付け再審理由総括書面4頁以下)。<br> '''(1)''' 筑波大学社会医学系法医学教室本田克也教授(以下「本田教授」という)作成の平成21年10月13日付け「最新の方法によるDNA鑑定結果報告書(久間三千年のDNA型)」(当審弁第1号証、以下「本田第1次鑑定書」という)、平成22年12月20日付け「菊池和史(福岡地方検察庁検察官検事)作成の意見書への反論書」(当審弁第14号証、以下「本田反論書」という)及び平成24年10月15日付け「鑑定書」(当審弁第17号証、以下「本田第2次鑑定書」という)並びに当審における本田教授の証言(以上の鑑定書等及び証言を総称して「本田鑑定書等」という)は、確定判決がその有罪認定の根拠とした、前記第1の3(4)の科警研が実施した血液型鑑定及びDNA型鑑定(確定第1審甲第68号証、同第76号証)の各証拠能力ないし信用性が否定されること、そのため、確定判決が認定した「被害者両名の遺体付近や膣内容及び膣周辺から採取した血痕や血液に混在していた、犯人に由来すると認められる血痕ないし血液の血液型及びDNA型が、犯人が1人である場合には、B型、MCT118型は16-26型であり、事件本人の型と一致している」との事実が認められないことになること、そして、犯人は事件本人とは全く異なる人物であることを立証しようとするものである。<br> '''(2)''' いわゆる足利事件の再審判決(宇都宮地方裁判所平成14年(た)第4号、同裁判所平成22年3月26日判決)並びに最高検察庁作成の「いわゆる足利事件における捜査・公判活動の問題点等について」(当審弁第11号証、以下「最高検報告書」という)、東京歯科大学法歯学講座水口清教授作成の意見書(当審弁第12号証、以下「水口意見書」という)及び京都大学大学院医学研究科法医学講座玉木敬二教授作成の意見書(当審弁第13号証、以下「玉木意見書」という)は、いわゆる足利事件における科警研のDNA型鑑定と、確定判決がその有罪認定の根拠とした前記第1の3(4)の科警研のDNA型鑑定が証拠として同質であること、よって、前記第1の3(4)の科警研のDNA型鑑定の証拠能力が否定されることを立証しようとするものである。<br> '''(3)''' 日本大学文理学部心理学研究室嚴島行雄教授(以下「嚴島教授」という)作成の平成23年7月8日付け「いわゆる飯塚事件におけるT氏供述の正確さに関する第2次鑑定書」[当審弁第15号証、以下「嚴島第2次鑑定書」といい、同鑑定書の基礎資料とされたフィールド実験(再現実験)を「第2次実験」という]、司法警察員巡査部長K1(以下「K1」という)、同K2作成の「殺人事件報告書」(当審弁第23号証、以下「K1報告書」という)、司法警察員警部補K3作成の「遺留品発見現場におけるボンゴ車目撃情報の入手経路、並びにボンゴ車のボディライン、センターキャップに関する捜査報告書」(当審弁第24号証、以下「K3報告書」という)は、確定判決がその有罪認定の根拠とした、前記第1の3(1)①のT田の目撃供述の信用性が否定されることを立証しようとするものである。<br> ====2====  これに対する検察官の主張は、意見書(平成22年8月31日付け)、意見書2(平成24年2月27日付け)、意見書3(同年3月30日付け)、意見書4(同年12月28日付け)、意見書5(平成25年1月21日付け)、意見書6(同年2月8日付け)、意見書7(同月12日付け)、意見書8(同年4月15日付け)、意見書9(同年7月5日付け)に記載されたとおりである。<br>  検察官は、要旨、弁護人が提出した前記各証拠は、いずれも、事件本人に対して無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠に該当しないので、本件再審請求の棄却を求める旨主張し、同主張を裏付ける資料を提出している。<br> ===第3 当裁判所の判断=== ====1 序言====  当裁判所は、弁護人及び検察官の主張並びに確定審及び当審における証拠を検討した結果、弁護人が提出した証拠を確定記録中の関係証拠と併せて検討しても、事件本人と各犯行との結び付きを認めた確定判決の事実認定は正当なものとしてこれを肯認することができ、再審の理由があるとは認められないとの結論に至ったものである。以下に、その理由を説明する。 ====2 証拠の新規性について====  まず、本件再審請求において弁護人が提出した各証拠が、刑事訴訟法435条6号にいう「あらたに」発見された証拠といえるか(証拠の新規性)が問題となる。<br>  証拠の新規性は、当該証拠が未だ裁判所によって実質的な証拠価値の判断を経ていない証拠であれば、これが認められると解され、鑑定についても、その基礎資料に従前の鑑定と同様のものが用いられたとしても、新たな鑑定人の知見に基づき検討が加えられたときには、新規性を認めてよいと解される。<br>  そこで検討すると、当審弁第7号証は、確定第1審甲第725号証と同一のものであり、また、当審弁第8号証ないし同第10号証は、確定判決、確定控訴審判決及び確定上告審判決の各写しであって、いずれも再審事由となる新規性のある証拠には当たらないが、これらのものを除くと、本件再審請求において弁護人が提出した証拠は、いずれも新規性は認められるといえる。<br> ====3 証拠の明白性について====  次に、弁護人が提出した証拠のうち、前記のとおり新規性が認められる証拠(以下「新証拠」という)が、刑事訴訟法435条6号にいう有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき「明らかな」証拠といえるか(証拠の明白性)について検討する。<br>  証拠の明白性については、当審に提出された新証拠と、その立証命題に関連する他の全証拠とを総合的に評価し、新証拠が確定判決における事実認定について合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠であるか否かを判断すべきものであり、その総合的評価をするに当たっては、その判決の当否を審査する過程において確定記録中の全証拠をも検討の対象にすることができると解される。<br>  そこで、本件再審請求についても、新証拠の証拠価値を検討するに当たっては、確定第1審で取り調べられた証拠のみならず、確定控訴審で取り調べられた証拠も適宜検討対象に加えながら、弁護人が提出した新証拠が事件本人に対して無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠といえるかについて検討することとなる。<br>  なお、弁護人は、前記第2の1(1)ないし(3)で挙示した証拠以外にも、多数の文献類を新証拠として提出しているが、これらの証拠のうち、前記第2の1(1)ないし(3)で挙示した証拠等を補充するにすぎないものと位置づけられる(前記再審理由総括書面4頁)当審弁第6号証、同第16号証、同第18号証ないし同第22号証、同第25号証及び同第26号証については、前記第2の1(1)ないし(3)で挙示した証拠等と別個に検討を加えることはしない[PM法によるDNA型鑑定に関する証拠(当審弁第2号証ないし同第5号証)については、後記(4)イ(イ)cで検討する。]。<br> '''(1) T田の目撃供述について'''<br> '''ア T田の供述要旨と確定審の判断'''<br> '''(ア) T田の供述要旨'''<br>  T田は、平成4年当時、福岡県甘木市森林組合に勤務し、甘木市内の山林所有者から委託を受けた作業に関する現場監督等の業務に従事していた者であるが、同年2月20日午前11時頃、甘木市(以下略)の現場から軽四輪貨物自動車を運転して国道322号線を通って八丁峠を下りながら組合事務所に戻る途中、八丁苑キャンプ場事務所の手前[尋問時に提示された実況見分調書(確定第1審甲第502号証)によれば、約200メートル付近]の反対車線の道路上に停車しているのを目撃した車両について、確定第1審において、要旨、次のとおり供述している。<br>  目撃した車両は、紺色のワンボックスタイプのワゴン車で、後輪は、前輪よりも小さいので、ダブルタイヤだと覚えている。後輪の車軸の部分に黒い輪があった。車両の横から後ろの窓に色の付いたフィルムが貼ってあった。車体の横に黄色や赤色のラインはなかった。サイドモールはあったと思う。型式の古い車だと思った。ダブルタイヤであったから、マツダの車だと思っていた。一目見てマツダのボンゴだと分かった。<br> '''(イ) T田供述の信用性についての確定審の判断内容'''<br> '''a''' 確定判決は、目撃車両の特徴に関するT田の公判供述について、公判で供述するよりも前に捜査機関から事件本人車を見せられたことによって変容した記憶に基づくものであるという可能性があることを踏まえながらも、T田が、目撃後19日目で事件本人車を見せられていない時期である平成4年3月9日の時点で、警察官に対し、公判供述とほぼ同様の供述をしていること(T田の警察官調書、確定第1審甲第724号証)を指摘して、T田の公判供述のうち、上記警察官調書における供述(すなわち、「この車の車両番号はわかりませんが、普通の標準タイプのワゴン車で、メーカーはトヨタやニッサンでないやや古い型の車体の色は紺色、車体にはラインが入ってなかったと思いますし、確か後部タイヤがダブルタイヤであった。更にタイヤのホイルキャップの中に黒いラインがあったと思います。このダブルタイヤとは、後部タイヤが左右2本ずつの計4本ついているタイヤのことです。車の窓ガラスは黒く、車内は見えなかったように思いますので、ガラスにフィルムをはっていたのではないかと思います」)と合致する部分については、T田が当初から一貫して供述しているという点からも十分に信用することができるが、他方で、T田の公判供述のうち、サイドモールがあったとする点及びダブルタイヤだったのでマツダの車だと思っていたとする点は、事件本人車を見せられたことによって記憶が変容した可能性を否定し去ることはできないと判断している(確定判決28頁ないし31頁)。<br> '''b''' なお、確定控訴審判決は、確定判決における目撃車両に関するT田供述の信用性についての判断部分につき、確定控訴審における事実取調べの結果も踏まえつつ、確定判決がT田の公判供述にその認める限度で信用性を認めていることに少なくとも誤りがあるとは考えられず、確定判決は抑制的かつ慎重に判断を示しているものであって、その結論は大筋において是認することができると判示している(確定控訴審判決書8頁ないし11頁)。<br>  その上で、確定控訴審判決は、T田がマツダのボンゴ車であると供述するのも、当時製造され使用されていた各種ワンボックスカーの色や仕様に関する証拠に照らせば、T田が目撃した車両がマツダのボンゴ車に限られることが認められ、そのことは、車に多少とも関心のある者が調べればすぐ明らかになる程度の事項でもあるから、T田が目撃した車両について他社のワンボックスカーとは異なるマツダのボンゴ車であると供述するのも、その趣旨で理解できると判示している(確定控訴審判決書13頁)。<br> '''イ 嚴島第2次鑑定書等の内容の要旨'''<br> '''(ア) 嚴島第2次鑑定書の内容の要旨'''<br>  嚴島第2次鑑定書は、嚴島教授による「いわゆる飯塚事件におけるT氏の目撃供述の信用性に関する心理学鑑定書」[確定控訴審弁第70号証、以下「嚴島第1次鑑定書」といい、同鑑定書の基礎資料とされたフィールド実験(再現実験)を「第1次実験」という]について確定控訴審判決で指摘された問題点、すなわち、①嚴島第1次鑑定は、厳冬期と異なり、車の往来の激しい4月の桜開花期に行われており、停車車両に不審を抱かせるような厳冬期の目撃状況とは、そもそも全く条件が異なること、②目撃された車両が、後輪がダブルタイヤであり、前輪と後輪の大きさが異なるとされているにもかかわらず、通常の車両の後輪にもう1個同じ大きさの車輪を重ね合わせたに過ぎなかったため、タイヤの違いに気付くことが困難な状態で実験をしていること、③特に、実験時には、対向してきてすれ違う通行車両が、平均して約30秒に1台の割合で存在していたことが認められる以上、対向車との安全に注意を向けることが必要になり、途中で停車している車両についての注意、関心が弱まるばかりか、他の車両についての類似の記憶が入り込むことになって、道路脇にたまたま停止している車両の細部についての記憶を保持しにくくなることを考慮して、条件変更を行った上で、T田の目撃状況の再現実験を行ったものである。<br>  その実験結果について、嚴島第2次鑑定書は、被験者について、目撃した車両及び人物のいずれについても、T田のような詳細な記憶は喚起されなかったことに加え、被験者のうち15名には、T田より記憶遂行が優れるように「対象車両やその前後に注目する」旨の教示を与えたが、そのような被験者ですら、T田のような詳細な車の説明ができなかったとしている。そして、同鑑定書は、T田の記憶は、同人の直接体験したことの記憶を超えて、他に情報源があるとしか考えようがなく、捜査側の意図されていない情報提供や、T田が目撃現場以外の場所で得た情報などが誤って目撃の記憶となったと推察されるとし、T田の目撃供述は誤った記憶であると断言せざるを得ない旨を結論としている(同鑑定書4頁)。<br> '''(イ) K1報告書及びK3報告書の各内容の要旨'''<br>  K1報告書は、K1らが、平成4年3月2日、福岡県甘木市森林組合に対して聞き込みを実施したところ、同組合職員のT田が、同年2月20日の午前9時から9時30分の間に、職務のため八丁峠を通行し、午前11時30分頃、頂上付近のカーブにて駐車していた紺色ワゴン車1台を目撃したとのことであった、ということなどを内容とするものである。<br>  K3報告書は、T田の目撃情報の入手状況並びに同人が供述した車両のタイヤのホイルキャップ及びボディラインに関して、事件本人車について捜査した結果等を記載したものである。同報告書には、事件本人車に関する捜査結果として、T田の平成4年3月9日付け警察官調書(確定第1審甲第724号証)を作成したK1が、同月7日に事件本人車を現認し、同車両にはボディラインはなかったことが記載されている。<br> '''ウ 検討'''<br> '''(ア) 嚴島第2次鑑定書について'''<br> '''a''' まず、嚴島第2次鑑定書についてみるに、たしかに、第2次実験は、第1次実験について確定控訴審から指摘された諸々の問題点を是正し、T田が不審車両を目撃した条件にできるだけ近付ける形で再現実験を実施しており、このような措置は、再現実験に基づく鑑定意見の証拠価値を高めるものとはいえる。<br>  しかし、第2次実験の条件においても、以下に述べるように、いまだ重要な点で、T田が実際に不審車両を目撃した条件とは異なっており、第2次実験の結果をもってT田供述の正確性に疑問が生じるということはできない。<br>  すなわち、T田は、不審車両を目撃した当時、その従事する仕事の関係で、八丁峠に向かう国道322号線を運転することがあり(確定控訴審第2回公判におけるT田供述203項)、実際、平成4年2月には、20日以外に12日にも目撃現場付近を通行したことがあったものである(確定第1審第18回公判におけるT田供述277項)。また、T田が不審車両を目撃した際に運転していた車両は、T田の勤務先が保有する車両であり(確定第1審第18回公判におけるT田供述27項ないし30項)、T田にとって乗り慣れていると考えられるものであった。これらの事情は、T田が不審車両を目撃した現場付近の道路において安全に車両を運転するために用いる注意力の程度が、この道路を初めて運転する者よりも低いもので足り、反面で、T田が、運転とはかかわりのない周囲の状況に、より注意を向けることが可能であることを示す事情といえる。また、T田が目撃現場付近の道路を運転することがあったとの事実は、道路やその付近の状況が普段と異なるときに、普段とは異なるものとして注意を向け易いということにも結び付くものである。そして、T田は、不審車両を目撃した翌日の夕方に、ラジオのニュースによって、小学校1年生の女子が殺害され、その遺体が野鳥の山中に遺棄されていたことや、その遺体発見現場は、T田が前日に付近を通行して不審車両等を目撃した場所であることを聞き知り、目撃した車両等について同僚と会話をしているが[確定第1審第18回公判におけるT田供述215項ないし250項、同公判におけるG1(以下「G1」という)供述10項ないし78項、93項ないし123項、142項ないし173項、178項ないし179項]、このような会話等により、T田は、その目撃した車両等が女児殺害事件と関係する可能性があるものと強く印象付けられ、不審車両を目撃した記憶を喚起、定着させたと考えられる。さらに、T田は、ダブルタイヤ仕様の車両が存在することやその車両の特徴について、不審車両を目撃する以前から知識を有していた(確定第1審第18回公判におけるT田供述303項、357項ないし358項、570項ないし571項、574項ないし575項)。人の記憶の程度は、各々の属性やその時々の諸条件によって異なるところ、上記のような重要な点で、第2次実験の被験者は、知覚し記憶する条件がT田よりも不利なものとなっていると考えられる。<br>  これに対し、嚴島第2次鑑定書は、目撃者をT田に似せることはできないので、能力も性格も異なる多くの被験者を用意して、その記憶の成績の分布によりT田供述の確からしさを検証するとの方法を用いたとするが(同鑑定書58頁ないし59頁)、上記のような重要な条件の相違をかかる方法によって補うことができるかは疑問である。<br>  また、嚴島第2次鑑定書は、T田は目撃現場付近の道路を通行することがあったが、被験者はこの道路を通行した経験を有しないことに関して、「被験者はT氏の経験する干渉効果からは免れることになる。よって、本実験結果は実際の日常での経験によって得られる結果よりも優れることが予想される」(同鑑定書62頁)と説くが、十分に納得できる合理的根拠が提示されているとはいえない。<br>  そうすると、嚴島教授が、第2次実験の被験者が走行する距離をT田が不審車両を目撃した際に走行した距離よりも短いものとしたこと、被験者が運転する車両を操作の簡単なオートマティック車としたこと、被験者の半数の者に対し、「走行途中に、対向車線に車が必ず駐車していますので、その車とその前後を注意深く見てください」旨の教示を行うなど、被験者らが駐車車両を知覚し記憶し易くなると考えられる方向での措置を講じていることを十分考慮しても、第2次実験の実験条件は、重要な点においてなおT田の目撃条件と異なっており、T田と同等以上に知覚、記憶を促進するようなものになっていたとは認め難い。したがって、そのような第2次実験の実験条件のもとで被験者らがT田と同様の記憶を保有することができなかったとしても、このことから、T田がその目撃条件からしてあり得ない詳細な供述をしているとみることはできない。<br> '''b''' また、嚴島第2次鑑定書では、T田供述について、心理学の知見を踏まえた分析がなされているところ、その中で、嚴島教授は、T田の目撃供述は、記憶の符号化段階、貯蔵段階、検索段階のそれぞれに、記憶を形成するのに障害となる要因が多く関与していたにもかかわらず、その供述内容は、現実にはあり得ないような際立った詳細さを有したものであり、このことは、T田の記憶の起源がT田の体験以外からもたらされていることを示している旨の指摘をしている(同鑑定書120頁ないし141頁)。<br>  ところで、確定控訴審判決は、目撃車両に関するT田供述の信用性を肯定する事情として、T田は、森林組合に勤務し、目撃現場付近を季節を問わず仕事で通行していて、詳細な知識、経験を有している者であり、本件犯行時の冬期に、目撃現場付近の八丁峠に向かう国道を通行する車両は珍しい上、目撃車両が通行の安全に支障となるようなカーブ付近に停車していたため、不審の念を抱き、強い関心と注意をもって同車の状態を目撃したこと、T田は、日頃から、雑誌等を通じて自動車の仕様等について関心を抱き、大まかな知識を得ていたため、車種や形状、仕様などについても、ある程度詳細に知覚し、これを記憶にとどめることができたこと、停車車両のそばに立っていた者の行動に不審の念を更に強めていることから、その状況を記憶にとどめやすい状況が生じていること、翌日の夕方に、遺体発見をラジオ報道で知り、同僚のG1らにその際の様子を話したり、その翌日にも再び話題にしたりしたことにより、当時の状況を思い返し、記憶を新たにしていること、累次の供述にもかかわらず、その内容は当初から基本的に変わらないこと、T田が目撃した車両の車種や形状、色、紺色のダブルタイヤのワンボックスカーという基本的な要素については、T田の車に対する日頃からのある程度の関心や知識経験からして間違えようのないところと考えられることなどの指摘をしている(確定控訴審判決書10頁ないし11頁)。<br>  この点に関し、嚴島第2次鑑定書では、確定控訴審判決が指摘している上記各事項のうち、T田が仕事で大休の現場に行く機会が多く、たびたび目撃現場付近を通行していたことに関しては、類似する出来事を経験することによる忘却の可能性を指摘しているが(同鑑定書122頁ないし123頁)、その余の事情については、それらがT田の知覚や記憶に及ぼした影響の有無、程度について、心理学の知見を踏まえた十分な検討がなされていない。また、嚴島教授は、上記の忘却の可能性に関し、T田には、類似する出来事を経験することにより、目撃時に経験した出来事の忘却が起こりやすかったと強く推察されるのに対し、第2次実験の被験者らは、現場を何回も訪れるという類似した出来事を経験していないにもかかわらず、同人らからT田のような詳細な報告が得られなかったということは、T田には、目撃時に経験した出来事以外の情報がもたらされたと考えるほかない旨指摘するが(同鑑定書123頁)、後記のようなT田の供述経過に照らすと、そのような忘却が起きたとは考え難いし、上記被験者らが干渉による忘却以外の原因によってT田より詳細な記憶を喚起できなかったということも十分に考えられるのであるから、嚴島教授の上記指摘は採り得ないものといわざるを得ない。<br>  そうすると、嚴島第2次鑑定書における心理学の知見を踏まえたT田供述の検討は、確定控訴審が指摘しているT田供述の信用性を肯定する事情について十分な検討がなされているものとも認め難い。<br>  さらに、嚴島教授は、T田供述は捜査機関の誘導によって形成された可能性がある旨を示唆している(嚴島第2次鑑定書147頁ないし149頁)。<br>  この点について、T田は、不審車両を目撃した場所について、「警察官と一緒に現場に赴いた際、不審車両が止まっていた地点は最初から大体分かっており、そのことは警察官にも多分言っているが、何日か経っているから、確認のために3回くらい往復して、最終的にそこだということを話した」旨の供述をし(確定第1審第18回公判におけるT田供述288項ないし289項、424項ないし427項)、また、T田に同行したK1も、「最初、この位置と案内してもらったが、同じような場所があるので、もう一度確認したいということで、その場所を3往復した。そして、最初の場所にやはり間違いないということで、場所を確認した」旨の供述をしている(確定第1審第16回公判におけるK1供述62項)。このように、T田に同行して現場に赴いていたK1の態度は、被害者両名の遺留品発見現場であることが警察官らに既に判明していた場所とT田が不審車両を目撃したと説明した場所とが符合することが判明した後でも、なおT田に現場付近の往復を繰り返させて、その場所を確認させるというものであった。<br>  以上のようなT田が不審車両を目撃した現場に警察官を案内した際の状況に加えて、T田の供述内容が、その目撃した人物について、年齢等の点で事件本人と一致するものではないこと(確定第1審第18回公判におけるT田供述429項ないし431項)、また、事件本人を面通しされた際に、目撃した者が事件本人であるかについて、同一性を識別できない旨供述していること(確定控訴審検第12号証)を踏まえると、T田に、警察官に迎合的な傾向があるとはいえず、T田の目撃供述のうち、少なくとも、確定判決が信用性を肯定している、紺色、ダブルタイヤのワンボックス車を目撃したという点については、警察官による誘導によって供述したとは考えられない。<br>  その他、嚴島第2次鑑定書が、T田供述の正確さについて疑問を抱かせる理由として種々指摘するところを検討しても、T田供述の信用性は揺るがない。<br> '''c''' 以上のとおりであって、嚴島第2次鑑定は、心理学の知見からの1つの見解としては傾聴に値するものがあるとはいい得ても、本件再審請求における証拠価値としては相当に限定的なものであって、嚴島第2次鑑定書において、嚴島教授が第2次実験の結果や心理学の知見を踏まえて述べている諸見解によって、目撃車両についてのT田供述の信用性が否定されるということはできず、したがって、同鑑定書に明白性は認められない。<br> '''(イ) K3報告書及びK1報告書について'''<br>  次に、K3報告書及びK1報告書についてみるに、弁護人は、これらの報告書に依拠して、平成4年3月2日の時点では、目撃車両の特徴を紺色ワゴン車としか述べていなかったT田が、同月9日付け警察官調書(確定第1審甲724号証)において、「トヨタやニッサンでない」、「車体にラインは入っていなかったと思う」、「フィルムを貼っていたのではないかと思う」等と供述するに至った理由は、同月7日に事件本人車を見分して車種や特徴を把握したK1がT田の供述を誘導したことにあることが明らかとなっており、これらの報告書により、嚴島第2次鑑定書における、T田供述は事後情報効果によりもたらされたものであるとする指摘が裏付けられていると主張する。<br>  たしかに、K1報告書には、同月2日の聞き込みの際に、T田が紺色ワゴン車を目撃した旨の記載が存在し、また、K3報告書には、同月7日にK1らが事件本人車を現認し、同車にボディラインはなかった旨の記載が存在するのであり、警察官が車両を確認する際、ボディラインの有無のみを確認し、車種等を確認しないことは考え難いから、T田の同月9日付け警察官調書(確定第1審甲第724号証)を作成したK1が、それに先立つ同月7日の時点で事件本人車の車種や特徴を把握していた可能性は相当高い。<br>  しかしながら、K3報告書には、T田が、同月4日の午前に、「車両は、普通車の紺色ワゴン車、後輪がダブルタイヤ、やや古い」旨述べたこと、同日の午後に、「駐車車両は、紺色、ボンゴ車、後輪ダブルタイヤ、車内は見えなかったように思うので、ガラスに何か貼っていたと思う」旨述べたことがそれぞれ記載されており、そうであれば、T田は、K1が事件本人車を目撃する以前であり、K1からの誘導を受ける可能性のない時期から、その目撃した車両の特徴について、紺色、後輪ダブルタイヤで、ガラスに何かを貼付していたことを述べていたと認められる。また、T田は、不審車両を目撃した翌日(平成4年2月21日)及び翌々日(同月22日)に、そのことを同僚のG1らと話題にした際、G1に対し、目撃した車両の特徴について、紺色のダブルタイヤのワゴン車である旨述べているが(確定第1審第18回公判におけるG1供述35項、48項ないし51項、70項ないし71項、94項、102項、104項ないし106項)、T田とG1がそのような会話をする以前に、T田がK1その他の警察官によって何らかの誘導を受けた可能性は全く存在しない。<br>  そうすると、K1報告書及びK3報告書によって、K1がT田に対して供述を誘導したことが明らかになったということはできず、したがって、これらの報告書にも明白性は認められない。<br> '''(ウ) 小括'''<br>  以上の理由から、嚴島第2次鑑定書、K3報告書及びK1報告書には、いずれも、明白性は認められない。<br> '''(2) 科警研が実施した鑑定について'''  (以下、本件で実施されている血液型鑑定はABO式のみであることからその旨の記載を省略し、また、MCT118型の型を記載する際には、単に「16-26型」などと記載することがある)<br> '''ア''' 科警研の鑑定結果と確定判決の判断<br> '''(ア)''' 科警研は、被害者両名の遺体やその付近から採取した血痕及び血液について、血液型鑑定及びDNA型鑑定[確定第1審甲第68号証、酒井活子技官(以下「酒井技官」という)及び笠井賢太郎技官(以下「笠井技官」という)担当、以下「酒井・笠井鑑定」という]を実施し、また、事件本人の毛髪についても、血液型鑑定及びDNA型鑑定(確定第1審甲第76号証、酒井技官、笠井技官及び佐藤元技官担当、以下「酒井・笠井・佐藤鑑定」といい、前記「酒井・笠井鑑定」と併せて「酒井・笠井鑑定等」という)を実施した。<br> '''(イ)''' 酒井・笠井鑑定の鑑定資料は、(1)木の枝に付着の血痕ようのもの(以下「資料(1)」といい、また、資料(1)のうちPBS抽出遠心沈渣を「資料(1)①」、枝に残存していたものを「資料(1)②」という)、(2)被害者A田の膣内容物(以下「資料(2)」という)、(3)被害者A田の膣周辺付着物(以下「資料(3)」という)、(4)被害者B山の膣内容物(以下「資料(4)」という)、(5)被害者B山の膣周辺付着物(以下「資料(5)」という)、(6)被害者A田の心臓血(以下「資料(6)」という)及び(7)被害者B山の心臓血(以下「資料(7)」という)である。<br>  確定判決が、その証拠能力を肯定した酒井・笠井鑑定の内容を踏まえて、上記資料(1)ないし資料(7)について示した判断は、以下のとおりである。<br> '''a''' 資料(1)ないし資料(5)の血痕由来部分について解離試験法により血液型検査をしたところ、資料(1)、資料(4)及び資料(5)はB型とA型の混合あるいはB型とAB型の混合、資料(2)及び資料(3)はO型とB型の混合にA型がわずかに混合したものと考えられ、また、資料(6)はO型、資料(7)はA型であった(確定判決120頁ないし122頁)。<br> '''b''' 資料(1)①及び資料(5)は16型及び18型の濃いバンドと25型及び26型の薄いバンドが、資料(1)②及び資料(4)は18型の濃いバンドと16型、25型及び26型の薄いバンドが、資料(2)は23型及び27型の濃いバンドと16型の薄いバンドが、資料(3)は16型の濃いバンドと23型、26型及び27型の薄いバンドが観察された。これらは、いずれも3種類以上のバンドが検出されたので、いずれも2種類以上のDNAが混合しているものと考えられた。資料(6)は23-27型、資料(7)は18-25型であった(確定判決122頁ないし123頁)。<br> '''c''' 被害者B山の遺体の腹部付近の木の枝に付着していた血痕並びに被害者両名の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に、被害者両名に由来しない血痕ないし血液が混在していたと認められるが、これは犯人のものであるとしか考えられない。被害者B山に由来する資料(4)及び資料(5)の血液部分は抗B抗体に強い反応、抗A抗体に弱い反応を示したこと、被害者B山は陰部から出血しており、この血液の中には被害者B山由来のA型の血液が当然含まれていると考えられること、前記bのMCT118型検査によると、被害者B山の膣内容物及び膣周辺物のいずれからも4本のバンドが検出され、そのうち2本のバンドは被害者B山のものと一致していることからすると、出血した犯人が1人だけで、資料には被害者B山と犯人の2人分の血液が混合していると仮定した場合には、この血液は被害者B山由来のA型の血液と犯人由来のB型の血液の混合したものであると認めるのが相当である(確定判決137頁ないし139頁)。<br> '''d''' 被害者A田に由来する資料(2)及び資料(3)の血液部分は抗B抗体及び抗H抗体に強い反応、抗A抗体に弱い反応を示したことが認められ、被害者A田も陰部から出血しており、この血液の中には被害者A田由来のO型の血液が当然含まれていると考えられることからすると、被害者A田に由来しない血液は、抗B抗体と抗A抗体の反応の違いからみて、B型の血液とA型ないしAB型の血液の混合したものであると考えられる。ここでも被害者両名に由来しないB型の血液の存在が認められ、これは犯人由来のものとしか考えられない(確定判決140頁)。<br> '''e''' 被害者B山に由来する資料(4)及び資料(5)並びに被害者B山の腹部付近の木の枝に付着の資料(1)からは、いずれも16型、18型、25型及び26型のバンドが検出されたこと、被害者B山は18-25型であることが認められるところ、これらの資料には、いずれも被害者B山由来の血液と犯人由来の血液が存在するのであるから、検出された4本のバンドのうち、被害者B山に由来しない16型及び26型は犯人由来のものとしか考えられない。また、被害者A田に由来する資料(3)からは、16型、23型、26型及び27型のバンドが検出されたこと、被害者A田は23-27型であることが認められるところ、この資料には被害者両名及び犯人の血液が存在するのであるから、被害者両名に由来しない16型及び26型は犯人由来のものとしか考えられない。さらに、被害者A田に由来する資料(2)からは、16型、23型及び27型のバンドが検出されたことが認められるところ、この資料には被害者両名及び犯人の血液が存在するのであるから、検出された3本のバンドのうち、被害者両名に由来しない16型は犯人由来のものとしか考えられない。これらのことからすると、出血した犯人が1人しかいないのであれば、その犯人の型は16-26型であると認められる(確定判決147頁ないし148頁)。<br> '''(ウ)''' 確定判決がその証拠能力を肯定した酒井・笠井・佐藤鑑定の内容は、鑑定資料(事件本人の毛髪)の血液型はB型であり、MCT118型は16-26型であるというものである(確定判決125頁ないし127頁)。<br> '''イ''' 血液型鑑定について<br> '''(ア)''' 本田鑑定書等の内容<br>  弁護人が新証拠として提出した本田鑑定書等は、酒井・笠井鑑定の血液型鑑定について、種々の指摘をしてその信用性に疑問を呈しているが、その主な内容は、次のとおりである。<br> '''a''' 血液凝集反応はあくまで定性試験であって定量試験ではないから、酒井・笠井鑑定が血液凝集反応の強弱を血液型判定に持ち込んだことは完全に誤っている。<br> '''b''' 酒井・笠井鑑定には、血液型判定の判断の根拠となる写真が添付されておらず、検査結果に客観性が保証されていない。<br> '''c''' 資料(2)及び資料(3)には被害者B山のMCT118型のいずれのバンドも増幅されていないから、被害者B山の血液が資料(2)及び資料(3)に混合していた可能性は完全に否定される。また、資料(1)ないし(5)が混合資料であるとしても、資料(2)ないし資料(5)に共通している第三者の型はAB型しかない。したがって、すべての血液型検査の結果を矛盾なく説明できる犯人の血液型は、犯人が1人であるとすれば、AB型である(ただし、本田教授は、当審における証人尋問においては、後記eのように、資料(2)ないし(5)についての検査結果は採用できないとした上で、資料(1)からは、犯人の血液型はAB型だと思うと述べている。)。<br> '''d''' 被害者両名と犯人との血液の混合比については、複数の資料で血液型検査とDNA型検査の結果に大きな矛盾がある。すなわち、資料(1)について、抗B抗体に強い反応を示していたことが正しいとすると、被害者B山にないB抗原を有する血液が被害者B山の血液を凌駕するレベルで多量に混合していたことになるが、MCT118型に関しては、被害者B山の型以上に被害者両名以外の型が濃いバンドとして増幅されているという結果は得られておらず、また、資料(3)についても、同様に、血液型検査とDNA型検査の間に明らかな矛盾がある。<br>  なお、血液型検査に比べて、DNA型検査の方が資料を多く必要とするとか、検査の鋭敏さにおいて劣るなどということはあり得ず、むしろ、後者の方が資料は微量で済み、かつ鋭敏である。したがって、血液型が検出された混合資料についてDNA型が検出されないことはあり得ない。<br> '''e''' 資料(2)ないし資料(5)については、木綿糸ではなく、非特異的に抗体を吸収してしまう脱脂綿が使用されているが、コントロールが置かれていないから、資料(2)ないし資料(5)についての血液型検査の結果は信頼できない。<br> '''(イ)''' 検討<br>  そこで、本田教授が本田鑑定書等で指摘する上記事項について、以下、検討する。<br> '''a''' 前記(ア)aの点、すなわち、血液凝集反応の強弱を考慮することには誤りがあるとする点については、本田教授の上記指摘は、酒井・笠井鑑定の基礎資料を再鑑定した結果に基づくものでないことはもとより、血液凝集反応の強弱を考慮する手法の問題点を明らかにした実験結果等に依拠するものでもなく、血液型鑑定の一般的な性質のみに基づいて酒井・笠井鑑定を論難するに過ぎないものである。<br>  酒井技官は、科警研において、長年、血液型判別に関する研究及び実務に携わっている者であるところ、酒井技官によれば、酒井技官は、体液と血液の混合資料から、通常の検査法を用いて、血液及び体液の混合した血液型を検出し、さらに、クロロホルム・メタノール抽出法を用いて、体液と血液の混合資料から、赤血球の血液型物質の主成分である糖脂質を抽出して血液型を検出し、両者の比較を行い、反応の有無・強弱を5段階に分けて、それぞれ凝集反応を確認し、通常の生来的なAB型の凝集反応の現れ方との違いの観点から検討したというのであって(確定第1審第5回公判における酒井技官供述71項ないし101項)、現実に観察された血液凝集反応に、豊富な自らの経験を当てはめて判断したものといえるから、その判断結果は合理性を有するといえる[なお、被害者両名の血液型等を検査した福岡県警察科学捜査研究所(以下「科捜研」という)の林葉康彦技術吏員(以下「林葉技術吏員」という)も、「木の枝付着の人血につき、A型とB型で強弱があったことをはっきり覚えている。A型の凝集反応の強さを1とすると、B型の凝集反応は3くらいの凝集だった」旨供述している(確定第1審第8回公判における林葉技術吏員供述309項ないし312項、353項ないし366項)。]。<br>  また、資料(1)ないし(5)のいずれにも、抗A抗体と抗B抗体への凝集反応に差が認められたというのであるから、検査ごとの偶然の偏りとは考え難い。<br>  解離試験法は、血痕資料に抗A、抗Bなどの抗体を加えて血痕に吸着させ、吸着していない抗体を洗い流した後、血痕に付着させた抗体を解離させて、そこに型の分かっている赤血球を加えて型判定をするものであるから(確定第1審第5回公判における酒井技官供述72項)、血痕資料に含まれている元の抗原の量によって、凝集反応の強さに差異が生じることは不合理でなく、酒井技官が長年の血液型判別に関する研究及び実務に基づいて凝集反応の強弱から行った判断に誤りがあるとして採用しないとするのは相当でない。<br> '''b''' 前記(ア)bの点、すなわち、血液凝集反応についての写真が添付されていないことを問題とする点については、たしかに、酒井・笠井鑑定等の鑑定書には血液凝集反応を撮影した写真が添付されていないことが認められ、爾後の検証の観点からすれば、写真が添付されていることが望ましいことは本田教授が指摘するとおりであるが、鑑定の信用性は、鑑定書の体裁のみならず、鑑定した者の供述等を含めて総合的に判断するべきものであるから、写真が添付されていないことの一事をもって、酒井・笠井鑑定の信用性を否定することは相当でない。<br> '''c''' 前記(ア)cの点は、要するに、酒井・笠井鑑定の血液型鑑定及びこれに基づき犯人の血液型はB型であるとした確定判決の認定は誤っており、犯人の血液型はAB型であるとの趣旨の指摘であると解される。<br>  そこで、まず、資料(2)及び資料(3)から被害者B山のMCT118型が検出されておらず、これらの資料に含まれるA型物質が被害者B山由来のものとはいえないから、これらの資料に含まれる犯人の血液型について、犯人が1人であるとすれば、B型であると認めることはできず、AB型と考えられるとする点について検討する。<br>  この点について、酒井・笠井鑑定は、資料(2)及び資料(3)(被害者A田の膣内容物及び膣周辺物)について、血液凝集反応の強弱を考慮して、O型(被害者A田に由来する)とB型の混合に微量のA型又はAB型が混合しているものと鑑定し、確定判決は、これを踏まえて、これらの資料に含まれるB型は犯人由来のものとみるほかないと認定しているのであって、A型物質が被害者B山由来のものであることは、犯人の血液型をB型と特定する理由とはされていない。<br>  また、ABO式血液型鑑定の可否は血液に含まれている血液型物質の量で決まり、MCT118型鑑定の可否はそれに含まれているMCT118部位のDNAの量で決まるといえるが、確定第1審における酒井技官及び笠井技官の各供述によれば、ABO式血液型鑑定では赤血球を使用し、他方で、MCT118型鑑定では白血球を使用しており、両鑑定では血液中の全く異なる部位を使用しているものと認められ(確定第1審第9回公判における酒井技官供述58項、確定第1審第35回公判における笠井技官供述92項ないし96項、123項)、そうすると、ABO式血液型鑑定が可能となる程度の赤血球を含む血液は存在するが、MCT118型鑑定が可能となる程度の白血球は存在しなかった場合には、資料(2)及び資料(3)には、被害者B山由来のA型の血液型物質が混合しているとの鑑定結果が得られたが、被害者B山由来のMCT118型は検出されないという事態もあり得るところ、資料(2)及び資料(3)が採取された状況等に照らせば、実際にそのような事態が生じることも十分に考えられるから、資料(2)及び資料(3)から被害者B山のMCT118型が検出されていないからといって、資料(2)及び資料(3)に被害者B山の血液が混合していないなどということはできない。むしろ、資料(3)については、帝京大学医学部法医学教室石山昱夫教授によってミトコンドリアDNA型鑑定が実施され、被害者B山由来のものと考えて矛盾しないDNA型が検出されていること(確定第1審甲第625号証)も併せ考えると、本田教授の上記指摘は当たらないというべきである。<br>  次に、資料(2)ないし資料(5)に共通している第三者の型はAB型しかなく、犯人が1人であるとすれば、その血液型はAB型であるとする点についてみると、この指摘は、酒井・笠井鑑定の血液型検査の結果をもとに抽象的な推論をしたに過ぎないものであるから、酒井・笠井鑑定の信用性を低下させるということはできない。なお、本田教授は、当審における証人尋問において、資料(1)によれば犯人の血液型はAB型であるとも証言しているが(第2回36項)、その根拠は、通常は、血液型判定は単独資料を前提にして行うものであり、資料(1)については混合資料であるという前提もないので、AB型と読むのが一番合理的であるというに過ぎないものであって(第2回514項)、当該資料の採取状況などの客観的な事実を考慮に入れていない点で、説得的なものとはいい難く(資料(1)のMCT118型鑑定において4本のDNAバンドが検出されていることからすれば、資料(1)は混合資料であると認められる。)、上記証言も採用できない。<br> '''d''' 前記(ア)dの点、すなわち、被害者両名と犯人との血液の混合比について、複数の資料で血液型検査とDNA型検査の結果に矛盾があるとする点については、前記cで述べたとおり、ABO式血液型鑑定とMCT118型鑑定とでは、血液中の別個の部位を使用することなどに照らせば、血液型鑑定における血液凝集反応の強弱と、MCT118型鑑定におけるバンドの濃さが完全に一致していなかったからといって、酒井・笠井鑑定の信用性が損なわれるということはできない。<br> '''e''' 前記(ア)eの点、すなわち、資料(2)ないし資料(5)には脱脂綿が使用されていることなどから、資料(2)ないし資料(5)についての血液型鑑定は信頼できないとする点については、本田教授自身、当審における証人尋問の1回目の期日以前には言及しておらず、証人尋問の2回目の期日に至って初めて指摘した事項である上、脱脂綿の使用により問題が生じる可能性を抽象的に指摘するのみで、酒井・笠井鑑定の信頼性を疑わせる論拠となるような実験結果や文献資料等は何ら提出されていないのであって、本鑑定を担当した酒井技官が、科警研において、長年、血液型判別に関する研究及び実務に携わっている者であることに照らしても、本田教授のかかる指摘を直ちに採用することはできない。<br> '''f''' 以上のとおりであって、酒井・笠井鑑定の血液型鑑定に関する本田鑑定書等における指摘は、いずれも採用することができない。<br> '''ウ MCT118型鑑定について'''<br> '''(ア) 本田鑑定書等の内容'''<br>  弁護人が新証拠として提出した本田鑑定書等は、酒井・笠井鑑定等で実施されたMCT118型鑑定について、種々の指摘をして、その信用性に疑問を呈しているが、その主な内容は、以下のとおりである。<br> '''a 本田第1次鑑定書の内容'''<br>  本田第1次鑑定書は、事件本人の遺留物件に付着した細胞等を資料として事件本人のDNA型(MCT118型等)を判定すること、並びに、酒井・笠井鑑定等の鑑定結果及びその解釈に対する意見を述べることを鑑定事項とするものであり、その主な内容は、次のとおりである。<br> '''①''' 事件本人の遺留物件に付着した細胞等についてDNA型検査をしたところ、事件本人のMCT118型は18-30型であると判定される。したがって、事件本人のMCT118型を16-26型とした酒井・笠井・佐藤鑑定の鑑定内容は、型判定において誤りがあるのが明白である。<br> '''②''' 酒井・笠井鑑定等は、資料(1)ないし資料(5)から検出された被害者両名以外の型と事件本人の型が同一であると判定しているが、資料(1)ないし資料(5)と事件本人由来の資料が同時泳動された写真がないから、客観的正当性がなく、証拠価値に疑問がある。<br>  また、酒井・笠井鑑定添付の電気泳動写真と酒井・笠井・佐藤鑑定添付の電気泳動写真を比較検討したところでは、泳動位置に違いがあり、資料(1)ないし資料(5)から検出された被害者両名以外の型が16-26型であるとすれば、事件本人の型は16-27型と判定され、明確に異なった型と判定される。<br> '''③''' 酒井・笠井鑑定の結果からは、被害者両名以外の混合が1人なのか、2人なのか、3人なのか、あるいはそれ以上なのかによって、被害者両名以外の型として解釈できる型は幾通りにも存在するから、犯人の型が16-26型であると解釈することができたとしても、決して確定することはできない。<br> '''④''' ポリアクリルアミドゲル電気泳動法では、DNAは必ずしも分子量に従った流れ方をしないので、ポリアクリルアミドゲルで123塩基ラダーマーカーを使ってMCT118型を判定すると型判定を誤ってしまう。<br>  いわゆる足利事件において、科警研により、被告人とされていた菅家利和氏(以下「菅家氏」という)のMCT118型についても、酒井・笠井鑑定等と同じポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて、123塩基ラダーマーカーで型判定がされているが、本田教授が菅家氏のMCT118型を再鑑定したところ、18-29型であることが判明した。<br>  そして、酒井・笠井鑑定の資料(1)等から検出された犯人と推定される型と、菅家氏の型はいずれも16-26型と判定されており、鑑定書添付の電気泳動写真上も両者のバンド位置はほぼ一致しているから、犯人の型も18-29型であるということになる。前記のとおり、事件本人の型は18-30型であることが判明したから、事件本人が犯人である可能性は否定される。<br>  なお、123塩基ラダーマーカーによる鑑定法では、本来の18-29型、18-30型、18-31型が16-26型と判定されるという反論がされるかもしれないが、このような方法は信頼性があるとは到底いえない。<br> '''b 本田第2次鑑定書の内容'''<br>  本田第2次鑑定書は、酒井・笠井鑑定等に添付された電気泳動写真のネガフィルムを可視光及び近赤外光で撮影したデジタル画像データについて精査した上、そこから読み取れる事実を明らかにすることを鑑定事項とするものであり、鑑定結果の主たる内容は、次のとおりである。<br> '''①''' 酒井・笠井鑑定の鑑定書添付写真13のネガフィルム(確定第1審甲第593号証、以下「酒井・笠井鑑定のネガフィルム」という)のデジタル画像データ(本田第2次鑑定書添付写真3及び4)では、被害者両名の心臓血(資料(6)、資料(7))を含むすべての資料において、16型のバンドが検出されているから、16型のバンドは非特異増幅バンドないし外来汚染によるもので、犯人の型とは無関係のバンドであるといえる。<br> '''②''' 前記デジタル画像データの資料(1)、資料(4)及び資料(5)には、41型、46型と見られるバンド(以下「X-Yバンド」という)が存在するところ、このX-Yバンドは被害者両名のみの血液資料からは検出されていないことから、犯人はこのX-Yバンドの型を有する人物の可能性が高い。なお、この画像だけからはX-Yバンドがエキストラバンドであるとする根拠がない。<br> '''③''' 前記デジタル画像データの分析結果によれば、26型とされたものは、資料(1)ないし資料(5)のうち3つで辛うじて認められるが、これらですら、濃度が非常に薄いのみならず、被害者両名のバンドと明瞭にピークの分離がされておらず、意味のあるバンドであるか否かの認定が困難で、ゲルの固まりムラによる泳動中の増幅産物の解離によるアーチファクトバンドの可能性を否定できない。<br> '''(イ) 検討'''<br>  そこで、本田教授が本田鑑定書等で指摘する上記事項について、以下、検討する。<br> '''a 本田第1次鑑定書について'''<br> '''①''' 前記(ア)a①の鑑定結果自体については、特に信頼性を疑わせるような事情はない(検察官も特に信頼性を争っていない。)。その意義については、後記④において更に検討を加えることとする。<br> '''②''' 前記(ア)a②では、酒井・笠井鑑定と酒井・笠井・佐藤鑑定の各電気泳動が別々の機会に実施されたものであることが問題にされているが、123塩基ラダーマーカーとポリアクリルアミドゲル電気泳動法の組合せでMCT118型を判定する方法は、再現性が高く、検査者及び検査時の違いにより型判定が異なることはないものとされているから[確定第1審第5回公判における酒井技官供述212項ないし213項、笠井技官ら「MCT118座位PCR増幅産物のゲル電気泳動による分離とDNAマーカーによる型判定に関する技術的検討-123塩基ラダーとシータス・アレリックラダーとの比較-」(確定第1審弁第7号証21頁)]、鑑定資料と対照資料を同時に泳動しなければ型の同一性を判定できないとはいえない。<br>  また、MCT118型鑑定における型判定は、電気泳動写真をDNA解析装置に取り込み、デンシトメトリーを用いてデンシトグラムのピークの有無、高さ等を読むなどして行うものとされているところ、本件では、事件本人の毛髪のバンドをデンシトメトリーで読み取ると、その上位バンドの数値は563.7ないし564.9(確定第1審甲第605号証、同第606号証)などと、26型と判定するのが相当といえる数値であったのであるから、酒井・笠井・佐藤鑑定が行った型判定には、その当時の判断としては、疑問の余地はない。<br>  本田教授は、酒井・笠井鑑定の鑑定書添付写真13と酒井・笠井・佐藤鑑定の鑑定書添付写真8を対比する手法によって、酒井・笠井鑑定等の型判定に誤りがあるとするが、その判定手法は、一般的な手法とは異なり、デンシトメトリーを用いることなく電気泳動写真の目視によってバンドの位置を確定しようとするものであり、そのような手法が当を得ないものであることは明らかであって、このことのみからして、本田教授の上記見解は採用し難いものがある。<br>  また、本田教授の採った前記手法、すなわち、酒井・笠井鑑定の鑑定書添付写真13と酒井・笠井・佐藤鑑定の鑑定書添付写真8を対比するという手法を前提としても、本田第1次鑑定書に添付された写真(「写真:123ラダーマーカーによる泳動写真の比較」)を子細に検討すると、事件本人の上位バンドは、本田教授が引いた27型を示すとされる黄色線と重なる位置ではなく、黄色線の右側の位置、すなわち、27型より下位の型と思料される位置に検出されており、同鑑定書に添付された写真によっても、事件本人の上位バンドが27型であるとは認められない。<br>  さらに、平成24年12月14日付け科警研法科学第一部生物第四研究室室長関口和正作成の意見書(以下「関口意見書」という)において指摘されているとおり、同鑑定書添付の写真においてなされているラダーマーカーの位置の比較は適切になされていない。すなわち、本田教授は、同鑑定書添付の写真において、複数の電気泳動写真における615塩基の位置を揃えるために左側の黒色線を引いたとしているが、同写真を子細に検討すると、酒井・笠井鑑定における615塩基のマーカーも、酒井・笠井・佐藤鑑定における615塩基のマーカーも、同黒色線と重なる位置には存在しておらず、しかも、同黒色線の右側の位置に酒井・笠井鑑定の615塩基のマーカーが、同黒色線の左側の位置に酒井・笠井・佐藤鑑定の615塩基のマーカーがそれぞれ検出されていることに照らせば、本田第1次鑑定書に添付された前記写真では、酒井・笠井・佐藤鑑定で検出されたバンドが高分子側に誤って判定される可能性が高い。<br>  以上のとおり、本田教授の行った写真の比較は、上記のような種々の問題点を含むものであり、本田教授の前記指摘は、それに基づいて述べられたものであるから、採用し難い。<br>  したがって、本田教授の前記(ア)a②の指摘は、採用できない。<br> '''③''' 前記(ア)a③について検討すると、酒井・笠井鑑定の結果から犯人の型として解釈できる型は、犯人の人数によって異なり、酒井・笠井鑑定の結果のみからは、犯人の型を16-26型であると確定できないことは、本田教授が指摘するとおりである。<br>  しかしながら、酒井・笠井鑑定は、被害者両名以外の血液について、「おそらく、MCT118型は16-26型であると考えられる」と考察しているのであって(鑑定書14頁ないし15頁)、犯人のMCT118型を16-26型と断定しているわけではなく、確定判決も、これを前提として、「出血した犯人が1人しかいないのであれば、その犯人のMCT118型は16-26型であると認めるのが相当である」と判示しているのである(確定判決148頁)。<br>  したがって、本田教授の上記指摘は、確定判決の事実認定を左右するものではない。<br> '''④''' 前記(ア)a④について検討すると、本田鑑定書等によれば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて、123塩基ラダーマーカーによりMCT118型の判定を行うと、得られた型が本来の塩基配列の繰り返し数を正しく反映せず、型判定を誤ってしまうこと、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて、123塩基ラダーマーカーでMCT118型が16-26型と判定された資料について、正しく型判定する手法とされているアレリックラダーマーカーにより判定を行うと、18-29型、18-30型及び18-31型のいずれかと判定される可能性があることが認められる(なお、この点に関し、本田教授は、いわゆる足利事件において、アレリックラダーマーカーを用いた型判定では18-29型と判定される菅家氏の型が、123塩基ラダーマーカーを用いた型判定では16-26型とされており、本件の資料(1)等について123塩基ラダーマーカーにより判定された型と同一であることを根拠に、本件の犯人の型も18-29型であるとも指摘しているが、上記のとおり、123塩基ラダーマーカーにより16-26型と判定された資料は、アレリックラダーマーカーで判定した場合に18-29型のみに結び付くものではないから、この点に関する本田教授の指摘は採用することができない。)。<br>  ところで、確定第1審及び確定控訴審においては、確定審弁護人の123塩基ラダーマーカーで判定された特定の型とアレリックラダーマーカーで判定された型は1対1では対応していない旨の主張に対して、確定判決は、「123塩基ラダーマーカーで測定した場合、犯人と同一の型を有しているということは、右マーカーによる測定上は、犯人と同一の型を示したということであり、意味がないことにはならない」と判示した上で(144頁)、「犯人が1人であるとした場合には、MCT118型は16-26型であり、事件本人の型と一致していること」を有罪認定の根拠の1つとして挙げ、また、確定控訴審判決も、「被告人及び本件資料(犯人)のDNA型(MCT118型)は、同じ型であり、アレリックラダーマーカーを用いて判別した場合には、18-29型か18-30型か18-31型のいずれかの型に一致するといえる以上、そのどれに当たるかが明確になっていないとしても、塩基列の繰り返し数を基準とするDNA型としては同一である」と判示した上で、最も出現頻度が高いと認められる18-30型について出現頻度を計算した結果に他の事実と併せると、事件本人が犯人である蓋然性が極めて高いと判示した(23頁ないし24頁)。<br>  このように、123塩基ラダーマーカーによる型判定では16-26型と判定された資料は、アレリックラダーマーカーによる正確な型判定では18-29型、18-30型及び18-31型の3つの型のいずれかに当たり得るところ、確定審もこれを前提に判断していたということができるが、前記(ア)a①のとおり、本田第1次鑑定書によれば、事件本人の正確なMCT118型は18-30型であることが明らかになっているから、酒井・笠井鑑定が現場遺留資料をもとにして123塩基ラダーマーカーにより判定した犯人の16-26型が、アレリックラダーマーカーによる型判定によって18-30型に当たる場合には、事件本人の型と一致しており、事件本人についての有罪認定の根拠とすることが可能であるが、上記16-26型が18-29型又は18-31型に当たる場合には、事件本人の型と矛盾することになるから、事件本人が犯人であることが否定されるか、少なくとも、事件本人についての有罪認定の根拠とすることができない。そして、本田教授が関与したいわゆる足利事件においては、捜査段階で科警研が実施した鑑定では、菅家氏に由来する資料(精液)及び被害者が着用していた下着に付着した精液のMCT118型はいずれも16-26型で同型であったとされていたが、再審段階において、上記下着に付着した精液及び菅家氏の血液のDNA型について再鑑定を実施したところ、両者は一致しなかったとされたのに対し、本件においては、被害者両名以外の者(犯人)由来の血液が付着した資料は残されておらず、その再鑑定を行うことはできないから(なお、再鑑定のための資料を残しておくことが望ましいことはいうまでもないが、資料が残されていないからといって、それにより直ちに証拠能力が否定されることにはならない。)、アレリックラダーマーカーによる犯人の正確な型が事件本人の正確な型(18-30型)と一致するか否かを確定することはできないといわざるを得ない[いわゆる足利事件の再審判決を受けて科警研が検証した結果では、123塩基ラダーマーカーで26型と分類された資料は、アレリックラダーマーカーでは29型又は30型と判定され、69例のうち、25例が29型、44例が30型に対応したとされているが(警察庁「足利事件における警察捜査の問題点等について」添付の科警研「水口清教授及び玉木敬二教授の意見書に対する補足説明」2頁、8頁)、この結果から、本件における犯人のアレリックラダーマーカーによる型は30型と断定することはできない。他方、本田教授は、いわゆる足利事件の再審における再鑑定の結果をもとに本件の犯人の型は18-29型であると述べるが、これが採用できないことは前記のとおりである。]。<br>  以上、要するに、確定判決後のいわゆる足利事件の再審にも関与した本田教授の前記指摘等を踏まえると、現段階においては、酒井・笠井鑑定等が、123塩基ラダーマーカーを指標として判定した事件本人のMCT118型及び資料(1)ないし資料(5)に含まれる被害者両名以外の者(犯人)に由来すると思われる血液のMCT118型が16-26型で一致しているとしたことをもって、単純に事件本人に対する有罪認定の根拠とすることはできない状況が生じているということができる。<br>  そこで、酒井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定の証明力についてこのように理解した場合に、本田鑑定書等に明白性が認められるか、すなわち、新旧全証拠を総合的に評価した結果として、確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じるかについて、後記(4)において詳述することとする。<br> '''b 本田第2次鑑定書について'''<br> '''①''' 前記(ア)b①の点について検討すると、本田教授の指摘は、本田第2次鑑定書添付の写真(酒井・笠井鑑定のネガフィルムを撮影した画像データ)を精査すると、被害者両名のみに由来する資料である資料(6)及び資料(7)を含め、すべての増幅泳動レーンに16型が認められるから(資料(6)及び資料(7)の同位置のバンドの濃度は資料(1)②のそれと同程度又はそれより濃いことから、資料(6)及び資料(7)の同位置のものをバンドでないということはできない。)、すべての資料に認められる16型は、非特異増幅バンド、PCRでの外来汚染、泳動時の汚染又はその他の実験エラーに由来するエキストラバンドであると考えられ、犯人とは全く無関係のバンドであるというものと解される。<br> '''Ⅰ''' たしかに、本田第2次鑑定書添付の写真1ないし7を見ると、資料(6)及び資料(7)の16型付近の位置に、鮮明ではないものの、バンド様のものを見て取ることができる。しかしながら、本田教授が、すべての資料に共通する16型は非特異増幅バンド、PCRでの外来汚染、泳動時の汚染又はその他の実験エラーに由来するエキストラバンドと考えられるとする点については、にわかに首肯することができない。<br>  すなわち、関口意見書に記載されているとおり、MCT118型検査は、16型の非特異増幅を生じるような検査法であるとは認められないし、16型が各資料に含まれるDNAに由来せず、各資料のPCR増幅の過程における外来汚染によるものであるとすれば、各レーンに同程度の濃度で汚染由来のバンドが検出されるのが自然であるが、本田第2次鑑定書の画像解析によれば、16型のバンド濃度(相対値)が最も高いのは資料(5)(Lane3)で、184507であるのに対し、資料(7)(Lane1)のバンド濃度は6744と最も低いし、資料(1)ないし資料(5)のバンド濃度についてみると、資料(1)②(Lane7)こそ6854と低いものの、その他のバンド濃度は、いずれも、資料(6)及び資料(7)のバンド濃度をはるかに上回っている。また、16型が泳動時の汚染によるものであるとすれば、123塩基ラダーマーカーの3つのレーンにはいずれも16型が検出されていないことの説明が困難である。「その他の実験エラー」についても、酒井・笠井鑑定等の実施過程に即した具体的な根拠に基づく指摘ではなく、上記写真及びその解析結果をもとに、抽象的な可能性を述べる以上のものではない。<br>  そして、資料(6)及び資料(7)に16型のバンド様のものが見られることについて、確定第1審の証人尋問において、酒井技官は、デンシトグラムの波形及び酒井・笠井鑑定のネガフィルムを見て、上記のバンド様のものは、いずれも、16型のDNAが混入したものではなく、よごれであると判断した旨述べ(確定第1審第9回公判における酒井技官供述113項ないし129項)、笠井技官も、同様に、現像ムラか染色ムラと思われる旨述べているところ(確定第1審第35回公判における笠井技官供述71項ないし76項)、関口意見書(4頁)が述べるように、検査時に使用したエチジウムブロマイド溶液中に濃度ムラが存在している場合には、染色ムラによるバックグラウンドの発色が観察される可能性があることに加え、資料(6)及び資料(7)の16型付近のバンド様のものの形状等をも考えると、酒井技官及び笠井技官の上記判断にはそれなりに合理性があるということができる。<br> '''Ⅱ''' また、仮に、本田教授が述べるように、資料(6)及び資料(7)の16型のバンド様のものがエキストラバンドであると考えるとしても、そこから直ちに資料(1)ないし資料(5)の16型もすべてエキストラバンドであるとすることには、たやすく与することはできない。すなわち、酒井・笠井鑑定は、それぞれ別の資料である資料(1)ないし資料(7)を泳動させてその型を判定しているのであるから、資料(6)及び資料(7)から16型のエキストラバンドが検出されたからといって、その他の資料から検出された同型のバンドもすべてエキストラバンドであることが論理必然的に導かれるわけではない。また、本田第2次鑑定書によっても、資料(6)及び資料(7)から検出された16型がエキストラバンドであったとしても、その生成機序が具体的に特定されていない以上、資料(1)ないし資料(5)の検査過程に強く疑問を抱かせるということはできず、資料(1)ないし資料(5)の16型のバンドが、アレルバンドではなく、エキストラバンドである現実的な可能性が存在するとは認め難い。<br> '''Ⅲ''' そうすると、酒井・笠井鑑定において、資料(1)ないし資料(5)から検出された16型はエキストラバンドであり、犯人の型が16型であるとは認められないとする本田教授の見解は採り得ない。<br> '''②''' 本田教授の前記(ア)b②の指摘は、X-Yバンドが被害者両名のみの血液資料からは検出されていないことから、犯人はこのX-Yバンドの型を有する人物の可能性が高いというものである。<br> '''Ⅰ''' たしかに、本田教授が本田第2次鑑定書及び当審における証人尋問において指摘するとおり、酒井・笠井鑑定のネガフィルムを見ると、その資料(1)①、資料(1)②、資料(4)及び資料(5)のレーン上に、X-Yバンドの位置にバンド様のものが存在することは認められる。<br> '''Ⅱ''' このバンド様のものが非特異増幅バンドではなく、犯人由来のアレルバンドである可能性を否定できない根拠として本田教授が挙げる点は、概ね、(Ⅰ)自験例において、MCT118型に37-47型が実在することを確認していること、(Ⅱ)このような高いバンドサイズ位置にMCT118型のエキストラバンドがあることは考えにくいこと、(Ⅲ)特定の意味のあるサンプルのみにしかX-Yバンドが認められていないこと、(Ⅳ)高塩基バンドにもかかわらず、同一部位に明瞭にバンドが見られることである。<br> '''Ⅲ''' まず、前記Ⅱ(Ⅰ)についてみると、高分子領域においてもMCT118型が実在することは、X-Yバンドがアレルバンドであることを否定しない理由の1つにはなるが、このことのみからX-Yバンドがアレルバンドである、あるいは、アレルバンドの可能性が高いと積極的に認める根拠になるものではない。<br>  次に、前記Ⅱ(Ⅱ)の点について検討すると、関口意見書、渡辺剛太郎らによる「MCT118型にみられるエキストラバンドの成因」(以下「渡辺論文」という)及び三谷友亮らによる「MCT118型検査におけるエキストラバンドの形成機序及びエンドヌクレアーゼを用いた識別」(以下「三谷論文」という)によれば、MCT118型検査においては、エキストラバンドは、しばしば、本来のバンドより高分子領域に観察され、42以上の型においても出現することが認められる。実際、資料(2)及び資料(6)には、X-Yバンドよりもさらに高分子側である、理論上75型以上の位置にエキストラバンドと認められるバンドが存在している(本田教授も、これらのバンドについて、余りにも高すぎるので、本田第2次鑑定書作成時には、アレルバンドとは見ていなかったとの趣旨の証言をしている。)。本田教授の前記Ⅱ(Ⅱ)の指摘は、根拠となる実験結果等を示すことなく、X-Yバンドのバンドサイズ位置にエキストラバンドは生じるとは考えにくいとするものであって、採用することができない。<br>  また、本田教授が前記Ⅱ(Ⅲ)で指摘する「特定の意味のあるサンプル」とは、被害者両名の心臓血以外の資料を指すものと解されるが、被害者両名の心臓血以外の資料から検出されていることは、X-Yバンドがアレルバンドである可能性を示す理由の1つにはなるとしても、そのことから直ちにX-Yバンドがアレルバンドである、あるいは、アレルバンドの可能性が高いと認めることはできない。関口意見書、渡辺論文及び三谷論文によれば、MCT118型検査におけるエキストラバンドは、DNAのPCR増幅の際に、非相補的にヘテロデュプレックスが生成されることにより生じるものであり、2つのアレルが近い分子量を持っている際に生じやすいと認められるところ、X-Yバンドが見られる資料(1)①、資料(1)②、資料(4)及び資料(5)については、16型と18型の双方が検出されているのに対し、X-Yバンドが見られない資料(2)及び資料(3)では、16型は検出されているが18型ないしこれに近接したバンドは検出されていないなど、バンドの出現状況が異なっていることに照らすと、X-Yバンドをエキストラバンドであると考えることにも相応の理由があるといえる。なお、弁護人は、渡辺論文はアレリックラダーマーカーを用いて16型と18型と判定されたものに関しての考察結果であることを指摘するが、上記のようなエキストラバンドの生成機序に照らせば、マーカーの相違がその本質的な点に影響するとは考え難い。そうすると、本田教授の前記Ⅱ(Ⅲ)の指摘は、抽象的な可能性を述べたものにとどまると評価せざるを得ない。<br>  さらに、前記Ⅱ(Ⅳ)についても、同一部位に出現が認められるからといって、直ちにそれがアレルバンドであることを示す事情とはいえないことは明らかである。渡辺論文には、16型及び18型を含む複数の資料を同一のゲルで電気泳動した場合、16型及び18型をもとに生じたエキストラバンドが同一の位置で生じるという実験結果が示されており、同じ生成機序により生じた場合には、エキストラバンドは同一部位に見られるものと考えられる。そうすると、本田教授の前記Ⅱ(Ⅳ)の指摘についても、X-Yバンドがアレルバンドである根拠になるとは認め難い。<br>  したがって、本田教授が、X-Yバンドがアレルバンドであることを否定できないとする根拠として示している前記Ⅱ(Ⅰ)ないし(Ⅳ)は、X-Yバンドがアレルバンドであると認める根拠とはならないか、あるいは、根拠として抽象的な可能性を示すにとどまるものであり、これらを総合しても、X-Yバンドがアレルバンドである可能性が高いと認めることはできない。<br> '''Ⅳ''' さらに、酒井技官及び笠井技官は、鑑定時に複数回電気泳動を行っていることを、確定第1審において一致して述べているところであり(確定第1審第6回公判における酒井技官供述231項、同第7回公判における酒井技官供述160項ないし161項、同第35回公判における笠井技官供述80項、304項)、かつ、笠井技官は、MCT118型としては大きいサイズであるバンドが2本あったため、アレルバンドかどうか判断するために、少なくとも2回実施した電気泳動において移動度を確認したところ、再現性がなかったため、エキストラバンドと判断したとしているところ(平成24年12月26日付け笠井技官作成の報告書)、渡辺論文及び三谷論文によれば、エキストラバンドは、ゲル組成の違いによってバンドの移動度が大きく変化する非相補的配列の高次構造をとるものであり、MCT118型検査では、異なる電気泳動条件によりエキストラバンドの移動度の差を確認する方法が採られており、ほとんどの場合、エキストラバンドとアレルバンドを容易に識別することが可能であるとされていることに照らしても、酒井技官らの上記説明は合理的なものということができる。<br>  以上によれば、X-Yバンドはエキストラバンドであると認めるのが相当である。<br>  なお、弁護人は、酒井・笠井鑑定の鑑定書添付の写真13は、X-Yバンドが出現している部分をカットすることによって、X-Yバンドの存在を隠ぺいしており、この隠ぺいは看過することが到底許されない重大な改ざんであるから、酒井・笠井鑑定の証拠能力は否定されなければならない旨主張する。しかしながら、上記写真のもととなった酒井・笠井鑑定のネガフィルム自体は保存されており、確定第1審においても、証拠として提出され、笠井技官に対する尋問でも使用されているなど、酒井技官らに改ざんの意図があったとは窺えないことに加え、上記のとおり、X-Yバンドはエキストラバンドとする酒井技官らの判断に合理性が認められることなどからすれば、酒井・笠井鑑定がX-Yバンドが写った写真を添付した上で上記内容の説明を付さなかったことの当否はともかくとして、そのことによって酒井・笠井鑑定の証拠能力が否定されることとはなり得ない。<br> '''Ⅴ''' 以上のとおり、X-Yバンドが犯人の型である可能性が高いとする本田教授の指摘は採用できない。<br> '''③''' 本田教授の(ア)b③の指摘は、資料(1)①、資料(1)②、資料(3)、資料(4)及び資料(5)から26型が検出されたとする酒井・笠井鑑定は誤りであり、したがって、犯人の型が26型であると認めることはできないというものと解される。<br>  すなわち、本田教授は、本田第2次鑑定書において、資料(1)②及び資料(4)については、酒井・笠井鑑定では25型バンドと26型バンドの複合バンドとされているが、同鑑定書添付の画像データのデンシトグラム解析においては、両者は分離されていないことから、26型バンドを認めることはできず、また、資料(1)①、資料(3)及び資料(5)についても、バンドの濃度が非常に薄いのみならず、25型バンドあるいは27型バンドと明確にピークが分離されておらず、デンシトグラム上もノッチ形成のレベルにとどまっていることから、もともと1つであったバンドが、ゲルの固まりムラにより、電気泳動中の増幅産物の解離によって生じたアーチファクトバンドである可能性が否定できないと指摘している。<br> '''Ⅰ''' まず、資料(1)②及び資料(4)から検出された26型について、本田教授が問題とする点につき検討する。<br>  確定第1審において、酒井技官及び笠井技官は、電気泳動の結果検出されたバンド様のものがアレルバンドであるか否かは、デンシトグラムのピークの有無、高さ等のみにとらわれることなく、ネガフィルムの現物を実際に観察し、当該バンド様のものの形状、濃さ、位置等を考慮して、総合的に判断する旨を述べている(確定第1審第9回公判における酒井技官供述107項ないし112項、128項ないし153項、291項ないし292項、同第35回公判における笠井技官供述79項ないし80項、124項ないし128項、298項、308項)。その上で、酒井技官は、資料(1)②から26型が検出されたと判定したことにつき、ネガフィルム上の25型のバンドが太めのものであり、その上にもバンドがあると判断されるものであったこと、デンシトグラム(確定第1審甲第598号証)の25型のピークの落ち方は普通のものとは異なっており、すそ野の中に隠れる形でもう1つバンドがあると判断されるものであったことなど、具体的な判定根拠を述べている(確定第1審第9回公判における酒井技官供述131項ないし145項)。酒井技官の述べる内容は合理的なものであり、上記デンシトグラムもそのような解釈が十分可能な形状といえる(なお、本田教授は、酒井・笠井鑑定のネガフィルムを当審における証人尋問の2回目で示されるまで見たことがなかった。)。<br>  そうすると、資料(1)②及び資料(4)から26型が検出されたとする鑑定結果は、本田教授の前記指摘を踏まえても、揺らぐものではない。<br> '''Ⅱ''' 次に、資料(1)①、資料(3)及び資料(5)から検出された26型について、本田教授が問題とする点につき検討する。<br>  この点について、関口意見書は、ゲルの固まりムラがあり、そこで増幅産物の解離が起こったのであれば、その位置を通過した増幅産物はすべて二重になるはずであるが、資料(1)①、資料(3)及び資料(5)の16型及び18型のバンドは二重になっていないことを指摘して、固まりムラによって特定のレーンの特定の場所だけが二重になりノッチが形成されるというのは、非常に不自然である旨述べているところ(5頁)、この意見は、電気泳動の科学的原理に合致する合理的な内容であるといえる。<br>  また、前記のとおり、酒井・笠井鑑定に従事した科警研の技官らは、確定審の公判において、いずれも、複数回の電気泳動を実施して、26型のバンドを確認した旨を述べており、ゲルの固まりムラによるアーチファクトバンドが同じ場所に複数回生じることは考え難いことなどに照らせば、本田教授が指摘する資料(1)①、資料(3)及び資料(5)の26型がアーチファクトバンドである可能性はないというべきであり、資料(1)①、資料(3)及び資料(5)から26型が検出されたとする鑑定結果は、本田教授の前記指摘を踏まえても、揺らぐものではない。<br> '''Ⅲ''' そうすると、資料(1)①、資料(1)②、資料(3)、資料(4)及び資料(5)から26型が検出されたとする酒井・笠井鑑定は誤りであり犯人の型が26型であるとは認められないとする本田教授の見解は採り得ない。<br> '''エ 弁護人が提出したその他の証拠について'''<br>  弁護人は、いわゆる足利事件の再審判決が、同事件におけるDNA型鑑定について、中核をなす異同識別の判定の過程に相当程度の疑問を抱かせ、具体的な実施方法も、その技術を習得した者により科学的に信頼される方法で行われたと認めるには疑問が残るとして証拠能力を否定したことは、同事件とほぼ同時期に、同じ部位について同じ手法で実施された酒井・笠井鑑定等にもそのまま妥当する旨主張する。<br>  そして、弁護人は、本田鑑定書等に加え、酒井・笠井鑑定等が実施された当時におけるMCT118型の鑑定手法はいまだ未成熟なものであったことは玉木意見書でも指摘されており、ポリアクリルアミドゲル電気泳動と123塩基ラダーマーカーによる鑑定手法は型判定自体の正確性に疑問があることは水口意見書が指摘しているから、酒井・笠井鑑定等は、異同識別の判定過程に相当の疑問が生じており、証拠能力が認められない旨主張する。<br>  しかしながら、いわゆる足利事件の再審判決は、被害者が着用していた下着の付着物にかかるDNA型の再鑑定(検出された型は菅家氏の型と一致しなかった)等、再審において新たに取り調べられた各証拠を踏まえると、同事件におけるDNA型鑑定には、現段階においては証拠能力を認めることができないと判断したものであり、同事件当時の科警研によるDNA型鑑定の信頼性について一般的に判示したものでないことは明らかである。<br>  また、最高検報告書、玉木意見書及び水口意見書は、いずれも、いわゆる足利事件の科警研による鑑定書等について検討した結果を論じたものであって、本件における酒井・笠井鑑定等を検討した上での意見を述べるものではないから、これらの書面によって酒井・笠井鑑定等の証拠能力が否定されることにはならない。<br> '''(3) 小括'''<br>  これまで検討してきたところによれば、弁護人が新証拠として提出した証拠によっても、確定判決の有罪認定の根拠となったT田供述及び酒井・笠井鑑定等の血液型鑑定の信用性は揺らぐものではないが、他方で、酒井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定については、本田鑑定書等によって、その証明力を確定判決の当時よりも慎重に検討すべき状況に至っているということができる。<br>  そこで、次項において、酒井・笠井鑑定等、当審における新証拠である本田鑑定書等及び確定審において取り調べられたその余の全証拠を総合的に評価した結果として、確定判決の有罪認定につき合理的な疑いが生じるか否かを検討することとする。<br> '''(4) 新旧全証拠による総合評価について'''<br> '''ア 序論'''<br>  確定判決の証拠構造及び認定根拠の概要は、前記第1の3のとおりであり、確定判決は、主として、前記第1の3記載の6つの情況事実群を総合評価して事件本人に対して有罪認定をしたものと解されるが、これらの情況事実は、各々独立した証拠によって認められるものである。他方、当審において弁護人が提出した新証拠は、上記の情況事実群のうち、第1の3(1)①のT田の目撃供述及び同3(4)の科警研による鑑定の信用性等が否定されることのみを立証命題とするものであり、その余の情況事実を証明する証拠の信用性等に関する新証拠は提出されていない(なお、PM法によるDNA型鑑定に関する当審弁第2号証ないし同第5号証については、後記イ(イ)cで検討する。)。そうすると、前記(3)のように、本田鑑定書等によって、科警研による鑑定のうち、酒井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定の証明力については、より慎重な評価をすべき状況に至っているが、だからといって、それだけで直ちに、確定判決における有罪認定について合理的な疑いが生じるということはできない。<br>  この点について、弁護人は、確定判決が情況事実を証明する証拠として挙げるもののうち、柱となる証拠はT田の目撃供述及び科警研による鑑定であり、これらの信用性等が否定される結果、その余のいかなる情況証拠を総合したところで、事件本人を犯人と認めることはできない旨主張するが、これは、上記のような確定判決の有罪認定の証拠構造を正解したものとはいい難いし、弁護人が提出する新証拠によっても、T田の目撃供述及び上記MCT118型鑑定を除く科警研による鑑定の信用性等が否定されないことは前記のとおりであるから、弁護人の上記主張は採用することができない(なお、弁護人は、確定判決は事件本人以外の者が犯人である可能性に論及しているところ、本田鑑定書等によれば、犯人は事件本人とは全く異なる人物であることが立証されるとも主張するが、そのような合理的な疑いは生じない。)。<br>  以上によれば、上記MCT118型鑑定以外の情況事実のみの総合評価によって、確定判決と同様に、事件本人が犯人であることが十分に認められる場合はもとより、上記MCT118型鑑定以外の情況事実に加えて、本田鑑定書等により証明力の評価に変化が生じた上記MCT118型鑑定を総合的に評価した結果として、確定判決の有罪認定につき合理的な疑いが生じない場合にも、本田鑑定書等に明白性は認められないといえる。<br>  そこで、以下では、上記MCT118型鑑定以外の情況事実ないし情況証拠群を総合評価して認められる事実について検討した上で、上記のようにMCT118型鑑定の証明力の評価に変化が生じたことがその認定にどのような影響を与えるか等について検討を加えることとする。<br> '''イ 酒井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定以外の情況事実等'''<br> '''(ア) 犯人使用車両等'''<br> '''a''' 本件犯行は、福岡県飯塚市内の小学校に登校中の被害者両名を自動車に乗車させて略取又は誘拐し、殺害した上、その遺体を山中に遺棄したというものである。<br>  T田は、犯人が被害者両名の遺体及び遺留品を遺棄することが可能であった時間帯に、遺留品発見現場の直近において、紺色、ワンボックスタイプ、後輪ダブルタイヤで、リアウインドーにフィルムが貼付されている不審車両を目撃したことを供述している(弁護人が当審で提出した嚴島第2次鑑定書によってもT田の上記供述の信用性が揺らがないことは、前記(1)のとおりである。)。また、被害者両名が略取又は誘拐された時刻、場所と極めて接着した時刻、場所において、複数の者が、T田が目撃したものとほぼ同じ特徴を有する不審車両を目撃したことを証言している(確定第1審第23回公判におけるW田W男供述、同第25回公判におけるX田X男供述等)。<br>  これらの事実に、関係証拠によれば、その当時、紺色、ワンボックスタイプで、後輪ダブルタイヤという特徴を満たす車両を製造していたのはマツダのみであること、被害者両名の着衣に繊維片が付着していたところ、その繊維片は、その原糸、染色に使用された染料及びその配合比等によれば、昭和57年3月26日から昭和58年9月28日までの間に製造、販売されたマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高いことが認められること(確定第1審第90号証、同第99号証、同第120号証、同第133号証等)を併せ考えると、犯人が犯行に使用した車両(以下「犯人使用車」という)は、上記期間に製造、販売された紺色のマツダステーションワゴン・ウエストコーストであって、リアウインドーにフィルムが貼付されていたことが認められる。<br>  他方、関係証拠によれば、事件本人が事件当時使用していた車両(事件本人車)は、これと製造時期を同じくする同車種、同グレード、同車色のものであり、事件当時、リアウインドーにはフィルムが貼られていたことが認められる(確定第1審甲第476号証、同第506号証、同第720号証等)。<br> '''b''' また、関係証拠によれば、犯人が被害者両名を略取又は誘拐した現場は、飯塚市の郊外で、県道から脇道ないし裏道ともいうべき細い道路を入っていった場所であって、周囲の状況からしても、付近で居住ないし稼働する者以外の者が通行することは多くないと考えられる場所であり、同所において午前8時30分過ぎ頃という比較的早い生活時間帯に被害者両名の略取又は誘拐が行われていること、犯人は、その後、T田が不審車両を目撃するまでの約2時間30分の間に、被害者両名を殺害し、被害者両名の遺体及び遺留品を遺棄したと認められるところ、これらの遺棄現場は、山道の国道沿いの山中にあって、被害者両名が通学していた小学校から遺体遺棄現場までの距離は、経路によって異なるが、28ないし36.1キロメートルであり、自動車で35分ないし53分を要することが認められ(確定第1審甲第504号証、確定第1審の検証調書等)、このような事情にかんがみると、犯人は、上記各現場付近に居住するなどして、土地鑑を有している人物である可能性が高いと考えられる。<br>  他方、関係証拠によれば、事件本人は、被害者両名が通学していた小学校の付近に居住しており、上記各現場に土地鑑を有している(確定第1審乙第12号証、確定第1審第19回公判におけるG7供述等)。<br> '''c''' そして、前記aの犯人使用車と同車種、同グレードの車両の保有状況に関する捜査結果によれば、この条件に該当する車両は、前記期間に全国で5198台が製造、販売されたこと、平成3年12月末時点では全国で2854台、福岡県内では149台が保有されていたこと、本件犯行当時運行可能な上記条件に合致する車両は福岡県内で127台存在し、その使用者は合計130名であったところ、そのうち血液型がB型の者は事件本人を含めて21名であったことが認められる(確定第1審甲第111号証ないし同第117号証、同第134号証ないし同第456号証)。<br>  また、紺色のワンボックスカー、後輪ダブルタイヤ仕様、使用者の住居地が福岡県内の条件に合致する車両は299台であり、そのうち飯塚警察署管内の使用者は28名(事件本人の妻である久間C子を除く)であり、そのうち被害者両名の通学路を通行し、あるいは、通学先の小学校近辺に車両を駐車する可能性がある者は13名であるところ、修理、解体等で運行していなかった4名を除いた9名については、事件当時に略取又は誘拐や遺体遺棄の現場にいなかったこと、これらの者が使用していた車両の窓ガラスには色付きのフィルムが貼られていなかったことが認められる[確定第1審甲第526号証ないし同第535号証、同第728号証(不同意部分を除く)]。<br>  犯人が使用したマツダステーションワゴン・ウエストコーストが、福岡県内において登録されたものであると認められ、かつ、後記(エ)のとおり、犯人の血液型がB型であれば、犯人は、事件本人を含む21名にほぼ限定されることとなる。また、犯人が使用した後輪ダブルタイヤ仕様の紺色ワンボックスカーが飯塚警察署管内で使用されているものと認められ、かつ、後記(オ)のとおり、事件本人にアリバイが成立しないのであれば、犯人は、事件本人にほぼ限定されることとなる。<br>  そうすると、犯人使用車に関する上記の情況事実が、事件本人が犯人であることを推認させる力は相当に強いといえる。<br> '''(イ) 事件本人車の車内から検出された血痕及び尿痕'''<br> '''a''' 次に、関係証拠によれば、事件本人車の後部座席シートから血痕及び尿痕が検出されたこと、血痕については、血液型はO型、DNA型のGc型はC型であって、いずれも被害者A田と同型であり、尿痕については人尿であることが認められ(確定第1審甲第478号証、同第482号証、同第490号証)、また、事件本人は、事件本人車に血痕及び尿痕が付着した原因について明確な説明ができていないことが認められる。<br>  他方、関係証拠によれば、被害者両名は、いずれも頸部を絞められて殺害されたもので、遺体発見当時、いずれにも尿失禁及び出血があり、とりわけ、被害者A田は鼻孔からかなりの量の出血をしていたことが認められる(確定第1審甲第6号証、同第469号証、同第471号証等)。<br> '''b''' 前記(ア)の事実から犯人であることが強く疑われる事件本人が使用していた事件本人車から、被害者A田らを事件本人車内で殺害した際か、あるいは、被害者A田らを殺害した後、その遺体を遺体発見現場まで事件本人車で運んだ際に付着したものとして、合理的に説明することができる血痕及び尿痕が検出されたことは、事件本人が犯人である可能性をより高める事情といえる。<br> '''c''' なお、弁護人は、科警研が実施したPM法によるDNA型鑑定(確定第1審甲第490号証)について、当審弁第2号証ないし同第5号証に依拠して、①PM法は、一時的かつ未整備な検査法である、②科警研のデータ解析手法は、検査キットの使用説明書に反している、③PM法は、多型に乏しいため、一座位のDNA型だけで個人を分類すると大雑把になるなどとして、その証拠能力及び信用性を争っている(再審請求書72頁ないし75頁等)。<br>  しかしながら、上記PM法によるDNA型鑑定が信頼できる方法により行われたことは、確定審で取り調べられた証拠により十分に認められる。すなわち、まず、当審弁第3号証、同第5号証を踏まえても、本件で用いられたPM法の検査キットの信頼性は確保されていたといえる。また、たしかに、当審弁第2号証、同第4号証には、PM法において、Sドットが発色していない場合には型判定をしないように勧める旨や、DNA量が少ない場合には検出されるべきアレルが検出されない可能性がある旨が記載されている。しかし、Sドットに発色が見られないとの事実が示しているのは、HLADQα部位のDNAが十分な質と量で存在していないということであり、酒井技官らは、それと比較すると塩基数が少ないGc部位のDNAの存在を電気泳動により確認した上で型判定を行っているのであって、DNAの分解は塩基数の多いものほど早く進むのであるから、上記PM法によるDNA型鑑定の鑑定書の記載当時の使用説明書の記載をも併せみれば、その鑑定手法は合理的な手法であると認められる。また、たしかに、当審弁第3号証によれば、PM法のGc型のアレルは3種類であることが認められるが、その程度の個人識別力しかもたない証拠であっても、他の証拠との総合考慮により要証事実を推認することができるかを検討する情況証拠の一つとして扱うことは何ら差し支えないといえる。<br>  したがって、上記PM法によるDNA型鑑定の証拠能力ないし信用性は、弁護人が依拠する上記各証拠によっても否定されないというべきである。<br> '''(ウ) 事件本人による犯行の機会'''<br>  また、関係証拠によれば、事件本人は、事件当時、日常的に、午前8時前後に自宅を出て、事件本人車を運転して妻を職場まで送り届けており、被害者両名が略取又は誘拐された時刻頃にその現場付近を同車で通行していたこと、事件本人は、妻を職場に送り届けた後は、長男が帰宅する午後3時頃まで1人で自由に行動することが可能であったことなどが認められる[確定第1審第31回公判における事件本人供述、確定第1審乙第5号証(不同意部分を除く)]。これらの事実によれば、事件本人は、本件犯行を実行することが可能であり、かつ、その機会が十分にあったということができる。<br> '''(エ) 被害者両名の遺体等に付着していた血液の血液型等'''<br>  そして、本田鑑定書等によっても信用性が否定されない酒井・笠井鑑定等の血液型鑑定によれば、被害者B山の遺体の腹部付近の木の枝に付着していた血痕並びに被害者両名の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に被害者両名以外の犯人に由来すると認められる血痕ないし血液が混在しており、その出血した犯人の血液型がB型であって、事件本人と一致していることが認められ、かかる事情は、前記(ア)の事情と相まって事件本人が犯人である可能性を高める事情といえる。<br>  さらに、関係証拠によれば、事件本人の亀頭は、当時罹患していた亀頭包皮炎のため、外部からの刺激により容易に出血する状態にあったことが認められるから(確定第1審甲第549号証、確定第1審証人Y田Y男尋問調書等)、事件本人が犯人であった場合には、被害者両名の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に犯人に由来する血液等が存在したという特異な事実の理由を合理的に説明することが可能となる。<br> '''(オ) アリバイの不存在'''<br>  事件本人は、確定審の公判廷において、事件当日は、妻C子を職場まで送った後、まっすぐ福岡県山田市内の実母方まで米を届けに行き、その後ぱちんこをして、午後1時ころ自宅に戻ったことなどを述べており(確定第1審第31回公判における事件本人供述)、そのような行動をしていたとする事件本人の供述が排斥できないのであれば、事件本人にはアリバイが成立し、犯行の機会がなかったことになる。<br>  しかしながら、全証拠をみても、事件本人の上記供述を直接に裏付ける証拠はなく、これを間接的に裏付ける妻C子の公判供述[確定第1審第28回公判(平成9年5月23日)におけるC子供述420項以下]も、捜査段階において事情聴取された際には、はっきりとは分からないと述べていた[確定第1審甲第720号証(平成6年10月8日付警察官調書)]日付を特定するなどの変遷が存在し、その理由が明らかではないことなどに照らしても、たやすく信用することはできない。また、事件本人の供述には、実母方に米を届けに行った日時を特定した理由等の重要部分において、捜査段階と公判段階とで理由が明らかではない変遷が存在するほか、事件当日の行動を思い出した時期や契機に関する供述も、その内容自体不自然さを拭えない上、捜査段階から公判段階にかけて合理的に理解し難い変遷がみられることなどの事情に照らせば、アリバイに関する事件本人の供述は信用し難い。そして、当審において事件本人のアリバイに関する新証拠は提出されていないから、事件本人にはアリバイは成立しない旨の確定判決の判断は、そのとおりに是認することができる。<br> '''(カ) 検討'''<br>  上記の情況事実(ア)ないし(エ)は、各々、独立した証拠によって認められるものであり、かつ、犯人を一定の者に限定し得るものであって、それぞれが、事件本人が犯人であることを推認させるものといえるところ、これらの情況事実を総合すれば、事件本人が犯人であることについて、合理的な疑いを超えた高度の蓋然性があるということができる。<br>  すなわち、本件犯行は、紺色、後輪ダブルタイヤ仕様のワンボックスタイプであるマツダステーションワゴン・ウエストコーストを使用して行われたものと認められ、この事実に、被害者両名の略取又は誘拐の現場の状況、遺体及び遺留品の遺棄の現場の状況、犯行の時間帯等を併せ考えると、犯人は、上記各現場の付近、福岡県飯塚市内又はその周辺において、上記と同車種、同グレードの車両を保有ないし使用する者であると考えられるところ、その当時、この条件を満たしていたのは、事件本人を含む極めて少数の者に限られることは、事件本人が犯人であることを強く推認させる。出血した犯人の血液型がB型であると認められることは、上記の犯人使用車に関する事実と相まって、犯人となり得る者を更に絞り込む事情ということができる。そして、これらの条件を満たすと考えられる車両の使用者のうち、事件本人以外の者にはアリバイが成立し、また、同人らの使用車両のリアウインドーにはフィルムが貼られていなかったのに対し、事件本人車のリアウインドーにはフィルムが貼られており、事件本人は、日常的に、犯行時間帯に被害者両名の略取又は誘拐の現場付近を事件本人車で走行していた上、上記の情況事実(オ)のとおり事件本人にアリバイは成立せず、犯行の機会があったと認められることからすれば、事件本人が犯人であることが極めて強く推認される。事件本人車から血痕及び尿痕が検出され、血痕については被害者A田と血液型及びDNA型のGc型を同じくすることも、この推認を補強するものということができる。<br>  もとより、これらの情況事実は、いずれも単独では事件本人を犯人と断定することができないものであり、その意味で、抽象的には、事件本人と犯人との結び付きに疑いを差し挟む余地が全くないわけではない。しかしながら、本件の犯人については、前記のように独立した多くの情況事実によって重層的に絞り込まれているのであり、事件本人以外に、こうした事実関係のすべてを説明できる者が存在する現実的な可能性は非常に乏しく、抽象的な可能性にとどまるものと考えられ、全証拠を精査しても、かかる人物が存在するのではないかという合理的な疑いを抱かせるような事情はうかがわれない(弁護人は、本田鑑定書等によれば、犯人の血液型はAB型、MCT118型は18-29型である、あるいは、犯人はX-Yバンドの型を有する者であり、事件本人とは全く別の人物である旨主張するが、これらが採用できないことは、前記(2)のとおりである。)。<br>  そうすると、確定判決が認定した情況事実から、犯人と事件本人のMCT118型が一致したことを除いたその余の情況事実を総合した場合であっても、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされていることに変わりはないといえる。<br> '''ウ 酒井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定の証明力の変化による影響'''<br>  前記イで述べたとおり、確定判決が認定した情況事実から犯人と事件本人のMCT118型が一致したことを除いたその余の情況事実を総合した場合であっても、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされていることに変わりはないといえるところ、本件では、前記(3)で述べたとおり、犯人と事件本人のMCT118型が一致したとする酒井・笠井鑑定等の証明力について、確定判決の段階より慎重に評価すべき状況が生じているといえるので、このことが、上記立証の程度に及ぼす影響について検討する。<br>  DNA型鑑定においては、現場資料から検出された型と対照資料から検出された型が矛盾する場合には、両資料が同一人に由来するものとはいえないことになるから、仮に、本田鑑定書等によって犯人由来の血液から検出されたMCT118型と事件本人のMCT118型が異なることが明らかになったといえるのであれば、事件本人は犯人でないこととなる。<br>  しかし、本件においては、本田鑑定書等のうち信用性を肯定できる内容は、MCT118型判定にポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて、123塩基ラダーマーカーで型判定を行うと、サイズどおりに泳動がなされない結果、型判定を誤ることとなること、MCT118型判定にポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて、123塩基ラダーマーカーで16-26型と判定された資料を、サイズどおりに正しく型判定する手法とされているアレリックラダーマーカーで判定を行うと、18-29型、18-30型及び18-31型の複数の型のいずれかと判定される可能性があること、酒井・笠井鑑定等により16-26型と判定されていた事件本人のMCT118型について、本田教授が事件本人に由来する資料を改めて鑑定したところ、18-30型であったことである。<br>  そうすると、本田鑑定書等の内容を前提としても、現場資料の再鑑定が実施されておらず、MCT118部位の繰り返し数を正しく判定する方法による犯人のMCT118型が判明していない本件においては、犯人のMCT118型と事件本人のMCT118型が一致しないことが明らかになったということはできない。換言すれば、本田鑑定書等の前記内容を考慮しても、酒井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定によって、犯人と事件本人のMCT118型が一致したと認めることはできないが、他方で、これが一致しないと認めることもできないのであり、両者の可能性があるということにとどまるのである。<br>  したがって、酒井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定は、18-29型、18-30型及び18-31型の3つの型のうち、18-30型で犯人と事件本人の型が一致する可能性があるという点においては、事件本人が犯人であることを推認させるにつき積極方向の情況事実となり得るようにもみえるが、犯人の型が18-29型又は18-31型であり、事件本人の型と一致しない可能性もあるのであるから、犯人の型を18-30型と断定できる場合と比較すれば、その推認力は相対的に相当程度弱いものとなる。他方で、本田鑑定書等によっても、犯人の型と事件本人の型が異なることが立証されたわけではなく、両者が一致する可能性も十分に残されている以上、本田鑑定書等が、事件本人が犯人であることを推認するにつき消極の情況事実になると評価することも合理的ではなく、事件本人以外の者が犯人である可能性に関する前記イ(カ)の評価に影響を及ぼすこともないというべきである。<br> '''エ 小括'''<br>  確定判決が認定した情況事実から犯人と事件本人のMCT118型が一致したことを除いたその余の情況事実を総合した場合であっても、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされていることに変わりはないことは明らかである。<br>  また、本田鑑定書等のうち信用性が肯定できる部分を前提とすれば、確定判決が有罪認定の根拠とした酒井・笠井鑑定等のうち、MCT118型において犯人の型と事件本人の型が一致したとの点は、そのまま有罪認定の根拠として供することはできないとしても、MCT118型において犯人の型と事件本人の型が一致しないことが明らかになったものではなく、両者が一致する可能性も十分にあるのであるから、MCT118型の点以外の情況事実にこれを併せ考慮した場合であっても、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされているといえる。<br>  したがって、本田鑑定書等のうち信用性が肯定できる部分によっても、確定判決の有罪認定について合理的な疑いは生じないことになるから、結局、本田鑑定書等に明白性を認めることはできない。<br> ====4 結論====  以上のとおり、弁護人が提出した証拠を確定記録中の全証拠と併せて総合評価した結果、事件本人が犯人であると認めた確定判決における事実認定について合理的な疑いは生じず、弁護人が提出した証拠はいずれも明白性が認められないから、本件再審請求には刑事訴訟法435条6号の再審事由があるとはいえない。<br>  よって、本件再審請求は理由がないから、刑事訴訟法447条1項により、これを棄却することとして、主文のとおり決定する。<br>  平成26年3月31日<br>  福岡地方裁判所第2刑事部<br>  裁判長裁判官 平塚浩司<br>  裁判官 吉戒純一<br>  裁判官 岡本康博<br> <br> 別紙<br> 1 最新の方法によるDNA鑑定結果報告書(久間三千年のDNA型)(本田作成、平成21年10月13日)<br> 2 PM法検査試薬(PMDNA型キット)使用説明書(訳文含む)(パーキン・エルマー社作成、平成7年以降ころ)<br> 3 続犯罪と科学捜査-DNA型鑑定の歩み-(抜粋)(瀬田季茂作成、平成17年10月18日)<br> 4 DNA分析試験・科学者でない人のための図解入り説明(ドナルド・E・リリー作成、平成10年)<br> 5 DNA型鑑定の運用に関する指針の改正について~フラグメントアナライザーを用いた新短鎖DNA型検査法の導入~(抜粋)(木下外晴作成、平成15年9月10日)<br> 6 表・血液型及びDNA型による個人識別の精度(「日本の科学警察」)(科学警察研究所編、平成6年12月15日)<br> 7 T田の検察官調書(写し)(平成4年12月7日)<br> 8 判決書(写し)(陶山博生外2名作成、平成11年9月29日)<br> 9 判決書(写し)(小出錞一外2名作成、平成13年10月24日)<br> 10 判決書(写し)(滝井繁男外4名作成、平成18年9月8日)<br> 11 いわゆる足利事件における捜査・公判活動の問題点等について(最高検察庁作成、平成22年4月)<br> 12 意見書作成依頼について(水口清作成、平成21年10月2日)<br> 13 意見書(玉木敬二作成、平成21年10月21日)<br> 14 菊池和史氏(福岡地方検察庁検察官検事)作成の意見書への反論書(本田克也作成、平成22年12月20日)<br> 15 いわゆる飯塚事件におけるT氏供述の正確さに関する第2次鑑定書(嚴島行雄作成、平成23年7月8日)<br> 16 MCT118座位のPCR増幅による血痕および体液斑からのDNA型検出法(笠井外3名作成、平成4年2月)<br> 17 鑑定書(本田克也作成、平成24年10月15日)<br> 18 D1S80にみられた42以上型の解析(小林了外3名作成、平成10年7月31日)<br> 19 D1S80にみられた42以上型バンドの増幅効率について(田村明敬外6名作成、平成12年6月30日)<br> 20 MCT118(D1S80)型にみられる42以上型の解析と型判定(大河原均外1名作成、平成12年6月30日)<br> 21 D1S80にみられる42以上型の型判定(渡邉剛太郎外1名作成、平成14年6月15日)<br> 22 MCT118型における42以上型の型判定法について(桐原俊二外4名作成、平成11年3月)<br> 23 殺人事件報告書(写し)(K1外1名、平成4年3月2日)<br> 24 遺留品発見現場におけるボンゴ車目撃情報の入手経路、並びにボンゴ車のボディライン、センターキャップに関する捜査報告書(写し)(K3作成、平成4年10月15日)<br> 25 捜査と鑑識のためのDNA型分析-解説編-(瀬田季茂監修、科学警察研究所発行、平成3年10月)<br> 26 バイオ研究者が知っておきたい化学の必須知識(抜粋)(齋藤勝裕作成、平成21年1月1日)<br> [[カテゴリ:判例|ふくおかちほうさいはんしよへいせい21ねんたたい11こう]] {{PD-JapanGov}} pxgr8uo37xv2snlcgghcmirtvkbs5d3 成田国際空港株式会社法 0 33778 246563 239620 2026-10-13T01:33:51Z HTDFPC 45275 246563 wikitext text/x-wiki {{header | title = 成田国際空港株式会社法 | year= 2003 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] {{現行法令掲載}} '''成田国際空港株式会社法'''(なりたこくさいくうこうかぶしきがいしゃほう) * 平成15年法律第124号 * 最終改正:平成26年法律第91号 {{DEFAULTSORT:なりたこくさいくうこうかふしきかいしやほう}} [[カテゴリ:平成15年の法律]] [[カテゴリ:成田国際空港]] [[カテゴリ:行政組織法]] }} __TOC__ <div>目次</div> :[[#第一章 総則|第一章 総則]](第一条―第四条) :[[#第二章 事業等|第二章 事業等]](第五条―第十四条) :[[#第三章 雑則|第三章 雑則]](第十五条―第十七条) :[[#第四章 罰則|第四章 罰則]](第十八条―第二十三条) :[[#附 則|附則]] == 第一章 総則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(会社の目的)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">成田国際空港株式会社(以下「会社」という。)は、成田国際空港の設置及び管理を効率的に行うこと等により、航空輸送の利用者の利便の向上を図り、もって航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化に寄与することを目的とする株式会社とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a2">(成田国際空港)</span><br>'''第二条''' <div style="padding-left:1em;">この法律において「成田国際空港」とは、附則第十二条第一項の規定により会社が新東京国際空港公団(以下「公団」という。)から承継した空港をいう。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a3">(成田国際空港等の設置及び管理)</span><br>'''第三条''' <div style="padding-left:1em;">成田国際空港及び成田国際空港における航空機の離陸又は着陸の安全を確保するために必要な航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第五項に規定する航空保安施設の設置及び管理は、国土交通大臣が定める基本計画に適合するものでなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の基本計画に関し必要な事項は、政令で定める。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a4">(商号の使用制限)</span><br>'''第四条''' <div style="padding-left:1em;">会社以外の者は、その商号中に成田国際空港株式会社という文字を使用してはならない。</div> </div> == 第二章 事業等 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a5">(事業の範囲)</span><br>'''第五条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、その目的を達成するため、次の事業を営むものとする。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 成田国際空港の設置及び管理</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 成田国際空港における航空機の離陸又は着陸の安全を確保するために必要な航空法第二条第五項に規定する航空保安施設の設置及び管理</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 成田国際空港の機能を確保するために必要な航空旅客及び航空貨物の取扱施設、航空機給油施設その他の政令で定める施設並びにこれらの施設以外の施設で成田国際空港を利用する者の利便に資するために成田国際空港の敷地内に建設することが適当であると認められる事務所、店舗その他の政令で定めるものの建設及び管理</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 成田国際空港の周辺における航空機の騒音等により生ずる障害を防止し、又はその損失を補償するために行う次に掲げる事業<div style="padding-left:1em;">'''イ''' 緩衝地帯の整備のための土地等の取得、造成、管理及び譲渡</div> <div style="padding-left:1em;">'''ロ''' 騒音防止工事等を行う者に対する助成</div> <div style="padding-left:1em;">'''ハ''' 住居を移転する者等に対する損失の補償及びその所有する土地の買入れ</div> <div style="padding-left:1em;">'''ニ''' イからハまでに掲げるもののほか、成田国際空港の周辺における航空機の騒音等により生ずる障害を防止し、又はその損失を補償するために行う事業であって政令で定めるもの</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''五''' 前号に掲げるもののほか、成田国際空港の周辺における生活環境の改善に資するために行う次に掲げる事業<div style="padding-left:1em;">'''イ''' 成田国際空港の周辺における航空機の騒音等により生ずる生活環境への影響を緩和するために必要であると認められる政令で定める事業であって成田国際空港の機能の発揮に資するものを行う者に対し、出えんする事業</div> <div style="padding-left:1em;">'''ロ''' 成田国際空港の周辺における航空機の騒音等により生ずる障害の防止、成田国際空港の周辺の地域の整備その他の成田国際空港の周辺における生活環境の改善に資する事業を行う地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、交付金を交付する事業</div> <div style="padding-left:1em;">'''ハ''' イ及びロに掲げるもののほか、成田国際空港の周辺における生活環境の改善に資するために行う事業であって政令で定めるもの</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''六''' 前各号の事業に附帯する事業</div> <div style="padding-left:1em;">'''七''' 前各号に掲げるもののほか、会社の目的を達成するために必要な事業</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社は、前項第七号の事業を行おうとするときは、あらかじめ国土交通大臣の認可を受けなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a6">(生活環境の改善に対する配慮等)</span><br>'''第六条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、成田国際空港の周辺の地域の住民等の理解と協力を得ることがその事業の円滑な実施を図る上で不可欠であることにかんがみ、その事業の実施に当たり常に成田国際空港の周辺における生活環境の改善に配慮するとともに、前条第一項第四号及び第五号に掲げる事業を適切かつ確実に営まなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 国は、会社が前条第一項第四号及び第五号の事業を円滑に実施することができるよう配慮するものとする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a7">(一般担保)</span><br>'''第七条''' <div style="padding-left:1em;">会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a8">(資金の貸付け)</span><br>'''第八条''' <div style="padding-left:1em;">政府は、予算の範囲内において、会社に対し、第五条第一項第一号及び第二号の事業に要する経費に充てる資金を無利子で貸し付けることができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a9">(新株、社債及び借入金)</span><br>'''第九条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第百九十九条第一項に規定するその発行する株式(第二十二条第二号において「新株」という。)、同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(第二十二条第二号において「募集新株予約権」という。)若しくは同法第六百七十六条に規定する募集社債(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債を除く。第二十二条第二号において「募集社債」という。)を引き受ける者の募集をし、株式交換に際して株式、社債(社債、株式等の振替に関する法律第六十六条第一号に規定する短期社債を除く。第二十二条第二号において同じ。)若しくは新株予約権を発行し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定は、会社が、社債券を失った者に交付するために政令で定めるところにより社債券を発行し、当該社債券の発行により新たに債務を負担することとなる場合には、適用しない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 会社は、新株予約権の行使により株式を発行した後、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a10">(代表取締役等の選定等の決議)</span><br>'''第十条''' <div style="padding-left:1em;">会社の代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査等委員である取締役若しくは監査役の選任及び解任又は監査委員の選定及び解職の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a11">(事業計画)</span><br>'''第十一条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、毎事業年度の開始前に、国土交通省令で定めるところにより、当該事業年度の事業計画を国土交通大臣に提出して、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a12">(重要な財産の譲渡等)</span><br>'''第十二条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、国土交通省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a13">(定款の変更等)</span><br>'''第十三条''' <div style="padding-left:1em;">会社の定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分、合併、分割及び解散の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a14">(財務諸表)</span><br>'''第十四条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を国土交通大臣に提出しなければならない。</div> </div> == 第三章 雑則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a15">(監督)</span><br>'''第十五条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、国土交通大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a16">(報告及び検査)</span><br>'''第十六条''' <div style="padding-left:1em;">国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a17">(協議)</span><br>'''第十七条''' <div style="padding-left:1em;">国土交通大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 第三条第一項の基本計画を定めようとするとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 第五条第二項、第九条第一項、第十一条、第十二条又は第十三条(会社の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするとき。</div> </div> </div> == 第四章 罰則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a18"></span><br>'''第十八条''' <div style="padding-left:1em;">会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄<ruby><rb>賂</rb><rp>(</rp><rt>ろ</rt><rp>)</rp></ruby>を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a19"></span><br>'''第十九条''' <div style="padding-left:1em;">前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a20"></span><br>'''第二十条''' <div style="padding-left:1em;">第十八条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前条第一項の罪は、刑法第二条の例による。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a21"></span><br>'''第二十一条''' <div style="padding-left:1em;">第十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a22"></span><br>'''第二十二条''' <div style="padding-left:1em;">次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 第五条第二項の規定に違反して、事業を行ったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 第九条第一項の規定に違反して、新株、募集新株予約権若しくは募集社債を引き受ける者の募集をし、株式交換に際して株式、社債若しくは新株予約権を発行し、又は資金を借り入れたとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 第九条第三項の規定に違反して、株式を発行した旨の届出を行わなかったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 第十一条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''五''' 第十二条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''六''' 第十四条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは事業報告書を提出せず、又は不実の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''七''' 第十五条第二項の規定による命令に違反したとき。</div> </div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a23"></span><br>'''第二十三条''' <div style="padding-left:1em;">第四条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。</div> </div> == 附 則 == === 附 則 抄 === <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第二十条から第三十四条までの規定は、平成十六年四月一日から施行する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a2">(設立委員)</span><br>'''第二条''' <div style="padding-left:1em;">国土交通大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a3">(定款)</span><br>'''第三条''' <div style="padding-left:1em;">設立委員は、定款を作成して、国土交通大臣の認可を受けなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a4">(会社の設立に際して発行する株式)</span><br>'''第四条''' <div style="padding-left:1em;">会社の設立に際して発行する株式に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)第百六十八条ノ二各号に掲げる事項は、定款で定めなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a5">(株式の引受け)</span><br>'''第五条''' <div style="padding-left:1em;">会社の設立に際して発行する株式の総数は、公団が引き受けるものとし、設立委員は、これを公団に割り当てるものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により割り当てられた株式による会社の設立に関する株式引受人としての権利は、政府が行使する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a6">(出資)</span><br>'''第六条''' <div style="padding-left:1em;">公団は、会社の設立に際し、会社に対し、その財産の全部を出資するものとする。この場合においては、[[新東京国際空港公団法]](昭和四十年法律第百十五号)第三十三条の規定は、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a7">(創立総会)</span><br>'''第七条''' <div style="padding-left:1em;">会社の設立に係る商法第百八十条第一項の規定の適用については、同項中「第百七十七条ノ規定ニ依ル払込及現物出資ノ給付」とあるのは、「成田国際空港株式会社法附則第五条第一項ノ規定ニ依ル株式ノ割当」とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a8">(会社の成立)</span><br>'''第八条''' <div style="padding-left:1em;">附則第六条の規定により公団が行う出資に係る給付は、附則第二十条の規定の施行の時に行われるものとし、会社は、商法第五十七条の規定にかかわらず、その時に成立する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a9">(設立の登記)</span><br>'''第九条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、商法第百八十八条第一項の規定にかかわらず、会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a10">(政府への無償譲渡)</span><br>'''第十条''' <div style="padding-left:1em;">公団が出資によって取得する会社の株式は、会社の成立の時に、政府に無償譲渡されるものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により政府に無償譲渡される会社の株式は、政令で定めるところにより、一般会計又は空港整備特別会計に帰属するものとする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a11">(商法の適用除外)</span><br>'''第十一条''' <div style="padding-left:1em;">商法第百六十七条、第百六十八条第二項及び第百八十一条の規定は、会社の設立については、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a12">(公団の解散)</span><br>'''第十二条''' <div style="padding-left:1em;">公団は、会社の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において会社が承継する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 公団の解散の時における政府の公団に対する出資金のうち政令で定める金額は、公団の解散の時において、政府の会社に対する無利子貸付金となったものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 前項の無利子貸付金に係る権利は、政令で定めるところにより、一般会計又は空港整備特別会計に帰属するものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''4''' 公団の平成十五年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、新東京国際空港公団法第二十七条第二項及び第三項(監事の意見書に係る部分に限る。)に係る部分を除き、なお従前の例による。</div> <div style="padding-left:1em;">'''5''' 第一項の規定により公団が解散した場合における解散の登記及び第二項の無利子貸付金の償還に関し必要な事項は、政令で定める。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a13">(権利義務の承継に伴う経過措置)</span><br>'''第十三条''' <div style="padding-left:1em;">前条第一項の規定により会社が承継する債務に係る新東京国際空港債券についての第七条の規定の適用については、これを会社の社債とみなす。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前条第一項の規定により会社が承継する公団の新東京国際空港債券に係る債務について附則第二十条の規定による廃止前の新東京国際空港公団法第三十条の規定により政府がした保証契約は、その承継後においても、当該新東京国際空港債券に係る債務について従前の条件により存続するものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 前条第一項の規定により会社が承継する債務に係る新東京国際空港債券又は借入金が財政融資資金による引受け、応募若しくは買入れ又は貸付けに係るものである場合における当該新東京国際空港債券又は借入金についての財政融資資金法(昭和二十六年法律第百号)第十条第一項の規定の適用については、会社を同項第七号又は第八号に規定する法人とみなす。</div> <div style="padding-left:1em;">'''4''' 前条第一項の規定により会社が承継する債務に係る新東京国際空港債券が日本郵政公社法(平成十四年法律第九十七号)第二十四条第三項第四号に規定する郵便貯金資金及び同項第五号に規定する簡易生命保険資金による引受け、応募又は買入れに係るものである場合における当該新東京国際空港債券についての同法第四十一条及び第四十五条第一項の規定の適用については、会社を同法第四十一条第四号ニに規定する法人とみなす。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a14">(政府の出資)</span><br>'''第十四条''' <div style="padding-left:1em;">政府は、当分の間、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、会社に出資することができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a15">(債務保証)</span><br>'''第十五条''' <div style="padding-left:1em;">政府は、当分の間、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、第五条第一項第一号から第三号までの事業に要する経費に充てるため会社が発行する社債に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について、保証契約をすることができる。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 政府は、前項の規定によるもののほか、会社が社債券又はその利札を失った者に交付するために政令で定めるところにより発行する社債券又は利札に係る債務について、保証契約をすることができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a16">(商号についての経過措置)</span><br>'''第十六条''' <div style="padding-left:1em;">第四条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に成田国際空港株式会社という文字を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a17">(事業計画についての経過措置)</span><br>'''第十七条''' <div style="padding-left:1em;">会社の成立する日の属する営業年度の事業計画については、第十一条中「毎営業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a18">(会社の設立に伴う農地法の適用に関する経過措置)</span><br>'''第十八条''' <div style="padding-left:1em;">附則第六条の規定により公団が会社に対し行う出資に係る農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地又は採草放牧地についての権利の取得については、同法第三条第一項本文の規定は、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a19">(政令への委任)</span><br>'''第十九条''' <div style="padding-left:1em;">附則第二条から前条までに規定するもののほか、会社の設立及び公団の解散に関し必要な事項は、政令で定める。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a20">(新東京国際空港公団法の廃止)</span><br>'''第二十条''' <div style="padding-left:1em;">[[新東京国際空港公団法]]は、廃止する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a21">(新東京国際空港公団法の廃止に伴う経過措置)</span><br>'''第二十一条''' <div style="padding-left:1em;">前条の規定の施行前に同条の規定による廃止前の新東京国際空港公団法第二十一条の規定により国土交通大臣が定めた基本計画は、第三条第一項の規定により国土交通大臣が定める基本計画とみなす。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前条の規定の施行前に同条の規定による廃止前の新東京国際空港公団法の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律の相当規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 前二項に規定するもののほか、新東京国際空港公団法の廃止に伴い必要な経過措置は、政令で定める。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a22">(罰則の適用に関する経過措置)</span><br>'''第二十二条''' <div style="padding-left:1em;">附則第一条ただし書に規定する規定の施行前にした行為及び附則第十二条第四項の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係る附則第二十条の規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。</div> </div> === 附 則 (平成一六年六月九日法律第八八号) 抄 === <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。</div> </div> === 附 則 (平成一七年七月二六日法律第八七号) 抄 === <div style="padding-left:1em;">この法律は、会社法の施行の日から施行する。</div> === 附 則 (平成二〇年六月一八日法律第七五号) 抄 === <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日等)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、公布の日から施行する。</div> </div> === 附 則 (平成二六年六月二七日法律第九一号) 抄 === <div style="padding-left:1em;">この法律は、会社法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。</div> {{PD-JapanGov}} j1se4ejcsvq4raadghthqjmmvsjqtim 日本アルコール産業株式会社法 0 33780 246578 240400 2026-10-13T07:32:01Z HTDFPC 45275 246578 wikitext text/x-wiki {{header | title = 日本アルコール産業株式会社法 | year= 2005 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] {{現行法令掲載}} '''日本アルコール産業株式会社法'''(にっぽんアルコールさんぎょうかぶしきがいしゃほう) * 平成17年法律第32号 * 最終改正:平成26年法律第91号 {{DEFAULTSORT:につほんあるこおるさんきようかふしきかいしやほう}} [[カテゴリ:平成17年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] }} __TOC__ <div>目次</div> :[[#第一章 総則|第一章 総則]](第一条―第三条) :[[#第二章 経営の健全性及び安定性の確保|第二章 経営の健全性及び安定性の確保]](第四条―第九条) :[[#第三章 雑則|第三章 雑則]](第十条―第十二条) :[[#第四章 罰則|第四章 罰則]](第十三条―第十八条) :[[#附 則|附則]] == 第一章 総則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(会社の目的及び事業)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">日本アルコール産業株式会社(以下「会社」という。)は、アルコール事業法(平成十二年法律第三十六号)第二条第一項に規定するアルコールの製造に関する事業及びこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社は、前項の事業を営むほか、同項の事業の遂行に支障のない範囲内において、経済産業大臣の認可を受けて、同項の事業以外の事業を営むことができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a2">(商号の使用制限)</span><br>'''第二条''' <div style="padding-left:1em;">会社でない者は、その商号中に日本アルコール産業株式会社という文字を使用してはならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a3">(一般担保)</span><br>'''第三条''' <div style="padding-left:1em;">会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。</div> </div> == 第二章 経営の健全性及び安定性の確保 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a4">(株式、社債及び借入金)</span><br>'''第四条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第百九十九条第一項に規定するその発行する株式(第十七条第二号において「新株」という。)、同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(第十七条第二号において「募集新株予約権」という。)若しくは同法第六百七十六条に規定する募集社債(第十七条第二号において「募集社債」という。)を引き受ける者の募集をし、株式交換に際して株式、社債若しくは新株予約権を発行し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、経済産業大臣の認可を受けなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社は、新株予約権の行使により株式を発行した後、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a5">(代表取締役等の選定等の決議)</span><br>'''第五条''' <div style="padding-left:1em;">会社の代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査等委員である取締役若しくは監査役の選任及び解任又は監査委員の選定及び解職の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a6">(事業計画)</span><br>'''第六条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、毎事業年度の開始前に、その事業年度の事業計画を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a7">(重要な財産の譲渡等)</span><br>'''第七条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、経済産業省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、経済産業大臣の認可を受けなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a8">(定款の変更等)</span><br>'''第八条''' <div style="padding-left:1em;">会社の定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、分割及び解散の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a9">(財務諸表)</span><br>'''第九条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を経済産業大臣に提出しなければならない。</div> </div> == 第三章 雑則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a10">(監督)</span><br>'''第十条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、経済産業大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 経済産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a11">(報告及び検査)</span><br>'''第十一条''' <div style="padding-left:1em;">経済産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a12">(財務大臣との協議)</span><br>'''第十二条''' <div style="padding-left:1em;">経済産業大臣は、第一条第二項、第四条第一項、第六条、第七条又は第八条(会社の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。</div> </div> == 第四章 罰則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a13"></span><br>'''第十三条''' <div style="padding-left:1em;">会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄<ruby><rb>賂</rb><rp>(</rp><rt>ろ</rt><rp>)</rp></ruby>を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a14"></span><br>'''第十四条''' <div style="padding-left:1em;">前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a15"></span><br>'''第十五条''' <div style="padding-left:1em;">第十三条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前条第一項の罪は、刑法第二条の例に従う。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a16"></span><br>'''第十六条''' <div style="padding-left:1em;">第十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a17"></span><br>'''第十七条''' <div style="padding-left:1em;">次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 第一条第二項の規定に違反して、事業を営んだとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 第四条第一項の規定に違反して、新株、募集新株予約権若しくは募集社債を引き受ける者の募集をし、株式交換に際して株式、社債若しくは新株予約権を発行し、又は資金を借り入れたとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 第四条第二項の規定に違反して、株式を発行した旨の届出を行わなかったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 第六条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''五''' 第七条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''六''' 第九条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは事業報告書を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''七''' 第十条第二項の規定による命令に違反したとき。</div> </div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a18"></span><br>'''第十八条''' <div style="padding-left:1em;">第二条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。</div> </div> == 附 則 == === 附 則 抄 === <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十七条、第十九条、第二十条、第二十一条(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法(平成十四年法律第百四十五号)附則第五条の改正規定を除く。)、第二十二条及び第二十三条の規定は平成十八年四月一日から、附則第二十一条中独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法附則第五条の改正規定は平成十九年三月三十一日から施行する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a2">(この法律の廃止その他の必要な措置)</span><br>'''第二条''' <div style="padding-left:1em;">政府は、この法律の施行の状況を勘案し、会社をできる限り早期に民営化するため、速やかにこの法律の廃止を含めた見直しを行うとともに、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a3">(設立委員)</span><br>'''第三条''' <div style="padding-left:1em;">経済産業大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a4">(定款)</span><br>'''第四条''' <div style="padding-left:1em;">設立委員は、定款を作成して、経済産業大臣の認可を受けなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 経済産業大臣は、前項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a5">(会社の設立に際して発行する株式)</span><br>'''第五条''' <div style="padding-left:1em;">会社の設立に際して発行する株式に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)第百六十八条ノ二各号に掲げる事項は、定款で定めなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社の設立に際して発行する株式については、商法第二百八十四条ノ二第二項の規定にかかわらず、その発行価額の二分の一を超える額を資本に組み入れないことができる。この場合において、同条第一項中「本法」とあるのは、「本法又ハ日本アルコール産業株式会社法」とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a6">(株式の引受け)</span><br>'''第六条''' <div style="padding-left:1em;">会社の設立に際して発行する株式の総数は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)が引き受けるものとし、設立委員は、これを機構に割り当てるものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により割り当てられた株式による会社の設立に関する株式引受人としての権利は、政府が行使する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a7">(出資)</span><br>'''第七条''' <div style="padding-left:1em;">機構は、会社の設立に際し、会社に対し、その財産のうち、附則第十九条の規定による改正前のアルコール事業法(以下「旧アルコール事業法」という。)第三十一条及び附則第二条に規定する業務に係るものを出資するものとする。この場合においては、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第四十八条の規定は、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a8">(創立総会)</span><br>'''第八条''' <div style="padding-left:1em;">会社の設立に係る商法第百八十条第一項の規定の適用については、同項中「第百七十七条ノ規定ニ依ル払込及現物出資ノ給付」とあるのは、「日本アルコール産業株式会社法附則第六条第一項ノ規定ニ依ル株式ノ割当」とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a9">(会社の成立)</span><br>'''第九条''' <div style="padding-left:1em;">附則第七条の規定により機構が行う出資に係る給付は、附則第十九条の規定の施行の時に行われるものとし、会社は、商法第五十七条の規定にかかわらず、その時に成立する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a10">(設立の登記)</span><br>'''第十条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、商法第百八十八条第一項の規定にかかわらず、会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a11">(政府への無償譲渡)</span><br>'''第十一条''' <div style="padding-left:1em;">機構が出資によって取得する会社の株式は、会社の成立の時に、政府に無償譲渡されるものとする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a12">(商法の適用除外)</span><br>'''第十二条''' <div style="padding-left:1em;">商法第百六十七条、第百六十八条第二項、第百六十九条、第百八十一条及び第百八十四条の規定は、会社の設立については、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a13">(権利及び義務の承継等)</span><br>'''第十三条''' <div style="padding-left:1em;">機構は、会社の成立の時において旧アルコール事業法第三十一条及び附則第二条に規定する業務を終了するものとし、それらの業務に係る一切の権利及び義務は、その時において会社が承継する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 機構は、前項の規定により会社が機構の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、次に掲げる額の合計額によりその資本金を減少するものとする。<div style="padding-left:1em;">'''一''' その承継の際附則第二十一条の規定による改正前の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法(以下「旧機構法」という。)第十七条第四号に掲げる業務に係る勘定に属する資本金の額</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' その承継の際旧機構法附則第十一条第二項に規定するアルコール製造勘定及び一般アルコール販売勘定に属する資本金の額</div> </div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a14">(商号についての経過措置)</span><br>'''第十四条''' <div style="padding-left:1em;">第二条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に日本アルコール産業株式会社という文字を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a15">(事業計画についての経過措置)</span><br>'''第十五条''' <div style="padding-left:1em;">会社の成立の日の属する事業年度の事業計画については、第六条中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a16">(アルコールの製造の事業の許可に関する経過措置)</span><br>'''第十六条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、その成立の日においてアルコール事業法第三条第一項の許可を受けたものとみなす。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a17">(非課税)</span><br>'''第十七条''' <div style="padding-left:1em;">附則第十条の規定により会社が受ける設立の登記及び附則第七条の規定により機構が行う出資に係る財産の給付に伴い会社が受ける登記又は登録については、登録免許税を課さない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a18">(政令への委任)</span><br>'''第十八条''' <div style="padding-left:1em;">附則第三条から前条までに規定するもののほか、会社の設立に関し必要な事項は、政令で定める。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a22">(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律等の適用に関する経過措置)</span><br>'''第二十二条''' <div style="padding-left:1em;">附則第十九条の規定の施行前に独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の規定に基づき機構がした行為及び機構に対してなされた行為(附則第十三条の規定により会社が承継することとなる権利及び義務に関するものに限る。)については、会社を同法第二条第一項に規定する独立行政法人等とみなす。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 附則第十九条の規定の施行前に独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)の規定に基づき機構がした行為及び機構に対してなされた行為(附則第十三条の規定により会社が承継することとなる権利及び義務に関するものに限る。)については、会社を同法第二条第一項に規定する独立行政法人等とみなす。</div> </div> === 附 則 (平成一七年七月二六日法律第八七号) 抄 === <div style="padding-left:1em;">この法律は、会社法の施行の日から施行する。</div> === 附 則 (平成二六年六月二七日法律第九一号) 抄 === <div style="padding-left:1em;">この法律は、会社法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。</div> {{PD-JapanGov}} sx2qt7a9nz4ct6tnl9mdefruyw1rjp9 日本郵便株式会社法 0 33885 246580 243937 2026-10-13T07:35:36Z HTDFPC 45275 246580 wikitext text/x-wiki {{header | title = 日本郵便株式会社法 | year= 2005 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] {{現行法令掲載}} '''日本郵便株式会社法'''(にっぽんゆうびんかぶしきがいしゃほう) * 平成17年法律第100号 * 最終改正:平成30年法律第41号 {{DEFAULTSORT:につほんゆうひんかふしきかいしやほう}} [[カテゴリ:平成17年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] }} __TOC__ <div>目次</div> :[[#第一章 総則|第一章 総則]](第一条―第三条) :[[#第二章 業務等|第二章 業務等]](第四条―第十四条) :[[#第三章 雑則|第三章 雑則]](第十五条―第十八条) :[[#第四章 罰則|第四章 罰則]](第十九条―第二十四条) :[[#附 則|附則]] == 第一章 総則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(会社の目的)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">日本郵便株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a2">(定義)</span><br>'''第二条''' <div style="padding-left:1em;">この法律において「郵便窓口業務」とは、簡易郵便局法(昭和二十四年法律第二百十三号)第二条に規定する郵便窓口業務をいう。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' この法律において「銀行窓口業務」とは、会社と次に掲げる事項を含む契約(以下「銀行窓口業務契約」という。)を締結する銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行(以下「関連銀行」という。)を所属銀行(同条第十六項に規定する所属銀行をいう。)として営む銀行代理業(同条第十四項第一号及び第三号に掲げる行為に係るものであって、会社が第五条の責務を果たすために営むべきものとして総務省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)をいう。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 会社が第五条の責務を果たすために銀行代理業を営むこと。</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 会社が営む銀行代理業の具体的な内容及び方法</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 会社の営業所であって、銀行代理業を行うものの名称及び所在地</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' その他総務省令で定める事項</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' この法律において「保険窓口業務」とは、会社と次に掲げる事項を含む契約(以下「保険窓口業務契約」という。)を締結する保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項に規定する生命保険会社(株式会社に限る。以下「関連保険会社」という。)を所属保険会社等として営む保険募集及び関連保険会社の事務の代行(同法第三条第四項第一号に掲げる保険(第五条において「生命保険」という。)に係るものであって、会社が第五条の責務を果たすために営むべきものとして総務省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)をいう。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 会社が第五条の責務を果たすために保険募集及び関連保険会社の事務の代行を営むこと。</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 会社が営む保険募集及び関連保険会社の事務の代行の具体的な内容及び方法</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 会社の営業所であって、保険募集及び関連保険会社の事務の代行を行うものの名称及び所在地</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' その他総務省令で定める事項</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''4''' この法律において「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を行うものをいう。</div> <div style="padding-left:1em;">'''5''' この法律において「銀行代理業」とは、銀行法第二条第十四項に規定する銀行代理業をいう。</div> <div style="padding-left:1em;">'''6''' この法律において「所属保険会社等」又は「保険募集」とは、それぞれ保険業法第二条第二十四項又は第二十六項に規定する所属保険会社等又は保険募集をいう。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a3">(商号の使用制限)</span><br>'''第三条''' <div style="padding-left:1em;">会社でない者は、その商号中に日本郵便株式会社という文字を使用してはならない。</div> </div> == 第二章 業務等 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a4">(業務の範囲)</span><br>'''第四条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により行う郵便の業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 銀行窓口業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 前号に掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、銀行窓口業務契約の締結及び当該銀行窓口業務契約に基づいて行う関連銀行に対する権利の行使</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 保険窓口業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''五''' 前号に掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、保険窓口業務契約の締結及び当該保険窓口業務契約に基づいて行う関連保険会社に対する権利の行使</div> <div style="padding-left:1em;">'''六''' 国の委託を受けて行う印紙の売りさばき</div> <div style="padding-left:1em;">'''七''' 前各号に掲げる業務に附帯する業務</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社は、前項に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができる。<div style="padding-left:1em;">'''一''' お年玉付郵便葉書等に関する法律(昭和二十四年法律第二百二十四号)第一条第一項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第五条第一項に規定する寄附金付郵便葉書等の発行</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号)第三条第五項に規定する事務取扱郵便局において行う同条第一項第一号に規定する郵便局取扱事務に係る業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 前号に掲げるもののほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 前三号に掲げる業務に附帯する業務</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 会社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、前二項に規定する業務以外の業務を営むことができる。</div> <div style="padding-left:1em;">'''4''' 会社は、第二項第三号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに前項に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''5''' 第一項の規定は、同項第二号の規定により会社が営む銀行窓口業務以外の銀行代理業又は同項第四号の規定により会社が営む保険窓口業務以外の保険募集若しくは所属保険会社等の事務の代行を第二項又は第三項の規定により会社が営むことを妨げるものではない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a5">(責務)</span><br>'''第五条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a6">(郵便局の設置)</span><br>'''第六条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社は、総務省令で定めるところにより、業務開始の際、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 郵便局の名称及び所在地</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うもののうち、銀行窓口業務又は保険窓口業務を行わないものの名称及び所在地</div> </div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a7">(銀行窓口業務契約及び保険窓口業務契約の内容の届出)</span><br>'''第七条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、総務省令で定めるところにより、銀行窓口業務契約又は保険窓口業務契約を締結する前に、その内容を総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a8">(一般担保)</span><br>'''第八条''' <div style="padding-left:1em;">会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a9">(株式)</span><br>'''第九条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第百九十九条第一項に規定するその発行する株式(第二十三条第四号において「新株」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社は、新株予約権の行使により株式を発行した後、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a10">(事業計画)</span><br>'''第十条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a11">(重要な財産の譲渡等)</span><br>'''第十一条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、総務省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a12">(定款の変更等)</span><br>'''第十二条''' <div style="padding-left:1em;">会社の定款の変更、合併、会社分割及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a13">(財務諸表)</span><br>'''第十三条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書その他会社の財産、損益又は業務の状況を示す書類として総務省令で定める書類を総務大臣に提出しなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a14">(収支の状況)</span><br>'''第十四条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の次に掲げる業務の区分ごとの収支の状況を記載した書類を総務大臣に提出しなければならない。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 第四条第一項第一号及び第六号並びに第二項第一号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 第四条第一項第二号及び第三号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 第四条第一項第四号及び第五号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 前三号に掲げる業務以外の業務</div> </div> </div> == 第三章 雑則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a15">(監督)</span><br>'''第十五条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、総務大臣がこの法律及び次に掲げる法律の定めるところに従い監督する。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 郵便法</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和二十三年法律第百四十二号)</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 郵便切手類販売所等に関する法律(昭和二十四年法律第九十一号)</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 簡易郵便局法</div> <div style="padding-left:1em;">'''五''' お年玉付郵便葉書等に関する法律</div> <div style="padding-left:1em;">'''六''' 郵便物運送委託法(昭和二十四年法律第二百八十四号)</div> <div style="padding-left:1em;">'''七''' 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(第五条の規定に限る。)</div> <div style="padding-left:1em;">'''八''' 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成十七年法律第百一号)</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 総務大臣は、この法律及び前項各号に掲げる法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a16">(報告及び検査)</span><br>'''第十六条''' <div style="padding-left:1em;">総務大臣は、この法律及び前条第一項各号に掲げる法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a17">(財務大臣との協議)</span><br>'''第十七条''' <div style="padding-left:1em;">総務大臣は、第十条、第十一条又は第十二条(定款の変更の決議に係るものを除く。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a18">(情報の公表)</span><br>'''第十八条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項第一号に規定する有価証券の発行者が同法第二十五条第二項の規定により公衆の縦覧に供しなければならない書類の写しに記載される情報を勘案して総務省令で定める情報を、総務省令で定めるところにより、公表しなければならない。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 会社は、前項に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 第四条第四項、第六条第二項又は第七条の規定による届出をしたとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 第十条の規定による認可を受けたとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 第十四条の規定による提出をしたとき。</div> </div> </div> == 第四章 罰則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a19"></span><br>'''第十九条''' <div style="padding-left:1em;">会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄<ruby><rb>賂</rb><rp>(</rp><rt>ろ</rt><rp>)</rp></ruby>を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a20"></span><br>'''第二十条''' <div style="padding-left:1em;">前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a21"></span><br>'''第二十一条''' <div style="padding-left:1em;">第十九条第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a22"></span><br>'''第二十二条''' <div style="padding-left:1em;">第十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a23"></span><br>'''第二十三条''' <div style="padding-left:1em;">次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 第四条第四項の規定に違反して、同項の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 第六条第二項の規定に違反して、同項の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 第七条の規定に違反して、同条の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''四''' 第九条第一項の規定に違反して、新株若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''五''' 第九条第二項の規定に違反して、株式を発行した旨の届出を行わなかったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''六''' 第十条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''七''' 第十一条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''八''' 第十三条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書、事業報告書若しくは同条の総務省令で定める書類を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''九''' 第十四条の規定に違反して、同条に規定する書類を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をした同条に規定する書類を提出したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''十''' 第十五条第二項の規定による命令に違反したとき。</div> <div style="padding-left:1em;">'''十一''' 第十八条第一項又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。</div> </div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a24"></span><br>'''第二十四条''' <div style="padding-left:1em;">第三条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。</div> </div> == 附 則 == <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の施行の日から施行する。ただし、第三条、第四条第五項、第十一条(定款の変更の決議に係る部分に限る。)及び第二十一条の規定は、同法附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から施行する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a2">(業務の特例)</span><br>'''第二条''' <div style="padding-left:1em;">会社は、当分の間、第四条第一項に規定する業務のほか、次に掲げる業務を営むものとする。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法第十五条第一項の規定による委託又は同条第四項の規定による再委託を受けた業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法第十八条第一項の規定による委託又は同条第四項の規定による再委託を受けた業務</div> <div style="padding-left:1em;">'''三''' 前二号に掲げる業務に附帯する業務</div> </div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により会社の業務が営まれる間、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 <table class="wikitable"> <tr> <td>第二条第四項</td> <td>及び保険窓口業務</td> <td>、保険窓口業務、附則第二条第一項第一号に掲げる業務(以下「受託郵便貯金管理業務」という。)及び同項第二号に掲げる業務(以下「受託簡易生命保険管理業務」という。)</td> </tr> <tr> <td>第四条第二項</td> <td>前項</td> <td>前項及び附則第二条第一項</td> </tr> <tr> <td>第四条第三項</td> <td>前二項</td> <td>前二項及び附則第二条第一項</td> </tr> <tr> <td>第六条第二項第二号</td> <td>又は保険窓口業務</td> <td>、保険窓口業務、受託郵便貯金管理業務又は受託簡易生命保険管理業務</td> </tr> <tr> <td>第十四条第二号</td> <td>第三号</td> <td>第三号並びに附則第二条第一項第一号</td> </tr> <tr> <td>第十四条第三号</td> <td>第五号</td> <td>第五号並びに附則第二条第一項第二号</td> </tr> </table> </div> </div> === 附 則 (平成一七年一一月二日法律第一〇六号) 抄 === <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a38">(処分等の効力)</span><br>'''第三十八条''' <div style="padding-left:1em;">この法律の施行前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a39">(罰則の適用に関する経過措置)</span><br>'''第三十九条''' <div style="padding-left:1em;">この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a40">(権限の委任)</span><br>'''第四十条''' <div style="padding-left:1em;">内閣総理大臣は、この附則の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 前項の規定により金融庁長官に委任された権限並びにこの附則の規定による農林水産大臣及び厚生労働大臣の権限については、政令で定めるところにより、その一部を財務局長又は財務支局長(農林水産大臣及び厚生労働大臣にあっては、地方支分部局の長)に委任することができる。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a41">(その他の経過措置の政令への委任)</span><br>'''第四十一条''' <div style="padding-left:1em;">この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a42">(検討)</span><br>'''第四十二条''' <div style="padding-left:1em;">政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、この法律による改正後の金融諸制度について検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。</div> </div> === 附 則 (平成二四年五月八日法律第三〇号) 抄 === <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条の規定(郵政民営化法目次中「第六章 郵便事業株式会社 第一節 設立等(第七十条―第七十二条) 第二節 設立に関する郵便事業株式会社法等の特例(第七十三条・第七十四条) 第三節 移行期間中の業務に関する特例等(第七十五条―第七十八条) 第七章 郵便局株式会社」を「第六章 削除 第七章 日本郵便株式会社」に改める改正規定、同法第十九条第一項第一号及び第二号、第二十六条、第六十一条第一号並びに第六章の改正規定、同法中「第七章 郵便局株式会社」を「第七章 日本郵便株式会社」に改める改正規定、同法第七十九条第三項第二号及び第八十三条第一項の改正規定、同法第九十条から第九十三条までの改正規定、同法第百五条第一項、同項第二号及び第百十条第一項第二号ホの改正規定、同法第百十条の次に一条を加える改正規定、同法第百三十五条第一項、同項第二号及び第百三十八条第二項第四号の改正規定、同法第百三十八条の次に一条を加える改正規定、同法第十一章に一節を加える改正規定(第百七十六条の五に係る部分に限る。)、同法第百八十条第一項第一号及び第二号並びに第百九十六条の改正規定(第十二号を削る部分を除く。)並びに同法附則第二条第二号の改正規定を除く。)、第二条のうち日本郵政株式会社法附則第二条及び第三条の改正規定、第五条(第二号に係る部分に限る。)の規定、次条の規定、附則第四条、第六条、第十条、第十四条及び第十八条の規定、附則第三十八条の規定(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)附則第二条第一項、第四十九条、第五十五条及び第七十九条第二項の改正規定、附則第九十条の前の見出しを削り、同条に見出しを付する改正規定並びに附則第九十一条及び第九十五条の改正規定を除く。)、附則第四十条から第四十四条までの規定、附則第四十五条中総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第三条及び第四条第七十九号の改正規定並びに附則第四十六条及び第四十七条の規定は、公布の日から施行する。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a4">(郵便局株式会社法の一部改正に伴う経過措置)</span><br>'''第四条''' <div style="padding-left:1em;">施行日をその期間に含む郵便局株式会社法第六条第一項に規定する実施計画に係る期間は、同項の規定にかかわらず、施行日の前日に終了するものとする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a5"></span><br>'''第五条''' <div style="padding-left:1em;">施行日の前日をその期間に含む第三条の規定による改正前の郵便局株式会社法(第三項において「旧法」という。)第六条第六項に規定する地域貢献業務計画の実施状況に関する報告書の提出及び公表については、日本郵便株式会社が従前の例により行うものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''2''' 郵便局株式会社の施行日の前日を含む事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書の提出については、日本郵便株式会社が従前の例により行うものとする。</div> <div style="padding-left:1em;">'''3''' 第一条の規定による改正後の郵政民営化法第八十九条の二から第八十九条の五までに定めるもののほか、旧法の規定により郵便局株式会社に対して行い、又は郵便局株式会社が行った処分、手続その他の行為は、第三条の規定による改正後の日本郵便株式会社法(次項において「新法」という。)の相当する規定により日本郵便株式会社に対して行い、又は日本郵便株式会社が行った処分、手続その他の行為とみなす。</div> <div style="padding-left:1em;">'''4''' 新法第三条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に日本郵便株式会社という文字を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a46">(罰則に関する経過措置)</span><br>'''第四十六条''' <div style="padding-left:1em;">この法律(附則第一条ただし書に規定する規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a47">(その他の経過措置の政令への委任)</span><br>'''第四十七条''' <div style="padding-left:1em;">この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。</div> </div> === 附 則 (平成三〇年六月八日法律第四一号) 抄 === <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a1">(施行期日)</span><br>'''第一条''' <div style="padding-left:1em;">この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。<div style="padding-left:1em;">'''一''' 第三条の改正規定(「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に改める部分を除く。)、第六条第二項の改正規定、第九条第一項の改正規定、第十条の改正規定、第十三条第一項の改正規定、第十四条第二項の改正規定及び同条第三項の改正規定、第十九条に一号を加える改正規定、第二十五条の改正規定、第二十六条の改正規定並びに第三十二条の次に一条を加える改正規定並びに附則第二条第三項の改正規定並びに附則第三条、第十二条(郵政民営化法等の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第三十号)附則第十九条第一項第一号の改正規定中「第四条の規定による改正後の独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成十七年法律第百一号。」に改める部分を除く。)及び第十三条の規定 公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日 </div> <div style="padding-left:1em;">'''二''' 題名の改正規定、第一条及び第二条の改正規定、第三条の改正規定(「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に改める部分に限る。)、第九条第二項の改正規定並びに第十四条第四項の改正規定並びに附則第四条から第八条まで、第九条(日本郵便株式会社法(平成十七年法律第百号)附則第二条第一項の改正規定に限る。)、第十一条及び第十二条(郵政民営化法等の一部を改正する等の法律附則第十九条第一項第一号の改正規定中「第四条の規定による改正後の独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成十七年法律第百一号。」に改める部分に限る。)の規定 平成三十一年四月一日 </div> </div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a10">(日本郵便株式会社法の一部改正に伴う経過措置)</span><br>'''第十条''' <div style="padding-left:1em;">附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における前条の規定による改正後の日本郵便株式会社法第十五条第一項(第八号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同項第八号中「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法」とあるのは、「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法」とする。</div> </div> <div style="padding-bottom:1em;"><span id="a13">(政令への委任)</span><br>'''第十三条''' <div style="padding-left:1em;">この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。</div> </div> {{PD-JapanGov}} 5xtx99ak8398n9p9xyvogyvk3x2eb91 福岡高等裁判所平成26年 (く) 第56号 0 35271 246572 246542 2026-10-13T06:51:02Z ろづき 28406 246572 wikitext text/x-wiki {{Header |title=福岡高等裁判所平成26年(く)第56号 |year=2018 |notes= LEX/DB文献番号25549362。原本は実名。確定判決については、[[福岡地方裁判所平6 (わ) 第1050号、平6 (わ) 第1157号|第1審判決]]、[[福岡高等裁判所平11 (う) 第429号|第2審判決]]、[https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-80437.pdf 最高裁判決]。本決定の原審・特別抗告審については、[[福岡地方裁判所平成21年 (た) 第11号|第1審決定]]、[https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-90266.pdf 最高裁決定]。第2次再審請求審については、[[福岡地方裁判所令和3年(た)第3号|第1審決定]]、[[福岡高等裁判所令和6年(く)第97号|第2審決定]]。 }} 福岡高等裁判所平成26年(く)第56号<br> 平成30年2月6日第2刑事部決定 ==決定== 申立人(請求人) 久間C子<br>  亡久間三千年に対する死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件について、平成26年3月31日、福岡地方裁判所がした再審請求棄却決定に対し、申立人から即時抗告の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。 ==主文== 本件即時抗告を棄却する。 ==理由==  本件即時抗告の趣意は、主任弁護人岩田務ほか36名共同作成の即時抗告申立書、同主任弁護人作成の即時抗告理由補充意見書(1)、即時抗告理由補充意見書(2)、即時抗告理由補充意見書(3)、即時抗告理由補充意見書(4)、即時抗告理由補充意見書(5)、笠井意見書及び科警研血液型鑑定に関する弁護人意見書、即時抗告理由補充意見書(6)、即時抗告審弁護人総括書面(なお、これらに関する訂正書等も含む。)に各記載のとおりであるから、これらを引用する。<br> ===第1 これまでの経過=== ====1 確定判決の存在====  亡久間三千年(以下「事件本人」という。)は、平成11年9月29日、福岡地方裁判所において、死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件について、要旨、以下のとおりの罪となるべき事実により、死刑に処する旨の有罪判決を受けた(以下、同判決を「確定判決」という。)。すなわち、<br>  事件本人は、平成4年2月20日、福岡県飯塚市大字潤野(省略)付近路上において、潤野小学校に登校中の被害者A田及び被害者B山を認め、被害者両名が未成年者であることを知りながら、自己の運転するマツダステーションワゴン・ウエストコースト(登録番号「筑豊○○つ○○○○」)に乗車させ、同小学校への通学路外に連れ出して、被害者両名を略取又は誘拐し、同市内又はその近郊において、殺意をもって、被害者両名の頸部を手で絞め付け圧迫し、被害者両名をいずれも窒息により死亡させて殺害し、福岡県甘木市大字野鳥219番地の3から国道322号線を嘉穂町方向に約1.4キロメートル進行した地点(通称八丁峠第5カーブ付近)において、その南方山中に、被害者両名の死体を投げ捨てて遺棄した。<br>  事件本人は、これを不服として控訴したが、平成13年10月10日、福岡高等裁判所において控訴棄却の判決を受け、更に上告したが、平成18年9月8日、最高裁判所において上告棄却の判決を受けて、確定判決が確定した。<br> ====2 原決定の概要等==== '''(1)''' 原決定は、まず、確定判決につき、主として、〔1〕T田T男(以下「T田」という。)らの目撃供述によれば、本件犯行に犯人が使用したと疑われる車両は、マツダ製の後輪ダブルタイヤの紺色のワゴンタイプの車両で、リアウインドーにフィルムが貼ってあるなどの特徴を有しており、犯人は被害者両名の失踪場所等についての土地鑑を有するものであると推測されるところ、事件本人は前記車両と特徴を同じくする車両(以下「事件本人車」という。)を所有し、かつ、前記失踪場所等に土地鑑を有すること、〔2〕被害者両名の着衣から発見された、被害者両名が犯人が使用した車両に乗せられた機会に付着したと認められる繊維片は、事件本人車と同型のマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高いこと、〔3〕事件本人車の後部座席シートから被害者A田と同じ血液型であるO型の血痕と人尿の尿痕が検出されているところ、被害者両名ともに殺害されたときに生じたと認められる失禁と出血があり、事件本人が犯人であるとすれば、前記血痕及び尿痕の付着を合理的に説明できること、〔4〕警察庁科学警察研究所(以下「科警研」という。)が実施した血液型鑑定及びDNA型鑑定によれば、被害者B山の遺体付近の木の枝に付着していた血痕並びに被害者両名の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に、犯人に由来すると認められる血痕ないし血液が混在しており、仮に犯人が1人であるとした場合には、その犯人の血液型はB型、MCT118型は16-26型であり、いずれも事件本人の型と一致していること、〔5〕事件本人は、本件当時、亀頭包皮炎に罹患しており、外部からの刺激により亀頭から容易に出血する状態にあったから、事件本人が犯人であるとすれば、被害者両名の膣内容等に犯人に由来すると認められる血液等が混在していたことを合理的に説明できること、〔6〕被害者両名が失踪した時間帯及び失踪現場は、事件本人が妻を通勤先に事件本人車で送った後、事件本人方に帰る途中の時間帯及び通路にあたっていた可能性があり、他方で、事件本人にはアリバイが成立しないこと、といった情況事実を列挙し、これらを総合して、事件本人が犯人であることについて、合理的な疑いを超えて認定することができるとした、と説示した。<br> '''(2)''' その上で、弁護人が新証拠として提出した証拠のうち、その主要な証拠及び立証命題は、次の3点に集約できるとしている。すなわち、<br> '''ア''' 筑波大学社会医学系法医学教室本田克也教授(以下「本田教授」という。)作成の平成21年10月13日付け「最新の方法によるDNA鑑定結果報告書(久間三千年のDNA型)」(原審弁1、以下「本田第1次鑑定書」という。)、平成22年12月20日付け「菊池和史氏(福岡地方検察庁検察官検事)作成の意見書への反論書」(原審弁14)及び平成24年10月15日付け「鑑定書」(原審弁17、以下「本田第2次鑑定書」という。)並びに原審における本田教授の証言(以上の鑑定書等及び証言を総称して「本田鑑定書等」という。)により、科警研が実施した血液型鑑定及びDNA型鑑定(確定第1審甲68、76)の各証拠能力ないし信用性が否定され、前記〔4〕の事実が認められないことになること、そして、犯人は事件本人とは全く異なる人物であることを立証しようとするものである。<br> '''イ''' 足利事件の再審判決並びに最高検察庁作成の「いわゆる足利事件における捜査・公判活動の問題点等について」(原審弁11、以下「最高検報告書」という。)、水口清作成の意見書(原審弁12、以下「水口意見書」という。)及び玉木敬二作成の意見書(原審弁13、以下「玉木意見書」という。)は、前記〔4〕の科警研のDNA型鑑定が、足利事件における科警研のDNA型鑑定と証拠として同質であり、証拠能力が否定されることを立証しようとするものである。<br> '''ウ''' 嚴島行雄(以下「嚴島教授」という。)作成の「いわゆる飯塚事件におけるT氏供述の正確さに関する第2次鑑定書」(原審弁15、以下「嚴島第2次鑑定書」といい、同鑑定書の基礎資料とされたフィールド実験(再現実験)を「第2次実験」という。)、司法警察員K1(以下「K1警察官」という。)及び同K2作成の「殺人事件報告書」(原審弁23、以下「K1報告書」という。)、司法警察員K3作成の「遺留品発見現場におけるボンゴ車目撃情報の入手経路、並びにボンゴ車のボディライン、センターキャップに関する捜査報告書」(原審弁24、以下「K3報告書」という。)は、前記〔1〕のT田の目撃供述の信用性が否定されることを立証しようとするものである。<br>  そして、原決定は、新証拠の明白性に関して、概要、以下のとおり説示している。すなわち、<br> '''(3) T田の目撃供述について'''<br> '''ア 嚴島第2次鑑定書'''<br> '''(ア)''' 嚴島第2次鑑定書は、嚴島教授による「いわゆる飯塚事件におけるT氏の目撃供述の信用性に関する心理学鑑定書」(確定控訴審弁70、以下「嚴島第1次鑑定書」という。)について、確定控訴審判決で指摘された問題点を考慮して、条件変更を行った上で、T田の目撃条件の再現実験を行ったものである。<br>  その実験結果は、被験者について、目撃した車両及び人物のいずれも、T田のような詳細な記憶は喚起されず、被験者のうち15名は、T田より記憶遂行が優れるように「対象車両やその前後に注目する」旨の教示を与えたが、T田のような詳細な車の説明ができなかったとし、T田の記憶は、同人の直接体験したことの記憶を超えて、他に情報源があるとしか考えようがなく、捜査側の意図されていない情報提供や、T田が目撃現場以外の場所で得た情報などが誤って目撃の記憶となったと推察され、T田の目撃供述は誤った記憶であると断言せざるを得ないとしている。<br> '''(イ)''' しかし、嚴島教授が、第2次実験の被験者が走行する距離をT田のそれよりも短いものとしたこと、被験者が運転する車両を操作の簡単なオートマティック車としたこと、被験者の半数の者に対し、「走行途中に、対向車線に車が必ず駐車していますので、その車とその前後を注意深く見てください」旨の教示を行うなど、被験者らが駐車車両を知覚し記憶し易くなると考えられる方向での措置を講じていることを十分考慮しても、第2次実験の実験条件は、重要な点においてなおT田の目撃条件と異なっており、T田と同等以上に知覚、記憶を促進するようなものになっていたとは認め難く、そのような実験条件のもとで被験者らがT田と同様の記憶を保有することができなかったとしても、T田がその目撃条件からしてあり得ない詳細な供述をしているとみることはできない。<br>  また、嚴島第2次鑑定書における心理学の知見を踏まえたT田供述の検討は、確定控訴審が指摘しているT田供述の信用性を肯定する事情について十分な検討がなされているものとも認め難い。<br>  したがって、嚴島第2次鑑定書に明白性は認められない。<br> '''イ K1報告書及びK3報告書'''<br> '''(ア)''' K1報告書は、K1警察官らが、平成4年3月2日、福岡県甘木市森林組合に対して聞き込みを実施したところ、同組合職員のT田が、同年2月20日午前9時から9時30分の間に、職務のため八丁峠を通行し、午前11時30分頃、頂上付近のカーブに駐車していた紺色ワゴン車1台を目撃した、などを内容とするものである。<br>  K3報告書は、T田の目撃情報の入手状況並びに同人が供述した車両のタイヤのホイルキャップ及びボディラインに関して、事件本人車について捜査した結果等を記載したもので、T田の平成4年3月9日付け警察官調書(確定第1審甲724)を作成したK1警察官が、同月7日に事件本人車を現認し、同車両にはボディラインがなかったことが記載されている。<br> '''(イ)''' K1報告書及びK3報告書の各記載からは、T田の平成4年3月9日付け警察官調書を作成したK1警察官が、それに先立つ同月7日の時点で事件本人車の車種や特徴を把握していた可能性は相当高い。しかし、K3報告書によれば、T田は、K1警察官が事件本人車を目撃する以前であり、K1警察官からの誘導を受ける可能性のない同月4日の時点で、目撃した車両の特徴について、紺色、後輪ダブルタイヤで、ガラスに何かを貼付していたことを述べていたと認められ、また、T田は、不審車両を目撃した翌日(平成4年2月21日)及び翌々日(同月22日)に、そのことをG1(以下「G1」という。)らに話題にした際、G1に対し、目撃した車両の特徴について、紺色のダブルタイヤのワゴン車である旨述べているが、T田とG1がそのような会話をする以前に、T田がK1その他の警察官によって何らかの誘導を受けた可能性は全く存在しない。したがって、これらの報告書にも明白性は認められない。<br> '''(4) 科警研が実施した鑑定について'''<br> '''ア''' 科警研は、〔1〕木の枝に付着の血痕ようのもの(以下「資料(1)」といい、資料(1)のうちPBS抽出遠心沈渣を「資料(1)〔1〕」、枝に残存していたものを「資料(1)〔2〕」という。)、〔2〕被害者A田の膣内容物(以下「資料(2)」という。)、〔3〕被害者A田の膣周辺付着物(以下「資料(3)」という。)、〔4〕被害者B山の膣内容物(以下「資料(4)」という。)、〔5〕被害者B山の膣周辺付着物(以下「資料(5)」という。)、〔6〕被害者A田の心臓血(以下「資料(6)」という。)及び〔7〕被害者B山の心臓血(以下「資料(7)」という。)を鑑定資料として、血液型鑑定及びDNA型鑑定(確定第1審甲68、坂井活子技官(以下「坂井技官」という。)及び笠井賢太郎技官(以下「笠井技官」という。)担当、以下「坂井・笠井鑑定」という。)を実施し、事件本人の毛髪についても、血液型鑑定及びDNA型鑑定(確定第1審甲76、坂井技官、笠井技官及び佐藤元技官担当、以下「坂井・笠井・佐藤鑑定」といい、前記「坂井・笠井鑑定」と併せて「坂井・笠井鑑定等」という。)を実施した。<br> '''イ 血液型鑑定について'''<br> '''(ア) 本田鑑定書等の内容'''<br> a 血液凝集反応はあくまで定性試験であって定量試験ではないから、坂井・笠井鑑定が血液凝集反応の強弱を持ち込んだことは完全に誤っている。<br> b 坂井・笠井鑑定には、血液型判定の判断の根拠となる写真が添付されておらず、検査結果に客観性が保たれていない。<br> c すべての血液型検査の結果を矛盾なく説明できる犯人の血液型は、犯人が1人であるとすれば、AB型である。<br> d 被害者両名と犯人の血液の混合比について、資料(1)について、抗B抗体に強い反応を示したとすると、被害者B山にないB抗原を有する血液が被害者B山の血液を凌駕するレベルで多量に混合していたことになるが、MCT118型に関しては、被害者B山の型以上に被害者両名以外の型が濃いバンドとして増幅されておらず、これは資料(3)も同様であり、血液型鑑定とDNA型鑑定の間に明らかな矛盾がある。<br> e 資料(2)ないし資料(5)については、木綿糸でなく、非特異的に抗体を吸収してしまう脱脂綿が使用されているが、コントロールが置かれていないから、これらの血液型鑑定の結果は信頼できない。<br> '''(イ)''' 前記aについては、本田教授の指摘は血液型鑑定の一般的な性質のみに基づいて坂井・笠井鑑定を論難するものに過ぎず、資料(1)ないし資料(5)のいずれにも、抗A抗体と抗B抗体への凝集反応に差が認められたというのであるから、検査ごとの偶然の偏りとは考え難い。また、解離試験法の内容からは、血痕資料に含まれている元の抗原の量によって、凝集反応の強さに差異が生じることは不合理でなく、坂井技官が長年の血液型判別に関する研究及び実務に基づいて凝集反応の強弱から行った判断に誤りがあるとして採用しないのは相当ではない。<br>  前記bについては、鑑定の信用性は、鑑定書の体裁のみならず、鑑定した者の供述等を含めて総合的に判断されるべきものであり、写真が添付されていないことの一事をもって、坂井・笠井鑑定の信用性を否定するのは相当ではない。<br>  前記cについては、本田鑑定書等は、資料(2)及び資料(3)から被害者B山のMCT118型が検出されておらず、これらに含まれるA型物質が被害者B山由来のものとはいえないから、これらに含まれる犯人の血液型は、犯人が1人であるとすれば、B型であると認めることはできないとするが、確定判決は、これらの資料に含まれるA型物質が被害者B山に由来するものであることは、犯人の血液型をB型と特定する理由とはしていないし、ABO式血液型鑑定とMCT118型鑑定では血液中の全く異なる部位を使用するから、これらの資料から被害者B山のMCT118型が検出されていないからといって、資料(2)及び資料(3)に被害者B山の血液が混合していないということはできない。<br>  前記dについては、ABO式血液型鑑定とMCT118型鑑定とでは、血液中の別個の部位を使用することなどに照らせば、血液型鑑定における血液凝集反応の強弱と、MCT118型鑑定におけるバンドの濃さが完全に一致しなかったからといって、坂井・笠井鑑定の信用性が損なわれるということはできない。<br>  前記eについては、脱脂綿の使用により問題が生じる可能性を抽象的に指摘するのみで、坂井・笠井鑑定の信頼性を疑わせる論拠となるような実験結果や文献資料等は何ら提出されておらず、本田教授の指摘を直ちに採用することはできない。<br>  以上のとおり、坂井・笠井鑑定の血液型鑑定に関する本田鑑定書等における指摘は、いずれも採用できない。<br> '''ウ MCT118型鑑定について'''<br> '''(ア) 本田鑑定書等について'''<br> a 本田第1次鑑定書の内容<br> (a)事件本人の遺留物件に付着した細胞等についてDNA型鑑定をしたところ、事件本人のMCT118型は18-30型であり、16-26型とした坂井・笠井鑑定は、型判定において誤りがあるのが明白である。<br> (b)坂井・笠井鑑定等には、資料(1)ないし資料(5)と事件本人由来の資料が同時泳動された写真がないから、客観的正当性がなく、証拠価値に疑問がある。坂井・笠井鑑定の鑑定書添付の電気泳動写真と坂井・笠井・佐藤鑑定の鑑定書添付の電気泳動写真を比較検討すると、泳動位置に違いがあり、資料(1)ないし資料(5)から検出された被害者両名以外の型が16-26型であるとすれば、事件本人の型は16-27型と判定され、明確に異なった型と判定される。<br> (c)坂井・笠井鑑定の結果からは、被害者両名以外の混合の人数によって、被害者両名以外の型として解釈できる型は幾通りにも存在するから、犯人の型が16-26型であると解釈できても確定することはできない。<br> (d)ポリアクリルアミドゲル電気泳動法では、DNAは必ずしも分子量に従った流れ方をしないので、ポリアクリルアミドゲルで123塩基ラダーマーカーを使ってMCT118型を判定すると型判定を誤ってしまう。いわゆる足利事件の菅家利和氏については、本田教授が再鑑定したところ、18-29型と判明したが、坂井・笠井鑑定で犯人と推定される型と足利事件の科警研による菅家利和氏の型はいずれも16-26型とされ、鑑定書添付の電気泳動写真上も両者のバンド位置はほぼ一致しているから、犯人の型は18-29型ということになり、事件本人が犯人である可能性は否定される。<br> b 本田第2次鑑定書の内容<br> (a) 坂井・笠井鑑定の鑑定書添付写真13のネガフィルム(確定第1審甲593、以下「坂井・笠井鑑定のネガフィルム」という。)のデジタル画像では、被害者両名の心臓血を含むすべての資料で16型のバンドが検出されているから、16型のバンドは非特異増幅バンドないし外来汚染によるもので、犯人の型と無関係のバンドである。<br> (b) 前記デジタル画像の資料(1)、資料(4)及び資料(5)には、41型、46型と見られるバンド(以下「X-Yバンド」という。)が存在する。X-Yバンドは被害者両名のみの血液資料からは検出されていないから、犯人はX-Yバンドの型を有する人物の可能性が高い。<br> (c) 前記デジタル画像の分析結果によれば、26型は資料(1)ないし資料(5)のうち3つで辛うじて認められるが、濃度が非常に薄く、被害者両名のバンドと明瞭にピークの分離がされておらず、ゲルの固まりムラによるアーチファクトバンドの可能性を否定できない。<br> '''(イ) 検討'''<br> a 本田第1次鑑定書について<br> (a) 前記(ア)a(b)については、123塩基ラダーマーカーとポリアクリルアミドゲル電気泳動法の組合せでMCT118型を判定する方法は、再現性が高く、検査者及び検査時の違いにより型判定が異なることはないから、鑑定資料と対照資料を同時に泳動しなければ型の同一性を判定できないとはいえないこと、事件本人の毛髪のバンドをデンシトメトリーで読み取ると、上位バンドの数値は26型と判定するのが相当といえる数値であったから、坂井・笠井・佐藤鑑定の型判定に、当時の判断としては疑問の余地はないこと、本田教授の判定手法は、デンシトメトリーを用いることなく電気泳動写真の目視によってバンドの位置を確定しようというもので当を得ないものであり、ラダーマーカーの位置の比較も適切になされていないことから、採用し難い。 <br> (b) 前記(ア)a(c)については、坂井・笠井鑑定は、犯人のMCT118型を16-26型と断定しているわけではなく、確定判決もこれを前提に、「出血した犯人が1人しかいないのであれば、その犯人のMCT118型は16-26型であると認めるのが相当である」と判示しているから、確定判決の事実認定を左右するものではない。<br> (c) 前記(ア)a(a)及び(d)については、123塩基ラダーマーカーにより16-26型と判定された資料がアレリックラダーマーカーで判定した場合に18-29型のみに結びつくものではないから、この点に関する本田教授の指摘は採用できない。123塩基ラダーマーカーによる型判定では16-26型と判定された資料は、アレリックラダーマーカーによる正確な型判定では18-29型、18-30型及び18-31型の3つの型のいずれかに当たり得る。確定判決もこれを前提に判断しているが、前記(ア)a(a)のとおり事件本人の正確なMCT118型は18-30型であることが明らかになっているから、現段階において、坂井・笠井鑑定等が、123塩基ラダーマーカーを指標として判定した事件本人のMCT118型及び資料(1)ないし資料(5)に含まれる被害者両名以外の者(犯人)に由来すると思われる血液のMCT118型が16-26型で一致しているとしたことをもって、単純に事件本人に対する有罪認定の根拠とすることはできない状況が生じている。<br> b 本田第2次鑑定書について<br> (a) 前記(ア)b(a)については、MCT118型検査は、16型の非特異増幅を生じるような検査法であるとは認められないこと、資料(1)ないし資料(5)の16型のバンド濃度は、資料(1)〔2〕を除いて、資料(6)及び資料(7)のバンド濃度をはるかに上回っていること、16型が泳動時の汚染によるものとすれば、123塩基ラダーマーカーの3つのレーンにはいずれも16型が検出されていないことの説明が困難であること、資料(6)及び資料(7)の16型のバンド様のものについて、よごれであると判断したとの坂井技官の供述、現像ムラか染色ムラと思われる旨の笠井技官の供述には、それなりに合理性があること、資料(1)ないし資料(5)の16型のバンドが、アレルバンドではなく、エキストラバンドである現実的可能性が存在するとは認め難いことからすると、本田教授の見解は採り得ない。<br> (b) 前記(ア)b(b)については、坂井・笠井鑑定のネガフィルムを見ると、資料(1)〔1〕、資料(1)〔2〕、資料(4)及び資料(5)のレーン上に、X-Yバンドの位置にバンド様のものが存在することが認められるが、エキストラバンドは42以上の型においても出現すること、エキストラバンドは2つのアレルが近い分子量を持っている際に生じやすいところ、X-Yバンドが見られる前記資料(1)〔1〕等では16型と18型の双方が検出されているのに対し、これが見られない資料(2)及び資料(3)では16型は検出されているが18型ないしこれに近接したバンドは検出されておらず、X-Yバンドをエキストラバンドであると考えることにも相応の理由があること、笠井技官は、MCT118型としては大きいサイズであるバンドが2本あったため、アレルバンドかどうか判断するために、少なくとも2回実施した電気泳動において移動度を確認したが再現性がなかったため、エキストラバンドと判断したと説明しており、その説明は合理的であることなどからすれば、X-Yバンドが犯人の型である可能性が高いとする本田教授の指摘は採用できない。<br> (c) 前記(ア)b(c)については、資料(1)〔2〕及び資料(4)につき、坂井技官は、ネガフィルム上の25型のバンドが太めのもので、その上にもバンドがあると判断されるものであり、デンシトグラムの25型のピークの落ち方は普通のものとは異なっていて、すそ野の中に隠れる形でもう1つバンドがあると判断されるものであったと具体的な判定根拠を述べていること、ゲルの固まりムラがあり、そこで増幅産物の解離が起こったのであれば、その位置を通過した増幅産物はすべて二重になるはずであるが、資料(1)〔1〕、資料(3)及び資料(5)の16型及び18型のバンドは二重になっておらず、固まりムラによって特定のレーンの特定の場所だけが二重になりノッチが形成されるというのは、非常に不自然であることから、犯人の型が26型であるとは認められないとする本田教授の見解は採り得ない。<br> '''エ 弁護人が提出したその他の証拠について'''<br>  いわゆる足利事件の再審判決は、DNA型の再鑑定等、再審において新たに取り調べられた各証拠を踏まえ、同事件におけるDNA型鑑定には、現段階においては証拠能力を認めることができないと判断したものであり、同事件当時の科警研によるDNA型鑑定の信頼性を一般的に判示したものでないことは明らかであり、最高検報告書、玉木意見書及び水口意見書は、いずれも本件の坂井・笠井鑑定等を検討した上での意見を述べるものではないから、これらの書面によって坂井・笠井鑑定等の証拠能力が否定されることにはならない。<br> '''(5) 新旧全証拠による総合評価について'''<br>  確定判決が認定した情況事実から、犯人と事件本人のMCT118型が一致したことを除いたその余の情況事実を総合した場合であっても、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされていることに変わりはない。本件では、犯人と事件本人のMCT118型が一致したとする坂井・笠井鑑定等の証明力について、確定判決の段階より慎重に評価すべき状況が生じているといえるが、本田鑑定書等の内容を考慮しても、坂井・笠井鑑定等のMCT118型鑑定によって、犯人と事件本人のMCT118型が一致したと認めることはできないが、他方で、これが一致しないと認めることもできないのであり、両者の可能性があるということにとどまり、事件本人以外の者が犯人である可能性に関する評価に影響を及ぼすものではない。したがって、弁護人が提出した証拠はいずれも明白性が認められない。<br> ===第2 当裁判所の判断===  原審で弁護人が提出した証拠の明白性を否定し、本件再審請求には刑訴法435条6号の再審事由があるとはいえないとして、本件再審請求を棄却した原決定の判断に、論理則、経験則等に照らして不合理な点はなく、当裁判所も正当なものとして是認することができる。以下、所論に鑑み説明する。なお、弁護人が当審において提出した証拠は別紙のとおりである。<br> ====1 T田の目撃供述について==== '''(1) 嚴島第2次鑑定書について'''<br> '''ア''' 所論は、以下のとおり、嚴島第2次鑑定書の評価に関する原決定の説示は誤っている、と主張する。すなわち、<br> 〔1〕原決定は、安全運転のための注意力の程度につき、「不審車両を目撃した当時、その従事する仕事の関係で、八丁峠に向かう国道322号線を運転することがあり、実際、平成4年2月には、20日以外に12日にも目撃現場付近を通行したことがあった」こと、「T田が不審車両を目撃した際に運転していた車両は、T田の勤務先が保有する車両であり、T田にとって乗り慣れていること」を挙げて、「T田が不審車両を目撃した現場付近の道路において安全に車両を運転するために用いる注意力の程度が、この道路を初めて運転する者よりも低いもので足り、反面で、T田が、運転とはかかわりのない周囲の状況に、より注意を向けることが可能であることを示す」とする。しかし、T田は、八丁峠に向かう国道322号線を運転することがあると供述するだけで、過去どのような頻度で目撃現場付近を通行したかについて詳細は述べていないし、平成4年2月は、不審車両を目撃したとされる20日以外には12日の1日だけしか通行しておらず、T田は目撃現場を頻繁に通行していたとはいえない。また、目撃現場付近はカーブが連続する下り坂であり、T田運転車両はマニュアル車で、変速装置の操作が頻繁に必要である一方、被験者の運転車両はオートマティック車であるから、その条件は被験者の方が有利であることは明らかである。<br> 〔2〕原決定は、目撃対象への注意の向け易さにつき、「T田が目撃現場付近の道路を運転することがあったとの事実は、道路やその付近の状況が普段と異なるときに、普段とは異なるものとして注意を向け易いということにも結び付く」とする。しかし、被験者の半数は「走行途中に、対向車線に車が必ず駐車していますので、その車とその前後を注意深く見てください」という注目教示が与えられ、より目撃車両に注意を注ぐことができる状況にあった一方、T田にはこのような事前の教示はなされていないから、その条件に有意な差は存在しないか、被験者の方が有利な条件であったことは明らかである。<br> 〔3〕原決定は、目撃対象への印象の強さにつき、「T田は、不審車両を目撃した翌日の夕方、ラジオのニュースによって、小学校1年生の女子が殺害され、その遺体が野鳥の山中に遺棄されていたことや、その遺体発見現場は、T田が前日に付近を通行して不審車両等を目撃した場所であることを聞き知り、目撃した車両等について同僚と会話をしているが、このような会話等により、T田は、その目撃した車両等が女児殺害事件と関係する可能性があるものと強く印象付けられ、不審車両を目撃した記憶を喚起、定着させたと考えられる」とする。しかし、目撃対象への印象の強さは、目撃当時の状況に左右され、目撃後の事情によって左右されるものではなく、記憶の範囲も目撃時の事情に制約されるのであるから、目撃後の事情という要素は、目撃条件の優劣を判断する上で重要とはいえない。<br> 〔4〕原決定は、目撃対象の記憶を容易にする条件の有無につき、「T田は、ダブルタイヤ仕様の車両が存在することやその車両の特徴について、不審車両を目撃する以前から知識を有していた」とする。しかし、T田はダブルタイヤ仕様の車両の存在等について具体的にどのように知っていたか供述しておらず、雑誌を読んで知っていたとの抽象的な供述に終始しており、一般常識的なものにとどまり、目撃条件の優劣を判断する上で重要とはいえない。<br> 〔5〕原決定は、第2次実験の目撃条件の設定につき、目撃者をT田に似せることはできないので、能力も性格も異なる多くの被験者を用意して、その記憶の成績の分布によりT田供述の確からしさを検証するとの方法を用いた点について、「上記のような重要な条件の相違をかかる方法によって補うことができるかは疑問である」とする。しかし、原決定は、第2次実験の目撃条件の設定方法について疑問を生ぜしめる心理学的見地からの合理的根拠を全く示していないし、原決定の判断は、およそフィールド実験によって目撃証言を弾劾することは不可能であるといっていることと同じである、というのである。<br>  しかし、〔1〕及び〔2〕については、T田が運転していたのは八丁峠の下り坂であり、しかもその速度は速くても時速約30km程度というのであるから、マニュアル車であったとしても、複雑なギアチェンジを繰り返す必要はなく、基本的にはブレーキペダルやクラッチペダルの操作で足りるから、オートマティック車の運転操作と比べて不審車両に目を向けることが困難ということはできない。また、T田は、平成4年2月12日、20日以外にも同年1月20日、24日にも目撃現場付近を通行しており(原審甲724)、目撃現場付近を相応に走り慣れていたと認められる。しかも、T田は、目撃当時は通行車両も少ない状況の中で、通行の安全に支障となるようなカーブ付近に停車している不審車両に着目して目撃したというのであるから、原決定が説示するとおり、普段と異なるものとして不審車両に注意を向け易い状態であったといえ、このような条件を具備しない被験者に所論がいうような事前教示があったとしても、T田の目撃条件よりも有利であるとか有意な差はないなどとはいえない。<br>  〔3〕については、確かに、目撃時点における目撃状況そのものの印象は、事後の事情によって影響を受けるものではないが、原決定が説示するのは、T田が目撃した不審車両の記憶を喚起、定着させた根拠として、本件事件のニュースと関連して目撃した不審車両について同僚と話をしたということを指摘しているのであるから、所論は当を得たものではない。<br>  〔4〕については、原決定が説示するとおり、T田が、ダブルタイヤ仕様の車両が存在することやその車両の特徴として後輪タイヤが小さく幅が広いといった具体的内容を知識として有していたことが明らかであり、このことが、目撃した不審車両がダブルタイヤであったことを知覚し記憶する上で有利に働いたというべきであるから、原決定の判断に誤りはない。<br>  〔5〕については、人の記憶の程度は、各々の属性やその時々の諸条件によって異なるといえるところ、原決定が説示するとおり、第2次実験の被験者は、知覚し記憶する条件がT田よりも重要な点で不利なものとなっていると考えられる。嚴島第2次鑑定書は、目撃者をT田に似せることができないので、能力も性格も異なる多くの被験者を用意して、その記憶の成績の分布によりT田供述の確からしさを検証するとの方法を用いることによって、このような重要な条件の相違を補うものであるというが、同鑑定書にはその正当性を基礎付ける合理的根拠は示されておらず、再現実験の困難性からみて、疑問が生じる。<br>  よって、嚴島第2次鑑定書の評価に関する原決定の判断は正当である。<br> '''イ''' 所論は、当審において嚴島第2次鑑定書を補完する趣旨のものとして提出されたと理解される(以下、当審で提出された証拠については、原審で弁護人が提出した新証拠を補完する趣旨のものとして取り扱う。)、嚴島教授作成の「飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書」(当審弁4の1)及び「飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書補遺」(当審弁4の2、以下、当審弁4の1及び弁4の2を併せて「嚴島第3次鑑定書」という。)、嚴島教授及び北神慎司共同作成の「飯塚事件における目撃者T田の供述に関する第4次心理学鑑定書」(当審弁9の1)及び「飯塚事件における目撃者T田の供述に関する第4次心理学鑑定書補遺」(当審弁9の2、以下、当審弁9の1及び弁9の2を併せて「嚴島・北神鑑定書」という。)に基づき、以下のように主張する。すなわち、<br>  タンジェント・ポイント(以下「TP」という。)理論とは、運転者の視線はカーブの3秒前くらいからTP付近に集中し始め、TPはカーブに沿って前進していき、TPへの注視はカーブに沿って車が進行するにつれて徐々に強くなるというものである。嚴島・北神鑑定書における実験結果からは、本件左カーブでは誰しも左側のTP等に視線の多くを停留せざるを得ず、そのためTPとは反対側の道路右側の被目撃車両及び人物には多くの視線を注げないことが明らかとなり、仮にTPとは反対側の被目撃車両及び人物に対して視線を向けた場合であっても、視線停留時間は短く、その視線行動は同じ部位にずっと留まっているのではなく、同一対象の異なる部位を何回も場所を変え、その対象から離れて他の場所に行くということを繰り返す。しかも、視線が移動している間は外部情報を認知できず、視線移動後にその視線が停留しても、凝視に至らずチラ見にとどまるときは、粗い情報しか把握できない(チェンジ・ブラインドネス現象)のであるから、T田供述のような多項目かつ詳細な事項の知覚ないし記憶は不可能である、というのである。<br>  しかし、嚴島第3次鑑定書におけるタンジェント・ポイント理論等の視覚科学は、外国の研究論文を引用するものであるところ、その論文の中で行われた実験等は、本件におけるT田の目撃条件とは異なるものであるから、前記視覚科学がそのまま本件のT田の目撃条件に当てはまるものではなく、嚴島第3次鑑定書をもってしても、T田の目撃供述の信用性は揺るがないというべきである。また、嚴島・北神鑑定書における実験は、9名の一般成人を実験参加者とし、実験前に参加者に対してカーブでは時速25~30km程度で運転するほかは、通常通りの運転を行うように求めたにすぎず(当審弁9の1)、被験者が本件道路を走行した経験の有無、駐車車両に対する注意の度合い、運転に供した車両が被験者にとって普段から乗り慣れた車両であるか否か等の重要な点で、確定控訴審判決や原決定が嚴島第1次鑑定書及び同第2次鑑定書において指摘した問題点を克服したものとは評価できず、T田の目撃条件と同一条件で行われたといえるものではないから、やはりT田の目撃供述の信用性を揺るがすものではない。<br> '''(2) K1報告書及びK3報告書について'''<br> '''ア''' 所論は、〔1〕原決定は、T田の平成4年3月9日付け警察官調書は、K3報告書の存在により、同月7日に事件本人車を見分したK1警察官が、事件本人車の特徴を事後情報としてT田に与えつつ事情聴取を実施したことが明らかであるから、その信用性は弾劾されるとの弁護人の主張を無視している、〔2〕原決定は、K1報告書におけるT田の初期供述である、車から人が乗り降りしていたとの記載は、その後のT田供述とかけ離れた内容であって、その後のT田供述の信用性を著しく毀損するべきものであるとの弁護人の主張を無視している、〔3〕K3報告書には、同月4日のT田供述として、紺色ワゴン車で男が乗り降りしていたとの同月2日のK1報告書に比べ、ダブルタイヤと特定し、ガラスに何か貼っていたこと、人物の頭が禿げており、髪は長めで分けており、茶色ベストに白っぽいシャツを着ていたことなど多項目にわたり詳細に語ったように記載されており、警察官による誘導の効果が明らかにされているにもかかわらず、原決定が、同月4日のT田供述を根拠に警察官による誘導を否定したことは誤っている、〔4〕K1警察官作成の平成4年3月4日(午後)の捜査報告書(以下「3月4日午後報告書」という。)に、T田の「ボンゴ車」との供述に基づき、その型式として「ボンゴのWタイヤはマツダで、ボンゴのディーゼル車BA2S8H、BA2S9H、ガソリン車、2V8H、2V9Hとのことであった」と記載されているところ、これらはいずれも事件本人車と同じウエストコーストのものであり、他方でボンゴ車の型式は他にも多数存在していたから、同日時点で捜査機関は事件本人車を犯行使用車両として特定していたのであり、この情報に基づきK1警察官はT田を誘導した、〔5〕原決定は、G1供述をT田供述の信用性を肯定する根拠の一つとするが、K3報告書によれば、同月9日よりも前に警察がG1に接触した形跡はなく、他方、最も早いG1供述は、同年5月28日の警察官調書であることからすれば、G1の初期供述は、早くても同年3月9日より後で遅くとも同年5月28日となるところ、G1の事情聴取を担当したのもT田を担当したK1警察官であるから、G1にもT田同様に事後情報が提供されて誘導がなされたことが明らかである上、同年2月21日、22日にG1がT田の話を聞いた際にその場にいたG2は、同月25日の時点で警察官に何も供述していないことに照らすと、G1供述は信用できない、と主張する。<br> '''イ''' しかし、〔1〕については、原決定は、平成4年3月4日のT田の目撃した不審車両の特徴に関する供述内容はK1警察官による誘導等がなされ得る前の時期のものであり、その内容と確定判決が信用性を肯定したT田の目撃供述との間に齟齬がないことから、T田の目撃供述はK1警察官による誘導等によってなされたものとはいえないことを説示しているのであるから、原決定が弁護人の主張を無視したなどという所論の指摘は理由がない。<br> '''ウ''' 〔2〕及び〔3〕については、K1報告書における平成4年3月2日のT田からの事情聴取は、T田が職務多忙のため目撃場所の特定等詳細な事情聴取には至らなかったというものであって、T田の目撃内容に関する記憶を正確に喚起させて詳細に目撃状況を聴取したものとは窺えない。これに対し、K3報告書によれば、同月4日の事情聴取は、T田を八丁峠に同行させて目撃現場を特定させており、T田はその現場を確認した上で、目撃した不審車両や人物について申告しているのであるから、より記憶を正確に喚起して目撃した状況を語ることが可能な状況にあったといえ、所論の指摘するような事情が、直ちにT田の目撃供述の信用性を減殺させたり、K1警察官による誘導等を窺わせるとはいえない。<br> '''エ''' 〔4〕については、確かに、3月4日午後報告書(原審検察官の意見書8に添付)には、事件本人車と同じウエストコーストの型式のみが記載されている。<br>  しかし、この段階では、被害者両名から採取した膣内容物等の血液型鑑定やDNA型鑑定等の事件本人の犯人性に関する客観的な結果を捜査機関はいまだ収集できておらず(確定第1審甲53、58、62、68、76、確定控訴審第2回公判G6証人尋問調書118項ないし136項等)、その後、T田の供述する後輪ダブルタイヤの紺色ワンボックスカーの所有者等に対するつぶしの捜査が行われている(確定控訴審第2回公判G6証人尋問調書60項ないし76項)こと等からすると、捜査機関が平成4年3月4日までに事件本人車を犯行使用車両として特定していたとまでは考え難い。また、仮に捜査機関が同月4日に既に事件本人車を犯行使用車両と特定し、同日にT田を誘導等までしていたというのであれば、その後の同月9日のK1警察官による取調べの際にも、目撃した不審車両についてマツダのボンゴ車であると特定してしかるべきであるが、T田の同日付け警察官調書では、トヨタや日産ではない、後タイヤは確かダブルタイヤであった、というように3月4日午後報告書よりも後退した内容となっている。したがって、所論のいう3月4日午後報告書の記載のみから、平成4年3月4日までに捜査機関が事件本人を容疑者として特定し、事件本人車を犯行使用車両と特定していたということはできない(なお、所論は、事件本人が、同年2月25日頃、M村刑事が事件本人方を訪れた旨供述しており、その際にM村刑事が事件本人車を確認したともいうが、その頃M村刑事が事件本人車を確認したことを窺わせるような証拠はない。)。<br>  したがって、所論〔4〕は採用できない。<br> '''オ''' 〔5〕については、所論は、G1の確定第1審における公判供述と捜査段階における警察官調書との間に、T田から聞いた目撃車両等が事件とは関係ないと考えた理由やT田から目撃車両等の話を聞いた回数に変遷があり、この点を指摘して、G1は捜査官の誘導によって供述内容をT田供述に沿う方向に変遷させたものであり、G1の公判供述は信用できないと主張するが、G1は、T田から、紺色のダブルタイヤのボンゴ車かワゴン車を目撃した旨聞いたという核心部分については一貫して供述している(主任弁護人作成の平成29年9月12日付け上申書添付のG1の平成4年5月28日付け警察官調書)のであって、所論が指摘する点を検討しても、前記核心部分につき、K1警察官が、G1に対して、供述すべき内容を示唆、誘導したような事情は窺われない。<br>  そして、G1とともにT田から話を聞いたとされるG2(K3報告書には「福岡県甘木市森林組合職員G2」と記載されている。)に対し、同年2月25日に警察官が聞込みを行っているところ、K3報告書には、その結果として、「民間に依頼し、野鳥の山林の枝下ろし等の作業をしている。」「20日、21日とも作業を依頼しており、従業員はP1、P2、P3である」との聞込みを得たが特異情報の入手には至らなかった旨記載されている。しかし、K3報告書によれば、この聞込みは、同月24日、警察官が甘木市商工観光課係長に対して本件の死体遺棄現場及び所持品等の遺留品の投棄現場付近の作業状況等について聴取した結果、市役所による作業等はないが、農林事務所、森林組合が作業をしているようだとの情報を得たことから行われたものであって、このような経過に照らせば、自らは前記作業に従事していなかったG2が、同月21日にT田から聞いた不審車両に関する話をしていなかったとしても不自然とはいえない。また、T田及びG1の供述によれば、結局、T田がG1らに話をした目撃車両については、目撃した場所が被害者両名の遺体発見現場と異なることから、事件とは関係ないとの話になったというのであるから、G2が警察官に対してT田から聞いた不審車両の話をしていないことは、この点からも不自然とはいえない。G1供述が信用できないとの所論は採用できない。 <br> '''(3)''' その他所論は原決定が嚴島第2次鑑定書並びにK1報告書及びK3報告書に証拠の明白性を認めなかった点について縷々主張するが、これらを検討しても原決定の判断に誤りはない。<br> ====2 科警研が実施した鑑定について==== '''(1) HLADQα型'''<br> '''ア''' 所論は、本田第1次鑑定書の立証命題の1つである、真犯人のHLADQα型は3-3型であって、事件本人(1.3-3型)とは異なるから、事件本人は無実であるとの点につき、原決定が判断を欠いていると主張する。すなわち、HLADQα型鑑定の方が血液型鑑定よりも少量の資料から検出可能であり、血液型の判定が可能な資料からは、HLADQα型が検出されるはずであるところ、被害者両名の膣内容等の資料から、いずれも真犯人の血液型が検出されているのであるから、どの資料にも真犯人のHLADQα型が含まれていると判断するのが合理的であり、資料(2)ないし資料(5)のすべてに含まれているのは3型のみであるため、真犯人のHLADQα型は3-3型しかあり得ず、事件本人とは型が異なる被害者A田の膣内容等から事件本人のHLADQα型が検出されていないのであるから、事件本人が犯人である可能性はない。ところが、原決定は、本田鑑定書等の新規性を認めながら、真犯人のHLADQα型は3-3型しかあり得ないとの弁護人の主張を摘示せず、「当裁判所の判断」においても何らの検討も加えていない、というのである。<br> '''イ''' しかしながら、確定判決が説示するとおり、HLADQα型の検査キットは、元来単独資料の型判定用に開発されたものであって、その判定方法も検出紙上のC(コントロール)の発色以上の発色があるかないかという二者択一のものであり、すべての型それぞれにのみ反応する試薬(プローブ)はない(確定第1審弁46)上、資料の混合があった場合には判定不能となる場合が多い(基本的には判定しない)とも指摘されていること(確定第1審弁43)を踏まえると、混合資料のHLADQα型の検査結果から直ちに2人分の型が検出された、若しくはその合理的な疑いがあるとは認め難いというべきである。また、血液型の判定が可能な資料からは、HLADQα型が検出されるはずであるとの点については、ABO式血液型鑑定では赤血球を使用し、MCT118型、HLADQα型等のDNA型鑑定では白血球中の核内に存在するDNA(なお、赤血球中に核はない。)を使用するという検査部位の違いや、赤血球の数は白血球の約1000倍であることからすれば、血液型の判定はできても、HLADQα型が検出できないということはあり得る。さらに、坂井・笠井鑑定では、MCT118型の検査を行った後にHLADQα型の検査を行っており、MCT118型に比べてHLADQα型の検査の際にはDNA量が減少していたことに加え、検査の感度について、坂井技官及び笠井技官は、いずれも本件当時のDNA型鑑定の経験から、新鮮血ではなく、血痕については、HLADQα型の検査の方がMCT118型の検査よりも多くのDNA量が必要である旨供述していること、被害者A田の膣内容物(資料(2))及び膣周辺付着物(資料(3))から1.3型が検出されなかったのも、犯人のDNAが壊れていた可能性があり、また、1.1型と1.3型の検出感度の違いにより1.1型の被害者A田のHLADQα型だけが検出されたとも考えられることも踏まえると、真犯人のHLADQα型は3-3型であるとの本田教授の見解は採用できない。なお、原決定は、HLADQα型に関する弁護人の主張については明示的に取り上げて判断を示していないが、血液型とMCT118型の整合性に関して、両者の検査部位の違い等といった前記判断と同様の判断を示しており、この点はHLADQα型にも共通するものであるから、原決定はHLADQα型に関する弁護人の主張については別途取上げて判断を示す必要があるとまではいえないと判断したものと理解できる。<br> '''(2) 血液型鑑定'''<br> '''ア 血液型鑑定に関する所論の概要'''<br>  所論は、原決定の坂井・笠井鑑定における血液型鑑定に関する判断の誤りについて、概要、以下のとおり主張する。<br> '''(ア) 解離試験において血液凝集反応の強弱の程度を考慮することの誤り'''<br> a 解離試験において凝集反応の強さに差異が生じることがあるのは、そもそも検体を3分割する際に、各検体中に含まれる血液成分量が均一ではなく、抗原抗体反応物の生成が各検体において同様に行われる確証もなく、また洗浄の際に、洗浄しきれなかった抗血清が残留し得るなどの誤差が生じ得るためであり、だからこそ、解離試験において、資料に含まれている抗原の量は全く意味を持たず、定性試験とされているのである。AB型の血液に解離試験を行った場合でも、A血球による凝集反応とB血球による凝集反応に2倍程度の差が生じることは頻繁にあり、現に坂井・笠井鑑定の表2における資料(2)のB型物質の凝集の程度は「±」である一方、表3における資料(2)のB型物質の凝集の程度は「+」となっており、資料(2)に含まれるB型物質の量に差があったか、抗原抗体反応物の生成の程度や検体洗浄の程度に差があったと考えざるを得ない。<br> b 草加事件差戻控訴審判決(当審弁5)及び平成8年11月8日付け大阪市立大学医学部法医学教室前田均作成の回答書(当審弁6、以下「前田回答書」という。)に基づく主張<br>  草加事件差戻控訴審判決は、「A型とB型の反応を示した唾液斑が、単独のAB型由来のものか、被害者由来のA型物質と犯人由来のB型物質の混合したものかが争われた」事案において、B型活性の方が強かったにもかかわらず、これをAB型と認定していること、同判決で引用された前田回答書(当審弁6)によれば、解離試験では、1つの鑑定資料から一定量を切り取り、均等に3分割してA型活性、B型活性及びH抗原活性の検査を行うため、資料中の付着物の分布が一様でない場合は、その付着物がAB型であっても、分割された資料中の付着物の多寡によってA型活性とB型活性の強さが異なる結果となるとあることから、凝集の強弱の程度を考慮して犯人の血液型をB型と特定した坂井・笠井鑑定は誤っている。<br> '''(イ) 犯人の血液型はAB型という本田鑑定書等の指摘を原決定が排斥した誤り'''<br> a 混合資料であることを明らかにする方法としては、肉眼ないし顕微鏡で凝集反応の有無を確認する方法と、「裏試験」と呼ばれる血清を用いての抗A抗体及び抗B抗体の有無を調べる方法があるところ、原決定は、科捜研鑑定(確定第1審甲53)では、被害者B山の遺体付近の木の枝から採取された資料3(坂井・笠井鑑定では資料(1))について、抗A・抗B血清との反応が認められたことから、AB型との判定をし、その上で参考事項として、A型とB型の混合の可能性と、AB型の可能性があるとしているが、同鑑定書には凝集反応の有無についての報告はないこと、坂井・笠井鑑定では凝集反応の目視は実施していないとされているが、血液型判定に習熟しているはずの同人らが凝集反応の目視を省略したとは考えられず、A型とB型の混合による強い凝集反応が確認されなかったがゆえに、解離試験による結果から強引にA型とB型の混合と解釈したにすぎないことといった弁護人の主張について何らの判断も示しておらず、本田鑑定書等に明白性があることは明らかである。<br> b 原決定の「ABO式血液型鑑定が可能となる程度の赤血球を含む血液は存在するが、MCT118型鑑定が可能となる程度の白血球は存在しなかった場合には、資料(2)及び資料(3)には、被害者B山由来のMCT118型は検出されないという事態もあり得る」との説示について、血液は何らかの病的状況等が生じない限り赤血球の量と白血球の量が保たれており、赤血球を含みつつ、白血球を含まない血液というのは通常考えられず、MCT118型鑑定がPCR増幅によって極めて微量の資料に対しても反応することを考慮すると、原決定は、極限的な可能性を振りかざして本田鑑定書等の見解を排斥するものというほかない。<br> '''(ウ) 被害者両名と犯人との血液の混合比について、血液型鑑定とDNA型鑑定の結果に矛盾があるとの点についての判断の誤り'''<br>  坂井・笠井鑑定における強い反応、弱い反応に意味があるとの見解が正しいとすれば、抗B抗体により強い反応を示した資料(1)には、犯人由来の血液の量がA型である被害者B山の血液を上回って存在することになるはずであるが、資料(1)のMCT118型は、犯人由来となるはずのバンドが被害者B山由来のバンドより濃いバンドとしては検出されておらず、資料(3)についても同じような矛盾があるとの本田鑑定書等の見解を、原決定は、両試験は赤血球と白血球という血液中の別個の部位を使用するのであるから、このような結果が生じることもあり得るとしてその信用性を排斥するが、原決定の判断は全く非科学的なものである。<br> '''(エ) 脱脂綿が使用されており、資料(2)ないし資料(5)についての血液型鑑定は信頼できないとの点に関する判断の誤り'''<br>  解離試験における血液型鑑定において脱脂綿を使用した場合には正確な型判定ができず、脱脂綿を使用して血液型鑑定を行った坂井・笠井鑑定は誤っている。<br> '''(オ) 本田教授作成の平成27年8月17日付け鑑定書(当審弁7、以下「本田第3次鑑定書」という。)に基づく主張'''<br>  〔1〕本田第3次鑑定書の実験1により、自然抗体による凝集が完了している混合血資料について、解離試験を実施して血液型を判定しようとしたこと自体が誤りであった、〔2〕実験2により、脱脂綿を使用して解離試験を行った場合にはその多くで誤った判定がなされ、脱脂綿を使用した解離試験の結果は全く信用できない、〔3〕実験3により、混合比率を変えながら作製したA型+B型、A型+AB型の混合血液について木綿糸を使用して解離試験を行っても、いずれもAB型と判定されるのであって、B型抗原の量が多いとB型の凝集反応が強くなるとの坂井・笠井鑑定の考え方は誤っている。<br> '''イ 血液型鑑定に関する所論に対する当裁判所の判断'''<br> '''(ア) 前記(ア)aの所論について'''<br>  確かに、解離試験を実施する前提として資料を3分割する際に、混合した血液成分が均等に分割されるとは限らないという点は、前田回答書にも、「1つの鑑定資料から一定量を切り取り、均等に3つに分割してA型活性、B型活性およびH抗原活性の検査を行わざるを得ない…そのため、資料中の付着物の分布(付着状態)が一様でない場合には、その付着物がAB型であっても、分割された資料中の付着物の多寡によって、同じ検査条件の元でも見かけ上A型活性とB型活性の強さが幾分異なる結果が得られることも考慮される必要がある」との記載があり、一般論としては否定することはできない。また、所論の指摘する資料(2)については、坂井・笠井鑑定の表2と表3でB型の凝集の程度に差があったと認められる。<br>  しかし、笠井技官の当審における証言によれば、解離試験では、凝集反応のわずかな強弱の差を判別することができるわけでなく、肉眼で見てはっきり分かる差があった場合に、3+、2+、1+、±、-という5段階で判定を行うものであり、これを前提に、坂井・笠井鑑定では、資料(1)ないし資料(5)のいずれについても、抗A抗体と抗B抗体への凝集反応に差が認められたというのであるから(確定第1審甲68の表2及び表3。坂井・笠井鑑定が行われる前に資料(1)ないし資料(5)等について血液型鑑定を行った福岡県警察科学捜査研究所の林葉康彦技官も、資料(1)について、「A型とB型で強弱があったことをはっきり覚えている。A型の凝集反応の強さを1とすると、B型の凝集反応は3くらいの凝集だった」旨供述している(確定第1審第8回公判309項ないし312項、353項ないし366項)。)、そもそも各資料の検査ごとに偶然の偏りがあったとは考え難い。すなわち、このことからは、資料(1)ないし資料(5)をそれぞれ3分割するに当たって、これらに血液型鑑定に影響を及ぼすような血液成分の不均一が生じていたとは考えられないというべきである。笠井技官は、当審において、資料(2)ないし資料(5)は、濃い血液が直接混合したものではなく、被害者A田ないし被害者B山の血液と膣液が混じっている状況に他の人の血液が混ざっているという状況であり、血清成分は非常にごく僅かしか含まれていなかったと考えられ、血液の混合による凝集が起こっていても非常に少ない量であり、被害者両名から採取される前はこれらの血液等は不均一な状態であった可能性もあるが、生理的食塩水を浸した脱脂綿で拭き取って液体の状態(笠井技官は、資料(2)ないし資料(5)は脱脂綿が湿っているような状態ではなく、液体の状態に脱脂綿が泳いでいるような状況であり、非常に希釈されて拭き取った状態であった旨証言しているところ、確定審甲68の写真4ないし10によれば、資料(2)ないし資料(5)が液体中に浮いているわけではないが、各脱脂綿には相当量の液体が含まれた状態であると認められるのであって、笠井技官の前記証言もこのような趣旨であると理解できる。)であり、被害者両名から採取した段階である程度均一化しており、しかも、資料(2)ないし資料(5)の一部を切り取る際には、色調や粘度等を見て不均一となっていないかを確認した、と証言している。かかる笠井技官の証言は、前記の坂井・笠井鑑定における血液型鑑定の結果とも整合するものであって、信用できる。また、解離試験における洗浄は、試験管に入れた検体に抗血清を1滴(約50μl)加えて血液型抗原に抗体等を結合させた後、冷却した界面活性剤入り生理的食塩水等で検体を洗浄し、洗浄液をアスピレーターで吸い取る(余剰の抗体の除去)という処理を3回繰り返し、少なくとも数百万倍の希釈が行われるというものであること(平成28年1月28日付け笠井技官作成の意見書(以下「笠井意見書」という。)3頁、笠井技官の当審証言7頁)、それぞれの各試験管における抗原抗体反応物の生成も、坂井・笠井鑑定では凝集素価を同一(256倍)にして行っていて同様に行われたことを担保していることも踏まえると、3分割した資料の不均一性を論難する所論は採用できない。<br>  また、解離試験は定性試験である、A血球による凝集反応とB血球による凝集反応に2倍程度の差異が生じることは頻繁にあるとの所論の指摘については、解離試験がいわゆる定性試験であったとしても、混合資料について、凝集反応の程度の違いに着目してそれぞれの血液型を判定することにつき、本田教授も、原審における証人尋問において、一般論としては否定はしておらず(原審本田証言(第1回)381項、同(第2回)142項、143項)、解離試験の原理に照らせば科学的な合理性を有すると認められるし、A、B各血球の凝集反応に2倍程度の差異が頻繁に生じることに関する実験結果や文献等は提出されておらず、所論は採用できない。<br>  なお、坂井・笠井鑑定の資料(2)につき、確定第1審甲68の表2と表3ではB型物質の凝集の程度に「±」と「+」というように差があり、資料(2)に含まれるB型物質の量に差があったか、抗原抗体反応物の生成の程度や検体洗浄の程度に差があったと考えざるを得ないとの点につき更に検討すると、被害者A田の膣内容物という同一の資料について、B型物質の凝集反応の程度に差があったことは事実であり、資料(2)から取り出した検体ごとにB型物質の量等に差があった可能性は否定できない。しかしながら、表2は通常の解離試験における結果を示したものであり、表3はクロロホルム-メタノール法による解離試験の結果を示したものであるところ、クロロホルム-メタノール法による解離試験では、アルコール可溶性である血液の血液型抗原が主に抽出され、相対的に水溶性の体液由来の血液型抗原は弱く検出されるため、通常の解離試験の結果と比較することで、血液由来の血液型を判断することができる。そして、資料(2)は、血液と膣液が混合した資料であるところ、クロロホルム-メタノール法による解離試験の結果は、通常の解離試験の結果と比較すると、O型が弱くなり、弱いAB型(あるいは弱いA型+弱いB型)のA型は弱いが、B型はO型及びA型よりも強くなっていることから、坂井・笠井鑑定は、通常の解離試験で検出された強いO型は主に膣液由来と考えられる一方、B型が相対的に強くなっていることから、各被害者に由来しないB型と、弱いA型又はAB型(おそらくは被害者B山のA型)と判定したものである。笠井技官は、当審において、通常の解離試験の結果とクロロホルム-メタノール法による解離試験の結果の考察は、単純に表2と表3のB型の凝集反応の違いを見比べるのではなく、前記のように各血液型全体を比較検討して行うものであると証言している(笠井技官の当審証言64頁)ことも踏まえると、資料(2)から取り出した検体ごとにB型物質の量等に差があった可能性は否定できないことを考慮しても、凝集反応の強弱を考慮して血液型鑑定を行った坂井・笠井鑑定が不合理であるとはいえない。<br>  所論は、クロロホルム-メタノール法は、血液・体液混合資料から血液部分をより特定して検出できるという仮説に基づいているのであって、解離試験として行うことが真に有効か否かが実証された一般的な方法ではなく、独創的仮説に基づく極めて特殊な方法にすぎない、と主張する。しかし、笠井意見書添付の「クロロホルム-メタノール混液処理による微量汚染血痕の血液型検査法」と題する論文において、実験に基づきその有効性が明らかとされているのであって、所論は採用できない。<br> '''(イ) 前記(ア)bの所論について'''<br>  所論が指摘する草加事件差戻控訴審判決では、被害者の両乳房から採取した付着物について、血液型鑑定に当たって、同採取物中に被害者の細胞片が混在していたことは何ら確認されていないというのであって、資料(1)ないし資料(5)につき混合資料であることが明らかな本件事件とはそもそもその前提が異なるから、草加事件差戻控訴審判決の結論が、解離試験において凝集反応の強弱の違いを考慮する坂井・笠井鑑定の信用性を左右するものではない。<br>  また、前田回答書の内容が坂井・笠井鑑定の結論を左右するものではないことは既に説示したとおりである。所論は採用できない。<br> '''(ウ) 前記(イ)aの所論について'''<br> a この点、笠井意見書によれば、裏試験の原理及び方法は以下のとおりである。すなわち、<br>  A型の血液では、血球膜上にA型抗原、血清中にB型抗体が存在し、B型の血液では、同様にB型抗原及びA型抗体が存在し、血液型検査は、血液中の抗原あるいは抗体を検出する方法で実施されるところ、血球側の検査として行われる資料中の血球に存在する血液型抗原に対する抗血清による凝集反応を表試験と称することに対応して、血清側の検査として行われる資料の血清中の血液型抗体に対する標準血球による凝集反応を裏試験という。<br>  試験管で実施する裏試験は、非働化(血清に含まれる非特異免疫反応に関わる補体成分を非活性化)した資料の血清を、2本の試験管に2滴ずつ入れ、A型及びB型標準血球の生理的食塩水浮遊液をそれぞれの試験管に1滴加えて混和し、1000回転1分間遠心して凝集の有無を観察するというものである。<br> b そして、笠井意見書によれば、裏試験を実施するためには、被検資料の血清を必要とし、通常、血痕化した現場資料からは血清成分を回収することは困難であり、新鮮な資料であれば若干の血清成分を回収することが可能な場合も考えられるが、坂井・笠井鑑定の現場資料のうち、資料(1)は乾燥した微量な斑痕資料であって血清の回収ができないから裏試験が可能な資料ではない。また、笠井意見書には、資料(2)ないし資料(5)は、生理的食塩水を含ませた脱脂綿で拭き取ったものであり、血清成分が含まれていたとしてもごく微量であり、しかも生理的食塩水で希釈されているため、裏試験が可能な資料とはいえない、とある。この点、笠井技官は、当審において、資料(2)ないし資料(5)に関して、通常、血液がたくさんあると、もっとどす黒い赤のような色調を示すが、これらは明るい赤であったので血液量はそんなに多くないと判断した、被害者両名の膣液と血液が混ざっているような状況に、その他の人の血液が混ざっているような状況であって、しかもそれを希釈した状況で採取したから、血清成分はごく僅かしか含まれていなかった旨証言している。かかる証言は、坂井・笠井鑑定の外観検査における資料(2)ないし資料(5)の「淡赤色」「淡褐色」「赤褐色」との色調と整合するものであるし、外観検査を行うに際し、実際に各資料を観察した経験を踏まえて証言されたものであって、信用できるというべきである。そうすると、資料(2)ないし資料(5)についても、裏試験が可能な資料ではなかったという笠井技官らの判断が不合理なものということはできない。以上によれば、坂井・笠井鑑定において資料(1)ないし資料(5)につき裏試験をしていないことを論難する所論は採用できない。<br> c また、当審弁8及び平成28年3月31日付け検察官作成の意見書5添付の笠井技官作成の回答書(以下「笠井回答書」という。)によれば、凝集反応は、ヒトの血液中の赤血球膜の表面にはABO式血液型の抗原が存在し、血清中には自己の抗原以外に結合する抗体が存在していて、赤血球などの浮遊細胞上の抗原に抗体が作用することによって、肉眼的に観察できる凝集塊を生じる現象であり、一般的に、血液型が異なる新鮮な血液が混合した場合、片方の血液の血清中の抗体が他方の血液の血球表面上の抗原と結合して凝集反応が生じ得るが、同時に血液自体の凝固反応が生じるため、肉眼ないし通常の顕微鏡により凝集反応の有無を判別することは困難である。<br>  そして、笠井回答書によれば、資料(1)は、枝に付着した血痕であり、血液自体の凝固反応が肉眼により観察され、顕微鏡による観察においても、血痕(凝固血液)以外には膣液由来と考えられる付着物がわずかに観察されるだけであったというのであり、凝集反応の有無を観察するには不適切な資料といえる。また、資料(2)ないし資料(5)は、生理的食塩水で湿らせた脱脂綿で被害者両名から採取した資料であり、浮遊細胞の状態ではなく、淡い赤色ないし褐色の液体であり、色調から血液が少量しか含まれていないと推測され(資料(2)ないし資料(5)に関し、血液量はそんなに多くないと判断した旨の笠井技官の当審における証言が信用できることは前述したとおりである。)、生理的食塩水で希釈されていたことから、血液自体の凝固反応の観察及び混合した血液による凝集反応の観察を行うには不適切な資料といえる。以上によれば、坂井・笠井鑑定についてA型とB型の凝集反応の有無の観察に関して論難する所論は理由がない。<br> '''(エ) 前記(イ)bの所論について'''<br>  所論は、血液は何らかの病的状況等が生じない限り赤血球の量と白血球の量が保たれており、赤血球を含みつつ、白血球を含まない血液というのは通常考えられないというが、被害者A田は、道路から投げ捨てられたような状態で、パンツを脱がされて下半身が露出された状態で遺棄されていたのであり(確定第1審甲6)、資料(2)及び資料(3)は、本件犯行翌日の平成4年2月21日、被害者A田の膣内容物及び膣周辺付着物を生理的食塩水を含ませた脱脂綿で拭き取ったものであって(確定第1審甲58)、そもそも新鮮な血液そのものではない。このような資料(2)及び資料(3)の採取過程や採取状況に加え、前述したABO式血液型鑑定とDNA型鑑定の検査部位の違い等も考慮すれば、資料(2)及び資料(3)のA型の血液が、前者の検査可能な程度の赤血球を含みつつ、後者の検査可能な程度の白血球は含まないものであったことも考えられるものと評価でき、原決定が、極限的な可能性を振りかざして本田鑑定書等の見解を排斥したとはいえない。 <br>  なお、所論は、原決定が、帝京大学医学部法医学教室石山昱夫教授によるミトコンドリアDNA型鑑定(以下「石山鑑定」という。)で、資料(3)につき、被害者B山由来のものと考えて矛盾しないDNA型が検出されていることを、資料(3)に被害者B山の血液は混合していないとの本田鑑定書等を排斥する根拠の1つとして説示する点につき、石山鑑定において事件本人のものと一致するミトコンドリアDNA型が検出されていないことを全く無視した暴論である、と主張する。しかし、確定判決が説示するとおり、坂井・笠井鑑定と比べて石山鑑定における資料(2)ないし資料(5)は、微量であり、その状態も著しく劣悪なものであったと考えられること等からすれば、石山鑑定の段階では既にこれらの資料には犯人のDNAが存在しなかった可能性も考えられるのであって、所論のいう原決定の説示に不当なところはない。<br> '''(オ) 前記(ウ)の所論について'''<br>  前述したABO式血液型鑑定とMCT118型鑑定の検査部位の違い等に照らせば、原決定が説示するとおり、血液型鑑定における凝集反応の強弱と、MCT118型鑑定におけるバンドの濃さが完全に一致していないことが非科学的などとはいえず、所論のいう本田鑑定書等の見解は坂井・笠井鑑定の信用性を損なわせるものではなく、所論は採用できない。<br> '''(カ) 前記(エ)の所論について'''<br>  確かに、解離試験において脱脂綿をそのままの状態で使用した場合、そのままのほぐれた形状では、資料を担体に付着・保持することが困難であり、洗浄の際、担体が流出して、目的とする抗原抗体反応に支障が生じる可能性があること、ほぐれた担体中に抗体が捕捉され、適切な洗浄が実施できない可能性があること、解離液中に担体や資料の微細破片が混入し、凝集反応の観察が困難となる可能性があり(笠井意見書)、正確な血液型の判定ができないおそれがあることはそのとおりである。また、坂井・笠井鑑定の前に実施された前記林葉康彦技官による科捜研鑑定では、資料(2)ないし資料(5)について、血痕検査のために作成した浸出液を木綿糸片に転着し、これを検体として解離試験法により検査を行っている(確定第1審甲58、62)。<br>  しかし、笠井意見書には、その対処法として、脱脂綿に資料を付着させて乾燥・固定する時に、ピンセット等を用いて脱脂綿を綿糸様に固めることにより、検査中にほぐれないようにすることができ、脱脂綿を担体として使用した場合であっても、綿糸を使用した場合と同様に適切な検査を実施することができる、坂井・笠井鑑定でも、資料(2)ないし資料(5)について、脱脂綿の一部を取って乾燥・固定する時に、ピンセット等を用いて脱脂綿を綿糸様に固めることにより、検査中にほぐれないようにして綿糸と同等の取扱いを可能にした、別の綿糸に付着し直すという手法を採らなかったのは、資料(2)ないし資料(5)は生理的食塩水を含ませた脱脂綿で採取され、液状であり、色調から血液が少量しか含まれていないと推測されたため、資料の脱脂綿中の血液・膣液混合液を効率よく別の綿糸に付着し直すことが困難と考えたので、脱脂綿の一部をそのまま取り、乾燥・固定したものを資料として実施した、とある。この点、笠井技官は、当審における証人尋問において、脱脂綿を綿糸様に固める手法につき、下にアルミ製のヒーターがついたガラス板に資料(2)ないし資料(5)の脱脂綿の一部を取って載せ、80℃で15分程度熱をかけて乾燥させつつピンセットを用いてよっていくようにして綿糸と同じような形状になるまで固定した、解離試験の際にほぐれないようにきつく固める必要があり、これを確認した上、解離試験の洗浄操作の際にも、試験管の中の資料をガラスの細い管の先にプラスチックが付いたものでほぐれないように押さえるなどして行った旨証言している。また、科警研においては、脱脂綿で採取された資料が送付されてきた場合には、前記のような方法を通常の検査法の1つとして実施していたとも証言しており、坂井・笠井鑑定は、科警研における通常の検査方法として、前記のような脱脂綿をそのまま用いることによる弊害を相応に回避できる措置を講じて実施されたものと認められる。そして、笠井技官は、綿糸様に固めたものを目視により3分割したと証言するが、この点も、既に説示したとおり、凝集反応の強弱は、わずかな強弱の差を判別するものではなく、肉眼で見てはっきり差があった場合に5段階で判定を行うものであることに照らすと、不合理とはいえない。以上によれば、坂井・笠井鑑定の血液型鑑定において正確な判定ができないような手法が用いられたなどとはいえず、所論は採用できない。<br> '''(キ) 前記(オ)の所論について'''<br>  〔1〕については、坂井・笠井鑑定における資料(1)ないし資料(5)は、本田第3次鑑定書の実験1のような人から採取した新鮮血を混合した資料ではなく、前述したとおり自然凝集が生じたとしてもその量はごく僅かであったと考えられるから、坂井・笠井鑑定の結論を左右するものとはいえない。<br>  〔2〕については、本田第3次鑑定書では、ほぐれた形状の脱脂綿をそのまま担体として使用したものであって、坂井・笠井鑑定の信用性を左右するものではない。<br>  〔3〕については、実験3は、「解離試験においては、血液を試験管内に分注後、混合が十分起きる前に木綿糸や脱脂綿に滴下させた」ものであり、そもそも血液が均一に混合されておらず、採取部位によって混合比率が異なるため、本来の混合比率に基づく検査結果を得ることができないのは当然であって、証拠価値に乏しいといわざるを得ない。したがって、所論は採用できない。<br> '''(ク)''' その他、所論が縷々主張する点を検討しても、坂井・笠井鑑定の血液型鑑定に関する本田鑑定書等における指摘はいずれも採用できないとした原決定に誤りはない。<br> '''(3) MCT118型鑑定'''<br> '''ア''' 所論は、原決定は、本田鑑定書等について、事件本人の正確なMCT118型が18-30型であること、坂井・笠井鑑定の結果から解釈できる型は、犯人の人数によって異なり、同鑑定の結果のみからは真犯人の型を16-26型であると確定できないことを除き、概ね「抽象的な指摘にすぎない」等として採用できないとする一方、坂井・笠井鑑定について、証拠能力を認めた上で、事件本人と真犯人とのMCT118型が一致する可能性があるとの限度において証明力を認めるが、かかる原決定の判断は誤っている、と主張する。すなわち、<br> 〔1〕原決定は、デンシトメトリーで読み取ると、事件本人の上位バンドは26型と判定するのが相当といえる数値であり、当時の判断としては同型判定に疑問の余地はないとする一方、目視によってバンドを確定しようとする本田教授の手法は当を得ないとするが、バンドの位置を確定するのに、デンシトグラムを用いる方がむしろ例外的であり、また、坂井・笠井鑑定は平成4年に実施されたものであるが、科警研のデンシトグラムの作成年月日は平成7年12月4日であり、鑑定後に事後的に作成されたものにすぎず、坂井・笠井鑑定のバンド位置の判定も、目視によって行われており、原決定は誤っている。<br> 〔2〕原決定は、坂井・笠井鑑定の資料(1)ないし資料(5)と事件本人由来の資料が同時泳動されていないため、その結果に客観的正当性がなく、証拠価値に疑問がある、との本田鑑定書等の指摘について、「123塩基ラダーマーカーとポリアクリルアミドゲル電気泳動法の組合せでMCT118型を判定する方法は、再現性が高く、検査者及び検査時の違いにより型判定が異なることはないものとされているから、鑑定資料と対照資料を同時に泳動しなければ型の同一性を判定できないとはいえない」とするが、警察庁が同時泳動を指針として定めていることや、足利事件における玉木意見書、水口意見書、最高検報告書の趣旨に反するものであり、誤っている。<br> 〔3〕原決定は、弁護人がした、坂井・笠井鑑定に改ざんがあるとの主張について、「坂井・笠井鑑定のネガフィルム自体は保存されており、確定第1審においても、証拠として提出され、笠井技官に対する尋問でも使用されているなど、坂井技官らに改ざんの意図があったとは窺えない」とするが、坂井技官らは坂井・笠井鑑定のネガフィルム上のX-Yバンドの存在を認識しており、X-Yバンドを隠ぺいすることで、そのバンドがアレルバンドか否かを第三者が検証する機会を失わせたこと、坂井・笠井鑑定のネガフィルムは笠井技官の尋問当日になって裁判所に提出され、弁護人において数分しかその内容を確認する時間がないまま、その日のうちに科警研によって持ち帰られて裁判所に保管されることはなく、X-Yバンドに対する説明も、笠井技官に対する反対尋問において弁護人に指摘されて初めて行っていることからすれば、坂井技官らに改ざんの意図があったことは明らかである、というのである。<br>  しかし、〔1〕のうち、バンドの位置を確定するのに、デンシトグラムを用いる方がむしろ例外的という点については、本田教授が、原審の証人尋問において、そのような証言をしているが、これについては、本田教授自身がMCT118型鑑定を行う場合の方法について述べているにすぎないし、他方で、本田教授は、厳しい読みを要求されるような古い資料で、肉眼的に判断できないけれども、わずかな違いまで検出したいという難しい資料に関してはデンシトグラムを使う旨証言しており(原審本田証言(第1回)228項)、デンシトグラムを用いた方がMCT118型鑑定をより正確に行うことができることを前提としている。電気泳動の結果を写真に撮影し、そのネガフィルムを肉眼で観察してバンドの有無を判定し、DNA型解析装置によりデンシトメトリーを用いてデンシトグラムを出力し、その数値でバンドの位置、移動度を正確に判定しようとした坂井・笠井鑑定の手法に疑念を抱かせるものではない。また、所論がいうように、確定第1審で証拠とされたデンシトグラム(甲596以下)が坂井・笠井鑑定が行われた後に出力されたものであったとしても、笠井技官は、MCT118型鑑定は、坂井・笠井鑑定が行われた平成4年当時、N社のDNA型解析装置を用いて行った旨証言しており(確定第1審第35回公判笠井技官55項)、坂井技官及び笠井技官の確定第1審における各証言内容を見ても、坂井・笠井鑑定においてデンシトグラムを使用していなかったことを窺わせるような事情は見当たらないから、原決定の認定に所論のいうような誤りはない。<br>  〔2〕については、所論が指摘する警察庁の指針には、「DNA型鑑定は、原則として、現場資料と対照するための資料がある場合に実施し」とあるだけで、同時泳動すること自体を指針として定めているわけではない(確定控訴審弁33、34)。また、原決定が説示するとおり、123塩基ラダーマーカーとポリアクリルアミドゲル電気泳動法の組合せでMCT118型を判定する方法は、再現性が高く、検査者及び検査時の違いにより型判定が異なることはないものとされている(所論が指摘する水口意見書には、『「同一条件の電気泳動であれば型分類の再現性は確保される」ことは理論上は正しい』とされ、玉木意見書にも、「同一条件の電気泳動であれば、同一アリルの移動度は同じであり、再現性は保たれている(と)いう意見は一応の説得力を有する」とされている。)から、鑑定資料と対照資料を同時に泳動しなければ型の同一性を判定できないというわけではない。原決定の認定に誤りはなく、〔2〕の所論は採用できない。<br>  〔3〕については、X-Yバンドがエキストラバンドであることは後記のとおりであり、笠井技官も確定第1審において同旨の証言をしているから、坂井技官及び笠井技官がX-Yバンドを殊更に隠ぺいしようとしたなどとはいえない。原決定が説示するように、坂井・笠井鑑定のネガフィルム自体は保存されており、確定第1審においても、証拠として提出され、笠井技官に対する尋問でも使用されていることも考慮すると、所論が指摘する事情を踏まえても、坂井技官らに改ざんの意図があったとは窺えないとする原決定の判断に誤りはない。所論は採用できない。<br> イ 所論は、本田第2次鑑定書におけるX-Yバンドに関する指摘について、〔1〕原決定は、「比較的塩基数が小さく、比較的近接するアレルバンドがある場合、エキストラバンドが高塩基数側に2本のバンドとして表れやすい」という渡辺剛太郎らによる「MCT118型にみられるエキストラバンドの成因」(以下「渡辺論文」という。)及びこれと同趣旨の三谷友亮らによる「MCT118型検査におけるエキストラバンドの形成機序及びエンドヌクレアーゼを用いた識別」(以下「三谷論文」という。)を根拠の一つとして、X-Yバンドがエキストラバンドであるとするが、渡辺論文は、アレリックラダーマーカーによる16-18型等の特定の組み合わせにおいてエキストラバンドが出たというものであり、坂井・笠井鑑定の16型や18型は123塩基ラダーマーカーによる型であり、実際に123塩基ラダーマーカーの16型や18型においてエキストラバンドが出るかは実験で確認するほかない、〔2〕原決定は、坂井技官及び笠井技官が鑑定時に複数回電気泳動を行ったと確定第1審で述べ、笠井技官が「MCT118型としては大きいサイズであるバンドが2本あったため、アレルバンドかどうか判断するために、少なくとも2回実施した電気泳動において移動度を確認したところ、再現性がなかったため、エキストラバンドと判断した」と述べたことをX-Yバンドがエキストラバンドであるとする根拠の一つとするが、エキストラバンドであるか否かを確認するためには、泳動条件を変えて電気泳動を行う必要があるのに、坂井技官及び笠井技官はそのような供述をしていないから、X-Yバンドがエキストラバンドであると認めた原決定は誤っている、と主張する。<br>  しかし、〔1〕については、原決定が説示するとおり、MCT118型検査におけるエキストラバンドは、DNAのPCR増幅の際に、非相補的にヘテロデュプレックスが生成されることにより生じるものであり、2つのアレルが近い分子量を持っている際に生じやすいと認められるところ、このようなエキストラバンドの生成機序に照らすと、所論の指摘するマーカーの相違がエキストラバンドの生成機序の本質的な点に影響するとは考え難いというべきであり、123塩基ラダーマーカーを用いて実験するほかないとして原決定を論難する所論は採用できない。<br>  〔2〕の泳動条件を変えて電気泳動を行う必要があるとの点についてみると、確かに、原決定は、三谷論文を引用して、「MCT118型検査では、異なる電気泳動条件によりエキストラバンドの移動度の差を確認する方法が採られており、ほとんどの場合、エキストラバンドとアレルバンドを容易に識別することが可能であるとされている」と説示している。しかし、平成24年12月14日付け科警研法科学第一部生物第四研究室室長関口和正作成の意見書(以下「関口意見書」という。)によれば、エキストラバンドについては、(坂井・笠井鑑定の)当時からMCT118型のDNA型鑑定を行う際に時々観察される現象であり、その識別方法については、複数回の電気泳動を行い移動度が異なることを確認する方法が報告されているとされており、その後、より確実な識別方法が報告されているとして三谷論文を挙示しているのである。そうすると、坂井技官や笠井技官が確定第1審における証人尋問において、複数回の電気泳動を異なる泳動条件で行った旨の証言をしていないからといって、笠井技官がいう、坂井・笠井鑑定において、MCT118型としては大きいサイズであるバンドが2本あったため、アレルバンドかどうか判断するために、少なくとも2回実施した電気泳動において移動度を確認したところ、再現性がなかったため、エキストラバンドと判断した(平成24年12月26日付け笠井技官作成の報告書)とのエキストラバンドの識別方法の有効性が否定されるものではない。所論は採用できない。<br> '''ウ''' その他、本田第2次鑑定書等を根拠として、犯人のMCT118型を16-26型とする坂井・笠井鑑定は信用できないとする点や、いわゆる足利事件の再審判決等を根拠として、坂井・笠井鑑定の証拠能力・証明力を論難する点を含め、所論はMCT118型鑑定に関する原決定の判断を縷々論難するが、それらを逐一検討しても、原決定の判断に誤りはない。<br> ===3 新旧全証拠による総合評価=== '''(1)''' 所論は、原決定が、本田鑑定書等によって、坂井・笠井鑑定のMCT118型鑑定の証明力の評価に変化が生じたことを前提にしても、これ以外の情況事実ないし情況証拠群を総合評価すれば、同鑑定の証明力の変化によって確定判決の有罪認定に合理的な疑いは生じないとして、本田鑑定書等の新証拠としての明白性を否定したことについて、以下のとおり誤りがある、と主張する。すなわち、<br> 〔1〕原決定は、確定判決と異なり、事件本人車の車内からPM法のGc型の血痕が検出されたことを情況事実として認定するが、Gc型のアレルは3種類しかなく、その証明力は著しく低いものであって、これを情況事実として掲げるのは全く非科学的である。<br> 〔2〕新旧証拠の総合評価とは、新証拠によって、その立証命題に関連する旧証拠の証明力が減殺された場合に、そのことのみによって確定判決に合理的な疑いが生じない場合でも、新証拠の立証命題とは無関係に新証拠と旧証拠とを総合評価することによって、確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じるか否かを判断することであり、その際には、旧証拠全体の証拠としての脆弱性が吟味されるべきであるのに、原決定は、弁護人が原審において主張した、T田供述の信用性、事件本人車から検出された血痕・尿痕に関する確定判決の評価、ミトコンドリアDNA型鑑定(石山鑑定)の評価といった確定審における旧証拠の証拠としての脆弱性に関する主張について、何一つ判断を示していない、というのである。<br> '''(2)''' しかし、〔1〕については、原決定は、PM法に関して、血痕の血液型が被害者A田と同じO型であることと並列する形で、Gc型も被害者A田と同じであることを情況事実として指摘しているのであるから、アレルが3種類しかなく、それ自体の証明力に限度はあるものの、両者相俟って推認力は強まっているといえる。所論は採用できない。<br>  〔2〕については、刑訴法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうものと解すべきであるが、「明らかな証拠」であるかどうかは、もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば、はたしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から、当の証拠と他の全証拠とを総合的に評価して判断すべきである(最高裁昭和50年5月20日決定刑集29巻5号177頁参照)。それは、旧証拠を洗いざらい評価し直して自ら心証を形成し、確定判決の動揺の有無を審査することまで認めたものではなく、新証拠の持つ重要性とその立証命題に着目して、それが有機的に関連する確定判決の証拠判断及びその結果の事実認定にどのような影響を及ぼすかを審査すべきである。所論のように新証拠の立証命題と無関係に旧証拠を評価すべきであるとの見解は採用できない。この点、原決定は、確定判決は、主として前記第1の2(1)の6つの情況事実群を総合評価して事件本人に対して有罪認定をしたものと解されるが、これらの情況事実は、各々独立した証拠によって認められるものであるとした上で、原審において弁護人が提出した新証拠は、前記情況事実群のうち、T田の目撃供述及び科警研による鑑定の信用性が否定されることのみを立証命題とするものであり、その余の情況事実を証明する新証拠は提出されていないとして、新旧証拠の総合評価をしているのである。被害者両名の着衣に付着していた繊維片の鑑定の信用性が乏しいことなど当審において新たに追加された主張を含め、原決定が、新証拠の立証命題と関連しない旧証拠に関する弁護人の主張に対して明示的に判断を示していないことに誤りはなく、旧証拠の脆弱性の判断を原決定が遺脱しているとの所論は理由がない。<br> '''(3)''' その上で、原決定は、MCT118型鑑定を除く情況事実の検討を行い、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされていると判断しているが、かかる原判決の認定は正当として是認することができる。すなわち、<br> '''ア''' T田の不審車両の目撃供述や被害者両名の着衣に付着していた繊維の鑑定を含む関係証拠によれば、事件当時、犯人使用車と思しき、紺色、ワンボックスタイプで、後輪ダブルタイヤという特徴を満たす車両を製造していたのはマツダのみであり、被害者両名の着衣に付着していた繊維片は、昭和57年3月26日から昭和58年9月28日までの間に製造、販売されたマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高いと認められることからすると、犯人使用車は、前記期間に製造、販売された紺色のマツダステーションワゴン・ウエストコーストであって、リアウインドーにフィルムが貼付されていたと認められるところ、事件当時の事件本人車はこれらの特徴に符合している。<br>  また、犯人が被害者両名を略取又は誘拐した現場の状況、時間帯、被害者両名の遺体及び遺留品を遺棄した現場と略取又は誘拐した現場との距離や自動車での所要時間からは、犯人は、前記各現場付近の土地鑑を有している人物である可能性が高いと考えられるところ、事件本人は土地鑑を有している。<br>  そして、事件当時、犯人使用車と同車種、同グレードで前記製造期間に製造された車両を保有していたのは、死体遺棄現場付近や福岡県飯塚市内及びその周辺において事件本人を含む極めて少数の者に限られていたことをも考慮すると、事件本人が犯人でないかという疑いが濃厚となる。<br> '''イ''' 加えて、関係証拠によれば、事件本人車の後部座席シートから血痕及び尿痕が検出され、血痕については、血液型及びDNA型のGc型はいずれも被害者A田と同じO型及びC型であり、尿痕は人尿であると認められるところ、被害者両名は遺体発見当時いずれにも尿失禁及び出血があり、これら(出血については被害者A田のもの)が本件各犯行の際に事件本人車の後部座席シートに付着したものとして合理的に説明できるのであって、それ以外の現実的な可能性は考えられない。確定判決(第1審)が説示するとおり、犯行と事件本人との結び付きを強く推認させる極めて重要な情況証拠である(同判決113頁)。 <br> '''ウ''' さらに、関係証拠によれば、事件本人は、事件当時罹患していた亀頭包皮炎のため、外部からの刺激により容易に出血する状態にあり、亀頭からの出血が事件本人の手指を介するなどして被害者両名の膣等に混入するなど、事件本人が犯人であったならば、被害者両名の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に犯人に由来する血液等が存在したという特異な事実の理由を合理的に説明できる。<br>  以上の情況事実に加え、坂井・笠井鑑定等の血液型鑑定を含む関係証拠によれば、仮に犯人が1人であるとすれば、犯人の血液型は事件本人と同じB型と認められ、事件本人にアリバイが成立せず、事件当日の行動に照らして事件本人に犯行の機会が十分にあったと認められることも併せ考慮すれば、事件本人が犯人であり、事件本人車が犯人使用車であると認定するのが相当である。<br>  付言するに、これらの情況事実は、いずれも単独では事件本人を犯人と断定することができるものではないが、それぞれ独立した証拠によって認められ、事件本人が犯人であることが重層的に絞り込まれているのである。例えば、犯人使用車と事件本人車との同一性について、T田の不審車両の目撃供述による犯人使用車の車種等の特定が被害者両名の着衣に付着していた繊維の鑑定結果と符合し、両者相俟って事件本人車との車種等における同一性に結び付き、さらに、事件本人車から検出された血痕及び尿痕の特徴等が事件本人車と犯人使用車との同一性に結び付いている。そして、事件本人以外に、こうした事実関係のすべてを説明できる者が存在する可能性は抽象的なものにとどまると考えられ、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされていると認められる。この結論は、原決定が説示するように、犯人と事件本人のMCT118型が一致したとする坂井・笠井鑑定の証明力が、確定判決の段階より慎重に評価すべき状況が生じていること、すなわち、犯人と事件本人のMCT118型が一致したと認めることも、一致しないと認めることもできないことを踏まえても、左右されない。<br> ==第3 結論==  よって、本件再審請求には刑訴法435条6号の再審事由があるとはいえないとした原決定の判断に誤りはなく、本件即時抗告は理由がないので、刑訴法426条1項後段により、主文のとおり決定する。<br> 平成30年2月6日<br> 福岡高等裁判所第2刑事部<br> 裁判長裁判官 岡田信 裁判官 佐藤哲郎 裁判官 高橋明宏<br> <br> (別紙)<br> 当審弁1 現代の法医学改定第3版(抜粋、金原出版株式会社)<br> 当審弁2 法医学現場の真相-今だから語れる「事件・事故」の裏側(抜粋、祥伝社)<br> 当審弁3 DNA鑑定とタイピング 遺伝学・データベース・計測技術・データ検証・品質管理(抜粋、共立出版)<br> 当審弁4の1 飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書(嚴島行雄作成、平成27年4月30日)<br> 当審弁4の2 飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書補遺(嚴島行雄作成、平成27年5月8日)<br> 当審弁5 草加事件差戻控訴審判決(判例タイムズNo.1119 抜粋)<br> 当審弁6 平成8年11月8日付け大阪市立大学医学部法医学教室前田均作成の回答書<br> 当審弁7 鑑定書(本田克也作成、平成27年8月17日)<br> 当審弁8 法医血清学的検査法マニュアル(抜粋、金原出版株式会社)<br> 当審弁9の1 飯塚事件における目撃者Tの供述に関する第4次心理学鑑定書(嚴島行雄及び北神慎司共同作成、平成27年12月2日)<br> 当審弁9の2 飯塚事件における目撃者Tの供述に関する第4次心理学鑑定書補遺(嚴島行雄及び北神慎司共同作成、平成27年12月14日)<br> 当審弁10 主任弁護人岩田務作成の平成27年12月11日付け報告書<br> 当審弁11 T田の平成4年10月26日付け警察官調書写し<br> 当審弁12 「紡績とは」で始まるインターネット記事<br> 当審弁13 「1.脱脂綿について」で始まるインターネット記事<br> 当審弁14 解離試験による血痕からの血液型判定について(矢田昭一、科学警察研究所報告)<br> 当審弁15 主任弁護人岩田務作成の平成28年11月11日付け「甲68(表2) 通常の解離試験の結果」で始まる書面<br><br> {{PD-JapanGov}} {{DEFAULTSORT:ふくおかこうとうさいはんしよへいせい26ねん (く) たい56こう}} [[Category:日本の判例]] 5z5g8xao1aasnhoeq99s4rsa4x7kiri 福岡地方裁判所令和3年(た)第3号 0 48874 246571 246543 2026-10-13T06:50:43Z ろづき 28406 246571 wikitext text/x-wiki {{Header |title=福岡地方裁判所令和3年(た)第3号 |year=2024 |notes= 掲載TKC/DB25620263、Westlaw Japan2024WLJPCA06059003。確定判決については、[[福岡地方裁判所平6 (わ) 第1050号、平6 (わ) 第1157号|第1審判決]]、[[福岡高等裁判所平11 (う) 第429号|第2審判決]]、[https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-80437.pdf 最高裁判決]。第1次再審請求審については、[[福岡地方裁判所平成21年 (た) 第11号|第1審決定]]、[[福岡高等裁判所平成26年 (く) 第56号|第2審決定]]、[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/266/090266_hanrei.pdf 最高裁決定]。本決定の抗告審は、[[福岡高等裁判所令和6年(く)第97号|第2審決定]]。 }} 福岡地方裁判所令和3年(た)第3号<br> 令和6年6月5日第4刑事部決定 ==決定== 申立人(請求人) 久間C子<br> <br>  亡久間三千年に対する死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件について、平成11年9月29日福岡地方裁判所が言い渡した有罪の確定判決に対し、上記請求人から再審の請求があったので、当裁判所は、請求人、弁護人及び検察官の意見を聴いた上、次のとおり決定する。 ==主文== 本件再審請求を棄却する。<br> ==理由== ===第1 確定判決の概要及びその証拠構造等=== '''1 判決確定に至るまでの経緯等'''<br>  亡久間三千年(以下「事件本人」という。)は、平成11年9月29日、福岡地方裁判所において、死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件について、死刑に処する旨の有罪判決を受けた。事件本人はこれを不服として控訴したが、平成13年10月10日、福岡高等裁判所において控訴棄却の判決を受け、さらに上告したが、平成18年9月8日、最高裁判所において上告棄却の判決を受けて、上記第1審判決が確定した(以下、同判決を「確定判決」という。)。事件本人については、平成20年10月28日、その刑が執行された。<br> '''2 確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨'''<br>  事件本人は、平成4年2月20日午前8時30分頃から午前8時50分頃までの間、福岡県飯塚市大字(中略)番地の(中略)付近路上において、小学校に登校中のA田A子(当時7歳。以下「被害者A田」という。)及びB山B子(当時7歳。以下「被害者B山」といい、被害者A田と併せて「被害者両名」という。)を認め、被害者両名が未成年者であることを知りながら、自己の運転する普通乗用自動車(マツダステーションワゴン・ウエストコースト。以下「事件本人車」という。)に乗車させ、通学路外に連れ出して、被害者両名を略取又は誘拐し、同日午前8時30分頃から午前9時頃までの間、同市内又はその近郊において、殺意をもって、被害者両名の頸部を手で締め付け圧迫し、被害者両名をいずれも窒息により死亡させて殺害し、同日午前11時頃、同県甘木市大字(中略)から国道322号線を嘉穂町方向に約1.4km進行した地点(通称八丁峠第5カーブ付近)において、その南方山中に、被害者両名の死体を投げ捨てて遺棄した。<br>  なお、確定控訴審判決は、その理由中において、拐取の犯行時刻は、同日午前8時30分過ぎ頃であり、各殺害の犯行時刻はその後同日午前9時30分前後頃までの間と認定するのが相当である旨判示している。<br> '''3 確定判決の証拠構造等'''<br>  確定判決は、本件において事件本人と犯行との結び付きを証明する直接証拠は存在せず、個々の情況事実は、いずれも単独では事件本人を犯人と断定することができないものであるとした上で、主として以下のような情況事実を根拠とし、諸情況を総合すれば、事件本人が犯人であることは、合理的な疑いを超えて認定することができるとした(確定判決194頁ないし198頁)。<br> '''(1)''' T田T男(以下「T田T男」という。)、X田X男(以下「X田」という。)及びW田W男(以下「W田」という。)らの供述によれば,本件犯行の犯人が使用したと疑われる車両は、マツダ製の後輪ダブルタイヤの紺色ワゴンタイプの車両で、リアウインドーにフィルムが張ってあるなどの特徴を有しており、犯人は被害者両名の失踪場所等についての土地鑑を有する者であると推測されるところ、事件本人は、前記車両と特徴を同じくする車両(事件本人車)を所有し、かつ、前記失踪場所等に土地鑑を有すること<br> '''(2)''' 被害者両名の着衣から発見された、被害者両名が犯人が使用した車両に乗せられた機会に付着したと認められる繊維片は、事件本人車と同型のマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高いこと<br> '''(3)''' 事件本人車の後部座席シートから被害者A田と同じ血液型であるO型の血痕と人尿の尿痕が検出されているところ、被害者両名ともに殺害されたときに失禁と出血が生じたと認められ、事件本人が犯人であるとすれば、前記血痕及び尿痕の付着を合理的に説明できること<br> '''(4)''' 警察庁科学警察研究所(以下「科警研」という。)が実施した血液型鑑定及びDNA型鑑定によれば、被害者B山の遺体付近の木の枝に付着していた血痕並びに被害者両名の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に、犯人に由来すると認められる血痕ないし血液が混在しており、仮に犯人が1人であるとした場合には、その犯人の血液型はB型、MCT118型は16-26型であり、いずれも事件本人の型と一致していること<br> '''(5)''' 事件本人は、本件当時、亀頭包皮炎に罹患しており、外部からの刺激により亀頭から容易に出血する状態にあったから、事件本人が犯人であるとすれば、被害者両名の膣内容等に犯人に由来すると認められる血液等が混在していたことを合理的に説明できること<br> '''(6)''' 被害者両名が失踪した時間帯及び失踪現場は、事件本人が妻を勤務先に事件本人車で送った後、事件本人方に帰る途中の時間帯及び通路に当たっていた可能性があり、他方で、事件本人にはアリバイが成立しないこと<br> '''4 本件再審請求に至るまでの経緯'''<br> '''(1)''' 事件本人の妻である請求人は、平成21年10月28日、福岡地方裁判所に対し、確定判決について再審請求(以下「第1次再審請求」という。)をした。第1次再審請求において、弁護人は、主要な新証拠として、科警研が実施した前記血液型鑑定及びDNA型鑑定の証拠能力ないし信用性を否定するため、〔1〕本田克也教授作成の鑑定書等、〔2〕いわゆる足利事件の再審判決並びにそれに関する最高検察庁作成の報告書、水口清教授作成の意見書及び玉木敬二教授作成の意見書を提出し、T田T男の目撃供述の信用性を否定するため、〔3〕嚴島行雄教授作成の鑑定書(以下「嚴島行雄第2次鑑定書」という。)、司法警察員K1、同K2作成の報告書(以下「K1報告書」という。)及び同K3作成の報告書(以下「K3報告書」という。)を提出した。<br> '''(2)''' これに対し、福岡地方裁判所は、平成26年3月31日、概要、以下のとおり説示し、第1次再審請求を棄却した。 <br> '''ア T田T男の目撃供述について'''<br>  T田T男は、確定審において、事件当日の午前11時頃、八丁峠の遺留品発見現場付近路上において、事件本人車と同様の特徴を有する不審車両が停車しているのを目撃したと証言している。嚴島行雄教授は、T田T男の目撃再現実験を実施したが、その実験条件は、重要な点においてなおT田T男の目撃条件とは異なっており、同実験に基づく嚴島行雄第2次鑑定書の内容を踏まえても、T田T男がその目撃条件からしてあり得ない詳細な供述をしているとはいえない。また、同鑑定書は、確定控訴審が指摘しているT田T男供述の信用性を肯定する事情について十分な検討がなされているものとも認め難い。したがって、嚴島行雄第2次鑑定書に明白性は認められない。<br>  また、K1報告書及びK3報告書の各記載からは、T田T男の警察官調書を作成したK1警察官が、それに先立って事件本人車の車種や特徴を把握していた可能性は相当高い。しかし、K3報告書によれば、さらにその以前から、T田T男が、目撃車両の特徴について、紺色、後輪ダブルタイヤで、ガラスに何かを貼付していたことを述べていたと認められ、また、T田T男は、それ以前に、知人に対しても、目撃車両の特徴について、紺色ダブルタイヤのワゴン車である旨述べていた事実も認められる。これらを踏まえると、K1警察官がT田T男に対して供述を誘導したことが明らかになったということはできず、K1報告書及びK3報告書にも明白性は認められない。<br> '''イ 科警研が実施した鑑定について'''<br>  まず、科警研が実施した血液型鑑定について、本田克也教授は種々の指摘をしてその信用性に疑問を呈しているが、これらの指摘はいずれも採用できない。<br>  科警研が実施したMCT118型鑑定(DNA型鑑定)についても、本田克也教授による指摘の多くは採用できない。もっとも、本田克也教授の鑑定書等によれば、塩基配列の反復回数の測定方法が改善された結果、事件本人の正確なMCT118型が18-30型であることが明らかになった一方、犯人由来と思われる血液の正確なMCT118型は18-29型、18-30型又は18-31型のいずれかに当たり得るとしかいえず、両者が一致するか否かを確定することはできない。そうすると、現段階において、科警研のMCT118型鑑定が、事件本人と犯人由来と思われる血液のMCT118型が一致しているとしたことをもって、単純に事件本人に対する有罪認定の根拠とすることはできない状況が生じているということができる。<br>  また、足利事件の再審判決は、同事件当時の科警研によるDNA型鑑定の信頼性を一般的に判示したものでないことは明らかであり、同判決に関する最高検察庁作成の報告書や玉木敬二教授、水口清教授の各意見書も、本件の科警研の鑑定を検討した上での意見を述べるものではないから、これらの書面によって、本件の科警研の鑑定の証拠能力が否定されることにはならない。<br> '''ウ 新旧全証拠による総合評価について'''<br>  確定判決が認定した情況事実から、犯人と事件本人のMCT118型が一致したことを除いたその余の情況事実を総合した場合であっても、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされていることに変わりはない。本件では、犯人と事件本人のMCT118型が一致したとする科警研の鑑定の証明力について、確定判決の段階より慎重に評価すべき状況が生じているといえるが、本田克也教授の鑑定書等の内容を考慮しても、科警研のMCT118型鑑定によって、犯人と事件本人のMCT118型が一致したと認めることはできないが、他方で、これが一致しないと認めることもできないのであり、両者の可能性があるということにとどまり、事件本人以外の者が犯人である可能性に関する評価に影響を及ぼすものではない。したがって、弁護人が提出した証拠はいずれも明白性が認められない。<br> '''(3)''' これに対し、請求人は即時抗告したが、福岡高等裁判所は、平成30年2月6日、即時抗告を棄却し、最高裁判所は、令和3年4月21日、請求人の特別抗告を棄却した。<br> ===第2 再審請求の趣旨及び理由等=== '''1''' 本件再審請求の趣旨及び理由は、弁護人作成の再審請求書(令和3年7月9日付け)、再審請求理由補充書(令和5年2月17日付け)、再審請求理由補充書(同年7月4日付け)、再審請求事由補充書(同年12月8日付け)、再審理由総括書面(令和6年1月31日付け)、飯塚事件第2次再審請求における請求人の主張の総括(同年2月15日付け)、飯塚事件第二次再審請求における請求人の主張の総括(同年3月1日付け)、意見書(同年3月19日付け)に、それぞれ記載されたとおりである。<br>  弁護人は、本件再審請求において、当初、K村K男(以下「K村」という。)の供述書(令和2年1月23日付け、当審弁1)及びD山D子(以下「D山」という。)の供述録取書(平成30年5月16日付け、当審弁2)の2つを主要な新証拠として提出した。<br>  まず、K村の供述書(当審弁1)は、同人が、事件当日、被害者両名と似た女の子2名が乗っている不審車両を目撃しており、同車両運転手という、事件本人とは別の人物が犯人である可能性があることを立証しようとするものである。<br>  次に、D山の供述録取書(当審弁2)は、確定判決が有罪認定の根拠とした、自身の供述調書(確定第1審甲39)の内容を否定するものであり、同調書の信用性が否定されることを立証しようとするものである。<br>  その後、当審においてK村及びD山の証人尋問が実施されたことを受けて、弁護人は、K村及びD山の各証言を主要な新証拠に据え、弁護人が提出した新証拠によれば、確定判決が有罪認定の根拠として挙げた情況証拠のうち、繊維鑑定を除き、犯行使用車両に関する事実を立証する証拠の信用性は否定されることになり、これを踏まえて事件本人が犯人ではないことを示す旧証拠を再評価すれば、その余の情況事実を総合しても、事件本人を犯人と認めることはできないから、これらの証拠は、事件本人に対して無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠(刑訴法435条6号)に該当するので、再審を開始すべきである旨主張している。<br> '''2''' これに対する検察官の主張は、意見書(令和4年3月31日付け)、意見書(令和6年2月13日付け)にそれぞれ記載されたとおりであり、その要旨は、弁護人が提出した前記各証拠は、いずれも、事件本人に対して無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠に該当しないので、本件再審請求は棄却されるべきであるというものである。<br> ===第3 当裁判所の判断=== '''1 序言'''<br>  本件再審請求において、弁護人が新証拠として提出した当審弁1、2、18ないし32、K村及びD山の各証言は、いずれも裁判所による実質的な証拠価値の判断を経たものではないから、証拠の新規性は認められる。<br>  証拠の明白性に関して、弁護人は、上記のとおりD山及びK村の各証言を主要な新証拠に据えているため、以下、これらの信用性を中心に検討し、その結果、弁護人が提出した新証拠が、関連する他の証拠の証明力に影響を及ぼすのか、ひいては確定判決における事実認定について合理的な疑いが生じ得るのか否かを検討する。なお、D山及びK村の各証言以外にも、弁護人は多数の証拠を新証拠として提出しているが、その多くは、D山及びK村の各証言の信用性を支えるものとして、補助的に位置づけることができるから、D山及びK村の各証言を主軸とする検討の中で、必要に応じて言及する。<br> '''2 D山証言について'''<br> '''(1)確定審におけるD山の供述調書の概要'''<br> '''ア''' 確定審で取り調べられたD山の供述調書は2通あり、そのうち、確定判決の事実認定の基礎とされたのは、D山の平成6年10月22日付け検察官調書(確定第1審甲39。以下「本件検察官調書」という。)である。本件検察官調書は、確定第1審において、検察官から「被害児童両名の登校状況」を立証趣旨として請求され、弁護人の同意の意見を受けて採用され、取り調べられている。確定判決は、本件検察官調書等に基づいて、事件当日、被害者両名を最後に目撃したのはD山であると認定し、犯行現場を特定している。<br>  これとは別に、確定控訴審では、検察官から、「供述経過」を立証趣旨として、D山の平成4年3月2日付け警察官調書(確定控訴審甲9。以下「本件警察官調書」という。)が請求され、弁護人の異議なしの意見を受けて採用され、取り調べられている。なお、本件警察官調書については、弁護人から、「D山が被害者らを目撃した場所に到着した時刻及び被害者らを目撃した時刻」を立証趣旨として請求され、検察官の同意の意見を受けて採用され、取り調べられている(確定控訴審弁13。以下、本件警察官調書と本件検察官調書を併せて「本件各調書」という。)。<br> '''イ 本件警察官調書の概要は以下のとおりである。'''<br>  事件当日の平成4年2月20日当時、飯塚市農協潤野支店に勤務しており、午前8時10分頃、車で自宅を出た。普段の通勤経路のとおり、バス通りを南下し、Fの角を右折して、裏道を西に進んだ。その道路の先は、E村E太方前で概ね南北に枝分かれする三叉路となっているところ(以下「E村方三叉路」という。)、当時、その少し手前の地点で車を停めて車内で化粧をするのが日課になっていたので、その日も同じように車を停めた。それが午前8時20分頃のことだった。化粧を始めてから何分か経った頃に、同三叉路北方の坂道から小学校低学年の女の子がやってくるのを見かけ、学校が始まっている時間なのに、まだこの辺を歩いている、遅刻するのにと思った。その少し後、別の小学校低学年の女の子がE村方三叉路付近に立っているのを見かけ、2人が一緒に学校に行っているのだと思った。午前8時30分少し前に、化粧を終えて車を発進させると、先ほどの女の子2人組がまだE村方三叉路付近を並んで歩いていた。女の子は2人とも身長が120cmくらいで、うち1人は黄色のジャンパーを着ていて、ランドセルの色が赤だった。2人が左側によけてくれたのでその横を通過し、E村方三叉路を南方に進行すると、道路右側のI村I郎方前に3台の車が駐車されていた。それらの車は、白っぽいボンゴ車、白っぽい普通乗用車、ボンゴ車だったと思うが、順番ははっきりしない。さらに、その先の東西に走る飯塚市農協潤野支店が面している通りに突き当たる手前で、グレーのボンゴ車と離合した。午前8時30分頃、勤務先駐車場に車を停め、3分から5分くらい助手席に置いていた化粧品を片付けるなどしていたところ、同僚のV村V子(以下「V村」という。)が駐車場に入ってきた。その日の午後4時頃、刑事が勤務先に来たため、以上の目撃内容を話した。<br> '''ウ''' 本件検察官調書も、本件警察官調書と概ね同内容の目撃状況を述べるものである。もっとも、各時刻の表現ぶりに若干の違いがあるほか、2人の女の子を最初に目撃した際に、それぞれ別の子だと認識した理由や女の子達がD山の車をよけた方向、E村方三叉路先ですれ違った計4台の車両の特徴等については、記憶がはっきりしないとした一方、最後に離合した車の運転手の特徴を付け加えるなど、本件警察官調書とは異なる内容を述べる部分もある。<br> '''(2)D山証言の要旨'''<br>  事件当日の昼前くらいに、警察官ではなく消防隊員が勤務先に来て、行方不明になっている小学校1年生の女の子2人を見かけなかったか聞かれた。隣の席のV村に女の子なら見たことがあるよねという話をし、消防隊員もそれを聞いていたと思うが、事件当日の朝に見たという話はしていない。事件当日とは別の日に、E村方三叉路よりもずっと東側手前(F寄りのG方前)で、E村方三叉路に向かって歩く女の子2人組を追越したことはあった。女の子は2人とも、黄色のレインコートを着ていて、赤いランドセルを背負っていた。女の子を追い越した先に車が駐車されているということはなく、対向車と離合するということもなかった。<br>  被害者の遺体が発見された翌日の夕方、警察官が職場を訪ねてきて、女の子2人を目撃した状況を聞かれ、同年3月2日にも別の警察官が職場を訪ねてきて、本件警察官調書が作成された。本件警察官調書には、女の子2人を目撃したのが事件当日であったこと、E村方三叉路において、女の子1人を先に見かけ、後からもう1人が追いつく場面を目撃した後、女の子2人を追い越したこと、その先に車3台が停まっていて、その先でもう1台の車と離合したことが記載されているが、いずれも記憶と異なる内容である。警察官にもその旨を伝えたが、自分が若かったこともあり、警察官に押し切られて署名してしまった。最初の事情聴取時、警察官から車のカタログを見せられて、紺色のワゴン車を見たことがないか聞かれ、女の子を目撃した日とは別の日に黒いボンゴの車を追い越したことがあると話した。警察官からは、その車にラインが入っていなかったかも聞かれ、分からないと答えたが、これらの話は供述調書には記載されなかった。<br>  その2年後、横浜に住んでいた時に警察から連絡を受け、一度断ったが、この機に自分の記憶とは異なる内容の本件警察官調書を使わないように求めるため、再度の事情聴取に応じることにし、福岡まで赴いた。田川市にある喫茶店で、検察官ではなく警察官から事情聴取を受けたが、すでに出来上がった本件検察官調書が用意されており、記憶と違う点があると指摘したが、聞き入れてもらえず、結局署名、押印をしてしまい、同調書添付図面の作成にも応じてしまった。<br> '''(3)D山証言の信用性'''<br> '''ア''' D山証言は、本件各調書の内容を正面から否定し、大きく分けて、〔1〕女の子2名の目撃日時、〔2〕目撃位置、内容、〔3〕目撃時における周辺の駐車車両の有無の3点につき、本件各調書の内容を正すことを主眼とするものである。D山は、このような供述の変遷が生じた理由について、当初から、捜査機関に対し、当審において証言した内容を記憶どおりに話し、本件各調書の内容が自身の記憶とは異なるものであることを伝えたものの、捜査官に押し切られ、本件各調書が作成されてしまった旨述べる。そこで、まずD山が述べるとおり、捜査機関が無理やりD山の記憶とは異なる供述調書を作成した可能性があるのかという観点から検討を進める。<br>  まず、本件警察官調書が作成されたのは、事件発生から約10日後の平成4年3月2日であり、捜査初期で、客観的証拠や他の目撃者の存否を含め未だ捜査が流動的な状況下において、警察官が、曖昧さの残る供述を断定的な表現に改めるだけならまだしも、目撃日時、場所から内容に至るまで、その供述全般についてD山の記憶とは異なる調書を無理やり作成するというのは、捜査機関にとって、必要性に欠けるばかりか、事後にこれと矛盾する証拠や目撃者が明らかになる可能性を考えれば有害としかいいようがない。そもそも、行方不明の女の子が捜索されているという状況において、D山が、別の日に登校途中の女の子を見かけたことがあるという、事件とは無関係な話をし、それに警察官が関心を持って事情聴取をした上、無理やりD山の記憶と異なる調書作成にまで至るという事実経過自体、あまりにも不自然といわざるを得ず、警察官がこのような捏造を行うというのは考え難い。これに対し、弁護人は、折に触れて、本件では、捜査初期から事件本人を犯人視した見込捜査が行われていた可能性を主張する。しかし、D山の本件各調書の内容を見ても、事件本人が本件に関わっていることをうかがわせるものはない。関係証拠によれば、X田やW田らが、事件当日、E村方三叉路付近において、事件本人車と同様の特徴を有する車両を目撃したと供述しているが、同人らがそのような供述をし始めたのは、平成4年の夏頃になってからであると認められ、それ以前に、E村方三叉路と事件本人とを結び付ける証拠はなかったのであるから、捜査機関が、本件警察官調書作成時において、E村方三叉路を犯行現場に仕立て上げる動機を有していたとは考えられない。<br>  また、本件警察官調書は、その内容としても、目撃時における女の子らの動作や様子等について、D山自身の心情を交えながら、詳細に述べるものである。いつものように車を止めて化粧をしていると、1人の女の子を見かけ、化粧を続けてまた前方を見ると、別の女の子が立っていたとするなど、具体性に富む内容となっており、D山の積極的な供述なしに、警察官が作り上げることのできるものとは考え難い。確かに、弁護人の指摘するとおり、被害者両名が学校に行きたくない様子であり、被害者B山が、被害者A田の後ろを付いて歩いていたこと、事件当日、E村方三叉路付近に複数の車両が駐車されていたことなどは、すでに捜査機関において入手済みの情報であった可能性があり、警察官が、これらの情報に基づいてD山を誘導し、本件警察官調書を作成することが不可能であったとまではいい難い。しかし、本件警察官調書によれば、I村I郎方前路上に3台の駐車車両があり、その先にもさらにもう1台の車両が停車していたというのであるが、これは、駐車車両の台数の点で、V村やX田等の供述内容と明らかに整合しない(確定判決37、38頁参照。)。警察官が、E村方三叉路付近に駐車車両はなかった旨のD山の供述を稔じ曲げ、事前に入手した情報に基づいて、D山がI村I郎方前路上において複数の駐車車両と離合した旨の調書を強引に作成したのであれば、駐車車両の台数も含めてV村やX田らの供述と整合するような内容にするのが自然である。そうすると、このような齟齬は、D山の記憶違いを示すものである反面、裏を返せば、本件警察官調書がD山の記憶に基づいて作成されたものであることを裏付けるものでもあり、弁護人の指摘を踏まえても、やはり警察官の手で創作されたとは考えられない。<br>  さらに、本件検察官調書については、本件警察官調書と概ね同内容のものであるが、記憶がはっきりしなくなっているとして、本件警察官調書と比較すると曖昧な供述にとどまる部分が散見される。このように、本件検察官調書の記載内容からは、事件発生から2年以上の時間が経過したことに伴う記憶の減退が反映されたことが見受けられ、D山が証言するように、D山から改めて事情を聞くことなく、予め捜査官が調書を用意していたとは考えにくい。<br>  以上のとおり、本件警察官調書作成時において、捜査機関が無理にD山の記憶に反する調書を作成する動機、必要性が見出せないことに加え、本件各調書の内容としても、捜査機関がD山の供述内容を歪めて作成したとは考えにくいものであることも踏まえると、捜査機関が、無理やりD山の記憶とは異なる供述調書を作成したとは考えられない。<br> '''イ''' また、D山証言については、弁護人が当審の当初に新証拠として提出した弁護人作成のD山の供述録取書(平成30年5月16日付け、当審弁2)と比較しても、女の子2名の目撃供述に関し、その重要部分に変遷が見受けられる。すなわち、同供述録取書においては、〔1〕目撃日時に関して、女の子らを目撃したのが、事件当日であったか、その何日か前であったかがはっきりしないと述べるにとどまっていたにもかかわらず、令和5年11月28日に実施された証人尋問においては、明確に事件当日ではないと否定している点、〔2〕目撃場所に関して、女の子らの横を通り過ぎたのが、本件警察官調書のとおりE村方三叉路であったと述べていたにもかかわらず、証言においては、E村方三叉路よりもずっと東側手前であったと述べている点の2点について、変遷している。これらの変遷は、いつ、どこで女の子らを目撃したのかという、目撃供述の根幹を成す部分について生じているものであり、D山が事件当時から一貫した記憶に基づいて供述しているというのであれば、同供述録取書を作成してから証言するまでの間にこのような変遷を辿るとは考え難い。<br>  この点、D山は、同供述録取書作成時に、弁護人に対して、当審における証言と同内容の説明をしたつもりであったと証言し、弁護人もこれに沿う形で、D山証言と同供述録取書の内容に相違が生じた原因につき、〔1〕目撃日時については、D山の記憶内容とD山の警察官に対する供述内容とを弁護人が混同したためであり、〔2〕目撃場所については、D山が、本件再審請求に協力するにあたって、強い不安を感じ、気が動転していたためであると主張する。しかしながら、〔1〕目撃日時、〔2〕場所のいずれについても、目撃供述の根幹部分に関するものであり、D山の本件各調書の内容を否定し、再審請求のための新証拠を作成しようという局面なのであるから、D山及び弁護人においては、目撃日時、場所に関する記憶や書面の内容を丁寧に確認するのが通常である。それにもかかわらず,上記供述録取書には、根幹部分に複数個所誤りがあり、それが単純な混同や気の動転によるというのは合理的な説明とはいい難い。また、〔2〕目撃場所に関し、D山は、同供述録取書において、女の子らを目撃する直前に、自身が化粧をしていた地点については、E村方三叉路よりもずっと東側手前であったと述べて本件警察官調書の内容を訂正しているにもかかわらず、肝心の女の子らを追越した地点については、本件警察官調書と同内容の供述をしているのである。車中で化粧を終えてから車を発進させ、女の子らを追い越したという一連の事実経過につき、前者については訂正を加えることができているのに、後者についてのみ適切に本件警察官調書を訂正することができなかったというのは、気が動転していたというだけでは、合理的な説明にならない。<br>  以上のとおり、D山は弁護人作成の供述録取書からも、合理的な理由を提示することなく、核心部分について供述を変遷させており、一貫した記憶に基づいて証言しているとは考えられない。付言すると、D山は、事件当日に女の子らの目撃情報を話したのは消防隊員であり、警察官とは話していないと証言するが、本件警察官調書には、事件当日に刑事に対して目撃情報を話した旨記載されており、この点について警察官が捏造するとは考え難いことに加え、V村も事件当日D山と警察官が話しているのを聞いた旨証言していることも併せると、D山が事件当日に警察官と話していることは明らかであり、D山は、事件当日の聴取状況についても記憶が曖昧になっているのではないかと感じられる。その上で、上記のとおり弁護人作成の供述録取書からでさえ、供述が変遷していることを考えると、事件発生から30年以上もの長い年月が流れ、事件当時の記憶が相当程度風化し、不確かなものとなってしまっていると考えざるを得ない。 <br>  なお、D山は、警察官から紺色ワゴン車に関する質問もされた旨証言するが、かかる供述は、当審弁2の供述録取書に記載されていないばかりか、証人尋問の約1か月半前に弁護人が作成した供述録取書(令和5年10月13日付け、当審弁30)にも記載されていないものである。D山は、証人尋問の1週間程前、そのような質問をされたことなどを不意に思い出した旨述べるが、供述経過に不自然な感が否めず、この点も容易く信用することはできない。<br> '''ウ''' ここまで述べたような検討を踏まえると、D山が述べるように、捜査機関が、目撃状況に関する供述を歪曲させてまで、D山の記憶とは異なる供述調書を無理やり作成したとは考え難く、D山が本件各調書の内容を否定するにあたって前提としている事実関係には疑問が残る上、弁護人作成の供述録取書からの変遷は、D山の現在の記憶自体、一貫性のない不確かなものである可能性が高いことを示しているから、当審におけるD山証言は信用できない。<br>  弁護人は、D山が本件各調書の内容を否定するに至ったのは、自らの記憶と異なる供述調書を作成されたことが、事件本人に対する死刑判決に影響を与えてしまったのではないかという自責の念を動機とするものであり、このようなD山の真摯な姿勢からすれば、D山証言は十分に信用できるとも主張するが、そのことは前記判断に影響しない。弁護人は、D山証言を信用できる理由について、その他にも様々主張するが、これらを踏まえても、D山証言を信用することができないという前記結論は左右されない。<br> '''(4)現場再現実験報告書(当審弁26)について'''<br> '''ア''' 弁護人は、D山証言のほか、本件各調書の信用性を弾劾する新証拠として、弁護人作成の現場再現実験報告書(当審弁26。以下「本件報告書」という。)も提出しているから、その内容についてここで検討を加えておく。<br>  本件報告書は、弁護人が、確定判決の事実認定に従って、被害者両名や関係車両の移動状況を再現実験(以下「本件再現実験」という。)すると、関係者の目撃状況等に矛盾が生じるなどと報告するものである。本件再現実験の具体的内容としては、以下の2つの場面を再現するものである。<br> 〔1〕D山がE村方三叉路において女の子2名をよけ、I村I郎方前路上に駐車された、X島X太(以下「X島」という。)及びW田の各使用車両2台(E村方三叉路に近い方からX島車、W田車の順)の横を通過し、その後方で停止していたX田車と離合した後、X田が車を発進させ、E村方三叉路が見え始める地点(本件報告書によれば、X田がW田車の脇を通過した地点)まで移動した場面<br> 〔2〕X田がW田車の横を通過した後、X島車の後ろに停車して、E村方三叉路から進行してきたV村車と離合した場面<br>  本件報告書は、〔1〕の場面につき、D山が女の子らをよけた時点(以下「基準時」という。)からX田がE村方三叉路が見える地点に到達するまでの時間を測定し、被害者両名の平均移動速度を踏まえると、X田は同地点において女の子らを目撃可能であったから、D山とX田の供述は矛盾しているとする。また、〔2〕の場面については、基準時からV村がE村方三叉路及びその北方の道路を見通せる地点に到達するまでの時間を測定し、被害者両名の平均移動速度を踏まえると、V村は同地点において女の子らを目撃可能であったから、D山とV村の供述は矛盾しているとした上、さらに基準時からV村がD山が女の子らをよけた地点を通過するまでの時間も測定し(本件報告書によれば21秒)、D山が女の子らを目撃してから約3分後にV村が同じ道を通ったとする確定判決の認定は誤っていると指摘する。<br> '''イ''' しかしながら、以下の理由から、本件再現実験から本件報告書の結論を導くことはできないというべきである。<br>  本件再現実験は、秒単位で関係者の供述内容を再現して視認可能かどうかを検証するものであるが、関係者の供述する時刻、時間、位置はそのような検証が可能なほど精度が高いものではない。<br>  まず、被害者両名については、2地点での目撃時刻から平均移動速度(秒速約0.75m)を算出した上で、D山が目撃した後のE村方三叉路付近における被害者両名の移動速度がこの平均移動速度のとおりであったと仮定している。このうち、平原バス停付近での目撃時刻は後日表示が正確であると確認された車の時計を見たというので正確であるといえるが、E村方三叉路付近におけるD山の目撃時刻はおおよそのものにすぎない。前述したように、本件各調書の記載にも微妙な違いがある。また、被害者両名が、それぞれの自宅からE村方三叉路に至るまで、普段よりも時間を要していたことは明らかである一方、E村方三叉路付近でD山に目撃された後の被害者両名の行動は不明である。そうすると、被害者両名の平均移動速度を算出してそれをD山が目撃した後の被害者両名の移動速度に当てはめることに合理性があるとはいえない。<br>  また、本件再現実験においては、X田がX島車の後ろに停車すると同時に、V村車と離合した、すなわち、X田が停車した時点でV村車が直近に迫っていたものとされ、そこから逆算して、関係車両の移動状況や各経過時間が算定されている。しかし、その前提が正しいのかについても疑問がある。V村は、E村方三叉路付近まで来た時、右側に3台の自動車が縦に並んで駐車していた旨供述しており、車が動いていたとは供述していない。また、X田、X島及びW田の証言等からすると、X田はいったん自車をH車の後ろに車間距離を詰めて道路左端に寄せて止めたものの、W田から通行の支障になる旨言われ、対向してきたV村車と離合した後、自車を前方に移動させているが、X田も、自車をH車の後方に止める際に既にV村車が接近していたとは供述していない。これらのことからすると、少なくともX田がX島車の後ろに自車を停車させた時点でV村車が本件再現実験で想定している位置まで接近していたとは考えられない。<br>  なお、確定判決は、「X田がトヨタタウンエースを、一旦X島車の直ぐ後ろに停車させた直後、V田がホンダトゥデイを運転して通りかかり、離合しにくい様子だった」と説示している(確定判決37~38頁。なお、V田はV村が改姓したもの。)が、関係者の証言内容に加え、上記説示は、D山供述のうち、I村I郎方前路上において3台の駐車車両と離合したという点はD山の記憶違いであることを論証する部分であることからすると、上記説示での「直後」という文言は、X田が一旦X島車の後ろに停車してから再度車を移動させるまでの間に、離合した対向車はV村車の1台のみであり、D山車が同所においてX田車と離合するタイミングはなかったことを示す趣旨で用いられているにすぎないと解される。<br>  さらに、自動車の動きについても、当時の道路状況を再現して実際に3回自動車を走行させてその時間を測定したものであるが、おおよその時間は把握できても、当時の実際の関係者の移動に要した時間と秒単位で同じということまではできない。<br> ウ 以上のとおり、本件再現実験から本件報告書記載の結論を導くことはできないから、本件報告書をもって、本件各調書の内容が不合理であるということはできず、D山証言を信用できるということもできない。<br> '''(5)本件各調書の信用性への影響'''<br>  以上の検討を踏まえると、本件各調書の内容を否定するD山証言は信用できるものではなく、また、本件各調書の不合理性を指摘する本件報告書も当を得ないものであるから、これらによって本件各調書の信用性が減殺されることはない。したがって、確定判決の事実認定の用に供された本件検察官調書について、その供述内容を基本的に信用できるとした確定判決の認定は揺らがない。<br> '''3 K村証言について'''<br> '''(1)K村証言の要旨'''<br>  事件当日の平成4年2月20日、δにある取引先に集金に行き、その帰り道、八木山バイパスを飯塚市方面から福岡市方面に通行中、穂波西インター先の片側2車線になった辺りで、時速40km未満でゆっくり走る白のライトバンを右方から追い越した。時刻ははっきり覚えていないが、午前9時40分過ぎか午前10時40分過ぎだと思う。追い越す際、後部座席で、赤いランドセルを背負い、おかっぱ頭をした小学校1年生の女の子が、真横を向いて自分のことを見ているのが目に入った。その女の子の表情は、見たこともないくらいこわばっていて、おびえているようであった。また、後部座席には、もう1人別の女の子が横たわっていて、その横にはランドセルが置かれていた。白のライトバンの運転手は、坊主頭で、色白の小柄な男であり、年齢は35歳前後に見えた。<br>  その日の夕方、本件の報道を知って、自分が目撃した女の子が誘拐された女の子なのではないかと思い、翌日、飯塚警察署に電話した。何日か経ってから警察官が訪ねてきて、目撃内容を全て説明したが、警察官は、目撃した車両が紺色のワンボックスカーではなかったかなどの質問をして帰っていった。<br>  後日、本件の公判を傍聴し、事件本人の外見を確認したが、自分が目撃した白のライトバンの運転手とは違う人だった。また、平成30年に、Lの記者から被害者両名の写真を見せてもらったことがあったが、被害者両名は、自分が目撃した女の子と似ていると感じた。<br> '''(2)K村証言の信用性'''<br> '''ア''' K村は、事件当日、女の子2名が乗った不審車両を目撃し、しかもその女の子2人は間違いなく被害者両名と同じ小学校1年生で、顔も被害者両名と似ていたと証言する。しかし、目撃した女の子2名の特徴については、2人とも髪型がおかっぱ頭で、赤いランドセルを所持していたという特異的でない内容を述べるにとどまり、目撃した女の子2名と被害者両名のどこが似ていたのかという質問に対しても、全体の雰囲気が似ていたと繰り返すばかりで、両者を似ていると判断した具体的根拠を全く示すことができていない。そもそも、K村は、不審車両を追い越す1~2秒の間に、同車内の女の子2名を目撃したというにすぎず、K村の方を向いていた女の子でさえ、その顔貌を子細に観察し、記憶する余裕があったとは考え難い。もう1人の女の子にいたっては同車内で横たわっていたというのであり、その顔貌を目撃できたのか疑問が残るし、仮に目撃できたとしても、その女の子の特徴を的確に把握することができたとは思えない。<br>  なお、K村は、目撃した女の子2名の特徴として、小学校1年生であったことを挙げるものの、その根拠については、地域のコミュニティで小学生と接触しており、学年が1つ違えばはっきりわかる旨供述するにとどまり、説得力のある説明はできていない。当然のことながら、同じ小学校1年生といっても、成長の程度は人によって区々であり、ましてや、K村は並走する車内から窓越しに女の子らを短時間目撃しただけで、女の子らの全身を見たわけでもなく、直接会話などをしたわけでもないのであるから、そのような断定をする根拠は甚だ薄弱である。<br>  また、K村が目撃した女の子2名が被害者両名にそれぞれ似ているというのであれば、被害者両名の相違についても相応の供述ができてしかるべきであるが、K村供述にはそのような内容はない。顔貌のみならず、髪形、服装等被害者両名には当然のことながら相違点があるが、その指摘はない。K村は、被害者両名のランドセルの色について、2人とも赤だと思ったが、後から被害者両名の実際のランドセルの写真を見せてもらったら、1人はピンクで記憶違いだったとも供述しているが、なぜそのような記憶違いをしたのか、ランドセルの色という一見して明らかなものについて記憶違いをしていながら、なぜ顔貌については似ているといえるのかについて、首肯しうる説明はない。<br>  さらに、K村証言は、ほかの目撃供述と対比しても不自然である。すなわち、被害者両名は、事件当日、D山を含む複数の者に目撃されているところ、面識がない被害者について、その顔の特徴を明確に記憶し、供述するものはなく、大まかな年齢や服装、所持品等の特徴に言及するものがあるにとどまる。このように、年齢や服装などといった概括的で目につきやすい特徴は記憶に残りやすい一方、面識のない相手の顔貌の特徴を正確に把握して記憶することは比較的難しいと思われる。それにもかかわらず、K村は、逆に目撃した女の子らの服装などについてはほとんど言及せず、被害者両名と顔が似ていたと述べることに終始している。目撃した女の子らの目につきやすい特徴については記憶がないのに、本件から26年以上が経った今でも、車で追い越しざまに目撃した面識のない女の子2名の顔をはっきり覚えているという供述内容自体、不自然な感が否めない。<br>  以上によれば、女の子2名の目撃内容に関するK村の供述は信用性に乏しく、特に、顔貌が被害者両名に似ているなどと述べる詳細部分は到底信用し難い。<br> '''イ''' 加えて、K村は、女の子らを目撃した時刻についても、事件当日の午前9時40分頃か午前10時40分頃であったと思うが、記憶がはっきりせず、午前中であったことは間違いないと述べ、曖昧な供述をするにとどまっている。しかも、目撃時刻については、令和2年1月23日付けの供述書(当審弁1)では、午前11時前後と述べていたのに、証人尋問(令和5年5月31日実施)の約3週間前の令和5年5月6日付けの供述録取書(当審弁28)では、午前10時30分前後であった旨供述するに至り、証人尋問では、前記のとおり午前9時40分頃か午前10時40分頃であったと思うと述べ、目撃時刻が次第に早まっている。一度目の変遷については、δにある取引先に、自宅(古賀市)から会社(春日市)を経由して向かったと勘違いしていたが、後から考えると、自宅から直接向かったことを思い出したという理由を一応述べるが、二度目の変遷については、特に理由を説明することもできず、年月の経過に伴い、記憶が曖昧になっていることを自認するに至っている。以上によれば、K村の供述は、目撃時刻に関しても、容易く信用できない。<br> '''ウ''' これに対し、弁護人は、K村が取引先から集金できなかったため、ゆっくり走行していた軽自動車を追い越す際に、イライラしながら運転手を注視したことや、女の子の表情が極めて印象的で、強い記銘力が働いたこと、目撃内容を明確にし、記憶を維持する機会が反復、継続していたことなどを指摘し、K村証言は信用できると主張する。しかし、仮に弁護人が指摘するような事情によって、K村が目撃した女の子らの顔貌を明確に記憶し、その後もその記憶を維持していたのであれば、少なからず女の子らの顔の特徴等を指摘できてしかるべきであるのに、上記のとおりK村は曖昧な供述に終始している上、前述したような変遷も生じているのであって、弁護人の指摘を踏まえても、K村証言の信用性判断に変わりはない。<br>  以上のとおり、K村証言は、目撃内容についても目撃時刻についても信用できない。<br> '''エ''' また、K村が目撃した女の子2名が被害者両名であるとすると、確定審が認定した被害者両名の死亡時刻と抵触する上、犯人は被害者両名を略取又は誘拐した後、いったん八木山バイパスを通って福岡市方面に向かいながら、その後進路を逆に変えて飯塚市方面に戻り八丁峠方面に向かったことが想定されるが、犯人の行動として不自然な感を否めない。<br> '''(3)''' 以上のとおりであり、K村証言は信用できず、女の子2名を目撃したことを前提としたとしても、被害者両名であるという合理的な疑いは生じないというべきであって、事件本人が犯人であると認定した確定判決の認定判断に影響しない。<br> '''4 小括'''<br>  ここまで、D山及びK村の各証言を中心に、本件再審請求において提出された新証拠について検討してきたが、D山証言や本件報告書によって本件各調書の信用性が減殺されることはなく、K村証言を踏まえても、事件本人とは別の人物が犯人である合理的疑いは生じない。弁護人はその他縷々主張するが、これを踏まえて検討しても、本件再審請求において提出された新証拠が、確定審及び第1次再審請求審において取り調べられた他の証拠の証明力に影響することはなく、情況事実の総合評価の結論を左右することもない。したがって、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされているという結論は揺らがず、本件再審請求において提出された新証拠は、いずれも明白性が認められない。<br> '''5 結論'''  以上のとおり、弁護人が提出した証拠はいずれも明白性が認められないから、本件再審請求には刑訴法435条6号の再審事由があるとはいえない。<br>  よって、本件再審請求は理由がないから、刑訴法447条1項によりこれを棄却することとし、主文のとおり決定する。<br> 令和6年6月5日<br> 福岡地方裁判所第4刑事部<br> 裁判長裁判官 鈴嶋晋一 <br> 裁判官 田野井蔵人 <br> 裁判官 中元隆太<br> [[カテゴリ:判例|ふくおかちほうさいはんしよへいせい21ねんたたい11こう]] {{PD-JapanGov}} s9ugb9uk02yzq5w5rwdoy1p37rhqy87 利用者:石巻敎祖 2 54807 246561 244623 2026-10-13T01:12:30Z 石巻敎祖 39501 /* 宮城県公報確認状況 */ 246561 wikitext text/x-wiki 石巻敎祖です。宮城県内の市町村や町字関連の告示を収集します。 * [[/宮城県告示]] == 宮城県公報確認状況 == {| class="wikitable" !年度 !確認状況 !備考 |- |M30 |style="background-color:#9cf;"|収録済。 |タイトルは完全に把握。 |- |M36 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |T11 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |本紙41-52号のみ確認。 |- |T12 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |本紙85-86号,145号のみ確認。 |- |S5 |style="background-color:#ff0;"|全市町村確認済 |上半期のみ把握、下半期 |- |S8 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |S18 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |本紙938号以外、タイトル把握。 |- |S21 |style="background-color:#9cf;"|全市町村収録済 | |- |S22 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |本紙3032号記載の昭和22年告示364号(船岡町大字船岡における字の新設)以外収録済。 |- |S25 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |S28 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |S29 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |S30 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |S31 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |上半期4306号まで記載。 |- |S32 |style="background-color:#ff0;"|石巻のみ確認 | |- |S33 |style="background-color:#ff0;"|石巻のみ確認 | |- |S34 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 | |- |S35 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 | |- |S36 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 | |- |S37 |未確認 | |- |S38 |style="background-color:#ff0;"|石巻のみ確認 | |- |S40 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |S41 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |本紙5390号から未確認 |- |S53 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |上半期(6580号まで)確認済み |- |S54 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |本紙6678, 6680号未確認 |- |S57 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |ただし本紙6983号から本紙6994号まで未確認。 |- |H2 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |ただし本紙153から204までのみ確認。上半期は未確認。 |- |H6 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |上半期のみ確認。 |- |H7 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |H8 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |本紙736号まで確認。 |- |H9 |style="background-color:#0f0;"|全市町村確認済 |タイトルは完全に把握。 |- |H10 |style="background-color:#ff0;"|全市町村一部確認済 |本紙933号まで確認。 |- |H15 |style="background-color:#9cf;"|収録済。 |町・字に係る告示なし。 |- |H16 |style="background-color:#9cf;"|収録済。 |町・字に係る告示なし。 |- |H17 |style="background-color:#9cf;"|収録済。 |町・字に係る告示なし。 |} == 宮城県告示未収録 == ; 32年 * 第4357号 ** 昭和32年宮城県告示第46号 - 石巻市内旧蛇田村域に係る変更 * 第4433号 ** 昭和32年宮城県告示第311号 - 河南町北村に係る変更 ; 33年 * 第4512号 ** [[字の区域並びにその名称変更 (昭和33年宮城県告示第138号)|字の区域並びにその名称変更]] - 迫町北方における字変更 * 第4516号 ** [[字の名称変更 (昭和33年宮城県告示第181号)|字の名称変更]] - 築館町の大字(築館・玉沢玉荻・玉沢太沢・宮野富野)廃止 * 第4548号 ** [[字の区域及び名称変更 (昭和33年宮城県告示第384号)|字の区域及び名称変更]] - 米山町における字変更 * 第4553号 ** [[渡波町の区域変更 (昭和33年宮城県告示第412号)|渡波町の区域変更]] ** [[気仙沼市の区域変更 (昭和33年宮城県告示第413号)|気仙沼市の区域変更]] ** [[石巻市の区域変更 (昭和33年宮城県告示第414号)|石巻市の区域変更]] * 第4570号 ** [[所属未定地の編入 (昭和33年宮城県告示第517号)|所属未定地の編入]] - 女川町 ** [[所属未定地の編入 (昭和33年宮城県告示第518号)|所属未定地の編入]] - 気仙沼市 * 第4572号 ** [[字の名称変更 (昭和33年宮城県告示第533号)|字の名称変更]] - 角田市「大字」の字句除去。 ; 35年 * 4699号 ** 字の区域 19号 * 4700号 ** 字の名称の変更 26号 - 石巻市渡波町、石巻市の町字に記載済 ** 字の区域並びに名称の変更 27号 - 瀬峰町 * 4702号 ** 字の区域並びに名称の変更 41号 - 若柳町下畑岡 * 4706号 ** 字の区域並びにその名称変更 65号 - 古川市江合・福浦 * 4711号 ** 町の境界変更 93号 - 川崎町・村田町 * 4716号 ** 字の区域並びにその名称変更 139号 - 女川町清水町 ** 字の区域並びにその名称変更 140号 - 矢本町矢本 ** 字の区域並びにその名称変更 141号 - 本吉町 ** 字の区域並びにその名称変更 142号 - 村田町 ** 字の区域並びにその名称変更 144号 - 気仙沼市 * 4717号 ** 所属未定地の編入 145号 - 石巻市 ** 所属未定地の編入 146号 - 七ヶ浜町 ** 所属未定地の編入 147号 - 気仙沼市 ** 所属未定地の編入 148号 - 唐桑町 *4733号 ** 字の区域並びに名称変更 267号 - 築館町築館 ** 字の区域並びに名称変更 268号 - 栗駒町姫松 ** 字の区域並びに名称変更 269号 - 一迫町王沢 * 4739号 ** 字の区域並びに名称の変更 322号 - 仙台市四郎丸 * 4745号 **字の区域並びに名称変更 373号 - 若柳町川南 **字の区域並びに名称変更 374号 - 若柳町上畑岡 * 4748号 ** 所属未定地の編入 398号 - 七ヶ浜町 ** 字の区域並びに名称の変更 400号 - 蔵王町 ** 字の区域並びに名称の変更 401号 - 高清水町 * 4758号 ** 字の区域並びに名称変更 454号 - 中新田町四日市場 ** 字の区域並びに名称変更 455号 - 涌谷町 ** 字の区域並びに名称変更 456号 - 七ヶ浜町 ** 字の区域並びに名称変更 457号 - 七ヶ浜町 * 4777号 ** 所属未定地の編入 573号 - 七ヶ浜町 ** 所属未定地の編入 574号 - 塩釜市 ** 所属未定地の編入 575号 - 気仙沼市 ** 町の境界変更 576号 登米町 * 4778号 ** 字の区域変更 587号 気仙沼市 ** 字の区域変更 589号 小野田町西小野田 * 4781号 ** 字の区域並びに名称変更 599号 仙台市中野 ** 字の区域並びに名称変更 600号 仙台市岩切 ** 字の区域並びに名称変更 601号 三本木町桑折・上伊場野 * 4791号 ** 字の区域変更 675号 七ヶ浜町 ; 36年 * 4797号 **町の境界変更 5号 - 鶯沢町・栗駒町 ** 町の境界変更 6号 - 色麻村・小野田町 ** 所属未定地の編入 7号 - 松島町手樽 ** 所属未定地の編入 8号 - 亘理町荒浜 ** 所属未定地の編入 9号 - 女川町宮ケ崎 ** 所属未定地の編入 10号 - 塩釜市 ** 所属未定地の編入 11号 - 唐桑町 ** 字の区域変更 12号 - 塩釜市 ** 字の区域変更 13号 - 塩釜市 * 4811号 ** 塩釜市の町の区域 94号 - 塩釜市 ** 金成町の字の区域及び変更 96 号 ** 涌谷町の字の区域及び変更 97号 ** 米山町の字の区域及び変更 98号 気仙沼市の字の区域及び変更 99号 * 4822号 ** 所属未定地の編入 178号 - 女川 ** 所属未定地の編入 179号 気仙沼市 所属未定地の編入 180号 塩釜市 * 4823号 ** 字の区域及び変更 188 河南町 ** 字の区域及び変更 189 中田町 ** 字の区域及び変更 190 栗駒町 ** 字の区域及び変更 191 中新田町 ** 字の区域及び変更 192 角田市 ** 字の区域の変更 193 松島町 ** 字の区域の変更 194 塩釜市 ** 字の区域の変更 195 塩釜市 ** 字の区域の変更 196 石巻市 ** 字の区域の変更 197 女川町 ** 字の区域及び名称の変更 198 矢本町 * 4854号 ** 字の区域及び変更 387 大和町 **字の区域変更 388 塩釜市 ** 字の区域変更 389 女川町 * 4859号 ** 所属未定地の編入 415 七カ浜 ** 所属未定地の編入 416 気仙沼市 ** 字の区域及び変更 417 宮崎町 ** 字の区域及び変更 418 若柳町川北 ** 字の区域変更 419 塩釜市新浜町 * 4860号 ** 字の区域変更 428 登米町 ** 字の区域変更 429 気仙沼市 * 4862号 ** 字の区域変更 438 七ヶ浜町東宮浜 * 4870号 ** 字の区域及び変更 479 志和姫村白幡 * 4876号 ** 字の区域の変更 524 気仙沼市 * 4877号 ** 角田市の字の区域画定 533 角田市 == ほしい告示 == 見つけたら作成していただけるとうれしいです。 # 牡鹿町字鮎川浜丁・鮎川大町新設の告示 # 豊里町大字赤生津および大字鴇波廃止の告示 # 志津川町志津川・清水浜・荒戸浜設置の告示 # 仙台市青葉区川内設置の告示 # 階上村・新月村など本吉郡町村における大字廃止の告示 # 米谷町における米谷・楼台設置の告示 # 大字不耒内の改称の告示 # 石巻市中里一丁目設置の告示(住居表示実施前) # 石巻市山下・門脇地区における町丁設置の告示 # 石巻市雲雀野町設置の告示 1zqi6tiywdun1m3la9qtrhvp4zgi095 利用者:石巻敎祖/宮城県告示 2 55832 246560 244622 2026-10-13T01:10:22Z 石巻敎祖 39501 平成6年追加 246560 wikitext text/x-wiki 宮城県告示(町字や市町村合併関連)の目録。 == 昭和5年 == * 状態:上半期(489号まで)確認済。 * メモ:下半期はほとんど所属未定地編入のみ。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和5年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |443 |118 |所「属」未定地ヲ宮城郡松島町ノ「区」域ニ編入 |宮城郡松島町大字手樽 |未収録 |- |444 |121 |耕地整理施行ニ「関」ル加美郡小野田村「内」字ノ名「称並」同「区」域「変」更 |西小野田字藤兵衛の新設 |未収録 |- |rowspan="2"|451 |154 |所「属」未定地ヲ宮城郡「塩」釜町の「区」域ニ編入 |塩釜町杉ノ入表 |未収録 |- |155 |所「属」未定地ヲ宮城郡多賀城村の「区」域ニ編入 |多賀城村笠神 |未収録 |- |452 |156 |町村制第三條ニ依リ遠田郡富永村大字上埣ノ内字長瀬東字地「蔵」前字地「蔵」堂字中島座地「蔵」東字「青」沼ヲ志田郡荒雄村ニ編入 | |未収録 |- |471 |264 |所「属」未定地ヲ牡鹿郡鮎川村の「区」域ニ編入 |牡鹿郡鮎川村大字十八成浜 |未収録 |- |485 |331 |志田郡荒雄村内大字「区」域「変」更 |上埣および福沼の全部をもって福沼を設置。 |収録済 |- |rowspan="2"|486 |334 |所「属」未定地ヲ本吉郡大島村の「区」域ニ編入 | |未収録 |- |335 |所「属」未定地ヲ宮城郡「塩」釜町の「区」域ニ編入 | |未収録 |} == 昭和8年 == * 状態:すべて記入済。 * メモ:938号が県政センターにない。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和8年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="2"|873 |22 |町村制第三條ノ規定ニ依リ「所属」未定地ヲ牡鹿郡鮎川村ノ「区」域ニ編入シ昭和八年十一月二十三日ヨリ施行 |大字鮎川浜字清崎地先 |未収録 |- |23 |町村制第三條ノ規定ニ依リ「所属」未定地ヲ本吉郡「気」仙沼町ノ「区」域ニ編入シ昭和八年一月二十三日ヨリ施行 |気仙沼町字釜地先 |未収録 |- |881 |54 |耕地整理施行ニ依リ「黒」川郡落合村「内」字ノ名「称並区」域「変」更シ昭和八年二月二日ヨリ施行 |報恩寺および松坂における字名変更 |未収録 |- |891 |99 |刈田郡延圓田村「内」字ノ名「称並区」域変更 | |未収録 |- |905 |162 |町村制第三條ノ規定ニ依リ「所属」未定地ヲ本吉郡「気」仙沼町ノ「区」域ニ編入 |気仙沼町字釜地先 |未収録 |- |rowspan="2|910 |204 |町村制第三條ノ規定ニ依リ「附属」未定地ヲ本吉郡渡波町ノ「区」域ニ編入 |渡波町祝田字祝田地先 |未収録 |- |205 |耕地整理施行ニ依リ村ノ境界「変更」ノ件「関」係村會ノ意見ヲ徴シ縣「参」事会ノ議決ヲ経昭和八年五月一日ヨリ施行 |鶴巣村と富谷村 |未収録 |- |206 |耕地整理施行ニ依リ「黒」川郡富谷村字ノ名「称並」同「区」域変更昭和八年五月一日ヨリ施行 | |未収録 |- |922 |278 |公有水面埋立地ニ小字名ヲ附スル件認可 |気仙沼町字釜ノ前設置 |未収録 |- |938 |364 |耕地整理施行ニ依リ登米郡吉田村「内」字ノ名「称並区」域変更 | | |- |956 |437 |耕地整理施行ニ依ル名取郡千貫村「内」字ノ名「称並区」域変更 |小川、長岡、三色吉 |未収録 |- |rowspan="2|962 |468 |町村制第三條ノ規定ニ依リ「所属」未定地ヲ桃生郡野蒜村ノ「区」域ニ編入 |野蒜村大字大塚地先 |未収録 |- |469 |町村制第三條ノ規定ニ依リ「所属」未定地ヲ牡鹿郡女川町ノ「区」域ニ編入 |女川町出島字合ノ浜地先 |未収録 |- |990 |593 |町村制第三條ノ規定ニ依リ「所属」未定地ヲ牡鹿郡女川町ノ「区」域ニ編入 |女川町石浜字高森地先 |未収録 |- |999 |628 |耕地整理施行ニ依リ「黒」川郡落合村「内」字ノ名「称並」同「区」域「変」更及施行 |松坂・報恩寺 |未収録 |- |1002 |648 |耕地整理施行ニ依リ宮城郡高砂村「内」字名「称並」同「区」域「変」更及施行期日 |田子 |未収録 |} == 昭和18年 == * 状態:すべて記入済。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和18年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="2"|2410 |40 |所「属」未定地編入 |桃生郡雄勝町 |未収録 |- |41 |加美郡小野田村町制施行 | |未収録 |- |2421 |85 |字名ヲ附スル件認可 |荻浜村大字桃浦字台 |収録済 |- |2426 |105 |大字名「称」並「区」域「変」更 |仙台市中田 |収録済 |- |2435 |157 |役場位置「変」更ノ件 |愛島村 |未収録 |- |rowspan="2"|号外 |192 |村境堺「変」更 |伊具郡北郷村・西根村 |未収録 |- |193 |村内字名改「称」並「区」域「変」更 |同上 |未収録 |- |rowspan="2"|2452 |226 |境界「変」更 |栗原郡藤里村・遠田郡沼部村・遠田郡大貫村 |未収録 |- |227 |字名改「称」並「区」域「変」更 |同上 |未収録 |- |2457 |249 |所「属」未定地編入 |牡鹿郡大原村 |未収録 |- |2492 |399 |字名改「称」並「区」域「変」更 |丸森町字白金・城東の設置 |未収録 |- |rowspan="2"|2508 |478 |埋立地ニ字名設定許可 |牡鹿郡女川町針浜字針浜 |未収録 |- |479 |埋立地ニ字名設定許可 |宮城郡利府村赤沼字須賀 |未収録 |} == 昭和25年 == * 状態:すべて記入済。ところどころ抜けあり。 * 註:すべてタイトル不明かつ未収録。 * メモ:告示56号に「唐桑町大字唐桑」「花山村大字草木澤・本澤」とある。 * メモ:告示96号や255号に「米谷町字~」とある。 * メモ:告示279号に階上村の大字がない。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和25年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |3338 |6 | |塩釜市字港、字の区域変更 | |- |3342 |13 | |岩出山町字船場 | |- |rowspan="2"|3370 |129 |字名改「称」並字「区」域「変更」 |蛇田村、耕地整理にともなう |収録済。 |- |130 |字名改「称」並字「区」域「変更」 |須江村、耕地整理にともなう |収録済。 |- |rowspan="2"|3371 |131 |字の名「称」及び「区域」の「変更」 |岩出山町字船場 | |- |132 | |塩釜市における埋め立て地編入 | |- |3375 |144 |字の「区」域の「変更」 |大原村泊浜 | |- |3387 |192 |字の「区」域の新設及び「変更」 |岩出山町字新上川原 | |- |3409 |264 |字名改「称」並字「区」域「変更」 |南方・米山・賀美石・下伊場野・西大崎・志田・逢隈・荒浜 | |- |rowspan="3"|3414 |287 | |志津川町字港の埋め立て地編入 | |- |288 |字名改「称」並「区」域「変更」 |松山町長尾字表沢 | |- |289 |字名改「称」並「区」域「変更」 |長岡村、宮沢村 | |- |3419 |319 |字の名「称」の「変更」 |塩釜市・浦戸村合併に伴う、大字名変更 | |- |3450 |483 |字名改「称」並「区」域「変更」 |浅水村 | |- |3460 |533 |字の「区」域「変更」 |仙台市蒲生字屋倉。耕地整理に伴う。 |未収録 |- |3469 |566 |字の「区」域「変更」 |松島・大松沢・鹿島台・南郷の境界変更に伴う |未収録 |- |号外 |588 | |古川町の市制施行 |未収録 |} == 昭和28年 == * 状態:すべて記入済。 * メモ:177号に「大字波路上」の字句を発見。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和29年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |3796 |118 |鮎川町の字の「区」域「変」更 |字清崎の埋め立て地編入。 |未収録 |- |rowspan="2"|3803 |174 |[[登米郡米谷町の字の名稱變更 (昭和28年宮城県告示第174号)|登米郡米谷町の字の名稱變更]] |大字楼台における字名変更 |収録済 |- |175 |加美郡小野田町の字の名稱變更 |西小野田における字名変更 |未収録 |- |3823 |420 |「気」仙沼町市制施行 | |未収録 |- |rowspan="2"|3852 |608 |名取郡岩沼町の「区」域「内」の字の名稱變更 | |未収録 |- |609 |名取郡岩沼町の「区」域「内」の字の「区」域變更 | |未収録 |- |3863 |612 |小牛田町及び北浦村の字の「区」域變更 |南小牛田・牛飼・北浦。 |未収録 |- |3898 |790 |桃生郡北村及び遠田郡南郷村の字の「区」域變更 | |未収録 |- |3906 |827 |「稲」井村の字の「区」域「画」定 |区画整理事業に伴う字域の整理。 |未収録 |- |3932 |936 |仙台市の区域「内」の字の区域変更 |銀杏町・鹿島町・館西町・志波町・旭町・大和町の新設。なんと町名理由も附されている |収録済 |} == 昭和29年 == * 状態:すべて記入済?(ちょっと怪しい) {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和29年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |3964 |149 |町村を「廃」し新たに町を設置 |小牛田町・岩出山町・鳴子町の設置。 |未収録 |- |3967 |167 |白石市制施行 | |未収録 |- |rowspan="3"|号外14号 |253 |町村の「廃」置分合 |田尻町の設置。 |未収録 |- |254 |町村の境界変更 |黒川郡大谷村と鹿島台町 |未収録 |- |255 |町村の境界変更 |大貫村、瀬峰町、新田村 |未収録 |- |3997 |372 |白石市の字の名称変更 |合併に伴う字名変更。大字白石の廃止。 |未収録 |- |rowspan="4"|4005 |409 |町村の廃置分合 |宮崎町の設置。 |未収録 |- |410 |村の廃置分合 |大郷村の設置。 |未収録 |- |411 |南郷町制施行 | |未収録 |- |412 |西根村の字の区域変更 |高倉における字名変更。 |未収録 |- |rowspan="4"|4010 |444 |町村の境界変更 |村田町・沼部村 |未収録 |- |445 |所属未定地編入 |塩竈市 |未収録 |- |446 |所属未定地編入 |女川町 |未収録 |- |447 |槻木町の字の区域変更 | |収録済み |- |rowspan="2"|4014 |481 |町村の廃置分合 |中新田町の設置。 |未収録 |- |482 |村の廃置分合 |敷玉村の分割合併。 |未収録 |- |4019 |510 |町村の廃置分合 |築館町の設置。 |未収録 |- |4026 |543 |鹿島台町の大字の区域変更 |境界変更に伴う変更 |未収録 |- |4029 |559 |鳴子町の大字の区域決定 |鬼首の新設。 |未収録 |- |4036 |613 |塩釜市の区域「内」の字の区域画定 |新浜町の新設。 |未収録 |- |4039 |632 |大郷村の区域「内」の大字の区域画した旨の届出 |大郷村旧大松沢村域を大松沢として新設。 |収録済 |- |rowspan="2"|4045 |662 |村を廃しその区域を市に編入 |高倉村・清滝村の古川市への編入。 |未収録 |- |663 |町村の廃置 |角田町ほか6村を廃して角田町を設置する件。 |未収録 |- |rowspan="4"|4053 |709 |町村の廃置分合 |柳津町・横山村を廃して津山町を設置する件。 |収録済 |- |710 |町村の境界変更 |築館町冨と尾松村栗原曲田の境界変更 |収録済 |- |711 |所属未定地編入 |塩釜市笠神。 |収録済 |- |712 |所属未定地編入 |気仙沼市内の脇 |収録済 |- |4055 |721 |町村の廃置分合 |丸森町ほか7町村を廃して丸森町を設置する件。 |未収録 |- |4056 |748 |町村を廃し新たに町を置くことについて |若柳町ほか3村を廃して若柳町を設置する件。 |未収録 |- |4069 |848 |字の区域変更 |女川町石浜および宮ケ崎。埋立関連。 |未収録 |- |rowspan="2"|4081 |898 |町村の廃置分合 |沢辺村ほか3村を廃して金成町を設置する件。 |収録済 |- |899 |[[市町村の廃置分合 (昭和29年宮城県告示第900号)|市町村の廃置分合]] |蛇田村を廃して石巻市に編入。 |} == 昭和30年 == * 状態:すべて記入済。 「」で囲まれた領域は旧字。県情報センターに4223号なし。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和30年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |4088 |20 |村の廃置 |宮城村の設置。 |未収録 |- |rowspan="2"|4093 |47 |町村の廃置分合 |山元町の設置。 |未収録 |- |48 |町村の廃置分合 |亘理町の設置。 |未収録 |- |4097 |64 |村を町とすることについて |唐桑町の設置。 |未収録 |- |4098 |71 |津山町の字の名「称」変更 | |収録済み |- |rowspan="5"|号外7 |147 |町村の廃置<!-- 分合はなし --> | |収録済み |- |148 |町村の廃置 | |収録済み |- |149 |村の廃置 | |収録済み |- |150 |町村の廃置 | |収録済み |- |151 |[[北上村の属すべき郡の区域]] | |収録済み |- |4108 |166 |下伊場野村の大字の区域画定 | |収録済み |- |4110 |173 |築館町の大字区域画定 |築館町築館・玉沢玉荻・玉沢太沢・宮野・富野の設置 |未収録 |- |4112 |191 |築館町の字の区域画定 |旧築館町黒瀬に係る告示。 |未収録 |- |rowspan="5"|号外10 |197 |町村の廃置分合 | |収録済み |- |198 |町村の廃置分合 | |収録済み |- |199 |町村の廃置分合 | |収録済み |- |200 |町村の廃置分合 | |収録済み |- |201 |町村の廃置分合 | |収録済み |- |4113 |208 |[[石巻市の大字の区域画定]] | |収録済み |- |rowspan="2"|4115 |231 |秋保村の字の区域画定 | |未収録 |- |232 |秋保村と宮城村との境界変更計画 | |未収録 |- |rowspan="3"|4116 |242 |町村の廃置分合 |迫町設置。 |未収録 |- |250 |町村の廃置分合 |岩沼町設置。 |未収録 |- |251 |町村の廃置分合 |名取町設置。 |未収録 |- |rowspan="5"|4117 |264 |町村の廃置分合 |栗駒町設置。 |未収録 |- |265 |町村の廃置分合 |一迫町設置。 |未収録 |- |266 |町村の廃置分合 |蔵王町設置 |未収録 |- |267 |秋保村と宮城村の境界 | |未収録 |- |268 |市村の廃置分合 |気仙沼市設置。 |未収録 |- |rowspan="5"|4122 |304 |市村の廃置分合 |石巻市の合併。 |未収録 |- |305 |古川市と岩出山町の境界変更 | |未収録 |- |306 |村の廃置分合 |泉村設置。 |未収録 |- |307 |町村の廃置分合 |川崎町設置。 |未収録 |- |308 |町村の廃置分合 |村田町設置 |未収録 |- |rowspan="2"|4124 |334 |古川市と高「清」水町の境界変更 | |未収録 |- |335 |町村の廃置分合 |大和町設置。 |未収録 |- |4127 |349 |[[迫町の大字の区域画定及び変更]] | |収録済み |- |rowspan="2"|4129 |370 |町村の廃置分合 |矢本町設置。 |未収録 |- |371 |町村の廃置分合 |鳴瀬町設置。 |未収録 |- |4132 |395 |[[桃生町の大字の区域画定]] | |収録済み |- |4134 |417 |本吉郡志津川町の大字の名「称」画定並びに変更 | |収録済み |- |4135 |434 |本吉町の区域「内」の大字を廃止し、字の名「称」変更 | |収録済み |- |4137 |456 |[[北上村の大字の区域画定]] | |収録済み |- |rowspan="2"|4155 |556 |矢本町の大字の区域画定 | |収録済み |- |557 |鳴瀬町の大字の区域画定 | |収録済み | |- |rowspan="3"|4159 |589 |「蔵」王町の大字の区域画定 |蔵王町宮・遠刈田温泉の設置 |未収録 |- |598 |町村の廃置分合 |涌谷町の設置。 |未収録 |- |599 |古川市と三本木町の境界変更 | |未収録 |- |4161 |606 |[[河南町の大字の区域画定]] | |収録済み |- |4165 |645 |遠田郡南郷町及び志田郡鹿島台町の境界変更 | |収録済み |- |4172 |694 |迫町の字の名「称」変更 |迫町北方における字名変更 |未収録 |- |rowspan="2"|4198 |863 |志田郡三本木町と松山町の境界変更 | |未収録 |- |864 |塩釜市の区域「内」の字の区域変更 |字大日向に係る告示。 |未収録 |- |4204 |902 |栗原郡若柳町及び志波姫村の境界変更 | |未収録 |- |rowspan="4"|4223 |1051 |田尻町の字名および字の区域変更 | |未収録 |- |1052 |気仙沼市の字の名「称」変更 | |未収録 |- |1053 |栗駒町の大字の区域画定 | |未収録 |- |1054 |牡鹿町の字の名「称」変更 | |未収録 |- |4230 |1110 |古川市及び遠田郡小牛田町の境界変更 | |未収録 |- |rowspan="4"|4233 |1131 |所属未定地の編入 |唐桑町 |未収録 |- |1132 |所属未定地の編入 |亘理町 |未収録 |- |1133 |所属未定地の編入 |名取町 |未収録 |- |1134 |字の区域変更 |鹿島台町 |未収録 |- |4234 |1138 |大字の区域変更 |松山町 |未収録 |} == 昭和31年 == * 状態:上半期4306号まで記載。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和31年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |4236 |3 |字の区域並びにその名「称」変更 | |未収録 |- |4248 |103 |字の区域変更 |登米郡南方村西郷下・西郷上における字の変更 |未収録 |- |4255 |157 |字の区域画定 |名取群閖上町字港の新設。 |未収録 |- |4260 |185 |字の区域画定 |亘理郡亘理町荒浜字築港通りの新設。 |未収録 |- |rowspan="2"|4261 |198 |町村の廃置分合 |石森町ほか3村を廃して中田町を設置する件 |未収録 |- |199 |市村の廃置分合 |生出村の仙台市への編入 |未収録 |- |4263 |212 |字の区域変更 |田尻町蕪栗 |未収録 |- |rowspan="2"|4267 |250 |町の廃置分合 |船岡町・槻木町を廃して柴田町を設置する件 |未収録 |- |251 |仙台市及び多賀城町の境界変更 |仙台市中野・岩切の各一部を多賀城町に、多賀城町八幡・高橋・南宮を仙台市に編入する告示。 |未収録 |- |rowspan="3"|4268 |253 |所属未定地の編入 |女川町 |未収録 |- |254 |所属未定地の編入 |渡波町 |未収録 |- |255 |所属未定地の編入 |気仙沼市 |未収録 |- |4276 |328 |字の名「称」変更 |大字茂庭・大字坪沼の「大字」の字句削除。 |未収録 |- |4283 |381 |字の区域並びに名「称」変更 |蔵王町 |未収録 |- |4293 |448 |字の区域の設定及び名「称」変更 |中田町、合併に伴う。 |収録済 |- |4305 |534 |字の区域の変更 |気仙沼市 |未収録 |- |4306 |535 |字名及び字の区域変更 |古川市楡木 |未収録 |} == 昭和34年 == * 状態:すべて記入済 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和34年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="6"|第4598号 |40 |[[字の区域変更 (昭和34年宮城県告示第40号)|字の区域変更]] |気仙沼市 |未収録 |- |41 |[[字の区域変更 (昭和34年宮城県告示第41号)|字の区域変更]] |女川町 |未収録 |- |42 |[[字の区域並びに名称変更 (昭和34年宮城県告示第42号)|字の区域並びに名称変更]] |稲井村。石巻市の町・字に記載済。 |未収録 |- |43 |[[字の区域並びに名称変更 (昭和34年宮城県告示第43号)|字の区域並びに名称変更]] |本吉町 |未収録 |- |44 |[[字の区域並びに名称変更 (昭和34年宮城県告示第44号)|字の区域並びに名称変更]] |古川市 |未収録 |- |45 |[[字の区域並びに名称変更 (昭和34年宮城県告示第45号)|字の区域並びに名称変更]] |栗駒町 |未収録 |- |第4606号 |87 |[[字の区域並びに名称変更 (昭和34年宮城県告示第87号)|字の区域並びに名称変更]] |高清水町 |未収録 |- |第4612号 |123 |[[字の区域変更 (昭和34年宮城県告示第123号)|字の区域変更]] |気仙沼市 |未収録 |- |rowspan="2"|第4614号 |143 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第143号)|所属未定地の編入]] |名取市 |未収録 |- |144 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第144号)|所属未定地の編入]] |松島町 |未収録 |- |第4616号 |160 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第160号)|所属未定地の編入]] |稲井町 |未収録 |- |号外28号 |250 |渡波町及び稲井町の境界変更 | |未収録 |- |rowspan="2"|第4630号 |264 |[[字の区域並びにその名称変更󠄁 (昭和34年宮城県告示第264号)|字の区域並びにその名称変更]] |仙台市中野・岩切・八幡・高橋 |収録済み |- |265 |[[字の区域並びにその名称変更 (昭和34年宮城県告示第265号)|字の区域並びにその名称変更]] |多賀城町八幡・留ケ谷・東田中・高崎・浮島・市川・南宮・山王・新田 |未収録 |- |rowspan="2"|第4636号 |309 |[[名取市の字の区域変更 (昭和34年宮城県告示第309号)|名取市の字の区域変更]] |名取市閖上 |未収録 |- |310 |[[石巻市の字の名称変更 (昭和34年宮城県告示第310号)|石巻市の字の名称変更]] |石巻市渡波 |未収録 |- |rowspan="2"|第4647号 |389 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第389号)|所属未定地の編入]] |七ヶ浜町 |未収録 |- |390 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第390号)|所属未定地の編入]] |気仙沼市 |未収録 |- |第4668号 |522 |[[町の境界変更 (昭和34年宮城県告示第522号)|町の境界変更]] |大河原町・柴田町 |未収録 |- |第4673号 |550 |[[町の境界変更 (昭和34年宮城県告示第550号)|町の境界変更]] |一迫町・栗駒町 |未収録 |- |rowspan="5"|第4691号 |659 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第659号)|所属未定地の編入]] |鳴瀬町 |未収録 |- |660 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第660号)|所属未定地の編入]] |七ヶ浜町 |未収録 |- |661 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第661号)|所属未定地の編入]] |塩釜市 |未収録 |- |662 |[[所属未定地の編入 (昭和34年宮城県告示第662号)|所属未定地の編入]] |唐桑町 |未収録 |- |663 |[[字の区域並びに名称の変更 (昭和34年宮城県告示第663号)|字の区域並びに名称の変更]] |大河原町金ケ瀬・小山田・大河原・福田 |未収録 |} == 昭和40年 == * 状態:すべて記入済。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和40年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="2"|5211 |48 |字の区域を新たに画し及び変更する告示 |利府村森郷・加瀬・利府・沢乙ほか。 |未収録 |- |49 |町の区域を新たに画する告示 |石巻市湊、図面のみ |未収録 |- |rowspan="3"|5217 |96 |字の区域をあらたに画する告示 |志津川町、埋立地に係る |未収録 |- |97 |字の区域をあらたに画する告示 |涌谷町 |未収録 |- |98 |字の区域をあらたに画する告示 |仙台市燕沢 |未収録 |- |5219 |113 |[[字の区域変更 (昭和40年宮城県告示第113号)|字の区域変更]] |稲井町高木 |収録済 |- |rowspan="3"|5221 |135 |あらたに生じた土地の確認 |松島町 |未収録 |- |136 |[[あらたに生じた土地の確認 (昭和40年宮城県告示第136号)|あらたに生じた土地の確認]] |石巻市 |収録済 |- |137 |[[字の区域の変更 (昭和40年宮城県告示第137号)|字の区域の変更]] |桃生町 |収録済 |- |rowspan="2"|5225 |171 |字の区域の変更 |仙台市表小路 |未収録 |- |172 |あらたに生じた土地の確認 |仙台市表小路 |未収録 |- |rowspan="3"|5228 |200 |字の区域の変更 |女川町女川浜 |未収録 |- |201 |あらたに生じた土地の確認 |女川町女川浜 |未収録 |- |202 |字の区域及び字の名称の変更 |古川市深沼・桑針・石森 |未収録 |- |号外27 |210 |[[仙台市と利府村の境界変更󠄁]] | |収録済 |- |号外30 |242 |[[字の区域をあらたに画する告示 (昭和40年宮城県告示第242号)|字の区域をあらたに画する告示]] |石巻市門脇 |収録済 |- |5232 |255 |字の区域をあらたに画する告示 |東和町米谷 |収録済 |- |rowspan="2"|5236 |277 |町の区域をあらたに画する告示 |塩釜市藤倉ほか |未収録 |- |278 |字の区域をあらたに画する告示 |涌谷町猪岡短台 |未収録 |- |rowspan="2"|5243 |345 |あらたに生じた土地の確認 |松島町 |未収録 |- |346 |字の区域の変更 |松島町 |未収録 |- |5258 |478 |字の区域の変更 |色麻村四竈 |未収録 |- |5261 |498 |町の境界変更 |中田町・石越町 |未収録 |- |rowspan="2"|5263 |507 |[[あらたに生じた土地の確認 (昭和40年宮城県告示第507号)|あらたに生じた土地の確認]] |石巻市荻浜 |収録済 |- |508 |[[字の区域の変更 (昭和40年宮城県告示第508号)|字の区域の変更]] |石巻市荻浜 |収録済 |- |rowspan="5"|5266 |533 |字の区域の変更 |唐桑町 |収録済 |- |534 |字の区域の変更 |松島町 |収録済 |- |535 |[[字の区域及び字の名称の変更 (昭和40年宮城県告示第535号)|字の区域及び字の名称変更]] |仙台市表小路 |収録済 |- |536 |[[字の区域及び字の名称の変更 (昭和40年宮城県告示第536号)|字の区域及び字の名称変更]] |仙台市岩切 |収録済 |- |537 |あらたに生じた土地の確認 |唐桑町 |未収録 |- |5280 |650 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |5284 |695 |字の区域をあらたに画する告示 |米山町中津山・西野ほか |未収録 |- |5286 |710 |字の区域をあらたに画する告示 |鶯沢町 |未収録 |- |5287 |720 |町及び字の区域並びにこれらの名称の変更 |仙台市五輪・宮城野・銀杏町の新設、図面のみ |未収録 |- |5288 |732 |字の区域の変更 |田尻町八幡 |未収録 |- |rowspan="2"|5295 |801 |字の区域の変更 |気仙沼市 |未収録 |- |802 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |5297 |819 |町及び字の名称変更 |気仙沼市 |未収録 |- |rowspan="5"|5299 |830 |字の区域および名称の変更 |泉町根白石・小角・実沢 |未収録 |- |831 |あらたに生じた土地の確認 |柴田町 |未収録 |- |832 |字の区域の変更 |柴田町 |未収録 |- |833 |あらたに画した字の区域 |中田町宝江黒沼ほか |未収録 |- |834 |字の区域および名称の変更 |鳴瀬町根古 |未収録 |} == 昭和41年 == * 状態:5390号まで確認。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和41年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="3"|5305 |1 |字の区域の変更 |稲井町 |収録済 |- |2 |あらたに生じた土地の確認 |稲井町 |収録済 |- |3 |字の区域及び名称の変更 |角田市枝野 |未収録 |- |5307 |20 |字の区域及び名称の変更 |瀬峰町藤沢 |未収録 |- |rowspan="3"|5310 |51 |あらたに生じた土地の確認 |塩釜市 |未収録 |- |52 |あらたに生じた土地の確認 |塩釜市 |未収録 |- |53 |字の区域の変更 |塩釜市 |未収録 |- |rowspan="5"|5313 |75 |あらたに生じた土地の確認 |小野田町 |未収録 |- |76 |あらたに生じた土地の確認 |仙台市 |未収録 |- |77 |字の区域の変更 |仙台市 |未収録 |- |78 |あらたに生じた土地の確認 |若柳町 |未収録 |- |79 |字の区域及び名称の変更 |東和町 |収録済 |- |rowspan="3"|5320 |128 |町及び字の区域の変更 |石巻市 |未収録 |- |129 |字の区域及び名称の変更 |津山町 |収録済 |- |130 |あらたに画した字の区域 |名取市杉ケ袋・下増田 |未収録 |- |rowspan="4"|5322 |144 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |145 |あらたに画した字の区域 |大郷町大松沢 |未収録 |- |146 |字の区域及び名称の変更 |古川市桜ノ目 |未収録 |- |147 |字の区域の変更 |気仙沼市字波路上内沼ほか |未収録 |- |5325 |176 |字の区域の変更 |多賀城町留ケ谷字隅田の新設 |未収録 |- |rowspan="2"|5327 |192 |字の区域及びその名称の変更 |桃生町神取字元西反崎 |未収録 |- |193 |字のあらたに画した区域 |角田市神次郎・君萱ほか |未収録 |- |5329 |213 |あらたに画した字の区域 |東和町錦織 |未収録 |- |rowspan="2"|5330 |235 |あらたに生じた土地の確認 |雄勝町 |未収録 |- |236 |字の区域の変更 |雄勝町 |未収録 |- |rowspan="7"|5331 |245 |あらたに生じた土地の確認 |牡鹿町 |未収録 |- |246 |字の区域の変更 |牡鹿町大字谷川浜 |未収録 |- |247 |あらたに生じた土地の確認 |牡鹿町 |未収録 |- |248 |字の区域の変更 |牡鹿町字鮎川浜丁 |未収録 |- |249 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市 |未収録 |- |250 |字の区域の変更 |石巻市 |未収録 |- |248 |字の区域の変更 |石越町東郷字今道(石森の廃止) |未収録 |- |rowspan="3"|5333 |274 |多賀城町と利府村の境界変更 |加瀬・市川 |未収録 |- |275 |若柳町と志波姫町の境界変更 |南郷・川南 |未収録 |- |276 |栗駒町と鶯沢町の境界変更 |袋・尾松 |未収録 |- |rowspan="2"|5334 |287 |町及び字の区域の変更 |仙台市長町における住居表示実施に伴う |未収録 |- |288 |あらたに生じた土地の確認 |志津川町大字松原地先?? |未収録 |- |rowspan="4"|5337 |322 |あらたに生じた土地の確認 |女川町 |未収録 |- |323 |字の区域の変更 |女川町 |未収録 |- |324 |あらたに生じた土地の確認 |稲井町 |未収録 |- |325 |字の区域の変更 |稲井町沢田 |未収録 |- |rowspan="2"|5338 |331 |あらたに生じた土地の確認 |亘理町荒浜 |未収録 |- |332 |字の区域の変更 |亘理町荒浜 |未収録 |- |rowspan="2"|5342 |362 |あらたに画した字の区域 |田尻町沼部 |未収録 |- |363 |字の区域及び名称の変更 |桃生町新田・神取ほか |未収録 |- |rowspan="4"|5345 |391 |町及び字の区域並びに名称の変更 |塩釜市香津町の新設 |未収録 |- |392 |字の区域の変更 |唐桑町字鮪立 |未収録 |- |393 |あらたに生じた土地の確認 |志津川町字港町 |未収録 |- |394 |あらたに生じた土地の確認 |松島町磯崎 |未収録 |- |rowspan="2"|5356 |473 |あらたに生じた土地の確認 |松島町手樽 |未収録 |- |474 |字の区域の変更 |松島町手樽 |未収録 |- |rowspan="3"|5361 |510 |字の区域の変更 |松島町磯崎 |未収録 |- |511 |あらたに生じた土地の確認 |牡鹿町大字長渡浜 |未収録 |- |512 |字の区域の変更 |牡鹿町大字長渡浜 |未収録 |- |5364 |558 |あらたに画した字の区域 |岩出山町下野目(土地改良) |未収録 |- |5368 |598 |新たに画した字の区域 |角田市枝野 |未収録 |- |5370 |612 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |rowspan="4"|5381 |687 |字の区域の変更 |七ヶ浜町吉田浜 |未収録 |- |688 |字の区域の変更 |気仙沼市 |未収録 |- |689 |字の区域及び名称の変更 |三本木町上伊場野 |未収録 |- |690 |字の区域及び名称の変更 |中田町浅水 |未収録 |- |5383 |712 |あらたに画した字の区域 |丸森町小斎 |未収録 |- |5387 |746 |あらたに画した字の区域 |角田市枝野 |未収録 |- |5390 |786 |字の区域の変更 |気仙沼市 |未収録 |} == 昭和53年 == * 状態:上半期(6580号まで)確認済み {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和53年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |6535 |1 |あらたに画する字の区域 |角田市豊室字豊栄 | |- |6537 |21 |あらたに画する字の区域 |白石市大平森合字権現 | |- |rowspan="3"|6542 |70 |字の区域の変更 |田尻町沼部字船橋 | |- |71 |あらたに画する字の区域 |瀬峰町大里字野沢前 | |- |72 |あらたに画する字の区域 |中田町浅水字新駒形 | |- |rowspan="6"|6545 |105 |村を町とする件 |色麻村町制施行 | |- |106 |あらたに生じた土地の確認 |塩釜市字石田 | |- |107 |字の区域の変更 |塩釜市字石田 | |- |108 |あらたに生じた土地の確認 |牡鹿町 | |- |109 |字の区域の変更 |牡鹿町 | |- |110 |あらたに画する字の区域 |金成町藤渡戸・末野 | |- |rowspan="3"|6546 |118 |あらたに画する字の区域 |泉市友愛町 | |- |119 |あらたに画する字の区域 |泉市長命ヶ丘 | |- |120 |あらたに画する字の区域 |四竃字新指波 | |- |rowspan="2"|6548 |139 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市大字桃浦 | |- |140 |字の区域の変更 |石巻市大字福貴浦・桃浦 | |- |6549 |154 |泉市泉ヶ丘 | |- |6550 |164 |あらたに画する字の区域 |仙台市港町三丁目 | |- |6553 |200 |あらたに画する字の区域 |小野田町字水芋薬師 | |- |6554 |217 |あらたに画する字の区域 |名取市閖上 | |- |6556 |230 |あらたに画する字の区域 |泉市加茂 | |- |rowspan="2"|6560 |288 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市流留 | |- |289 |字の区域の変更 |石巻市流留字沖 | |- |6561 |303 |字の区域の変更 |鹿島台町木間塚字横岡 | |- |6565 |339 |あらたに画する字の区域 |角田市藤田字上田 | |- |6566 |349 |あらたに画する字の区域 |泉市松森字館 | |- |6568 |370 |字の区域の変更 |小牛田町字峯山 | |- |rowspan="3"|6571 |406 |あらたに生じた土地の確認 |本吉町今朝磯 | |- |407 |字の区域の変更 |本吉町今朝磯 | |- |408 |あらたに画する字の区域 |角田市平貫字北沖 | |- |6574 |445 |あらたに画する字の区域 |仙台市荒巻における住居表示 | |- |6676 |464 |あらたに画する字の区域 |富谷町富ヶ丘 | |- |rowspan="6"|6580 |509 |あらたに画する字の区域 |泉市実沢・野村・古内・上谷刈 | |- |510 |あらたに生じた土地の確認 |七ヶ浜町 | |- |511 |字の区域の変更 |七ヶ浜町菖蒲田浜 | |- |512 |字の区域の変更 |豊里町大字赤生津字新田細沼 | |- |513 |字の区域の変更 |豊里町大字赤生津字本地蕪木 | |- |514 |字の名称の変更 |南方町本郷・西郷下 | |- |6584 |557 |あらたに画する字の区域 |田尻町大貫字新岩ノ沢 | |- |rowspan="2"|6585 |569 |あらたに画する字の区域 |古川市小野 | |- |570 |字の区域の変更 |栗駒町鳥矢崎字中野貝ケ森 | |} == 昭和54年 == * 状態:6678, 6680号. 6720から6738号以外確認済み * メモ:6678, 6680号が県情報センターにない。 * メモ:6720から6738号は確認する必要なし。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+昭和54年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="2"|6640 |32 |あらたに画する字の区域 |矢本町新館の設置。 | |- |33 |字の区域の変更 |若柳町上畑岡本鹿野 | |- |rowspan="4"|6644 |78 |あらたに生じた土地の確認 |女川町出島 | |- |79 |あらたに生じた土地の確認 |女川町小乗浜 | |- |80 |字の区域の変更 |女川町出島 | |- |81 |字の区域の変更 |女川町小乗浜 | |- |6645 |102 |あらたに画する字の区域 |村田町大字小泉字新小谷前 | |- |rowspan="3"|6647 |137 |あらたに画する字の区域 |高清水町字一本杉 | |- |138 |あらたに画する字の区域 |仙台市港二丁目 | |- |139 |字の区域の変更 |仙台市港一丁目の拡大 | |- |6648 |155 |あらたに画する字の区域 |名取市増田の新設 |収録済 |- |6652 |190 |[[あらたに画する字の区域 (昭和54年宮城県告示第190号)|あらたに画する字の区域]] |石巻市鹿妻三丁目 |収録済 |- |6654 |210 |あらたに画する字の区域 |白石市越河五賀 | |- |6656 |228 |あらたに画する字の区域 |仙台市茂庭 | |- |6657 |244 |[[字の区域の廃止 (昭和54年宮城県告示第244号)|字の区域の廃止]] | |収録済 |- |6659 |267 |あらたに画する字の区域 |矢本町小松字小松台 | |- |rowspan="3"|6663 |350 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 | |- |351 |字の区域の変更 |気仙沼市字大浦 | |- |352 |あらたに画する字の区域 |古川市清水字南田 | |- |6665 |380 |あらたに画する字の区域 |塩釜市松陽台・楓町 | |- |6670 |418 |あらたに画する字の区域 |泉市小角・実沢 | |- |6672 |434 |あらたに画する字の区域 |大和町吉田 | |- |rowspan="3"|6676 |491 |あらたに画する字の区域 |仙台市中田・西中田の新設 |収録済 |- |492 |あらたに画する字の区域 |仙台市大谷地・鈎取など |収録済 |- |493 |字の区域の変更 |仙台市恵和町など |収録済 |- |6683 |577 |市の境界変更 |仙台市中田町字浦と名取市上余田字西田 | |- |6687 |640 |[[あらたに画する字の区域 (昭和54年宮城県告示第640号)|あらたに画する字の区域]] |石巻市南中里設置の告示 |収録済 |- |rowspan="4"|6690 |672 |あらたに画する字の区域 |蔵王町遠刈田温泉字北原尾 | |- |673 |あらたに画する字の区域 |柴田町北船岡 | |- |674 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市大字竹浜 | |- |675 |字の区域の変更 |石巻市荻浜地区における埋立地編入 | |- |rowspan="2"|6691 |705 |あらたに生じた土地の確認 |本吉町蔵内 | |- |706 |字の区域の変更 |本吉町蔵内 | |- |rowspan="2"|6694 |751 |あらたに画する字の区域 |三本木町蟻ヶ袋 |収録済 |- |752 |あらたに画する字の区域 |志津川町入谷 |収録済 |- |6695 |763 |あらたに画する字の区域 |岩沼市平等 | |- |rowspan="3"|6700 |827 |あらたに画する字の区域 |七ヶ浜町菖蒲田浜ほか | |- |828 |あらたに画する字の区域 |小牛田町藤ヶ崎・北浦 | |- |829 |あらたに画する字の区域 |鷹乃杜 | |- |rowspan="5"|6706 |904 |町村の境界変更 |大郷町・大衡村 | |- |905 |町の境界変更 |小野田町・宮崎町 | |- |906 |町の境界変更 |松山町・三本木町 | |- |907 |町の境界変更 |涌谷町・豊里町 | |- |908 |町の境界変更 |迫町・南方町 | |- |6713 |1004 |字の区域の変更 |泉市鶴が丘・松森字西沢 | |- |rowspan="2"|6719 |1101 |あらたに画する字の区域 |亘理町荒浜字鳥の海 | |- |1102 |あらたに画する字の区域 |築館町新後沢・薬師ヶ丘 | |- |rowspan="3"|6720 |1121 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市字長崎 | |- |1122 |字の区域の変更 |気仙沼市字長崎 | |- |1123 |字の区域の変更 |名取市上余田字西田、577号と関連 | |} == 平成2年 == * 状態:153から204まで。上半期は未確認。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+平成2年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |153 |851 |字の区域の変更 |築館町字黒瀬向山 |未収録 |- |rowspan="4"|? |862 |あらたに画する字の区域 |利府町青葉台1-3 |未収録 |- |863 |あらたに画する字の区域 |利府町青山3-4 |未収録 |- |864 |字の区域の変更 |利府町青山2 |未収録 |- |865 |字の区域の変更 |大和町松坂平 |未収録 |- |156 |903 |あらたに画する字の区域 |丸森町木沼字堀内 |未収録 |- |159 |938 |あらたに画する字の区域 |白石市福岡八宮 |未収録 |- |rowspan="8"|160 |950 |あらたに生じた土地の確認 |鳴瀬町 |未収録 |- |951 |あらたに生じた土地の確認 |志津川町 |未収録 |- |952 |あらたに生じた土地の確認 |志津川町 |未収録 |- |953 |あらたに画する町の区域 |仙台市館4-7 |未収録 |- |954 |町の区域の変更 |仙台市舘3 |未収録 |- |955 |字の区域の変更 |鳴瀬町宮戸 |未収録 |- |956 |字の区域の変更 |志津川町北の又 |未収録 |- |957 |字の区域の変更 |志津川町戸倉字合羽沢 |未収録 |- |164 |1010 |あらたに画する字の区域 |一迫町字嶋「身本」金生 |未収録 |- |168 |1068 |あらたに画する字の区域 |七ケ浜町境山1-2、遠山1-5 |未収録 |- |172 |1100 |あらたに画する字の区域 |田町1-3 |未収録 |- |185 |1257 |あらたに画する字の区域 |色麻町四竈・王城寺・一の関 |未収録 |- |192 |1309 |あらたに画する字の区域 |大河原町字大芝 |未収録 |- |rowspan="2"|195 |1348 |あらたに画する字の区域 |中田町宝江黒沼 |未収録 |- |1349 |あらたに画する字の区域 |中田町宝江黒沼 |未収録 |- |196 |1366 |字の区域の変更 |桃生町寺崎・中津山・新田 |未収録 |} == 平成6年 == * 状態:上半期まで記入済み {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+平成6年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |519 |81
 |あらたに画する字の区域
 |南郷町木間塚・二郷
 | |- |rowspan="4"|521 |102 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 | |- |103 |あらたに生じた土地の確認 |牡鹿町大字鮎川浜 | |- |104 |字の区域の変更 |気仙沼市字三ヶ浜 | |- |105 |字の区域の変更 |牡鹿町大字鮎川浜字南 | |- |rowspan= "2" |528 |205 |あらたに画する町の区域 |仙台市柳生4-7 | |- |206 |町の区域の変更 |仙台市柳生1-2 | |- |531 |略 | |埋立地編入2, 字域変更7 | |- |rowspan= "2" |533 |284 |あらたに画する字の区域 |一迫町新中島 | |- |285 |字の区域の変更 |一迫町新中島 | |- |rowspan= "12" |535 |297 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 | |- |298 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 | |- |299 |あらたに画する字の区域 |石巻市真野・水沼(改良) | |- |300 |あらたに画する町の区域 |松山町金谷字新要塞(改良) | |- |301 |字の区域の変更 |石巻市真野・水沼 | |- |302 |字の区域の変更 |気仙沼市魚市場前 | |- |303 |字の区域の変更 |気仙沼市魚市場前 | |- |304 |字の区域の変更 |大和町小野(改良) | |- |305 |字の区域の変更 |大和町吉田字中島(改良) | |- |306 |字の区域の変更 |松山町金谷字新要塞 | |- |307 |字の区域の変更 |田尻町大貫字新平井戸(改良) | |- |308 |字の区域の変更 |鳴瀬町宮戸(改良) | |- |543 |530 |町の区域の変更 |仙台市青葉区東勝山・水の森 | |- |550 |604 |あらたに画する字の区域 |仙台市若林区上飯田・今泉・六郷 | |- |rowspan= "4" |554 |619 |あらたに生じた土地の確認 |女川町飯子浜 | |- |620
 |あらたに生じた土地の確認
 |女川町塚浜
 | |- |621 |字の区域の変更 |女川町 | |- |622 |字の区域の変更 |女川町 | |- |rowspan="2"|554 |629 |あらたに画する字の区域 |涌谷町猪岡短台・吉住 | |- |630 |字の区域の変更 |志津川町戸倉 | |- |rowspan= "2" |558 |683 |字の区域の変更 |石越町東郷字祢冝屋敷 | |- |684 |字の区域の変更 |津山町柳津字黄牛新宇名・黄牛新山窪 | |- |rowspan="9"|565 |756 |あらたに生じた土地の確認 |志津川町袖浜 | |- |757 |あらたに生じた土地の確認 |女川町鷲神浜 | |- |758 |あらたに画する町の区域 |仙台市泉区泉中央1-4 |収録済 |- |759 |あらたに画する町の区域 |仙台市泉区泉中央1-2 |収録済 |- |760 |あらたに画する字の区域 |白石市越河五賀字高田 | |- |761 |町の区域の変更 |将監2,8 | |- |762 |町の区域の変更 |将監2 | |- |763 |字の区域の変更 |女川町鷲神浜 | |- |764 |字の区域の変更 |志津川町袖浜 | |} == 平成7年 == * 状態:すべて確認済み {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+平成7年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="4"|615 |15 |あらたに生じた土地の確認 |歌津町 |未収録 |- |16 |あらたに生じた土地の確認 |歌津町 |未収録 |- |17 |字の区域の変更 |歌津町 |未収録 |- |18 |字の区域の変更 |歌津町 |未収録 |- |622 |109 |字の区域の変更 |大和町松坂平 |未収録 |- |rowspan="6"|626 |152 |あらたに生じた土地の確認 |牡鹿町 |未収録 |- |153 |字の区域の変更 |牡鹿町給分浜字カント |未収録 |- |154 |あらたに画する字の区域 |中田町宝江新井田 |未収録 |- |155 |あらたに画する字の区域 |迫町森 |未収録 |- |156 |あらたに画する字の区域 |中田町宝江新井田 |未収録 |- |157 |あらたに画する字の区域 |米山町字水門前 |未収録 |- |631 |234 |字の区域の変更 |本吉町長根 |未収録 |- |632 |249 |あらたに画する町の区域 |塩竃市千賀の台1-3 |収録済 |- |号外17 |279 |字の区域の変更 |栗駒町猿飛来 |未収録 |- |rowspan="4"|635 |280 |あらたに画する字の区域 |亘理町逢隈字郡 |未収録 |- |281 |字の区域の変更 |古川市清水沢(境界変更に係る) |未収録 |- |282 |字の区域の変更 |高清水町清水沢の消滅 |未収録 |- |283 |字の区域の変更 |鳴瀬町小野字中央 |未収録 |- |rowspan="5"|636 |318 |あらたに画する字の区域 |松島町幡谷字新岩下 |収録済 |- |319 |あらたに画する字の区域 |大郷町 |収録済 |- |320 |字の区域の変更 |仙台市大倉 |収録済 |- |321 |字の区域の変更 |仙台市大倉 |収録済 |- |322 |字の区域の変更 |栗駒町沼倉 |収録済 |- |639 |383 |字の区域の変更 |大和町鶴巣太田・幕柳 |未収録 |- |rowspan="2"|640 |393 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市 |未収録 |- |394 |字の区域の変更 |石巻市桃浦字上ノ山 |未収録 |- |rowspan="4"|642 |444 |あらたに画する字の区域 |古川市馬寄・深沼・石森・下中目・桑針 |未収録 |- |445 |字の区域の変更 |古川市石森・下中目・馬寄・桑針 |未収録 |- |446 |字の区域の変更 |鳴瀬町宮戸 |未収録 |- |447 |字の区域の変更 |鳴瀬町宮戸字山田 |未収録 |- |rowspan="4"|号外58 |503 |あらたに画する字の区域 |大和町吉岡南1-3の新設 |未収録 |- |504 |あらたに画する字の区域 |大和町吉岡南2-3の新設 |未収録 |- |505 |字の区域の変更 |大和町吉岡字天皇寺 |未収録 |- |506 |字の区域の変更 |大和町吉岡字天皇寺 |未収録 |- |646 |507 |町の区域の変更 |仙台市住吉台西 |未収録 |- |650 |540 |あらたに画する町の区域 |仙台市宮城野区新田1-5 |収録済 |- |rowspan="2"|653 |583 |あらたに生じた土地の確認 |河北町 |未収録 |- |584 |字の区域の変更 |河北町長面字平六 |未収録 |- |661 |694 |字の区域の変更 |仙台市上谷刈 |未収録 |- |rowspan="2"|666 |753 |あらたに画する字の区域 |涌谷町下郡・涌谷・上郡 |未収録 |- |754 |あらたに画する字の区域 |涌谷町下郡・涌谷・上郡 |未収録 |- |rowspan="2"|669 |784 |あらたに画する町の区域 |名取市みどり台 |未収録 |- |785 |字の区域の変更 |桃生町太田・新田 |未収録 |- |675 |840 |町の名称の変更 |岩沼市字桑原を同桑原四丁目とする処分 |未収録 |- |rowspan="2"|681 |932 |あらたに画する町の区域 |仙台市明石南1-2の新設 |未収録 |- |933 |あらたに画する町の区域 |仙台市明石南1-2の新設 |未収録 |- |rowspan="5"|688 |1011 |あらたに画する町の区域 |古川市福沼1-3の新設 |未収録 |- |1012 |あらたに画する字の区域 |瀬峰町大里字前沢・下前沢 |未収録 |- |1013 |あらたに画する字の区域 |瀬峰町大里字前沢 |未収録 |- |1014 |字の区域の変更 |瀬峰町大里字中二又 |未収録 |- |1015 |字の区域の変更 |瀬峰町大里字中横名堤下 |未収録 |- |rowspan="3"|693 |1079 |あらたに画する町の区域 |富谷町明石台1-6の新設 |未収録 |- |1080 |あらたに画する町の区域 |富谷町明石台3-5の新設 |未収録 |- |1081 |字の区域の変更 |名取市植松・飯野坂・上松? |未収録 |- |rowspan="9"|698 |1140 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市 |未収録 |- |1141 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |1142 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |1143 |あらたに生じた土地の確認 |志津川町 |未収録 |- |1144 |あらたに画する町の区域 |岩沼市空港南1-5の新設 |未収録 |- |1145 |字の区域の変更 |石巻市大字田代字内山 |未収録 |- |1146 |字の区域の変更 |気仙沼市字大浦 |未収録 |- |1147 |字の区域の変更 |気仙沼市字大浦 |未収録 |- |1148 |字の区域の変更 |志津川町汐見町 |未収録 |- |rowspan="2"|701 |1185 |あらたに画する町の区域 |仙台市紫山1-5の新設 |未収録 |- |1186 |あらたに画する字の区域 |白石市松ケ丘1-2の新設 |未収録 |- |706 |1229 |あらたに画する字の区域 |角田市岡字駅北・駅南の新設 |未収録 |- |711 |1294 |字の区域の変更 |津山町柳津字幣崎 |未収録 |- |rowspan="4"|712 |1311 |あらたに画する字の区域 |仙台市秋保町馬場・長袋 |未収録 |- |1312 |あらたに画する字の区域 |仙台市秋保町馬場・長袋 |未収録 |- |1313 |字の区域の変更 |仙台市秋保町馬場・長袋 |未収録 |- |1314 |字の区域の変更 |仙台市秋保町馬場・長袋 |未収録 |} == 平成8年 == * 状態:736号まで記入済み。 {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+平成8年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |719 |58 |字の区域の変更 |文字中山における字の変更。 |未収録 |- |721 |84 |あらたに画する字の区域 |二郷字佐野南の新設。 |未収録 |- |rowspan="3"|723 |113 |町の区域の変更 |塩竈市後楽町 |未収録 |- |114 |字の区域の変更 |白石市斎川字伊具田 |未収録 |- |115 |字の区域の変更 |利府町加瀬字野中沢 |未収録 |- |rowspan="2"|729 |166 |字の区域の変更 |仙台市中田町字切替 |未収録 |- |167 |あらたに画する字の区域 |松山町千石字新宝田 |未収録 |- |rowspan="5"|735 |284 |あらたに画する町の区域 |石巻市新栄 |未収録 |- |285 |あらたに画する町の区域 |石巻市新栄 |未収録 |- |286 |字の区域の変更 |登米町登米 |未収録 |- |287 |字の区域の変更 |登米町登米 |未収録 |- |288 |字の区域の変更 |中田町浅水 |未収録 |- |rowspan="2"|736 |312 |あらたに画する字の区域 |白石市白鳥1-3 |未収録 |- |313 |町の区域の変更 |岩沼市空港南 |未収録 |} == 平成9年 == * 状態:すべて記入済み {| class="wikitable mw-collapsible mw-collapsed" |+平成9年 !公報 !告示 !タイトル !内容 !状態 |- |rowspan="2"|817 |6 |あらたに画する字の区域 |大河原町 |未収録 |- |7 |あらたに画する字の区域 |大河原町 |未収録 |- |rowspan="4"|819 |27 |あらたに生じた土地の確認 |塩竃市 |未収録 |- |28 |あらたに生じた土地の確認 |塩竈市 |未収録 |- |29 |町の区域の変更 |塩竈市新浜町 |未収録 |- |30 |字の区域の変更 |塩竈市浦戸野々島 |未収録 |- |号外1 |50 |字の区域の変更 |古川市清水沢 |未収録 |- |rowspan="2"|824 |118 |あらたに画する字の区域 |大河原町字小島 |未収録 |- |119 |あらたに画する字の区域 |村田町沼部字新小谷地の新設。 |未収録 |- |rowspan="4"|827 |151 |あらたに画する字の区域 |古川市雨生沢・宮沢 |未収録 |- |152 |あらたに画する字の区域 |大衡村 |未収録 |- |153 |字の区域の変更 |丸森町 |未収録 |- |154 |字の区域の変更 |松島町 |未収録 |- |rowspan="3"|829 |198 |あらたに画する字の区域 |蔵王町平沢 |未収録 |- |199 |字の区域の変更 |蔵王町平沢 |未収録 |- |200 |字の区域の変更 |三本木町音無 |未収録 |- |rowspan="3"|830 |211 |あらたに画する字の区域 |蔵王町平沢 |未収録 |- |212 |あらたに画する字の区域 |小野田町字新中原浦 |未収録 |- |213 |あらたに画する字の区域 |高清水町字新西神原 |未収録 |- |rowspan="2"|831 |226 |あらたに画する町の区域 |岩沼市里の杜 |未収録 |- |227 |あらたに画する字の区域 |一迫町字猿田原の新設 |未収録 |- |rowspan="4"|834 |292 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |293 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |294 |字の区域の変更 |気仙沼市 |未収録 |- |295 |字の区域の変更 |気仙沼市 |未収録 |- |835 |309 |あらたに画する字の区域 |大和町学苑 |未収録 |- |836 |330 |字の区域の変更 |七ケ宿町字内川 |未収録 |- |rowspan="4"|837 |342 |あらたに画する字の区域 |亘理町荒浜字本郷の新設 |未収録 |- |343 |あらたに画する字の区域 |亘理町荒浜字本郷 |未収録 |- |344 |字の区域変更 |蔵王町円田 |未収録 |- |345 |字の区域変更 |瀬峰町藤沢 |未収録 |- |rowspan="6"|838 |371 |あらたに画する町の区域 |名取市愛島台1-8丁目 |未収録 |- |372 |字の区域変更 |名取市堀内 |未収録 |- |373 |字の区域変更 |鳴子町鬼首 |未収録 |- |374 |字の区域変更 |南郷町練牛 |未収録 |- |375 |字の区域変更 |石越町東郷 |未収録 |- |376 |字の区域変更 |石越町東郷 |未収録 |- |rowspan="19"|839 |407 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市大字月浦 |収録済み |- |408 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |409 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |410 |あらたに生じた土地の確認 |気仙沼市 |未収録 |- |411 |あらたに生じた土地の確認 |歌津町 |未収録 |- |412 |あらたに生じた土地の確認 |歌津町 |未収録 |- |413 |あらたに生じた土地の確認 |歌津町 |未収録 |- |414 |字の区域変更 |仙台市七北田 |未収録 |- |415 |字の区域変更 |石巻市大字月浦 |収録済み |- |416 |字の区域変更 |気仙沼市 |未収録 |- |417 |字の区域変更 |気仙沼市 |未収録 |- |418 |字の区域変更 |気仙沼市 |未収録 |- |419 |字の区域変更 |気仙沼市 |未収録 |- |420 |字の区域変更 |松山町金谷 |未収録 |- |421 |字の区域変更 |松山町金谷 |未収録 |- |422 |字の区域変更 |三本木町伊場野 |未収録 |- |423 |字の区域変更 |歌津町 |未収録 |- |424 |字の区域変更 |歌津町 |未収録 |- |425 |字の区域変更 |歌津町 |未収録 |- |856 |711 |字の区域の変更 |蔵王町宮 |未収録 |- |rowspan="4"|859 |731 |あらたに画する町の区域 |仙台市青葉区吉成台1-2丁目 |未収録 |- |732 |あらたに画する町の区域 |仙台市宮城野区田子1-3丁目 |未収録 |- |733 |町の区域の変更 |仙台市青葉区吉成1 |未収録 |- |734 |町の区域の変更 |仙台市青葉区国見ケ丘5 |未収録 |- |860 |751 |字の区域の変更 |古川市鶴ケ埣 |未収録 |- |rowspan="2"|868 |843 |あらたに生じた土地の確認 |石巻市魚町 |収録済み |- |844 |町の区域の変更 |石巻市魚町 |収録済み |- |rowspan="2"|873 |920 |あらたに画する字の区域 |柴田町剣崎1-2 |未収録 |- |921 |あらたに画する字の区域 |柴田町剣崎1 |未収録 |- |879 |987 |あらたに画する町の区域 |利府町皆の丘 |未収録 |- |rowspan="2"|880 |996 |あらたに画する町の区域 |石巻市開北・水押 |収録済み |- |997 |あらたに画する字の区域 |柴田町槻木東1-2,槻木下町1 |未収録 |- |rowspan="2"|882 |1023 |あらたに生じた土地の確認 |仙台市宮城野区 |未収録 |- |1024 |字の区域の変更 |仙台市宮城野区蒲町字町 |未収録 |- |890 |1118 |あらたに画する字の区域 |河南町須江字しらさぎ台 |収録済み |- |893 |1153 |あらたに画する町の区域 |仙台市青葉区高野原1-4 |未収録 |- |号外100 |1167 |あらたに画する町の区域 |仙台市青葉区高野原4 |未収録 |- |rowspan="8"|900 |1247 |あらたに生じた土地の確認 |女川町 |未収録 |- |1248 |あらたに生じた土地の確認 |本吉町 |未収録 |- |1249 |あらたに生じた土地の確認 |本吉町 |未収録 |- |1250 |あらたに画する字の区域 |石巻市大橋 |収録済み |- |1251 |あらたに画する字の区域 |石巻市大橋 |収録済み |- |1252 |字の区域の変更 |女川町 |未収録 |- |1253 |字の区域の変更 |本吉町 |未収録 |- |1254 |字の区域の変更 |本吉町 |未収録 |- |rowspan="2"|904 |1290 |字の区域の変更 |仙台市青葉区・泉区の境界変更 |未収録 |- |1291 |字の区域の変更 |仙台市青葉区・泉区の境界変更 |未収録 |- |rowspan="2"|909 |1335 |あらたに画する字の区域 |桃生町寺崎他 |収録済み |- |1336 |あらたに画する字の区域 |桃生町寺崎他 |収録済み |- |rowspan="3"|号外133 |1344 |字の区域の変更 |名取市本郷 |未収録 |- |1345 |字の区域の変更 |名取市本郷 |未収録 |- |1346 |字の区域の変更 |名取市下野郷 |未収録 |- |rowspan="3"|911 |1370 |字の区域の変更 |栗駒町 |未収録 |- |1371 |字の区域の変更 |栗駒町 |未収録 |- |1372 |字の区域の変更 |栗駒町 |未収録 |- |rowspan="2"|914 |1415 |字の区域の変更 |仙台市宮城野区岩切 |未収録 |- |1416 |あらたに画する字の区域 |柴田町槻木駅西3 |未収録 |- |915 |1442 |あらたに画する字の区域 |角田市 |未収録 |- |rowspan="3"|916 |1450 |字の区域の変更 |名取市愛島笠島 |未収録 |- |1451 |字の区域の変更 |名取市愛島笠島 |未収録 |- |1452 |字の区域の変更 |名取市高舘熊野堂 |未収録 |} 1av93okuy6fv721soczr6vn6vb2h1x7 独立行政法人メディア教育開発センター法 0 58056 246569 246236 2026-10-13T05:08:47Z HTDFPC 45275 246569 wikitext text/x-wiki {{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2003 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''独立行政法人メディア教育開発センター法'''(どくりつぎょうせいほうじんめでぃあきょういくかいはつせんたーほう) * 平成15年法律第116号公布時の原始条文である。 * 公布:平成15年7月16日 * 施行:平成15年10月1日 * 廃止:平成21年10月1日 * 廃止法令:[[独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律]](平成21年法律第18号) * 底本:[https://www.kanpo.go.jp/old/20030716/20030716g00162/20030716g001620047f.html 平成15年7月16日付官報号外第162号] ---- }} __NOTOC__ :独立行政法人メディア教育開発センター法をここに公布する。 {{御名御璽}}     平成十五年七月十六日 {{Right|[[:w:内閣総理大臣|内閣総理大臣]]  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]]|1em}} '''法律第百十六号''' <div style="margin-left:3em;"> 独立行政法人メディア教育開発センター法 </div> 目次</br>  第一章 総則(第一条―第五条)</br>  第二章 役員及び職員(第条―第十二条)</br>  第三章 業務等(第十三条―第十五条)</br>  第四章 雑則(第十六条・第十七条)</br>  第五章 罰則(第十八条・第十九条)</br>  附則</br>    '''第一章''' 総則  <span id="a1">(目的)</span></br> '''第一条''' この法律は、独立行政法人メディア教育開発センターの名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。  <span id="a2">(名称)</span></br> '''第二条''' この法律及び[[独立行政法人通則法]](平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人メディア教育開発センターとする。  <span id="a3">(センターの目的)</span></br> '''第三条''' 独立行政法人メディア教育開発センター(以下「センター」という。)は、大学等([[学校教育法]](昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学及び高等専門学校をいう。以下同じ。)における多様なメディア(放送、インターネットその他の高度情報通信ネットワーク及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に係る記録媒体をいう。以下同じ。)を高度に利用して行う教育の内容、方法等の研究及び開発並びにその成果の普及等を行うことにより、大学等における教育の発展に資することを目的とする。  <span id="a4">(事務所)</span></br> '''第四条''' センターは、主たる事務所を千葉県に置く。  <span id="a5">(資本金)</span></br> '''第五条''' センターの資本金は、附則第八条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。</br> 2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、センターに追加して出資することができる。</br> 3 センターは、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。    '''第二章''' 役員及び職員  <span id="a6">(役員)</span></br> '''第六条''' センターに、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。</br> 2 センターに、役員として、理事二人以内を置くことができる。  <span id="a7">(理事の職務及び権限等)</span></br> '''第七条''' 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐してセンターの業務を掌理する。</br> 2 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。</br> 3 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。  <span id="a8">(理事の任期)</span></br> '''第八条''' 理事長の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。  <span id="a9">(理事長の任命)</span></br> '''第九条''' 文部科学大臣は、通則法第二十条第一項の規定により理事長を任命しようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、大学等の教育に関し学識経験を有する者その他の文部科学省令で定める者の意見を聴くものとする。  <span id="a10">(役員の欠格条項の特例)</span></br> '''第十条''' 通則法第二十二条の規定にかかわらず、教育公務員で政令で定めるものは、非常勤の理事又は監事となることができる。</br> 2 センターの非常勤の理事及び監事の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条及び独立行政法人メディア教育開発センター法第十条第一項」とする。  <span id="a11">(役員及び職員の秘密保持義務)</span></br> '''第十一条''' センターの役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。  <span id="a12">(役員及び職員の地位)</span></br> '''第十二条''' センターの役員及び職員は、[[刑法 (日本)|刑法]](明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。    '''第三章''' 業務等  <span id="a13">(業務の範囲)</span></br> '''第十三条''' センターは、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。 :一 大学等における多様なメディアを高度に利用して行う教育の内容、方法等の研究及び開発を行うこと。 :二 前号に掲げる業務に係る成果を普及し、及びその活用を促進すること。 :三 大学の要請に応じ、大学院における教育その他その大学における教育に協力すること。 :四 前三号の業務に附帯する業務を行うこと。  <span id="a14">(放送大学学園の設置する大学その他のメディアによる教育を行う大学等との連携協)</span></br> '''第十四条''' センターは、前条第一号及び第二号に規定する業務を円滑に遂行するため、[[放送大学学園法 (平成14年法律第156号)|放送大学学園法]](平成十四年法律第百五十六号)第三条に規定する放送大学学園の設置する大学その他のメディアによる教育を行う大学等との緊密な連携協力に努めなければならない。  <span id="a15">(積立金の処分)</span></br> '''第十五条''' センターは、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち文部科学大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第十三条に規定する業務の財源に充てることができる。</br> 2 文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、文部科学省の独立行政法人評価委員会の意見を聴くとともに、財務大臣に協議しなければならない。</br> 3 センターは、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。</br> 4 前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。    '''第四章''' 雑則  <span id="a16">(主務大臣等)</span></br> '''第十六条''' センターに係る通則法における主務大臣、主務省及び主務省令は、それぞれ文部科学大臣、文部科学省及び文部科学省令とする。  <span id="a17">(国家公務員宿舎法の適用除外)</span></br> '''第十七条''' [[国家公務員宿舎法]](昭和二十四年法律第百十七号)の規定は、センターの役員及び職員には適用しない。    '''第五章''' 罰則 <span id="a18">'''第十八条'''</span> 第十一条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 <span id="a19">'''第十九条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をしたセンターの役員は、二十万円以下の過料に処する。 :一 第十三条に規定する業務以外の業務を行ったとき。 :二 第十五条第一項の規定により文部科学大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。 {{附則}}  <span id="b1">(施行期日)</span></br> '''第一条''' この法律は、平成十五年十月一日から施行する。  <span id="b2">(機構の成立)</span></br> '''第二条''' センターは、通則法第十七条の規定にかかわらず、[[国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律]](平成十五年法律第百十七号。以下「整備法」という。)第二条の規定の施行の時に成立する。</br> 2 センターは、通則法第十六条の規定にかかわらず、センターの成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。  <span id="b3">(職員の引継ぎ等)</span></br> '''第三条''' センターの成立の際現に整備法第二条の規定による廃止前の[[国立学校設置法]](昭和二十四年法律第百五十号)第九条の二第一項に規定する大学共同利用機関のうち政令で定めるもの(以下「旧機関」という。)の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、センターの成立の日において、センターの職員となるものとする。 <span id="b4">'''第四条'''</span> 前条の規定によりセンターの職員となった者に対する[[国家公務員法]](昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項の規定の適用については、センターの職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。 <span id="b5">'''第五条'''</span> 附則第三条の規定により旧機関の職員がセンターの職員となる場合には、その者に対しては、[[国家公務員退職手当法]](昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。</br> 2 センターは、前項の規定の適用を受けたセンターの職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。)としての引き続いた在職期間をセンターの職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。</br> 3 センターの成立の日の前日に旧機関の職員として在職する者が、附則第三条の規定により引き続いてセンターの職員となり、かつ、引き続きセンターの職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員となった場合におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者のセンターの職員としての在職期間を同項に規定する職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者がセンターを退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。</br> 4 センターは、センターの成立の日の前日に旧機関の職員として在職し、附則第三条の規定により引き続いてセンターの職員となった者のうちセンターの成立の日から[[雇用保険法]](昭和四十九年法律第百十六号)による失業等給付の受給資格を取得するまでの間にセンターを退職したものであって、その退職した日まで旧機関の職員として在職したものとしたならば国家公務員退職手当法第十条の規定による退職手当の支給を受けることができるものに対しては、同条の規定の例により算定した退職手当の額に相当する額を退職手当として支給するものとする。 <span id="b6">'''第六条'''</span> 附則第三条の規定によりセンターの職員となった者であって、センターの成立の日の前日において文部科学大臣又はその委任を受けた者から[[児童手当法]](昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による認定を受けているものが、センターの成立の日において児童手当又は同法附則第六条第一項、第七条第一項若しくは第八条第一項の給付(以下この条において「特例給付等」という。)の支給要件に該当するときは、その者に対する児童手当又は特例給付等の支給に関しては、センターの成立の日において同法第七条第一項の規定による市町村長(特別区の区長を含む。)の認定があったものとみなす。この場合において、その認定があったものとみなされた児童手当又は特例給付等の支給は、同法第八条第二項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、センターの成立の日の前日の属する月の翌月から始める。  <span id="b7">(センターの職員となる者の職員団体についての経過措置)</span></br> '''第七条''' センターの成立の際現に存する国家公務員法第百八条の二第一項に規定する職員団体であって、その構成員の過半数が附則第三条の規定によりセンターに引き継がれる者であるものは、センターの成立の際[[労働組合法]](昭和二十四年法律第百七十四号)の適用を受ける労働組合となるものとする。この場合において、当該職員団体が法人であるときは、法人である労働組合となるものとする。</br> 2 前項の規定により法人である労働組合となったものは、センターの成立の日から起算して六十日を経過する日までに、労働組合法第二条及び第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受け、かつ、その主たる事務所の所在地において登記しなければ、その日の経過により解散するものとする。</br> 3 第一項の規定により労働組合となったものについては、センターの成立の日から起算して六十日を経過する日までは、労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。   <span id="b8">(権利義務の承継等)</span></br> '''第八条''' センターの成立の際、第十三条に規定する業務に関し、現に国が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、政令で定めるところにより、センターが承継する。</br> 2 前項の規定によりセンターが国の有する権利及び義務を承継したときは、承継される権利に係る土地、建物その他の財産で政令で定めるものの価額の合計額に相当する金額は、政令で定めるところにより、政府からセンターに対し出資されたものとする。</br> 3 前項の規定により政府から出資があったものとされる同項の財産の価額は、センターの成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。</br> 4 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。 <span id="b9">'''第九条'''</span> センターの成立の際、整備法第二条の規定による廃止前の[[国立学校特別会計法]](昭和三十九年法律第五十五号)第十七条の規定に基づき文部科学大臣から旧機関の長に交付され、その経理を委任された金額に残余があるときは、その残余に相当する額は、センターの成立の日においてセンターに奨学を目的として寄附されたものとする。この場合において、当該寄附金の経理に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。  <span id="b10">(国有財産の無償使用)</span></br> '''第十条''' 国は、センターの成立の際現に旧機関の職員の住居の用に供されている国有財産であって政令で定めるものを、政令で定めるところにより、センターの用に供するため、センターに無償で使用させることができる。  <span id="b11">(不動産に関する登記)</span></br> '''第十一条''' センターが附則第八条第一項の規定により不動産に関する権利を承継した場合において、その権利につきなすべき登記の手続については、政令で特例を設けることができる。  <span id="b12">(政令への委任)</span></br> '''第十二条''' 附則第三条から前条までに定めるもののほか、センターの設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 <div style="text-align:right;"> 財務大臣 [[w:塩川正十郎|塩川正十郎]]</br> 文部科学大臣 [[w:遠山敦子|遠山 敦子]]</br> 内閣総理大臣 小泉純一郎</br> </div> {{PD-JapanGov}} {{DEFAULTSORT:とくりつきようせいほうしんめていあきよういくかいはつせんたーほう}} [[カテゴリ:平成15年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] k9lwuckdl5s0lv2vsdo10gi1791t8d9 福岡高等裁判所令和6年(く)第97号 0 58254 246570 246557 2026-10-13T06:50:20Z ろづき 28406 246570 wikitext text/x-wiki {{Header |title=福岡高等裁判所令和6年(く)第97号 |year=2026 |notes= 掲載TKC/DB25626373。確定判決については、[[福岡地方裁判所平6 (わ) 第1050号、平6 (わ) 第1157号|第1審判決]]、[[福岡高等裁判所平11 (う) 第429号|第2審判決]]、[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/437/080437_hanrei.pdf 最高裁判決]。第1次再審請求審については、[[福岡地方裁判所平成21年 (た) 第11号|第1審決定]]、[[福岡高等裁判所平成26年 (く) 第56号|第2審決定]]、[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/266/090266_hanrei.pdf 最高裁決定]。本決定の原審については、[[福岡地方裁判所令和3年(た)第3号|第1審決定]]。 }} 福岡高等裁判所令和6年(く)第97号<br> 令和8年2月16日第1刑事部決定 ==決定== 申立人 久間C子<br> <br>  亡久間三千年(以下「事件本人」という)に対する死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件(福岡地方裁判所平成6年(わ)第1050号、第1157号)に関し、平成11年9月29日福岡地方裁判所が言い渡した有罪の確定判決に対する再審請求事件について、令和6年6月5日福岡地方裁判所がした再審請求棄却決定に対し、請求人から即時抗告の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。 ==主文== 本件即時抗告を棄却する。 ==理由==  本件即時抗告の趣意は、申立人が提出した証拠の新規性又は明白性を否定し、刑訴法435条6号の事由はないとして本件再審請求を棄却した原審の手続及び判断は誤っているというものである。 ===第1 事案の概要及び審理の経過等=== '''1''' 本件は、事件本人の妻である申立人による第2次再審請求を棄却した原決定に対する即時抗告である。<br> '''2 確定判決(第1審判決)が認定した罪となるべき事実の要旨(以下、地名等は、いずれも当時のまま用いることとする)'''<br>  事件本人は<br> '''(1)'''平成4年2月20日午前8時30分頃から同日午前8時50分頃までの間、福岡県飯塚市大字潤野(中略)番地の(中略)付近路上において、潤野小学校に登校中の当時7歳の女児2名(以下、第1審判決の挙示する順に「A田」「B山」といい、併せて「被害者両名」という)を認め、被害者両名が未成年者であることを知りながら、自己の運転する普通乗用自動車(マツダステーションワゴン・ウエストコースト。以下「事件本人車」という)に乗車させ、通学路外に連れ出して、未成年者である被害者両名を略取又は誘拐した。<br> '''(2)'''同日午前8時30分頃から同日午前9時頃までの間、同市内又はその近郊において、殺意をもって、被害者両名の頸部を手で締め付け圧迫し、被害者両名をいずれも窒息により死亡させて殺害した。<br> '''(3)'''同日午前11時頃、同県甘木市大字(中略)から国道322号線を嘉穂町方向に約1.4km進行した地点(通称八丁峠第5カーブ付近)において、その南方山中に、被害者両名の死体を投げ捨てて遺棄した。<br>  なお、当時、前記(1)の住所地にはE村方があり、別紙1の図面のとおり、同人方は三叉路に面していた(以下、この三叉路を「E村方三叉路」という)。<br> '''3 確定審の経過及び判断'''<br> '''(1)'''事件本人は犯人ではないと主張したが、平成11年9月29日、第1審判決は、以下のような情況証拠によって証明された情況事実を総合すれば、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えて認定することができると判断し、事件本人を死刑に処した。<br> '''〔1〕'''T田T男(以下「T田T男」という)、X田X男(以下「X男」という)及びW田W男(以下「W田」という)の目撃供述等によれば、犯人が犯行に使用したと疑われる車両は、マツダ製の紺色ワゴンで、後輪がダブルタイヤであり、リアウインドウにフィルムが貼ってあるなどの特徴を有している。被害者両名が拐取された場所の状況や時間帯,拐取場所と被害者両名の死体及び遺留品の発見現場の位置関係、T田が不審車両を目撃した時間からして、犯人は拐取現場、死体遺棄現場及び遺留品発見現場付近に土地勘を有する者であると推測される。事件本人は前記車両と特徴を同じくする事件本人車を所有し、かつ、前記各現場付近に土地勘を有している(以下「情況事実〔1〕」という)。<br> '''〔2〕'''被害者両名の着衣から発見され、被害者両名が犯人使用車両に乗せられた機会に付着したと認められる繊維片は、事件本人車と同型のマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高い。<br> '''〔3〕'''事件本人車の後部座席シートからA田と同じ血液型(ABO式。以下同じ)であるO型の血痕と人の尿痕が検出されており、これらは事件本人が事件本人車を使用していた間に付着したと認められるところ、事件本人は前記血痕等が付着した原因について納得のいく合理的な説明をすることができない。被害者両名ともに殺害された時に生じたと認められる失禁と出血があり、特にA田は死体の状況からみて鼻血がかなりの量出たものと認められる。事件本人が犯人であるとすれば、被害者両名を事件本人車内で殺害するか、被害者両名の死体を死体遺棄現場まで運んだときに付着したものとして前記血痕等の付着を合理的に説明でき、それ以外の現実的な可能性は考えられない(以下「情況事実〔3〕」という)。<br> '''〔4〕'''警察庁科学警察研究所が実施した血液型鑑定及びDNA型鑑定によれば、B山の遺体付近にあった木の枝に付着していた血痕並びに被害者両名の膣内容物及び膣周辺付着物の中に、犯人由来と認められる血痕ないし血液が混在しており、仮に犯人が一人であるとした場合、犯人の血液型はB型、MCT118型は16-26型であり、いずれも事件本人の型と一致している(以下「情況事実〔4〕」という)。<br> '''〔5〕'''事件本人は、本件当時、亀頭包皮炎に罹患しており、外部からの刺激により亀頭から容易に出血する状態にあったから、事件本人が犯人であるとすれば、被害者両名の膣内容物等に犯人に由来すると認められる血液等が混在していたことを合理的に説明できる。<br> '''〔6〕'''被害者両名が拐取された時間帯及び場所は、事件本人が事件本人車で申立人を職場まで送った後、事件本人方に帰る途中の時間帯及び通路に当たっていた可能性がある一方、事件本人にはアリバイが成立せず、犯行の機会があった。<br>  なお、第1審判決(113頁)は、情況事実〔3〕について、犯行と被告人との結び付きを強く推認させる極めて重要な情況証拠と評価している。<br> '''(2)'''第1審判決は、罪となるべき事実のとおり犯行の日時及び場所を絞り込み、情況事実〔1〕のとおり犯行に使用された車両の特徴や犯人像を特定するに当たり、補足説明において、以下の事実関係を認定している。<br> '''ア''' 被害者両名は、B山方付近で合流して潤野小学校へ向かっており、B山方から潤野小学校までの通学路の距離は約1420m(子供の足で20~25分程度)である。通学路は、飯塚市郊外にあり、南北にのびるバス通りを南下し、平原バス停付近(B山方から通学路を約575m進んだ地点)を通過した後、右折して細い脇道に入り、折れ曲がりながら南西方向に進み、E村方三叉路(B山方から通学路を約937m進んだ地点)を経由して南下し、東西にのびる県道を右折し、更に南西に進むというものである。E村方三叉路は、東側、北側及び南側から入ってくる各道路が交わり、通学路は北側から同三叉路に入って南側に進む。E村方三叉路を南下して県道を左折すると、飯塚市農協潤野支店(以下「農協」という)がある。<br> '''イ''' 被害者両名は、平成4年2月20日午前8時22分頃に平原バス停付近を歩いているのをA田の知人Z田Z子(以下「Z田」という)に目撃されている。潤野小学校に勤務していたG山G子(以下「G山」という)が、被害者両名を探すため、同日午前8時50分頃、車で同小学校を出発して通学路を逆行し、E村方三叉路を北上して平原バス停先まで行ったが、被害者両名を発見することができなかった。<br> '''ウ''' 当時農協に勤務していたD山D子(以下「D山」という)の供述(同意書証として取り調べられた平成6年10月22日付け検察官調書(確定第1審甲39。以下「本件検察官調書」という))等によれば、D山は、出勤するため、平成4年2月20日午前8時30分頃、スズキセルボモード(以下「D山車」という)を運転して東側から南側へE村方三叉路を通過する際、服装等からして被害者両名と認められる女児2名が北方向から歩いてくるのを目撃している。<br>  D山の同僚のV村V子(改姓後の姓はV田。以下「V村」という)の供述によれば、V村は、ホンダトゥデイ(以下「V村車」という)を運転し、D山の数分後にE村方三叉路手前付近からD山の経路と同じ道を通り、同日午前8時33分頃に出勤しているが、被害者両名を目撃していない。<br> '''エ''' 同月21日午後0時10分頃、福岡県甘木市と同県嘉穂郡嘉穂町を結ぶ国道322号線を、同県甘木市大字(中略)から嘉穂町方向に約1.4km進行した地点(通称八丁峠第5カーブ付近)の南方約9mの山中の斜面に、下半身を露出させられ、頸部を手で絞められて窒息死した被害者両名の死体が投棄されているのが発見された。<br>  同月22日、国道322号線を、同市大字(中略)から嘉穂町方向に約200m進行した地点の西方約5mの山中に、被害者両名のランドセル等の所持品及び着衣の一部(以下「遺留品」という)が投棄されているのが発見された(なお、確定記録によれば、ランドセルの色はA田が赤、B山がピンクである)。<br>  潤野小学校から死体遺棄現場までの経路の距離は28~36.1kmあり、自動車で35~53分かかる。遺留品発見現場は、潤野小学校から死体遺棄現場に向かう途中にあり、遺留品発見現場から死体遺棄現場までの距離は約3kmで、自動車で約8分かかる。死体遺棄現場及び遺留品発見現場は、通称八丁峠と呼ばれる国道沿いの山中であり、各現場に行くためには自動車を使用するしかない。<br> '''オ''' A田の胃内容からすると、その死亡推定時刻は朝食の一、二時間後であり、平成4年2月20日午前8時から同日午前9時頃までの間となるが、A田は同日午前8時30分頃の時点で生存が確認されているから、その後午前9時頃までの間に殺害されたと推定され、B山も同じ頃に殺害されたと推定される。<br> '''カ''' T田の供述によれば、同日午前11時頃、国道322号線の遺留品発見現場直近で、対向車線に不審車両が停車し、車外に出ていた運転手の男が、T田の車両が通り過ぎる際に不審な動きをしており、このT田が目撃した男が犯人であり、T田が目撃した車両が犯行に利用された自動車である可能性が濃厚である。<br> '''キ''' D山、V村、X田及びW田の各供述等によれば、同日午前8時20分頃、W田が、三菱デリカワゴン(以下「W田車」という)を運転してE村方三叉路に向けて北上してきて同三叉路の南西側にあるI村I郎方(別紙1参照)付近路上にW田車を駐車させ、同日午前8時30分頃、X島X太(以下「X島」という)が、同様に北上してきてW田車の前方にスカイライン(以下「X島車」という)を駐車させ、トヨタタウンエース(以下「X田車」という)を運転してX島車を追従してきたX田は、同三叉路の手前でD山車と離合し、一旦X島車のすぐ後ろにX田車を停車させたが、その直後に同所を通りかかったV村車が離合しにくい様子だったため、X田車を移動させてX島車の少し前方に駐車させた。そして、X田が車から降りて道路を横切りE村方三叉路を南に歩きかけた際、後方からワゴン車がかなりの速度でX田の右横を追い抜き潤野小学校方向に走り去った。<br>  D山は、本件検察官調書で、「被害者両名の横を通過すると、I村I郎方前に3台の車が駐車しており、ボンゴ車と乗用車が1台ずつあったのは覚えているが、もう1台がどちらだったかはっきりしない」と供述しているが、前記経緯からして、D山は、I村I郎方前路上では、X島車及びW田車と離合したのみで、車種不明の3台目の車両とは離合しておらず、その点の供述はD山の記憶違いによるものと認められる。そして、D山は「県道に出る手前で作業員風の男性が運転するボンゴ車と離合した」旨も供述しているが、同ボンゴ車に乗っていた男性は、「E村方三叉路の少し手前で若い女性の運転する軽四輪乗用自動車と離合した」旨のX田供述と、離合した時間帯及び場所がほぼ一致していることからして、X田と認められる。<br>  被害者両名がD山に目撃された後も学校に向かっていたのであれば、V村やX田らに目撃されたはずであるが、D山が目撃してから後、被害者両名を見た者はいない。犯人は、D山がE村方三叉路付近を通過した後、約3分後にV村が同所を通過する前からG山がE村方三叉路の北側の道路を通過するまでの間に、被害者両名を拐取して車で連れ去ったと認められる。被害者両名は、D山に目撃された後、犯人に誘われるなどして登校路を逆に向かった可能性もある。<br>  被害者両名が拐取された時刻、場所と極めて接着した時刻、場所においてX田及びW田が目撃したワゴン車と、遺留品発見現場直近でT田が目撃した不審車両は、いずれも、紺色、後輪ダブルタイヤ、リアウインドウにフィルムが貼られたワンボックスタイプというほぼ同じ特徴を持つ車である。両車は同じものであり、これが犯人の使用していた自動車である疑いが極めて濃厚である。<br> '''(3)'''事件本人が申し立てた控訴は平成13年10月10日に、上告は平成18年9月8日に、いずれも棄却された。<br>  控訴審判決は、被害者両名の目撃状況に関する関係者らの供述の信用性に疑問はなく、D山供述の信用性については第1審判決説示のとおりであり、被害者両名は、平成4年2月20日午前8時30分かその直後頃、E村方三叉路付近でX田及びW田が目撃した車両により拐取された蓋然性が高く、拐取時刻は午前8時30分過ぎ頃と認定するのが相当であり、第1審判決も補足説明からするとそのように理解されるとした。また、殺害時刻については、食事終了時間や消化状況から厳密な時間を認定するのは相当でなく、拐取されてから午前9時30分前後頃までの間(朝食のおおむね一、二時間後)と認めるのが相当であるとした。<br>  また、第1審判決は、犯行に使用された車両がマツダステーションワゴン・ウエストコーストであるとは断定できないとしていたが、控訴審判決は、繊維鑑定、T田、X田及びW田の供述等によればその旨特定できるとし、この判断は上告審判決でも是認されている。控訴審判決は、被告人が犯人だとすれば、被害者両名の膣内及び膣周辺部に犯人の血液が付着しているという特異な事実の説明が容易に可能になる、顔見知りの者による犯行と推認されるところ、被告人はこの条件も充たすと指摘している。<br>  控訴審では、D山供述に関し、当事者双方の請求により、平成4年3月2日付け警察官調書(確定控訴審検甲9、弁13。以下「本件警察官調書」といい、本件検察官調書と併せて「本件各調書」という。本件各調書の記載内容を「旧供述」ともいう)が取り調べられている。<br>  平成18年10月8日、第1審判決が確定し、平成20年10月28日、死刑が執行された。<br> '''4 第1次再審の経過及び判断'''<br>  申立人は、平成21年10月28日、情況事実〔1〕及び情況事実〔4〕に関する新証拠を提出して再審請求をしたが、平成26年3月31日、棄却され、平成30年2月6日、即時抗告が棄却され、令和3年4月21日、特別抗告が棄却された。<br>  第1次再審請求棄却決定は、新証拠によって旧証拠のうちMCT118型鑑定の証明力は減殺されるが、犯人と事件本人のMCT118型が一致したと認めることはできない一方、両者が一致する可能性も十分にあり、確定判決が認定した情況事実から犯人と事件本人のMCT118型が一致したことを除いたその余の情況事実を総合した場合でも、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がされていることに変わりはない旨判断し、この判断は即時抗告審及び特別抗告審で是認されている。<br> '''5 第2次(本件)再審請求'''<br> '''(1)'''申立人は、令和3年7月9日、刑訴法435条6号に基づく再審請求をした。原審において申立人が提出した書証は別紙2のとおりである(以下、弁と番号のみを記載した場合は別紙2の書証又はその原本を指す)。このうち、弁3~5は確定審に係る判決書の写しであり、弁6~17は、第1次再審請求に係る再審請求審又は即時抗告審において申立人又は検察官から提出された証拠と同一の内容である(弁10及び11は、同再審請求審における検察官の平成25年4月15日付け意見書8に添付されている)。<br>  その余の書証は、四つの証拠群に大別でき、〔1〕D山の供述(弁2、30。以下、D山の原審証言と併せて「D山の新供述」という)、〔2〕E村方三叉路付近における現場再現実験報告書(弁26。以下「本件報告書」という)、〔3〕K村K男(以下「K村」という)の供述(弁1、28)、〔4〕Z3(以下「Z3」という)の供述(弁18)及び〔1〕~〔4〕の各証拠に関する補助証拠(弁31の1~弁32は〔1〕関係、弁21の1~弁25の2、27、33は〔2〕関係、弁29は〔3〕関係、弁19、20は〔4〕関係)である(なお、弁21の1、21の2、23は、確定第1審又は控訴審で取り調べられた空中写真や地図と実質的に同一である)。さらに、原審では、令和5年5月31日にK村の、同年11月28日にD山の各証人尋問が実施されている。<br> '''(2)'''本件各調書及びD山の原審証言、本件報告書、K村の原審証言並びにZ3供述の概要は次のとおりである(D山及びK村の供述録取書等(弁1、2、28、30)については後記第2及び第3で言及する)。<br> '''ア D山供述の概要'''<br> '''(ア)本件警察官調書(供述場所は農協と記載され、D山作成図面が添付されている)'''<br>  当時、D山車で通勤しており、平成4年2月20日も、いつものように午前8時10分頃自宅を出て、バス通りを南下し、F(別紙1参照)の角を右折して数十メートル進んだ地点(E村方三叉路東端の東側)に午前8時20分頃に着いた。1か月程前からこの場所で停車して化粧をするのが日課になっていた。化粧を始めてから何分か過ぎた頃、七、八m前方の同三叉路北側から、小学校低学年の女児が小走りの感じで潤野小学校の方向(南側)に行くのが見えた。私は、「この子は学校も始まっている時間なのにまだこの辺を歩きよう」「遅刻するのに」と思い、バックミラーを見ながら化粧を続けた。それから何十秒も過ぎない頃、今度は同三叉路に先程の女児とは違う小学校低学年の女児が立っているのに気付いた。この女児は、同小学校とは反対方向に歩き始めるような動作をし、振り返って同小学校方向にゆっくり歩き始めた。私は、「二人で学校に行っているのだなあ」「早く学校に行けば良いのに」と思った。女児らが遅刻すると思ったのは、約1か月間この場所で化粧をしている間に小学生が通学する姿をほとんど見掛けたことがなく、それまでに男児1名と女児1名を各1回見掛けたことがあるだけだったからである。女児2名が視界から見えなくなって1分も過ぎない頃、時計を見たところ、午前8時30分近くになっていたので、遅刻すると思い、使用した化粧品を助手席に置いたままD山車を発進させた。時間ははっきり記憶していないが、化粧をしている場所から農協までは車で一、二分くらいなので、午前8時30分少し前といえる。20mくらい進行したE村方(別紙1参照)前を女児2名が手をつないで歩いている後ろ姿が見えたので、「やはり先程見た女の子たちは連れだった」と直感した。2名とも身長約120cm、うち1名は黄色のジャンパー、赤ランドセルで、どちらかが傘を持っており、髪が短かった。女児らは、D山車が接近したのに気付き、左側によけてくれたので、その横を通過した。右前方の道路右側(I村I郎方前付近)に3台くらいの車が対向して駐車していたという記憶で、順番ははっきりしないが、白っぽいボンゴ車、白っぽい普通乗用車のほか、もう1台ボンゴ車があったと思う。さらに、その後方に対向してグレーのボンゴ車があり、始めから停車していたのか、D山車のために待っていてくれたのかはっきりしないが、道路右寄りに停車していたので、その横を通過した。農協の駐車場に着いた後、車内で化粧品等を片付けていたため3~5分くらい使っていると思う。その時にV村がV村車で出勤してきたので、降車して一緒に農協の店内に入った。<br>  その日の午後4時頃、刑事が来店し、朝から小学生が行方不明になっていると聞き、今供述した内容を話した。その時、V村が「私も同じ道を通ってきたけれど女の子たちの姿は見らんやった」「3台の車が駐車しているのは見た」と話していた。V村は、「私は、店に入ったら毎日すぐ店の時計を見るけど、今日は午前8時33分だった」と言っていたので、やはり私が女児2名を見た時間は午前8時30分少し前頃といえる。<br> '''(イ)本件検察官調書(供述場所は福岡地方検察庁飯塚支部と記載され、D山が記入した住宅地図とD山作成図面が添付されている。作成日は、事件本人が死体遺棄罪により起訴された後、略取誘拐、殺人罪により追起訴されるまでの間である)'''<br>  2年8か月も前の話なので、記憶がはっきりしなくなっている部分もあるが、被害者両名かもしれない小学生の女児2名を見たことについては、行方不明になった当日の捜索中から警察の人などに話しているし、今でも大体のことは覚えている。<br>  平成4年2月20日は、遅くとも午前8時20分までにはD山車で自宅を出て、バス通りを北から走ってきてFのところで右折し裏道に入り、途中のF2方前(別紙1参照)で停車した。以前から時々この辺りに停車して化粧をしており、この日も同じ場所であった。時刻は時計を見て午前8時30分少し前だった記憶がある。少しというのは二、三分くらいのことである。ルームミラーを化粧鏡代わりに化粧を始めた直後だったと思うが、E村方三叉路の右手(北側)の坂道から小学校一、二年生くらいの女児が走ってきた。時刻は午前8時30分近くになっており、他に通学途中の子供たちもいなかったので、私は「早く学校に行かんと遅刻するのに」と思った。それから何十秒も経たない頃、E村方前辺り(E村方三叉路南端付近)にもう一人小学校一、二年生くらいの女児が立っていた。なぜ先程の子と別の子と分かったかというと、今は詳しく覚えていないものの、その時は顔や服装も目に入っていたこと、先程の子はI村I郎方の方(潤野小学校のある方)に歩いて行ったと思っていたことが理由だと思う。その子もI村I郎方の方に歩いていった。二人とも妙に学校に行きたくない様子だったのをよく覚えている。このように感じたのは、二人ともどんどん進んでいくという感じではなく、立ち止まったり戻るような動作をしたりしながらだらだらと歩いていたように思うからである。私はきっとこの二人が一緒に通学しているのだろうと思った。化粧は二、三分で終わり、時刻は午前8時30分頃になっていたと思う。化粧道具を助手席に置いたままD山車を発進させると、E村方前辺り(同三叉路南側付近)の道のほぼ真ん中に先程の女児2名がくっつくように並んで歩いているのが見えた。とうに学校の方に行っていると思っていたので、私は「まだうろちょろしている」「学校に遅刻したのは間違いないな」などと思い、二人をひかないようにスピードを緩めた。二人とも歩くのが嫌というか、学校に行くのが嫌というのか、とにかくだらだらと歩いていて、遅れているはずなのに全く急ぐ様子がなかった。二人ともランドセルをしょって、一人が黄色のカッパかジャンパーのようなものを着ており、その子のランドセルは赤色だった。片方か両方が傘を持っていたかもしれない。D山車が近づくと二人はこちらに気付いて振り返り、左右どちらかは記憶がはっきりしないが道端によけてくれた。立ち止まっている二人を横目で見ながら進んだが、私が二人を見たのはこの瞬間が最後であり、その後、二人が歩き出したところなどは見ていない。前方右手(I村I郎方前付近)には3台の車が駐車していた。ボンゴ車と乗用車が各1台あったのは覚えているが、もう1台は乗用車だったかボンゴ車だったかはっきりせず、3台の順番も覚えていない。更にその後方にはもう1台車があり、この車もボンゴ車だったと思うが、特徴等は今となってははっきりしない。ただ、この車には髪がぼさぼさの作業員風に見える40歳くらいの男性が一人運転席に座っていたような記憶がある。この車は私の車を待つようにして道路右側に対向して止まっていた。私はこの車の横を通り抜け、突き当たりを左折して農協の駐車場に入った。助手席足元に落ちてしまった化粧品等を拾っているうちにかなり時間が経ってしまい、おそらく3分くらいかかったと思う。するとちょうど同僚のV村がV村車に乗って駐車場に入ってきたので、ほぼ同時に店内に入った。時計を見ていないので、時刻はよく分からないが、午前8時35分前後になっていたと思う。<br> '''(ウ)原審証言'''<br>  被害者両名が行方不明になった当日(平成4年2月20日)は、昼前頃に消防隊(「消防団」とも証言している)員が農協に来て、小学1年生の女児2名がいなくなったと言って探していた。V村に「女の子たちなら見たことがあるよね」と聞き、V村は「いや、ない」と言っていたが、その話を消防隊員が聞いていたかもしれない。当日朝に見たとは言っておらず、その記憶もない。通勤途中に小学校1年生くらいの女児2名を目撃したことはある。それが1回だったか複数回だったか、どれくらい前の出来事だったかは分からない(「通学途中の小学生を見掛けたのはそのとき1回だけである」とも証言している)。化粧をしていた位置は毎回同じで、Fの隣のF3方(別紙1参照。弁護人の質問では「F4」とされている)前辺りであり、そこからは道路が曲がっているためE村方三叉路は見えない。女児らに気付いたのは、更にその西隣のF5方(別紙1参照)前辺りで、その地点で女児らを追い越した。午前8時15~20分頃だった。女児らは同三叉路に向いて歩いていたので、後ろのFの方から来たのだと思った。二人は横に並んで歩いており、D山車が追い越す際は縦になってよけてくれた。二人とも黄色い雨合羽を着ていて、ランドセルは赤だった。女児らを追い越してから農協までの間に駐車車両があったり、対向車と離合したりした記憶はない。<br>  被害者両名が行方不明になった当日に警察官は来ておらず、最初に事情聴取されたのは被害者両名の遺体発見の翌日(平成4年2月22日)であり、本件各調書の記載は事実と異なる。警察官2名が農協を訪ねてきて、支店長からV村に話していた内容を話すように言われ、女児を目撃したことかと思い、前記のような目撃内容を警察官に話した。警察官から、紺色ワゴン車のカタログを見せられ、こういう車を見たことがないか、車にラインは入っていなかったかと聞かれた。女児らを見掛けた日とは別の日に黒いボンゴ車を追い越したことはあったので、黒いボンゴ車なら見たことはあるがラインまでは見えなかったと話した。<br>  後日違う警察官が訪ねてきて、本件警察官調書を作成した。警察官に対し、女児らを見掛けたのは当日かどうか自信がないと話した(「私が見たのは事件当日ではないと言った」とも証言している)。本件警察官調書のうち、E村方三叉路を越えた先で女児2名を追い越したという部分、最初に一人が先に来て、後からもう一人が来て一緒になったのを見たという部分、各女児を目撃した際の気持ちに関する部分、農協に向かう途中に駐車車両や対向車があったという部分、これらの車両の特徴に関する部分は、いずれも当時の記憶に基づく内容ではなく、面前で警察官が勝手に作成した。駐車車両や対向車はなかったと言ったのに、警察官からこの位置に車があったので4台書いてくださいと言われ、住宅地図に基づき、言われたとおりに本件警察官調書に添付された図面を作成した。女児らの位置についても話した内容と違う位置に書くように言われた。出来上がった本件警察官調書を読み聞かされ、説明した内容と違う、黒いボンゴ車を追い越したことが書かれていないと思ったし,そのように言ったが、受入れてもらえず記憶と違う調書に署名押印し、若かったのでそれ以上何も言えない自分にショックを感じた。<br>  事件から2年程経ってからの本件検察官調書の作成に当たり、検察庁に行ったことはない。当時他県にいたが警察から来てほしいという電話があり、最初は断っていたが重ねて請われたので、私の供述調書を使わないよう求めるために行くことにした。指定された福岡県田川市にある喫茶店に行き、警察の者と名乗る50代の男性1名と会った。検察官だとは聞いていない。事前に事情を聴かれることなくいきなり出来上がった調書を示され、読んでくれと言われた。本件警察官調書には記載されていないボンゴ車の運転手の特徴についても、言ってもいないのに既に記載されていた。記憶と違う点があると言ったが聞いてくれず、とにかく署名押印してくれと言われて押し問答になった。調書を取ったときのことを書いてあるのでこれで間違いない、この書類がないとあげられない、当時初めて導入されたDNA鑑定で犯人は分かっているが、本件検察官調書も必要ですなどと言われた。本件警察官調書を使わないでほしいと言ったが、聞いてもらえず、私の曖昧な記憶で犯人が逮捕されるのは困りますと伝えると、私の話だけで犯人が逮捕されるわけではないと言われた。本件検察官調書添付の図面は、本件警察官調書添付の図面を見せられ、同様に書くよう言われて作成したもので、地図を示されて書いた記憶はない。 <br>  飯塚事件に関する記事、テレビ、YouTubeの動画を見て、事件本人が無実なのではないか、本件各調書が事件本人に対する判決に影響を与えたのではないかと思い、申し訳なく、情けなく悔しい気持ちになり、約5年前、弁護人の事務所に電話をかけ、弁護人と会うことになった。弁2を作成した際にも、女児らを目撃したのは行方不明になった当日ではない、E村方三叉路の手前で女児らを追い越したと伝えたつもりだったが、鬱気分で、いろいろ見せられて気が動転していたので、弁護人とどのようなやり取りをしたのか覚えていない。弁2や弁30を作成した際に、弁護人に警察官から紺色ワゴン車のカタログを見せられたという話はしていない。証人尋問の約1週間前に弁護人と打ち合わせている際に不意に思い出した。<br> '''イ 本件報告書'''<br>  本件報告書は、確定判決の認定やその認定の根拠となったD山、V村、X田、X島及びW田の各供述等に基づき、E村方三叉路付近に、平成4年2月20日午前8時30分頃同所に駐車していた車両に類似する車両を配置し、その頃同所を走行していた車両に類似する車両を走行させて走行時間を測定する実験を行い、被害者両名を目撃できたかを検証することなどにより、前記各供述の信用性等を検討した経過及び結果を報告したとされるものである。実験において、各地点の決定については、本件検察官調書、W田、X田及びV村(V田)の各証人尋問調書の添付図面を参考とし、車両の走行速度は原則時速20km、離合する場合等は時速10km程度に設定したとされている。被害者両名の移動速度については、確定判決によれば被害者両名が同日午前8時22分に平原バス停に、同日午前8時30分頃に同バス停から361.5m離れたE村方三叉路に現れているとして、秒速約0.75mであることを前提としている。報告の要点は以下のとおりである。<br> '''(ア)D山供述とX田供述の比較検討'''<br>  実験により、X田の運転席からE村方三叉路が見え始める〔22〕地点を決定した。X田車がD山車と離合した〔8〕地点に関しては、本件検察官調書添付図面では橋の手前とされ、X田証人尋問調書添付図面では橋の農協側のたもととされているが、確定判決40頁は「両地点は場所がほぼ一致している」として同一地点として扱っているので、D山が述べている場所とX田が述べている場所の中間とした。実験によれば、D山車が女児らの横を通過した地点からD山車がX田車の横に来た地点まで約12秒、X田車がD山車と離合するため停車した地点から〔22〕地点まで約6秒であったから、D山が女児らの横を通過した時から18秒後にX田はE村方三叉路内を目撃できるようになる。被害者両名は18秒間に最大13.5m北上しているが、D山が横を通過した時に女児らがいた地点からE村方三叉路の北端まで15.9mあり、まだ同三叉路内にいるため、X田から目撃可能であった。そうであるのに、X田は被害者両名を目撃しなかったと供述しており、D山供述とX田供述とは矛盾している。<br> '''(イ)D山供述とV村供述の比較検討'''<br>  E村方三叉路に東側の道路から進行してきたV村は、同三叉路南側の道路へ向かい左折する直前、同三叉路に北側の道路から進入する車両や人に注意を払う〔Y〕地点(同三叉路全体も見渡すことができる)を通過する一方、X田車はX島車のすぐ後ろの〔9〕地点に停車している。確定判決38頁の「X田車が〔9〕地点に停車した直後、V村が通りかかった」旨の表現から、X田車が〔9〕地点に到着した直後、V村車は〔Y〕地点と〔9〕地点の中間より〔9〕地点寄りの〔10〕地点にいたと判断した。実験によれば、X田車が〔22〕地点を通過してから〔9〕地点に停車するまで約6秒、V村車が〔Y〕地点を通過してから〔10〕地点に到達するまで約7秒であったから、これに前記(ア)の実験結果を併せると、X田車はD山車が女児らの横を通過した時から24秒後に〔9〕地点に到達し、その際、V村車は〔10〕地点にいたことになる。そうすると、V村車が〔Y〕地点を通過したのは、D山が女児らの横を通過した時から17秒後であったことが分かる。被害者両名は17秒間に最大12.75m移動しているが、まだE村方三叉路を抜け出していないことになるから、V村が被害者両名を目撃することは十分可能であった。そうであるのに、V村は被害者両名を目撃しなかったと供述しており、D山供述とV村供述とは矛盾している。<br> '''(ウ)D山とV村のE村方三叉路通過時間の差'''<br>  実験によれば、V村車が〔Y〕地点からD山車が女児らの横を通過した地点まで走行するのにかかった時間は約4秒であり、これに前記(イ)の実験結果を併せると、V村車はD山車が女児らの横を通過してから21秒後に同じ地点を通過したことになり、「V村はD山が被害者両名を目撃してから約3分後に同じ道を通った」旨の確定判決39頁の認定は完全に誤っている。<br> '''ウ K村の原審証言'''<br>  平成4年2月20日、集金のため、左ハンドルのランチア・テーマ(以下「K村車」という)で自宅のある福岡県古賀市から同県田川郡(中略)にある取引先に向かい、午前8時前頃に着いたが、支払ってもらえず、取引先を後にして同県春日市にある会社に向かった。その途中、片側1車線の八木山バイパスを福岡市方面に走行していた際、時速40km未満でゆっくりと走行する白色のワンボックスタイプの軽自動車を追い越せない状態が続き、登坂車線ができ2車線になった地点で前車が登坂車線に避けてくれたのでまっすぐ追い抜いた。時間については記憶が曖昧だが、午前9時40分過ぎ頃又は午前10時40分過ぎ頃になると思う。午前中だったのは間違いない。追い抜いた際、最初に同車運転席側後部座席で私の方を見ている小学校1年生の女児の顔が窓ガラス越しに目に入った。おかっぱ頭で赤色ランドセルを背負っていた。今まで見たことのないこわばったおびえた表情をしていた。目は合ったはずだが、助けを求める仕草はなかった。その横の助手席側後部座席には、より小柄なおかっぱ頭のもう一人の女児が身体の左側を下にして横たわっているのが見え、その奥にランドセルが置かれていた。同ランドセルの色は赤だと思っていたが、後でB山のランドセルの写真を見せてもらったらピンクで、記憶違いだった。女児2名の服装についてはよく覚えていない。次に運転手の横顔を見ると、色白、坊主頭、小柄で身長160~165cm、35歳前後の男性で、無表情で受刑者のようだった。目撃したのは追い越す間の一、二秒で、自分の目線と比べて、運転手の目線は若干高く、座っている女児はほぼ同じだった。地域で小学生と接していると小学1年生と2年生では格差があり、見ただけで分かる。幼い表情だったので、両名とも小学校1年生であることは間違いない。<br>  その日の夕方(「午後9時頃」とも証言している)、テレビのニュースで被害者両名が行方不明になっているのを知った。平日午前中にランドセルを背負った女児2名が乗車していたこと、女児や運転手の表情などから、自分が見たのが誘拐だったのではないかと思った。翌日、飯塚警察署に電話をかけ、八木山バイパスで誘拐犯と思われる者と擦れ違ったと伝えた。数日経ってから警察官1名が訪ねてきたので、目撃状況を説明し、料金所の監視カメラを調べるように言った。警察官からは、紺色の普通車ではなかったか、ボンゴタイプではなかったか、ラインがあったのではないかと確認された。その後、何の用事だったか記憶が曖昧だが、裁判所に行ったのが偶然飯塚事件の第1回公判の日であり、抽選に当たって傍聴した。事件本人の顔も容姿も八木山バイパスで見た運転手と全然違っていた。検察官の冒頭陳述でDNA型鑑定、事件本人車のシートの繊維や血痕等の話を聴き、自分が見たのは違っていたのだと思った。その後、主任弁護人の事務所を調べて電話をかけ、犯人は事件本人ではないのではないかと伝えたが、余りいい反応がなかったので、事務所を訪ねて名刺を置いて帰った。平成30年にN新聞の飯塚事件の特集記事を見て同新聞社に電話をかけ、記者と電話で話したり、二、三回会ったりした。記者から被害者両名が一緒に写っている写真1枚を見せられ、二人とも非常に似ていると思った。それまで被害者両名の写真を見たことはなかった。どんなところが似ていたのかは覚えていない。A田が私の方を見ていた女児に顔や髪形などの全体の雰囲気が似ていた。B山がもう1名の横たわっていた女児に雰囲気が似ていた。K村が新聞に載ったことで弁護人から電話があり、会うことになった。<br>  目撃時刻について、本件再審請求がされた際の記者会見では午前11時頃と話しており、弁1と弁28を比較すると、目撃時刻が約1時間早まり、原審証言では更に遡っているが、集金できずに取引先を後にした時間の記憶が曖昧で、食い違いが出たのだと思う。<br> '''エ Z3の供述'''<br>  平成11年頃、刑務所で服役中にC(以下「C」という)と同房になった。Cは飯塚市の小さな道に非常に詳しく、潤野地区についてもよく知っていた。Cについては、幼女を車で拉致して車内で性的いたずらをし、証拠隠滅のため殺したなどといううわさがあった。平成12年頃、Cは、同房者らから、「飯塚事件はお前がやったのではないか」とはやし立てられていた。Cは、最初は冗談として受け流していたようだったが、次第に無口になり深刻になっていった。私とCが飯塚事件を報じた新聞か雑誌を見ていたとき、Cは、「事件本人が犯人でないと分かったら、自分が逮捕されるのだろうか」と言い出し、その後二、三回同じことを言っていた。あるとき、隣に寝ていたCから、「飯塚事件は実は自分がやった」と打ち明けられた。Cは真剣な表情で、冗談には聞こえなかった。Cは、「逮捕されたら死刑になるのだろうか」「頭がおかしかったら、死刑にならずにすむのだろうか」と言ってきた。その後、Cは、精神的におかしなふりをするようになった。<br>  平成11年か12年頃、医療刑務所でCと会い、Cから、「事件本人の件で、逮捕されたら死刑になると思うと怖いので、馬鹿真似をして、誰とも意思疎通できないふりをしている」「いつ逮捕されるかが怖くてたまらない」と打ち明けられた。<br>  新聞で申立人が仏壇を拝んでいる後ろ姿の写真を見て、自分も冤罪で戦っているので、黙っていたらいけないと思うようになり、飯塚事件の弁護人に連絡した。<br> ===第2 原決定の要旨=== '''1''' 弁1、2、18~32、D山及びK村の各原審証言には新規性がある。明白性に関し、弁護人は前記各証言を主要な新証拠に据えているため、これらの信用性を中心に検討する。<br> '''2 D山の原審証言について'''<br> '''(1)'''D山証言は、女児2名の目撃の日時・位置・内容、その際の周辺の駐車車両の有無について本件各調書の内容を否定するものである。D山は、供述変遷の理由について、当初から捜査機関に対して原審で証言した内容を話し、本件各調書の内容が記憶と異なると伝えたものの、捜査官に押し切られてしまった旨述べるので、捜査機関が無理やりD山の記憶とは異なる供述調書を作成した可能性について検討する。<br>  本件警察官調書が作成されたのは、事件発生の約10日後という捜査初期であり、いまだ捜査が流動的な状況下において、警察官が、目撃の日時、場所から内容に至るまでの供述全般について、D山の記憶と異なる調書を無理やり作成するというのは、捜査機関にとって必要性に欠けるばかりか、事後にこれと矛盾する証拠や目撃者が明らかになる可能性を考えれば有害である。行方不明の女児が捜索されている状況において、D山が、別の日に登校途中の女児を見掛けたことがあるという、事件とは無関係な話をし、それに警察官が関心を持って事情聴取をした上、無理やりD山の記憶と異なる調書作成にまで至るという事実経過自体、余りにも不自然であり、警察官がこのような捏造を行うとは考え難い。弁護人は、捜査初期から事件本人を犯人視した見込捜査が行われていた可能性を主張するが、本件各調書を見ても、事件本人が関わっていることをうかがわせるものはない。X田やW田らがE村方三叉路付近で事件本人車と同様の特徴を有する車両を目撃したと供述し始めたのは平成4年夏頃からであり、捜査機関が、本件警察官調書作成時に同三叉路を犯行現場に仕立て上げる動機を有していたとは考えられない。<br>  また、本件警察官調書の内容は、目撃時の女児らの動作や様子等について、D山自身の心情を交えながら詳細に述べるものであり、いつものように車を止めて化粧をしていると、女児1名を見掛け、化粧を続けてまた前方を見ると、別の女児が立っていたとするなど、具体性に富む内容となっており、D山の積極的な供述なしに、警察官が作り上げることのできるものとは考え難い。確かに、被害者両名が学校に行きたくない様子であり、B山がA田の後ろを付いて歩いていたこと、事件当日、E村方三叉路付近に複数の車両が駐車されていたことなどは、既に捜査機関において入手済みの情報であった可能性があるが、本件警察官調書は、駐車車両の台数の点でV村やX田らの供述と明らかに整合していないところ、警察官が、駐車車両はなかった旨のD山の供述をねじ曲げ、事前に入手した情報に基づいて強引に調書を作成したのであれば、駐車車両の台数も含めてV村やX田らの供述と整合させるのが自然である。V村やX田らの供述との齟齬は、D山の記憶違いを示すとともに、本件警察官調書がD山の記憶に基づいて作成されたものであることを裏付けている。<br>  さらに、本件検察官調書は、本件警察官調書とおおむね同内容であるが、記憶がはっきりしなくなっているとして、本件警察官調書と比較すると曖昧な内容にとどまる部分が散見され、事件発生から2年以上が経過したことに伴う記憶の減退が反映されており、D山から改めて事情を聴くことなくあらかじめ捜査官が調書を用意していたとは考えにくい。<br>  本件警察官調書作成時に捜査機関が無理にD山の記憶に反する調書を作成する動機、必要性が見いだせないことに加え、本件各調書の内容も捜査機関がD山の供述内容をゆがめて作成したとは考えにくいものであることも踏まえると、捜査機関が、無理やりD山の記憶とは異なる供述調書を作成したとは考えられない。<br> '''(2)'''D山の原審証言は、弁護人が当初新証拠として提出した弁2と比較しても、女児2名の目撃供述の重要部分が変遷している。すなわち、目撃日時に関し、弁2では、女児らを目撃したのが、事件当日であったか、その何日か前であったかがはっきりしないと述べるにとどまっていたのに、証言では、明確に事件当日ではないと否定している。また、目撃場所に関し、弁2では、女児らの横を通り過ぎたのはE村方三叉路であったと述べていたのに、証言では、E村方三叉路よりもずっと東側手前であったと述べている。これらの変遷は、目撃供述の根幹部分についてのものであり、D山が事件当時から一貫した記憶に基づいて供述しているのであれば、このような変遷をたどるとは考え難い。<br>  D山は、弁2作成時に、弁護人に対し、原審証言と同内容の説明をしたつもりであったと証言し、弁護人も、相違が生じた原因につき、目撃日時の点は、弁護人が、D山の記憶内容とD山の警察官に対する供述内容を混同したためである、目撃場所の点は、D山が、本件再審請求に協力するに当たり、強い不安を感じ、気が動転していたためであると主張する。しかし、いずれの点も目撃供述の根幹部分であり、本件各調書の内容を否定し、再審請求のための新証拠を作成しようという局面なのであるから、D山及び弁護人においては、記憶や書面の内容を丁寧に確認したはずであり、根幹部分に複数箇所誤りがあり、それが単純な混同や気の動転によるというのは合理的説明とはいい難い。また、目撃場所に関し、D山は、弁2において、女児らを目撃する直前に自身が化粧をしていた地点については、E村方三叉路よりもずっと東側手前であったと述べて本件警察官調書の内容を訂正しているにもかかわらず、肝心の女児らを追い越した地点については、本件警察官調書と同内容の供述をしている。車中で化粧を終えてから車を発進させ、女児らを追い越したという一連の事実経過につき、前者については訂正できているのに、後者についてのみ気が動転して適切に訂正できなかったというのは、合理的な説明にならない。<br>  D山は、弁2からも合理的理由を示すことなく核心部分について供述を変遷させており、一貫した記憶に基づいて証言しているとは考えられない。<br> '''(3)'''D山は、事件当日に女児らの目撃情報を話したのは消防隊員であり、警察官とは話していないと証言するが、本件警察官調書には、事件当日に刑事に目撃情報を話した旨記載されており、この点について警察官が捏造するとは考え難いことに加え、V村も事件当日D山と警察官が話しているのを聞いた旨証言していることも併せると、D山が事件当日に警察官と話していることは明らかであり、D山は、事件当日の聴取状況についても記憶が曖昧になっている。弁2からでさえ供述が変遷していることを考えると、事件発生から30年以上もの長い年月が流れ、事件当時の記憶が相当程度風化し、不確かなものとなってしまっている。<br> '''(4)'''D山は、警察官から紺色ワゴン車に関する質問もされた旨証言するが、この点は、弁2に記載されていないばかりか、証人尋問の約1か月半前に作成された弁30にも記載されていない。D山は、証人尋問の約1週間前、不意に思い出した旨述べるが、供述経過が不自然であり、信用できない。<br> '''(5)'''捜査機関が、目撃状況に関する供述をわい曲させてまで、D山の記憶と異なる供述調書を無理やり作成したとは考え難く、D山が本件各調書の内容を否定するに当たって前提としている事実関係には疑問が残る上、弁護人作成の供述録取書からの変遷は、D山の現在の記憶自体、一貫性のない不確かなものである可能性が高いことを示しているから、D山の原審証言は信用できない。弁護人は、D山が本件各調書の内容を否定するに至ったのは、記憶と異なる供述調書を作成されたことが事件本人に対する死刑判決に影響を与えてしまったのではないかという自責の念を動機とするものであり、このようなD山の真摯な姿勢からすれば、D山の原審証言は十分に信用できるなどと主張するが、前記判断に影響しない。<br> '''3 本件報告書について'''<br> '''(1)'''本件報告書は、確定判決の事実認定に従って被害者両名や関係車両の移動状況を再現実験すると、D山とX田の各供述、D山とV村の各供述はいずれも矛盾しており、D山が女児らを目撃してから約3分後にV村が同じ道を通ったとする確定判決の認定は誤っているとの結論が導かれるとするが、以下の理由から、同再現実験から前記結論を導くことはできない。<br> '''(2)'''本件報告書は、秒単位で関係者の供述内容を再現して視認可能かどうかを検証しているが、関係者の供述する時刻、時間、位置はそのような検証が可能なほど精度が高いものではない。自動車の動きについても、当時の道路状況を再現して実際に3回自動車を走行させてその時間を測定しているが、おおよその時間は把握できても、当時の実際の関係者の移動に要した時間と秒単位で同じということまではできない。<br> '''(3)'''本件報告書は、被害者両名について、平原バス停付近とE村方三叉路付近で目撃された時刻から平均移動速度を算出した上で、D山が目撃した後のE村方三叉路付近における被害者両名の移動速度がこの平均移動速度のとおりであったと仮定しているが、E村方三叉路付近でD山に目撃された時刻はおおよそのものにすぎず、本件各調書の記載にも微妙な違いがある。また、被害者両名がE村方三叉路に至るまで普段よりも時間を要していたことは明らかである一方、D山に目撃された後の被害者両名の行動は不明である。前記平均移動速度をD山が目撃した後の被害者両名の移動速度に当てはめることに合理性はない。<br> '''(4)'''本件報告書は、X田がX島車の後ろに停車すると同時にV村車と離合した、すなわち、X田が停車した時点でV村車が直近に迫っていたことを前提に、関係車両の移動状況や各経過時間を算定しているが、この前提にも疑問がある。V村は、E村方三叉路付近まで来た時、3台の自動車が縦に並んで駐車していた旨供述しており、車が動いていたとは供述していない。X田も、自車をX島車(原決定18頁に2か所「X島車」とあるのは誤記と認める)の後方に止める際に既にV村車が接近していたとは供述していない。X田がX島車の後ろに自車を止めた時点でV村車が本件報告書で想定している位置まで接近していたとは考えられない。<br>  確定判決37~38頁は、「X田が自車を一旦X島車のすぐ後ろに停車させた直後、V村車が通りかかり、離合しにくい様子だった」旨説示しているが、駐車車両の台数に関するD山の記憶違いを論証する部分であることからすると、「直後」という文言は、X田が一旦X島車の後ろに停車してから再度車を移動させるまでの間に離合した対向車はV村車のみである(D山車は同所でX田車と離合していない)ことを示す趣旨で用いられているにすぎないと解される。<br> '''(5)'''本件各調書の不合理性を指摘する本件報告書は当を得ないものであるから、本件各調書の信用性が減殺されることはない。<br> '''4 K村の原審証言について'''<br> '''(1)'''K村は、事件当日、女児2名が乗った不審車両を目撃し、しかもその2名は間違いなく小学校1年生で、顔も被害者両名と似ていたと証言する。<br>  しかし、目撃した2名の特徴については、おかっぱ頭で、赤いランドセルを所持していたという特異的でない内容を述べるにとどまり、被害者両名とどこが似ていたのかという質問に対しても、全体の雰囲気が似ていたと繰り返すばかりで、具体的根拠を全く示すことができていない。K村は、不審車両を追い越す1~2秒の間に、同車内の女児2名を目撃したというにすぎず、K村の方を向いていたという女児でさえ、顔貌を子細に観察し、記憶する余裕があったとは考え難い。もう1名に至っては同車内で横たわっていたというのであり、顔貌を目撃できたのか疑問が残るし、仮に目撃できたとしても、特徴を的確に把握することができたとは思えない。<br>  目撃した女児2名が小学校1年生であった根拠について、地域のコミュニティで小学生と接触しており、学年が1つ違えばはっきり分かる旨供述するにとどまり、説得力のある説明はできていない。同じ小学校1年生といっても、成長の程度は人によってまちまちであり、ましてや、K村は並走する車内から窓越しに女児らを短時間目撃しただけで、全身を見たわけでも、直接会話をしたわけでもないのであるから、そのように断定する根拠は甚だ薄弱である。<br>  目撃した女児2名が被害者両名にそれぞれ似ているというのであれば、2名の相違についても供述できてしかるべきであるが、顔貌のみならず、髪形、服装等の相違点の指摘はない。K村は,ランドセルの色は2人とも赤だと思ったが、後から被害者両名のランドセルの写真を見せてもらったら、1人はピンクで記憶違いだったとも供述しているが、なぜそのような記憶違いをしたのか、ランドセルの色という一見して明らかなものについて記憶違いをしていながら、なぜ顔貌については似ているといえるのかについて、首肯し得る説明はない。<br>  年齢や服装等の概括的で目につきやすい特徴は記憶に残りやすい一方、面識のない相手の顔貌の特徴を正確に把握して記憶することは比較的難しいと思われるが、K村は、目撃した女児らの服装等についてはほとんど言及せず、被害者両名と顔が似ていたと述べることに終始している。目につきやすい特徴については記憶がないのに、事件から26年以上が経っても車で追越しざまに目撃した面識のない女児2名の顔をはっきり覚えているという供述内容自体、不自然である。 <br>  女児2名の目撃内容に関するK村の供述は信用性に乏しく、特に顔貌が被害者両名に似ているなどと述べる詳細部分は信用し難い。<br> '''(2)'''女児らを目撃した時刻について、K村は、事件当日の午前9時40分頃か午前10時40分頃であったと思うが、記憶がはっきりせず、午前中であったことは間違いないと述べ、曖昧な供述をしている。しかも、弁1では午前11時前後と述べていたのに、証人尋問の約3週間前に作成された弁28では、午前10時30分前後であった旨供述するに至り、証人尋問では前記のとおり述べ、次第に早まっている。一度目の変遷については、取引先に自宅から会社を経由して向かったと勘違いしていたが、後から考えると自宅から直接向かったことを思い出したという理由を一応述べるが、二度目の変遷については、特に理由を説明することもできず、年月の経過に伴い、記憶が曖昧になっていることを自認している。<br>  K村の供述は、目撃時刻に関しても信用できない。<br> '''(3)'''K村が目撃した女児2名が被害者両名であるとすると、確定審が認定した被害者両名の死亡時刻と抵触する上、犯人は、被害者両名を拐取した後、一旦八木山バイパスを通って福岡市方面に向かいながら、その後進路を逆に変えて飯塚市方面に戻り八丁峠方面に向かったことになるが、犯人の行動として不自然である。<br> '''(4)'''弁護人は、K村は、取引先から集金できなかったため、ゆっくり走行していた軽自動車を追い越す際に、イライラしながら運転手を注視した、女児の表情が極めて印象的で、強い記銘力が働いた、目撃内容を明確にし、記憶を維持する機会が反復継続していたなどと指摘するが、仮にK村が目撃した女児らの顔貌を明確に記憶し、その記憶を維持していたのであれば、女児らの顔の特徴等を指摘できてしかるべきであるのに、K村は曖昧な供述に終始している上、前記の変遷も生じている。<br>  K村の原審証言は信用できず、女児2名を目撃したのだとしても、それが被害者両名であるという合理的な疑いは生じない。<br> '''5''' 弁護人のその他の主張を踏まえて検討しても、本件再審請求において提出された新証拠は、確定審及び第1次再審請求審において取り調べられた他の証拠の証明力に影響することはなく、いずれも明白性が認められないから、刑訴法435条6号の再審事由はない。<br> ===第3 当裁判所の判断===  申立人が提出した証拠の新規性又は明白性を否定し、刑訴法435条6号の事由はないとして本件再審請求を棄却した原審の手続に違法はなく、その判断は不合理でないから、原決定は正当として是認できる。以下、弁護人の主張に鑑み補足する(なお、当審において、即時抗告申立ての趣意の理解のための参考資料として提出されたと解される資料は別紙3のとおりである)。<br> '''1 D山の新供述の明白性に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、原決定が、本件警察官調書について、警察官がD山の記憶と異なる調書を無理やり作成する必要性はなく、むしろ有害であり、駐車車両の台数の点でV村やX田らの供述と整合していないことは、D山の記憶に基づいて作成されたことを裏付けているとする点について、〔1〕本件警察官調書を作成した警察官は、被害者両名の足取りを一刻も早く把握したいと考えていた捜査本部に対し、犯行の場所や時間を特定するための有力な情報として報告する必要があった、〔2〕D山を誘導した警察官が駐車状況を誤解していたのであれば、本件警察官調書が誤った供述記載になることは当然であると主張する。<br>  しかし、目撃者かもしれない者の事情聴取にあたり、その供述と異なる不正確な供述調書を作成することは、被害者両名の正確な足取りを速やかに把握し、犯行の時間や場所を特定するという当時の捜査目的との関係では有害というほかない。初動捜査の段階から、D山の旧供述がなくても、Z田及びG山の供述等により、被害者両名が事件当日午前8時22分頃に通学路である平原バス停付近におり、その後、同日午前8時50分頃までの間に通学路外に拐取されていることは判明していたから(確定第1審甲3・25丁、甲38・345、357丁等)、犯行の時間や場所はその範囲には絞られていた。D山の旧供述は、犯人やその使用車両を目撃したといった内容ではないばかりか、既知の被害者両名を目撃したという内容ですらなく、目撃したという小学校低学年の女児2名の特徴についても、身長のほか1名の服装等を述べるにとどまっていた。他の証拠も併せ考慮してはじめて、D山が被害者両名の最後の目撃者であると認定されるに至ったものであって、最初に警察官から事情を聴かれた時点においては、事件との関連性の有無さえ確定できなかったのである。D山が原審において本件警察官調書の記載のうち記憶と異なっていたとする点は、弁護人が強調する女児らを目撃したのが事件当日か否かという点にとどまらず、原決定のいうように供述全般に及んでいるところ、D山の供述と大幅に異なる供述調書を作成したことを糾弾されるリスクや、後の捜査に混乱をもたらすリスクを冒してまで、警察官がその功績等のため本件警察官調書のような供述記載を創作した可能性は乏しい。警察官が駐車車両の台数等を誤解していた可能性は皆無ではないとしても、憶測の域を出ない上、駐車車両の台数に関する他の供述との齟齬は、本件警察官調書の曖昧な記載ぶりにも照らすと、警察官がD山の供述をありのままに録取したことの表れとみることは十分可能であり、そのような見方は不合理ではない(なお、確定審における検察官の立証構造及び確定判決の証拠構造からみて、D山の旧供述は、犯行の時間や場所の絞り込みに一定の役割は果たしたとはいえようが、それに尽きており、旧供述の有無が犯人性の推認に及ぼす影響力はかなり限定的である)。<br> '''(2)'''弁護人は、原決定が、本件警察官調書は、D山自身の心情を交えながら目撃時の女児らの動作や様子等を詳細に述べる具体性に富む内容であり、警察官が作り上げたものとは考え難いとする点について、D山の原審証言の立証命題は、D山の旧供述のうち女児らを目撃したのが事件当日であるとする部分を弾劾するものであるから、この部分に関する証言の信用性を判断すべきであって、D山の旧供述と新供述を全面的に対比して信用性を比較する原決定の手法は誤りであり、本件警察官調書が女児らを目撃した際の心情を交えた具体的なものであることは、女児らを目撃したのは事件当日ではないとするD山の新供述の信用性を否定する理由にはならないという。<br>  しかし、D山の新供述は、女児らを目撃したのが事件当日であったか否かという点だけでなく、目撃した位置やその際の女児らの動き、その直後に通過した道路の駐車車両の有無など、女児らを目撃した状況及びそれに密接に関連する部分全般について旧供述と大きく異なっており、これら一連の点について警察官がD山の記憶や供述とは異なる作文・誘導をしたという内容なのであるから、新供述の信用性を判断するに当たり、そのような作文・誘導があり得るのかという観点から、目撃したのが事件当日であったか否か以外の関連部分の内容に着目するのはむしろ自然であり、それが誤りとはいえない。<br>  付言すると、女児らを目撃したのが事件当日であったか否かという点を中心に検討してみても、D山の新供述を前提とすると、事件当日、消防隊(団)員が行方不明となった被害者両名の捜索のため農協に来ているのに、D山は捜索に役立たない話をし、これを聞きつけた警察官が後日わざわざD山から事情を聴くために農協を訪れ、そこでもD山が犯行の時間や場所の特定に役立たない話をしたにもかかわらず、事件当日に目撃したことにすべきであると判断し、更に警察官が来訪して事件当日に目撃した旨の調書を捏造したことになるが、原決定が指摘するとおり、このような経過は不自然である。また、「事件当日に警察官が農協に来たことはない。V村に女児を見かけることはある旨話したところ、『私は通勤の道順が違うから見たことはない』と言われた」旨のD山の新供述は、「事件当日午後、警察官が農協に来て、D山が警察官に女児を見たなどと話していた。自分はD山の後にE村方三叉路を通過して農協に出勤したが、女児2名は見なかった」旨のV村供述(確定第1審証人V村(V田)尋問調書1465、1469丁、確定控訴審甲40・弁60)と矛盾を来している。<br> '''(3)'''弁護人は、原決定が、本件検察官調書は、本件警察官調書と比較すると曖昧な内容にとどまる部分が散見され、時の経過に伴う記憶の減退が反映されており、D山から改めて事情を聴くことなくあらかじめ捜査官が調書を用意していたとは考えにくいとする点について、〔1〕本件検察官調書中の本件警察官調書と異なる点は、D山が訂正しなくても捜査官があらかじめ記載することが十分に可能である、〔2〕本件検察官調書の作成過程に関するD山の原審証言の核心は、検察庁に行っておらず、事情聴取をしたのは同調書に署名している検察官らではなかったという衝撃的な内容であり、記憶違いや記憶の風化では説明できず、D山がこのような点についてまで事実と異なる証言をする必要もないと主張する。<br>  しかし、本件検察官調書は、本件警察官調書とおおむね同内容ではあるが、詳細に比較すると、時間帯が若干後ろ倒し又は幅のある記載となっていたり、女児らの特徴、女児らが手をつないでいたか、女児らがD山車をよけた方向、離合した車両の特徴等について記憶がはっきりしなくなっていたり、各女児を目撃した際に別の子だと認識した理由、最後に離合した車両(確定判決によればX田車)の運転手の特徴等が付け加えられたりしている上、調書添付図面を比較しても、X田車と橋(ガードレール)と位置関係が異なるなど、複数箇所で違いが見られる。仮に、D山が原審で証言するように、改めて事情を聴かれることなくあらかじめ出来上がった調書を示され、本件警察官調書添付図面を見せられて模写するように言われて従ったのだとすると、ここまでの差異が生ずるとは考えにくい。D山が原審で証言する喫茶店で会った相手方の説得内容は、当時の捜査の進捗状況、検察官の立証構造におけるD山の旧供述の位置付け、既に本件警察官調書が存在していたこと等に照らして不自然であり、違和感を否めない。一方、本件検察官調書は、同じ検察官が福岡地方検察庁飯塚支部において同じ検察事務官立会いの下、手書きで作成したとされる検察官調書(確定第1審甲38、44、500、538、554、556、557、558、559、579)と比較して体裁に不自然な点はない上、D山の供述に対し、取調官がその意味や理由について更に問いを投げかけて答えを得て、検察官が口授した内容を検察事務官がその都度録取していったとの見方に沿う部分もある。<br>  本件検察官調書の作成過程に関するD山の新供述は、喫茶店の場所を特定している点などにおいてある程度具体性を伴っていることを踏まえても、後記のような供述の変遷やその程度、新供述に至るまでの経緯等も考慮すると、一貫して保持された記憶に基づくものとみるのは難しく、後述するとおり、本件各調書の作成をなかったことにしたいという願望や、記憶の混同、変容、欠落等に起因する信用性の乏しいものであるといわざるを得ない。<br> '''(4)'''弁護人は、原決定が、D山は、原審において、女児2名の目撃供述の根幹部分について、弁2からも合理的理由を示すことなく供述を変遷させており、一貫した記憶に基づいて証言しているとは考えられず、警察官から紺色ワゴン車に関する質問をされたことは、弁2だけでなく弁30にも記載されておらず、供述経過が不自然であり、信用できないとする点について、〔1〕女児らを目撃した日についての新供述に実質的な変遷はない、〔2〕弁2は、本件警察官調書の作成から約26年が経過した時点で、初対面の弁護人に対して最初に事情を説明した際に作成されたものであるから、女児らを目撃した場所について記憶が戻らない状態だったにすぎず、その後の面談の中で思い出して訂正に至ったことは、何ら不合理ではない、〔3〕D山が記憶を維持してきたのは、女児らを目撃したのは事件当日ではないということであり、このような簡明な事実に関する記憶が歳月によって風化することはあり得ない一方、それ以外の事実については記憶が風化していたはずであるから、真実警察官から紺色ワゴン車に関する質問をされていたのであれば供述録取書作成時に弁護人に話すはずとはいえず、弁護人との面談の中で記憶が喚起されて説明するに至ったことは何ら不自然ではないと主張する。<br>  しかし、原決定が指摘する変遷部分、すなわち、女児らを目撃したのが事件当日ではないという明確な記憶があったのかという点、化粧を終えて発進した後に女児らの横を通り過ぎたのが、E村方三叉路左折時であったのか、それよりもずっと東側(確定判決が認定した被害者両名の通学路外)であったのかという点、事情聴取の際に事件本人車を示唆する質問があったのかという点は、核心部分そのもの又はこれと密接に関連する部分であり、変遷後の供述はD山が賛同している弁護人の主張に沿う内容でもある。そして、弁2は、平成30年4月4日及び同月16日の2回にわたる主任弁護人及びZ1弁護人とD山との面談を経て、両弁護人が作成して同年5月16日に主任弁護人の事務所においてD山の署名等を得たもので、再審請求の新証拠としての提出も念頭に、慎重に作成されたことがうかがわれる。D山としても、遅くとも弁護人に連絡を取った時点では、記憶を喚起して保持する必要性を意識していたはずである。そうであるのに、弁2には、取調官に対する説明の内容とは区別する形で、3か所にわたり、D山自身の記憶の内容として、「当初から私の記憶内容が曖昧で、女児2名を目撃したのが、当日だったのか、その数日前だったのかについては、全く自信がなかった」(1頁)、「女児2名を目撃したことはあるが、これが平成4年2月20日のことだったかどうかは全く分からない」(5頁)、「女児らを目撃したのが事件当日であるのか、その何日か前であるのかの記憶が不確かであるのに、調書にサインしてしまった」(6頁)などと記載され、それとは別の箇所で、取調官に対しても同趣旨の話を繰り返した旨が記載されていて(3、6頁)、要するに女児らを目撃したのは事件当日の可能性も事件当日ではない可能性もあるが、いずれとも断定できない旨述べていた。これに対し、原審証言では、弁護人の主尋問の当初こそ「当日じゃないと思います」という答えの後に「多分」という一言を付加しているものの(原審証人尋問調書11頁)、その後は女児らを目撃したのは事件当日ではないと記憶していたという趣旨の証言を繰り返しているから(同調書21~24頁)、これを変遷と評価した原決定に誤りはない。また、弁2では、D山車を停めて化粧をしていた地点については、旧供述よりもF寄りである旨本件各調書の記載を訂正している一方、女児2名を追い越したのはE村方三叉路を左折した後の地点とされており、当時の記憶が保持されていたのであれば、後者の点を訂正できなかったというのは不自然であるし、その後喚起されたという記憶の正確性にも疑念を抱かざるを得ない。さらに、弁2には「同月22日は、この程度の話をして終わったと思う」旨明記され(3頁)、警察官からカタログを見せられて紺色ワゴン車に関する質問をされたといった話は弁30にも一切出てこないが、真実カタログを見せられるなどしていたのであれば、弁護人との面談を経てもこれらの供述録取書作成時までに記憶が喚起されなかったということになり、そのような経緯は不自然であり、不意に思い出したとする記憶の正確性も疑わしい。そのほか、D山の供述には、弁2と原審証言とを比べると、複数の点につき食い違いが認められ、証言中でも変遷している点がある。女児らを目撃したのは事件当日ではないという点を含め、D山が当時の記憶を正確に保持しているのであれば、このような供述経過をたどるとは考え難い。<br> '''(5)'''弁護人は、D山は、自らの記憶と異なる供述調書が作成されたことが事件本人に対する死刑判決に影響を与えたのではないかという自責の念や、供述調書作成時に記憶と異なる点を是正しようとしたもののできなかったことへの後悔から、今度こそ自らの記憶どおりに証言すると決意し、事件当時のように生活の平穏が乱される事態になることを恐れながらも、弁護人に接触して良心に従って証言することを名乗り出たものであって、あえて記憶と異なる内容の供述をするはずがなく、弁護人に迎合し、思い込みによって記憶が変容することもあり得ず、また、旧供述が記憶と符合していた可能性もあるかもしれないという曖昧な記憶だったのであれば、これほど自責や悔悟の念にとらわれることにはならないし、弁護人に接触して供述を訂正しようという行動に出る必要はなかったのであり、原決定はD山が証言するに至った動機や心情を無視ないし軽視していると主張する。<br>  弁2、32等によれば、D山は、事件直後に警察の事情聴取に応ずると、供述内容がマスコミに漏れて連日のように取材攻勢に悩まされるようになり、断り切れずにテレビ取材に応じたところ更に嫌な思いをし、結局農協を辞めることになるという、二度としたくない経験をした上、その後程なくして転居し、次第に気にならなくなっていた矢先、繰り返し要請されて本件検察官調書の作成のためやむなく帰省したというのである。そして、D山は、再び同じ県内に住むようになって以降、マスコミ報道やYouTube等を見て、事件本人は無実かもしれず、自己の供述が事件本人を死刑にしてしまったかもしれないという強い後悔の念が湧いてくるようになった上、第1次再審請求に係る即時抗告棄却決定を受けた弁護団の記者会見の内容を知って不安が募り、夜も眠れない状態となり、弁護人の事務所に「YouTubeで講演を見た。先生たちと同じ考えで、犯人は他にいると思っている。講演会等があれば参加したい」などと電話をかけ、新供述に至ったというのである。原審でも、「本件各調書が判決に影響を与えたと思っており、それが精神的負担になっている」旨証言している。<br>  このような経緯やD山を取り巻く状況等に照らすと、D山が自責や悔悟の念、不安といった心境に至ったこと自体が不自然であるとはいえず、D山があえて現在の記憶と異なる内容の供述をしている可能性が高いなどとみているわけではない。しかし、D山の新供述の不自然性、他の証拠との齟齬、変遷の内容やその程度等に照らすと、D山が見聞きした報道や弁護人の見解等に無意識のうちに迎合し、あるいは思い込みによって、事件当日や本件各調書作成当時に関する現在の記憶自体が変容してしまっている可能性は否定できず、少なくともそのような見方が不合理とはいえない。すなわち、D山にとって本件各調書の作成は辛く嫌な出来事であり、これを思い出さないようにしていたこともあって、時の経過とともに記憶が曖昧になることは無理もないことであるが、それだけではなく、確定判決に疑問を投げかける情報に接したことを契機に、それを支持する情報ばかりが目に付くようになると、その結果、記憶が一層混乱するとともに、自身のみがE村方三叉路付近で女児2名を目撃した旨供述しているという現実を抱えきれなくなり精神的に不安定な状態が亢進しかねない。そうした場合、その苦境から脱し、自らの心身を守るため、自身が目撃した状況は事件と無関係であり、旧供述は自身がしたものではないことにしたいという心理が働くことや、それが言動に影響してしまうことは十分に考えられ、D山の新供述の不自然性等(例えば、D山が当初から原審証言の地点で女児らを目撃し追い越したと供述していれば、D山が被害者両名の最終目撃者とされなかった可能性が高まる)に照らすと、その疑いは濃厚である。D山が意図的に虚偽供述をしているのではなくても、前記のような新供述を信用するのは極めて困難であるといわざるを得ない。<br> '''(6)'''弁護人は、〔1〕平原バス停付近で被害者両名を目撃したZ田は、事件当日に学校にその旨報告したところ、学校に来ていた警察官がZ田方に来て目撃状況を報告した旨供述しており、D山が事件当日に警察官に対して同日女児らを目撃したと供述していたのであれば、Z田と同様に、直ちにその供述について詳細な事情聴取がされていたはずであるが、そのような対応は取られていない、〔2〕D山の旧供述が事件当日に女児らを目撃したとする時間帯、E村方三叉路付近ではW田とX島が立ち話をし、X田がX田車で同三叉路を北上し、V村がD山の後にV村車でD山車と同一方向に同三叉路を走行しているが、D山以外誰一人として被害者両名を目撃していないと指摘し、このような客観的状況ないし動かし難い事実は、旧供述と整合せず、D山の原審証言の信用性を補強しているのに、原決定はこの弁護人の指摘について判断することを意識的に回避していると主張する。<br>  しかし、いずれの点についても、確定審の段階で既に判断の前提とされていた事情であり、原決定は、そのような観点等から具体的に取上げる必要まではないと判断したものと解される。<br>  付言すると、〔1〕の点については、D山と異なりZ田は既知のA田らを目撃したと供述していたものである上、本件各調書によれば、D山は事件当日に農協を訪れた警察官に目撃状況を説明したとされており、目撃者がその場にいなかったため来訪することとなったZ田との間で、警察の対応に有意な差があるとはいえないから、旧供述の信用性は損なわれず、新供述の信用性が補強されることにもならない。〔2〕の点については、確かに、確定審の証拠関係からは、事件当日午前8時30分前後頃、E村方三叉路付近にいた4名(V村、W田、X島及びX田)の中に、被害者両名を目撃した者が存在しないというのは、一見すると不自然さを否めないようにも思われる。しかし、そもそも、関係者がE村方三叉路付近にいた時間や場所を客観的かつ正確に認定することはできない上、D山による目撃後の被害者両名の行動は、あらゆる可能性を排除できないのである。これは、確定第1審及び控訴審判決において「被害者両名はD山に目撃された後犯人に誘われるなどして登校路を逆に向かった可能性があり、犯人が顔見知りであったため被害者両名は容易に乗車したと推認される」旨指摘されていることからも明らかである。弁護人の指摘は、それ自体では新旧両供述の信用性に影響するような事情とはいえない。<br> '''(7)'''弁護人は、D山の旧供述は、同意書面として取り調べられたものであり、信用性について反対尋問等による検討を経ていないものであるのに、原決定はこの点を考慮していないという。<br>  しかし、原決定(8頁)も指摘するとおり、本件各調書は、捜査段階から事件本人が犯人性を争っている中、確定審で検察官から弁護側に開示された証拠であって、〔1〕本件検察官調書は、確定第1審において検察官が立証趣旨を「被害児童両名の登校状況」として請求し、当時の弁護人が同意した上で取り調べられたもの、〔2〕本件警察官調書は、確定控訴審において、検察官が「供述経過」を立証趣旨として請求し、弁護側(主任弁護人その他の本件の弁護人4名を含む)が異議なしとの意見を述べただけでなく、弁護側も「D山が被害者らを目撃した場所に到着した時刻及び被害者らを目撃した時刻」を立証趣旨として請求して検察官が同意し,双方請求の書証として採用されて取り調べられたものである。弁護側からD山の証人尋問が請求されたこともなかった。利害関係のない第三者であるD山の旧供述については、その信用性を疑う理由が見当たらないのである。<br>  D山の新供述には既に述べた看過し得ない問題点があることも踏まえると、本件各調書が書証であることが信用性判断に影響することはない。 <br> '''(8)'''弁護人は、〔1〕原審において、弁護側が求めたD山の初期供述に関する証拠の開示について、検察官は、同証拠が残されていないはずがないのに、不存在と釈明し、検察官がその存在を認めた検察官送致記録添付の一覧表(送致記録中の書類目録及び関係書類追送書をいうものと解される。以下「書類目録」という)についての原裁判所の開示勧告を拒否したが、原決定は、D山の原審証言の信用性を評価するに当たり、この検察官の対応を捨象している、〔2〕検察官が、同勧告に従わなかったという事実から、D山の初期供述に関する未開示証拠の存在が推認されるともいう。<br>  確かに、本件各調書によれば、事件当日の被害者両名の捜索時に警察官がD山から事情を聴取したとされているが、いまだ被害者両名の生死が不明の時点での聴取であって、その約10日後には本件警察官調書が作成されているから、初動捜査の段階におけるD山供述の位置付け(前記第3の1(1))にも鑑みると、当初の事情聴取結果が捜査書類の形で確実に存在しているはずであるとはいえず、検察官の回答が明らかに虚偽であるとはいえない。検察官は、原審の書類目録の開示勧告に対し、〔1〕書類目録は内部の連絡文書又は手続文書であって証拠ではない、〔2〕書類目録を開示しても弁護人が開示を求める証拠の存否は明らかにならないことなどからすると、開示の必要性がない、〔3〕探索的に膨大な証拠開示勧告申立てが繰り返され、手続が紛糾し、参考人のプライバシーが侵害されるなどの弊害があるといった理由を述べて勧告に応じなかったものであり、その見解に全面的に賛同することはできないとはいえ、検察官の対応から、手持ち証拠中に存在するD山の初期供述に関する証拠を意図的に隠蔽しているとみるのは、合理的な根拠のない憶測というべきである。原決定が、D山の新供述の信用性を判断するに当たり、証拠開示に関する検察官の対応を考慮しなかったことに誤りはない。<br> '''(9)'''その他弁護人の主張に鑑み検討を加えても、D山の新供述の信用性に関する原判断に不合理な点はない。<br> '''2 本件報告書の明白性に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、本件報告書は、被害者両名の歩行速度を平均的な速度より早く設定しても、X田やV村の視界から消えることはあり得ないことを明らかにしていると主張する。<br>  しかし、本件報告書が前提とする被害者両名の歩行速度(秒速約0.75m)は、確定判決が依拠した子供の足の速さ(確定第1審甲33)よりも遅い上、原審で検察官が指摘していたように、小学校1年生の女児の平均的な平常歩行速度と比べてもやや遅い。原決定も指摘するとおり、本件各調書によれば、被害者両名がE村方三叉路に現れたのは午後8時30分ちょうどではなく、その少し前等とされており、本件報告書の想定より短時間で平原バス停付近とE村方三叉路の間を移動した可能性がある上、被害者両名はいずれの地点でも学校に行きたくない様子で「とぼとぼ」ないし「だらだら」と歩いており(確定第1審甲38、39等)、両地点間では普段よりも遅い速度で歩いていた可能性を否定できない。しかも、D山が目撃した後の被害者両名の行動は不明なのである。被害者両名が秒速約0.75mよりも早い速度で北上するなどしたため、X田やV村に目撃されなかった可能性は相応にある。<br> '''(2)'''弁護人は、確定判決38頁の「直後」の意味をV村車が離合するタイミングの趣旨であると読み替える原決定の解釈は、文理に反し作為的であると主張する。<br>  しかし、原決定も指摘するとおり、「X田車が一旦X島車のすぐ後ろに停車した直後、V村車が通りかかった」旨の確定判決の説示は、駐車車両が3台あった旨のD山の本件検察官調書における供述が、他の関係者の供述等に照らし記憶違いであることを論証する中での説示であるから、「直後」というのは、X田車が一旦停車した後V村車と離合する前に他車と離合していないことをいわんとしたものとみることも可能であり、V村、W田及びX田の供述内容(確定第1審証人V村(V田)尋問調書1459丁、同証人W田尋問調書1495丁、同証人X田尋問調書1598、1607丁。確定控訴審甲40・弁60も同様)に照らしても、本件報告書が想定するような、X田車が当初の停車位置に到達した時点でV村車が目前に迫っているような状況を想定した説示とは限らない(更に言えば、確定判決40頁の説示からD山車とX田車が離合した地点をD山とX田がそれぞれ供述する地点の中間と設定する本件報告書の想定にも疑問がある)。原決定の解釈は不合理でない。<br> '''(3)'''弁護人は、本件報告書に係る再現実験は、原決定のいうように関係者の移動に要した時間を秒単位で再現しようとしたものではなく、誤差を吸収できるだけのバッファを考慮したおおよその速度を前提としており、X田車がD山車と離合してから極めて短時間でX田が被害者両名を目撃可能な位置に達すること、V村車がE村方三叉路入口に到達していれば、被害者両名が通学路を後戻りしたとしてもV村は被害者両名を目撃できること、V村車が同三叉路入口からX島車付近まで移動するのに要する時間は数秒間であることが確認されているから、旧供述どおりD山が被害者両名を目撃したのだとすると、X田やV村が被害者両名を目撃しないことはあり得ないと主張する。<br>  しかし、本件報告書には、被害者両名の移動速度や確定判決の解釈に関して既に指摘したような問題点がある上、車両等の位置の決定の参考にしたとされる各調書添付図面は、道路状況を含めて手書きされたものか(本件検察官調書)、住宅地図に手書きで書き込みをしたもの(各証人尋問調書)で、いずれも視認可能性の検証をも想定した正確性を企図したものではない。各図面を比較すると、おおよその位置関係は合致していても、距離を問題とするのであればずれが生じているし、本件各調書の添付図面間の食い違いからすると、D山車とX田車が離合した位置についてのD山の記憶は曖昧なものであったこともうかがわれる。後述するとおり、確定判決の事実認定に従っていない部分もある。本件報告書に係る実験は、地点の特定を含め、確定判決が認定した事件当時の状況を正確に再現できているとはいい難く、X田やV村が被害者両名を目撃しないことはあり得ないなどという本件報告書の結論を採用することはできない。<br>  なお、本件報告書は、「V村はD山が被害者両名を目撃してから約3分後に同じ道を通った」旨の確定判決の認定は完全に誤っているとも指摘する。V村がD山のどの程度後にE村方三叉路を通過したかについて、確定判決は、「ほんの数分後」という表現(10頁)だけでなく、「約3分後」という表現も用いているが(39頁)、その根拠をみると、D山が、本件検察官調書において、「農協の駐車場で化粧品等を拾い集めたりしているうちにおそらく3分くらいかかったのではないかと思う。するとちょうど同僚のV村がV村車に乗って駐車場に入ってきた」旨供述している点を捉え、そこから遡ると同三叉路においてもその程度の間隔はあったと推認できるとの判断に基づくものと解される(確定判決33頁参照)。確定判決は、D山が午前8時30分過ぎ頃同駐車場に到着し、D山と共に農協に入店したV村が時計(大体合っているという限度のもの)を確認したところ午前8時33分頃であったことをも前提としており(確定判決33、34頁)、「約3分」といった説示は、相応の幅を持たせたものであることも明らかである。本件報告書は、確定判決の事実認定に従うとしながら、D山による被害者両名目撃の約3分後にV村がE村方三叉路を通過した旨の事実認定については前提としない一方、視認可能性に関する再現実験の算定根拠となるほどの客観性や正確性を指向していない確定判決や調書の記載についてはその意図しない方法で用いるなど、条件設定が恣意的との印象を与えかねず、そのような実験については公正さを疑われ、得られた結論の説得力が乏しいと評価されてしまってもやむを得ない。したがって、「V村はD山が女児らの横を通過してから21秒後に同じ地点を通過した」という結論もまた採用できず、確定判決の認定の誤りを示すものとはいえない。<br> '''(4)'''弁護人は、本件報告書に係る再現実験では、V村車が、E村方三叉路が見え始める地点に到達し、同三叉路入口を通過し、X島車付近へと進んでいき、同三叉路の内部を詳しく見ることができるようになったにもかかわらず、被害者両名を目撃しなかったことが明らかになっているのに、原決定はこのことを無視しているともいうが、確定判決も原決定も、V村がD山による被害者両名目撃の約3分後にE村方三叉路を通過したことを前提としているから、その点で弁護人とは異なっているが、弁護人指摘の点は前提としていると解される上、これを踏まえても、本件報告書に既に指摘したような問題がある以上、信用性を欠くとの結論は変わらない。<br> '''3 K村の供述の明白性に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、K村の原審証言の信用性と、事件との関連性は別問題であり、前者は後者を判断する前提事項であるのに、原決定は両者を混同して信用性の問題として評価しており、論理性を欠いていると主張する。<br>  しかし、K村が事件当日に女児2名を目撃したのだとしても、それが被害者両名でないのであれば、K村供述が旧証拠の証明力を減殺する余地はないことになるし、被害者両名である可能性が乏しいということになれば、被害者両名を目撃したかのようにいうK村供述の信用性には疑念が生ずることになるから、女児2名を目撃した時刻、場所、被害者両名との類似性など、事件との関連性を示す部分の信用性を中心に吟味した原決定の手法に誤りがあるとはいえない。<br> '''(2)'''弁護人は、原決定が、目撃した女児2名に関するK村の原審証言について、被害者両名と顔貌が似ていたとする根拠が具体性を欠くこと、小学校1年生と断定する根拠が甚だ薄弱であること、前記2名の相違点についての指摘もないこと、年齢や服装等の概括的で目につきやすく記憶に残りやすい特徴の言及が乏しいことなどを理由に、女児2名の目撃内容に関するK村の供述は信用性に乏しく、特に顔貌が被害者両名に似ているなどと述べる詳細部分は信用し難いとする点について、〔1〕「目撃した女児2名は記者から見せられた被害者両名の顔写真と雰囲気が似ていた」旨のK村の原審証言は、恨めしそうな顔で見つめられたという特異な体験をし、その表情を忘れられなかったことから可能になったものであり、短時間の目撃であったのであるから、それ以上に似ているとする具体的根拠を示せなかったことは、信用性を否定する理由にならない、〔2〕記憶の残りやすさについて、何ら不審を抱くことなく目撃した場合と、K村のように不審を抱いて目撃した場合とを同列に論ずることはできない、〔3〕女児1名のランドセルの色の記憶違いについても、短時間の目撃であることを考慮すれば、記憶が明確でなくなるのは当然であるなどと主張する。<br>  しかし、原決定も指摘するとおり、K村は、目撃した女児2名が被害者両名であると同定する具体的根拠に乏しく、学年を特定する根拠は甚だ薄弱で、特に後部座席に横たわっていた女児についての視認条件は良好とはいい難く、顔貌を確認し、記憶できたとは到底思えないにもかかわらず、断定的な供述を繰り返している。K村は、B山に似ている女児の奥に置かれたランドセルの色が赤だと思ったのは記憶違いだった旨証言するが、B山のランドセルの色と記憶しているランドセルの色が一致しないのであれば、別人である可能性を思い描いてしかるべきであるのに、なぜ当初の記憶が間違いであると即断できるのか不明である。これらは、K村の知覚及び記憶の正確性に疑問を抱かせ、目撃した女児2名が被害者両名であるとの思い込みに基づいて供述している可能性を示す事情である。<br>  付言すると、K村は、面識のない女児2名を目撃してから約26年の間、被害者両名との同一性を確認する機会がなく、かつ、確認時には被害者両名の写真だけを示されたというのである。目撃から原審証言まで30年以上の期間が経過し、実際に目撃した女児2名の印象が薄れてもおかしくない中、記者から示された被害者両名の写真の記憶との混同が生じているのではないかとの疑いも抱かざるを得ない。<br>  また、K村は、弁1、28では、ランドセルを見たという以上に女児2名の年齢を具体的に特定する供述はしていなかったのに、原審ではいずれも小学1年生であると断言している。弁28では、記者から見せられた被害者両名の写真のうち、A田がK村の方を向いていた女児に似ていたとしか述べていなかったのに、原審では被害者両名とも似ていたと証言している。最初に目に入ったのが誰かという点や、裁判所を訪れて事件本人の公判を傍聴した経緯等についても変遷している。不審車両の運転手の年齢については、同運転手がZ4である可能性をいう弁護人の主張に沿う形で次第に具体的になっており、検察官から被害者両名の死亡時刻は午前9時30分頃と判断されている旨指摘されると、そのことは知っているとした上で、女児のこわばった表情からして完全に消化不良を起こしているなどと、死亡時刻は確定判決の認定より遅かった可能性をいう弁護人の主張に沿う証言もしている。<br>  このように、K村の供述には、当初の知覚及び記憶が不正確で、当時の記憶がそのまま維持されていないことを疑わせる事情だけでなく、長い年月の中で確定判決に関する様々な情報に接したことなどから、自身は被害者両名を目撃しているという思い込みや、犯人は事件本人ではないという先入観に基づいて供述しているのではないかと疑わせる点もみられる。<br> '''(3)'''弁護人は、原決定が、目撃時刻に関するK村の供述は変転していることなどからして信用できないとする点について、K村の原審証言の核心部分は、「事件発生日の事件発生時刻と近接した時間に、事件発生場所と近接した場所である八木山バイパスで、35歳前後の男性が運転する、小学校1年生(弁護人は小学1年生「くらい」とするが、K村は小学1年生と断言している)の女児2名が乗った白色軽ワゴン車を目撃した」などという部分であり、目撃時刻は核心部分ではなく、目撃から30年余りが経過してこの点の記憶が曖昧になり、変遷が生じていたとしても、核心部分の信用性は否定されないと主張する。<br>  しかし、目撃時刻と確定審の認定する殺害及び死体遺棄の時刻との先後関係は、K村供述の重要部分であるから、目撃時刻が早まる方向に供述が変転し、曖昧となっていることをもって、信用性を否定する一事情とみた原決定は不合理でない。<br>  付言すると、K村は、弁28において、「弁1では会社から取引先に向かったと考えて計算していたが、自宅から取引先に直接向かったことを思い出した」旨供述して目撃時刻を約1時間遡らせているが、原審では「当初から弁護人に自宅から直接取引先に向かったと説明していた」とも述べており、弁1と弁28の間の変遷の理由すら曖昧となっている。<br> '''(4)'''弁護人は、原決定が、K村が目撃した女児2名が被害者両名であるとすると、犯人は被害者両名を拐取した後、一旦八木山バイパスを通って福岡市方面に向かいながら、その後進路を逆に変えて飯塚市方面に戻り八丁峠方面に向かったことになって不自然であるとする点について、突発的な事件であり、犯人は殺害等に及ぶ場所を物色して迷っていたと考えられるから、八木山バイパスを走行するはずがないとはいえないと主張するが、原決定の評価が不合理とはいえない。<br>  付言すると、K村は、平日に女児2名が乗車していたこと、女児や運転手の表情等から、目撃したのは被害者両名と犯人だったのではないかと思ったというが、表情等に関するK村供述を前提としても、男性が女児2名を乗せて同バイパスをゆっくりと走行する目的としては、様々な可能性が考えられるところである。女児2名の識別供述に証拠価値が認められない以上、目撃した時刻、場所及び進行方向等に照らし、K村が目撃した状況は事件とは関連がないと推認するのが合理的である。<br> '''(5)'''弁護人は、警察官から紺色ボンゴタイプ車でなかったかと質問されたとするK村の証言部分は、T田供述が誘導によるものであることを強く示唆するとともに、K村の供述調書が作成されなかった理由を明らかにするものであるのに、原決定はこの部分を無視していると主張する。<br>  しかし、弁護人指摘の部分を含め、K村の原審証言の信用性を否定したものと解される原決定は不合理でない。当時、捜査機関は犯人が白色の車両を使用していた可能性もあるとみて捜査を継続していたことがうかがわれ(確定第1審N尋問調書1376、1387、1398丁、確定控訴審弁7)、K村の証言内容は捜査の初期段階における警察官の質問として不自然さを否めない。また、弁1では、警察官から紺色の普通車でボンゴタイプではなかったかと聞かれたという話は一切出てこない。弁1は、令和2年1月9日、K村がZ1弁護人及びZ2弁護人に対して話した内容を、弁護人側で供述書の原稿としてまとめ、同月23日、K村が署名するなどしたものであるところ、K村は弁護人には弁1作成前にこの話を伝えていたかのように証言するが、仮にそうであったとすれば、弁護人がかねてより強く主張している事件本人を犯人視する見込捜査の可能性を示す一事情と捉えるのが自然であり、供述書の原稿に記載されないとは考え難い。K村は、事件に関する報道を通じ、長年紺色のボンゴタイプ車の目撃状況が争われてきたことを認識しており、その供述には既に指摘したような問題点があることにも鑑みると、警察官から紺色ワンボックス車ではないかと聞かれたとする点も信用し難いとする見方が不合理とはいえない。<br> '''(6)'''弁護人は、K村は、事件と利害関係がないのに、目撃した女児の恨めしそうな表情が忘れられず、何もできなかったことに対する自責の思いや、事件に関係していると確信していた目撃状況を明らかにしなければという責任感等から、事件の発生を知ってすぐに警察に連絡し、数日後に事情聴取に訪れた警察官に監視カメラを確認するよう助言しただけでなく、長年にわたり、公判を傍聴し、弁護人の事務所に電話し、同所を訪問するなどの行動をとり続けてきたのであり、虚偽の供述をしなければならない動機はないと主張し、原決定はこのようなK村が証言するに至った動機や心情を無視ないし軽視していると主張する。<br>  しかし、K村が、そのような責任感等を有していること自体を疑っているわけではなく、そうした心境があるからこそ、自らが事件の真相を知っているという思い込みを生み、それが記憶や供述をゆがめている可能性もうかがわれるのであるから、弁護人指摘の事情は、K村供述の信用性判断を左右しない。<br> '''(7)'''弁護人は、〔1〕原審において、弁護側が求めたK村の初期供述に関する証拠の開示について、検察官は、同証拠が残されていないはずがないのに、不存在と釈明し、原裁判所の書類目録の開示勧告を拒否したが、原決定は、K村の原審証言の信用性を評価するに当たり、この検察官の対応を捨象している、〔2〕検察官が、同勧告に従わなかったという事実から、目撃後の通報や事情聴取時の説明内容等についてK村の証言どおりの内容が記載された証拠の存在が推認できるともいう。<br>  しかし、K村の供述を前提としても、来訪した警察官がK村の話を手帳にメモしていたにとどまるのであって、その説明内容や、当時、同様の目撃情報は多数寄せられていたとうかがわれること(確定控訴審弁7)にも鑑みれば、事情聴取結果が捜査書類として確実に存在しているはずであるとはいえず、検察官の回答が明らかに虚偽であるとはいえない。また、前記第3の1(8)で述べたとおり、検察官の見解に全面的に賛同することはできないとはいえ、検察官の対応から、検察官が手持ち証拠中に存在するK村の初期供述に関する証拠を意図的に隠蔽しているとみるのも、合理的な根拠のない憶測というべきである。<br> '''(8)'''その他弁護人の主張に鑑み検討を加えても、K村供述の信用性に関する原判断に不合理な点はない。<br> '''4 証拠開示命令の申立てを職権不発動とした原審の判断に関する主張について'''<br>  弁護人は、D山の新供述やK村の供述の信用性を判断するためには、弁護人が申し立てたD山及びK村の初期供述に関する証拠の開示が必要不可欠であり、これらの証拠が存在しないはずはなく、検察官の不存在との回答はその裏付けなくしては到底信用し得ないのに、検察官に対して書類目録の開示を勧告したのみで、これに応じなかった検察官に対し、弁護人の申し立てた証拠開示命令ないし提出命令を出すなどの措置を講じなかった原審の手続には、審理不尽があるという。<br>  しかし、D山及びK村の初期供述に関する証拠が確実に存在しているはずであるといえないことは既に説明したとおりである上、原決定が評価するとおり、D山の新供述及びK村の供述の信用性はいずれも乏しく、書類目録が開示されることによりその評価が揺らぐ可能性もまた乏しかったといえるから、原審が弁護人指摘の勧告以上の措置を講じなかったことに裁量逸脱の違法はなく、審理不尽があるとはいえない。このことは、当審における審理を通じて一層明らかになったといえる。<br> '''5 公務所照会の申立てを職権不発動とした原審の判断に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、原審は、Z3がZ4と共に収容されていたとする医療刑務所に対し、〔1〕平成11年1月1日から平成12年12月31日までの間にZ3が収容されていた事実の有無、〔2〕同時期にZ4が収容されていた事実の有無、Z4が収容されていた場合には、その本籍、血液型及び顔写真に関する報告を求める公務所照会(以下、それぞれ「照会事項〔1〕」「照会事項〔2〕」といい、併せて「本件公務所照会」という)の申立てを職権不発動としたが、弁18において飯塚事件の犯人であることを告白したとされるZ4は、K村が目撃した不審車両の運転手と同一人物である可能性があり、本件公務所照会は、Z3供述及びK村供述の信用性を判断するために必要不可欠であったと主張する(なお、弁護人は、即時抗告申立期間経過後、原決定が、Z3供述の信用性及び同供述とK村供述との関連性についての判断を遺脱している旨の主張もしている)。<br> '''(2)'''弁18の概要は前記第1の5(2)エのとおりであるが,弁19及び20等によれば、弁護人が弁18を入手し、本件公務所照会を申し立てた経緯等は次のとおりである。 <br>  Z3は、平成29年11月、殺人(認定罪名傷害致死)等被告事件により第1審で懲役10年に処せられて控訴し(検察官も控訴)、控訴審係属中であったところ、平成30年4月頃、同事件の弁護人を通じ、飯塚事件の真犯人に関する情報を伝えたいとして、当時第1次再審に係る特別抗告を申し立てていた主任弁護人及びZ1弁護人に連絡を取った。両弁護人が接見したところ、Z3は、Z4(以下「Z4′」という)なる元同房者から飯塚事件の真犯人であると告白を受けた旨述べた。弁護人らは、新聞記事からZ4′はZ4であると特定したが、所在調査が奏功せずにいたところ、同年9月にZ3に対する控訴審判決があり、同年10月、Z3から、主任弁護人宛てに、「Z1弁護人が飯塚事件に関して調書を作成するので署名してほしいと言っていたがどうなったか。控訴審で第1審より重い刑に処せられてしまった。上告や憲法に強い弁護士を紹介してほしい。いつでも供述調書に署名するので面会してほしい」旨の手紙が届いた。Z1弁護人は、Z3から聴取した内容を供述録取書案にまとめ、聴取未了の日付等は空欄にした上で、同月10日、Z3に内容を確認してもらった上で差入れる一方、「上告審の弁護人になるか、弁護士を紹介してほしい」旨のZ3の依頼を断った。すると、Z3から、主任弁護人に宛てに、「供述録取書を宅下げする前に一度話がしたい」旨の手紙が届いたため、主任弁護人が2回にわたり接見し、Z3から指摘のあった箇所を訂正し、作成日付を更新した新たな供述録取書案を差し入れた。さらに、Z3から、2回にわたり、主任弁護人宛てに、「上告審を担当してくれる弁護士を早急に紹介してほしい」旨の手紙が届いた。同年12月20日、Z1弁護人がZ3と接見し、供述録取書を宅下げしない理由を尋ねたところ、Z3は、「拘置所の担当者から、両弁護人は『弁護人となろうとする者』ではなく、飯塚事件が目的ではないかと質問され、宅下げを止めざるを得なかった。弁護士を紹介してもらえば、その弁護士には宅下げができるのではないか」と提案してきた。以降、Z3との連絡は途絶えていたが、本件再審請求後の令和3年7月29日頃になり、突然、服役中のZ3から、Z1弁護人宛てに、当初差し入れた平成30年10月10日付け供述録取書案を補充訂正の上署名した弁18が郵送されてきた。その後、Z1弁護人は、Z4の刑事確定訴訟記録(判決)の閲覧申請をしたが、本籍及び住居については閲覧不許可となり、Z4の本籍、住居及び血液型についての情報を得ることができなかった。<br>  そこで、弁護人が、本件公務所照会を申し立てるとともに、検察官に対し、Z4の本籍の任意開示を求めたのに対し、検察官は、開示に応ずることはできないと回答し、本件公務所照会は不必要かつ不相当であるから職権発動すべきではない旨の意見を述べた。<br>  なお、弁護人は、弁18~20について、当初「本件公務所照会に係る照会事項、特にZ4の本籍について開示してもらえるのであれば、調査した上で新証拠として請求するかどうか検討したい」などと発言していたが、その後は「弁18の新証拠としての明白性を判断する上でZ4の特定が必要不可欠である」「本件公務所照会がされていれば、新証拠としてのZ3供述の明白性が明らかになり、K村供述の明白性も補強されたものと思料する」などと主張していた。<br> '''(3)'''原裁判所は、原決定中では、Z3供述に新規性を認めつつその信用性について具体的に取り上げて説示していないものの、本件公務所照会の申立てを職権不発動とした理由を述べる中でZ3供述の信用性にも言及しており、この判断を原決定当時まで維持しているものと解される。その理由の要旨は次のとおりである。<br>  照会事項は、犯行告白を受けたというZ3供述の信用性に直接関わるものではない。照会事項〔2〕はみだりに明らかにされないことが求められる事項であるという観点から、弁18をみると、単に犯行告白を受けたという内容で、なぜZ4がZ3に対して重大犯罪を告白したのか、処罰を恐れているにもかかわらずなぜZ3に犯行を認める供述をしたのかについて首肯し得る説明はない。作成経緯も不自然である。このように不可解な点が多々ある弁18を根拠にZ4に関する報告を求めることは相当でない。照会事項〔1〕は、それのみで照会をする必要性は認められない。<br> '''(4)'''Z3供述の信用性を否定した原判断は不合理でなく、本件公務所照会の申立てを職権不発動とした原審の手続に裁量逸脱の違法があるとはいえない。<br>  Z3が、両弁護人に対し、元同房者から飯塚事件の真犯人であると告白された旨の情報提供をし、供述録取書の作成に応ずるかのような素振りを見せたのは、前記経緯からすると、自己の刑事事件についての弁護を受任してもらい、弁護人となる者を紹介してもらうなどの有利な取り計らいを期待してのものであったとみられてもやむを得ないところである上、供述の内容も、原審が指摘するとおり唐突な感が否めない。Z3が弁18を郵送することとしたのが、本件再審請求がされたのを知ったことが一因であるとしても、最新版ではない供述録取書案に署名するなどして何の説明もなく一方的に郵送してくるなど、真摯性に疑問がある状況は続いており、この疑問を解消するに足る証拠は提出されていない。原決定が評価するとおり、Z3及びK村の供述の信用性はいずれも乏しいから、照会事項の性質も考慮し、本件公務所照会は不相当ないし不必要であるとした原審の判断が、その裁量を逸脱した不合理なものであるとはいえない。<br> '''6 原決定が第1次再審請求審で提出した証拠を改めて評価しなかったことに関する主張について'''<br>  弁護人は、原審において、第1次再審請求審の証拠評価の誤りを指摘し、第1次再審請求審における新証拠について改めて判断するよう求めたのに、原決定がこの点について何ら判断を示していないのは誤りであるというが、本件再審請求において新たに提出された証拠が旧証拠の証明力に影響することはないとの原判断が是認できる以上、第1次再審請求において明白性を否定された証拠の証明力を再評価しなかった原決定に誤りはない。<br> ===第4 結論===  以上のとおり、本件即時抗告には理由がない(なお、即時抗告申立期間経過後に新たに追加された主張を踏まえて検討してみても、この結論は変わらない)。<br>  よって、刑訴法426条1項により、主文のとおり決定する。<p> 令和8年2月16日<br> 福岡高等裁判所第1刑事部<br> 裁判長裁判官 溝國禎久 裁判官 内藤恵美子 裁判官 大友真紀子<br> <br> (別紙1)図面<br> (別紙2)<br> 括弧内は作成者ないし供述者と作成日付である。<br> 弁1  供述書写し(K村、令和2年1月23日)<br> 弁2  供述録取書写し(D山、平成30年5月16日)<br> 弁3  判決書写し(陶山博生ほか2名、平成11年9月29日)<br> 弁4  判決書写し(小出錞一ほか2名、平成13年10月24日)<br> 弁5  判決書写し(滝井繁男ほか4名作成、平成18年9月8日)<br> 弁6  最新の方法によるDNA鑑定結果報告書写し(本田克也、平成21年10月13日)<br> 弁7  鑑定書写し(本田克也、平成24年10月15日)<br> 弁8  鑑定書写し(本田克也、平成27年8月17日)<br> 弁9  殺人事件報告書写し(Z5ほか1名、平成4年3月2日)<br> 弁10 殺人事件報告書写し(Z5ほか1名、平成4年3月4日(午前))<br> 弁11 殺人事件報告書写し(Z5ほか1名、平成4年3月4日(午後))<br> 弁12 遺留品発見現場におけるボンゴ車目撃情報の入手経路、並びにボンゴ車のボディライン、センターキャップに関する捜査報告書写し(K3、平成4年10月15日)<br> 弁13 いわゆる飯塚事件におけるT氏供述の正確さに関する第2次鑑定書写し(嚴島行雄、平成23年7月8日)<br> 弁14 飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書写し(嚴島行雄、平成27年4月30日)<br> 弁15 飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書補遺写し(嚴島行雄、平成27年5月8日)<br> 弁16 飯塚事件における目撃者Tの供述に関する第4次心理学鑑定書写し(嚴島行雄ほか1名、平成27年12月2日)<br> 弁17 飯塚事件における目撃者Tの供述に関する第4次心理学鑑定書補遺写し(嚴島行雄ほか1名、平成27年12月14日)<br> 弁18 供述録取書写し(Z3、平成30年10月10日)<br> 弁19 封筒写し<br> 弁20 Z3の供述録取書の入手経過とその後の調査結果について(Z1、令和4年5月3日)<br> 弁21の1ないし3 空中写真<br> 弁22 空中写真<br> 弁23 地図<br> 弁24 地図<br> 弁25の1及び2 飯塚市道路台帳平面図写し<br> 弁26 現場再現実験報告書(飯塚事件弁護団、令和5年2月17日)<br> 弁27 E村方三叉路の見通し状況の図と写真、三叉路方面の視界写真(Z6、令和5年2月14日)<br> 弁28 供述録取書(K村、令和5年5月6日)<br> 弁29 地図<br> 弁30 供述録取書写し(D山、令和5年10月13日)<br> 弁31の1 田川市内の「喫茶店」についての報告書(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁31の2 レストハウス「Z7」の写真(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁31の3 1992年3月発行のゼンリン地図から作成した書面(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁31の4 1995年3月発行のゼンリン地図から作成した書面(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁32 ノート写し<br> 弁33 地図<br> 以上<br> (別紙3)<br> 括弧内は供述者ないし作成者と供述ないし作成の日付である。<br> 1 面談反訳書(D山ほか2名、平成30年4月4日)<br> 2 面談反訳書(D山ほか3名、平成30年4月16日)<br> 3 面談反訳書(D山ほか3名、平成30年5月16日)<br> 4 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年6月27日)<br> 5 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年10月13日)<br> 6 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年11月7日)<br> 7 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年11月22日)<br> 8 前記1ないし7の面談に係る録音を記録した記録媒体<br> 9 前記1ないし7の抜粋等(主任弁護人、令和7年9月5日)<br> 10 報告書(Z1、令和7年8月18日)<br> 11 N新聞写し(平成30年6月23日、同月25日及び同月26日)<br> ※前記1及び7は2回にわたり提出されている。<br> 以上<br> bbtevegrcpepghd02l1pagqqe3hvlug 246582 246570 2026-10-13T11:32:05Z ろづき 28406 246582 wikitext text/x-wiki {{Header |title=福岡高等裁判所令和6年(く)第97号 |year=2026 |notes= 掲載TKC/DB25626373。確定判決については、[[福岡地方裁判所平6 (わ) 第1050号、平6 (わ) 第1157号|第1審判決]]、[[福岡高等裁判所平11 (う) 第429号|第2審判決]]、[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/437/080437_hanrei.pdf 最高裁判決]。第1次再審請求審については、[[福岡地方裁判所平成21年 (た) 第11号|第1審決定]]、[[福岡高等裁判所平成26年 (く) 第56号|第2審決定]]、[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/266/090266_hanrei.pdf 最高裁決定]。本決定の原審については、[[福岡地方裁判所令和3年(た)第3号|第1審決定]]。 }} 福岡高等裁判所令和6年(く)第97号<br> 令和8年2月16日第1刑事部決定 ==決定== 申立人 久間C子<br> <br>  亡久間三千年(以下「事件本人」という)に対する死体遺棄、略取誘拐、殺人被告事件(福岡地方裁判所平成6年(わ)第1050号、第1157号)に関し、平成11年9月29日福岡地方裁判所が言い渡した有罪の確定判決に対する再審請求事件について、令和6年6月5日福岡地方裁判所がした再審請求棄却決定に対し、請求人から即時抗告の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。 ==主文== 本件即時抗告を棄却する。 ==理由==  本件即時抗告の趣意は、申立人が提出した証拠の新規性又は明白性を否定し、刑訴法435条6号の事由はないとして本件再審請求を棄却した原審の手続及び判断は誤っているというものである。 ===第1 事案の概要及び審理の経過等=== '''1''' 本件は、事件本人の妻である申立人による第2次再審請求を棄却した原決定に対する即時抗告である。<br> '''2 確定判決(第1審判決)が認定した罪となるべき事実の要旨(以下、地名等は、いずれも当時のまま用いることとする)'''<br>  事件本人は<br> '''(1)'''平成4年2月20日午前8時30分頃から同日午前8時50分頃までの間、福岡県飯塚市大字潤野(中略)番地の(中略)付近路上において、潤野小学校に登校中の当時7歳の女児2名(以下、第1審判決の挙示する順に「A田」「B山」といい、併せて「被害者両名」という)を認め、被害者両名が未成年者であることを知りながら、自己の運転する普通乗用自動車(マツダステーションワゴン・ウエストコースト。以下「事件本人車」という)に乗車させ、通学路外に連れ出して、未成年者である被害者両名を略取又は誘拐した。<br> '''(2)'''同日午前8時30分頃から同日午前9時頃までの間、同市内又はその近郊において、殺意をもって、被害者両名の頸部を手で締め付け圧迫し、被害者両名をいずれも窒息により死亡させて殺害した。<br> '''(3)'''同日午前11時頃、同県甘木市大字(中略)から国道322号線を嘉穂町方向に約1.4km進行した地点(通称八丁峠第5カーブ付近)において、その南方山中に、被害者両名の死体を投げ捨てて遺棄した。<br>  なお、当時、前記(1)の住所地にはE村方があり、別紙1の図面のとおり、同人方は三叉路に面していた(以下、この三叉路を「E村方三叉路」という)。<br> '''3 確定審の経過及び判断'''<br> '''(1)'''事件本人は犯人ではないと主張したが、平成11年9月29日、第1審判決は、以下のような情況証拠によって証明された情況事実を総合すれば、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えて認定することができると判断し、事件本人を死刑に処した。<br> '''〔1〕'''T田T男(以下「T田T男」という)、X田X男(以下「X男」という)及びW田W男(以下「W田」という)の目撃供述等によれば、犯人が犯行に使用したと疑われる車両は、マツダ製の紺色ワゴンで、後輪がダブルタイヤであり、リアウインドウにフィルムが貼ってあるなどの特徴を有している。被害者両名が拐取された場所の状況や時間帯,拐取場所と被害者両名の死体及び遺留品の発見現場の位置関係、T田が不審車両を目撃した時間からして、犯人は拐取現場、死体遺棄現場及び遺留品発見現場付近に土地勘を有する者であると推測される。事件本人は前記車両と特徴を同じくする事件本人車を所有し、かつ、前記各現場付近に土地勘を有している(以下「情況事実〔1〕」という)。<br> '''〔2〕'''被害者両名の着衣から発見され、被害者両名が犯人使用車両に乗せられた機会に付着したと認められる繊維片は、事件本人車と同型のマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高い。<br> '''〔3〕'''事件本人車の後部座席シートからA田と同じ血液型(ABO式。以下同じ)であるO型の血痕と人の尿痕が検出されており、これらは事件本人が事件本人車を使用していた間に付着したと認められるところ、事件本人は前記血痕等が付着した原因について納得のいく合理的な説明をすることができない。被害者両名ともに殺害された時に生じたと認められる失禁と出血があり、特にA田は死体の状況からみて鼻血がかなりの量出たものと認められる。事件本人が犯人であるとすれば、被害者両名を事件本人車内で殺害するか、被害者両名の死体を死体遺棄現場まで運んだときに付着したものとして前記血痕等の付着を合理的に説明でき、それ以外の現実的な可能性は考えられない(以下「情況事実〔3〕」という)。<br> '''〔4〕'''警察庁科学警察研究所が実施した血液型鑑定及びDNA型鑑定によれば、B山の遺体付近にあった木の枝に付着していた血痕並びに被害者両名の膣内容物及び膣周辺付着物の中に、犯人由来と認められる血痕ないし血液が混在しており、仮に犯人が一人であるとした場合、犯人の血液型はB型、MCT118型は16-26型であり、いずれも事件本人の型と一致している(以下「情況事実〔4〕」という)。<br> '''〔5〕'''事件本人は、本件当時、亀頭包皮炎に罹患しており、外部からの刺激により亀頭から容易に出血する状態にあったから、事件本人が犯人であるとすれば、被害者両名の膣内容物等に犯人に由来すると認められる血液等が混在していたことを合理的に説明できる。<br> '''〔6〕'''被害者両名が拐取された時間帯及び場所は、事件本人が事件本人車で申立人を職場まで送った後、事件本人方に帰る途中の時間帯及び通路に当たっていた可能性がある一方、事件本人にはアリバイが成立せず、犯行の機会があった。<br>  なお、第1審判決(113頁)は、情況事実〔3〕について、犯行と被告人との結び付きを強く推認させる極めて重要な情況証拠と評価している。<br> '''(2)'''第1審判決は、罪となるべき事実のとおり犯行の日時及び場所を絞り込み、情況事実〔1〕のとおり犯行に使用された車両の特徴や犯人像を特定するに当たり、補足説明において、以下の事実関係を認定している。<br> '''ア''' 被害者両名は、B山方付近で合流して潤野小学校へ向かっており、B山方から潤野小学校までの通学路の距離は約1420m(子供の足で20~25分程度)である。通学路は、飯塚市郊外にあり、南北にのびるバス通りを南下し、平原バス停付近(B山方から通学路を約575m進んだ地点)を通過した後、右折して細い脇道に入り、折れ曲がりながら南西方向に進み、E村方三叉路(B山方から通学路を約937m進んだ地点)を経由して南下し、東西にのびる県道を右折し、更に南西に進むというものである。E村方三叉路は、東側、北側及び南側から入ってくる各道路が交わり、通学路は北側から同三叉路に入って南側に進む。E村方三叉路を南下して県道を左折すると、飯塚市農協潤野支店(以下「農協」という)がある。<br> '''イ''' 被害者両名は、平成4年2月20日午前8時22分頃に平原バス停付近を歩いているのをA田の知人Z田Z子(以下「Z田」という)に目撃されている。潤野小学校に勤務していたG山G子(以下「G山」という)が、被害者両名を探すため、同日午前8時50分頃、車で同小学校を出発して通学路を逆行し、E村方三叉路を北上して平原バス停先まで行ったが、被害者両名を発見することができなかった。<br> '''ウ''' 当時農協に勤務していたD山D子(以下「D山」という)の供述(同意書証として取り調べられた平成6年10月22日付け検察官調書(確定第1審甲39。以下「本件検察官調書」という))等によれば、D山は、出勤するため、平成4年2月20日午前8時30分頃、スズキセルボモード(以下「D山車」という)を運転して東側から南側へE村方三叉路を通過する際、服装等からして被害者両名と認められる女児2名が北方向から歩いてくるのを目撃している。<br>  D山の同僚のV村V子(改姓後の姓はV田。以下「V村」という)の供述によれば、V村は、ホンダトゥデイ(以下「V村車」という)を運転し、D山の数分後にE村方三叉路手前付近からD山の経路と同じ道を通り、同日午前8時33分頃に出勤しているが、被害者両名を目撃していない。<br> '''エ''' 同月21日午後0時10分頃、福岡県甘木市と同県嘉穂郡嘉穂町を結ぶ国道322号線を、同県甘木市大字(中略)から嘉穂町方向に約1.4km進行した地点(通称八丁峠第5カーブ付近)の南方約9mの山中の斜面に、下半身を露出させられ、頸部を手で絞められて窒息死した被害者両名の死体が投棄されているのが発見された。<br>  同月22日、国道322号線を、同市大字(中略)から嘉穂町方向に約200m進行した地点の西方約5mの山中に、被害者両名のランドセル等の所持品及び着衣の一部(以下「遺留品」という)が投棄されているのが発見された(なお、確定記録によれば、ランドセルの色はA田が赤、B山がピンクである)。<br>  潤野小学校から死体遺棄現場までの経路の距離は28~36.1kmあり、自動車で35~53分かかる。遺留品発見現場は、潤野小学校から死体遺棄現場に向かう途中にあり、遺留品発見現場から死体遺棄現場までの距離は約3kmで、自動車で約8分かかる。死体遺棄現場及び遺留品発見現場は、通称八丁峠と呼ばれる国道沿いの山中であり、各現場に行くためには自動車を使用するしかない。<br> '''オ''' A田の胃内容からすると、その死亡推定時刻は朝食の一、二時間後であり、平成4年2月20日午前8時から同日午前9時頃までの間となるが、A田は同日午前8時30分頃の時点で生存が確認されているから、その後午前9時頃までの間に殺害されたと推定され、B山も同じ頃に殺害されたと推定される。<br> '''カ''' T田の供述によれば、同日午前11時頃、国道322号線の遺留品発見現場直近で、対向車線に不審車両が停車し、車外に出ていた運転手の男が、T田の車両が通り過ぎる際に不審な動きをしており、このT田が目撃した男が犯人であり、T田が目撃した車両が犯行に利用された自動車である可能性が濃厚である。<br> '''キ''' D山、V村、X田及びW田の各供述等によれば、同日午前8時20分頃、W田が、三菱デリカワゴン(以下「W田車」という)を運転してE村方三叉路に向けて北上してきて同三叉路の南西側にあるI村I郎方(別紙1参照)付近路上にW田車を駐車させ、同日午前8時30分頃、X島X太(以下「X島」という)が、同様に北上してきてW田車の前方にスカイライン(以下「X島車」という)を駐車させ、トヨタタウンエース(以下「X田車」という)を運転してX島車を追従してきたX田は、同三叉路の手前でD山車と離合し、一旦X島車のすぐ後ろにX田車を停車させたが、その直後に同所を通りかかったV村車が離合しにくい様子だったため、X田車を移動させてX島車の少し前方に駐車させた。そして、X田が車から降りて道路を横切りE村方三叉路を南に歩きかけた際、後方からワゴン車がかなりの速度でX田の右横を追い抜き潤野小学校方向に走り去った。<br>  D山は、本件検察官調書で、「被害者両名の横を通過すると、I村I郎方前に3台の車が駐車しており、ボンゴ車と乗用車が1台ずつあったのは覚えているが、もう1台がどちらだったかはっきりしない」と供述しているが、前記経緯からして、D山は、I村I郎方前路上では、X島車及びW田車と離合したのみで、車種不明の3台目の車両とは離合しておらず、その点の供述はD山の記憶違いによるものと認められる。そして、D山は「県道に出る手前で作業員風の男性が運転するボンゴ車と離合した」旨も供述しているが、同ボンゴ車に乗っていた男性は、「E村方三叉路の少し手前で若い女性の運転する軽四輪乗用自動車と離合した」旨のX田供述と、離合した時間帯及び場所がほぼ一致していることからして、X田と認められる。<br>  被害者両名がD山に目撃された後も学校に向かっていたのであれば、V村やX田らに目撃されたはずであるが、D山が目撃してから後、被害者両名を見た者はいない。犯人は、D山がE村方三叉路付近を通過した後、約3分後にV村が同所を通過する前からG山がE村方三叉路の北側の道路を通過するまでの間に、被害者両名を拐取して車で連れ去ったと認められる。被害者両名は、D山に目撃された後、犯人に誘われるなどして登校路を逆に向かった可能性もある。<br>  被害者両名が拐取された時刻、場所と極めて接着した時刻、場所においてX田及びW田が目撃したワゴン車と、遺留品発見現場直近でT田が目撃した不審車両は、いずれも、紺色、後輪ダブルタイヤ、リアウインドウにフィルムが貼られたワンボックスタイプというほぼ同じ特徴を持つ車である。両車は同じものであり、これが犯人の使用していた自動車である疑いが極めて濃厚である。<br> '''(3)'''事件本人が申し立てた控訴は平成13年10月10日に、上告は平成18年9月8日に、いずれも棄却された。<br>  控訴審判決は、被害者両名の目撃状況に関する関係者らの供述の信用性に疑問はなく、D山供述の信用性については第1審判決説示のとおりであり、被害者両名は、平成4年2月20日午前8時30分かその直後頃、E村方三叉路付近でX田及びW田が目撃した車両により拐取された蓋然性が高く、拐取時刻は午前8時30分過ぎ頃と認定するのが相当であり、第1審判決も補足説明からするとそのように理解されるとした。また、殺害時刻については、食事終了時間や消化状況から厳密な時間を認定するのは相当でなく、拐取されてから午前9時30分前後頃までの間(朝食のおおむね一、二時間後)と認めるのが相当であるとした。<br>  また、第1審判決は、犯行に使用された車両がマツダステーションワゴン・ウエストコーストであるとは断定できないとしていたが、控訴審判決は、繊維鑑定、T田、X田及びW田の供述等によればその旨特定できるとし、この判断は上告審判決でも是認されている。控訴審判決は、被告人が犯人だとすれば、被害者両名の膣内及び膣周辺部に犯人の血液が付着しているという特異な事実の説明が容易に可能になる、顔見知りの者による犯行と推認されるところ、被告人はこの条件も充たすと指摘している。<br>  控訴審では、D山供述に関し、当事者双方の請求により、平成4年3月2日付け警察官調書(確定控訴審検甲9、弁13。以下「本件警察官調書」といい、本件検察官調書と併せて「本件各調書」という。本件各調書の記載内容を「旧供述」ともいう)が取り調べられている。<br>  平成18年10月8日、第1審判決が確定し、平成20年10月28日、死刑が執行された。<br> '''4 第1次再審の経過及び判断'''<br>  申立人は、平成21年10月28日、情況事実〔1〕及び情況事実〔4〕に関する新証拠を提出して再審請求をしたが、平成26年3月31日、棄却され、平成30年2月6日、即時抗告が棄却され、令和3年4月21日、特別抗告が棄却された。<br>  第1次再審請求棄却決定は、新証拠によって旧証拠のうちMCT118型鑑定の証明力は減殺されるが、犯人と事件本人のMCT118型が一致したと認めることはできない一方、両者が一致する可能性も十分にあり、確定判決が認定した情況事実から犯人と事件本人のMCT118型が一致したことを除いたその余の情況事実を総合した場合でも、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がされていることに変わりはない旨判断し、この判断は即時抗告審及び特別抗告審で是認されている。<br> '''5 第2次(本件)再審請求'''<br> '''(1)'''申立人は、令和3年7月9日、刑訴法435条6号に基づく再審請求をした。原審において申立人が提出した書証は別紙2のとおりである(以下、弁と番号のみを記載した場合は別紙2の書証又はその原本を指す)。このうち、弁3~5は確定審に係る判決書の写しであり、弁6~17は、第1次再審請求に係る再審請求審又は即時抗告審において申立人又は検察官から提出された証拠と同一の内容である(弁10及び11は、同再審請求審における検察官の平成25年4月15日付け意見書8に添付されている)。<br>  その余の書証は、四つの証拠群に大別でき、〔1〕D山の供述(弁2、30。以下、D山の原審証言と併せて「D山の新供述」という)、〔2〕E村方三叉路付近における現場再現実験報告書(弁26。以下「本件報告書」という)、〔3〕K村K男(以下「K村」という)の供述(弁1、28)、〔4〕Z3(以下「Z3」という)の供述(弁18)及び〔1〕~〔4〕の各証拠に関する補助証拠(弁31の1~弁32は〔1〕関係、弁21の1~弁25の2、27、33は〔2〕関係、弁29は〔3〕関係、弁19、20は〔4〕関係)である(なお、弁21の1、21の2、23は、確定第1審又は控訴審で取り調べられた空中写真や地図と実質的に同一である)。さらに、原審では、令和5年5月31日にK村の、同年11月28日にD山の各証人尋問が実施されている。<br> '''(2)'''本件各調書及びD山の原審証言、本件報告書、K村の原審証言並びにZ3供述の概要は次のとおりである(D山及びK村の供述録取書等(弁1、2、28、30)については後記第2及び第3で言及する)。<br> '''ア D山供述の概要'''<br> '''(ア)本件警察官調書(供述場所は農協と記載され、D山作成図面が添付されている)'''<br>  当時、D山車で通勤しており、平成4年2月20日も、いつものように午前8時10分頃自宅を出て、バス通りを南下し、F(別紙1参照)の角を右折して数十メートル進んだ地点(E村方三叉路東端の東側)に午前8時20分頃に着いた。1か月程前からこの場所で停車して化粧をするのが日課になっていた。化粧を始めてから何分か過ぎた頃、七、八m前方の同三叉路北側から、小学校低学年の女児が小走りの感じで潤野小学校の方向(南側)に行くのが見えた。私は、「この子は学校も始まっている時間なのにまだこの辺を歩きよう」「遅刻するのに」と思い、バックミラーを見ながら化粧を続けた。それから何十秒も過ぎない頃、今度は同三叉路に先程の女児とは違う小学校低学年の女児が立っているのに気付いた。この女児は、同小学校とは反対方向に歩き始めるような動作をし、振り返って同小学校方向にゆっくり歩き始めた。私は、「二人で学校に行っているのだなあ」「早く学校に行けば良いのに」と思った。女児らが遅刻すると思ったのは、約1か月間この場所で化粧をしている間に小学生が通学する姿をほとんど見掛けたことがなく、それまでに男児1名と女児1名を各1回見掛けたことがあるだけだったからである。女児2名が視界から見えなくなって1分も過ぎない頃、時計を見たところ、午前8時30分近くになっていたので、遅刻すると思い、使用した化粧品を助手席に置いたままD山車を発進させた。時間ははっきり記憶していないが、化粧をしている場所から農協までは車で一、二分くらいなので、午前8時30分少し前といえる。20mくらい進行したE村方(別紙1参照)前を女児2名が手をつないで歩いている後ろ姿が見えたので、「やはり先程見た女の子たちは連れだった」と直感した。2名とも身長約120cm、うち1名は黄色のジャンパー、赤ランドセルで、どちらかが傘を持っており、髪が短かった。女児らは、D山車が接近したのに気付き、左側によけてくれたので、その横を通過した。右前方の道路右側(I村I郎方前付近)に3台くらいの車が対向して駐車していたという記憶で、順番ははっきりしないが、白っぽいボンゴ車、白っぽい普通乗用車のほか、もう1台ボンゴ車があったと思う。さらに、その後方に対向してグレーのボンゴ車があり、始めから停車していたのか、D山車のために待っていてくれたのかはっきりしないが、道路右寄りに停車していたので、その横を通過した。農協の駐車場に着いた後、車内で化粧品等を片付けていたため3~5分くらい使っていると思う。その時にV村がV村車で出勤してきたので、降車して一緒に農協の店内に入った。<br>  その日の午後4時頃、刑事が来店し、朝から小学生が行方不明になっていると聞き、今供述した内容を話した。その時、V村が「私も同じ道を通ってきたけれど女の子たちの姿は見らんやった」「3台の車が駐車しているのは見た」と話していた。V村は、「私は、店に入ったら毎日すぐ店の時計を見るけど、今日は午前8時33分だった」と言っていたので、やはり私が女児2名を見た時間は午前8時30分少し前頃といえる。<br> '''(イ)本件検察官調書(供述場所は福岡地方検察庁飯塚支部と記載され、D山が記入した住宅地図とD山作成図面が添付されている。作成日は、事件本人が死体遺棄罪により起訴された後、略取誘拐、殺人罪により追起訴されるまでの間である)'''<br>  2年8か月も前の話なので、記憶がはっきりしなくなっている部分もあるが、被害者両名かもしれない小学生の女児2名を見たことについては、行方不明になった当日の捜索中から警察の人などに話しているし、今でも大体のことは覚えている。<br>  平成4年2月20日は、遅くとも午前8時20分までにはD山車で自宅を出て、バス通りを北から走ってきてFのところで右折し裏道に入り、途中のF2方前(別紙1参照)で停車した。以前から時々この辺りに停車して化粧をしており、この日も同じ場所であった。時刻は時計を見て午前8時30分少し前だった記憶がある。少しというのは二、三分くらいのことである。ルームミラーを化粧鏡代わりに化粧を始めた直後だったと思うが、E村方三叉路の右手(北側)の坂道から小学校一、二年生くらいの女児が走ってきた。時刻は午前8時30分近くになっており、他に通学途中の子供たちもいなかったので、私は「早く学校に行かんと遅刻するのに」と思った。それから何十秒も経たない頃、E村方前辺り(E村方三叉路南端付近)にもう一人小学校一、二年生くらいの女児が立っていた。なぜ先程の子と別の子と分かったかというと、今は詳しく覚えていないものの、その時は顔や服装も目に入っていたこと、先程の子はI村I郎方の方(潤野小学校のある方)に歩いて行ったと思っていたことが理由だと思う。その子もI村I郎方の方に歩いていった。二人とも妙に学校に行きたくない様子だったのをよく覚えている。このように感じたのは、二人ともどんどん進んでいくという感じではなく、立ち止まったり戻るような動作をしたりしながらだらだらと歩いていたように思うからである。私はきっとこの二人が一緒に通学しているのだろうと思った。化粧は二、三分で終わり、時刻は午前8時30分頃になっていたと思う。化粧道具を助手席に置いたままD山車を発進させると、E村方前辺り(同三叉路南側付近)の道のほぼ真ん中に先程の女児2名がくっつくように並んで歩いているのが見えた。とうに学校の方に行っていると思っていたので、私は「まだうろちょろしている」「学校に遅刻したのは間違いないな」などと思い、二人をひかないようにスピードを緩めた。二人とも歩くのが嫌というか、学校に行くのが嫌というのか、とにかくだらだらと歩いていて、遅れているはずなのに全く急ぐ様子がなかった。二人ともランドセルをしょって、一人が黄色のカッパかジャンパーのようなものを着ており、その子のランドセルは赤色だった。片方か両方が傘を持っていたかもしれない。D山車が近づくと二人はこちらに気付いて振り返り、左右どちらかは記憶がはっきりしないが道端によけてくれた。立ち止まっている二人を横目で見ながら進んだが、私が二人を見たのはこの瞬間が最後であり、その後、二人が歩き出したところなどは見ていない。前方右手(I村I郎方前付近)には3台の車が駐車していた。ボンゴ車と乗用車が各1台あったのは覚えているが、もう1台は乗用車だったかボンゴ車だったかはっきりせず、3台の順番も覚えていない。更にその後方にはもう1台車があり、この車もボンゴ車だったと思うが、特徴等は今となってははっきりしない。ただ、この車には髪がぼさぼさの作業員風に見える40歳くらいの男性が一人運転席に座っていたような記憶がある。この車は私の車を待つようにして道路右側に対向して止まっていた。私はこの車の横を通り抜け、突き当たりを左折して農協の駐車場に入った。助手席足元に落ちてしまった化粧品等を拾っているうちにかなり時間が経ってしまい、おそらく3分くらいかかったと思う。するとちょうど同僚のV村がV村車に乗って駐車場に入ってきたので、ほぼ同時に店内に入った。時計を見ていないので、時刻はよく分からないが、午前8時35分前後になっていたと思う。<br> '''(ウ)原審証言'''<br>  被害者両名が行方不明になった当日(平成4年2月20日)は、昼前頃に消防隊(「消防団」とも証言している)員が農協に来て、小学1年生の女児2名がいなくなったと言って探していた。V村に「女の子たちなら見たことがあるよね」と聞き、V村は「いや、ない」と言っていたが、その話を消防隊員が聞いていたかもしれない。当日朝に見たとは言っておらず、その記憶もない。通勤途中に小学校1年生くらいの女児2名を目撃したことはある。それが1回だったか複数回だったか、どれくらい前の出来事だったかは分からない(「通学途中の小学生を見掛けたのはそのとき1回だけである」とも証言している)。化粧をしていた位置は毎回同じで、Fの隣のF3方(別紙1参照。弁護人の質問では「F4」とされている)前辺りであり、そこからは道路が曲がっているためE村方三叉路は見えない。女児らに気付いたのは、更にその西隣のF5方(別紙1参照)前辺りで、その地点で女児らを追い越した。午前8時15~20分頃だった。女児らは同三叉路に向いて歩いていたので、後ろのFの方から来たのだと思った。二人は横に並んで歩いており、D山車が追い越す際は縦になってよけてくれた。二人とも黄色い雨合羽を着ていて、ランドセルは赤だった。女児らを追い越してから農協までの間に駐車車両があったり、対向車と離合したりした記憶はない。<br>  被害者両名が行方不明になった当日に警察官は来ておらず、最初に事情聴取されたのは被害者両名の遺体発見の翌日(平成4年2月22日)であり、本件各調書の記載は事実と異なる。警察官2名が農協を訪ねてきて、支店長からV村に話していた内容を話すように言われ、女児を目撃したことかと思い、前記のような目撃内容を警察官に話した。警察官から、紺色ワゴン車のカタログを見せられ、こういう車を見たことがないか、車にラインは入っていなかったかと聞かれた。女児らを見掛けた日とは別の日に黒いボンゴ車を追い越したことはあったので、黒いボンゴ車なら見たことはあるがラインまでは見えなかったと話した。<br>  後日違う警察官が訪ねてきて、本件警察官調書を作成した。警察官に対し、女児らを見掛けたのは当日かどうか自信がないと話した(「私が見たのは事件当日ではないと言った」とも証言している)。本件警察官調書のうち、E村方三叉路を越えた先で女児2名を追い越したという部分、最初に一人が先に来て、後からもう一人が来て一緒になったのを見たという部分、各女児を目撃した際の気持ちに関する部分、農協に向かう途中に駐車車両や対向車があったという部分、これらの車両の特徴に関する部分は、いずれも当時の記憶に基づく内容ではなく、面前で警察官が勝手に作成した。駐車車両や対向車はなかったと言ったのに、警察官からこの位置に車があったので4台書いてくださいと言われ、住宅地図に基づき、言われたとおりに本件警察官調書に添付された図面を作成した。女児らの位置についても話した内容と違う位置に書くように言われた。出来上がった本件警察官調書を読み聞かされ、説明した内容と違う、黒いボンゴ車を追い越したことが書かれていないと思ったし,そのように言ったが、受入れてもらえず記憶と違う調書に署名押印し、若かったのでそれ以上何も言えない自分にショックを感じた。<br>  事件から2年程経ってからの本件検察官調書の作成に当たり、検察庁に行ったことはない。当時他県にいたが警察から来てほしいという電話があり、最初は断っていたが重ねて請われたので、私の供述調書を使わないよう求めるために行くことにした。指定された福岡県田川市にある喫茶店に行き、警察の者と名乗る50代の男性1名と会った。検察官だとは聞いていない。事前に事情を聴かれることなくいきなり出来上がった調書を示され、読んでくれと言われた。本件警察官調書には記載されていないボンゴ車の運転手の特徴についても、言ってもいないのに既に記載されていた。記憶と違う点があると言ったが聞いてくれず、とにかく署名押印してくれと言われて押し問答になった。調書を取ったときのことを書いてあるのでこれで間違いない、この書類がないとあげられない、当時初めて導入されたDNA鑑定で犯人は分かっているが、本件検察官調書も必要ですなどと言われた。本件警察官調書を使わないでほしいと言ったが、聞いてもらえず、私の曖昧な記憶で犯人が逮捕されるのは困りますと伝えると、私の話だけで犯人が逮捕されるわけではないと言われた。本件検察官調書添付の図面は、本件警察官調書添付の図面を見せられ、同様に書くよう言われて作成したもので、地図を示されて書いた記憶はない。 <br>  飯塚事件に関する記事、テレビ、YouTubeの動画を見て、事件本人が無実なのではないか、本件各調書が事件本人に対する判決に影響を与えたのではないかと思い、申し訳なく、情けなく悔しい気持ちになり、約5年前、弁護人の事務所に電話をかけ、弁護人と会うことになった。弁2を作成した際にも、女児らを目撃したのは行方不明になった当日ではない、E村方三叉路の手前で女児らを追い越したと伝えたつもりだったが、鬱気分で、いろいろ見せられて気が動転していたので、弁護人とどのようなやり取りをしたのか覚えていない。弁2や弁30を作成した際に、弁護人に警察官から紺色ワゴン車のカタログを見せられたという話はしていない。証人尋問の約1週間前に弁護人と打ち合わせている際に不意に思い出した。<br> '''イ 本件報告書'''<br>  本件報告書は、確定判決の認定やその認定の根拠となったD山、V村、X田、X島及びW田の各供述等に基づき、E村方三叉路付近に、平成4年2月20日午前8時30分頃同所に駐車していた車両に類似する車両を配置し、その頃同所を走行していた車両に類似する車両を走行させて走行時間を測定する実験を行い、被害者両名を目撃できたかを検証することなどにより、前記各供述の信用性等を検討した経過及び結果を報告したとされるものである。実験において、各地点の決定については、本件検察官調書、W田、X田及びV村(V田)の各証人尋問調書の添付図面を参考とし、車両の走行速度は原則時速20km、離合する場合等は時速10km程度に設定したとされている。被害者両名の移動速度については、確定判決によれば被害者両名が同日午前8時22分に平原バス停に、同日午前8時30分頃に同バス停から361.5m離れたE村方三叉路に現れているとして、秒速約0.75mであることを前提としている。報告の要点は以下のとおりである。<br> '''(ア)D山供述とX田供述の比較検討'''<br>  実験により、X田の運転席からE村方三叉路が見え始める〔22〕地点を決定した。X田車がD山車と離合した〔8〕地点に関しては、本件検察官調書添付図面では橋の手前とされ、X田証人尋問調書添付図面では橋の農協側のたもととされているが、確定判決40頁は「両地点は場所がほぼ一致している」として同一地点として扱っているので、D山が述べている場所とX田が述べている場所の中間とした。実験によれば、D山車が女児らの横を通過した地点からD山車がX田車の横に来た地点まで約12秒、X田車がD山車と離合するため停車した地点から〔22〕地点まで約6秒であったから、D山が女児らの横を通過した時から18秒後にX田はE村方三叉路内を目撃できるようになる。被害者両名は18秒間に最大13.5m北上しているが、D山が横を通過した時に女児らがいた地点からE村方三叉路の北端まで15.9mあり、まだ同三叉路内にいるため、X田から目撃可能であった。そうであるのに、X田は被害者両名を目撃しなかったと供述しており、D山供述とX田供述とは矛盾している。<br> '''(イ)D山供述とV村供述の比較検討'''<br>  E村方三叉路に東側の道路から進行してきたV村は、同三叉路南側の道路へ向かい左折する直前、同三叉路に北側の道路から進入する車両や人に注意を払う〔Y〕地点(同三叉路全体も見渡すことができる)を通過する一方、X田車はX島車のすぐ後ろの〔9〕地点に停車している。確定判決38頁の「X田車が〔9〕地点に停車した直後、V村が通りかかった」旨の表現から、X田車が〔9〕地点に到着した直後、V村車は〔Y〕地点と〔9〕地点の中間より〔9〕地点寄りの〔10〕地点にいたと判断した。実験によれば、X田車が〔22〕地点を通過してから〔9〕地点に停車するまで約6秒、V村車が〔Y〕地点を通過してから〔10〕地点に到達するまで約7秒であったから、これに前記(ア)の実験結果を併せると、X田車はD山車が女児らの横を通過した時から24秒後に〔9〕地点に到達し、その際、V村車は〔10〕地点にいたことになる。そうすると、V村車が〔Y〕地点を通過したのは、D山が女児らの横を通過した時から17秒後であったことが分かる。被害者両名は17秒間に最大12.75m移動しているが、まだE村方三叉路を抜け出していないことになるから、V村が被害者両名を目撃することは十分可能であった。そうであるのに、V村は被害者両名を目撃しなかったと供述しており、D山供述とV村供述とは矛盾している。<br> '''(ウ)D山とV村のE村方三叉路通過時間の差'''<br>  実験によれば、V村車が〔Y〕地点からD山車が女児らの横を通過した地点まで走行するのにかかった時間は約4秒であり、これに前記(イ)の実験結果を併せると、V村車はD山車が女児らの横を通過してから21秒後に同じ地点を通過したことになり、「V村はD山が被害者両名を目撃してから約3分後に同じ道を通った」旨の確定判決39頁の認定は完全に誤っている。<br> '''ウ K村の原審証言'''<br>  平成4年2月20日、集金のため、左ハンドルのランチア・テーマ(以下「K村車」という)で自宅のある福岡県古賀市から同県田川郡(中略)にある取引先に向かい、午前8時前頃に着いたが、支払ってもらえず、取引先を後にして同県春日市にある会社に向かった。その途中、片側1車線の八木山バイパスを福岡市方面に走行していた際、時速40km未満でゆっくりと走行する白色のワンボックスタイプの軽自動車を追い越せない状態が続き、登坂車線ができ2車線になった地点で前車が登坂車線に避けてくれたのでまっすぐ追い抜いた。時間については記憶が曖昧だが、午前9時40分過ぎ頃又は午前10時40分過ぎ頃になると思う。午前中だったのは間違いない。追い抜いた際、最初に同車運転席側後部座席で私の方を見ている小学校1年生の女児の顔が窓ガラス越しに目に入った。おかっぱ頭で赤色ランドセルを背負っていた。今まで見たことのないこわばったおびえた表情をしていた。目は合ったはずだが、助けを求める仕草はなかった。その横の助手席側後部座席には、より小柄なおかっぱ頭のもう一人の女児が身体の左側を下にして横たわっているのが見え、その奥にランドセルが置かれていた。同ランドセルの色は赤だと思っていたが、後でB山のランドセルの写真を見せてもらったらピンクで、記憶違いだった。女児2名の服装についてはよく覚えていない。次に運転手の横顔を見ると、色白、坊主頭、小柄で身長160~165cm、35歳前後の男性で、無表情で受刑者のようだった。目撃したのは追い越す間の一、二秒で、自分の目線と比べて、運転手の目線は若干高く、座っている女児はほぼ同じだった。地域で小学生と接していると小学1年生と2年生では格差があり、見ただけで分かる。幼い表情だったので、両名とも小学校1年生であることは間違いない。<br>  その日の夕方(「午後9時頃」とも証言している)、テレビのニュースで被害者両名が行方不明になっているのを知った。平日午前中にランドセルを背負った女児2名が乗車していたこと、女児や運転手の表情などから、自分が見たのが誘拐だったのではないかと思った。翌日、飯塚警察署に電話をかけ、八木山バイパスで誘拐犯と思われる者と擦れ違ったと伝えた。数日経ってから警察官1名が訪ねてきたので、目撃状況を説明し、料金所の監視カメラを調べるように言った。警察官からは、紺色の普通車ではなかったか、ボンゴタイプではなかったか、ラインがあったのではないかと確認された。その後、何の用事だったか記憶が曖昧だが、裁判所に行ったのが偶然飯塚事件の第1回公判の日であり、抽選に当たって傍聴した。事件本人の顔も容姿も八木山バイパスで見た運転手と全然違っていた。検察官の冒頭陳述でDNA型鑑定、事件本人車のシートの繊維や血痕等の話を聴き、自分が見たのは違っていたのだと思った。その後、主任弁護人の事務所を調べて電話をかけ、犯人は事件本人ではないのではないかと伝えたが、余りいい反応がなかったので、事務所を訪ねて名刺を置いて帰った。平成30年にN新聞の飯塚事件の特集記事を見て同新聞社に電話をかけ、記者と電話で話したり、二、三回会ったりした。記者から被害者両名が一緒に写っている写真1枚を見せられ、二人とも非常に似ていると思った。それまで被害者両名の写真を見たことはなかった。どんなところが似ていたのかは覚えていない。A田が私の方を見ていた女児に顔や髪形などの全体の雰囲気が似ていた。B山がもう1名の横たわっていた女児に雰囲気が似ていた。K村が新聞に載ったことで弁護人から電話があり、会うことになった。<br>  目撃時刻について、本件再審請求がされた際の記者会見では午前11時頃と話しており、弁1と弁28を比較すると、目撃時刻が約1時間早まり、原審証言では更に遡っているが、集金できずに取引先を後にした時間の記憶が曖昧で、食い違いが出たのだと思う。<br> '''エ Z3の供述'''<br>  平成11年頃、刑務所で服役中にZ4(以下「Z4」という)と同房になった。Z4は飯塚市の小さな道に非常に詳しく、潤野地区についてもよく知っていた。Z4については、幼女を車で拉致して車内で性的いたずらをし、証拠隠滅のため殺したなどといううわさがあった。平成12年頃、Z4は、同房者らから、「飯塚事件はお前がやったのではないか」とはやし立てられていた。Z4は、最初は冗談として受け流していたようだったが、次第に無口になり深刻になっていった。私とZ4が飯塚事件を報じた新聞か雑誌を見ていたとき、Z4は、「事件本人が犯人でないと分かったら、自分が逮捕されるのだろうか」と言い出し、その後二、三回同じことを言っていた。あるとき、隣に寝ていたZ4から、「飯塚事件は実は自分がやった」と打ち明けられた。Z4は真剣な表情で、冗談には聞こえなかった。Z4は、「逮捕されたら死刑になるのだろうか」「頭がおかしかったら、死刑にならずにすむのだろうか」と言ってきた。その後、Z4は、精神的におかしなふりをするようになった。<br>  平成11年か12年頃、医療刑務所でZ4と会い、Z4から、「事件本人の件で、逮捕されたら死刑になると思うと怖いので、馬鹿真似をして、誰とも意思疎通できないふりをしている」「いつ逮捕されるかが怖くてたまらない」と打ち明けられた。<br>  新聞で申立人が仏壇を拝んでいる後ろ姿の写真を見て、自分も冤罪で戦っているので、黙っていたらいけないと思うようになり、飯塚事件の弁護人に連絡した。<br> ===第2 原決定の要旨=== '''1''' 弁1、2、18~32、D山及びK村の各原審証言には新規性がある。明白性に関し、弁護人は前記各証言を主要な新証拠に据えているため、これらの信用性を中心に検討する。<br> '''2 D山の原審証言について'''<br> '''(1)'''D山証言は、女児2名の目撃の日時・位置・内容、その際の周辺の駐車車両の有無について本件各調書の内容を否定するものである。D山は、供述変遷の理由について、当初から捜査機関に対して原審で証言した内容を話し、本件各調書の内容が記憶と異なると伝えたものの、捜査官に押し切られてしまった旨述べるので、捜査機関が無理やりD山の記憶とは異なる供述調書を作成した可能性について検討する。<br>  本件警察官調書が作成されたのは、事件発生の約10日後という捜査初期であり、いまだ捜査が流動的な状況下において、警察官が、目撃の日時、場所から内容に至るまでの供述全般について、D山の記憶と異なる調書を無理やり作成するというのは、捜査機関にとって必要性に欠けるばかりか、事後にこれと矛盾する証拠や目撃者が明らかになる可能性を考えれば有害である。行方不明の女児が捜索されている状況において、D山が、別の日に登校途中の女児を見掛けたことがあるという、事件とは無関係な話をし、それに警察官が関心を持って事情聴取をした上、無理やりD山の記憶と異なる調書作成にまで至るという事実経過自体、余りにも不自然であり、警察官がこのような捏造を行うとは考え難い。弁護人は、捜査初期から事件本人を犯人視した見込捜査が行われていた可能性を主張するが、本件各調書を見ても、事件本人が関わっていることをうかがわせるものはない。X田やW田らがE村方三叉路付近で事件本人車と同様の特徴を有する車両を目撃したと供述し始めたのは平成4年夏頃からであり、捜査機関が、本件警察官調書作成時に同三叉路を犯行現場に仕立て上げる動機を有していたとは考えられない。<br>  また、本件警察官調書の内容は、目撃時の女児らの動作や様子等について、D山自身の心情を交えながら詳細に述べるものであり、いつものように車を止めて化粧をしていると、女児1名を見掛け、化粧を続けてまた前方を見ると、別の女児が立っていたとするなど、具体性に富む内容となっており、D山の積極的な供述なしに、警察官が作り上げることのできるものとは考え難い。確かに、被害者両名が学校に行きたくない様子であり、B山がA田の後ろを付いて歩いていたこと、事件当日、E村方三叉路付近に複数の車両が駐車されていたことなどは、既に捜査機関において入手済みの情報であった可能性があるが、本件警察官調書は、駐車車両の台数の点でV村やX田らの供述と明らかに整合していないところ、警察官が、駐車車両はなかった旨のD山の供述をねじ曲げ、事前に入手した情報に基づいて強引に調書を作成したのであれば、駐車車両の台数も含めてV村やX田らの供述と整合させるのが自然である。V村やX田らの供述との齟齬は、D山の記憶違いを示すとともに、本件警察官調書がD山の記憶に基づいて作成されたものであることを裏付けている。<br>  さらに、本件検察官調書は、本件警察官調書とおおむね同内容であるが、記憶がはっきりしなくなっているとして、本件警察官調書と比較すると曖昧な内容にとどまる部分が散見され、事件発生から2年以上が経過したことに伴う記憶の減退が反映されており、D山から改めて事情を聴くことなくあらかじめ捜査官が調書を用意していたとは考えにくい。<br>  本件警察官調書作成時に捜査機関が無理にD山の記憶に反する調書を作成する動機、必要性が見いだせないことに加え、本件各調書の内容も捜査機関がD山の供述内容をゆがめて作成したとは考えにくいものであることも踏まえると、捜査機関が、無理やりD山の記憶とは異なる供述調書を作成したとは考えられない。<br> '''(2)'''D山の原審証言は、弁護人が当初新証拠として提出した弁2と比較しても、女児2名の目撃供述の重要部分が変遷している。すなわち、目撃日時に関し、弁2では、女児らを目撃したのが、事件当日であったか、その何日か前であったかがはっきりしないと述べるにとどまっていたのに、証言では、明確に事件当日ではないと否定している。また、目撃場所に関し、弁2では、女児らの横を通り過ぎたのはE村方三叉路であったと述べていたのに、証言では、E村方三叉路よりもずっと東側手前であったと述べている。これらの変遷は、目撃供述の根幹部分についてのものであり、D山が事件当時から一貫した記憶に基づいて供述しているのであれば、このような変遷をたどるとは考え難い。<br>  D山は、弁2作成時に、弁護人に対し、原審証言と同内容の説明をしたつもりであったと証言し、弁護人も、相違が生じた原因につき、目撃日時の点は、弁護人が、D山の記憶内容とD山の警察官に対する供述内容を混同したためである、目撃場所の点は、D山が、本件再審請求に協力するに当たり、強い不安を感じ、気が動転していたためであると主張する。しかし、いずれの点も目撃供述の根幹部分であり、本件各調書の内容を否定し、再審請求のための新証拠を作成しようという局面なのであるから、D山及び弁護人においては、記憶や書面の内容を丁寧に確認したはずであり、根幹部分に複数箇所誤りがあり、それが単純な混同や気の動転によるというのは合理的説明とはいい難い。また、目撃場所に関し、D山は、弁2において、女児らを目撃する直前に自身が化粧をしていた地点については、E村方三叉路よりもずっと東側手前であったと述べて本件警察官調書の内容を訂正しているにもかかわらず、肝心の女児らを追い越した地点については、本件警察官調書と同内容の供述をしている。車中で化粧を終えてから車を発進させ、女児らを追い越したという一連の事実経過につき、前者については訂正できているのに、後者についてのみ気が動転して適切に訂正できなかったというのは、合理的な説明にならない。<br>  D山は、弁2からも合理的理由を示すことなく核心部分について供述を変遷させており、一貫した記憶に基づいて証言しているとは考えられない。<br> '''(3)'''D山は、事件当日に女児らの目撃情報を話したのは消防隊員であり、警察官とは話していないと証言するが、本件警察官調書には、事件当日に刑事に目撃情報を話した旨記載されており、この点について警察官が捏造するとは考え難いことに加え、V村も事件当日D山と警察官が話しているのを聞いた旨証言していることも併せると、D山が事件当日に警察官と話していることは明らかであり、D山は、事件当日の聴取状況についても記憶が曖昧になっている。弁2からでさえ供述が変遷していることを考えると、事件発生から30年以上もの長い年月が流れ、事件当時の記憶が相当程度風化し、不確かなものとなってしまっている。<br> '''(4)'''D山は、警察官から紺色ワゴン車に関する質問もされた旨証言するが、この点は、弁2に記載されていないばかりか、証人尋問の約1か月半前に作成された弁30にも記載されていない。D山は、証人尋問の約1週間前、不意に思い出した旨述べるが、供述経過が不自然であり、信用できない。<br> '''(5)'''捜査機関が、目撃状況に関する供述をわい曲させてまで、D山の記憶と異なる供述調書を無理やり作成したとは考え難く、D山が本件各調書の内容を否定するに当たって前提としている事実関係には疑問が残る上、弁護人作成の供述録取書からの変遷は、D山の現在の記憶自体、一貫性のない不確かなものである可能性が高いことを示しているから、D山の原審証言は信用できない。弁護人は、D山が本件各調書の内容を否定するに至ったのは、記憶と異なる供述調書を作成されたことが事件本人に対する死刑判決に影響を与えてしまったのではないかという自責の念を動機とするものであり、このようなD山の真摯な姿勢からすれば、D山の原審証言は十分に信用できるなどと主張するが、前記判断に影響しない。<br> '''3 本件報告書について'''<br> '''(1)'''本件報告書は、確定判決の事実認定に従って被害者両名や関係車両の移動状況を再現実験すると、D山とX田の各供述、D山とV村の各供述はいずれも矛盾しており、D山が女児らを目撃してから約3分後にV村が同じ道を通ったとする確定判決の認定は誤っているとの結論が導かれるとするが、以下の理由から、同再現実験から前記結論を導くことはできない。<br> '''(2)'''本件報告書は、秒単位で関係者の供述内容を再現して視認可能かどうかを検証しているが、関係者の供述する時刻、時間、位置はそのような検証が可能なほど精度が高いものではない。自動車の動きについても、当時の道路状況を再現して実際に3回自動車を走行させてその時間を測定しているが、おおよその時間は把握できても、当時の実際の関係者の移動に要した時間と秒単位で同じということまではできない。<br> '''(3)'''本件報告書は、被害者両名について、平原バス停付近とE村方三叉路付近で目撃された時刻から平均移動速度を算出した上で、D山が目撃した後のE村方三叉路付近における被害者両名の移動速度がこの平均移動速度のとおりであったと仮定しているが、E村方三叉路付近でD山に目撃された時刻はおおよそのものにすぎず、本件各調書の記載にも微妙な違いがある。また、被害者両名がE村方三叉路に至るまで普段よりも時間を要していたことは明らかである一方、D山に目撃された後の被害者両名の行動は不明である。前記平均移動速度をD山が目撃した後の被害者両名の移動速度に当てはめることに合理性はない。<br> '''(4)'''本件報告書は、X田がX島車の後ろに停車すると同時にV村車と離合した、すなわち、X田が停車した時点でV村車が直近に迫っていたことを前提に、関係車両の移動状況や各経過時間を算定しているが、この前提にも疑問がある。V村は、E村方三叉路付近まで来た時、3台の自動車が縦に並んで駐車していた旨供述しており、車が動いていたとは供述していない。X田も、自車をX島車(原決定18頁に2か所「X島車」とあるのは誤記と認める)の後方に止める際に既にV村車が接近していたとは供述していない。X田がX島車の後ろに自車を止めた時点でV村車が本件報告書で想定している位置まで接近していたとは考えられない。<br>  確定判決37~38頁は、「X田が自車を一旦X島車のすぐ後ろに停車させた直後、V村車が通りかかり、離合しにくい様子だった」旨説示しているが、駐車車両の台数に関するD山の記憶違いを論証する部分であることからすると、「直後」という文言は、X田が一旦X島車の後ろに停車してから再度車を移動させるまでの間に離合した対向車はV村車のみである(D山車は同所でX田車と離合していない)ことを示す趣旨で用いられているにすぎないと解される。<br> '''(5)'''本件各調書の不合理性を指摘する本件報告書は当を得ないものであるから、本件各調書の信用性が減殺されることはない。<br> '''4 K村の原審証言について'''<br> '''(1)'''K村は、事件当日、女児2名が乗った不審車両を目撃し、しかもその2名は間違いなく小学校1年生で、顔も被害者両名と似ていたと証言する。<br>  しかし、目撃した2名の特徴については、おかっぱ頭で、赤いランドセルを所持していたという特異的でない内容を述べるにとどまり、被害者両名とどこが似ていたのかという質問に対しても、全体の雰囲気が似ていたと繰り返すばかりで、具体的根拠を全く示すことができていない。K村は、不審車両を追い越す1~2秒の間に、同車内の女児2名を目撃したというにすぎず、K村の方を向いていたという女児でさえ、顔貌を子細に観察し、記憶する余裕があったとは考え難い。もう1名に至っては同車内で横たわっていたというのであり、顔貌を目撃できたのか疑問が残るし、仮に目撃できたとしても、特徴を的確に把握することができたとは思えない。<br>  目撃した女児2名が小学校1年生であった根拠について、地域のコミュニティで小学生と接触しており、学年が1つ違えばはっきり分かる旨供述するにとどまり、説得力のある説明はできていない。同じ小学校1年生といっても、成長の程度は人によってまちまちであり、ましてや、K村は並走する車内から窓越しに女児らを短時間目撃しただけで、全身を見たわけでも、直接会話をしたわけでもないのであるから、そのように断定する根拠は甚だ薄弱である。<br>  目撃した女児2名が被害者両名にそれぞれ似ているというのであれば、2名の相違についても供述できてしかるべきであるが、顔貌のみならず、髪形、服装等の相違点の指摘はない。K村は,ランドセルの色は2人とも赤だと思ったが、後から被害者両名のランドセルの写真を見せてもらったら、1人はピンクで記憶違いだったとも供述しているが、なぜそのような記憶違いをしたのか、ランドセルの色という一見して明らかなものについて記憶違いをしていながら、なぜ顔貌については似ているといえるのかについて、首肯し得る説明はない。<br>  年齢や服装等の概括的で目につきやすい特徴は記憶に残りやすい一方、面識のない相手の顔貌の特徴を正確に把握して記憶することは比較的難しいと思われるが、K村は、目撃した女児らの服装等についてはほとんど言及せず、被害者両名と顔が似ていたと述べることに終始している。目につきやすい特徴については記憶がないのに、事件から26年以上が経っても車で追越しざまに目撃した面識のない女児2名の顔をはっきり覚えているという供述内容自体、不自然である。 <br>  女児2名の目撃内容に関するK村の供述は信用性に乏しく、特に顔貌が被害者両名に似ているなどと述べる詳細部分は信用し難い。<br> '''(2)'''女児らを目撃した時刻について、K村は、事件当日の午前9時40分頃か午前10時40分頃であったと思うが、記憶がはっきりせず、午前中であったことは間違いないと述べ、曖昧な供述をしている。しかも、弁1では午前11時前後と述べていたのに、証人尋問の約3週間前に作成された弁28では、午前10時30分前後であった旨供述するに至り、証人尋問では前記のとおり述べ、次第に早まっている。一度目の変遷については、取引先に自宅から会社を経由して向かったと勘違いしていたが、後から考えると自宅から直接向かったことを思い出したという理由を一応述べるが、二度目の変遷については、特に理由を説明することもできず、年月の経過に伴い、記憶が曖昧になっていることを自認している。<br>  K村の供述は、目撃時刻に関しても信用できない。<br> '''(3)'''K村が目撃した女児2名が被害者両名であるとすると、確定審が認定した被害者両名の死亡時刻と抵触する上、犯人は、被害者両名を拐取した後、一旦八木山バイパスを通って福岡市方面に向かいながら、その後進路を逆に変えて飯塚市方面に戻り八丁峠方面に向かったことになるが、犯人の行動として不自然である。<br> '''(4)'''弁護人は、K村は、取引先から集金できなかったため、ゆっくり走行していた軽自動車を追い越す際に、イライラしながら運転手を注視した、女児の表情が極めて印象的で、強い記銘力が働いた、目撃内容を明確にし、記憶を維持する機会が反復継続していたなどと指摘するが、仮にK村が目撃した女児らの顔貌を明確に記憶し、その記憶を維持していたのであれば、女児らの顔の特徴等を指摘できてしかるべきであるのに、K村は曖昧な供述に終始している上、前記の変遷も生じている。<br>  K村の原審証言は信用できず、女児2名を目撃したのだとしても、それが被害者両名であるという合理的な疑いは生じない。<br> '''5''' 弁護人のその他の主張を踏まえて検討しても、本件再審請求において提出された新証拠は、確定審及び第1次再審請求審において取り調べられた他の証拠の証明力に影響することはなく、いずれも明白性が認められないから、刑訴法435条6号の再審事由はない。<br> ===第3 当裁判所の判断===  申立人が提出した証拠の新規性又は明白性を否定し、刑訴法435条6号の事由はないとして本件再審請求を棄却した原審の手続に違法はなく、その判断は不合理でないから、原決定は正当として是認できる。以下、弁護人の主張に鑑み補足する(なお、当審において、即時抗告申立ての趣意の理解のための参考資料として提出されたと解される資料は別紙3のとおりである)。<br> '''1 D山の新供述の明白性に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、原決定が、本件警察官調書について、警察官がD山の記憶と異なる調書を無理やり作成する必要性はなく、むしろ有害であり、駐車車両の台数の点でV村やX田らの供述と整合していないことは、D山の記憶に基づいて作成されたことを裏付けているとする点について、〔1〕本件警察官調書を作成した警察官は、被害者両名の足取りを一刻も早く把握したいと考えていた捜査本部に対し、犯行の場所や時間を特定するための有力な情報として報告する必要があった、〔2〕D山を誘導した警察官が駐車状況を誤解していたのであれば、本件警察官調書が誤った供述記載になることは当然であると主張する。<br>  しかし、目撃者かもしれない者の事情聴取にあたり、その供述と異なる不正確な供述調書を作成することは、被害者両名の正確な足取りを速やかに把握し、犯行の時間や場所を特定するという当時の捜査目的との関係では有害というほかない。初動捜査の段階から、D山の旧供述がなくても、Z田及びG山の供述等により、被害者両名が事件当日午前8時22分頃に通学路である平原バス停付近におり、その後、同日午前8時50分頃までの間に通学路外に拐取されていることは判明していたから(確定第1審甲3・25丁、甲38・345、357丁等)、犯行の時間や場所はその範囲には絞られていた。D山の旧供述は、犯人やその使用車両を目撃したといった内容ではないばかりか、既知の被害者両名を目撃したという内容ですらなく、目撃したという小学校低学年の女児2名の特徴についても、身長のほか1名の服装等を述べるにとどまっていた。他の証拠も併せ考慮してはじめて、D山が被害者両名の最後の目撃者であると認定されるに至ったものであって、最初に警察官から事情を聴かれた時点においては、事件との関連性の有無さえ確定できなかったのである。D山が原審において本件警察官調書の記載のうち記憶と異なっていたとする点は、弁護人が強調する女児らを目撃したのが事件当日か否かという点にとどまらず、原決定のいうように供述全般に及んでいるところ、D山の供述と大幅に異なる供述調書を作成したことを糾弾されるリスクや、後の捜査に混乱をもたらすリスクを冒してまで、警察官がその功績等のため本件警察官調書のような供述記載を創作した可能性は乏しい。警察官が駐車車両の台数等を誤解していた可能性は皆無ではないとしても、憶測の域を出ない上、駐車車両の台数に関する他の供述との齟齬は、本件警察官調書の曖昧な記載ぶりにも照らすと、警察官がD山の供述をありのままに録取したことの表れとみることは十分可能であり、そのような見方は不合理ではない(なお、確定審における検察官の立証構造及び確定判決の証拠構造からみて、D山の旧供述は、犯行の時間や場所の絞り込みに一定の役割は果たしたとはいえようが、それに尽きており、旧供述の有無が犯人性の推認に及ぼす影響力はかなり限定的である)。<br> '''(2)'''弁護人は、原決定が、本件警察官調書は、D山自身の心情を交えながら目撃時の女児らの動作や様子等を詳細に述べる具体性に富む内容であり、警察官が作り上げたものとは考え難いとする点について、D山の原審証言の立証命題は、D山の旧供述のうち女児らを目撃したのが事件当日であるとする部分を弾劾するものであるから、この部分に関する証言の信用性を判断すべきであって、D山の旧供述と新供述を全面的に対比して信用性を比較する原決定の手法は誤りであり、本件警察官調書が女児らを目撃した際の心情を交えた具体的なものであることは、女児らを目撃したのは事件当日ではないとするD山の新供述の信用性を否定する理由にはならないという。<br>  しかし、D山の新供述は、女児らを目撃したのが事件当日であったか否かという点だけでなく、目撃した位置やその際の女児らの動き、その直後に通過した道路の駐車車両の有無など、女児らを目撃した状況及びそれに密接に関連する部分全般について旧供述と大きく異なっており、これら一連の点について警察官がD山の記憶や供述とは異なる作文・誘導をしたという内容なのであるから、新供述の信用性を判断するに当たり、そのような作文・誘導があり得るのかという観点から、目撃したのが事件当日であったか否か以外の関連部分の内容に着目するのはむしろ自然であり、それが誤りとはいえない。<br>  付言すると、女児らを目撃したのが事件当日であったか否かという点を中心に検討してみても、D山の新供述を前提とすると、事件当日、消防隊(団)員が行方不明となった被害者両名の捜索のため農協に来ているのに、D山は捜索に役立たない話をし、これを聞きつけた警察官が後日わざわざD山から事情を聴くために農協を訪れ、そこでもD山が犯行の時間や場所の特定に役立たない話をしたにもかかわらず、事件当日に目撃したことにすべきであると判断し、更に警察官が来訪して事件当日に目撃した旨の調書を捏造したことになるが、原決定が指摘するとおり、このような経過は不自然である。また、「事件当日に警察官が農協に来たことはない。V村に女児を見かけることはある旨話したところ、『私は通勤の道順が違うから見たことはない』と言われた」旨のD山の新供述は、「事件当日午後、警察官が農協に来て、D山が警察官に女児を見たなどと話していた。自分はD山の後にE村方三叉路を通過して農協に出勤したが、女児2名は見なかった」旨のV村供述(確定第1審証人V村(V田)尋問調書1465、1469丁、確定控訴審甲40・弁60)と矛盾を来している。<br> '''(3)'''弁護人は、原決定が、本件検察官調書は、本件警察官調書と比較すると曖昧な内容にとどまる部分が散見され、時の経過に伴う記憶の減退が反映されており、D山から改めて事情を聴くことなくあらかじめ捜査官が調書を用意していたとは考えにくいとする点について、〔1〕本件検察官調書中の本件警察官調書と異なる点は、D山が訂正しなくても捜査官があらかじめ記載することが十分に可能である、〔2〕本件検察官調書の作成過程に関するD山の原審証言の核心は、検察庁に行っておらず、事情聴取をしたのは同調書に署名している検察官らではなかったという衝撃的な内容であり、記憶違いや記憶の風化では説明できず、D山がこのような点についてまで事実と異なる証言をする必要もないと主張する。<br>  しかし、本件検察官調書は、本件警察官調書とおおむね同内容ではあるが、詳細に比較すると、時間帯が若干後ろ倒し又は幅のある記載となっていたり、女児らの特徴、女児らが手をつないでいたか、女児らがD山車をよけた方向、離合した車両の特徴等について記憶がはっきりしなくなっていたり、各女児を目撃した際に別の子だと認識した理由、最後に離合した車両(確定判決によればX田車)の運転手の特徴等が付け加えられたりしている上、調書添付図面を比較しても、X田車と橋(ガードレール)と位置関係が異なるなど、複数箇所で違いが見られる。仮に、D山が原審で証言するように、改めて事情を聴かれることなくあらかじめ出来上がった調書を示され、本件警察官調書添付図面を見せられて模写するように言われて従ったのだとすると、ここまでの差異が生ずるとは考えにくい。D山が原審で証言する喫茶店で会った相手方の説得内容は、当時の捜査の進捗状況、検察官の立証構造におけるD山の旧供述の位置付け、既に本件警察官調書が存在していたこと等に照らして不自然であり、違和感を否めない。一方、本件検察官調書は、同じ検察官が福岡地方検察庁飯塚支部において同じ検察事務官立会いの下、手書きで作成したとされる検察官調書(確定第1審甲38、44、500、538、554、556、557、558、559、579)と比較して体裁に不自然な点はない上、D山の供述に対し、取調官がその意味や理由について更に問いを投げかけて答えを得て、検察官が口授した内容を検察事務官がその都度録取していったとの見方に沿う部分もある。<br>  本件検察官調書の作成過程に関するD山の新供述は、喫茶店の場所を特定している点などにおいてある程度具体性を伴っていることを踏まえても、後記のような供述の変遷やその程度、新供述に至るまでの経緯等も考慮すると、一貫して保持された記憶に基づくものとみるのは難しく、後述するとおり、本件各調書の作成をなかったことにしたいという願望や、記憶の混同、変容、欠落等に起因する信用性の乏しいものであるといわざるを得ない。<br> '''(4)'''弁護人は、原決定が、D山は、原審において、女児2名の目撃供述の根幹部分について、弁2からも合理的理由を示すことなく供述を変遷させており、一貫した記憶に基づいて証言しているとは考えられず、警察官から紺色ワゴン車に関する質問をされたことは、弁2だけでなく弁30にも記載されておらず、供述経過が不自然であり、信用できないとする点について、〔1〕女児らを目撃した日についての新供述に実質的な変遷はない、〔2〕弁2は、本件警察官調書の作成から約26年が経過した時点で、初対面の弁護人に対して最初に事情を説明した際に作成されたものであるから、女児らを目撃した場所について記憶が戻らない状態だったにすぎず、その後の面談の中で思い出して訂正に至ったことは、何ら不合理ではない、〔3〕D山が記憶を維持してきたのは、女児らを目撃したのは事件当日ではないということであり、このような簡明な事実に関する記憶が歳月によって風化することはあり得ない一方、それ以外の事実については記憶が風化していたはずであるから、真実警察官から紺色ワゴン車に関する質問をされていたのであれば供述録取書作成時に弁護人に話すはずとはいえず、弁護人との面談の中で記憶が喚起されて説明するに至ったことは何ら不自然ではないと主張する。<br>  しかし、原決定が指摘する変遷部分、すなわち、女児らを目撃したのが事件当日ではないという明確な記憶があったのかという点、化粧を終えて発進した後に女児らの横を通り過ぎたのが、E村方三叉路左折時であったのか、それよりもずっと東側(確定判決が認定した被害者両名の通学路外)であったのかという点、事情聴取の際に事件本人車を示唆する質問があったのかという点は、核心部分そのもの又はこれと密接に関連する部分であり、変遷後の供述はD山が賛同している弁護人の主張に沿う内容でもある。そして、弁2は、平成30年4月4日及び同月16日の2回にわたる主任弁護人及びZ1弁護人とD山との面談を経て、両弁護人が作成して同年5月16日に主任弁護人の事務所においてD山の署名等を得たもので、再審請求の新証拠としての提出も念頭に、慎重に作成されたことがうかがわれる。D山としても、遅くとも弁護人に連絡を取った時点では、記憶を喚起して保持する必要性を意識していたはずである。そうであるのに、弁2には、取調官に対する説明の内容とは区別する形で、3か所にわたり、D山自身の記憶の内容として、「当初から私の記憶内容が曖昧で、女児2名を目撃したのが、当日だったのか、その数日前だったのかについては、全く自信がなかった」(1頁)、「女児2名を目撃したことはあるが、これが平成4年2月20日のことだったかどうかは全く分からない」(5頁)、「女児らを目撃したのが事件当日であるのか、その何日か前であるのかの記憶が不確かであるのに、調書にサインしてしまった」(6頁)などと記載され、それとは別の箇所で、取調官に対しても同趣旨の話を繰り返した旨が記載されていて(3、6頁)、要するに女児らを目撃したのは事件当日の可能性も事件当日ではない可能性もあるが、いずれとも断定できない旨述べていた。これに対し、原審証言では、弁護人の主尋問の当初こそ「当日じゃないと思います」という答えの後に「多分」という一言を付加しているものの(原審証人尋問調書11頁)、その後は女児らを目撃したのは事件当日ではないと記憶していたという趣旨の証言を繰り返しているから(同調書21~24頁)、これを変遷と評価した原決定に誤りはない。また、弁2では、D山車を停めて化粧をしていた地点については、旧供述よりもF寄りである旨本件各調書の記載を訂正している一方、女児2名を追い越したのはE村方三叉路を左折した後の地点とされており、当時の記憶が保持されていたのであれば、後者の点を訂正できなかったというのは不自然であるし、その後喚起されたという記憶の正確性にも疑念を抱かざるを得ない。さらに、弁2には「同月22日は、この程度の話をして終わったと思う」旨明記され(3頁)、警察官からカタログを見せられて紺色ワゴン車に関する質問をされたといった話は弁30にも一切出てこないが、真実カタログを見せられるなどしていたのであれば、弁護人との面談を経てもこれらの供述録取書作成時までに記憶が喚起されなかったということになり、そのような経緯は不自然であり、不意に思い出したとする記憶の正確性も疑わしい。そのほか、D山の供述には、弁2と原審証言とを比べると、複数の点につき食い違いが認められ、証言中でも変遷している点がある。女児らを目撃したのは事件当日ではないという点を含め、D山が当時の記憶を正確に保持しているのであれば、このような供述経過をたどるとは考え難い。<br> '''(5)'''弁護人は、D山は、自らの記憶と異なる供述調書が作成されたことが事件本人に対する死刑判決に影響を与えたのではないかという自責の念や、供述調書作成時に記憶と異なる点を是正しようとしたもののできなかったことへの後悔から、今度こそ自らの記憶どおりに証言すると決意し、事件当時のように生活の平穏が乱される事態になることを恐れながらも、弁護人に接触して良心に従って証言することを名乗り出たものであって、あえて記憶と異なる内容の供述をするはずがなく、弁護人に迎合し、思い込みによって記憶が変容することもあり得ず、また、旧供述が記憶と符合していた可能性もあるかもしれないという曖昧な記憶だったのであれば、これほど自責や悔悟の念にとらわれることにはならないし、弁護人に接触して供述を訂正しようという行動に出る必要はなかったのであり、原決定はD山が証言するに至った動機や心情を無視ないし軽視していると主張する。<br>  弁2、32等によれば、D山は、事件直後に警察の事情聴取に応ずると、供述内容がマスコミに漏れて連日のように取材攻勢に悩まされるようになり、断り切れずにテレビ取材に応じたところ更に嫌な思いをし、結局農協を辞めることになるという、二度としたくない経験をした上、その後程なくして転居し、次第に気にならなくなっていた矢先、繰り返し要請されて本件検察官調書の作成のためやむなく帰省したというのである。そして、D山は、再び同じ県内に住むようになって以降、マスコミ報道やYouTube等を見て、事件本人は無実かもしれず、自己の供述が事件本人を死刑にしてしまったかもしれないという強い後悔の念が湧いてくるようになった上、第1次再審請求に係る即時抗告棄却決定を受けた弁護団の記者会見の内容を知って不安が募り、夜も眠れない状態となり、弁護人の事務所に「YouTubeで講演を見た。先生たちと同じ考えで、犯人は他にいると思っている。講演会等があれば参加したい」などと電話をかけ、新供述に至ったというのである。原審でも、「本件各調書が判決に影響を与えたと思っており、それが精神的負担になっている」旨証言している。<br>  このような経緯やD山を取り巻く状況等に照らすと、D山が自責や悔悟の念、不安といった心境に至ったこと自体が不自然であるとはいえず、D山があえて現在の記憶と異なる内容の供述をしている可能性が高いなどとみているわけではない。しかし、D山の新供述の不自然性、他の証拠との齟齬、変遷の内容やその程度等に照らすと、D山が見聞きした報道や弁護人の見解等に無意識のうちに迎合し、あるいは思い込みによって、事件当日や本件各調書作成当時に関する現在の記憶自体が変容してしまっている可能性は否定できず、少なくともそのような見方が不合理とはいえない。すなわち、D山にとって本件各調書の作成は辛く嫌な出来事であり、これを思い出さないようにしていたこともあって、時の経過とともに記憶が曖昧になることは無理もないことであるが、それだけではなく、確定判決に疑問を投げかける情報に接したことを契機に、それを支持する情報ばかりが目に付くようになると、その結果、記憶が一層混乱するとともに、自身のみがE村方三叉路付近で女児2名を目撃した旨供述しているという現実を抱えきれなくなり精神的に不安定な状態が亢進しかねない。そうした場合、その苦境から脱し、自らの心身を守るため、自身が目撃した状況は事件と無関係であり、旧供述は自身がしたものではないことにしたいという心理が働くことや、それが言動に影響してしまうことは十分に考えられ、D山の新供述の不自然性等(例えば、D山が当初から原審証言の地点で女児らを目撃し追い越したと供述していれば、D山が被害者両名の最終目撃者とされなかった可能性が高まる)に照らすと、その疑いは濃厚である。D山が意図的に虚偽供述をしているのではなくても、前記のような新供述を信用するのは極めて困難であるといわざるを得ない。<br> '''(6)'''弁護人は、〔1〕平原バス停付近で被害者両名を目撃したZ田は、事件当日に学校にその旨報告したところ、学校に来ていた警察官がZ田方に来て目撃状況を報告した旨供述しており、D山が事件当日に警察官に対して同日女児らを目撃したと供述していたのであれば、Z田と同様に、直ちにその供述について詳細な事情聴取がされていたはずであるが、そのような対応は取られていない、〔2〕D山の旧供述が事件当日に女児らを目撃したとする時間帯、E村方三叉路付近ではW田とX島が立ち話をし、X田がX田車で同三叉路を北上し、V村がD山の後にV村車でD山車と同一方向に同三叉路を走行しているが、D山以外誰一人として被害者両名を目撃していないと指摘し、このような客観的状況ないし動かし難い事実は、旧供述と整合せず、D山の原審証言の信用性を補強しているのに、原決定はこの弁護人の指摘について判断することを意識的に回避していると主張する。<br>  しかし、いずれの点についても、確定審の段階で既に判断の前提とされていた事情であり、原決定は、そのような観点等から具体的に取上げる必要まではないと判断したものと解される。<br>  付言すると、〔1〕の点については、D山と異なりZ田は既知のA田らを目撃したと供述していたものである上、本件各調書によれば、D山は事件当日に農協を訪れた警察官に目撃状況を説明したとされており、目撃者がその場にいなかったため来訪することとなったZ田との間で、警察の対応に有意な差があるとはいえないから、旧供述の信用性は損なわれず、新供述の信用性が補強されることにもならない。〔2〕の点については、確かに、確定審の証拠関係からは、事件当日午前8時30分前後頃、E村方三叉路付近にいた4名(V村、W田、X島及びX田)の中に、被害者両名を目撃した者が存在しないというのは、一見すると不自然さを否めないようにも思われる。しかし、そもそも、関係者がE村方三叉路付近にいた時間や場所を客観的かつ正確に認定することはできない上、D山による目撃後の被害者両名の行動は、あらゆる可能性を排除できないのである。これは、確定第1審及び控訴審判決において「被害者両名はD山に目撃された後犯人に誘われるなどして登校路を逆に向かった可能性があり、犯人が顔見知りであったため被害者両名は容易に乗車したと推認される」旨指摘されていることからも明らかである。弁護人の指摘は、それ自体では新旧両供述の信用性に影響するような事情とはいえない。<br> '''(7)'''弁護人は、D山の旧供述は、同意書面として取り調べられたものであり、信用性について反対尋問等による検討を経ていないものであるのに、原決定はこの点を考慮していないという。<br>  しかし、原決定(8頁)も指摘するとおり、本件各調書は、捜査段階から事件本人が犯人性を争っている中、確定審で検察官から弁護側に開示された証拠であって、〔1〕本件検察官調書は、確定第1審において検察官が立証趣旨を「被害児童両名の登校状況」として請求し、当時の弁護人が同意した上で取り調べられたもの、〔2〕本件警察官調書は、確定控訴審において、検察官が「供述経過」を立証趣旨として請求し、弁護側(主任弁護人その他の本件の弁護人4名を含む)が異議なしとの意見を述べただけでなく、弁護側も「D山が被害者らを目撃した場所に到着した時刻及び被害者らを目撃した時刻」を立証趣旨として請求して検察官が同意し,双方請求の書証として採用されて取り調べられたものである。弁護側からD山の証人尋問が請求されたこともなかった。利害関係のない第三者であるD山の旧供述については、その信用性を疑う理由が見当たらないのである。<br>  D山の新供述には既に述べた看過し得ない問題点があることも踏まえると、本件各調書が書証であることが信用性判断に影響することはない。 <br> '''(8)'''弁護人は、〔1〕原審において、弁護側が求めたD山の初期供述に関する証拠の開示について、検察官は、同証拠が残されていないはずがないのに、不存在と釈明し、検察官がその存在を認めた検察官送致記録添付の一覧表(送致記録中の書類目録及び関係書類追送書をいうものと解される。以下「書類目録」という)についての原裁判所の開示勧告を拒否したが、原決定は、D山の原審証言の信用性を評価するに当たり、この検察官の対応を捨象している、〔2〕検察官が、同勧告に従わなかったという事実から、D山の初期供述に関する未開示証拠の存在が推認されるともいう。<br>  確かに、本件各調書によれば、事件当日の被害者両名の捜索時に警察官がD山から事情を聴取したとされているが、いまだ被害者両名の生死が不明の時点での聴取であって、その約10日後には本件警察官調書が作成されているから、初動捜査の段階におけるD山供述の位置付け(前記第3の1(1))にも鑑みると、当初の事情聴取結果が捜査書類の形で確実に存在しているはずであるとはいえず、検察官の回答が明らかに虚偽であるとはいえない。検察官は、原審の書類目録の開示勧告に対し、〔1〕書類目録は内部の連絡文書又は手続文書であって証拠ではない、〔2〕書類目録を開示しても弁護人が開示を求める証拠の存否は明らかにならないことなどからすると、開示の必要性がない、〔3〕探索的に膨大な証拠開示勧告申立てが繰り返され、手続が紛糾し、参考人のプライバシーが侵害されるなどの弊害があるといった理由を述べて勧告に応じなかったものであり、その見解に全面的に賛同することはできないとはいえ、検察官の対応から、手持ち証拠中に存在するD山の初期供述に関する証拠を意図的に隠蔽しているとみるのは、合理的な根拠のない憶測というべきである。原決定が、D山の新供述の信用性を判断するに当たり、証拠開示に関する検察官の対応を考慮しなかったことに誤りはない。<br> '''(9)'''その他弁護人の主張に鑑み検討を加えても、D山の新供述の信用性に関する原判断に不合理な点はない。<br> '''2 本件報告書の明白性に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、本件報告書は、被害者両名の歩行速度を平均的な速度より早く設定しても、X田やV村の視界から消えることはあり得ないことを明らかにしていると主張する。<br>  しかし、本件報告書が前提とする被害者両名の歩行速度(秒速約0.75m)は、確定判決が依拠した子供の足の速さ(確定第1審甲33)よりも遅い上、原審で検察官が指摘していたように、小学校1年生の女児の平均的な平常歩行速度と比べてもやや遅い。原決定も指摘するとおり、本件各調書によれば、被害者両名がE村方三叉路に現れたのは午後8時30分ちょうどではなく、その少し前等とされており、本件報告書の想定より短時間で平原バス停付近とE村方三叉路の間を移動した可能性がある上、被害者両名はいずれの地点でも学校に行きたくない様子で「とぼとぼ」ないし「だらだら」と歩いており(確定第1審甲38、39等)、両地点間では普段よりも遅い速度で歩いていた可能性を否定できない。しかも、D山が目撃した後の被害者両名の行動は不明なのである。被害者両名が秒速約0.75mよりも早い速度で北上するなどしたため、X田やV村に目撃されなかった可能性は相応にある。<br> '''(2)'''弁護人は、確定判決38頁の「直後」の意味をV村車が離合するタイミングの趣旨であると読み替える原決定の解釈は、文理に反し作為的であると主張する。<br>  しかし、原決定も指摘するとおり、「X田車が一旦X島車のすぐ後ろに停車した直後、V村車が通りかかった」旨の確定判決の説示は、駐車車両が3台あった旨のD山の本件検察官調書における供述が、他の関係者の供述等に照らし記憶違いであることを論証する中での説示であるから、「直後」というのは、X田車が一旦停車した後V村車と離合する前に他車と離合していないことをいわんとしたものとみることも可能であり、V村、W田及びX田の供述内容(確定第1審証人V村(V田)尋問調書1459丁、同証人W田尋問調書1495丁、同証人X田尋問調書1598、1607丁。確定控訴審甲40・弁60も同様)に照らしても、本件報告書が想定するような、X田車が当初の停車位置に到達した時点でV村車が目前に迫っているような状況を想定した説示とは限らない(更に言えば、確定判決40頁の説示からD山車とX田車が離合した地点をD山とX田がそれぞれ供述する地点の中間と設定する本件報告書の想定にも疑問がある)。原決定の解釈は不合理でない。<br> '''(3)'''弁護人は、本件報告書に係る再現実験は、原決定のいうように関係者の移動に要した時間を秒単位で再現しようとしたものではなく、誤差を吸収できるだけのバッファを考慮したおおよその速度を前提としており、X田車がD山車と離合してから極めて短時間でX田が被害者両名を目撃可能な位置に達すること、V村車がE村方三叉路入口に到達していれば、被害者両名が通学路を後戻りしたとしてもV村は被害者両名を目撃できること、V村車が同三叉路入口からX島車付近まで移動するのに要する時間は数秒間であることが確認されているから、旧供述どおりD山が被害者両名を目撃したのだとすると、X田やV村が被害者両名を目撃しないことはあり得ないと主張する。<br>  しかし、本件報告書には、被害者両名の移動速度や確定判決の解釈に関して既に指摘したような問題点がある上、車両等の位置の決定の参考にしたとされる各調書添付図面は、道路状況を含めて手書きされたものか(本件検察官調書)、住宅地図に手書きで書き込みをしたもの(各証人尋問調書)で、いずれも視認可能性の検証をも想定した正確性を企図したものではない。各図面を比較すると、おおよその位置関係は合致していても、距離を問題とするのであればずれが生じているし、本件各調書の添付図面間の食い違いからすると、D山車とX田車が離合した位置についてのD山の記憶は曖昧なものであったこともうかがわれる。後述するとおり、確定判決の事実認定に従っていない部分もある。本件報告書に係る実験は、地点の特定を含め、確定判決が認定した事件当時の状況を正確に再現できているとはいい難く、X田やV村が被害者両名を目撃しないことはあり得ないなどという本件報告書の結論を採用することはできない。<br>  なお、本件報告書は、「V村はD山が被害者両名を目撃してから約3分後に同じ道を通った」旨の確定判決の認定は完全に誤っているとも指摘する。V村がD山のどの程度後にE村方三叉路を通過したかについて、確定判決は、「ほんの数分後」という表現(10頁)だけでなく、「約3分後」という表現も用いているが(39頁)、その根拠をみると、D山が、本件検察官調書において、「農協の駐車場で化粧品等を拾い集めたりしているうちにおそらく3分くらいかかったのではないかと思う。するとちょうど同僚のV村がV村車に乗って駐車場に入ってきた」旨供述している点を捉え、そこから遡ると同三叉路においてもその程度の間隔はあったと推認できるとの判断に基づくものと解される(確定判決33頁参照)。確定判決は、D山が午前8時30分過ぎ頃同駐車場に到着し、D山と共に農協に入店したV村が時計(大体合っているという限度のもの)を確認したところ午前8時33分頃であったことをも前提としており(確定判決33、34頁)、「約3分」といった説示は、相応の幅を持たせたものであることも明らかである。本件報告書は、確定判決の事実認定に従うとしながら、D山による被害者両名目撃の約3分後にV村がE村方三叉路を通過した旨の事実認定については前提としない一方、視認可能性に関する再現実験の算定根拠となるほどの客観性や正確性を指向していない確定判決や調書の記載についてはその意図しない方法で用いるなど、条件設定が恣意的との印象を与えかねず、そのような実験については公正さを疑われ、得られた結論の説得力が乏しいと評価されてしまってもやむを得ない。したがって、「V村はD山が女児らの横を通過してから21秒後に同じ地点を通過した」という結論もまた採用できず、確定判決の認定の誤りを示すものとはいえない。<br> '''(4)'''弁護人は、本件報告書に係る再現実験では、V村車が、E村方三叉路が見え始める地点に到達し、同三叉路入口を通過し、X島車付近へと進んでいき、同三叉路の内部を詳しく見ることができるようになったにもかかわらず、被害者両名を目撃しなかったことが明らかになっているのに、原決定はこのことを無視しているともいうが、確定判決も原決定も、V村がD山による被害者両名目撃の約3分後にE村方三叉路を通過したことを前提としているから、その点で弁護人とは異なっているが、弁護人指摘の点は前提としていると解される上、これを踏まえても、本件報告書に既に指摘したような問題がある以上、信用性を欠くとの結論は変わらない。<br> '''3 K村の供述の明白性に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、K村の原審証言の信用性と、事件との関連性は別問題であり、前者は後者を判断する前提事項であるのに、原決定は両者を混同して信用性の問題として評価しており、論理性を欠いていると主張する。<br>  しかし、K村が事件当日に女児2名を目撃したのだとしても、それが被害者両名でないのであれば、K村供述が旧証拠の証明力を減殺する余地はないことになるし、被害者両名である可能性が乏しいということになれば、被害者両名を目撃したかのようにいうK村供述の信用性には疑念が生ずることになるから、女児2名を目撃した時刻、場所、被害者両名との類似性など、事件との関連性を示す部分の信用性を中心に吟味した原決定の手法に誤りがあるとはいえない。<br> '''(2)'''弁護人は、原決定が、目撃した女児2名に関するK村の原審証言について、被害者両名と顔貌が似ていたとする根拠が具体性を欠くこと、小学校1年生と断定する根拠が甚だ薄弱であること、前記2名の相違点についての指摘もないこと、年齢や服装等の概括的で目につきやすく記憶に残りやすい特徴の言及が乏しいことなどを理由に、女児2名の目撃内容に関するK村の供述は信用性に乏しく、特に顔貌が被害者両名に似ているなどと述べる詳細部分は信用し難いとする点について、〔1〕「目撃した女児2名は記者から見せられた被害者両名の顔写真と雰囲気が似ていた」旨のK村の原審証言は、恨めしそうな顔で見つめられたという特異な体験をし、その表情を忘れられなかったことから可能になったものであり、短時間の目撃であったのであるから、それ以上に似ているとする具体的根拠を示せなかったことは、信用性を否定する理由にならない、〔2〕記憶の残りやすさについて、何ら不審を抱くことなく目撃した場合と、K村のように不審を抱いて目撃した場合とを同列に論ずることはできない、〔3〕女児1名のランドセルの色の記憶違いについても、短時間の目撃であることを考慮すれば、記憶が明確でなくなるのは当然であるなどと主張する。<br>  しかし、原決定も指摘するとおり、K村は、目撃した女児2名が被害者両名であると同定する具体的根拠に乏しく、学年を特定する根拠は甚だ薄弱で、特に後部座席に横たわっていた女児についての視認条件は良好とはいい難く、顔貌を確認し、記憶できたとは到底思えないにもかかわらず、断定的な供述を繰り返している。K村は、B山に似ている女児の奥に置かれたランドセルの色が赤だと思ったのは記憶違いだった旨証言するが、B山のランドセルの色と記憶しているランドセルの色が一致しないのであれば、別人である可能性を思い描いてしかるべきであるのに、なぜ当初の記憶が間違いであると即断できるのか不明である。これらは、K村の知覚及び記憶の正確性に疑問を抱かせ、目撃した女児2名が被害者両名であるとの思い込みに基づいて供述している可能性を示す事情である。<br>  付言すると、K村は、面識のない女児2名を目撃してから約26年の間、被害者両名との同一性を確認する機会がなく、かつ、確認時には被害者両名の写真だけを示されたというのである。目撃から原審証言まで30年以上の期間が経過し、実際に目撃した女児2名の印象が薄れてもおかしくない中、記者から示された被害者両名の写真の記憶との混同が生じているのではないかとの疑いも抱かざるを得ない。<br>  また、K村は、弁1、28では、ランドセルを見たという以上に女児2名の年齢を具体的に特定する供述はしていなかったのに、原審ではいずれも小学1年生であると断言している。弁28では、記者から見せられた被害者両名の写真のうち、A田がK村の方を向いていた女児に似ていたとしか述べていなかったのに、原審では被害者両名とも似ていたと証言している。最初に目に入ったのが誰かという点や、裁判所を訪れて事件本人の公判を傍聴した経緯等についても変遷している。不審車両の運転手の年齢については、同運転手がZ4である可能性をいう弁護人の主張に沿う形で次第に具体的になっており、検察官から被害者両名の死亡時刻は午前9時30分頃と判断されている旨指摘されると、そのことは知っているとした上で、女児のこわばった表情からして完全に消化不良を起こしているなどと、死亡時刻は確定判決の認定より遅かった可能性をいう弁護人の主張に沿う証言もしている。<br>  このように、K村の供述には、当初の知覚及び記憶が不正確で、当時の記憶がそのまま維持されていないことを疑わせる事情だけでなく、長い年月の中で確定判決に関する様々な情報に接したことなどから、自身は被害者両名を目撃しているという思い込みや、犯人は事件本人ではないという先入観に基づいて供述しているのではないかと疑わせる点もみられる。<br> '''(3)'''弁護人は、原決定が、目撃時刻に関するK村の供述は変転していることなどからして信用できないとする点について、K村の原審証言の核心部分は、「事件発生日の事件発生時刻と近接した時間に、事件発生場所と近接した場所である八木山バイパスで、35歳前後の男性が運転する、小学校1年生(弁護人は小学1年生「くらい」とするが、K村は小学1年生と断言している)の女児2名が乗った白色軽ワゴン車を目撃した」などという部分であり、目撃時刻は核心部分ではなく、目撃から30年余りが経過してこの点の記憶が曖昧になり、変遷が生じていたとしても、核心部分の信用性は否定されないと主張する。<br>  しかし、目撃時刻と確定審の認定する殺害及び死体遺棄の時刻との先後関係は、K村供述の重要部分であるから、目撃時刻が早まる方向に供述が変転し、曖昧となっていることをもって、信用性を否定する一事情とみた原決定は不合理でない。<br>  付言すると、K村は、弁28において、「弁1では会社から取引先に向かったと考えて計算していたが、自宅から取引先に直接向かったことを思い出した」旨供述して目撃時刻を約1時間遡らせているが、原審では「当初から弁護人に自宅から直接取引先に向かったと説明していた」とも述べており、弁1と弁28の間の変遷の理由すら曖昧となっている。<br> '''(4)'''弁護人は、原決定が、K村が目撃した女児2名が被害者両名であるとすると、犯人は被害者両名を拐取した後、一旦八木山バイパスを通って福岡市方面に向かいながら、その後進路を逆に変えて飯塚市方面に戻り八丁峠方面に向かったことになって不自然であるとする点について、突発的な事件であり、犯人は殺害等に及ぶ場所を物色して迷っていたと考えられるから、八木山バイパスを走行するはずがないとはいえないと主張するが、原決定の評価が不合理とはいえない。<br>  付言すると、K村は、平日に女児2名が乗車していたこと、女児や運転手の表情等から、目撃したのは被害者両名と犯人だったのではないかと思ったというが、表情等に関するK村供述を前提としても、男性が女児2名を乗せて同バイパスをゆっくりと走行する目的としては、様々な可能性が考えられるところである。女児2名の識別供述に証拠価値が認められない以上、目撃した時刻、場所及び進行方向等に照らし、K村が目撃した状況は事件とは関連がないと推認するのが合理的である。<br> '''(5)'''弁護人は、警察官から紺色ボンゴタイプ車でなかったかと質問されたとするK村の証言部分は、T田供述が誘導によるものであることを強く示唆するとともに、K村の供述調書が作成されなかった理由を明らかにするものであるのに、原決定はこの部分を無視していると主張する。<br>  しかし、弁護人指摘の部分を含め、K村の原審証言の信用性を否定したものと解される原決定は不合理でない。当時、捜査機関は犯人が白色の車両を使用していた可能性もあるとみて捜査を継続していたことがうかがわれ(確定第1審N尋問調書1376、1387、1398丁、確定控訴審弁7)、K村の証言内容は捜査の初期段階における警察官の質問として不自然さを否めない。また、弁1では、警察官から紺色の普通車でボンゴタイプではなかったかと聞かれたという話は一切出てこない。弁1は、令和2年1月9日、K村がZ1弁護人及びZ2弁護人に対して話した内容を、弁護人側で供述書の原稿としてまとめ、同月23日、K村が署名するなどしたものであるところ、K村は弁護人には弁1作成前にこの話を伝えていたかのように証言するが、仮にそうであったとすれば、弁護人がかねてより強く主張している事件本人を犯人視する見込捜査の可能性を示す一事情と捉えるのが自然であり、供述書の原稿に記載されないとは考え難い。K村は、事件に関する報道を通じ、長年紺色のボンゴタイプ車の目撃状況が争われてきたことを認識しており、その供述には既に指摘したような問題点があることにも鑑みると、警察官から紺色ワンボックス車ではないかと聞かれたとする点も信用し難いとする見方が不合理とはいえない。<br> '''(6)'''弁護人は、K村は、事件と利害関係がないのに、目撃した女児の恨めしそうな表情が忘れられず、何もできなかったことに対する自責の思いや、事件に関係していると確信していた目撃状況を明らかにしなければという責任感等から、事件の発生を知ってすぐに警察に連絡し、数日後に事情聴取に訪れた警察官に監視カメラを確認するよう助言しただけでなく、長年にわたり、公判を傍聴し、弁護人の事務所に電話し、同所を訪問するなどの行動をとり続けてきたのであり、虚偽の供述をしなければならない動機はないと主張し、原決定はこのようなK村が証言するに至った動機や心情を無視ないし軽視していると主張する。<br>  しかし、K村が、そのような責任感等を有していること自体を疑っているわけではなく、そうした心境があるからこそ、自らが事件の真相を知っているという思い込みを生み、それが記憶や供述をゆがめている可能性もうかがわれるのであるから、弁護人指摘の事情は、K村供述の信用性判断を左右しない。<br> '''(7)'''弁護人は、〔1〕原審において、弁護側が求めたK村の初期供述に関する証拠の開示について、検察官は、同証拠が残されていないはずがないのに、不存在と釈明し、原裁判所の書類目録の開示勧告を拒否したが、原決定は、K村の原審証言の信用性を評価するに当たり、この検察官の対応を捨象している、〔2〕検察官が、同勧告に従わなかったという事実から、目撃後の通報や事情聴取時の説明内容等についてK村の証言どおりの内容が記載された証拠の存在が推認できるともいう。<br>  しかし、K村の供述を前提としても、来訪した警察官がK村の話を手帳にメモしていたにとどまるのであって、その説明内容や、当時、同様の目撃情報は多数寄せられていたとうかがわれること(確定控訴審弁7)にも鑑みれば、事情聴取結果が捜査書類として確実に存在しているはずであるとはいえず、検察官の回答が明らかに虚偽であるとはいえない。また、前記第3の1(8)で述べたとおり、検察官の見解に全面的に賛同することはできないとはいえ、検察官の対応から、検察官が手持ち証拠中に存在するK村の初期供述に関する証拠を意図的に隠蔽しているとみるのも、合理的な根拠のない憶測というべきである。<br> '''(8)'''その他弁護人の主張に鑑み検討を加えても、K村供述の信用性に関する原判断に不合理な点はない。<br> '''4 証拠開示命令の申立てを職権不発動とした原審の判断に関する主張について'''<br>  弁護人は、D山の新供述やK村の供述の信用性を判断するためには、弁護人が申し立てたD山及びK村の初期供述に関する証拠の開示が必要不可欠であり、これらの証拠が存在しないはずはなく、検察官の不存在との回答はその裏付けなくしては到底信用し得ないのに、検察官に対して書類目録の開示を勧告したのみで、これに応じなかった検察官に対し、弁護人の申し立てた証拠開示命令ないし提出命令を出すなどの措置を講じなかった原審の手続には、審理不尽があるという。<br>  しかし、D山及びK村の初期供述に関する証拠が確実に存在しているはずであるといえないことは既に説明したとおりである上、原決定が評価するとおり、D山の新供述及びK村の供述の信用性はいずれも乏しく、書類目録が開示されることによりその評価が揺らぐ可能性もまた乏しかったといえるから、原審が弁護人指摘の勧告以上の措置を講じなかったことに裁量逸脱の違法はなく、審理不尽があるとはいえない。このことは、当審における審理を通じて一層明らかになったといえる。<br> '''5 公務所照会の申立てを職権不発動とした原審の判断に関する主張について'''<br> '''(1)'''弁護人は、原審は、Z3がZ4と共に収容されていたとする医療刑務所に対し、〔1〕平成11年1月1日から平成12年12月31日までの間にZ3が収容されていた事実の有無、〔2〕同時期にZ4が収容されていた事実の有無、Z4が収容されていた場合には、その本籍、血液型及び顔写真に関する報告を求める公務所照会(以下、それぞれ「照会事項〔1〕」「照会事項〔2〕」といい、併せて「本件公務所照会」という)の申立てを職権不発動としたが、弁18において飯塚事件の犯人であることを告白したとされるZ4は、K村が目撃した不審車両の運転手と同一人物である可能性があり、本件公務所照会は、Z3供述及びK村供述の信用性を判断するために必要不可欠であったと主張する(なお、弁護人は、即時抗告申立期間経過後、原決定が、Z3供述の信用性及び同供述とK村供述との関連性についての判断を遺脱している旨の主張もしている)。<br> '''(2)'''弁18の概要は前記第1の5(2)エのとおりであるが,弁19及び20等によれば、弁護人が弁18を入手し、本件公務所照会を申し立てた経緯等は次のとおりである。 <br>  Z3は、平成29年11月、殺人(認定罪名傷害致死)等被告事件により第1審で懲役10年に処せられて控訴し(検察官も控訴)、控訴審係属中であったところ、平成30年4月頃、同事件の弁護人を通じ、飯塚事件の真犯人に関する情報を伝えたいとして、当時第1次再審に係る特別抗告を申し立てていた主任弁護人及びZ1弁護人に連絡を取った。両弁護人が接見したところ、Z3は、Z4(以下「Z4′」という)なる元同房者から飯塚事件の真犯人であると告白を受けた旨述べた。弁護人らは、新聞記事からZ4′はZ4であると特定したが、所在調査が奏功せずにいたところ、同年9月にZ3に対する控訴審判決があり、同年10月、Z3から、主任弁護人宛てに、「Z1弁護人が飯塚事件に関して調書を作成するので署名してほしいと言っていたがどうなったか。控訴審で第1審より重い刑に処せられてしまった。上告や憲法に強い弁護士を紹介してほしい。いつでも供述調書に署名するので面会してほしい」旨の手紙が届いた。Z1弁護人は、Z3から聴取した内容を供述録取書案にまとめ、聴取未了の日付等は空欄にした上で、同月10日、Z3に内容を確認してもらった上で差入れる一方、「上告審の弁護人になるか、弁護士を紹介してほしい」旨のZ3の依頼を断った。すると、Z3から、主任弁護人に宛てに、「供述録取書を宅下げする前に一度話がしたい」旨の手紙が届いたため、主任弁護人が2回にわたり接見し、Z3から指摘のあった箇所を訂正し、作成日付を更新した新たな供述録取書案を差し入れた。さらに、Z3から、2回にわたり、主任弁護人宛てに、「上告審を担当してくれる弁護士を早急に紹介してほしい」旨の手紙が届いた。同年12月20日、Z1弁護人がZ3と接見し、供述録取書を宅下げしない理由を尋ねたところ、Z3は、「拘置所の担当者から、両弁護人は『弁護人となろうとする者』ではなく、飯塚事件が目的ではないかと質問され、宅下げを止めざるを得なかった。弁護士を紹介してもらえば、その弁護士には宅下げができるのではないか」と提案してきた。以降、Z3との連絡は途絶えていたが、本件再審請求後の令和3年7月29日頃になり、突然、服役中のZ3から、Z1弁護人宛てに、当初差し入れた平成30年10月10日付け供述録取書案を補充訂正の上署名した弁18が郵送されてきた。その後、Z1弁護人は、Z4の刑事確定訴訟記録(判決)の閲覧申請をしたが、本籍及び住居については閲覧不許可となり、Z4の本籍、住居及び血液型についての情報を得ることができなかった。<br>  そこで、弁護人が、本件公務所照会を申し立てるとともに、検察官に対し、Z4の本籍の任意開示を求めたのに対し、検察官は、開示に応ずることはできないと回答し、本件公務所照会は不必要かつ不相当であるから職権発動すべきではない旨の意見を述べた。<br>  なお、弁護人は、弁18~20について、当初「本件公務所照会に係る照会事項、特にZ4の本籍について開示してもらえるのであれば、調査した上で新証拠として請求するかどうか検討したい」などと発言していたが、その後は「弁18の新証拠としての明白性を判断する上でZ4の特定が必要不可欠である」「本件公務所照会がされていれば、新証拠としてのZ3供述の明白性が明らかになり、K村供述の明白性も補強されたものと思料する」などと主張していた。<br> '''(3)'''原裁判所は、原決定中では、Z3供述に新規性を認めつつその信用性について具体的に取り上げて説示していないものの、本件公務所照会の申立てを職権不発動とした理由を述べる中でZ3供述の信用性にも言及しており、この判断を原決定当時まで維持しているものと解される。その理由の要旨は次のとおりである。<br>  照会事項は、犯行告白を受けたというZ3供述の信用性に直接関わるものではない。照会事項〔2〕はみだりに明らかにされないことが求められる事項であるという観点から、弁18をみると、単に犯行告白を受けたという内容で、なぜZ4がZ3に対して重大犯罪を告白したのか、処罰を恐れているにもかかわらずなぜZ3に犯行を認める供述をしたのかについて首肯し得る説明はない。作成経緯も不自然である。このように不可解な点が多々ある弁18を根拠にZ4に関する報告を求めることは相当でない。照会事項〔1〕は、それのみで照会をする必要性は認められない。<br> '''(4)'''Z3供述の信用性を否定した原判断は不合理でなく、本件公務所照会の申立てを職権不発動とした原審の手続に裁量逸脱の違法があるとはいえない。<br>  Z3が、両弁護人に対し、元同房者から飯塚事件の真犯人であると告白された旨の情報提供をし、供述録取書の作成に応ずるかのような素振りを見せたのは、前記経緯からすると、自己の刑事事件についての弁護を受任してもらい、弁護人となる者を紹介してもらうなどの有利な取り計らいを期待してのものであったとみられてもやむを得ないところである上、供述の内容も、原審が指摘するとおり唐突な感が否めない。Z3が弁18を郵送することとしたのが、本件再審請求がされたのを知ったことが一因であるとしても、最新版ではない供述録取書案に署名するなどして何の説明もなく一方的に郵送してくるなど、真摯性に疑問がある状況は続いており、この疑問を解消するに足る証拠は提出されていない。原決定が評価するとおり、Z3及びK村の供述の信用性はいずれも乏しいから、照会事項の性質も考慮し、本件公務所照会は不相当ないし不必要であるとした原審の判断が、その裁量を逸脱した不合理なものであるとはいえない。<br> '''6 原決定が第1次再審請求審で提出した証拠を改めて評価しなかったことに関する主張について'''<br>  弁護人は、原審において、第1次再審請求審の証拠評価の誤りを指摘し、第1次再審請求審における新証拠について改めて判断するよう求めたのに、原決定がこの点について何ら判断を示していないのは誤りであるというが、本件再審請求において新たに提出された証拠が旧証拠の証明力に影響することはないとの原判断が是認できる以上、第1次再審請求において明白性を否定された証拠の証明力を再評価しなかった原決定に誤りはない。<br> ===第4 結論===  以上のとおり、本件即時抗告には理由がない(なお、即時抗告申立期間経過後に新たに追加された主張を踏まえて検討してみても、この結論は変わらない)。<br>  よって、刑訴法426条1項により、主文のとおり決定する。<p> 令和8年2月16日<br> 福岡高等裁判所第1刑事部<br> 裁判長裁判官 溝國禎久 裁判官 内藤恵美子 裁判官 大友真紀子<br> <br> (別紙1)図面<br> (別紙2)<br> 括弧内は作成者ないし供述者と作成日付である。<br> 弁1  供述書写し(K村、令和2年1月23日)<br> 弁2  供述録取書写し(D山、平成30年5月16日)<br> 弁3  判決書写し(陶山博生ほか2名、平成11年9月29日)<br> 弁4  判決書写し(小出錞一ほか2名、平成13年10月24日)<br> 弁5  判決書写し(滝井繁男ほか4名作成、平成18年9月8日)<br> 弁6  最新の方法によるDNA鑑定結果報告書写し(本田克也、平成21年10月13日)<br> 弁7  鑑定書写し(本田克也、平成24年10月15日)<br> 弁8  鑑定書写し(本田克也、平成27年8月17日)<br> 弁9  殺人事件報告書写し(Z5ほか1名、平成4年3月2日)<br> 弁10 殺人事件報告書写し(Z5ほか1名、平成4年3月4日(午前))<br> 弁11 殺人事件報告書写し(Z5ほか1名、平成4年3月4日(午後))<br> 弁12 遺留品発見現場におけるボンゴ車目撃情報の入手経路、並びにボンゴ車のボディライン、センターキャップに関する捜査報告書写し(K3、平成4年10月15日)<br> 弁13 いわゆる飯塚事件におけるT氏供述の正確さに関する第2次鑑定書写し(嚴島行雄、平成23年7月8日)<br> 弁14 飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書写し(嚴島行雄、平成27年4月30日)<br> 弁15 飯塚事件におけるT証人の供述に関する心理学的鑑定書補遺写し(嚴島行雄、平成27年5月8日)<br> 弁16 飯塚事件における目撃者Tの供述に関する第4次心理学鑑定書写し(嚴島行雄ほか1名、平成27年12月2日)<br> 弁17 飯塚事件における目撃者Tの供述に関する第4次心理学鑑定書補遺写し(嚴島行雄ほか1名、平成27年12月14日)<br> 弁18 供述録取書写し(Z3、平成30年10月10日)<br> 弁19 封筒写し<br> 弁20 Z3の供述録取書の入手経過とその後の調査結果について(Z1、令和4年5月3日)<br> 弁21の1ないし3 空中写真<br> 弁22 空中写真<br> 弁23 地図<br> 弁24 地図<br> 弁25の1及び2 飯塚市道路台帳平面図写し<br> 弁26 現場再現実験報告書(飯塚事件弁護団、令和5年2月17日)<br> 弁27 E村方三叉路の見通し状況の図と写真、三叉路方面の視界写真(Z6、令和5年2月14日)<br> 弁28 供述録取書(K村、令和5年5月6日)<br> 弁29 地図<br> 弁30 供述録取書写し(D山、令和5年10月13日)<br> 弁31の1 田川市内の「喫茶店」についての報告書(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁31の2 レストハウス「Z7」の写真(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁31の3 1992年3月発行のゼンリン地図から作成した書面(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁31の4 1995年3月発行のゼンリン地図から作成した書面(Z6、令和5年10月19日)<br> 弁32 ノート写し<br> 弁33 地図<br> 以上<br> (別紙3)<br> 括弧内は供述者ないし作成者と供述ないし作成の日付である。<br> 1 面談反訳書(D山ほか2名、平成30年4月4日)<br> 2 面談反訳書(D山ほか3名、平成30年4月16日)<br> 3 面談反訳書(D山ほか3名、平成30年5月16日)<br> 4 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年6月27日)<br> 5 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年10月13日)<br> 6 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年11月7日)<br> 7 面談反訳書(D山ほか2名、令和5年11月22日)<br> 8 前記1ないし7の面談に係る録音を記録した記録媒体<br> 9 前記1ないし7の抜粋等(主任弁護人、令和7年9月5日)<br> 10 報告書(Z1、令和7年8月18日)<br> 11 N新聞写し(平成30年6月23日、同月25日及び同月26日)<br> ※前記1及び7は2回にわたり提出されている。<br> 以上<br> hl1td5jtpckp9bakw0muyz4wlzwt3bg 独立行政法人国立大学財務・経営センター法 0 58264 246562 2026-10-13T01:31:06Z HTDFPC 45275 ページの作成:「{{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2003 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''独立行政法人国立大学財務・経営センター法'''(どくりつぎょうせいほうじんこくりつだいがくざいむ・けいえいせんたーほう) * 平成15年法律第115号公布時の原始条文である。 * 公布:平成15年7月16日 * 施行:平成15年10月1日 * 廃止:平成28年4月1日 * 廃止法令:独立行政法人大学…」 246562 wikitext text/x-wiki {{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2003 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''独立行政法人国立大学財務・経営センター法'''(どくりつぎょうせいほうじんこくりつだいがくざいむ・けいえいせんたーほう) * 平成15年法律第115号公布時の原始条文である。 * 公布:平成15年7月16日 * 施行:平成15年10月1日 * 廃止:平成28年4月1日 * 廃止法令:[[独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律]](平成27年法律第27号) * 底本:[https://www.kanpo.go.jp/old/20030716/20030716g00162/20030716g001620045f.html 平成15年7月16日付官報号外第162号] ---- }} __NOTOC__ :独立行政法人国立大学財務・経営センター法をここに公布する。 {{御名御璽}}     平成十五年七月十六日 {{Right|[[:w:内閣総理大臣|内閣総理大臣]]  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]]|1em}} '''法律第百十五号''' <div style="margin-left:3em;"> 独立行政法人国立大学財務・経営センター法 </div> 目次</br>  第一章 総則(第一条―第五条)</br>  第二章 役員及び職員(第条―第十二条)</br>  第三章 業務等(第十三条―第十九条)</br>  第四章 雑則(第二十条・第二十二条)</br>  第五章 罰則(第二十三条・第二十四条)</br>  附則</br>    '''第一章''' 総則  <span id="a1">(目的)</span></br> '''第一条''' この法律は、独立行政法人国立大学財務・経営センターの名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。  <span id="a2">(名称)</span></br> '''第二条''' この法律及び[[独立行政法人通則法]](平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人国立大学財務・経営センターとする。  <span id="a3">(センターの目的)</span></br> '''第三条''' 独立行政法人国立大学財務・経営センター(以下「センター」という。)は、国立大学法人([[国立大学法人法]](平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。以下同じ。)、大学共同利用機関法人(同条第三項に規定する大学共同利用機関法人をいう。以下同じ。)及び独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「国立大学法人等」という。)の施設の整備等に必要な資金の貸付け及び交付並びに国立大学法人等の財務及び経営に関する調査及び研究、その職員の研修その他の業務を行うことにより、国立大学法人等の教育研究環境の整備充実並びに財務及び経営の改善を図り、もって国立大学、大学共同利用機関及び国立高等専門学校(以下「国立大学等」という。)における教育研究の振興に資することを目的とする。  <span id="a4">(事務所)</span></br> '''第四条''' センターは、主たる事務所を千葉県に置く。  <span id="a5">(資本金)</span></br> '''第五条''' センターの資本金は、附則第八条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。</br> 2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、センターに追加して出資することができる。</br> 3 センターは、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。    '''第二章''' 役員及び職員  <span id="a6">(役員)</span></br> '''第六条''' センターに、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。</br> 2 センターに、役員として、理事一人を置くことができる。  <span id="a7">(理事の職務及び権限等)</span></br> '''第七条''' 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐してセンターの業務を掌理する。</br> 2 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。</br> 3 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。  <span id="a8">(理事の任期)</span></br> '''第八条''' 役員の任期は、三年とする。  <span id="a9">(理事長の任命)</span></br> '''第九条''' 文部科学大臣は、通則法第二十条第一項の規定により理事長を任命しようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、国立大学等に関し広くかつ高い識見を有する者その他の文部科学省令で定める者の意見を聴くものとする。  <span id="a10">(役員の欠格条項の特例)</span></br> '''第十条''' 通則法第二十二条の規定にかかわらず、教育公務員で政令で定めるものは、非常勤の理事又は監事となることができる。</br> 2 センターの非常勤の理事及び監事の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条及び独立行政法人国立大学財務・経営センター法第十条第一項」とする。  <span id="a11">(役員及び職員の秘密保持義務)</span></br> '''第十一条''' センターの役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。  <span id="a12">(役員及び職員の地位)</span></br> '''第十二条''' センターの役員及び職員は、[[刑法 (日本)|刑法]](明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。    '''第三章''' 業務等  <span id="a13">(業務の範囲)</span></br> '''第十三条''' センターは、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。 :一 国立大学法人等の財産の適切かつ有効な活用について国立大学法人等に対する協力及び専門的、技術的助言を行うこと。 :二 国立大学法人及び大学共同利用機関法人に対し、文部科学大臣の定めるところにより、土地の取得、施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な資金の貸付け(以下「施設費貸付事業」という。)を行うこと。 :三 国立大学法人等に対し、文部科学大臣の定めるところにより、土地の取得、施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な資金の交付(以下「施設費交付事業」という。)を行うこと。 :四 国立大学法人等における奨学を目的とする寄附金で特定の国立大学法人等に係るもの以外のものの受入れ及び当該寄附金に相当する金額の配分に関する業務を行うこと。 :五 高等教育に係る財政並びに国立大学法人等の財務及び経営に関する調査及び研究を行うこと。 :六 国立大学法人等における財務及び経営の改善に関し、その職員の研修、情報提供その他の業務を行うこと。 :七 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。  <span id="a14">(区分経理)</span></br> '''第十四条''' センターは、施設費貸付事業及び施設費交付事業に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「施設整備勘定」という。)を設けて整理しなければならない。  <span id="a15">(利益及び損失の処理の特例等)</span></br> '''第十五条''' 施設整備勘定以外の一般の勘定において、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち文部科学大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第十三条第一号及び第四号から第六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務の財源に充てることができる。</br> 2 文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、文部科学省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。</br> 3 センターは、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。</br> 4 施設整備勘定については、通則法第四十四条第一項ただし書、第三項及び第四項の規定は、適用しない。</br> 5 センターは、施設整備勘定において、通則法第四十四条第一項本文又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項本文の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額を、翌事業年度以降の施設費交付事業の財源に充てなければならない。</br> 6 前各項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。  <span id="a16">(長期借入金及び独立行政法人国立大学財務・経営センター債券)</span></br> '''第十六条''' センターは、施設費貸付事業に必要な費用に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は独立行政法人国立大学財務・経営センター債券(以下「債券」という。)を発行することができる。</br> 2 前項に規定するもののほか、センターは、長期借入金又は債券で政令で定めるものの償還に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は債券を発行することができる。ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。</br> 3 文部科学大臣は、前二項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、文部科学省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。</br> 4 第一項又は第二項の規定による債券の債権者は、センターの財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。</br> 5 前項の先取特権の順位は、[[民法 (日本)|民法]](明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。</br> 6 センターは、文部科学大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。</br> 7 [[商法]](明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。</br> 8 前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は債券に関し必要な事項は、政令で定める。  <span id="a17">(債務保証)</span></br> '''第十七条''' 政府は、[[法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律]](昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、前条第一項又は第二項の規定によるセンターの長期借入金又は債券に係る債務([[国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律]](昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。  <span id="a18">(償還計画)</span></br> '''第十八条''' センターは、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てて、文部科学大臣の認可を受けなければならない。 2 文部科学大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、文部科学省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。  <span id="a19">(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用)</span></br> '''第十九条''' [[補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律]](昭和三十年法律第百七十九号)の規定(罰則を含む。)は、第十三条第三号の規定によりセンターが交付する資金について準用する。この場合において、同法(第二条第七項を除く。)中「各省各庁」とあるのは「独立行政法人国立大学財務・経営センター」と、「各省各庁の長」とあるのは「独立行政法人国立大学財務・経営センターの理事長」と、同法第二条第一項(第二号を除く。)及び第四項、第七条第二項、第十九条第一項及び第二項、第二十四条並びに第三十三条中「国」とあるのは「独立行政法人国立大学財務・経営センター」と、同法第十四条中「国の会計年度」とあるのは「独立行政法人国立大学財務・経営センターの事業年度」と読み替えるものとする。    '''第四章''' 雑則  <span id="a20">((財務大臣との協議)</span></br> '''第二十条''' 文部科学大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。 :一 第十五条第一項の承認をしようとするとき。 :二 第十六条第一項、第二項若しくは第六項又は第十八条第一項の認可をしようとするとき。  <span id="a21">(主務大臣等)</span></br> '''第二十一条''' センターに係る通則法における主務大臣、主務省及び主務省令は、それぞれ文部科学大臣、文部科学省及び文部科学省令とする。  <span id="a22">(国家公務員宿舎法の適用除外)</span></br> '''第二十二条''' [[国家公務員宿舎法]](昭和二十四年法律第百十七号)の規定は、センターの役員及び職員には適用しない。    '''第五章''' 罰則 <span id="a23">'''第二十三条'''</span> 第十一条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 <span id="a19">'''第二十四条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をしたセンターの役員は、二十万円以下の過料に処する。 :一 第十三条に規定する業務以外の業務を行ったとき。 :二 第十五条第一項の規定により文部科学大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。 :三 第十六条第一項、第二項若しくは第六項又は第十八条第一項の規定により文部科学大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。 {{附則}}  <span id="b1">(施行期日)</span></br> '''第一条''' この法律は、平成十五年十月一日から施行する。  <span id="b2">(機構の成立)</span></br> '''第二条''' センターは、通則法第十七条の規定にかかわらず、[[国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律]](平成十五年法律第百十七号。以下「整備法」という。)第二条の規定の施行の時に成立する。</br> 2 センターは、通則法第十六条の規定にかかわらず、センターの成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。  <span id="b3">(職員の引継ぎ等)</span></br> '''第三条''' センターの成立の際現に整備法第二条の規定による廃止前の国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号。附則第八条第一項第一号において「旧設置法」という。)第九条の五に規定する国立学校財務センター(以下「旧センター」という。)の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、センターの成立の日において、センターの職員となるものとする。 <span id="b4">'''第四条'''</span> 前条の規定によりセンターの職員となった者に対する[[国家公務員法]](昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項の規定の適用については、センターの職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。 <span id="b5">'''第五条'''</span> 附則第三条の規定により旧機関の職員がセンターの職員となる場合には、その者に対しては、[[国家公務員退職手当法]](昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。</br> 2 センターは、前項の規定の適用を受けたセンターの職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。)としての引き続いた在職期間をセンターの職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。</br> 3 センターの成立の日の前日に旧機関の職員として在職する者が、附則第三条の規定により引き続いてセンターの職員となり、かつ、引き続きセンターの職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員となった場合におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者のセンターの職員としての在職期間を同項に規定する職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者がセンターを退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。</br> 4 センターは、センターの成立の日の前日に旧機関の職員として在職し、附則第三条の規定により引き続いてセンターの職員となった者のうちセンターの成立の日から[[雇用保険法]](昭和四十九年法律第百十六号)による失業等給付の受給資格を取得するまでの間にセンターを退職したものであって、その退職した日まで旧機関の職員として在職したものとしたならば国家公務員退職手当法第十条の規定による退職手当の支給を受けることができるものに対しては、同条の規定の例により算定した退職手当の額に相当する額を退職手当として支給するものとする。 <span id="b6">'''第六条'''</span> 附則第三条の規定によりセンターの職員となった者であって、センターの成立の日の前日において文部科学大臣又はその委任を受けた者から[[児童手当法]](昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による認定を受けているものが、センターの成立の日において児童手当又は同法附則第六条第一項、第七条第一項若しくは第八条第一項の給付(以下この条において「特例給付等」という。)の支給要件に該当するときは、その者に対する児童手当又は特例給付等の支給に関しては、センターの成立の日において同法第七条第一項の規定による市町村長(特別区の区長を含む。)の認定があったものとみなす。この場合において、その認定があったものとみなされた児童手当又は特例給付等の支給は、同法第八条第二項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、センターの成立の日の前日の属する月の翌月から始める。  <span id="b7">(センターの職員となる者の職員団体についての経過措置)</span></br> '''第七条''' センターの成立の際現に存する国家公務員法第百八条の二第一項に規定する職員団体であって、その構成員の過半数が附則第三条の規定によりセンターに引き継がれる者であるものは、センターの成立の際[[労働組合法]](昭和二十四年法律第百七十四号)の適用を受ける労働組合となるものとする。この場合において、当該職員団体が法人であるときは、法人である労働組合となるものとする。</br> 2 前項の規定により法人である労働組合となったものは、センターの成立の日から起算して六十日を経過する日までに、労働組合法第二条及び第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受け、かつ、その主たる事務所の所在地において登記しなければ、その日の経過により解散するものとする。</br> 3 第一項の規定により労働組合となったものについては、センターの成立の日から起算して六十日を経過する日までは、労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。   <span id="b8">(権利義務の承継等)</span></br> '''第八条''' センターの成立の際、第十三条及び附則第十一条第一項に規定する業務に関し、現に国が有する権利及び義務のうち、次に掲げるものその他政令で定めるものは、政令で定めるところにより、センターが承継する。 :一 旧設置法第九条の五第一号に規定する特定学校財産に係るもの :二 整備法第二条の規定による廃止前の[[国立学校特別会計法]](昭和三十九年法律第五十五号。次条において「旧特別会計法」という。)に基づく国立学校特別会計の財政融資資金からの負債に係るもの 2 前項の規定によりセンターが国の有する権利及び義務を承継したときは、承継される権利に係る土地、建物その他の財産で政令で定めるものの価額の合計額に相当する金額は、政令で定めるところにより、政府からセンターに対し出資されたものとする。</br> 3 前項の規定により政府から出資があったものとされる同項の財産の価額は、センターの成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。</br> 4 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。 <span id="b9">'''第九条'''</span> センターの成立の際、旧特別会計法第十七条の規定に基づき文部科学大臣から旧センターの長に交付され、その経理を委任された金額に残余があるときは、その残余に相当する額は、センターの成立の日においてセンターに奨学を目的として寄附されたものとする。この場合において、当該寄附金の経理に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。  <span id="b10">(国有財産の無償使用)</span></br> '''第十条''' 国は、センターの成立の際現に旧センターの職員の住居の用に供されている国有財産であって政令で定めるものを、政令で定めるところにより、センターの用に供するため、センターに無償で使用させることができる。  <span id="b11">(不動産に関する登記)</span></br> '''第十一条''' センターは、当分の間、第十三条に規定する業務のほか、次の業務を行うものとする。 :一 国立大学法人法附則第十二条第一項の規定により国立大学法人から納付される金銭を徴収し、附則第八条第一項第二号の規定により承継される債務の償還及び当該債務に係る利子の支払(以下この条において「承継債務償還」という。)を行うこと。 :二 承継債務償還及び施設費交付事業に充てるために附則第八条第一項第一号の規定により承継される財産の管理及び処分を行うこと。 2 センターは、当分の間、第十五条第五項に規定する積立金に相当する金額を、同項の規定にかかわらず、承継債務償還に充てることができる。</br> 3 承継債務償還については、第十六条第二項に規定する長期借入金又は債券の発行による収入をもって充ててはならない。</br> 4 センターが第一項に規定する業務を行う場合には、第十四条中「施設費貸付事業及び施設費交付事業」とあるのは「施設費貸付事業及び施設費交付事業並びに附則第十一条第一項に掲げる業務」と、第二十四条第一号中「第十三条」とあるのは「第十三条及び附則第十一条第一項」とする。  <span id="b12">(不動産に関する登記)</span></br> '''第十二条''' センターが附則第八条第一項の規定により不動産に関する権利を承継した場合において、その権利につきなすべき登記の手続については、政令で特例を設けることができる。  <span id="b13">(政令への委任)</span></br> '''第十三条''' 附則第三条から前条までに定めるもののほか、センターの設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 <div style="text-align:right;"> 財務大臣 [[w:塩川正十郎|塩川正十郎]]</br> 文部科学大臣 [[w:遠山敦子|遠山 敦子]]</br> 内閣総理大臣 小泉純一郎</br> </div> {{PD-JapanGov}} {{DEFAULTSORT:とくりつきようせいほうしんこくりつたいかくさいむけいえいせんたーほう}} [[カテゴリ:平成15年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] 72blpqa2btfhoo1g7qu2sh4xlxkb91k かしわばやしの夜 0 58265 246564 2026-10-13T03:10:55Z ~2026-54778-05 46785 ページの作成:「桜井とみひろはずっといちゃいちゃしていたのである。宮沢賢治作。」 246564 wikitext text/x-wiki 桜井とみひろはずっといちゃいちゃしていたのである。宮沢賢治作。 8zyt8vhtxvkvh3olko2ger337a8nwv4 246565 246564 2026-10-13T03:46:07Z ~2026-54778-05 46785 246565 wikitext text/x-wiki 桜井とみひろはずっといちゃいちゃしていたのである。桜井富弘作。 bdzkpn1cac0zt3ridqts7p7kzjuhu3i 246566 246565 2026-10-13T03:48:37Z ~2026-54778-05 46785 246566 wikitext text/x-wiki 桜井とみひろはずっといちゃいちゃしていたのである。 my4e1286medhrbflspddd5uvnptwt87 246567 246566 2026-10-13T03:49:10Z ~2026-54778-05 46785 ページの白紙化 246567 wikitext text/x-wiki phoiac9h4m842xq45sp7s6u21eteeq1 県道 0 58266 246568 2026-10-13T03:51:19Z ~2026-54778-05 46785 ページの作成:「ねりやかいりと、西本しおりはハグしていてラブラブしている。オツベル作」 246568 wikitext text/x-wiki ねりやかいりと、西本しおりはハグしていてラブラブしている。オツベル作 8u71rwdpuj2iiyosefy478xmadnvfpm 日本郵政公社法 0 58267 246575 2026-10-13T07:26:32Z HTDFPC 45275 ページの作成:「{{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2002 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''日本郵政公社法'''(にっぽんゆうせいこうしゃほう) * 平成14年法律第97号 * 公布:平成14年7月31日 * 施行:平成15年4月1日(附則第1条) * 底本: 平成14年7月31日付官報号外第165号 ---- }} __NOTOC__ :日本郵政公社法をここに公布する。 {{御名御璽}}     平成十四年七月三一日 {{Right|[…」 246575 wikitext text/x-wiki {{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2002 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''日本郵政公社法'''(にっぽんゆうせいこうしゃほう) * 平成14年法律第97号 * 公布:平成14年7月31日 * 施行:平成15年4月1日(附則第1条) * 底本: 平成14年7月31日付官報号外第165号 ---- }} __NOTOC__ :日本郵政公社法をここに公布する。 {{御名御璽}}     平成十四年七月三一日 {{Right|[[:w:内閣総理大臣|内閣総理大臣]]  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]]|1em}} '''法律第九十七号''' <div style="margin-left:3em;"> 日本郵政公社法 </div> 目次</br>  第一章 総則(第一条―第七条)</br>  第二章 役員及び理事会並びに職員(第八条―第十八条)</br>  第三章 業務運営</br>   第一節 業務(第十九条―第二十三条)</br>   第二節 中期経営目標等(第二十四条―第二十七条)</br>  第四章 財務及び会計(第二十八条―第四十九条)</br>  第五章 人事管理(第五十条―第五十七条)</br>  第六章 監督(第五十八条―第六十二条)</br>  第七章 雑則(第六十三条―第六十九条)</br>  第八章 罰則(第七十条―第七十三条)</br>  附則</br>    '''第一章''' 総則  <span id="a1">(目的)</span></br> '''第一条''' 日本郵政公社は、[[中央省庁等改革基本法]](平成十年法律第百三号)第三十三条第一項に規定する国営の新たな公社として、独立採算制の下、信書及び小包の送達の役務、簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段並びに簡易に利用できる生命保険を提供する業務、当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的とする。  <span id="a2">(法人格)</span></br> '''第二条''' 日本郵政公社(以下「公社」という。)は、法人とする。  <span id="a3">(事務所)</span></br> '''第三条''' 公社は、主たる事務所を東京都に置く。</br> 2 公社は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。  <span id="a4">(資本金)</span></br> '''第四条''' 公社の資本金は、別に法律で定めるところにより政府から出資があったものとされた金額とする。  <span id="a5">(登記)</span></br> '''第五条''' 公社は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。</br> 2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。  <span id="a6">(名称の使用制限)</span></br> '''第六条''' 公社でない者は、日本郵政公社という名称を用いてはならない。  <span id="a7">(民法の準用)</span></br> '''第七条''' [[民法 (日本)|民法]](明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、公社について準用する。    '''第二章''' 役員及び理事会並びに職員  <span id="a8">(役員)</span></br> '''第八条''' 公社に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事十六人以内及び監事三人以内を置く。  <span id="a9">(理事会の設置及び任務)</span></br> '''第九条''' 公社に、理事会を置く。</br> 2 理事会は、総裁、副総裁及び理事をもって組織する。</br> 3 理事会は、この法律の規定により総務大臣の認可(第十二条第二項及び第十五条第四項の認可を除く。)又は承認(第五十二条第三項の承認を除く。)を受けなければならない事項その他理事会が特に必要と認める重要事項を審議し、決定する。  <span id="a10">(理事会の会議)</span></br> '''第十条''' 理事会は、総裁が招集する。</br> 2 総裁は、理事会の議長となり、会務を総理する。</br> 3 理事会は、総裁、副総裁及び理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。</br> 4 理事会の議事は、出席した総裁、副総裁及び理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。  <span id="a11">(役員の職務及び権限)</span></br> '''第十一条''' 総裁は、公社を代表し、その業務を総理する。</br> 2 副総裁は、総裁の定めるところにより、公社を代表し、総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 3 理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 4 監事は、公社の業務を監査する。</br> 5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総務大臣に意見を提出することができる。  <span id="a12">(役員の任命)</span></br> '''第十二条''' 総裁及び監事は、総務大臣が任命する。</br> 2 副総裁は、総裁が総務大臣の認可を受けて任命する。</br> 3 理事は、総裁が任命する。</br> 4 理事のうち三人以上及び監事のうち一人以上は、その就任の前五年間社内者等(公社の役員若しくは職員又は政府の職員(非常勤の者を除く。)をいう。次条第二項において同じ。)でなかった者でなければならない。  <span id="a13">(役員の任期)</span></br> '''第十三条''' 総裁及び副総裁の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。</br> 2 役員は、再任されることができる。この場合において、当該役員がその最初の就任の前五年間社内者等でなかったときは、前条第四項の規定の適用については、その再任の前五年間社内者等でなかったものとみなす。  <span id="a14">(役員の欠格条項)</span></br> '''第十四条''' 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。  <span id="a15">(役員の解任)</span></br> '''第十五条''' 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。</br> 2 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。 :一 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。 :二 職務上の義務違反があるとき。 3 前項に規定するもののほか、総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でないため公社の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。</br> 4 総裁は、前二項の規定により副総裁を解任しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。</br> 5 総務大臣は、副総裁又は理事が第二項又は第三項に規定する事由に該当すると認めるときは、総裁に対し、その役員の解任を命ずることができる。  <span id="a16">(代表権の制限)</span></br> '''第十六条''' 公社と総裁又は副総裁との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公社を代表する。  <span id="a17">(代理人の選任)</span></br> '''第十七条''' 総裁及び副総裁は、理事又は公社の職員のうちから、公社の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。  <span id="a18">(職員の任命)</span></br> '''第十八条''' 公社の職員は、総裁が任命する。    '''第三章''' 業務運営     '''第一節''' 業務  <span id="a19">(業務の範囲)</span></br> '''第十九条''' 公社は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。 :一 [[郵便法]](昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により郵便の業務を行うこと。 :二 [[郵便貯金法]](昭和二十二年法律第百四十四号)の規定により郵便貯金の業務を行うこと。 :三 [[郵便為替法]](昭和二十三年法律第五十九号)の規定により郵便為替の業務を行うこと。 :四 [[郵便振替法]](昭和二十三年法律第六十号)の規定により郵便振替の業務を行うこと。 :五 [[簡易生命保険法]](昭和二十四年法律第六十八号)の規定により簡易生命保険の業務を行うこと。 :六 国の委託を受けて、印紙の売りさばきを行うこと。 :七 国の委託を受けて、恩給その他の国庫金の支払を行うこと。 :八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 2 公社は、前項に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。 :一 [[お年玉付郵便葉書等に関する法律]](昭和二十四年法律第二百二十四号)第一条第一項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第五条第一項に規定する寄附金付郵便葉書等を発行すること。 :二 郵便貯金法第四条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :三 [[日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律]](昭和六十二年法律第三十八号)第三条に規定する業務を行うこと。 :四 [[郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成二年法律第七十二号)第二条第一項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :五 [[日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律]](平成三年法律第三十七号)第一条に規定する外国通貨の両替及び旅行小切手の売買を行うこと。 :六 [[郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成八年法律第七十二号)第二条第二項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :七 [[確定拠出年金法]](平成十三年法律第八十八号)第二条第七項に規定する確定拠出年金運営管理業(同条第三項に規定する個人型年金に係るものに限る。)を行うこと。 :八 簡易生命保険法第百一条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :九 日本銀行の委託を受けて、国庫金の取扱いを行うこと。 :十 国家公務員共済組合連合会の委託を受けて、国家公務員共済組合連合会が支給する年金及び一時金の支払に関する事務を行うこと。 :十一 [[当せん金付証票法]](昭和二十三年法律第百四十四号)第六条第五項に規定する受託銀行等の再委託を受けて、当せん金付証票の売りさばき及び当せん金品の支払又は交付に関する事務を行うこと。 :十二 国民生活金融公庫の委託を受けて、[[国民生活金融公庫法]](昭和二十四年法律第四十九号)第十八条の二第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十三 沖縄振興開発金融公庫の委託を受けて、[[沖縄振興開発金融公庫法]](昭和四十七年法律第三十一号)第二十条第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十四 [[郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律]](平成十年法律第七十八号)第二条第一項に規定する金融機関の委託を受けて、同法第四条第一項に規定する金融機関預金受払事務を行うこと。 :十五 国民年金基金連合会の委託を受けて、確定拠出年金法第六十一条第一項に規定する事務を行うこと。 :十六 [[地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律]](平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務を行うことその他委託を受けて地方公共団体の事務を行うこと。 :十七 [[日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律]](平成十二年法律第六十九号)第二条第一項に規定する損害保険会社等の委託を受けて、同条第二項に規定する原動機付自転車等責任保険募集の取扱いを行うこと。 :十八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 3 公社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、[[電気通信事業法]](昭和五十九年法律第八十六号)附則第五条第一項に規定する国際電信電話株式会社又は日本放送協会の委託を受けて、地域住民の利便の増進に資する業務を行うことができる。</br> 4 公社は、前項に規定する業務を行おうとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a20">(郵便局)</span></br> '''第二十条''' 公社は、前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務を行うため、総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。</br> 2 前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。  <span id="a21">(出資)</span></br> '''第二十一条''' 公社は、第十九条第一項第一号に掲げる業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる。  <span id="a22">(業務の委託)</span></br> '''第二十二条''' 公社は、次に掲げる法律の定めるところにより、その業務の一部を委託することができる。 :一 郵便法 :二 [[郵便切手類販売所等に関する法律]](昭和二十四年法律第九十一号) :三 [[郵政窓口事務の委託に関する法律]](昭和二十四年法律第二百十三号) :四 [[郵便物運送委託法]](昭和二十四年法律第二百八十四号) :五 郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務大臣の認可を受けて定める基準に従って、第十九条第二項第二号及び第八号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務の一部を委託することができる。  <span id="a23">(業務方法書)</span></br> '''第二十三条''' 公社は、業務開始の際、業務方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。     '''第二節''' 中期経営目標等  <span id="a24">(中期経営目標及び中期経営計画)</span></br> '''第二十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、四年ごとに、その目標を定める年の翌年の四月一日以降四年を一期とする経営に関する具体的な目標(以下「中期経営目標」という。)及び当該中期経営目標を達成するための計画(以下「中期経営計画」という。)を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 中期経営目標においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 経営の健全性の確保に関する事項 :二 その他業務運営に関する重要事項 3 中期経営計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 事業計画 :二 予算 :三 資金計画 :四 郵便貯金の預り金(郵便貯金の利子を含み、日常の払戻しに必要な資金を除く。以下「郵便貯金資金」という。)の運用計画 :五 簡易生命保険業務(第十九条第一項第五号並びに同条第二項第八号及び第十七号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。以下この条及び第三十条第二項において同じ。)に係る収入のうち簡易生命保険業務に係る支出に充てられていないもの(簡易生命保険業務に係る日常の支出に必要な資金を除く。以下「簡易生命保険資金」という。)の運用計画 4 前項第二号の予算においては、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。 :一 短期借入金の限度額 :二 郵便業務(第十九条第一項第一号及び第六号並びに同条第二項第一号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務並びに同条第三項に規定する業務をいう。以下同じ。)に係る資金繰りに充てるための郵便貯金資金の融通の限度額 :三 郵便業務に係る資金繰りに充てるための簡易生命保険資金の融通の限度額 5 第三項第四号の郵便貯金資金の運用計画は、郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)を行う事業の経営の健全性の確保を目的とし、市場に及ぼす影響を少なくしつつ、確実で有利な運用となるように定めなければならない。</br> 6 前項の規定は、第三項第五号の簡易生命保険資金の運用計画について準用する。この場合において、前項中「郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)」とあるのは、「簡易生命保険業務」と読み替えるものとする。</br> 7 中期経営計画には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 :一 当該中期経営計画に係る期間の収益及び費用の見通しに関する書類 :二 当該中期経営計画に係る期間の終了時における資産及び負債の見通しに関する書類 :三 その他当該中期経営計画の参考となる書類 8 第三項第二号の予算、同項第三号の資金計画並びに前項第一号及び第二号に掲げる書類においては、それぞれ、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。   <span id="a25">(年度経営計画)</span></br> '''第二十五条''' 公社は、毎事業年度の開始前に、前条第一項の認可を受けた中期経営計画に基づき、総務省令で定めるところにより、その事業年度の経営に関する計画を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。   <span id="a26">(各事業年度に係る業績評価)</span></br> '''第二十六条''' 総務大臣は、公社の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。  <span id="a27">(中期経営目標に係る業績評価)</span></br> '''第二十七条''' 公社は、第二十四条第一項の認可を受けた中期経営目標に係る期間の終了後三月以内に、総務省令で定めるところにより、当該中期経営目標の達成状況に関する報告書(以下「中期経営報告書」という。)を総務大臣に提出しなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の公社の中期経営目標の達成状況について、評価を行わなければならない。</br> 3 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。    '''第四章''' 財務及び会計  <span id="a28">(事業年度)</span></br> '''第二十八条''' 公社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。  <span id="a29">(企業会計原則)</span></br> '''第二十九条''' 公社の会計は、総務省令で定めるところにより、企業会計原則によるものとする。  <span id="a30">(財務諸表等)</span></br> '''第三十条''' 公社は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他総務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に総務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。</br> 2 財務諸表(貸借対照表、損益計算書その他の総務省令で定める書類に限る。)においては、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。</br> 3 公社は、第一項の規定により財務諸表を総務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書を添え、並びに財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)に関する監事及び会計監査人の意見を付けなければならない。</br> 4 前項の事業報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 :一 業務の実施状況 :二 郵便局の設置、移転及び廃止の状況 :三 常時勤務に服することを要する職員([[国家公務員法]](昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条又は第八十二条の規定による休職又は停職の処分を受けた者、法令の規定により職務に専念する義務を免除された者その他の常時勤務に服することを要しない職員で総務省令で定めるものを含む。)の数 :四 郵便貯金資金の運用の実績 :五 簡易生命保険資金の運用の実績 :六 その他総務省令で定める事項 5 公社は、第一項の規定による総務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、総務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。  <span id="a31">(会計監査人の監査等)</span></br> '''第三十一条''' 公社は、財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。</br> 2 会計監査人は、総務大臣が選任する。</br> 3 会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての総務大臣の前条第一項の承認の時までとする。</br> 4 総務大臣は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。 :一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。 :二 会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。 :三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。 5 [[株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律]](昭和四十九年法律第二十二号)第四条(第二項第二号を除く。)の規定は、第一項の会計監査人について準用する。この場合において、同条第二項第一号中「第二条第一項」とあるのは、「日本郵政公社法第三十一条第一項」と読み替えるものとする。  <span id="a32">(簡易生命保険価格変動準備金)</span></br> '''第三十二条''' 公社は、毎事業年度末において、その所有する有価証券その他の価格変動による損失が生じ得るものとして総務省令で定める資産(簡易生命保険資金の運用に係るものに限る。次項において「有価証券等」という。)について、総務省令で定めるところにより計算した金額を簡易生命保険価格変動準備金として積み立てなければならない。ただし、その全部又は一部の金額について積立てをしないことについて総務大臣の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。</br> 2 前項の準備金は、有価証券等の売買等による損失(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による損失並びに償還損をいう。)の額が有価証券等の売買等による利益(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による利益並びに償還益をいう。)の額を超える場合においてその差額のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩してはならない。ただし、総務大臣の認可を受けたときは、この限りでない。  <span id="a33">(簡易生命保険責任準備金の算出方法書)</span></br> '''第三十三条''' 公社は、業務関係の際、簡易生命保険責任準備金の算出方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の算出方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。  <span id="a34">(簡易生命保険責任準備金)</span></br> '''第三十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度末において、簡易生命保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、簡易生命保険責任準備金を積み立てなければならない。  <span id="a35">(簡易生命保険支払備金)</span></br> '''第三十五条''' 公社は、毎事業年度末において、保険金、年金、還付金その他の給付金(以下この条において「保険金等」という。)で、簡易生命保険契約に基づいて支払義務が発生したものその他これに準ずるものとして総務省令で定めるものがある場合において、保険金等の支出として計上していないものがあるときは、総務省令で定めるところにより、簡易生命保険支払備金を積み立てなければならない。  <span id="a36">(利益及び損失の処理)</span></br> '''第三十六条''' 公社は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。</br> 2 公社は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。  <span id="a36">(国庫納付金)</span></br> '''第三十七条''' 公社は、第二十四条第一項に規定する中期経営計画に係る期間(以下この条において「中期経営計画の期間」という。)の最後の事業年度に係る前条第一項又は第二項の規定による整理(以下この条において「整理」という。)を行った後、公社の経営の健全性を確保するため必要な額として政令で定めるところにより計算した額(以下この条において「基準額」という。)を超える額の積立金(前条第一項の規定による積立金をいう。以下この条において同じ。)がある場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める金額について政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付するものとする。 :一 当該中期経営計画の期間(以下この条において「当該期間」という。)の直前の中期経営計画の期間(次号において「前期間」という。)の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超えないとき又は当該期間が最初の中期経営計画の期間であるとき 当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額に相当する金額 :二 前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超える場合であって、当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額が前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額(当該前期間の最後の事業年度においてこの条の規定により国に納付した場合にあっては、その納付した額を控除した残額)を超えるとき その超える額に相当する金額  <span id="a38">(長期借入金及び日本郵政公社債券)</span></br> '''第三十八条''' 公社は、その施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。</br> 2 前項に規定するもののほか、公社は、長期借入金又は日本郵政公社債券で政令で定めるものの償還に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。</br> 3 公社は、総務大臣の認可を受けて、日本郵政公社債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。</br> 4 [[商法]](明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。</br> 5 前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は日本郵政公社債券に関し必要な事項は、政令で定める。  <span id="a39">(償還計画)</span></br> '''第三十九条''' 公社は、毎事業年度、長期借入金及び日本郵政公社債券の償還計画を立てて、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a39">(短期借入金)</span></br> '''第四十条''' 公社は、資金繰りのため必要があるときは、中期経営計画の第二十四条第四項第一号の短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができる。</br> 2 前項の規定による短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。  <span id="a40">(郵便貯金資金の運用)</span></br> '''第四十一条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便貯金資金を運用してはならない。 :一 郵便貯金法第六十四条の規定による預金者に対する貸付け :二 郵便貯金法第六十九条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十二条の規定による貸付け :四 次に掲げる有価証券等の売買 ::イ 国債(証券取引所が、定款の定めるところにより、国債について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。) ::ロ 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経、又は承認を得なければならない法人の発行する債券 ::ハ 地方債 ::ニ 特別の法律により設立された法人(ロに規定する法人を除く。)で、国、ロに規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行することができるものの発行する債券 ::ホ 銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫又は全国を地区とする信用金庫連合会(次号及び第六号において「金融機関」という。)の発行する債券(次条第二項及び第四項において「金融債」という。) ::ヘ 社債で政令で定めるもの ::ト 特定社債([[資産の流動化に関する法律]](平成十年法律第百五号)第二条第七項に規定する特定社債をいう。次条第二項において同じ。)で政令で定めるもの ::チ 政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。第四十六条第一号において同じ。)のうちロからトまでに掲げる債券に該当するもの以外のもの ::リ 外国政府、外国の地方公共団体又は国際機関(ヲ及び次条第三項において「外国政府等」という。)の発行する債券その他外国法人の発行する政令で定める債券(証券取引所が、定款の定めるところにより、外国政府の発行する債券について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。次条第二項及び第三項において「外国債」という。) ::ヌ 貸付信託の受益証券 ::ル 法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形で総務省令で定めるもの ::ヲ 外国政府等又は外国法人の発行する証券又は証書でルに規定する約束手形の性質を有するもの :五 金融機関への預金 :六 第四号に掲げる方法により取得した債券であって政令で定めるものの金融機関その他政令で定める法人に対する貸付け :七 債券オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において債券(第四号イ及びリに規定する標準物を含む。)の売買取引を成立させることができる権利又はこれに類する権利であって、政令で定めるものをいう。)の取得又は付与 :八 先物外国為替(外国通貨をもって表示される支払手段であって、その売買契約に基づく債権の発生、変更又は消滅に係る取引を当該売買の契約日後の一定の時期に一定の外国為替相場により実行する取引(金融先物取引所の開設する市場において行われる取引又はこれに類する取引であって、政令で定めるものに該当するものを除く。)の対象となるものをいう。)の売買 :九 通貨オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において外国通貨をもって表示される支払手段の売買取引(前号の政令で定める取引に該当するものを除く。)を成立させることができる権利をいう。)の取得又は付与 :十 信託会社(信託業務を営む銀行を含む。第四十六条第二号において同じ。)への信託。ただし、運用方法を特定するものにあっては、第四号から前号までに掲げる方法により運用するものに限る。 :十一 郵便業務の用に供する施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるための資金の融通 :十二 郵便業務に係る資金繰りに充てるための資金の融通 <span id="a42">'''第四十二条'''</span> 公社は、前条第四号ロからリまでに掲げる債券を郵便貯金資金をもって取得するときは、次に掲げる場合を除き、応募又は買入れの方法により行わなければならない。 :一 [[勤労者財産形成促進法]](昭和四十六年法律第九十二号)第十二条第一項の資金の調達に応じる場合 :二 郵便貯金法第六十九条の規定により取得する場合 :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十八条の規定により取得する場合 2 公社が金融債、社債、特定社債、外国債又は貸付信託の受益証券(次項及び第五項において「金融債等」という。)に運用する郵便貯金資金の額は、それぞれ、郵便貯金資金の総額の百分の二十に相当する額を超えてはならない。</br> 3 公社は、郵便貯金資金を金融債等に運用する場合には、それぞれ、一の法人の発行する金融債等の十分の五又は一の法人の一回に発行する金融債等の十分の六を超える割合(外国政府等の発行する外国債その他政令で定める外国債に運用する場合にあっては、一の外国政府等又は外国法人の発行する外国債の十分の五を超える割合)の金融債等を取得してはならない。</br> 4 前項の場合において、簡易生命保険資金の金融債に運用する額があるときは、その額を郵便貯金資金の金融債に運用する額に合算し、その合算額につき、同項の規定を適用するものとする。</br> 5 公社が郵便貯金資金をもって取得する金融債等は、それぞれ、利率、担保、償還の方法、期限その他の条件において、公社以外の者の取得に係るものとその種類を同じくするものでなければならない。 <span id="a43">'''第四十三条'''</span> 公社は、第四十一条第十一号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 総務大臣は、前項の認可の申請があった場合において、当該申請に係る利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。</br> 3 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、次に掲げる要件を満たさなければならない。 :一 その運用をすることによって第四十一条第十二号に掲げる方法により運用する郵便貯金資金の額が中期経営計画の第二十四条第四項第二号の限度額を超えないものであること。 :二 その利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであること。 :三 その期間が一年を超えないものであること。 4 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を総務大臣に届け出なければならない。  <span id="a44">(郵便振替資金の運用)</span></br> '''第四十四条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便振替の預り金(郵便振替の日常の払出しに必要な資金を除く。第七十二条第十二号において「郵便振替資金」という。)を運用してはならない。 :一 国債の売買 :二 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a45">(簡易生命保険資金の運用)</span></br> '''第四十五条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、簡易生命保険資金を運用してはならない。 :一 保険契約者に対する貸付け :二 簡易生命保険法第八十八条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 第四十一条第四号から第十二号までに掲げる方法 2 第四十二条(第一項第三号を除く。)及び第四十三条の規定は、簡易生命保険資金について準用する。この場合において、第四十二条第一項第二号中「郵便貯金法第六十九条」とあるのは「簡易生命保険法第八十八条」と、同条第四項中「簡易生命保険資金」とあるのは「郵便貯金資金」と、第四十三条第三項第一号中「第二十四条第四項第二号」とあるのは「第二十四条第四項第三号」と読み替えるものとする。  <span id="a46">(余裕金の運用)</span></br> '''第四十六条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。 :一 国債、地方債、政府保証債その他総務大臣の指定する有価証券の売買 :二 信託会社への金銭信託 :三 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a47">(財産の処分等の制限)</span></br> '''第四十七条''' 公社は、総務省令で定める重要な財産を貸し付け、譲り渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、総務省令で定める場合を除き、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a48">(会計規程)</span></br> '''第四十八条''' 公社は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a49">(総務省令への委任)</span></br> '''第四十九条''' この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、公社の財務及び会計に関し必要な事項は、総務省令で定める。    '''第五章''' 人事管理  <span id="a50">(役員及び職員の身分)</span></br> '''第五十条''' 公社の役員及び職員は、国家公務員とする。  <span id="a51">(役員の報酬等)</span></br> '''第五十一条''' 役員に対する報酬及び退職手当(以下この条において「報酬等」という。)は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、役員に対する報酬等の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の報酬等の支給の基準は、国家公務員の給与、民間事業の役員の報酬等、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。</br> 4 総務大臣は、第二項の規定による届出があったときは、その届出に係る報酬等の支給の基準を審議会等([[国家行政組織法]](昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)に通知するものとする。</br> 5 審議会等は、前項の規定による通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、総務大臣に対し、意見を申し出ることができる。  <span id="a52">(役員の服務)</span></br> '''第五十二条''' 役員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。</br> 2 役員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。</br> 3 役員は、在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。</br> 4 役員(非常勤の者を除く。)は、離職後二年間は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(第七十条第二号において「営利企業」という。)の地位で、公社又はその離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関若しくは[[独立行政法人通則法]](平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならない。ただし、人事院規則の定めるところにより、任命権者の申出により人事院の承認を得た場合は、この限りでない。  <span id="a53">(役員の災害補償)</span></br> '''第五十三条''' 役員の公務上の災害又は通勤による災害に対する補償及び公務上の災害又は通勤による災害を受けた役員に対する福祉事業については、職員の例による。  <span id="a54">(職員の給与)</span></br> '''第五十四条''' 職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、職員の給与の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の給与の支給の基準は、[[一般職の職員の給与に関する法律]](昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間事業の従業員の給与、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。  <span id="a55">(職員の勤務時間等)</span></br> '''第五十五条''' 公社は、職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a56">(運用職員の責務等)</span></br> '''第五十六条''' 郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に係る事務のうち総務省令で定めるものに従事する者として総裁が指定する職員(以下この条において「運用職員」という。)は、それぞれ、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用の重要性を認識し、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。</br> 2 運用職員は、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に関して職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。</br> 3 運用職員が前項の規定に違反した場合においては、当該運用職員の任命権者は、当該運用職員に対し国家公務員法第八十二条の規定による懲戒処分をしなければならない。  <span id="a57">(他の法律の適用除外等)</span></br> 第五十七条 次に掲げる法律の規定は、職員(第三号に掲げる法律の規定にあっては、役員及び職員)については、適用しない。 :一 [[労働者災害補償保険法]](昭和二十二年法律第五十号)の規定 :二 国家公務員法第十八条、第二十八条(第一項前段を除く。)、第二十九条から第三十二条まで、第六十二条から第七十条まで、第七十二条第二項及び第三項、第七十五条第二項並びに第百六条の規定 :三 [[国家公務員宿舎法]](昭和二十四年法律第百十七号)の規定 :四 [[国家公務員の寒冷地手当に関する法律]](昭和二十四年法律第二百号)の規定 :五 一般職の職員の給与に関する法律の規定 :六 [[国家公務員の職階制に関する法律]](昭和二十五年法律第百八十号)の規定 :七 [[国家公務員の育児休業等に関する法律]](平成三年法律第百九号)第五条第二項、第七条の二、第八条及び第十一条の規定 :八 [[一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律]](平成六年法律第三十三号)の規定 :九 [[一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律]](平成十二年法律第百二十五号)第七条から第九条までの規定 2 職員に関する国家公務員法の規定の適用については、同法第二条第六項中「政府」とあり、及び同条第七項中「政府又はその機関」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第六十条第一項中「場合には、人事院の承認を得て」とあるのは「場合には」と、「により人事院の承認を得て」とあるのは「により」と、同法第七十二条第一項中「その所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」と、同法第七十八条第四号中「官制」とあるのは「組織」と、同法第八十条第四項中「給与準則」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第八十一条の二第二項各号中「人事院規則で」とあるのは「日本郵政公社の総裁が」と、同法第八十一条の三第二項中「ときは、人事院の承認を得て」とあるのは「ときは」と、同法第百条第二項中「所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する」とあるのは「日本郵政公社の総裁の許可を要する。退職者についても、同様とする」と、同法第百一条第一項中「政府」とあり、及び同条第二項中「当該官庁」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第百三条第三項中「所轄庁の長」とあり、及び同法第百四条中「内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」とする。</br> 3 職員に関する[[国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律]](昭和四十五年法律第百十七号)第五条及び第六条第三項の規定の適用については、同法第五条第一項中「俸給、扶養手当、調整手当、研究員調整手当、住居手当、期末手当及び期末特別手当のそれぞれ百分の百以内」とあるのは「給与」と、同条第二項中「人事院規則(派遣職員が検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)の適用を受ける職員である場合にあつては、同法第三条第一項に規定する準則)」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第六条第三項中「国は」とあるのは「日本郵政公社は」とする。</br> 4 職員に関する[[労働基準法]](昭和二十二年法律第四十九号)第十二条第三項第四号及び第三十九条第七項の規定の適用については、同法第十二条第三項第四号中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」と、同法第三十九条第七項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第二号」とする。</br> 5 職員に関する[[船員法]](昭和二十二年法律第百号)第七十四条第四項の規定の適用については、同項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」とする。<    '''第六章''' 監督  <span id="a58">(報告及び検査)</span></br> '''第五十八条''' 総務大臣は、この法律、郵便法、郵便貯金法、郵便為替法、郵便振替法、簡易生命保険法、[[軍事郵便貯金等特別処理法]](昭和二十九年法律第百八号)、お年玉付郵便葉書等に関する法律、日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律、郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律、日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律、郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(第五条の規定に限る。)、日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律、郵便切手類販売所等に関する法律、郵政窓口事務の委託に関する法律又は郵便物運送委託法を施行するため必要があると認めるときは、公社に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、公社の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。</br> 2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。</br> 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。  <span id="a59">(権限の委任)</span></br> '''第五十九条''' 総務大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項の規定による立入検査の権限の一部を内閣総理大臣に委任することができる。</br> 2 内閣総理大臣は、前項の委任に基づき、前条第一項の規定により立入検査をしたときは、速やかに、その結果について総務大臣に報告するものとする。</br> 3 内閣総理大臣は、第一項の規定により委任された権限及び前項の規定による権限を金融庁長官に委任する。</br> 4 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。  <span id="a60">(経営改善命令)</span></br> '''第六十条''' 総務大臣は、第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価の結果必要があると認めるとき、その他公社の経営の健全性を確保する上で特に必要があると認めるときは、公社に対し、中期経営目標又は中期経営計画の変更その他経営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a61">(法令違反等の是正命令)</span></br> '''第六十一条''' 総務大臣は、第五十八条第一項の規定により報告をさせ、若しくは検査を行った場合又は第五十九条第二項の規定による報告を受けた場合において、公社の業務又は会計が法令若しくはこれに基づく処分若しくは業務方法書若しくは簡易生命保険責任準備金の算出方法書に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、公社に対し、第五十八条第一項に規定する法律を施行するため必要な限度において、業務方法書の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a62">(報告及び検査等に関する規定の適用)</span></br> '''第六十二条''' 公社が第十九条第二項第十七号に掲げる業務(日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律第五条第一項及び第三項の規定による届出に係る部分に限る。)を行う場合における第五十八条第一項及び前条の規定の適用については、これらの規定中「総務大臣」とあるのは、「内閣総理大臣」とする。この場合においては、同法第六条の規定を準用する。    '''第七章''' 雑則  <span id="a63">(郵政監察官)</span></br> '''第六十三条''' 公社に、郵政監察官を置く。</br> 2 郵政監察官は、郵政事業(公社の行う事業をいう。以下この項及び次項において同じ。)に関する犯罪、非違及び事故に関する調査及び処理その他郵政事業の適正かつ確実な実施の確保に係る職務に従事する公社の役員又は職員のうちから、総務大臣の定める者がその役員又は職員の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議して指名する者をもって充てる。</br> 3 郵政監察官は、郵政事業に対する犯罪について、[[刑事訴訟法]](昭和二十三年法律第百三十一号)に規定する司法警察員の職務を行う。</br> 4 郵政監察官は、被疑者の逮捕を必要とする場合は、警察官である司法警察職員に、これを逮捕させなければならない。</br> 5 警察官である司法警察職員は、前項の規定により逮捕した被疑者を、郵政監察官に引致しなければならない。</br> 6 郵政監察官は、前項の被疑者を受け取った場合又は自ら現行犯人を逮捕した場合において、留置の必要があると思料するときは、これを最寄りの警察署に留置することができる。</br> 7 郵政監察官は、第三項から前項までに規定する職務を行うに当たっては、その身分を証明する証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを示さなければならない。</br> 8 郵政監察官の司法警察員としての職務は、総務大臣が監督する。  <span id="a64">(国会への報告)</span></br> '''第六十四条''' 総務大臣は、第二十四条第一項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、当該認可に係る中期経営目標又は中期経営計画を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。</br> 2 総務大臣は、第三十条第一項の規定による承認をしたときは、遅滞なく、当該承認に係る財務諸表並びに同条第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。  <span id="a65">(経営等に関する情報の公表)</span></br> '''第六十五条''' 公社は、次に掲げる場合には、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 :一 第十二条第二項又は第三項の規定により副総裁又は理事が任命されたとき。 :二 第十五条第一項から第三項までの規定により副総裁又は理事が解任されたとき。 :三 第二十三条第一項、第二十四条第一項又は第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けたとき。 :四 第二十五条、第四十三条第四項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)、第五十一条第二項、第五十四条第二項又は第五十五条の規定による届出をしたとき。 :五 第二十七条第一項の規定により中期経営報告書を提出したとき。 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務省令で定めるところにより、業務及び組織に関する状況その他経営内容に関する情報を公表しなければならない。  <span id="a66">(審議会等への諮問)</span></br> '''第六十六条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、審議会等に諮問しなければならない。 :一 第十九条第四項、第二十二条第二項、第二十三条第一項、第二十四条第一項、第三十三条第一項、第三十八条第一項若しくは第二項、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第二十条第一項又は第二十九条の総務省令を制定し、又は改廃しようとするとき。 :三 第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価を行おうとするとき。 :四 第三十条第一項の規定による承認をしようとするとき。 :五 第六十条第一項の規定による命令をしようとするとき。  <span id="a67">(財務大臣との協議)</span></br> '''第六十七条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、財務大臣に協議しなければならない。 :一 第二十一条、第二十四条第一項、第三十八条第一項から第三項まで、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第四十六条第一号の規定による指定をしようとするとき。  <span id="a68">(他の法令の準用)</span></br> '''第六十八条''' [[旧不動産登記法|不動産登記法]](明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公社を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。  <span id="a69">(経過措置)</span></br> '''第六十九条''' この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。    '''第八章''' 罰則 <span id="a70">'''第七十条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 :一 第五十二条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者 :二 第五十二条第四項の規定に違反して営利企業の地位に就いた者 <span id="a71">'''第七十一条'''</span> 第五十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公社の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。 <span id="a72">'''第七十二条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした公社の役員は、二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。 :一 この法律の規定により総務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。 :二 この法律の規定により総務大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 :三 第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。 :四 第十九条第一項から第三項までに規定する業務以外の業務を行ったとき。 :五 第二十七条第一項の規定による中期経営報告書の提出をせず、又は中期経営報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして中期経営報告書を提出したとき。 :六 第三十条第五項の規定に違反して財務諸表、事業報告書若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備えて置かず、又は閲覧に供しなかったとき。 :七 第三十二条第一項又は第二項の規定に違反して簡易生命保険価格変動準備金を積み立てず、又はこれを取り崩したとき。 :八 第三十四条の規定に違反して簡易生命保険責任準備金を積み立てなかったとき。 :九 第三十五条の規定に違反して簡易生命保険支払備金を積み立てなかったとき。 :十 第四十条第一項の規定に違反して短期借入金をしたとき。 :十一 第四十一条の規定に違反して郵便貯金資金を運用したとき。 :十二 第四十四条の規定に違反して郵便振替資金を運用したとき。 :十三 第四十五条第一項の規定に違反して簡易生命保険資金を運用したとき。 :十四 第四十六条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。 :十五 第六十条第一項又は第六十一条第一項の規定による命令に違反したとき。 :十六 第六十五条第一項又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。 <span id="a73">'''第七十三条</span> 第六条の規定に違反して日本郵政公社という名称を用いた者は、十万円以下の過料に処する。 {{附則}}  <span id="b1">(施行期日)</span></br> '''第一条''' この法律は、平成十五年四月一日から施行する。  <span id="b2">(公社の成立)</span></br> '''第二条''' 公社は、この法律の施行の時に成立する。 <div style="text-align:right;"> 内閣総理大臣 小泉純一郎</br> 総務大臣 [[w:片山虎之助|片山虎之助]]</br> 財務大臣 [[w:塩川正十郎||塩川正十郎]] </div> {{PD-JapanGov}} {{DEFAULTSORT:につほんゆうせいこうしやほう}} [[カテゴリ:平成14年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] kwfvhbppxl0lk0g40amtahus4a42c1d 246576 246575 2026-10-13T07:27:08Z HTDFPC 45275 246576 wikitext text/x-wiki {{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2002 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''日本郵政公社法'''(にっぽんゆうせいこうしゃほう) * 平成14年法律第97号 * 公布:平成14年7月31日 * 施行:平成15年4月1日(附則第1条) * 底本: 平成14年7月31日付官報号外第165号 ---- }} __NOTOC__ :日本郵政公社法をここに公布する。 {{御名御璽}}     平成十四年七月三一日 {{Right|[[:w:内閣総理大臣|内閣総理大臣]]  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]]|1em}} '''法律第九十七号''' <div style="margin-left:3em;"> 日本郵政公社法 </div> 目次</br>  第一章 総則(第一条―第七条)</br>  第二章 役員及び理事会並びに職員(第八条―第十八条)</br>  第三章 業務運営</br>   第一節 業務(第十九条―第二十三条)</br>   第二節 中期経営目標等(第二十四条―第二十七条)</br>  第四章 財務及び会計(第二十八条―第四十九条)</br>  第五章 人事管理(第五十条―第五十七条)</br>  第六章 監督(第五十八条―第六十二条)</br>  第七章 雑則(第六十三条―第六十九条)</br>  第八章 罰則(第七十条―第七十三条)</br>  附則</br>    '''第一章''' 総則  <span id="a1">(目的)</span></br> '''第一条''' 日本郵政公社は、[[中央省庁等改革基本法]](平成十年法律第百三号)第三十三条第一項に規定する国営の新たな公社として、独立採算制の下、信書及び小包の送達の役務、簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段並びに簡易に利用できる生命保険を提供する業務、当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的とする。  <span id="a2">(法人格)</span></br> '''第二条''' 日本郵政公社(以下「公社」という。)は、法人とする。  <span id="a3">(事務所)</span></br> '''第三条''' 公社は、主たる事務所を東京都に置く。</br> 2 公社は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。  <span id="a4">(資本金)</span></br> '''第四条''' 公社の資本金は、別に法律で定めるところにより政府から出資があったものとされた金額とする。  <span id="a5">(登記)</span></br> '''第五条''' 公社は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。</br> 2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。  <span id="a6">(名称の使用制限)</span></br> '''第六条''' 公社でない者は、日本郵政公社という名称を用いてはならない。  <span id="a7">(民法の準用)</span></br> '''第七条''' [[民法 (日本)|民法]](明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、公社について準用する。    '''第二章''' 役員及び理事会並びに職員  <span id="a8">(役員)</span></br> '''第八条''' 公社に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事十六人以内及び監事三人以内を置く。  <span id="a9">(理事会の設置及び任務)</span></br> '''第九条''' 公社に、理事会を置く。</br> 2 理事会は、総裁、副総裁及び理事をもって組織する。</br> 3 理事会は、この法律の規定により総務大臣の認可(第十二条第二項及び第十五条第四項の認可を除く。)又は承認(第五十二条第三項の承認を除く。)を受けなければならない事項その他理事会が特に必要と認める重要事項を審議し、決定する。  <span id="a10">(理事会の会議)</span></br> '''第十条''' 理事会は、総裁が招集する。</br> 2 総裁は、理事会の議長となり、会務を総理する。</br> 3 理事会は、総裁、副総裁及び理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。</br> 4 理事会の議事は、出席した総裁、副総裁及び理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。  <span id="a11">(役員の職務及び権限)</span></br> '''第十一条''' 総裁は、公社を代表し、その業務を総理する。</br> 2 副総裁は、総裁の定めるところにより、公社を代表し、総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 3 理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 4 監事は、公社の業務を監査する。</br> 5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総務大臣に意見を提出することができる。  <span id="a12">(役員の任命)</span></br> '''第十二条''' 総裁及び監事は、総務大臣が任命する。</br> 2 副総裁は、総裁が総務大臣の認可を受けて任命する。</br> 3 理事は、総裁が任命する。</br> 4 理事のうち三人以上及び監事のうち一人以上は、その就任の前五年間社内者等(公社の役員若しくは職員又は政府の職員(非常勤の者を除く。)をいう。次条第二項において同じ。)でなかった者でなければならない。  <span id="a13">(役員の任期)</span></br> '''第十三条''' 総裁及び副総裁の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。</br> 2 役員は、再任されることができる。この場合において、当該役員がその最初の就任の前五年間社内者等でなかったときは、前条第四項の規定の適用については、その再任の前五年間社内者等でなかったものとみなす。  <span id="a14">(役員の欠格条項)</span></br> '''第十四条''' 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。  <span id="a15">(役員の解任)</span></br> '''第十五条''' 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。</br> 2 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。 :一 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。 :二 職務上の義務違反があるとき。 3 前項に規定するもののほか、総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でないため公社の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。</br> 4 総裁は、前二項の規定により副総裁を解任しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。</br> 5 総務大臣は、副総裁又は理事が第二項又は第三項に規定する事由に該当すると認めるときは、総裁に対し、その役員の解任を命ずることができる。  <span id="a16">(代表権の制限)</span></br> '''第十六条''' 公社と総裁又は副総裁との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公社を代表する。  <span id="a17">(代理人の選任)</span></br> '''第十七条''' 総裁及び副総裁は、理事又は公社の職員のうちから、公社の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。  <span id="a18">(職員の任命)</span></br> '''第十八条''' 公社の職員は、総裁が任命する。    '''第三章''' 業務運営     '''第一節''' 業務  <span id="a19">(業務の範囲)</span></br> '''第十九条''' 公社は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。 :一 [[郵便法]](昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により郵便の業務を行うこと。 :二 [[郵便貯金法]](昭和二十二年法律第百四十四号)の規定により郵便貯金の業務を行うこと。 :三 [[郵便為替法]](昭和二十三年法律第五十九号)の規定により郵便為替の業務を行うこと。 :四 [[郵便振替法]](昭和二十三年法律第六十号)の規定により郵便振替の業務を行うこと。 :五 [[簡易生命保険法]](昭和二十四年法律第六十八号)の規定により簡易生命保険の業務を行うこと。 :六 国の委託を受けて、印紙の売りさばきを行うこと。 :七 国の委託を受けて、恩給その他の国庫金の支払を行うこと。 :八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 2 公社は、前項に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。 :一 [[お年玉付郵便葉書等に関する法律]](昭和二十四年法律第二百二十四号)第一条第一項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第五条第一項に規定する寄附金付郵便葉書等を発行すること。 :二 郵便貯金法第四条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :三 [[日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律]](昭和六十二年法律第三十八号)第三条に規定する業務を行うこと。 :四 [[郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成二年法律第七十二号)第二条第一項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :五 [[日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律]](平成三年法律第三十七号)第一条に規定する外国通貨の両替及び旅行小切手の売買を行うこと。 :六 [[郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成八年法律第七十二号)第二条第二項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :七 [[確定拠出年金法]](平成十三年法律第八十八号)第二条第七項に規定する確定拠出年金運営管理業(同条第三項に規定する個人型年金に係るものに限る。)を行うこと。 :八 簡易生命保険法第百一条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :九 日本銀行の委託を受けて、国庫金の取扱いを行うこと。 :十 国家公務員共済組合連合会の委託を受けて、国家公務員共済組合連合会が支給する年金及び一時金の支払に関する事務を行うこと。 :十一 [[当せん金付証票法]](昭和二十三年法律第百四十四号)第六条第五項に規定する受託銀行等の再委託を受けて、当せん金付証票の売りさばき及び当せん金品の支払又は交付に関する事務を行うこと。 :十二 国民生活金融公庫の委託を受けて、[[国民生活金融公庫法]](昭和二十四年法律第四十九号)第十八条の二第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十三 沖縄振興開発金融公庫の委託を受けて、[[沖縄振興開発金融公庫法]](昭和四十七年法律第三十一号)第二十条第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十四 [[郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律]](平成十年法律第七十八号)第二条第一項に規定する金融機関の委託を受けて、同法第四条第一項に規定する金融機関預金受払事務を行うこと。 :十五 国民年金基金連合会の委託を受けて、確定拠出年金法第六十一条第一項に規定する事務を行うこと。 :十六 [[地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律]](平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務を行うことその他委託を受けて地方公共団体の事務を行うこと。 :十七 [[日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律]](平成十二年法律第六十九号)第二条第一項に規定する損害保険会社等の委託を受けて、同条第二項に規定する原動機付自転車等責任保険募集の取扱いを行うこと。 :十八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 3 公社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、[[電気通信事業法]](昭和五十九年法律第八十六号)附則第五条第一項に規定する国際電信電話株式会社又は日本放送協会の委託を受けて、地域住民の利便の増進に資する業務を行うことができる。</br> 4 公社は、前項に規定する業務を行おうとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a20">(郵便局)</span></br> '''第二十条''' 公社は、前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務を行うため、総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。</br> 2 前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。  <span id="a21">(出資)</span></br> '''第二十一条''' 公社は、第十九条第一項第一号に掲げる業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる。  <span id="a22">(業務の委託)</span></br> '''第二十二条''' 公社は、次に掲げる法律の定めるところにより、その業務の一部を委託することができる。 :一 郵便法 :二 [[郵便切手類販売所等に関する法律]](昭和二十四年法律第九十一号) :三 [[郵政窓口事務の委託に関する法律]](昭和二十四年法律第二百十三号) :四 [[郵便物運送委託法]](昭和二十四年法律第二百八十四号) :五 郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務大臣の認可を受けて定める基準に従って、第十九条第二項第二号及び第八号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務の一部を委託することができる。  <span id="a23">(業務方法書)</span></br> '''第二十三条''' 公社は、業務開始の際、業務方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。     '''第二節''' 中期経営目標等  <span id="a24">(中期経営目標及び中期経営計画)</span></br> '''第二十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、四年ごとに、その目標を定める年の翌年の四月一日以降四年を一期とする経営に関する具体的な目標(以下「中期経営目標」という。)及び当該中期経営目標を達成するための計画(以下「中期経営計画」という。)を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 中期経営目標においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 経営の健全性の確保に関する事項 :二 その他業務運営に関する重要事項 3 中期経営計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 事業計画 :二 予算 :三 資金計画 :四 郵便貯金の預り金(郵便貯金の利子を含み、日常の払戻しに必要な資金を除く。以下「郵便貯金資金」という。)の運用計画 :五 簡易生命保険業務(第十九条第一項第五号並びに同条第二項第八号及び第十七号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。以下この条及び第三十条第二項において同じ。)に係る収入のうち簡易生命保険業務に係る支出に充てられていないもの(簡易生命保険業務に係る日常の支出に必要な資金を除く。以下「簡易生命保険資金」という。)の運用計画 4 前項第二号の予算においては、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。 :一 短期借入金の限度額 :二 郵便業務(第十九条第一項第一号及び第六号並びに同条第二項第一号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務並びに同条第三項に規定する業務をいう。以下同じ。)に係る資金繰りに充てるための郵便貯金資金の融通の限度額 :三 郵便業務に係る資金繰りに充てるための簡易生命保険資金の融通の限度額 5 第三項第四号の郵便貯金資金の運用計画は、郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)を行う事業の経営の健全性の確保を目的とし、市場に及ぼす影響を少なくしつつ、確実で有利な運用となるように定めなければならない。</br> 6 前項の規定は、第三項第五号の簡易生命保険資金の運用計画について準用する。この場合において、前項中「郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)」とあるのは、「簡易生命保険業務」と読み替えるものとする。</br> 7 中期経営計画には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 :一 当該中期経営計画に係る期間の収益及び費用の見通しに関する書類 :二 当該中期経営計画に係る期間の終了時における資産及び負債の見通しに関する書類 :三 その他当該中期経営計画の参考となる書類 8 第三項第二号の予算、同項第三号の資金計画並びに前項第一号及び第二号に掲げる書類においては、それぞれ、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。   <span id="a25">(年度経営計画)</span></br> '''第二十五条''' 公社は、毎事業年度の開始前に、前条第一項の認可を受けた中期経営計画に基づき、総務省令で定めるところにより、その事業年度の経営に関する計画を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。   <span id="a26">(各事業年度に係る業績評価)</span></br> '''第二十六条''' 総務大臣は、公社の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。  <span id="a27">(中期経営目標に係る業績評価)</span></br> '''第二十七条''' 公社は、第二十四条第一項の認可を受けた中期経営目標に係る期間の終了後三月以内に、総務省令で定めるところにより、当該中期経営目標の達成状況に関する報告書(以下「中期経営報告書」という。)を総務大臣に提出しなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の公社の中期経営目標の達成状況について、評価を行わなければならない。</br> 3 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。    '''第四章''' 財務及び会計  <span id="a28">(事業年度)</span></br> '''第二十八条''' 公社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。  <span id="a29">(企業会計原則)</span></br> '''第二十九条''' 公社の会計は、総務省令で定めるところにより、企業会計原則によるものとする。  <span id="a30">(財務諸表等)</span></br> '''第三十条''' 公社は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他総務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に総務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。</br> 2 財務諸表(貸借対照表、損益計算書その他の総務省令で定める書類に限る。)においては、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。</br> 3 公社は、第一項の規定により財務諸表を総務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書を添え、並びに財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)に関する監事及び会計監査人の意見を付けなければならない。</br> 4 前項の事業報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 :一 業務の実施状況 :二 郵便局の設置、移転及び廃止の状況 :三 常時勤務に服することを要する職員([[国家公務員法]](昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条又は第八十二条の規定による休職又は停職の処分を受けた者、法令の規定により職務に専念する義務を免除された者その他の常時勤務に服することを要しない職員で総務省令で定めるものを含む。)の数 :四 郵便貯金資金の運用の実績 :五 簡易生命保険資金の運用の実績 :六 その他総務省令で定める事項 5 公社は、第一項の規定による総務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、総務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。  <span id="a31">(会計監査人の監査等)</span></br> '''第三十一条''' 公社は、財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。</br> 2 会計監査人は、総務大臣が選任する。</br> 3 会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての総務大臣の前条第一項の承認の時までとする。</br> 4 総務大臣は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。 :一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。 :二 会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。 :三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。 5 [[株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律]](昭和四十九年法律第二十二号)第四条(第二項第二号を除く。)の規定は、第一項の会計監査人について準用する。この場合において、同条第二項第一号中「第二条第一項」とあるのは、「日本郵政公社法第三十一条第一項」と読み替えるものとする。  <span id="a32">(簡易生命保険価格変動準備金)</span></br> '''第三十二条''' 公社は、毎事業年度末において、その所有する有価証券その他の価格変動による損失が生じ得るものとして総務省令で定める資産(簡易生命保険資金の運用に係るものに限る。次項において「有価証券等」という。)について、総務省令で定めるところにより計算した金額を簡易生命保険価格変動準備金として積み立てなければならない。ただし、その全部又は一部の金額について積立てをしないことについて総務大臣の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。</br> 2 前項の準備金は、有価証券等の売買等による損失(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による損失並びに償還損をいう。)の額が有価証券等の売買等による利益(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による利益並びに償還益をいう。)の額を超える場合においてその差額のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩してはならない。ただし、総務大臣の認可を受けたときは、この限りでない。  <span id="a33">(簡易生命保険責任準備金の算出方法書)</span></br> '''第三十三条''' 公社は、業務関係の際、簡易生命保険責任準備金の算出方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の算出方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。  <span id="a34">(簡易生命保険責任準備金)</span></br> '''第三十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度末において、簡易生命保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、簡易生命保険責任準備金を積み立てなければならない。  <span id="a35">(簡易生命保険支払備金)</span></br> '''第三十五条''' 公社は、毎事業年度末において、保険金、年金、還付金その他の給付金(以下この条において「保険金等」という。)で、簡易生命保険契約に基づいて支払義務が発生したものその他これに準ずるものとして総務省令で定めるものがある場合において、保険金等の支出として計上していないものがあるときは、総務省令で定めるところにより、簡易生命保険支払備金を積み立てなければならない。  <span id="a36">(利益及び損失の処理)</span></br> '''第三十六条''' 公社は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。</br> 2 公社は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。  <span id="a36">(国庫納付金)</span></br> '''第三十七条''' 公社は、第二十四条第一項に規定する中期経営計画に係る期間(以下この条において「中期経営計画の期間」という。)の最後の事業年度に係る前条第一項又は第二項の規定による整理(以下この条において「整理」という。)を行った後、公社の経営の健全性を確保するため必要な額として政令で定めるところにより計算した額(以下この条において「基準額」という。)を超える額の積立金(前条第一項の規定による積立金をいう。以下この条において同じ。)がある場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める金額について政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付するものとする。 :一 当該中期経営計画の期間(以下この条において「当該期間」という。)の直前の中期経営計画の期間(次号において「前期間」という。)の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超えないとき又は当該期間が最初の中期経営計画の期間であるとき 当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額に相当する金額 :二 前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超える場合であって、当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額が前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額(当該前期間の最後の事業年度においてこの条の規定により国に納付した場合にあっては、その納付した額を控除した残額)を超えるとき その超える額に相当する金額  <span id="a38">(長期借入金及び日本郵政公社債券)</span></br> '''第三十八条''' 公社は、その施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。</br> 2 前項に規定するもののほか、公社は、長期借入金又は日本郵政公社債券で政令で定めるものの償還に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。</br> 3 公社は、総務大臣の認可を受けて、日本郵政公社債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。</br> 4 [[商法]](明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。</br> 5 前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は日本郵政公社債券に関し必要な事項は、政令で定める。  <span id="a39">(償還計画)</span></br> '''第三十九条''' 公社は、毎事業年度、長期借入金及び日本郵政公社債券の償還計画を立てて、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a39">(短期借入金)</span></br> '''第四十条''' 公社は、資金繰りのため必要があるときは、中期経営計画の第二十四条第四項第一号の短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができる。</br> 2 前項の規定による短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。  <span id="a40">(郵便貯金資金の運用)</span></br> '''第四十一条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便貯金資金を運用してはならない。 :一 郵便貯金法第六十四条の規定による預金者に対する貸付け :二 郵便貯金法第六十九条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十二条の規定による貸付け :四 次に掲げる有価証券等の売買 ::イ 国債(証券取引所が、定款の定めるところにより、国債について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。) ::ロ 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経、又は承認を得なければならない法人の発行する債券 ::ハ 地方債 ::ニ 特別の法律により設立された法人(ロに規定する法人を除く。)で、国、ロに規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行することができるものの発行する債券 ::ホ 銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫又は全国を地区とする信用金庫連合会(次号及び第六号において「金融機関」という。)の発行する債券(次条第二項及び第四項において「金融債」という。) ::ヘ 社債で政令で定めるもの ::ト 特定社債([[資産の流動化に関する法律]](平成十年法律第百五号)第二条第七項に規定する特定社債をいう。次条第二項において同じ。)で政令で定めるもの ::チ 政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。第四十六条第一号において同じ。)のうちロからトまでに掲げる債券に該当するもの以外のもの ::リ 外国政府、外国の地方公共団体又は国際機関(ヲ及び次条第三項において「外国政府等」という。)の発行する債券その他外国法人の発行する政令で定める債券(証券取引所が、定款の定めるところにより、外国政府の発行する債券について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。次条第二項及び第三項において「外国債」という。) ::ヌ 貸付信託の受益証券 ::ル 法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形で総務省令で定めるもの ::ヲ 外国政府等又は外国法人の発行する証券又は証書でルに規定する約束手形の性質を有するもの :五 金融機関への預金 :六 第四号に掲げる方法により取得した債券であって政令で定めるものの金融機関その他政令で定める法人に対する貸付け :七 債券オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において債券(第四号イ及びリに規定する標準物を含む。)の売買取引を成立させることができる権利又はこれに類する権利であって、政令で定めるものをいう。)の取得又は付与 :八 先物外国為替(外国通貨をもって表示される支払手段であって、その売買契約に基づく債権の発生、変更又は消滅に係る取引を当該売買の契約日後の一定の時期に一定の外国為替相場により実行する取引(金融先物取引所の開設する市場において行われる取引又はこれに類する取引であって、政令で定めるものに該当するものを除く。)の対象となるものをいう。)の売買 :九 通貨オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において外国通貨をもって表示される支払手段の売買取引(前号の政令で定める取引に該当するものを除く。)を成立させることができる権利をいう。)の取得又は付与 :十 信託会社(信託業務を営む銀行を含む。第四十六条第二号において同じ。)への信託。ただし、運用方法を特定するものにあっては、第四号から前号までに掲げる方法により運用するものに限る。 :十一 郵便業務の用に供する施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるための資金の融通 :十二 郵便業務に係る資金繰りに充てるための資金の融通 <span id="a42">'''第四十二条'''</span> 公社は、前条第四号ロからリまでに掲げる債券を郵便貯金資金をもって取得するときは、次に掲げる場合を除き、応募又は買入れの方法により行わなければならない。 :一 [[勤労者財産形成促進法]](昭和四十六年法律第九十二号)第十二条第一項の資金の調達に応じる場合 :二 郵便貯金法第六十九条の規定により取得する場合 :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十八条の規定により取得する場合 2 公社が金融債、社債、特定社債、外国債又は貸付信託の受益証券(次項及び第五項において「金融債等」という。)に運用する郵便貯金資金の額は、それぞれ、郵便貯金資金の総額の百分の二十に相当する額を超えてはならない。</br> 3 公社は、郵便貯金資金を金融債等に運用する場合には、それぞれ、一の法人の発行する金融債等の十分の五又は一の法人の一回に発行する金融債等の十分の六を超える割合(外国政府等の発行する外国債その他政令で定める外国債に運用する場合にあっては、一の外国政府等又は外国法人の発行する外国債の十分の五を超える割合)の金融債等を取得してはならない。</br> 4 前項の場合において、簡易生命保険資金の金融債に運用する額があるときは、その額を郵便貯金資金の金融債に運用する額に合算し、その合算額につき、同項の規定を適用するものとする。</br> 5 公社が郵便貯金資金をもって取得する金融債等は、それぞれ、利率、担保、償還の方法、期限その他の条件において、公社以外の者の取得に係るものとその種類を同じくするものでなければならない。 <span id="a43">'''第四十三条'''</span> 公社は、第四十一条第十一号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 総務大臣は、前項の認可の申請があった場合において、当該申請に係る利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。</br> 3 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、次に掲げる要件を満たさなければならない。 :一 その運用をすることによって第四十一条第十二号に掲げる方法により運用する郵便貯金資金の額が中期経営計画の第二十四条第四項第二号の限度額を超えないものであること。 :二 その利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであること。 :三 その期間が一年を超えないものであること。 4 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を総務大臣に届け出なければならない。  <span id="a44">(郵便振替資金の運用)</span></br> '''第四十四条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便振替の預り金(郵便振替の日常の払出しに必要な資金を除く。第七十二条第十二号において「郵便振替資金」という。)を運用してはならない。 :一 国債の売買 :二 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a45">(簡易生命保険資金の運用)</span></br> '''第四十五条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、簡易生命保険資金を運用してはならない。 :一 保険契約者に対する貸付け :二 簡易生命保険法第八十八条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 第四十一条第四号から第十二号までに掲げる方法 2 第四十二条(第一項第三号を除く。)及び第四十三条の規定は、簡易生命保険資金について準用する。この場合において、第四十二条第一項第二号中「郵便貯金法第六十九条」とあるのは「簡易生命保険法第八十八条」と、同条第四項中「簡易生命保険資金」とあるのは「郵便貯金資金」と、第四十三条第三項第一号中「第二十四条第四項第二号」とあるのは「第二十四条第四項第三号」と読み替えるものとする。  <span id="a46">(余裕金の運用)</span></br> '''第四十六条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。 :一 国債、地方債、政府保証債その他総務大臣の指定する有価証券の売買 :二 信託会社への金銭信託 :三 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a47">(財産の処分等の制限)</span></br> '''第四十七条''' 公社は、総務省令で定める重要な財産を貸し付け、譲り渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、総務省令で定める場合を除き、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a48">(会計規程)</span></br> '''第四十八条''' 公社は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a49">(総務省令への委任)</span></br> '''第四十九条''' この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、公社の財務及び会計に関し必要な事項は、総務省令で定める。    '''第五章''' 人事管理  <span id="a50">(役員及び職員の身分)</span></br> '''第五十条''' 公社の役員及び職員は、国家公務員とする。  <span id="a51">(役員の報酬等)</span></br> '''第五十一条''' 役員に対する報酬及び退職手当(以下この条において「報酬等」という。)は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、役員に対する報酬等の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の報酬等の支給の基準は、国家公務員の給与、民間事業の役員の報酬等、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。</br> 4 総務大臣は、第二項の規定による届出があったときは、その届出に係る報酬等の支給の基準を審議会等([[国家行政組織法]](昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)に通知するものとする。</br> 5 審議会等は、前項の規定による通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、総務大臣に対し、意見を申し出ることができる。  <span id="a52">(役員の服務)</span></br> '''第五十二条''' 役員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。</br> 2 役員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。</br> 3 役員は、在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。</br> 4 役員(非常勤の者を除く。)は、離職後二年間は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(第七十条第二号において「営利企業」という。)の地位で、公社又はその離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関若しくは[[独立行政法人通則法]](平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならない。ただし、人事院規則の定めるところにより、任命権者の申出により人事院の承認を得た場合は、この限りでない。  <span id="a53">(役員の災害補償)</span></br> '''第五十三条''' 役員の公務上の災害又は通勤による災害に対する補償及び公務上の災害又は通勤による災害を受けた役員に対する福祉事業については、職員の例による。  <span id="a54">(職員の給与)</span></br> '''第五十四条''' 職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、職員の給与の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の給与の支給の基準は、[[一般職の職員の給与に関する法律]](昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間事業の従業員の給与、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。  <span id="a55">(職員の勤務時間等)</span></br> '''第五十五条''' 公社は、職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a56">(運用職員の責務等)</span></br> '''第五十六条''' 郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に係る事務のうち総務省令で定めるものに従事する者として総裁が指定する職員(以下この条において「運用職員」という。)は、それぞれ、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用の重要性を認識し、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。</br> 2 運用職員は、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に関して職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。</br> 3 運用職員が前項の規定に違反した場合においては、当該運用職員の任命権者は、当該運用職員に対し国家公務員法第八十二条の規定による懲戒処分をしなければならない。  <span id="a57">(他の法律の適用除外等)</span></br> 第五十七条 次に掲げる法律の規定は、職員(第三号に掲げる法律の規定にあっては、役員及び職員)については、適用しない。 :一 [[労働者災害補償保険法]](昭和二十二年法律第五十号)の規定 :二 国家公務員法第十八条、第二十八条(第一項前段を除く。)、第二十九条から第三十二条まで、第六十二条から第七十条まで、第七十二条第二項及び第三項、第七十五条第二項並びに第百六条の規定 :三 [[国家公務員宿舎法]](昭和二十四年法律第百十七号)の規定 :四 [[国家公務員の寒冷地手当に関する法律]](昭和二十四年法律第二百号)の規定 :五 一般職の職員の給与に関する法律の規定 :六 [[国家公務員の職階制に関する法律]](昭和二十五年法律第百八十号)の規定 :七 [[国家公務員の育児休業等に関する法律]](平成三年法律第百九号)第五条第二項、第七条の二、第八条及び第十一条の規定 :八 [[一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律]](平成六年法律第三十三号)の規定 :九 [[一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律]](平成十二年法律第百二十五号)第七条から第九条までの規定 2 職員に関する国家公務員法の規定の適用については、同法第二条第六項中「政府」とあり、及び同条第七項中「政府又はその機関」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第六十条第一項中「場合には、人事院の承認を得て」とあるのは「場合には」と、「により人事院の承認を得て」とあるのは「により」と、同法第七十二条第一項中「その所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」と、同法第七十八条第四号中「官制」とあるのは「組織」と、同法第八十条第四項中「給与準則」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第八十一条の二第二項各号中「人事院規則で」とあるのは「日本郵政公社の総裁が」と、同法第八十一条の三第二項中「ときは、人事院の承認を得て」とあるのは「ときは」と、同法第百条第二項中「所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する」とあるのは「日本郵政公社の総裁の許可を要する。退職者についても、同様とする」と、同法第百一条第一項中「政府」とあり、及び同条第二項中「当該官庁」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第百三条第三項中「所轄庁の長」とあり、及び同法第百四条中「内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」とする。</br> 3 職員に関する[[国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律]](昭和四十五年法律第百十七号)第五条及び第六条第三項の規定の適用については、同法第五条第一項中「俸給、扶養手当、調整手当、研究員調整手当、住居手当、期末手当及び期末特別手当のそれぞれ百分の百以内」とあるのは「給与」と、同条第二項中「人事院規則(派遣職員が検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)の適用を受ける職員である場合にあつては、同法第三条第一項に規定する準則)」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第六条第三項中「国は」とあるのは「日本郵政公社は」とする。</br> 4 職員に関する[[労働基準法]](昭和二十二年法律第四十九号)第十二条第三項第四号及び第三十九条第七項の規定の適用については、同法第十二条第三項第四号中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」と、同法第三十九条第七項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第二号」とする。</br> 5 職員に関する[[船員法]](昭和二十二年法律第百号)第七十四条第四項の規定の適用については、同項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」とする。<    '''第六章''' 監督  <span id="a58">(報告及び検査)</span></br> '''第五十八条''' 総務大臣は、この法律、郵便法、郵便貯金法、郵便為替法、郵便振替法、簡易生命保険法、[[軍事郵便貯金等特別処理法]](昭和二十九年法律第百八号)、お年玉付郵便葉書等に関する法律、日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律、郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律、日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律、郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(第五条の規定に限る。)、日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律、郵便切手類販売所等に関する法律、郵政窓口事務の委託に関する法律又は郵便物運送委託法を施行するため必要があると認めるときは、公社に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、公社の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。</br> 2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。</br> 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。  <span id="a59">(権限の委任)</span></br> '''第五十九条''' 総務大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項の規定による立入検査の権限の一部を内閣総理大臣に委任することができる。</br> 2 内閣総理大臣は、前項の委任に基づき、前条第一項の規定により立入検査をしたときは、速やかに、その結果について総務大臣に報告するものとする。</br> 3 内閣総理大臣は、第一項の規定により委任された権限及び前項の規定による権限を金融庁長官に委任する。</br> 4 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。  <span id="a60">(経営改善命令)</span></br> '''第六十条''' 総務大臣は、第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価の結果必要があると認めるとき、その他公社の経営の健全性を確保する上で特に必要があると認めるときは、公社に対し、中期経営目標又は中期経営計画の変更その他経営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a61">(法令違反等の是正命令)</span></br> '''第六十一条''' 総務大臣は、第五十八条第一項の規定により報告をさせ、若しくは検査を行った場合又は第五十九条第二項の規定による報告を受けた場合において、公社の業務又は会計が法令若しくはこれに基づく処分若しくは業務方法書若しくは簡易生命保険責任準備金の算出方法書に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、公社に対し、第五十八条第一項に規定する法律を施行するため必要な限度において、業務方法書の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a62">(報告及び検査等に関する規定の適用)</span></br> '''第六十二条''' 公社が第十九条第二項第十七号に掲げる業務(日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律第五条第一項及び第三項の規定による届出に係る部分に限る。)を行う場合における第五十八条第一項及び前条の規定の適用については、これらの規定中「総務大臣」とあるのは、「内閣総理大臣」とする。この場合においては、同法第六条の規定を準用する。    '''第七章''' 雑則  <span id="a63">(郵政監察官)</span></br> '''第六十三条''' 公社に、郵政監察官を置く。</br> 2 郵政監察官は、郵政事業(公社の行う事業をいう。以下この項及び次項において同じ。)に関する犯罪、非違及び事故に関する調査及び処理その他郵政事業の適正かつ確実な実施の確保に係る職務に従事する公社の役員又は職員のうちから、総務大臣の定める者がその役員又は職員の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議して指名する者をもって充てる。</br> 3 郵政監察官は、郵政事業に対する犯罪について、[[刑事訴訟法]](昭和二十三年法律第百三十一号)に規定する司法警察員の職務を行う。</br> 4 郵政監察官は、被疑者の逮捕を必要とする場合は、警察官である司法警察職員に、これを逮捕させなければならない。</br> 5 警察官である司法警察職員は、前項の規定により逮捕した被疑者を、郵政監察官に引致しなければならない。</br> 6 郵政監察官は、前項の被疑者を受け取った場合又は自ら現行犯人を逮捕した場合において、留置の必要があると思料するときは、これを最寄りの警察署に留置することができる。</br> 7 郵政監察官は、第三項から前項までに規定する職務を行うに当たっては、その身分を証明する証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを示さなければならない。</br> 8 郵政監察官の司法警察員としての職務は、総務大臣が監督する。  <span id="a64">(国会への報告)</span></br> '''第六十四条''' 総務大臣は、第二十四条第一項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、当該認可に係る中期経営目標又は中期経営計画を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。</br> 2 総務大臣は、第三十条第一項の規定による承認をしたときは、遅滞なく、当該承認に係る財務諸表並びに同条第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。  <span id="a65">(経営等に関する情報の公表)</span></br> '''第六十五条''' 公社は、次に掲げる場合には、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 :一 第十二条第二項又は第三項の規定により副総裁又は理事が任命されたとき。 :二 第十五条第一項から第三項までの規定により副総裁又は理事が解任されたとき。 :三 第二十三条第一項、第二十四条第一項又は第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けたとき。 :四 第二十五条、第四十三条第四項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)、第五十一条第二項、第五十四条第二項又は第五十五条の規定による届出をしたとき。 :五 第二十七条第一項の規定により中期経営報告書を提出したとき。 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務省令で定めるところにより、業務及び組織に関する状況その他経営内容に関する情報を公表しなければならない。  <span id="a66">(審議会等への諮問)</span></br> '''第六十六条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、審議会等に諮問しなければならない。 :一 第十九条第四項、第二十二条第二項、第二十三条第一項、第二十四条第一項、第三十三条第一項、第三十八条第一項若しくは第二項、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第二十条第一項又は第二十九条の総務省令を制定し、又は改廃しようとするとき。 :三 第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価を行おうとするとき。 :四 第三十条第一項の規定による承認をしようとするとき。 :五 第六十条第一項の規定による命令をしようとするとき。  <span id="a67">(財務大臣との協議)</span></br> '''第六十七条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、財務大臣に協議しなければならない。 :一 第二十一条、第二十四条第一項、第三十八条第一項から第三項まで、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第四十六条第一号の規定による指定をしようとするとき。  <span id="a68">(他の法令の準用)</span></br> '''第六十八条''' [[旧不動産登記法|不動産登記法]](明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公社を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。  <span id="a69">(経過措置)</span></br> '''第六十九条''' この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。    '''第八章''' 罰則 <span id="a70">'''第七十条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 :一 第五十二条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者 :二 第五十二条第四項の規定に違反して営利企業の地位に就いた者 <span id="a71">'''第七十一条'''</span> 第五十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公社の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。 <span id="a72">'''第七十二条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした公社の役員は、二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。 :一 この法律の規定により総務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。 :二 この法律の規定により総務大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 :三 第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。 :四 第十九条第一項から第三項までに規定する業務以外の業務を行ったとき。 :五 第二十七条第一項の規定による中期経営報告書の提出をせず、又は中期経営報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして中期経営報告書を提出したとき。 :六 第三十条第五項の規定に違反して財務諸表、事業報告書若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備えて置かず、又は閲覧に供しなかったとき。 :七 第三十二条第一項又は第二項の規定に違反して簡易生命保険価格変動準備金を積み立てず、又はこれを取り崩したとき。 :八 第三十四条の規定に違反して簡易生命保険責任準備金を積み立てなかったとき。 :九 第三十五条の規定に違反して簡易生命保険支払備金を積み立てなかったとき。 :十 第四十条第一項の規定に違反して短期借入金をしたとき。 :十一 第四十一条の規定に違反して郵便貯金資金を運用したとき。 :十二 第四十四条の規定に違反して郵便振替資金を運用したとき。 :十三 第四十五条第一項の規定に違反して簡易生命保険資金を運用したとき。 :十四 第四十六条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。 :十五 第六十条第一項又は第六十一条第一項の規定による命令に違反したとき。 :十六 第六十五条第一項又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。 <span id="a73">'''第七十三条'''</span> 第六条の規定に違反して日本郵政公社という名称を用いた者は、十万円以下の過料に処する。 {{附則}}  <span id="b1">(施行期日)</span></br> '''第一条''' この法律は、平成十五年四月一日から施行する。  <span id="b2">(公社の成立)</span></br> '''第二条''' 公社は、この法律の施行の時に成立する。 <div style="text-align:right;"> 内閣総理大臣 小泉純一郎</br> 総務大臣 [[w:片山虎之助|片山虎之助]]</br> 財務大臣 [[w:塩川正十郎||塩川正十郎]] </div> {{PD-JapanGov}} {{DEFAULTSORT:につほんゆうせいこうしやほう}} [[カテゴリ:平成14年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] s3o4eu4ul522oevxfl987tzl29q5vig 246577 246576 2026-10-13T07:28:35Z HTDFPC 45275 246577 wikitext text/x-wiki {{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2002 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''日本郵政公社法'''(にっぽんゆうせいこうしゃほう) * 平成14年法律第97号 * 公布:平成14年7月31日 * 施行:平成15年4月1日(附則第1条) * 底本: 平成14年7月31日付官報号外第165号 ---- }} __NOTOC__ :日本郵政公社法をここに公布する。 {{御名御璽}}     平成十四年七月三一日 {{Right|[[:w:内閣総理大臣|内閣総理大臣]]  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]]|1em}} '''法律第九十七号''' <div style="margin-left:3em;"> 日本郵政公社法 </div> 目次</br>  第一章 総則(第一条―第七条)</br>  第二章 役員及び理事会並びに職員(第八条―第十八条)</br>  第三章 業務運営</br>   第一節 業務(第十九条―第二十三条)</br>   第二節 中期経営目標等(第二十四条―第二十七条)</br>  第四章 財務及び会計(第二十八条―第四十九条)</br>  第五章 人事管理(第五十条―第五十七条)</br>  第六章 監督(第五十八条―第六十二条)</br>  第七章 雑則(第六十三条―第六十九条)</br>  第八章 罰則(第七十条―第七十三条)</br>  附則</br>    '''第一章''' 総則  <span id="a1">(目的)</span></br> '''第一条''' 日本郵政公社は、[[中央省庁等改革基本法]](平成十年法律第百三号)第三十三条第一項に規定する国営の新たな公社として、独立採算制の下、信書及び小包の送達の役務、簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段並びに簡易に利用できる生命保険を提供する業務、当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的とする。  <span id="a2">(法人格)</span></br> '''第二条''' 日本郵政公社(以下「公社」という。)は、法人とする。  <span id="a3">(事務所)</span></br> '''第三条''' 公社は、主たる事務所を東京都に置く。</br> 2 公社は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。  <span id="a4">(資本金)</span></br> '''第四条''' 公社の資本金は、別に法律で定めるところにより政府から出資があったものとされた金額とする。  <span id="a5">(登記)</span></br> '''第五条''' 公社は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。</br> 2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。  <span id="a6">(名称の使用制限)</span></br> '''第六条''' 公社でない者は、日本郵政公社という名称を用いてはならない。  <span id="a7">(民法の準用)</span></br> '''第七条''' [[民法 (日本)|民法]](明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、公社について準用する。    '''第二章''' 役員及び理事会並びに職員  <span id="a8">(役員)</span></br> '''第八条''' 公社に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事十六人以内及び監事三人以内を置く。  <span id="a9">(理事会の設置及び任務)</span></br> '''第九条''' 公社に、理事会を置く。</br> 2 理事会は、総裁、副総裁及び理事をもって組織する。</br> 3 理事会は、この法律の規定により総務大臣の認可(第十二条第二項及び第十五条第四項の認可を除く。)又は承認(第五十二条第三項の承認を除く。)を受けなければならない事項その他理事会が特に必要と認める重要事項を審議し、決定する。  <span id="a10">(理事会の会議)</span></br> '''第十条''' 理事会は、総裁が招集する。</br> 2 総裁は、理事会の議長となり、会務を総理する。</br> 3 理事会は、総裁、副総裁及び理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。</br> 4 理事会の議事は、出席した総裁、副総裁及び理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。  <span id="a11">(役員の職務及び権限)</span></br> '''第十一条''' 総裁は、公社を代表し、その業務を総理する。</br> 2 副総裁は、総裁の定めるところにより、公社を代表し、総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 3 理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 4 監事は、公社の業務を監査する。</br> 5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総務大臣に意見を提出することができる。  <span id="a12">(役員の任命)</span></br> '''第十二条''' 総裁及び監事は、総務大臣が任命する。</br> 2 副総裁は、総裁が総務大臣の認可を受けて任命する。</br> 3 理事は、総裁が任命する。</br> 4 理事のうち三人以上及び監事のうち一人以上は、その就任の前五年間社内者等(公社の役員若しくは職員又は政府の職員(非常勤の者を除く。)をいう。次条第二項において同じ。)でなかった者でなければならない。  <span id="a13">(役員の任期)</span></br> '''第十三条''' 総裁及び副総裁の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。</br> 2 役員は、再任されることができる。この場合において、当該役員がその最初の就任の前五年間社内者等でなかったときは、前条第四項の規定の適用については、その再任の前五年間社内者等でなかったものとみなす。  <span id="a14">(役員の欠格条項)</span></br> '''第十四条''' 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。  <span id="a15">(役員の解任)</span></br> '''第十五条''' 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。</br> 2 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。 :一 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。 :二 職務上の義務違反があるとき。 3 前項に規定するもののほか、総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でないため公社の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。</br> 4 総裁は、前二項の規定により副総裁を解任しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。</br> 5 総務大臣は、副総裁又は理事が第二項又は第三項に規定する事由に該当すると認めるときは、総裁に対し、その役員の解任を命ずることができる。  <span id="a16">(代表権の制限)</span></br> '''第十六条''' 公社と総裁又は副総裁との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公社を代表する。  <span id="a17">(代理人の選任)</span></br> '''第十七条''' 総裁及び副総裁は、理事又は公社の職員のうちから、公社の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。  <span id="a18">(職員の任命)</span></br> '''第十八条''' 公社の職員は、総裁が任命する。    '''第三章''' 業務運営     '''第一節''' 業務  <span id="a19">(業務の範囲)</span></br> '''第十九条''' 公社は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。 :一 [[郵便法]](昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により郵便の業務を行うこと。 :二 [[郵便貯金法]](昭和二十二年法律第百四十四号)の規定により郵便貯金の業務を行うこと。 :三 [[郵便為替法]](昭和二十三年法律第五十九号)の規定により郵便為替の業務を行うこと。 :四 [[郵便振替法]](昭和二十三年法律第六十号)の規定により郵便振替の業務を行うこと。 :五 [[簡易生命保険法]](昭和二十四年法律第六十八号)の規定により簡易生命保険の業務を行うこと。 :六 国の委託を受けて、印紙の売りさばきを行うこと。 :七 国の委託を受けて、恩給その他の国庫金の支払を行うこと。 :八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 2 公社は、前項に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。 :一 [[お年玉付郵便葉書等に関する法律]](昭和二十四年法律第二百二十四号)第一条第一項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第五条第一項に規定する寄附金付郵便葉書等を発行すること。 :二 郵便貯金法第四条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :三 [[日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律]](昭和六十二年法律第三十八号)第三条に規定する業務を行うこと。 :四 [[郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成二年法律第七十二号)第二条第一項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :五 [[日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律]](平成三年法律第三十七号)第一条に規定する外国通貨の両替及び旅行小切手の売買を行うこと。 :六 [[郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成八年法律第七十二号)第二条第二項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :七 [[確定拠出年金法]](平成十三年法律第八十八号)第二条第七項に規定する確定拠出年金運営管理業(同条第三項に規定する個人型年金に係るものに限る。)を行うこと。 :八 簡易生命保険法第百一条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :九 日本銀行の委託を受けて、国庫金の取扱いを行うこと。 :十 国家公務員共済組合連合会の委託を受けて、国家公務員共済組合連合会が支給する年金及び一時金の支払に関する事務を行うこと。 :十一 [[当せん金付証票法]](昭和二十三年法律第百四十四号)第六条第五項に規定する受託銀行等の再委託を受けて、当せん金付証票の売りさばき及び当せん金品の支払又は交付に関する事務を行うこと。 :十二 国民生活金融公庫の委託を受けて、[[国民生活金融公庫法]](昭和二十四年法律第四十九号)第十八条の二第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十三 沖縄振興開発金融公庫の委託を受けて、[[沖縄振興開発金融公庫法]](昭和四十七年法律第三十一号)第二十条第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十四 [[郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律]](平成十年法律第七十八号)第二条第一項に規定する金融機関の委託を受けて、同法第四条第一項に規定する金融機関預金受払事務を行うこと。 :十五 国民年金基金連合会の委託を受けて、確定拠出年金法第六十一条第一項に規定する事務を行うこと。 :十六 [[地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律]](平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務を行うことその他委託を受けて地方公共団体の事務を行うこと。 :十七 [[日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律]](平成十二年法律第六十九号)第二条第一項に規定する損害保険会社等の委託を受けて、同条第二項に規定する原動機付自転車等責任保険募集の取扱いを行うこと。 :十八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 3 公社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、[[電気通信事業法]](昭和五十九年法律第八十六号)附則第五条第一項に規定する国際電信電話株式会社又は日本放送協会の委託を受けて、地域住民の利便の増進に資する業務を行うことができる。</br> 4 公社は、前項に規定する業務を行おうとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a20">(郵便局)</span></br> '''第二十条''' 公社は、前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務を行うため、総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。</br> 2 前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。  <span id="a21">(出資)</span></br> '''第二十一条''' 公社は、第十九条第一項第一号に掲げる業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる。  <span id="a22">(業務の委託)</span></br> '''第二十二条''' 公社は、次に掲げる法律の定めるところにより、その業務の一部を委託することができる。 :一 郵便法 :二 [[郵便切手類販売所等に関する法律]](昭和二十四年法律第九十一号) :三 [[郵政窓口事務の委託に関する法律]](昭和二十四年法律第二百十三号) :四 [[郵便物運送委託法]](昭和二十四年法律第二百八十四号) :五 郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務大臣の認可を受けて定める基準に従って、第十九条第二項第二号及び第八号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務の一部を委託することができる。  <span id="a23">(業務方法書)</span></br> '''第二十三条''' 公社は、業務開始の際、業務方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。     '''第二節''' 中期経営目標等  <span id="a24">(中期経営目標及び中期経営計画)</span></br> '''第二十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、四年ごとに、その目標を定める年の翌年の四月一日以降四年を一期とする経営に関する具体的な目標(以下「中期経営目標」という。)及び当該中期経営目標を達成するための計画(以下「中期経営計画」という。)を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 中期経営目標においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 経営の健全性の確保に関する事項 :二 その他業務運営に関する重要事項 3 中期経営計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 事業計画 :二 予算 :三 資金計画 :四 郵便貯金の預り金(郵便貯金の利子を含み、日常の払戻しに必要な資金を除く。以下「郵便貯金資金」という。)の運用計画 :五 簡易生命保険業務(第十九条第一項第五号並びに同条第二項第八号及び第十七号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。以下この条及び第三十条第二項において同じ。)に係る収入のうち簡易生命保険業務に係る支出に充てられていないもの(簡易生命保険業務に係る日常の支出に必要な資金を除く。以下「簡易生命保険資金」という。)の運用計画 4 前項第二号の予算においては、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。 :一 短期借入金の限度額 :二 郵便業務(第十九条第一項第一号及び第六号並びに同条第二項第一号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務並びに同条第三項に規定する業務をいう。以下同じ。)に係る資金繰りに充てるための郵便貯金資金の融通の限度額 :三 郵便業務に係る資金繰りに充てるための簡易生命保険資金の融通の限度額 5 第三項第四号の郵便貯金資金の運用計画は、郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)を行う事業の経営の健全性の確保を目的とし、市場に及ぼす影響を少なくしつつ、確実で有利な運用となるように定めなければならない。</br> 6 前項の規定は、第三項第五号の簡易生命保険資金の運用計画について準用する。この場合において、前項中「郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)」とあるのは、「簡易生命保険業務」と読み替えるものとする。</br> 7 中期経営計画には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 :一 当該中期経営計画に係る期間の収益及び費用の見通しに関する書類 :二 当該中期経営計画に係る期間の終了時における資産及び負債の見通しに関する書類 :三 その他当該中期経営計画の参考となる書類 8 第三項第二号の予算、同項第三号の資金計画並びに前項第一号及び第二号に掲げる書類においては、それぞれ、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。   <span id="a25">(年度経営計画)</span></br> '''第二十五条''' 公社は、毎事業年度の開始前に、前条第一項の認可を受けた中期経営計画に基づき、総務省令で定めるところにより、その事業年度の経営に関する計画を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。   <span id="a26">(各事業年度に係る業績評価)</span></br> '''第二十六条''' 総務大臣は、公社の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。  <span id="a27">(中期経営目標に係る業績評価)</span></br> '''第二十七条''' 公社は、第二十四条第一項の認可を受けた中期経営目標に係る期間の終了後三月以内に、総務省令で定めるところにより、当該中期経営目標の達成状況に関する報告書(以下「中期経営報告書」という。)を総務大臣に提出しなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の公社の中期経営目標の達成状況について、評価を行わなければならない。</br> 3 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。    '''第四章''' 財務及び会計  <span id="a28">(事業年度)</span></br> '''第二十八条''' 公社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。  <span id="a29">(企業会計原則)</span></br> '''第二十九条''' 公社の会計は、総務省令で定めるところにより、企業会計原則によるものとする。  <span id="a30">(財務諸表等)</span></br> '''第三十条''' 公社は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他総務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に総務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。</br> 2 財務諸表(貸借対照表、損益計算書その他の総務省令で定める書類に限る。)においては、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。</br> 3 公社は、第一項の規定により財務諸表を総務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書を添え、並びに財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)に関する監事及び会計監査人の意見を付けなければならない。</br> 4 前項の事業報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 :一 業務の実施状況 :二 郵便局の設置、移転及び廃止の状況 :三 常時勤務に服することを要する職員([[国家公務員法]](昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条又は第八十二条の規定による休職又は停職の処分を受けた者、法令の規定により職務に専念する義務を免除された者その他の常時勤務に服することを要しない職員で総務省令で定めるものを含む。)の数 :四 郵便貯金資金の運用の実績 :五 簡易生命保険資金の運用の実績 :六 その他総務省令で定める事項 5 公社は、第一項の規定による総務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、総務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。  <span id="a31">(会計監査人の監査等)</span></br> '''第三十一条''' 公社は、財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。</br> 2 会計監査人は、総務大臣が選任する。</br> 3 会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての総務大臣の前条第一項の承認の時までとする。</br> 4 総務大臣は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。 :一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。 :二 会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。 :三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。 5 [[株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律]](昭和四十九年法律第二十二号)第四条(第二項第二号を除く。)の規定は、第一項の会計監査人について準用する。この場合において、同条第二項第一号中「第二条第一項」とあるのは、「日本郵政公社法第三十一条第一項」と読み替えるものとする。  <span id="a32">(簡易生命保険価格変動準備金)</span></br> '''第三十二条''' 公社は、毎事業年度末において、その所有する有価証券その他の価格変動による損失が生じ得るものとして総務省令で定める資産(簡易生命保険資金の運用に係るものに限る。次項において「有価証券等」という。)について、総務省令で定めるところにより計算した金額を簡易生命保険価格変動準備金として積み立てなければならない。ただし、その全部又は一部の金額について積立てをしないことについて総務大臣の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。</br> 2 前項の準備金は、有価証券等の売買等による損失(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による損失並びに償還損をいう。)の額が有価証券等の売買等による利益(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による利益並びに償還益をいう。)の額を超える場合においてその差額のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩してはならない。ただし、総務大臣の認可を受けたときは、この限りでない。  <span id="a33">(簡易生命保険責任準備金の算出方法書)</span></br> '''第三十三条''' 公社は、業務関係の際、簡易生命保険責任準備金の算出方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の算出方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。  <span id="a34">(簡易生命保険責任準備金)</span></br> '''第三十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度末において、簡易生命保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、簡易生命保険責任準備金を積み立てなければならない。  <span id="a35">(簡易生命保険支払備金)</span></br> '''第三十五条''' 公社は、毎事業年度末において、保険金、年金、還付金その他の給付金(以下この条において「保険金等」という。)で、簡易生命保険契約に基づいて支払義務が発生したものその他これに準ずるものとして総務省令で定めるものがある場合において、保険金等の支出として計上していないものがあるときは、総務省令で定めるところにより、簡易生命保険支払備金を積み立てなければならない。  <span id="a36">(利益及び損失の処理)</span></br> '''第三十六条''' 公社は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。</br> 2 公社は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。  <span id="a36">(国庫納付金)</span></br> '''第三十七条''' 公社は、第二十四条第一項に規定する中期経営計画に係る期間(以下この条において「中期経営計画の期間」という。)の最後の事業年度に係る前条第一項又は第二項の規定による整理(以下この条において「整理」という。)を行った後、公社の経営の健全性を確保するため必要な額として政令で定めるところにより計算した額(以下この条において「基準額」という。)を超える額の積立金(前条第一項の規定による積立金をいう。以下この条において同じ。)がある場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める金額について政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付するものとする。 :一 当該中期経営計画の期間(以下この条において「当該期間」という。)の直前の中期経営計画の期間(次号において「前期間」という。)の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超えないとき又は当該期間が最初の中期経営計画の期間であるとき 当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額に相当する金額 :二 前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超える場合であって、当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額が前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額(当該前期間の最後の事業年度においてこの条の規定により国に納付した場合にあっては、その納付した額を控除した残額)を超えるとき その超える額に相当する金額  <span id="a38">(長期借入金及び日本郵政公社債券)</span></br> '''第三十八条''' 公社は、その施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。</br> 2 前項に規定するもののほか、公社は、長期借入金又は日本郵政公社債券で政令で定めるものの償還に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。</br> 3 公社は、総務大臣の認可を受けて、日本郵政公社債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。</br> 4 [[商法]](明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。</br> 5 前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は日本郵政公社債券に関し必要な事項は、政令で定める。  <span id="a39">(償還計画)</span></br> '''第三十九条''' 公社は、毎事業年度、長期借入金及び日本郵政公社債券の償還計画を立てて、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a39">(短期借入金)</span></br> '''第四十条''' 公社は、資金繰りのため必要があるときは、中期経営計画の第二十四条第四項第一号の短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができる。</br> 2 前項の規定による短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。  <span id="a40">(郵便貯金資金の運用)</span></br> '''第四十一条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便貯金資金を運用してはならない。 :一 郵便貯金法第六十四条の規定による預金者に対する貸付け :二 郵便貯金法第六十九条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十二条の規定による貸付け :四 次に掲げる有価証券等の売買 ::イ 国債(証券取引所が、定款の定めるところにより、国債について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。) ::ロ 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経、又は承認を得なければならない法人の発行する債券 ::ハ 地方債 ::ニ 特別の法律により設立された法人(ロに規定する法人を除く。)で、国、ロに規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行することができるものの発行する債券 ::ホ 銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫又は全国を地区とする信用金庫連合会(次号及び第六号において「金融機関」という。)の発行する債券(次条第二項及び第四項において「金融債」という。) ::ヘ 社債で政令で定めるもの ::ト 特定社債([[資産の流動化に関する法律]](平成十年法律第百五号)第二条第七項に規定する特定社債をいう。次条第二項において同じ。)で政令で定めるもの ::チ 政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。第四十六条第一号において同じ。)のうちロからトまでに掲げる債券に該当するもの以外のもの ::リ 外国政府、外国の地方公共団体又は国際機関(ヲ及び次条第三項において「外国政府等」という。)の発行する債券その他外国法人の発行する政令で定める債券(証券取引所が、定款の定めるところにより、外国政府の発行する債券について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。次条第二項及び第三項において「外国債」という。) ::ヌ 貸付信託の受益証券 ::ル 法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形で総務省令で定めるもの ::ヲ 外国政府等又は外国法人の発行する証券又は証書でルに規定する約束手形の性質を有するもの :五 金融機関への預金 :六 第四号に掲げる方法により取得した債券であって政令で定めるものの金融機関その他政令で定める法人に対する貸付け :七 債券オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において債券(第四号イ及びリに規定する標準物を含む。)の売買取引を成立させることができる権利又はこれに類する権利であって、政令で定めるものをいう。)の取得又は付与 :八 先物外国為替(外国通貨をもって表示される支払手段であって、その売買契約に基づく債権の発生、変更又は消滅に係る取引を当該売買の契約日後の一定の時期に一定の外国為替相場により実行する取引(金融先物取引所の開設する市場において行われる取引又はこれに類する取引であって、政令で定めるものに該当するものを除く。)の対象となるものをいう。)の売買 :九 通貨オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において外国通貨をもって表示される支払手段の売買取引(前号の政令で定める取引に該当するものを除く。)を成立させることができる権利をいう。)の取得又は付与 :十 信託会社(信託業務を営む銀行を含む。第四十六条第二号において同じ。)への信託。ただし、運用方法を特定するものにあっては、第四号から前号までに掲げる方法により運用するものに限る。 :十一 郵便業務の用に供する施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるための資金の融通 :十二 郵便業務に係る資金繰りに充てるための資金の融通 <span id="a42">'''第四十二条'''</span> 公社は、前条第四号ロからリまでに掲げる債券を郵便貯金資金をもって取得するときは、次に掲げる場合を除き、応募又は買入れの方法により行わなければならない。 :一 [[勤労者財産形成促進法]](昭和四十六年法律第九十二号)第十二条第一項の資金の調達に応じる場合 :二 郵便貯金法第六十九条の規定により取得する場合 :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十八条の規定により取得する場合 2 公社が金融債、社債、特定社債、外国債又は貸付信託の受益証券(次項及び第五項において「金融債等」という。)に運用する郵便貯金資金の額は、それぞれ、郵便貯金資金の総額の百分の二十に相当する額を超えてはならない。</br> 3 公社は、郵便貯金資金を金融債等に運用する場合には、それぞれ、一の法人の発行する金融債等の十分の五又は一の法人の一回に発行する金融債等の十分の六を超える割合(外国政府等の発行する外国債その他政令で定める外国債に運用する場合にあっては、一の外国政府等又は外国法人の発行する外国債の十分の五を超える割合)の金融債等を取得してはならない。</br> 4 前項の場合において、簡易生命保険資金の金融債に運用する額があるときは、その額を郵便貯金資金の金融債に運用する額に合算し、その合算額につき、同項の規定を適用するものとする。</br> 5 公社が郵便貯金資金をもって取得する金融債等は、それぞれ、利率、担保、償還の方法、期限その他の条件において、公社以外の者の取得に係るものとその種類を同じくするものでなければならない。 <span id="a43">'''第四十三条'''</span> 公社は、第四十一条第十一号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 総務大臣は、前項の認可の申請があった場合において、当該申請に係る利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。</br> 3 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、次に掲げる要件を満たさなければならない。 :一 その運用をすることによって第四十一条第十二号に掲げる方法により運用する郵便貯金資金の額が中期経営計画の第二十四条第四項第二号の限度額を超えないものであること。 :二 その利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであること。 :三 その期間が一年を超えないものであること。 4 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を総務大臣に届け出なければならない。  <span id="a44">(郵便振替資金の運用)</span></br> '''第四十四条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便振替の預り金(郵便振替の日常の払出しに必要な資金を除く。第七十二条第十二号において「郵便振替資金」という。)を運用してはならない。 :一 国債の売買 :二 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a45">(簡易生命保険資金の運用)</span></br> '''第四十五条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、簡易生命保険資金を運用してはならない。 :一 保険契約者に対する貸付け :二 簡易生命保険法第八十八条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 第四十一条第四号から第十二号までに掲げる方法 2 第四十二条(第一項第三号を除く。)及び第四十三条の規定は、簡易生命保険資金について準用する。この場合において、第四十二条第一項第二号中「郵便貯金法第六十九条」とあるのは「簡易生命保険法第八十八条」と、同条第四項中「簡易生命保険資金」とあるのは「郵便貯金資金」と、第四十三条第三項第一号中「第二十四条第四項第二号」とあるのは「第二十四条第四項第三号」と読み替えるものとする。  <span id="a46">(余裕金の運用)</span></br> '''第四十六条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。 :一 国債、地方債、政府保証債その他総務大臣の指定する有価証券の売買 :二 信託会社への金銭信託 :三 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a47">(財産の処分等の制限)</span></br> '''第四十七条''' 公社は、総務省令で定める重要な財産を貸し付け、譲り渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、総務省令で定める場合を除き、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a48">(会計規程)</span></br> '''第四十八条''' 公社は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a49">(総務省令への委任)</span></br> '''第四十九条''' この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、公社の財務及び会計に関し必要な事項は、総務省令で定める。    '''第五章''' 人事管理  <span id="a50">(役員及び職員の身分)</span></br> '''第五十条''' 公社の役員及び職員は、国家公務員とする。  <span id="a51">(役員の報酬等)</span></br> '''第五十一条''' 役員に対する報酬及び退職手当(以下この条において「報酬等」という。)は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、役員に対する報酬等の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の報酬等の支給の基準は、国家公務員の給与、民間事業の役員の報酬等、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。</br> 4 総務大臣は、第二項の規定による届出があったときは、その届出に係る報酬等の支給の基準を審議会等([[国家行政組織法]](昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)に通知するものとする。</br> 5 審議会等は、前項の規定による通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、総務大臣に対し、意見を申し出ることができる。  <span id="a52">(役員の服務)</span></br> '''第五十二条''' 役員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。</br> 2 役員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。</br> 3 役員は、在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。</br> 4 役員(非常勤の者を除く。)は、離職後二年間は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(第七十条第二号において「営利企業」という。)の地位で、公社又はその離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関若しくは[[独立行政法人通則法]](平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならない。ただし、人事院規則の定めるところにより、任命権者の申出により人事院の承認を得た場合は、この限りでない。  <span id="a53">(役員の災害補償)</span></br> '''第五十三条''' 役員の公務上の災害又は通勤による災害に対する補償及び公務上の災害又は通勤による災害を受けた役員に対する福祉事業については、職員の例による。  <span id="a54">(職員の給与)</span></br> '''第五十四条''' 職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、職員の給与の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の給与の支給の基準は、[[一般職の職員の給与に関する法律]](昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間事業の従業員の給与、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。  <span id="a55">(職員の勤務時間等)</span></br> '''第五十五条''' 公社は、職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a56">(運用職員の責務等)</span></br> '''第五十六条''' 郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に係る事務のうち総務省令で定めるものに従事する者として総裁が指定する職員(以下この条において「運用職員」という。)は、それぞれ、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用の重要性を認識し、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。</br> 2 運用職員は、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に関して職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。</br> 3 運用職員が前項の規定に違反した場合においては、当該運用職員の任命権者は、当該運用職員に対し国家公務員法第八十二条の規定による懲戒処分をしなければならない。  <span id="a57">(他の法律の適用除外等)</span></br> 第五十七条 次に掲げる法律の規定は、職員(第三号に掲げる法律の規定にあっては、役員及び職員)については、適用しない。 :一 [[労働者災害補償保険法]](昭和二十二年法律第五十号)の規定 :二 国家公務員法第十八条、第二十八条(第一項前段を除く。)、第二十九条から第三十二条まで、第六十二条から第七十条まで、第七十二条第二項及び第三項、第七十五条第二項並びに第百六条の規定 :三 [[国家公務員宿舎法]](昭和二十四年法律第百十七号)の規定 :四 [[国家公務員の寒冷地手当に関する法律]](昭和二十四年法律第二百号)の規定 :五 一般職の職員の給与に関する法律の規定 :六 [[国家公務員の職階制に関する法律]](昭和二十五年法律第百八十号)の規定 :七 [[国家公務員の育児休業等に関する法律]](平成三年法律第百九号)第五条第二項、第七条の二、第八条及び第十一条の規定 :八 [[一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律]](平成六年法律第三十三号)の規定 :九 [[一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律]](平成十二年法律第百二十五号)第七条から第九条までの規定 2 職員に関する国家公務員法の規定の適用については、同法第二条第六項中「政府」とあり、及び同条第七項中「政府又はその機関」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第六十条第一項中「場合には、人事院の承認を得て」とあるのは「場合には」と、「により人事院の承認を得て」とあるのは「により」と、同法第七十二条第一項中「その所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」と、同法第七十八条第四号中「官制」とあるのは「組織」と、同法第八十条第四項中「給与準則」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第八十一条の二第二項各号中「人事院規則で」とあるのは「日本郵政公社の総裁が」と、同法第八十一条の三第二項中「ときは、人事院の承認を得て」とあるのは「ときは」と、同法第百条第二項中「所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する」とあるのは「日本郵政公社の総裁の許可を要する。退職者についても、同様とする」と、同法第百一条第一項中「政府」とあり、及び同条第二項中「当該官庁」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第百三条第三項中「所轄庁の長」とあり、及び同法第百四条中「内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」とする。</br> 3 職員に関する[[国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律]](昭和四十五年法律第百十七号)第五条及び第六条第三項の規定の適用については、同法第五条第一項中「俸給、扶養手当、調整手当、研究員調整手当、住居手当、期末手当及び期末特別手当のそれぞれ百分の百以内」とあるのは「給与」と、同条第二項中「人事院規則(派遣職員が検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)の適用を受ける職員である場合にあつては、同法第三条第一項に規定する準則)」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第六条第三項中「国は」とあるのは「日本郵政公社は」とする。</br> 4 職員に関する[[労働基準法]](昭和二十二年法律第四十九号)第十二条第三項第四号及び第三十九条第七項の規定の適用については、同法第十二条第三項第四号中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」と、同法第三十九条第七項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第二号」とする。</br> 5 職員に関する[[船員法]](昭和二十二年法律第百号)第七十四条第四項の規定の適用については、同項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」とする。<    '''第六章''' 監督  <span id="a58">(報告及び検査)</span></br> '''第五十八条''' 総務大臣は、この法律、郵便法、郵便貯金法、郵便為替法、郵便振替法、簡易生命保険法、[[軍事郵便貯金等特別処理法]](昭和二十九年法律第百八号)、お年玉付郵便葉書等に関する法律、日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律、郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律、日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律、郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(第五条の規定に限る。)、日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律、郵便切手類販売所等に関する法律、郵政窓口事務の委託に関する法律又は郵便物運送委託法を施行するため必要があると認めるときは、公社に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、公社の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。</br> 2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。</br> 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。  <span id="a59">(権限の委任)</span></br> '''第五十九条''' 総務大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項の規定による立入検査の権限の一部を内閣総理大臣に委任することができる。</br> 2 内閣総理大臣は、前項の委任に基づき、前条第一項の規定により立入検査をしたときは、速やかに、その結果について総務大臣に報告するものとする。</br> 3 内閣総理大臣は、第一項の規定により委任された権限及び前項の規定による権限を金融庁長官に委任する。</br> 4 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。  <span id="a60">(経営改善命令)</span></br> '''第六十条''' 総務大臣は、第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価の結果必要があると認めるとき、その他公社の経営の健全性を確保する上で特に必要があると認めるときは、公社に対し、中期経営目標又は中期経営計画の変更その他経営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a61">(法令違反等の是正命令)</span></br> '''第六十一条''' 総務大臣は、第五十八条第一項の規定により報告をさせ、若しくは検査を行った場合又は第五十九条第二項の規定による報告を受けた場合において、公社の業務又は会計が法令若しくはこれに基づく処分若しくは業務方法書若しくは簡易生命保険責任準備金の算出方法書に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、公社に対し、第五十八条第一項に規定する法律を施行するため必要な限度において、業務方法書の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a62">(報告及び検査等に関する規定の適用)</span></br> '''第六十二条''' 公社が第十九条第二項第十七号に掲げる業務(日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律第五条第一項及び第三項の規定による届出に係る部分に限る。)を行う場合における第五十八条第一項及び前条の規定の適用については、これらの規定中「総務大臣」とあるのは、「内閣総理大臣」とする。この場合においては、同法第六条の規定を準用する。    '''第七章''' 雑則  <span id="a63">(郵政監察官)</span></br> '''第六十三条''' 公社に、郵政監察官を置く。</br> 2 郵政監察官は、郵政事業(公社の行う事業をいう。以下この項及び次項において同じ。)に関する犯罪、非違及び事故に関する調査及び処理その他郵政事業の適正かつ確実な実施の確保に係る職務に従事する公社の役員又は職員のうちから、総務大臣の定める者がその役員又は職員の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議して指名する者をもって充てる。</br> 3 郵政監察官は、郵政事業に対する犯罪について、[[刑事訴訟法]](昭和二十三年法律第百三十一号)に規定する司法警察員の職務を行う。</br> 4 郵政監察官は、被疑者の逮捕を必要とする場合は、警察官である司法警察職員に、これを逮捕させなければならない。</br> 5 警察官である司法警察職員は、前項の規定により逮捕した被疑者を、郵政監察官に引致しなければならない。</br> 6 郵政監察官は、前項の被疑者を受け取った場合又は自ら現行犯人を逮捕した場合において、留置の必要があると思料するときは、これを最寄りの警察署に留置することができる。</br> 7 郵政監察官は、第三項から前項までに規定する職務を行うに当たっては、その身分を証明する証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを示さなければならない。</br> 8 郵政監察官の司法警察員としての職務は、総務大臣が監督する。  <span id="a64">(国会への報告)</span></br> '''第六十四条''' 総務大臣は、第二十四条第一項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、当該認可に係る中期経営目標又は中期経営計画を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。</br> 2 総務大臣は、第三十条第一項の規定による承認をしたときは、遅滞なく、当該承認に係る財務諸表並びに同条第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。  <span id="a65">(経営等に関する情報の公表)</span></br> '''第六十五条''' 公社は、次に掲げる場合には、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 :一 第十二条第二項又は第三項の規定により副総裁又は理事が任命されたとき。 :二 第十五条第一項から第三項までの規定により副総裁又は理事が解任されたとき。 :三 第二十三条第一項、第二十四条第一項又は第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けたとき。 :四 第二十五条、第四十三条第四項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)、第五十一条第二項、第五十四条第二項又は第五十五条の規定による届出をしたとき。 :五 第二十七条第一項の規定により中期経営報告書を提出したとき。 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務省令で定めるところにより、業務及び組織に関する状況その他経営内容に関する情報を公表しなければならない。  <span id="a66">(審議会等への諮問)</span></br> '''第六十六条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、審議会等に諮問しなければならない。 :一 第十九条第四項、第二十二条第二項、第二十三条第一項、第二十四条第一項、第三十三条第一項、第三十八条第一項若しくは第二項、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第二十条第一項又は第二十九条の総務省令を制定し、又は改廃しようとするとき。 :三 第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価を行おうとするとき。 :四 第三十条第一項の規定による承認をしようとするとき。 :五 第六十条第一項の規定による命令をしようとするとき。  <span id="a67">(財務大臣との協議)</span></br> '''第六十七条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、財務大臣に協議しなければならない。 :一 第二十一条、第二十四条第一項、第三十八条第一項から第三項まで、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第四十六条第一号の規定による指定をしようとするとき。  <span id="a68">(他の法令の準用)</span></br> '''第六十八条''' [[旧不動産登記法|不動産登記法]](明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公社を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。  <span id="a69">(経過措置)</span></br> '''第六十九条''' この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。    '''第八章''' 罰則 <span id="a70">'''第七十条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 :一 第五十二条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者 :二 第五十二条第四項の規定に違反して営利企業の地位に就いた者 <span id="a71">'''第七十一条'''</span> 第五十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公社の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。 <span id="a72">'''第七十二条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした公社の役員は、二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。 :一 この法律の規定により総務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。 :二 この法律の規定により総務大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 :三 第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。 :四 第十九条第一項から第三項までに規定する業務以外の業務を行ったとき。 :五 第二十七条第一項の規定による中期経営報告書の提出をせず、又は中期経営報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして中期経営報告書を提出したとき。 :六 第三十条第五項の規定に違反して財務諸表、事業報告書若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備えて置かず、又は閲覧に供しなかったとき。 :七 第三十二条第一項又は第二項の規定に違反して簡易生命保険価格変動準備金を積み立てず、又はこれを取り崩したとき。 :八 第三十四条の規定に違反して簡易生命保険責任準備金を積み立てなかったとき。 :九 第三十五条の規定に違反して簡易生命保険支払備金を積み立てなかったとき。 :十 第四十条第一項の規定に違反して短期借入金をしたとき。 :十一 第四十一条の規定に違反して郵便貯金資金を運用したとき。 :十二 第四十四条の規定に違反して郵便振替資金を運用したとき。 :十三 第四十五条第一項の規定に違反して簡易生命保険資金を運用したとき。 :十四 第四十六条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。 :十五 第六十条第一項又は第六十一条第一項の規定による命令に違反したとき。 :十六 第六十五条第一項又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。 <span id="a73">'''第七十三条'''</span> 第六条の規定に違反して日本郵政公社という名称を用いた者は、十万円以下の過料に処する。 {{附則}}  <span id="b1">(施行期日)</span></br> '''第一条''' この法律は、平成十五年四月一日から施行する。  <span id="b2">(公社の成立)</span></br> '''第二条''' 公社は、この法律の施行の時に成立する。 <div style="text-align:right;"> 内閣総理大臣 小泉純一郎</br> 総務大臣 [[w:片山虎之助|片山虎之助]]</br> 財務大臣 [[w:塩川正十郎|塩川正十郎]] </div> {{PD-JapanGov}} {{DEFAULTSORT:につほんゆうせいこうしやほう}} [[カテゴリ:平成14年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] 9n333pd4e01bk2l17a5se9lwfn0x23u 246581 246577 2026-10-13T07:38:25Z HTDFPC 45275 246581 wikitext text/x-wiki {{header | title = {{PAGENAME}} | year = 2002 | notes = < [[Wikisource:日本の法律]] '''日本郵政公社法'''(にっぽんゆうせいこうしゃほう) * 平成14年法律第97号公布時の原始条文である。 * 公布:平成14年7月31日 * 施行:平成15年4月1日(附則第1条) * 底本: 平成14年7月31日付官報号外第165号 ---- }} __NOTOC__ :日本郵政公社法をここに公布する。 {{御名御璽}}     平成十四年七月三一日 {{Right|[[:w:内閣総理大臣|内閣総理大臣]]  [[w:小泉純一郎|小泉純一郎]]|1em}} '''法律第九十七号''' <div style="margin-left:3em;"> 日本郵政公社法 </div> 目次</br>  第一章 総則(第一条―第七条)</br>  第二章 役員及び理事会並びに職員(第八条―第十八条)</br>  第三章 業務運営</br>   第一節 業務(第十九条―第二十三条)</br>   第二節 中期経営目標等(第二十四条―第二十七条)</br>  第四章 財務及び会計(第二十八条―第四十九条)</br>  第五章 人事管理(第五十条―第五十七条)</br>  第六章 監督(第五十八条―第六十二条)</br>  第七章 雑則(第六十三条―第六十九条)</br>  第八章 罰則(第七十条―第七十三条)</br>  附則</br>    '''第一章''' 総則  <span id="a1">(目的)</span></br> '''第一条''' 日本郵政公社は、[[中央省庁等改革基本法]](平成十年法律第百三号)第三十三条第一項に規定する国営の新たな公社として、独立採算制の下、信書及び小包の送達の役務、簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段並びに簡易に利用できる生命保険を提供する業務、当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的とする。  <span id="a2">(法人格)</span></br> '''第二条''' 日本郵政公社(以下「公社」という。)は、法人とする。  <span id="a3">(事務所)</span></br> '''第三条''' 公社は、主たる事務所を東京都に置く。</br> 2 公社は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。  <span id="a4">(資本金)</span></br> '''第四条''' 公社の資本金は、別に法律で定めるところにより政府から出資があったものとされた金額とする。  <span id="a5">(登記)</span></br> '''第五条''' 公社は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。</br> 2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。  <span id="a6">(名称の使用制限)</span></br> '''第六条''' 公社でない者は、日本郵政公社という名称を用いてはならない。  <span id="a7">(民法の準用)</span></br> '''第七条''' [[民法 (日本)|民法]](明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、公社について準用する。    '''第二章''' 役員及び理事会並びに職員  <span id="a8">(役員)</span></br> '''第八条''' 公社に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事十六人以内及び監事三人以内を置く。  <span id="a9">(理事会の設置及び任務)</span></br> '''第九条''' 公社に、理事会を置く。</br> 2 理事会は、総裁、副総裁及び理事をもって組織する。</br> 3 理事会は、この法律の規定により総務大臣の認可(第十二条第二項及び第十五条第四項の認可を除く。)又は承認(第五十二条第三項の承認を除く。)を受けなければならない事項その他理事会が特に必要と認める重要事項を審議し、決定する。  <span id="a10">(理事会の会議)</span></br> '''第十条''' 理事会は、総裁が招集する。</br> 2 総裁は、理事会の議長となり、会務を総理する。</br> 3 理事会は、総裁、副総裁及び理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。</br> 4 理事会の議事は、出席した総裁、副総裁及び理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。  <span id="a11">(役員の職務及び権限)</span></br> '''第十一条''' 総裁は、公社を代表し、その業務を総理する。</br> 2 副総裁は、総裁の定めるところにより、公社を代表し、総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 3 理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して公社の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。</br> 4 監事は、公社の業務を監査する。</br> 5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総務大臣に意見を提出することができる。  <span id="a12">(役員の任命)</span></br> '''第十二条''' 総裁及び監事は、総務大臣が任命する。</br> 2 副総裁は、総裁が総務大臣の認可を受けて任命する。</br> 3 理事は、総裁が任命する。</br> 4 理事のうち三人以上及び監事のうち一人以上は、その就任の前五年間社内者等(公社の役員若しくは職員又は政府の職員(非常勤の者を除く。)をいう。次条第二項において同じ。)でなかった者でなければならない。  <span id="a13">(役員の任期)</span></br> '''第十三条''' 総裁及び副総裁の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。</br> 2 役員は、再任されることができる。この場合において、当該役員がその最初の就任の前五年間社内者等でなかったときは、前条第四項の規定の適用については、その再任の前五年間社内者等でなかったものとみなす。  <span id="a14">(役員の欠格条項)</span></br> '''第十四条''' 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。  <span id="a15">(役員の解任)</span></br> '''第十五条''' 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。</br> 2 総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。 :一 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。 :二 職務上の義務違反があるとき。 3 前項に規定するもののほか、総務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でないため公社の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。</br> 4 総裁は、前二項の規定により副総裁を解任しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。</br> 5 総務大臣は、副総裁又は理事が第二項又は第三項に規定する事由に該当すると認めるときは、総裁に対し、その役員の解任を命ずることができる。  <span id="a16">(代表権の制限)</span></br> '''第十六条''' 公社と総裁又は副総裁との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公社を代表する。  <span id="a17">(代理人の選任)</span></br> '''第十七条''' 総裁及び副総裁は、理事又は公社の職員のうちから、公社の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。  <span id="a18">(職員の任命)</span></br> '''第十八条''' 公社の職員は、総裁が任命する。    '''第三章''' 業務運営     '''第一節''' 業務  <span id="a19">(業務の範囲)</span></br> '''第十九条''' 公社は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。 :一 [[郵便法]](昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により郵便の業務を行うこと。 :二 [[郵便貯金法]](昭和二十二年法律第百四十四号)の規定により郵便貯金の業務を行うこと。 :三 [[郵便為替法]](昭和二十三年法律第五十九号)の規定により郵便為替の業務を行うこと。 :四 [[郵便振替法]](昭和二十三年法律第六十号)の規定により郵便振替の業務を行うこと。 :五 [[簡易生命保険法]](昭和二十四年法律第六十八号)の規定により簡易生命保険の業務を行うこと。 :六 国の委託を受けて、印紙の売りさばきを行うこと。 :七 国の委託を受けて、恩給その他の国庫金の支払を行うこと。 :八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 2 公社は、前項に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。 :一 [[お年玉付郵便葉書等に関する法律]](昭和二十四年法律第二百二十四号)第一条第一項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第五条第一項に規定する寄附金付郵便葉書等を発行すること。 :二 郵便貯金法第四条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :三 [[日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律]](昭和六十二年法律第三十八号)第三条に規定する業務を行うこと。 :四 [[郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成二年法律第七十二号)第二条第一項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :五 [[日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律]](平成三年法律第三十七号)第一条に規定する外国通貨の両替及び旅行小切手の売買を行うこと。 :六 [[郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律]](平成八年法律第七十二号)第二条第二項の規定により委託された寄附金の処理を行うこと。 :七 [[確定拠出年金法]](平成十三年法律第八十八号)第二条第七項に規定する確定拠出年金運営管理業(同条第三項に規定する個人型年金に係るものに限る。)を行うこと。 :八 簡易生命保険法第百一条第一項に規定する施設の設置及び運営を行うこと。 :九 日本銀行の委託を受けて、国庫金の取扱いを行うこと。 :十 国家公務員共済組合連合会の委託を受けて、国家公務員共済組合連合会が支給する年金及び一時金の支払に関する事務を行うこと。 :十一 [[当せん金付証票法]](昭和二十三年法律第百四十四号)第六条第五項に規定する受託銀行等の再委託を受けて、当せん金付証票の売りさばき及び当せん金品の支払又は交付に関する事務を行うこと。 :十二 国民生活金融公庫の委託を受けて、[[国民生活金融公庫法]](昭和二十四年法律第四十九号)第十八条の二第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十三 沖縄振興開発金融公庫の委託を受けて、[[沖縄振興開発金融公庫法]](昭和四十七年法律第三十一号)第二十条第二項に規定する貸付けの申込みの受理及び貸付金の交付に関する業務を行うこと。 :十四 [[郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律]](平成十年法律第七十八号)第二条第一項に規定する金融機関の委託を受けて、同法第四条第一項に規定する金融機関預金受払事務を行うこと。 :十五 国民年金基金連合会の委託を受けて、確定拠出年金法第六十一条第一項に規定する事務を行うこと。 :十六 [[地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律]](平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務を行うことその他委託を受けて地方公共団体の事務を行うこと。 :十七 [[日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律]](平成十二年法律第六十九号)第二条第一項に規定する損害保険会社等の委託を受けて、同条第二項に規定する原動機付自転車等責任保険募集の取扱いを行うこと。 :十八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 3 公社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、[[電気通信事業法]](昭和五十九年法律第八十六号)附則第五条第一項に規定する国際電信電話株式会社又は日本放送協会の委託を受けて、地域住民の利便の増進に資する業務を行うことができる。</br> 4 公社は、前項に規定する業務を行おうとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a20">(郵便局)</span></br> '''第二十条''' 公社は、前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務を行うため、総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。</br> 2 前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。  <span id="a21">(出資)</span></br> '''第二十一条''' 公社は、第十九条第一項第一号に掲げる業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる。  <span id="a22">(業務の委託)</span></br> '''第二十二条''' 公社は、次に掲げる法律の定めるところにより、その業務の一部を委託することができる。 :一 郵便法 :二 [[郵便切手類販売所等に関する法律]](昭和二十四年法律第九十一号) :三 [[郵政窓口事務の委託に関する法律]](昭和二十四年法律第二百十三号) :四 [[郵便物運送委託法]](昭和二十四年法律第二百八十四号) :五 郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務大臣の認可を受けて定める基準に従って、第十九条第二項第二号及び第八号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務の一部を委託することができる。  <span id="a23">(業務方法書)</span></br> '''第二十三条''' 公社は、業務開始の際、業務方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。     '''第二節''' 中期経営目標等  <span id="a24">(中期経営目標及び中期経営計画)</span></br> '''第二十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、四年ごとに、その目標を定める年の翌年の四月一日以降四年を一期とする経営に関する具体的な目標(以下「中期経営目標」という。)及び当該中期経営目標を達成するための計画(以下「中期経営計画」という。)を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 中期経営目標においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 経営の健全性の確保に関する事項 :二 その他業務運営に関する重要事項 3 中期経営計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 :一 事業計画 :二 予算 :三 資金計画 :四 郵便貯金の預り金(郵便貯金の利子を含み、日常の払戻しに必要な資金を除く。以下「郵便貯金資金」という。)の運用計画 :五 簡易生命保険業務(第十九条第一項第五号並びに同条第二項第八号及び第十七号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。以下この条及び第三十条第二項において同じ。)に係る収入のうち簡易生命保険業務に係る支出に充てられていないもの(簡易生命保険業務に係る日常の支出に必要な資金を除く。以下「簡易生命保険資金」という。)の運用計画 4 前項第二号の予算においては、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。 :一 短期借入金の限度額 :二 郵便業務(第十九条第一項第一号及び第六号並びに同条第二項第一号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務並びに同条第三項に規定する業務をいう。以下同じ。)に係る資金繰りに充てるための郵便貯金資金の融通の限度額 :三 郵便業務に係る資金繰りに充てるための簡易生命保険資金の融通の限度額 5 第三項第四号の郵便貯金資金の運用計画は、郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)を行う事業の経営の健全性の確保を目的とし、市場に及ぼす影響を少なくしつつ、確実で有利な運用となるように定めなければならない。</br> 6 前項の規定は、第三項第五号の簡易生命保険資金の運用計画について準用する。この場合において、前項中「郵便貯金業務(第十九条第一項第二号から第四号まで及び第七号並びに同条第二項第二号から第七号まで及び第九号から第十六号までに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務をいう。第八項及び第三十条第二項において同じ。)」とあるのは、「簡易生命保険業務」と読み替えるものとする。</br> 7 中期経営計画には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 :一 当該中期経営計画に係る期間の収益及び費用の見通しに関する書類 :二 当該中期経営計画に係る期間の終了時における資産及び負債の見通しに関する書類 :三 その他当該中期経営計画の参考となる書類 8 第三項第二号の予算、同項第三号の資金計画並びに前項第一号及び第二号に掲げる書類においては、それぞれ、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。   <span id="a25">(年度経営計画)</span></br> '''第二十五条''' 公社は、毎事業年度の開始前に、前条第一項の認可を受けた中期経営計画に基づき、総務省令で定めるところにより、その事業年度の経営に関する計画を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。   <span id="a26">(各事業年度に係る業績評価)</span></br> '''第二十六条''' 総務大臣は、公社の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。  <span id="a27">(中期経営目標に係る業績評価)</span></br> '''第二十七条''' 公社は、第二十四条第一項の認可を受けた中期経営目標に係る期間の終了後三月以内に、総務省令で定めるところにより、当該中期経営目標の達成状況に関する報告書(以下「中期経営報告書」という。)を総務大臣に提出しなければならない。</br> 2 総務大臣は、前項の公社の中期経営目標の達成状況について、評価を行わなければならない。</br> 3 総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。    '''第四章''' 財務及び会計  <span id="a28">(事業年度)</span></br> '''第二十八条''' 公社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。  <span id="a29">(企業会計原則)</span></br> '''第二十九条''' 公社の会計は、総務省令で定めるところにより、企業会計原則によるものとする。  <span id="a30">(財務諸表等)</span></br> '''第三十条''' 公社は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他総務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に総務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。</br> 2 財務諸表(貸借対照表、損益計算書その他の総務省令で定める書類に限る。)においては、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。</br> 3 公社は、第一項の規定により財務諸表を総務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書を添え、並びに財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)に関する監事及び会計監査人の意見を付けなければならない。</br> 4 前項の事業報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 :一 業務の実施状況 :二 郵便局の設置、移転及び廃止の状況 :三 常時勤務に服することを要する職員([[国家公務員法]](昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条又は第八十二条の規定による休職又は停職の処分を受けた者、法令の規定により職務に専念する義務を免除された者その他の常時勤務に服することを要しない職員で総務省令で定めるものを含む。)の数 :四 郵便貯金資金の運用の実績 :五 簡易生命保険資金の運用の実績 :六 その他総務省令で定める事項 5 公社は、第一項の規定による総務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、総務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。  <span id="a31">(会計監査人の監査等)</span></br> '''第三十一条''' 公社は、財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。</br> 2 会計監査人は、総務大臣が選任する。</br> 3 会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての総務大臣の前条第一項の承認の時までとする。</br> 4 総務大臣は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。 :一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。 :二 会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。 :三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。 5 [[株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律]](昭和四十九年法律第二十二号)第四条(第二項第二号を除く。)の規定は、第一項の会計監査人について準用する。この場合において、同条第二項第一号中「第二条第一項」とあるのは、「日本郵政公社法第三十一条第一項」と読み替えるものとする。  <span id="a32">(簡易生命保険価格変動準備金)</span></br> '''第三十二条''' 公社は、毎事業年度末において、その所有する有価証券その他の価格変動による損失が生じ得るものとして総務省令で定める資産(簡易生命保険資金の運用に係るものに限る。次項において「有価証券等」という。)について、総務省令で定めるところにより計算した金額を簡易生命保険価格変動準備金として積み立てなければならない。ただし、その全部又は一部の金額について積立てをしないことについて総務大臣の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。</br> 2 前項の準備金は、有価証券等の売買等による損失(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による損失並びに償還損をいう。)の額が有価証券等の売買等による利益(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による利益並びに償還益をいう。)の額を超える場合においてその差額のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩してはならない。ただし、総務大臣の認可を受けたときは、この限りでない。  <span id="a33">(簡易生命保険責任準備金の算出方法書)</span></br> '''第三十三条''' 公社は、業務関係の際、簡易生命保険責任準備金の算出方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 前項の算出方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。  <span id="a34">(簡易生命保険責任準備金)</span></br> '''第三十四条''' 公社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度末において、簡易生命保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、簡易生命保険責任準備金を積み立てなければならない。  <span id="a35">(簡易生命保険支払備金)</span></br> '''第三十五条''' 公社は、毎事業年度末において、保険金、年金、還付金その他の給付金(以下この条において「保険金等」という。)で、簡易生命保険契約に基づいて支払義務が発生したものその他これに準ずるものとして総務省令で定めるものがある場合において、保険金等の支出として計上していないものがあるときは、総務省令で定めるところにより、簡易生命保険支払備金を積み立てなければならない。  <span id="a36">(利益及び損失の処理)</span></br> '''第三十六条''' 公社は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。</br> 2 公社は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。  <span id="a36">(国庫納付金)</span></br> '''第三十七条''' 公社は、第二十四条第一項に規定する中期経営計画に係る期間(以下この条において「中期経営計画の期間」という。)の最後の事業年度に係る前条第一項又は第二項の規定による整理(以下この条において「整理」という。)を行った後、公社の経営の健全性を確保するため必要な額として政令で定めるところにより計算した額(以下この条において「基準額」という。)を超える額の積立金(前条第一項の規定による積立金をいう。以下この条において同じ。)がある場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める金額について政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付するものとする。 :一 当該中期経営計画の期間(以下この条において「当該期間」という。)の直前の中期経営計画の期間(次号において「前期間」という。)の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超えないとき又は当該期間が最初の中期経営計画の期間であるとき 当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額に相当する金額 :二 前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金の額が基準額を超える場合であって、当該期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額が前期間の最後の事業年度に係る整理を行った後の積立金のうち基準額を超える部分の額(当該前期間の最後の事業年度においてこの条の規定により国に納付した場合にあっては、その納付した額を控除した残額)を超えるとき その超える額に相当する金額  <span id="a38">(長期借入金及び日本郵政公社債券)</span></br> '''第三十八条''' 公社は、その施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。</br> 2 前項に規定するもののほか、公社は、長期借入金又は日本郵政公社債券で政令で定めるものの償還に充てるため、総務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は日本郵政公社債券を発行することができる。ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。</br> 3 公社は、総務大臣の認可を受けて、日本郵政公社債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。</br> 4 [[商法]](明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。</br> 5 前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は日本郵政公社債券に関し必要な事項は、政令で定める。  <span id="a39">(償還計画)</span></br> '''第三十九条''' 公社は、毎事業年度、長期借入金及び日本郵政公社債券の償還計画を立てて、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a39">(短期借入金)</span></br> '''第四十条''' 公社は、資金繰りのため必要があるときは、中期経営計画の第二十四条第四項第一号の短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができる。</br> 2 前項の規定による短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。  <span id="a40">(郵便貯金資金の運用)</span></br> '''第四十一条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便貯金資金を運用してはならない。 :一 郵便貯金法第六十四条の規定による預金者に対する貸付け :二 郵便貯金法第六十九条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十二条の規定による貸付け :四 次に掲げる有価証券等の売買 ::イ 国債(証券取引所が、定款の定めるところにより、国債について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。) ::ロ 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経、又は承認を得なければならない法人の発行する債券 ::ハ 地方債 ::ニ 特別の法律により設立された法人(ロに規定する法人を除く。)で、国、ロに規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行することができるものの発行する債券 ::ホ 銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫又は全国を地区とする信用金庫連合会(次号及び第六号において「金融機関」という。)の発行する債券(次条第二項及び第四項において「金融債」という。) ::ヘ 社債で政令で定めるもの ::ト 特定社債([[資産の流動化に関する法律]](平成十年法律第百五号)第二条第七項に規定する特定社債をいう。次条第二項において同じ。)で政令で定めるもの ::チ 政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。第四十六条第一号において同じ。)のうちロからトまでに掲げる債券に該当するもの以外のもの ::リ 外国政府、外国の地方公共団体又は国際機関(ヲ及び次条第三項において「外国政府等」という。)の発行する債券その他外国法人の発行する政令で定める債券(証券取引所が、定款の定めるところにより、外国政府の発行する債券について、債券先物取引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む。次条第二項及び第三項において「外国債」という。) ::ヌ 貸付信託の受益証券 ::ル 法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形で総務省令で定めるもの ::ヲ 外国政府等又は外国法人の発行する証券又は証書でルに規定する約束手形の性質を有するもの :五 金融機関への預金 :六 第四号に掲げる方法により取得した債券であって政令で定めるものの金融機関その他政令で定める法人に対する貸付け :七 債券オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において債券(第四号イ及びリに規定する標準物を含む。)の売買取引を成立させることができる権利又はこれに類する権利であって、政令で定めるものをいう。)の取得又は付与 :八 先物外国為替(外国通貨をもって表示される支払手段であって、その売買契約に基づく債権の発生、変更又は消滅に係る取引を当該売買の契約日後の一定の時期に一定の外国為替相場により実行する取引(金融先物取引所の開設する市場において行われる取引又はこれに類する取引であって、政令で定めるものに該当するものを除く。)の対象となるものをいう。)の売買 :九 通貨オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において外国通貨をもって表示される支払手段の売買取引(前号の政令で定める取引に該当するものを除く。)を成立させることができる権利をいう。)の取得又は付与 :十 信託会社(信託業務を営む銀行を含む。第四十六条第二号において同じ。)への信託。ただし、運用方法を特定するものにあっては、第四号から前号までに掲げる方法により運用するものに限る。 :十一 郵便業務の用に供する施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるための資金の融通 :十二 郵便業務に係る資金繰りに充てるための資金の融通 <span id="a42">'''第四十二条'''</span> 公社は、前条第四号ロからリまでに掲げる債券を郵便貯金資金をもって取得するときは、次に掲げる場合を除き、応募又は買入れの方法により行わなければならない。 :一 [[勤労者財産形成促進法]](昭和四十六年法律第九十二号)第十二条第一項の資金の調達に応じる場合 :二 郵便貯金法第六十九条の規定により取得する場合 :三 日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律第十八条の規定により取得する場合 2 公社が金融債、社債、特定社債、外国債又は貸付信託の受益証券(次項及び第五項において「金融債等」という。)に運用する郵便貯金資金の額は、それぞれ、郵便貯金資金の総額の百分の二十に相当する額を超えてはならない。</br> 3 公社は、郵便貯金資金を金融債等に運用する場合には、それぞれ、一の法人の発行する金融債等の十分の五又は一の法人の一回に発行する金融債等の十分の六を超える割合(外国政府等の発行する外国債その他政令で定める外国債に運用する場合にあっては、一の外国政府等又は外国法人の発行する外国債の十分の五を超える割合)の金融債等を取得してはならない。</br> 4 前項の場合において、簡易生命保険資金の金融債に運用する額があるときは、その額を郵便貯金資金の金融債に運用する額に合算し、その合算額につき、同項の規定を適用するものとする。</br> 5 公社が郵便貯金資金をもって取得する金融債等は、それぞれ、利率、担保、償還の方法、期限その他の条件において、公社以外の者の取得に係るものとその種類を同じくするものでなければならない。 <span id="a43">'''第四十三条'''</span> 公社は、第四十一条第十一号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。</br> 2 総務大臣は、前項の認可の申請があった場合において、当該申請に係る利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。</br> 3 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用しようとするときは、その金額、利率及び期間について、次に掲げる要件を満たさなければならない。 :一 その運用をすることによって第四十一条第十二号に掲げる方法により運用する郵便貯金資金の額が中期経営計画の第二十四条第四項第二号の限度額を超えないものであること。 :二 その利率が国債の利回りその他の市場金利に即したものであること。 :三 その期間が一年を超えないものであること。 4 公社は、第四十一条第十二号に掲げる方法により郵便貯金資金を運用したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を総務大臣に届け出なければならない。  <span id="a44">(郵便振替資金の運用)</span></br> '''第四十四条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、郵便振替の預り金(郵便振替の日常の払出しに必要な資金を除く。第七十二条第十二号において「郵便振替資金」という。)を運用してはならない。 :一 国債の売買 :二 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a45">(簡易生命保険資金の運用)</span></br> '''第四十五条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、簡易生命保険資金を運用してはならない。 :一 保険契約者に対する貸付け :二 簡易生命保険法第八十八条の規定による地方公共団体に対する貸付け :三 第四十一条第四号から第十二号までに掲げる方法 2 第四十二条(第一項第三号を除く。)及び第四十三条の規定は、簡易生命保険資金について準用する。この場合において、第四十二条第一項第二号中「郵便貯金法第六十九条」とあるのは「簡易生命保険法第八十八条」と、同条第四項中「簡易生命保険資金」とあるのは「郵便貯金資金」と、第四十三条第三項第一号中「第二十四条第四項第二号」とあるのは「第二十四条第四項第三号」と読み替えるものとする。  <span id="a46">(余裕金の運用)</span></br> '''第四十六条''' 公社は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。 :一 国債、地方債、政府保証債その他総務大臣の指定する有価証券の売買 :二 信託会社への金銭信託 :三 第四十一条第五号に掲げる方法  <span id="a47">(財産の処分等の制限)</span></br> '''第四十七条''' 公社は、総務省令で定める重要な財産を貸し付け、譲り渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、総務省令で定める場合を除き、総務大臣の認可を受けなければならない。  <span id="a48">(会計規程)</span></br> '''第四十八条''' 公社は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a49">(総務省令への委任)</span></br> '''第四十九条''' この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、公社の財務及び会計に関し必要な事項は、総務省令で定める。    '''第五章''' 人事管理  <span id="a50">(役員及び職員の身分)</span></br> '''第五十条''' 公社の役員及び職員は、国家公務員とする。  <span id="a51">(役員の報酬等)</span></br> '''第五十一条''' 役員に対する報酬及び退職手当(以下この条において「報酬等」という。)は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、役員に対する報酬等の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の報酬等の支給の基準は、国家公務員の給与、民間事業の役員の報酬等、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。</br> 4 総務大臣は、第二項の規定による届出があったときは、その届出に係る報酬等の支給の基準を審議会等([[国家行政組織法]](昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)に通知するものとする。</br> 5 審議会等は、前項の規定による通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、総務大臣に対し、意見を申し出ることができる。  <span id="a52">(役員の服務)</span></br> '''第五十二条''' 役員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。</br> 2 役員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。</br> 3 役員は、在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。</br> 4 役員(非常勤の者を除く。)は、離職後二年間は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(第七十条第二号において「営利企業」という。)の地位で、公社又はその離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関若しくは[[独立行政法人通則法]](平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならない。ただし、人事院規則の定めるところにより、任命権者の申出により人事院の承認を得た場合は、この限りでない。  <span id="a53">(役員の災害補償)</span></br> '''第五十三条''' 役員の公務上の災害又は通勤による災害に対する補償及び公務上の災害又は通勤による災害を受けた役員に対する福祉事業については、職員の例による。  <span id="a54">(職員の給与)</span></br> '''第五十四条''' 職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。</br> 2 公社は、職員の給与の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。</br> 3 前項の給与の支給の基準は、[[一般職の職員の給与に関する法律]](昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間事業の従業員の給与、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならない。  <span id="a55">(職員の勤務時間等)</span></br> '''第五十五条''' 公社は、職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。  <span id="a56">(運用職員の責務等)</span></br> '''第五十六条''' 郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に係る事務のうち総務省令で定めるものに従事する者として総裁が指定する職員(以下この条において「運用職員」という。)は、それぞれ、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用の重要性を認識し、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。</br> 2 運用職員は、郵便貯金資金又は簡易生命保険資金の運用に関して職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。</br> 3 運用職員が前項の規定に違反した場合においては、当該運用職員の任命権者は、当該運用職員に対し国家公務員法第八十二条の規定による懲戒処分をしなければならない。  <span id="a57">(他の法律の適用除外等)</span></br> 第五十七条 次に掲げる法律の規定は、職員(第三号に掲げる法律の規定にあっては、役員及び職員)については、適用しない。 :一 [[労働者災害補償保険法]](昭和二十二年法律第五十号)の規定 :二 国家公務員法第十八条、第二十八条(第一項前段を除く。)、第二十九条から第三十二条まで、第六十二条から第七十条まで、第七十二条第二項及び第三項、第七十五条第二項並びに第百六条の規定 :三 [[国家公務員宿舎法]](昭和二十四年法律第百十七号)の規定 :四 [[国家公務員の寒冷地手当に関する法律]](昭和二十四年法律第二百号)の規定 :五 一般職の職員の給与に関する法律の規定 :六 [[国家公務員の職階制に関する法律]](昭和二十五年法律第百八十号)の規定 :七 [[国家公務員の育児休業等に関する法律]](平成三年法律第百九号)第五条第二項、第七条の二、第八条及び第十一条の規定 :八 [[一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律]](平成六年法律第三十三号)の規定 :九 [[一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律]](平成十二年法律第百二十五号)第七条から第九条までの規定 2 職員に関する国家公務員法の規定の適用については、同法第二条第六項中「政府」とあり、及び同条第七項中「政府又はその機関」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第六十条第一項中「場合には、人事院の承認を得て」とあるのは「場合には」と、「により人事院の承認を得て」とあるのは「により」と、同法第七十二条第一項中「その所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」と、同法第七十八条第四号中「官制」とあるのは「組織」と、同法第八十条第四項中「給与準則」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第八十一条の二第二項各号中「人事院規則で」とあるのは「日本郵政公社の総裁が」と、同法第八十一条の三第二項中「ときは、人事院の承認を得て」とあるのは「ときは」と、同法第百条第二項中「所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する」とあるのは「日本郵政公社の総裁の許可を要する。退職者についても、同様とする」と、同法第百一条第一項中「政府」とあり、及び同条第二項中「当該官庁」とあるのは「日本郵政公社」と、同法第百三条第三項中「所轄庁の長」とあり、及び同法第百四条中「内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長」とあるのは「日本郵政公社の総裁」とする。</br> 3 職員に関する[[国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律]](昭和四十五年法律第百十七号)第五条及び第六条第三項の規定の適用については、同法第五条第一項中「俸給、扶養手当、調整手当、研究員調整手当、住居手当、期末手当及び期末特別手当のそれぞれ百分の百以内」とあるのは「給与」と、同条第二項中「人事院規則(派遣職員が検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)の適用を受ける職員である場合にあつては、同法第三条第一項に規定する準則)」とあるのは「日本郵政公社法第五十四条第二項に規定する給与の支給の基準」と、同法第六条第三項中「国は」とあるのは「日本郵政公社は」とする。</br> 4 職員に関する[[労働基準法]](昭和二十二年法律第四十九号)第十二条第三項第四号及び第三十九条第七項の規定の適用については、同法第十二条第三項第四号中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」と、同法第三十九条第七項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第二号」とする。</br> 5 職員に関する[[船員法]](昭和二十二年法律第百号)第七十四条第四項の規定の適用については、同項中「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号」とあるのは「国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」とする。<    '''第六章''' 監督  <span id="a58">(報告及び検査)</span></br> '''第五十八条''' 総務大臣は、この法律、郵便法、郵便貯金法、郵便為替法、郵便振替法、簡易生命保険法、[[軍事郵便貯金等特別処理法]](昭和二十九年法律第百八号)、お年玉付郵便葉書等に関する法律、日本郵政公社による国債等の募集の取扱い等に関する法律、郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律、日本郵政公社による外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律、郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(第五条の規定に限る。)、日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律、郵便切手類販売所等に関する法律、郵政窓口事務の委託に関する法律又は郵便物運送委託法を施行するため必要があると認めるときは、公社に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、公社の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。</br> 2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。</br> 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。  <span id="a59">(権限の委任)</span></br> '''第五十九条''' 総務大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項の規定による立入検査の権限の一部を内閣総理大臣に委任することができる。</br> 2 内閣総理大臣は、前項の委任に基づき、前条第一項の規定により立入検査をしたときは、速やかに、その結果について総務大臣に報告するものとする。</br> 3 内閣総理大臣は、第一項の規定により委任された権限及び前項の規定による権限を金融庁長官に委任する。</br> 4 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。  <span id="a60">(経営改善命令)</span></br> '''第六十条''' 総務大臣は、第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価の結果必要があると認めるとき、その他公社の経営の健全性を確保する上で特に必要があると認めるときは、公社に対し、中期経営目標又は中期経営計画の変更その他経営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a61">(法令違反等の是正命令)</span></br> '''第六十一条''' 総務大臣は、第五十八条第一項の規定により報告をさせ、若しくは検査を行った場合又は第五十九条第二項の規定による報告を受けた場合において、公社の業務又は会計が法令若しくはこれに基づく処分若しくは業務方法書若しくは簡易生命保険責任準備金の算出方法書に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、公社に対し、第五十八条第一項に規定する法律を施行するため必要な限度において、業務方法書の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。</br> 2 総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。  <span id="a62">(報告及び検査等に関する規定の適用)</span></br> '''第六十二条''' 公社が第十九条第二項第十七号に掲げる業務(日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律第五条第一項及び第三項の規定による届出に係る部分に限る。)を行う場合における第五十八条第一項及び前条の規定の適用については、これらの規定中「総務大臣」とあるのは、「内閣総理大臣」とする。この場合においては、同法第六条の規定を準用する。    '''第七章''' 雑則  <span id="a63">(郵政監察官)</span></br> '''第六十三条''' 公社に、郵政監察官を置く。</br> 2 郵政監察官は、郵政事業(公社の行う事業をいう。以下この項及び次項において同じ。)に関する犯罪、非違及び事故に関する調査及び処理その他郵政事業の適正かつ確実な実施の確保に係る職務に従事する公社の役員又は職員のうちから、総務大臣の定める者がその役員又は職員の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議して指名する者をもって充てる。</br> 3 郵政監察官は、郵政事業に対する犯罪について、[[刑事訴訟法]](昭和二十三年法律第百三十一号)に規定する司法警察員の職務を行う。</br> 4 郵政監察官は、被疑者の逮捕を必要とする場合は、警察官である司法警察職員に、これを逮捕させなければならない。</br> 5 警察官である司法警察職員は、前項の規定により逮捕した被疑者を、郵政監察官に引致しなければならない。</br> 6 郵政監察官は、前項の被疑者を受け取った場合又は自ら現行犯人を逮捕した場合において、留置の必要があると思料するときは、これを最寄りの警察署に留置することができる。</br> 7 郵政監察官は、第三項から前項までに規定する職務を行うに当たっては、その身分を証明する証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを示さなければならない。</br> 8 郵政監察官の司法警察員としての職務は、総務大臣が監督する。  <span id="a64">(国会への報告)</span></br> '''第六十四条''' 総務大臣は、第二十四条第一項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、当該認可に係る中期経営目標又は中期経営計画を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。</br> 2 総務大臣は、第三十条第一項の規定による承認をしたときは、遅滞なく、当該承認に係る財務諸表並びに同条第三項の事業報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面を添えて、その旨を国会に報告しなければならない。  <span id="a65">(経営等に関する情報の公表)</span></br> '''第六十五条''' 公社は、次に掲げる場合には、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 :一 第十二条第二項又は第三項の規定により副総裁又は理事が任命されたとき。 :二 第十五条第一項から第三項までの規定により副総裁又は理事が解任されたとき。 :三 第二十三条第一項、第二十四条第一項又は第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けたとき。 :四 第二十五条、第四十三条第四項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)、第五十一条第二項、第五十四条第二項又は第五十五条の規定による届出をしたとき。 :五 第二十七条第一項の規定により中期経営報告書を提出したとき。 2 公社は、前項に定めるもののほか、総務省令で定めるところにより、業務及び組織に関する状況その他経営内容に関する情報を公表しなければならない。  <span id="a66">(審議会等への諮問)</span></br> '''第六十六条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、審議会等に諮問しなければならない。 :一 第十九条第四項、第二十二条第二項、第二十三条第一項、第二十四条第一項、第三十三条第一項、第三十八条第一項若しくは第二項、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第二十条第一項又は第二十九条の総務省令を制定し、又は改廃しようとするとき。 :三 第二十六条第一項又は第二十七条第二項の規定による評価を行おうとするとき。 :四 第三十条第一項の規定による承認をしようとするとき。 :五 第六十条第一項の規定による命令をしようとするとき。  <span id="a67">(財務大臣との協議)</span></br> '''第六十七条''' 総務大臣は、次に掲げる場合には、財務大臣に協議しなければならない。 :一 第二十一条、第二十四条第一項、第三十八条第一項から第三項まで、第三十九条、第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による認可をしようとするとき。 :二 第四十六条第一号の規定による指定をしようとするとき。  <span id="a68">(他の法令の準用)</span></br> '''第六十八条''' [[旧不動産登記法|不動産登記法]](明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公社を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。  <span id="a69">(経過措置)</span></br> '''第六十九条''' この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。    '''第八章''' 罰則 <span id="a70">'''第七十条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 :一 第五十二条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者 :二 第五十二条第四項の規定に違反して営利企業の地位に就いた者 <span id="a71">'''第七十一条'''</span> 第五十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公社の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。 <span id="a72">'''第七十二条'''</span> 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした公社の役員は、二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。 :一 この法律の規定により総務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。 :二 この法律の規定により総務大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 :三 第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。 :四 第十九条第一項から第三項までに規定する業務以外の業務を行ったとき。 :五 第二十七条第一項の規定による中期経営報告書の提出をせず、又は中期経営報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして中期経営報告書を提出したとき。 :六 第三十条第五項の規定に違反して財務諸表、事業報告書若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備えて置かず、又は閲覧に供しなかったとき。 :七 第三十二条第一項又は第二項の規定に違反して簡易生命保険価格変動準備金を積み立てず、又はこれを取り崩したとき。 :八 第三十四条の規定に違反して簡易生命保険責任準備金を積み立てなかったとき。 :九 第三十五条の規定に違反して簡易生命保険支払備金を積み立てなかったとき。 :十 第四十条第一項の規定に違反して短期借入金をしたとき。 :十一 第四十一条の規定に違反して郵便貯金資金を運用したとき。 :十二 第四十四条の規定に違反して郵便振替資金を運用したとき。 :十三 第四十五条第一項の規定に違反して簡易生命保険資金を運用したとき。 :十四 第四十六条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。 :十五 第六十条第一項又は第六十一条第一項の規定による命令に違反したとき。 :十六 第六十五条第一項又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。 <span id="a73">'''第七十三条'''</span> 第六条の規定に違反して日本郵政公社という名称を用いた者は、十万円以下の過料に処する。 {{附則}}  <span id="b1">(施行期日)</span></br> '''第一条''' この法律は、平成十五年四月一日から施行する。  <span id="b2">(公社の成立)</span></br> '''第二条''' 公社は、この法律の施行の時に成立する。 <div style="text-align:right;"> 内閣総理大臣 小泉純一郎</br> 総務大臣 [[w:片山虎之助|片山虎之助]]</br> 財務大臣 [[w:塩川正十郎|塩川正十郎]] </div> {{PD-JapanGov}} {{DEFAULTSORT:につほんゆうせいこうしやほう}} [[カテゴリ:平成14年の法律]] [[カテゴリ:行政組織法]] t3gnkhdbmxltevy8soddb0sy21i49jn